明細書
阻害剤 ·促進剤の用途 技術分野
本発明は、 生理活性べプチドであるァペリンとその受容体である AP Jの結合 を阻害する物質の用途に関する。 さらに詳しくは、 本発明は、 ァペリンとその受 容体の結合を阻害する物質を含有してなる医薬組成物、 該医薬組成物を用いるこ とを特徴とする疾患、 特に糖尿病性網膜症の予防 ·治療剤に関する。 加えて、 本 発明は、 ァペリン受容体ァゴニスト. どのァペリン受容体の機能を促進する物質 の用途に関する。 さらに詳しくは、 本発明は、 ァペリン受容体ァゴニストを含有 してなる医薬組成物などのァペリン受容体の機能を促進する物質、 該医薬組成物 を用いることを特徴とする血管再生促進剤に関する。 背景技術
血管系はヒ トの体のなかで様々な役割をはたしていることが知られているが、 主要なものは、 血液の通り道としての役割と組織の形成と維持に関わる役割の二 つである。 血管内皮は血管の内腔を被う単層の細胞からなり、 物質の透過、 生理 活性物質の産生、 血液凝固や炎症反応への関与など重要な機能を担っている。 通 常の血管内皮細胞は休止状態にあるが、 各種の刺激に応答して増殖を開始する。 血管新生はそのような内皮細胞の増殖 ·遊走 ·分化による管腔形成であり、 本来 は生理的な現象として例えば胎生期の血管系の形成あるいは臓器 ·器官の形成な どに重要な役割を果たしている。 成人において血管新生は子宫内膜、 卵胞、 創傷 治癒など限られた時期 '部位にしかみられないが、 腫瘍 (固形腫瘍、 力ポジ肉腫 など) 、 眼疾患 (糖尿病性 膜症など) 、 炎症性疾患 (関節リウマチなど) 、 粥 状動脈硬化などにおいて病的な血管新生が発生し、 病態の進展に深くかかわって いることが知られている。
血管新生は促進因子と抑制因子のパランスによって調節されている。 内因性の 血管新生促進物質としては、 塩基性および酸性繊維芽細胞増殖因子 (b FGF、 a F G FJ 、 アンシォケニン、 t r a n s f o rm i n g g r owt h f a
c t o r ひおよび (TGF a, TGF β) 、 腫瘍壊死因子ひ (TNFひ) 、 v a s c u l a r .e n d o t h e l i a l g r ow t h f a c t o r ( VEGF) 、 顆粒球コロニー刺激因子 (G— C S F) '、 胎盤増殖因子、 プロリフ エリンなどが知られている。 一方、 血管新生抑制物質としては、 血小板第 4因子 、 トロンボスポンジン、 t i s s u e i n h i b i t o r o 'f me t a l l o p r o t e i n a s e (T IMP— 1, 2, 3) 、 プロラタチン、 アンジ ォスタチン、 エンドスタチン、 TGF jS、 インターフェロン α、 p l a c e n t a 1 p r o l i f e r i n— r e l a t e d p r o t e i nなど力 s矢口ら^ Lて いる。 '
通常の組織において血管新生は起こらないが、 これは血管新生の抑制系の方が 優勢であるためと考えられている。 それに対して腫瘍組織の場合には、 例えば血 管新生促進因子の一つである VEGFを自ら産生し、 パラクリン的に作用して腫 瘍自体の血管新生を促進することが良く知られている。 血管新生によつて栄養供 給経路を得た腫瘍は活発な増殖および転移を行うようになり、 さらに悪性化が進 行してゆく。 また、 粥状動脈硬化や糖尿病性網膜症などにおける病的な血管新生 を抑制することは、 病状を進行させないために極めて重要であると思われる。 こ れまでに、 血管新生抑制因子の一種であるアンジォスタチンおよびェンドスタチ ン、 あるいは VE G Fの可溶性の受容体や中和抗体の癌の治療への応用などが行 われている。
また逆に、 下肤虚血性疾患や脳 ·心筋梗塞などに対しては、 体外で培養した血 管内皮前駆細胞や、 血管新生作用を有することが知られている肝細胞増殖因子 ( HGF) あるいはその遺伝子を組み込んだ発現ベクターを投与して血管を再生さ せ、 組織の再生を促す治療も試みられている。 血流の停止あるいは低下によって 臓器の機能は著しく低下、 多くの場合には壌死が起こって瘢痕組織に置換されて しまうような疾病も多いが、 多くの場合、 血管再生による血流供給の再開によつ てそのような臓器の機能低下あるいは機能停止を防止できる。 例えば、 冠状動脈 の梗塞の場合には血管のパイパスを外科的手法によつて構築し、 血流の供給を再 開することによって心筋の 1*傷を回復させる。 しカ し、 多くの蔵器の場合には血 管系は複雑なネットワークを形成し、' 外科的な手術には限界がある。 また、 最近
の知見では成体内には広く幹細胞と呼ばれる細胞集団が存在し、 生理的な条件下 で老化あるいは消耗.した細胞と置換されるだけでなく、 創傷や疾病時においても 喪失した機能細胞系を再構築する働きをもつことが明らかにされている。 創傷や 疾病時の修復においても血流による組織への栄養の供給、 骨髄やそのほか外部の 組織から血流に乗って損傷部位に移動してくる幹細胞の通り道としても、 血管系 は非常に重要な役割を果たしていると考えられる。
また脂肪細胞の脂肪蓄積や増殖にも血管からのエネルギー供給が必要であり、 肥満患者などの栄養供給経路が豊富な脂肪組織では脂肪細胞の肥大や増殖が観察 される。 このような状態の脂肪組織での血管系をモジュレートさせることで脂質 代謝の改善を促し、 脂肪組織の正常化を起こさせることで、 肥満やそれに伴う各 種疾患を改善することが可能と考えられる。
先天性疾患の一種である Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一 次硝子体過形成遺残) は、 本来消退すべき胎生期の第一次硝子体が水晶体こう面 や視神経乳頭表面に残ったものであり、 小眼球症、 白内障などの多くの眼疾患を 併発して失明にいたる。 その成因の一つは、 眼の発生過程において硝子体への栄 養補給のために形成された血管が、 正常であれば眼杯裂の閉鎖に伴って退縮する ところ、 残存するためである。 疫学的には、 満期正常出産児の約 0. 25%にみられ 、 男子:女子が 2 : 1とされ、 大部分が単眼性のものであり、 左右差は無い。 現在の ところ PHPVの原因遺伝子は不明であり、 その治療手段は現在のところ手術の適用 しかない。
文献的には、 PHPV様の眼の変化は p - 53の欠損(Reichelら、 Cell Death and Differentiation 5 : 129-131, 1998) 、 Arf遺伝子欠損マウス(Martinら、 investigative Ophthalmology and Visual Science45 : 3387— 3396) 、 ンンホェ チン一 2の欠損(Hackettら、 Journal of Cellular Physiology 192: 182-187, 2002 ) などで報告されている。 これらのうち p53は癌抑制遺伝子として知られ、正常な 発生および細胞のストレス応答に関与する核内転写調節因子をコードしているが 、 p53活性化によって細胞の増殖停止およびアポトーシスが誘導されることから、 p53欠損における PHPV様の眼の異常は、 本来ならば p53によって誘導される apoptosisによって消失する第一次硝子体が残存するために引き起こされると考
えられる。 また、 Arfは p53を安定化させる機能を果たす pl9Arf (ヒトでは pl4Arf ) というタンパク質をコードする遺伝子であり、 Arf遺伝子の欠損は p53の欠損と 同じようなメカニズムによって眼の異常を引き起こすものと考えられる。 一方、 アンジォポェチンノ Tie- 2系は血管の成熟に関係することが知られているが、受容 体である T i e - 2に対してシグナルを伝えるリガンドであるアンジォポェチン一 1 とシグナルを伝えない (拮抗型) Vガンドであるアンジォポェチン一 2の比によ つて調節されている。 アンジォポェチン一 2欠損による PHPV様の眼の変化は、 相 対的なアンジォポェチン一 1の増加による Tie - 2を介したシグナル伝達系の増強 によるものと考えられている。 病理^的所見については、 p53、 Arf, アンジォポ ェチン一 2欠損マウスはいずれも PHPV様の眼の変化を呈することが示されたが、 出現頻度、 性差などの疫学的な面からのヒトでの同疾患との関係については明ら かにされていない。
ァペリンは、 Gタンパク質共役型受容体の一つである AP Jの内因性リガンド として単離された生理活性ぺプチドである (WO 99/33976号; Ta t e mo t o e t a 1. , B i o c h em i c a l a n d B i o p hy s i c a 1 R e s e a r c h Co mm un i c a t i o n s 25 1, 47 1 -476 (1 998) ) 。 ァペリンは特異的かつ高親和性的に A P Jに結合 し、 抑制性 Gタンパク質 (G i) を介した細胞内シグナル伝達 (c AMP産生の 抑制等) を引き起こし、 様々な生理活性を有することが明らかになつている。 さ らに、 ァペリンとその受容体である AP Jが血管新生に関与している可能性が指 摘されている。 発明の開示 - ァペリンと AP Jが血管新生に関与している可能性は示唆されていたが、 どの ような疾崽においてァペリンとその受容体である A P Jが血管新生に機能してい るのかはこれまで不明であった。
本発明者らはァペリシの機能を解明するために網膜由来の血管内皮細胞株にァ ペリンを加えて、 その影響を調べた。 その結果、 ァペリンが網膜由来血管内皮細 胞株の増殖、 遊走、 血管形成を促進する作用を有することを見出し、 さらにァぺ
リンと A P Jの結合を阻害する物質 (例、 アンタゴニスト、 抗体、 など) がァぺ リンによって起こる.血管新生を主因、 誘因あるいは増悪因子とする眼疾患である 糖尿病性網膜症等の治療薬として使用できる可能性を見出した。 また、 ァペリン が網膜由来血管内皮細胞株の増殖、 遊走、 血管形成を促進し、 実際 in vivoにおい ても血管新生作用を有することから、 ァペリン受容体ァゴニストが血管内皮細胞 に作用して効率良く血管新生を促進し、 網膜だけでなく、 血管、 心臓、 脳、 下肢 、 骨、 肝臓、 脂肪組織などにおいて、 広く組織再生 ·修復調節剤として使用でき る可能性を見出した。 また、 本努明者らはァペリンとその受容体である A P Jが どのような疾患に関与するかを明ら'かにする別の手段として、 ァペリン遺伝子を 欠損させたマウスを作製し、 その表現形の詳細な解析を実施したところ、 その一 つとして、 ァペリン遺伝子単独の欠損によってヒ トの先天性疾患の一種である PHPVと類似の病態が生じることを見出した。 また、 雌雄差および、 ほぼ片眼性で あることなど、 疫学的な面でも PHPVと同等の病態を呈することを明らかにした。 これまで知られている多くの血管新生因子はタンパク性のものが多く、 これら を医薬として血管再生に用いる場合に比べ、 ぺプチド性分子であるァペリンは、 そのもの自体を化学的に全合成することはもちろん、 ァペリンを構成するァミノ 酸残基を置換することによる誘導体、 あるいは低分子化合物からなるァゴニスト を容易に調製することができ、 安定性、 投与方法、 製剤化などの面でタンパク質 製剤に比べて優れていることを見出した。 よってこれらの知見を基に、 本発明を 完成するに至った。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) ァペリンとその受容体の結合を阻害する物質を用いる肥満、 糖尿病または 糖尿病性網膜症治療剤;
( 2 ) ァペリンが配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7、 または配列番号 : 9で表されるァミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸配列を含有す る、 上記 (1 ) 記載の治療剤;
( 3 ) ァペリンが配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (1 ) 記載の治療剤; ·
( 4 ) ァペリンの受容体が配列番号': 1で表されるアミノ酸配列と同一または実
質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (1) 記載の治療剤;
(5) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上 記 ( 1 ) 記載の治療剤;
(6) ァペリンとその受容体の結合を阻害する物質がアンタゴニストである肥満 、 糖尿病または糖尿病性網膜症治療剤; '
(7) ァペリンが配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7、 または配列番号 : 9で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す る、 上記 (6) 記載の治療剤;
(8) ァペリンが配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (6) 記載の治療剤;
(9) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または実 質的に同一の Tミノ酸配列を含有する、 上記 (6) 記載の治療剤;
(10) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (6) '記載の治療剤;
(1 1) ァペリンとその受容体の結合を阻害する物質がァペリンあるいはその受 容体に対する抗体である肥満、 糖尿病または糖尿病性網膜症治療剤;
(12) ァペリンが配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7、 または配列番 号: 9であらわされるァミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸配列を 含有する、 上記 (1 1) 記載の治療剤;
(1 3) ァペリンが配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (1 1 ) 記載の治療剤;
(14) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または 実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (1 1) 記載の治療剤;
(1 5) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 ( 1 1 ) 記載の治療剤;
(16) 上記 (1) から (1 5) に記載の治療剤を有効量投与することを特徴と する肥満、 糖尿病またほ糖尿病性網膜症の治療方法;
(1 7) 肥満、 糖尿病または糖尿病性網膜症の治療剤を製造するためのアベリン とその受容体の結合を阻害する物質の使用;
(1 8) ァペリンとその受容体の結合を阻害することを特徴とする肥満、 糖尿病 または糖尿病性網膜症の治療方法;
(1 9) ァペリンとその受容体を用いることを特徴とする肥満、 糖尿病または糖 尿病性網奠症治療剤 (本明細書中、 例えば、 糖尿病性網膜症治療剤等における 「 剤」 とは、 当該作用効果 (例えば、 糖尿病性網膜症治療等の効果)' を有する化合 物自体であってもよく、 該化合物を含有する組成物の何れであってもよい) のス クリーニング方法:
(20) ァペリンとその受容体を含有する肥満、 糖尿病または糖尿病性網膜症治 療剤のスクリーニング用キット ; '
(2 1) ァペリン受容体の機能を促進する物質を含有する血管再生促進剤 (ここ で、 「血管再生」 とは、 例えば、 血流の停止あるいは低下によって生じる、 臓器 の機能低下あるいは機能停止を、 血流供給の再開によって防止しうる現象などを 示し、 例えば、 脈管形成 (vasculogenesis) や血管新生 (angiogensis) 以降の壁 細胞の集積による血管成熟または動 ·静脈への血管再構築のステップも包含する ) ;
(22) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるァミノ酸配列と同一または 実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (2 1) 記載の剤;
(2 3) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (2 1) 記載の剤;
(24) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリン受容体ァゴニストであ る上記 (2 1) 記載の剤;
(2 5) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリンあるいはァペリンと同 等以上の活性を有するァペリン誘導体である上記 (2 1) 記載の剤;
(26) 閉塞性動脈硬化症、 ビュルガー病、 心筋梗塞、 心筋壊死、 血栓等による 血行不全とそれに起因する組織の壌死、 心不全、 脳梗塞、 脳溢血、 骨疾患、 骨髄 移植、 臓器移植、 筋ジストロフィー、 変性性神経疾患、 肝硬変、 慢性膝炎、 虚血 性疾患、 動脈硬化、 潰瘍、 腎不全、 糖尿病性壊死、 上下肢虚血性疾患、 ケロイド 、 リゥマチ、 肥満、 高血圧、 ·糖尿病、 高脂血症、 高尿酸血症、 痛風、 脂肪肝、 睡 眠時無呼吸症候群または創傷の予防 ··治療剤である上記 (2 1) 記載の剤;
(27) 臓器移植時または細胞移植時の血管形成促進剤である上記 (21) 記載 の剤; .
