JP2017221121A - 非アルコール性脂肪性肝疾患の非ヒトモデル動物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒトの臨床病態を反映した非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物(NAFLDモデル動物)を提供する。
【解決手段】非ヒト動物にタンパク質を実質的に含有しないことを特徴とするコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料を与えて飼育することにより、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物およびその作製方法に関する。
非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-Alcoholic Fatty Liver Disease:NAFLD)は脂肪肝を基本病変とし、飲酒歴が乏しいにもかかわらず、アルコール性肝障害に類似する肝実質の炎症・壊死、線維化などの組織変化を呈する病態である。NAFLDは基本的に無症候性であり、病態の進行に伴い、脂肪肝から脂肪性肝炎、さらに肝硬変を経て肝癌に移行する。NAFLDにおける脂肪性肝炎を非アルコール性脂肪性肝炎(Non-Alcoholic SteatoHepatitis:NASH)と称する。特に近年、肥満または糖尿病などを背景とするメタボリック症候群が社会問題となっており、NASHもメタボリック症候群の一つであると考えられている。NAFLDおよびNASHには、合併症として、肥満、糖尿病、高脂血症および高血圧などの生活習慣病が認められ、その臨床病態の主な特徴としては、血中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)やヒアルロン酸濃度の上昇、それに対して、血中の総コレステロールやアルブミン濃度の低下などが挙げられる。しかしながら、NAFLDおよびNASHの発症機序は未だ不明な点も多く、その効果的な治療法および治療薬は確立されていないのが現状である。その原因の一端は、NAFLDおよびNASHはヒトの生活習慣病を発症の基盤とする為に、NAFLDおよびNASHの研究のための適当な非ヒトモデル動物が未だ確立されていないことにある。
肝硬変、肝癌など致死性の疾患に進展する可能性のあるNAFLDおよびNASHの病態の解明は、効果的な治療法および治療薬の開発に必須であり、そのためには適当なNAFLDおよびNASHの非ヒトモデル動物が必要である。これまでに、NASHのモデル動物については報告されているが(例えば、特許文献1および2)、NAFLDの非ヒトモデル動物、特に大型動物についてはNASHも含め、ほとんど報告されていない。このような状況下、疾患の進展の観点上、より基盤となるNAFLDの非ヒトモデル動物が求められている。とりわけ、ヒトにおけるNAFLDの治療法および治療薬の確立を目的として、生理学的、解剖学的および遺伝学的にヒトにより近い非ヒト動物のNAFLDモデルが求められていると言える。
国際公開第2011/013247号 国際公開第2008/001614号
そこで、本発明は、NAFLDの非ヒトモデル動物およびその作製方法、ならびに、その作製に用いられる飼料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。本発明者は、マイクロミニブタを用いて、特定の組成のコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料を与えることにより、生理学的、解剖学的および遺伝学的にヒトにより近いマイクロミニブタで、NAFLDモデル動物(モデルブタ)の作製に成功し、本発明を完成させた。当該モデルブタにおいては、血中の総コレステロールやアルブミンの濃度の低下、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)やアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度の上昇、および、ヘパプラスチンテスト(HPT)の値の低下など、NAFLDにおいて特徴的な血中パラメータの変化が認められた。
すなわち、本発明としては、具体的には以下のものが例示される。
[1]非ヒト動物にコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料を与えて飼育する工程を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物を作製する方法であって、
前記CDAA飼料が、タンパク質を実質的に含有しないことを特徴とする、方法。
[2]前記非ヒト動物が、霊長類、げっ歯類、食肉類および偶蹄類からなる群より選択される哺乳類目の動物である、[1]に記載の方法。
[3]前記非ヒト動物がブタである、[1]または[2]に記載の方法。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の方法により作製される、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物。
[5]以下の所見(1)〜(6)の少なくとも1つを示す、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒト動物モデル:
(1)血中総コレステロール濃度の低下
(2)血中アルブミン濃度の低下
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)の値の低下
(4)血中IV型コラーゲン濃度の上昇
(5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の上昇
(6)血中ヒアルロン酸濃度の上昇。
[6]非ヒト動物において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を惹起するために用いられる、タンパク質を実質的に含有しない、コリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料。
