WO2006120947A1 - ガス燃焼式打込み工具 - Google Patents

Abstract

　送りピストン・シリンダ装置７の送りシリンダ２１には、常時送りピストン２２を送り方向に付勢するバネを設ける。燃焼室５と送りシリンダ２１の前記バネと反対側とをガス管路２６を介して連結する。ガス管路２６の中途部に遅延ピストン・シリンダ装置Ａを設ける。遅延シリンダ２７の一端を燃焼室５側に、他端を送りシリンダ２１側に配置する。燃焼ガスの圧力で遅延ピストン２８を遅延シリンダ２７の前記一端から他端に摺動させたときに、遅延シリンダ２７内で圧縮された空気を遅延シリンダ２７の他端から送りシリンダ２１に供給する。

Description

明 細 書

ガス燃焼式打込み工具

技術分野

[0001] 本発明は、可燃性ガスと空気とを撹拌混合して得た混合ガスを爆発的に燃焼させ る燃焼室と、燃焼ガス圧により駆動される打撃ピストン'シリンダ装置と、打撃ピストン に結合したドライバを摺動案内してファスナーを打ち出すノーズ部と、ノーズ部にファ スナーを送る送りピストン'シリンダ装置とを備えるとともに、前記送りピストン'シリンダ 装置の送り爪の退避作動を遅延させる作動遅延装置を備えたガス燃焼式打込みェ 具に関する。

背景技術

[0002] ガス燃焼式打込み工具の一例として、ボディ内に密閉された燃焼室内へ可燃性ガ スを注入して燃焼室内で可燃性ガスと空気との混合ガスを撹拌し、撹拌された混合 ガスを燃焼室内で燃焼させることによって燃焼室内に高圧の燃焼ガスを発生させ、こ の高圧の燃焼ガスを打撃シリンダ内に収容されている打撃ピストンに作用させて打撃 ピストンを打撃シリンダ内で衝撃的に駆動させ、この打撃ピストンの下面側に結合さ れて 、るドライバによって、ボディの下方のノーズ部に供給された釘を鋼板やコンクリ ートへ打ち込むようにした燃焼ガス駆動打込み機が知られて！/、る。 (特開平 08-25280 6)このような燃焼ガス駆動打込み機では可燃性ガスを充填したガスボンベ等の容器 を工具内に装着するとともに、可燃性ガスに着火するための電力源であるノ ッテリー を工具に装着することによって携帯が可能な工具として形成されており、電力や圧縮 空気等の動力供給源に拘束されることなく釘やピンの打ち込み作業を行うことが可能 にされている。

[0003] 前記ガス燃焼式打込み工具では、マガジンに収納された連結ファスナーを順次ノ ーズ部に送り込む送り装置が設けられている。この送り装置としては、鞘状のマガジ ンに多数のファスナーを真直状に連結してなる連結ファスナーを収容し、この連結フ ァスナーを定出力パネによって常時ノーズ部側に押圧し、ノーズ部内の射出口に供 給されたファスナーが打ち込まれた後は直ちに次位のファスナーがノーズ部内に供 給するようにしたものが知られて 、る。

[0004] しかしながら、このような直状マガジンでは収容されるファスナーの数は少ないので 、多数のファスナーをコイル状にまき回した連結ファスナーを収容できる円筒状のマ ガジンを取り付けることが求められている。ところが、円筒状マガジンにおけるファスナ 一の送り装置としては、送りピストン'シリンダ装置が一般的である。これは、送りシリン ダに摺動自在に収容された送りピストンに、マガジンに収納された連結ファスナーに 係脱する送り爪を設け、該送り爪をノーズ部側に送る釘送り方向とその反対の退避方 向に往復動させるものである。

[0005] したがって、前記送りピストン'シリンダ装置とともに円筒状マガジンを採用すること ができる。この場合、送りピストン'シリンダ装置の送りピストンはパネと燃焼室の燃焼 ガスの圧力を利用して往復動させることが考えられる。送りピストンの送りはパネで、 退避作動はガス圧で往復動させるものである。

