明 細 書
空間情報検出装置および同装置に好適な光検出素子
技術分野
[0001] 本発明は、空間情報検出装置および同装置に好適に使用される光検出素子に関 するものである。
背景技術
[0002] 一般に、対象空間から受光した光量に相当する電荷を生成し、対象空間に関する 情報を受光出力として取り出す光検出素子においては、生成された電荷を取り出す 部位のサイズによって、得られる受光出力の最大値が制限される。
[0003] 例えば、特開平 7— 22436号公報や、特開平 7— 22437号公報においては、生成 された電荷を取り出す経路のダイナミックレンジを拡大するため、 CCDを用いて電荷 を転送する経路において検出すべき情報信号以外の不要電荷を秤量して取り除き、 残りの電荷を有効電荷として用いることが提案されている。この構成によれば、不要 電荷の転送を回避できるので、転送する電荷量を低減することができ、転送経路の サイズを小さくすることが可能になる。
[0004] し力しながら、この構成では、不要電荷の秤量が電荷の転送経路において行われ るので、対象空間からの光によって生成される不要電荷の量が増加してその光電変 換容量を超えると、いわゆる飽和現象が起こり、転送経路に送られる以前に検出す べき情報が失われる可能性がある。すなわち、上記した先行技術の構成によれば、 電荷の転送経路のサイズを小型化することができても、対象空間力もの光を受光して 電荷を生成する光電変換部のサイズを小さくすることはできな 、と 、う問題があった。 発明の開示
[0005] そこで、本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光電変換部 を小型化できるとともに、対象空間からの光によって生成される不要電荷の量が増加 した場合であっても、飽和現象を防ぐことのできる動作信頼性の高 ヽ空間情報検出 装置を提供することにある。
[0006] すなわち、本発明の空間情報検出装置は、変調信号により強度を変調した信号光
を対象空間に投光する発光源と、前記変調信号に同期するタイミングで前記対象空 間から検出した受光光量に相当する量の電荷力 一定量のバイアス成分を分離する ことにより前記信号光の変動成分を反映した受光出力を提供する光検出部と、前記 受光出力を用いて対象空間の空間情報を検出する信号処理部とを具備する空間情 報検出装置であって、
前記光検出部は、対象空間からの光を受光して電荷を生成する光電変換部と、前 記光電変換部で生成された電荷を信号光の変動に追随しな 、一定量のバイアス成 分と信号光の変動に追随して変動する変動成分との総和とみなし当該バイアス成分 に相当する規定した一定量の不要電荷を分離する電荷分離部と、光電変換部で生 成された電荷から不要電荷を分離した残りを有効電荷として蓄積する電荷蓄積部と、 電荷蓄積部に蓄積された有効電荷を前記受光出力として取り出す電荷取出部とを 含むことを特徴とする。
[0007] 本発明によれば、バイアス成分に相当する一定量を不要電荷として分離して残りの 変動成分の電荷を有効電荷として出力することができるので、光電変換部で生成さ れた電荷の増減を反映しながらも電荷量の総量を減らすことによって飽和の生じる可 能性を低減することができる。換言すれば、対象空間からの光によって生成される電 荷に多量のバイアス成分が含まれていても、バイアス成分のみを取り除いて飽和現 象の発生を防止しながら有効電荷を効率よく取り出すことができるので、小型の光電 変換部を使用することが可能になる。
[0008] また、不要電荷として分離される電荷について着目すると、従来構成では光電変換 部で生成され受光出力として取り出すことが確定して 、る電荷であるのに対して、本 発明では光電変換部で生成されて力 電荷取出部に与えるまでの電荷であるから、 不要電荷を分離することによって飽和の生じる可能性を大幅に低減することができる 。尚、電子シャツタに用いるオーバーフロードレインを用いて飽和を防止するとすれ ば、受光光量に対応する電荷を一定割合で減らすことになるから、変動成分が全体 的に圧縮され、変動成分の差分が小さくなるが、本発明では、バイアス成分である不 要電荷を分離するから、変動成分の差分はそのまま保存される。
[0009] また、対象空間の環境光を受光して光電変換部で生成される電荷を不要電荷とし
て除去することにより、発光源力 投光した光が受光出力に寄与する割合を高めるこ とができる。したがって、発光源から投光した光と光検出部で受光した光との関係に よって空間情報を検出する際に、発光源力 投光した光の変化を検出しやすくなり、 空間情報の検出精度を向上できる。
[0010] ここに、ノ ィァス成分に相当する一定量の電荷は、以下の各場合の電荷を意味す る。すなわち、第一には、着目する期間に光電変換部で生成された電荷のうち、当該 期間内にお 、て、時間経過に伴う実質的な変化を生じな 、成分ある!/、は位置変化 に伴う実質的な変化が生じない成分、つまり時間や空間に依存しない安定した成分 を意味する。このことは、信号光を投光する発光源と組み合わせてアクティブ型のセ ンサを構成する場合には、信号光を除いた環境光の受光光量に相当する電荷に含 まれる成分を意味する。第二には、環境光の受光光量に相当する電荷量に一致する 成分を意味し、第三には、環境光の受光光量に相当する電荷量よりも少ない成分を 意味する。また、第四の場合として、信号光の強度を変調している場合であって、信 号光の最小の受光光量が 0ではな 、場合には、環境光の受光光量に信号光の最小 の受光光量を加算した受光光量に相当する電荷量もしくはそれ以下の成分を意味 する。すなわち、バイアス成分には、対象空間内に存在する環境光のような信号光以 外を起源とする光によってもっぱら構成されるが、強度変調した信号光の場合のよう に、信号光の変動に追随する変動成分であってもバイアス成分に含まれるものがり、 その他にもオフセット電流や暗電流等もバイアス成分に含まれる場合がある。また、 変動成分は、主として時間経過に伴う変動を想定しているが、複数個の光電変換部 が存在する場合には、隣接する複数個の光電変換部での受光光量の相違を意味す る場合ちある。
[0011] 上記発明において、電荷分離部と電荷蓄積部とは半導体基板に形成されるポテン シャル井戸であり、上記光検出部は、電荷分離部と電荷蓄積部との間にポテンシャ ル障壁を形成し、電荷分離部から前記ポテンシャル障壁を越えて電荷蓄積部に流れ 込む電荷の量を調節する電荷量調節手段をさらに含むことが好ましい。前記した電 荷量調節手段としては、電荷分離部と電荷蓄積部との間にポテンシャル障壁を形成 するために上記半導体基板上に配置される障壁制御電極と、前記障壁制御電極に
印加される電圧を制御して、前記ポテンシャル障壁の高さを変化させる制御部とを含 むことが好ましい。あるいは、電荷量調節手段として、半導体基板の電荷分離部に対 応する部位に分離電極を配置し、制御部が分離電極に印加される電圧を制御して、 電荷分離部を構成するポテンシャル井戸の深さを変化させるようにしてもょ 、。
[0012] この構成によれば、半導体の主表面に電極を配置すればよいから、半導体製造技 術を用いて電荷量調節手段を容易に実現することができる。また、ポテンシャル障壁 の高さもしくは電荷分離部となるポテンシャル井戸の深さを変化させることによって不 要電荷の量を調節するから、障壁制御電極もしく分離電極に印加する電圧を調節す るだけで不要電荷の量を容易に調節することができる。結果として、電荷分離部と電 荷蓄積部との間に形成されたポテンシャル障壁を越えて電荷蓄積部に溢れ出た電 荷が有効電荷として蓄積される。
[0013] また、強度変調した光が照射されて 、る対象空間から光を受光して光電変換部が 電荷を生成する受光期間と、光電変換部で生成された電荷から電荷分離部と電荷 蓄積部とを用いて不要電荷を分離する秤量期間とに対応付けて光電変換部、電荷 分離部および電荷蓄積部の動作タイミングを決定するタイミング制御部をさらに含む ことが好ましい。この構成によれば、受光期間において生成した電荷から秤量期間に お 、て不要電荷を分離することができると 、う効果がある。
[0014] 本発明の好ましい実施形態にかかる空間情報検出装置は、第 1導電形の半導体 層と、前記半導体層の主表面に形成される第 2導電形のゥエルと、上記電荷分離部 の不要電荷が廃棄される廃棄部と、ゥエルの主表面に配置される複数の電極と、上 記強度変調した光が照射されている対象空間から光を受光して上記光電変換部が 電荷を生成する受光期間および上記光電変換部で生成された電荷力 不要電荷を 分離する秤量期間とに対応付けて前記複数の電極に印加する電圧を制御する制御 部とを有し、前記複数の電極は、ゥエル内に電荷分離部としてポテンシャル井戸を形 成するための分離電極と、ゥエル内に電荷蓄積部としてポテンシャル井戸を形成する ための蓄積電極と、電荷分離部と電荷蓄積部との間にポテンシャル障壁を形成する ための障壁制御電極とを含む。この構成によれば、受光期間において生成した電荷 から秤量期間において不要電荷を分離する構成を半導体基板の使用により容易に
実現することができ、受光期間において生成した電荷力も除去された電荷分離部の 不要電荷は、廃廃棄部によって廃棄される。また、電圧を印加するタイミングの制御 によって受光期間と秤量期間とを容易に実現することができる。さらに、複数個の制 御電極を用いて電荷分離部および電荷蓄積部となるポテンシャル井戸を形成し、ま た制御電極を用いてポテンシャル障壁を形成するから、複数個の制御電極の配列に より洗練された構造となる。
[0015] 特に、前記制御部は、分離電極と障壁制御電極の少なくとも一方に印加する電圧 を制御し、前記ポテンシャル障壁の高さと電荷分離部を構成するポテンシャル井戸 の深さの少なくとも一方を変化させることによって、電荷分離部力もポテンシャル障壁 を越えて電荷蓄積部に流れ込む電荷の量を調節することが好ま 、。
[0016] また、上記した本発明の空間情報検出装置において、発光源は、発光源から対象 空間に強度変調した光を照射する点灯期間と、強度変調した光が対象空間に投光 されない消灯期間とを有するように変調信号によって強度変調された光を対象空間 に照射し、光検出部は、消灯期間において光電変換部で生成された電荷量に応じ て、点灯期間において生成された受光光量に相当する量の電荷力 不要電荷として 分離される電荷の量を調節する電荷量調節手段を含むことが好ましい。そして、電荷 量調節手段は、消灯期間において光電変換部で生成された電荷量が増加すると、 点灯期間にお 、て生成された受光光量に相当する量の電荷から分離すべき不要電 荷の量を増加させることが特に好まし 、。
[0017] この構成によれば、消灯期間において受光した環境光により生成された電荷量に 応じて不要電荷として分離される電荷の量を自動的に決定するから、環境光の影響 を低減することができ、発光源カも投光された光によって得られる対象空間の情報の 検出が容易になる。
[0018] また、電荷分離部と電荷蓄積部とは半導体基板に形成されるポテンシャル井戸で あり、電荷分離部と電荷蓄積部との間にはポテンシャル障壁を形成するための障壁 制御電極が配置され、電荷量調節手段は、消灯期間において光電変換部で生成さ れた電荷量に応じて障壁制御電極に印加される電圧を制御し、ポテンシャル障壁の 高さを変化させることによって、電荷分離部からポテンシャル障壁を越えて上記電荷
蓄積部に流れ込む電荷量を調節することが好ましい。あるいは、半導体基板の電荷 分離部に対応する部位に分離電極を配置し、電荷量調節手段は、消灯期間におい て光電変換部で生成された電荷量に応じて前記分離電極に印加される電圧を制御 し、電荷分離部を構成するポテンシャル井戸の深さを変化させることによって、前記 電荷分離部からポテンシャル障壁を越えて上記電荷蓄積部に流れ込む電荷の量を 調節することも好ましい。
[0019] これらの構成によれば、消灯期間において受光した環境光の受光光量に応じてポ テンシャル障壁の高さを自動的に調節し、このポテンシャル障壁を利用して点灯期 間にお 1ヽて生成された電荷から不要電荷を分離するから、環境光の影響を低減する ことができ、発光源力 投光された光によって得られる対象空間の情報の検出が容 易になる。さらに、光検出部でポテンシャル障壁の高さを適正かつ自動的に決定す ることができる力ら、光検出部と組み合わせて用いる外部回路を比較的簡単な回路 構成とすることができる。
[0020] ポテンシャル障壁の高さを変化させる場合は、消灯期間に光電変換部で生成され た電荷を保持するため、ポテンシャル井戸でなる電荷保持部が半導体基板に形成さ れ、電荷保持部に保持された電荷量に応じた電圧を障壁制御電極に印加されること が好ましい。この場合、電荷量調節手段は、電荷保持部に対応する部位において半 導体基板上に絶縁層を介して設けられ、障壁制御電極に電気接続される保持電極 を含むことがさらに好ましい。あるいは、障壁制御電極力、電荷保持部としての電荷 保持用ゥエルに対応する半導体基板の部位に電気接続されることも好ましい。
[0021] また、電荷分離部を構成するポテンシャル井戸の深さを変化させる場合は、消灯期 間に光電変換部で生成された電荷を保持するため、半導体基板に形成されるポテン シャル井戸でなる電荷保持部を有し、電荷保持部に保持された電荷量に応じた電圧 を上記分離電極に印加することが好ま 、。
[0022] ポテンシャル障壁の高さを変化させる場合とポテンシャル井戸の深さを変化させる 場合のいずれにおいても、光電変換部と電荷保持部との間の部位で半導体基板の 主表面に設けられ、光電変換部で生成された電荷を電荷保持部に転送するタイミン グを制御するゲート電極を備えることが好ましい。この構成によれば、光電変換部か
ら電荷保持部への電荷の転送タイミングをゲート電極によって制御するから、所望の タイミングの電荷を電荷保持部に転送することができる。
[0023] また、上記した空間情報検出装置において、信号処理部は、点灯期間中に生成さ れた電荷量が規定の飽和レベルに達した時、次回の点灯期間において分離する不 要電荷の量を増カロさせることが好ましい。この構成によれば、受光出力が飽和レベル に達したとしても次回の点灯期間では飽和が生じにくくなり、空間情報を検出できる 可能性が高くなる。
[0024] 本発明のより好ましい実施形態に力かる空間情報検出装置において、光検出部は 、各々が 1画素を構成する複数の光検出セルを有し、光検出セルの各々は、第 1導 電形の半導体層と、前記半導体層の主表面に形成された第 2導電形のゥエルと、前 記ゥ ルの所定領域に絶縁層を介して設けられる複数の感度制御電極の配列を含 む上記光電変換部と、前記ゥエル内に上記電荷分離部としてのポテンシャル井戸を 形成するために使用される分離電極と、前記ゥエル内に上記ポテンシャル障壁を形 成するために使用される障壁制御電極と、前記ゥヱル内に上記電荷蓄積部としての ポテンシャル井戸を形成するために使用される蓄積電極と、上記電荷分離部の不要 電荷が廃棄される廃棄部とを含み、上記電荷量調節手段は、消灯期間に光電変換 部で生成された電荷を保持するためのポテンシャル井戸でなる電荷保持部を有し、 電荷保持部に保持された電荷量に基づいて障壁制御電極および分離電極の少なく とも一方に電圧を印加することが好ましい。この場合、分離電極、障壁制御電極、お よび蓄積電極は、感度制御電極の配列内に設けられ、電荷保持部は感度制御電極 の配列に直交する方向に隣接して設けられることがさらに好ましい。感度制御電極を 等間隔で配列することができ、感度制御電極に沿った電荷の転送制御が容易になる という効果がある。あるいは、分離電極、障壁制御電極、蓄積電極および電荷保持部 の各々は、感度制御電極の配列に隣接する列において、感度制御電極の配列方向 に併設されることも好ましい。感度制御電極に沿って電荷を転送する方向と同じ方向 で不要電荷の分離を行うことができ、不要電荷の分離をさらに効率よく行える。また、 感度制御電極が並ぶ方向とは異なる方向に電荷を転送する動作が少なぐかつ制 御用の配線が簡単になるとともに動作が単純になるという効果もある。
[0025] 本発明のさらなる目的は、以下の構成でなる空間情報検出装置を提供することに ある。すなわち、この空間情報検出装置は、変調信号によって強度変調した光を対 象空間に照射する発光源と、前記対象空間から受光した光に基づいて電気出力を 提供する光検出部と、前記電気出力を使用して対象空間の空間情報を検出する信 号処理部とを備え、前記光検出部は、対象空間からの光を受光して電荷を生成する 光電変換部と、前記変調信号の位相の異なる 2区間のうちの一方の区間において前 記光電変換部で生成される電荷量に基づいて決定される不要電荷量が、他方の区 ヽて光電変換部で生成された電荷から不要電荷として分離される電荷分離 部と、前記他方の区間において光電変換部で生成された電荷力 不要電荷を分離 した残りが有効電荷として蓄積される電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部に蓄積された 電荷を前記電気出力として出力する電荷取出部とを含むことを特徴とする。
[0026] この構成によれば、変調信号の位相の異なる 2区間に同期する受光出力の差分を 求めるから、差分によって環境光の影響を効果的に低減することができ、発光源から 投光された光によって得られる対象空間の空間情報を検出が容易になる。しかも、変 調信号の位相の異なる 2区間の一方における受光光量によって不要電荷の量が決 まり、有効電荷は両区間の差分に相当する電荷量になる。つまり、両区間の受光光 量の差分に相当する受光出力を得ることができる。
[0027] また、上記した空間情報検出装置において、電荷分離部と電荷蓄積部とは半導体 基板に形成されるポテンシャル井戸であり、上記電荷分離部と上記電荷蓄積部との 間にポテンシャル障壁を形成するために前記半導体基板上に配置される障壁制御 電極と、上記変調信号の位相の異なる 2区間のうちの前記一方の区間において光電 変換部で生成された電荷を保持する電荷保持部とを有し、前記電荷保持部に保持さ れた電荷量に基づいて上記障壁制御電極に印加される電圧が決まるとともに不要電 荷量が決定し、前記電荷分離部により上記変調信号の位相の異なる 2区間のうちの 前記他方の区間において光電変換部で生成された電荷から当該不要電荷量が不 要電荷として分離されることが好ましい。この構成によれば、変調信号の位相の異な る 2区間の一方における受光光量によって不要電荷の量が自動的に決まり、有効電 荷は両区間の差分に相当する電荷量になる。つまり、両区間の受光光量の差分に相
当する受光出力を得ることができる。
[0028] 本発明の別の目的は、上記した空間情報検出装置の光検出部として好適に使用さ れる光検出素子を提供することにある。すなわち、この光検出素子は、対象空間から の光を受光して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を 一定量のバイアス成分と受光光量の増減に追随して変動する変動成分との総和とみ なし当該バイアス成分に相当する規定した一定量の不要電荷を分離する電荷分離 部と、光電変換部で生成された電荷から不要電荷を分離した残りを有効電荷として 蓄積する電荷蓄積部と、電荷蓄積部に蓄積された有効電荷を前記受光出力として 取り出す電荷取出部とを含むことを特徴とする。そして、この光検出素子は、第 1導電 形の半導体からなる素子形成層と、前記素子形成層の主表面に形成された第 2導電 形のゥエルと、上記電荷分離部の不要電荷が廃棄される廃棄部と、前記ゥエルの主 表面に配置される複数の電極とを備え、前記複数の電極は、前記電荷分離部として 前記ゥヱル内にポテンシャル井戸を形成するための分離電極と、前記電荷蓄積部と して前記ゥヱル内にポテンシャル井戸を形成するための蓄積電極と、電荷分離部と 電荷蓄積部との間にポテンシャル障壁を形成するための障壁制御電極とを含むこと が特に好ましい。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]本発明の実施形態 1を示す断面図である。