(28) 徐放剤である上記 (21) 記載の剤;
(29) ァペリン受容体の機能を促進する物質を有効量投与することを特徴とす る血管再生の促進方法; ·
(30) 血管再生促進剤を製造するためのァペリン受容体の機能を促進する物質 の使用;
(31) ァペリン受容体の機能を促進することを特徴とする血管再生の促進方法 (32) ァペリンとその受容体の結合を促進することを特徴とする血管再生の促 進方法;
(33) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または 実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (3 1) または (32) 記載の方 法;
( 34 ) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるァミノ酸配列を含有する、 上記 (31) または (32) 記載の方法;
(35) ァペリンが配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7、 または配列番 号: 9で表されるァミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸配列を含有 する、 上記 (32) 記載の方法;
(36) ァペリンが配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (3
2) 記載の方法;
(37) ァペリン受容体ァゴニストを用いることを特徴とする、 上記 (3 1) ま たは (32) 記載の方法;
(38) ァペリンあるいはァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体を 用いることを特徴とする、 上記 (31) または (32) 記載の方法;
(39) ァペリン遺伝子またはァペリン遺伝子を含有する発現ベクターを用いる ことを特徴とする、 上記 (31) または (32) 記載の方法;
(40) 閉塞性動脈硬化症、 ビュルガー病、 心筋梗塞、 心筋壌死、 血栓等による 血行不全とそれに起因する組織の壌死、 心不全、 脳梗塞、 脳溢血、 骨疾患、 骨髄
移植、 臓器移植、 筋ジス トロフィー、 変性性神経疾患、 肝硬変、 慢性腾炎、 虚血 性疾患、 動脈硬化、 潰瘍、 腎不全、 糖尿病性壊死、 上下胺虚血性疾患、 ケロイド 、 リゥマチ、 肥満、 高血圧、 糖尿病、 高脂血症、 高尿酸血症、 痛風、 脂肪肝、 睡 眠時無呼吸症候群または創傷の予防 .治療方法である、 上記 (31) または (3 2 ) 記載の方法; ·
(41) 臓器移植時または細胞移植時の血管形成促進方法である、 上記 (31) または (32) 記載の方法;
(42) ァペリン受容体の機能を促進する物質を培地に添加することを特徴とす る血管内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞の培養方法;
(43) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリン受容体ァゴニストであ る上記 (42) 記載の方法;
(44) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリンあるいはァペリンと同 等以上の活性を有するァペリン誘導体である上記 (42) 記載の方法;
(45) ァペリン受容体の機能を促進する物質を添カ卩した培地で骨髄由来細胞、 臍帯血由来細胞、 胚性幹細胞、 体性幹細胞、 血管内皮細胞あるいは血管内皮前駆 細胞を培養することを特徴とする血管内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞の製造 方法;
(46) ァペリン受容体の機能を促進する物質がアベりン受容体ァゴニス トであ る上記 (45) 記載の方法;
(47) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリンあるいはァペリンと同 等以上の活 1生を有するァペリン誘導体である上記 (45) 記載の方法;
(48) ァペリンとその受容体を用いることを特徴とする血管再生促進剤のスク リーニング方法;
(49) ァペリンとその受容体を用いることを特徴とする血管再生促進剤のスク リ一ニングキット ;
( 5 0 ) ァペリ ン受容体の機能を促進する物質を含有する Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次硝子体過形成遺残) 予防あるいは治 療剤;
(51) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と同一または
実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (50) 記載の剤;
(52) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (50) 記載の剤;
(53) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリン受容体ァゴニストであ る上記 (50) 記載の剤; ·
(54) ァペリン受容体の機能を促進する物質がァペリンあるいはァペリンと同 等以上の活性を有するァペリン誘導体である上記 (50) 記載の剤;
(55) ァペリン受容体の機能を促進する物質を有効量投与することを特徴とす る PHPV予防 ·治療方法; '
(56) PHPV予防 ·治療剤を製造するためのァペリン受容体の機能を促進する物 質の使用;
(57) ァペリン受容体の機能を促進することを特徴とする PHPV予防 ·治療方法
(58) ァペリンとその受容体の結合を促進することを特徴とする PHPV予防 ·治 療方法;
(59) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるァミノ酸配列と同一または 実質的に同一のアミノ酸配列を含有する、 上記 (57) または (58) 記載の方 法;
(60) ァペリンの受容体が配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有する、 上記 (57) または (58) 記載の方法;
(6 1) ァペリンが配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7、 または配列番 号: 9であらわされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を 含有する、 上記 (58) 記載の方法;
(62) ァペリンが配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有する上記 (58 ) 記載の方法;
(63) ァペリン受容体ァゴニストを用いることを特徴とする、 上記 (57) ま たは (58) 記載の方法;
(64) ァペリンあるいはァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体を 用いることを特徴とする、 上記 (57) または (58) 記載の方法;
(65) ァペリン遺伝子またはァペリン遺伝子を含有する発現ベクターを用いる ことを特徴とする、 .上記 (57) または (58) 記載の方法;
(66) PHPV様の病態を発症するァペリン遺伝子発現不全非ヒト哺乳動物; (67) ァペリン遺伝子欠損非ヒト哺乳動物である上記 (66) 記載の動物; (68) 非ヒト哺乳動物がマウスである上記 (66) または (6マ) 記載の動物
(69) ァペリン遺伝子が配列番号: 4で表わされる塩基配列を含有する遺伝子 である上記 (68) 記載の動物;
(70) ァペリン遺伝子発現不全非ヒト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞を用いることを特徴とする肥満、 糖尿病、 動脈硬化症、 心不全ま たは糖尿病性網膜症の予防 ·治療 ·改善薬のスクリ一二ング方法;
(71) ァぺ'リン遺伝子発現不全非ヒト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞に試験化合物を投与し、 体重、 体脂肪、 血糖値、 コレステロール 量、 血圧、 心拍出量の変化または血管の形成量を測定することを特徴とする上記 (70) 記載のスクリーニング方法;
(72) ァペリン遺伝子発現不全非ヒト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞を含有することを特徴とする肥満、 糖尿病、 動脈硬化症、 心不全 または糖尿病性網膜症の予防 ·治療 ·改善薬のスクリーニング用キット ;
(73) Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次確子体過形成 遺残) 予防 ·治療剤の薬効評価系としてのァペリン遺伝子発現不全非ヒト哺乳動 物の用途;
(74)ァペリンの抗体、ァペリン遺伝子および mRNAを検出するためのプライマ 一、ァペリン遺伝子おょぴ mRNAを検出するためのプローブ、ァペリン受容体の抗 体、ァペリン受容体遺伝子おょぴ mRNAを検出するためのプライマーまたはァペリ ン受容体遺伝子および mRNAを検出するためのプローブを用いることを特徴とす る Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, —次石肖子体過形成 残リ の診断法;
(75)ァペリンの抗体、ァペリン遺伝子および mRNAを検出するためのプライマ 一、ァペリン遺伝子および mRNAを検出するためのプローブ、ァペリン受容体の抗
体、ァペリン受容体遺伝子および mR Aを検出するためのプライマーまたはァペリ ン受容体遺伝子およ.び mRNAを検出するためのプローブを含有することを特徴と する Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次硝子体過开成遺残 ) の診断剤;
( 7 6 ) ァペリン遺伝子発現不全非ヒ ト哺乳動物を用いることを特徴とする Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次 ί肖子体過开成遺残) 予 防 ·治療剤のスクリ一二ング方法;
( 7 7 ) ァペリン遺伝子発現不全非ヒ ト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞を含有することを特 ί敫とする Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次硝子体過形成遺残) 予防 ·治療剤のスクリーニング用キッ 卜 ;
( 7 8 ) ァペリン遺伝子発現不全非ヒ ト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞を用いることを特徴とする血管再生促進剤のスクリ一ユング方法 ( 7 9 ) ァペリン遺伝子発現不全非ヒ ト哺乳動物もしくはその組織またはそれら に由来する細胞を含有することを特徴とする血管再生促進剤のスクリーニング用 キット ;
( 8 0 ) ァペリ ンとその受容体を用いるこ とを特徵とする Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次硝子体過形成遺残) 予防 .治療剤の スクリーニング方法;
( 8 1 ) ァペリ ンとその受容体を用いるこ とを特徴とする Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次硝子体過形成遺残) 予防 .治療剤の スクリ一ニングキット ;
等を提供する。
本発明のァペリンとその受容体である A P Jの結合を阻害する物質は血管内皮 細胞の遊走 ·増殖阻害作用および血管新生阻害作用を有していることから、 糖尿 病性網膜症の予防 ·治療剤として用いることができる。 また、 本発明のァペリン 、 ァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体、 もしくはァペリンの受容 体である A P Jを活性化する低分子化合物は血管内皮細胞の増殖、 遊走、 血管形
成を促進する作用を有することから、 組織再生 ·修復を調節 ·促進する治療剤と して用いることができる。 さらに、 ァペリンを欠損すると PHPV様の病態を発症す ることから、 ァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体、 もしくはァぺ リンの受容体である AP Jを活性化する低分子化合物は PHPVの治療剤として用い ることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 各種血管内皮由来細胞株におけるァペリンとその受容体 AP Jの mR NA発現を示す図である。 '
図 2は、 ァペリンによる濃度依存的な細胞遊走活性の促進を示す図である (n =4) 。 〇はァペリン— 36、 *はァペリン— 13、 ▲は 0. 25 nM VEGF を表す。 **; p < 0. 01 (ANOVAに続いてダネット検定) ; ##, pく 0. 01 (コントロール) (スチューデント t—検定) 。
図 3は、 ァペリン- 1 3による細胞数増加作用を示す図である (n = 4) 。 〇は ァペリン— 36、 ·はァペリン- 13、 ▲は 0. 25 nM VEGF、 Aは 10% FB Sを表す。 *, p < 0. 05 (対コントロール) (ANOVAに続いてダネ ット検定) ; ##, pく 0. 01 (対コントロール) (スチューデント t—検 定)
" 図 4は、 ァペリンによる毛細管様構造の形成を示す図である。 aはコントロー ル、 bは 0. 25 nM VEGF添加時、 cは 10_6Μ ァペリン- 1 3添カロ時 、 dは 10-6Μ ァペリン- 36添力卩時をそれぞれ表す。 eはァペリンによる濃度 依存的な毛細管様構造の形成を示す図である。〇はァペリン- 36、拳はァペリン - 13、 ▲は 0. 25 nM VEGFを表す。 *, p < 0. 05 (対コントロー ノレ) (ANOVAに続いてダネット検定) ; ##, pく 0. 01 (スチューデン ト. t—検定) 。
図 5は、 Ma t r i g e lプラグアツセィにおける、ァペリンの i n v i v o 血管新生促進作用を示す図である。 aはコントロール、 bは 0. 25 nM VE GF含有 g e l、 cは 1 CT9M ァペリン- 1 3含有 g e 1、 dは 10— 9M ァぺ リン- 36含有 g e 1を示し、それら'の内部に新生した血管を矢頭で表す。 eは本
実験 g e 1中のヘモグロビン量であり、 ァペリンによって誘引された血管 (血液 ) すなわちァペリンによる i n v i v o血管新生作用を反映する図である。 *, p < 0. 05 (対コントロール) (スチューデント t—検定) 。 ' 図 6は、 ターゲティングベクターの構造とマウスァペリン遺伝子を含むゲノム 領域周辺のターゲティング操作前後での制限酵素地図 Me tと S 't o pはそれぞ れァペリン遺伝子の開始コドンと終止コドンを示す。 Ne oはネオマイシンフォ スフオトランスフェラーゼ遺伝子、 TKはチミジンキナーゼ遺伝子を示す。 E, B, X, H, N, A, Sはそれぞれ制限酵素 E c o R I、 B a mH I、 Xb a I , H i n d i I I , Nc o I、 Av a l、 S p e lを示す。
図 7は、 ァペリンノックァゥトマウスのゲノムを用いたゲノミックサザン解析 を示す。
図 8は、 全脑および肺におけるァペリン mRNAの発現量を示す。 横軸の Wi 1 dは野生型マウスを、 KOはノックアウトマウスを示す。 縦軸はァペリンの m RNA発現量を内在性コントロールのグリセロール 3リン酸脱水素酵素 (GAP DH) で除した値を 1 00倍して表示した。
図 9は、 全脳おょぴ肺におけるァペリン含量を示す。 横軸の Wi 1 dは野生型 マウスを、 KOはノックアウトマウスを示す。 縦軸はァペリンの含量 (pmo 1 ) を組織重量 1 gあたりで表示した。
図 10は、 ァペリン遺伝子ノックアウトマウスの白濁眼球におけるヒ ト PHPV様 の病理所見を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 ァペリンとその受容体の結合を阻害する物質 (以下、 本発明の阻害 剤ともいう) を含有してなる医薬組成物、 該医薬組成物を用いることを特徴とす る疾患の予防 ·治療剤を提供する。 本発明の医薬組成物を構成するァペリンとそ の受容体の結合を阻害する物質としては、 例えば受容体に対してアンタゴニスト 活性を有する化合物、 ポリペプチドなどのァペリン受容体アンタゴニスト、 ある いはァペリンあるいはその受容体に対する抗体などがあげられる。 また、 ァペリ ン受容体の機能を促進する物質としては、 例えば受容体に対してァゴニスト活性
を有する化合物、 ポリペプチドなどのァペリン受容体ァゴニスト、 ァペリン、 ァ ペリンと同等以上の活性を有するァぺリン誘導体 (例、 WO 0 0 / 1 8 7 9 3、 WO 0 1 / 7 0 7 6 9などに記載のァぺリン誘導体など) 、 もしくはァぺリンの 受容体である A P Jを活性ィ匕する低分子化合物もあげられる。 また、 ァペリン受 容体の機能を促進する物質としては、 例えば、 ァペリン遺伝子 (ァペリンをコー ドする D N Aなど) またはァペリン遺伝子を含有する発現ベクターなどであって もよく、 ァペリン受容体の機能を促進する物質と同様な目的で、 ァペリンとその 受容体の結合を促進する物質を用いてもよい。
