明 細 書
薬物依存症の予防および Zまたは治療剤
技術分野
[oooi] 本発明は、薬物依存症の予防および Zまたは治療剤等に関する。
背景技術
[0002] 「薬物依存」とは、生体と薬物の相互作用の結果として生じた、生体のその薬物に 対する「精神依存」のみ、または「精神依存」と「身体依存」を呈した状態であり、その 薬物の精神的な効果を得ようとして、または時には薬物の欠乏からくる不快感を避け るために、その薬物を継続的または周期的に摂取したいという衝動を常に有する状 態と定義づけられている(世界保健機関 (WHO)薬物依存に関する専門委員会第 16 回会議)。
[0003] 「精神依存」とは薬物を使用せずにはいられなくなった精神状態であり、その薬物 の使用を中止したり減らしたりすることにより、強い不安感、薬物への強い欲求等の 精神異常、薬物探索行動等の行動異常等を生じる状態である。
「身体依存」とはその薬物の使用を中止したり減らしたりすることにより、不眠、不安 、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚、嘔吐、下痢等の薬物の欠乏からくる不快な症 状(「退薬症候」:離脱症状、禁断症状ともいう)等の身体的異常を生じる状態である。
[0004] この様な薬物依存の結果として生じる行動障害、精神障害、臓器障害等がまとめて 「薬物依存症」と称されている。 WHOの国際疾病分類第 10版 (ICD-10
: International Statisticalし lassirication of Diseases and Related Health Problems- 10) の中で「薬物依存症」は、精神作用物質使用による精神および行動の障害として位 置付けられ、精神作用物質による例えば急性中毒、有害な使用ほ L用等)、依存、中 毒、精神病性障害、健忘症等の様々な程度の障害が含まれている。一方、 DSM-IV( Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder- IV;アメリカ精神医学会発行) の依存と関連事象の診断分類にぉ 、ては、物質関連障害の中に物質使用障害とし て物質依存および物質乱用が位置付けられ、その他は、物質誘発性障害として、精 神病性障害や気分障害の中に拡散されて位置付けられて 、る。
[0005] WHOでは依存を形成する薬物 (依存性薬物)を、 1.アルコール、 2.ァヘン類、 3. 大麻類、 4.鎮咳剤または睡眠剤、 5.コカイン、 6.カフェインを含む精神刺激剤、 7. 幻覚剤、 8.タバコおよび 9.揮発性溶剤の 9タイプならびに 10.その他の精神作用物 質に分類している。これらに属する依存性薬物はすべて「精神依存」を形成し、中で も、 1.アルコール、 2.ァヘン類、 4.鎮咳剤または睡眠剤、 8.タバコおよび 9.揮発 性溶剤の 5タイプは「精神依存」と「身体依存」を形成する。さら〖こ、ここ数年、マジック •マッシュルームに端を発した脱法ドラッグの使用が増力!]しており、これらも依存を形 成することが知られている (臨床精神薬理, 6, 1111-1119 (2003))。
[0006] 依存性薬物の乱用から、家庭の崩壊や犯罪を引き起こす悲劇は後を絶たず、深刻 な社会問題となっている。その対策としては、乱用、依存、中毒まで含めた薬物によ る障害に関連する社会環境のどこ力を断ち切ることが目標となる。したがって、その 手段として、薬物治療、教育の推進、法律を含めた社会制度の改革等のあらゆる方 法を駆使することになる(フアルマシア, , 905-909 (1998)、プリンシプルズ 'ォブ 'ド ラッグ ·アディクシヨン ·トリートメント:ァ ·リサーチ ·ベースド ·ガイド(Principles of Drug Addiction Treatment: A Research Based Guide) , NIH発行(1999))。薬物治療とし ては、例えば依存性薬物をより安全な類似薬へ置換維持する治療、置換漸減療法、 拮抗薬、阻害薬等による消去療法、そして身体依存の結果として現れる退薬症候に 対する対症療法等がある (臨床精神薬理, 6, 1121-1129 (2003))。
[0007] 薬物依存症のひとつであるアルコール依存症は、性別を問わず広く各層に認めら れており、日本での有病率は 2%に近いという報告もある。アルコール依存症の治療薬 として日本で使用されているのはいわゆる抗酒薬 (例えばジスルフィラム、シアナミド 等)のみであるが、アルコール依存症の治療において重要な点は、離脱管理と再発 防止にある。欧米では、アルコールの強化効果や飲酒渴望に影響を与えて効果を発 揮するとされるアカンプロステートが臨床使用されている (臨床精神薬理, 6, 1151-11 60 (2003))。つまり、アルコール等の依存性薬物に対する「精神依存」または「身体依 存」の形成を抑制し、かつそれ自体が薬物依存を形成しな!、薬物依存症の予防およ び,または治療剤が望まれて!/ヽる。
[0008] 一方、後述する式 (I)で表される化合物を含むキサンチン誘導体の多くは、例えば
抗パーキンソン病作用、中枢興奮作用、神経変性抑制作用等を有することが知られ ている (特許文献 1、特許文献 2、特許文献 3、特許文献 4、特許文献 5等参照)。また 、例えばアデノシン A受容体拮抗作用、抗うつ作用、抗喘息作用、骨吸収抑制作用
2
、血糖降下作用、血小板増殖抑制作用等を有することが知られている [国際公開第 9
2/06976号パンフレット、国際公開第 94/01114号パンフレット、国際公開第 95/23165 号パンフレット、国際公開第 99/35147号パンフレット、ジャーナル'ォブ 'メディシナル
'ケミストリー(J. Med. Chem.)、第 34卷、 p.1431 (1991年)、ジャーナル'ォブ 'メデイシ ナル 'ケミストリー(J. Med. Chem.)、第 36卷、 p.1333 (1993年)]。
特許文献 1:特公昭 47-26516号公報
特許文献 2 :特開平 6-211856号公報
特許文献 3:特開平 6-239862号公報
特許文献 4:特開平 6-16559号公報
特許文献 5:国際公開第 99/12546号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の目的は、例えばアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはそ
2A
の薬理的に許容される塩を有効成分として含有する薬物依存症の予防および Zまた は治療剤等を提供することにある。 課題を解決するための手段
[0010] 本発明は、以下の (1)〜(44)に関する。
(1) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容さ
2A
れる塩を有効成分として含有する薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
(2) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、キサンチン誘導体である上
2A
記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0011] (3) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (I)
2A
[0012] [化 1]
[0013]
[式中、 R
2および R
3は同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケ -ルまたは低級アルキ-ルを表し、
R4はシクロアルキル、 -(CH )—R5 (式中、 R5は置換もしくは非置換のァリールまたは
2 n
置換もしくは非置換の複素環基を表し、 nは 0〜4の整数を表す)または式 (II)
Y
[0015] (式中、 Y1および Y2は同一または異なって水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを 表し、 Zは置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表 す)を表し、
X1および X2は同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサ ンチン誘導体である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0016] (4) X1および X2が酸素原子である上記 (3)記載の薬物依存症の予防および/また は治療剤。
(5) R4が式 (II)
[0017] [化 3]
(式中、 V1、 Y2および Zはそれぞれ前記と同義である)である上記 (3)または (4)記載の 薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
(6) Y1および Y2が水素原子である上記 (5)記載の薬物依存症の予防および Zまた は治療剤。
(7) Zが置換もしくは非置換のァリールまたは式 (III)
[0020] (式中、 R6は水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ またはアミノを表し、 mは 1〜3の整数を表す)である上記 (5)または (6)記載の薬物依存 症の予防および Zまたは治療剤。
(8) Zが式 (IV)
[0022] (式中、 R7、 R8および R9の少なくとも一つは低級アルキルまたは低級アルコキシを表し 、それ以外は水素原子を表し、 R1Qは水素原子または低級アルキルを表す)または式 ( III)
