WO2007105380A1 - 軸流流体機械用翼 - Google Patents
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Abstract
翼の摩擦損失を低減させることができるとともに、高いサージ耐性を備えた軸流流体機械用翼を提供すること。軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用翼60であって、前縁61が、そのチップ部およびそのルート部において上流側に向かって突出し、後縁62が、そのチップ部、ミッドスパン部、およびルート部において下流側に向かって突出するように形成されている。
Description
明 細 書
軸流流体機械用翼
技術分野
[0001] 本発明は、軸流流体機械 (例えば、軸流圧縮機等)に用いられる翼 (例えば、静翼) に関するものである。
背景技術
[0002] 軸流流体機械に用いられる翼としては、例えば、特許文献 1, 2に開示されたものが 知られている。
特許文献 1:特開平 10— 103002号公報
特許文献 2 :特開平 10— 184303号公報
発明の開示
[0003] 上記特許文献 1に開示されて!、る翼は、その前縁のチップ部およびルート部が上 流側に向力つて突出した、平面視略 U字状を呈する前縁を備えたものである。
また、上記特許文献 2に開示されている翼は、その後縁のチップ部およびルート部 が下流側に向かって突出した、平面視略 U字状を呈する後縁を備えたものである。 さて、翼の摩擦損失を低減させて、軸流流体機械の性能を向上させるには、上記 特許文献 1の発明と上記特許文献 2の発明とを組み合わせて、翼全体の表面積の低 減化を図り、翼の摩擦損失を大幅に低減させて、軸流流体機械の性能を向上させる ことが考えられる。
しかしながら、上記特許文献 1に開示された翼と上記特許文献 2に開示された翼と を組み合わせたような翼では、ミツドスパン部におけるコード長がその他の部分のコ ード長に比べて短くなつてしまう。そのため、定格点では翼の摩擦損失を低減させて 、軸流流体機械の性能を向上させることができるが、例えば、高負荷時に、作動点が 定格点よりも圧力比大の側に移動すると、ミツドスパン部において空気流が剥離して 、サージが生じてしまうといった問題点がある。
[0004] 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、摩擦損失を低減させることができ るとともに、高いサージ耐性を備えた軸流流体機械用翼を提供することを目的とする
[0005] 本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明による軸流流体機械用翼は、軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用 翼であって、前縁が、そのチップ部およびそのルート部において上流側に向力つて 突出し、後縁が、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部において下流側に向 かって突出するように形成されている。
このような軸流流体機械用翼によれば、その前縁が平面視略 U字状を呈するように 、かつ、その後縁が平面視略 W字状を呈するように形成され、翼全体のコード長の低 減ィ匕が図られるとともに、翼全体の表面積の低減ィ匕が図られることとなる。これにより、 翼の摩擦損失を低減させることができる。
また、翼の、特に、チップ部とミツドスパン部との間、およびミツドスパン部とルート部 との間におけるコード長の低減ィ匕が図られるとともに、これら領域の表面積の低減ィ匕 が図られることとなるので、これら領域の摩擦損失を、例えば、図 4に破線で示すよう に低減させることができる。
さらに、ミツドスパン部におけるコード長力 チップ部とミツドスパン部との間、および ミツドスパン部とルート部との間におけるコード長よりも長くなるように(例えば、 0%Ht におけるコード長および 100%Htにおけるコード長と略等しくなるように)形作られて いるので、高負荷時に、作動点が定格点よりも圧力比大の側に移動したとしてもミツド スパン部における空気流の剥離を防止することができて、サージ耐性の低下を防止 することができる。
さらにまた、翼は、その前縁および後縁を削り取るようにして作製されている(すなわ ち、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部を上流側および Zまたは下流側に 増設するようにして作製されたものではない)ので、軸方向における寸法が大型化し てしまうことを回避することができる。
