JP5188066B2 - 薬物依存症の予防および/または治療剤 - Google Patents
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Description
「身体依存」とはその薬物の使用を中止したり減らしたりすることにより、不眠、不安、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚、嘔吐、下痢等の薬物の欠乏からくる不快な症状(「退薬症候」:離脱症状、禁断症状ともいう)等の身体的異常を生じる状態である。
(1)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する薬物依存症の予防および/または治療剤。
(2)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、キサンチン誘導体である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R4はシクロアルキル、−(CH2)n−R5(式中、R5は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、nは0〜4の整数を表す)または式(II)
X1およびX2は同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す]で表されるキサンチン誘導体である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(5)R4が式(II)
(6)Y1およびY2が水素原子である上記(5)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(7)Zが置換もしくは非置換のアリールまたは式(III)
(8)Zが式(IV)
(9)X1およびX2が酸素原子であり、R1およびR2がエチルであり、R3がメチルであり、R4が(E)−3,4−ジメトキシスチリルである上記(3)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R12は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R13は水素原子、ハロゲンまたは−WR14(式中、Wは−O−または−S−を表し、R14は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表し、
Q1は水素原子または3,4−ジメトキシベンジルを表す]で表される化合物(例えば、5−アミノ−7−(4−ベンゾピペラジニル)−2−(2−フリル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R12Aは水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
n1およびm1は同一または異なって0〜4の整数を表し、
Q1Aは水素原子または3,4−ジメトキシベンジルを表し、
R15は水素原子、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基または−CR17R18R19(式中、R17、R18およびR19は同一または異なって水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR18とR19が隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環を形成する)を表し、
R16は水素原子、ハロゲン、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表す]で表される化合物(例えば、5−アミノ−2−(2−フリル)−7−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ピペラジニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、5−アミノ−2−(2−フリル)−7−[4−(3−ヒドロキシ−3−メチルプロピル)ピペラジニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R18AおよびR19Aは同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはR18AとR19Aが隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環を形成する)である上記(11)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R21は置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R22は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
W1は単結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−または−NR23−(式中、R23は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表し、
X3は窒素原子またはCR24(式中、R24は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す]で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
W2は単結合、−O−または−S−を表し、
Z1は水素原子、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
n2は0〜5の整数を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R26は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
X4は酸素原子、硫黄原子またはNR27(式中、R27は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)を表し、
Aは隣接する2個の炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の炭素環または置換もしくは非置換の複素環を形成する]で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R29は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R30は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R31は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
W3は−CH2CH2−、−CH=CH−または−C=C−を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R33およびR34は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
R35、R36、R37、R38、R39およびR40は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R42は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R43はヒドロキシ、ハロゲンまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
