明 細 書
リウマチ性多発筋痛症抗体ェピトープペプチド及びリウマチ性多発筋痛 症の検査試薬
技術分野
[0001] 本発明は、リウマチ性多発筋痛症の診断に有効なペプチド及びそれを有効成分と する検査試薬に関する。本検査試薬は、血液などの生体試料を用いて免疫学的方 法により簡便、迅速に実施できるリウマチ性多発筋痛症の検査方法に使用できる。 背景技術
[0002] リウマチ性多発筋痛症は全身の筋痛を主症状とする原因不明の疾患で、高齢者に 多ぐ男性にも多く見られる。その特徴としては、筋力低下や血清クレアチュンキナー ゼ、ミオグロブリン値の上昇を認めず、筋電図にも異常を認めない。診断の決め手が 無!、ことから除外診断の後に診断されると 、う性格を有し、筋痛以外の症状である微 熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振、体重減少などの他のリウマチ性疾患と交叉 する症状が的確な診断を妨げている。特に老人発症の関節リウマチ (以下、 RAとも いう)と相似しており、明確な診断基準が求められている。診断の遅れは重大な合併 症 (動脈炎)を招き、時には死に至る。しかし、治療法は確立しており多くの自己免疫 疾患と異なって、ステロイドの少量投与で劇的な効果を示す為、リウマチ性多発筋痛 症を簡便に精度良く判別できる体外診断薬 ·方法が求められている。
[0003] リウマチ性多発筋痛症の病因については、遺伝的、環境的、免疫学的などの要因 においても不明である。初期症状の開始時にはアデノウイルスや Respiratory Syncyti al Virus (RSV)などのウィルスによる感染が関与するとの報告があり、血清中の抗ウイ ルス抗体が高い頻度で検出されている (非特許文献 1)。しかし、健常人でも高頻度 で検出され、更に抗ウィルス抗体検査では感染症との鑑別はできないことから、診断 方法には適切でない。他には、自己免疫異常の関与が示唆されており、幾つかの自 己抗体の報告がなされている。 Meyer 0らは抗リン脂質抗体が側頭動脈炎合併型リ ゥマチ性多発筋痛症で検出されると報告している (非特許文献 2)が、血清中抗体の 検出頻度は 9〜36%とそれほど高くないうえに、そもそも抗リン脂質抗体は抗リン脂
質抗体症候群と呼ばれる動脈血栓症候群の自己抗体で、全身性エリテマトーデス( SLE)などでも検出される特異性の低いものであることから、リウマチ性多発筋痛症の 診断薬として使用されていない。 Brito Jはリウマチ性多発筋痛症患者血清中に存在 する nuclear Lamin B2に対する自己抗体は、 RAや SLE、慢性肝炎のものとは異なる ェピトープであることを報告している(非特許文献 3)力 Lamin B2自己抗体の頻度の 点では特異性は無い。
以上のような視点から、リウマチ性多発筋痛症に特異的な抗原ペプチドを応用して 、リウマチ性多発筋痛症の特異的な診断が簡便、迅速で精度良く実施できる臨床検 查方法を開発する事は、極めて有意義な事と言える。
[0004] 非特許文献 1 :M. A. Cimmino et al, Clin Exp Rheumatol, 1993, 11, 309-313
非特許文献 2 :Meyer O, et al., Rev Rhum Engl Ed., 1996, 63, 241-247
非特許文献 3 : Brito J, et al" J Immunol, 1994, 153, 2268-2277
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、リウマチ性多発筋痛症患者に特異 的に認められるリウマチ性多発筋痛症特有の抗体に対して特異的な結合性を有する ペプチド、該ペプチドを有効成分とする検査試薬及び検査キット、並びにこれらを用 いてリウマチ性多発筋痛症の羅患の有無を簡便且つ迅速に検出する検査方法を提 供することにある。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明者らは、上記課題を解決すべく免疫学的、分子生物学的研究を重ねた結 果、特定のペプチドがリウマチ性多発筋痛症 (以下、 PMRと略記する)患者血清中 に存在する特有の抗体を特異的に認識して結合することを見出し、該ペプチドを用 いることで PMRの罹患の有無を簡便、且つ精度良く判別できることを確認した。すな わち、本発明は下記 [1]〜[4]に記載するものである。
[ 1 ] PMR抗体ェピトープとしての性質を有する下記ペプチド (a)又は (b)。
(a)配列番号 1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩。
(b)配列番号 1で表されるアミノ酸配列における 1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠
失若しくは付カ卩により改変されたアミノ酸配列を有し、且つ PMR患者血清中の抗体と 結合性を有するペプチド又はその塩。
[2] PMR抗体ェピトープとしての性質を有する前記ペプチド (a)又は (b)を有効成分 として含有する PMRの検査試薬。
[3]前記の PMR検査試薬を PMR抗体に対する抗原物質として含有する PMRの検 查キット。
[4]生体試料中の、前記ペプチド (a)又は (b)に結合性を有する抗体の有無を検出 する工程を含む PMRの検査方法。
[0007] 以下、本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基配列等の略号による表示は、 IU PAC、 IUBの規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等に作成のためのガ イドライン」(特許庁編)及び当該分野における慣用記号に従う。
また、本明細書における PMR抗体とは、前記のごとく PMRの罹患によって生体内 で生成される PMR特有の抗体であり、原因となる抗原物質の種別に関わらず、 PM R患者に特異的に認められる PMR患者特有の抗体を意味するものである。
発明の効果
[0008] 本発明によれば、 PMRに罹患した患者で特有に認められる PMR抗体に特異的な 結合性を有する PMR抗体ェピトープペプチド力 PMRの診断における検査試薬又 は検査キットとなり、 PMR罹患の有無を簡便、且つ迅速に精度良く検出及び測定可 能であり、有益な PMRの検査方法となる。
発明を実施するための最良の形態
[0009] 1. PMR杭体ェピトープペプチド
