明 細 書
黒色材料、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜、並びに黒色 遮光膜付き基材
技術分野
[0001] 本発明は、黒色材料 (黒色微粒子)に関し、特に、記録材、液晶ディスプレイ等の各 種表示装置のブラックマトリックス等に好適に用いられ、黒色度が高ぐ遮光性に優 れた黒色材料に関するものである。また、本発明は、黒色微粒子分散液とそれを用 いた黒色遮光膜及び黒色遮光膜付き基材に関し、特に、記録材、各種表示装置の ブラックマトリックス、黒色装飾膜等に好適に用いられ、黒色度が高ぐ遮光性に優れ た膜技術に関するものである。
本願は、 2004年 9月 21日に出願された特願 2004-273349号、 2005年 2月 17日に 出願された特願 2005-040431号、 2005年 2月 17日に出願された特願 2005-040432 号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 従来、黒色材料としては、カーボンブラック、低次酸化チタン、酸化鉄、クロム、銀微 粒子等が知られている (例えば、特許文献 1参照)。
これらの黒色材料は、黒色光遮蔽性フィルム、黒色光遮蔽性ガラス、黒色紙、黒色 布、黒色インキ、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)のブラック マトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等に黒色や光遮蔽性を付与す る材料として利用されて 、る。
[0003] 一方、金、白金族元素、またはこれらの合金を黒色化する場合、これらの金属また は合金の母材の表面に黒色酸ィ匕物からなる被膜を形成する方法が採られているが、 この方法では、黒色酸ィ匕物が母材力 剥離し易ぐ耐久性のある黒色金合金が得ら れな力つた。そこで、金、白金族元素、またはこれらの合金、または前記いずれかの 金属または合金に銀を添加した合金に、銅、ニッケル、鉄等の金属を添加し、酸ィ匕す ることにより、表面に密着性の良 ヽ黒色酸化物層を形成した黒色合金が提案されて いる (特許文献 2参照)。
さらに、感光材料の分野では、鮮鋭性を向上させ、裏面から露光された光学情報を 適切な濃度で記録し、かつ現像処理時の赤外線検出特性が改良された写真用の感 光材料として、水性ゼラチン中に黒色コロイド銀を分散した黒色コロイド銀分散物が 提案されて ヽる (特許文献 3参照)。
[0004] ところで、従来、薄型かつ大型の平面型表示装置として、フルカラー表示が可能な 液晶ディスプレイ (LCD)が知られて 、る。
このカラー液晶ディスプレイにおいては、透明基板上にマトリックス状に配列されて いる R (赤)、 G (緑)、 B (青)の各画素には、その表示面におけるコントラストを向上さ せるために、遮光性の高 、ブラックマトリックスが形成されて 、る。
このブラックマトリックスは、特に、薄膜トランジスタ (TFT)を用いたアクティブマトリツ タス型の液晶ディスプレイ (TFT— LCD)においては、 TFTの光が誘起するリーク電 流を防止するとともに、各画素の表示面以外の光の透過を阻止して各画素のコントラ ストを向上させることにより、表示装置としての画質を向上させることができる。
[0005] このブラックマトリックスは、 TFTアレイ基板側に形成する場合と、カラーフィルタ側 に形成する場合とがある。
TFTアレイ基板側に形成する場合、ブラックマトリックスが画素電極および TFTに 直接接触することになるために、ブラックマトリックスに高い絶縁性が要求される。 一方、カラーフィルタ側に形成する場合、特に横電界駆動方式の液晶ディスプレイ (LCD)の場合には、カラーフィルタ側のブラックマトリックスにも高い絶縁性が要求さ れる。
[0006] このブラックマトリックスは、従来では、遮光性の高!、Cr等の金属膜が、真空蒸着法 やスパッタリング法により透明な画素電極以外の部分を覆うように成膜されていたが、 近年、これに取って代わる材料として、遮光性が高ぐ製造工程が簡単で、し力も低 価格ィ匕を図ることが可能なブラックマトリックス形成用材料が開発され、実用に供され ている。
この様なブラックマトリックス形成用材料としては、例えば、表面を榭脂ゃ酸化ケィ 素により被覆して絶縁化させたカーボンブラックやチタンブラックを有機溶媒中に分 散させた分散液 (例えば、特許文献 4、 5参照)、銀微粒子等の金属微粒子を有機溶
媒中に分散させた分散液 (例えば、特許文献 6、 7参照)が提案されている。
[0007] 特許文献 1 :特開平 5— 127433号公報
特許文献 2:特開平 10— 8235号公報
特許文献 3 :特開 2000— 155387号公報
特許文献 4:特開 2002— 201381号公報
特許文献 5:特開 2002— 267832号公報
特許文献 6:特開 2004 - 317897号公報
特許文献 7:特開 2004— 334180号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] し力しながら、従来のカーボンブラック、低次酸化チタン、酸化鉄等の金属材料や 無機材料は、黒色ではあるが、光遮蔽性 (遮光性)が不十分である。そこで、これらの 黒色材料を含む膜を用いて光を遮蔽するためには、黒色材料を含む塗布液を厚く 塗布するか、該塗布液を複数回重ねて塗布することにより、厚みのある膜を基材に形 成する必要がある。
これらの黒色材料を白色基材上に黒色の線を描く記録材として用いた場合、遮光 性が弱いために、下地の白色基材との境界線部分がぼやけてしまい、シャープな線 を描くことができな!/、と!、う問題点があった。
また、これらの黒色材料を光遮蔽材料として用いた場合、光遮蔽性を高めるために は材料中の黒色材料の体積比を多くする必要があり、相対的にバインダーの含有量 力 S減少すること〖こなる。したがって、これらの黒色材料を用いて黒色塗膜を作製した 場合、塗膜の強度が低下し、塗膜を長期間に亘つて維持することができない、および 、遮光膜の信頼性を維持することができない、という問題点があった。
[0009] また、クロムは、黒色度及び光遮蔽性に優れているものの、重金属である点、環境 負荷が大きい点、高コストな点等、様々な理由から、適用可能な製品が制限されると いう問題点があった。
また、写真フィルム等に用いられて ヽる臭化銀を還元することにより生成される銀粒 子は、黒色度及び光遮蔽性に優れているが、銀自体が貴金属で、しかも高価である
ことから、一部の高額な製品は別として、一般に汎用製品の黒色材料として用いられ ることはない。
また、写真フィルム等に用いられて ヽる臭化銀を還元することにより生成される銀粒 子や、黒色銀コロイドは、黒色度及び遮光性に優れているが、これらの黒色銀粒子 はゼラチンの存在下でしか合成することができず、しかも、合成後にゼラチンと銀粒 子を完全に分離することができな 、。
さらに、ゼラチンは有機溶剤に不溶であるから、有機溶剤への分散が不可能で、し たがって、水系の塗料にしか用いることができず、塗料の幅が非常に狭いという問題 点がめった。
