明 細 書 アポトーシス誘導物質を含む医薬組成物 技術分野
本発明は、 アポトーシス誘導物質を含む AIDS治療用医薬組成物に関する。 背景技術
人類の脅威であるエイズと成人 T細胞白血病を引き起こすヒトレトロウィル ス (HIV-1及び HTLV-1) は、 進化過程において通常のレトロウイルスに共通 な遺伝子群の他に、 その増殖を制御する調節遺伝子と多くのアクセサリー遺伝 子群による複雑な増殖制御機構を獲得してきた。 発明者は、 これらウィルスの 生物学的特性を担っていると考えられる調節遺伝子ゃァクセサリ一遺伝子に焦 点を当てて、 これらの遺伝子産物の作用機構の解明と機能発揮に関与する宿主 因子の検索などを精力的に行ってきた。 また、 発明者は、 レトロウイルスによ る疾患発症の感受性を規定する宿主の遺伝学的背景について、 分子レベルでの 解析を精力的に進めてきた。
発明者はこれまでに、アクセサリー遺伝子 vprの遺伝子産物である Vprタン パク質の C末端欠失変異体 C81 、 in vitroレベルで強力なアポトーシス誘導 能を有することを明らかにしてきた (国際公開第 00/18426号パンフレツト、 及ぴ Nishizawa M, Kamata M, Katsumata R, Aida Y" J. Virol. 2000, 74, 6058-6067) . そして、 C81ベクターが HIV-1感染細胞をアポトーシスにより 破壊できる可能性を in vitroで明らかにしている。
ところで、 現在 AIDSの治療において、 多剤併用療法 (HAART法) が用い られることが多い。多剤併用療法が有効に作用した結果、血中の HIV量が低下 するが、 その一方で、 多剤併用に伴う患者の精神的な負担や薬剤耐性ウィルス の出現が問題となっている。 また、 多剤併用療法では、 血中ウィルス量が検出 限界以下になった HIV感染者において、 潜伏及び持続感染 HIV-1を完全に排 除することが困難という問題点が指摘されている。 この多剤併用療法に用いら
れる薬剤を初めとする既存の AIDS治療薬の作用機序は、 AIDS由来タンパク 質を標的とするものである。 この場合、 ウィルスが体内である程度増殖してか ら、初めて薬効を発揮することができるため、感染早期に HIV感染細胞を除去 することができない。 これらの問題点から、 既存の作用機序とは異なる AIDS 治療薬の開発が望まれている。 発明の開示
本発明は、 AIDS又は AIDS関連症候群の治療に用いる医薬組成物、 並びに AIDS及び AIDS関連症候群の予防方法又は治療方法を提供することを目的と する。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、 アポトーシス誘 導能を有する物質が AIDS及び AIDS関連症候群の治療に有効であることを見 出した。 アポトーシス誘導能を有する物質として、例えば HIV-1のアクセサリ 一遺伝子 vprがコードする 96アミノ酸残基からなる Vprタンパク質のカルボ キシル末端の 15アミノ酸残基を欠失した変異体 C81があげられる。 本発明者 は当該 C81 が極めて高いアポトーシス活性を有しており、 その結果として HIV-1持続感染細胞を持続的に破壊することに基づく抗 HIV活性を発揮する ことを、 動物レベルにおいて初めて見出した。 本発明はこの知見を基にして完 成されたものである。
すなわち本発明は、 以下のとおりである p
( 1 ) アポトーシス誘導活性を有するタンパク質、 化合物及び遺伝子からなる 群から選ばれる少なくとも 1つの物質を含む医薬組成物。
( 2 ) アポトーシス誘導活性を有する物質が、 担体に含有されたものである上 記 (1 ) に記載の医薬組成物。
( 3 )タンパク質が、 以下の (a)又は (b)のタンパク質である上記(1 )又は(2 ) に記載の医薬組成物。
(a) 配列番号 2に示されるァミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号 2に示されるアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸 が欠失、 置換若しくは付カ卩されたアミノ酸からなり、 かつ、 細胞のアポトーシ
ス誘導活性を有するタンパク質
(4)遺伝子が、以下の (a)又は (b)のタンパク質をコードする遺伝子である上記 (1) 又は (2) に記載の医薬組成物。
(a) 配列番号 2に示されるァミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号 2に示されるアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸 が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸からなり、 かつ、 細胞のアポトーシ ス誘導活性を有するタンパク質
(5) 遺伝子が、 以下の (a)又は (b)の遺伝子である上記 (1) 又は (2) に記載 の医薬組成物。
(a) 配列番号 1に示される塩基配列からなる遺伝子
(b) 配列番号 1に示される塩基配列に相補的な塩基配列と、 ストリンジニン トな条件下でハイブリダィズし、 かつ、 細胞のアポトーシス誘導活性を有する タンパク質をコードする遺伝子
(6) 遺伝子が、 I cB、 Smac/DIABLO、 ICE、 HtrA2/OMI、 AIF、 エンドヌ クレアーゼ G、 Bax、 Noxa、 Hrk、 Mtd、 Bim、 Bad, Bid, PUMA, 活性化 カスパーゼ -3、 Fas及び Tkからなる群から選択されるいずれかのタンパク質 をコードするものである上記 (1) 又は (2) に記載の医薬組成物。
(7) 遺伝子が、 HIV-1に感染している T細胞又はマクロファージにおいてァ ポトーシス誘導を起こすタンパク質をコードする遺伝子でぁる、上記(1)、(2)、 (4)、 (5) 又は (6) に記載の医薬組成物。
(8) 遺伝子のプロモーターが、 Tatタンパク質と結合することにより活性化 するものである上記 (4) 〜 (7) のいずれか 1つに記載の医薬組成物。
(9) 遺伝子のプロモーターが、 LTRである (8) に記載の医薬組成物。
(10) アポトーシス誘導が、 細胞周期が停止している細胞に誘導するもので ある上記 (1) 〜 (9) のいずれか 1つに記載の医薬組成物。
(1 1) 抗ウィルス薬として使用される上記 (1) 〜 (10) のいずれか 1つ に記載の医薬組成物。
(12) AIDS又は AIDS関連症候群を予防又は治療するための上記 (11) に記載の医薬組成物。
(13) 担体が、 T細胞又はマクロファージに取り込まれるものである、 上記 (2) 〜 (12) のいずれか 1つに記載の医薬組成物。
(14) 担体の表面が親水性である、 上記 (2) 〜 (13) のいずれか 1つに 記載の医薬組成物。
(15) 担体が多層膜から構成されるものである、 上記 (2) 〜 (14) のい ずれか 1つに記載の医薬組成物。
(16) 担体が、 TMAG、 DLPC, DOPE及び Suc-PGを含むものである上記 (2) 〜 (15) のいずれか 1つに記載の医薬組成物。 .
