明 細 書
金属材の製造方法および製造装置、ならびに金属材および金属加工材 技術分野
[0001] この発明は、連続铸造による金属材の製造方法に関し、さらにこの製造方法を実施 するための製造装置、ならびにこの製造方法によって製造された金属材およびこの 金属材力 製造された金属加工材に関する。
背景技術
[0002] 金属製線材の連続铸造には、複数の回転モールド部材を铸造空間を囲んで対向 配置し、これらの回転モールド部材を铸出し方向に駆動するとともに、溶湯を铸造空 間に供給することによって金属铸造材を製造する連続铸造装置が用いられる。例え ば、プロペルチ型铸造装置では、外周面に凹溝が設けられた铸造ホイールと、この 凹溝を閉じる無端ベルトとを組み合わせによる回転モールド部材が用いられる。
[0003] これらの回転モールド部材においては、溶湯の凝着を防止するために、回転モー ルド部材の内面に潤滑油を塗布しながら铸造したり、あるいは回転モールド部材の 内面に潤滑層を設けるといった方策が採られている (特許文献 1, 2, 3参照)。
[0004] 潤滑油を塗布する方法では、空気流により発生する負圧を利用した噴霧装置で潤 滑油を噴霧塗布したり、潤滑油を含浸させた繊維布帛を回転モールド部材の内面に 押し付けて塗布する方法が採られている。また、潤滑油として耐熱性の高い化学合 成油やひまし油等の植物油が用いられて!/、る。
[0005] また、回転モールド部材の内面に潤滑層を設ける方法としては、特許文献 1にお ヽ て、アルコールにフッ化黒鉛粉末を分散させた液をモールド表面に塗布したり、金属 メツキ層内にフッ化黒鉛を分散させることにより、フッ化黒鉛による潤滑層を形成する ことが提案されている。また、特許文献 2ではアセチレンガスの不完全燃焼で発生す るススを付着させた潤滑層が提案されている。また、特許文献 3では、耐火性セラミツ クを溶射して潤滑層とすることが提案されて 、る。
[0006] さらに、上述した連続铸造においては、前記回転モールド部材の後段に圧延機が 設置され、金属铸造材を連続的に圧延し、所望の形状の铸造圧延材を得ることがで
きる。
[0007] し力しながら、この铸造圧延材は表面が黒ずむことがあり、押出加工材と比較すると 表面品質が劣る場合がある。黒ずみと視認されるものには炭化物や酸ィ匕物が挙げら れる。炭化物は、主に铸造時に金型との凝着を防止するために使用される潤滑油が 高温にさらされて炭化したものである。また、酸化物は、金属が铸造され、その後高 温に保持されるために、表層の添加元素、主に Mgが酸ィ匕して MgOとなるために生 じるちのである。
[0008] このため、铸造圧延材の表面を切削除去したり、圧延に続いて加圧された水を噴 射して表面を浄化する方法が提案されて!ヽる (特許文献 4参照)。
特許文献 1:特開昭 59 - 18048号公報
特許文献 2:特開昭 53— 123333号公報
特許文献 3:特開昭 59— 174254号公報
特許文献 4:特開昭 50 - 159423号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] し力しながら、上述した連続铸造時の潤滑油の塗布方法では微量塗布が困難であ るため、薄い油膜を形成すれば十分に凝着防止効果を得られるにも拘わらず、過剰 量の潤滑油が塗布されていた。そして、過剰量の潤滑油が铸造材の黒ずみ等の表 面品質を低下させるとともに、潤滑油コストが高いという問題点があった。
[0010] 一方、また、特許文献 1に記載されたフッ化黒鉛による潤滑層を形成する方法では 、潤滑層が高温で分解され長期間の効果持続が困難であり、潤滑油塗布よりもさら にコストが高いという問題点があった。また、特許文献 2, 3に記載されたスス皮膜によ る潤滑層やセラミック溶射による潤滑層もまた、潤滑層形成コストが高 ヽと ヽぅ問題点 かあつた。
[0011] また、铸造圧延材の表面の黒ずみを除去する方法においても、表面切削除去は材 料歩留まりが悪ぐしかも別工程で行うために、材料コストも工程コストも高くなるという 問題点があった。また、特許文献 4に記載されている水噴射による表面浄ィ匕では十 分な洗浄効果が得られな 、と 、う問題点があった。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、上述した技術背景に鑑み、铸造材表面品質を低下させることなぐ低コ ストで溶湯の凝着を容易に防止でき、あるいはさらに表面の黒ずみを除去して優れた 表面品質を有する金属材の製造方法の提供を目的とする。
[0013] 前記目的を達成するために、本発明の金属材の製造方法は、下記〔1〕〜〔24〕に 記載の構成を有する。
[0014] 〔1〕 複数の回転モールド部材を铸造空間を囲んで対向配置し、これらの回転モー ルド部材を铸出し方向に駆動することによって連続的に金属材を铸造するに際し、 少なくとも 1つの回転モールド部材の溶湯接触面の少なくとも一部分に、潤滑油を間 欠的に噴霧塗布することを特徴とする金属材の製造方法。
[0015] 〔2〕 複数の回転モールド部材は、外周面に凹溝を有する铸造ホイールとこの凹溝 を閉じる連続ベルトである前項 1に記載の金属材の製造方法。
[0016] 〔3〕 铸造ホイールの凹溝に潤滑油を塗布する前項 2に記載の金属材の製造方法
[0017] 〔4〕 铸造ホイールの凹溝の側面部にのみ潤滑油を塗布する前項 3に記載の金属 材の製造方法。
[0018] [5] 連続ベルトに潤滑油を塗布する前項 2に記載の金属材の製造方法。
[0019] 〔6〕 回転モールド部材の溶湯接触面の移動速度が V(mmZs)、 1回の噴霧時間 が t(s)、回転モールドの静止状態において 1回の噴霧によって塗布される範囲の铸 出し方向における距離が Lp (mm)のとき、 1秒間の噴霧回数 (T)を VZ (Lp+V X t) 〜3VZ (Lp+V X t)回とする前項 1または 2に記載の金属材の製造方法。
[0020] 〔7〕 潤滑油の噴霧をプランジャーポンプにより行う前項 1または 2に記載の金属材 の製造方法。
[0021] 〔8〕 1回の噴霧時間が 0. 001〜lsである前項 1または 2に記載の金属材の製造 方法。
[0022] 〔9〕 1回の噴霧量が 0. 001〜lmlである前項 1または 2に記載の金属材の製造方 法。
[0023] 〔10〕 潤滑油の総塗布量が 5〜150mlZhである前項 1または 2に記載の金属材
の製造方法。
[0024] 〔11〕 連続铸造に続いて圧延を行って铸造圧延材を製造し、この铸造圧延材に対 して酸洗浄または苛性洗浄を含む多段階洗浄を行う前項 1に記載の金属材の製造 方法。
[0025] 〔12〕 前記多段階洗浄を铸造圧延材を移動させながら行う前項 11に記載の金属 材の製造方法。
[0026] 〔13〕 前記多段階洗浄を連続铸造および圧延に続いて行う前項 12に記載の金属 材の製造方法。
[0027] 〔14〕 前記多段階洗浄を連続铸造および圧延後に別工程で行う前項 12に記載の 金属材の製造方法。
[0028] [15] 前記多段階洗浄を铸造圧延材を切断した後に行う前項 11に記載の金属材 の製造方法。
[0029] 〔16〕 前記多段階洗浄は、少なくとも 1回の苛性洗浄および少なくとも 1回の酸洗 浄を含む前項 11に記載の金属材の製造方法。
[0030] 〔17〕 前記多段階洗浄は、苛性洗浄、酸洗浄の順に行う前項 16に記載の金属材 の製造方法。
[0031] 〔18〕 前記多段階洗浄は、酸洗浄、苛性洗浄、酸洗浄の順に行う前項 16に記載 の金属材の製造方法。
[0032] 〔19〕 前記酸洗浄における洗浄液は、硝酸、硫酸、塩酸のうちのいずれかである 前項 11に記載の金属材の製造方法。
[0033] 〔20〕 前記苛性洗浄における洗浄液は、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリ ゥム水溶液である前項 11に記載の金属材の製造方法。