[0024] (式中、 R°および mはそれぞれ前記と同義である)である上記 (5)または (6)記載の薬物 依存症の予防および Zまたは治療剤。
(9) X1および X2が酸素原子であり、 R1および R2がェチルであり、 R3カ チルであり、 R 4が (E)- 3,4-ジメトキシスチリルである上記 (3)記載の薬物依存症の予防および Zまた は治療剤。
[0025] (10) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が式 (V)
2A
[0027] [式中、 R11は置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を 表し、
R12は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換 のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R13は水素原子、ハロゲンまたは— WR14 (式中、 Wは— 0—または— S—を表し、 R14は 置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしく は非置換の複素環基を表す)を表し、
Q1は水素原子または 3, 4—ジメトキシベンジルを表す]で表される化合物(例えば、 5 -ァミノ- 7- (4-ベンゾピペラジ-ル )-2- (2—フリル) [1,2,4]トリァゾロ [1,5- c]ピリミジン等) である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0028] (11) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が式 (VI)
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[0029] [化 8]
[0030] [式中、 RUAは置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複 素環基を表し、
R12Aは水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置 換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
nlおよび mlは同一または異なって 0〜4の整数を表し、
Q1Aは水素原子または 3, 4—ジメトキシベンジルを表し、
R15は水素原子、置換もしくは非置換のァリール、置換もしくは非置換の複素環基また
は— CR17R18R19 (式中、 R17、 R18および R19は同一または異なって水素原子、ヒドロキシ 、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換 もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、または R18 と R19が隣接する炭素原子と一緒になつて置換もしくは非置換の炭素環を形成する) を表し、
R16は水素原子、ハロゲン、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表 す]で表される化合物(例えば、 5-ァミノ- 2- (2—フリル)- 7- [4- (2-ヒドロキシ- 2-メチル プロピル)ピペラジ-ル )[1,2,4]トリァゾロ [1,5- c]ピリミジン、 5-ァミノ- 2- (2—フリル)- 7- [ 4-(3-ヒドロキシ -3-メチルプロピル)ピペラジ-ル )[1,2,4]トリァゾロ [1,5-c]ピリミジン等) である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0031] (12) R15が一 CR17AR18AR19A (式中、 R17Aはヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、置換も しくは非置換の低級アルコキシまたはイミダゾ [1 ,2-a]ピリジルを表し、
R18Aおよび R19Aは同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル または置換もしくは非置換のァリールを表すか、または R18Aと R19Aが隣接する炭素原 子と一緒になつて置換もしくは非置換の炭素環を形成する)である上記 (11)記載の薬 物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0032] (13) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が式 (VII)
2A
[0033] [化 9]
[0034] [式中、 °は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置 換の低級アルカノィルを表し、
R21は置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R22は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級ァ ルケ-ル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のァリールまた は置換もしくは非置換の複素環基を表し、
W1は単結合、— 0—、— S—、— S(=0)—、 -S(=0)—または— NR23— (式中、 R23は
水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
X3は窒素原子または CR24 (式中、 R24は水素原子または置換もしくは非置換の低級ァ ルキルを表す)を表す]で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依存症の予防お よび Zまたは治療剤。
[0035] (14) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が式 (VIII)
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[0036] [化 10]
[0037] (式中、 Bはフリルまたはチェ-ルを表し、
W2は単結合、 0—または—S—を表し、
Z1は水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、 n2は 0〜5の整数を表す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依存症の予防 および Zまたは治療剤。
[0038] (15) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が式 (IX)
2A
[0039] [化 11]
[0040] [式中、 R25は置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を
R は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級ァ ルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルキ -ル、置換もしくは非置換のシクロアル キル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、 X4は酸素原子、硫黄原子または NR27 (式中、 R27は水素原子、置換もしくは非置換の 低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のァリ
ールを表す)を表し、
Aは隣接する 2個の炭素原子と一緒になつて置換もしくは非置換の炭素環または置 換もしくは非置換の複素環を形成する]で表される化合物である上記 (1)記載の薬物 依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0041] (16) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (X)
2A
[0042] [化 12]
[0043] (式中、 R ま水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしく は非置換のァミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R29は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のシクロ アルキル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環 基を表し、
R3°は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級ァ ルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルキ -ル、置換もしくは非置換のシクロアル キル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を 表し、
R31は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のァリールを表し W3は—CH CH 0"1=0"[—またはーじ=じーを表す)で表される化合物でぁる上
