明細書
新規タンパク質及ぴプロモーター 技術分野
本発明は、 生体内でのエネルギー代謝に関与する新規遺伝子: P G C 1 ひ b、 そ のプロモーター、 及ぴこれらを用いる糖代謝異常を伴う疾患の治療剤の探索方法等 に関する。
背景技術
ホメォスタシス (恒常性) の維持は.、 生体にとって基本となる制御機能であり、 特にエネルギーの摂取と消費のバランスの維持は生体機能を維持するために必須で ある。 このエネルギーパランスの調節が崩れると、 生体は代謝異常を伴う疾患、 例 えば、 肥満症、 糖尿病又は高脂血症などを引き起こす。 すなわち、 エネルギー代謝 異常は、 高血圧症、 動脈硬化症、 糖尿病などのいわゆる生活習慣病の原因となって いると考えられている。
糖 ·脂質代謝の調節で、 最も重要な役割を果たしているのはィンスリンである。 インスリンは糖、 脂質、 蛋白質の代謝作用の他、 細胞増殖、 細胞骨格の制御、 筋肉 もしくは肝臓細胞の分化、 転写調節、 アポトーシスの抑制と多岐にわたる生理作用 を有するホルモンである。 生体内でのエネルギー代謝において、 エネルギー代謝が インスリンによって制御されており、 肝臓、 筋肉もしくは脂肪といった組織の果た す役割は大きい。
インスリン作用不全はィンスリン抵抗性と呼ばれ、 インスリンの分泌不全と共に 代謝異常を引き起こす大きな要因と考えられている。 すなわち、 インスリン抵抗性 とは、 「細胞、 臓器、 個体レベルでインスリンの各種の作用のために、 通常量以上 のインスリンを必要とする状態」 と定義される。 インスリン抵抗 1"生を伴う疾患とし て 2型糖尿病が挙げられるが、 近年、 糖尿病や耐糖能障害だけではなく、 高血圧、 高脂血症、 肥満など多くの病態でィンスリン抵抗性が認められることが明らかとな つてきている。 従って、 インスリン抵抗性は各々の病態に密接に関連しているだけ
でなく、 相互の合併症を引き起し易く、 その結果、 相乗的に動脈硬化症等を発症 - 進展させることとなる。
ところで、 2型糖尿病において、 空腹時と糖摂取時ではインスリン抵抗性の責任 fl蔵器、 組織が異なっていると考えられている。 すなわち、 空腹時には血中インスリ ン濃度や血糖値が正常人よりも高値にもかかわらず、 肝臓での糖新生が増加するこ とから肝臓におけるインスリン抵抗性を改善することが重要となる。 一方、 糖摂取 時、 すなわち血中ィンスリン濃度上昇時のィンスリン抵抗性においては骨格筋での 糖取り込みの低下及び肝臓での糖産生抑制の障害を改善することが重要である。 従って、 骨格筋におけるインスリンの機能、 すなわち糖取り込み、 グリコーゲン 合成等の同化作用、 運動に伴う解糖によるエネルギー供給、 体温維持のための熱産 生作用を改善することがィンスリン抵抗性に伴う症状の改善に重要である。 事実 De Fronzoらは、 2型糖尿病においては末梢組織 (骨格筋) でのインスリンを介した糖 取り込みの低下が問題であると指摘している (非特許文献 1を参照) 。 しかしなが ら、 骨格筋におけるインスリンの機能を選択的に改善する薬剤は見出されていない 。 . 最近になって、 熱産生作用の制御に関与する新たな因子として、 マウス由来の PP AR γの車 ·コアクテべ一ター: peroxisome proliferator— activated receptor ga mma coactivator- 1 a (PGC1 a ) が見出された (非特許文献 2を参照) 。 PGC1 aは 核内受容体 PPAR yと相互作用し、 その転写活性を補助する因子としてクローニング された因子で、 白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に形質転換することが知られている ( 特許文献 1を参照) 。 また、 熱産生作用に関わる一連のタンパク質 (UCP1、 ミトコ ンドリァ酵素など)の合成ゃミ トコンドリァの増殖に PGC1 aが重要な調節作用を営 んでいることが明らかにされた(非特許文献 3を参照)。
例えば、 筋肉細胞において PGC1 は、 ミトコンドリァにおいてエネルギー消費を 起こすと考えられている UCP2の発現を誘導する。 また、 PGCl o;を強制発現させるこ とによって、 ミトコンドリアのゲノム複製や転写反応に重要な役割を示す転写因子 : mtTFA (mitochondrial transcription factor A)の発現が誘導され、 細胞内の酸 素消費量や細胞内のミトコンドリア数が増加することも明らかとなった (非特許文 献 4を参照) 。 また、 PGCl aは筋肉細胞において、 糖輸送蛋白質である GLUT4の発
現を誘導し、 糖輸送を増大させることも報告されている (非特許文献 5を参照) 。 更に、 骨格筋ミトコンドリア機能不全とインスリン抵抗性との関係についての報告 が相次ぎ、 骨格筋における PGC1ひとの関係が示唆されている (非特許文献 6〜8を 参照) 。
また、 PGC1 aの発現促進活性を指標として、 ミトコンドリァ活性化を作用機序と する抗肥満■抗糖尿病薬をスクリーニングする方法が知られている (特許文献 2を 参照) 。
しカゝしながら、 PGClaは、 肝臓においては糖新生系遺伝子の誘導機構に関与して いる。 すなわち、 PGClaは糖新生系遺伝子を誘導するダルココルチコイドゃグルカ ゴンの細胞内セカンドメッセンジャーである cAMPによって発現が誘導され、 ダルコ コルチコィド受容体や HNF4ひの転写活性を刺激することにより、 糖新生系遺伝子の 発現を誘導することが報告されている(非特許文献 9及ぴ 1 0を参照)。 従って、 PG Clo;の機能亢進は肝臓においては糖新生作用を促進し、 インスリン抵抗性を伴う疾 患等においては好ましくない。
これまでに、 骨格筋における熱産生作用等のィンスリンの機能を選択的に改善す る方法は知られていなかった。 特許文献 1特表 2002— 5 3 1 079号公報
特許文献 2国際公開パンフレツト第 0 1/090 3 5 6号
非特許文献 1 DeFronzo et al. , J. Clin. Invest. 76, 149-155 (1985).
非特許文献 2 Cell, 92, 829-838 (1998).
非特許文献 3 Lowell, et al. , Nature, 404, 652-660 (2000).
非特許文献 4 Cell, 98, 115-124 (1999).
非特許文献 5Proc. Nat. Am. So , 98, 3820-3825 (2001).
非特許文献 6Mootha, V. K. et al. Nat. Genet. , 34:267-273. (2003) .
非特許文献 7Patti, M.E . et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 100:84.66-8471 . (2003) .
非特許文献 8 Petersen, K. F. et al. Science, 300: 1140 - 1142. (2003) .
非特許文献 9Yoon, et al. , Nature, 413, 131-138 (2001).
非特許文献 1 O Herzig, et al. , Nature, 413, 179-183 (2001) .