[0034] 〔21〕 前記酸洗浄または苛性洗浄における洗浄時間は、铸造圧延材が各洗浄槽 を通過するのに要する時間によって制御される前項 11に記載の金属材の製造方法
[0035] 〔22〕 前記洗浄槽通過時間は、铸造圧延材の移動方向における洗浄槽の長さに よって設定される前項 11に記載の金属材の製造方法。
[0036] 〔23〕 前記洗浄槽通過時間は、洗浄槽内で連続铸造圧延材を蛇行させ、その蛇
行距離によって設定される前項 21または 22に記載の金属材の製造方法。
[0037] 〔24〕 前記酸洗浄後または苛性洗浄後に水洗浄を行う前項 11に記載の金属材の 製造方法。
[0038] また、本発明の金属材の製造装置は下記〔25〕〜〔27〕に記載の構成を有する。
[0039] 〔25〕 铸造空間を囲んで対向配置され、铸出し方向に駆動される複数の回転モー ルド部材と、少なくとも一部の回転モールド部材の少なくとも一部分に対して潤滑油 を間欠的に噴霧する潤滑油噴霧手段とを備えることを特徴とする金属材の製造装置
[0040] 〔26〕 さらに、前記回転モールド部材の後段に配置されて铸造材を圧延する圧延 手段と、前記圧延手段の後段に配置され、圧延された铸造圧延材を酸洗浄液に接 触させる酸洗浄槽または苛性洗浄液に接触させる苛性洗浄槽を含む複数の洗浄槽 とを備え、これらの洗浄槽が直列に配置されてなる前項 25に記載の金属材の製造装 置。
[0041] 〔27〕 铸造圧延材を酸洗浄液に接触させる少なくとも 1つの酸洗浄槽と、苛性洗浄 液に接触させる少なくとも 1つの苛性洗浄槽とを備える前項 26に記載の金属材の製 造装置。
[0042] また、本発明の金属材は下記〔28〕に記載の構成を有する。
[0043] 〔28〕 前項 1または前項 11に記載された連続铸造方法により製造されたことを特 徴とする金属铸造材。
[0044] また、本発明の金属加工材は下記〔29〕〔30〕に記載の構成を有する。
[0045] 〔29〕 前項 28に記載された金属材に二次カ卩ェしてなることを特徴とする金属加工 材。
[0046] 〔30〕 二次カ卩ェとして、塑性加工、切削加工のうちの 1種以上の加工を施された前 項 29に記載の金属加工材。
発明の効果
[0047] 〔1〕の発明に力かる金属材の製造方法によれば、連続铸造において回転モールド 部材に適正量の潤滑油を塗布して凝着を防止できる。また、過剰な潤滑油による表 面品質低下が防止されて、表面品質の優れた金属材を製造することができる。しかも
、潤滑油噴霧のタイミングや塗布量の制御であるから低コストで実施できる。
[0048] 〔2〕の発明によれば、回転モールド部材として铸造ホイールとこの凹溝を閉じる連 続ベルトを用いる連続铸造にお 、て、上記効果を奏することができる。
[0049] 〔3〕の発明によれば、铸造ホイールの凹溝に対して上記効果を奏することができる
[0050] 〔4〕の発明によれば、铸造ホイールの凹溝に対して上記効果を奏しつつ、潤滑油 量を低減できる。
[0051] 〔5〕の発明によれば、連続ベルトに対して上記効果を奏することができる。
[0052] 〔6〕の発明によれば、噴霧範囲が途切れることなく連続させることができる。
[0053] 〔7〕の発明によれば、潤滑油を微量かつ均一に塗布することができる。
[0054] 〔8〕の発明によれば、潤滑油を微量かつ均一に塗布することができる。
[0055] 〔9〕の発明によれば、潤滑油を微量かつ均一に塗布することができる。
[0056] 〔10〕の発明によれば、潤滑油の総塗布量が適正である。
[0057] 〔11〕の発明によれば、铸造圧延材に対して酸洗浄または苛性洗浄を含む多段階 洗浄を行うことにより、铸造圧延材表面の黒ずみを除去して表面品質の良い金属材 を製造することができる。
[0058] 〔12〕〜〔14〕の各発明によれば、铸造圧延材が連続的に洗浄されるため、生産性 が高くひいては低コストィ匕が可能となる。特に〔13〕の発明によれば連続铸造圧延の ライン上で洗浄されるために生産性が高!、。
[0059] 〔15〕の発明によれば、多数の铸造圧延材に対して同時に同一条件で洗浄できる から、洗浄液の pHや液温等の変動による影響を受けにくぐ工程管理も容易である。 また、洗浄条件の設定や変更が容易である。
[0060] 〔16〕〜〔20〕の各発明によれば、優れた洗浄効果を得ることができる。
[0061] 〔21〕〜〔23〕の各発明によれば、洗浄時間を調節できる。
[0062] 〔24〕の発明によれば、洗浄液を次段階に持ち越すことを防ぐことができる。
[0063] 〔25〕〜〔27〕の各発明にかかる金属材の製造装置によれば、〔1〕または〔11〕に記 載された製造方法を実施して、表面品質の優れた金属材を製造できる。
[0064] 〔28〕に力かる金属材は、表面品質の優れた金属材である。
[0065] 〔29〕に力かる金属加工材によれば、〔18〕に記載された金属材から任意形状が得 られる。
[0066] 〔30〕に力かる金属加工材によれば、〔28〕に記載された金属材から、塑性加工およ び Zまたは切削加工によって任意形状が得られる。
図面の簡単な説明
[0067] [図 1]本発明にかかる金属材の製造方法を実施する製造装置 (連続铸造装置)の構 成を示す模式図である。
[図 2]図 1の要部拡大図である。
[図 3A]静止状態における噴霧範囲を示す図である。
[図 3B]移動状態における噴霧範囲を示す図である。
[図 4A]移動状態における間欠噴霧状態を示す図である。
[図 4B]移動状態における他の間欠噴霧状態を示す図である。
[図 5]ノズルおよびプランジャーポンプを示す模式的断面図である。
[図 6]潤滑油噴霧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
[図 7]圧延部および洗浄部を有する金属材の製造装置の模式的構成図である。
[図 8]铸造材を圧延する過程を示す断面図である。
符号の説明
[0068] 1…連続铸造装置 (金属材の製造装置)
2…金属材の製造装置
10· · '铸造ホイール(回転モールド部材)
11· · '連続ベルト(回転モールド部材)
12…凹溝
12a…側面部
15· ··铸造空間
16,17· · ·ノズル (潤滑油噴霧手段)
40…圧延部 (圧延手段)
50…洗浄部
51…第 1酸洗浄槽 (洗浄槽)
52…苛性洗浄槽 (洗浄槽)
53…最終酸洗浄槽 (洗浄槽)
54,55,56· ··水洗浄槽
57…乾燥槽
Μ· ··溶湯
S1…铸造材 (金属材)
S2 铸造圧延材 (金属材)
発明を実施するための最良の形態
[0069] 本発明の金属材の製造方法は、連続铸造において、回転モールド部材の溶湯接 触面に潤滑油を間欠的に噴霧塗布することにより、適正量の潤滑油を塗布するもの である。さらに、本発明の金属材の製造方法は、上記方法で連続铸造した金属材を 铸造に続 、て圧延し、この铸造圧延材を多段階で洗浄するものである。
[0070] 以下に、本発明の、〔A〕連続铸造において回転モールド部材に潤滑油を間欠噴霧 する方法、〔B〕铸造圧延材を多段階で洗浄する方法について、これらの方法を実施 する装置を参照しつつ詳述する。なお、以下の説明において、連続铸造により製造 し、圧延していない金属材を「铸造材」または「铸造材 (Sl)」と称し、連続铸造後に圧 延した金属材を「铸造圧延材」または「铸造圧延材 (S2)」と称する。
[0071] 〔A〕連続铸造にお!/、て回転モールド部材に潤滑油を間欠的に噴霧塗布する方法 図 1および図 2に、本方法を実施する連続铸造装置 (1)を模式的に示す。
[0072] 連続铸造装置 (1)は、回転モールド部材として、铸造ホイール (10)と連続ベルト (11)と を備える。
[0073] 前記铸造ホイール (10)は外周面に断面の凹溝 (12)を有し、ホイール内部に設けられ たノズル (13a)およびホイールの外側に配置されたノズル (13b)カゝら冷却水を供給する ことによって冷却可能となされている。一方、連続ベルト (11)は、前記铸造ホイール (1 0)と張力調整用ホイール (14)とに掛けられた環状の無端ベルトであり、铸造ホイール( 10)の凹溝 (12)を閉じて铸造空間 (15)を形成している。また、前記連続ベルト (11)は、 外側から冷却水を供給して冷却することも、外側に加熱器を配置して加熱することも できる。