2 2 一
記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0044] (17) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XI)
2A
[0045] [化 13]
[0046] (式中、 は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
R33および R34は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルま たは置換もしくは非置換のァリールを表し、
R35、 R36、 R37、 R38、 R39および R4°は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換 の低級アルキル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環 基を表す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは 治療剤。
[0047] (18) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XII)
2A
[0048] [化 14]
[0049] (式中、 R41は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のァリールま たは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R42は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の複素環基を表 し、
R43はヒドロキシ、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、 X5は窒素原子または CHを表す)で表される化合物(例えば、 3-[2- (チアゾール -2-ィ ルメチル)- 3-ォキソ -2,3-ジヒドロピリダジン- 6-ィル] -2-フエ-ルビラゾロ [1,5- a]ピリジ ン等)である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0050] (19) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XIII)
2A
[0052] (式中、 R44および R45は同一または異なって水素原子、ヒドロキシ、シァ入ニトロ、置 換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換 もしくは非置換のァリールを表す力、または R44と R45が一緒になつてォキソ、ヒドロキシ イミ入ィミノまたはヒドラゾノを形成し、
R46は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のァリールを表し
R47、 R48および R49は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、シァ入ニトロ、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしく は非置換のァリールを表し、
X6は酸素原子または硫黄原子を表す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物 依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0053] (20) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XIV)
2A
[0054] [ 16]
[0055] (式中、 R5°は水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルま たは置換もしくは非置換のアミノを表し、
R51は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換 の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低 級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアミノを表し、
R52は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換 もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R53は置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を 表し、
X7および X8は同一または異なって窒素原子または CHを表す)で表される化合物 (例 えば 5- [6-ァミノ- 8- (3-フルオロフェ-ル )-9H- 9-プリ-ル]- 1-メチル -1,2-ジヒドロ- 2- ピリミジン等)である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0056] (21) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XV)
2A
[0057] [化 17]
[0058] (式中、 R54は置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のァリール または置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R55は置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
W4は単結合または C(=0) を表す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依 存症の予防および Zまたは治療剤。
[0059] (22) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XV-A)
2A
[0060] [化 18]
[0061] (式中、 R54は前記と同義であり、
n3は 1〜4の整数を表し、
R8°は置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で 表される化合物(例えば 5-ァミノ- 2- (2-フリル)- 7- (2- {4- [4- (2-メトキシエトキシ)フエ- ル]ピペラジ-ル }ェチル)ピラゾ口 [4,3-e]-l,2,4-トリァゾロ [1,5-c]ピリミジン等)である 上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0062] (23) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XVI)
2A
[0063] [化 19]
[0064] [式中、 R5bは水素原子、ハロゲン、シァ入置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級ァルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換 もしくは非置換のシクロアルキルを表し、
R57は水素原子、ハロゲン、シァ入ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級ァルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換 もしくは非置換のァリールを表し、
R58は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換 もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R59および R6°は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換のァリールまたは 置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
W5は単結合、— S—、— N(R61)— (式中、 R61は水素原子または置換もしくは非置換の 低級アルキルを表す)、— CH CH —、 — CH = CH—、— C = C—または— 0—を表し
2 2
X9および X1Qは同一または異なって窒素原子または CHを表す]で表される化合物で ある上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0065] (24) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XVII)
2A
[0066] [化 20]
[0067] (式中、 R は置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のァリールま
たは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R63および R65は同一または異なって水素原子、シァノまたはフエニルスルホ-ルを表 し、
R64は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のァリール、置換もしくは非置換の芳 香族複素環基または置換もしくは非置換のアミノを表し、