(17) TMAGと DLPCと DOPEとの存在比が 1 : 2 : 2である上記(16) に記載の医薬組成物。
(18) 担体がリボソームである上記 (2) 〜 (17) のいずれか 1つに記載 の医薬組成物。
(19) HIV-1, FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2に感染した細胞に上記 (1) 〜 (18) のいずれか 1つに記載の医薬組成物を接触させることを特徴とする、 HIV-1、 FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2感染増殖を抑制する方法。
(20) 上記 (1) 〜 (18) のいずれか 1つに記載の医薬組成物.を HIV感染 者に投与することを特徴とする AIDSの予防又は治療方法。
(21) 上記 (1) 〜 (18) のいずれか 1つに記載の医薬組成物を、 FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2に感染したネコ、 サル、 ゥシ又はヒトに投与することを 特徴とする AIDS関連症候群の予防又は治療方法。 図面の簡単な説明
図 1は、 Vprと C81変異体の関係を示す図である。 数字は、 ァミノ酸配列を N末端側から数えた位置を示す。 「アルギニンリッチドメイン」 は、 アルギニ ンの豊富な領域を示す。 「ロイシン-ジッパー様ドメイン」 は、 ロイシンジッパ 一様領域を示す。
図 2は、 C81変異体によるアポトーシス誘導作用を示す図である。
図 3は、 C81変異体によるアポトーシス誘導作用を示す図である。
図 4は、 C81変異体を用いた HIV感染症に対する遺伝子治療の概念図を示
す。
図 5は、 C81変異体を用いた HIV感染症に対する遺伝子治療の概念図を示 す。
図 6は、 野生型の Vprと C81変異体の発現を示す図である。
図 7は、 HIV-1感染細胞に対するリボソーム封入ベクターの導入によるアポ トーシスの誘導を示す図ある。
図 8は、 HIV-1感染細胞に対する抗 gpl20抗体結合リボソームに封入した発 現べクターの導入によるアポトーシスの誘導を示す図である。
図 9は、 SHIVモデル動物を用いた基礎実験の結果を示す図である。
図 1 0は、 SHIVモデル動物における既存薬剤による処置の結果を示す図で ある。
図 1 1は、 サルにおける本発明の医薬組成物による抗 SHIV作用 (S81変異 体による治療効果) を示す図である。
図 1 2は、 サルにおける本発明の医薬組成物による抗 SHIV作用 (S81変異 体による治療効果) を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を詳細に説明する。 以下に本発明の実施の形態について説明す るが、 これらの形態は、 本発明を説明するための例示であり、 本発明をこの実 施の形態にのみ限定するものではない。なお、本明細書において引用した文献、 および公開公報、 特許公報その他の特許文献は、 参照として本明細書に組み込 むものとする。
1 . C81変異タンパク質
本発明の医薬組成物に含有されるタンパク質は、 HIV-1の vpr遺伝子がコー ドする Vprタンパク質において、 C末端側から 15個のアミノ.酸残基が欠失し た 81アミノ酸残基からなるタンパク質 (配列番号 2 ) である (「C81変異タン パク質」 と呼ぶ場合がある) (図 1 )。 この C81変異タンパク質は実施例に記載 した方法に従って容易に製造することができる。 C81変異タンパク質は、 HIV-1
の vpr遺伝子の核酸配列又は Vpr タンパク質のアミノ酸配列 (Adachi,A.et al.,J.Virol.,59,pp.284-291,1986) を利用することによつても製造可能である。 本発明の C81変異タンパク質は、 野生型 Vprタンパク質に比べてアポトーシ ス誘導作用が著しく高められていることを特徴としている (図 2 )。 図 2は、 C81は、アポトーシスによる細胞増殖の遅延を誘導することを示すものである。 また、本発明の C81変異タンパク質は、 ウィルス感染細胞に発現すると直ちに 細胞にアポトーシスを引き起こす特徴を有する (図 3 )。 図 3は、 C81 変異タ ンパク質を発現した HeLa細胞におけるァネキシン V陽性細胞数の割合の時間 変化 (A) 及びカスパーゼー 3活性の時間変化 (B) を示す。
ここで、 「アポトーシス誘導活性」 とは、 アポトーシスを細胞に引き起こす作 用を意味し、本発明の C81変異タンパク質による高められたアポトーシス誘導 作用は、陰性対照細胞と比較して、ァネキシン V陽性細胞の出現レベルの上昇、 へキスト染色によるアポトーシス小体の出現レベルの上昇 (図 2左パネル) 又 はカスパーゼ (Caspase) ·3若しくは- 9の活性の上昇 (図 2右パネル) を指標 に用いて検出することができる。 図 2右パネル中の 「ActD」 は、 アポトーシス 誘導剤である actinomycin Dで処置した細胞を示す。 これらのアポトーシス誘 導活性は、 本明細書の実施例の方法に従って当業者が容易に確認することがで きる。 また、 本発明のタンパク質は、 Vpr タンパク質と異なり、 実質的に G2 期停止 (arrest)能を有しないことを特徴としている (後述の表 1を参照)。
上記の C81変異タンパク質のアミノ酸配列 (配列番号 2 ) において、 1個又 は数個のァミノ酸残基が置換、 揷入、 付加及び/又は欠失したアミノ酸配列を 有し、 C81変異タンパク質と同様のアポトーシス誘導作用を有するタンパク質 (以下、 「改変タンパク質」 と呼ぶ場合がある) も本発明の医薬組成物に含めて 使用することができる。
改変タンパク質としては、 配列番号 2に示すアミノ酸配列のうち 1若しくは 複数個 (好ましくは 1個又は数個 (例えば 1個〜 10個、 さらに好ましくは 1 個〜 5個)) のアミノ酸が欠失しており、 1若しくは複数個 (好ましくは 1個又 は数個 (例えば 1個〜 10個、 さらに好ましくは 1個〜 5個)) のアミノ酸が他 のアミノ酸で置換されており、 及び Z又は 1若しくは複数個 (好ましくは 1個
又は数個 (例えば 1個〜 10個、 さらに好ましくは 1個〜 5個)) の他のアミノ 酸が付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ上記アポトーシス誘導活性又は抗 ウィルス活性を有する改変タンパク質が挙げられる。 ここで、 抗ウィルス活性 とは、 ウィルスの増殖や機能を阻害する活性を意味し、 ウィルス粒子の標的細 胞への吸着阻害、 ウィルス粒子の脱核阻害、 逆転写反応阻害、 ウィルス RNA 分解阻害、 プロウィルス DNAの細胞 DNAへの組み込み阻害、 プロウィルス DNAの転写阻害、 ウィルス mRNAの阻害、 ウィルスタンパク質のプロセシン グの阻害、 ウィルス出芽の阻害等のいずれをも意味する。 活 1生を阻害する対象 となるウィルスとしては、 例えば HIV-1 (ヒト免疫不全ウィルス- 1)、 FIV (ネ コ免疫不全ウィルス)、 SIV (サル免疫不全ウィルス)、 BIV (ゥシ免疫不全ゥ ィルス)、 HIV-2 (ヒト免疫不全ウィルス- 2) などが挙げられる。