[図 2] (A)〜 (E)は、同上のポテンシャルの関係を示す動作説明図である。
[図 3] (A)〜 (C)は、同上の電圧の関係を示す動作説明図である。
圆 4]本実施形態の空間情報検出装置の構成例を示すブロック図である。
[図 5] (A)および (B)は、同上の動作例を示す動作説明図である。
[図 6] (A)および (B)は、同上の他の動作例を示す動作説明図である。
[図 7] (A)および (B)は、同上のさらに他の動作例を示す動作説明図である。
[図 8]同上の別の動作例を示す動作説明図である。
[図 9] (A)は実施形態 2を示す断面図であり、 (B)は実施形態 2の変更例を示す断面 図である。
[図 10] (A)〜(D)は、同上のポテンシャルの関係を示す動作説明図である。
[図 11] (A)〜 (C)は、同上の電圧の関係を示す動作説明図である。
[図 12] (A)は実施形態 3を示す平面図、(B)は (A)の X— X線断面図、(C)は図 (A) の Y—Y線断面図である。
[図 13]実施形態 4を示す平面図である。
[図 14]同上の動作を説明するフローチャートである。
[図 15]実施形態 5を示す平面図である。
[図 16]実施形態 6を示す断面図である。
[図 17] (A)〜 (H)は、同上のポテンシャルの関係を示す動作説明図である。
[図 18]実施形態 7を示す断面図である。
[図 19] (A)〜(O)は、同上のポテンシャルの関係を示す動作説明図である。
[図 20]実施形態 8を示す断面図である。
[図 21]実施形態 9を示す断面図である。
[図 22] (A)〜 (E)は、同上のポテンシャルの関係を示す動作説明図である。
[図 23] (A)および (B)は、同上の電圧の関係を示す動作説明図である。
発明を実施するための最良の形態
[0030] 以下、本発明を好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態 1)
本実施形態の空間情報検出装置は、変調信号により強度を変調した光を対象空 間に信号光として投光する発光源と、変調信号に同期するタイミングで対象空間から 検出した受光光量に相当する量の電荷から一定量のバイアス成分を分離することに よって信号光の変動成分を反映した受光出力を提供する光検出部と、この受光出力 を用いて対象空間の空間情報 (例えば、対象空間内にある対象物との距離)を検出 する信号処理部とを備える。以下の実施形態においては、光検出部は光検出素子 で構成される。また、本発明の説明が複雑ィ匕するのを避けるため、必要に応じて光検 出素子の最小構成セルとその動作についてのみ説明する。尚、このようなセルを多 数個配列すれば、光検出素子としてのイメージセンサを得ることができる。
[0031] 図 1に示すように、 1個のセル 1は、第 1導電形 (例えば、 p形)の半導体 (例えば、シ リコン)からなる素子形成層 11の主表面側に、第 2導電形 (例えば、 n形)の半導体か
らなるゥエル 12を形成し、ゥエル 12の主表面に絶縁層(たとえば、酸ィ匕シリコンあるい は窒化シリコン) 13を介して分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cとを配 置した構成を有する。障壁制御電極 14cや分離電極 14bが、不要電荷として分離さ れる電荷量を調節するための手段として機能し、障壁制御電極や分離電極に印加さ れる電圧は制御部(図示せず)によって決定される。素子形成層 11は、第 2導電形の サブストレート 10上に形成されている。分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電 極 14cとは透光性を有している。本実施形態では、対象空間からの光を受光して生 成される電荷が電子である場合について説明する力 ホールを利用する場合には、 半導体の導電形を入れ換え、また後述する電圧の極性を入れ換えればよ ヽ。
[0032] 分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cとでは、蓄積電極 14bがもっとも 広幅に形成される。図 1では、分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cとの 幅寸法を異ならせているが、同幅の電極を多数個配列しておき、隣り合う複数個の電 極に同じ電圧を印加することにより広幅の電極と等価に扱うようにしてもよい。たとえ ば、分離電極 14aには隣り合う 2個の電極を用い、蓄積電極 14bには隣り合う 3個の 電極を用い、障壁制御電極 14cには 1個の電極を用いるようにすれば、同幅の電極 を 6個用いることで分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cの機能を実現 することができる。
[0033] ゥヱル 12は n形であって、 p形の素子形成層 11に囲まれているから、分離電極 14a 、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14cのいずれにも電圧を印加しない状態では、電子 に対するポテンシャルは、素子形成層 11に対してゥエル 12のほうが低くなる。つまり 、ゥエル 12の形成されて 、る領域は電子に対するポテンシャル井戸を形成して!/、る。 図 1において斜線部は電子を表している。ゥエル 12の内部のポテンシャルは、分離 電極 14a、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14cに印加する電圧により制御できる。
[0034] いま、ゥエル 12の中の電荷を空にした状態で光が照射されるとすると、ゥエル 12の 中の電子を空にするには、ゥエル 12に隣接して設けたドレイン(図示せず)を通して 電子を廃棄するか、もしくはゥエル 12の中の電子を電荷取出部(図示せず)を通して 受光出力として外部に取り出せばよい。電荷取出部は、 CCDイメージセンサの垂直 転送部あるいは水平転送部と同様の構成を採用することができる。
[0035] 図 3の期間 Taのように分離電極 14a、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14cのいずれ にも電圧を印加しない状態で対象空間からの光を受光すると、ゥエル 12を含む素子 形成層 11において電子とホールとが生成され、図 2 (A)に示すように、生成された電 子はゥエル 12に集積される。つまり、ゥエル 12は光電変換部 D1として機能する。尚、 分離電極 14a、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14cのいずれかに対して、素子形成層 11の電位である基準電位よりも高電位となる電圧(つまり、正極性の電圧)を印加す れば、ポテンシャル井戸をより深く設定することができ、電子の集積効率を高めること ができる。
[0036] 電子が光電変換部 D1に集積された後、図 3の期間 Tbのように、障壁制御電極 14c に負極性の電圧を印加することにより、図 2 (B)のように、ゥ ル 12の中にポテンシャ ル障壁 B1を形成する。ポテンシャル障壁 B1は、ゥヱル 12の内部のポテンシャル井 戸を、分離電極 14aに対応する領域である電荷分離部 D2と、蓄積電極 14bに対応 する領域である電荷蓄積部 D3との 2個のポテンシャル井戸に分割する。
[0037] ポテンシャル障壁 B1を形成し、電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3とを仕切った状態 で(図 3の期間 Tc)、ゥエル 12に近接して設けたドレイン(図示せず)を通して電荷分 離部 D2の中の電子を廃棄すれば、図 2 (C)のように、電荷蓄積部 D3にのみ電子が 残留することになる。電荷蓄積部 D3に残留する電子の量は、図 3の期間 Taにおける 受光光量に対応する。尚、電荷の廃棄には、電荷分離部 D2の近傍にゲートを介し てドレインを設けておき、電荷分離部 D2を仕切った後にゲートを開き、電荷分離部 D 2の電荷をドレインに廃棄すればよい。この種のゲートおよびドレインの構造は、一般 的な MOSFETや CCDの構造と同様のものを採用することができる。
[0038] 次に、図 3の期間 Tdのように、分離電極 14aに対して正極性の電圧を印加し、また 障壁制御電極 14cに印加していた電圧を取り除く。このとき、図 2 (D)のように電荷分 離部 D2は電荷蓄積部 D3よりも深 、ポテンシャル井戸になり、また電荷分離部 D2と 電荷蓄積部 D3との間のポテンシャル障壁 B 1が取り除かれるから、電荷蓄積部 D3に 集積されていたすベての電子が電荷分離部 D2に流入する。つまり、電荷蓄積部 D3 に集積されていたすベての電子を電荷分離部 D2に転送する。
[0039] ゥ ル 12の中のすべての電子が電荷分離部 D2に移動すると、図 3の期間 Teのよう
に障壁制御電極 14cに負極性の規定の一定電圧を印加し、その後、分離電極 14a に印加していた電圧を取り除く。つまり、図 2 (E)のように、ゥエル 12の中にポテンシャ ル障壁 B1を形成して電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3とを再び分割し、さらに電荷分 離部 D2としてのポテンシャル井戸を浅くする。ここで、電荷分離部 D2の容量 (容積) は、ポテンシャル障壁 B1の高さを変数として決定される。つまり、障壁制御電極 14c に印加する電圧に応じて電荷分離部 D2の容量が決まる。なお、障壁制御電極 14c に印加する電圧は、ポテンシャル障壁 B1のポテンシャルが素子形成層 11のポテン シャルを越えな 、ように設定される。
[0040] 図 2 (D)の状態において電荷分離部 D2に流入した電子の量力 図 2 (E)の状態で 電荷分離部 D2の容量を超える場合には、電荷分離部 D2からポテンシャル障壁 B1 を越えて電荷蓄積部 D3に電子が溢れ出す。図 2 (D)の状態で電荷分離部 D2に溢 れ出した電子の量は、光照射により生成された電子の量 (実際には図 2 (C)の電子の 量)に対応しているから、図 2 (E)の状態で電荷蓄積部 D3に流入する電子の量は、 光照射により生成された電子から図 2 (E)の状態で設定された電荷分離部 D2の容 量分の電子を除 、た量になる。
[0041] 以下では、電荷分離部 D2で分離した電子を不要電荷、電荷蓄積部 D3に流入させ た電子を有効電荷と呼ぶ。通常、不要電荷は廃棄し、有効電荷は受光出力として取 り出す。これは、光電変換部 D1において生成された電子を、環境光などによる一定 量のバイアス成分と、着目する情報を含み受光光量の増減に追随して変動する変動 成分との総和とみなしているからであり、ノィァス成分は着目する情報を含んでいな V、から不要電荷として廃棄する。このようにして得られた有効電荷は受光光量に相当 する量の電子から、単純に一定量の電子を廃棄しただけであるから、受光光量の変 化分そのものは保存されており、受光光量において着目する情報量には変化が生じ ない。
[0042] 尚、図 2 (A)から図 2 (E)までの期間においてゥ ル 12の中で電子を移動させてい る間にも光を受光し、ゥエル 12に電子が集積され続けているから、図 2 (A)のように光 電変換部 D1で生成された電子の量に対して、図 2 (B)から図 2 (E)までの期間にお いて生成される電子の量を無視できる程度に少なくする必要がある。例えば、図 2 (A
)の期間はたとえば msのオーダとし、図 2 (B)から図 2 (E)までの期間は/ z sのオーダ とすることで、誤差分を無視することができる。
[0043] 以上説明したように、本実施形態では、対象空間からの光を受光して光電変換部 D 1で生成された電子のうち、規定の一定量を電荷分離部 D2で秤量するとともに、秤 量後の残りの電子を電荷蓄積部 D3に移送し、有効電荷として利用する。したがって 、電荷蓄積部 D3に蓄積された有効電荷の量は、受光光量(=受光光束の時間積分 )に対応する電子の量よりも少なくなるが、受光光量において着目する情報量を反映 していることになる。このように、受光光量が多い場合でも生成された電荷のうちの一 定量を電荷分離部 D2で不要電荷として取り除くから、飽和が生じに《なる。
[0044] また、本実施形態では光電変換部 D1をゥエル 12に形成している力 ゥエル 12とは 別に設けた光電変換部で生成した電子をゥエル 12に転送し、その後、上述した手順 で電子の一部を秤量してもよい。この場合、ゥエル 12を遮光することが可能であるか ら、図 2 (A)から図 2 (E)までの期間にお 、て生成される電荷に基づく誤差を低減す ることがでさる。
[0045] さらに、上述の例では、図 2 (D)の期間で電子蓄積部 D3のポテンシャルは変化さ せずに、電荷分離部 D2のポテンシャルとポテンシャル障壁 B1のポテンシャルとを引 き下げているが、電荷分離部 D2のポテンシャルを変化させずに、ポテンシャル障壁 B1のポテンシャルを引き下げる(図 2 (E)のポテンシャル障壁 B1よりは高くする)とと もに電荷蓄積部 D3のポテンシャルを引き上げる(ポテンシャル障壁 B1以上にする) ことによって、電荷蓄積部 D3から電荷分離部 D2に電子を流入させるようにしてもよ い。
[0046] ところで、図 2 (E)の状態にぉ 、て、電荷分離部 D2で一定量の電子を不要電荷と して秤量するには、ポテンシャル障壁 B1を越えて電荷蓄積部 D3に溢れ出る電子を 電荷蓄積部 D3にすベて流入させる必要がある。仮に、電荷蓄積部 D3に溢れ出る電 子の量が電荷蓄積部 D3の容量を超える場合は、電子分離部 D2で一定量の不要電 荷を秤量することができなくなるという問題が生じる。この問題を解決するために、電 荷蓄積部 D3の深さを変えずに容量を大きく設定しょうとすると素子形成層 11に対す るゥエル 12の占有面積が大きくなるから、光検出素子の大型化につながる。したがつ
て、上述の問題を解決するには、電荷蓄積部 D3の深さを調節する技術が採用され る。
[0047] 電荷蓄積部 D3の深さはポテンシャル障壁 B1の高さが関与しており、不要電荷の 電荷量は電荷分離部 D2の底のポテンシャルに対するポテンシャル障壁 B1の相対 高さで決まるから、電荷分離部 D2の底のポテンシャルに対するポテンシャル障壁 B1 の相対高さを変化させずに、電荷分離部 D2の底のポテンシャルを調節することによ つて、受光光量が増減しても電子分離部 D2で一定量の不要電荷を秤量することが 可會 になる。
[0048] 電荷分離部 D2の底のポテンシャルを適正に設定するには、受光光量を評価しな ければならない。受光光量の評価には、光電変換部 D1に集積した電子を光検出素 子の外部に取り出し、光検出素子の外部回路で評価する技術を用いることができる。 この場合、外部回路での評価結果を、分離電極 14aへの印加電圧に反映させる。な お、受光光量の評価結果によっては電荷分離部 D2で電子を秤量する必要がな 、場 合も生じる。その場合には、図 2 (C)の状態で電荷蓄積部 D3に残留する電子を受光 出力として取り出せばよい。
[0049] すなわち、光検出素子が、受光光量の評価を行うための受光出力を取り出す動作 と、秤量後の受光出力を取り出す動作との 2動作を行うように、分離電極 14aと蓄積 電極 14bと障壁制御電極 14cとに与える電圧を制御部としての外部回路(図示せず) によって制御する。受光光量の評価を行うための受光出力を得る期間には電荷の秤 量を行わず、光電変換部 D1に蓄積された電荷をそのまま受光出力として取り出し、 この受光出力によって、分離電極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cとに与え る電圧を決定し、ポテンシャル障壁 B1の高さと電荷蓄積部 D3の深さとの一方を決定 する。次に、受光光量に対応した電荷について、上述した手順で不要電荷の秤量を 行い、残留した電子を受光出力として取り出す。
[0050] ところで、秤量後の受光出力は受光光量の情報を保存していなければならない。し たがって、発光源を用いないパッシブ型のセンサを構成する場合には、受光光量の 評価後に秤量する不要電荷の量を一定に保つことによって受光光量の変動分が秤 量後の受光出力に反映される構成を採用する。また、発光源を用いたアクティブ型の
センサを構成する場合には、発光源が点灯する期間 (以下、「点灯期間」という)と消 灯する期間 (以下、「消灯期間」という)とを設け、消灯期間における受光光量を評価 し、点灯期間に得られた電荷力 不要電荷を除去する。この動作により、点灯期間に おいて得られた電荷から自然光や照明光のような環境光に応じた量の不要電荷を取 り除くことができ、発光源カも投光された光に対するダイナミックレンジが実質的に拡 大されること〖こなる。
[0051] 上述の動作では、不要電荷の秤量動作を 1回だけ行うことを想定し、ポテンシャル 障壁 B1の高さによってのみ不要電荷の量を決めている力 不要電荷の量は、電荷 分離部 D2で秤量する回数を変化させることによつても調節することができる。つまり、 電荷分離部 D2の容量は一定にしておき、図 2 (E)の状態で電荷分離部 D2において 秤量した後、電荷分離部 D2の電子を廃棄し、さら〖こ、図 2 (D)の状態として電荷蓄積 部 D3の電子を電荷分離部 D2に戻し、図 2 (E)の状態で電荷分離部 D2において電 子を秤量するという動作を必要回数だけ繰り返すことにより、不要電荷の量を調節す ることち可會である。
[0052] 図示した動作では、電荷分離部 D2で不要電荷を秤量する際に、電荷分離部 D2に 電荷を流入させた後に、障壁制御電極 14cに印加する電圧または分離電極 14aに 印加する電圧を調節しているが、障壁制御電極 14cに印加する電圧または分離電極 14aに印加する電圧を調節することにより電荷分離部 D2の容量を決定した後に、電 荷分離部 D2に電荷を流入させてもょ ヽ。
[0053] 以下では、図 4に示すように、対象空間に発光源 2から投光し、対象空間力もの光 を信号光として光検出素子 (すなわち、光検出部) 1で受光する構成において、光検 出素子 1で受光する光に自然光や照明光のような環境光が混入しており、環境光の 成分を低減して受光出力を得る場合を想定する。したがって、不要電荷として秤量す る電子の量は環境光の受光光量を反映するように設定される。光検出素子 1の受光 出力は受光処理回路 3に与えられ、受光出力力 所望の情報が取り出される。光検 出素子 1、発光源 2、受光処理回路 3の動作はタイミング制御回路 4から出力されるタ イミング信号により制御される。すなわち、不要電荷として分離される電荷量を調節す るための手段としての障壁制御電極 14cや分離電極 14aに印加される電圧がこのタ
