WO2007116717A1 - 可動接点用銀被覆複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
可動接点用銀被覆複合材料は、鉄又はニッケルを主成分とする合金からなるを基材と、前記基材の上に形成された主としてニッケル、コバルトから選ばれる1つ以上の金属と銅からなる第二中間合金層と、前記第二中間合金層の上に形成された主として銀と銅からなる第一中間合金層と、前記第一中間合金層の表面の少なくとも一部に形成された銀又は銀合金からなる被覆層とを備える。
Description
明 細 書
可動接点用銀被覆複合材料およびその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、長寿命の可動接点が得られる、銀または銀合金被覆複合材料およびそ の製造方法に関する。
背景技術
[0002] コネクター、スィッチ、端子などの電気接点部には皿パネ接点、ブラシ接点、クリツ プ接点などが用いられている。これら接点には、比較的安価で、耐食性、機械的性 質などに優れる銅合金やステンレス鋼をはじめとする鉄 'ニッケル合金などの基材上 にニッケルを下地めつきし、その上に導電性と半田付け性に優れる銀を被覆した複 合接点材料が多用されて ヽる (特許文献 1参照)。
[0003] 特にステンレス鋼基材を用いた複合接点材料は、銅合金基材を用いたものより機 械的性質、疲労寿命などに優れるため接点の小型化に有利であり、また動作回数の 増カロも可能なため長寿命のタクティルプッシュスィッチや検出スィッチなどの可動接 点に使用されている。
[0004] し力しながら、ステンレス鋼基材上にニッケルを下地めつきし、その上に銀を被覆し た複合接点材料は、スィッチの接点圧力が大きいため、繰り返しの接点開閉動作に 於いて、接点部の銀被覆層が剥離し易いという問題があった。この現象は以下のよう な理由で起こると理解されている。すなわち、図 4に示すように、ニッケル (Ni)と銀 (A g)が互いに固溶しない性質を持ち、また、銀層には大気力も酸素が浸入して拡散す る現象が起こるために、酸素がニッケルと銀との界面に到達し、そこでニッケルの酸 化物を生成するために密着力が低下すると 、うものである。
[0005] これを解決する手段として、ステンレス鋼基材上にニッケル層、銅層、銀層をこの順 に電気めつきしたもの(特許文献 2〜4参照)が提案されている。これらの技術は、互 いに固溶しな!ヽニッケルと銀の間に、ニッケルと銀の両方と互!ヽに固溶する銅の層を 設けることで各層間で相互拡散させ、密着性を高めることが出来る。さらに、銀層に 固溶した銅には、大気から浸入して銀層中を拡散する酸素を捕獲することで、界面で
の酸素の蓄積による密着性の低下を防ぐ作用があるため、密着性の低下を防止する ことが出来る。
特許文献 1:特開昭 59— 219945号公報
特許文献 2:特開 2004— 263274号公報
特許文献 3 :特開 2005— 002400号公報
特許文献 4:特開 2005— 133169号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、上述した技術には以下の欠点があることが明ら力となった。すなわち 、図 5に示すように、銅 (Cu)の中間層が存在することで、多数回の屈曲によりめつき が割れやすくなること、また、従来のニッケル層と銀層をこの順に電気めつきしたもの にくらべ、長期間使用する際の接触抵抗の上昇がより早くなるという問題である。
[0007] 本発明は、接点の繰り返し開閉動作においても銀被覆層が剥離せず、かつ長期間 の使用においても接触抵抗の上昇が抑えられた、長寿命の可動接点が得られる、銀 被覆ステンレス材料およびその製造方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らはこのような状況に鑑み鋭意研究を行 ヽ、めっきの割れは銅が合金化 され希薄になっていれば抑制されること、接触抵抗の上昇は、銀被覆層の剥離は、 銀層中に固溶した銅が表面に達して酸ィ匕し、高電気抵抗の酸ィ匕物を生成したためで あり、銀層中を拡散する銅の量を少なくすることで接触抵抗の上昇を防止できること をそれぞれ知見した。この発明は上述した知見に基づきなされたものである。
[0009] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 1の態様は、鉄又はニッケルを主成分 とする合金カゝらなる基材と、前記基材の上に形成された主としてニッケル、コバルトか ら選ばれる 1つ以上の金属と銅力 なる第二中間合金層と、前記第二中間合金層の 上に形成された主として銀と銅力もなる第一中間合金層と、前記第一中間合金層の 表面の少なくとも一部に形成された銀又は銀合金カゝらなる被覆層とを備えた可動接 点用銀被覆複合材料である。
[0010] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 2の態様は、前記基材と前記第二中
間合金層との間に、更にニッケル、コバルトまたはこれらのうちの一つ以上を主成分と する合金カゝらなる下地層を備えて ヽる、可動接点用銀被覆複合材料である。
[0011] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 3の態様は、前記下地層の厚さが 0.