X5は窒素原子またはCHを表す)で表される化合物(例えば、3−[2−(チアゾール−2−イルメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−6−イル]−2−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R46は置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
R47、R48およびR49は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
X6は酸素原子または硫黄原子を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R51は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換のアミノを表し、
R52は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R53は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
X7およびX8は同一または異なって窒素原子またはCHを表す)で表される化合物(例えば5−[6−アミノ−8−(3−フルオロフェニル)−9H−9−プリニル]−1−メチル−1,2−ジヒドロ−2−ピリミジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R55は置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、
W4は単結合または−C(=O)−を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
n3は1〜4の整数を表し、
R80は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物(例えば5−アミノ−2−(2−フリル)−7−(2−{4−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]ピペラジニル}エチル)ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R57は水素原子、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、
R58は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R59およびR60は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
W5は単結合、−S−、−N(R61)−(式中、R61は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C=C−または−O−を表し、
X9およびX10は同一または異なって窒素原子またはCHを表す]で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R63およびR65は同一または異なって水素原子、シアノまたはフェニルスルホニルを表し、
R64は水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の芳香族複素環基または置換もしくは非置換のアミノを表し、
R66は置換もしくは非置換のアミノを表す)で表される化合物(例えば2−(4,5−ジヒドロフラン−2−イル)−7−m−トリル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イルアミン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R68は置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R69およびR70は同一または異なって水素原子または置換もしくは非置換のアミノを表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R72は水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R73およびR74は同一または異なって置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
R76およびR77は同一または異なってヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、
R78は水素原子、ハロゲン、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R79は置換もしくは非置換のフェニルを表し、
−C(=X11)−は−C(=O)−、−C(=S)−または−CH2−を表す]で表される化合物である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(29)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物が、式(XXI)
W6は単結合または−C(=O)−を表し、
R82は置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
n4は1〜4の整数を表し、
R83は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)で表される化合物(例えば5−アミノ−2−(2−フリル)−7−(2−{4−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]ピペラジニル}エチル)イミダゾ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン等)である上記(1)記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(32)薬物依存が、身体依存である上記(1)〜(30)のいずれかに記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(33)薬物依存症が、アルコール依存症である上記(1)〜(30)のいずれかに記載の薬物依存症の予防および/または治療剤。
(35)上記(1)〜(30)のいずれかに記載のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する精神依存の形成抑制剤。
(36)上記(1)〜(30)のいずれかに記載のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有する身体依存の形成抑制剤。
(38)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする薬物依存の形成抑制方法。
(39)アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする精神依存の形成抑制方法。
(41)薬物依存症の予防および/または治療剤の製造のための、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(42)薬物依存の形成抑制剤の製造のための、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(44)身体依存の形成抑制剤の製造のための、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