発明の開示
本発明が解決しょうとする課題は、 糖代謝改善剤、 すなわち、 生体内でのェネル ギー代謝に重要な役割を果たしている PGC1 aの新規バリアント : PGC1 o; b、 そのプ 口モーター、 これらを利用した、 骨格筋における熱産生作用等の改善により、 イン スリン抵抗性時の骨格筋の機能を改善する糖代謝改善剤の探索方法、 及び PGC1 o; b の発現を促進する物質を有効成分とする医薬 (特にミトコンドリア活性化を作用機 序とする抗肥満 '抗糖尿病薬) 等を提供することにある。
発明者らは、 鋭意検討を行った結舉、 PGC1ひの新規なバリアントである、 PGCI CK bを見出した。 次いで、 PGCl a bの組織分布を調べたところ、 驚くべきことに当該 PG CI a bは肝臓等の組織ではほとんど発現せず、 骨格筋で特異的に発現していること がわかった。 更に、 PGCl a bは、 骨格筋において運動によるエネルギー消費、 熱産 生の条件下で誘導された。 上記のことから、 PGCl cK bは骨格筋特異的に熱産生など のエネルギー代謝を促進することがわかった。 インスリン抵抗性の患者においては 、 運動によってエネルギー代謝を促進する運動療法が有効であることが知られてい ることから、 PGCl a bは、 インスリン抵抗性患者における骨格筋の熱産生亢進によ るインスリン抵抗性治療のターゲット因子となり得る。 すなわち、 PGCl a bの発現 もしくは活 1"生を促進する物質は、 インスリン抵抗性など疾患の予防、 改善又は治療 剤となり得る。 また、 骨格筋におけるエネルギー代謝を促進することにより、 糖代 謝などのエネルギー代謝異常を伴う疾患、 例えば、 肥満症、 糖尿病、 高脂血症、 又 は動脈硬化症などのいわゆる生活習慣病の改善剤ともなり得る。
次いで発明者らは、 ヒトゲノム D N Aより約 3 k bからなるプロモーター活性を 有する領域を単離することに成功した。 本プロモーター領域中に約 1. 3 k bからな るプロモーター活性を示すために必須となる領域を同定した。 また、 マウ^ゲノム DNAより約 3 k bからなるプロモーター活性を有する領域を単離することに成功し た。 さらに単離したプロモーター D N Aを用いることにより、. PGCl a b遺伝子の発 現制御能力の評価方法、 該評価方法にて該プロモーター活性を促進する物質を選別
することを特徴とする、 糖代謝改善剤等の探索方法を見出した。
本発明は上記の知見をもとに完成するに至ったものである。
尚、 以下、 本明細書、 要約書及び特許請求の範囲においては、 前述の、 本発明以 前に知られていた PGC1 aを本発明遺伝子と区別するために、 ?6 3と呼ぶことと する。
即ち本発明は、
〔1〕 以下の (a ) 〜 (f ) のいずれかのタンパク質;
( a ) 配列番号 2、 4又は 6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
( b ) 配列番号 2、 4又は 6に記載のアミノ酸配列において 1もしくは複数のアミ ノ酸が欠失、 付加もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、 N末端に配列番号 8 に記載のアミノ酸配列を含有し、 かつミトコンドリア活性化能力を有するタンパク 質、
( c ) 配列番号 2に記載のァミノ酸配列と 8 0 %以上の配列同一性を有するァミノ 酸配列からなり、 N末端に配列番号 8に記載のアミノ酸配列を含有し、 かつミトコ ンドリァ活性化能力を有するタンパク質、
( d ) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる D NAによりコードされる アミノ酸配列からなり、 N末端に配列番号 8に記載のアミノ酸配列を含有し、 かつ ミトコンドリア活性化能力を有するタンパク質、
( e ) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる D NAと 8 0 %以上の配列 同一性を有する塩基配列からなる D NAによりコードされるァミノ酸配列からなり 、 N末端に配列番号 8に記載のアミノ酸配列を含有し、 かつミトコンドリア活性化 能力を有するタンパク質、
( f ) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる D N Aと相捕的な塩基配列 からなる D NAと、 ストリンジェントな条件下でハイプリダイズする D NAにより コードされるァミノ酸配列からなり、 N末端に配列番号 8に記載のァミノ酸配列を 含有し、 力っミトコンドリア活 I1生化能力を有する蛋白質のアミノ酸配列からなるタ ンパク質;
〔2〕 〔1〕 に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を 含む遺伝子;
〔3〕 〔2〕 に記載の遺伝子を特異的に認識するポリヌクレオチド、 またはそれ に相補的なポリヌクレオチドからなるプライマー又はプローブ;
〔4〕 〔1〕 に記載のタンパク質を特異的に認識する抗体。
〔5〕 以下の (g ) 〜 (i ) のいずれかに記載される遺伝子を含むことを特徴と する 〔1〕 に記載のタンパク質の発現を制御し得るプロモーター;
( g ) 配列番号 3 3、 3 4または 3 5で示される塩基配列からなる遺伝子、 ( h ) 配列番号 3 3、 3 4または 3 5で示される塩基配列において 1個もしくは複 数個の塩基が欠失、 置換もしくは付加された塩基配列からなり、 かつ転写制御能力 を有する遺伝子、
( i ) 配列番号 3 3、 3 4または 3 5で示される塩基配列と相補的な塩基配列から なる D NAとストリンジュントな条件下にハイブリダイズし、 かつ転写制御能力を 有 る退 1 子;
〔6〕 〔2〕 に記載の遺伝子を含有することを特徴とする発現ベクター; 〔7〕 〔5〕 に記載のプロモーターを含有することを特徴とする発現ベクター; 〔8〕 更に、 プロモーターの下流 (3, 側) に当該プロモーターによって転写が 制御される遺伝子をコードする塩基配列を含有することを特徴とする 〔7〕 に記載 の発現ベクター;
〔9〕 遺伝子が、 〔2〕 に記載の遺伝子である、 〔8〕 に記載の発現ベクター; 〔1 0〕 〔6〕 〜 〔9〕 のいずれかに記載の発現ベクターが導入されてなる形質 転換細胞;
〔1 1〕 下記の工程 ( 1 ) 、 ( 2 ) 及び ( 3 ) を含む PGC1 a b遺伝子の発現制御 能力の評価方法:
( 1 ) 被験物質と PGC1ひ b遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
( 2 ) 被験物質を接触させた細胞の PGC1ひ b遺伝子の発現量を測定し、 該発現量を、 被験物質を接触させない対照細胞の上記遺伝子の発現量と比較する工程、
( 3 ) ( 2 ) の比較結果に基づいて、 PGC1ひ b遺伝子の発現量を変動させるか否かを 指標として被験物質の PGCl a b遺伝子の発現制御能力を評価する工程;
〔1 2〕 下記の工程 ( 1 ) 、 ( 2 ) 及び ( 3 ) を含む PGC1 a bの発現制御能力の 評価方法:
(1 ) 被験物質と PGC1 abを発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2) 被験物質を接触させた細胞の PGClabの発現量を測定し、 該発現量を、 被験物 質を接触させない対照細胞の PGC1 a bの発現量と比較する工程、
(3) (2) の比較結果に基づいて、 PGClabの発現量を変動させるか否かを指標と して被験物質の PGC1 a bの発現制御能力を評価する工程;
〔1 3〕 下記の工程 (1) 〜 (3) を含む、 PGClab遺伝子の発現制御能力の評 価方法:
(1) 被験物質と、 〔5〕 に記載のプロモーターを結合されてなるレポーター遺伝 子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2) 被験物質を接触させた細胞の前記レポーター遺伝子の発現量を測定し、 該発 現量を、 被験物質を接触させない対照細胞の前記レポーター遺伝子の発現量と比較 する工程、 及び
(3) (2) の比較結果に基づいて、 前記レポーター遺伝子の発現量を変動させる か否かを指標として被験物質の PGC1 a b遺伝子の発現制御能力を評価する工程; 〔1 4〕 〔1 1〕 〜 〔1 3〕 のいずれかに記載の評価方法で評価された被験物質 の PGC1 ab遺伝子もしくは PGC1 abの発現制御能力を指標として、 PGC1ひ b遺伝子も しくは PGC1 abの発現誘導活性を有する物質又は PGC1 abの発現抑制活性を有する物 質を選別することを特徴とする、 PGClabの発現制御物質の探索方法;
〔1 5〕 〔1 1〕 〜 〔1 3〕 のいずれかに記載の評価方法で評価された被験物質 の PGC1 a b遺伝子もしくは PGC1 a bの発現制御能力を指標として、 PGC1 a b遺伝子も しくは PGC1 abの発現誘導活性を有する候補物質を選別することを特徴とする、 糖 代謝改善剤の探索方法;
〔1 6〕 糖代 Hi異常を伴う疾患の予防、 改善又は治療剤の、 候補物質の探索のた めに行われることを特徴とする、 〔1 5〕 に記載の探索方法;
〔1 7〕 インスリン抵抗性疾患の予防、 改善または治療剤の、 候捕物質の探索の ために行われることを特徴とする、 〔1 5〕 又は 〔1 6〕 に記載の探索方?; fe ; 〔1 8〕 更に、 被験物質が PGClaa遺伝子もしくは PGClaaの発現を変動させない ことを指標として化合物を選別することを特徴とする、 〔1 5〕 〜 〔1 7〕 のいず れかに記載の探索方法;
〔1 9〕 〔15〕 〜 〔18〕 のいずれかに記載の探索方法により選別される化合 物を有効成分として含有する、 糖代謝改善剤;
〔20〕 〔1 5〕 〜 〔18〕 のいずれかに記載の探索方法により選別される化合 物を有効成分として含有する、 インスリン抵抗性疾患の予防、 改善又は治療剤; 〔21〕 PGC1ひ bもしくは PGClab遺伝子の発現誘導物質を有効成分として含有す る、 糖代謝改善剤;