[0006] ところが、燃焼室と送りシリンダとを直結した構成では、図 13に示されるように、燃焼 ガスは打撃ピストンと送りピストン (送り爪)の両者にほとんど同時に作用するので、打 撃ピストンの打撃作動とほとんど同時に送りピストンも退避作動し、打ち込み時にファ スナ一が不安定になる。つまり、送りピストンがパネによって送り位置にとどまつている ことによりノーズ部内に供給された先頭の釘は送り爪によって押圧されているので、 姿勢が安定する。ドライバによってファスナーが打ち出されている間はファスナーの 姿勢が安定しているのが好ましい。しかし、燃焼ガスの圧力によって打撃装置が作動 し、打撃ピストンとともにドライバが駆動されてファスナーを打撃すると同時に送りビス トンが退避作動すると、ファスナーを押圧保持する力が失われてその姿勢が不安定 になってしま!/、、ファスナーを正し 、姿勢で確実に打ち込むことができな!/、。

[0007] このため、打撃装置の打撃ピストンの作動タイミングを遅らせる手段として、打撃ビス トンの上死点よりも少し下の位置で打撃シリンダから燃焼ガスを取り出すことにより、 打撃ピストンの作動タイミングを遅延させることが考えられている。

[0008] し力しながら、打撃ピストンの上死点よりも少し下の位置では燃焼ガスの圧力が少し 減圧してしまうので、送り装置の送りシリンダに送られる圧力も低くなつてしまう。この ため、送りシリンダ内に供給されるガス量も大きくしなければならないから、送り装置も 大きくせざるを得ない。

発明の開示

[0009] 本発明の一または一以上の実施例は、ファスナーの送り装置である、送りピストン' シリンダ装置に十分に高い圧力を供給しつつ、前記送りピストン'シリンダ装置におけ る送りピストンの退避作動を遅らせることができるガス燃焼式打込み工具を提供する。

[0010] 本発明の一または一以上の実施例によれば、ガス燃焼式打ち込み工具は、可燃性 ガスと空気とを撹拌混合して得た混合ガスを爆発的に燃焼させる燃焼室と、この高圧 の燃焼ガスを打撃シリンダ内に収容された打撃ピストンに作用させて打撃ピストンを 打撃シリンダ内で衝撃的に駆動させ、この打撃ピストンの下面側に結合されて ヽるド ライバを摺動案内してファスナーを打ち出すノーズ部と、マガジンに収納された連結 ファスナーに係脱する送り爪を前記ノーズ部側に送る釘送り方向とその反対の退避 方向に往復動させる送りピストン'シリンダ装置と、前記送りピストン'シリンダ装置の送 りシリンダに設けられ、前記送り爪を備えた送りピストンを常時送り方向に付勢するバ ネと、前記燃焼室と前記送りピストン'シリンダ装置との間に設けられたガス管路と、こ のガス管路に設けられ、前記燃焼室における混合ガスの燃焼による打撃ピストンの作 動に遅延させて前記送りピストン'シリンダ装置の送りピストンを前記パネに抗して退 避方向に作動させる作動遅延装置と、を具備する。

[0011] また、本発明の一または一以上の実施例によれば、前記作動遅延装置は、前記ガ ス管路の中途部に設けられ、一端が燃焼室に、他端が前記送りシリンダに開口する 遅延シリンダ、を有しても良い。前記燃焼ガスの圧力で前記遅延シリンダ内を摺動す る遅延ピストンを前記遅延シリンダの前記一端力 他端に摺動させたときに遅延シリ ンダ内で圧縮された空気を前記遅延シリンダの他端力 前記送りシリンダに供給する 。また、本発明の一または一以上の実施例によれば、前記作動遅延装置が、前記ガ ス管路に設けられ、前記燃焼室力 送りシリンダへのガス供給を遅延させるガス溜め 空間部又は絞り部、を有しても良い。