05〜2 mの範囲内である、可動接点用銀被覆複合材料である。
[0012] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 4の態様は、前記第一中間合金層お よび第二中間合金層が主として銅カゝらなっている、可動接点用銀被覆複合材料であ る。
[0013] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 5の態様は、前記銅力もなつている層 の厚さが 0. 01 mカゝら 0. 2 mの範囲内である、可動接点用銀被覆複合材料であ る。
[0014] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 6の態様は、前記被覆層が主として銀 カゝらなって!/ヽる、可動接点用銀被覆複合材料である。
[0015] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 7の態様は、前記銀力 なる層の厚さ が 0. 3 m以上である、可動接点用銀被覆複合材料である。
[0016] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の第 8の態様は、前記基材カステンレス鋼 である、可動接点用銀被覆複合材料である。
[0017] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の製造の第 1の態様は、鉄又はニッケルを 主成分とする合金からなる基材を調製し、主としてニッケル、コバルトから選ばれる 1 つ以上の金属を主成分とする層を前記基材表面に形成し、次いで、銅又は銅合金 力もなる層をその上に形成し、次いで、その上に銀又は銀合金力もなる層を形成し、 次いで、前記銅または銅合金力もなる層を、前記ニッケル、コバルトから選ばれる 1つ 以上の金属を主成分とする層、および、前記銀又は銀合金からなる層と拡散処理さ せる可動接点用銀被覆複合材料の製造方法である。
[0018] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の製造の第 2の態様は、前記拡散処理の 方法が非酸化性雰囲気中での熱処理である、可動接点用銀被覆複合材料の製造 方法である。
[0019] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の製造の第 3の態様は、鉄又はニッケルを 主成分とする合金からなる基材を調製し、主としてニッケル、コバルトから選ばれる 1
つ以上の金属を主成分とする層を前記基材の表面に形成し、次いで、銅又は銅合 金力もなる層をその上に形成し、次いで、その上に厚さ 0. 3 m以上の銀又は銀合 金からなる層を形成し、次いで、前記銅または銅合金の層を、前記ニッケル、コバルト 力 選ばれる 1つ以上の金属を主成分とする層、および、前記銀又は銀合金力もなる 層と加熱処理によって拡散させる可動接点用銀被覆複合材料の製造方法である。
[0020] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の製造の第 4の態様は、ステンレス条を電 解脱脂'塩酸で酸洗して活性ィ匕し、次いで、塩ィ匕ニッケルと遊離塩酸とを含む電解液 で電解してニッケルめっきを施すか、塩ィ匕ニッケルと遊離塩酸とを含む電解液に塩ィ匕 コバルトを添カ卩してニッケル合金めつきを施すかの!/、ずれかのめっき処理を施し、次 いで、硫酸銅と遊離硫酸とを含む電解液で電解して銅めつきを施すか、シアン化銅、 シアンィ匕カリウムを基本とし、シアンィ匕亜鈴またはスズ酸カリウムをカ卩えて電解して銅 合金めつきを施すかのいずれかのめっき処理を施し、次いで、シアン化銀とシアン化 カリウムとを含む電解液で電解して銀めつきを施す力、シアンィ匕銀とシアンィ匕カリウム とを含む電解液に酒石酸アンチモニルカリウムを添カ卩して銀合金めつきを施すかの いずれかのめっき処理を施し、次いで熱処理する、可動接点用銀被覆複合材料の 製造方法である。