R66は置換もしくは非置換のアミノを表す)で表される化合物(例えば 2-(4,5-ジヒドロフ ラン- 2-ィル) -7- m-トリル- [1,2,4]トリァゾロ [1,5- a]ピリミジン- 5-ィルァミン等)である上 記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0068] (25) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XVIII)
2A
[0069] [化 21]
[0070] (式中、 Rwは置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素 環基を表し、
R68は置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R69および R7Qは同一または異なって水素原子または置換もしくは非置換のアミノを表 す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療 剤。
[0071] (26) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XIX)
2A
[0072] [化 22]
(式中、 R71はシァノ、カルボキシまたは置換もしくは非置換の力ルバモイルを表し、 R72は水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置 換のァリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R73および R74は同一または異なって置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは
非置換の複素環基を表す)で表される化合物である上記 (1)記載の薬物依存症の予 防および Zまたは治療剤。
[0074] (27) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XX)
2A
[0075] [化 23]
[0076] [式中、 R75は水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジルォキシ、トリフルォロメチルォ キシ、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキ シを表し、
R76および R77は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級 アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
R78は水素原子、ハロゲン、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換も しくは非置換の低級ァルケ-ル、置換もしくは非置換の低級アルカノィル、置換もしく は非置換の低級アルコキシカルボ-ル、置換もしくは非置換のァリールまたは置換も しくは非置換の複素環基を表し、
R79は置換もしくは非置換のフエ-ノレを表し、
- C(=XU)-は- C(=0)-、 -C(=S)-または- CH -を表す]で表される化合物である上記 (1)
2
記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0077] (28) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、(-H11S,2' R)- α - 2-ピぺ
2Α
リジ-ル -2,8-ビス (トリフルォロメチル) -4-キノリンメタノールである上記 (1)記載の薬物 依存症の予防および Ζまたは治療剤。
(29) アデノシン Α 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XXI)
2A
[0078] [化 24]
[0079] (式中、 R
81は置換もしくは非置換のァリール、置換もしくは非置換のシクロアルケニル または置換もしくは非置換の複素環基を表し、
W6は単結合または— C(=0)—を表し、
R82は置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)である上記 (1)記載の薬物依存症 の予防および Zまたは治療剤。
[0080] (30) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物が、式 (XXI-A)
2A
[0081] [化 25]
[0082] (式中、 R81は前記と同義であり、
n4は 1〜4の整数を表し、
R83は置換もしくは非置換のァリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で 表される化合物(例えば 5-ァミノ- 2- (2-フリル)- 7- (2- {4- [4- (2-メトキシエトキシ)フエ- ル]ピペラジ-ル }ェチル)イミダゾ [4,3-e]-l,2,4-トリァゾロ [1,5-c]ピリミジン等)である上 記 (1)記載の薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0083] (31) 薬物依存力 精神依存である上記 (1)〜(30)のいずれかに記載の薬物依存症 の予防および Zまたは治療剤。
(32) 薬物依存が、身体依存である上記 (1)〜(30)のいずれかに記載の薬物依存症 の予防および Zまたは治療剤。
(33) 薬物依存症が、アルコール依存症である上記 (1)〜(30)のいずれかに記載の 薬物依存症の予防および Zまたは治療剤。
[0084] (34) 上記 (1)〜(30)のいずれかに記載のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化
2A
合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する薬物依存の形成 抑制剤。
(35) 上記 (1)〜(30)のいずれかに記載のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化
2A
合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する精神依存の形成
抑制剤。
(36) 上記 (1)〜(30)のいずれかに記載のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化
2A
合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する身体依存の形成 抑制剤。
[0085] (37) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容さ
2A
れる塩の有効量を投与することを特徴とする薬物依存症の予防および Zまたは治療 方法。
(38) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容さ
2A
れる塩の有効量を投与することを特徴とする薬物依存の形成抑制方法。
(39) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容さ
2A
れる塩の有効量を投与することを特徴とする精神依存の形成抑制方法。
[0086] (40) アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容さ
2A
れる塩の有効量を投与することを特徴とする身体依存の形成抑制方法。
(41) 薬物依存症の予防および Zまたは治療剤の製造のための、アデノシン A
2A受 容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(42) 薬物依存の形成抑制剤の製造のための、アデノシン A 受容体拮抗作用を有
2A
する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
[0087] (43) 精神依存の形成抑制剤の製造のための、アデノシン A 受容体拮抗作用を有
2A
する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(44) 身体依存の形成抑制剤の製造のための、アデノシン A 受容体拮抗作用を有
2A
する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
発明の効果
[0088] 本発明により、例えばキサンチン誘導体等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有す
2A
る化合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する薬物依存症の 予防および Zまたは治療剤等が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0089] 本発明で予防および Zまたは治療される薬物依存症としては、「精神依存」のみま たは「精神依存」と「身体依存」を形成する「依存性薬物」に対する「薬物依存」の結果
として生じる行動障害、精神障害、臓器障害等があげられ、具体的には依存性薬物 の使用による ICD-10に記載の精神および行動の障害、ならびに DSM- IVに記載の物 質関連障害等があげられる。