本発明の PMR抗体ェピトープペプチドとして、具体的には配列番号 1で表されるァ ミノ酸配列であるペプチドを例示することができる。
さらに本発明の PMR抗体ェピトープペプチドには、配列番号 1で表されるアミノ酸 配列を有するペプチドの他に、配列番号 1で表されるアミノ酸配列中の 1若しくは数 個(2個以上)のアミノ酸が、他のアミノ酸で置換、欠失又は付加されていても良い。こ のアミノ酸配列において、 1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加により改 変されたアミノ酸配列又はそのアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列からなり、且つ PM
R抗体に特異的な結合性を有するペプチドも本発明の PMR抗体ェピトープペプチド として包含される。
上記のペプチドはいずれも PMR抗体に対して特異的な結合性を有することによつ て特徴付けられる。
[0010] アミノ酸の置換、欠失若しくは付加の程度及びそれらの位置などは、改変されたぺ プチドが、配列番号 1で表されるアミノ酸配列のペプチドと同様に、 PMR抗体に対し て特異的に結合性を有する特徴を備えたものであれば特に制限されない。突然変異 や翻訳後の修飾などで、アミノ酸配列の改変(変異)は生じることもあるが、人為的に 改変することもできる。なお、アミノ酸配列の改変 (変異)方法は、当業者において周 知の技術である(サイトスぺシフィック ·ミュータゲネシスなどの遺伝子工学的手法〔Me thods in Enzymology, 154, 350, 367— 382(1987);同 100, 468 (1983); Nucleic Acids Re s., 12, 9441 (1984);続生化学実験講座 1「遺伝子研究法 II」〕、リン酸トリエステル法ゃ リン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am. Chem. So , 89, 4801 (1967);同 91, 3 350 (1969); Science, 150, 178 (1968); Tetrahedoron Lett., 22, 1859 (1981);同 24, 24 5 (1983)〕)。
[0011] また、配列番号 1で表わされるアミノ酸配列のペプチドをはじめとする本発明の PM R抗体ェピトープペプチドは、 C末端がカルボキシル基(一 COOH)、アミド基(一 CO NH )又はエステル基(一 COOR)のいずれであっても良い。ここでエステル基にお
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ける Rとしては、例えば、メチル、ェチノレ、 n—プロピル、イソプロピル、 n—ブチノレなど の炭素数 1〜6のアルキル基や、シクロペンチル、シクロへキシルなどの炭素数 3〜8 のシクロアルキル基や、フエ-ル、 a ナフチルなどの炭素数 6〜 12のァリール基な どが用いられる。
[0012] 本発明で用いられるペプチドが C末端以外にカルボキシル基を有して 、る場合、力 ルポキシル基がアミド化又はエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれ る。この場合のエステルとしては、例えば上記のような C末端のエステルなどが用いら れる。
[0013] さらに本発明のペプチドには、 N末端のアミノ酸残基のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、ァセチル基などの炭素数 1〜6のァシル基など)で保護されて!、るもの、
生体内で切断されて生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸ィ匕したもの 、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば水酸基、メルカプト基、アミノ基、イミダ ゾール基、インドール基、グァ -ジノ基など)が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合した 、わゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
[0014] 上記のような本発明の PMR抗体ェピトープペプチドは、免疫学的に、抗体の認識 性に要する最小限のアミノ酸数力 個であると考えられて 、ることから、 PMR患者に 認められる PMR抗体に対して特異的な結合性及び認識性を有する限り、そのアミノ 酸数は 4個以上であるが上限は特に制限されない。通常、ペプチド合成などの化学 合成の観点から、 4〜500個程度のアミノ酸数を例示することができる。
[0015] さらに、本発明のペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸や塩基との塩が 用いられる。このような塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸などの無 機酸との塩、あるいは酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒 石酸、クェン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸な どの有機酸との塩などが用いられる。その他、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアル カリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩、モノメチルァミン、 トリェチルァミンなどのアミン塩、トリメチルェチルアンモ-ゥム、テトラメチルアンモ- ゥムなどの第 4級アンモ-ゥム塩などの塩が挙げられる。
[0016] 以下に、前記載の配列番号 1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩 、並びに配列番号 1のアミノ酸配列で、 1若しくは数個(2個以上)のアミノ酸が置換、 欠失又は付カ卩により改変されたアミノ酸配列又はそれらアミノ酸配列の一部のァミノ 酸配列からなり、且つ PMR抗体に特異的な結合性を有するペプチド又はその塩な どの本発明の PMR抗体ェピトープペプチド又はその塩(以下、総称して PMR抗体