[0021] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の製造の第 5の態様は、前記銅めつきまた は前記銅合金めつきのいずれかのめっき処理を施した後、前記銀めつきまたは前記 銀合金めつきのいずれかのめっき処理を施す前に、シアンィ匕銀とシアンィ匕カリウムと を含む電解液で電解して銀ストライクめっきを施して、銀被覆複合材料を製造する、 可動接点用銀被覆複合材料の製造方法である。
発明の効果
[0022] 本発明の可動接点用銀被覆ステンレス材料は、図 1に示すように、ニッケル下地層 と銀被覆層が銅を介することでそれぞれ相互拡散するため、密着性が高ぐさらに銀 被覆層に拡散した銅は大気中より浸入した酸素とィ匕合するため、被覆層と下地層の 界面への酸素の到達が抑制され、その結果密着力の劣化が防止される。かつ、銅そ のものが中間層として残って!/ヽな 、ため、多数回の屈曲によってもめっきの割れを発 生し難ぐまた、被覆層の銅は濃度勾配が小さぐ最表層への拡散速度が抑制され、
接触抵抗の上昇も抑制される。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]図 1は本発明の機能を説明する図である。
[図 2]図 2は打鍵試験に用いたスィッチの平面説明図である。
[図 3]図 2に示したスィッチの A— A断面説明図で、(a)はスィッチ動作前、(b)はスイツ チ動作後である。
[図 4]図 4は従来のニッケル下地銀被覆材の問題点を説明する図である。
[図 5]図 5は従来の銅中間層を持つニッケル下地銀被覆材の問題点を説明する図で ある。
符号の説明
[0024] 1 榭脂ケース
2 固定接点
3 固定接点
4 ドーム型可動接点
5 榭脂の充填材
発明を実施するための最良の形態
[0025] 本発明の可動接点用銀被覆ステンレス材料とその製造方法について、望ましい実 施の態様について、詳細に説明する。
[0026] この発明の可動接点用銀被覆複合材料の 1つの態様は、鉄又はニッケルを主成分 とする合金カゝらなる基材と、前記基材の上に形成された主としてニッケル、コバルトか ら選ばれる 1つ以上の金属と銅力 なる第二中間合金層と、前記第二中間合金層の 上に形成された主として銀と銅力もなる第一中間合金層と、前記第一中間合金層の 表面の少なくとも一部に形成された銀又は銀合金カゝらなる被覆層とを備えた可動接 点用銀被覆複合材料である。ここで、鉄またはニッケルを主成分とする合金とは、鉄 またはニッケルの少なくとも一方の質量比が 50質量%以上である合金を意味する。
[0027] 本発明において、可動接点の機械的強度を担う基材には、応力緩和特性および耐 疲労破壊特性に優れる鉄やニッケルの合金が、条、線、その他の形状に加工されて 用!ヽられる力 特にステンレスま岡 SUS301、 SUS304, SUS305, SUS316などの
圧延調質材またはテンションァニール材が好適である。