〔22〕 PGCloibもしくは PGClab遺伝子の発現誘導物質を有効成分として含有す る、 インスリン抵抗性改善剤;
[23〕 PGClccaもしくは PGCloia遺伝子の発現を変動させないことを特徴とする 、 〔21〕 又は 〔22〕 に記載の改善剤;
〔24〕 生体において筋肉細胞に 異的に作用することを特徴とする、 〔23〕 に記載の改善剤;
〔25〕 以下の (1) 及び (2) の工程を有することを特徴とする、 〔5〕 に記 載のプロモーターと結合する物質の探索方法:
(1) 〔5〕 に記載のプロモーターと被験物質とを接触させる工程、 及び
(2) 前記 (1) の工程後に、 当該プロモーターと被験物質との複合体生成の有無 を調べる工程;
〔26〕 〔5〕 に記載のプロモーターと結合する物質の精製方法であって、
(1) 〔5〕 記載のプロモーターと試料とを接触させて、 当該プロモーターと当該 試料中に含有される当該プロモーターと結合する物質との複合体を生成させる工程
、 及び、
(2) 前記 (1) の工程後、 生成させた複合体から当該結合物質を単離する工程、 を有することを特徴とする精製方法;
〔27〕 配列番号 8に記載のァミノ酸配列を含有するポリぺプチド;
〔28〕 配列番号 53〜 55のいずれかに記載のァミノ酸配列を含有する 〔 27
〕 に記載のポリペプチド;
〔29〕 〔 27〕 又は 〔 28〕 に記載のぺプチドを特異的に認識することを特徴 とする、 〔4〕 に記載の抗体;
〔30〕 〔27〕 又は 〔28〕 に記載のポリペプチドをコードする遺伝子;
〔3 1〕 配列番号: 7に記載の塩基配列を含有するポリヌクレオチド;
〔3 2〕 配列番号 5 0〜 5 2のいずれかに記載の塩基配列を含有する 〔3 1〕 に 記載のポリヌクレオチド;
〔3 3〕 〔3 1〕 もしくは 〔3 2〕 に記載のポリヌクレオチド、 又はそれに相捕 的なポリヌクレオチドのうち、 少なくとも 5以上の連続する塩基配列を含むことを 特徴とする、 〔3〕 に記載のプライマー又はプローブ;
に関する。
図面の簡単な説明
図 1は、 マウス各組織における PGC1ひ b及び PGCla aの発現を示す図である。 発 現量を RT - PCRで定量し、 コントロールの 36B4の値を 1として相対値で示した。
図 2は、 骨格筋における PGClabの運動依存的発現誘導を示す図である。 発現量 を RT - PCRで定量し、 コント口ールの 36B4の値を 1として相対値で示した。
図 3は、 培養筋細胞における PGC1 a b遺伝子の発現誘導を示す図である。 発現量 を RT - PCRで定量し、 コント口ールの 36B4の値を 1として相対値で示した。 Axはアデ ノウィルス AxCAwt- mPGClabを示し、 括弧內は添加したウィルス量を示す。
図 4は、 培養筋細胞における PGClab遺伝子の発現誘導を示す図である。 発現量 を RT - PCRで定量し、 コント口ールの 36B4の値を 1として相対値で示した。 Axはアデ ノウィルス AxCAwt- mPGClabを示し、 括弧内は添加したウィルス量を示す。
. 図 5は、 マウス横紋筋由来培養細胞における PGClab遺伝子の発現誘導 (実施例 1 1の結果) を示す図である。 発現量を RT - PCRで定量し、 コントロールの 36B4の 値を 1として相対値で示した。
図 6は、 本発明ヒ ト PGC— labプロモーターが有する転写開始能力の測定結果 ( 実施例 1 8の結果) を示した。 発現量を RT - PCRで定量し、 コント口ールの 36B4の 値を 1として相対値で示した。 Basicは p GL 3— Basic 、 PIは p hPGCl ab-pi (3.0) -pGL3basic、 P2は phPGCl ab - P2(l.8) 一 pGL3basic、 P3は phPGClab - P3(l.3) - pGL3basicを示し、 DMSOはコントロールとしての DMSO添加、 FSKは Forskolin添加を 示す。
0 図 7は、 本発明マウス PGC— labプロモーターが有する転写開始能力の測定結果 (実施例 19の結果) を示した。 発現量を RT - PCRで定量し、 コント口ールの 36B4 の値を 1として相対値で示した。 Basicは p GL 3—Basic、 raPGC-lab (lkb) は raP GC1ひ b - P2(1.0)- pGL3basicを示す。 DMSOはコントロールとしての DMSO添加、 Forsko linは Forskolin添カロを示す。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる遺伝子工学的技術は、 たとえば、 「Mo l e c u l a r C 丄 o n i n g : A L a b o r a t o r y Ma nu a l 2 n d e d i t i o n J (1 989) , Co l d Sp r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s及び D. , M. , G 1 o v e r著、 DNA クローニング ( DNA C l o n i n g) 、 I R L発行、 1985年などに記載されている通常の 方法に準じて行うことができる。
本明細書において、 アミノ酸、 (ポリ) ペプチド、 (ポリ) ヌクレオチドなどの 略号による表示は、 I UP AC— I UBの規定 〔IUPAC- IUB Communication on Bio logical Nomenclature, Eur. J. Biochem. , 138: 9 (1984) 〕 、 「塩基配歹 (J又はァ ミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」 (日本国特許庁編) 、 お よび当該分野における慣用記号に従う。
本明細書において 「遺伝子」 または 「DNA」 とは、 2本鎖 DN Aのみならず、 そ れを構成するセンス鎮およびァンチセンス鎖といった各 1本鎖 D N Aを包含する趣 旨で用いられる。 また、 「遺伝子」 または 「ポリヌクレオチド」 は、 RNAおよび DNAのいずれをも包含する趣旨で用いられる。 またその長さによって特に制限さ れるものではない。 従って、 本明細書において遺伝子 (DNA)とは、 特に言及しない 限り、 ヒトゲノム DNAを含む 2本鎖 DNAおよび cDNAを含む 1本鎖 PNA ( 正鎖) 並びに該正鎖と相補的な配列を有する 1本鎖 DN A (相補鎖) 、 およびこれ らの断片のいずれもが含まれる。 また、 RNAには、 total RNA, mRNA、 rRNA、 及 び合成の RNAのいずれもが含まれる。
( I ) PGC1 a b及び PGC1 b遺伝子
本発明は、 新規な PGClaのバリアントである、 PGClctbに関する。
本明細書においてヽ 「PGCla b」 とはヽ peroxisome proliferator— activated r eceptor gamma coactivator— 1 のバリアントの一種を表し、 具体的には配列番号 2で表されるタンパク質 (ヒ ト PGClab) を例示することができる。 本発明の PGC1 abは、 既に報告されている PGClaa (Genbank Acc. No. 丽_013261) の N末端の約 5 0残基に配列番号 8に記載のァミノ酸配列からなる部分ぺプチドを含むことを特 徴とする。 好ましくは、 PGClabは PGC1 aaの 1残基目のメチォニンを除く N末端の 1 7アミノ酸残基に相当する部分が、 配列番号 8で表されるアミノ酸配列で置換さ れたポリペプチドである。 例えば、 ヒト PGClabは、 PGClaaの 1残基目のメチォ二 ンをのぞく N末端の 1 7アミノ酸残基に相当する部分が、 LGLSSMDSILK (配列番号 5 3) からなるアミノ酸配列で置換された、 配列番号 2で表されるポリペプチドであ る。
また、 本発明の PGClabには、 同族体 (ホモログ) および変異体等が包含される 。 例えば、 同族体 (ホモログ) としては、 ヒ トのタンパク質に対応するマウスゃラ ットなど他生物種のタンパク質が例示でき、 これらは HomoloGene (http: //www. n cbi. nlm. nih. gov/HomoloGene/) により同定された遺伝子の塩基配列から演繹的 に同定することができる。 具体的には、 マウス PGClabは、 PGClaaの 1残基目のメ チォニンをのぞく N末端の 1 7ァミノ酸残基に相当する部分が、 LGLSSMDSILK (配列 番号 5 4 ) からなるァミノ酸配列で置換された、 配列番号 4で表されるタンパク質 (マウス PGClab) である。 また、 ラット PGCl abは、 PGC1 a aの 1残基目のメチォ ニンをのぞく N末端の 1 7アミノ酸残基に相当する部分が、 SGLSSMDSTLK (配列番号 5 5) 力 らなるアミノ酸配列で置換された、 配列番号 6で表されるタンパク質 (ラ ット PGCla b) である。
また変異体としては、 天然に存在するアレル変異体及び天然に存在しない変異体 が挙げられ、 具体的には下記の (b) 、 (c) s (e) 及び (f ) に示されるタン パク質が挙げられる。
すなわち、 本発明において PGClabとは、 前記配列番号 2、 4又は 6で表される
タンパク質に限定されず、 以下の (a) 〜 (f ) のいずれかのタンパク質を表す:
(a) 配列番号 2、 4又は 6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b) 配列番号 2、 4又は 6に記載のアミノ酸配列において 1もしくは複数のアミ ノ酸が欠失、 付加もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、 N末端に配列番号 8 に記載のァミノ酸配列を含有し、 かつミトコンドリァ活性化能力を有するタンパク 質、