、う)の取得方法又は製造方法を詳述する。
[0017] 2. PMR抗体ェピトープペプチドの取得
本発明の PMR抗体ェピトープペプチドは、ディスプレイファージのライブラリー(ゲ ノムライブラリー、 cDNAライブラリーもしくはランダムペプチドライブラリー)を用いた スクリーニング手法により取得することができる。このようなスクリーニング法はファージ ディスプレイ法と呼ばれ、多くの当業者により、外来性抗原ェピトープをファージ表面
タンパク質に融合させてファージ表面に発現誘導させ、抗体等のプローブにより選別 する公知の手段として用いられている(Scott J. K. and Smith G. P., Science, 249, 38 6-390 (1990)、 Dybwad A., et al, Clin Exp Immunol, 102, 438-442 (1995)、 Bluthner M., et al, J Immunol Methods, 198, 187—198 (1996))。
[0018] ライブラリーに用いられるファージとしては、繊維状ファージ (M13、 fi、 fd、 lfl等、 Smi th G. P., et al, Science, 228, 1315-1317 (1985)、 Devlin J.J., et al, Science 249, 404 -406 (1990)、 Cwirla S.E., et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 6378—6382 (1990)) やえファージ(Maruyama I. N., et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 8273—8277 (19 94)、 Santi E., et al, J Mol Biol, 296, 497-508 (2000))、 T7ファージ(US patent 5,766 ,905、 Novagen T7Select System Manual TBI 78 (2000))などが挙げられる。ライブラリ 一としてファージ表面に発現誘導させるタンパク質は、公知の遺伝子操作技術を用 いてゲノム、 cDNA、ランダムオリゴヌクレオチドを、ファージ表面タンパク質をコード する遺伝子の上流または下流にクローンィ匕することで、キヤプシド融合タンパク質とし て発現され、それぞれゲノムライブラリー、 cDNAライブラリー、ランダムペプチドライ ブラリーとして利用され得る。
[0019] このようなスクリーニング法を用いて、 PMR抗体ェピトープペプチドを取得する具体 的な手法として、本発明で好適には、 cDNAライブラリーを用いた以下の方法を挙げ ることがでさる。
[0020] まず、培養細胞力ゝら全 RNAを抽出し、オリゴ(dT)カラムを用いてポリ(A)+RNAを 精製する。これをもとに、ランダムオリゴヌクレオチド (好ましくは 8塩基程度)と逆転写 酵素を用いて 1本鎖 cDNAを合成する。ついで、 RNase Hと大腸菌 DNA polymer aseにより 2本鎖 cDNAを合成してリンカ一配列を結合させ、さらに制限酵素で切断し て粘着末端をもつ 2本鎖 cDNAとする。最後に、同じ制限酵素で切断したファージ D NAと該 cDNAを、 DNAリガーゼにより連結し、 in vitro packaging法により cDN Aライ ブラリーを構築することができる。
[0021] 得られた cDNAライブラリーを、予めプロテイン G等を介して PMR患者の血清抗体 を固定ィ匕したマイクロプレート若しくはマイクロビーズ等に添加し、 PMR患者血清中 抗体と特異的に結合するファージを捕捉させる。マイクロプレート等に固定ィ匕させる P
MR患者の血清抗体は、少なくとも抗原結合能を有するものであれば特に制限され ず、例えば PMRに罹患した患者力 採取した血清そのものでも、また該血清を硫酸 アンモ-ゥム溶液で沈降処理したものやプロテイン Aで精製したものであっても良い。
[0022] 数回の操作を繰り返すことにより、結合能を有しない又は結合能の弱い無関係なフ ァージを洗浄 '除去した後、ドデシル硫酸ナトリウム(以下、 SDSと略記)等により固定 化された PMR患者血清中抗体とファージとの結合を解離させ、 PMR患者血清中の PMR抗体に結合能を有するファージを溶出することができる。
[0023] さらに PMR患者血清抗体に特異性を示すファージを選択するため、上記で溶出さ れたファージ懸濁液を宿主大腸菌に感染させて、タンパク質発現誘導剤 (イソプロピ ルー β D (—)一チォガラタトピラノシド等)を含む LB寒天培地上で単一プラークを 形成させる。これらのプラークを-トロセルロースメンブレン等に転写させ、 PMR患者 血清を用いた免疫染色を実施することで、 PMR患者血清中抗体結合ファージを特 定し、単一化することができる。
[0024] このようにして得られたファージを、抗ファージ抗体を介してマイクロプレート上に固 定化し、 PMR患者、関節リウマチ患者血清および健常人血清を反応させて (以下、 ファージ ELISAともいう)、その反応性力 PMR患者の血清中抗体に特異的に反応 するファージを選別することができる。具体的には、上記で得られたファージを、マイ クロプレート等の任意の支持体に固定ィ匕した抗ファージ抗体と反応させて固定ィ匕す る。その固定ィ匕ファージに対して、 PMR患者の血清並びに対照血清として健常者の 血清や関節リウマチなどに罹患した患者の血清を反応させて、その反応性力 PMR 患者の血清に特異的に反応するファージを選択することができる。
[0025] 上記のように、ファージ ELISAによるスクリーニングで選別されたファージから、 DN Αを抽出精製し、ダイデォキシ法などにより挿入 cDNA塩基配列を決定することがで きる。決定された塩基配列に基づき、アミノ酸配列を決定し、液相法及び固相法によ るペプチド合成法などを含む一般的な化学合成法等により合成することで PMR抗体 ェピトープペプチドとして取得することができる。
[0026] すなわち、決定したアミノ酸配列に基づ 、て、ステップワイズエロゲーシヨン法ゃフラ グメント 'コンデンセーシヨン法などが採用できる。ペプチド合成法で用いられるァミノ