[0074] 前記铸造ホイール (10)の凹溝 (12)には噴霧装置のノズル (16)力 潤滑油が噴霧塗 布される。また、連続ベルト (11)には噴射装置のノズル (17)カゝら潤滑油が噴霧塗布さ れる。これらにより、铸造空間 (15)の内面の任意の部分に潤滑油が噴霧塗布される。 前記ノズル (16X17)からの潤滑油の噴霧は所定サイクルで間欠的に行われる。
[0075] 図 1において、(18)は連続ベルト (11)を铸造ホイール (10)に密着させるためのピンチ ロールであり、(19)は铸造空間 (15)に溶湯 (M)を供給するためのタンディッシュである
[0076] 前記連続铸造装置 (1)において、タンディッシュ (19)力も铸造空間 (15)に供給された 溶湯 (M)は铸造ホイール (10)および連続ベルト (11)からの冷却を受けて、これらとの 接触面から内部へと凝固しながら铸造ホイール (10)および連続ベルト (11)の回転駆 動に伴って連続的に铸造材 (S1)に成形される。铸造空間 (15)の内面には潤滑油が 塗布されているため、溶湯の凝着が防止されて铸造材 (S1)の離型が円滑になされ る。
[0077] 潤滑油の噴霧サイクルは、潤滑油が途切れな 、ように、かつ過剰量とならな 、よう に、回転モールド部材の溶湯接触面の移動速度、 1回の噴霧範囲、 1回の噴霧時間 等に基づ 、て、以下のように設定することが好ま 、。
[0078] 図 3Aに示すように、前記ノズル (16X17)は、潤滑油を拡散角度 0 (° )で円形に噴 霧するものであり、回転モールド部材の溶湯接触面、即ち铸造ホイール (10)の凹溝 (1 2)および連続ベルト (11)から Mmm)の高さに設置されている。前記ノズル条件にお いて、静止状態における噴霧範囲(P1)は直径 2htan θ Z2 (mm)の円形となり、噴 霧範囲(P1)の铸出し方向における距離 Lp (mm)は、直径と同じく 2htan 0 Z2(m m)である。そして、凹溝 (12)および連続ベルト (12)が移動速度 V(mmZs)で移動し、 1回の噴霧に要する時間が t (s)である場合、 1回噴射される間に凹溝 (12)および連続 ベルト (12)は VX t (mm)移動する。この移動中も噴霧が続いているので、回転モー ルド部材の移動状態における噴射範囲(P2)は、長径を Lp+V X t (mm)とする長円 形となる。従って、移動状態における 1回の噴霧範囲(P2)の铸出し方向における距 離は Lp +V X t (mm)である(図 3B)。
[0079] 以上より、ノズル (16X17)から間欠的に潤滑油を噴霧するに際し、回転モールド部材
の溶湯接触面の移動速度が V(mmZs)、 1回の噴霧時間が t (s)、回転モールドの 静止状態において 1回の噴霧で塗布される範囲の铸出し方向における距離が Lp (m m)のとき、 1秒間の噴霧回数 (T)が VZ (Lp+VX t)回であれば、図 4Aに示すよう に噴霧範囲 (P2)が途切れることなく連続する。噴霧回数 (T)が VZ (Lp + V X t)より 少なくなると、铸出し方向において未塗布部分が生じる。一方、図 4Bに示すように、 噴霧回数 (T)を増大させるほど、噴霧範囲 (P2)の重複部分 (P3)が多くなり lZt回 で連続噴霧となる。連続噴霧は塗布量が過剰となるため本発明では連続噴霧を除外 し、過剰とならない範囲の噴霧回数の上限として 3VZ (Lp+VX t)回を推奨する。こ れらより、 1秒間の噴霧回数 (T)は、 VZ (Lp+VX t)〜3VZ (Lp+V X t)が好まし い。また、図 4Bのように、噴霧範囲(P2)を重複させることによって、幅方向における 未塗布部分を少なくすることができるため、特に好ましい 1秒間の噴霧回数 (T)は V / (Lp+VX t)〜2VZ (Lp+VX t)である。
[0080] なお、図示例の静止状態の噴霧範囲(P1)は円形であり、間欠噴霧によって幅方 向にお 、て未塗布部分が生じるため、噴霧回数 (T)を VZ (Lp+VX t)よりも多く設 定し、重複部分 (P3)が形成され、その重複部分の铸出し方向の長さは LpZ2以上と なるように噴霧回数 (T)を設定することが好ま 、。この状態であれば未塗布部分が 無ぐ過剰塗布部分も少なくなるからである。但し、噴霧形状は図示例の円形に限定 されず、未塗布部分の形状や面積は噴霧形状に応じて変化する。このため、噴霧回 数 (T)は過剰な未塗布部分が生じないように、噴霧形状に応じて適宜設定すれば良 い。
[0081] 潤滑油の噴霧は、微量かつ均一に塗布するために定量的に微量圧送可能な噴霧 手段を用いることが好ましぐその一例として図 5に示す、プランジャーポンプ (20)を用 いた潤滑油供給置を推奨できる。前記プランジャーポンプ (20)は、シリンダ (23)内に 挿入したプランジャー (24)をモーター (25)等により前後に駆動し、潤滑油タンク (22)か らワンウェイバルブ (21a)を介してシリンダ (23)内に導入した潤滑油を吐出させるもので ある。 1回の吐出量はプランジャー (24)の前進距離によって制御され、 1回の吐出に 要する時間はプランジャー (24)の前進距離と前進速度によって制御される。シリンダ 一 (23)から吐出された潤滑油は管路 (26)を通じて噴霧用ノズル (16X17)に供給される
。一方、前記ノズル (16X17)は、圧縮気体が供給される外管 (27)の内部に前記プラン ジャーポンプ (20)力 吐出された潤滑油を供給する内管 (28)が挿入された二重構造と なされ、内管 (28)の先端が外管 (27)内に開口している。そして、前記ノズル (16X17)の 内管 (28)に供給された潤滑油は、外管 (27)の先端部で圧縮気体と混合して加速され 、ノズル先端力 高速で噴霧される。なお図 5において、(21b)は潤滑油の逆流を防ぐ ためのワンウェイバルブである。
[0082] また、前記気体の種類は何ら限定されないが、溶湯の近くで使用されることを考慮 し、可燃性気体は避けることが好ましい。費用の点では空気が最も好ましぐ他の気 体として窒素、アルゴンを例示できる。
[0083] 上述したプランジャーポンプ (20)による潤滑油供給装置および二重構造のノズル (1 6)(17)を用いた噴霧装置では、噴霧される総潤滑油量はプランジャーポンプ (20)によ る 1回の吐出量および吐出回数により制御され、流速を増すための圧縮気体は潤滑 油量力 独立して制御することができる。このため、微量の潤滑油を流速の速い状態 で定量的に噴霧でき、細かな流量調節も可能である。また、気体流速を速くすること により、回転モールド部材に付着した異物を除去することも可能である。さらに、気体 流量を制御することで気体流による冷却効果を調整し、回転モールド部材の温度を 調節することも可能である。例えば、気体流量を増すことにより冷却効果を高めて温 度低下を促進させたり、逆に流量を減じて温度低下を抑制することができる。このよう な温度調節の場合においても、潤滑油量を変えることなぐ気体流量を調整すること ができる。
[0084] 一方、その他の噴霧方法、例えば負圧を利用した噴霧方法にぉ 、ては、気圧や温 度の変動により潤滑油粘度や気体密度等が変化し、噴霧量が変動することがある。 また、噴霧量を減らすには気体流量を減らす必要がある力 気体流量を減らすと負 圧が力からず潤滑油が吸引されなくなったり、吸引量が不安定になるおそれがある。 また、流速が遅いために雰囲気空気流の影響を受け易ぐ回転モールド部材に噴霧 した潤滑油が予定位置に到達しなくなるおそれがある。これらの点で、上述したブラ ンジャーポンプ (20)を用 V、て噴霧する方法を推奨できる。