[0090] 該「精神依存」とは薬物を使用せずにはいられなくなった精神状態であり、その薬 物の使用を中止したり減らしたりすることにより、強い不安感、薬物への強い欲求等 の精神異常、薬物探索行動等の行動異常等を生じる状態である。
該「身体依存」とはその薬物の使用を中止したり減らしたりすることにより、不眠、不 安、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚、嘔吐、下痢等の薬物の欠乏からくる不快な 症状(「退薬症候」:離脱症状、禁断症状ともいう)等の身体的異常を生じる状態であ る。
[0091] 該「薬物依存」とは、生体と薬物の相互作用の結果として生じた、生体のその薬物 に対する「精神依存」のみ、または「精神依存」と「身体依存」を呈した状態である。 該「依存性薬物」としては、例えばアルコール (例えばエタノール、エタノールを含む 飲食物等)、ァヘン類(例えばァヘン、ヘロイン、オビゥム、モルヒネ、コディン、メサド ン等のォピオイド類、それらを含む鎮痛剤等)、大麻類 (例えば大麻、マリファナ、ハシ シュ、カンナピノイド類等)、鎮咳剤 (塩酸メチルエフェドリン、リン酸コディン、リン酸ジ ヒドロコディン等を含有する鎮咳剤)、睡眠剤(例えばバルビツール酸系薬剤、ベンゾ ジァゼピン系薬剤、その他精神安定剤等)、コカイン、カフェインを含む精神刺激剤( 例えばアンフェタミン、メタンフェタミン等の覚醒剤、カフェイン、カフェイン含有飲料 等)、幻覚剤(例えば LSD (リゼルギン酸ジェチルアミド)、メスカリン、シロシビン、サイ ロビシン、 MDMA (3,4-メチレン- 4-メチルアンフエタミン)、 2,5-ジメトキシ -4-メチルァ ンフエタミン、ぺョーテ等)、タバコ(例えばニコチン、ニコチン含有製品等)、揮発性 溶剤 (例えばトルエン、アセトン、酢酸ェチル、エーテル、クロ口ホルム、四塩化炭素等 )、精神作用物質 (例えばデザイナーズドラッグ、マジック 'マッシュルーム等)等があ げられる。
[0092] アデノシン A 受容体拮抗作用としては、例えばアデノシン A 受容体と結合すること
2A 2A
、またはアデノシンのアデノシン A 受容体への結合を妨害もしくは予防的に阻害す
2A
ることにより、アデノシンが関与する生理作用の少なくともひとつを阻害、抑制または
停止させる作用等があげられる。
アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物としては、アデノシン A 受容体拮抗
2A 2A 作用を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば US 5,484,920、 US 5,703, 085、 WO 92/06976、 WO 94/01114、 US 5,565,460、 WO 98/42711、 WO 00/17201、 WO 99/43678、 WO 99/26627、 WO 01/92264、 WO 99/35147、 WO 00/13682、 WO 00/13681、 WO 00/69464、 WO 01/40230、 WO 01/02409、 WO 01/02400、 EP 1054 012、 WO 01/62233、 WO 01/17999、 WO 01/80893、 WO 02/14282、 WO 01/97786 、 WO 03/032996、 WO 03/048163、 WO 03/049164、 WO 03/049165等に記載の化 合物があげられる。具体的には、例えば上記の式 (1)、式 (V)〜(XXI)、式 (XV-A)およ び式 (XXI-A)で表される化合物(以下、それぞれィ匕合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合 物 (XV-A)および化合物 (XXI-A)と!、う)、 (-H11S,2, R)- a -2-ピベリジ-ル- 2,8-ビス ( トリフルォロメチル) -4-キノリンメタノール等があげられる。中でも化合物 (I)または (X)の ようなキサンチン誘導体、化合物 (V)、 (VI), (IX)または (XV)のような [1,2,4]トリァゾロ [1, 5-c]ピリミジン誘導体、化合物 (VII)または (VIII)のような [1,2,4]トリァゾロ [1,5-a]ピリミジ ン誘導体等が好ましぐ特に下記の化合物等が好ましい。
[化 26]
[0094] 式 (I)〜(XXI)、式 (XV-A)および式 (XXI-A)の各基の定義において、
低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボ- ルおよび低級アルカノィルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状 の炭素数 1〜8のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、ェチル、プロピル、イソプ ロピノレ、ブチル、イソブチル、 sec-ブチル、 tert-ブチル、ペンチノレ、ネオペンチル、へ キシル、ヘプチル、ォクチル等があげられる。
[0095] 低級ァルケ-ルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数 2〜8のァルケ-ルが あげられ、具体的にはビュル、ァリル、メタクリル、クロチル、 3-ブテュル、 2-ペンテ- ル、 4-ペンテ-ル、 2-へキセ -ル、 5-へキセ -ル、 2-ヘプテュル、 2-オタテュル等が あげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数 2〜8のアルキニルが あげられ、具体的にはェチュル、プロパルギル、 2-ブチュル、 3-ブチュル、 2-ペンチ -ノレ、 4-ペンチ-ノレ、 2-へキシュノレ、 5-へキシュノレ、 4-メチノレ- 2-ペンチ-ノレ、 2-へ プチニル、 2-ォクチ-ル等があげられる。
[0096] シクロアルキルとしては、例えば炭素数 3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的
にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロへプチル 、シクロォクチル等があげられる。
シクロアルケ-ルとしては、例えば炭素数 4〜8のシクロアルケ-ルがあげられ、具体 的にはシクロブテニノレ、シクロペンテ二ノレ、シクロへキセニノレ、シクロへプテニノレ、シク 口オタテュル等があげられる。
[0097] ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
ァリールとしては、例えば炭素数 6〜14のァリールがあげられ、具体的にはフエ-ル 、ナフチル、アントリル等があげられる。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子力 選ばれ る少なくとも 1個の原子を含む 5員または 6員の単環性芳香族複素環基、 3〜8員の環 が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子力 選ばれる 少なくとも 1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはピリジ ル、ピラジ -ル、ピリミジ -ル、ピリダジ -ル、ォキソピリダジ -ル、キノリル、イソキノリ ル、フタラジュル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリ ル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、トリァゾリル、テトラゾリル、チェニル、フリル 、チアゾリル、イソチアゾリル、ォキサゾリル、イソォキサゾリル、ォキサジァゾリル、チア ジァゾリル、ォキソォキサジァゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、 2-ォキ ソベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチェ-ル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリア ゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾォキサゾリル、プリニル、ジベンゾフラ -ル、イミダゾ [ 1,2-a]ピリジル等があげられる。
[0098] 複素環基としては、例えば前記芳香族複素環基の定義であげた基に加え、脂環式 複素環基があげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子およ び硫黄原子力ゝら選ばれる少なくとも 1個の原子を含む 5員または 6員の単環性脂環式 複素環基、 3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および 硫黄原子力ゝら選ばれる少なくとも 1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげ られ、具体的にはビラ-ル、チォビラ-ル、ピロリジ -ル、ピペリジ入ピぺラジュル、ピ ベリジ-ル、イミダゾリジ -ル、チアゾリジ -ル、モルホリ入モルホリニル、チオモルホ リ入チオモルホリニル、ホモピベリジ入ホモピぺラジュル、テトラヒドロピリジニル、ジ
ヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ォキサゾリニル、ォキ サゾリジニル、ォキソォキサゾリジニル、ォキサジァゾリニル、ォキソラエル、テトラヒド ロフラニル、テトラヒドロビラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ォキソピぺラジュル、 2-ォキ ソピロリジニル、ジォキソラニル、 1,3-ベンゾジォキソリル、 1,4-ベンゾジォキサニル、 3 ,4-ジヒドロ- 2H-1 ,5-ベンゾジォキセピニル、ベンゾピラニル、ベンゾジヒドロピラニル 、ペルヒドロジァゼピ -ル、ペルヒドロジァゾシ -ル、ペルヒドロジァゾ二-ル等があげ られる。
[0099] Aと隣接する 2個の炭素原子が一緒になつて形成される複素環としては、例えば窒 素原子、酸素原子および硫黄原子力 選ばれる少なくとも 1個の原子を含む 5員また は 6員の単環性複素環、 3〜8員の環が縮合した二環または三環性で、例えば窒素原 子、酸素原子および硫黄原子力 選ばれる少なくとも 1個の原子を含む縮環性複素 環等があげられ、具体的にはピロール、ピラン、チォピラン、ピリジン、チアゾール、ィ ミダゾール、ピリミジン、トリアジン、インドール、キノリン、ベンゾチアゾール、ピロリン、 テトラヒドロピリジン、テトラヒドロビラジン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等 があげられる。
[0100] Aと隣接する 2個の炭素原子が一緒になつて形成される炭素環としては、例えば炭 素数 4〜8のシクロアルケン等があげられ、具体的にはシクロブテン、シクロペンテン、 シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオタテン等があげられる。
隣接する炭素原子と一緒になつて形成される炭素環としては、例えば炭素数 4〜8 のシクロアルカン、シクロアルケン等があげられ、具体的にはシクロブタン、シクロペン タン、シクロへキサン、シクロヘプタン、シクロ才クタン、シクロブテン、シクロペンテン、 シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオタテン等があげられる。
[0101] 置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルカノィル、置換低級アルコ キシカルボ-ル、置換低級ァルケ-ルおよび置換低級アルキ-ルにおける置換基 (A )としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の置換基があげられ、具体的には ヒドロキシ、シァ入ニトロ、カノレボキシ、力ルバモイル、アミ入ベンジルォキシ、フエノ キシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、シクロアルキル、低級アル力 ノィル、低級アルコキシカルボ-ル、低級アルキルアミ入ジ低級アルキルアミ入置
換もしくは非置換のァリール、置換もしくは非置換の複素環基等があげられる。
[0102] 置換基 (A)の例示であげたノヽロゲン、シクロアルキル、ァリールおよび複素環基はそ れぞれ前記と同義であり、低級アルコキシ、低級アルカノィル、低級アルコキシカル ボニル、低級アルキルァミノおよびジ低級アルキルァミノの低級アルキル部分は前記 低級アルキルと同義であり、ジ低級アルキルァミノの 2個の低級アルキル部分は同一 でも異なっていてもよい。
[0103] 置換基 (A)の例示であげた置換ァリールおよび置換複素環基における置換基として は、同一または異なって例えば置換数 1〜3の置換基があげられ、具体的には後記の 置換基 (C)の例示であげる置換基等があげられる。
置換基 (A)の例示であげた置換低級アルコキシにおける置換基 (a)としては、同一ま たは異なって例えば置換数 1〜3の置換基があげられ、具体的にはハロゲン、ヒドロキ シ、アミ入カルボキシ、アジド、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボ-ル等があげ られる。置換基 (a)の例示であげたハロゲンは前記と同義であり、低級アルコキシおよ びは低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義で ある。
[0104] 置換ァミノおよび置換力ルバモイルにおける置換基 (B)としては、同一または異なつ て置換数 1または 2の置換基があげられ、具体的には置換もしくは非置換の低級アル キル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ等があげられる。
置換基 (B)の例示であげた低級アルキルおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と 同義であり、置換基 (B)の例示であげた置換低級アルキルおよび置換低級アルコキ シにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の置換基があげ られ、具体的には前記置換基 (a)の例示であげた置換基等があげられる。
[0105] 置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、隣接する炭素原子と一緒になつて形 成される置換炭素環、 Aと隣接する 2個の炭素原子が一緒になつて形成される置換炭 素環、置換ァリール、置換フエニル、置換複素環基、置換芳香族複素環基および Aと 隣接する 2個の炭素原子が一緒になつて形成される置換複素環における置換基 (C) としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の、具体的にはヒドロキシ、ニトロ、 アミ入カルボキシ、スルホ、トリフルォロメチル、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケ
-ル、低級アルキ-ル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、低級アルキルアミ入 ジ低級アルキルアミ入置換もしくは非置換のァリール、ァリールォキシ、ァラルキル、 ァラルキルォキシ、低級アルカノィル、低級アルカノィルォキシ、ァロイル、ァロイルォ キシ、ァリールアルカノィルォキシ、低級アルコキシカルボ-ル、低級アルキル力ルバ モイル、ジ低級アルキル力ルバモイル、低級アルコキシスルホ -ル、低級アルキルス ルファモイル、ジ低級アルキルスルファモイル等があげられる。
[0106] 置換基 (C)の例示であげた低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミ入ジ 低級アルキルアミ入低級アルカノィル、低級アルカノィルォキシ、低級アルコキシ力 ルポ-ル、低級アルキル力ルバモイル、ジ低級アルキル力ルバモイル、低級アルコキ 低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲン、低級アルケニルお よび低級アルキ-ルはそれぞれ前記と同義である。ジ低級アルキルアミ入ジ低級ァ 分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ァリールおよびァリールォキシのァリー ル部分は前記ァリールと同義であり、ァラルキルおよびァラルキルォキシのァラルキ ル部分としては、例えばベンジル、フエネチル等があげられる。ァロイルおよびァロイ ルォキシのァロイル部分としては、例えばべンゾィル、ナフトイル等があげられる。ァリ 一ルアルカノィルォキシのァリールアルキル部分としては、例えばベンジル、フエネチ ル等があげられる。
[0107] 置換基 (C)の例示であげた置換低級アルコキシおよび置換ァリールにおける置換 基 (c)としては、同一または異なって例えば置換数 1〜3の、具体的には前記置換基 (a) の例示であげた置換基等があげられる。
アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物の薬理学的に許容される塩としては
2A
、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニゥム塩、有機アミン付カロ 塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
[0108] アデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物の薬理学的に許容される酸付加塩
2A
としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フ マル酸塩、酒石酸塩、クェン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬
理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金 属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛 塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモ-ゥム塩としては、例えばアンモ-ゥ ム、テトラメチルアンモ -ゥム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付 加塩としては、モルホリン、ピぺリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容される アミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フエ-ルァラニン等の付加塩があげられる