酸の保護基の脱離方法や縮合方法等には、従来公知の方法が採用でき、 目的のぺ プチドを製造することができる。例えば、 M. Bodanszky及び M.A. Ondetti,ペプチド' ンンセンス Peptide synthesis, Interscience Publishers, New York 1966年、 Schroeder 及び Luebke、ザ'ペプチド The Peptide, Academic Press, NewYork 1965年、泉屋信 夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善 (株) 1975年、矢島治明及び榊原俊平、生化 学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205, 1977年、矢島治明監修、続医薬品の開 発、第 14卷、ペプチド合成、広川書店、などに記載された方法が挙げられる。
[0027] さらに、決定したアミノ酸配列をもとに 1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失若し くは付カ卩により人為的に改変されたペプチドを作製することができる。具体的には前 記のサイトスぺシフィックミュータジエネシスなどの遺伝子工学的手法やリン酸アミダイ ト法などの従来公知の化学合成法により作製でき、これら改変ペプチドも本発明の P MR抗体ェピトープペプチドとして用いることができる。
[0028] また、決定したアミノ酸配列を基に相同性を有するペプチド配列をデータベースか ら検索することができる。相同性の高 、ペプチド若しくはそれを含むタンパク質は公 知の分子生物学的手法により作製することができ、本発明の PMR抗体ェピトープぺ プチドとしてち用いることちでさる。
[0029] 上記のようにして取得された本発明の PMR抗体ェピトープペプチドは、従来公知 のタンパク質又はペプチドの分離 ·精製方法を組み合わせて、単離'精製することが できる。これら公知の分離'精製方法としては、塩析ゃ溶媒沈殿法などの溶解度を利 用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法などの主として分子量の差を利用す る方法、イオン交換クロマトグラフィーおよび SDS—ポリアクリルアミドゲル電気泳動 法などの荷電の差を利用する方法、ァフィユティークロマトグラフィーなどの特異的親 和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する 方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。また 、精製されたペプチドのアミノ酸組成は、アミノ酸分析装置により容易に測定及び解 析することができる。
上記の方法で得られるペプチドが遊離体である場合は、公知の方法或 、はそれに 準じた方法によって適当な塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合は、公知
の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することもでき る。
[0030] 3. PMRの檢杳試薬、檢杳キット及び檢杳方法
前記のようにして得られた PMR抗体ェピトープペプチドは、 PMR患者血清中の P MR抗体と特異的に結合することを利用し、該ペプチドを有効成分とする PMRの検 查試薬、検査キット及び検査方法を提供することができる。
[0031] すなわち、 1)上記 PMR抗体ェピトープペプチドを有効成分とする PMRの検査試 薬、 2)上記 1)の検査試薬を含有する PMRの検査キット、 3)生体試料中の、上記 P MR抗体ェピトープペプチド又はその塩に特異的な結合性を有する抗体の有無を検 出する工程を含む PMRの検査方法、及び 4)上記検査試薬又は検査キットを用いる 工程を含む PMRの検査方法、である。
[0032] 1) PMRの検査試薬
上記 PMR抗体ェピトープペプチドを有効成分として使用する場合、具体的な有効 成分は、前述の(a)配列番号 1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩 、及び (b)配列番号 1で表されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が 置換、欠失若しくは付カ卩により改変されたアミノ酸配列又はそのアミノ酸配列の一部 のアミノ酸配列力 なり、且つ PMR患者血清中の抗体と特異的な結合性を有するぺ プチド又はその塩、力もなる群より選ばれる少なくとも 1つのペプチド又はその塩であ る。
PMRの検査試薬の有効成分として、上記 PMR抗体ェピトープペプチドの!/、ずれ カゝ 1種類を単独で使用することができるが、 2種以上を任意に組合わせて用いることも できる。
[0033] 本発明の PMRの検査試薬は、 PMR抗体と特異的に結合する抗原物質として、 P MR抗体の検出や捕捉などに用いることができる。従って、この目的の範囲内におい て、有効成分として上記 PMR抗体ェピトープペプチドのみならず、該ペプチドが任 意の標識化合物で標識された標識体 (標識ペプチド)も含まれる。また、その他の成 分を含有するものであっても良い。
[0034] 上記ペプチドの標識ィ匕合物としては、当業界で通常用いられる標識ィ匕合物が適用
できるが、例えば、具体的に例示すれば、 3H、 "C、 1311及び99 mTc等の放射性同位元 素; 13 ガラクトシダーゼ、 13—ダルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーォキ シダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等の酵素;フルォレスカミン、フルォレセインイソチォ シァネート等の蛍光物質;ルシフヱリン、ルミノール誘導体、イソルミノール誘導体等 の発光物質等が挙げられる。
酵素又は放射性同位元素などで標識された本発明のペプチドを用いて PMR抗体 の検出及び捕捉などをすることができる。その他、以下にも詳述するが、本発明のぺ プチドを標識せずに、ラジオィムノアツセィゃ酵素免疫測定法などの免疫測定法など を利用した検査試薬としても使用できる。
[0035] 2) PMRの検査キット
被験者の血液 (血清又は血漿)などの生体試料を用いて、 PMRの検査を行うには 、上記 PMR抗体ェピトープペプチドを有効成分とする検査試薬を含有する検査キッ トを利用することが容易で簡便である。