本明細書において 「ァペリン」 とは、 ヒ トゃ温血動物 (例えば、 モルモット、 ラット、 マウス、 ブタ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) のあらゆる組織 (たとえば、 下垂体、 膝臓、 脳、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管、 血管、 心臓など) または細胞などに由来するペプチドであつ て、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表される アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するぺプチドを 意味する。 すなわち、 (1 ) 配列番号: 3で表わされるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のァミノ酸配列を含有するぺプチド、 (2 ) 配列番号: 5で表 されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するぺプ チド、 (3 ) 配列番号: 7で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一 のアミノ酸配列を含有するペプチド、 . (4 ) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配 列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有するぺプチドなどを含む。 ここで、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表 されるアミノ酸配列と 「実質的に同一のアミノ酸配列」 としては、 (1 ) 配列番 号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配 歹 IJ中の 1個以上 7個以下、 好ましくは 1個以上 5個以下、 より好ましくは 1個以 上 3個以下のァミノ酸が欠失したァミノ酸配列、 ( 2 ) 配列番号: 3、 配列番号 : 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるァミノ酸配列中に 1個以上 2 0個以下、 好ましくは i個以上 1 5個以下、 より好ましくは 1個以上 1 0個以下 のアミノ酸が付カ卩した (または挿入された) アミノ酸配列、 (3 ) 配列番号: 3 、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列中の
1個以上 7個以下、 好ましくは 1個以上 5個以下、 より好ましくは 1個以上 3個 以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するぺプチドな どがあげられる。
配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるァ ミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列を含有するポリぺプチドとしては、 配 列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表わされるアミ ノ酸配列と約 5 0〜9 9 . 9 % (好ましくは 7 0〜9 9 . 9 %、 より好ましくは 8 0〜9 9 . 9 %、 さらに好ましくは 9 0〜9 9 . 9 %) の相同性を有するアミ ノ酸配列を含有するポリぺプチドがあげられる。
本発明の阻害剤が対象とするァペリンとしては特に、 配列番号: 3、'配列番号 : 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表わされるアミノ酸配列を含有するァ ペリンが好ましく、 さらには配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有するァ ペリンが好ましい。
本発明の阻害剤が対象とするァペリンの受容体 (A P J ) としては、 配列番号 : 1で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るものが好ましい。 ここで、 「実質的に同一」 とは、 配列番号: 1で表されるァ ミノ酸配列と約 5 0〜 9 9 . 9 % (好ましくは 7 0〜9 9 . 9 %、 より好ましく は 8 0〜9 9 . 9 %、 さらに好ましくは 9 0〜9 9 . 9 %) の相同性を有するこ とを意味する。
また、 配列番号: 1で表されるァミノ酸配列と 「実質的に同一のァミノ酸配列 J としては、 (1 ) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列中の 1個以上 7個以下 、 好ましくは 1個以上 5個以下、 より好ましくは 1個以上 3個以下のアミノ酸が 欠失したアミノ酸配列、 (2 ) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列中に 1個以 上 2 0個以下、 好ましくは 1個以上 1 5個以下、 より好ましくは 1個以上 1 0個 以下のアミノ酸が付加した (または挿入された) アミノ酸配列、 (3 ) 配列番号 : 1で表されるアミノ酸配列中の 1個以上 7個以下、 好ましくは 1個以上 5個以 下、 より好ましくは 1個以上 3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたァ ミノ酸配列を含有するぺプチドなども含まれる。
まず、 ァペリンおょぴその受容体 ' (以下、 本発明のポリペプチドという) の製
造について記載する。
本明細書における.ポリべプチドは、 ぺプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) を示す。 本発明のポリぺプ チドは C末端が通常カルボキシル基 ( - C O O H) またはカルボキシレート (一 C O O-) であるが、 C末端がアミ ド (_ C O N H2) または土ステル (一 C O O R) であってもよい。 エステルの Rとしては、 例えばメチル、 ェチル、 n—プロ ピル、 ィソプロピルもしくは n _ブチルなどの アルキル基、 シク口ペンチル 、 シクロへキシルなどの C 3-8シクロアルキル基、 フエニル、 a一ナフチノレなどの C 6_12ァリール基、 ベンジル、 フエネチル、 ベンズヒ ドリルなどのフエ二ルー d—2 アルキル、 もしくは α—ナフチルメチルなどの α—ナフチル一 C アルキルなど の C 7— 14ァラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピパロィルォキシ メチル基などがあげられる。 本発明のポリべプチドが C末端以外にカルボキシル 基またはカルボキシレートを有している場合、 それらの基がアミ ド化またはエス テル化されているものも本発明のポリペプチドに含まれる。 この時のエステルと しては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。 本発明のポリぺプ チドにはまた、 G 1 nの N端側が生体内で切断され、 該 G 1 nがピログルタミン 酸化したものなども含まれる。 さらに本発明のポリペプチドは N末端に M e tが 付カロしたものも含まれる。 また、 これらの部分ペプチドであってもよい。
本発明のポリペプチドの塩としては、 生理学的に許容される塩基 (例えばアル カリ金属など) や酸 (有機酸、 無機酸) との塩が用いられるが、 とりわけ生理学 的に許容される酸付加塩が好ましい。 このような塩としては例えば無機酸 (例え ば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸 、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コノヽク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 シユウ酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との 塩などが用いられる。
本発明のポリぺプチドは、 ヒ トゃ温血動物の組織または細胞からポリぺプチド を精製する方法によって製造することもできるし、 後述のポリぺプチド合成法に 準じて製造することもできる。 また、 後述するポリペプチドをコードする D N A を含有する形質転換体を培養することによつても製造することができる。
ヒ トゃ温血動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒ トゃ温血動物の組織ま たは細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行い、 該抽出液を、 塩析、 透析 、 ゲル濾過、 逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ 二ティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることによ り精製単離することができる。 ·
上記したように本発明のポリべプチドは、 公知のポリぺプチドの合成法に従つ て、 あるいは本発明のポリペプチドを含有するポリペプチドを適当なぺプチダー ゼで切断することによって製造することができる。 ぺプチドの合成法としては、 例えば固相合成法、 液相合成法のい れによっても良い。 すなわち、 本発明のポ リぺプチドを構成し得る部分べプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ 、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のぺプチドを 製造することができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、 以下 の (a) 〜 (e) に記載された方法があげられる。
(a) M. B o d a n s z k y およぴ M. A. On d e t t i , P e p t i d e S y n t h e s i s, i n t e r s c i e n c e Pu b l i s h e r s , New Yo r k (1 966年)
( b ) S c h r o e d e rおよび Lu e b k e、 Th e P e p t i d e, A c a d em i c P r e s s, New Yo r k (1 965年)
(c) 泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1 975年) (d) 矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 I V、 205、 (1 977年)
(e) 矢島治明藍修、 続医薬品の開発 第 14巻 ペプチド合成 広川書店 また、 反応後は通常の精製法、 たとえば、 溶媒抽出 ·蒸留 ·カラムクロマトグ ラフィ一'液体ク口マトグラフィ一'再結晶などを組み合わせて本発明のポリぺ プチドを精製単離することができる。 上記方法で得られるポリぺプチドが遊離体 である場合は、 公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩 で得られた場合は、 公知の方法によって遊離体に変換することができる。
ポリぺプチドのァミ ド体は、 ァミ ド形成に適した市販のぺプチド合成用樹脂を 用いることができる。 そのような樹脂としては例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒ ド
口キシメチル樹脂、 ベンズヒ ドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4—ベンジ ルォキシベンジルアルコール樹脂、 4 _メチルベンズヒ ドリルァミン樹脂、 P A M樹脂、 4ーヒ ドロキシメチルメチルフェ二ルァセトアミ ドメチル樹脂、 ポリァ クリルアミ ド榭脂、 4一 (2, , 4 ' —ジメ トキシフエ二ルーヒ ドロキシメチル ) フエノキシ樹脂、 4 _ ( 2, , 4 ' —ジメ トキシフエ二ルー F m o cアミノエ チル) フエノキシ樹脂などをあげることができる。 このような樹脂を用い、 α— ァミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするぺプチドの配列 通りに、 公知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂か らぺプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 必要に応じて高希釈溶液中 で分子内ジスルフィ ド結合形成反応を実施し、 目的のポリぺプチドを取得する。 上記した保護されたアミノ酸の縮合に関しては、 ペプチド合成に使用できる各 種活性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミ ド類がよい。 カルボ ジイミ ド類としては D C C、 N, N ' —ジイソプロピルカルポジイミ ド、 N—ェ チルー N, ― ( 3—ジメチルァミノプロピル) カルボジィミ ドなどがあげられる 。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 HO B t、 HO O B t など) とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水 '物または H O B tエステルあるいは H O O B tエステルとしてあらかじめ保護さ れたァミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。 保護された アミノ酸の活性ィヒゃ樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 ペプチド縮合反応 に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 たとえば N , N— ジメチルホルムアミ ド、 N, N—ジメチルァセトアミ ド、 N—メチルピロリ ドン などの酸アミ ド類、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスル ホキシド類、 ピリジンなどの三級ァミン類、 ジォキサン、 テトラヒ ドロフランな どのエーテル類、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリルなどの二トリル類、 酢酸メ チル、 酢酸ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いら れる。 反応温度はぺプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲 から適宜選択され、 通常約一 2 0 °C〜5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性化 されたアミノ酸誘導体は通常 1 . 5ないし 4倍過剰で用いられる。 ニンヒ ドリン
反応を用いたテストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことな く縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。 反応を繰り返 しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾール を用いて未反応アミノ酸をァセチル化して、 後の反応に影響を及ぼさないように することができる。 '
原料アミノ酸のァミノ基の保護基としては、 たとえば、 Z、 B o c、 ターシャ リーペンチルォキシカルボニル、 イソボルニルォキシカルボニル、 4—メ トキシ ペンジノレオキシカルボ二ノレ、 C 1 _Z、 B r— Z、 ァダマンチノレオキシカノレボニ ノレ、 1、リフノレオロアセチノレ、 フタロイノレ、 ホノレミノレ、 2—ニトロフエニノレスノレフ ェニル、 ジフエニルホスフイノチオイル、 Fmo cなどがあげられる。 カルボキ シル基の保護基としては、 たとえば Rとして上記した アルキル基、 C3_8シク 口アルキル基、 C7_14ァラルキル基の他、 2—ァダマンチル、 4一二トロべンジル 、 4ーメ トキシベンジル、 4一クロ口べンジノレ、 フエナシル基おょぴベンジルォ キシカルボニルヒ ドラジド、 ターシャリーブトキシカルボニルヒ ドラジド、 トリ チルヒ ドラジドなどがあげられる。
セリンおよびスレオ ンの水酸基は、 たとえばエステル化またはエーテル化に よって保護することができる。 このエステル化に適する基としては例えばァセチ ル基などの低級アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキ シカルボニル基、 ェトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などがあげ られる。 また、 エーテル化に適する基としては、 たとえばベンジル基、 テトラヒ ドロビラ二ル基、 ターシャリ一ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 たとえば B z 1、 C 12-B z l、 2—二トロベンジル、 B r— Z、 ターシャリーブチルなどがあげられる。 ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 To s、 4—メ トキシ一 2, 3 , 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル、 Bum 、 B o c、 T r t、 Fmo cなどがあげられる。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 たとえば対応する酸無水' 物、 アジド、 活性エステル [アルコール (たとえば、 ペンタクロロフエノール、 2, 4, 5—トリクロロフエノ一ル、' 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメチ
ノレアノレコーノレ、 パラニトロフエノー^/、 H O N B、 N—ヒ ドロキシスクシミ ド、 N—ヒ ドロキシフタルイミ ド、 H O B t ) とのエステル] などがあげられる。 原 料のアミノ基の活性化されたものとしては、 たとえば対応するリン酸アミ ドがぁ げられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 たとえば P d黒あるいは P d炭素などの 触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタンス ルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれらの 混合液などによる酸処理や、 ジィソプロピルェチルァミン、 トリェチルァミン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる^基処理、 また液体アンモニア中ナトリウム による還元などもあげられる。 上記酸処理による脱離反応は一般に一 2 0 °C〜 4 o °cの温度で行われるが、 酸処理においてはァニソール、 フエノール、 チオア二 ソ一ル、 メタクレゾーノレ、 パラクレゾーノレ、 ジメチノレスノレフイ ド、 1 , 4ーブタ ンジチオール、 1 , 2—エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効 である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる 2 , 4—ジニ トロフエ-ル基はチオフヱノール処理により除去され、 トリプトファンのインド ール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1 , 2—エタンジチオール、 1 , 4一ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化ナ トリゥム、 希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、 ならびにその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段か ら適宜選択しうる。
ポリペプチドのアミ ド体を得る別の方法としては、 まず、 カルボキシル末端ァ ミノ酸の 一カルボキシル基をァミ ド化した後、 ァミノ基側にぺプチド鎖を所望 の鎖長まで延ばした後、 該ぺプチド鎖の N末端のひ —アミノ基の保護基のみを除 いたペプチドと C末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたペプチド (または アミノ酸) とを製造し、 この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させ る。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得られた保護ぺプ チドを精製した後、 上記方法によりすベての保護基を除去し、 所望の粗ポリぺプ チドを得ることができる。 この粗ポリぺプチドは既知の各種精製手段を駆使して
精製し、 主要蔺分を凍結乾燥することで所望のポリペプチドのアミ ド体を得るこ とができる。 . '
ポリぺプチドのエステル体を得るにはカルボキシ末端ァミノ酸の α—カルボキ シル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、 ポリべプチド のアミ ド体と同様にして所望のポリペプチドのエステル体を得ることができる。 本発明のポリペプチドとしては、 上記したポリペプチドと同様の作用 (血管内 皮細胞の遊走,増殖阻害作用、 血管新生阻害作用など) を有しているものであれ ば、 どのようなペプチドであってもよい。 このようなペプチドとしては例えば、 上記した配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表さ れるアミノ酸配列の部分配列などを含有するぺプチドから 1個以上のアミノ酸が 欠失したァミノ酸配列を含有するペプチドをあげることができる。 具体的には、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるテミ ノ酸配列の部分配列を有するぺプチドなどが好ましい。
本発明のポリぺプチドはさらに、 機能あるいは性質がよく知られているタンパ ク質との融合タンパク質であってもよい。
本発明のポリぺプチドおよび後述の本発明のポリぺプチドをコ一ドする D NA は、 公知の方法で標識化されていてもよく、 具体的にはアイソトープ標識化され たもの、 蛍光標識されたもの (例えば、 フルォレセインなどによる蛍光標識) 、 ビォチン化されたものまたは酵素標識されたものなどがあげられる。
本発明のポリペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 1で表わされ るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体タ ンパク質に対する結合能を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含有する D N Aであればいかなるものであってもよい。 具体的には、 本発明のポリぺプチ ドのァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有するポリぺ プチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよ い。 また、 ゲノム D N A、 ゲノム D N Aライブラリー、 前記した組織 ·細胞由来 の c D N A、 前記した組織 ·細胞由来の c D NAライブラリー、 合成 D N Aのい ずれでもよい。 ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、 プラス ミ ド、 コスミ ド、 ファージミ ドなどいずれであってもよい。 また、 前記した組織
-細胞より RNA画分を調製したものを用いて直接 R e v e r s e Tr a n s c r i p t a s e P o l yme r a s e Ch a i n Re a c t i o n ( 以下、 RT— P CR法と略称する) によって增幅することもできる。
より具体的には、 本発明のポリペプチドをコードする DN Aとしては、 (1) 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 10で表される塩 基配列、 またはその部分配列を有する DNAを含有する DNA、 (2) ストリン ジェントな条件下で (1) で規定された配列とハイブリダィズする哺乳動物由来 の DNA、 (3) 遺伝コードの縮重のため (1) および (2) に定められている 配列とハイブリッド形成しないが、 同一アミノ酸配列をもつポリペプチドをコー ドする DNAなどが用いられる。 ハイプリダイゼーシヨンは、 公知の方法あるい はそれに準じた方法に従って行うことができる。 上記ストリンジヱントな条件と しては、 例えば 42。C、 50%ホルムアミ ド、 4 X S SPE (1 XS SPE=1 5 OmM N a C 1 , 10 mM N a H2P 04 - H20, 1 mM EDTA, pH 7. 4) 、 5 Xデンハート溶液、 0. 1%SDSである。
本発明のポリべプチドをコ一ドする DNAは以下の遺伝子工学的手法によって も製造することができる。
本発明のポリぺプチドを完全にコードする DNAのクローニングの手段として は、 (1) 本発明のポリペプチドの部分塩基配列を有する合成 DNAプライマー を用いて公知の PC R法によって前記 DN Aライブラリ一等から目的とする DN Aを増幅する方法、 または (2) 適当なベクターに組み込んだ DNAを例えば本 発明のポリべプチドの一部あるいは全領域を有する DN A断片もしくは合成 DN Aを用レ、て標識したものとのハイブリダィゼーシヨンによつて選別する方法があ げられる。 ハイブリダィゼーシヨンの方法は、 例えば Mo 1 e c u 1 a r C l o n i n g (2n d e d . ; J . S am b r o o k e t a 1. , C o l d S p r i n g Ha r b o r L a b. P r e s s, 1989) に 記載の方法などに従って行われる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行う。
クローン化された本発明のポリペプチドをコードする D N Aは目的によりその まま、 または所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付加したりして使用
することができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATG を有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまたは TA Gを有していてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合 成 D N Aアダプタ一を用いて付加することもできる。
本発明のポリペプチドの発現ベクターは、 例えば、 (a) 本発明のポリぺプチ ドをコードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (b) 該 DNA断 片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造する ことができる。
ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミ ド (例、 p BR322, p BR 32 5, p UC 1 2, pUC 1 3) 、 枯草菌由来のプラスミ ド (例、 pUB 1 10, p TP 5, p C 1 94) 、 酵母由来プラスミ ド (例、 p S H 1 9, p SH 1 5) 、 えファージなどのバタテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニアウィルス , バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応 して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、 SV40由来のプロモータ 一、 レトロゥイノレスのプロモーター、 メタ口チォネインプロモーター、 ヒートシ ョックプロモーター、 サイ トメガロウイノレスプロモーター、 SRctプロモーター などが利用できる。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモーター 、 T 7プロモーター、 l a cプロモーター、 r e cAプロモーター、 え PLプロ モーター、 1 p pプロモーターなどが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 S P 〇 1プロモーター、 S P02プロモーター、 p e n Pプロモーターなど、 宿主が 酵母である場合は、 PHO 5プロモーター、 PGKプロモーター、 GAPプロモ 一ター、 ADH1プロモーター、 GALプロモーターなどが好ましい。 宿主が昆 虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロモーター、 P 10プロモーターなどが好 ましい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシ ダナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r i と略称する場合がある)'などを含有しているものを用いることがで
きる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒ ドロ葉酸還元酵素 (以下、 d h 'f r と略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシ リン耐性遺伝子 (以下、 Amprと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺伝 子 (以下、 N e oと略称する場合がある、 G4 1 8耐性) 等があげられる。 特に 、 CHO ( d h f r -) 細胞を用いて DHFR遺伝子を選択マーカ として使用す る場合、 チミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 ポリペプチドの N端末側 に付加する。 宿主がェシェリヒァ属菌である場合は、 P h o A ·シグナル配列、 Omp A ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 ひ一ァミラ ーゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母である場 合は、 メイティングファクターひ (MF a) · シグナル配列、 ィンベルターゼ · シグナル配列など、 宿主が動物細胞である場合には、 例えばインシュリン ·シグ ナル配列、 一インターフェロン · シグナル配列、 抗体分子 ·シグナル配列など がそれぞれ利用できる。
このようにして構築されたポリべプチドをコ一ドする DNAを含有するべクタ 一を用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 たとえばェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫または 昆虫細胞、 動物細胞などが用いられる。
ェシェリヒア属菌としては、ェシェリヒア 'コリ (E s c h e r i c h i a c o 1 i ) K 1 2 · DH 1 〔P r o c . N a t l . A c a d. S c i . US A, 6 0巻, 1 6 0 (1 9 6 8) 〕 , JM1 0 3 [Nu c l e i c A c i d s R e s e a r c h, 9卷, 3 0 9 ( 1 9 8 1) 〕 , J A 2 2 1 [J o u r n a l o f Mo l e c u l a r B i o l o g y, 1 2 0卷, 5 1 7 ( 1 9 7 8) 〕 , HB 1 0 1 [ J o u r n a l o f Mo l e c u l a r B i o l o g y, 4 1卷, 4 5 9 (1 9 6 9) 〕 , C 6 0 0 [G e n e t i c s , 3 9卷, 4 4 0 ( 1 9 5 4) 〕 などが用いられる。
バチルス属菌としてほ、 たとえばバチルス ·サチルス (B a c i l l u s s u b t i 1 i s ) M I 1 1 4 [G e n e , 24卷, 2 5 5 (1 9 8 3) 〕 , 2 0 7 - 2 1 [J o u r n a l o f B i o c h e m i s t r y, 9 5巻, 8 7 (
1984) 〕 などが用いられる。
酵母としては、 たとえばサッカロマイセス セレピシェ (S a c c h a r om y c e s c e r e v i s i a e) AH 22 , AH 22 R -, NA 87— 1 1 A, DKD- 5D, 20 B— 12などが用いられる。
昆虫としては、 例えばカイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、' Na t u r e , 315 592 (1985) 〕 。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが AcNPVの場合は、 夜盗蛾の幼虫由 来株化細胞 ( S p o d o p t e r a f r u g i p e r d a c e l l ; S f 糸田 胞) 、 T r i c h o p 1 u s i a n iの中腸由来の MG 1細胞、 T r i c h o p 1 u s i a n iの卵由来の H i g h F i v e TM細胞、 Mame s t r a b r a s s i c a e由来の細胞または E s t i g m e n a a c r e a由来の細 胞などが用いられる。 ウィルスが BmNP Vの場合は、 蚕由来株化細胞 (B om b y X mo r i N ; B mN細胞) などが用いられる。 該 S f 細胞としては、 例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL 1 7 1 1) 、 S f 21細胞 〔以上、 Va u g h n, J . L. ら、 I n V i t r o, 1 3卷, 213— 21 7頁 (1 97 7年) 〕 などが用いられる。
動物細胞としては、 たとえばサル COS— 7細胞, Ve r o細胞, チヤィニー ズハムスタ一細胞 C H O, DHF R遺伝子欠損チヤィニーズハムスタ一細胞 C H O (d h f r " CH〇細胞) , マウス L細胞, マウス 3 T 3細胞、 マウスミエ口 一マ細胞, ヒ ト HEK293細胞、 ヒ ト FL細胞、 293細胞、 C 127細胞、 BALB 3T3細胞、 S p— 2 O細胞などが用いられる。
ェシェリヒァ属菌を形質転換するには、 たとえば P r o c. Na t l . A c a d. S c i . USA, 69卷, 21 10 (1 972) や G e n e, 17卷, 10 7 (1982) などに記載の方法に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、 たとえば Mo 1 e c u 1 a r & Ge n e r a 1 Ge n e t i c s, 168卷, 1 1 1 (1 979) などに記載の方法 に従って行われる。 '
酵母を形質転換するには、 たとえば P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA, 75卷, 1 929 (1 978) に記載の方法に従って行なわれる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 たとえば B i oZTe c h n o 1 o g y, 6卷, 47— .55頁 (1988) などに記載の方法に従って行なわれる。 動物細胞を形質転換するには、 たとえば V i r o l o g y, 52卷, 456 ( 1973) に記載の方法に従って行なわれる。