上記の改変タンパク質は、 C81変異タンパク質のアミノ酸配列をコードする DNA (配列番号 1 ) を有する大腸菌などを N-二ト口 -Ν'-二ト口 -Ν-二トロソグァ 二ジンなどの薬剤を用いて突然変異処理し、 菌体から改変タンパク質をコード する遺伝子を回収した後、 通常の遺伝子発現操作を行うことによって製造でき る。 また、 前記遺伝子を亜硫酸ナトリウムなどの薬剤で直接処理するか、 ある いは部位特異的変異法 (Kramer, W.et al.,Methods in Enzymology, 154, 350, 1987)やリコンビナント PCR法 (PCR Technology, Stockton press, 1989)などの 手法によってヌクレオチドの欠失、 置換、 又は付加を直接導入してもよい。 遺伝子に変異を導入するには、 部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導 入用キッ ト、 例えば GeneTailorTM Site -Directed Mutagenesis System
(Invitrogen)、 TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System (Mutan-K、 Mutan-Super Express Km等 (タカラバイオ社製)) を用いて行うことができ る。
本発明の遺伝子は、 C81変異タンパク質又は上記改変タンパク質をコードす る核酸配列からなる DNA配列又は RNA配列のいずれをも包含するが、 これ らは上記文献記載の方法に従って容易に入手することが可能である。
また、 配列番号 1に示す塩基配列に相補的な配列と、 ストリンジ工ントな条 件下でハイブリダイズし、 かつ、 細胞のアポトーシス誘導活性を有するタンパ
ク質をコードする遺伝子を、 本発明の医薬組成物に含めて使用することも可能 である。
「ストリンジェントな条件」 とは、 ハイブリダイズさせた後の洗浄時の条件 であって塩 (ナトリウム) 濃度が 150〜2000 mMであり、 温度が 25〜75°C、 好ましくは塩(ナトリウム)濃度が 300〜700 mMであり、温度が 42〜72°Cで の条件をいう。
本発明で用いられる C81変異タンパク質には、 配列番号 2で示される C81 変異タンパク質又はその改変タンパク質の N末端から 1〜: 16のいずれかの長さ のアミノ酸を欠損させたものであって、 かつアポトーシス誘導活性を示すもの も含まれる (以下、 「N末端欠損型 C81変異タンパク質」 ともいう)。 当該 N 末端欠損型 C81変異タンパク質は、 アポトーシス誘導活性を示す限り、 1個又 は数個のァミノ酸残基が置換、 揷入、 付加及ぴ Z又は欠失したアミノ酸配列を 有する改変体も含む。 さらに、 本発明の遺伝子には、 前記 N末端欠損型 C81 変異タンパク質をコードする核酸配列からなる DNA配列又は RNA配列のい ずれをも包含する。 これら N末端欠損型 C81変異タンパク質及びそれらをコ 一ドする核酸配列は、 上記文献記載の方法に従って容易に入手することができ る。
上記の医薬としての利用の目的のために、 本発明のタンパク質は、 他のポリ ぺプチドと融合されていてもよい。 本発明のタンパク質のアミノ酸配列を部分 配列として含む融合タンパク質、 及び該融合タンパク質をコードする遺伝子も 本発明の範囲に包含される。 例えば、 癌細胞などの標的細胞に対して特異的な モノクローナル抗体やそのフラグメントとの融合タンパク質を製造することに より、標的細胞において特異的にアポトーシスを惹起させることが可能になる。 また、 本発明のタンパク質は、 アポトーシス耐性が関与する疾患などの治療 への有用性が期待され、 生化学、 遺伝子工学などの分野における試薬としても 有用である。本発明の遺伝子は、本発明のタンパク質の製造に有用であるほか、 アポトーシス耐性が関与する疾患に対する遺伝子治療に用いることができる。 例えば、 AIDS、 AIDS関連症候群や肝がん、 子宮けいがん、 ATL、 力ポジ肉腫 といったウィルス感染による疾患の予防及び Z又は治療のための遺伝子療法に
用いることができる。 遺伝子療法の手技は特に限定されないが、 通常は、 本発 明の遺伝子をべクタ一に組み込み、 生体内に該組換えべクタ一を導入して本発 明の遺伝子を発現させればよい。 あるいは、 生体から血液を採取し、 当該血液 を適当なベクターを用いて遺伝子治療を施した後に、 生体に戻す方法を選択す ることもできる。
生体内に遺伝子を導入するためのベクターは種々知られており、 当業者は適 当なベクタ一を選択することができる。 当該ベクターには、 例えば、 アデノウ イノレスベクター、 アデノ随伴ウィルスベクター、 レトロウイルスベクター、 レ ンチウィルスベクターを挙げることができる。 また、 特定の細胞において遺伝 子の発現を制御するための手法も当業者に利用可能である。 そのほか、 Tat タ ンパク質により活性化されるプロモーター、例えば図 4又は図 5に示すように、 LTRをプロモーターとして使用し、 本発明の遺伝子を HIV-1LTRの下流に連 結することで、 HIV感染細胞特異的に遺伝子を発現させることができる。 HIV-1LTR の核酸配列を配列番号 3に示す。 上記 LTR の配列は、 例えばネコ FIV感染細胞に対して本発明のベクターを用いてアポトーシス誘導遺伝子を発 現するときには FIVの LTR配列を、同様にサル SIV感染細胞のときは SIVの LTR配列を、 ゥシ BIV感染細胞のときには BIVの LTR配列を、 ヒ ト HIV-2 感染細胞に対するときには HIV-2の LTR配列を用!/、る。これらの LTR配列は、 それぞれのウィルスの Tatと相互作用できる限り、 改変体を用いることもでき る。 その他、 本発明のベクターを抗 HIV gpl20抗体結合陽電荷リボソームに 封入して生体内に導入することにより、 HIV感染細胞に遺伝子を導入すること ができる (図 5 )。
その結果、 HIV感染細胞特異的に C81遺伝子が発現し、 当該細胞を直接的 に破壌することが可能となる。 そして、 サルの SHIV-モデル系を用いて本発明 の医薬組成物の効果を検定したことにより、 本発明の医薬組成物をヒ トの AIDS治療に対する遺伝子治療に応用することができる。
また、 C81変異タンパク質と同じく、 アポトーシス誘導活性を有するタンパ ク質、 化合物、 又は遺伝子 (以下 「アポトーシス誘導物質」 ともいう) も本発 明の医薬組成物に含有することができる。 当該アポトーシス誘導物質に含まれ
る遺伝子には、 例えば Ι κ Β、 Smac/DIABLO, ICE, HtrA2/OMI、 AIF、 ェン ドヌクレア1 "- if G (endonuclease G)、 Bax、 Bak、 Noxa、 Hrk(harakiri)、 Mtd、 Bim、 Bad, Bid, PUMA, 活性化カスパーゼ -3 (activated caspase'3)、 Fas及び Tkからなる群から選択される少なくとも 1つのタンパク質及びそれ らの改変体であって、 アポトーシス誘導作用を有するものをコードする遺伝子 を挙げることができる。
上記タンパク質の意味は以下のとおりである。
I c B: inhibitor of κ B、 NF K Bの阻害剤。
Smac/DIABLO: IAP (inhibitor of apoptosis protein) 制御因子。
ICE: IL-1 beta-converting enzyme、 IL_1 β変換酵素。
HtrA2/OMI: ミ トコンドリァ由来の新規細胞死誘導因子。
AIF: apoptosis maucmg factor ^ アポ 一シス 導因子。
エンドヌクレアーゼ G(endonuclease G): ミ トコンドリァから遊離するェンド ヌクレアーゼ、 アポトーシス DNァーゼ。
Bax: bcl-2 associated X protein0 マルチドメィンメンバー。 アポトーシス促 進。
Bak: Bcl-2ファミリーメンバー。
Noxa : p53 で誘導されるアポトーシスのメディエーター(mediator of p53-induced apoptosis)。