( c ) 配列番号 2に記載のァミノ酸配列と 80 %以上の配列同一性を有するァミノ 酸配列からなり、 N末端に配列番号 8に記載のァミノ酸配列を含有し、 かつミ トコ ンドリァ活性化能力を有するタンパク質、
(d) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる DN Aによりコードされる アミノ酸配列からなり、 N末端に配列香号 8に記載のアミノ酸配列を含有し、 かつ ミ トコンドリア活性化能力を有するタンパク質、
( e ) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる DNAと 80 %以上の配列 同一性を有する塩基配列からなる DNAによりコードされるァミノ酸配列からなり 、 N末端に配列番号 8に記載のァミノ酸配列を含有し、 かつミトコンドリァ活性化 能力を有するタンパク質、
(f ) 配列番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列からなる DNAと相補的な塩基配列 からなる DNAと、 ストリンジェントな条件下でハイプリダイズする DN Aにより コードされるァミノ酸配列からなり、 N末端に配列番号 8に記載のァミノ酸配列を 含有し、 かつミトコンドリア活性化能力を有する蛋白質のアミノ酸配列からなるタ ンパク質。
前記 (b) 〜 (ί) における 「ミトコンドリア活性 能力」 とは、 本発明のタン パク質が細胞内で発現する条件下において細胞内でのミトコンドリァ活性化作用の 確認をすることにより評価できる。 ミトコンドリア活性化作用の確認は、 ミトコン ドリアに存在する酵素の活性の測定あるいはミトコンドリア機能に関わる遺伝子の 発現を測定し、 その活性あるいは発現が上昇することにより判定することが可能と なる。
具体的には、 例えばミトコンドリア酵素活性の検討には生細胞のミトコンドリア 内脱水素酵素活性を比色法により測定できる試薬 WST— 1 (DOJ I NDO, 3
42-06451) を使用することができる。 具体的には例えば本宪明のタンパク 質の発現ベクターをトランスフエクトした L 6細胞を直径 10 cmの組織培養皿で 培養し、 コンフルェントに達したところで細胞を 96 w e 1 1の組織培養皿へ移す 。 この際、 培地を、 フエノールレッドを含まないダルベッコ改変イーグル培地 (G I BCO BRL, USA, 21063-029) に変更する。 6時間培養後、 培 地を、 ゥシ胎児血清を含まないものに変更し、 適当な時間培養を続ける。 培養後、 一旦培地を吸引廃棄し、 ここにフヱノールレツド及びゥシ胎児血清を含まないダル べッコ改変イーグル培地 100 At 1、 5mM WST- 1及ぴ 0. 2 mM 1— M e t h o x y PMS (DO J I NDO, 345— 04001) を含む PBS 1 0 μ 1を加える。 37°Cで 4時間反応させた後に、 450 nmの測定波長で吸光度 を測定することによりミ トコンドリァ酵素活性を測定できる。
あるいは、 具体的には例えばミトコンドリア機能に関わる遺伝子の発現を測定す る方法としては以下のような RT—PCR法が挙げられる。
RT- PCR法を利用する場合は、 本発明のタンパク質の発現ベクターをトランスフエ タトした細胞を培養した後、 当該細胞から調製した RNAを、 あるいは得られた RNAを 铸型として調製した cDNAを錶型としてミトコンドリァ機能に関わる遺伝子をコ一ド する塩基配列領域が特異的に増幅できるように、 一対のプライマー (上記 cDNA (一鎖) に結合する正鎖、 +鎖に結合する逆鎖) を設計し、 通常の方法で合成する 。 例えば、 具体的にはマウス由来の細胞を用いて検討する場合、 ミ トコンドリアに おいてエネルギー消費を起こすと考えられている UCP2 (Genbank Acc. No. AF11199 8) 、 ミ トコンドリアのゲノム複製や転写反応に重要な役割を示す転写因子: mtTFA
(mitochondrial transcription factor A; Genbank Acc. No. NM— 009360)、 多 \ のミ トコンドリア遺伝子のプロモーターに結合する転写因子 NRF1 (Genbank Acc. N o. AF098077) 、 ミ トコンドリアでの酸ィ匕的リン酸ィ匕経路に関わる遺伝子群である β ATPsynthase (Genbank Acc. No. AF030559) 、 及び Z又は cytochrome c oxidase subunits II (C0XII; Genbank Acc. No. AF378830)の配列に従い、 合成したプラ イマ一を用いることができる。 KT-PCR法に用いる鎵型としては、 具体的は例えば、 マウス筋肉組織、 あるいはマウス横紋筋由来培養細胞 C2C12から調製した RNAを、 あ るいは得られた RNAを铸型として TaqMan Reverse Transcription Reagents (ABI社
製) を用いて調製した cDNAを用いることができる。 RT— PCRの反応は具体的には、 例えば SYBR Green法を用いる場合には SYBR Green RT- PCR Reagents (Applied Bio systems社製)を用いてプロトコールに従って RT-PCR反応液を調製し、 ABI PRIME 7 900 Sequence Detection System (Applied Biosystems社製)で反応させることで 、 該反応物を検出、 定量することができる。
前記 (b ) における、 アミノ酸の 「欠失、 付加もしくは置換」 や前記 (d ) にお ける 「8 0 %以上の配列同一性」 には、 例えば、 配列番号 2、 4又は 6で表される アミノ酸配列を有する蛋白質が細胞内で受けるプロセシング、 該蛋白質が由来する 生物の種差、 個体差、 糸且織間の差異等により天然に生じる変異や、 人為的なァミノ 酸の変異等が含まれる。
前記 (b ) におけるアミノ酸の 「欠失、 付加もしくは置換」 (以下、 総じてアミ ノ酸の改変と記すこともある。 ) を人為的に行う場合の手法としては、 例えば、 配 列番号 2、 4又は 6で表されるァミノ酸配列をコードする DNAに対して慣用の部位 特異的変異導入を施し、 その後この DNAを常法により発現させる手法が挙げられる 。 ここで部位特異的変異導入法としては、 例えば、 アンバー変異を利用する方法 ( ギャップド 'デュプレックス法、 Nucleic Acids Res. , 12, 9441- 9456 (1984) ) 、 変 異導入用プライマーを用いた PCRによる方法等が挙げられる。
前記で改変されるアミノ酸の数については、 少なくとも 1残基、 具体的には 1若 しくは数個、 又はそれ以上である。 かかる改変の数は、 ミ トコンドリア活性化能力 、 及ぴ /または免疫学的活性を見出すことのできる範囲であれば良い。
前記 (c ) 及び (e ) における 「配列同一性」 とは、 2つの D N A又は 2つの蛋 白質間における配列の同一性及び相同性をいう。 前記 「配列同一性」 は、 比較対象 の配列の領域にわたって、 最適な状態にァラインメントされた 2つの配列を比較す ることにより決定される。 ここで、 比較対象の D NA又は蛋白質は、 2つの配列の 最適なアラインメントにおいて、 付加又は欠失 (例えばギャップ等) を有していて もよい。 このような配列同一性に関しては、 例えば、 Vector NTIを用いて、 Clusta 1Wアルゴリズム(Nucleic Acid Res. , 22 (22) : 4673- 4680 (1994)を利用してァライン メントを作成することにより算出することができる。 尚、 配列同一性は、 配列解析 ソフト、 具体的には Vector NTI、 GENETYX- MACや公共のデータベースで提供される
角军析ツールを用いて測定される。 前記公共データベースは、 例えば、 ホームページ ァドレス http:〃 www. ddbj. nig. ac. jp (こおいて一般的に利用可能である。
本発明における配列同一性は、 80 %以上であればよいが、 好ましくは 90 %以 上、 より好ましくは 95%以上、 さらにより好ましくは 97%である。
また、 前記 (f ) における 「ス トリンジェントな条件」 に関して、 ここで使用さ れるノヽイブジダイゼーシヨン ίま、 例えは、 Sambrook J., Frisch E. F. , Maniatis T.著、 モレキュラークローニング第 2版 (Molecular Cloning 2nd edition) 、 コー ノレド、 スプリング ノヽーノ ー ラボラト リー発行 (Cold Spring Harbor Laborator y press) 等に記載される通常の方法に準じて行うことができる。 また 「ストリン ジェントな条件下」 とは、 例えば、 6 xSSC (1. 5M NaCl、 0. 15M クェン 酸三ナトリゥムを含む溶液を 10 xSSCとする) 、 50%フオルムァミドを含む溶液 中で 45 °Cにてハイプリッドを形成させた後、 2xSSCで 50°Cにて洗浄するような 条件 (Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1—6.3.6) 等 を挙げることができる。 洗浄ステップにおける塩濃度は、 例えば、 2 xSSCで 50 °Cの条件 (低ストリンジエンシーな条件) から 0. 2 X SSCで 50°Cまでの条件 ( 高ストリンジエンシーな条件) から選択することができる。 洗浄ステップにおける 温度は、 例えば、 室温 (低ストリンジエンシーな条件) から 65°C (高ストリンジ エンシーな条件) までの温度から選択することができる。 また、 塩濃度と温度の両 方を変えることもできる。