[0012] また、本発明の一または一以上の実施例によれば、前記作動遅延装置は、前記ガ ス管路の中途部に設けられ、弁体が一端にあるときに前記ガス管路を遮断し、燃焼 ガスの圧力によって前記弁体が他端に移動したときに前記ガス管路を開通させるタイ ミングバルブ装置、を有しても良い。

[0013] 本発明の一または一以上の実施例によれば、燃焼室と前記送りピストン'シリンダ装 置との間にガス管路が設けられ、このガス管路に、前記燃焼室における混合ガスの 燃焼による打撃ピストンの作動に遅延させて前記送りピストン'シリンダ装置の送りピ ストンを前記パネに抗して作動させる作動遅延装置が設けられる。このため、燃焼室 の燃焼に伴って打撃ピストンが打ち込み作動し、これに遅れて送りピストンが退避作 動することになる力ら、打撃ピストンの打ち込み作動によりノーズ部内の先頭釘がドラ ィバに打撃されて打ち出されるまでは送りピストンは退避作動しない。したがって、ノ ーズ部力 打ち出されるとき前記先頭釘はノーズ部内に押し付けられ、姿勢が安定し た状態となっているから、正しく打ち出される。

[0014] また、ガス管路力 は燃焼室 (打込みピストンの上部)で燃焼した燃焼ガスの圧力が 送りピストン'シリンダ装置に送られるので、十分に高い圧力を供給することができる。 更に、前記ガス管路の中途部に、一端が燃焼室に、他端が前記送りシリンダに開口 する遅延シリンダを配置し、前記燃焼ガスの圧力で前記遅延シリンダ内を摺動する遅 延ピストンを前記遅延シリンダの前記一端力 他端に摺動させたときに遅延シリンダ 内で圧縮された空気を前記遅延シリンダの他端から前記送りシリンダに供給する場 合は、燃焼室側のガス圧の供給は、遅延ピストンが一端力も他端まで摺動するときに 圧縮された空気が送りピストンを退避させるのに十分に昇圧するまでの時間だけ遅れ させることがでさる。

[0015] また、前記ガス管路に、前記燃焼室力も送りシリンダへのガス供給を遅延させるガス 溜め用空間部又は絞り部を形成した場合は、燃焼室側のガス圧の供給速度は、前 記ガス溜め用空間部又は絞り部で鈍ることになるので、空気圧が送りピストンを退避 させるのに十分に昇圧するまでの時間だけ送りピストン退避作動を遅れさせることが できる。

[0016] また、ガス管路の中途部に、弁体が一端にあるときに燃焼室と送りシリンダとを連結 するガス管路を遮断し、燃焼ガスの圧力によって前記弁体が他端に移動したときに 前記ガス管路を開通させるタイミングバルブ装置を設けた場合は、燃焼室で混合ガス が燃焼しても、弁体が前記上死点位置力 開通位置に移動するまでの間、ガス管路 は遮断され、燃焼ガスの圧力は遅延シリンダには供給されないから、送りピストンを退 避させるのに十分な時間だけ送りピストン退避作動を遅れさせることができる。

[0017] その他の特徴および効果は、実施例の記載および添付のクレームより明白である。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]ガス燃焼式釘打機の非作動時の要部を示す縦断面図である。