Hrk(harakiri):アポトーシスの活性化剤 (activator of apoptosis)。
Mtd: Bcl-2ファミリーメンパー。 Bcl-2と Bcl-XLのへテ口ダイマリゼーショ ンが生じないときにアポトーシスを活' (·生化する。
Bim: BH3-only サブフアミリ一、 Bcl'2スーパーファミリ一、 アポトーシス誘 導因子、 BH3-onlyタンパク質。
Bad : a heterodimeric partner for Bcl-XL and Bcl-2, displace Bax and promotes cell death。
Bid: Bcl-2ファミ リー、 BH3-onlyタンパク質、 アポトーシス促進。
PUMA: p53 upregulated mediator of apoptosis。
活性化カスパーゼ -3: activated caspase-3。
Fas: FS-7(F)-and FL(F)-Associated cell Surface antigen, アポトーシスシグナルレ セプターの一つ。
Tk:チミジンキナーゼ。
また、 アポトーシス誘導物質に含まれる化合物には、 5-Fluoroumcil、 actmomycm D、 aariamycm、 amsomycin、 apnidicolm、 bleomycin^ cisplatm、 mitomycin C、 campthotecin、 doxorubicin ^ etoposide、 irmotecan、 Be statin ^ Betulinic acid 、 C2 celamide 、 cycloheximide 、 dexamethasone 、 DHMEQ(dehydroxymethylepoxyquinomicin) 、 gefitinib 、 HA 14-1 、 inostamycin、 methotrexate、 paclitaxel、 taxol、 puromycin quercetin N staurosporine、 telomestatin、 TRAIL(TNF related apoptosis inducing ligand) tricostatin A及びハリクロリンからなる群から選択される化合物を挙げること ができる。
これらのタンパク質をコードする遺伝子は、データベースの塩基配列情報 (例 えば各遺伝子の Accession番号) から、 例えば PCR法などの分子生物学的手 法により作製することができ、 あるいは核酸合成機により合成されたものを使 用することもできる。
また、 HIV- 1に感染している T細胞又はマクロファージにおいてアポトーシ ス誘導を起こすタンパク質、 該タンパク質をコードする遺伝子、 あるいはアポ トーシスを誘導する薬剤も、 本発明に含まれる。 加えて、 細胞周期が停止して いる細胞に直ちにアポトーシスを誘導するタンパク質、 該タンパク質をコード する遺伝子、 又は薬剤も本発明に含まれる。
2 . C81変異型タンパク質又は遺伝子のリポソーム封入
本発明は、アポトーシス誘導物質を担体に含有させた医薬組成物を提供する。 担体には、 当業者が薬物運搬体として用いるもの、 例えばリボソーム、 ェマル ジョン、 マイクロスフェアなどを選択することができるが、 リボソームである ことが好ましい。 以下、 リボソームを例にあげて説明する。
( 1 ) リボソーム
本発明において、 C81変異型タンパク質又は遺伝子を初めとする本発明のァ
ポトーシス誘導物質を封入するためのリボソームは、 その構成成分として、 生 理的 pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有するものである。 また、 リボソームは 親水性高分子部位を有する親水性高分子誘導体を有することもできる。 これら の構成成分は、 安全性又は生体内における安定性を考慮すると、 リン脂質ある いはその誘導体、 リン脂質以外の脂質あるいはその誘導体、 または安定化剤、 酸化防止剤、 その他の表面修飾剤の配合が好ましい。
リン脂質としては、 ホスファチジルコリン (レシチン)、 ホスファチジルダリ セロール、 ホスファチジン酸、 ホスファチジノレコリン、 ホスファチジルェタノ ールァミン、 ホスファチジルセリン、 ホスファチジルイノシトール、 スフイン ゴミエリン、 カルジオリビン等の天然又は合成リン脂質、 あるいは、 これらを 常法に従って水素添加したもの等を挙げることができる。
ま た 、 本 発 明 に お い て 、 TMAG (N-( a ■trimethylaminonioacetyl) - idoaecyl'D■ glutamate cnlori e) 、 DLPC (dilauroyl phosphatidylcholine) 及 び DOPE (dioleoyl phosphatidylethanolamine)を構成成分に含むリボソーム(TMAGリボソーム) を用いることが好ましい。 TMAGリボソームは、その表面が陽性に荷電してい るために、 負電荷を帯びている遺伝子の封入率に優れている。 さらに、 TMAG リポソームは細胞毒性も少ないために、 生体に対して安全性の高い遺伝子導入 担体として機能する。 リボソームの遺伝子封入効率は、 遺伝子封入リボソーム を、クロロフオルムーメタノール液などで処理し、封入遺伝子を放出させた後、 DAPI法などの公知の;^法で遺伝子量を測定することによって、 評価すること ができる。
上記構成成分の存在比 (モル比 TMAG:DLPC:DOPE) は、 リボソームが高 V、遺伝子封入率及び高レ、遺伝子導入効率を有する限り限定されるものではない 力 0 . 5〜2 : 1〜3 : 1〜3、好ましくは 0 . 7 5〜: L . 5 : 1 . 5〜2 . 5 : 1 . 5〜2 . 5、 より好ましくは 1 : 2 : 2である。 本発明のリボソーム の構成成分である TMAGの化学式を下記に示す。
また、 DLPC及び DOPEの構造式は以下の通りである
c
なお、 上記各構成成分は、 合成により、 あるいは市販品を使用することがで きる (TMAG: Sogo Pharmaceutical Co., Ltd., DLPC: Sigma ChemicalCo., DOPE : Avanti Polar Lipids)。
さらに、上記の TMAGリポソームに SucPGを含んだ SucPG-TMAGリポソ ーム (SucPG-TMAGリボソームという) を用いることもできる。
SucPGとは、 以下に示す構造を有する化合物であり、 n-decyl基を有するこ とが特徴である。 n-decyl基を有することにより、 SucPGを含むリボソームは リボソーム膜へのアンカリングが可能となる。 また、 Su PG は両親媒性であ り、 両親媒性のポリエチレンダリコールと類似の主鎖骨格および側鎖にカルボ キシル基を有するため、 中性環境下においてはリボソーム膜を安定化するが、
酸性環境化において側鎖カルボキシル基がプロトンィヒされるとリポソ一ム膜を 著しく不安定化し、 その膜融合を誘起するという特徴を有する。 また、 SucPG は、 側鎖のカルボキシル基が解離すると負に帯電するため、 リボソーム膜に固 定化することによってリポソームにいわゆるステルス性 (体内の細網内皮系に よる捕捉を逃れ、 高い血中滞留性を示す性質) を付与することもできる。
— (CH2CHO)x— (CH CHO)y (CH2CHO)z -
CH2OH CH2OCCH2CH2COH CHzOCCh^CHsCONHC
0 0 0