前記 (ί) における 「相補的な塩基配列」 とは、 PGClab遺伝子の塩基配列に対 して、 A:Tおよび G:Cといった塩基対関係に基づいて、 塩基的に相補的な関係にある ポリヌクレオチドを意味するものである。
なお、 タンパク質におけるァミノ酸の変異数や変異部位は、 その生物学的機能、 すなわちミ トコンドリア活性化能力、 及び Zまたは免疫学的活性が保持される限り 制限はない。 生物学的機能や免疫学的活性を喪失することなくアミノ酸残基が、 ど のように、 何個置換、 挿入あるいは欠失されればよいかを決定する指標は、.当業者 に周知のコンピュータプログラム、 例えば DNA Star softwareを用いて見出すこと ができる。 例えば変異数は、 典型的には、 全アミノ酸の 10%以内であり、 好まし くは全ァミノ酸の 5 %以内であり、 さらに好ましくは全ァミノ酸の 1 %以内である
。 また置換されるアミノ酸は、 置換後に得られるタンパク質が PGCl a bの生物学的 機能及び Zまたは免疫学的活性を保持している限り、 特に制限されないが、 タンパ ク質の構造保持の観点から、 残基の極性、 電荷、 可溶性、 疎水性、 親水性並びに両 親媒性など、 置換前のァミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい 。 例えば、 Ala、 Val、 Leu、 Ile、 Pro、 Met、 Phe及び Trpは互いに非極性アミノ酸に 分類されるアミノ酸であり、 Gly、 Ser、 Tkr、 Cys、 Tyr、 Asn及び Ginは互いに非荷 電性ァミノ酸に分類されるアミノ酸であり、 Asp及び Gluは互いに酸性ァミノ酸に分 類されるアミノ酸であり、 また Lys、 Arg及び Hisは互いに塩基性アミノ酸に分類さ れるアミノ酸である。 ゆえに、 これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選 択することができる。
また、 本発明は、 前記 PGCl a bをコードする塩基配列を含む遺伝子に関する。 当 該 「遺伝子」 または 「DNA」 には、 特定の塩基配列 (配列番号: 1) で示される 「遺 伝子」 または 「DNA」 だけでなく、 これらによりコードされるタンパク質と生物学 的機能が同等であるタンパク質 (例えば、 同族体(ホモログ)等) をコードする 「遺 伝子」 または 「DNA」 が包含される。 具体的には、 「PGCl a b遺伝子」 は配列番号 1 で表されるヒト PGCl a b遺伝子のみならず、 その同族体 (ホモログ) や、 前記 (d ) に記載の 「8 0 %以上の配列同一性を有する塩基配列からなる D NA」 や、 前記
( f ) に記載の 「配列番号 1で表されるヒト PGC1 a b遺伝子の相補鎖とストリンジ ェントな条件下でハイプリダイズする D NA」 を包含している。 すなわち、 これら の遺伝子 (D NA) によりコードされるアミノ酸配列からなり、 かつ N末端に配列 番号 8に記載のァミノ酸配列を含有するタンパク質がミトコンドリァ活性化能力を 有している限り、 本発明の PGC1 a b遺伝子の範疇である。
例えばヒ ト由来のタンパク質の同族体をコードする遺伝子 (ホモログ) としては 、 当該タンパク質をコードするヒト遺伝子に対応するマウスやラットなど他生物種 の遺伝子が例示できる。 これらの遺伝子 (ホモログ) は、 HomoloGene (http: // w . ncbi. nlm. nih. Gov / HomoloGene/) により同定することができる。 当該遺 伝子 (ホモログ) は、 具体的には、 例えば下記のようにして取得することができる :特定のヒ ト遺伝子の塩基配列を BLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 : 5873 - 58 77, 1993、 http: // www. ncbi. nlm. nih. gov/BLAST/) にかけて一致する ·(Score
が最も高く、 E- valueが 0でかつ Identityが 100%を示す) 配列のァクセッション番号 を取得する。 そのァクセッション番号を UniGene (http : //www. ncbi. nlra. nih. gov/U niGene/) に入力して得られた UniGene Cluster ID (Hs.で示す番号) を HomoloGene に入力する。 結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログ の相関を示したリストから、 特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝 子 (ホモログ) としてマウスやラットなど他生物種の遺伝子を選抜する。 具体的に は、 配列番号 3で表されるマウス PGC1ひ b遺伝子や、 配列番号 5で表されるラット P GC1ひ b遺伝子を挙げることができる。
なお、 遺伝子または DNAは、 機能領域の別を問うものではなく、 例えば発現制御 領域、 コード領域、 ェキソン、 またはイントロンを含むことができる。
本発明の PGC l a b遺伝子は、 前述のとおり公知遺伝子である PGCl a aのバリアント である。 従って、 PGCl a b遺伝子は、 配列番号 1に示す配列のうち、 40番目の塩基以 降の配列については PGC1 a a遺伝子と同様の方法で取得することができる。 PGC1 a a 遺伝子は、 Genbank Accession No. 删 _013261として公知であり、 その取得方法に ついても Cell 92 (6) , 829-839 (1998)に記載されるように公知である。 その同族 体(ホモログ)としては、 配列番号 3に記載のマウス PGC1 a b遺伝子の 49番目の塩基 以降の配列についてはマウス PGC1ひ a遺伝子 (Genbank Accession No. 眉— 008904 ) や配列番号 5に記載のラット PGC1ひ b遺伝子の 64番目の塩基以降の配列について はラット PGCl a a遺伝子 (Genbank Accession No. 雇— 031347) が挙げられ、 これ らの取得方法についても Cell 92 (6) , 829-839 (1998)、 J. Biol. Chem. 277 (19) , 16750-16757 (2002) に記載されるように公知である。
また、 PGCl a b遺伝子は、 通常の遺伝子工学的方法 〔例えば、 Sarabrook J. , Fris ch E. F. , Maniatis T.著、 モレキュラークローニング第 2版 (Molecular Cloning 2nd edition) 、 コールド スプリング ハーバー ラボラトリ一発行 (Cold Spri ng Harbor Laboratory press) 等に記載されている方法〕 に準じて取得することが できる。
具体的には、 まず、 ヒト、 マウス又はラット等の組織、 細胞やこれらに由来する 培養細胞などから R NAを調製する。 例えば、 ラット筋肉を塩酸グァ-ジンゃグァ 二ジンチオシァネート等の強力な蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、 さらに該粉
砕物にフエノール、 クロ口ホルム等を加えることにより蛋白質を変性させる。 変性 蛋白質を遠心分離等により除去した後、 回収された上清画分から塩酸グァ-ジン フエノール法、 SD S—フエノール法、 グァニジンチオシァネート/ C s C 1法等 の方法により全 RNAを抽出する。 なお、 これらの方法に基づいた市販の試薬とし ては、 例えば IS0GEN (エツポンジーン製) 、 トリゾル試薬 (G i b c o BRL) 等がある。
得られた全 RNAを铸型としてオリゴ d Tプライマーを RNAのポリ A配列にァ ニールさせ、 逆転写酵素を作用させることにより一本鎖 c DN Aを合成する。 次い で、 該一本鎮 c DN Aを铸型とし、 かつ PGClab遺伝子の塩基配列 (例えば、 配列 番号 1、 3又は 5に記載の塩基配列) に基づいて設計されたォリゴヌクレオチドを プライマーとして用いてポリメラーゼチェイン反応 (以下、 P CRと記す。 ) を行 うことにより、 PGClab遺伝子を増幅し、 取得することができる。
また、 上記の一本鎖 c DN Aを铸型として DNAポリメラーゼを作用させること により二本鎖の c DNAを合成する。 得られた二本鎖 c DNAを、 例えばプラスミ ド pUC118やファージ gtlOなどのベクターに揷入することにより c DNAライブラ リ一を作製する。 このようにして得られる c DNAライブラリ一や市販の c DNA ライブラリーから、 PGC1 a b遺伝子の塩基配列 (例えば、 配列番号 1、 3又は 5で 示される塩基配列) の部分塩基配列を有する DNAをプローブとして用いるハイブ リダィゼーシヨン法や、 PGClab遺伝子の塩基配列 (例えば、 配列番号 1、 3又は 5で示される塩基配列) に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドをプライマーと して用いる P C Rにより、 PGC1 ab遺伝子を取得することもできる。
P CRに用いるプライマーとしては、 例えば、 約 15bpから約 50bp程度の長さでか つ Gまたは C塩基の割合が約 40%から約 60%程度の塩基配列を、 上記のような本発明の タンパク質をコードする既知の塩基配列から選択し、 該塩基配列に基いてオリゴヌ クレオチドを設計し、 合成するとよい。
得られた PGClab遺伝子の塩基配列は、 Maxam Gilber法 (例えば、 Maxam,A.M & . Gilbert, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 560, 1977等に記載の方法)や Sanger法 (例えば Sanger, F. & A. R. Coulson, J. Mol. Biol. , 94, 441, 1975、 Sanger, F, & N icklen and A. R. Coulson. , Proc. NatL Acad. Sci. USA, 74, 5463, 1977等に記載の