[0006] 本発明による軸流流体機械用翼は、軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用 翼であって、前縁が、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部において上流側 に向かって突出し、後縁が、そのチップ部およびそのルート部において下流側に向 かって突出するように形成されている。
このような軸流流体機械用翼によれば、その前縁が平面視略 W字状を呈するように 、かつ、その後縁が平面視略 U字状を呈するように形成され、翼全体のコード長の低 減ィ匕が図られるとともに、翼全体の表面積の低減ィ匕が図られることとなる。これにより、 翼の摩擦損失を低減させることができる。
また、翼の、特に、チップ部とミツドスパン部との間、およびミツドスパン部とルート部 との間におけるコード長の低減ィ匕が図られるとともに、これら領域の表面積の低減ィ匕 が図られることとなるので、これら領域の摩擦損失を、例えば、図 4に破線で示すよう に低減させることができる。
さらに、ミツドスパン部におけるコード長力 チップ部とミツドスパン部との間、および ミツドスパン部とルート部との間におけるコード長よりも長くなるように(例えば、 0%Ht におけるコード長および 100%Htにおけるコード長と略等しくなるように)形作られて いるので、高負荷時に、作動点が定格点よりも圧力比大の側に移動したとしてもミツド スパン部における空気流の剥離を防止することができて、サージ耐性の低下を防止 することができる。
さらにまた、翼は、その前縁および後縁を削り取るようにして作製されている(すなわ ち、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部を上流側および Zまたは下流側に 増設するようにして作製されたものではない)ので、軸方向における寸法が大型化し てしまうことを回避することができる。
本発明による軸流流体機械用翼は、軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用 翼であって、 0%Ht (Htは翼高さ)をその根元、 100%Htをその先端とした場合に、 20%Ht付近におけるコード長および 80%Ht付近におけるコード長力 50%Ht付 近におけるコード長よりも短くなるように形成されている。
このような軸流流体機械用翼によれば、その前縁が平面視略 U字状を呈するように 、かつ、その後縁が平面視略 W字状を呈するように形成され、翼全体のコード長の低 減ィ匕が図られるとともに、翼全体の表面積の低減ィ匕が図られることとなる。これにより、 翼の摩擦損失を低減させることができる。
また、翼の、特に、 20%Ht付近におけるコード長、および 80%Ht付近におけるコ ード長の低減ィ匕が図られるとともに、これら領域の表面積の低減ィ匕が図られることとな
るので、これら領域の摩擦損失を、例えば、図 4に破線で示すように低減させることが できる。
さらに、 50%Ht付近におけるコード長力 20%Ht付近におけるコード長、および 8 0%Ht付近におけるコード長よりも長くなるように (例えば、 0%Htにおけるコード長 および 100%Htにおけるコード長と略等しくなるように)形作られて!/、るので、高負荷 時に、作動点が定格点よりも圧力比大の側に移動したとしてもミツドスパン部における 空気流の剥離を防止することができて、サージ耐性の低下を防止することができる。 さらにまた、翼は、その前縁および後縁を削り取るようにして作製されている(すなわ ち、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部を上流側および Zまたは下流側に 増設するようにして作製されたものではない)ので、軸方向における寸法が大型化し てしまうことを回避することができる。
[0008] 本発明による軸流流体機械は、翼の摩擦損失を低減させることができるとともに、高 Vヽサージ耐性を有する軸流流体機械用翼を備えて!/ヽる。
このような軸流流体機械によれば、性能が向上するとともに、サージマージンが向 上することとなる。
[0009] 本発明によれば、摩擦損失を低減させることができるとともに、サージ耐性の低下を 防止することができる。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]本発明による軸流流体機械用翼を具備したガスタービンを示す図であって、車 室上半部を取り外した状態を示す概略斜視図である。
[図 2]図 1に示す軸流流体機械用翼およびその後段に位置する動翼を示す要部斜 視図である。
[図 3]図 2に示す軸流流体機械用翼を、図 2に示す矢印 Aに沿って見た平面図である 圆 4]本発明による軸流流体機械用翼の摩擦損失と、従来の軸流流体機械用翼の摩 擦損失とを比較したグラフである。
[図 5]本発明による軸流流体機械用翼の第 2実施形態を示す図であって、図 3と同様 の図である。
符号の説明
[0011] 20 圧縮部 (軸流流体機械)
60 静翼 (軸流流体機械用翼)
61 前縁
62 後縁