該「身体依存」とはその薬物の使用を中止したり減らしたりすることにより、不眠、不安、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚、嘔吐、下痢等の薬物の欠乏からくる不快な症状(「退薬症候」:離脱症状、禁断症状ともいう)等の身体的異常を生じる状態である。
該「依存性薬物」としては、例えばアルコール(例えばエタノール、エタノールを含む飲食物等)、アヘン類(例えばアヘン、ヘロイン、オピウム、モルヒネ、コデイン、メサドン等のオピオイド類、それらを含む鎮痛剤等)、大麻類(例えば大麻、マリファナ、ハシシュ、カンナビノイド類等)、鎮咳剤(塩酸メチルエフェドリン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン等を含有する鎮咳剤)、睡眠剤(例えばバルビツール酸系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、その他精神安定剤等)、コカイン、カフェインを含む精神刺激剤(例えばアンフェタミン、メタンフェタミン等の覚醒剤、カフェイン、カフェイン含有飲料等)、幻覚剤(例えばLSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)、メスカリン、シロシビン、サイロビシン、MDMA(3,4−メチレン−4−メチルアンフェタミン)、2,5−ジメトキシ−4−メチルアンフェタミン、ペヨーテ等)、タバコ(例えばニコチン、ニコチン含有製品等)、揮発性溶剤(例えばトルエン、アセトン、酢酸エチル、エーテル、クロロホルム、四塩化炭素等)、精神作用物質(例えばデザイナーズドラッグ、マジック・マッシュルーム等)等があげられる。
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物としては、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物であれば特に限定されないが、例えばUS 5,484,920、US 5,703,085、WO 92/06976、WO 94/01114、US 5,565,460、WO 98/42711、WO 00/17201、WO 99/43678、WO 99/26627、WO 01/92264、WO 99/35147、WO 00/13682、WO 00/13681、WO 00/69464、WO 01/40230、WO 01/02409、WO 01/02400、EP 1054012、WO 01/62233、WO 01/17999、WO 01/80893、WO 02/14282、WO 01/97786、WO 03/032996、WO 03/048163、WO 03/049164、WO 03/049165等に記載の化合物があげられる。具体的には、例えば上記の式(I)、式(V)〜(XXI)、式(XV−A)および式(XXI−A)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)および化合物(XXI−A)という)、(−)−(11S,2’R)−α−2−ピペリジニル−2,8−ビス(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール等があげられる。中でも化合物(I)または(X)のようなキサンチン誘導体、化合物(V)、(VI)、(IX)または(XV)のような[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体、化合物(VII)または(VIII)のような[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体等が好ましく、特に下記の化合物等が好ましい。
低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニルおよび低級アルカノイルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルキルがあげられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルキニルがあげられ、具体的にはエチニル、プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル、2−ヘプチニル、2−オクチニル等があげられる。
シクロアルケニルとしては、例えば炭素数4〜8のシクロアルケニルがあげられ、具体的にはシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等があげられる。
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキソピリダジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキソオキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、2−オキソベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル等があげられる。
隣接する炭素原子と一緒になって形成される炭素環としては、例えば炭素数4〜8のシクロアルカン、シクロアルケン等があげられ、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等があげられる。
置換基(A)の例示であげた置換低級アルコキシにおける置換基(a)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的にはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アジド、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル等があげられる。置換基(a)の例示であげたハロゲンは前記と同義であり、低級アルコキシおよびは低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義である。
置換基(B)の例示であげた低級アルキルおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と同義であり、置換基(B)の例示であげた置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の置換基があげられ、具体的には前記置換基(a)の例示であげた置換基等があげられる。
アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
化合物(I)、化合物(V)〜(XXI)、化合物(XV−A)および化合物(XXI−A)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物の中には光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物も本発明の薬物依存症の予防および/または治療剤に用いることができる。
試験例1:アルコール嗜好性への影響
<アルコール嗜好性の評価方法>
C57BL/6Jマウス(チャールスリバー、雄性、7週齢)を購入し、1週間の馴化期間を置いた後、個別ケージに入れて飼育した(以下、該C57BL/6Jマウスをマウスと称する)。それぞれのケージに同型の2本の飲水ボトルを設置し、片方の飲水ボトルには水のみを、もう片方の飲水ボトルには10%のエタノールを含有する水を入れた。エタノールを含有するボトルの左右の位置は、ボトルの中身を交換する度に入れ替えた。各飲水ボトルの重量をケージに設置する前と後にそれぞれ測定し、その差を摂取量とした。アルコール嗜好性は、以下の式により算出した。