方法) により確認することができる。
上記のようにして得られた PGCl a b遺伝子は、 例えば、 J. Sambrook, E. F. Frisch, T . Maniatis著;モレキュラー クローニング第 2版 (Molecular Cloning 2nd editio n) 、 コースレドスプリンク ノヽーノ ー ラボラトリー (Cold Spring Harbor Laborato ry) 発行、 1 9 8 9年等記載の遺伝子工学的方法に準じてベクターにクローニング することができる。
ベクターとしては、 PGCl a b遺伝子を揷入可能な限り特に限定は無く、 公知のベ クタ一や市販されているベクターを適宜用いることができる。 PGC1ひ b遺伝子を揷 入したベクターも又本発明の範疇である。
具体的には、 大腸菌を宿主細胞とする場合には、 例えばプラスミド pUC119 (宝酒 造 (株) 製)や、 ファージミド pBluescriptll (ストラタジーン社製)等をあげること ができる。 出芽酵母を宿主細胞とする場合には、 プラスミド pACT2 (ClcmteCh社製) などをあげることができる。 また、 哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合には、 PR C/RSV、 pRC/CMV (Invitrogen社製)等のプラスミ ド、 ゥシパピローマウィルスプラス ミド pBPV (アマシャムフアルマシア社製)、 EBウィルスプラスミ ド pCEP4 (Invitrogen 社製)等のウィルス由来の自律複製起点を含むベクター、 ワクシニアウィルス等の ウィルスなどをあげることができる。 昆虫類動物細胞 (以下、 昆虫細胞と記す。 ) を宿主細胞とする場合には、 バキュロウィルス等の昆虫ウィルスをあげることがで さる。
PGCl a b遺伝子の上流に、 宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で · 結合させ、 これを上述のようなベクターに組み込むことにより、 PGCl a b遺伝子を 宿主細胞で発現させることの可能な発現ベクターを構築することができる。
ここで、 「機能可能な形で結合させる」 とは、 PGCl a b遺伝子が宿主細胞に導入 された際に、 宿主細胞においてプロモーターの制御下に発現されるように、 当該プ 口モーターと PGC1ひ b遺伝子とを結合させることを意味する。 宿主細胞で機能可能 なプロモーターとしては、 前記 〔5〕 に記載の本発明のプロモーターを挙げるこあ とができる。 また、 例えば、 宿主細胞が大腸菌である場合には、 大腸菌のラタトー スォペロンのプロモーター (lacP) 、 トリプトファンオペロンのプロモーター(trp P)、 ァノレギニンオペロンのプロモーター(argP)、 ガラクトースォペロンのプロモー
ター(galP)、 tacプロモーターもしくは trcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な 合成プロモーター、 T 7プロモーター、 T 3プロモーター、 ファージのプロモー ター(;i _pL、 λ - pR)等をあげることができる。 また、 宿主細胞が動物細胞や分裂酵 母である場合には、 例えば、 ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、 サイトメガ ロウィルス(CMV)プロモーター、 シミアンウィルス(SV40)の初期もしくは後期プロ モーター、 マウス乳頭腫ウィルス(塵 TV)プロモーター等をあげることができる。 宿 主細胞が出芽酵母である場合には、 ADH1プロモーター (尚、 ADH1プロモーターは、 例えば ADH1プロモータ一及び同ターミネータ一を保持する酵母発現べクタ一 pMH5 [Washington Research Fundation カ ら入手 能、 Ammerer ら、 Method in Enzymo logyN 101 art (p. 192-201) 〕 から通常の遺伝子工学的方法により調製すること ができる。 ) などをあげることができる。
一般的には、 宿主細胞で機能可能なプロモーターと PGC1ひ b遺伝子とが機能可能 な形で接続されてなる D N Aを、 宿主細胞で利用可能なベクターに組込んで、 これ を宿主細胞に導入する。 宿主細胞において機能可能なプロモーターをあらかじめ保 有するベクターを使用する場合には、 ベクター保有のプロモーターと PGCl a b遺伝 子とが機能可能な形で結合するように、 該プロモーターの下流に PGC1 c¾ b遺伝子を 挿入すればよい。 例えば、 前述のプラスミド pRC/RSV, PRC/CMV等は、 動物細胞で機 能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられており、 該クローニン グ部位に PGC1 a b遺伝子を揷入し動物細胞へ導入することにより、 PGC1 a b遺伝子を 発現させることができる。 また、 前述の酵母用プラスミド PACT2は ADH1プロモータ 一を有しており、 該プラスミドまたはその誘導体の ADH1プロモーターの下流に PGC1 a b遺伝子を挿入すれば、 PGC1 a b遺伝子を例えば CG1945 (Clontech社製)等の出芽酵 母内で発現させることが可能な発現ベクターが構築できる。 マーカー遺伝子 (例え ば、 カナマイシン耐性遺伝子、 ネオマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝 子など) を含むベクターを用いると、 PGCl a b遺伝子が導入された形質転換細胞を 当該マーカー遺伝子の表現型等を指標にして選択する際に便利である。
さらなる高発現を導くことが必要な場合には、 PGC1 a b遺伝子の上流にリポゾ一 ム結合領域を連結してもよい。 用いられるリボゾーム結合領域としては、 Guarente L.ら (Cel l 20, p543) や谷口ら (Genetics of Industrial Microorganisms, p20
2, 講談社) による報告に記載されたものを挙げることができる。
上記のようにして得られる本ベクターを宿主細胞へ導入することにより、 形質転 換細胞 (以下、 本形質転換細胞と記すこともある。 ) を得ることができる。 本形質 転換細胞も又本発明の範疇である。 宿主細胞としては、 大腸菌などの原核生物細胞 、 酵母、 動物細胞もしくは昆虫細胞などの真核生物細胞のいずれでもよく、 用いる 発現べクターに応じて選択することができる。
PGCl a b遺伝子が組み込まれたベクター (以下、 本ベクターと記すこともある。 ) を宿主細胞へ導入する方法としては、 宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用す ることができる。 + 例えば、 大腸菌を宿主細胞とする場合には、 「モレキュラー 'クローニング」 (
J. Sambrookら、 コールド 'スプリング ·ハーバー、 1 9 8 9年) 等に記載される塩 化カルシウム法やエレクトロポレーシヨン法等の通常の方法を用いることにより本 ベクターを宿主細胞へ導入することができる。 また、 哺乳類動物細胞または昆虫細 胞を宿主細胞とする場合には、 例えば、 リン酸カルシウム法、 DEAEデキストラン法 、 エレクト口ポレーション法またはリポフエクション法等の一般的な遺伝子導入法 により.前記細胞に本ベクターを導入することができる。 酵母菌を宿主細胞とする場 合には、 例えば、 リチウム法を基にした Yeast transformation kit (Clontech社製) などを用いて導入することができる。
本ベクターが導入された形質転換細胞を選抜するには、 例えば、 本ベクターと同 時に下記のようなマーカー遺伝子を宿主細胞に導入し、 導入されたマーカー遺伝子 の性質に応じた方法で本ベクターが導入された宿主細胞を培養すればよい。 例えば 、 当該マーカー遺伝子が、 宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を 付与する遺伝子 (薬剤耐性付与遺伝子) である場合には、 該薬剤を添加した培地を 用いて、 本ベクターが導入された宿主細胞を培養すれば良い。 薬剤耐性付与遺伝子 と選抜薬剤との組み合わせとしては、 例えば、 ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオ マイシンとの糸且み合わせ、 ハイグ口マイシン耐性付与遺伝子とハイグ口マイシンと の組み合わせ、 プラストサイジン S耐性付与遺伝子とブラストサイジン Sとの組み 合わせ等を挙げることができる。 また、 当該マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求 性を相補する遺伝子である場合には、 該栄養素を含まない最少培地を用いて、 本べ
クターが導入された細胞を培養すればよい。
上述のようにして得られた本ベクターが導入された形質転換細胞を培養すること により PGC1ひ b遺伝子を発現させることができる。
形質転換細胞の培養は、 微生物培養、 昆虫細胞もしくは哺乳動物細胞の培養に使 用される通常の方法によって行うことができる。 例えば大腸菌の場合、 適当な炭素 源、 窒素源およびビタミン等の微量栄養物を適宜含む培地中で培養を行う。 培養方 法としては、 固体培養、 液体培養のいずれの方法でもよく、 好ましくは、 通気撹拌 培養法等の液体培養を挙げることができる。