さらに加えて、銀コロイドを用いて黒色塗膜を作製した場合、この黒色塗料は、遮光 性には優れるものの、メタリック色およびプラズモン吸収による色を帯びるために、優 れた黒色度を発現することができな 、と 、う問題点があった。
[0010] 本発明の第 1は、上記の課題を解決するためになされたものであって、黒色度が高 ぐ遮光性に優れた黒色材料を提供することを目的とする。
[0011] 本発明の第 2は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ニュートラル な黒色が得られ、かつ遮光性に優れ、し力も、環境負荷が小さぐ安価な黒色微粒子 分散液とそれを用いた黒色遮光膜及び黒色遮光膜付き基材を提供することを目的と する。
[0012] ところで、従来のカーボンブラックやチタンブラックを用いた分散液でブラックマトリツ タスを作製した場合、遮光性が不足しているために、分散液の高濃度化や重ね塗り 等で、膜厚を厚くする必要がある。しカゝしながら、膜厚を厚くすると、ブラックマトリック スと各画素との重なりが大きくなり、カラーフィルタの平坦性が低下し、各画素のセル ギャップにムラが生じるために、均一な画素が形成し難くなるという問題点があった。 セルギャップにムラが生じた場合、表示面に色むらが発生し易くなり、その結果、表 示面の品質が低下することとなる。
また、ブラックマトリックスと各画素との重なりが大きくなると、各画素におけるブラック マトリックスの占有面積が大きくなり、各画素の開口率が低下するという問題点があつ た。開口率が低下した場合、各画素の輝度が低下し、その結果、表示装置の表示面
全体の輝度が低下することとなる。
[0013] また、カーボンブラックやチタンブラックは、気相法や液相法で表面処理を行って ヽ るが、気相法で表面処理を行った場合、粒子を気相中に分散させることが難しいた めに、粒子同士が接触している状態で表面処理する物質と混合することとなり、した がって、表面処理の均一性が悪ぐ粒子同士の凝集等も問題となる。そこで、粒子の 表面にテトラエトキシシラン等のアルコキシドを気相吸着させた後、過剰のアルコキシ ドを減圧下にて除去する方法もある力 この方法には、操作が煩雑で時間及びコスト 力 Sかかるという問題点がある。
また、液相法で表面処理を行った場合、粒子が液相中に分散している状態で表面 処理することができるので、気相法に比べて均一に表面処理することが可能であるが 、例えば、カーボンブラックやチタンブラックは、粒子同士が凝集した粉末状態で得ら れるために、これらを水や有機溶剤中に分散させることが非常に困難である。
[0014] 一方、従来の金属微粒子を用いた分散液でブラックマトリックスを作製した場合、単 に金属微粒子を分散させたブラックマトリックスでは、高 、絶縁性が得られな 、と 、う 問題点があった。
特に、黒色銀微粒子を用いた分散液の場合、ゼラチンを用いて銀微粒子を合成し ているために、合成した後にゼラチンを完全に除去することができず、したがって、銀 微粒子を有機溶剤中に均一分散させることが難しい。この場合、ゼラチンを用いない と銀微粒子を合成することができな 、。
[0015] よって、本発明の第 3は、上記の課題を解決するためになされたものであって、溶 媒に分散させることが容易で、黒色度が高ぐしかも高い絶縁性を有する黒色微粒子 と黒色微粒子分散液及び黒色遮光膜並びに黒色遮光膜付き基材を提供することを 目的とする。
課題を解決するための手段
[0016] 本発明者等は、黒色度に優れ、遮光性に優れた材料について鋭意検討した結果、 従来の錫粒子を銀錫合金粒子に替え、さらに、この銀錫合金粒子の平均粒子径を 1 nm以上かつ 300nm以下とすることで、黒色度が高ぐ遮光性に優れた黒色材料を 得ることができることを見出し、さら〖こ、この銀錫合金粒子は、錫粒子等と比べて耐熱
性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0017] すなわち、本発明の第 1は、黒色材料が、銀錫合金を主成分とする粒子力 なり、 かつ、この粒子の平均粒子径は Inm以上かつ 300nm以下であることを特徴とする。 前記銀錫合金は、銀を 47. 6重量%以上かつ 90重量%以下含有してなることが好 ましい。
[0018] また、本発明者等は、黒色度に優れ、遮光性に優れた材料につ!、て鋭意検討した 結果、平均粒子径が Inm以上かつ 300nm以下の銀錫合金粒子と高分子分散剤と を含有する黒色微粒子分散液を用いれば、黒色度が高ぐ遮光性に優れた黒色遮 光膜や黒色装飾膜等を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0019] すなわち、本発明の第 2は、黒色微粒子分散液が、銀錫合金を主成分とし平均粒 子径が Inm以上かつ 300nm以下の微粒子 (黒色材料)と、高分子分散剤とを、含有 してなることを特徴とする。
[0020] 前記銀錫合金は、銀を 47. 6重量%以上かつ 90重量%以下含有してなることが好 ましい。
前記微粒子に、銀合金を主成分とし平均粒子径が Inm以上かつ 300nm以下の微 粒子、錫合金を主成分とし平均粒子径が Inm以上かつ 300nm以下の微粒子の!/ヽ ずれか一方、または双方を混在してなることとしてもよ!/、。
前記高分子分散剤は、前記微粒子の全重量に対して 1重量%以上かつ 10重量% 以下含有してなることが好まし 、。
前記高分子分散剤は、ポリビュルピロリドンであることが好ま 、。
[0021] 本発明の黒色遮光膜は、上記黒色微粒子分散液を塗布してなることを特徴とする。
[0022] 本発明の黒色遮光膜付き基材は、基材のー主面に、上記黒色遮光膜を備えてなる ことを特徴とする。
前記黒色遮光膜は、 CIE明度 L*が 10以下、色度 a*がー 1以上かつ 1以下、色度 b *がー 1以上かつ 1以下、光学濃度である OD値が 3以上であることが好ましい。
[0023] さらに、本発明者等は、溶媒に分散させることが容易で、黒色度が高ぐしかも高い 絶縁性を有する材料について鋭意検討した結果、従来の銀微粒子を、銀錫合金を 主成分とし平均粒子径が Inm以上かつ 300nm以下の微粒子に替え、さらに、この
微粒子の表面を絶縁膜により被覆することで、溶媒に分散させることが容易で、黒色 度が高ぐし力も高い絶縁性を有する黒色微粒子を得ることができることを見出し、本 発明を完成するに至った。
[0024] すなわち、本発明の第 3は、黒色微粒子であって、銀錫合金を主成分とし平均粒子 径が lnm以上かつ 300nm以下の微粒子(黒色材料)の表面力 絶縁膜により被覆 されていることを特徴とする。
前記絶縁膜は、金属酸化物または有機高分子化合物であることが好ま Uヽ。
前記銀錫合金は、銀を 47. 6重量%以上かつ 90重量%以下含有してなることが好 ましい。
[0025] ここでの本発明の黒色微粒子分散液は、上記黒色微粒子を含有してなることを特 徴とする。
[0026] 本発明の黒色遮光膜は、上記黒色微粒子分散液を塗布してなることを特徴とする。
[0027] 本発明の黒色遮光膜付き基材は、基材のー主面に、本発明の黒色遮光膜を備え てなることを特徴とする。
発明の効果