発現ベクターの細胞への導入方法としては、 例えば、 リボフヱクシヨン法 〔F e l g n e r, P. L. e t a 1. P r o c e e d i n g s o f t h e Na t i o n a l Ac a d emy o f S c i e n c e s o f t h e Un i t e d S t a t e s o f Am e r i c a, 84卷, 7413頁 (1987年) 〕 、 リン酸カルシウム法 〔G r a h am, F. L. a n d v a n d e r Eb, A. J . V i r o l o g y, 52卷, 456— 467頁 (1973年) 〕 、 電気穿孔法 〔Nu ema nn, E. e t a 1. EMB O J. , 1卷, 841— 845頁 (1 982年) 〕 等があげられる。
このようにして、 本発明のポリぺプチドをコ一ドする DN Aを含有する発現べ クタ一で形質転換された形質転換体が得られる。
なお、 動物細胞を用いて、 本発明のポリペプチドを安定に発現させる方法とし ては、 上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞を クローン選択によって選択する方法がある。 具体的には、 上記の選択マーカーを 指標にして形質転換体を選択する。 さらに、 このように選択マーカーを用いて得 られた動物細胞に対して、 繰り返しクローン選択を行うことにより本発明のポリ ペプチドの高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。 また、 d h f r遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、 MTX濃度を徐々に上げて培養し 、 耐性株を選択することにより、 d h f r遺伝子とともに、 本発明のポリぺプチ ドをコ一ドする DNAを細胞内で増幅させて、 さらに高発現の動物細胞株を得る こともできる。
上記の形質転換体を本発明のポリぺプチドをコ一ドする DNAが発現可能な条 件下で培養し、 本発明のポリペプチドを生成、 蓄積せしめることによって、 本発 明のポリぺプチドを製造することができる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培養 に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体の生
育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源としては 、 たとえばグルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖など、 窒素源として は、 たとえばアンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ' リカー、 ペプトン 、 カゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 パレイショ抽出液などの無機または有機物質、 無機物としてはたとえば塩ィ匕カルシウム、 リン酸ニ水素ナトリウム、 塩化マグネ シゥムなどがあげられる。 また、 酵母、 ビタミン類、 生長促進因子などを添加し てもよレ、。 培地の pHは約 5〜8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えばグルコース、 カザミノ 酸を含む M 9培地 〔Mi l l e r, J o u r n a l o f Ex p e r i me n t s i n Mo l e c u l a r Ge n e t i c s, 431— 433, C o l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y, N ew Yo r k 1972〕 が好ましい。 ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため に、 たとえば 3 —インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。 宿主がェシェリヒァ属菌の場合、 培養は通常約 1 5〜 43 °Cで約 3〜 24時間 行い、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 30〜 40 °Cで約 6〜 24時間行い 、 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 たとえばバークホ 一ルダー (Bu r k h o l d e r) 最小培地 〔B o s t i a n, K. L. ら、 P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA, 77巻, 4505 (1980) 〕 や 0. 5%カザミノ酸を含有する SD培地 〔: B i t t e r, G. A. ら、 P r o c . Na t l . Ac a d. S c i . USA, 81卷, 5330 (1 984) 〕 があげられる。 培地の pHは約 5〜8に調整するのが好ましい。 培養は通常約 2 0°C〜35°Cで約 24〜72時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 G r a c e' s I n s e c t e d i um (Gr a c e, T. C . し. , Na t u r e, 1 95, 788 (1 962) ) に非動化した 10 %ゥシ血清等の添加物を適宜加 えたものなどが用いられる。 培地の pHは約 6. 2〜6. 4に調整するのが好ま しレ、。 培養は通常約 27 °Cで約 3〜 5日間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加え
る。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 たとえば約 5 〜20%の胎児牛血清を含む MEM培地 〔S c i e n c e , 1 22巻, 501 ( 1952) 〕 , DMEM培地 [V i r o l o g y, 8卷, 396 (1 959) 〕 , RPMI 1640培地 〔Th e J o u r n a l o f t h e Am e r i c a n Me d i c a l As s o c i a t i o n 1 99卷, 519 (1 9 67) 〕 , 1 99 ±咅地 [P r o c e e d i n g o f t h e S o c i e t y f o r t h e B i o l o g i c a l Me d i c i n e, 73巻, 1 (19 50) 〕 などが用いられる。 pHは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 30°C〜40°Cで約 15〜60時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。 特に CHO (d h f r— )細胞および d h f r遺伝子を選択マーカーとして用い る場合には、 チミジンをほとんど含まない透析ゥシ胎児血清を含む DMEM培地 を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明のポリべプチドを分離精製するには、 例えば下記の方法 により行なうことができる。
本発明のポリペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養 後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音 波、 リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壌し たのち、 遠心分離やろ過によりポリべプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用 い得る。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどのタンパク変性剤や、 T r i t o n (登録商標) X— 100などの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、 培養終了後、 公知の方法で菌 体あるいは細胞と上清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれる本発明のポリ ぺプチドの精製は、 公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行うことができる 。 これらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用 する方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および SDS—ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロマ トグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティーク口マトグラフィ
一などの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの 疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法やクロマトフオーカシングなどの 等電点の差を利用する方法などが用いられる。
このようにして得られる本発明のポリぺプチドが遊離体で得られた場合には、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩 で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または 他の塩に変換することができる。
なお、 組換え体が産生する本発明のポリペプチドを、 精製前または精製後に適 当なタンパク修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリぺ プチドを部分的に除去することもできる。 タンパク修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン、 キモトリプシン、 アルギニルェンドぺプチダーゼ、 プロティンキナ ーゼ、 グリコシダーゼなどが用いられる。
このようにして生成する本発明のポリぺプチドの存在は特異抗体を用いたェン ザィムィムノアッセィなどにより測定することができる。
上記のようにして得られたァペリンおょぴ Zまたはその受容体を用いて、 それ らの結合を阻害する物質を以下のようにして取得することができる。
本発明が提供するァペリンとその受容体の結合を阻害する物質について、 さら に受容体に対してアンタゴニスト活性を有する物質 (本発明のアンタゴニスト) とァペリンあるいはその受容体に対する抗体 (本発明の抗体) とに分け、 これら を詳細に説明する。 また、 ァペリン受容体の機能を促進する物質としてのァペリ ン受容体ァゴニスト (本発明のァゴニス ト) について、 併せて説明する。
本発明のアンタゴニストとしては、 例えばペプチド、 タンパク質、 非ペプチド 性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液 などが挙げられ、 これらの物質は新規物質であってもよいし、 公知の物質であつ てもよレ、。 また、 本発明のァゴニストとしては、 例えばペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物 組織抽出液などが挙げられ、 これらの物質は新規物質であってもよいし、 公知の 物質であってもよい。
本発明のアンタゴニストは、 ァペリンとその受容体の結合を阻害することがで
きるので、 ァペリンとその受容体を用いてスクリーニングすることができる。 ま た、 本発明のァゴニストは、 ァペリン受容体の機能を促進することができるので 、 ァペリンとその受容体を用いてスクリーニングすることができる。 以下に、 ス クリ一ユング方法について説明する。
本発明のアンタゴニストは、 (i ) ァペリン受容体にァペリンを接触させた場 合と (i i) ァペリン受容体にァペリンおよび試験化合物を接触させた場合との比 較を行なうことを特徴とするァペリンとァペリン受容体との結合を阻害する物質 のスクリーユング方法を用いて得ることができる。 本発明のスクリーニング方法 においては、 ( i ) ァペリン受容体にァペリンを接触させた場合と (i i) ァペリ ン受容体にァペリンおよび試験化合物を接触させた場合における、 例えばァペリ ン受容体に対するァペリンの結合量などを測定して、 その結果を比較する。 また 、 本発明のァゴニストは、 ( i ) ァペリン受容体にァペリンを接触させた場合と (i i) ァペリン受容体に試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特 徴とするァペリン受容体の機能を促進する物質のスクリーニング方法を用いて得 ることができる。 本発明のスクリーニング方法においては、 ( i ) ァペリン受容 体にァペリンを接触させた場合と (i i) ァペリン受容体に試験化合物を接触させ た場合における、 例えばァペリン受容体に対するァペリンの結合量などを測定し て、 その結果を比較する。
本発明のアンタゴニストのスクリーユング方法は、 具体的には、
( 1 ) 標識したァペリンをァペリン受容体に接触させた場合と、 標識したァペリ ンおよび試験化合物をァペリン受容体に接触させた場合における、 標識したァぺ リンのァペリン受容体に対する結合量を測定し、 比較することを特徴とするァぺ リンとァペリン受容体との結合を阻害する物質のスクリーニング方法;
( 2 ) 標識したァペリンをァペリン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分 に接触させた場合と、 標識したァペリンおょぴ試験化合物をァペリン受容体を含 有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、 標識したァペリン の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、 比較することを特徴とするァ ペリンとァペリン受容体との結合を阻害する物質のスクリーニング方法;
( 3 ) 標識したァペリンを、 ァペリン受容体をコードする D NAを含有する形質
転換体を培養することによつて細胞膜上に発現したァぺリン受容体に接触させた 場合と、 標識したァペリンおよび試験化合物をァペリン受容体をコードする D N Aを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したァペリン受 容体に接触させた場合における、 標識したァペリンの該ァペリン受容体に対する 結合量を測定し、 比較することを特徴とするァペリンとァペリン受容体との結合 を阻害する物質のスクリーニング方法;
などがあげられる。
また、 本発明のァゴニストのスクリーニング方法は、 具体的には、
( 1 ) 標識したァペリンをァペリン受容体に接触させた場合と、 試験化合物をァ ペリン受容体に接触させた場合における、 標識したァペリンのァペリン受容体に 対する結合量を測定し、 比較することを特徴とするァペリン受容体の機能を促進 する物質のス リーニング方法;
( 2 ) 標識したァペリンをァペリン受容体を含有する細胞または該細胞の膜画分 に接触させた場合と、 試験化合物をァペリン受容体を含有する細胞または該細胞 の膜画分に接触させた場合における、 標識したァペリンの該細胞または該膜画分 に対する結合量を測定じ、 比較することを特徴とするァペリン受容体の機能を促 進する物質のスクリーニング方法;
( 3 ) 標識したァペリンを、 ァペリン受容体をコードする D NAを含有する形質 転換体を培養することによつて細胞膜上に発現したァぺリン受容体に接触させた 場合と、 試験化合物をァペリン受容体をコードする D NAを含有する形質転換体 を培養することによつて細胞膜上に発現したァぺリン受容体に接触させた場合に おける、 標識したァペリンの該ァペリン受容体に対する結合量を測定し、 比較す ることを特徴とするァペリン受容体の機能を促進する物質のスクリーニング方法 などがあげられる。
さらに具体的には、 ァペリンとァペリン受容体との結合を阻害する物質のスク リ一ユングを行うには、'まずァペリン受容体を含有する細胞または細胞の膜画分 を、 スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を 調製する。 バッファーには、 p H 4〜: L O (望ましくは p H 6〜8 ) のリン酸バ
ッファー、 トリスー塩酸バッファーなどのァペリンとァペリン受容体との結合を 阻害しないバッファ であればいずれでもよい。 また、 非特異的結合を低減させ る目的で、 CHAPS、 Tw e e n— 80TM (花王一アトラス社) 、 ジギトニン 、 デォキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。 さら に、 プロテアーゼによるァペリン受容体ゃァペリンの分解を抑える目的で PMS F、 ロイぺプチン、 E—64 (ペプチド研究所製) 、 ぺプスタチンなどのプロテ ァーゼ阻害剤を添加することもできる。 0.01ml〜: L Omlの該ァペリン受容 体溶液に、 一定量 (5000 c pm〜5 O O O O O c pm) の標識したァペリン またはその修飾体を添カ卩し、 同時に 10— 4〜10_ Mの試験化合物を共存させる 。 非特異的結合量 (NSB) を知るために大過剰の未標識のァペリンまたはその 修飾体を加えた反応チューブも用意する。 反応は約 0°C〜約 50°C、 望ましくは 約 4 °C〜約 37 °Cで約 20分〜約 24時間、 望ましくは約 30分〜約 3時間行う 。 反応後、 ガラス繊維濾紙等で濾過し、 適量の同バッファーで洗浄した後、 ガラ ス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたは γ—力 ゥンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント (Β0) から非特異的結 合量 (NSB) を引いだカウント (BO— NSB) を 100%としたとき、 特異的 結合量 (B— NSB) 、 例えば 50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力の ある候補物質として選択することができる。 ァペリン受容体の機能を促進する物 質のスクリーニングも、 上記と同様な条件で行うことができる。