イミング制御回路 4によって制御される。また、タイミング制御回路 4は、発光源 2を点 灯させる点灯期間と消灯させる消灯期間とを交互に繰り返し、点灯期間と消灯期間と において光検出素子 1および受光処理回路 3が以下の動作を行うようにタイミング信 号を与える。つまり、図示する構成では、受光処理回路 3とタイミング制御回路 4とに より信号処理部が構成されている。信号処理部は、適宜のプログラムを実行するマイ クロコンピュータによって構成してもよ 、。
[0054] 以下では、所望量の不要電荷を 1回で秤量せず、複数回の合計で秤量する動作に ついて説明する。この動作では、廃棄しょうとする不要電荷の量を Qgとするとき、 1回 で Qgを廃棄するのではなぐ QgZk(kは正の整数)ずつ k回で廃棄する。不要電荷 の廃棄は、時間を開けずに複数回繰り返す動作と、時間を開けて複数回繰り返す動 作とがあり、以下の説明では両者を混在させた場合を例示する。
[0055] つまり、不要電荷を秤量し廃棄する 1回の秤量を連続して m回繰り返す期間を廃棄 期間とし、点灯期間において廃棄期間を n回繰り返すのである(mは 2以上の正の整 数、 nは 1以上の正の整数)。この関係を図 5に示す。図 5では消灯期間 Pdと点灯期 間 Pbとを 1回ずつ記載している力 消灯期間 Pdと点灯期間 Pbとは交互に繰り返され る。また、図 5 (A)に示す動作では、点灯期間 Pbには n回(図示例では 2回)の廃棄 期間 Ptが設けられ、各廃棄期間 Ptにはそれぞれ m回(図示例では 5回)ずつ不要電 荷の秤量動作 W (不要電荷を分離して廃棄する動作を以下では秤量動作 Wと呼ぶ) が行われている。つまり、点灯期間 Pbにおいて nX m回の秤量動作 Wを行っている。 各廃棄期間 Ptでは信号光の受光光量に対応する量の電子のみが残留するように不 要電荷を廃棄する。したがって、 1回の秤量動作 Wによって廃棄する不要電荷の量 は廃棄期間 Ptにおいて廃棄する量の不要電荷を m等分した量になる。また、 1回の 秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量は消灯期間 Pdでの受光光量に応じて設定さ れる。すなわち、以下に説明する動作では k=mになる。
[0056] まず、不要電荷の秤量を 1回で行う代わりに、不要電荷を複数回に分割して秤量を 行う場合の利点について説明する。一般に、光検出素子の受光光量に対応して蓄 積される電荷量 (電子の量) Qは、光電変換部 D1 (電荷蓄積部 D3)の面積 Sと受光 する時間 tとに比例する。単位面積で単位時間に蓄積される電荷量を qとすれば、 Q
= q X S X tになる。ポテンシャル障壁 Blの高さを消灯期間 Pbに蓄積した電荷量で 決める構成を採用しているから、ポテンシャル障壁 B1の高さ Δνは、消灯期間 Pbに 蓄積した電荷量 Qの関数であって、たとえば、 A V (Q) = a X q X S X tの関係によつ て算出することができる。ただし、 αは電荷量 Qをポテンシャル障壁 B1の高さ A V (Q )に変換する係数である。 1回で秤量される不要電荷の量は、ポテンシャル障壁 B1の 高さ A V (Q)を変化させることにより調節することができる。
[0057] ポテンシャル障壁 B1の高さ A V (Q)を変化させるには、 4個の変数のいずれかを変 化させればよいことがわかる。ここで、時間 tは実施形態 1において説明したように ms のオーダであり、秤量に必要な時間は/ z sのオーダであるから、不要電荷の量を決め る時間 tを短くすることができれば、消灯期間 Pdを短縮し空間情報の収集に利用でき る時間の割合を増加させることができる。ただし、時間 tを短くすると 1回で秤量できる 電荷量 Qが少なくなるから、秤量する回数を増やすことによって所望量の不要電荷を 廃棄するのである。
[0058] なお、時間 tを短くしながらも 1回で秤量できる電荷量 Qを減らさないようにしようとす れば、係数 αと電荷量 qと面積 Sとの少なくとも 1要素を大きくすることが考えられるが 、係数 OCを大きくするとショットノイズなどのノイズ成分を増カロさせることになる力も誤差 の増加につながり、また電荷量 qは光検出素子の仕様と受光する光の強度とにより決 まるから調節が困難であり、面積 Sを大きくすれば大型化するという問題が生じる。し たがって、係数 aと電荷量 qと面積 Sとは変更しない。
[0059] 1回の秤量動作 Wにおいて廃棄する不要電荷の量は、上述のように消灯期間 Pdに 蓄積された電荷量によって決まり、この電荷量は環境光の受光強度と消灯期間 Pdの 長さ(時間 t)との関数である。つまり、 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量は 、消灯期間 Pdが長いほど多くするように規定される(実際は、 1次関数あるいは 3次関 数で規定する)。したがって、上述したように、廃棄期間 Ptで廃棄しょうとする不要電 荷の量を Qgとし、 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量を QgZmとすると、 1 回で電荷量 Qgを秤量する際に必要な消灯期間の長さに対して、消灯期間 Pdの長さ は lZmになる。つまり、秤量動作 Wを m回行う構成を採用することにより、所望量の 不要電荷を秤量する際の消灯期間 Pdの長さが lZmに短縮されるのである。
[0060] 上述の動作によれば、消灯期間 Pdが短縮され、その一方で秤量動作 Wに要する 時間が秤量動作 Wの回数分だけ増加するが、消灯期間は msのオーダであり、秤量 動作 Wの時間は/ z sのオーダであるから、消灯期間 Pdと点灯期間 Pbとを合計した時 間は 1回で秤量する場合よりも短縮することができる。たとえば、不要電荷の秤量を 1 回で行う場合に消灯期間が 7ms必要であったとすれば、不要電荷の秤量を 7回で行 う場合には消灯期間を lmsに短縮することができる。つまり、 1回の秤量動作 Wに 10 0 sかかったとしても消灯期間 Pdと点灯期間 Pbとの合計は 2ms未満であるから、大 幅な時間短縮が可能になる。
[0061] このように、信号処理部が、規定した一定の点灯期間の受光光量に相当する量の 電荷から信号光の変動成分に対応する量の電荷を残して分離される不要電荷の量 を、消灯期間で得られた受光光量により決定するとともに、決定された量の不要電荷 を規定した複数回に等分して分離する秤量動作を行うように前記光検出素子を制御 し、 1回の秤量動作において分離する不要電荷の量を消灯期間が継続する時間が 長 、ほど多くなるように規定する場合は、不要電荷を 1回で分離する場合に比較する と、消灯期間の継続する時間を短縮することができる。秤量動作に要する時間は消 灯期間に比較すると 2桁ないし 3桁程度短いから、消灯期間が短縮されることにより、 消灯期間と点灯期間とを合計した処理時間を短縮することができる。その結果、点灯 期間において得られる信号光の情報を多く収集することができ、単位時間あたりで収 集可能な空間情報の情報量を増カロさせることができる。
[0062] 上述のように、不要電荷を 1回で秤量する場合よりも消灯期間 Pdを短縮し、かつ複 数回の秤量動作 Wによって所望量の不要電荷を秤量することにより、受光出力を取 り出すまでの時間を短縮することが可能になるのである。その上、消灯期間 Pdに受 光する環境光の強度が比較的大きい場合でも、消灯期間 Pdを短くすることによって 光電変換部 D1で生成される電子の量を低減させ、結果的に光検出素子 1が飽和す るのを防止することになる。
[0063] 上述の動作では、廃棄期間 Ptに m回の秤量動作 Wを行っており、点灯期間 Pbに は n回の廃棄期間 Ptを設けている。ここにおいて、点灯期間 Pbは毎回一定時間とす る。廃棄期間 Ptごとに複数回の秤量動作 Wを行うことによって、消灯期間 Pdを短縮
する効果が高まるが、点灯期間 Pbにおける秤量動作 Wの回数は適宜に設定すれば よい。たとえば、点灯期間 Pbにおいて廃棄期間 Ptを 1回だけ設け、廃棄期間 Ptの間 に複数回の秤量動作 Wを行うことが可能である。また、各廃棄期間 Ptに秤量動作 W を 1回ずつ行う動作とすることも可能である。
[0064] ただし、環境光の受光強度の観点から言えば、点灯期間 Pbにおいて廃棄期間 Pt を複数回設けることが望ましい。とくに、消灯期間 Pdにおける受光光量が多い場合( つまり環境光の受光強度が大きい場合)には、点灯期間 Pbにおける廃棄期間 Ptの 回数を増加させることが望まし 、。この理由につ 、て図 6 (A)および (B)を用いて説 明する。
[0065] いま、点灯期間 Pbにおいて廃棄期間 Ptを 4回設けているとすると、図 6 (A)のように 時刻 tOから時刻 t2までの点灯期間 Pbにおいて各廃棄期間 Ptに一定量の不要電荷 が廃棄されるから、電荷蓄積部 D3に蓄積された電子は、廃棄期間 Ptごとに減少を 繰り返しながら、全体としては電子の蓄積によって増加することになる。
[0066] このような動作において、 1回の廃棄期間 Ptで廃棄する不要電荷の量と廃棄期間 P tの回数とが適正であれば、電荷蓄積部 D3に蓄積された電子の量は光検出素子 1 の飽和レベル L1を超えることがないが、環境光が想定よりも多い場合には、時刻 t2 において点灯期間 Pbが終了するまでに、電荷蓄積部 D3の電子の量が飽和レベル L 1を超えるという現象が生じる(図 6 (A)では時刻 t3において飽和レベル L1を超えて いる)。飽和レベル L1を超えると、光検出素子 1から取り出された受光出力からは信 号光の情報が失われる。
[0067] そこで、点灯期間 Pbにおいて飽和レベル L1に達した力否かを検出する必要がある 。飽和レベル L1に達したことを検出するには、たとえば、点灯期間 Pbにおける最後 の廃棄期間 Ptから一定時間が経過した後に点灯期間 Pbが終了するように廃棄期間 Ptを設定しておけばよい。最後の廃棄期間 Ptから点灯期間 Pbの終了までの時間は 、隣り合う廃棄期間 Ptの間の時間に設定する。
[0068] いま、上述の例のように点灯期間 Pbにおいて 4回の廃棄期間 Ptを設定しているも のとすると、 3回目の廃棄期間 Ptから 4回目の廃棄期間 Ptの間に飽和が生じた場合 に、 4回目の廃棄期間 Ptにおいて不要電荷が廃棄されるから、廃棄期間 Ptの終了
時点で受光出力を取り出すと受光出力が飽和レベル LIよりも小さくなり、飽和を検出 することができない。これに対して、上述のように廃棄期間 Ptの終了から一定時間が 経過した後に点灯期間 Pbを終了し、その時点で受光出力を取り出すようにすれば、 受光出力は飽和レベル L1に達しているから点灯期間 Pbにおいて飽和に達したこと を検出することが可能になる。
[0069] 電荷蓄積部 D3の電子の量が時刻 t2までに飽和レベル L1を超える場合でも、廃棄 期間 Ptの回数を増カロさせると、点灯時間 Pbを変更することなく飽和レベル L1を超え ないように調節できる場合がある。たとえば、図 6 (A)のように、時刻 tlから時刻 t2ま での点灯期間 Pbにおいて秤量期間 Ptを 4回設けているときに、電荷蓄積部 D3に蓄 積された電子の量が 4回目の秤量期間 Ptに達する直前で飽和レベル L1を超える場 合でも、図 6 (B)のように、点灯期間 Pbにおける秤量期間 Ptを 5回に増やせば、電荷 蓄積部 D3に蓄積された電子の量が時刻 t3にまでに飽和レベル L1を超えないように することが可能なことがある。言い換えると、廃棄期間 Ptの時間間隔を比較的短く設 定することによって、光検出素子 1が飽和するまでに不要電荷を廃棄すれば、環境 光が多 、環境下にお 、ても信号光に対応する電子の受光出力に占める割合を高め ることが可能になり、結果的に環境光の受光強度が大きい場合でも信号光の情報を 持った受光出力を取り出すことが可能になる。
[0070] 受光期間 Pbにおける秤量期間 Ptの回数は、光検出素子 1から得られる消灯期間 P dの受光光量と受光出力とのうち少なくとも受光出力を用いて決定する。秤量期間 Pt の回数を決定する手順について説明する。なお、秤量期間 Ptには複数回の秤量動 作 Wをまとめて行っているから、 1回の秤量期間 Ptにおける動作もまた不要電荷を廃 棄する動作であって、点灯期間において秤量期間 Ptを複数回設け、秤量期間 Ptに 時間間隔を開けていることは、時間間隔を開けて不要電荷の廃棄動作を複数回行つ ていることに相当する。
[0071] 消灯期間 Pdの受光光量は、環境光の受光強度を反映しているから、消灯期間 Pd の受光光量が決まれば受光期間 Pbにおいて蓄積される不要電荷の量を見積もるこ とができる。また、消灯期間 Pbの受光光量によって 1回の秤量期間 Ptで廃棄する電 荷量が決まる。したがって、消灯期間 Pbの受光光量を求めると、受光期間 Pbにおい
て蓄積される電子の量の時間変化の傾向を知ることができる。この時点では信号光 に対応する電子の量は不明であるが、信号光に対応する電子の量は受光期間 Pbに ぉ 、てほぼ一様に増加すると考えることができるから、飽和レベル L1を考慮して廃棄 すべき不要電荷の量を見積もることができ、秤量期間 Ptの回数について候補値を求 めることができる。
[0072] 候補値が決まれば、候補値で動作させた場合の受光出力の大きさを受光処理回 路 3にお 、て監視することによって、秤量期間 Ptの回数が適正に設定されて!、るか 否かを評価する。この評価には受光出力と比較する上限値と下限値とを設定してお き、受光出力と上限値および下限値との比較によって秤量期間 Ptの回数を調節する
[0073] たとえば、受光出力が上限値を超えていると秤量期間 Ptの回数を候補値に対して 1回増やして新たな候補値とし、下限値を下回っていると秤量期間 Ptの回数を候補 値に対して 1回減らして新たな候補値に用いる。この処理を繰り返すことにより、受光 出量を上限値と下限値との間の適正な値に維持することができる。受光出力が上限 値と下限値との間ではない場合には、その受光出力は採用せず、当該期間の受光 出力は、他の期間の受光出力で補間あるいは代用する。
[0074] なお、秤量期間 Ptの回数について候補値を消灯期間 Pdの受光光量で決めるので はなぐあら力じめ定めたデフォルト値を候補値に用いるようにしてもよい。この場合、 消灯期間 Pdの受光光量は、 1回の秤量動作 Wにおいて廃棄する不要電荷の量の決 定にのみ用いられる。なお、 1回の秤量期間 Ptにおける秤量動作 Wの回数は変更し ない。
[0075] 受光期間 Pbにおける秤量期間 Ptの回数を決定するために、受光処理回路 3では、 消灯期間 Pdにおける受光光量と受光出力とに基づいて上述の処理を行い、受光処 理回路 3において決定した秤量期間 Ptの回数に応じてタイミング制御回路 4が光検 出素子 1の動作を制御する。なお、受光出力が上限値と下限値との間に収まるように 秤量期間 Ptの回数を調節する処理は、受光期間 Pbごとに行う必要はなぐ使用環境 に応じて適数回の受光期間 Pbごとに行うようにすればよい。つまり、標準的な頻度を デフォルト値として設定しておき、環境光の変化が大き 、場所では調節の頻度を上
げ、環境光の変化が少な 、場所では調節の頻度を下げればょ 、。
[0076] 点灯期間 Pbにおいて受光出力が飽和レベルに達した場合には、当該点灯期間 Pb に得られた受光出力は空間情報の検出には用いることができない。したがって、この 受光出力は破棄し、次回の点灯期間 Pbにおいて分離する不要電荷の量を変更する ことによって、次回以降の点灯期間 Pbで適正な受光出力が得られるようにする。ここ で、不要電荷の量を変更する技術として、上述の例では秤量期間 Ptの回数を変更 する例を示しているが、消灯期間 Pdを長くすれば 1回の秤量期間 Ptで廃棄される電 荷量が増加する。また後述する感度制御電極 17a〜 17h (図 12参照)を設けて!/、る 場合には、消灯期間 Pdにお 、て光電変換部 D1として電荷を集積するポテンシャル 井戸を形成するための電圧を印加する感度制御電極 17a〜 17hの個数を変化させ れば、実質的に受光面積を変化させることになるから、消灯期間 Pdにおいて受光面 積を大きくすることで、秤量期間 Ptに廃棄される電荷量が増加させることができる。
[0077] 上述した原理から明らかなように、飽和レベル L1を超えな!/、ように秤量動作 Wを行 うという目的では、複数回の秤量動作 Wを秤量期間 Ptにおいてまとめて行うよりも、 1 回ずつの秤量動作 Wを点灯期間 Pbの全体に分散させて行うほうが望ま U、。つまり 、図 5 (B)のように、点灯期間 Pbにおいて毎回の秤量動作 Wを行う間に時間間隔を 設けておくのが望ましい。また、時間間隔は消灯期間 Pdにおける受光出力が大きい ほど短くなるように設定するのが望ましい。この技術を採用すれば、電荷蓄積部 D3 に蓄積される電荷量の増加速度が低下し、蓄積される電荷量が飽和レベル Lに達し に《なる。つまり、電荷蓄積部 D3の飽和を抑制する効果が高くなる。
[0078] ところで、 1回の廃棄期間 Ptにおいて廃棄する不要電荷の量は、信号光により生成 された量の電子の全部を残すように算出されるが、 1回の廃棄期間 Ptに複数回の秤 量動作 Wを行 ヽ、かつ 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量は消灯期間 Pbに おける受光光量によって決まるから、信号光に対応した量の電子の全体でかつその 量の電子のみを残すことは困難である。したがって、信号光に対応した量の電子の 全体よりもやや多い量の電子を余裕分として残すことになる。ただし、信号光に対す るダイナミックレンジを大きくとるには、余裕分の電子はできるだけ少なくすることが必 要である。
[0079] 1回の秤量動作 Wで廃棄される不要電荷の量は消灯期間 Pdにおける受光光量に より決められ、この受光光量は消灯期間 Pdの長さ (継続する時間)の関数であるから 、 1回の廃棄期間 Ptにおいて廃棄する不要電荷の総量を算出すれば、消灯期間 Pd の長さを変化させることによって、余裕分が少なくなるように 1回の秤量動作 Wで廃棄 する不要電荷の量を決めることが可能である。
[0080] 消灯期間 Pdを短くすれば 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量が少ないか ら余裕分も少なくなり、また 1回の廃棄期間 Ptに 1回の秤量動作 Wを行うように消灯 期間 Pdを長くすることによつても余裕分を少なくすることが可能である。し力しながら、 前者の動作を採用すると、秤量動作 Wの回数が増加することによって、点灯期間 Pb において秤量動作 Wの処理の占める割合が大きくなり、後者の動作を採用すると、 消灯期間 Pbが長くなるから、いずれの構成を採用したとしても、単位時間当たりに信 号光力 得られる情報量が低減する。