[0028] 本発明の第 1の黒色材料によれば、銀錫合金を主成分とする粒子力 なるものとし 、かつ、この粒子の平均粒子径を lnm以上かつ 300nm以下としたので、黒色材料 自体の黒色度を向上させることができ、遮光性を向上させることができる。
また、銀錫合金粒子を用いたので、錫粒子等と比べて耐熱性を向上させることがで きる。
[0029] 本発明の第 2の黒色微粒子分散液によれば、銀錫合金を主成分とし平均粒子径が lnm以上かつ 300nm以下の微粒子 (黒色材料)と、高分子分散剤とを、含有したの で、微粒子自体の黒色度を向上させることができ、この黒色微粒子分散液を用いて 形成する塗膜自体の黒色度を向上させることができる。
したがって、ニュートラルな黒色でかつ、遮光性の高い黒色遮光膜や黒色装飾膜 を得ることができる。
また、微粒子の主成分を銀錫合金としたので、錫を主成分とする粒子等と比べて耐 熱性を向上させることができる。
[0030] 本発明の第 3の黒色微粒子によれば、銀錫合金を主成分とし平均粒子径が lnm以 上かつ 300nm以下の微粒子の表面を、絶縁膜により被覆したので、溶媒に分散さ せることを容易とすることができ、黒色微粒子自体の黒色度を向上させることができ、 絶縁性を高めることができる。
[0031] 本発明の黒色微粒子分散液によれば、本発明の黒色微粒子を含有したので、黒 色微粒子の分散性を向上させることができ、塗布性を向上させることができる。
[0032] 本発明の黒色遮光膜によれば、本発明の黒色微粒子分散液を塗布して得られた ので、膜厚が薄い場合であっても、遮光性及び絶縁性を高めることができる。
この黒色遮光膜を液晶ディスプレイ等の平面型表示装置のブラックマトリックスに適 用すれば、膜厚を薄くすることでブラックマトリックスと各画素との重なりを小さくするこ とができ、各画素のセルギャップのムラを小さくすることができ、画素の均一化を図る ことができる。したがって、表示面に色むらが発生し難くなり、表示面の品質を向上さ せることができる。また、各画素の開口率を向上させることができ、表示装置の表示面 全体の輝度を向上させることができる。
図面の簡単な説明
[0033] [図 1]本発明の実施例 1の粉末試料の粉末 X線回折図形を示す図である。
[図 2]本発明の実施例 3の粉末試料の粉末 X線回折図形を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0034] 実施の形態 (その 1) :
先ず、本発明の第 1である、黒色材料の最良の形態について説明する。 なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するもの であり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[0035] 本実施形態の黒色材料は、銀錫 (AgSn)合金を主成分とする粒子からなり、かつ、 この粒子の平均粒子径が lnm以上かつ 300nm以下である。
この AgSn合金は、化学式 Ag Snにて表した場合、化学的に安定した AgSn合金 が得られる Xの範囲は l≤x≤ 10であり、化学的安定性と黒色度が同時に得られる X の範囲は 3≤x≤ 4である。
[0036] ここで、上記 Xの範囲で AgSn合金中の Agの重量比を求めると、
x= lの場合、 Ag/AgSn =0. 4762
x= 3の場合、 3 -Ag/Ag Sn=0. 7317
3
x=4の場合、 4-Ag/Ag Sn=0. 7843
4
x= 10の場合、 10-Ag/Ag Sn=0. 9008となる。したがって、この AgSn合金
10
は、 Agを 47. 6重量%以上かつ 90重量%以下含有した場合に化学的に安定なもの となり、 Agを 73. 17重量%以上かつ 78. 43重量%以下含有した場合に Ag量に対 し効果的に化学的安定性と黒色度を得ることができる。
[0037] 本実施形態の黒色材料では、 AgSn合金を主成分とする粒子により構成し、この粒 子の平均粒子径を lnm以上かつ 300nm以下としたことにより、 Ag粒子や Sn粒子に 比べて黒色度が高まり、遮光性が向上する。
また、この AgSn合金を主成分とする粒子は、 Sn粒子に比べて耐熱性に優れてい る。
さらに、この AgSn合金を主成分とする粒子は、 Ag粒子や Sn粒子に比べて機械的 強度が高ぐ摩耗し難い。
[0038] 本実施形態の黒色材料は、通常の微粒子合成法を用いて作製することができる。
微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法、液相反応法、凍 結乾燥法、水熱合成法等、いずれの方法を用いても良い。
[0039] 本実施形態の黒色材料によれば、 AgSn合金を主成分とする粒子により構成し、こ の粒子の平均粒子径を lnm以上かつ 300nm以下としたので、黒色度を高めること ができ、光遮蔽性も向上させることができ、さらには耐熱性、機械的強度も向上させる ことができる。
以上により、黒色度が高ぐ遮光性および耐熱性に優れ、しかも環境負荷力 、さぐ 安価な黒色材料を容易に提供することができる。
[0040] 実施の形態 (その 2) :
次に、本発明の第 2である、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜及び黒 色遮光膜付き基材の最良の形態について説明する。
[0041] 本実施形態の黒色微粒子分散液は、銀錫 (AgSn)合金を主成分とし平均粒子径 力 Slnm以上かつ 300nm以下の微粒子と、高分子分散剤とを、含有したものである。
この黒色微粒子分散液には、溶媒、必要に応じて有機バインダー等が含まれる。 この AgSn合金は、化学式 Ag Snにて表した場合、化学的に安定した AgSn合金 が得られる Xの範囲は l≤x≤ 10であり、化学的安定性と黒色度が同時に得られる X の範囲は 3≤x≤ 4である。
この微粒子は、 AgSn合金が主成分であればよぐ他の金属成分として、例えば、 N i、 Pd、 Au等が含まれていてもよい。
また、この微粒子は、 AgSn合金微粒子の他、 Ag微粒子や Sn微粒子が混在したも のであってもよい。
[0042] ここで、上記 Xの範囲で AgSn合金中の Agの重量比は、上記実施の形態(その 1)と 同様である。したがって、この AgSn合金は、 Agを 47. 6重量%以上かつ 90重量% 以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、 Agを 73. 17重量%以上かつ 78. 4 3重量%以下含有した場合には、化学的安定性がさらに向上する。
[0043] 高分子分散剤は、微粒子の表面の濡れ性を向上させることで、この微粒子の分散 性を向上させ、その結果、分散液の均一性を向上させるもので、例えば、ポリビュル ピロリドン (PVP)、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド等が好適に用いられる。 この高分子分散剤は、黒色微粒子分散液に含まれる微粒子の全重量に対して 1重 量%以上かつ 10重量%以下含有してなることが好ましぐより好ましくは 2重量%以 上かつ 8重量%以下、さらに好ましくは 3重量%以上かつ 6重量%以下である。