本発明により、生理学的、解剖学的および遺伝学的にヒトにより近い非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物およびその作製方法が提供される。また、本発明により、非ヒト動物において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を惹起するために用いられる飼料が提供される。
本発明の方法により得られた非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のモデル動物(マイクロミニブタ)の肝臓組織の生検写真。
発明の具体的説明
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症する非ヒトモデル動物(以下、「本発明のモデル動物」ともいう)を提供する。
本発明のモデル動物は、例えば、後述する特定の組成のコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料を非ヒト動物に与えて飼育することにより作製することができる。
本発明のモデル動物を作製するために使用される非ヒト動物(以下、「本発明で用いられる非ヒト動物」ともいう)は、実験動物として一般に使用される非ヒト動物であれば特に制限されないが、好ましくは非ヒト脊椎動物であり、より好ましくは非ヒト哺乳動物であり、さらに好ましくは偶蹄類動物である。本発明で用いられる非ヒト動物としては、具体的には、ブタ、ミニブタ、マイクロミニブタ等を例示することができる。本発明で用いられる非ヒト動物は、好ましくは、ミニブタまたはマイクロミニブタであり、特に好ましくはマイクロミニブタである。市販されているマイクロミニブタとしては、例えば、富士マイクラ株式会社製のマイクロミニブタ(系統:Fuji Micromini Pig)が挙げられる。
本発明で用いられる非ヒト動物とは、ヒトと同様に肥満、糖尿病、高脂血症または高血圧などの生活習慣病を有していてもよい。本発明で用いられる非ヒト動物が生活習慣病を有する場合には、該非ヒト動物が有する生活習慣病の種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。これらの生活習慣病は、遺伝的に先天的に有するものであってもよく、後天的に獲得されたものであってもよい。
本発明において用いられるコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料(以下、「本発明で用いられる飼料」ともいう)は、タンパク質を実質的に含有しないことを特徴とする。「タンパク質を実質的に含有しない」とは、具体的には、飼料全体に対するタンパク質の含有量が、好ましくは1×10−7重量%未満であり、より好ましくは1×10−8重量%未満であり、特に好ましくは0重量%であることを意味する。
本発明で用いられる飼料の組成は、上述したタンパク質の含有量の範囲を満たし、本発明で用いられる非ヒト動物においてNAFLDの症状を誘発できる限り特に制限されず、例えば、本発明で用いられる非ヒト動物の種類に合わせて適宜設定することができる。例えば、従来のコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料の組成を基本にして、本発明で用いられる飼料の組成を設定すればよい。本発明の飼料の組成を設定し、該飼料を作製することは、当業者であれば本明細書の記載および公知の情報や技術、例えば、米国RESEARCH DIETS社製のA15022101およびA02082002Bなどを参照して容易に実施することができる。本発明で用いられる飼料は、公知の情報や技術に基づいて作製してもよく、上記市販を応用・改良したものであってもよい。
本発明の方法において、本発明で用いられる非ヒト動物に本発明で用いられるCDAA飼料を与え始める時期は、NAFLDを誘発できる限り特に制限されず、例えば非ヒト動物の種類や合併症の有無に応じて適宜設定することができる。例えば、本発明で用いられる非ヒト動物が糖尿病等の生活習慣病を有する場合には、生活習慣病を発症した後、摂餌を開始するのが好ましい。また、該飼料の摂取量は、NAFLDを誘発できる限り特に制限されず、例えば本発明で用いられる非ヒト動物の種類、大きさまたは体重等に応じて適宜設定することができる。例えばマイクロミニブタを用いる場合には、1日当たりの該飼料の摂取量は300g程度である。また、該飼料を餌として用いて飼育する期間は、NAFLDを誘発できる限り特に制限されず、例えば本発明で用いられる非ヒト動物の種類に応じて適宜設定することができる。例えばマイクロミニブタを用いる場合には、通常6週間以上、好ましくは8週間以上、より好ましくは12週間以上、該飼料を餌として用いて飼育することが好ましい。このようにして、本発明で用いられる飼料を用いて飼育することにより、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を誘発することができる。また、例えばマイクロミニブタを用いる場合には、該飼料で飼育を続けると、およそ14週以降で腹水がたまり、死に至ることがある。
なお、本発明の方法において、「飼料を与えて飼育する」とは、本発明で用いられるCDAA飼料自体を与える場合に限らず、該CDAA飼料の各成分を別個に与える場合も含む。また、NAFLDを誘発できる限りにおいて他の飼料を併用してもよい。
本発明の方法により作製され得るNAFLDモデル動物は、NAFLD、特に、ヒトのNAFLDの特徴的な臨床病態をよく反映し、また、該モデル動物においてはヒトのNAFLDと同様の緩やかな病態の進行が認められる。よって、本発明の方法により作製され得るNAFLDモデル動物は、ヒトへの外挿性が高く有用である。また、飼料を摂餌させるだけで、NAFLD症状を生じさせることができるため作製が簡便である。
本発明のモデル動物は、以下の(1)〜(6)から選択される少なくとも1つの所見を示す。