[0081] これに対して、 1回の廃棄期間 Ptにおける秤量動作 Wの回数に上限と下限とを設 定するとともに、消灯期間 Pbの上限と下限とを設定しておき、これらの上限と下限と の範囲内で余裕分が最小になるように、 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量 と 1回の廃棄期間 Ptにおける秤量動作 Wの回数とを決めることで、消灯期間 Pdを比 較的短くしながらも秤量動作 Wの回数が極端に多くならないように、廃棄期間 Ptにお ける条件を設定することが可能になる。
[0082] ところで、廃棄期間 Ptで廃棄する不要電荷の量は、廃棄期間 Ptにおける秤量動作 Wの回数と、 1回の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量との積として算出され、 1回 の秤量動作 Wで廃棄する不要電荷の量は消灯期間 Pdにおける受光光量により決ま る。また、消灯期間 Pdにおける受光光量は、環境光の受光強度と消灯期間 Pdの長 さ (継続時間)により決まる。
[0083] 廃棄期間 Ptの条件を設定するには、消灯期間 Pdの長さにデフォルト値を設定して おき、まずデフォルト値の時間の消灯期間 Pdでの受光光量を用いて環境光の受光 強度を推定し、廃棄期間 Ptごとに廃棄すべき不要電荷の総量を決定する。また、デ フォルト値の長さの消灯期間 Pdにおける受光光量を用いて 1回の秤量動作 Wで廃 棄する不要電荷の量を決定する。
[0084] 次に、廃棄期間 Ptごとに廃棄すべき不要電荷の総量を 1回の秤量動作 Wで廃棄 する不要電荷の量で除算して商と剰余とを求める。商が廃棄期間 Ptにおける秤量動 作 Wの回数の上限と下限との間の回数であれば、剰余を低減するように 1回の秤量 動作 Wで廃棄する不要電荷の量を決め、この量に応じた消灯期間 Pdの長さを逆算 する。逆算結果により得られた消灯期間 Pdの長さが上限と下限との範囲内であれば 、消灯期間 Pdを逆算結果の長さに設定する。
[0085] 尚、秤量動作 Wの回数あるいは消灯期間 Pdの長さが上限と下限との範囲力も逸脱 しているときには、回数あるいは長さを調節することにより、上限と下限との範囲内に 収まるように調節する。
[0086] また、光電変換部 D1を複数設けてイメージセンサを構成しており、すべての光電変 換部 D1につ 、て上述の制御を行うと処理負荷が大きくなるから、あらかじめ 1回の秤 量動作 Wにお ヽて分離する不要電荷が、すべての光電変換部 D1に亘つて規定値よ りも小さくなるように、消灯期間 Pdを短くし、秤量動作 Wの回数を多くする設定が有効 である。 1回の秤量動作 Wにより秤量する不要電荷の量を少なくすれば、秤量動作 Wの回数は多くなるが、 1回の秤量動作 Wに要する時間は微小であるから、光電変 換部 D1において光を受光し不要電荷を廃棄して受光出力を得るまでの全体の時間 の増加は少ない。むしろ消灯期間 Pdが短縮されるから、点灯期間 Pbにおいて空間 情報を検出する時間を相対的に増加させることになる。
[0087] 複数個の光電変換部 D1を備えるイメージセンサでは、タイミング制御回路 4の出力 による動作タイミングの制御を簡単にするために、秤量動作 Wの回数は各光電変換 部 D1において等しく設定しておくことが望ましい。したがって、上述のように 1回の秤 量動作 Wで分離する不要電荷の量を少なくするには、廃棄期間 Ptにおける秤量動 作 Wの回数を可及的に多く設定しておくことが望ましい。
[0088] このように、信号処理部は、全画素に亘つて、 1回の秤量動作において分離する不 要電荷の量で除算したときの剰余を規定量よりも小さくするように、消灯期間を短くす ることにより 1回の秤量動作により分離する不要電荷の量を少なくかつ秤量動作の回 数を多くする。この構成によれば、複数回の秤量動作によって不要電荷を分離する にあたり、消灯期間を短くすることにより秤量動作の回数を多くし、結果として複数個
の光電変換部を備える光検出素子において、すべての光電変換部で同じ回数の秤 量動作を行いながらも、各光電変換部で生成された不要電荷のうち分離されずに残 る量が少なくなり、受光出力として取り出される電荷において信号光以外の成分の混 入量を低減することができる。
[0089] ところで、上述のように不要電荷を秤量して廃棄すると、受光出力の大部分は信号 光に対応した成分になるが、信号光の受光強度が大きいと光検出素子 1が飽和し、 逆に信号光の受光強度が小さいとショットノイズなどの内部雑音の影響によって SN 比が低下する。上述の動作例では点灯期間 Pbの長さを一定にして廃棄する不要電 荷の量を調節していたが、受光側において信号光の受光光量を調節しょうとすれば 、点灯期間 Pbの長さを調節することが必要である。
[0090] そこで、図 7 (A)に示すように、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さを複数種類から選 択可能とし、適正な受光出力が得られるように点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さを選 択することにより信号光に対するダイナミックレンジを広げることが考えられる。つまり 、光検出素子 1が飽和しない範囲内でできるだけ大きい受光出力が得られるように、 点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さを決めるのである。この技術を採用する場合、点灯 期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さが変化するから廃棄すべき不要電荷の量も変化する。
[0091] いま、環境光と信号光とが同条件である環境下で点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さ を変化させるものとすれば、不要電荷を廃棄しないときには、点灯期間 Pbl、 Pb2、 P b3が長いほど環境光および信号光に対応する電荷の量も増加する。したがって、上 述した他の動作例と同様に、不要電荷の廃棄までに飽和が生じないように不要電荷 を廃棄する必要がある。
[0092] 1回の秤量動作 Wにおける不要電荷の量は、消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3に得られる 環境光の受光光量に応じて増減するから、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じ て消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の長さを変化させれば、 1回で秤量される不要電荷の量 を点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3に応じて調節することができる。
[0093] つまり、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3において集積される不要電荷の量は点灯期間 P bl、 Pb2、 Pb3の長さに比例し、また 1回の秤量動作 Wにおいて廃棄する不要電荷 の量は消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の受光光量に比例するから、点灯期間 Pbl、 Pb2
、 Pb3の長さによらず、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3中に同数回ずつの廃棄期間 Ptを 設ける場合は、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さと消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の長さ とを比例関係で設定すれば、廃棄すべき不要電荷の量を適正に調節することができ る。ただし、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3が異なっても点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3中の 廃棄期間 Ptの回数は等しくする必要があるから、廃棄期間 Ptの時間間隔を点灯期 間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じて調節する。
[0094] 上述の動作では、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じて消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の長さを変化させているが、図 7 (B)のように、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さ にかかわらず消灯期間 Pdの長さを一定に保ち、 1回の秤量期間 Ptにおける秤量動 作 Wの回数を点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じて変化させてもよい。秤量動作 Wの際に廃棄する不要電荷の量は、消灯期間 Pdにおける受光光量で決まるから、 点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3が異なっていても変化しない。そこで、点灯期間 Pbl、 Pb 2、 Pb3ごとに廃棄期間 Ptにおける秤量動作 Wの回数を変化させるのである。
[0095] この動作は、点灯期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じて 1回の廃棄期間 Ptにおいて 廃棄する不要電荷の量を調節しているから、実質的に消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の 長さを調節した動作と同様に機能する。ただし、廃棄期間 Ptに廃棄する不要電荷の 量力 1回の秤量動作 Wにおいて廃棄する不要電荷の量の整数倍になるから、点灯 期間 Pbl、 Pb2、 Pb3の長さに応じて消灯期間 Pdl、 Pd2、 Pd3の長さを調節する動 作と比較すると、受光出力において信号光以外の成分の量がやや増加する可能性 がある。
[0096] 点灯期間 Pbにお 、て複数回の秤量動作 Wを行う動作では、点灯期間 Pbにお 、て 1回だけ秤量動作 Wを行う動作に比較して、 1回の秤量動作 Wにお ヽて廃棄する不 要電荷の量を少なくすることができ、結果的に消灯期間 Pdが短くなるから、消灯期間 Pbと点灯期間 Pbとを合計した時間を短縮することができる。また、点灯期間 Pbにお いて複数回の廃棄期間 Ptを設けることによって、環境光が多い場合でも飽和レベル L1を超えない状態を保ちながら信号光に対応する電子を蓄積することが可能になる
[0097] その一方で、点灯期間 Pbにおいて複数回の廃棄期間 Ptを設けている場合には、 1
回の廃棄期間 Ptで廃棄する不要電荷の量を、信号光に対応する成分が不要電荷と して廃棄されないように設定するから、複数回の廃棄期間 Ptを繰り返す間に、残留し た不要電荷が蓄積される可能性がある。つまり、 1回の廃棄期間 Ptで廃棄する不要 電荷の量は、理想的には信号光に対応した量の電子のみが残留するように規定され るが、実際には信号光に対応した量の電子以外の残留電子が生じるから、廃棄期間
Ptごとに生じる残留電子が廃棄期間 Ptを繰り返す間に蓄積され、受光出力には、信 号光に対応する成分以外に残留電子の成分が含まれるのである。
[0098] つまり、図 8のように、点灯期間 Pbにおいて毎回の廃棄期間 Ptまでに蓄積される電 子の量 VIは、廃棄する不要電荷の量 V2と信号光に対応する電子の量 V3とを加算 した量よりも多くなり、不要電荷を廃棄した後の電子には、信号光に対応した電子の ほかに雑音である残留電子 (電荷量 V4)が含まれるのである。残留電子は、ショットノ ィズのような内部雑音により生成される電子が多ぐ消灯期間 Pdにおける受光光量か ら見積もることができない。ただし、ショットノイズなどに起因した 1回の廃棄期間 PC との残留電子の量は時間経過に伴って変動するものの平均すればほぼ一定量にな る。
[0099] 上述のような残留電子は、廃棄期間 Ptごとに生じ、点灯期間 Pbの間に累積される。
したがって、点灯期間 Pbにおいて廃棄期間 Ptを繰り返すと、やがては残留電子の量 が 1回の秤量動作 Wで廃棄される不要電荷の量に達すると考えられる。上述のように 残留電子の量の平均値は推定可能であるから、残留電子の量が 1回の秤量動作 W で廃棄される不要電荷の量に達するまでの廃棄期間 Ptの回数を推定することができ る。
[0100] そこで、廃棄期間 Ptの回数が推定した回数に達するたびに秤量動作 Wの回数を 1 回増やすことにより、残留電子を大幅に低減することができる。また、この動作により、 残留電子の影響による信号光に対するダイナミックレンジの低下を抑制することがで きる。
[0101] なお、点灯期間 Pbにおいて複数回の秤量動作 Wを行う動作は、消灯期間 Pdにお ける受光光量を用いて廃棄する不要電荷の量を見積もるから、消灯期間 Pdにおける 受光光量に対応する電子を光検出素子 1の外部に取り出すことが必要であって、本
実施形態の構成において採用するのが最適ではあるが、以下に説明する各実施形 態であっても消灯期間 Pdにおける受光光量に対応した電子を光検出素子 1の外部 に取り出す構成を付加すれば、採用可能である。
[0102] また、不要電荷の量を見積もるための消灯期間 Pdは点灯期間 Pbと交互に設けなく てもよく、 1回の消灯期間 Pdにおいて見積もった不要電荷の量を複数回の点灯期間 Pbにおいて適用してもよい。この場合、隣接する点灯期間 Pbの時間間隔は消灯期 間 Pbよりも短くすることができるから、信号光を受光する期間が単位時間に占める割 合を増加させることになり、結果的に対象空間の空間情報を検出する期間を増加さ せることができる。消灯期間 Pdと点灯期間 Pbとの関係は、以下に説明する実施形態 にお 、ても同様に設定することが可能である。
[0103] 以上述べたように、本実施形態にぉ 、ては、信号処理部が、消灯期間で得られた 受光光量により算出した量の不要電荷を分離する廃棄期間を、点灯期間において 複数回設けるように前記光検出素子を制御し、 1回の廃棄期間にお 、て複数回の秤 量動作を行うとともに、規定回数の廃棄期間ごとに秤量動作の回数を増やし、前記 規定回数は 1回の点灯期間にお 、て発生する雑音成分による電荷の量と 1回の秤量 動作により廃棄される不要電荷の量とにより規定するので、受光出力において雑音 成分により生じる不要電荷の割合を低減することができ、受光出力において信号光 に対応した成分のダイナミックレンジを広げることができる。
[0104] さらに、信号処理部が、点灯期間において不要電荷を廃棄する動作の回数を増加 させることにより点灯期間において分離する不要電荷の量を増カロさせる場合は、廃棄 する不要電荷の量を制御する際に不要電荷を廃棄する動作の回数を管理するだけ であるから、制御が容易である。
[0105] また、信号処理部が、点灯期間において不要電荷を廃棄する動作を複数回行うよ うに前記光検出素子を制御し、かつ当該動作毎に時間間隔を設け、消灯期間にお ける受光出力が大きいほど前記時間間隔を短くする場合は、点灯期間において不要 電荷を廃棄する動作を複数回行うとともに、不要電荷を廃棄する毎回の動作の間に 時間間隔を開けることによって、点灯期間において光電変換部に蓄積される電荷が 増加すると不要電荷が廃棄されるから、光電変換部に蓄積される電荷の増加速度が
低下し、環境光の受光強度が大き ヽ環境であっても受光出力の飽和を抑制すること ができる。つまり、点灯期間の終了時点で不要電荷をまとめて廃棄するのではなぐ 点灯期間の途中で不要電荷を少しずつ廃棄するから、光電変換部に蓄積される電 荷の量が飽和レベルに達しに《なる。し力も、環境光が多い環境では秤量動作の時 間間隔を短くするから、光電変換部に蓄積される電荷の増加速度を落として環境光 による飽和を抑制することができる。
[0106] 尚、上記において、不要電荷を廃棄する動作は、 1回の秤量動作と、複数回の秤 量動作を連続して行う動作とのどちらでもよい。複数回の秤量動作を連続して行う期 間が上記した廃棄期間に相当する。
[0107] さらに、信号処理部が、点灯期間の継続する時間を複数種類力 選択し、点灯期 間の継続する時間に応じて秤量動作の回数を増減させる場合は、信号光の受光強 度に応じて点灯期間の «続する時間を選択することにより、信号光に対するダイナミ ックレンジを広げることができ、し力も点灯期間の継続する時間の変化に対して秤量 動作の回数を増減させることによって廃棄する不要電荷の量を調節するから、点灯 期間の継続する時間が増減しても消灯期間の継続する時間は一定に保たれ、消灯 期間と点灯期間とを合計した時間の増減を比較的少なくすることができる。言い換え ると、消灯期間の継続する時間を比較的短くしておけば、消灯期間と点灯期間とを合 計した時間の増減は点灯期間が継続する時間の増減のみになり、消灯期間と点灯 期間とを合計した時間の最大値が、消灯期間が継続する時間も増減する場合に比 較すると小さくなる。
(実施形態 2)
本実施形態は、不要電荷として秤量する電子の量を受光光量に応じて自動的に変 化させる機能を光検出素子に設けることにより、ポテンシャル障壁 B 1を制御するため の外部回路を不要にしたことを特徴とする。
[0108] すなわち、不要電荷の量を光検出素子 1が自動的に調節するための構成として、 本実施形態では、図 9 (A)に示すように、素子形成層 11の主表面に、ゥエル 12とは 別にゥエル 12と同じ導電形で不純物濃度が低濃度である保持用ゥエル 15を設け (つ まり、保持用ゥエル 15の導電形は n+である)、保持用ゥエル 15に絶縁層 13を介して
保持電極 14dを対向させてある。また、素子形成層 11においてゥエル 12と保持用ゥ エル 15との間の領域には絶縁層 13を介してゲート電極 14eを対向させてある。保持 電極 14dは障壁制御電極 14cと電気的に接続され、また、素子形成層 11において 保持電極 14dおよびゲート電極 14eに対応する領域は遮光膜 16で遮光される。
[0109] ところで、 n+形である保持用ゥエル 15は p形の素子形成層 11に囲まれているから、 保持用ゥエル 15にはゥエル 12と同様に電子に対するポテンシャル井戸が形成される 。ただし、保持用ゥエル 15はゥエル 12よりも不純物濃度が低濃度であるから、分離電 極 14a、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14c、保持電極 14dのいずれにも電圧を印加 しない状態では、保持用ゥエル 15にはゥエル 12よりも深いポテンシャル井戸が形成 される。保持用ゥエル 15に形成されるポテンシャル井戸は電子を保持する電子保持 部 D4として機能する。