[0028] 基材上に形成される下地層は、基材と中間層との密着性を高めるために設けられ る。下地層を形成する金属は、公知のようにニッケル、コノ レト、または両者を主成分 (全体の質量比として 50質量%以上)とする合金が選ばれるが、中でもニッケルが好 ましい。この下地層は、基材を陰極にして、例えば塩化ニッケル及び遊離塩酸を含む 電解液を用いて電解することにより形成され、その厚さは、 0. 05〜2 111の範囲内に するのが好ましい。(なお、以下において、下地層の金属としてニッケルを例に説明 する。以下に説明する内容は、ニッケルに限定されるものではなぐコバルト、ニッケ ル合金およびコバルト合金の場合に関しても、同様のことが言える。 )
従来の接触抵抗上昇の原因は、銀被覆層を拡散した中間めつきの銅が表面に達し 、酸化すること〖こよるものである。本発明では、その対策として、銅をあらかじめ合金と しておく。これにより、表面への新規の銅の拡散及びそれに伴う酸化を最小限に抑え ることができる。最も望ましい形態は、実質的に銅力もなる中間層を形成し、その上に 銅を含まな ヽ銀または銀合金を被覆し、さらにこれを非酸化性雰囲気で拡散処理す るものである。
[0029] 拡散処理のためには 50°C以上の温度で熱処理するのが一般的な方法である。熱 処理を行うと、その間に銀層の再結晶が進み、粒界が少なくなるので、銅の拡散を押 さえる上においてさらに好適である。中間層の銅の厚さは密着性を確保するために は 0. 01 μ m以上、更に望ましくは 0. 05 μ m以上あればよぐまた、銅を全て合金化 させるのが困難とならないように、 0. 2 /z m以下、更に望ましくは 0. 18 /z m以下にす るのが良い。
また、銅の厚さを 0. 1 μ m未満にすることにより、強制的な拡散処理を行わなくても所 望の層構造を得ることが出来る。銀の厚さは初期の接触抵抗の見地力 は表面が被 覆されていればよぐ特に限定されるものではないが、 0. 以上あれば、拡散処 理の際に非酸ィ匕性雰囲気におかなくても処理が可能であり、好適である。
[0030] なお、第二中間合金層は、第一中間合金層との界面が実質的に合金となることが できれば良いので、その厚さは数 nmあれば十分である。また、上述した合金は経時 変化によっても形成されるが、加熱することによってその形成は促進されるため適宜
加熱することが好ましい。
[0031] 本発明において、下地層、銅又は銅合金層、銀又は銀合金層の各層は、電気めつ き法、無電解めつき法、物理'ィ匕学的蒸着法など任意の方法により形成できるが、電 気めつき法が生産性とコストの面力も最も有利である。前記各層は、基材の全面に形 成してもよいが、接点部のみに形成するのが経済的である。
[0032] また、中間層に銅をめつきする代わりに、ニッケル銅合金や銀銅合金などの銅合金 をめつきしても良く、また、下地層をニッケル銅合金として中間層を省略し、拡散処理 を行っても良い。
実施例
[0033] 以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施 例に限定されるものではない。
[0034] SUS301条を連続的に通板して巻き取るめっきラインにおいて、厚さ 0. 06mm, 条幅 100mmの SUS301条を電解脱脂、水洗、電解活性化、水洗、ニッケルめっき( 又はニッケル合金めつき、以下同じ)、水洗、銅めつき(又は銅合金めつき)、水洗、銀 ストライクめっき、銀めつき、水洗、乾燥の各処理を行った。
処理条件は次のとおりである。
1. (電解脱脂、電解活性化)ステンレス条をオルソケィ酸ソーダ lOOgZlの水溶液で 陰極電解脱脂、 10%塩酸で酸洗して活性化。
2. (ニッケルめっき)塩化ニッケル 250gZlと遊離塩酸 50gZlとを含む電解液で陰 極電流密度 5AZdm2で電解。
[0035] (ニッケル合金めつき)上記めつき液に塩ィ匕コバルトまたは塩化銅を添カ卩してめつ さ