SucPG 上記式中、 X、 Y及び Zはそれぞれ同一または異なる 1以上の整数を示す。 SucPG-TMAG リボソームは膜融合能を有するため、 細胞内への遺伝子導入 において極めて有用である。 特に、 SucPG-TMAG リボソームは、 これまで遺 伝子導入が困難とされていた T細胞やマクロファージに対して、 高い融合能を 示し、 これらの細胞に取り込まれる。 従って、 本発明のリボソームは、 T細胞 又はマクロファージへの効率の良い遺伝子導入に用いることができる。 細胞に 対する遺伝子導入効率は、 例えば、 蛍光タンパク質 (例えばルシフヱラーゼ) の遺伝子を細胞に導入したときの、 遺伝子導入細胞における蛍光強度を測定す ることによって評価することができる。
ここで、 リボソームは、 その構造又は作製法によって、 MLV (multilamellar vesicle 多直層リポノーム)、 DRV dehydration-rehydration vesicles、 冉水 和リボソーム)、 LUV (large umilamellar vesicles、 大きな単層リボソーム) あるいは SUV (small unilamellar vesicles, 小さな単層リボソーム) などに分 類される。 SucPG-TMAGリボソームは、 TMAGリボソームをベースにして作 られる力 この TMAGリボソームにも、多層膜で構成される MLV、 DRV, LUV, 又は SUVなどの種類が存在する。
MLVの作製方法は、薄膜状態の脂質に水系溶媒を加えて水和 *膨潤させた後、 機械的的振動により容器から脂質薄膜を剥離させ作製する。 DRVの作製方法は、 リボソーム (MLV、 SUV等) を凍結乾燥した後、 水系溶媒で再水和させるこ
とにより作製する。 LUVの作製方法は、 有機溶媒 (ジェチルエーテル、 石油ェ 一テル、 ジクロロメタン、 エチルアルコール等) に溶かした脂質溶液を一定の 条件下で水系溶媒の中へ注入し作製する方法 (有機溶媒注入法)、 脂質/界面活 性剤混合ミセルから界面活性剤を除去することにより作製する方法 (界面活性 剤除去法)、 超音波処理をした MLVを液体窒素で凍結させ、 室温で解凍させた 後、 短時間の超音波処理もしくは機械的的振動により作製する方法 (凍結融解 法)、あるいは水と混和しない有機溶媒に溶かした脂質に少量の水系溶媒を加え、 超音波処理により w/oェマルジョンを作製した後、 有機溶媒を減圧下で留去す ることにより作製する方法 (逆相蒸発法) などにより作製する。 SUVの作製方 法は、 薄膜状態の脂質に水系溶媒を加えて水和 *膨潤させた後、 超音波処理を 行うことにより脂質二重膜の再配列を生じさせ作製する。 また、 MLVを超音波 処理、 またはフレンチプレス、 加圧ろ過器あるいはエタストルーダーを用いて 一定の大きさの孔を通すことによつても SUVを作製することができる。
SucPGは、 合成高分子ポリグリシドールを無水コハク酸と N,N-ジメチルフ オルムアミ ド中において 8 0 °Cで 6時間反応させることにより作製することが できる。
本発明の SucPG-TMAGリポソームにおいて、 SucPGは TMAGリポソーム 中に、 自身の持つ n-decyl基を介してリボソーム膜へアンカリングされ、 ポリ エチレングリコールと類似の主鎖骨格おょぴ側鎖のカルボキシル基をリポソ一 ム表面に発現した形態で存在する。 そして、 前述のようにして得られた各種形 態の TMAGリポソーム作製時に、リポソーム構成脂質とともに SucPGを加え、 TMAGリボソームを作製することによって、本発明の SucPG-TMAGリポソ一 ムを得ることができる。
以上のようにして作製された本発明のリボソームは、 以下の物理的特徴を有 する。
(a) 荷電
当該リボソームの表面は陽荷電を有する。 陽荷電を有することにより、 遺伝 子導入効率を高めることができる。
(b) 親水性
本発明のリボソームは親水性を有している。 親水性を得るためには、 リポソ 一ムの膜表面を親水性ポリマーで修飾するとよレ、。 親水性ポリマーとしては、 例えばポリエチレングリコール'、 ポリメチノレエチレングリコール、 ポリヒ ドロ キシプロピレングリ コーノレ, ポリプロピレングリ コーノレ、 ポリメチ^/プロピレ ングリコールなどが挙げられ、 好ましくはポリエチレンダリコールである。 本 発明のリポソ一ムを親水性化するには、 親水' I生ポリマーを脂質膜に埋め込む等 の公知の手法を採用することができる (文献名 : Takeuchi H, Kojima H, Yamamoto H, Kawashima . 2001, Evaluation of circulation profiles of liposomes coated with hydrophilic polymers having different molecular weights in rats. J Control Release. 75:83-91.、 Vertut-Doi A, Ishiwata H, Miyajima K. 1996, Binding and uptake of liposomes containing a poly(ethylene glycol) derivative of cholesterol (stealth liposomes) by the macrophage cell line J774: influence of PEG content and its molecular weight. Bioc im Biophys Acta. 1278:19-28·)。
また、 本発明のリボソームは、 直径が 0.02〜3 ミクロン、 好ましくは 0.:!〜 0.2ミクロンである。前述のように本発明のリボソーム (SUV)は、一定の大きさ の孔を通すことによって、 好ましい直径に作製することができる。
本発明の SucPG-TMAGリポソームは、 膜融合能を持たせるように作製され た遺伝子等の導入用担体であり、 細胞内への遺伝子導入において有用なもので ある。 特に、 本発明のリボソームは、 これまでに遺伝子導入が困難とされてい た T細胞ゃマク口ファージの細胞膜に融合可能であり、 当該細胞への遺伝子導 入において有効なツールとなる。
本発明のリボソームの構成成分は、 安全性又は生体内における安定性を考慮 すると、 上記の TMAG、 DLPC及び DOPEの他、 安定化剤、 酸化防止剤、 そ の他の表面修飾剤の配合が好ましい。
安定化剤としては、膜流動性を低下させるコレステロールなどのステロール、 グリセロール、 シュクロースなどの糖類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、 トコフエロール同族体 (ビタミン E) 等などが挙げら れる。 トコフエロールには、 ひ、 β γ及ぴ δの 4個の異性体が存在するが本
発明においてはいずれも使用できる。
その他の表面修飾剤としては、 グルクロン酸、 シアル酸、 デキストラン等の 水溶性多糖類の誘導体等が挙げられる。
生理的 pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物は、 薬物担体の構造安 定を損なわない限り特に限定されるものではないが、 少なくとも 1つの脂肪族 第一、二級アミノ基、アミジノ基、芳香族第一、二級アミノ基を有する化合物、 及び前記化合物に 1つ以上の水酸基を有する残基と結合させた化合物が挙げら れる。 例えば、 前記化合物とパルミチン酸、 ステアリン酸等の長鎖脂肪族アル コール、 ステロール、 ポリオキシプロピレンアルキル、 またはグリセリン脂肪 酸エステル等の疎水 '14化合物との誘導体が好ましい。 これら誘導体は、 リポソ ームの膜に安定に挿入することができ、 生理的 pH範囲で陽電荷を帯びる部位 をリポソームの表面に存在させることができる。