[0085] また、潤滑油の 1回の噴霧時間は 0. 001〜lsが好ましい。 0. OOls未満では噴霧
範囲が狭くなりすぎて間欠噴霧による微量均一塗布の効果が乏しい。一方、 Isを超 える噴霧時間は、ポンプ等の噴霧装置の動作面で現実的ではない。特に好ましい 1 回の噴霧時間は 0. 005-0. Isである。
[0086] 潤滑油の 1回の噴霧量は 0. 001〜lmlが好ましい。 0. 001ml未満ではポンプ等 の噴霧装置の動作面で現実的ではない。一方、 1mlを超えると、塗布量が過剰にな る。特に好ましい 1回の噴霧量は 0. 002-0. 1mlである。
[0087] また、潤滑油の総塗布量は、 5〜150mlZhが好ましい。 5mlZh未満では十分に 溶湯凝着防止効果が不足し、 150mlZhを超えると過剰供給となって無駄となる。特 に好ましい総塗布量は 5〜: LOOmlZhであり、さらに好ましくは 5〜50mlZhである。 なお、総塗布量の好適範囲は塗布面積によって異なる。
[0088] また、図 5に示したプランジャーポンプ (20)を用いた潤滑油噴霧装置にぉ 、て、気 体流量は l〜30lZminが好ましい。 llZmin未満では、回転モールド部材に潤滑油 を付着させにくい。一方、 30lZminを超えると回転モールド部材が過冷却され、铸 造材表面に急冷による割れが生じやすくなる。前記範囲であれば、潤滑油を付着さ せるのに十分な流速となり、かつ回転モールド部材を過冷却するおそれもない。特に 好ましい気体流量は、 2〜20lZminである。
[0089] 本発明において、連続铸造時に使用する潤滑油は限定されず、ひまし油等の周知 の潤滑油を適宜使用できる。但し、短時間での高速噴霧を円滑に行うためには低粘 度の潤滑油を用いることが好ましい。潤滑油の好ましい粘度は 0. l〜5Pa'sであり、 特に 0. 3〜2Pa'sが好ましい。
[0090] 上述した例は潤滑油を回転モールド部材の全溶湯接触面に噴霧塗布するもので あつたが、組み合わせた複数の回転モールドのうちのいずれ力 1つの回転モールド 部材にのみ噴霧塗布するもの、あるいは回転モールド部材の溶湯接触面のうちの一 部分にのみ噴霧塗布するものも含まれる。回転モールド部材の形状により溶湯が凝 着が発生し易い箇所と凝着が発生しない、あるいは殆ど発生しない箇所があり、凝着 が発生する箇所にのみ潤滑油を塗布すれば目的が達成されるからである。また、必 要な部分にのみ塗布することで、铸造後の潤滑油洗浄が簡単になり、潤滑油の消費 量も低減される。また、铸造後に圧延する場合においても、潤滑油に起因する黒ず
みの発生が低減される。
[0091] 上述した铸造ホイール (10)と連続ベルト (12)を用いる連続铸造にお 、ては、铸造ホ ィール (10)の凹溝 (12)の側面 (12a)で凝着が発生しやすい。以下に、図 6の潤滑油噴 霧制御装置を参照しつつ、凹溝 (12)の両側面 (12a)(12a)に潤滑油を噴霧塗布する事 例について、その制御方法とともに説明する。
[0092] 図 6において、铸造ホイール (10)の凹溝 (12)の両側面部 (12a)に向けて 2つの潤滑油 噴霧用ノズル (16)が配置されて ヽる。これらのノズル (16)は図 5に示したものと同種の 二重構造のノズルであり、プランジャーポンプ (20)力 供給される潤滑油を圧縮気体 と混合して噴霧するものである。(30)は演算 ·制御装置であり、铸造ホイール (10)の回 転軸に設置されたセンサー (31)により計測された回転数 (XI)、その他の入力された 条件設定に基づ 、て、プランジャーポンプ (20)を駆動するモーター (25)およびコンプ レッサー (32)で圧縮された気体の流量を調節する流量調整器 (33)に制御信号を与え る。即ち、計測された铸造ホイール (10)の回転数 (XI)と設定されたホイール外径とに より、噴霧対象である側面部 (12a)の移動速度 (V)が算出されるとともに、設定された 噴霧の拡散角度( Θ )、溶湯接触面カゝらノズル (16)先端までの距離 (h)および 1回の 噴霧時間(プランジャーポンプ (20)による 1回の吐出時間)とにより、 1回の噴霧で塗布 される範囲の铸出し方向における距離が (Lp)および 1秒間の噴霧回数 (T)が算出さ れる。そして、これらの算出値に基づいてモーター (25)に制御信号 (X2)が与えられ、 2つのプランジャーポンプ (20)から一定量の潤滑油が 1秒間に T回の割合で吐出され 、それぞれの管路 (34a)を通って、 2本の二重ホース (35a)の内管に導入される。一方、 2つの流量調整器 (33)には設定された気体流量に基づいて制御信号 (X3)を与えら れ、一定流量の圧縮気体が送出され、それぞれの管路 (36a)を通って、前記二重ホ ース (35a)の外管に導入される。前記二重ホース (35a)の内管および外管は前記各ノ ズル (16)の内管 (28)および外管 (27)に連通接続され、これらの二重ホース (35a)を介し てノズル (16)に供給された潤滑油および圧縮気体は、外管 (27)の内部先端側で混合 されて高速で噴霧される。
[0093] 上述した潤滑油の噴霧制御方法は、凹溝 (12)の側面部 (12a)への噴霧に限定され るものではない。ノズル (16)の数および設置位置を適宜変更することにより、凹溝 (12)
の底部 (12b)または連続ベルト (11)、あるいは他の回転モールド部材の任意位置に潤 滑油を噴霧塗布することができる。また、複数のノズルを用いる場合、プランジャーポ ンプゃ流量調整器を別系統で配置すれば、ノズル毎に異なる条件で噴霧することも 容易である。
[0094] なお、前記連続铸造装置 (1)における連続ベルト (11)の移動速度は铸造ホイール (1 0)の周速度と殆ど同じであるから、铸造ホイール (10)の回転数 (XI)力 算出した凹 溝 (12)の移動速度をそのまま連続ベルト (11)の移動速度として用いることができる。従 つて、連続ベルトの (11)の移動速度を計測することなぐノズル (17)力 噴霧する潤滑 油を管路 (34b)(36b)および二重ホース (35b)を介して制御することができる。
[0095] ところで、回転モールド部材に温度差を設けて凝固速度に差を付け、最終凝固部 を中心から表面近くに寄せる铸造方法 (以下、「指向性凝固」あるいは「指向性凝固 による連続铸造方法」と称する)がある。前記連続铸造装置 (1)の場合、前記铸造ホイ ール (10)を冷却する一方で連続ベルト (11)を加熱し、指向性凝固により铸造材 (S1) を連続铸造した場合、連続ベルト (11)との接触部近傍が最終凝固部となり偏析する。 一般に最終凝固部では引け巣のような铸造欠陥や熱間割れが発生しやすいが、表 面近くに熱間割れのある铸造材を圧延すると割れが伝播してさらに深くなる。このよう な場合、その後の加工前に連続ベルト (11)側の最終凝固部を切除しておくことにより
、割れの伝播や拡大を防止することができる。また、表面に微細クラックや異物が存 在する铸造材についても、加工前に除去することにより、クラックの拡大や異物の持 ち越しを防ぐことができる。指向性凝固による铸造材では、最終凝固部が表面近くに 存在するため容易に除去することができる。
[0096] このような指向性凝固による連続铸造においても、本発明の潤滑油の間欠噴霧塗 布方法を実施することにより、連続ベルト (11)が冷却しすぎることがなぐかつ潤滑油 が乾燥して固着しないため、最適な状態で連続铸造を行うことができる。また、潤滑 油の 1回の噴霧量、 1秒間の噴霧回数、 1回の噴霧時間を制御することにより、容易 に上記効果を奏することができる。
[0097] なお、上記指向性凝固にお!、て、連続ベルトの加熱温度は〔铸造金属の液相線温 度 X O. 35〕〜〔液相線温度〕が好ましい。