[0044] 溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール 、 n—プロパノール、 2—プロパノール、ブタノール等の一価アルコール類、エチレン グリコール等の二価アルコール類、 /3 ォキシェチルメチルエーテル(メチルセロソ ルブ)、 j8—ォキシェチルエーテル(ェチルセ口ソルブ)、 ォキシェチルプロピル エーテル(プロピルセロソルブ)、ブチルー β ォキシェチルエーテル(ブチルセロソ ルブ)等のエチレングリコールエーテル(セロソルブ)類、エチレングリコール、プロピ レングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン等の ケトン類、酢酸ェチル、酢酸ブチル、酢酸べンジル等のエステル類、メトキシエタノー ル、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、プロピレングリコールモノメチル エーテルアセテート等を挙げることができる。
[0045] 本実施形態の黒色微粒子分散液では、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が In m以上かつ 300nm以下の微粒子を含有したことにより、単体の Ag微粒子や Sn微粒 子に比べて黒色度が高まり、遮光性が向上する。
また、この AgSn合金を主成分とする微粒子は、 Sn微粒子に比べて耐熱性に優れ ている。
[0046] 本実施形態の黒色微粒子分散液中の微粒子は、通常の微粒子合成法を用いて作 製することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ 法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等、いずれの方法を用いても良い。
[0047] 本実施形態の黒色微粒子分散液によれば、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が lnm以上かつ 300nm以下の微粒子を含有したので、黒色度を高めることができ、遮 光'性ち向上させることができる。
また、高分子分散剤を、黒色微粒子分散液に含まれる微粒子の全重量に対して 1 重量%以上かつ 10重量%以下含有することで、良好な分散安定性を得ることができ 、良好な黒色遮光性を得ることができる。
[0048] また、高分子分散剤としてポリビニルピロリドンを用いることで、さらに良好な分散安 定性を得ることができる。このポリビュルピロリドンは有機溶剤にも可溶であるから、ポ リビュルピロリドンを高分子分散剤として用いることで、微粒子をさまざまな溶剤へ分 散させることができ、その結果、さまざまな塗料への応用が可能となる。
以上により、黒色度が高ぐ遮光性および耐熱性に優れ、しかも環境負荷力 、さぐ 安価な黒色遮光膜の原料となる黒色微粒子分散液を提供することができる。
[0049] 本実施形態の黒色遮光膜は、本実施形態の黒色微粒子分散液を基材上に塗布し 、その後乾燥することで得られる。
この黒色遮光膜を基材のー主面に形成すれば、黒色遮光膜付き基材となる。 基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材 (有機 高分子基材)を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シー ト状等が挙げられる。また、上記のプラスチック基材としては、プラスチックシート、ブラ スチックフィルム等が好適である。
[0050] ガラス基材の材質としては、特に限定されるものではな 、が、例えば、ソーダガラス
、カリガラス、無アルカリガラス等力 適宜選択することができる。
プラスチック基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、セル口 ースアセテート、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル 、ポリイミド、エポキシ、フエノキシ、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビ-リデン、トリ ァセチルセルロース、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアタリレート等から適宜選択 することができる。
[0051] 塗布方法としては、通常用いられている方法、例えば、スピンコート法、スプレーコ ート法、インクジェット法、ディップ法、ロールコート法、スクリーン印刷法、バーコート 法等が好適に用いられる。
[0052] 基材上に塗布された分散液は溶媒を含んでいるので、その後の乾燥工程により溶 媒を除去する。
例えば、分散液が塗布された基材を、大気中、室温 (25°C)に放置するか、あるい は所定の温度、例えば、大気中、 50°C〜80°Cの温度にて加熱することにより、分散 液に含まれる溶媒を散逸させ、黒色遮光膜とする。
[0053] 前記黒色遮光膜は、 CIE (国際照明委員会)により規格化された CIE明度 L*が 10 以下、色度 a*がー 1以上かつ 1以下、色度 b*がー 1以上かつ 1以下、光学濃度であ る OD値が 3以上であることが好ましい。
CIE明度 L*は、低いほど黒色度が向上し、特に、液晶ディスプレイ (LCD)等のブ ラックマトリックスとして用いた場合には、低いほど表示コントラストが向上する。そこで 、表示コントラストが良好な範囲である 10以下を好ましい範囲とした。
[0054] 色度 a*、 b*は、無彩色であることが表示品位の点力 好ましぐ絶対値が 1を超える と色相を帯びてくるので、好ましい範囲を無彩色となる絶対値が 1以下、すなわち 1 以上かつ 1以下とした。
OD値は、低いと十分な遮光性が得られず、また、低い OD値の膜で十分な遮光性 を得るためには膜厚を厚くせざるを得ず、特に、液晶ディスプレイ (LCD)等のブラッ クマトリックスとして用いた場合、膜厚が厚くなることにより、表示ムラ等が生じ易くなる 。そこで、膜厚が薄い場合であっても、十分な遮光性が得られる範囲を 3以上とした。
[0055] 実施の形態 (その 3) :
次いで、本発明の第 3である、黒色微粒子と黒色微粒子分散液及び黒色遮光膜並 びに黒色遮光膜付き基材の最良の形態について説明する。
[0056] 本実施形態の黒色微粒子は、銀錫 (AgSn)合金を主成分とし平均粒子径が lnm 以上かつ 300nm以下の微粒子の表面が、絶縁膜により被覆されて ヽる。
この微粒子は、 AgSn合金が主成分であればよぐ他の金属成分として、例えば、 N i、 Pd、 Au等が含まれていてもよい。
また、この微粒子は、 AgSn合金微粒子の他、 Ag微粒子や Sn微粒子が混在したも のであってもよい。
この AgSn合金は、化学式 Ag Snにて表した場合、化学的に安定した AgSn合金 が得られる Xの範囲は l≤x≤ 10であり、化学的安定性と黒色度が同時に得られる X の範囲は 3≤x≤ 4である。