PGClab遺伝子は、 前述の如く調製すればよいが、 例えば、 PGC1ひ b遺伝子の塩基 配列からなる核酸を含有する組換えべクタ一又は組換えウィルス等の形態で使用さ れることもある。 このような形態では、 例えば、 レトロウイルスベクター、 アデノ ウィルスベクター、 アデノ関連性ベクター、 単純へルぺスウィルスベクター、 S V 40ベクター、 ポリオ一マウィルスベクター、 乳頭腫ウイノレスベタター、 ピコノレナ ウィルスベクター及びワクシニアウィルスベクター等のウィルスベクターをあげる ことができる。 さらに、 アデノウイルスベクターを使用する場合には、 例えば QU ANTUM社製の A d E a s y K i tを用い、 PGClab遺伝子を T r a n s f e r Ve c t o rのマルチクローニングサイトに組み込み、 得られた組換えべクタ 一を直線化した後に、 pAdE a s y v e c t o rと共に大腸菌にトランスフォ ームし、 相同組換え体 DNAをヒト 293 A細胞に組み込むことにより、 PGClab 遺伝子を含有する組換えウィルスを産生させ、 これを回収し、 使用することもでき る。
また、 ヒトサイトメガウィルスのプロモーター領域を有するプラスミド DNA等 のような非ウィルス系のベクターを用いることもできる。 PGClab遺伝子を線維化 組織部位に直接注入する場合のように、 非ウィルスベクターを用いて PGC1ひ b遺伝 子を局所的に送達するシステムにおいては、 プラスミド DNAの使用は極めて有益 である。 体外に取り出された細胞に発現ベクターを導入して体内に戻す方法、 すな わち、 e x v i v o法を使えば、 あらゆる既知の導入方法が利用可能である。 例 えば、 a) 直接注入、 b) リポソ^"ムを介する形質導入、 c) リン酸カルシウム法 ■エレクトロポレーシヨン法■ DEAE—デキストラン法による細胞トランスフエ
クシヨン、 d) ポリプレンを介した送達、 e) プロトプラスト融合、 f ) マイクロ インジェクション、 g) ポリリシンを使った形質導入などによって、 非ウィルスべ クターを導入することができる。
PGClabの取得は、 一般の蛋白質の単離 ·精製に通常使用される方法を組み合わ せ七実施することができる。 例えば、 前記の培養により得られた形質転換細胞を遠 心分離等で集め、 該形質転換細胞を破碎または溶解させればよい。 必要であれば蛋 白質の可溶化を行い、 イオン交換、 疎水、 ゲ ろ過等の各種クロマトグラフィーを 用いた工程を単独で、 もしくは組み合わせることにより精製すればよい。 必要であ れば、 精製された蛋白質の高次構造を復元する操作をさらに行ってもよい。
また、 PGClabは、 前述のとおり PGCla aのバリアントであり、 PGClaaと同様の 方法で取得することができる。 具体的には、 Biochemical Journal. Vol367 p413 - 2 2 (2002)に記載された方法が挙げられる。
(II) プライマー又はプローブ
また、 本発明は、 PGClab遺伝子の塩基配列を特異的に認識するポリヌクレオチ ド、 またはそれに相補的なポリヌクレオチドからなるプライマー又はプローブに関 する。
本明細書において 「ポリヌクレオチド」 とは、 RNAおよび DNAのいずれをも 包含する趣旨で用いられ、 前記 DNAには、 c DNA、 ゲノム DNA、 及び合成 D N Aのいずれもが含まれる。 また前記 RN Aには、 total RNA、 mRNA、 rRNA、 及ぴ 合成の RNAのレ、ずれもが含まれる。
ここで 「特異的に認識する」 とは、 例えばノーザンプロット法を用いた場合は、 PGC1 a b遺伝子またはこれらに由来するポリヌクレオチドが特異的に検出できるこ と、 また RT - PCR法を用いた場合は、 PGC1 b遺伝子またはこれらに由来するポリヌ クレオチドが特異的に生成されることを意味するが、 それに限定されることなく、 当業者が上記検出物または生成物がこれらの遺伝子に由来するものであると判断で きるものであればよい。 本発明のプライマー又はプローブは、 ?6(:10;13を?6(10;3と 区別して認識できることが好ましい。
PGClabは、 PGC1 aaのスプライシングバリアントの一種であり、 コード領域 (0
RF) の N末端付近の塩基配列が異なっている。 従って、 2つのプライマーのうち少 なくとも 1つ、 又は両方のプライマーを、 配列番号 7に記載の塩基配列を特異的に 認識するポリヌクレオチドとすることによって、 PGC1ひ bを選択的に認識すること ができる。
ここで、 「配列番号 7に記載の塩基配列を特異的に認識するポリヌクレオチド」 は、 配列番号 7に記載の塩基配列の内、 少なくとも連続する 5塩基以上、 好ましく は 10塩基以上の塩基配列を有するポリヌクレオチドであれば特に限定は無いが、 PG CI a b遺伝子の部分配列からなるポリヌクレオチドであることが好まし 、。 すなわ ち、 配列番号 1、 3又は 5で表される塩基配列のうち連続する 15以上の塩基配列を 含有するポリヌクレオチドであって、 かつ N末端の部分配列に相当する配列番号 7 に記載の塩基配列の内、 少なくとも連続する 5塩基以上、 好ましくは 10塩基以上の 塩基配列を有するポリヌクレオチドである。
「配列番号 7に記載の塩基配列」 として更に具体的には、 配列番号 50で表される ヒト PGCl a b由来の部分配列、 配列番号 51で表されるマウス PGC1 a b由来の部分配列 、 配列番号 52で表される、 ラット PGC1ひ b由来の部分配列を挙げることができる。 一方、 「配列番号 7に記載の塩基配列を特異的に認識するポリヌクレオチド」 と ともに用いられるもう 1つのプライマーは、 「配列番号 7に記載の塩基配列を特異 的に認、識するポリヌクレオチド」 とともに用いることによって、 PGCl a bを特異的 に認識できるものであれば特に限定は無く、 PGCl a bにおいて連続する少なくとも 1 5塩基の長さを有するものであればよく、 長さについては適宜選択し設定すること ができる。 通常 15bp〜100bp、 好ましくは 15bp〜50bp、 より好ましくは l5bp〜35bp の塩基長を有するものが例示できる。 また検出プローブとして用いる場合には、 通 常 15bp〜全配列の塩基数、 好ましくは 15bp〜lkb、 より好ましくは 100bp〜lkbの塩 基長を有するものが例示できる。
そのようなプライマーもしくはプローブは、 配列番号 1、 配列番号 3、 又は配列 番号 5で示される塩基配列等の PGC1 a b遺伝子の塩基配列をもとに、 例えば primer 3 ( http : //www. genome, wi. mit. edu/cgi-bin/primer/primer3. cgi http : /ノ www. gen orae. wi. mit. edu/cgi-bin/priraer/primer3. cgi) あるいはべクター NTI (Infomax社 製) を利用して設計することができる。
P 漏 005/006544
" 2 5 具体的には PGC1ひ b遺伝子を primer 3またはベクター NTIのソフトウエアにかけて 得られる、 プライマーまたはプロ ブの候補配列、 若しくは少なくとも該配列を一 部に含む配列をプライマーまたはプローブとして使用することができる。
ここで相補的なポリヌクレオチド (相補鎖、 逆鎖) とは、 PGC1 a b遺伝子の全長 配列、 または該塩基配列において少なくとも連続した 1 5塩基長の塩基配列を有す るその部分酉 S列 (ここでは便宜上、 これらを 「正鎖」 ともいう) に対して、 A: Tお よび G: Cといった塩基対関係に基づいて、 塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレ ォチドを意味するものである。 ただし、 かかる相補鎖は、 対象とする正鎖の塩基配 列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、 対象とする正鎖とストリンジェント な条件でハイプリダイズすることができる程度の相補関係を有するものであっても よい。 なお、 ここでストリンジェントな条件は、 Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques Methods in Enzyraology, ol. 152, Academic Press, San Diego CA) に教示されるように、 複合体或いはプローブを結合する核 酸の融解温度 (Tm)に基づいて決定することができる。 例えばハイブリダイズ後の洗 浄条件として、 通常 「l x SSC、 0. 1%SDSS 37°Cj 程度の条件を挙げることができる 。 相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダィズ状態を維持す るものであることが好ましい。 ストリンジェントな条件としては、 特に制限されな いが、 前述のものが挙げられる。
具体的には、 このような相補鎖として、 対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な 関係にある塩基配列からなる鎖、 並びに該鎖と少なくとも 90%、 好ましくは 95%の 相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
また、 正鎖側のポリヌクレオチドには、 PGC1ひ b遺伝子の塩基配列またはその部 分配列を有するものだけでなく、 上記相補鎖の塩基配列に対してさらに相補的な関 係にある塩基配列からなる鎖を含めることができる。
さらに上記正鎖のポリヌクレオチド及ぴ相補鎖 (逆鎖) のポリヌクレオチドは、 各々一本鎖の形態で使用されても、 また二本鎖の形態で使用されてもよい。
本発明のプライマー又はプローブは、 ヒト等の哺乳動物の細胞や生体由来物 (例 えば尿、 血液、 組織片等) における PGCl a b遺伝子の発現の有無またはその程度 ( 発現量) の検出に使用することもできる。 すなわち本発明のプライマーは、 ヒト等
の哺乳動物の筋肉において、 運動負荷の結果生じるミトコンドリア遺伝子群の活性 化を正確に判断することができる。 すなわち、 本発明のプライマー又はプローブは 運動応答的ミトコンドリア活性化の応答性を評価するためのツール (糖代謝マーカ 一) として有用である。.