[0098] 本発明の方法を適用する回転モールド部材は、铸造ホイールと連続ベルトの組合 せに限定されない。他の回転モールド部材として、回転軸線と平行に所定距離を隔 てて対向配置された一対のロールを例示できる。また、本発明は、全ての回転モー ルドに対して潤滑油を間欠噴霧を行う連続铸造方法のみならず、一部の回転モール ド部材に対してのみ間欠噴霧を実施する場合も含んでいる。例えば、図示例の回転 モールド部材において铸造ホイール (10)の凹溝 (12)または連続ベルト (11)のいずれか 一方に間欠噴霧を実施する場合がこれに該当する。従って、一部の回転モールドに 対して潤滑油を間欠噴霧し、他の回転モールド部材に対して潤滑油を連続噴霧する 場合や他の回転モールド部材に潤滑層を形成する場合も、本発明に含まれる。
[0099] 上述した方法によれば、回転モールド部材に適正量の潤滑油を塗布できるため、 確実に凝着を防止できる。しかも、過剰な潤滑油による表面品質低下が防止されて、 表面品質の優れた金属材を製造することができる。具体的な作業は潤滑油噴霧のタ イミングゃ塗布量の制御であるから、上述した特許文献 1〜3に記載された各種潤滑 層を形成するよりも低コストで実施できる。また、使用する潤滑油量が過剰にならない ため、潤滑油に起因する黒ずみが低減され、黒ずみ除去のための表面洗浄も簡単 になる。
[0100] また、本発明の方法は回転モールド部材に噴霧する潤滑油量を適正化するもので あるから、既存の潤滑油噴霧手段の噴霧条件の変更や、既存の連続铸造装置に間 欠噴霧可能な潤滑油噴霧手段を追加することによって実施することができる。回転モ 一ルド部材やその制御装置等の変更といった大規模な装置変更が必要がなぐ容易 に実施することができる。
[0101] 〔B〕铸造圧延材を多段階で洗浄する方法
本方法は、上述した潤滑油を間欠的に噴霧塗布しながら铸造材を連続铸造するェ 程に加えて、連続铸造に続いて圧延して铸造圧延材を製作する圧延工程、および 铸造圧延材を多段階で洗浄する洗浄工程を行うものである。铸造圧延材の表面には 、間欠噴霧によって最小限に抑えられていると言えども潤滑油が付着しており、潤滑 油に起因する炭化物ゃ铸造力 圧延の間に生成する酸ィ匕物によって黒ずみが生じ ている。本方法は、铸造圧延材表面の黒ずみを多段階洗浄によって除去し、铸造圧
延材の表面品質を向上させるものである。
[0102] 第 1工程の連続铸造する工程は、上述の〔A〕連続铸造において回転モールド部材 に潤滑油を間欠的に噴霧塗布する方法で説明した工程と同じである。よって、本ェ 程の説明を省略する。
[0103] 第 2工程の圧延工程は、回転モールド部材を組み合わせた連続铸造装置の後段 に、圧延装置を設置し、連続铸造に続いて圧延するものである。いわゆるプロベルチ 法、 SCR法、ハンター法、 3C法、ロールキャスト法等による圧延方法が挙げられる。 成形される铸造圧延材の形状も限定されない。铸造圧延材としては断面円形材ゃ板 材が一般的であるが、本発明は断面形状、断面直径、板厚等の寸法を限定するもの ではない。また、断面円形材ゃ板材に限らず異形断面材にも適用できる。
[0104] 第 3工程の洗浄工程は、铸造圧延材を多段階で洗浄するものであり、多段階の洗 浄を铸造圧延材を移動させながら行う (以下、「連続洗浄」と称する)ことも、また铸造 圧延材を切断した後に行う(以下、「バッチ洗浄」と称する)こともできる。さらに、連続 洗浄は铸造圧延後に連続して行うこともでき、铸造圧延後に別工程で行うこともでき る。
[0105] 以下に、連続洗浄およびバッチ洗浄について詳述する。
[0106] 〔連続洗浄〕
図 7に、铸造、圧延、洗浄の 3つの工程を連続して実施する金属材の製造装置 (2) の一例を示す。
[0107] 前記製造装置 (2)は、連続铸造装置 (1)、圧延部 (40)、洗浄部 (50)により構成されて いる。
[0108] 連続铸造装置 (1)は、図 1および図 2に示した連続铸造装置であり、铸造ホイール (1 0)および連続ベルト (11)に潤滑油を間欠的に噴霧するノズル (16X17)が配置されてい る。
[0109] 圧延部 (40)は、複数組の 3方向の圧延ロール (41)を有する。なお、図 7においては 2 方向のローノレのみを図示して 、る。
[0110] 洗浄部 (50)において、第 1酸洗浄槽 (51)、苛性洗浄槽 (52)、最終酸洗浄槽 (53)が順 次配置され、かつ各洗浄槽 (51X52X53)の直後に水洗浄槽 (54X55X56)が配置され、
さらにその後段に乾燥槽 (57)が配置されている。
[0111] 前記連続铸造装置 (1)において、铸造ホイール (10)および連続ベルト (11)にノズル (1 6)(17)より潤滑油が間欠的に噴霧塗布されるとともに、铸造ホイール (10)および連続 ベルト (11)の回転駆動に伴って連続的に所定断面の铸造材 (S1)に成形される。そし て、図 8に示すように、前記铸造材 (S1)は圧延部 (40)において断面円形の小径の铸 造圧延材 (S2)に圧延される。
[0112] 前記铸造圧延材 (S2)は、洗浄部 (50)において、各槽 (51)(54)(52)(55)(53)(56)を順 次通過する間に、酸洗浄一水洗浄 苛性洗浄一水洗浄 酸洗浄一水洗浄がなさ れ、さらに乾燥槽 (57)において表面に付着した水が除去されて乾燥される。この間に 、铸造圧延材 (S2)表面に形成されて黒ずみと視認されて!/ヽた酸化物や炭化物が除 去され、表面品質の良好な線材が連続的に製造される。
[0113] 本方法において、酸洗浄または苛性洗浄を含む多段階洗浄を行うことによって、铸 造圧延材表面に形成された金属酸化物や炭化物が良好に除去され、表面品質の優 れた铸造圧延材が得られる。しかも、連続铸造時に使用される潤滑油が必要最小限 に抑えられているため、洗浄液の汚れが少なぐ洗浄時間や洗浄液の消費量も最小 限に抑えることができる。
[0114] 前記効果は酸洗浄または苛性洗浄のいずれか一方を含む多段階洗浄を行うことに よって得られるが、苛性洗浄と酸洗浄の 2種類の異なる洗浄を組み合わせることによ つて高い洗浄効果を奏することができ、特に最終洗浄を酸洗浄とすることが好ましぐ 苛性洗浄 酸洗浄の 2段階洗浄を推奨できる。さらに、上記実施形態のように苛性 洗浄の前に酸洗浄を加えた 3段階洗浄を行うことによって、なお一層優れた洗浄効 果を奏することができる。また、酸洗浄を加えることによってその後の苛性洗浄時間を 短縮することができる。
[0115] なお、本発明における多段階洗浄は、上述した 2段階または 3段階の洗浄に限定さ れず、任意に組み合わせることができる。例えば、酸洗浄 苛性洗浄、苛性洗浄 酸洗浄 苛性洗浄、酸洗浄のみによる多段階洗浄、苛性洗浄のみによる多段階洗 浄、 4段階以上の多段階洗浄も本発明に含まれる。また、酸洗浄および苛性洗浄以 外に界面活性剤による洗浄を追加しても良 、。
[0116] 洗浄は洗浄液中に浸漬しても良いし、洗浄液を噴霧しても良い。浸漬洗浄の場合 は、槽内に洗浄液を満たしておくだけでも良いが、铸造圧延材表面に接する洗浄液 の滞留を防ぐことにより、洗浄を促進させることができる。滞留防止手段としては、槽 内の洗浄液の循環、槽外に溢れた洗浄液の回収 ·再供給を例示できる。また、超音 波振動を加えることによつても洗浄効果を向上させることができる。
[0117] また、酸洗浄および苛性洗浄後は、次の洗浄槽に洗浄液を持ち越さないように水 洗浄することが好ましい。
[0118] 酸洗浄に用いる洗浄液としては、優れた洗浄効果を有する点で硝酸、硫酸、リン酸 、酢酸、塩酸、フッ酸またはこれらを混合したものを例示できる。特に硝酸、硫酸、塩 酸が好ましぐさらに硝酸または硫酸が好ましい。洗浄液の pHは 5以下が好ましぐ 特に ρΗ1〜3が好ましい。また、液温は 20〜80°Cが好ましい。
[0119] 苛性洗浄に用いる洗浄液は、優れた洗浄効果を有する点で水酸化ナトリウム水溶 液または水酸ィ匕カリウム水溶液、またはこれらを混合したものを例示でき、特に水酸 化ナトリウム水溶液が好ましい。洗浄液の pHは 9以上が好ましぐ特に 12〜14が好 ましい。また、液温は 20〜80°Cが好ましい。