[0109] 化合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV-A)およびィヒ合物 (XXI-A)は、それぞれ 例えば特公昭 47-26516号公報、ジャーナル'ォブ 'メデイシナル 'ケミストリー(J. Med. Chem.)、第 34卷、 p.1431 (1991年)、ジャーナル'ォブ 'メディシナル 'ケミストリー(J. Med. Chem.)、第 36卷、 p.1333 (1993年)、 WO 92/06976、特開平 6- 211856号公報、 特開平 6- 239862号公報、 WO 95/23165、特開平 6- 16559号公報、 WO 94/01114、 W 0 99/12546、 WO 99/35147、 US 5,484,920、 US 5,703,085、 WO 92/06976、 WO 94/ 01114、 US 5,565,460、 WO 98/42711、 WO 00/17201、 WO 99/43678、 WO 99/2662 7、 WO 01/92264、 WO 99/35147、 WO 00/13682、 WO 00/13681、 WO 00/69464、 WO 01/40230、 WO 01/02409、 WO 01/02400、 EP 1054012、 WO 01/62233、 WO 0 1/17999、 WO 01/80893、 WO 02/14282、 WO 01/97786、 WO 03/032996、 WO 03/ 048163、 WO 03/049164、 WO 03/049165等に開示された方法でまたはそれらに準じ て製造することができる。各製造法における目的化合物は、有機合成化学で常用さ れる精製法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー 等に付して単離精製することができる。
[0110] 化合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV-A)およびィヒ合物 (XXI-A)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物のそれぞれ塩を取得したいとき、化合物 (1)、化
2A
合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV-A)およびィヒ合物 (XXI-A)等のアデノシン A 受容体拮
2A
抗作用を有する化合物がそれぞれ塩の形で得られる場合には、そのまま精製すれば よぐまた、遊離の形で得られる場合には、化合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV -A)および化合物 (XXI-A)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物をそれ
2A
ぞれ適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればょ 、
[0111] また、化合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV-A)およびィ匕合物 (XXI-A)等のアデ ノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩は、
2A
水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の 薬物依存症の予防および Zまたは治療剤に用いることができる。
化合物 (1)、化合物 (V)〜(XXI)、化合物 (XV-A)および化合物 (XXI-A)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物の中には光学異性体等の立体異性体が存在し
2A
得るものもある力 全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物も本発明の薬物 依存症の予防および zまたは治療剤に用いることができる。
[0112] 化合物 (I)の具体例を表 1に示す。
[0113] [表 1]
表 1
化合物番号
[0114] 以下に試験例により本発明の効果を具体的に説明する。
試験例 1:アルコール嗜好性への影響
<アルコール嗜好性の評価方法 >
C57BL/6Jマウス (チヤ一ルスリバ一、雄性、 7週齢)を購入し、 1週間の馴化期間を置 いた後、個別ケージに入れて飼育した (以下、該 C57BL/6Jマウスをマウスと称する)。 それぞれのケージに同型の 2本の飲水ボトルを設置し、片方の飲水ボトルには水の みを、もう片方の飲水ボトルには 10%のエタノールを含有する水を入れた。エタノー ルを含有するボトルの左右の位置は、ボトルの中身を交換する度に入れ替えた。各 飲水ボトルの重量をケージに設置する前と後にそれぞれ測定し、その差を摂取量と した。アルコール嗜好性は、以下の式により算出した。
[0115] [数 1]
[エタノールを含有する水の S取量 (g>]
アルコール嗜好性 =
[水の擾取量 (g) ]十 [エタノールを含有する水の摂取量 (g) ]
[0116] 以下、それぞれの処置により、試験化合物の投与によるアルコール嗜好性への影 響を評価した。
<処置 1 >
試験化合物投与前のアルコール嗜好性の平均値が等しくなるように、マウスを 2群 に分けた。一方を試験化合物投与群、他方を溶媒投与群とした。試験化合物は、 0.5 %のメチルセルロースを含有する注射用蒸留水(大塚製薬社製; 0.5% MC溶液)に懸 濁させ、試験に用いた。試験化合物投与群には試験化合物 (3 mg/kg)を、溶媒投与 群には 0.5% MC溶液を、それぞれ 10 mL/kgの容量で、 1日 2回、 4日間経口投与し、 投与期間中のアルコール嗜好性を 2日間ずつ 2回に分けて評価した。試験結果の解 祈には、試験化合物投与前のアルコール嗜好性が 0.4以上認められたマウスのみを 使用した。試験化合物または溶媒の投与によるアルコール嗜好性への影響は、以下 の式により算出される値により投与前のアルコール嗜好性を 100%とした場合のアルコ ール嗜好性の度合!/、として評価した。その結果を表 2に示す。
[0117] [数 2]
[投与後のアルコール嗜好性] アルコール嗜好性の度合い = 100
[投与前のアルコール嗜好性]
[0118] [表 2] 表 2
[0119] 処置 1の結果、以下のことが判明した。アルコール摂取期間中に、化合物 2を投与 することにより、アルコール嗜好性が低下した。
<処置 2>
試験開始前 8日間のアルコール嗜好性の平均値力 以上のマウスを用い、試験化 合物投与前の嗜好性の平均値が等しくなるように、該マウスを 2群に分けた (このとき のアルコール嗜好性の値を基礎値とする)。一方を試験化合物投与群、他方を溶媒 投与群とした。これらのマウスについて、さらに計 10日間の嗜好性評価を実施し、 2群 に分けた後の嗜好性が安定して 、ることを確認した (このときのアルコール嗜好性の 値を投与前値とする)。試験化合物は、 0.5%のメチルセルロースを含有する注射用蒸 留水(大塚製薬社製; 0.5% MC溶液)に懸濁させ、試験に用いた。試験化合物投与 群には試験化合物 (3 mg/kg)を、溶媒投与群には 0.5% MC溶液を、それぞれ 10 mL/ kgの容量で、 1日 2回、 4日間経口投与した。投与期間中の 4日間は、両群のマウスに 両ボトルから水のみを摂取させた。その後、最終投与の翌日から 3日間について、ァ ルコール嗜好性を評価した。その結果を表 3に示す。
[0120] [表 3]
表 3
*: Pく 0. 05 (Wilcoxon rank sum test)
[0121] 処置 2の結果、以下のことが判明した。化合物 2をアルコール摂取の中断期間中に 投与することにより、再飲時のアルコール嗜好性は、溶媒群と比較して有意に低い値 を示した。
試,験例 2:アルコールの退蓉 (MM)症候における評価
<アルコ一ルの退薬症候の評価方法 >
SDラット (チヤ一ルスリバ一、雄性、 6週齢)を購入し、 6日間の馴化期間を置いた後 、プラスチックケージに入れて飼育した(以下、該 SDラットをラットと称する)。 16日間の 飼育期間中、アルコール非処置群にはデキストリンを、アルコール処置群には 7.4%ェ タノールを含有する液状食をそれぞれ与えた。液状食は 1日 1回交換した。飼育 17日 目に、アルコール処置群にはエタノール(3 g/10 mL/kg)を、アルコール非処置群に は注射用蒸留水(大塚製薬製、 10 mL/kg)をそれぞれ経口投与し、その 6時間後に 5 分間の高架式十字迷路試験を実施した。つまり、床面より 50 cmの高さに走路を有し 、該走路が等しい長さ(50cm)の壁のある走路(closed arm:クローズドアーム)と壁の な 、走路 (open arm:オープンアーム)がクロスした形で構成される高架式の十字迷 路のセンターにマウスを置き、 5分間の試験中にマウスがオープンアームに滞在する 時間を計った。
[0122] アルコールの退薬症候は、エタノールの離脱により発現する不安行動(不安状態) の指標であるオープンアームへの滞在時間により評価した。なお、オープンアームへ
の滞在時間の減少(クローズドアームへの滞在時間の延長)は不安行動が惹起され ていることを示し、オープンアームへの滞在時間の延長(クローズドアームへの滞在 時間の減少)は不安行動が抑制されて 、ることを示す。