[0057] ここで、上記 Xの範囲で AgSn合金中の Agの重量比は、上記実施の形態(その 1)と 同様である。したがって、この AgSn合金は、 Agを 47. 6重量%以上かつ 90重量% 以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、 Agを 73. 17重量%以上かつ 78. 4 3重量%以下含有した場合に Ag量に対し効果的に化学的安定性と黒色度を得るこ とがでさる。
[0058] この黒色微粒子の構成要素である微粒子は、通常の微粒子合成法を用いて作製 することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法
、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等、いずれの方法を用いても良い。
[0059] 絶縁膜は、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が lnm以上かつ 300nm以下の微 粒子の表面を絶縁化させることにより高絶縁性微粒子とするもので、金属酸化物また は有機高分子化合物が好適である。
金属酸ィ匕物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸ィ匕ケィ素(シリカ)、 酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコユア)、酸化イットリウム (イット リア)、酸ィ匕チタン (チタ-ァ)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する榭脂、例えば、ポリイミド、ポリエ 一テル、ポリアタリレート、ポリアミンィ匕合物等が好適に用いられる。
[0060] 絶縁膜の膜厚は、上記微粒子の表面の絶縁性を十分に保持することができるため
には l〜100nmの厚みが好ましぐより好ましくは 5〜50nmである。
この絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成 することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキ シドを用いれば、比較的低温で、膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので 好ましい。
[0061] 本実施形態の黒色微粒子では、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が lnm以上 かつ 300nm以下の微粒子の表面を、絶縁膜により被覆したことにより、 Ag粒子や Sn 粒子に比べて黒色度が高まり、遮光性が向上し、絶縁性も向上する。
また、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が lnm以上かつ 300nm以下の微粒子 の表面を、金属酸ィ匕物力 なる絶縁膜により被覆することにより、 Ag粒子や Sn粒子 等の金属微粒子に比べて耐熱性に優れたものとなり、し力も、機械的強度が高ぐ摩 耗し難い。
[0062] 本実施形態の黒色微粒子分散液は、本実施形態の黒色微粒子を含有したもので あり、この黒色微粒子分散液には、溶媒、必要に応じて有機バインダー等が含まれる 溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール 、 n—プロパノール、 2—プロパノール、ブタノール等の一価アルコール類、エチレン グリコール等の二価アルコール類、 /3 ォキシェチルメチルエーテル(メチルセロソ ルブ)、 j8—ォキシェチルエーテル(ェチルセ口ソルブ)、 ォキシェチルプロピル エーテル(プロピルセロソルブ)、ブチルー β ォキシェチルエーテル(ブチルセロソ ルブ)等のエチレングリコールエーテル(セロソルブ)類、エチレングリコール、プロピ レングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン等の ケトン類、酢酸ェチル、酢酸ブチル、酢酸べンジル等のエステル類、メトキシエタノー ル、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、プロピレングリコールモノメチル エーテルアセテート等を挙げることができる。
[0063] 本実施形態の黒色微粒子分散液では、 AgSn合金を主成分とし平均粒子径が In m以上かつ 300nm以下の微粒子の表面を絶縁膜により被覆した黒色微粒子を含有 したことにより、黒色度が高ぐ遮光性および絶縁性に優れ、しかも安価な黒色遮光 膜の原料となる黒色微粒子分散液を提供することが可能になる。
[0064] 本実施形態の黒色遮光膜は、本実施形態の黒色微粒子分散液を基材上に塗布し 、その後乾燥することで得られる。
この黒色遮光膜を基材のー主面に形成すれば、黒色遮光膜付き基材となる。 基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材 (有機 高分子基材)を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シー ト状等が挙げられる。また、上記のプラスチック基材としては、プラスチックシート、ブラ スチックフィルム等が好適である。
[0065] ガラス基材の材質としては、特に限定されるものではな 、が、例えば、ソーダガラス 、カリガラス、無アルカリガラス等力 適宜選択することができる。
プラスチック基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、セル口 ースアセテート、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル 、ポリイミド、エポキシ、フエノキシ、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビ-リデン、トリ ァセチルセルロース、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアタリレート等から適宜選択 することができる。
[0066] 塗布方法としては、通常用いられている方法、例えば、スピンコート法、スプレーコ ート法、インクジェット法、ディップ法、ロールコート法、スクリーン印刷法、バーコート 法等が好適に用いられる。
[0067] 基材上に塗布された分散液は溶媒を含んでいるので、その後の乾燥工程により溶 媒を除去する。
例えば、分散液が塗布された基材を、大気中、室温 (25°C)に放置するか、あるい は所定の温度、例えば、大気中、 50°C〜80°Cの温度にて加熱することにより、分散 液に含まれる溶媒を散逸させ、黒色遮光膜とする。
[0068] この黒色遮光膜は、液晶ディスプレイ (LCD)等の表示装置のブラックマトリックスと して用いる場合、高絶縁性を有することが好ましぐ例えば、体積抵抗(Ω 'cm)として は 107 Ω 'cm以上が好ましい範囲である。
また、 CIE (国際照明委員会)により規格化された CIE明度 L*が 10以下、色度 a*が 1以上かつ 1以下、色度 b*がー 1以上かつ 1以下、光学濃度である OD値が 3以上 であることが好ましい。