本発明の PMR検査キットは、前述の検査試薬を PMR抗体と結合させる目的で含 むものであれば、上記の通り、本発明の PMR抗体ェピトープペプチドのみならず、 該ペプチドが任意の標識ィ匕合物で標識された標識体 (標識ペプチド)も用いることが できる。また、該ペプチドは、予め任意の支持体(固相)に固定化させて固定ィ匕物とし てち用いることちでさる。
[0036] 本発明の PMR検査キットには、上記の検査試薬のほか、後述する PMRの検査に 利用する免疫測定法の種類や適用される検出方法に応じて、適宜選択して用いるこ とができる。例えば、放射性同位体で該 PMR抗体ェピトープペプチドを標識した標 識体を用いる場合、液体シンチレーシヨンカウンタ一等の放射線検出装置が必要で あり、また、酵素、蛍光物質や発光物質で標識する場合、各々の検出装置が必要で あり、それらのための検出試薬、溶媒、基材等が本発明の検査キットのその他の成分 として含有される。
[0037] なかでもとくに、本発明の検査キットには、上記 PMR抗体ェピトープペプチドを有 効成分とする上記検査試薬以外のその他の成分として、ヒト免疫グロブリン (ヒト IgGと もいう)を検出するための二次抗体 (抗ヒト IgG抗体、例えば、抗ヒ HgGマウス抗体な
ど)が含まれることが好ましい。なお、抗ヒト IgG抗体は、前述の標識化合物で標識さ れていても良ぐまた予め任意の支持体(固相)に固定ィ匕されていても良い。
[0038] そのほか、該検査キットには、標識化合物に応じた酵素基質や酵素、または標識ィ匕 合物と酵素基質との反応を検出するための検出試薬や、測定実施の利便性のため、 適切な各種試料、試薬や二次抗体等の希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄液、酵素 基質溶液、反応停止液などが含まれていても良い。さらに、上記の検査試薬又は抗 ヒ HgG抗体を標識又は固定ィ匕していないものを使用する場合は、検査キットのその 他の成分として、前述の標識ィ匕合物や支持体(固相)を含めることもできる。
[0039] 本発明の PMR検査キットは、上記の PMR抗体ェピトープペプチドを有効成分とす る検査試薬 (該ペプチドは固定化及び Z又は標識されていても良い)、抗ヒト IgG抗 体 (該二次抗体は固定ィ匕及び Z又は標識されていても良い)、標識化合物に応じた 基質 (酵素を標識化合物とした場合は酵素基質、蛍光物質や発光物質を標識化合 物とした場合は酵素など)、抗体希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄液、基質溶解液、 反応停止液、支持体(固相)、及び標識ィ匕合物の中から任意に選択される少なくとも 一つを組合わせたものである。本発明の PMR検査キットでは、操作の簡便性、安全 性、測定感度や精度などの観点から、酵素を標識ィ匕合物として用いることが好ましい
[0040] 3) PMRの検査方法
本発明の PMRの検査方法は、被験者の生体試料を被験試料として用い、個々の 被験者について PMRの罹患の有無を検出するものである。より具体的には、 PMR 患者の生体試料に特有に存在する特定の抗体を指標として、個々の被験者につい て PMRの罹患の有無を検出するものである。被験試料としては、被験者 (ヒト)の血 液 (血清、血漿)、尿、汗、唾液、精液又は髄液等の各種の生体試料、なかでも血清 及び血漿を用いることが好ま 、。
[0041] 本発明の PMRの検査方法は、前記の PMR抗体ェピトープペプチドを抗原物質と して利用することが特徴である。すなわち、抗原である PMR抗体ェピトープペプチド に対して、被験者の生体試料中に PMR抗体が存在すると、抗原抗体反応による複 合体が生成され、この複合体を検出及び測定することにより PMRの罹患の有無など
を診断するものである。
[0042] 抗原である PMR抗体ェピトープペプチドと、 PMR患者に特有の PMR抗体との反 応によって生じる複合体の検出方法は、従来公知の方法を採用することができる。例 えば、ラジオィムノアツセィ、酵素免疫測定法、ィムノクロマトグラフィー法等が挙げら れる。これら個々の免疫学的測定法を本発明の検査方法に適用するにあたっては、 特別の条件、操作等の設定は必要としない。各々の方法における通常の条件、操作 方法に当業者の通常の技術的配慮を加えて測定系を構築すれば良い。これらの一 般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば 、入江寛編「ラジオィムノアツセィ」(講談社、昭和 49年発行)、入江寛編「続ラジオ ィムノアツセィ」(講談社、昭和 54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学 書院、昭和 53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第 2版)(医学書院、昭和 57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第 3版)(医学書院、昭和 62年発行) などを参照することができる。
[0043] また、本発明の PMRの検査方法には、前記の PMR抗体ェピトープペプチドを有 効成分とする検査試薬又は検査キットを使用することが好ましい。
つまり、本発明の PMRの検査方法は、抗原物質として前述の PMR抗体ェピトープ ペプチドを利用した各種の免疫測定法が採用できる。例えば、ヒト血清を被験試料と する固相化酵素免疫測定法 (以下、 ELISAともいう)を例示するならば、測定対象の PMR抗体は、以下の方法で検出及び測定することができる。
[0044] まず、抗原物質として用いる上記 PMR抗体ェピトープペプチドを支持体などに固 定化し、これに被験試料としての生体試料を加える。被験試料中に PMR抗体が存 在すると、固定ィ匕された該ペプチドに結合する。次に、ヒ HgGと特異的に結合し得る 抗ヒ HgG抗体 (二次抗体)(標識ィ匕合物で標識されたものも含む)などの検出試薬を 用いて、再度抗原抗体反応及び検出反応などを行うことで、被験試料中に存在する PMR抗体を検出し測定することができる。
[0045] また他にも、抗ヒト IgG抗体などの検出試薬を、予め支持体に固定化し、これに被 験試料を添加して生体試料中の PMR抗体を捕捉させ、次いで、これに上記抗原物 質である PMR抗体ェピトープペプチドをカ卩えることで、被験試料中に存在する PMR