[0120] 上記酸洗浄および苛性洗浄における洗浄時間は限定されず、铸造圧延材表面の 黒ずみの程度、洗浄液の pH、液温等に応じて適宜設定すれば良い。また、酸洗浄 液および苛性洗浄液には、洗浄効果を向上させるために添加剤を加えることも好まし い。例えば、苛性洗浄液においては、溶存する金属が過飽和になった際に固いスケ ールとなるのを防止するために、微量のダルコン酸ナトリウムを添加する場合がある。 また、酸洗浄および苛性洗浄後は、次の洗浄槽に洗浄液を持ち越さないように水洗 浄することが好ましい。
[0121] 連続洗浄では、铸造圧延材の移動速度が铸造圧延速度に律速され、その速度で 移動させながら洗浄を行う必要がある。このため、各洗浄段階における洗浄時間は、 铸造圧延材が洗浄液に接触する時間、即ち铸造圧延材が洗浄槽を通過するのに要 する時間によって設定されることになる。具体的には、铸造圧延材の移動方向にお ける洗浄槽の長さによって設定する方法、洗浄槽内で铸造圧延材を蛇行させるととも に蛇行距離によって設定する方法を例示できる。
[0122] また、铸造圧延材の洗浄は、铸造圧延材を常温まで冷却させた後に行っても良い 1S 高温 (例えば 400°C)のままで行うこともできる。
[0123] 高温のままで洗浄する場合は、洗浄液が常温のままであっても高温の圧延材との 接触により洗浄液が加熱されるために、洗浄槽に加熱装置を取り付けた場合と同様 の効果が得られる。この場合、各洗浄槽で水分が気化して洗浄液の pH変化が大き なものになることがある。その際は、随時水分を補給し、攪拌または循環させることに より最適 pH (最適濃度)を保つことができる。また、最初の洗浄槽の前段に水冷槽を 設ければ、後段の酸洗浄槽または苛性洗浄槽における水分気化による洗浄液の pH 変化を抑えることができる。さらに、各洗浄槽に冷却装置を取り付けることにより、铸造 圧延材の持つ熱や反応熱による温度上昇を防ぐことができる。また、所期する洗浄液 温度が室温より低 、場合には、ヒーター等の加熱装置を取り付けることも任意である
[0124] 以上の連続洗浄では、連続铸造圧延のライン上で連続的に表面洗浄されるため、 生産性が高くひ 、ては低コストィ匕が可能となる。
[0125] また、多段階洗浄を連続铸造圧延とは別の工程で行う場合は、コイルに巻き取った 铸造圧延材を巻き戻しながら上述した多段階の洗浄槽を通過させる。各洗浄時間の 調整は、同様に、洗浄槽の長さや蛇行距離によって適宜設定する。このように多段階 洗浄を別工程で行った場合においても、従来の表面切削による黒ずみ除去方法と比 較して十分に生産性の高 、ものとなる。
[0126] 〔バッチ洗浄〕
铸造圧延材をバッチ洗浄する場合は、铸造圧延材を所要長さに切断後に多段階 洗浄を行う。
[0127] 铸造圧延材の製作は、上述した連続洗浄における铸造圧延材の製作に準じ、例え ば連続铸造部 (1)と圧延部 (40)とからなる铸造圧延装置によって行う。切断は、铸造圧 延に続 、て行っても良 、し、コイルに巻き取った後に卷戻しながら行っても良 、。
[0128] 多段階洗浄は、洗浄槽ごとにバッチ式で行 ヽ、洗浄液の種類、 pH、液温の設定、 洗浄液の組合せおよび洗浄順序も上述した連続洗浄に準じる。
[0129] ノツチ洗浄では、多数の铸造圧延材に対して同時に同一条件で洗浄できるから、
洗浄液の pHや液温等の変動による影響を受けにくぐ工程管理も容易である。また、 铸造圧延とは別工程で行うから、洗浄条件の設定や変更が容易である。
[0130] 本発明の金属材の製造方法は、あらゆる金属の連続铸造 (多段階洗浄を行う場合 を含む)に適用できる力 アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金の連 続铸造に推奨でき、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金の連続铸造に推奨でき る。アルミニウムまたはアルミニウム合金として、純 A1系、 Al— Cu系、 Al— Si系、 A1 Mg系、 A1— Mg— Si系、 A1— Zn— Mg系の各合金を例示できる。特に純アルミ- ゥム系以外の合金は表面に偏析層が形成されやすいため、前記指向性凝固による 連続铸造方法において、本発明の潤滑油の間欠噴霧塗布の適用による効果が大き い。
[0131] 本発明の金属材は、上述した方法によって製造された铸造材または铸造圧延材で あり、連続铸造時に回転モールド部材に適正量の潤滑油が塗布されるため、確実に 凝着が防止された状態で铸造される。しかも、過剰な潤滑油による表面品質低下が 防止されて、表面品質の優れた金属材となされたものである。また、製造に際して行 う具体的な作業は潤滑油噴霧のタイミングや塗布量の制御であるから、上述した特 許文献 1〜3に記載された各種潤滑層を形成するよりも低コストで実施できる。さらに 、多段階洗浄が施された铸造圧延材では、表面の黒ずみが除去されているため、さ らに表面品質の優れた金属材である。
[0132] さらに、前記金属材に対し、二次加工を施すことによって任意形状の金属加工材を 得ることができる。二次カ卩ェとして塑性カ卩ェ、切削加工のうちの 1種以上の加工方法 を例示できる。前記塑性加工としては、圧延、押出、引き抜き、鍛造、曲げ、プレス等 を例示できる。また圧延後に引き抜く等 2種類以上の塑性加工を順次施することも任 意である。また、塑性加工後に切削加工することも任意である。製品形状も限定され ない。これらの金属加工材は、金属材表面の金属酸化物や潤滑剤に由来する炭化 物等の異物が除去されて!、るためにこれらの持ち越しがなく、健全な金属表面となる
[0133] 本発明の金属材の製造装置は、少なくとも上述した複数の回転モールド部材およ び潤滑油噴霧手段を備え、要すればさらに上述した圧延部および洗浄部を備えるも
のである。その他の構成、例えば溶湯の供給手段、铸造材または铸造圧延材の搬送 手段等は限定されず、周知の手段および構成を適宜用いるものとする。
[0134] さらに、本発明の方法により製造した金属材に種々の工程を任意に追加することが できる。例えば、連続铸造装置の後段に 1組または複数組の圧延ロールを有する圧 延部を追加し、铸造に続いて圧延して所要形状に成形することができる。換言すれ ば、この構成は前記洗浄部を省略した構成であり、多段階洗浄を行わない铸造圧延 材の製造方法である。また、連続铸造装置の後段に铸造材の表層部を切除する切 除部を追加することも任意である。一般に、铸造材の表面には、微細クラック、偏析層 、不均一な酸ィ匕膜等の欠陥が存在しているが、連続铸造に続いて表層部切除を行う ことによりこれらの欠陥を除去して铸造材の品質を向上させることができる。また、前 記切除部において、上述した指向性凝固により表面近くに形成された最終凝固部も 除去することができる。さらに、連続铸造装置の後段に、切除部および圧延部を配置 しても良ぐこのような装置構成により、铸造、表層部切除、圧延を連続して行うことが できる。無論、前記圧延後に本発明の多段階洗浄を組み合わせることもできる。 実施例
[0135] 〔A〕連続铸造における潤滑油の間欠噴霧
図 1〜図 3Bに示す連続铸造装置 (1)を用い、 JIS A6061の連続铸造試験を行つ た。前記連続铸造装置 (1)において、铸造ホイール (10)として、直径 1400mm、凹溝( 12)内断面積(=铸造空間 (15)の断面積)が 2200mm2のものを使用し、連続ベルト (1 1)として幅が 100mmのものを用いた。
[0136] また、潤滑油の噴霧用ノズル (16X17)として、図 5のプランジャーポンプ (20)から吐出 された潤滑油を圧縮気体を混合して噴霧する二重構造のノズルを用いた。また、これ らのノズル (16X17)の内管 (28)に供給する潤滑油としてひまし油(粘度: 0. 680Pa- s) を用い、外管 (27)に供給する圧縮気体として空気を用いた。
[0137] また、ノズル (16X17)に供給される潤滑油および圧縮気体は、図 6に例示した潤滑 油制御装置により制御するものとした。なお、図 6は、説明の都合上、 2つの铸造ホイ ール用ノズル (16)と 1つの一つの連続ベルト用ノズル (17)を 1つのモーター (25)により 同一条件で制御する場合の装置構成を例示したものであるが、本実施例にぉ 、てノ