このようにして得られたアンタゴ-ストあるいはァゴニストは、 ァペリンが有 する生理活性を抑制または促進することができるので、 ァペリンの活性を抑制ま たは促進する安全で低毒性な医薬として有用である。
[本発明のアンタゴニストあるいはァゴニストを含有してなる医薬組成物] 上記の記載に基づいて製造される本発明のアンタゴニストあるいはァゴニスト を含有してなる医薬組成物は、 常套手段に従って製造 '使用することができる。 例えば、 必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、 カプセル剤、 エリキシル 剤、 マイクロカプセル剤、 徐放剤などとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ 以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射剤ゃ徐 放剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、 該化合物またはその塩を生理学的に
認められる担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤などとと もに一般に認められる単位用量形態で混和することによつて製造することができ る。 これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるよ うに調整する。 本発明のアンタゴニストあるいはァゴニストは単独でも用いられ るが、 組成物として用いる場合、 有効成分として製剤中に 1 0 %から 9 0 %配合 される。
錠剤、 カプセノレ剤などに混和することができる添加剤としては、 例えばゼラチ ン、 コーンスターチ、 トラガントガム、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セ ルロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのような 膨化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカ リンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリーのような香味剤 などが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 前記タイプの材料 にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成 物は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油などのような天然 産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方 することができる。 '
注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を 含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マン-トール、 塩化ナトリウムな ど) などがあげられ、 適当な溶解補助剤、 たとえばアルコール (たとえばェタノ 一ノレ) 、 ポリアノレコーノレ (たとえばプロピレングリコーノレ、 ポリエチレングリコ ール) 、 非イオン性界面活性剤 (たとえばポリソルベート 8 0 (TM) 、 H C O - 5 0 ) などと併用してもよい。 油性液としてはゴマ油、 大豆油などがあげられ 、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどと併用してもよ い。
また、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢酸ナトリウム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコ-ゥム、 塩酸プロ力インなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒ ト血清アルブミン、 ポリエチレングリコールなど) 、 保存剤 (例えば、 ベンジル アルコール、 フエノールなど) 、 酸化防止剤などと配合してもよい。 調製された 注射液は通常、 適当なアンプルに充填される。 このようにして得られる製剤は安
全で低毒性であるので、 例えばヒトゃ哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラット、 モル モット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) に対して投与することができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、 症状などにより差異はあるが、 経口投与の場 合、 一般的に成人の糖尿病性網膜症患者 (体重 6 0 k gとして) においては、 一 ョにっき有効成分 (すなわち本発明のポリペプチドもしくはそのアミドもしくは そのエステルまたはその塩) を約 0 . 1から 1 0 O m g、 好ましくは約 1 . 0か ら 5 0 m g、 より好ましくは約 1 . 0から 2 O m gとなるよう投与する。 非経口 的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どによっても異なるが、 たとえば注射剤の形では成人の糖尿病性網膜症患者 (体 重 6 O k gとして) への投与においては、 一日につき有効成分 (すなわち本発明 のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩) を約 0 . 0 1から 3 O m g程度、 好ましくは約 0 . 1から 2 O m g程度、 より好ましく は約 0 . 1から 1 O m g程度となるようにを静脈注射により投与するのが好都合 である。 他の動物の場合も、 6 0 k g当たりに換算した量を投与することができ る。 '
本発明の阻害剤は血管内皮細胞の遊走 ·増殖阻害作用および血管新生阻害作用 に関与していることから、 たとえば腫瘍 (固形腫瘍、 力ポジ肉腫など) 、 眼疾患 (糖尿病性網膜症など) 、 炎症性疾患 (関節リウマチなど) 、 粥状動脈硬化、 癌 性胸膜炎、 卵巣過剰刺激症候群などの疾病の予防 ·治療剤として用いることがで きる。 具体的には、 糖尿病性網膜症の予防 ·治療剤として用いることができる。 また、 本発明のァペリン、 ァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体 あるいはァペリン受容体である A P Jを活性化する低分子化合物などのァペリン 受容体の機能を促進する物質またはァペリンとその受容体の結合を促進する物質 は、 血管再生促進剤として有用であり、 例えば、 閉塞性動脈硬化症、 ビュルガー 病、 心筋梗塞、 心筋壊死、 血栓等による血行不全とそれに起因する組織の壊死、 心不全、 脳梗塞、 脳溢血、 骨疾患、 骨髄移植、 臓器移植、 筋ジストロフィー、 変 性性神経疾患、 肝硬変、 慢性鸱炎、 虚血性疾患、 動脈硬化、 潰瘍、 腎不全、 糖尿 病性壊死、 上下胺虚血性疾患、 ケロイド、 リゥマチ、 肥満、 高血圧、 糖尿病、 高
脂血症、 高尿酸血症、 痛風、 脂肪肝、 睡眠時無呼吸症候群、 創傷などに対する予 防 -治療薬あるいは治療補助薬として使用することができる。 また、 臓器移植時 または細胞移植時の血管形成促進剤としても用いることができる。 さらには、
Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, 一次石肖子体 形成這残) 予 防あるいは治療剤として使用することもできる。 また、 ァペリン受容体の機能を 促進する物質は、 骨髄由来細胞、 臍帯血由来細胞、 胚性幹細胞、 体性幹細胞、 血 管内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞の培地に添加することにより、 優れた血管 内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞の培養方法を提供することが可能である。 骨髄由来細胞、 臍帯血由来細胞、 胚性幹細胞、 体性幹細胞、 血管内皮細胞ある いは血管内皮前駆細胞を培養する際、培地としては、 Dalbecco's modified Eagle's (D— MEM) 培地、 あるいは D—ME M培地とハム F 1 2培地を 1: 1に等比混 合した培地等に 0から 2 0 %、 好ましくは 5〜 2 0 %の胎児ゥシ血清、 1 0 n g Zm 1の組換えヒ ト上皮細胞成長因子、 5 n g /m 1の組換えヒ ト繊維芽細胞成 長因子、 1 μ g Zm 1のヒ ドロコルチゾン、 1 0 u g /m 1のへパリン等の添加 物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地添カ卩物が適当であれば血清を加えな い培地でも培養することができる。 培養用のプレートにはコラーゲンあるいはフ イブロネクチンをコートしたものが好ましい。培地の p Hは約 6〜 8、好ましくは 7 . 2に調整する。 培養は通常約 3 7 °Cで 5 %の C O 2存在下で行うことができ る。 培地にァペリンを添加する場合は、 終濃度で 1 p Mから 1 πιΜ、 好ましくは 1 0 0 p Mから 1 0 ι Μとなるように添加するのが好ましい。
[本発明の抗体を含有してなる医薬組成物]
本発明の対象とする受容体タンパク質の活性を中和する作用を有する本発明の 抗体を含有してなる医薬組成物は、 本発明のポリべプチド同様の作用を有するの で、 たとえば腫瘍 (固形腫瘍、 力ポジ肉腫など) 、 眼疾患 (糖尿病性網膜症など ) 、 炎症性疾患 (関節リウマチなど) 、 粥状動脈硬化、 癌性胸膜炎、 卵巣過剰刺 激症候群などの疾病の予防 ·治療剤として用いることができる。
本発明で用いられるァ リンまたはその受容体に対する抗体は、 本発明で用い られるァペリンまたはその受容体を認識し得る抗体であれば、 ポリクローナル抗 体、 モノクローナル抗体の何れであってもよい。 本発明の抗体は、 上記のように
製造されるァペリンまたはその受容体を抗原として用い、 公知の抗体または抗血 清の製造法に従って製造することができる。 以下に、 抗体の製造法を記載する。 〔モノクローナル抗体の作製〕
(a) モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のタンパク質は、 温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位に それ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を 高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュパントを投 与してもよい。 投与は通常 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計 2〜 10回程度行われる。 用いられる温血動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモット、 マウ ス、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリが挙げられるが、 マウスおよびラッ卜が好 ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原で免疫された温血動物、 例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾臓 またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物 の骨髄腫細胞と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイブリ ド一マ を調製することができる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化ポ リぺプチドと抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定す ることにより行うことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケーラーとミ ルスタインの方法 〔Na t u r e、 256、 495 (1975) 〕 に従い実施す ることができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (PE G) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGが用いられる。 骨髄腫細胞としては、 例えば、 N S— 1、 P 3 U 1、 S P 2 0、 A P _ 1な どの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、 P 3U1が好ましく用いられる。 用 いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1 〜20 : 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG 1000〜PEG6000) カ 10〜 80 %程度の濃度で添加され、 20〜 40 °C、 好ましくは 30〜 37 °C で 1〜 10分間ィンキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。 モノクローナル抗体産生ハイブリ ドーマのスクリーユングには種々の方法が使 用できるが、 例えば、 タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固
相 (例、 マイクロプレート) にハイプリ ドーマ培養上清を添加し、 次に放射性物 質や酵素などで標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞がマ ウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロテイン Aを 加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫グロブリン抗 体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリ ドーマ培養上清を添加し、 放 射性物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、 固相に結合したモノクローナ ル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 公知あるいはそれに準じる方法に従って行なう ことができる。 通常 HA T (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添 加した動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地としては、 ハイプリ ドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例えば 、 :!〜 2 0 %、 好ましくは 1 0〜 2 0 %の牛胎児血清を含む R P M I 1 6 4 0 培地、 1〜1 0 %の牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) あるい はハイプリ ドーマ培養用無血清培地 (S FM— 1 0 1、 日水製薬 (株) ) などを 用いることができる。 培養温度は、 通常 2 0〜4 0 °C、 好ましくは約 3 7 °Cであ る。 培養時間は、 通常 5'日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養は 、 通常 5 % C〇2下で行なうことができる。 ハイプリ ドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
( b ) モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 公知の方法、 例えば、 免疫グロブリンの分 離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、 電気泳動法、 イオン 交換体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、 抗原結合固相 あるいはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸着剤により抗体のみを 採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従って行なうことができ る。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローチル抗体は、 それ公知あるいはそれに準じる方法に従って 製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (タンパク質抗原) 自体、 あるいはそ れとキャリアータンパク質との複合体をつく り、 上記のモノクローナル抗体の製