また、 陽電荷を帯びる部位を有する化合物としては、 ァミノ糖が挙げられ、 例えばダルコサミン、 ガラク トサミン、 マンノサミン、 イノラミン酸、 ィノラ ミン酸エステルなどの単糖、 キチンなどのオリゴ糖、 多糖、 これらの遊離型又 は各種ダリコシドが挙げられる。
( 2 ) リボソームへのアポトーシス誘導物質の封入法
本発明の SucPG-TMAGリボソームに目的物を含有させるには、 まず目的物 が遺伝子の場合には、 MLV、 DRVならびに LUVにおいては、 あらかじめ遺伝 子をリポソーム作製時の水系溶媒に加えることにより含有できる。 SUVにおい ては、 SUV (TMAGリボソーム) と遺伝子とを反応させ複合体を作製した後、 SucPG-TMAGリボソーム (SUV) と反応させることによって行えばよい。 リ ポソームと遺伝子との比は、 1: 20〜1: 60であり、 1 : 40であることが好ま しい。
次に目的物がタンパク質の場合、 各種形態のリボソーム作製時の水系溶媒に あらかじめタンパク質を加えることによってリボソームに含有させればよレ、。 例えば、 タンパク質として抗体を含有させるときの比は、 20%以内、 好ましく は 10%以内である。 また、 前記抗体として、 HIV-1のエンベロープタンパク質
の 1つである pl20の抗体を用いることもできる。前述のリポソームに、 pl20 の抗体をあらかじめ結合させておくことで、 HIV-1に感染している細胞を直接 的かつ特異的に破壌することが可能である (抗 pl20抗体結合リボソーム)。 抗 gpl20抗体は、 HIV-1感染細胞に発現する gpl20を認識する限り、 モノ クローナル抗体、 ポリクローナル抗体であってもよく、 あるいはそれらの断片 であってもよい。
当該抗体は、 当業者であれば市販のものを購入して、 あるいは公知の抗体作 製方法に従って作製して得ることもできる。
さらに、 目的物が化合物等の薬剤である場合、 薬剤が水溶性の場合は、 各種 形態のリボソーム作製時の水系溶媒にあらかじめ加えることにより、 また、 薬 剤が疎水性の場合は、 各種形態のリポソームの脂質溶液に加えることによって リボソームに含有することができる。
3 . 医薬組成物
本発明の医薬組成物は、 抗ウィルス薬、 特に HIV-1、 FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2の増殖抑制剤又は感染予防剤、 あるいは AIDS、 AIDS関連症候群 (ネ コ AIDS、 サル AIDS、 ゥシ AIDS、 ヒ ト HIV-2感染症など) 又はウィルスに よる感染症 (肝がん、 子宮けいがん、 ATL、 力ポジ肉腫など) の発症の予防剤 又は治療剤として使用することができる。 この場合は、 HIV ウィルス感染者 (HIVウィルス陽性の健常者又は AIDS患者) に対して治療又は予防を特異目 的として投与することができる。 また、 健常者に対して、 感染予防の目的で使 用することも可能である。 また、 本発明の医薬組成物を、 FIV、 SIV、 BIV又 は HIV-2に感染したネコ、 サル、 ゥシ又はヒ トに投与することによる AIDS関 連症候群の予防方法又は治療方法を提供する。さらに、本発明は、 HIV-1、 FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2に感染した細胞に、 本発明の医薬組成物を接触させるこ とによる HIV-1、 FIV、 SIV、 BIV又は HIV-2の感染増殖を抑制する方法を提 供する。 上記の疾患は、 単独であっても、 併発したものであっても、 上記以外 の他の疾病を併発したものであってもよく、 いずれも本発明の医薬組成物を使 用する対象とすることができる。
本発明の医薬組成物は、 経口又は非経口的に全身又は局所投与することがで きる。本発明の医薬組成物を経口投与する場合は、錠剤、カプセル'剤、顆粒剤、 散剤、 丸剤、 トローチ剤、 内用水剤、 懸濁剤、 乳剤、 シロップ剤等のいずれの ものであってもよく、 使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよレ、。 また、 本発明の医薬組成物を非経口投与する場合は、 点滴、 静脈内注射、 筋 肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、坐剤などの製剤形態を選択することができ、 点滴又は注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提 供さ る。
これらの各種製剤は、 製剤上通常用いられる賦形剤、 増量剤、 結合剤、 湿潤 剤、 崩壌剤、 潤滑剤、 界面活性剤、 分散剤、 緩衝剤、 保存剤、 溶解補助剤、 防 腐剤、 矯味矯臭剤、 無痛化剤、 安定化剤、 等張化剤等などを適宜選択し、 常法 により製造することができる。
上記各種製剤は、 医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであつ てもよい。 このような担体及び添加物の例として、 水、 医薬的に許容される有 機溶剤、 コラーゲン、 アルギン酸ナトリウム、 水溶性デキストラン、 カルボキ シメチルスターチナトリウム、 ぺクチン、 キサンタンガム、 アラビアゴム、 力 ゼイン、 ゼラチン、 寒天、 グリセリン、 プロピレングリコーノレ、 ポリエチレン ダリコール、 ワセリン、 パラフィン、 ステアリルアルコール、 ステアリン酸、 ヒト血淸アルブミン、 マンニトール、 ソルビトール、 ラクトースなどが挙げら れる。 使用される添加物は、 本発明の剤型に応じて上記の中から適宜又は組み 合わせて選択される。
本発明の医薬組成物の投与量は、 投与対象の年齢、 投与経路、 投与回数によ り異なり、広範囲に変えることができる。本発明の C81変異型タンパク質の有 効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組合せとして投与され る有効量は、一回につき体重 lkgあたり 0.001〜50 mg/body,好ましくは 0.01 〜5 mg/body,さらに好ましくは 1 mg/bodyの範囲の投与量を選ぶことができ、 1日 1回から数回に分けて 1日以上投与される。 投与スケジュールは、 毎日投 与〜 7日おきの投与であることが好ましい。
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明の範囲は下
記の実施例に限定されることはない。
〔実施例 1〕 C81変異体の作製
1 . 材料と方法
HIV-1感染性 DNAクローン pNL432の vpr遺伝子断片の部分である C81 遺伝子の 5'端に Flag配列を連結後、高度発現ベクター pME18neoに挿入した。 以下、 これらの手順を説明する。
(1)C81変異タンパク質をコードする遺伝子(以下、「C81変異遺伝子」と呼ぶ。) の増幅用に設計したプライマーは以下の通りである。
Sense Primer: 5' GAAGATATCCGAACAAGCCCCAGAAGAC-3' (配列番号 4)
Antisense Primer: 5'-GGTCTAGATCATATTCTGCTATGTCGACAC-3' (配 列番号 5 )
接着配列に加え、 sense プライマーの 5'端には Flag-Tag接続のための EcoRVsiteを、 antisenseプライマーの 5'端にはサブクローニングベクター接 続のための Xbal siteを付カ卩した (酵素サイトは下線で示す)。 このプライマー を 用 い て HIV-1 分離株 NL43 の 感 染 性 DNA ク ロ ー ン pNL432(Adachi,A.et.al,,J.Virol.,59,pp.284-291,1986)を铸型とした PCR法を 行い、 C81変異遺伝子断片を増幅した。