ズル数は以下の噴霧試験に従って変更し、ノズル毎に潤滑油および圧縮気体の供 給を制御できるようにモーター数、制御信号系統および管路を適宜変更したものとす る。
[0138] 〔噴霧試験 I〕
前記铸造ホイール (10)の溶湯供給部の手前に 1つの滑油噴霧用ノズル (16)を配置 するとともに、連続ベルト (11)の溶湯接触部の手前に 1つの潤滑油噴霧用ノズル (17) を配置した。铸造ホイール (10)側のノズル (16)は凹溝 (12)に対して直角に配置するとと もに、凹溝 (12)の底面 (12b)力もノズル (16X17)先端までの距離 (h)を 50mmとし、凹溝 (12)の両側面部 (12a)および底面部 (12b)に噴霧するものとした。また、連続ベルト (11) 側のノズル (17)は連続ベルト (11)に対して直角に配置し、連続ベルト (11)の溶湯接触 面からノズル (16X17)先端までの距離 (h)を 50mmとした。これらのノズル (16)(17)は噴 霧の拡散角度( Θ )が 45° に調節され、噴霧形状が円形となるように調節されている
[0139] まず、前記連続铸造装置 (1)において、铸造ホイール (10)を lrpmで駆動し、 1回の 噴霧時間 (t)を 0. Isに設定したとき、凹溝 (12)および連続ベルト (11)の移動方向にお いて、噴霧範囲が途切れることなく連続させるための 1秒間の最低噴霧回数 (T)を求 める。
[0140] 铸造ホイール (10)および連続ベルト (11)の移動速度 Vは、 V= 1400 X π Ζ60 = 73 . 3、mmZ s)である。
[0141] 静止状態における噴霧範囲(PI)は、直径 (Lp)が 2htan 0 Z2 = 2 X 50 X tan (4 5° Z2) =41. 4mmの円となり、直径 Lpが噴霧範囲(PI)の铸出し方向における距 離となる。
[0142] 移動状態における噴霧範囲(P2)の铸出し方向における距離 Lは、 L=Lp+V X t
=41. 4 + 73. 3 X 0. 1 =48. 7 (mm)である。
[0143] 従って、 T=V/ (Lp+VX t) = 73. 3/48. 7= 1. 5s— 1より、移動中に噴霧範囲(
P2)を連続させるための最低噴霧回数 (T)は 1秒間に 1. 5回となる。
[0144] 次に、铸造ホイール (10)の回転数を lrpm、前記各ノズル (16)(17)の 1回の噴霧量を
0. 005ml, 1回の噴霧時間(t)を 0. Is、圧縮気体の流量を 7lZminに設定し、噴霧
回数を変化させて铸造試験を行い、铸造時の凝着、铸造材 (S1)の表面品質につい て評価した。評価結果を表 1に示す。
[0145] [表 1]
錶造ホイールおよび連続ベルトにおける噴霧条件
1回の噴霧時間 t= 0. 1 s、 1回の噴霧量: 0. 005 mlの場合
*:錶造ホイールおよび連続ベルトにおける各総噴霧量である。
[0146] また、前記各ノズル (16X17)の 1回の噴霧量を 0. 005ml, 1回の噴霧時間を 0. 2s、 圧縮気体の流量を 7lZminに設定し、噴霧回数を変化させて铸造試験を行い、铸造 時の凝着、铸造材 (S1)の表面品質について評価した。評価結果を表 2に示す。
[0147] [表 2]
錶造ホイールおよび連続ベルトにおける噴霧条件
1回の噴霧時間 t = 0. 2s、 1回の噴霧量: 0. 005mlの場合
*:錶造ホイールおよび連続ベルトにおける各総噴霧量である。
[0148] 〔噴霧試験 II〕
前記铸造ホイール (10)の溶湯供給部の手前に配置するノズル (16)を 2つに増設し、 図 6に参照されるように凹溝 (12)の両側面部 (12a)に向け、各ノズル (16)の先端までの 距離 (h)を 30mmとし、凹溝 (12)の両側面部 (12a)にのみに噴霧するものとした。前記 ノズル (16)は噴霧の拡散角度( Θ )が 30° に調節され、噴霧形状が円形となるように 調節されている。
[0149] また、前記連続ベルト (11)の溶湯供給部の手前には、上述した噴霧試験 Iと同じく 1 つのノズル (17)をノズル (17)の先端までの距離 (h)が 50mmとなるように配置した。前 記ノズル (17)は噴霧の拡散角度( Θ )が 45° に調節され、噴霧形状が円形となるよう に調節されている。
[0150] 鎳造ホイール (10)の回転数を lrpm、各ノズル (16)(17)の 1回の噴霧時間(t)を 0. Is に設定したとき、凹溝 (12)および連続ベルト (11)の移動方向において、静止状態にお ける噴霧範囲 (P1)、移動状態における噴霧範囲 (P2)、噴霧範囲が途切れることな く連続させるための 1秒間の最低噴霧回数 (T)は表 3に示すとおりである。
[0151] [表 3] 錶造ホイ一ル回転数: 1 rpm (V = 73. 3mm/s)
1回の噴霧時間(t) : 0. 1 sの場合
[0152] 次に、铸造ホイール (10)の回転数を lrpm、凹溝 (12)側の 2つのノズル (16)の 1回の 噴霧量をそれぞれ 0. 001ml、 1回の噴霧時間(t)を 0. Is、圧縮気体の流量を 51Z minに設定し、連続ベルト (11)側のノズル (17)の 1回の噴霧量を 0. 005ml, 1回の噴 霧時間 (t)を 0. ls、圧縮気体の流量を 7lZminに設定し、それぞれ噴霧回数を変化 させて铸造試験を行い、铸造時の凝着、铸造材 (S1)の表面品質について評価した 。評価結果を表 4に示す。
[0153] [表 4]
凹溝 連続ベルト
1回の喷霧時間 t = 0. 1 s、 1回の喷霧時問 t=0. 1s、
No. 1回の喷霧置: 0.001 mix 2 1回の噴霧量: 0.005ml 評 価 気体流量: 5 l/min 5 体流 Λ: レ min 噴霧回数 総噴霧量 * 喷霧回数 総噴霧量
回 mlZh 回 Zs ml/h
れが発生して
Π -1 1 7.2 1 油膜切
18
00 凝着が発生した
00
H -2 2 14.4 1. 2 21 6 わずかに凝着が生じた
Π一 3 凝着は発生せず、
3. 2 23.0 1.5 27
錶肌も良好であった
Π一 4 4 2 36 凝着は発生せず、 錶肌も良好であった
Π -5 発生せず、
8 57.6 4 凝着は
72
錶肌も良好であった 凝着の発生はなかったが、
Π -6 16 11. 5 8 144
潤滑油消費量が多かった 凝着の発生はなかったが、
Π一つ 連続噴霧 72 連続噴霧 180
潤滑油消費量が多かった
* :2つのノズルの合計
[0154] 次に、铸造ホイール GO)の回転数を lrpm、凹溝 (12)側のノズル (16)の 1回の噴霧量 を 0.001ml、 1回の噴霧時間(t)を 0.2s、圧縮気体の流量を lOlZminに設定し、 連続ベルト (11)側のノズル (17)の 1回の噴霧量を 0.005ml、 1回の噴霧時間(t)を 0. 2s、圧縮気体の流量を 71 minに設定し、それぞれ噴霧回数を変化させて铸造試 験を行い、铸造時の凝着、铸造材(S1)の表面品質について評価した。評価結果を 表 5に示す。
[0155] [表 5]
凹溝 連続ベルト
1回の噴霧時間 t=0. 2 s、
ω 1回の喷霧時間 t = 0. 2s,
1回の喷霧量: 0. 001 ml x
No. 1回の喷霧量: 0. 005ml 評 価
2
¾ 体; jl£fc : 7 l min
3 体流夏: 1 0 l/min
噴霧回数 噴霧回数 総噴霧量
回 Zs 回 Zs mlZh
Π -9 1 油膜切れが発生して
3. 6 0. 5 9
凝着が発生した 鰂
Π - 1 0 2 フ. 2 1 1 8 わずかに凝着が生じた 凝着は発生せず、
Π - 1 1 3 8. 6 1 . 5 21 . 6
錶肌も良好であった