CIE明度 L*は、低いほど黒色度が向上し、特に、液晶ディスプレイ (LCD)等の表 示装置のブラックマトリックスとして用いた場合には、低いほど表示コントラストが向上 する。そこで、表示コントラストが良好な範囲である 10以下を好ましい範囲とした。
[0069] 色度 a*、 b*は、無彩色であることが表示品位の点から好ましぐ絶対値が 1を超える と色相を帯びるので、好ましい範囲を無彩色となる絶対値が 1以下、すなわち 1以 上かつ 1以下とした。
OD値は、低いと十分な遮光性が得られず、また、低い OD値の膜で十分な遮光性 を得るためには膜厚を厚くせざるを得ず、特に、液晶ディスプレイ (LCD)等のブラッ クマトリックスとして用いた場合、膜厚が厚くなることにより、表示ムラ等が生じ易くなる そこで、膜厚が薄い場合であっても、十分な遮光性が得られる範囲を 3以上とした。 実施例
[0070] 以下、本発明の実施の形態 (その 1)について、実施例 1〜2及び比較例 1〜4によ つて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもので はない。
[0071] (実施例 1)
60°Cに保温した純水 300mlに、錫(Sn)コロイド(平均粒子径: 50nm、固形分: 20 重量%、住友大阪セメント社製) 15gと、銀 (Ag)コロイド (平均粒子径: 10nm、固形 分: 20重量%、住友大阪セメント社製) 60gを加え、このコロイド溶液を 60°Cに保持し た状態で 60分間攪拌し、その後、超音波を 5分間照射した。次いで、このコロイド溶 液を遠心分離により濃縮し、固形分が 15%の A液を得た。
[0072] 次いで、この A液に、 A液中の固形分: PVA= 50 : 50の体積比となるように PVA水 溶液を加え、超音波分散機(ソ -フアイヤー 450 : BRANSON ULTRASONICS社製)に て分散処理した後、 1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み 1. 1mmのガラス基板上に塗布し、 黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚み を 0. 5 mとした。
次いで、この塗膜付きガラス基板を、加熱装置を用いて 200°Cにて 1時間加熱し、
黒色膜付きガラス基板を得た。
[0073] 次 ヽで、この黒色膜付きガラス基板の光透過率を測定した。ここでは、分光スぺタト ルメーターにより 550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。 また、この黒色膜の黒色度を評価するために、この黒色膜の CIE明度 L*を、 CIE ( 国際照明委員会)により規格化された L*a*b*表色系に基づいて測定した。これらの 測定結果を表 1に示す。
[0074] さらに、上記の A液をフリーズドライ法により乾燥して実施例 1の粉末試料を作製し、 この粉末試料中の生成相を X線回折装置を用いて同定した。
図 1は、実施例 1の粉末試料の粉末 X線回折図形を示す図であり、図中、△印は A g Sn合金相または Ag Sn合金相の回折線である。
4 3
これにより、 A液中の粒子は、 AgSn合金で構成された粒子であることが分力ゝつた。
[0075] (実施例 2)
実施例 1にて、 Snコロイドを 15g、 Agコロイドを 45gとした以外は、実施例 1と同様に して実施例 2の黒色膜付きガラス基板を作製した。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*の測定を行った。こ れらの測定結果を表 1に示す。
[0076] (比較例 1)
カーボンブラック (HA3、東海カーボン社製)に、実施例 1と同様にカーボンブラック : PVA= 50: 50の体積比となるように PVA水溶液を加え、実施例 1と同様に分散処 理、塗布液中の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、 厚みが 0. 5 μ mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色膜付きガラス基 板を得た。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*の測定を行った。こ れらの測定結果を表 1に示す。
[0077] (比較例 2)
チタンブラック(13M、ジェムコネ土製)に、実施例 1と同様にチタンブラック: PVA= 5 0 : 50の体積比となるように PVA水溶液をカ卩え、実施例 1と同様に分散処理、塗布液
中の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5 μ mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色膜付きガラス基 板を得た。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*の測定を行った。こ れらの測定結果を表 1に示す。
[0078] (比較例 3)
銀ナノ粒子 (住友大阪セメント社製)に、実施例 1と同様に銀ナノ粒子: PVA= 50 : 50の体積比となるように PVA水溶液をカ卩え、実施例 1と同様に分散処理、塗布液中 の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5 mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色膜付きガラス基 板を得た。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*の測定を行った。こ れらの測定結果を表 1に示す。
[0079] (比較例 4)
ァ-リンブラック黒色染料 (堀内化学研究所製)を用いて、スピンコート法によるガラ ス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5 mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色膜付きガラス基 板を得た。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*の測定を行った。こ れらの測定結果を表 1に示す。
[0080] [表 1]
[0081] この表 1によれば、実施例 2の黒色膜は、比較例 1〜4に対して光透過率が低く
、 CIE明度 L*も優れており、遮光性及び黒色度に優れていることが確認された。 一方、比較例 1の黒色膜は、黒色度が実施例 1、 2に近いものの、光透過率が高ぐ 実施例 2の黒色膜に対して遮光性が劣っていることが分力つた。
また、比較例 2、 4の黒色膜は、黒色度、光透過率共に劣っていることが分力つた。 また、比較例 3の黒色膜は、実施例 2とほぼ同様の遮光性が得られるものの、膜 の色は灰色で黒色化しておらず、色調の点で問題があった。