[0110] 保持用ゥエル 15に保持した電子の量が増加すると保持電極 14dの電位が低下し、 保持電極 14dに接続された障壁制御電極 14cの電位も低下する。障壁制御電極 14 cの電位が低下すれば、ポテンシャル障壁 B1が高くなり、電荷分離部 D2の容量が大 きくなる。つまり、環境光が増加するほど保持用ゥエル 15に保持される電子の量を増 加させれば、不要電荷として分離できる電子の量を環境光に応じて増カロさせることが できるから、環境光の増減にかかわらず、信号光に対するダイナミックレンジをほぼ一 定に保つことが可能になる。
[0111] 環境光の増減に応じて保持用ゥエル 15に保持される電子の量を増減させるために 、光電変換部 D1において環境光の照射時に生成された電子を保持用ゥエル 15に 転送して保持させる動作が必要になる。つまり、光電変換部で生成した電荷を、保持 用ゥ ル 15に転送する期間を設ける。なお、保持用ゥエル 15は遮光膜 16により遮光 されて ヽるから、素子形成層 11ゃゥエル 12に光が照射されても保持用ゥエル 15に保 持された電子の量は変化しな 、。
[0112] ところで、本実施形態では、障壁制御電極 14cが保持電極 14dに接続されている から、障壁制御電極 14cに対応するポテンシャル障壁 B1の高さを任意に制御するこ とはできず、ポテンシャル障壁 B1の高さは、保持用ゥエル 15に保持された電子の量 によって決定される。このように、障壁制御電極 14cに対応するポテンシャル障壁 B1
の高さは任意に制御することができないから、実施形態 1において説明した図 2 (A) 〜(D)のようにポテンシャル障壁 B1の高さを調節することができない。したがって、本 実施形態では電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3とのポテンシャルを調節する技術を 採用し、実施形態 1と同様の手順で電子を移動させる。
[0113] さらに詳しく説明する。実施形態 1と同様に、分離電極 14aと蓄積電極 14bとに電圧 を印加していない状態でゥエル 12に形成されるポテンシャル井戸を光電変換部 D1と して用いるものとする。また、保持用ゥエル 15に隣接して図示しないドレインを設けて あり、保持用ゥエル 15に集積された電子を廃棄することができるものとする。まず、ゥ エル 12および保持用ゥエル 15に残留する電子が廃棄される。この状態では、分離電 極 14aと蓄積電極 14bと障壁制御電極 14cと保持電極 14dとゲート電極 14eとのいず れにも電圧が印加されず、ゥエル 12には図 2 (A)と同様のポテンシャル井戸が形成さ れ、このポテンシャル井戸が光電変換部 D1として機能する。このとき、発光源は点灯 させず、環境光のみを光電変換部 D1に入射させる。したがって、この期間に光電変 換部 D1にお 、て生成された電子は環境光の受光光量に対応する。
[0114] ゥエル 12および保持用ゥヱル 15の電子を廃棄して力も規定の一定時間が経過す るまでの期間の電子が環境光の受光光量に対応する量の電子として光電変換部 D1 に集積されると、この電子は保持用ゥヱル 15に転送される。つまり、保持用ゥエル 15 には発光源力 投光しない消灯期間における環境光に対応した量の電子が保持さ れる。光電変換部 D1から保持用ゥエル 15への電子の転送の際にはゲート電極 14e に正極性の電圧を印加し、光電変換部 D1と保持用ゥエル 15との間のポテンシャル 障壁 B2を引き下げる。また、分離電極 14aと蓄積電極 14bとに負極性の電圧を印加 し、光電変換部 D1のポテンシャルを保持用ゥエル 15のポテンシャルよりも引き上げる 。この動作により、ゥエル 12から保持用ゥエル 15に電子を移動させることができる。
[0115] なお、保持用ゥエル 15に転送する電子の量は発光源の消灯期間の受光光量に対 応していればよいから、光電変換部 D1で生成されたすベての電子を保持用ゥエル 1 5に流入させる必要はなぐゥエル 12から保持用ゥエル 15に移動させる電子の量が、 発光源の消灯期間における光電変換部 D1での受光光量に対応していればよい。
[0116] 発光源の消灯期間に対応した電荷を保持用ゥエル 15に保持させると、図 10 (A)の
ように、障壁制御電極 14cに対応して形成されるポテンシャル障壁 Blの高さが決まる 。つまり、電荷分離部 D2の容量が決まる。保持用ゥエル 15に流入する電子の量が多 くなれば保持用ゥエル 15の表面電位が低下するから、表面電位の低下に追従して 保持電極 14dの電位も低下し、結果的に障壁制御電極 14cに印加される電圧が低 下してポテンシャル障壁 B1が高くなるのである。図 11の期間 Taのように、分離電極 1 4aと蓄積電極 14bとゲート電極 14eとには電圧は印加されていないから、障壁制御 電極 14cと保持電極 14dとの電位は、電荷保持部 D4に保持されている電子の量で 決まる。
[0117] 光電変換部 D1から電荷保持部 D4に電子を移動させた後に光電変換部 D1に残 留する電子は不要であるから、ゥエル 12に隣接して設けたドレインを用いて光電変換 部 D1に残留する電子を廃棄する。
[0118] 次に、発光源を点灯させると、環境光と信号光とを加算した光が光電変換部 DI 入射する。ここで、光電変換部 D1には電荷保持部 D4に保持された電子の量に応じ たポテンシャル障壁 B1が形成されているから、このポテンシャル障壁 B1の高さを超 えない量の電子魏積する。つまり、ゥエル 12のうち分離電極 14aに対応する領域と 蓄積電極 14bに対応する領域とは、ともに光電変換部 D1として機能するが、実施形 態 1の図 2 (B)に示した動作と同様に、ゥエル 12はポテンシャル障壁 B1を挟んで 2つ の領域に分割される。
[0119] 2つの領域のうち分離電極 14aに対応する電荷分離部 D2に集積された電子は利 用しな!/、から廃棄し、蓄積電極 14bに対応する電荷蓄積部 D3に集積された電子を 利用する。したがって、本実施形態では発光源から投光する点灯期間には、実質的 に、ゥエル 12のうち蓄積電極 14bに対応する領域が光電変換部 D1として機能する のであって、電荷蓄積部 D3が光電変換部 D1に兼用されていることになる。
[0120] 図 11の期間 Taと同様に、期間 Tbにおいても分離電極 14aに電圧は印加されない 力 ドレインを用いて図 10 (B)のように電荷分離部 D2の電子を廃棄する。その後、 図 11の期間 Tcのように分離電極 14aに正極性の電圧を印加するとともに蓄積電極 1 4bに負極性の電圧を印加し、図 10 (C)のように、電荷分離部 D2のポテンシャルを引 き下げる。このとき、電荷分離部 D2のポテンシャルを大きく引き下げれば、ポテンシャ
ル障壁 Blも引き下げられ、電荷蓄積部 D3 (光電変換部 D1)力 電荷分離部 D2に 電子を流入させることが可能になる。
[0121] なお、電荷分離部 D2のポテンシャルの引き下げに代えて、電荷蓄積部 D3のポテ ンシャルを引き上げてもよい。ただし、電荷蓄積部 D3のすベての電子を電荷分離部 D2に流入させるには、電荷蓄積部 D3のポテンシャルをポテンシャル障壁 B1のポテ ンシャル以上に設定する必要がある。また、電荷分離部 D2のポテンシャルの引き下 げと電荷蓄積部 D3のポテンシャルの引き上げとを同時に行ってもよい。
[0122] 電荷蓄積部 D3の電子が電荷分離部 D2にすベて流入した後には、図 11の期間 T dのように分離電極 14aと蓄積電極 14bとに印加していた電圧を取り除く。このとき、 電荷分離部 D2の容量が決まり、図 10 (D)のように、電荷分離部 D2に集積された電 子のうち電荷分離部 D2の容量を超える電子は、ポテンシャル障壁 B1を越えて電荷 蓄積部 D3に流入する。すなわち、光電変換部 D1で生成された電子のうち、電荷保 持部 D4に保持された電子の量 (つまり、発光源の消灯期間に対応する電子の量)に 応じて決まる電荷分離部 D2の容量に対応する一定量の電子が不要電荷として分離 され、電荷蓄積部 D3に戻された電子が有効電荷として利用に供される。
[0123] 上述したように本実施形態では、外部回路を用いることなく光検出素子の内部でポ テンシャル障壁 B1の高さが自動的に調節され、しかも環境光の受光光量に応じて不 要電荷の量が決定されるから、環境光の受光光量にかかわらず、信号光に対する受 光出力のダイナミックレンジをほぼ一定に保つことができる。
[0124] 光電変換部 D1を多数個配列した撮像素子を構成する場合に、不要電荷の量を決 めるポテンシャルを画素毎に外部回路で制御すると外部回路の構成が非常に複雑 になるが、本実施形態のように不要電荷の量を環境光の受光光量に応じて自動的に 調節する技術を採用すれば、不要電荷の量を決めるための外部回路は実質的に不 要になる。また、半導体基板に撮像素子とともに外部回路を集積する場合に、半導 体基板に占める光電変換部 D1の相対面積が減少して SZNが劣化する力 本実施 形態では外部回路が実質的に不要であるから、高 SZNが得られる。他の構成およ び動作は実施形態 1と同様である。
[0125] このように、光電変換部で電荷を生成した後にゲート電極に印加する電圧を制御す
ることによって所望の期間の受光光量に相当する電荷を光電変換部から電荷保持部 に電荷を転送し、転送後のある期間の受光光量に相当する電荷から保持電極の電 位に応じて決まる量の不要電荷が分離される。光電変換部で生成した電荷を電荷保 持部に転送するタイミングは、ゲート電極に印加する電圧により制御される。結果とし て、電荷保持部に転送した電荷が生成された期間における受光光量と、その後の適 宜の期間における受光光量との差分を反映した有効電荷を受光出力として取り出す ことが可能になる。
[0126] 本実施形態では、ゥエル 12に形成される光電変換部 D1としてのポテンシャル井戸 から、保持用ゥエル 15に形成される電荷保持部 D4としてのポテンシャル井戸に電子 を転送するタイミングの制御にゲート電極 14eを用いた力 ゲート電極 14eを省略した 構成とし、分離電極 14aと蓄積電極 14bとに印加する電圧を制御することによって光 電変換部 D1から電荷保持部 D4に電子を転送するようにしてもょ ヽ。
[0127] たとえば、分離電極 14aおよび蓄積電極 14bに正極性の電圧を印加してポテンシ ャル井戸を形成し、光電変換部 D1に電子を集積した後、分離電極 14aおよび蓄積 電極 14bに負極性の電圧を印加すると、ゥエル 12に集積された電子は保持ゥエル 15 に向力つて移動する。なお、蓄積電極 14bに負極性の電圧を印加することによって、 ゥエル 12と保持用ゥエル 15との間のポテンシャル障壁が崩され、ゥエル 12から保持 用ゥエル 15への電子の移動が容易になる。また、分離電極 14aに負極性の電圧が 印加されているから、ゥエル 12に集積された電子は図 9の左向きへの移動が防止さ れる。
[0128] ゥエル 12から保持用ゥエル 15に電子が移動した後は、分離電極 14aおよび蓄積電 極 14bに正極性の電圧を印加し、ゥエル 12にポテンシャル井戸を形成する。このよう な動作によって、ゲート電極 14eを用いることなぐ光電変換部 D1から電荷保持部 D 4への電子の移動が可能になる。
[0129] また、図 9 (A)に代えて、図 9 (B)に示すように、電荷保持部として半導体基板に設 けられる保持用ゥエル 15に障壁制御電極 14cを直接電気接続することも好ましい。 すなわち、図 9 (A)のように、保持電極 14dを絶縁層 13上に設ける場合は、保持電 極 14dが浮遊電極となるので、時間の経過とともに保持電極 14dと障壁制御電極 14
cとの間の配線にノイズ電荷が溜まり易い。このため、保持電極 14dと障壁制御電極 1 4cとの間の配線にノイズ電荷を除去する(リセットする)ためのスィッチを設けることが 望まれるが、各画素にこのようなスィッチを設けることは、装置の大型化と製造コストの 上昇を招く恐れがある。そこで、保持電極 14dを保持用ゥエル 15に対応する半導体 基板の部位に絶縁層を介さずに設けるか、もしくは障壁制御電極 14cと保持用ゥェ ル 15に対応する半導体基板の部位との間を直接電気接続すれば、隣接して設けた リセット手段を動作させることで、保持用ゥエル 15をリセットする際に、配線内のノイズ 電荷も確実に除去することができる。尚、図示例のリセット手段は、リセットドレイン 10 0、保持用ゥエル 15とリセットドレイン 100の間の領域に対応する部位に設けられるリ セット電極 14r、およびリセットドレイン 100から電荷を廃棄するための回路 110とで構 成され、リセット電極 14rに所定の電圧 Vrを印加することで、リセットドレイン 100を介 して保持用ゥエル 15内の電荷を除去することができる。
(実施形態 3)
本実施形態は、実施形態 2の構成と同様に電荷保持部 D4を設けることにより、電 荷分離部 D2の容量を環境光の受光光量に応じて自動的に設定するものである。た だし、発光源の点灯期間において発光源力 投光する光の強度を一定周波数の変 調信号で変調し、変調信号における位相の異なる 2区間に同期するタイミングの受光 光量に対応した受光出力をそれぞれ取り出すことができるようにしたことに特徴があ る。また、本実施形態では、変調信号の波形を正弦波とし、位相が 0〜180度に同期 する区間(以下、区間 P0と呼ぶ)の受光光量と、位相が 180〜360度に同期する区 間 (以下、区間 P2と呼ぶ)の受光光量とに対応する受光出力を取り出す。尚、変調信 号の波形は、矩形波や三角波や鋸歯状波を用いることも可能であり、受光光量を検 出する区間は、上述の範囲に限定されない。
また、本実施形態は多数個のセル 1を配列したイメージセンサを構成しており、ィメ ージセンサから 1フレームの受光出力を取り出すたびに、上述した 2区間の受光出力 を同時に取り出すことができるように構成してある。 1フレームで 2区間の受光出力を 取り出すために、 1個のセル 1について、区間ごとの受光光量を検出する構成と、区 間ごとの受光出力を蓄積する構成とが必要である。そこで、光電変換部 D1を電荷分
離部 D2および電荷蓄積部 D3とは別に設けている。
[0131] 以下、図 12 (A)〜(C)を参照しながら、さらに詳しく本実施形態について説明する 。光電変換部 D1は、素子形成層 11の主表面に形成したゥエル(図示せず)に絶縁 層 13を介して複数個(図示例では 8個)の感度制御電極 17a〜17hを配列した構成 を有する。ゥエルは、素子形成層 11とは異なる導電形であって、電荷分離部 D2およ び電荷蓄積部 D3として機能するゥエル 12とは分離して形成しゲートを介してゥエル 1 2に電荷を転送するのが望ましいが、ゥエル 12と連続に形成しポテンシャルを制御す ることによって電荷を転送するようにしてもょ 、。 8個の感度制御電極 17a〜 17hのう ち 4個の感度制御電極 17a〜17dは一方の区間に対応するグループになり、残りの 4 個の感度制御電極 17e〜17hは他方の区間に対応するグループになる。各感度制 御電極 17a〜17hには、それぞれ制御線 2 laが接続され、感度制御電極 17a〜17h ごとに電圧を個別に印加することができる。なお、接続線 21aと各感度制御電極 17a 〜 17hとが接続されて 、る部位を X印で示して!/、る。
[0132] 図 12 (A)の縦方向はイメージセンサにおける垂直方向に相当し、図では垂直方向 には 1個のセル 1のみを示している。つまり、垂直方向における 1個のセル 1は、 8個 の感度制御電極 17a〜17hを備える。また、図では 1個のセル 1に対して水平方向に 隣接するセル 1の一部も示している。感度制御電極 17a〜17hは、水平方向におい ては 2個のセル 1に跨って連続している。水平方向に隣接するセル 1の間に、セル分 離部 20が設けられ、水平方向におけるセル 1間のクロストークが防止されている。セ ル分離部 20は、素子形成層 11とは異種導電形の半導体を用いて素子形成層 11の 主表面側に形成される。制御線 21aは、図ではセル分離部 20を挟んで 4本ずつ配 置されている。したがって、水平方向に隣接する 2個のセル 1において光電変換部 D 1に占める制御線 21aの面積を等しくすることができ、隣接する 2個のセル 1における 光電変換部 D1の感度を等しくすることができる。また、垂直方向においては各セル 1 の中で同じ位置である感度制御電極 17a〜17hは同じ制御線 2 laに接続される。
[0133] 本実施形態では、上述したように、感度制御電極 17a〜17hを備えた光電変換部 D1を、電荷分離部 D2および電荷蓄積部 D3とは別に設けてあり、電荷分離部 D2と 電荷蓄積部 D3と電荷保持部 D4とは、感度制御電極 17a〜17hに対して水平方向
に並べて配置されている。図では示していないが、水平方向に 2個隣接しているセル 1のうち右側のセル 1では、電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3と電荷保持部 D4とが光 電変換部 D1の右側に配置され、左側のセル 1では左側に配置される。また、電荷分 離部 D2と電荷蓄積部 D3とは感度制御電極 17a〜17hのグループごとに設けられ、 電荷保持部 D4は 1個のセル 1を構成する両グループで共用される。これは、電荷保 持部 D4は環境光に相当する量の電子を保持するものであり、環境光は両グループ では変化しないとみなせる力もである。この構成から障壁制御電極 14cに印加される 電圧も両グループで等しくなり、ポテンシャル障壁 B 1の高さは両グループで同じ高さ になる。このように、電荷分離部および電荷蓄積部は複数個ずつ設けられ、電荷保 持部を隣接する 2個の障壁制御電極で共用することにより、電荷保持部を独立して 設ける場合よりも素子面積を小さくすることができるという効果がある。
[0134] 各グループにおいて、蓄積電極 14bは感度制御電極 17c、 17fに隣接して設けら れており、光電変換部 D1で生成された電子を感度制御電極 17c、 17fに対応する部 位力も電荷蓄積部 D3に転送できるようにしてある。ここに、光電変換部 D1と電荷蓄 積部 D3とのポテンシャルの関係を調節することにより、電荷蓄積部 D3から光電変換 部 D1への電子の移動も可能になる。なお、光電変換部 D1と電荷蓄積部 D3との間 の部位にゲート電極(図示せず)を配置し、光電変換部 D1と電荷蓄積部 D3との間の 電荷の流れを制御してもよ 、。
[0135] また、各グループにおいて、分離電極 14aは感度制御電極 17a、 17hに隣接して 設けられる。さら〖こ、両グループで共用される保持電極 14dは感度制御電極 17d、 1 7eに跨る部位に配置される。分離電極 14aと蓄積電極 14bとゲート電極 14eとはそれ ぞれ制御線 2 lbに接続され、障壁制御電極 14cと保持電極 14dとは接続線 22を介し て接続される。つまり、各グループに設けた分離電極 14a同士、蓄積電極 14b同士、 ゲート電極 14e同士はそれぞれ制御線 21bに接続され、 3本の制御線 21bを用いて 電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3と電荷保持部 D4との間での電子の移動が制御され る。なお、制御線 21bと接続線 22とについて分離電極 14a、蓄積電極 14b、障壁制 御電極 14c、保持電極 14d、ゲート電極 14eとの接続部位を X印で示している。