(2)铸型 DNA 1 g、 PCR緩衝液 (10mM Tris'HCl pH8.3、 50mM KC1、 1.5mM MgCl2、 0.001%gelatin)、 0.2mM dNTP、 プライマー各 50pniolおよび Ampli Taq polymerase(Perkin Elmer Cetus)2.5unitsを含む反応液中で 94°Cで 5分 間熱変性後、 94°Cで 1分、 54°Cで 1分、 72°Cで 2分の増幅処理を 35回行い、 72°Cで 10分の伸長反応を行った。
得られた PCR産物は、 EcoRVおよぴ Xbalで 4時間以上処理後、 ァガロー スゲル電気泳動により DNAを分画後、 GENECLEAN II KITを用いて目的 DNA断片を溶出、 精製した。
(3) 次に、 増幅断片と Flag-Tag配列とを接続するため、 PCR増幅 C81変異遺 伝子断片をあらかじめ Flag-Tag を接続し EcoRVおよび Xbal処理された
pBluescript SK+.IIベクターにライゲートした (FC81/pBluescript SK+-II) 後、 大腸菌コンピテントセル XLI-Blueに形質転換した。
次に、 FC81/pBluescript SK+-IIから Notlおよび Xhol切断部位で C81変異 遺伝子の DNA断片を切り出し、 GENECLEAN II KITを用いて目的 DNA断 片を溶出し、 pME18Neoにライゲートし、 XLI-Blueに導入して形質転換細胞 を得た。
プラスミド DNAは SDS法により調製し、塩ィヒセシゥム平衡密度勾配遠心法 を用いて精製した。 これと野生型及ぴコントロールベクターをエレクトロポレ ーション法にて HeLa細胞に導入した。 細胞増殖に及ぼす効果をコ口ニー形成 法により解析した。導入 12時間後に 5X105個の細胞を 10cmシャーレに蒔き、 G418を含む選択培地にて 12日間培養し、メタノール固定後にギムザ染色を行 い、 コロニー数を算出した。 この時、 -Gal染色を用いて各変異体につき導入 効率を算出し、 コロニー数を補正した。 細胞周期はフローサイトメトリー法に より解析した。
C81変異遺伝子発現ブラスミドを GFP発現プラスミドと一過性に共導入し、 48時間後に細胞を 1 %ホルムアミド /PBSに続いて 70%メタノールを用いて固 定後、 PI染色液で染色して FACS解析した。 GFPの蛍光をマーカーとして C81 変異遺伝子導入細胞と非導入細胞を選別し、 各分画の DNA含量を調べた。 こ の時、 野生型と同等の G2期停止能を持つ (十)、 野生型より弱い (土)、 持た ない (一)、 として区分した。 同様に、 導入 48時間後に抗 Flag抗体あるいは 抗ミニクロモゾームメンテナンス (MCM)抗体で二重蛍光染色し共焦点レーザ 一顕微鏡で観察した。' MCM陰性: G2期細胞と判定した。
増殖している細胞の検出のため、細胞をプロモデォキシゥリジン (BrdU)存在 下で 30分間培養後、 抗 BrdU抗体で蛍光染色した。 さらに、 導入 48時間後、 ビォチン標識ァネキシン V及び PE標識ストレプトァビジンで蛍光染色した。 GFP陽性細胞を C81変異遺伝子導入細胞のマーカーとして共焦点レーザー顕 微鏡で観察した。 ァネキシン V陽性:アポトーシス誘導細胞と判定した。
同様の方法で vpr全長を含む vpr野生体の発現ベクター、 C81変異タンパク 質の 74番目の Iが Pに変異した C81I74P変異体 (図 1 ) の発現ベクター、 及
び C81 部分又は vpr 部分を含まないコントロールベクターを作製した。 C81I74P変異体は、 C81のロイシンジッパー変異体であり、 アポトーシス能が 欠如している。 なお、 C81の C末端側の 22個のァミノ酸配列および C81I74P 変異体の C末端側の 22個のアミノ酸配列 (図 1)をそれぞれ配列番号 6、配列番 号 7に示す。
2 . 結果
結果を表 1に示す。 Vprタンパク質の C末端から 15アミノ酸残基を欠失し た C81変異タンパク質 (配列番号 2 ) をコードする C81変異遺伝子 (配列番 号 1 ) を導入した HeLa細胞では、 G2期停止が起こらないにも関わらず、 コ ロニー形成能がコントロールベクター導入細胞より約 30%低下していた。また、 C末端欠失 vpr (C81変異体) 導入細胞における BrdUの取り込みは、 コント ロール導入細胞と比較して顕著に低下していた。 さらに、 細胞を G2期マーカ 一である MCMに対する抗血清を用いて蛍光染色した結果、 この細胞増殖抑制 活性が G2期停止によるものではないことが明らかとなった。
以上の結果から、 C末端欠失 Vpr導入細胞では G2期停止とは異なる機序に よって細胞増殖が著しく低下していることが確認された。 そこで、 ァネキシン -Vビォチンによる細胞染色を行ったところ、 C末端欠失 Vprではアポトーシ ス細胞の割合が野生型 Vprに比べ顕著に、 また早く増加していた。 Vprタンパ ク質のカルボキシル末端の 15 アミノ酸残基を欠失した変異体は、 著しく高い アポトーシス活性を誘導することが明らかとなった。
表 1
発現ベクター導入細胞の性状 検査項目 -
C81変異体 野生体 コント口一ゾレべクタ一
G2期停止 一 + ― 抗 -MCM抗体による蛍光染色
63.6% 18.3% 80.0% 陽性細胞の%
コロニー形成能 72.8% 7.6% 100%
BrdUを取り込んだ細胞の% 20.1% 19.5% 34.8% ァネキシン- Vピオチンに
20.7% 1.4% 1.3% よる細胞染色陽性細胞の%
〔実施例 2〕 C81変異体を含むリボソームの製造
( 1 ) C81発現ベクター封入リボソームの作製
pHIV-LTRbsrの LTR下流に、 HIV-lVpr C81変異体を Flag-tag付きで揷入 し、 TMAG陽性荷電リボソームにベクターを封入した。 TMAG陽性荷電リポ ソームである SucPGを含む TMAG リボソームは、 TMAG:DLPC:DOPE、 モ ル比 1:2:2 からなる脂質組成に SuCPG を重量比で 30%加えたて作製した (SucPG-TMAGリボソーム) (MLV)。 発現ベクターの当該リボソーム内への 封入は、リポソーム作製時の水系溶媒に vpr変異体 (C81)発現ベクターを加え、 SucPG-TMAGリボソーム (MLV) を作製することによりに含有させた。
( 2 ) 抗— gp 120モノクローナル抗体 (mAb)結合リボソームの調製
TMAG, DOPE, DLPCの 3つの脂質と DTP-DPPEを 1:2:2:0.1の比率で混 合して脂質膜を作製した。 この脂質膜に PBSと DNAを入れて撹拌後、 リポソ ーム表面にピリジルジチォ基を持たせた DNA封入 TMAGリポソームを得た。 抗ー pl20 mAbは、 SPDPでピリジルジチォ基を導入し、 DTTで還元し、 チ オール化を行った。
抗 pl20mAb結合リポゾームは、 ピリジルジチォ基を表面に持つ DNA封入 TMAG リボソームとチオール基を導入した mAb とを混ぜ、 4°Cで一夜攪拌さ せることにより調整した。
〔実施例 3〕 リボソームによる遺伝子導入
実施例 1及び 2で作製したリボソームを用いて、 細胞へ遺伝子を導入した。 方法は、 エレク ト口ポレーシヨン法、 リン酸カルシウム法、 リポフエクシヨン 法等である。
HIV-lTat による遺伝子の発現誘導は、 エレク ト口ポレーシヨン法等により Tat発現べクタ一を共導入することによって行った。