[図 2]コンタクトアームとリンク部材の取付状態を示す釘打機の要部の正面図である。

[図 3]前記釘打機の打ち込み開始時の状態を示す縦断面図である。

[図 4]前記釘打機の打ち込み終了直後の状態を示す縦断面図である。

[図 5A]釘送り爪の釘送り状態を示す釘打機を裏側力 見た縦断面図である。

[図 5B]釘送りピストン'シリンダ装置および送り爪の説明図である。

[図 6]前記遅延ピストン'シリンダ装置の釘送りピストンの退避開始状態を示す縦断面 図である。

[図 7]前記遅延ピストン'シリンダ装置の釘送りピストン退避状態を示す縦断面図であ る。

[図 8]打撃ピストンのリターン途中の状態を示す縦断面図である。

[図 9]ガス燃焼式釘打機を遅延チャンバ装置とともに示す縦断面図である。

[図 10]ガス燃焼式釘打機を遅延絞り装置とともに示す縦断面図である。

[図 11]ガス燃焼式釘打機を遅延タイミングノ レブ装置とともに示す縦断面図である。

[図 12]遅延作動装置を設けた場合における送り爪と打撃ピストンのタイミングのずれ を示すタイミングチャート図である。

[図 13]燃焼室と送りシリンダとを直結した場合における送り爪と打撃ピストンのタイミン グのずれを示すタイミングチャート図である。

符号の説明

[0019] A 遅延ピストン.シリンダ装置

B 遅延チャンバ装置

C 遅延用タイミングバルブ装置

5 燃焼室

7 送りピストン.シリンダ装置 26 ガス管路

28 遅延ピストン

35 ガス溜め用空間部

41 弁体

発明を実施するための最良の形態

[0020] 以下、図面を参照して、本発明の典型的な実施例について、説明する。

[0021] なお、本発明に係る打込み工具は、釘打機に限定されない。燃焼によって動力が 伝達され、連結された頭付き棒材 (釘、ネジ)や頭無し棒材 (平行ピン)等のファスナ 一を送る打込み工具に適用することができる。

[0022] 図 1にお 、て符号 1はガス燃焼式釘打機のボディを示す。このボディ 1には、グリツ プ 2とマガジン 3とが連設されているとともに、打撃ピストン'シリンダ装置 4と燃焼室 5と ノーズ部 6と釘送り用の送りピストン'シリンダ装置 7とが設けられている。

[0023] 打撃ピストン'シリンダ装置 4は、打撃シリンダ 9内に打撃ピストン 10を摺動自在に収 容するとともに、打撃ピストン 10の下方にドライバ 11を一体的に結合させたものであ る。

[0024] 燃焼室 5は、前記打撃ピストン 10の上端面と打撃シリンダ 9と上部ハウジング 12の 内部に形成された上部壁 (シリンダヘッド） 13と両者間に配置されている環状の可動 スリーブ 14とによって形成されており、可動スリーブ 14を上方に移動させることにより 密閉された燃焼室 5が形成され、下方に移動させることにより燃焼室 5の上部が大気 に連通するように構成されて 、る。

[0025] すなわち、可動スリーブ 14は図 2に示されるように、リンク部材 19を介してコンタクト アーム 15と連係している。リンク部材 19は、打撃シリンダ 9の下方に配置された篕状 底部 19aの端部カゝら打撃シリンダ 9の外周部に沿ってアーム部 19bを延長形成して なるもので、アーム部 19bの上端は前記可動スリーブ 14に連結され、篕状底部 19a は打撃シリンダ 9の下面との間に設けられたパネ 29により下方に付勢されている。ま た、コンタクトアーム 15はノーズ部 6に沿って上下に摺動自在に設けられ、その下端 1 5aはノーズ部 6から突出し、ノーズ部 6とともに前記下端 15aを被打込み材 Pに押し付 けることにより、ノーズ部 6に対して相対的に上方に移動するようになっている（図 3参 照)。そして、リンク部材 19の篕状底部 19aの下面はコンタクトアーム 15の上端 15b に係合している。このため、ノーズ部 6を被打込み材 Pに押し付けることによりコンタク トアーム 15が相対的に上方に移動し、リンク部材 19をパネ 29に抗して押し上げて可 動スリーブ 14を上方に移動させる。これにより密閉された燃焼室 5が形成される。そ の反対に、ノーズ部 6を被打込み材 Pから離反させることにより、コンタクトアーム 15は 相対的に下方に移動し、リンク部材 19と可動スリーブ 14はパネ 29により下方に移動 し、燃焼室 5は大気に開放される。