Π - 1 2 4 1 0. 8 凝着は発生せず、
2 2フ
錶肌も良好であった
8 1 4. 4 4 凝着の発生はなかったが、
36
潤滑油消費 Sが多かった 凝着の発生はなかったが、 連続噴霧 36 連続噴霧 90
潤滑油消費量が多かった
* : 2つのノズルの合計
[0156] 以上の結果より、潤滑油を間欠噴霧することにより、凝着を防ぎ、良好な铸肌の铸 造材を連続铸造できることを確認した。さらに、凝着が発生し易い凹溝の側面部のみ に潤滑油を塗布することにより、凝着を防止しつつ潤滑油量の消費量を抑制できるこ とを確認した。
[0157] 〔B〕铸造圧延材の多段階洗浄
図 7に示す、連続铸造装置 (1)、圧延部 (40)および洗浄部 (50)を備える金属材の製 造装置 (2)を用い、铸造圧延材の製作に続いて表面洗浄試験を行った。洗浄部 (50) の洗浄槽 (51)〜(57)は、洗浄工程に応じて適宜増減または配置変更するものとし、い ずれの洗浄槽においても洗浄液中に所定時間浸漬するものとした。
[0158] 以下の洗浄試験 A〜Eおよび比較洗浄試験において、铸造材料として JIS A606
1を用い、連続铸造装置 (1)において铸造ホイール (10)および連続ベルト (11)に潤滑 油を間欠噴霧しながら断面多角形の铸造材 (S1)を製作し、図 8に参照されるように、 圧延部 (10)にお 、て铸造材(S 1)を直径 30mmの丸棒状の圧延材(S2)に圧延した 。なお、連続铸造時の潤滑油は、表 4の No. II— 4と同じ条件で、铸造ホイール (10)の
凹溝 (12)の両側面部 (12a)と連続ベルト (11)とに間欠噴霧した。即ち、凹溝 (12)側のノ ズル (16)の噴霧条件は、 1回の噴霧時間(t) : 0. ls、 1回の噴霧量: 0. OOlml (ノズ ル 1つにつき)、噴霧回数 :4回 Zs、気体流量: 5mlZminであり、連続ベルト (11)側 の噴霧条件は、 1回の噴霧時間(t) : 0. ls、 1回の噴霧量: 0. 005ml,噴霧回数: 2 回 Zs、気体流量: 7mlZminである。
[0159] 〔洗浄試験 A〕
前記洗浄部 (50)に示す洗浄槽のうち、苛性洗浄槽 (52)、水洗浄槽 (55)、最終酸洗浄 槽 (53)、水洗浄槽 (56)を用い、铸造圧延材 (S2)に対して表 6に示す条件で苛性洗浄 および酸洗浄を行い、さらに乾燥させた。また、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度 調整により行った。
[0160] [表 6]
[0161] 〔洗浄試験 B〕
洗浄試験 Aとは、洗浄液および洗浄時間を表 7に示す条件に変えて苛性洗浄およ び酸性洗浄を行った。また、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度調整および洗浄槽 の長さの変更により行った。
[0162] 上記洗浄において、苛性洗浄槽 (52)は事前に 50°Cまでヒーターにて加熱し、その 後ヒーターにて 50°Cに保持して 、たが、铸造圧延材(S 2)を 200°Cの高温のままで 洗浄槽 (52)を通過させたところ、通過中のヒーターの消費電力は事前の 50°C保持時 に比べて半減した。
[0163] [表 7]
苛 性 洗 浄 最 終 酸 洗 浄 黒ずみ 除去率 洗浄液 洗浄時間 洗浄液 洗浄時間 %
B-1 50。C、 15 sec 15 sec 95 pH13 土/皿、
PHI硫酸
B-2 水酸化ナトリウム 30 sec 30 sec 100
[0164] 〔洗浄試験 C〕
前記洗浄部 (50)の全ての洗浄槽、即ち、第 1酸洗浄槽 (51)、水洗浄槽 (54)、苛性洗 浄槽 (52)、水洗浄槽 (55)、最終酸洗浄槽 (53)、水洗浄槽 (56)を用い、铸造圧延材 (S2 )に対して、表 8に示す洗浄液により第 1酸洗浄、苛性洗浄および酸洗浄を行い、さら に乾燥させた。また、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度調整および洗浄槽の長さ の変更により行った。
[0165] [表 8]
[0166] 〔洗浄試験 D〕
洗浄試験 Cとは、洗浄液および洗浄時間を表 9に示す条件に変えて第 1酸洗浄、 苛性洗浄および酸洗浄を行った。また、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度調整お よび洗浄槽の長さの変更により行った。
[0167] [表 9] 第 1 酸洗浄 苛 性 洗 浄 最 終 酸 洗 浄 黒ずみ 除去率 洗浄 洗浄 洗浄 洗浄液 洗浄液 洗浄液 % 時間 時間 時間
D-1 日 15sec 15sec
50。C、 pH13 , 5sec 95
;皿、
pH1硫酸 水酸化ナトリウム PH1硫酸
D-2 30sec 30sec 30sec 100
[0168] 〔洗浄試験 E〕
前記洗浄部 (50)に示す洗浄槽のうち、酸洗浄槽 (51)、水洗浄槽 (54)、苛性洗浄槽 (5 2)、水洗浄槽 (55)を用い、铸造圧延材 (S2)に対して表 10に示す条件で酸洗浄およ び苛性洗浄を行い、さらに乾燥させた。また、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度調 整および洗浄槽の長さの変更ににより行った。
[0169] [表 10]
[0170] 〔比較洗浄試験〕
铸造圧延材 (S2)に対し、表 11に示す条件で 1段階の酸洗浄 (酸洗浄後の水洗浄 を含む)、苛性洗浄 (苛性洗浄後の水洗浄を含む)を行った。洗浄は洗浄液中に浸 漬することにより行い、洗浄時間の調節は铸造圧延の速度調整および洗浄槽の長さ の変更により行った。
[0171] [表 11]
[0172] 表面洗浄した各铸造圧延材について、肉眼観察により表面の黒ずみを観察し、そ の除去率を求めた。黒ずみ除去率を各表に示す。
[0173] 表 6〜11の結果から、酸洗浄または苛性洗浄を含む多段階洗浄を行うことにより铸
造圧延材表面の黒ずみを除去できることを確認した。
[0174] また、製作した铸造圧延材 (S2)をコイルに巻き取り、その後巻き戻しながら洗浄試 験 A〜Eおよび比較洗浄試験と同じ工程で連続的な多段階洗浄をしたところ、同等 の洗浄効果を得て黒ずみを除去することができた。
[0175] さらに、製作した铸造圧延材 (S2)を短尺に切断し、洗浄試験 A〜Eおよび比較洗 浄試験と同じ洗浄液を用いてバッチ方式で浸漬洗浄したところ、上記連続洗浄と同 等の洗浄効果を得て黒ずみを除去することができた。
[0176] 本願は、 2004年 9月 21日に出願された日本国特許出願の特願 2004— 272664 号、 2005年 4月 27日に出願された日本国特許出願の特願 2005— 129348号、 20 05年 8月 11曰に出願された曰本国特許出願の特願 2005— 233654号、 2005年 8 月 11曰に出願された曰本国特許出願の特願 2005— 233664号、 2004年 8月 30 日に出願された米国仮出願 60Z605167号および 2004年 9月 28日に出願された 米国仮出願 60Z613228号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容はそのま ま本願の一部を構成するものである。
[0177] ここに用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって限定的 に解釈するために用いられたものではなぐここに示されかつ述べられた特徴事項の 如何なる均等物をも排除するものではなぐこの発明のクレームされた範囲内におけ る各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
産業上の利用可能性
[0178] 本発明の金属材の製造方法は、連続铸造時において回転モールド部材に供給す る潤滑油量を適正化するものであるから、種々の回転モールド部材を備える連続铸 造装置に適用できる。