[0082] 次に、本発明の実施の形態 (その 2)について、実施例 3〜4及び比較例 5〜8によ つて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもので はない。
[0083] (実施例 3)
60°Cに保温した純水 200mlに、錫(Sn)コロイド(平均粒子径: 20nm、固形分: 20 重量%、住友大阪セメント社製) 15gと、銀 (Ag)コロイド (平均粒子径: 7nm、固形分 : 20重量0 /0、住友大阪セメント社製) 60gと、ポリビュルピロリドン (PVP) (kl5 :東京 化成工業社製) 0. 75gを水 100mlに溶解した溶液を加え、コロイド溶液とした。 次いで、このコロイド溶液を 60°Cに保持した状態で 60分間攪拌し、その後、超音波 を 5分間照射した。次いで、このコロイド溶液を遠心分離により濃縮し、固形分が 15 %の A液を得た。
[0084] 次いで、この A液に、 A液中の固形分: PVA= 50 : 50の体積比となるように PVA水 溶液を加え、超音波分散機(ソ -フアイヤー 450 : BRANSON ULTRASONICS社製)に て分散処理した後、 1時間静置し、黒色微粒子分散液とした。
次いで、この分散液をスピンコート法により厚み 1. 1mmのガラス基板上に塗布し、 黒色の塗膜とした。ここでは、分散液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚み を 0. 5 mとした。
次いで、この塗膜付きガラス基板を、加熱装置を用いて 200°Cにて 1時間加熱し、 黒色遮光膜付きガラス基板を得た。
[0085] 次 、で、この黒色遮光膜付きガラス基板の光透過率を測定した。ここでは、分光ス ベクトルメーターにより 550nmの波長の光に対する黒色遮光膜自体の光透過率を測 し 7こ。
また、この黒色遮光膜の黒色度を評価するために、この黒色遮光膜の CIE明度 L* 、色度 a*、 b*を、 CIE (国際照明委員会)により規格化された L*a*b*表色系に基づ いて測定した。
また、この黒色遮光膜の光学濃度である OD値を透過濃度計を用いて測定した。こ れらの測定結果を表 2に示す。
[0086] さらに、上記の A液をフリーズドライ法により乾燥して実施例 1の粉末試料を作製し、 この粉末試料中の生成相を X線回折装置を用いて同定した。
図 2は、実施例 3の粉末試料の粉末 X線回折図形を示す図であり、図中、△印は A g Sn合金相または Ag Sn合金相の回折線である。
4 3
これにより、 A液中の粒子は、 AgSn合金で構成された粒子であることが分力ゝつた。
[0087] (実施例 4)
実施例 3にて、 Snコロイドを 15g、 Agコロイドを 45gとした以外は、実施例 3と同様に して実施例 4の黒色遮光膜付きガラス基板を作製した。
次いで、実施例 3と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*、色度 a*、 b*の測 定、 OD値の測定を行った。これらの測定結果を表 2に示す。
[0088] (比較例 5)
カーボンブラック (HA3、東海カーボン社製)に、実施例 3と同様にカーボンブラック : PVA= 50: 50の体積比となるように PVA水溶液を加え、実施例 1と同様に分散処 理、分散液中の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、 厚みが 0. 5 μ mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色遮光膜付きガ ラス基板を得た。
次いで、実施例 3と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*、色度 a*、 b*の測 定、 OD値の測定を行った。これらの測定結果を表 2に示す。
[0089] (比較例 6)
チタンブラック(13M、ジェムコネ土製)に、実施例 3と同様にチタンブラック: PVA= 5 0 : 50の体積比となるように PVA水溶液を加え、実施例 3と同様に分散処理、分散液 中の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5
μ mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色遮光膜付きガ ラス基板を得た。
次いで、実施例 3と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*、色度 a*、 b*の測 定、 OD値の測定を行った。これらの測定結果を表 2に示す。
[0090] (比較例 7)
銀ナノ粒子 (住友大阪セメント社製)に、実施例 3と同様に銀ナノ粒子: PVA= 50 : 50の体積比となるように PVA水溶液を加え、実施例 3と同様に分散処理、分散液中 の水分量の調整、スピンコート法によるガラス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5 mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色遮光膜付きガ ラス基板を得た。
次いで、実施例 3と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*、色度 a*、 b*の測 定、 OD値の測定を行った。これらの測定結果を表 2に示す。
[0091] (比較例 8)
ァ-リンブラック黒色染料 (堀内化学研究所製)を用いて、スピンコート法によるガラ ス基板上への塗布を行い、厚みが 0. 5 mの黒色の塗膜を作製した。
次いで、この塗膜付きガラス基板を室温 (25°C)にて乾燥させ、黒色遮光膜付きガ ラス基板を得た。
次いで、実施例 1と同様にして、光透過率の測定、 CIE明度 L*、色度 a*、 b*の測 定、 OD値の測定を行った。これらの測定結果を表 2に示す。
[0092] [表 2]
この表 2によれば、実施例 3、 4の黒色遮光膜は、比較例 5〜8に対して光透過率が 低ぐ CIE明度 L*も低く、色度 a*、 b*の絶対値も小さいことから、遮光性及び黒色度
に優れて 、ることが確認された。
一方、比較例 5の黒色遮光膜は、黒色度が実施例 3、 4に近いものの、光透過率が 高ぐ実施例 3、 4の黒色遮光膜に対して遮光性が劣っていることが分力つた。
また、比較例 6、 8の黒色遮光膜は、黒色度、光透過率共に劣っていることが分かつ た。
また、比較例 7の黒色遮光膜は、実施例 3、 4とほぼ同様の遮光性が得られるものの 、膜の色は灰色で黒色化しておらず、色調の点で問題があった。
[0094] 次に、本発明の実施の形態 (その 3)について、実施例 5〜6及び比較例 9〜: L 1に よって、より具体的に説明する力 本発明はこれらの実施例によって限定されるもの ではない。
[0095] 「黒色微粒子の調製」
以下により黒色微粒子を調製した。
(1)シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 A