[0026] このように、釘打機を起動させる際に、可動スリーブ 14はコンタクトアーム 15を被打 込み材 Pに押し付ける行為と連動して相対的に図 3に示す上方位置に移動し、燃焼 室 5内を大気と遮断する。これに対し、釘打ち込み直後に生じた反動によって釘打機 が持ち上がったとき、コンタクトアーム 15は図 4のように自重によりノーズ部 6に沿って 下方に移動するが、後述のように、燃焼室 5内は釘打ち込み直後は負圧となっており 、可動スリーブ 14 (とリンク部材 19)は同じ位置に保持されるため、コンタクトアーム 15 とリンク部材 19の篕状底部 19aとは互いに離れる。その後、打撃ピストン 10が原位置 まで上昇し燃焼室 5が大気に開放されると、可動スリーブ 14とリンク部材 19とはパネ 2 9により下方に移動し、再びコンタクトアームに係合して一体となる。

[0027] 上部ハウジング 12には、ガス容器に連通する噴射ノズル 17と、混合ガスに添カ卩して 燃焼させるための点火プラグ 18が配置されている。また、上部ハウジング 12には、燃 焼室 5内に噴射された可燃性ガスを燃焼室 5内の空気と撹拌させて燃焼室 5内で所 定の空燃比の混合ガスを生成するための回転ファン 20が設けられている。

[0028] ノーズ部 6は前記ドライバ 11の摺動を案内するとともに、マガジン 3に開口している

[0029] 送りピストン *シリンダ装置 7は、図 5A、図 5Bに示されるように、送りシリンダ 21内に 摺動自在に収容された送りピストン 22に送り爪 23を連結させ、送りピストン 22とともに 送り爪 23をマガジン 3に収納された連結釘 Nに係脱させて、前記ノーズ部 6側に送る 釘送り方向とその反対の退避方向に往復動させるものである。送りピストン 22が送り 方向の移動端まで移動したときは、連結釘 Nの先頭釘 N1はノーズ部 6の射出口 24 内に押し込まれる。したがって、送りピストン 22が前記送り方向の移動端位置にある 状態では、連結釘 Nも動かないので、先頭釘 N1は射出口 24内に保持される。

[0030] 次に、前記送りピストン'シリンダ装置 7の送りシリンダ 21には、常時送りピストン 22 を送り方向に付勢するパネ 25が設けられている。これに対し、送りシリンダ 21の前記 パネ 25と反対側はガス管路 26を介して前記燃焼室 5と連結している。そして、ガス管 路 26の中途部には、遅延装置として遅延ピストン'シリンダ装置 Aが設けられ、遅延 シリンダ 27内に遅延ピストン 28が摺動自在に収容されて!、る。

[0031] 前記遅延シリンダ 27の上端は燃焼室 5に、下端は送りシリンダ 21に開口するように 配置され、燃焼ガスの圧力で遅延ピストン 28を前記遅延シリンダ 27の上端から下端 に摺動させたときに遅延シリンダ 27内で空気が圧縮され、圧縮された空気圧を前記 遅延シリンダ 27の下端力も前記送りシリンダ 21に供給する。

[0032] また、遅延シリンダ 27の下端側部には大気中の空気を取り入れるための第 1の逆 止弁 31が配置され、また遅延シリンダ 27の下方には第 2の逆止弁 32が配置されて いる。さらに、ガス管路 26の中途部には第 2の逆止弁 32と送りシリンダ 21との間には 開閉弁 33が設けられている。これは、リンク部材 19の作動に連動するもので、常時 はバルブステム 33aは図 1のようにリンク部材 19の底部 19a (詳しくは図 3参照）に押 圧されてガス管路 26を大気に開く位置にあり、打ち込みにあたり、図 3のようにノーズ 部 6の先端を被打込み材 Pに押し付けて釘打機に対しコンタクトアーム 15を相対的に 上動させると、前記底部 19aがパネ 29に抗して押し上げられて上動し、これに応じて バルブステム 33aが前記ガス管路 26と大気とを遮断する位置に移動する。