発現の確認は、 抗 Flag抗体によるウェスタンブロッテイング (図 6 A) 及び 蛍光抗体法 (図 6 B) で行った。 ウェスタンプロッティングは、 Hela細胞に発 現ベクターを -galactosidase プラスミ ドと共導入し、 2 4時間後に、 細胞を 可溶化した。 一部の可溶化液 (lysate)を用いて β -galactosidase活性を測定して、 同じ -galactosidase活性を有する lysateを 15% SDS-PAGEで電気泳動後、 抗 -Flag抗体 M2、 さらに HRP-標識ヒッジ-抗マウス で発色させた。 蛍光抗 体法は、 Hela細胞に発現ベクターを導入し、 2 4時間後に氷上にて 1 %ホルム アルデヒドで細胞を固定し、抗 -Flag抗体 M2、 さらに FITC-標識抗マウス IgG で染色し、 蛍光顕微鏡で観察した。
図 6の Aにおいて、 Tatが実験系に存在するときには Vpr、 C81、 C81I74P が発現したが、 Tatが存在しないときには、 いずれも発現しなかった。 図 6の Bのへキスト染色によって、 Tatの存在下でアポトーシス小体の出現が確認で きた。 従って、 本実施例により、 目的遺伝子は HIV-LTRの下流に連結される ため、 HIV-lTat の存在下で発現が誘導され、 細胞にアポトーシスを誘導する 可能性を有することが示された。
〔実施例 4〕 HIV-1感染細胞への発現べクターの導入
( 1 ) リボソーム封入ベクター
CD4+T細胞株 CEM細胞に、 T細胞指向性の HIV-1感染性クローンである pNL432を感染させた。 2週間の継代培養後、 2 X 106個の細胞に対して陽性荷 電リボソームに封入したプラスミ ド を混和し、一昼夜培養した。 アポト 一シスの指標となるカスパーゼ- 3 (Caspase-3)活性を FACSで測定した。
結果を図 7に示す。 グラフは左から、 Vpr、 C81、 C81I74P, コントロール
ベクターの順であり、それぞれ非感染(黒カラム)及び感染(灰色カラム) CEM 細胞の Caspase-3活性値を示す。 図 7から、 コントロールベクターではなく、 C81ベクターを導入した感染細胞において、著しく高い Caspase-3活性が認め られた。
( 2 ) 抗 gpl20抗体結合リボソームに封入ベクター
次に、 感染細胞に遺伝子を特異的に導入するために、 C81ベクターを封入し たリボソームに抗 -HIV-lgpl20抗体を結合させた担体を用いて、 上記 (1 ) と 同様の検討を行った。
結果を図 8に示す。 その結果、 C81発現ベクターを導入した細胞で、 顕著に 高い Caspase-3活性が検出された。
従って、本実施例から、 C81ベクターが HIV-1感染細胞をアポトーシスによ つて破壊する能力を有することを in vitro レベルで証明することができた。
〔実施例 5〕 サルによる抗 SHIV試験
本実施例において、 使用する SHIVは、 HIV-1の env領域等を有し、 マカク 族サルへの感染が可能な SIV/HIVキメラウィルスである。 SIVと HIVとのキ メラの程度により、毒性に強弱があることが知られている。本実施例において、 強毒 ·弱毒 SHIV感染性分子クローン及びそれらのゲノムを一部互いに入れ換 えたウィルスをァカゲザルに接種した。
まず、 SHIVモデルの基礎実験として、以下の実験を行った。サルに SIV/HIV キメラウィルスの株を投与したときの血漿中のウィルス RNA量(コピー ml) を測定した (図 9左パネル)。 「MM# # #」 (#は数字) は、 感染させたウィル スの株を示す(図 9〜1 1において同じ)。 同時に、 ウィルスを感染させたサル の CD4陽性 T細胞数を測定した。 結果を図 9右パネルに示す。 ウィルスの株 により、 毒性に差のあることがわかる。 また、 MM260、 MM272及ぴ MM339 を感染させたサルに、 それぞれ HAART療法、 HAART療法に用いられる薬剤 の中から Kaletm単体による処置、及ぴ HAART療法を施したときの血漿中ゥ ィルス RNA量を図 1 0に示す。 0から 5週までの彩色した升目はそれぞれの 薬剤による治療を行った期間を示す。 HAART療法の処置中は、 ウィルス RNA
量の低下が見られるが、 処置後はウィルス RNA量の急増が確認された。 次 に、 上記のウィルスをァカゲザルに接種し、 C81遺伝子治療用リボソームを当 該 SHIV感染サルに投与した時の、 血漿中ウィルス RNA量、 末梢血リンパ球 マーカー、 抗体応答、 病理組織及びウィルス遺伝子変異について解析した。 サルへのリボソームの投与は、 C81ベクター l mg/kgを一週間連続して毎日 行つた。 ウィルス RNA量が接種前のレベルで 3週以上安定したときに、 解析 を終了した。 血漿中ウィルス RNA量を測定した結果を図 1 1に示す。 図 1 1 において、彩色を施した升目は、リボソームを投与した期間を示す。また、「MM # # #」 (#は数字) は、感染させたウィルスの株を示す。 図 1 1の左パネルは リポソーム投与 2週前から投与後 5週目までのウィルス RNA量(コピー Zml) を示し、 右パネルはリボソーム投与 2週前から投与後 2 0週目までのウィルス RNA量 (コピー Zml) を示す。
その結果、 C81 遺伝子治療用リボソームを種々の血中ウィルス量を示す SHIV感染サルに投与したところ、 すでにエイズを発症し、 持続的に 107コピ — Zml以上のウィルス量を示すサルに対しては効果があまり認められなかつ た。 し力 し、 105コピー Zml以下の血中ウィルス量を示すサルに対しては、 1 週間の投与期間中に血中ウィルス量が投与前の 1 1 0程度に減少し(図 1 1 )、 末梢血 CD4+T細胞数を増加させる効果があることが確認された (図 1 2、 MM342)。 投与終了直後は、 抗 HIV薬と同様に結集ウィルス量が投与前のレ ベルに戻ったが、 数週間後に血中ウィルス量が検出限界以下に激減し、 特徴的 な二相性のウィルス量の低下作用を示した。 (図 1 1右パネル、 MM341及び MM342、 矢印)。
従って、 血漿中のウィルスレベルを低下するほど、 AIDS の予後が良好であ るため、 本発明の医薬組成物は AIDSの治療において有効であることが示され た。 本実施例により、 このベクターを単独又は HAART法と併用することによ つて、 HIV感染者体内から感染細胞を特異的に駆除できる可能性を強く示して いる。
産業上の利用可能性
本発明により、 AIDS又は AIDS関連症候群の治療に用いる医薬組成物、 並 びに AIDS又は AIDS関連症候群の予防方法又は治療方法が提供される。 本発 明の医薬組成物は、 in vivo、 すなわち HIVモデル動物において、 血中ウィル ス量を低下させ、 かつ、 T細胞の増殖を活性化させる結果、 HIVに対し有効に 感染増殖阻止作用を示す。
また、 本発明の医薬組成物の感染細胞阻止作用は遅延的であるため、 投与ス ケジュ一ルの間隔を設けることができ、患者の負担を低減させることができる。 さらにまた、 本発明の医薬組成物は単剤であるため、 既存の多剤併用療法に 比較すると、 患者の精神的な負担が少なくてすむ。
さらにまた、 本発明の医薬組成物は、 既存の AIDS治療薬のように AIDS由 来タンパク質を標的とするものではなく、 HIVに感染した細胞において敏感に 機能するプロモーターを用いてアポトーシス誘導活性を有するタンパク質の発 現を制御するものである。 このため、 本発明の医薬組成物は、 ウィルス感染初 期の細胞にアポトーシスを誘導し、 結果として in vivoで感染増殖阻止作用を 示す。
従って、 本発明の医薬組成物は AIDSその他のウィルス感染症治療薬として 極めて有用である。
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