抗体を検出し、測定することも可能である。これらの測定手法における各種手段の選 択ゃそれらの改変などは 、ずれも当業者の良く知るところであり、本発明にお 、てそ れら各手法をいずれも採用することができる(「臨床検査法提要」金原出版、 1995年 等参照)。
[0046] PMR抗体を検出するための抗ヒト IgG抗体などの検出試薬は、特に制限されること なく一般に使用されている各種市販の試薬を用いることができる。例えば、好適には 、ヒ HgGに特異的に結合するマウス、ゥサギ、ャギゃブタなどの異種動物に、ヒ HgG を抗原として感作させて得た抗ヒ HgG抗体などが挙げられる。これらの抗ヒ HgG抗 体ゃヒ HgGは、前記の標識ィ匕合物で標識されていても良ぐ力かる標識に用いられ る標識ィ匕合物は前記と同様のものが挙げられ、なかでも酵素などの標識ィ匕合物で標 識されて!/、ることが好ま 、。これらの標識された抗ヒト IgG抗体ゃヒト IgGは市販品と して入手できるが、常法に従い調製することもできる。
[0047] 本発明の PMR検査方法にぉ ヽては、操作の簡便性、安全性、測定感度及び精度 等の観点から、酵素を標識ィ匕合物として用いる上記の ELISA等のェンザィムィムノ アツセィが好ましく採用される。酵素標識のための標識ィ匕合物としては、前記と同様 のものが挙げられる。また、これらの標識ィ匕合物による標識方法は、従来公知の方法 に従って行うことができる(「酵素免疫測定法」第 2版、石川栄治 他著、医学書院、 1 982年等)。
[0048] また、上記測定方法において、固相法を採用する場合の支持体としては、不溶性、 不活性担体であれば特に制限されず、通常使用されているものが広く用いられる。 例えば、ガラス、セフアデッタス、セファロース、プラスチック榭脂(ポリスチレン、ポリプ ロピレン、ポリカーボネート等)などの素材力もなるマイクロプレート、ビーズ、メンブレ ン、スティック、試験管が挙げられる。
さらに、抗原物質としての本発明の PMR抗体ェピトープペプチド、あるいは二次抗 体である抗ヒ HgG抗体の不溶ィ匕に当っては、物理吸着を用いても良ぐまた通常タ ンパク質ある 、は酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方 法でも良い。
[0049] 上記 ELISAにおいては、固相化された PMR抗体ェピトープペプチドに被検試料
を反応させ(1次反応)、さらに標識した抗ヒト IgG抗体を反応させ (2次反応)たのち、 不溶ィ匕担体上の標識ィ匕合物の活性を測定することにより被検液中の PMR抗体を検 出または定量をすることができる。 1次反応と 2次反応は同時に行なっても良いし時間 をずらして行なっても良い。標識ィ匕合物及び不溶ィ匕の方法は前記のそれらに準じる ことができる。また、 ELISAによる免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用 抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなぐ測定感度を向上させる等 の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いても良い。
[0050] 上記の測定系において使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであ れば一般的に使用されているものであれば良ぐ例えば、リン酸緩衝液 (以下、 PBS と略記)、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、クェン酸緩衝液、酢酸緩衝液などの pH が約 6〜9程度の緩衝液及び、 Tween 20、 Triton X— 100などの界面活性剤及び ゥシ血清アルブミン (以下、 BSAと略記)やミルクタンパク質などの安定化剤、 NaN
3 などの防腐剤を含んだ上記緩衝液などが挙げられる。
[0051] 免疫反応条件も特に制限はなぐ一般的に免疫測定法で用いられている通常の条 件が適用される。通常、 4〜40°C程度の温度条件下で 0. 5〜24時間程度を設定す ることがでさる。
[0052] 上記の工程で、抗原抗体反応の複合体 (標識化合物による標識体が含まれる)の 測定は、使用する標識ィ匕合物の種類に応じた方法で行うことができる。例えば、標識 化合物に酵素を使用した場合、標識体の酵素活性を測定するが、酵素活性の測定 は、使用する酵素の種類に応じて公知の方法に従って行うことができる。
これらの酵素活性を測定する為には、酵素に応じた基質、例えばバーオキシダ一 ゼでは 3, 3,, 5,, 5—テトラメチルベンジジン (TMBと略記)や o—フエ-レンジアミン( OPDと略記)を、アルカリフォスファタ一ゼには p— -トロフエ-ルフォスフェート(pNP Pと略記)を添加して一定時間反応させた後、分光光度計などで発色を測定する方 法が広く用いられている。
[0053] 本発明の PMR検査方法の概要を以下に要約する。
< 1 >抗原物質として PMR抗体ェピトープペプチドをマイクロプレートの各ゥエル 内に固相化する。通常、ゥエル内の非特異的な結合部位をふさぐため、 BSAやカゼ
イン等の蛋白質、 TWeen20等の界面活性剤でブロッキング操作を行う。
< 2 >被験試料 (血清ある!/、は血漿検体)を、必要であれば BSAやカゼイン等の 蛋白質、 TWeen20等の界面活性剤を含む緩衝液 (検体希釈液)で希釈し、上記の 固相化されたマイクロプレートに加え、抗原抗体反応を行う(1次反応)。
< 3 >マイクロプレートを、できれば Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液 (洗 浄液)で洗浄後、標識された抗ヒト IgG抗体を、 BSAやカゼイン等の蛋白質、 Tween 20等の界面活性剤を含む緩衝液 (希釈液)で希釈して加え、抗原抗体反応を行う (2 次反応)。
<4>マイクロプレートを、上記洗浄液で洗浄後、標識に応じた方法、放射性標 識であれば放射活性を、酵素標識であれば酵素活性を測定する。
[0054] 以下、本発明を更に詳しく説明する為、実施例を挙げるが、これにより本発明が限 定される物ではない。
実施例 1
[0055] < PMR抗体ェピトープペプチドの選別及びその同定 >
1)T7ファージを用いた cDNAファージディスプレイライブラリーの作製