[0033] 次に、前記作動遅延装置の作動態様について説明すると、まず、釘の打ち込みに あたり、図 3及び図 6に示されるように、ノーズ部 6を被打込み材 Pに強く押し付け、コ ンタクトアーム 15を相対的に上動させることにより、可動スリーブ 14が上動して密閉し た燃焼室 5を形成するとともに、燃焼室 5内に噴射ノズル 17から可燃性ガスが噴射さ れ、回転ファン 20が回転して可燃ガスと空気とを撹拌混合する。またコンタクトアーム 15の上動により開閉弁 33はガス管路 26を大気に対して遮断する。次に、トリガ 16を 引くと、点火プラグ 18が混合ガスに点火し、混合ガスは燃焼して爆発的に膨張する。 この燃焼ガスの圧力が打撃ピストン 10の上面に作用して下方に駆動するので、ドライ バ 11がノーズ部 6の射出口 24内に供給されている先頭釘を打撃し、被打込み材 P中 に打ち込む。

[0034] 同時に、燃焼室 5の燃焼ガスの圧力はガス管路 26から作動遅延装置を構成する遅 延ピストン 'シリンダ装置 Aの遅延ピストン 28の上面にも作用するので、遅延ピストン 2 8も上端から下端に摺動する。このとき、既に遅延シリンダ 27内には第 1の逆止弁 31 力も大気中の空気が取り入れられており、また遅延シリンダ 27の下方には第 2の逆止 弁 32があるので、遅延ピストン 28の下方摺動により前記空気は圧縮される。そして、 所定の圧力まで昇圧すると、第 2の逆止弁 32のパネ 34に抗して圧縮された空気が 前記遅延シリンダ 27の下端力も前記送りシリンダ 21に供給されるので、送りピストン 2 2が退避方向に移動する。

[0035] このように、燃焼室 5から送りシリンダ 21に対するガス圧の供給は、遅延ピストン 28 が上端力 下端まで摺動するときに遅延シリンダ 27内で圧縮された空気の圧力が送 りピストン 22を退避させるのに十分に昇圧するまでの時間だけ前記退避作動を遅れ させることがでさる。

[0036] 上述のように、燃焼室 5の燃焼に伴って打撃ピストン 10が打ち込み作動し、その後 送りピストン 22が退避作動することになるから、図 6に示されるように、打撃ピストン 10 の打ち込み作動によりノーズ部 6内の先頭釘がドライバ 11に打撃されて打ち出される までは送りピストン 22の送り爪 23が作動しないので、前記先頭釘はノーズ部 6の射出 口 24内壁に保持されて姿勢が安定した状態となっているから、正しく打ち出される。 その後、図 7に示されるように、遅延ピストン 28が下死点に到達すると、送りピストン 2 2は元の位置に戻る。

[0037] なお、打ち込み時の打撃ピストンと送り爪 (送りピストン)の動作タイミングのずれの 様子は図 12に示したとおりである。

[0038] 打ち込みが完了すると、燃焼室 5内の温度が急激に下がるので、打撃シリンダ 9ま で拡大した打撃ピストン 10の上方空間は負圧となり、下からの大気圧との差圧によつ て元の容積に戻ろうとするので、図 4、図 8に示されるように、打撃ピストン 10は上死 点にリターン移動する。同様に、遅延ピストン 28も上死点に戻る。これに対し、燃焼室 5を開放すると、篕状底部 19aがパネ 29によって下動し、開閉弁 33を押し下げるの で、開閉弁 33がガス管路 26を大気に開き、送りシリンダ 21から圧縮空気が開閉弁 3 3から大気に排出されて減圧し、送りピストン 22は図 5A,図 5Bに示されるように、ノ ネ 25の力により釘送り方向に移動し、新たな先頭釘がノーズ部 6内に供給される。