<処置1>
試験化合物投与前のアルコール嗜好性の平均値が等しくなるように、マウスを2群に分けた。一方を試験化合物投与群、他方を溶媒投与群とした。試験化合物は、0.5%のメチルセルロースを含有する注射用蒸留水(大塚製薬社製;0.5%MC溶液)に懸濁させ、試験に用いた。試験化合物投与群には試験化合物(3mg/kg)を、溶媒投与群には0.5%MC溶液を、それぞれ10mL/kgの容量で、1日2回、4日間経口投与し、投与期間中のアルコール嗜好性を2日間ずつ2回に分けて評価した。試験結果の解析には、試験化合物投与前のアルコール嗜好性が0.4以上認められたマウスのみを使用した。試験化合物または溶媒の投与によるアルコール嗜好性への影響は、以下の式により算出される値により投与前のアルコール嗜好性を100%とした場合のアルコール嗜好性の度合いとして評価した。その結果を表2に示す。
<処置2>
試験開始前8日間のアルコール嗜好性の平均値が0.6以上のマウスを用い、試験化合物投与前の嗜好性の平均値が等しくなるように、該マウスを2群に分けた(このときのアルコール嗜好性の値を基礎値とする)。一方を試験化合物投与群、他方を溶媒投与群とした。これらのマウスについて、さらに計10日間の嗜好性評価を実施し、2群に分けた後の嗜好性が安定していることを確認した(このときのアルコール嗜好性の値を投与前値とする)。試験化合物は、0.5%のメチルセルロースを含有する注射用蒸留水(大塚製薬社製;0.5%MC溶液)に懸濁させ、試験に用いた。試験化合物投与群には試験化合物(3mg/kg)を、溶媒投与群には0.5%MC溶液を、それぞれ10mL/kgの容量で、1日2回、4日間経口投与した。投与期間中の4日間は、両群のマウスに両ボトルから水のみを摂取させた。その後、最終投与の翌日から3日間について、アルコール嗜好性を評価した。その結果を表3に示す。
試験例2:アルコールの退薬(離脱)症候における評価
<アルコールの退薬症候の評価方法>
SDラット(チャールスリバー、雄性、6週齢)を購入し、6日間の馴化期間を置いた後、プラスチックケージに入れて飼育した(以下、該SDラットをラットと称する)。16日間の飼育期間中、アルコール非処置群にはデキストリンを、アルコール処置群には7.4%エタノールを含有する液状食をそれぞれ与えた。液状食は1日1回交換した。飼育17日目に、アルコール処置群にはエタノール(3g/10mL/kg)を、アルコール非処置群には注射用蒸留水(大塚製薬製、10mL/kg)をそれぞれ経口投与し、その6時間後に5分間の高架式十字迷路試験を実施した。つまり、床面より50cmの高さに走路を有し、該走路が等しい長さ(50cm)の壁のある走路(closed arm:クローズドアーム)と壁のない走路(open arm:オープンアーム)がクロスした形で構成される高架式の十字迷路のセンターにマウスを置き、5分間の試験中にマウスがオープンアームに滞在する時間を計った。
<処置1>
試験開始の1時間前に、アルコール処置群およびアルコール非処置群に0.5%MC溶液を5mL/kgの用量でそれぞれ経口投与した。アルコール処置群としては、飼育期間中のエタノール摂取量が平均8g/kg/日以上となったラットのみを使用した。
<処置2>
アルコール処置群のうち、飼育期間中のエタノール摂取量が平均8g/kg/日以上となったラットのみを使用し、無作為に溶媒投与群および試験化合物投与群2群の計3群に分けた。試験化合物は、0.5%のメチルセルロースを含有する注射用蒸留水(大塚製薬社製;0.5%MC溶液)に懸濁させ、試験に用いた。試験開始の1時間前に、試験化合物投与群には試験化合物を、溶媒投与群には0.5%MC溶液を、それぞれ5mL/kgの容量で経口投与した。
以上の試験例1の結果から、化合物(I)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩は、アルコール等の依存性薬物の摂取に対する欲求を抑制する作用、すなわち依存性薬物に対する「精神依存」を抑制する効果を有することが明らかとなった。また、試験例2の結果から、化合物(I)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩は、アルコール等の依存性薬物の摂取を中止することによる「退薬症候(離脱症候)の発現」、すなわち「身体依存」を抑制する効果を有することが明らかとなった。
化合物(I)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩はそのまままたは各種の製薬形態で使用することができる。本発明の製薬組成物は、活性成分として、有効な量の化合物(I)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩を薬理的に許容される担体と均一に混合して製造できる。これらの製薬組成物は、例えば直腸投与、経口または非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)等の投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。
化合物(I)等のアデノシンA2A受容体拮抗作用を有する化合物またはその薬理的に許容される塩は、上記製薬形態で経口的にまたは注射剤等として非経口的に投与することができ、その有効用量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、1〜100mg/60kg/日、好ましくは1〜20mg/60kg/日を1日1回または数回に分けて投与するのが適当である。
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物1の40g、ラクトース286.8gおよび馬鈴薯でん粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵を持った打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
ラクトース 143.4mg
馬鈴薯でん粉 30mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200mg
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製する。
化合物2の200g、アビセル995gおよびステアリン酸マグネシウム5gを常法により混合する。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得る。
アビセル 99.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
120mg
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物3の1gを精製ダイズ油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
精製ダイズ油 200mg
精製卵黄レシチン 24mg
注射用グリセリン 50mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
Claims (1)
- アルコール摂取の中断期間中に投与されるように用いられることを特徴とする、下記式(2)で表される化合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分として含有するアルコール依存症の予防および/または治療剤。
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