[0136] 感度制御電極 17a〜17hに印加する電圧は、発光源から投光する光の強度を変
調する変調信号に同期するように制御される。たとえば、区間 POには感度制御電極 17a〜 17dと感度制御電極 17fとに正極性の電圧を印加し、区間 P2には感度制御 電極 17cと感度制御電極 17e〜 17hとに正極性の電圧を印加する。各感度制御電 極 17a〜17hに正極性の電圧を印加すると、セルにおいて各感度制御電極 17a〜l 7hにそれぞれ対応する部位に、電子を集積するポテンシャル井戸が形成される。
[0137] そこで、感度制御電極 17a〜17hに印加する電圧を上述のように制御すると、区間 POでは、ゥエルのうち感度制御電極 17a〜17dに対応する部位で光照射による電子 が集積される。また、区間 P2では、ゥエルのうち感度制御電極 17e〜17hに対応する 部位で光照射による電子が集積される。つまり、感度制御電極 17a〜17hに印加す る電圧パターンを制御することにより、光照射によって電子が生成される面積を変化 させていることになり、実質的に光検出素子の感度を制御していることと等価である。
[0138] 区間 POでは、感度制御電極 17fに対応する部位にもポテンシャル井戸が形成され る力ら、区間 P2において集積された電子がこのポテンシャル井戸に保持され、区間 P 2では、感度制御電極 17cに対応する部位に形成されたポテンシャル井戸には区間 POにおいて集積された電子が保持される。
[0139] したがって、変調信号の複数周期(たとえば、変調信号を 10MHzとし光電変換部 D1で電子を生成する期間を 15msとすれば、 150000周期)に亘つて光照射による 電子を区間別に集積することができる。感度制御電極 17c、 17fに対応する部位に電 子を保持している期間にも、感度制御電極 17c、 17fに対応する部位では電子が生 成されるが、電子を集積する期間と電子を保持する期間とでは電子を集積する面積 比が 4 : 1になるので、保持した電子の量は変調信号の各位相区間における受光光 量を反映していることになる。要するに、区間 POと区間 P2とに対応する量の電子を、 感度制御電極 17c、 17fにそれぞれ保持することができる。
[0140] 感度制御電極 17c、 17fに対応する部位に保持された電子は、電荷蓄積部 D3〖こ 転送される。転送にあたっては、蓄積電極 14bに正極性の電圧を印加し、感度制御 電極 17a〜17hに負極性の電圧を印加する。電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3と電 荷保持部 D4との間で電子を移動させる間には、感度制御電極 17a〜 17hに負極性 の電圧を印加しておくことにより、光電変換部 D1への電子の移動を防止することがで
きる。なお、感度制御電極 17cは区間 P2における電子を保持し、感度制御電極 17f は区間 POにおける電子を保持するから、各グループの電荷蓄積部 D3が光電変換 部 D1から電子を受け取るタイミングは異なる。
[0141] 発光源の消灯期間において光電変換部 D1で生成された電子は、電荷蓄積部 D3 力もゲート電極 14eに対応する部位を通して電荷保持部 D4に転送される。ここに、 発光源の消灯期間には変調信号は不要であるが、発光源の点灯期間と同じタイミン グで感度制御電極 17a〜17hに印加する電圧を制御し、光電変換部 D1において環 境光の受光光量に対応した量の電子を生成する。したがって、 1個のセル 1における 両グループで環境光に対応する電子が電荷蓄積部 D3に転送される。電荷保持部 D 4にはどちらか一方の電荷蓄積部 D3から電子を転送すればょ 、が、両方から電子を 転送してもよ!/ヽ。環境光の光量に対応する量の電子が電荷保持部 D4に転送される と、保持電極 14dに接続線 22を介して接続された障壁制御電極 14cに電圧が印加 され、ゥエル 12には環境光の光量に応じたポテンシャル障壁 B1が形成される。
[0142] その後、発光源の点灯期間において光電変換部 D1ではグループごとに電子を集 積することにより、区間 POと区間 P2との電子をそれぞれ感度制御電極 17c、 17fに対 応する領域に保持する。次に、光電変換部 D1から電荷蓄積部 D3に電子を移動させ る。以後は実施形態 2の動作と同様であって、電荷蓄積部 D3から電荷分離部 D2に 電子を移動させ、電荷分離部 D2の容量分の不要電荷を秤量して廃棄するとともに 有効電荷を電荷蓄積部 D3に戻す。この動作によって、電荷蓄積部 D3には、発光源 の点灯期間において光電変換部 D1で集積した電子のうち発光源の消灯期間の受 光光量で規定された量の不要電荷を分離した有効電荷が残る。
[0143] 本実施形態は、電荷蓄積部 D3に残留した有効電荷を光電変換部 D1に戻して転 送する構成を採用している。つまり、蓄積電極 14bに負極性の電圧を印加するととも に感度制御電極 17c、 17fに正極性の電圧を印加することにより、電荷蓄積部 D3か ら光電変換部 D1に有効電荷としての電子を転送する。光電変換部 D1に転送された 電子は、感度制御電極 17a〜17hを垂直転送用の電極として用いることにより垂直 方向に転送され、 CCDイメージセンサと同様にして光検出素子の外部に受光出力と して取り出される。
[0144] 本実施形態の構成では、光電変換部 D1を除く部位は遮光しても動作するから、電 荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3と電荷保持部 D4とを遮光することにより、不要電荷を 分離する処理の間に光照射で生じた電子が誤差分として有効電荷に混入するのを 防止することができる。ただし、上述した各実施形態と同様に光電変換部 D1で光照 射による電荷を集積する受光期間に比較して、不要電荷を分離して有効電荷を取り 出す秤量期間は十分に短いから、電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3とは遮光してい なくともよい。その場合でも電荷保持部 D4は遮光することが必要である。
[0145] また、本実施形態では、不要電荷を秤量する動作を行っている期間には、光電変 換部 D1では光照射による電子を集積しないから、電荷蓄積部 D3が光電変換部 D1 と兼用されている構成に比較して誤差を小さくすることができる。他の構成および動 作は実施形態 2と同様である。
[0146] ところで、実施形態 2、 3においては、電荷保持部 D4を設けた光検出素子を発光源 と組み合わせて用いた空間情報の検出装置を示し、発光源の消灯期間における受 光光量 (つまり、環境光の受光光量)に応じた量の電子を電荷保持部 D4に保持させ る場合について説明した。この装置では、光検出素子の受光出力と発光源力も投光 する光との関係を用いることによって、発光源から光を投光した対象空間に関する情 報を得ることができる。対象空間に関する空間情報としては、物体の存否のほか、物 体の反射率や、物体までの距離などがあり、対象空間に関するどのような情報が必 要かに応じて受光出力を扱う回路(図示せず)を様々に構成することができる。
[0147] 例えば、対象空間に存在する物体までの距離を求めるには、発光源から投光する 光の強度を所定周波数の変調信号で変調し、光検出素子では、変調信号に同期し た複数のタイミングでの受光光量を検出する。これは、発光源カも投光した光が光検 出素子に入射するまでの飛行時間を、変調した光の位相差として検出する技術であ つて、位相差を求める演算には変調信号の位相の異なる 2区間の受光光量の差分を 用いる。
[0148] 実施形態 3の構成例では 2つの区間 PO、 P2についてそれぞれ有効電荷が得られ るから、有効電荷の差分を求めることによって距離の演算に用いることが可能である 。また、実施形態 2の構成例では、 2つの区間 PO、 P2のうちの一方の区間で得られ
た電子を電荷保持部 D4に保持すれば、この区間の受光光量に対応した量の電子 が不要電荷になり、他方の区間で得られた電子力 減算することになるから、得られ た有効電荷の量は 2つの区間 PO、 P2の受光光量の差分に相当することになる。つま り、距離の演算を外部回路で行う際に、光検出素子の受光出力に対する演算量を低 減することができる。
[0149] また、有効電荷が 2つの区間 PO、 P2の受光光量の差分に相当する量になる構成 では、 2つの区間 PO、 P2の電子を電荷保持部 D4に交互に保持させれば、どちらを 保持するかに応じて誤差が交互に異なる方向に発生することになる。したがって、 2 回の受光出力を平均すれば、不要電荷の分離に伴って発生する誤差を相殺するこ とができ、受光出力に基づいて得られる対象空間の情報を精度よく求めることが可能 になる。
[0150] 本実施形態のように、光電変換部が複数個配列される場合は、秤量期間において 分離する不要電荷の量を各光電変換部で同じにしてもよい。秤量期間において分離 する不要電荷の量を複数の光電変換部で共通にしているから、不要電荷の量を光 電変換部ごとに個々に決定する場合に比較すると、不要電荷の量を制御する電路を 共通化することで制御が容易になる。
[0151] また、電荷分離部を光電変換部ごとに設け、信号処理部が、 1回の秤量動作にお いて分離する不要電荷の量を電荷分離部ごとに設定することにより秤量動作の回数 をすベての電荷分離部において同回数にすることも好ましい。この場合は、光検出 素子が複数の光電変換部を備えながらも秤量動作の回数が同じになることによって 秤量動作のタイミングの制御を光検出素子全体で一括して行うことができ、秤量動作 のタイミング制御が容易になる。
(実施形態 4)
実施形態 3では変調信号の位相が 0〜180度に同期する区間 POの受光光量と、位 相が 180〜360度に同期する区間 P2の受光光量とのそれぞれに対応付けて、電荷 分離部 D2と電荷蓄積部 D3とを設けた構成を採用したが、本実施形態は、区間 POと 区間 P2との受光光量について電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3とを共用する構成に おいて相違する。
[0152] すなわち、図 13に示すように、光電変換部 D1において 1個のセル 1について 8個 の感度制御電極 17a〜 17hを設けて 、る点で実施形態 3と同様であるが、電荷分離 部 D2、電荷蓄積部 D3、電荷保持部 D4については、実施形態 3の構成では垂直方 向において対称であつたのに対し、本実施形態では非対称になっている。光電変換 部 D1において、感度制御電極 17a〜17dが配置された領域 E1の側方には、電荷分 離部 D2および電荷蓄積部 D3を形成する領域 E3が設けられ、後述するように、光電 変換部 D1は電荷蓄積部 D3としても共用される。また、電荷保持部 D4を形成する領 域 E4は、感度制御電極 17e〜17hが配置された領域 E2の側方に設けられる。
[0153] 電荷分離部 D2および電荷蓄積部 D3を形成する領域 E3には、光電変換部 D1〖こ おける感度制御電極 17aに隣接する受取電極 14fが設けられ、受取電極 14fの下に 形成されるポテンシャル井戸を感度制御電極 17aの下に形成されるポテンシャル井 戸に対して相対的に深くすることによって、感度制御電極 17aの下に形成されるポテ ンシャル井戸に蓄積された電荷を光電変換部 D1から受け取ることができるようにして ある。
[0154] また、領域 E3において感度制御電極 17b、 17c、 17dの側方には、分離電極 14a、 障壁制御電極 14c、蓄積電極 14bがそれぞれ配置される。図示例では、障壁制御電 極 14cのみの寸法が小さくなつている力 この構成ような寸法関係は必須というわけ ではない。
[0155] 一方、電荷保持部 D4を形成する領域 E4には、光電変換部 D1における感度制御 電極 17e〜17gに跨る部位にゲート電極 14eが設けられ、ゲート電極 14eの下に形 成されるポテンシャル井戸を感度制御電極 17fの下に形成されるポテンシャル井戸 に対して相対的に深くすることによって感度制御電極 17fの下に形成されるポテンシ ャル井戸に蓄積された電荷を光電変換部 D1から受け取ることができるようにしてある
[0156] 領域 E4において、ゲート電極 14eに対して光電変換部 D1の反対側には保持電極 14dが配置される。したがって、実施形態 2、 3と同様に、保持電極 14dの下にポテン シャル井戸を形成しておけば、ゲート電極 14eの下のポテンシャルを適宜に調節する ことで、感度制御電極 17fの下のポテンシャル井戸に蓄積された電荷を保持電極 14
dの下のポテンシャル井戸に流し込むことができる。
[0157] 保持電極 14dの下のポテンシャル井戸である電荷保持部 D4に電荷を移動させた 後には、障壁制御電極 14cの電位は電荷保持部 D4に保持されている電荷の量で決 まり、障壁制御電極 14cの下に形成されるポテンシャル障壁の高さが決定される。
[0158] 尚、素子形成層 11 (図 1参照)にはゥエル 12 (図 1参照)に隣接してドレイン (オーバ 一フロードレイン) 23が形成される。
[0159] 以下、図 14を参照しながら、本実施形態の動作を説明する。実施形態 3と同様に 発光源に消灯期間を設けており、本実施形態の光検出素子を用いるには、まず、消 灯期間において(S 1)、光電変換部 D 1のうち感度制御電極 17e〜 17hに正極性の 電圧を印加し、感度制御電極 17a〜17dは基準電位とする(負極性の電圧を印加し てもよい。以下同様に、基準電位とする状態は負極性の電圧を印加する状態と置き 換え可能である)。また、領域 E3、 E4に設けた分離電極 14a、蓄積電極 14b、保持 電極 14d、ゲート電極 14e、受取電極 14fについても基準電位とする。
[0160] 上述の動作により、光電変換部 D1のうち感度制御電極 17e〜17hに対応する領域 E2には、環境光の受光光量に相当する電子が集積される(S2)。環境光の受光光 量に相当する電子が領域 E2に集積された後には、感度制御電極 17fにのみ正極性 の電圧を印加し、他の感度制御電極17&〜176、 17g、 17hは基準電位とする。この 動作により、感度制御電極 17fに対応するポテンシャル井戸に環境光の受光光量に 相当する電子が集積される。
[0161] 次に、ゲート電極 14eに正極性の電圧を印加することにより、ゲート電極 14eの下に チャンネルを形成し、感度制御電極 17fの下のポテンシャル井戸力も保持電極 14d の下の保持部 D4に電子を転送する(S3)。保持部 D4に電子が転送されると、保持 電極 14dの電位は環境光の受光光量に応じた電位になり、障壁制御電極 14cの電 位も同電位なる。つまり、障壁制御で如区 14cの下に形成されるポテンシャル障壁の 高さが決まる。
[0162] 次に発光源から投光する点灯期間に移行する (S4)。点灯期間では、変調信号に より強度が変調された信号光を投光するから、区間 POと区間 P2との受光光量に対応 する受光出力を個別に取り出すために以下の動作を行う。ここでは、区間 POの受光
光量に対応する電子を領域 Elで集積し、区間 P2の受光光量に対応する電子を領 域 E2で集積するものとする。
[0163] まず、領域 E1の感度制御電極 17a〜17dと領域 E2の感度制御電極 17fとに正極 性の電圧を印加し、領域 E2の残りの感度制御電極 17e、 17g、 17hを基準電位とす る動作と(S5)、領域 E1の感度制御電極 17bと領域 E2の感度制御電極 17e〜17hと に正極性の電圧を印加し、領域 E1の残りの感度制御電極 17a、 17c、 17dを基準電 位とする動作とを (S6)、変調信号に同期する周期で 1回ずつ (もしくは複数回ずつ) 行う。この動作により、感度制御電極 17bに対応するポテンシャル井戸には区間 PO の受光光量に対応する電子が集積され、感度制御電極 17fに対応するポテンシャル 井戸には区間 P2の受光光量に対応する電子が集積される。
[0164] 次に、区間 PO、 P2の受光光量に対応する電子から不要電荷を分離し有効電荷を 取り出す処理を行う。区間 POの受光光量に対応する電子は、感度制御電極 17bに 対応するポテンシャル井戸に集積されているから、感度制御電極 17aに正極性の電 圧を印加するとともに感度制御電極 17bを基準電位として感度制御電極 17aに対応 するポテンシャル井戸に電子を転送する。さら〖こ、受取電極 14fに正極性の電圧を印 加するとともに感度制御電極 17aを基準電位として受取電極 14fの下のポテンシャル 井戸に電子を転送する。つまり、領域 E1で集積した区間 POの受光光量に対応する 電子を領域 E3に転送する。
[0165] 領域 E3に転送された電子は、受取電極 14fに対応するポテンシャル井戸から分離 電極 14aに対応して形成される電荷分離部 D2に流し込まれる。ここで、電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3との間のポテンシャル障壁の高さが決まっているから、一定量の 不要電荷が電荷分離部 D2に残り、それ以外の有効電荷が電荷蓄積部 D3に流れ込 む。電荷分離部 D2の不要電荷は、ドレイン 23を通して廃棄される。このようにして、 区間 POの受光光量に対応する電子力 不要電荷が秤量され有効電荷が取り出され る(S8)。
[0166] 上述のようにして得られた有効電荷は、蓄積電極 14bに隣接して設けられた感度制 御電極 17dの下に形成されるポテンシャル井戸に転送される。つまり、区間 POの受 光光量力 環境光の受光光量に相当する不要電荷を分離した有効電荷が領域 E3
から領域 Elに転送される (S9)。
[0167] ところで、領域 E2において集積された電子についても同様にして不要電荷を分離 する必要がある。領域 E2では感度制御電極 17fに対応するポテンシャル井戸に区 間 P2の受光光量に対応する電子が集積されて 、るから、この電子を領域 E3に転送 するために、感度制御電極 17fに対応するポテンシャル井戸から感度制御電極 17a に対応して形成されるポテンシャル井戸まで電子を転送する必要がある。また、この とき区間 POの受光光量力も得られた有効電荷と混合されることがないように、ステツ プ S9で領域 E1に転送された電荷も垂直方向に転送する必要がある。そこで、感度 制御電極 17dの下のポテンシャル井戸からは隣接するセル 1の感度制御電極 17gの 下のポテンシャル井戸まで電子(区間 POの有効電荷)を転送し、感度制御電極 17f の下のポテンシャル井戸からは感度制御電極 17aの下のポテンシャル井戸まで電子 (区間 P2の電子)を転送する(S10)。