[0039] なお、ガス管路からは燃焼室で (打込みピストンの上部で)燃焼した燃焼ガスの圧 力が送りピストン'シリンダ装置に送られるので、十分に高い圧力を供給することがで きる。

[0040] 次に、図 9は、前記遅延ピストン'シリンダ装置 Aに代わる作動遅延装置を示すもの で、この作動遅延装置 Bは、燃焼室 5と送りピストン'シリンダ装置 7との間にガス溜め 用空間部 35を形成した遅延チャンバ装置によって構成されている。なお、前記部材 と同じ部材は同符号で示す。打ち込み時の一連の動作も図 3、図 6、図 7および図 8と おなじであるから、説明は省略する。

[0041] 前記構成によれば、釘の打ち込みにあたり、上述と同じ要領で燃焼室 5内の混合ガ スに点火して燃焼させると、燃焼ガスの圧力で打撃ピストン 10を下方に駆動し、ドライ バ 11がノーズ部 6の射出口内に供給されている先頭釘を打撃し、被打込み材中に打 ち込む。

[0042] 同時に、燃焼室 5の燃焼ガスの圧力はガス管路 26から送りピストン'シリンダ装置 7 に供給される力 その途中にはガス溜め用空間部 35が形成されているので、このガ ス溜め用空間部 35に燃焼ガスが充満して所定の圧力になるまでは送りピストン 22を 作動させることはできない。ガス管路 26内が所定の圧力まで昇圧すると、燃焼ガスが 前記送りシリンダ 21に供給されるので、送りピストン 22が退避方向に移動する。

[0043] このように、燃焼ガスがガス溜め用空間部 35に充満して所定の圧力になるまでの間 、送りシリンダ 21に対するガス圧の供給は十分ではないので、前記ガス圧が送りビス トン 22を退避させることが可能な程度に昇圧するまでの時間だけ送りピストン 22の作 動を遅れさせることができる。したがって、先頭釘を安定な姿勢に保持した状態で打 ち込むことができる。

[0044] 打ち込みが完了すると、燃焼室 5内における打撃ピストン 10の上方空間は負圧とな つて打撃ピストン 10は上死点に復帰移動する。同様に、ガス管路 26も負圧となるから 送りピストン 22はパネ 25の力で送り方向に移動し、新たな先頭釘がノーズ部 6内に供 給される。 [0045] なお、前記作動遅延装置は、ガス管路 26に、前記ガス溜め用空間部 35ではなぐ 図 10に示されるような遅延用の絞り部 36を形成することによって構成してもよい。

[0046] この場合は、燃焼ガスは絞り部 36を通過するのに時間が力かるので、通過した燃 焼ガスが送りピストン 22を退避させることが可能な程度に昇圧するまでの間、送りビス トン 22の退避作動を遅延させることができる。

[0047] 絞り部は図に示された部位に限定されない。ガス管路のどの位置に設けてもよい。

[0048] 次に、図 11は前記とは別の作動遅延装置を示すもので、この作動遅延装置は、ガ ス管路 26の中途部に設けられた遅延用タイミングバルブ装置 Cによって構成されて いる。なお、前記部材と同じ部材は同符号で示す。打ち込み時の一連の動作も図 3、 図 6、図 7および図 8とおなじであるから、説明は省略する。

[0049] すなわち、遅延用タイミングノ レブ装置 Cは、上端と側部とをガス管路 26に接続す る開口部 37、 38を形成したバルブシリンダ 40内に弁体 41を摺動自在に収容し、こ の弁体 41をパネ 42により常時上死点にあるように付勢したもので、弁体 41が上死点 にあるときはガス管路 26は遮断され、弁体 41が下方に移動して、点線で示すように、 側部開口部 38を通過したときはガス管路 26が開通するように構成されている。

[0050] 前記作動遅延装置によれば、釘の打ち込みにあたり、上述と同じ要領で燃焼室 5 内の混合ガスに点火して燃焼させると、燃焼ガスの圧力で先頭釘は被打込み材中に 打ち込まれる。