70 静翼 (軸流流体機械用翼)
71 前縁
72 後縁
発明を実施するための最良の形態
[0012] 以下、本発明による軸流流体機械用翼の第 1実施形態について、図面を参照しな がら説明する。
図 1は、本実施形態による軸流流体機械用翼 (以下、「静翼」という) 60を具備した ガスタービン 10を示す図であって、車室上半部を取り外した状態を示す概略斜視図 である。
[0013] 図 1に示すように、ガスタービン 10は、燃焼用空気を圧縮する圧縮部(軸流流体機 械) 20と、この圧縮部 20から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、 高温燃焼ガスを発生させる燃焼部 30と、この燃焼部 30の下流側に位置し、燃焼部 3 0を出た燃焼ガスにより駆動されるタービン部 40とを主たる要素とするものである。 圧縮部 20は、ロータアセンブリ 21と、静翼アセンブリ 22とを具備するものである。 ロータアセンブリ 21は、車室 50内に設けられたジャーナル軸受 51上に配置される 軸 21a、およびこの軸 21aに設けられた複数枚の動翼ディスク 21bを備えている。ま た、この動翼ディスク 21bには、複数枚の動翼 21cが設けられている。
静翼アセンブリ 22は、それら動翼ディスク 21bに対し軸方向に隣接して配置される とともに、車室 50の周方向に沿って複数のセグメントに分割されたものであり、例えば 、車室 50の上半部 ·下半部にお 、てそれぞれ 2つずつのセグメントに分割されて!、る ものでは、 4つのセグメント(すなわち 4つの静翼アセンブリ)で 1段分のステータ部を 構成して ヽることとなる。
なお、図 1中の符号 26は、ディフューザである。
[0014] 図 1および図 2に示すように、静翼アセンブリ 22は、環状に配列された複数の静翼 6 0を備えるとともに、後段に位置する動翼 21c (またはディフューザ 26)に空気流を導 くものである。
[0015] つぎに、本実施形態による静翼 60を図 3を用いて詳細に説明する。図 3は、静翼 6 0を図 2に示す矢印 Aに沿って見た平面図、すなわち、静翼 60を、その腹面側を下 にして平らな机の上に置いたときに上方から見ることのできる輪郭を示す図である。 なお、図 3において左側が前縁側、右側が後縁側、上側がチップ (先端)側、下側 がルート (根元)側である。
[0016] 図 3に示すように、静翼 60の前縁 61は、そのチップ部およびそのルート部が上流 側 (燃焼用空気の流れに対して上流側)に向力つて突出した、平面視略 U字状を呈 するように形成されている。また、静翼 60の後縁 62は、そのチップ部、ミツドスパン部 、およびルート部が下流側 (燃焼用空気の流れに対して下流側)に向かって突出した 、平面視略 W字状を呈するように形成されている。すなわち、静翼 60は、 20%Ht付 近におけるコード長および 80%Ht付近におけるコード長力 50%Ht付近における コード長よりも短くなるように(言い換えれば、 20%Ht付近におけるコード長および 8 0%Ht付近におけるコード長が最も短くなるように)作製されている。
なお、 50%Ht付近のコード長は、 0%Htにおけるコード長および 100%Htにおけ るコード長と略等しい。
また、 0%Htとは静翼 60の根元、 100%Htとは静翼 60の先端のことである。
[0017] 本実施形態による静翼 60によれば、その前縁 61が平面視略 U字状を呈するように 、かつ、その後縁 62が平面視略 W字状を呈するように形成され、静翼 60全体のコー ド長の低減ィ匕が図られるとともに、静翼 60全体の表面積の低減ィ匕が図られることとな る。これにより、静翼 60の摩擦損失を低減させることができる。
また、静翼 60の、特に、チップ部とミツドスパン部との間、およびミツドスパン部とル ート部との間におけるコード長の低減ィ匕が図られるとともに、これら領域の表面積の 低減ィ匕が図られることとなるので、これら領域の摩擦損失を図 4に破線で示すように 低減させることができる。
なお、図 4中の太い実線は、図 3に示す前縁 61と、ルートからチップにかけて直線
状とされた (すなわち、ルートからチップにかけて凹凸を有しない)後縁とを有する静 翼についてのものである。
また、図 4中の破線は、 25%Ht付近におけるコード長および 75%Ht付近における コード長が、 50%Ht付近におけるコード長よりも短くなるように(言い換えれば、 25% Ht付近におけるコード長および 75%Ht付近におけるコード長が最も短くなるように) 作製された静翼 60のものである。