[0168] 区間 P2の受光光量に対応した電子が感度制御電極 17aの下のポテンシャル井戸 まで転送された後には、領域 E1から領域 E3に電子を転送し、この電子から不要電 荷を分離して有効電荷を電荷蓄積部 D3に取り出す (S 11〜S 13)。つまり、ステップ S7〜S9と同様の処理を行うことにより区間 P2の有効電荷を取り出すことができる。こ の有効電荷は感度制御電極 17dの下のポテンシャル井戸に転送され、領域 E3から 領域 E1に有効電荷が戻される(S 14)。
[0169] 上述の動作により区間 POと区間 P2との有効電荷が得られると、各有効電荷は垂直 方向に転送されて感度制御電極 17b、 17fの位置にー且戻される(S15)。このような 動作を点灯期間において規定回数だけ繰り返し (S16)、最終的に感度制御電極 17 b、 17fに対応するポテンシャル井戸に残った電子を受光出力として取り出す (S17)
[0170] 尚、分離電極 14aとドレイン 23との間、および保持電極 14dとドレイン 23との間には 、それぞれ廃棄電極 14g、 14hが設けられており、領域 E1から領域 E3への電荷の転 送毎に廃棄電極 14gに印加する電圧の制御によって不要電荷が廃棄され、また、領 域 E2から領域 E4への電荷の転送毎に廃棄電極 14hに印加する電圧の制御によつ て保持部 D4に保持されて ヽる環境光に対応した電子が廃棄される。他の構成およ
び動作は実施形態 1と同様である。
(実施形態 5)
本実施形態は、図 15に示すように、不要電荷を分離する機能を備えた領域 E3を、 光電変換部 D1を設けている領域 E1、E2に対して垂直方向に並べた構成を特徴と する。
[0171] すなわち、 1個のセル 1について 6個の感度制御電極 17a〜17fを設けてあり、 3個 ずつの感度制御電極 17a〜17c、 17c!〜 17fが、それぞれ区間 PO、 P2における受 光光量に対応する電荷を集積する領域 El、 E2を形成するようにしている。また、垂 直方向において隣り合うセル 1の間に不要電荷を分離するための領域 E3を設け、こ の領域 E3の側方 (水平方向に離れた部位)に環境光の受光光量に対応する電荷を 保持する領域 E4を設けて ヽる。
[0172] すなわち、セル 1の感度制御電極 17fに隣接した領域に受取電極 14fが配置され、 さらに受取電極 14fに隣接して分離電極 14a、障壁制御電極 14c、蓄積電極 14bが 順に配置される。すなわち、受取電極 14fは、感度制御電極 17fと分離電極 14aとの 間に位置する。また、蓄積電極 14bは、障壁制御電極 14cと隣接する別のセル 1の感 度制御電極 17aとの間に位置する。
[0173] また、受取電極 14fと分離電極 14aと障壁制御電極 14cと蓄積電極 14bとが並ぶ領 域 E3に対して、受取電極 14fと分離電極 14aと障壁制御電極 14cとの側方にはゲー ト電極 14eを挟んで保持電極 14dが配置される。ここに、障壁制御電極 14cは、保持 電極 14dと接続線 22を介して電気接続されている。領域 El、 E2、 E3、 E4の周囲は ドレイン 23により囲まれており、保持電極 14dに対応して形成される保持部 D4とドレ イン 23との間には廃棄電極 14gが配置される。なお、上述した各電極は p形の素子 形成層 11に形成された n形のゥエル 12の表面に配置される。
[0174] 本実施形態の動作は基本的には実施形態 4の動作と同様であって、消灯期間に お!、て光電変換部 D 1のうち領域 E2に対応する感度制御電極 17d〜 17fに正極性 の電圧を印加し、領域 E1の感度制御電極 17a〜17cは基準電位とする。また、分離 電極 14a、蓄積電極 14b、障壁制御電極 14c、保持電極 14d、ゲート電極 14e、受取 電極 14fも基準電位とする。したがって、光電変換部 D1のうち領域 E2には環境光の
受光光量に相当する電子が集積される。環境光の受光光量に相当する電子が領域
E2に集積された後には、領域 El、 E2のうちの各感度制御電極 17a〜17fのうち感 度制御電極 17fにのみ正極性の電圧を印加し、集積された電子を感度制御電極 17f に対応するポテンシャル井戸に集積する。
[0175] 感度制御電極 17fに対応するポテンシャル井戸に集積された電子は、受取電極 14 fおよびゲート電極 14eを介して保持電極 14dの下の保持部 D4に転送される。この 段階で障壁制御電極 14cの下に形成されるポテンシャル障壁の高さが環境光に対 応するように設定される。
[0176] 次に、発光源から投光する点灯期間に移行させると、変調信号に同期した区間 PO と区間 P2とに対応付けて、感度制御電極 17a〜17c、 17eに正極性の電圧を印加す るとともに感度制御電極 17d、 17fを基準電位とする動作と、感度制御電極 17b、 17 d〜 17fに正極性の電圧を印加するとともに感度制御電極 17a、 17bを基準電位とす る動作とを、変調信号に同期する周期で少なくとも 1回ずつ行う。この動作によって、 区間 POの受光光量に応じた電子が感度制御電極 17bに集積され、区間 P2の受光 光量に応じた電子が感度制御電極 17eに集積される。
[0177] ここで、感度制御電極 17eに集積された電子を垂直方向に転送し、分離電極 14a の下のポテンシャル井戸である電荷分離部 D1に転送すれば、障壁制御電極 14cの 下のポテンシャル障壁の高さに応じて不要電荷が分離され、有効電荷のみが蓄積電 極 14bの下の電荷蓄積部 D2に蓄積される。つまり、区間 P2に対応する有効電荷が 電荷蓄積部 D2に蓄積される。ここで、電荷分離部 D1の不要電荷は図示しない経路 でドレイン 23を通して廃棄する。
[0178] 図 15では、分離電極 14aよりも上流側(図の上方から下方に電子を転送する場合 を想定している)と下流側とでドレイン 23を連続させて記述しているが、上流側と下流 側とにおいてドレイン 23を分離させるのが望ましい。この構成を採用する場合には、 上流側のドレイン 23に隣接する 、ずれかの感度制御電極 17a〜 17f (たとえば感度 制御電極 17e)の下に廃棄する不要電荷を転送し、ドレイン 23には電子を引き込む 電圧 (たとえば、 + 15V)を印加し、不要電荷を転送した部位の感度制御電極 17eに は電子を押し出す電圧 (たとえば、— 5V)を印加する。また、不要電荷を転送した部
位の感度制御電極 17eに隣接する感度制御電極 17c、 17d、 17f、 17gにも電子を 押し出す電圧を印加しておく。この動作によって、不要電荷は感度制御電極 17c、 1 7d、 17f、 17gのほうに流れることなくドレイン 23に流れて廃棄される。
[0179] 次に、感度制御電極 17bの下に形成されたポテンシャル井戸に集積されている区 間 POの受光光量に対応した電子を垂直方向に転送し、分離電極 14aの下のポテン シャル井戸である電荷分離部 D1に転送する。このとき、蓄積電極 14bの下の電荷蓄 積部 D2に蓄積されて 、る区間 P2の有効電荷も垂直方向に転送し、垂直方向に隣 接するセル 1の感度制御電極 17bの下に形成されるポテンシャル井戸に待避させる
[0180] 上述のようにして区間 POの受光光量に対応した電子を電荷分離部 D1に転送すれ ば、不要電荷が分離され、電荷蓄積部 D2には区間 POの有効電荷が蓄積される。
[0181] 電荷蓄積部 D2に蓄積された区間 POの有効電荷および感度制御電極 17bの下の ポテンシャル井戸に蓄積された区間 P2の有効電荷は、垂直方向において図 15の上 方に向力つて転送される。なお、蓄積電極 14bに印加する電圧を制御することによつ て、電荷蓄積部 D2に蓄積された有効電荷は、障壁制御電極 14cの下のポテンシャ ル障壁を乗り越えることができる。このように有効電荷を逆向きに転送することにより、 感度制御電極 14b、 14eの下のポテンシャル井戸に区間 PO、 P2の各有効電荷を蓄 積することができる。
[0182] 点灯期間において上述した動作を規定回数繰り返した後に、有効電荷は受光出力 として取り出される。本実施形態の動作では、実施形態 4の動作に比較すると手順が 少なくなり、動作が容易になる。他の構成および動作は実施形態 1と同様である。な お、上述した各実施形態 (実施形態 2〜5)では、保持用ゥエル 15に対して絶縁層 13 を介して保持電極 14dを配置している力 絶縁層 13を介さずに保持電極 14dをォー ミックに接続してもよい。
(実施形態 6)
本実施形態は、同幅の電極を複数個配列し、電極を適宜に組み合わせることによ つて実質的に異なる幅の電極を用いた構成と同様の動作を行うことを特徴とする。ま た、本実施形態では、実施形態 3と同様に発光源から投光する光の強度を正弦波状
の変調信号により変調し、区間 POと区間 P2とに集積した電荷を受光出力として取り 出す。ただし、光電変換部 D1は電荷分離部 D2および電荷蓄積部 D3と兼用されて おり、電荷保持部 D4は設けていない。
[0183] 図 16に示すように、本実施形態における 1個のセル 1には、素子形成層 11の主表 面に設けたゥエル 12に絶縁層 13を介して同じ幅の制御電極 18a〜181を等間隔で 配置してある。すなわち、 12個の制御電極 18a〜181によって 1個のセル 1を構成し ている。 1個のセル 1の中では、各制御電極 18a〜181に印加する電圧を個別に制御 できるように配線してある。
[0184] 光電変換部 D1としての動作は、実施形態 3の感度制御電極 17a〜17hを用いた 動作とほぼ同様の動作になる。ただし、本実施形態では受光期間において、制御電 極 18a〜18iを用いて区間 POにおける受光光量に対応した電子を集積し、制御電極 18d〜181を用いて区間 P2における受光光量に対応した電子を集積する。この動作 を図 17 (A)〜(H)により説明する。尚、図 17において(a)〜(l)は制御電極 18a〜l 81に対応する。
[0185] まず、受光期間において、光電変換部 D1としての動作を行う間は、区間 POでは図 17 (A)〖こ示すように、制御電極 18a〜18iに正極性の電圧を印加し、 9個の制御電 極 18a〜18iに対応する領域で電子を集積する。また、区間 P2では図 17 (B)に示す ように制御電極 18d〜181に正極性の電圧を印加し、 9個の制御電極 18d〜181に対 応する領域で電子を集積する。各区間 PO, P2で集積した電子は、電子を集積する 領域以外の領域で保持する。つまり、制御電極 18a〜18iに対応する領域で電子を 集積している区間 POにおいては、区間 P2の電子を制御電極 18kに対応する領域に 保持し、制御電極 18d〜181に対応する電子を集積している区間 P2においては、区 間 POの電子を制御電極 18bに対応する領域に保持する。区間 PO、 P2の動作を何 度も繰り返すことにより、ゥエル 12において制御電極 18bに対応する領域には受光 光量に応じた量の電子が保持される。
[0186] 受光期間が終了し、区間 POにおける受光光量に対応した量の電子が制御電極 18 bに対応する領域に集積される力 区間 P2における受光光量に対応した量の電子が 制御電極 18kに対応する領域に集積されると、秤量期間に移行し、不要電荷を分離
して有効電荷を残す動作が開始される。
[0187] たとえば、制御電極 18bに対応する領域に保持している電子から不要電荷を分離 するには、区間 POで集積した電子を制御電極 18bに対応する領域に形成したポテ ンシャル井戸に保持させた状態で、制御電極 18aには負極性の電圧を印加してポテ ンシャル障壁を形成する。また、制御電極 18d、 18eに対応する領域を電荷蓄積部と して利用するために、区間 P2で集積された電子を転送する。つまり、
図 17 (C)のように、制御電極 18c、 18dに対応するポテンシャル障壁を形成し、続い て図 17 (D)のように、制御電極 18c〜18eに対応するポテンシャル障壁を形成し、さ らに図 17 (E)のように、制御電極 18f〜18hに対応するポテンシャル障壁を順に形 成して、区間 P2に集積した電子を転送する。
[0188] また、図 17 (E)のように、制御電極 18d、 18eに正極性の電圧を印加して電荷蓄積 部 D3となるポテンシャル井戸を形成するとともに、制御電極 18cに印加する電圧を 制御して規定の高さのポテンシャル障壁 B3を形成する。この動作によって、制御電 極 18bに対応するポテンシャル井戸には不要電荷が残り、ポテンシャル障壁 B3を超 えて制御電極 18d、 18eに対応するポテンシャル井戸に流入した電子は有効電荷と して利用される。
[0189] 次に、図 17 (F)のように、制御電極 18cに対応するポテンシャルを高くし期間 POに 対応する有効電荷の漏れを防止し、同時に、期間 P2に集積した電子を、制御電極 1 8kに対応するポテンシャル井戸に集積する。この状態では、制御電極 18g〜18iに 対応する領域に電荷蓄積部 D3となるポテンシャル井戸が形成され、制御電極 1¾に 対応するポテンシャル障壁 B4が形成される。
[0190] 制御電極 18kに対応するポテンシャル井戸に保持して ヽる電子から不要電荷を分 離するには、図 17 (G)のように、制御電極 1¾に印加する電圧を制御してポテンシャ ル障壁 B4を引き下げる。このときのポテンシャル障壁 B4の高さにより区間 P2に集積 した電子のうちの不要電荷の量が決まる。つまり、制御電極 18kに対応する領域が電 荷分離部 D2として機能する。
[0191] 不要電荷を分離した後には、図 17 (H)のように、制御電極 1¾に対応するポテンシ ャル障壁を高くし、制御電極 18g〜 18iに対応するポテンシャル井戸に蓄積された区
間 P2の有効電荷の漏れを防止する。なお、制御電極 18b、 18kに残留する不要電 荷は廃棄される。
[0192] 上述した動作により、区間 PO、 P2における光照射により生成された電子力 不要 電荷を分離し、有効電荷を取り出すことができる。本実施形態では、制御電極 18a〜 181がー列に配列されているから、制御電極 18a〜181に CCDイメージセンサの垂直 転送レジスタと同様に適宜のタイミングで電圧を印加すれば、有効電荷である電子を 制御電極 18a〜181の配列方向に転送することができる。この電子を光検出素子の 外部に取り出すことにより受光出力が得られる。すなわち、本実施形態の構成では、 光電変換部 D 1が電荷分離部 D2および電荷蓄積部 D3と兼用され、さらに電荷取出 部としても兼用されることになる。また、 2つの区間 PO、 P2に対応して生成された電子 について、不要電荷を分離する処理を同時に行うことが可能であるから、不要電荷を 分離する処理時間を短くすることができる。
[0193] 上述した構成例では、実施形態 1と同様の動作を行う例を示したが、制御電極 18b 、 18kに印加する電圧を別に設けた電荷分離部 D4に保持される電子の量で制御す るようにすれば、実施形態 2あるいは実施形態 3と同様に、不要電荷の量を自動的に 調節することが可能になる。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様であ る。
[0194] また、光電変換部で電荷を生成する動作と、光電変換部で生成した電荷から前記 不要電荷を分離し、有効電荷を電荷蓄積部に蓄積する動作とを複数回繰り返した後 、電荷蓄積部に蓄積された電荷を前記電荷取出部により受光出力として取り出すこ とが好ましい。この場合は、光電変換部で生成された電荷からの不要電荷の分離を 繰り返すことで、光電変換部での飽和の可能性を低減することができ、光電変換部の 小型化につながる。また、光電変換部が小型化されれば、電荷取出部の容量も小さ くすることができるから、電荷取出部を小型化することができ、光検出素子の全体とし ての小型化につながる。
(実施形態 7)
本実施形態は、同じ幅の複数個の制御電極 19a〜19iを配列した構成を有する点 で実施形態 6と同様である力 図 18に示すように、 1個のセル 1を 9個の制御電極 19
a〜19iで構成した点で異なる。尚、実施形態 6において説明したように、変調信号の 位相の 1区間に対応する電子を集積するとともに不要電荷を分離するためには 6個 の制御電極を用いるから、 9個の制御電極 19a〜19iでは、変調信号の位相の 2つの 区間に対応する電子の集積と不要電荷の分離とを個々独立した領域で行うことはで きない。つまり、両区間で一部の領域を重複させて使用することになる。さらに、実施 形態 6では、両区間において集積した電子力 不要電荷を分離する動作を同時進行 で行うことができるが、本実施形態の構成では一部領域が重複して使用されるから、 両区間において集積した電子力 不要電荷を分離する動作は異なる時間に行うこと になる。
[0195] 具体的には、図 19に示す動作になるのであって、対象空間からの光を受光して生 成される電子を集積するように光電変換部 D 1として機能させる期間には、図 19 (A) および (B)に示すように、制御電極 19g、 19iに負極性の電圧を印加する期間と制御 電極 19a、 19cに負極性の電圧を印加する期間とを交互に設ける。両期間は変調信 号に同期させて設定されており、たとえば図 19 (A)の状態を区間 POに対応させ、図 19 (B)の状態を区間 P2に対応させる。尚、図 19において(a)〜(i)は制御電極 19a 〜19iに対応する。
[0196] この場合、図 19 (A)の状態では、区間 POに対して制御電圧 19a〜19fに対応する 領域が光電変換部 D1として機能し、図 19 (B)の状態では、区間 P2に対して制御電 極 19d〜19iに対応する領域が光電変換部 D1として機能する。また、区間 POに集積 した電子は、区間 P2において制御電極 19bに対応する領域に保持され、区間 P2に 集積した電子は、区間 POにおいて制御電極 19hに対応する領域に保持される。
[0197] 図 19 (A) (B)の状態を交互に繰り返す動作を十分に長い時間行った後、制御電 極 19b、 19hに対応する領域に保持されている電子から不要電荷を分離して有効電 荷を残す動作を行う。尚、制御電極 19bに対応する領域は有効電荷を残す領域であ るから、電荷蓄積部 D3としても機能する。また、上述したように、一部の領域は変調 信号の位相の 2つの区間で共用されるが、不要電荷を分離する期間において、制御 電極 19cに対応する領域には両区間の電子の混合を防止するポテンシャル障壁 B5 が常時形成される。つまり、制御電極 19cには負極性の電圧が印加され続ける。
[0198] 図 19では、区間 P2で集積した電子力も不要電荷を分離した後、区間 POで集積し た電子力も不要電荷を分離している。したがって、区間 P2で集積した電子力も不要 電荷を分離する間には、制御電極 19bに対応する領域に区間 POで集積した電子を 保持させておく。