(1)血中総コレステロール濃度の低下
(2)血中アルブミン濃度の低下
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)の値の低下
(4)血中IV型コラーゲン濃度の上昇
(5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の上昇
(6)血中ヒアルロン酸濃度の上昇。
なお、本明細書においては、上記所見(1)〜(6)を総称して、「NAFLDの所見」と称する場合がある。
上記所見(1)〜(6)において、「低下」または「上昇」とは、各所見に該当するパラメータが、NAFLDを惹起しない飼料を用いて飼育された正常個体における「標準値」と比較して「低下」または「上昇」していることを意味する。詳細には、各所見について「標準値」と比較した際の統計学的有意差に基づき判断できる。なお、各所見において、統計解析手法としては公知の統計解析手法を適宜選択して使用することができ、統計解析手法としては、例えば、多群間の検定の場合にはANOVAが挙げられるが、本発明の場合、Bonferroniの多重比較が好ましく用いられる。上記検定法においてP値が0.05未満であった場合に「低下」または「上昇」が認められたと判断する。一方、P値が0.05以上であった場合に「低下」または「上昇」が認められなかったと判断することができる。また、NAFLDを惹起しない飼料、すなわち通常飼料としては、例えば固形飼料MP−A(オリエンタル酵母工業株式会社製)などが挙げられる。なお、通常飼料を用いて飼育した場合には、NAFLDの所見や病態が認められないことが、実験動物販売者および研究者等の当業者間では共有された認識であることから、本発明のモデル動物を作製する上で、上記各所見に該当するパラメータの経時的な変化量の有意性を検討することが非常に好ましいと言える。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により制限されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
<実施例1:NAFLDの非ヒトモデル動物の作製>
マイクロミニブタを用いて、以下の手順でNAFLDの非ヒトモデル動物を作製した。
約7ヶ月齢(体重約10kg)の雄マイクロミニブタ(系統:Fuji Micromini Pig)を富士マイクラ株式会社から購入し、6個体について、自然換気、温度:20±5℃、相対湿度:55±25%、照明サイクル:7:00〜19:00が明、19:00〜7:00が暗の飼育環境の下、通常飼料である固形飼料MP−A(オリエンタル酵母株式会社製、含有コリン:0.29%、含有粗タンパク質:15.3%)を飼料として、1日300g給餌して馴化を行った。なお、給餌は各日の8:00頃に行った。
使用した通常飼料MP−Aの主な成分の組成を表1に示す。
一週間程度の馴化期間の終了後、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料(RESERCH DIETS社製、A15022101)を飼料として、1日300g給餌して、同一の飼育環境の下、16週間にわたり自由摂餌により飼育した。なお、給餌は各日の8:00頃に行った。
使用したCDAA飼料の主な成分の組成を表2に示す。
詳細な結果については後述するが、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を与えて飼育することにより、NAFLDに外挿可能なNAFLDマイクロミニブタを作製することができた。
<実施例2:NAFLDの非ヒトモデル動物の臨床病態の検討>
上記のように飼育された各マイクロミニブタ群について、NAFLDの臨床病態の検討を行った。NAFLDの臨床病態としては、ヒトのNAFLDを診断する指標を参考にして、以下の項目(1)〜(6)を設定した(NAFLDの所見)。
(1)血中総コレステロール濃度の低下
(2)血中アルブミン濃度の低下
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)の値の低下
(4)血中IV型コラーゲン濃度の上昇
(5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の上昇
(6)血中ヒアルロン酸濃度の上昇。
(a)測定方法
実施例1において記載された、通常飼料MP−Aによる一週間程度の馴化期間は、NAFLDの病態は認められなかった。従って、馴化期間終了後のマイクロミニブタ6個体について、採血を行い血清を得、得られた血清試料を用いて、以下の(1)〜(6)の各項目について測定を行い、その測定値を「標準値」とした。
(1)血中総コレステロール濃度
(2)血中アルブミン濃度
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)の値
(4)血中IV型コラーゲン濃度
(5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度
(6)血中ヒアルロン酸濃度
上記(1)〜(6)の各項目の測定は、以下の手法およびキット等を用いて行った。
(1)血中総コレステロール濃度については、コレステロール脱水素酵素(UV)法を用いて測定した。
(2)血中アルブミン濃度については、ネフェロメトリー(BCP改良法)を用いて測定した。
(3)ヘパプラスチンテスト(HPT)値については、凝固時間測定を用いて測定した。
(4)血中IV型コラーゲン濃度については、Type IV collagen ELISA kit, ACB(フナコシ株式会社製)を用いて測定した。
(5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度については、JSCC標準化対応法を用いて測定した。
(6)血中ヒアルロン酸濃度については、ラテックス凝集免疫比濁法を用いて測定した。