3. (銅めつき)硫酸銅 150gZlと遊離硫酸 lOOgZlとを含む電解液で陰極電流密度 5AZdm2で電解。
[0036] (銅合金めつき)シアンィ匕銅 50gZl、シアンィ匕カリウム 75gZl、水酸化カリウム 40g Zlを基本とし、シアンィ匕亜鉛 0. 3gZほたはスズ酸カリウム lgZlをカ卩えて陰極電流 密度 3AZdm2で電解。
4. (銀ストライクめっき)シアンィ匕銀 5gZlとシアンィ匕カリウム 50gZlとを含む電解液
で陰極電流密度 2AZdm2で電解。
5. (銀めつき)シアンィ匕銀 50gZlとシアンィ匕カリウム 50gZlと炭酸カリウム 30gZlを 含む電解液で陰極電流密度 5AZdm2で電解。
[0037] (銀合金めつき) 上記電解液にシアン化銅 2gZほたは酒石酸アンチモニルカリウ ム 0. 6g/lを添カ卩してめつき。
[0038] めっき後、熱処理(250°C X 2時間、アルゴン (Ar)ガス雰囲気中)を行った。また、 実施例 10については大気中で 250°C X 2時間の加熱を行った。めっき中の銅層厚 さは断面を電子顕微鏡で 1万倍に拡大して測定した。なお、実施例 7については、熱 処理前にめつき中の銅層厚さがゼロとなっていたサンプルを用いた。
[0039] 得られたこれらの可動接点用銀めつきステンレス条を直径 4mm φのドーム型可動 接点に加工し、固定接点には銀を 1 m厚さにめっきした黄銅条を用いて、図 2、 3に 示す構造のスィッチで打鍵試験をおこなった。図 2は、打鍵試験に用いたスィッチの 平面図である。また、図 3は、打鍵試験に用いたスィッチの図 2A— A線断面図と押圧 を示すもので、(a)はスィッチ動作前、(b)はスィッチ動作時である。図中、 1は銀めつ きステンレスのドーム型可動接点、 2は銀めつき黄銅の固定接点であり、これらが榭脂 ケース 4中に樹脂の充填材 3で組み込まれて 、る。
[0040] 打鍵試験は、接点圧力: 9. 8N/mm2,打鍵速度: 5Hzで最大 100万回の打鍵を 行って接触抵抗の経時変化を測定し、その結果を表 1に示した。また、 100万回の打 鍵試験を行った後、可動接点部の状況を観察し、その結果も表に記した。
[0041] 加熱試験は、 85°Cのエアバスで 1000時間の加熱を行って、接触抵抗の変化を測 定し、その結果を表 1に示した。
[0043] 本発明の可動接点用銀めつきステンレス条(実施例 1から 19)は、何れも 100万回 の打鍵試験を行っても接触抵抗の増加は少なぐ 100万回打鍵後もクラックの発生 は見られなかった。さらに、 1000時間の加熱後も接触抵抗の上昇は小さ力つた。
[0044] これに対して、中間層に銅が残っている(即ち、銅の厚さが本発明の範囲の上限を
超えて大きい)比較例 1〜4では、加熱試験後に接触抵抗の上昇が見られた。また、 打鍵試験後にクラックが確認された。また、銅の入らない比較例 5では、打鍵試験後 に 1000m Ωを超える接触抵抗になり、接点部は銀の剥がれが見られ下地層が露出 していた。
上述したように、この発明の可動接点用銀被覆複合材料によると、接点の繰り返し 開閉動作にぉ 、ても銀被覆層が剥離せず、かつ長期間の使用にお 、ても接触抵抗 の上昇が抑えられた、長寿命の可動接点が得られる、銀被覆ステンレス材料および その製造方法を提供することができる。
Claims
[1] 鉄又はニッケルを主成分とする合金からなる基材と、
前記基材の上に形成された主としてニッケル、コバルトから選ばれる 1つ以上の金 属と銅からなる第二中間合金層と、
前記第二中間合金層の上に形成された主として銀と銅力 なる第一中間合金層と 前記第一中間合金層の表面の少なくとも一部に形成された銀又は銀合金カゝらなる 被覆層と