造法と同様に温血動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発明のタンパク質に対 する抗体含有物を揉取して、 抗体の分離精製を行なうことにより製造することが できる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキヤリァータンパク質との複 合体に関し、 キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合 比は、 キヤリァ一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれ ば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アル ブミンゃゥシサイログロブリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1に対し、 約 0 . 1〜2 0、 好ましくは約 1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。 また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できるが、 グルタルアルデヒドやカルボジイミ ド、 マレイミ ド活性エステル、 チ オール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。 縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜 1 0回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と 同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナ ル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従つて行うことができ る。
本発明の抗体を含有する上記疾病の予防 ·治療剤は低毒性であり、 そのまま液 剤として、 または適当な剤型の医薬組成物として、 ヒ トまたは哺乳動物 (例、 ラ ット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して経口的ま たは非経口的に投与することができる。 投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどによつャも異なるが、 例えば、 成人の糖尿病性網膜症患者の予防
-治療のために使用する場合には、 本発明の抗体を 1回量として、 通常 0 . 0 1 〜2 O m g Z k g体重程度、 好ましくは 0 . 1〜: L O ni g / k g体重程度、 さら
に好ましくは 0. l〜5mgZk g体重程度を、 1日 1〜5回程度、 好ましくは 1日 1〜3回程度、 静脈注射により投与するのが好都合である。 他の非経口投与 および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。 症状が特に重 い場合には、 その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、 それ自体または適当な医薬組成物として投与することができ る。 上記投与に用いられる医薬組成物は、 上記抗体またはその塩と薬理学的に許 容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。 かかる組成物は、 経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、 例えば、 経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形 、 具体的には錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤など があげられる。 力かる組成物は公知の方法によって製造され、 製剤分野において 通常用いられる担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。 例えば、 錠 剤用の担体、 賦形剤としては、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシゥ ムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤などが用いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射剤などの 剤形を包含する。 かかる注射剤は、 公知の方法に従って、 例えば、 上記抗体また はその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、 懸濁また は乳化することによって調製する。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩 水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、 適当な溶解補助剤 、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレング リコール、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン界面活性剤 〔例、 ポリソルベー ト 80、 HC〇一 50 (p o l y o xy e t hy l e n e (5 Omo 1 ) a d d u c t o f h y d r o g e n a t e d c a s t o r o i lリ j なとと併 用してもよレ、。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いられ、 溶解 補助剤として安息香酸 ンジル、 ベンジルアルコールなどを併用してもよい。 調 製された注射液は、 通常、 適当なアンプルに充填される。 直腸投与に用いられる 坐剤は、 上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製
さ る。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、 活性成分の投与量に適合するよう な投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 かかる投薬単位の剤形とし ては、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤などが例示され、 そ れぞれの投薬単位剤形当たり通常 5〜500mg、 とりわけ注射剤では 5〜 10 0 m g、 その他の剤形では 10〜250mgの上記抗体が含有されていることが 好ましい。
なお前記した各組成物は、 上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生 じない限り他の活性成分を含有してもよい。
本発明で用いられるァペリンまたはその受容体に対する抗体、 あるいは、 ァぺ リンまたはその受容体のプライマー、 プローブなどは、 Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, —次硝子体過形成遺残) の診断にも有用である。
[ァペリン遺伝子発現不全動物]
本発明のァペリン遺伝子発現不全非ヒ ト動物 (以下、 遺伝子発現不全非ヒ ト動 物と称す場合がある) とは、 例えば、 前記のァペリン遺伝子が不活性化された哺 乳動物 E S細胞由来の細胞を用いて遺伝子工学的に作出されたものであり、 例え ば、 生殖細胞および体細胞に胚形成初期に不活性化ァペリン遺伝子配列を導入さ れた非ヒ ト動物である。
該非ヒト動物としては、 ァペリン遺伝子を有するヒ ト以外の動物ならば、 いか なる動物でもよいが、 非ヒ ト哺乳動物が好ましい。 非ヒ ト哺乳動物としては、 例 えば、 ゥシ、 ブタ、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモッ ト、 ハムスタ 一、 マウス、 ラットなどが用いられる。 非ヒ ト哺乳動物のなかでも、 病態動物モ デル系の作製の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 また繁殖が容 易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば純系として、 C57BL/6系統, D B A 2系統など、 交雑系として、 B 6C3F 1系統, B D F 1系統, B 6D2F 1系統, BALBZc系統, I CR系統など (なかでも好ましくは、 純系として 、 C 57 B L/6系統な'ど、 交雑系として、 BDF 1系統または I CR系統など ) ) またはラット (例えば、 Wi s t a r, SDなど) などが特に好ましい。 ァペリン遺伝子をノックァゥトさせるには、 前記のターグティングベクターを
非ヒ ト動物 E S細胞または非ヒ ト動物卵細胞に公知の方法 (例えば、 エレクトロ ポレーシヨン法、 マイクロインジェクション法、 リン酸カルシウム法、 リポフエ クシヨン法、 凝集法、 パーティクルガン法、 D E A E—デキストラン法など) に よって導入し (好ましい導入法としては、 E S細胞に導入する場合にはエレク ト 口ポレーシヨン法、 卵細胞に導入する場合にはマイクロインジェクション法など があげられる) 、 ターゲティングベクターの不活性化されたァペリン遺伝子配列 を相同組換えにより、 非ヒ ト動物 E S細胞または非ヒ ト動物卵細胞の染色体上の ァペリン遺伝子と入れ換えることにより行うことができる。
ァペリン遺伝子がノックァゥトされた細胞は、 ァペリン遺伝子上またはその近 傍の D NA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはター ゲティングベクター上の D N A配列と、 ターグティングベクターに使用したマウ ス由来のァペリン遺伝子以外の近傍領域の D N A配列とをプライマーとした P C R法による解析で判定することができる。
非ヒ ト動物 E S細胞を用いた場合は、 相同組換えにより、 ァペリン遺伝子が不 活性化された細胞株をクローニングし、 その細胞を胚形成の初期の適当な時期、 例えば、 8細胞期の非 ト動物胚または胚盤胞に注入し (注入法) 、 またはァぺ リン遺伝子が不活性化された E S細胞塊を 2個の 8細胞期胚ではさみ込む (集合 キメラ法) ことにより作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒ ト動物の子宫に移 植する。
作出された動物は正常なァペリン遺伝子座をもつ細胞と人為的に変異したァぺ リン遺伝子座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異したァペリン遺伝子座をもつ場合、 この ようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全ての 組織が人為的に変異を加えたァペリン遺伝子座をもつ細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラーの判定等により選別することにより得られる。 このように して得られた個体は、 通常、 ァペリンへテロ発現不全個体であり、 ァペリンへテ 口発現不全個体同志を^配し、 それらの産仔からァペリンホモ発現不全個体を得 ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば; 卵細胞核内にマイクロインジェクション法
で遺伝子溶液を注入することによりターゲテイングベクターを染色体内に導入し たトランスジエニック非ヒト動物を得ることができ、 これらのトランスジェニッ ク非ヒト動物を比較することにより、 相同組換えによりァペリン遺伝子座に変異 のあるものを選択することにより得られる。
ァペリン遺伝子発現不全非ヒト動物は、 該動物の mR N A量を公知の方法を用 いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別するこ とが可能である。
このようにしてァペリン遺伝子がノックァゥトされている個体は、 交配により 得られた動物個体も該遺伝子がノックァゥトされていることを確認して通常の飼 育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従って行うことができる 。 即ち、 該不活化遺伝子配列の保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不 活化遺伝子配列を相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得することが できる。 得られたホモザィゴート動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1 , ホモ ザィゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができ る。 ヘテロザィゴート動物の雌雄を交配することにより、 該不活化遺伝子配列を 有するホモザィゴートおよびへテロザィゴート動物を繁殖継代することができる 。 このようにして得られた該不活化遺伝子配列を有する動物の子孫も本発明のァ ペリン遺伝子発現不全非ヒト動物に含まれる。
このようにァペリン遺伝子が不活性化された哺乳動物 E S細胞は、:ァペリン遺 伝子発現不全非ヒト動物を作出する上で、 非常に有用である。 また、 ァペリン遺 伝子発現不全非ヒト動物もしくはその組織またはそれらに由来する細胞は、 ァぺ リンの欠損に起因する疾病、 例えば、 ァペリンにより誘導され得る種々の生物活 性の欠失に基づく、 ァペリンの生物活性の不活性化に起因する疾病 (例えば、 閉 塞性動脈硬化症、 ビュルガー病、 心筋梗塞、 心筋壊死、 血栓等による血行不全と それに起因する組織の壌死、 心不全、 脳梗塞、 脳溢血、 骨疾患、 骨髄移植、 臓器 移植、 筋ジス トロフィー、 変性性神経疾患、 肝硬変、 慢性膝炎、 虚血性疾患、 動 脈硬化、 潰瘍、 腎不全、 糖尿病性壌死、 上下肢虚血性疾患、 ケロイド、 リウマチ 、 肥満、 高血圧、 糖尿病、 高脂血症、'高尿酸血症、 痛風、 脂肪肝、 睡眠時無呼吸
症候群、 創傷、 Persistent Hyperplastic Primary Vitreous (PHPV, —次硝子体 過形成遺残) など) あるいはァペリンの生物活性の活性化に起因する疾病 (例え ば、 肥満、 糖尿病、 糖尿病性網膜症など) のより良いモデルとなり得るので、 こ れらの疾病の原因究明および治療法の検討に有用である。
このように、 本発明のァペリン遺伝子発現不全非ヒト動物もしくはその組織ま たはそれらに由来する細胞を、 該疾病の予防およびノまたは治療薬、 血管再生促 進剤などのスクリーニングに用いることができる。 ここで、 上記組織やそれに由 来する細胞の例としては、 肝臓や腎臓などのホモジネートを用いて特定の活性を 測定する、 あるいは、 腹腔マクロファージを用いて特定産物の活性や産生量を測 定することでスクリーニングに用いることができる。 また、 本発明のァペリン遣 伝子発現不全非ヒ ト哺乳動物もしくはその組織またはそれらに由来する細胞に試 験化合物を投与し、 体重、 体脂肪、 血糖値、 コレステロール量、 血圧、 心拍出量 の変化または血管の形成量を測定することでスクリーニングに用いることもでき る。 本明細書および図面において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 I UPAC— I UB C omm i s i o n o n B i o c h em i c a l No me n c l a t u r e による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づく ものである。 その例を以下に記載する。 またアミノ酸に関し光学異性体があり得 る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
DNA :デォキシリボ核酸
c DNA :相補的デォキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グァニン
C : シトシン
Y :チミンまたはシトシン
N :チミン、 シトシン、 アデニンまたはグァ
R :アデニンまたはグァニン
M シトシンまたはアデニン
W チミンまたはアデニン
S シトシンまたはグァニン
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーリボ核酸 ATP アデノシン三リン酸 EDTA エチレンジァミン四酢酸 SD S ドデシル硫酸ナトリゥム TF A トリフルォロ酢酸
E I A ェンザィムィムノアッセィ
G 1 yまたは G グリシン
A 1 aまたは A ァラニン
V a 1または V パリン
L e uまたは L ロイシン
I 1 eまたは I イソロイシン
S e rまたは S ゼリン
Th rまたは T スレ才ニン
Cy sまたは C システィン
Me ΐまたは M メチォニン
G 1 uまたは E グルタミン酸
A s pまたは D ァスパラギン酸
Ly sまたは K リジン
A r gまたは R アルギニン
H i sまたは H ヒスチジン
P h eまたは F フエニノレアラニン
Ty rまたは Y チロシン
T r pまたは W リプトフアン
P r oまたは P プロリン
A s nまたは N ァスパラギン ·
G 1 nまたは Q グルタミン
p G 1 u ピログノレタミン酸
B om ベンジルォキシメチノレ
P AM フエ二ルァセトアミ ドメチノレ
また、 本明細書中で繁用される置換基、 保護基および試薬を下記の記号で表記 する。
丄、 o s : ―トノレエンスノレフォニノレ
HONB : N—ヒ ドロキシー 5—ノルボルネンー 2, 3—ジカルボキ シィミ ド
B z 1 ベンジル
Z ベンジノレ才キシカノレボニノレ
B r -Z 2一ブロモベンジノレ才キシカノレボニノレ
C 1 -Z 2—ク口ノレペンジノレオキシカノレボニノレ
B o c t一ブチルォキシカルボニル
HOB t 1—ヒ ドロキシベンズトリァゾーノレ
DCC , N'—ジシク口へキシルカルボジィ
F m o c N— 9—フノレ才レニノレメ トキシカノレボニ
DNP ジニト口フエニノレ
Bum ターシャリーブトキシメチル
T r t トリチル 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕
Gタンパク質共役型受容体タンパク質 (AP J) c DNAにコードされる Gタ ンパク質共役型受容体タンパク質の全ァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2〕
Gタンパク質共役型 ¾容体タンパク質 (AP J) cDNAの全塩基配列を示す 〔配列番号: 3〕
マウス型ポリべプチドをコ一ドする c DNAにコードされるアミノ酸配列を示 す。 ·
〔配列番号: 4〕