続いて、馴化期間終了後のマイクロミニブタ6個体を、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料(RESEARCH DIETS社製、A15022101)を飼料としてさらに飼育し、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を給餌開始後16週間にわたり、2週間ごとに採血を行い血清を得た。得られた血清試料を用いて、上記(1)〜(6)の各項目について測定を行った。
(b)測定結果
各個体の標準値と、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料で飼育開始後16週までの、上記(1)〜(6)の項目の経時的な変化を表3に示す。
(c)測定結果の比較
上記(1)〜(6)各項目について、通常飼料でMP−Aで一週間程度飼育(馴化)した時点での測定値(標準値)と、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を給餌後16週間までの、2週間ごとの測定値とを比較した結果を表4に示す。
表4中、上向き矢印または下向き矢印で示したものは、6個体の標準値の平均値に対して測定値の平均値が上昇または低下したことを意味する。一本の矢印は、標準値の平均値に対して測定値の平均値が10%以上上昇または低下したことを意味し、二本矢印は、30%以上上昇または低下したことを意味し、三本矢印は、50%以上上昇または低下したことを意味する。また、ハイフンは10%未満の上昇または低下を意味する。
表3および4に示した結果から、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を用いて飼育した6個体のマイクロミニブタのすべてについて、血中のアルブミン濃度、総コレステロール濃度およびヘパプラスチンテスト(HPT)値の著しい低下が認められた。一方、血中のIV型コラーゲン濃度、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度およびヒアルロン酸濃度の著しい上昇が認められた。
(d)肝臓組織の生検
6個体のマイクロミニブタのうちの1個体(個体番号:3)について、肝臓組織を取り出して生検写真を得た。生検写真を図1に示す。
図1の生検写真において、灰色で示す部分は肝細胞を示し、白色の小さな粒状部分は脂肪(脂肪滴)を示す。本発明の方法により得られたマイクロミニブタの肝臓組織においては、正常の肝臓組織では認められないような、多量の脂肪(脂肪滴)の肝細胞への沈着が生じており、生検写真からもNAFLDの所見が認められた。
以上より、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を用いて飼育したマイクロミニブタは、当該飼料の摂餌開始後6〜12週目において、NAFLDの臨床病態を示すことが明らかとなった。特に、摂餌開始後10〜12週目においては、ヒトのNAFLDに特徴的な病態の多くを反映しており、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を与えて飼育することにより、ヒトのNAFLDに外挿可能なNAFLDモデル動物を作製できることが確認された。このようなタンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料を用いて飼育したマウスにおいては、ヒトのNAFLDと同様の緩やかな病態の進行が認められたことから、本発明のNAFLDモデル動物はNAFLDの病態の解析に好適であると考えられる。また、タンパク質を実質的に含有しないCDAA飼料は、非ヒト動物において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を惹起するために用いられ得ると考えられる。
本発明により、ヒトと同様の臨床病態を示す非アルコール性脂肪性心疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物を作製することができる。該非ヒトモデル動物を利用することで、ヒトのNAFLDの治療方法および治療薬の開発が可能となる。

Claims (6)

  1. 非ヒト動物にコリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料を与えて飼育する工程を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物を作製する方法であって、
    前記CDAA飼料が、タンパク質を実質的に含有しないことを特徴とする、方法。
  2. 前記非ヒト動物が、霊長類、げっ歯類、食肉類および偶蹄類からなる群より選択される哺乳類目の動物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非ヒト動物がブタである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法により作製される、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒトモデル動物。
  5. 以下の所見(1)〜(6)の少なくとも1つを示す、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非ヒト動物モデル:
    (1)血中総コレステロール濃度の低下
    (2)血中アルブミン濃度の低下
    (3)ヘパプラスチンテスト(HPT)の値の低下
    (4)血中IV型コラーゲン濃度の上昇
    (5)血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の上昇
    (6)血中ヒアルロン酸濃度の上昇。
  6. 非ヒト動物において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を惹起するために用いられる、タンパク質を実質的に含有しない、コリン不含・L−アミノ酸規定(CDAA)飼料。
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