[0051] 同時に、燃焼室 5の燃焼ガスの圧力はガス管路 26から送りピストン'シリンダ装置 7 に供給される力 その途中には遅延用タイミングバルブ装置 Cが設けられているので 、弁体 41が点線のように上死点から開通位置に移動するまでの間は送りシリンダ 21 には供給されない。そして、ガス管路 26内が所定の圧力まで昇圧すると、送りピスト ン 22が退避方向に移動する。

[0052] このように、弁体 41が移動してガス管路 26が開通して所定の圧力になるまでの間、 送りピストン 22の作動を遅れさせることができるから、先頭釘を安定な姿勢に保持し た状態で打ち込むことができる。

[0053] 打ち込みが完了すると、打撃ピストン 10は上死点に復帰移動するとともに、ガス管 路 26も負圧となるから弁体 41は上死点に移動し、送りシリンダ 21側のガス管路 26内 のガスはノ レブシリンダ 40の下端の開口部 39から大気に排出される。このため、送り ピストン 22はパネの力によって釘送り方向に作動し、新たな先頭釘がノーズ部内に 供給される。なお、マガジンは、円筒状マガジン 3以外に、送り爪により供給する直状 マガジンでも可能である。

[0054] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。

[0055] 本出願は、 2005年 5月 10日出願の日本特許出願 (特願 2005— 137773)に基づくも のであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0056] 本発明は、ガス燃焼式打込み工具のファスナー送り装置に、利用することが可能で ある。

Claims

請求の範囲

[1] 可燃性ガスと空気とを撹拌混合した混合ガスを燃焼する燃焼室と、

燃焼ガスによって,駆動される打撃ピストンと、

前記打撃ピストンの下面側に結合されているドライバと、

前記ドライバを摺動案内してファスナーを打ち出すノーズ部と、

マガジンに収納された連結ファスナーに係脱する送り爪と、

前記送り爪を前記ノーズ部側に送る釘送り方向とその反対の退避方向に往復動さ せる送りピストン.シリンダ装置と、

前記燃焼室と前記送りピストン'シリンダ装置とを接続するガス管路と、

このガス管路に設けられ、送りピストン'シリンダ装置へのガス圧の供給を前記打撃 ピストンの作動よりも遅延させる作動遅延装置と、

を具備する、ガス燃焼式打込み工具。

[2] 更に、前記送り爪を常時送り方向に付勢するパネ、を具備し、

前記送り爪は、前記送りピストン'シリンダ装置の送りピストンに設けられ、 燃焼ガスの作用によって、前記送りピストン'シリンダ装置へガス圧が供給されたとき に、前記パネに抗して前記送りピストンが作用して、前記送り爪が前記退避方向に移 動する、

請求項 1のガス燃焼式打ち込み工具。

[3] 前記作動遅延装置は、

前記ガス管路の中途部に配置され、一端が燃焼室に、他端が前記送りシリンダに 開口する遅延シリンダと、

前記燃焼ガスの圧力で前記遅延シリンダ内を摺動する遅延ピストンと、 を具備し、

前記燃焼ガスの圧力によって前記遅延ピストンが前記遅延シリンダの前記一端から 他端に摺動するときに、前記遅延シリンダ内で圧縮された空気が前記遅延シリンダの 他端から前記送りシリンダに供給される、

請求項 1のガス燃焼式打込み工具。

[4] 前記作動遅延装置は、 前記ガス管路に配置された、ガス溜め空間部

を具備する、請求項 1のガス燃焼式打込み工具。

[5] 前記作動遅延装置は、

前記ガス管路に配置された、絞り部

を具備する、請求項 1のガス燃焼式打込み工具。

[6] 前記作動遅延装置は、

一端と他端との間を移動可能であり、一端において前記ガス管路を遮断し、他端に ぉ 、て前記ガス管路を開通させる弁体、を有するタイミングバルブ装置、

を具備する、請求項 1のガス燃焼式打込み工具。