HUVEし (Human umbencal vascular endothelial cell carcinoma ; RIKEN し ELL BANK)培養細胞約 108個より、キアゲン社製 RNA抽出キットを用いて全 RNAの抽 出精製を行い、 760 gを得た。オリゴ (dT)-セルロースカラムを用いて、 34 gのポリ (A)+RNAを精製し、ランダムオリゴマー(nnnnnnCG)および逆転写酵素(キアゲン社 製 Omni—RT)を用いて、 1本鎖 cDNAを合成した。
[0056] つ!、で、 RNase Hと大腸菌 DNAポリメラーゼ Iを用いて 2本鎖 cDNAを合成した後 、 T4 DNAポリメラーゼによる末端平滑ィ匕を行った。メチラーゼによる cDNAのメチル 化を行った後、 T4 DNAリガーゼによりリンカ一配列(18merオリゴ DNA)を連結し 、更に制限酵素(EcoRI及び Notl)による cDNA末端の切断を行った後、ゲルろ過 スピンカラム (クロンテック社製)で未反応のリンカ一及び小サイズの切断断片を除去 した。
[0057] T7ファージベクター (Novagen社製)を同じ制限酵素により切断し、上記で得られ た cDNA断片を T4 DNAリガーゼによって連結させた。この連結反応溶液と T7ファ
ージ インビトロ パッケージングキット(Novagen社製)を用いてファージ粒子を形成 させ、宿主大腸菌 BLT5615株に感染させて増幅した。およそ 2.1 x 106サイズの cD NAライブラリーを作製した。
[0058] 2) PMR患者血清抗体結合性抗原ファージのスクリーニング
宿主大腸菌 BLT5615株のシングルコロニーを 50 μ g/mlのアンピシリンを含む L B培地に植菌し、 37°Cで 600 nmにおける濁度が 0.5になるまで培養した。この大腸 菌培養液に終濃度 ImMとなるようイソプロピル β -D (-) チォガラタトビラノシ ド(以下、 IPTGと略記)を添加し、 37°Cで 30分間培養した後、(1)で作製した若しく は市販の大腸癌由来 cDNAライブラリーを加えて完全に溶菌するまで 37°Cで培養し た。溶菌後直ちに、氷上で冷却した後、遠心分離を行い溶菌細胞片を除いた上清を 得た。この上清に等容のミルクバッファー(5%スキムミルクと 0.1%Tween20を含有 する、 25mM Tris—HClバッファー [137mM NaCl、 2.68mM KC1含、 pH7.4] ( 以下、 TBSと略記) )をファージ溶菌液として以下の操作に使用した。
[0059] マイクロプレート(Dynatec Lab.社製)に、 PBSで 20 g/mlに希釈したプロティ ン G (SIGMA社製)を添加し、 4°Cで一晩反応させた。反応後、ミルクバッファーで洗 浄した後、同バッファーでブロッキングして、プロテイン G結合プレートを作製した。
[0060] PMR患者 21人より得られた血清検体から 1人乃至 3人分の血清プールを 0.05% NaNを含む PBSで希釈し、プロテイン G結合プレートに添カ卩した。 22°Cで 2時間静
3
置して血清中の抗体をプレートに結合させた後、ミルクバッファーで 3回洗浄して、リ ゥマチ性多発筋痛症患者血清中抗体結合プレートを作製した。
PMR患者血清中抗体結合プレートに、上記のファージ溶菌液 (約 1 X 10upfuのフ ァージタイター)を添加し、室温で 3時間緩やかに振盪しながら抗原発現ファージを 結合させた。ミルクバッファー及び TBSでプレートを洗浄して未結合のファージ懸濁 液を除いた後、 0.5%の SDSを含む PBSを添カ卩し、室温で 20分間振盪してプレート に結合したファージを溶出し、これをファージ溶出液とした。
[0061] 3)ファージプラーク免疫染色および PMR患者血清抗体結合性抗原ファージの単 こうして得られたファージ溶出液を宿主大腸菌 BLT5615に感染させ、 gZml
のアンピシリン及び ImM IPTGを含む LB寒天培地に塗布し、 37°Cで 3時間培養し てプラークを形成させた。 4°Cで 1時間静置した後、ニトロセルロースメンブレン (OS MONICS社製)をかぶせ、室温で 5分間静置してファージ粒子をメンブレン上に転 写した。
[0062] メンブレンをミルクバッファーでブロッキングした後、同バッファーで希釈した PMR 患者血清液中に浸し、 4°Cで一晩穏やかに振盪した。このメンブレンを、ミルクバッフ ァーを用いて 3回洗浄した後、同バッファーで 1/5000希釈したアルカリフォスファタ ーゼ標識抗ヒト IgGモノクローナル抗体 (SIGMA社製)溶液に浸し、室温で 1時間穏 やかに振盪した。
[0063] このメンブレンを、ミルクバッファーを用いて 3回洗浄した後、 lOOmM Tris— HC1
[lOOmM NaCl、5mM MgCl含、 pH9.5] (以下、 APバッファーと略記)で洗浄
2
し、発色溶液 [0.33mgZml ニトロブルーテトラゾリゥム(以下、 NBTと略記)及び 0. 165mg/ml ブロモクロロインドリノレフォスフェイト(以下、 BCIPと略記) ]を含む AP バッファー中に浸して室温で発色させた。
[0064] 免疫染色された単ファージプラークを搔き取り、 50 μ gZmlのアンピシリンを含む L B培地に懸濁し、その一部を宿主大腸菌 BLT5615培養液に添カ卩して 37°Cで完全 に溶菌するまで培養した。この溶菌液を遠心して溶菌細胞片を除 、た上清に CHC1
3 を終濃度 0.3%になるようにカ卩え、これをクローンィ匕した PMR患者血清抗体結合性 抗原ファージ溶液として 4°Cで保存した。
[0065] 4)ファージ ELISA
宿主大腸菌 BLT5615培養液に、上記 3)で得られた PMR患者血清抗体結合性 抗原ファージを添加して 37°Cで完全に溶菌するまで培養した。この溶菌液を遠心し て溶菌細胞片を除いた上清に 4倍量のミルクバッファーを加えたものを 1次反応液と して以降の操作に使用した。
[0066] マイクロプレートに、 PBSで 1 μ g/mlに希釈した抗 Τ7ファージ抗体(ゥサギポリクロ ーナル抗体)を添加し、 4°Cで一晩反応させた。反応後、ミルクバッファーで洗浄した 後、同バッファーでブロッキングして、抗 T7ファージ抗体結合プレートを作製した。
[0067] 上記 1次反応液を抗 T7ファージ抗体結合プレートに添カ卩し、 22°Cで 2時間穏やか