マウス型ポリべプチドをコードする c DN Aの塩基配列を示す。
〔配列番号: 5〕 '
ラット型ポリべプチドをコ一ドする c DNAにコードされるアミノ酸配列を示 す。 '
〔配列番号: 6〕
ラット型ポリペプチドをコードする c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 7〕
ヒト型ポリべプチドをコ一ドする c DNAにコードされるアミノ酸配列を示す
〔配列番号: 8〕
ヒト型ポリべプチドをコ一ドする c DN Aの塩基配列を示す。
〔配列番号: 9〕
ゥシ型ポリべプチドをコ一ドする c DNAにコードされるアミノ酸配列を示す
〔配列番号: 10〕
ゥシ型ポリぺプチドをコードする c DN Aの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 1〜: L 8〕
実施例 1における P CR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。 実施例
以下に実施例を示して、 本発明をより詳細に説明するが、 これらは本発明の範 囲を限定するものではない。 実施例 1
ァカゲザル脈絡膜網膜由来内皮細胞株 R F/6 Aは理研の細胞バンクから入手 し、 10%ゥシ胎児血清 (FB S) を含有する RPMI 1640 (I CN B i o
c h em i c a l s. I n c. , USA) で培養した。 細胞は 5 % C 02の空気 、 37 °Cの条件で維持し、 培地は 3日に 1回交換した。 実験は継代数が 1 _ 4の 間に行つた。 特に記載のない限り、 全ての実験の測定は 1 % F B Sを含有する E a g 1 e' s培地を用いて、 ァペリン一 1 3 (配列番号 7の 65— 77番目の配列 のアミノ酸がピログルタミン酸化したもの) 、 ァペリン一 36 (配列番号 7の 4 2— 77番目の配列) 、 あるいは 0. 25 nMの VEGF (陽性コントロール) の存^ ¾'下あるいは非存在下で行った。 全 RNAの抽出および逆転写反応は、 常法 ( J . Ne u r o c h em. 2000, 74 : 501-507) に従って行い 、 反応には以下のプライマーを用いた。 なおサンプルの内部標準としてハウスキ 一ビング遺伝子である ]3ァクチンの発現を検討した。 マウスァペリン:センス鎖 , 5 ' -GTT GCA GCA TGA ATC TGA GG—3' (配列番号 1 1) ; アンチセンス鎖, 5' -CTG CTT TAG AAA GGC ATG G G— 3' (配列番号 1 2) ;マウスァペリン受容体 (AP J) :センス鎖, 5, -TGG CTG ACT TGA CCT TTG TG— 3' (配列番号 1 3 ) ; アンチセンス鎖, 5' -TTC ACC AGG TGG TAA GGC AT— 3 ' (配列番号 14) ; ビトァペリン:センス鎖, 5' -GGA GCA GCA T GA CTC TGC GG—3' (配列番号 15 ) ;アンチセンス鎖, 5, 一 CT G CTT CAG AAA GGC ATG GG_3, (配列番号 16) ; ヒ ト A P J :センス鎖, 5' -TGG CTG ACT TGA CCT TCG TG— 3 , (配列番号 1 7) ; アンチセンス鎖, 5, -TTC ACC AGG TGG T AG GGC AT- 3 ' (配列番号 18 ) 。 なおマウス脳微少血管由来の細胞株 b En d. 3についてはマウス型のプライマーを用い、 ヒ ト臍帯静脈由来の細胞 株 HUVECと RF/6 Aについてはヒ ト型のプライマーを用いて検討した。 P 〇1 は94°020秒、 56°C20秒、 72 °C 1分を 40サイクルで行った。 PC R産物は 2. 0% a g a r o s e/TBE g e 1を用いて電気泳動した後、 0 . 01% V i s t r a g r e e n (Am e r s h am) を含む T B E緩衝液で 45分間染色し、 F l u o r Ima g e r (M o l e c u l a r Dyn am i c s) を用いて検出した。 図 1に示すように、 全ての細胞株においてァペリン m RNAの発現が認められた。 AP Jについては b E n d. 3と RF/6 Aでは強
い発現が見られたが、 HUVECでの発現強度は弱いものであった。 細胞の遊走 活性は、 5 πι径の穴があいた p o l y c a r b o n a t e製フィルター(N e u r o. P r o b e. I n c. を装着しに B o y d e n c h amb e rを用 いて測定した。 テストサンプルを c h amb e rの下部に、 トリプシン処理した 細胞 (2 X 104個) を 50 μ 1の測定用培地に懸濁したものを' c h amb e r の上部に入れ、 5%C〇2の湿空気中、 37°Cで 4時間インキュベートした。 フィ ルターはアセトンで固定の後、 100 μ gZm 1の p r o p i d i um i o d
1 d eで染色した。 遊走せずにフィルターの上側に残った細胞は綿棒で取り除き 、 フィルターを通過して下部に遊走した細胞のみを倍率 100倍の顕微鏡下で計 数した。 1個のフィルターについて 3視野を測定し、 測定は 2個のフィルターで 行い、 データは平均値で示した。 図 2に示すようにァペリン一 1 3とァペリン一 36は 10— 12 Mから 10— 6 Mまで濃度依存的に遊走促進活性を示した。 細胞数 はじ e l l c o u n t i n g k i t (D o j i n d o) を用いて測定した。 9 6ゥヱルプレートに 4800個/ゥヱルで播種して 24時間後、 1%FB Sを含 む RPMI 1 640 (1%FBS/RPMI) で 24時間処置し、 さらにテスト サンプルを含む 1 %F B S/RPM Iに置換して 48時間ィンキュベートした。 10 μ 1の WST- 1溶液を加えて 90分間インキュベートし、 450 nmの吸 光度(対照波長 655 nm) をマイクロプレートリーダ一で測定した。 図 3に示 すように 10-12から 10— 9Mのァペリン- 13により、 コントロールと比較して有 意な細胞数増加が認められた。 管形成試験は、 液状の Ma t r i g e 1を 24ゥ -ルプレート (35 μ 1 /ゥヱル) 内に入れて 37°C、 30分の静置の重合化に よってコーティングしたものを使って実施した。 3 X 104個の細胞を 300 μ 1のテストサンプルを含む測定用培地に懸濁し、 5%C02の湿空気中、 37°Cで
24時間ィンキュベートした。 Ma t r i g e 1上での毛細管様構造は 100倍 率の顕微鏡下で鏡検し、 Ch a l k l e y g r i d法(J. P a t h o l . 1
995, 1 77 : 275— 283) により形成の程度を評価した。 1ゥエルにつ いて 12視野を測定し、'測定は 2ゥエルで行い、 データは平均値で示した。 図 4 の aから dに示すように 10—6 Mのァペリン— 1 3およぴァペリン— 36により VEGFと同等の毛細管様構造の形成が認められた。 また図 4の eに示すように
毛細管様構造の形成は 10— 12から 10—6Mで濃度依存的に認められた。 I n V i v o血管新生作用は、' Me d h o r aらの方法(Am. J . Phy s i o l . H e a r t. C i r c. Phy s i o l . 2003, 284 : H21 5-H22 4) に従い Ma t r i g e 1プラグアツセィによって検討した。 テストサンプノレ を含む Ma t r i g e l (0. 3 m l) を C 57B L/ 6系マウスの背に皮下注 入した。 10日後に Ma t r i g e l塊を摘出し、 D r a b k i n試薬を含む高 浸透圧溶解緩衝液中でホモジナイズした。 5 , 000 X g、 5分の遠心で得られ た上清について、 540 nmの吸光度を測定することでサンプル中のへモグロビ ン量を定量し、 i n V i V o血管新生作用の指標とした。図 5の aから dおよび eに示すように 1 0—9 Mのァペリン- 1 3もしくはァペリン- 36により VEG Fと同等の i n V i V o血管新生作用が認められた。このようにァペリンに血管 新生作用が認められたことから、 ァペリンと同等以上の活性を有するァペリン誘 導体、 もしくはァペリンの受容体である AP Jを活性化する低分子化合物なども 血管内皮細胞の増殖、 遊走、 血管形成を促進する作用を有し、 その結果、 血管を 再生することによって組織の再生 ·修復を調節 ·促進するものと考えられた。 ま た、 ァペリンがァ力ゲザル脈絡膜網膜由来内皮細胞株 RFZ 6 Aに発現すること から、 血管新生促進因子の一つである VEGFと同様、 パラクリン的に作用する 可能性が考えられるので、 ァペリンと AP Jの結合を阻害する物質 (例、 アンタ ゴニスト、 抗体、 など) などにより、 内因性ァペリンの作用をプロックすること で病的血管新生を抑制できると考えられる。 実施例 2
マウスァペリン遺伝子の 2番目のコーディングェクソンを欠失するようにデザ インし (図 6) 、 定法に従ってターゲテイングベクターを構築した。 このターゲ ティングベクターを、 Genome Systems社より購入した E S細胞 (RW— 4) にバ ィォラッド社のジーンパルサーを用いてエレクトロポレーション法で導入し、 ェ レクトロポレーションの 24時間後から 200 g/m 1のネオマイシン処理を 、 また同 48時間後からは 0. 2 /zMの fialuridine (F I AU) 処理を 3日間実 施して薬剤耐性のある相同組換え体を選択した。 本 E S細胞から定法によりゲノ
ム DNAを調製し、 ゲノミックサザン法および P CR法にて相同組換え体を選択 した。 ゲノミックサ.ザンに使用したプローブは、 2つのプライマー (mG37: 5' -CTTGGTTGCCTCCACATTGAC-3 ' および mG27: 5, - CAGCCAGAGGTTCAGATACAC— 3, ) を用いて PC Rを実施、 約 580 b pの断片を回収して調製した。 このプローブ を用いると、 制限酵素 N c o Iで切断した野生型ゲノム DNAでは 6. 9 k bの バンドが、 組換え体ゲノム DN Aでは 3. 8 k bのバンドが検出される。 取得し た相同組み換え細胞株を C57BL/6N Crj系統 (日本チヤ一ルス · リパー社製) マウ ス胚盤胞ヘインジェクシヨンした。 ィンジェクションされた胚盤胞は別途精管結 紮マウスと交配することによって得られた偽妊娠マゥス卵管に移植することによ つて妊娠させ、 相同組み換え細胞株由来のキメラマウスを得た。 雄キメラマウス を C57BL/6N Crj系雌マウスと交配し、 ァペリンノックァゥトマウスを取得した。 得られたァペリンノックァゥトマウスにおいて、 ァペリン遺伝子が欠損している ことを ES細胞の相同組換え体を選択した時と同様の方法でゲノミックサザン法 を実施して確認した (図 7) 。 ァペリンの mRNA発現が欠損していることは以下の 方法で確認した。野生型マウスおよびノックァゥトマウスの全脳、肺から Isogen( 二ツボンジーン社)と mRNA purification kit (Pharmacia社)を用いて polyA+RNAを 精製し、 更にその RNA 1 60 n gからランダムプライマー、 逆転写酵素とし て AMV逆転写酵素 (二ツボンジーン社) を用い、 添付のマニュアルに従って c DNAを合成した。 この cDNAを RNA 4 n g 1 となるように希釈した ものを鎵型として Sequence Detection System Prism7700 (AB I社) を用いて、 ァペリンの mRNA発現量を求めた。 増幅と検出のためのプライマーには 5' - ACTGCAGTTTGTGGAGTGCCA - 3 ' , 5' — TGGTCCAGTCCTCGAAGTTCTG— 3' および Taqman Probeとして 5, - (Fara) - CTAGAAGAAGGAAGCATGCGCTACCTGGTG - (Tamra) —3, を 使用した。 RT—P CR反応液は Taqman Universal PCR Master Mix (ABI社) 1 2. 5 μ 1に、 それぞれ 100 / Mのプライマー溶液を 0. 225 μ 1、 1. 5 の Taqman Probeを 1 μ 1、 および上記で調製した c DNA溶液を 4; u 1カロえ 、 蒸留水で総反応液量を 25 1 とした。 P CR反応は 50°C · 2分、 95°C · 10分の後、 95 °C · 15'秒、 57 °C · 1分 20秒のサイクルを 40回繰り返し た。 また内在性のコントロールとしてグリセロール 3リン酸脱水素酵素 (GAP
DH) の mRN A発現量を TaqMan Rodent GAPDH Control Reagent (AB I社) を 用いて、 マニュアルにしたがってァペリンと同様に定量し、 ァペリンの発現量を GAP DH発現量で除し、 GAP DHに対する相対値として算出した。
またノックァゥト動物でァペリン遺伝子由来のァペリンが産生されていないこ との確認は以下の方法で行つた。 野生型マウスおょぴノックアウトマウスを断頭 後、 全脳および肺を摘出した。 これら臓器を 1 Om lの蒸留水中にて 15分間煮 沸後氷中で冷却し、 酢酸を 0. 7m l添カ卩した。 ホモジナイザーにて破碎後、 遠 心し、 上清を Sep Pak Vac C18力ラム (2g、 Waters社製) に添加、 0. 1 %トリフ ルォ口酢酸含有蒸留水、 0. 1 %トリフルォロ酢酸含有 10%ァセトニトリル液 で洗浄後、 1 6m lの 0. 1%トリフルォ口酢酸含有 30%ァセトニトリル液で 溶出し、 これをサーバントにより乾固した。 さらに 600 μ 1のバッファー (0 . 4%のゥシ血清アルブミン、 0. 2 mMのエチレンジァミン四酢酸、 0. 1M 塩化ナトリウム、 防腐剤として 0. 1% Mi cro-0- Protect (Boehringer社) ) で 溶解し、 競合的な E I A法にてァペリン量を求めた。 競合的な E I A法は、 Biochimica et Biophisia Acta 1538, 162-171 (2001) 記載方法に従い、 抗ァペリ ンモノクローナル抗体 4' G 5を用いて実施した。
野生型マウスおょぴァペリンノックァゥトマウスにおけるァペリン mRNA発 現量おょぴァペリン含量を図 8および図 9に示す。 いずれにおいてもノックァゥ ト動物においてァペリンの発現が低下していることが確認された。 実施例 3
C57BL/6Nマウス (日本チャールズリバ一) と 10回以上の戻し交配を行ったァぺ リン遺伝子ノックァゥトマウスについて、 種々の遺伝子型の雌雄の交配を行い、 計 53腹 609匹の産仔を得た。 4週齢の雄 (n=328)およぴ雌 (n=281)マウスについて、 眼の異常(白濁、 小眼症、 無眼症、 眼が開いていない)を示す個体の割合を調べた 。 表 1に示すように hemi接合型で野生型の約 10倍、 heteroおよび homo接合型で野 生型の 2〜3倍の異常発生率を示した。 なお野生型の雄および雌マウスにおける眼 異常の発生率は日本チャールズリバ一から報告されている割合と同程度であった 。 また、 ほぼ遺伝子型には関係なく異常な眼の約 50〜60%は白濁異常であり、 異
常な眼を有する hemi接合体マウスの約 75%は片眼性の異常であった。 さらにその 後の 8週齢および 1 2週齢での検討では明らかな眼異常発生率の変化が認められ ないことから、 これらの異常は先天性のものである可能性が示された。 次に雄性 マウスの眼から凍結切片を作製し、へマトキシリン -ェォシン染色後の後に鏡検を 行った。 図 8に示すように、 hemi接合型の白濁眼 (n=5)では全例において、角膜の 異常 (空胞や細胞整列の崩壊) 、 前房の欠如、 虹彩の角膜への密着、 毛様体の異 常などが観察されたのに対し、 これらの異常は野生型(n=2)および hemi接合体の 正常眼(n=3) では観察されなかった。以上のようにァペリン遺伝子ノックァゥト マウスでは、 眼異常が先天性であり、 雄性マウスにおいて眼異常発生率が極めて 高くなることや、 眼異常の大部分が片眼性であること、 小眼球 (小眼症や無眼症 ) 、 浅前房、 毛様体異常、 角膜異常 (白濁) などが認められることから、 これは ヒト第一次硝子体過形成遺残 (PHPV) において明らかにされている疫学的知見や 病理所見と類似していることが示された。
また、 ァペリン遺伝子ノックアウトマウス (4週齢) における眼の異常および 白濁の発生率を表 1に示す。
表 1 ' 眼の異常率 異常眼の白濁率 雄 Wild 2% (3/169) 33% (1/3)
Hemi 23% (36/159) 61% (22/36)
雌 Wild 22% (32/145) 63% (20/32)
Hetero 60% (29/62) 47% (29/62)
Homo 47% (15/32) 47% (7/15)
産業上の利用可能性 '
本発明のァペリンと A P Jの結合阻害剤のうち、 アンタゴニスト活性あるいは ァペリンの作用を中和する活性を有するものは血管内皮細胞の遊走および増殖阻
害作用および血管新生阻害作用を有していることから、 糖尿病性網膜症、 炎症性 疾患 (関節リウマチなど) 、 粥状動脈硬化、 癌性胸膜炎、 卵巣過剰刺激症候群な どの疾病の治療 ·予防剤として用いることができる。 具体的には、 糖尿病性網膜 症の治療 '予防剤として用いることができる。 また、 本発明のァペリン、 ァペリ ンと同等以上の活性を有するァペリン誘導体、 もしくはァペリンの受容体である A P Jを活性化する低分子化合物は血管内皮細胞の増殖、 遊走、 血管形成を促進 する作用を有することから、 疾病あるいは創傷に対する組織再生 ·修復を調節 · 促進する治療剤として用いることができる。 配列表フリーテキス ト
配列番号 1 1 :プライマー
配列番号 1 2 :プライマー
配列番号 1 3 :プライマ一
配列番号 1 4 :プライマー
配列番号 1 5 :プライマー
配列番号 1 6 :プライマー
配列番号 1 7 :プライマー
配列番号 1 8 :プライマー