を備えた可動接点用銀被覆複合材料。
[2] 前記基材と前記第二中間合金層との間に、更にニッケル、コバルトまたはこれらのう ちの一つ以上を主成分とする合金力もなる下地層を備えている、請求項 1に記載の 可動接点用銀被覆複合材料。
[3] 前記下地層の厚さが 0. 05〜2 mの範囲内である、請求項 2に記載の可動接点 用銀被覆複合材料。
[4] 前記第一中間合金層および第二中間合金層が主として銅力 なって 、る、請求項 1から 3のいずれか 1項に記載の可動接点用銀被覆複合材料。
[5] 前記銅力もなつている層の厚さが 0. 01 μ mから 0. 2 μ mの範囲内である、請求項 4に記載の可動接点用銀被覆複合材料。
[6] 前記被覆層が主として銀力もなつている、請求項 4または 5に記載の可動接点用銀 被覆複合材料。
[7] 前記銀力もなる層の厚さが 0. 3 μ m以上である、請求項 6に記載の可動接点用銀 被覆複合材料。
[8] 前記基材がステンレス鋼である、請求項 1から 7の何れか 1項に記載の可動接点用 銀被覆複合材料。
[9] 鉄又はニッケルを主成分とする合金からなる基材を調製し、
主としてニッケル、コバルトから選ばれる 1つの金属を主成分とする層を前記基材表 面に形成し、
次いで、銅又は銅合金力もなる層をその上に形成し、
次いで、その上に銀又は銀合金力もなる層を形成し、
次いで、前記銅または銅合金力もなる層を、前記ニッケル、コバルトから選ばれる 1 つ以上の金属を主成分とする層、および、前記銀又は銀合金からなる層と拡散処理 させる可動接点用銀被覆複合材料の製造方法。
[10] 前記拡散処理の方法が非酸化性雰囲気中での熱処理である、請求項 9に可動接 点用銀被覆複合材料の製造方法。
[11] 鉄又はニッケルを主成分とする合金カゝらなる基材を調製し、
主としてニッケル、コバルトから選ばれる 1つ以上の金属を主成分とする層を前記基 材の表面に形成し、
次いで、銅又は銅合金力もなる層をその上に形成し、
次いで、その上に厚さ 0. 3 m以上の銀又は銀合金力もなる層を形成し、 次いで、前記銅または銅合金の層を、前記ニッケル、コバルトから選ばれる 1っ以 上の金属を主成分とする層、および、前記銀又は銀合金からなる層と加熱処理によ つて拡散させる可動接点用銀被覆複合材料の製造方法。
[12] ステンレス条を電解脱脂'塩酸で酸洗して活性ィ匕し、
次!、で、塩ィ匕ニッケルと遊離塩酸とを含む電解液で電解してニッケルめっきを施す 力 塩ィ匕ニッケルと遊離塩酸とを含む電解液に塩ィ匕コバルトを添加してニッケル合金 めっきを施すかの 、ずれかのめっき処理を施し、
次いで、硫酸銅と遊離硫酸とを含む電解液で電解して銅めつきを施すか、シアン化 銅、シアンィ匕カリウムを基本とし、シアンィ匕亜鈴またはスズ酸カリウムを加えて電解し て銅合金めつきを施すかの!、ずれかのめっき処理を施し、
次!、で、シアンィ匕銀とシアンィ匕カリウムとを含む電解液で電解して銀めつきを施す 力、シアンィ匕銀とシアンィ匕カリウムとを含む電解液に酒石酸アンチモニルカリウムを添 加して銀合金めつきを施すかのいずれかのめっき処理を施し、
次 、で熱処理する、可動接点用銀被覆複合材料の製造方法。
[13] 前記銅めつきまたは前記銅合金めつきのいずれかのめっき処理を施した後、前記 銀めつきまたは前記銀合金めつきのいずれかのめっき処理を施す前に、シアンィ匕銀 とシアンィ匕カリウムとを含む電解液で電解して銀ストライクめっきを施して、銀被覆複
合材料を製造する請求項 12に記載の可動接点用銀被覆複合材料の製造方法。
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