に振盪させてファージをプレートに結合させた後、ミルクバッファーで 3回洗浄した。 同バッファーで 1Z250希釈した各種血清 (PMR患者、関節リウマチ患者または健 常人由来)を添加し、 22°Cで 1時間静置した後、同バッファーで 6回洗浄した。同ノ ッ ファーで 1Z5000希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒト IgGモノクローナル抗 体溶液を添加し、 22°Cで 1時間静置した後、同バッファーで 6回洗浄した。更に AP バッファーで洗浄した後、 p— -トロフエ-ルフォスフェート溶液(SIGMA社製)を添 加し、 22°Cで 40分間反応させた。停止液(2N NaOH)を添加して反応を停止した 後、プレートリーダーにて吸光度 (405nm)を測定し、血清中の抗体価を比較した。 反応性の結果から PMR患者血清に特異性の高かったクローン (便宜上、 PMR# 11 1と略記)を選択した。
[0068] 5)杭原ペプチド'をコードする DNA塩 §R列及びアミノ酸西 R列の決定
上記ファージ ELISAによって選択した PMR患者血清抗体結合性抗原ファージを 宿主大腸菌 BLT5615に感染させ、溶菌させた。得られた溶菌液カもキアゲンラムダ キット(キアゲン社製)を用いてファージ DNAを抽出した。ファージ DNAの挿入 cDN A塩基配列の決定は、ダイデォキシ法に従い実施した。得られた挿入 cDNA塩基配 列から決定したクローン PMR # 111のアミノ酸配列を 1文字表記として表 1に示す。
[0069] [表 1] クローン名 アミノ酸長 アミノ酸配列
PMR# 1 1 1 1 0 LTCDLPGEPL
[0070] クローン PMR # 111のアミノ酸配列を直鎖状ペプチド (便宜上、 TPP— 111と略記 する)として合成及び精製し (SIGMA GENOSIS社に合成依頼)、 PMR抗体ェピ トープペプチドとして以降の実験に使用した。表 2に作製したペプチドの性質を示す
[0071] [表 2] ペプチド名 アミノ酸長 分子量 純 等電点 疎水性度
TPP- 1 1 1 1 0 1 057.2 93.2% 3.01 33.3 %
[0072] 表 2のなかで、分子量の単位は kDaであり、純度は液体クロマトグラフィーによる分 析(225nm吸光度測定)結果力も得られた面積比率である。また、疎水性度は疎水 性アミノ酸の含有比率である。
実施例 2
[0073] <TPP— 111の血清検体に対する反応性 >
実施例 1で得られた PMR抗体ェピトープペプチドを抗原として ELISAを実施し、 各種血清 (PMR患者、関節リウマチ患者または健常人由来)に対する反応性を調べ た。
[0074] マイクロプレートに、 PBSで 2 μ g/mlに希釈した TPP— 111を添カ卩し、 4°Cでー晚反 応させた。反応後、ブロッキングバッファー(2%BSA、 5%シュクロース、 0.1%NaN
3 を含む PBS)で洗浄した後、同バッファーでブロッキングして、ペプチド固相化プレー トを作製した。
[0075] 検体希釈液(1%BSA、 0.1%Tween20を含む PBS)で ΙΖΙΟΟ希釈した各種血 清 (PMR患者血清 30検体、関節リウマチ患者血清 47検体、健常人血清 48検体)を 添加し、 22°Cで 1時間静置した後、洗浄バッファー(0.1%Tween20を含む PBS)で 6回洗浄した。同バッファーで 1Z4000希釈した HRP標識抗ヒト IgG抗体(DAKO) 溶液を添加し、 22°Cで 1時間静置した後、同洗浄バッファーで 8回洗浄した。発色基 質として TMB溶液 (DAKO社製)を添加し、 22°Cで 30分間反応させた後、停止液( 2N H SO )を添カ卩して反応を停止して、プレートリーダーにて吸光度(450— 600η
2 4
m)を測定した。測定結果を散布図として図 1に示す。
[0076] この結果に基づいて有意差検定を行ったところ、 TPP— 111のペプチドは PMR患 者血清との反応性が関節リウマチ患者または健常人血清のものよりも有意に高値を 示した。また、健常人血清 48検体の測定値平均 + 2SDをカットオフ値にした時の陽 性患者血清数および陽性率を表 3に示す。
[0077] [表 3]
陽性血清数 率 (0/0 )
暘性率 PM R患者 (30 ) 13 43.3 % 偽陽性率 関節リウマチ患者 (4フ) 4 8.5 %
健常人 (48 ) 2 4.2 % 表中、 ( ) 内の数値は検体数を表す。
[0078] 表 3に示すように、 PMR患者血清に対する陽性率は、 43.3% (13/30)であった のに対し、偽陽性率は関節リウマチ患者が 8.5% (4/47)、健常人血清が 4.2% (2 Ζ48)であった。以上の結果より、 TPP—111は PMR患者血清中の抗体と特異的に 結合すること、及び本測定法を PMRの罹患の有無およびその他の類縁疾患、特に 関節リウマチとの鑑別に利用できる事が示された。
実施例 3
[0079] < PMR抗体ェピトープペプチドのホモロジ一検索 >
得られた PMR抗体ェピトープペプチド(ΤΡΡ— 111)のアミノ酸配列にっ 、て、 BL AST検索を行 ヽ、アミノ酸配列相同性をもつペプチド若しくはタンパク質を検索した 。結果を図 2に示す。 TPP— 111は、 CA125や methothelinといった癌関連タンパク 質や、病原性細菌など感染症との関連を示唆するタンパク質との一致がみられた。 産業上の利用可能性
[0080] 本発明の PMR抗体ェピトープペプチド及び当該ペプチドを用いた検査試薬は、 P MR罹患の有無を、簡便且つ迅速で正確な測定が可能であり、 PMRの診断に極め て有益な診断薬及び検査方法として利用することができる。
図面の簡単な説明
[0081] [図 1]実施例 1で得られた PMR抗体ェピトープペプチド(TPP—111)について、 PM R30例、関節リウマチ 47例の患者血清および健常人血清 48例に対する反応性を E LISAにより測定し、結果を散布図として表した図である。図中、 *、 * *、 * * *、 * * * *はそれぞれのペプチドと PMR患者血清との反応性を、関節リウマチ血清 及び健常人血清との反応性と比較した際の統計学的有意差を表す (NS: p > 0.05、
* * * :p< 0.005)。また、点線はカットオフ値を表す。
[図 2]タンパク質データベースより BLAST検索により判明した、 TPP— 111とアミノ酸 配列に相同性のあるタンパク質を表した図である。図中、 I はアミノ酸が一致する事 を、:は類似性のある事を示す。