[0199] 光電変換部 D1において光照射による電子を集積した後、図 19 (C)のように、区間 POで集積した電子を制御電極 19bに対応する領域に形成したポテンシャル井戸に 保持させる。また、制御電極 19aには負極性の電圧を印加してポテンシャル障壁を 形成する。この状態は区間 P2で集積した電子から不要電荷を分離するまで (図 19 ( C)から図 19 (1)まで)継続される。また、図 19 (C)の状態では区間 P2で集積された 電子を制御電極 19d〜 19fに対応する領域に形成したポテンシャル井戸に保持させ る。つまり、区間 P2で制御電極 19d〜19iに対応する領域に保持された電子、または 区間 POで制御電極 19hに対応する領域に保持された電子を制御電極 19c!〜 19fに 対応する領域に集める。
[0200] この動作は、図 19 (D)に示すように、制御電極 19hに対応する領域に電子のない 空のポテンシャル井戸を形成するための前置動作である。すなわち、光照射による 電子の集積が終了した段階では、制御電極 19hに対応する領域には区間 P2で集積 した電子が存在して!/、るから、図 19 (C)のように制御電極 19g〜 19iに負極性の電 圧を印加することにより、図 19 (D)のように制御電極 19hに対応する領域にポテンシ ャル井戸を形成したときに、ポテンシャル井戸を形成することができる。
[0201] 次に、図 19 (E) (F)のように、制御電極 19c!〜 19fに対応する領域に保持した電子 を制御電極 19hに対応する領域に移動させる。この際、まず制御電極 19f〜19h〖こ 対応する領域にポテンシャル井戸を形成するとともに、制御電極 19c〜19eに対応 する領域にポテンシャル障壁を形成し、さらに制御電極 19fに対応する領域、制御電 極 19gに対応する領域に順次ポテンシャル障壁を形成し、制御電極 19hに対応する 領域に電子を集積させる。この段階で制御電極 19d〜19fに対応する領域に空のポ テンシャル井戸を形成する。図 19 (E)の状態と図 19 (F)の状態との間には複数の状 態が存在するが、図では省略している。また、ポテンシャルに関して、図 19 (F)の状 態と図 19 (D)の状態とは同じであるが、図 19 (D)の状態では制御電極 19d〜19fに
対応する領域にのみ電子が存在するのに対して、図 19 (F)の状態では制御電極 19 hに対応する領域にのみ電子が存在する点で相違している。尚、図 19 (E)の状態か ら図 19 (F)の状態に至る途中過程は省略してある。
[0202] ここまでの過程で、区間 P2で集積された電子が制御電極 19hに対応する領域に集 積される。次に、図 19 (G)のように制御電極 19gに対応するポテンシャル障壁 B6を 引き下げる。このポテンシャル障壁 B6は、実施形態 1において説明したポテンシャル 障壁 B1と同様の機能を有しており、制御電極 19hに対応する領域を電荷分離部 D2 としてポテンシャル障壁 B6の高さで決まる容量分の電子が秤量される。電荷分離部 D2の容量を超える電子は、ポテンシャル障壁 B6を乗り越えて制御電極 19c!〜 19fに 対応する領域である電荷蓄積部 D3に流入する。
[0203] 電子が電荷蓄積部 D3に流入した後に、図 19 (H)のように、制御電極 19gに印加 する電圧を負極性にしてポテンシャル障壁 B6を高くすると、電荷分離部 D2の不要 電荷と電荷蓄積部 D3の有効電荷とを完全に分離することができ、図 19 (1)のように 電荷分離部 D2の不要電荷を廃棄すれば、制御電極 19c!〜 19fに対応する領域に 有効電荷を残留させることができる。この有効電荷は、区間 P2の受光光量に対応し た量になる。
[0204] 一方、制御電極 19bに対応する領域に保持されている電子の量は、区間 POの受 光光量に対応している。この電子は、図 19 CO〜図 19 (0)の手順で不要電荷が分離 される。この期間には、制御電極 19d〜19fに対応する領域に区間 Ρ2の有効電荷を 保持した状態が維持される。本実施形態の特徴は、制御電極 19hに対応する領域が 、区間 P2の電子に対する電荷分離部 D2として機能するだけではなぐ区間 POの電 子に対する電荷分離部 D2としても兼用される点にある。
[0205] すなわち、不要電荷の廃棄後に、図 19 CF) (K)のように、制御電極 19bに対応する 領域に保持されていた区間 POの電子を制御電極 19hに対応する領域に移動させる 。この際、まず制御電極 19a、 19iに対応する領域のポテンシャルを引き下げて制御 電極 19a、 19b、 19h、 19iに対応する領域のポテンシャルを等しくし、その後、制御 電極 19hに対応する領域に電子を寄せる。図 19 CF) (K)の間の状態は図では省略し ているが、制御電極 19b、 19a、 19iの順に対応する領域のポテンシャルを高くし、制
御電極 19hに対応する領域にのみ電子が集積された状態で、制御電極 19a、 19bに 対応する領域のポテンシャルを下げる。
[0206] 上述の動作により、制御電極 19hに対応する領域に区間 POの電子が保持され、制 御電極 19hに対応する領域が電荷分離部 D2として機能することになる。次に、図 19 (L)のように、制御電極 19iに対応する領域のポテンシャルによるポテンシャル障壁 B 7が形成され、このポテンシャル障壁 B7を乗り越える電子力 有効電荷として制御電 極 19a、 19bに対応する領域に流入する。つまり、制御電極 19a、 19bに対応する領 域が電荷蓄積部 D3として機能する。
[0207] その後、図 19 (M)のように、制御電極 19iに対応するポテンシャル障壁 B7を高くし 、電荷分離部 D2と電荷蓄積部 D3との電子を分離した状態で、図 19 (N)のように、 電荷分離部 D2に集積された不要電荷である電子を廃棄すれば、制御電極 19c!〜 1 9fに対応する領域に区間 P2の受光光量に対応する電子が保持され、制御電極 19a 、 19bに対応する領域に区間 POの受光光量に対応する電子が保持されることになる 。なお、図 19 (0)に示す状態を経てこれらの電子を取り出した後には、図 19 (A) (B )の動作に復帰し光照射による電子を集積する。
[0208] このように、本実施形態においては、制御電極が複数個を 1単位として配列され、 受光期間には、異なる 2種類のタイミング (例えば、 A0、 A2)で電荷を生成するととも に生成した電荷を 1単位内の互いに異なる制御電極に対応して形成されるポテンシ ャル井戸にー且集め、秤量期間には、前記 2種類の各タイミングで生成した電荷に 対して形成する電荷分離部と電荷蓄積部とポテンシャル障壁とが 1単位内の互いに 異なる領域に設けられる。これにより、受光期間においては、電荷を集積する領域を 大きくとることができる。また、秤量期間においては、 2種類のタイミングの各々で生成 された電荷から不要電荷が分離される。すなわち、 2種類のタイミングの一方で生成 された電荷カゝら不要電荷を分離するために使用される制御電極が、他方のタイミング で生成された電荷から不要電荷を分離するために使用される制御電極とは異なるの で、 2種類のタイミングで生成した電荷が混ざり合うことなぐそれぞれタイミングで生 成された電荷から不要電荷を分離することができる。
[0209] また、秤量期間には、 2種類のタイミングのうちの一方のタイミングにおいて生成した
電荷を保持するポテンシャル井戸を両タイミングの電荷に対する電荷分離部として用 いることができる。尚、図 19においては、右端部の制御電極が(i)までしか記載され ていないが、実際には、さらに制御電圧 (a)〜(i)を有するセルが隣接して設けられて いる。したがって、制御電極 19hに対応するポテンシャル井戸力 区間 P2で集積した 電子の電荷分離部として機能するとともに、隣接したセルにおいては、図 19 (L)に示 すように、区間 POで集積した電子の電荷分離部としても使用される。この時、電荷分 離部に対応した制御電極 19hの両側に隣接する各制御電極を用 ヽてそれぞれ各タ イミングの電荷に対するポテンシャル障壁が形成される。すなわち、区間 P2で集積し た電子から有効電荷を分離する場合は、制御電極 19gに電圧を印加して形成される ポテンシャル障壁が使用され、区間 POで集積した電子から有効電荷を分離する場 合は、制御電極 19iに電圧を印加して形成されるポテンシャル障壁が使用される。こ のように、秤量期間において 2種類のタイミングの電荷が電荷分離部とする領域を共 用するから、実施形態 6の構成に比較して制御電極の個数が少なくなり、 2種類のタ イミングで電荷を生成しながらも、全体としての制御電極の占有面積を小さくすること ができ、結果として、光検出部を小型化することができる。また、複数個のセル 1を配 列し 1個のセル 1を 1画素として撮像素子を構成する場合には、 1画素の占有面積が 小さくなり、結果的に解像度の向上につながる。他の構成および動作は上述した各 実施形態と同様である。
(実施形態 8)
本実施形態は、対象空間からの光を受光して生成された電子のうち、規定した一定 量の不要電荷を秤量する方法として、規定した一定量の不要電荷を廃棄することを 特徴とする。
すなわち、図 20に示すように、素子形成層 11の主表面側に形成した光電変換部 D 1となるゥエル 12とは別に、素子形成層 11の主表面側に廃棄用ゥエル 25を形成し、 ゥエル 12と廃棄用ゥエル 25との間には素子形成層 11の主表面に絶縁層 13を介して 廃棄ゲート電極 26を設けてある。さらに、廃棄用ゥエル 25には、廃棄電極 27をォーミ ックに接合してある。廃棄用ゥエル 25は、ゥエル 12と同じ導電形とし、不純物濃度を ウエノレ 12よりも高くしてある。
[0211] 廃棄電極 27には正極性の一定電圧を常時印加しておき、廃棄用ゥエル 25に集積 された電子が廃棄電極 27を通して廃棄されるようにする。また、廃棄ゲート電極 26に 正極性の電圧を印加すると、ゥエル 12と廃棄用ゥエル 25との間に電子の移動が可能 になるチャンネルが形成される。ゥエル 12の中の電子はこのチャンネルを通して廃棄 用ゥエル 25に向力つて移動する。ここで、廃棄ゲート電極 26と廃棄電極 27とに印加 する電圧を一定にしておけば、ゥエル 12から廃棄用ゥエル 25に向力 電子の移動度 はほぼ一定になる。
[0212] そこで、対象空間からの光を受光してゥエル 12に設けた光電変換部 D1に電子が 集積された後に、廃棄ゲート電極 26に所定時間だけ規定の一定電圧を印カロしてゥェ ル 12から廃棄用ゥエル 25に電子を移動させる。上述のように、移動する電子の移動 度は一定であるから、廃棄ゲート電極 26に電圧を印加した時間にほぼ比例した量の 電子を廃棄用ゥエル 25に移動させることができる。つまり、ゥエル 12で生成された電 子のうち、廃棄用ゥエル 25に移動させた電子を不要電荷とし、ゥエル 12に残留した 電子を有効電荷とすれば、規定した一定量の不要電荷を分離したことになる。ゥエル 12に残留した有効電荷は受光出力として取り出される。
[0213] 本実施形態の構成では、廃棄ゲート電極 26と廃棄電極 27とに印加する電圧と、廃 棄ゲート電極 26に電圧を印加する時間とによって不要電荷の量が決まる力 上述し たように廃棄ゲート電極 26と廃棄電極 27とに印加する電圧は一定に保つから、不要 電荷の量は廃棄ゲート電極 26に電圧を印加する時間の関数になる。また、本実施形 態のゥエル 12は、光電変換部 D1として機能するのはもちろんのこと、ゥエル 12に有 効電荷が残留することから、電荷蓄積部 D3としても機能する。また、廃棄用ゥエル 25 と廃棄ゲート電極 26と廃棄電極 27とが電荷分離部 D2として機能する。他の構成お よび動作は上述した実施形態と同様である。
[0214] (実施形態 9)
本実施形態は、不要電荷の秤量を行う電荷分離部 D2には電子の移動を制御する 電極を設けず、受光出力を取り出すための電荷転送部に設けた転送制御電極 31に 印加する電圧を制御することにより、電荷転送部を電荷蓄積部 D3として用いることを 特徴とする。すなわち、上述した各実施形態では、 CCDイメージセンサにおけるフレ
ームトランスファ方式の電極構成と同様の電極配置を採用したが、本実施形態では、 CCDイメージセンサにおけるインターライントランスファ (IT)方式の電極構成と同様 の電極配置を採用して 、る。
[0215] 図 21に示すように、 p形の素子形成層 11は n形のサブストレート 10上に形成されて おり、素子形成層 11の主表面側には、 p+形の障壁ゥエル 33の一方の側に n+形のゥ エル 12が設けられ、他側には n形の転送用ゥエル 32が形成される。転送用ゥエル 32 は、 IT方式の CCDイメージセンサと同様の構成を有し、転送用ゥエル 32の主表面に は絶縁層 34を介して転送制御電極 31が配置される。また、転送用ゥエル 32は遮光 膜 35により覆われている。転送制御電極 31は、図 21の面に直交する方向に多数個 配列され、電子を転送する際には従来周知のように各転送制御電極 31に電圧を印 加する順序が制御される。不要電荷の秤量には、転送制御電極 31のほかに、サブス トレート 10にォーミックに接続されたドレイン電極 36を併用する。また、ゥエル 12は光 電変換部 D 1と電荷分離部 D2とに兼用される。
[0216] 本実施形態では、ゥヱル 12には電極が設けられておらず、素子形成層 11とゥエル 12とが異種導電形であることによって、図 22 (C)のように、ゥエル 12にポテンシャル 井戸が形成される。障壁ゥエル 33はゥエル 12と転送用ゥエル 32との間にポテンシャ ル障壁 B8を形成する。この状態において、転送用ゥエル 32の電子はすべて排出さ れているものとする。また、転送制御電極 31には電圧を印加せず、ドレイン電極 36に は正極性の電圧(たとえば、 5ボルト)を印加しておく。
[0217] 光電変換部 D1において光照射による電子が生成された後、転送制御電極 31には 比較的大きい正極性の電圧 (たとえば、 10ボルト)を印加する。障壁ゥエル 33に形成 されて ヽるポテンシャル障壁 B8は、転送制御電極 31に印加された電圧が高 ヽほど ポテンシャルを下げる。転送制御電極 31に電子の転送時の電圧よりも高い適宜の電 圧を印加すれば、図 22 (D)のように、ゥエル 12に集積された電子の一部はポテンシ ャル障壁 B8を越えて転送用ゥエル 32に流入する。ポテンシャル障壁 B8の高さは転 送制御電極 31に印加した電圧によって決まるから、ゥヱル 12には規定した一定量の 電子が残留することになる。つまり、ゥヱル 12は電荷分離部 D2として機能し、転送用 ゥエル 32は電荷蓄積部 D3として機能する。
[0218] ゥエル 12に不要電荷を残し、転送用ゥ ル 32に有効電荷が流入した時点で、転送 制御電極 31への電圧印加を停止し、ドレイン電極 36には比較的高い正極性の電圧 (たとえば、 15ボルト)を印加する。この状態では、図 22 (E)のように、ポテンシャル障 壁 B8が高くなり、転送用ゥエル 32に形成されるポテンシャル井戸が浅くなる。つまり、 転送用ゥエル 32に流入した有効電荷が電荷蓄積部 D3に保持される。また、ゥエル 1 2に残留した不要電荷はドレイン電極 36を通して廃棄される。
[0219] 上述の動作によって、対象空間力 の光を受光して生成された電子のうち規定の 一定量の電子を不要電荷として分離し、残された有効電荷を転送用ゥエル 32に残留 させることができる。有効電荷は、転送制御電極 31への印加電圧を制御し、 CCDィ メージセンサの垂直転送レジスタと同様の動作を行うことにより、図の面に直交する方 向に転送することができる。他の構成および動作は上述した他の実施形態と同様で ある。
[0220] ところで、図 21に示した本実施形態の構成の光検出素子と、変調信号により強度を 変調した光を投光する発光源とを組み合わせることによって対象空間の情報を検出 する場合、変調信号の位相の所定区間に対応する受光光量を抽出する必要がある 。このような場合には、たとえば、図 23 (A)のように、受光期間 T1において、転送制 御電極 31には正極性の比較的高 、電圧 (たとえば、 15ボルト)を印加して転送用ゥ エル 32に深いポテンシャル井戸を形成することによって、光電変換部 D1 (ゥエル 12) で生成された電子が、転送用ゥエル 32に流れ込むようにしておき、図 23 (B)のように 、廃棄電極 36に印加する電圧を変調信号に同期させて高低 2段階 (たとえば、 15ボ ルトと 5ボルト)に変化させることにより、電子を廃棄する状態と、転送用ゥエル 32に形 成されるポテンシャル井戸に電子を流入させる状態とを交互に作り出す。光電変換 部 D1で生成される電荷のうち受光出力に用いる電荷を取り出すタイミングにお 、て、 廃棄電極 36に印加する電圧を低電圧にすれば、当該電荷を転送用ゥエル 32に流 入させることができる。受光期間 T1におけるポテンシャル井戸の変化を図 22 (A)お よび )に示している。
[0221] 上述の動作を行う受光期間において、廃棄電極 36に印加する電圧変化を多数回 行った後には秤量期間 T2に移行させる。秤量期間 T2においては、まず転送用ゥェ
ル 32におけるポテンシャル井戸を浅くするように転送制御電極 31に負極性の電圧( たとえば、ー5ボルト)を印加し、またゥエル 12から電子が廃棄されないように廃棄電 極 36に印加する電圧を比較的低くする(たとえば、 5ボルト)。この関係によって、転 送用ゥエル 32からゥエル 12に電子を戻すことができる。ゥエル 12に電子を戻した後 に行われる秤量動作は上述した通りである。
[0222] 尚、本発明の目的とその特徴は、飽和を防止して環境光の増減に影響されずに空 間情報の検出に必要な有効電荷を安定して得ることにあるので、得られた有効電荷 を使用して空間情報を検出する方法については公知の方法を採用できる。したがつ て、本実施形態においてはその詳細を記載していないが、例えば、受光出力である 有効電荷を使用して検出される空間情報としては、変調信号の位相の異なる複数区 間に同期するタイミングで検出した受光出力の差分を用いた対象空間に存在する物 体までの距離の計測、また前記差分を画素値とする振幅画像を生成し、そこからの 対象物についての形状や寸法の認識、あるいは対象空間に存在する物体の反射率 のように環境光成分を除去することにより得られる情報等が含まれる。
産業上の利用可能性
[0223] 上記したように、本発明によれば、障壁制御電極に印加する電圧を制御し、ポテン シャル障壁の高さを変化させることによって、電荷分離部カゝらポテンシャル障壁を越 えて電荷蓄積部に流れ込む電荷の量を調節し、電荷分離部に残った不要電荷を廃 棄することができるので、光電変換部の小型化を図りつつ、対象空間からの光によつ て生成される不要電荷の量が増カロした場合であっても、飽和現象を防 ヽで有効電荷 が信頼性よく得られる空間情報検出装置を提供することができる。
[0224] 特に、消灯期間において光電変換部で生成された電荷量に応じて、点灯期間にお いて生成された受光光量に相当する量の電荷力 不要電荷として分離される電荷の 量を調節する場合は、対象空間において環境光に増減が生じても、環境光の変化 に追従して不要電荷の適切量を自動的に廃棄することができる。
[0225] このように、本発明の空間情報検出装置は、屋外屋内を問わず、対象空間の情報 を精度よく検出できることから、従来の空間情報検出装置の用途範囲をさらに拡大す るものとして期待される。