平均粒子径が 10〜30nmの黒色 AgSn合金球状粒子の水分散液(固形分の濃度 : 15重量%、住友大阪セメント社製) lOOgを純水を用いて 10倍に希釈した溶液に、 3—メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS) 0. 1重量%含有水溶液 1200gをカロ えて撹拌し、 A液とした。
[0096] 一方、水ガラスを水で希釈した溶液 (SiO換算で 3%) 150gを陽イオン交換榭脂を
2
用いて pHを 10. 5に調整し、 B液とした。
次いで、上記の A液を NaOH水溶液(0. 1N)により pHを 9. 5に調整し、この A液 に上記の B液をゆっくりと滴下し、 1時間撹拌した。次いで、限外濾過を用いて、この 溶液から未反応の水ガラス、 MPS,イオン等を除去し、その後濃縮し、分散液を得た 次いで、この分散液から遠心分離、フリーズドライ等により溶液と微粒子を分離し、 乾燥することにより、シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 Aを得た。
[0097] (2)シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 B
上記の A液に酢酸(0. 1N)をカ卩え、 pHを 4. 8に調整した。次いで、この溶液に、テ トラエトキシシラン 1重量%含有水溶液 300gを滴下した後、加熱して 60°Cとし、この
温度にて 2時間撹拌した。次いで、限外濾過を用いて、この溶液から未反応の MPS 、テトラエトキシシラン、酢酸を除去し、その後濃縮し、分散液を得た。
次いで、この分散液から遠心分離、フリーズドライ等により溶液と微粒子を分離し、 乾燥することにより、シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 Bを得た。
[0098] 「黒色微粒子分散液及び黒色遮光膜の作製」(実施例 5)
シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 AlOOgに分散剤(ソルスノ ース 20000: アビシァ(株)製) 2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100gをカロ え、ビーズミルを用いて分散し、シリカコーティング AgSn合金集合粒子分散液を得 た。この分散液に、ベンジルメタタリレート Zメタクリル酸共重合体: 64重量部、ジペン タエリスリトールへキサアタリレート: 26重量部、ィルガキュア 907: 9重量部力もなるバ インダーを 50gカロえ、混合し、塗布液を得た。この塗布液をガラス基板上にスピンコ 一ターにより塗布し、室温(25°C)にて乾燥後、紫外線 (UV)を照射して厚み 0. 6 μ mの黒色膜を形成した。
[0099] (実施例 6)
実施例 5にて、シリカコーティング AgSn合金球状微粒子 Aの替わりにシリカコーテ イング AgSn合金球状微粒子 Bを用いた以外は、実施例 5と同様にして実施例 6の黒 色膜を形成した。
[0100] (比較例 9)
シリカコーティングされて 、な ヽ AgSn合金球状粒子を用いたこと以外は、実施例 5 と同様にして黒色膜を形成した。
[0101] (比較例 10)
シリカコーティングされたカーボンブラックを用いたこと以外は、実施例 5と同様にし て黒色膜を形成した。
[0102] (比較例 11)
シリカコーティングされたチタンブラックを用いたこと以外は、実施例 5と同様にして 黒色膜を形成した。
[0103] 「黒色膜の評価」
実施例 5〜6及び比較例 9〜11それぞれの黒色膜の体積抵抗を測定した。測定は
、 日本工業規格 JIS C 2103— 1991「体積抵抗率試験」に準拠して、 4端子法により 測定した。
また、この黒色膜の光学濃度である OD値を透過濃度計を用いて測定した。
また、この黒色膜の黒色度を評価するために、この黒色膜の CIE明度 L*、色度 a*
、 b*を、 CIE (国際照明委員会)により規格化された L*a*b*表色系に基づいて測定 した。これらの測定結果を表 3に示す。
[0104] [表 3]
[0105] この表 3によれば、実施例 5、 6の黒色膜は、体積抵抗が 10lu Q cmより大きぐ OD 値が 4以上であり、 CIE明度 L*も低く、色度 a*、 b*の絶対値も小さいことから、絶縁 性、遮光性及び黒色度に優れて ヽることが確認された。
一方、比較例 9の黒色膜は、 OD値が 4以上であり、 CIE明度 L*も低ぐ色度 a*、 b *の絶対値も小さいものの、体積抵抗が 4. 1 X 106 Q cmと低ぐ絶縁性が低下してい ることが分かった。
また、比較例 10、 11の黒色膜は、体積抵抗が 101(> Ω «ηより大きぐ CIE明度 L*も 低いものの、 OD値が 2前後と小さぐ色度 a*、 b*の絶対値も 1を超えており、実施例 5、 6の黒色膜に対して黒色度、遮光性共に劣っていることが分力つた。
産業上の利用可能性
[0106] 本発明の第 1の黒色材料は、黒色度、遮光性に優れ、さらには耐熱性に優れ、しか も安価であるから、黒色度、遮光性、耐熱性が求められるあらゆる物に適用可能であ る。例えば、黒色光遮蔽性フィルム、黒色光遮蔽性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色ィ ンキ、プラズマディスプレイ (PDP)や液晶ディスプレイ (LCD)等の表示装置向けの ブラックマトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等としても利用できる。
[0107] 本発明の第 2の黒色微粒子分散液は、黒色度、遮光性に優れ、さらには耐熱性に 優れ、し力も安価な黒色遮光膜の材料として利用することができるので、黒色度、遮
光性、耐熱性が求められるあらゆる物の材料に適用可能である。例えば、黒色遮光 性フィルム、黒色遮光性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色インキ、液晶ディスプレイ (LC D)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクト口ルミネッセンスディスプレイ(ELD)、エレ タトロクロミックディスプレイ(ECD)等の表示装置向けのブラックマトリックス材料、ブラ ックシール材料、ブラックマスク材料等としても利用できる。
本発明の第 3の黒色微粒子は、黒色度、遮光性、絶縁性に優れ、しかも安価な黒 色遮光膜の材料として利用することができるので、黒色度、遮光性、絶縁性が求めら れるあらゆる物の材料に適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ (LCD)、ブラズ マディスプレイ(PDP)、エレクト口ルミネッセンスディスプレイ(ELD)、エレクト口クロミ ックディスプレイ(ECD)等の表示装置向けのブラックマトリックス材料、ブラックシー ル材料、ブラックマスク材料等の他、黒色遮光性フィルム、黒色遮光性ガラス、黒色 紙、黒色布、黒色インキ等としても利用することができる。