[0018] 本実施形態による静翼 60によれば、 50%Ht付近 (ミツドスパン部)におけるコード 長力 チップ部とミツドスパン部との間、およびミツドスパン部とルート部との間におけ るコード長よりも長くなるように(例えば、 0%Htにおけるコード長および 100%Htに おけるコード長と略等しくなるように)形作られているので、高負荷時に、作動点が定 格点よりも圧力比大の側に移動したとしても 50%Ht付近 (ミツドスパン部)における空 気流の剥離を防止することができて、サージ耐性の低下を防止することができる。 また、本実施形態による静翼 60は、その前縁および後縁を削り取るようにして作製 されている(すなわち、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部を上流側および Zまたは下流側に増設するようにして作製されたものではな 、)ので、軸方向におけ る寸法が大型化してしまうことを回避することができる。
[0019] 本実施形態による静翼 60を備えた圧縮部 20では、その性能が向上するとともに、 サージマージンが向上することとなる。
[0020] 本発明による静翼の第 2実施形態について、図 5を参照しながら説明する。
本実施形態に係る静翼 70は、その前縁 71が平面視略 W字状を呈するように、かつ 、その後縁 72が平面視略 U字状を呈するように形成されているという点で前述した第 1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第 1実施形態のも のと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
[0021] 図 3と同様の図である図 5に示すように、静翼 70の前縁 71は、そのチップ部、ミツド スパン部、およびルート部が上流側 (燃焼用空気の流れに対して上流側)に向かって 突出した、平面視略 W字状を呈するように形成されている。また、静翼 70の後縁 72 は、そのチップ部およびそのルート部が下流側 (燃焼用空気の流れに対して下流側) に向カゝつて突出した、平面視略 U字状を呈するように形成されている。すなわち、静
翼 70は、 20%Ht付近におけるコード長および 80%Ht付近におけるコード長力 50 %Ht付近におけるコード長よりも短くなるように (言い換えれば、 20%Ht付近におけ るコード長および 80%Ht付近におけるコード長が最も短くなるように)作製されてい る。
なお、 50%Ht付近のコード長は、 0%Htにおけるコード長および 100%Htにおけ るコード長と略等しい。
また、 0%Htとは静翼 60の根元、 100%Htとは静翼 60の先端のことである。
[0022] 作用効果については、前述した 1実施形態と同じであるので、ここではその説明を 省略する。
[0023] 本発明による静翼 60, 70は、特に亜音速段において用いられると好適である。
[0024] なお、本発明は上述した実施形態では、 20%Ht付近におけるコード長および 80 %Ht付近におけるコード長力 50%Ht付近におけるコード長よりも短くなるように( 言 、換えれば、 20%Ht付近におけるコード長および 80%Ht付近におけるコード長 が最も短くなるように)作製されているが、本発明はこれに限定されるものではなぐ例 えば、 25%Ht付近におけるコード長および 75%Ht付近におけるコード長力 50% Ht付近におけるコード長よりも短くなるように作製することもできる。また、どの部分の コード長をどの部分のコード長よりも短くするといつた点については、適宜必要に応じ て変更され得る事項である。
Claims
[1] 軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用翼であって、
前縁が、そのチップ部およびそのルート部において上流側に向力つて突出し、後縁 力 そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部において下流側に向かって突出 するように形成されて ヽる軸流流体機械用翼。
[2] 軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用翼であって、
前縁が、そのチップ部、ミツドスパン部、およびルート部において上流側に向力つて 突出し、後縁が、そのチップ部およびそのルート部において下流側に向力つて突出 するように形成されて ヽる軸流流体機械用翼。
[3] 軸流流体機械に用いられる軸流流体機械用翼であって、
0%Ht (Htは翼高さ)をその根元、 100%Htをその先端とした場合に、 20%Ht付近におけるコード長および 80%Ht付近におけるコード長力 50%Ht付 近におけるコード長よりも短くなるように形成されて ヽる軸流流体機械用翼。
[4] 請求項 1に記載の軸流流体機械用翼を備えてなる軸流流体機械。
[5] 請求項 2に記載の軸流流体機械用翼を備えてなる軸流流体機械。
[6] 請求項 3に記載の軸流流体機械用翼を備えてなる軸流流体機械。
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