<処置 1 >
試験開始の 1時間前に、アルコール処置群およびアルコール非処置群に 0.5% MC 溶液を 5 mL/kgの用量でそれぞれ経口投与した。アルコール処置群としては、飼育 期間中のエタノーノレ摂取量が平均 8 g/kg/日以上となったラットのみを使用した。
[0123] その結果を表 4に示す。
[0124] [表 4]
表 4
*: P<0. 05 (Student' s t - test)
[0125] 処置 1の結果、以下のことが判明した。アルコール処置群ではオープンアームに滞 在する時間は有意に減少し、エタノールの離脱による不安行動が惹起されたことが 確認された。なお、これらの条件で惹起された不安行動等がエタノールの離脱による 退薬症候の症状であることは、例えば「アルコール (Alcohol)」, 22, 101-111 (2000) 等に報告されている。
<処置 2>
アルコール処置群のうち、飼育期間中のエタノール摂取量が平均 8 g/kg/日以上と なったラットのみを使用し、無作為に溶媒投与群および試験化合物投与群 2群の計 3 群に分けた。試験化合物は、 0.5%のメチルセルロースを含有する注射用蒸留水(大 塚製薬社製; 0.5% MC溶液)に懸濁させ、試験に用いた。試験開始の 1時間前に、試 験化合物投与群には試験化合物を、溶媒投与群には 0.5% MC溶液を、それぞれ 5 m
L/kgの容量で経口投与した。
[0126] その結果を表 5に示す。
[0127] [表 5]
表 5
氺: Ρく 0. 01、 : Ρく 0. 001 (Dunnett test)
[0128] 処置 2の結果、以下のことが判明した。化合物 2を投与することにより、エタノールの 離脱による不安行動が有意に抑制され、アルコールの退薬症候が緩解された。
以上の試験例 1の結果から、化合物 (I)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する
2A
化合物またはその薬理的に許容される塩は、アルコール等の依存性薬物の摂取に 対する欲求を抑制する作用、すなわち依存性薬物に対する「精神依存」を抑制する 効果を有することが明らかとなった。また、試験例 2の結果から、化合物 (I)等のアデノ シン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩は、アル
2A
コール等の依存性薬物の摂取を中止することによる「退薬症候 (離脱症候)の発現」、 すなわち「身体依存」を抑制する効果を有することが明らかとなった。
[0129] また、その他の依存性薬物に対する「精神依存」、または「精神依存」および「身体 依存」の形成を抑制する効果については、上記の試験例と同様の試験、嗜好性を指 標とした試験(例えば CPP法等:ライフ'サイエンス「Life ScienceJ , 57, 1277-1284(199 5)、サイコファーマコロジー「Psychopharmacology」, 102, 438- 442(1990)等参照)、依 存性薬物の離脱による不安行動を指標とした試験 (例えば高架式十字迷路試験等) 、モレキユラ一'メデイシン「Molecular Medicine」, 32, 140(1995)等に記載の試験等に
より、確認することができる。
[0130] つまり、化合物 (I)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬
2A
理的に許容される塩は、例えば薬物依存 (依存性薬物に対する精神依存、または精 神依存および身体依存)の形成抑制剤、薬物依存症の予防および Zまたは治療剤 等として有用であることが示唆された。
化合物 (I)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に
2A
許容される塩はそのまままたは各種の製薬形態で使用することができる。本発明の製 薬組成物は、活性成分として、有効な量の化合物 (I)等のアデノシン A 受容体拮抗
2A
作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩を薬理的に許容される担体と 均一に混合して製造できる。これらの製薬組成物は、例えば直腸投与、経口または 非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)等の投与に対して適する単位服用形態 にあることが望ましい。
[0131] 経口服用形態にある組成物の調製においては、何らかの有用な薬理的に許容され る担体が使用できる。例えば懸濁剤およびシロップ剤のような経口液体調製物は、水 、シユークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール、プロ ピレンダリコール等のダリコール類、ゴマ油、ォリーブ油、大豆油等の油類、 p—ヒドロ キシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレ 一バー類等を使用して製造できる。粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤は、ラタトー ス、グルコース、シュークロース、マン-トール等の賦形剤、でん粉、アルギン酸ソー ダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビュルアルコール 、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の表面活 性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。錠剤およびカプセル剤は、投与 が容易であるという理由で、最も有用な単位経口投与剤である。錠剤やカプセル剤 を製造する際には固体の製薬担体が用いられる。
[0132] また、注射剤は、蒸留水、塩溶液、グルコース溶液または塩水とグルコース溶液の 混合物等から成る担体を用いて調製することができる。この際、常法に従い適当な助 剤を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。
化合物 (I)等のアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に
許容される塩は、上記製薬形態で経口的にまたは注射剤等として非経口的に投与 することができ、その有効用量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症 状等により異なる力 l〜100mgZ60kgZ日、好ましくは l〜20mgZ60kgZ日を 1日 1 回または数回に分けて投与するのが適当である。
[0133] 以下に、実施例によって本発明の様態を説明する。
実施例 1
[0134] 錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物 1の 40g、ラタトース 286.8gおよび馬鈴薯でん粉 60gを混合し、これにヒドロキ シプロピルセルロースの 10%水溶液 120gをカ卩える。この混合物を常法により練合し、 造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム 1. 2gを加えて混合し、径 8mmの杵を持った打錠機 (菊水社製 RT-15型)で打錠を行って 、錠剤(1錠あたり活性成分 20mgを含有する)を得る。
[0135] 処方 化合物 1 20 mg
ラタトース 143.4 mg
馬鈴薯でん粉 30 mg
ヒドロキシプロピノレセノレロース 6 mg
ステァリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
実施例 2
[0136] カプセル剤
常法により、次の組成力もなるカプセル剤を調製する。
化合物 2の 200g、アビセル 995gおよびステアリン酸マグネシウム 5gを常法により混合 する。この混合物をカプセル充填機 (Zanasi社製、 LZ-64型)により、ハードカプセル 4 号(1カプセルあたり 120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分 20 mgを含有する)を得る。
[0137] 処方 化合物 2 20 mg
アビセル 99.5 mg
ステァリン酸マグネシウム 0.5 mg
120 mg
実施例 3
[0138] 注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物 3の lgを精製ダイズ油 100gに溶解させ、精製卵黄レシチン 12gおよび注射用 グリセリン 25gをカ卩える。この混合物を常法により注射用蒸留水で lOOOmLとして練合' 乳化する。得られた分散液を 0.2 mのデイスポーザブル型メンブランフィルターを用 いて無菌濾過後、ガラスバイアルに 2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアル あたり活性成分 2mgを含有する)を得る。
[0139] 処方 化合物 3 2 mg
精製ダイズ油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
^Mmm 1.72 mL
2.00 mL
産業上の利用可能性
[0140] 本発明により、例えばアデノシン A 受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬
2A
理的に許容される塩を有効成分として含有する薬物依存症の予防および Zまたは治 療剤等が提供される。