また本発明のプライマー又はプローブは、 後述する、 被験物質の、 ミトコンドリ ァ活性促進能力等の糖代謝改善能力、 もしくは Glut4発現誘導能力の評価方法にお いて、 PGC1ひ b遺伝子の究現の有無や発現レベルを検出するために用いることがで きる。
(III) 抗体
また本発明は、 前記 (I) における本発明のタンパク質、 すなわち PGCl a bを特異 的に認識する抗体に関する。
本明細書でいう 「抗体」 は、 その形態に特に制限はなく、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体、 キメラ抗体、 一本鎖抗体、 または Fabフラグメントや Fab発現 ライプラリーによって生成されるフラグメントなどのように抗原結合性を有する上 記抗体の一部が包含される。 また、 「PGC 1 a bを特異的に認識する」 は、 PGCl a b を PGC1 a aと区別して認識できることが好ましい。
本発明の抗体は、 PGCl a bの部分べプチドである配列番号 8で表されるアミノ酸 配列を含む配列を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、 またそのモノク ローナル抗体であってもよい。 さらに、 PGCl oi bを構成するアミノ酸配列のうち少 なくとも連続する、 通常 8アミノ酸、 好ましくは 15アミノ酸、 より好ましくは 20ァ ミノ酸からなり、 かつ配列番号 8で表されるァミノ酸配列を含むポリぺプチドに対 して抗原結合性を有する抗体である。
「配列番号 8で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」 として、 具体的には 、 配列番号 5 3で表されるヒト PGC1 a b特異的な部分配列を含むポリぺプチド、 配 列番号 5 4で表されるマウス PGCl a b特異的な部分配列を含むポリペプチド、. 又は 配列番号 5 5で表されるラット PGCl a b特異的な部分配列を含むポリペプチドを挙 げることができる。
これらの抗体の製造方法は、 すでに周知であり、 本発明の抗体もこれらの常法に
従って製造すること力 Sできる (Current protocols in Molecular Biology edit. A usubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 12〜; 11. 13) 。 具体的には、 本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、 常法に従って大腸 菌等で発現し精製した PGCl a bを用いて、 あるいは常法に従って当該いずれかの本 発明タンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成して、 家兎等の 非ヒト動物に免疫し、 該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。 例えば(Genes Dev, 11: 2052-2065, 1997)記載の方法で取得することもできる。 一 方、 モノクローナル抗体の場合には、 常法に従って大腸菌等で発現し精製した PGC1 ひ b、 あるいはこれらタンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマ ウス等の非ヒト動物に免疫し、 得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて 調製したハイプリ ドーマ細胞の中から.得ることができる (Current protocols in M olecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 4〜11. 11) 。
また、 抗体の作製に使用されるタンパク質は、 後述する配列表に記載する遺伝子 の配列情報 (配列番号 1、 3、 5 ) 等に基づいて、 D NAクローニング、 各プラス ミドの構築、 宿主へのトランスフエクシヨン、 形質転換細胞の培養および培養物か らのタンパク質の回収の操作等、 通常の遺伝子工学的方法により得ることができる 。 これらの操作は、 当業者に既知の方法、 あるいは文献記載の方法 [例えば、 Samb rook J. , Frisch E. F. , Maniatis T.著、 モレキュラークローニング第 2版 (Molec ular Cloning 2nd edition) 、 コーノレド スプリング ハーバー ラボラトリー発 行 (Cold Spring Harbor Laboratory press ; DM. Gloverら著、 DNA クローニング ( IRL プレス発行、 1985) 等に記載されている方法] などに準じて行うことがで きる。 具体的には PGC1 a bをコードする遺伝子が所望の宿主細胞中で発現できる組 み換え DNA (発現ベクター) を作成し、 これを宿主細胞に導入して形質転換し、 該 形質転換細胞を培養して、 得られる培養物から、 目的タンパク質を回収することに よって実施することができる。 また、 これら PGCl a bは、 後記配列表に記載するァ ミノ酸配列の情報 (配列番号 2、 4、 6) 等に従って、 一般的な化学合成法 (ぺプチ ド合成) によって製造することもできる。
また本発明の抗体は、 PGC1 a hの部分ァミノ酸配列を有するオリゴぺプチドを用
いて調製されるものであってよい。 かかる抗体誘導のために用いられるオリゴぺプ チドは、 機能的な生物活性を有することは要しないが、 PGCl a bと同様な免疫原特 性を有するものであることが望ましい。 好ましくはかかる特性を有し PGC1ひ bのァ ミノ酸配列において少なくとも連続する、 通常 8アミノ酸、 好ましくは 15アミノ酸 、 より好ましくは 20アミノ酸からなるポリペプチドであって、 かつ配列番号 8に記 載のアミノ酸配列を含有するポリぺプチドを例示することができる。
なお、 ここで 「PGC1 a bと同様な免疫原特性を有するォリゴぺプチド」 とは、 免 疫学的活性において PGC1ひ bと同等の活性を有するオリゴペプチドを表し、 適当な 動物あるいはその細胞にお 、て特定の免疫反応を誘発し、 かつ PGC1 a bに対する抗 体と特異的に結合する能力を有するタンパク質を挙げることができる。 当該抗体は 、 PGCl a bと PGC1ひ aと区別して認識できることが好ましレ、。
かかるポリぺプチドに対する抗体の生成は、 宿主に応じて種々のアジュバントを 用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。 限定はされないが、 そのようなアジュバントには、 フロイントアジュバント、 水酸化アルミニウムのよ うなミネラルゲル、 並びにリゾレシチン、 プル口ニックポリオル、 ポリアェオン、 ぺプチド、 油乳剤、 キーホーノレリンぺット.へモシァニン及ぴジニトロフエノーノレの ような表面活性物質、 B C G (カルメット一ゲラン桿菌) やコリネバクテリウム- パルヴムなどのヒトアジュバントなどがある。
本発明の抗体は PGC1 a bに特異的に結合する性質を有すること力ゝら、 該抗体を利 用することによって、 ヒト等の哺乳動物の細胞や生体由来物 (例えば尿、 血液、 糸且 織片等) 中の上記本発明タンパク質を特異的に検出することができる。 すなわち、 当該抗体はヒト等の哺乳動物の組織内、 具体的には筋肉における PGCl ce bのタンパ ク発現の有無を検出するために有用である。 例えばヒト等の哺乳動物の筋肉におい て、 運動負荷の結果生じるミトコンドリア遺伝子群の活性化を正確に判断すること ができる。 従って、 本発明の抗体は、 運動応答的ミトコンドリア活性化の応答性を 評価するためのツール (糖代謝マーカー) として有用である。
また、 本発明の抗体は、 後述する、 被験物質の、 ミトコンドリア活性促進能力な どの糖代謝改善能力、 もしくは Glut 4発現誘導能力の評価方法において、 PGCl a b の発現の有無や発現レベルを検出するために用いることができる。 .
ここで、 該抗体をヒト等の哺乳動物における糖代謝の評価や糖代謝異常に関する 診断に用いる場合、 該マーカーは、 配列番号 2に記載されたヒト PGClabのアミノ酸 配列を認識する抗体であることが好ましい。 (IV) PGClabプロモーター、 発現ベクター及び形質転換細胞
本発 はま 7こ、 新規な、 PGC1 (peroxisome proliferator— activated recepto r ga隨 a coactivator-1 a ) のバリアントである PGC1 abのプロモーターを包含す る。
本発明プロモーターは、 (g) 配列番号 3 3、 3 4または 3 5で示される塩基配 列からなる DNA、 (h) 配列番号 3 3、 34または 3 5で示される塩基配列にお いて 1個もしくは複数個の塩基が欠 、 置換もしくは付加された塩基配列からなり 、 かつ転写を制御する能力を有する DNA、 ( i ) 配列番号 3 3、 34または 3 5 で示される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件下にハイブリダィズ し、 かつ転写を制御する能力を有する DNAを含むプロモーターである。 ここで、 配列番号 3 3で示される塩基配列からなる DNAは、 ヒ ト由来の約 3kbの PGClabプロ モーター領域を表し、 配列番号 34で示される塩基配列からなる DNAは、 ヒ ト由来 の約 1.3kbの PGClabプロモーター領域を表し、 配列番号 3 5で示される塩基配列か らなる DNAは、 マウス由来の約 1.3kbの PGClabプロモーター領域を表す。
本明細書において 「プロモーター」 とは、 調節遺伝子の一種で、 RNAポリメラ ーゼが結合し、 オペロンの転写を開始する部位であり、 転写を促すために必要な配 列を含む DNAを意味し、 さらに、 例えば、 細胞型特異的もしくは組織特異的な制 御を受けるプロモーター要素、 又は外来性のシグナルもしくは因子 (例えば、 転写 活性化蛋白質) によって誘導されるプロモータ一依存的遺伝子発現を引き起こすた めに十分なプロモーター要素を含んでいてもよい。
前記 (h) における 「欠失、 付加もしくは置換」 (以下、 総じて塩基の改変と記 すこともある。 ) には、 例えば、 配列番号 3 3、 34または 3 5で表される塩基配 列を有する DNAの由来する生物の種差、 個体差、 組織間の差異等により天然に生じ る変異や、 人為的な塩基配列の変異等が含まれる。 ここで、 塩基配列の 「欠失、 付 加もしくは置換」 を人為的に行う場合の手法としては、 例えば、 配列番号 3 3、 3
4または 35で表される塩基配列からなる DNAに対して慣用の部位特異的変異導入 を施し、 その後この DNAを常法により発現させる手法が挙げられる。 ここで部位特 異的変異導入法としては、 例えば、 ギャップド 'デュープレックス法 (、 Nucleic Acids Res. , 12, 9441-9456(1984)) 、 変異導入用プライマーを用いた PCRによる方法 等が挙げられる。
前記で改変される塩基の数については、 少なくとも 1残基、 具体的には 1若しく は数個、 又はそれ以上である。 かかる改変の数は、 転写を制御する能力を保持して いる限り特に限定はない。
前記 ( i ) における 「ストリンジェントな条件下」 とは、 例えば、 6 xSSC (1 . 5M NaCl、 0. 1 5M クェン酸三ナトリウムを含む、溶液を 10 xSSCとする) 、 50%フオルムアミドを含む溶液中で 45°Cにてハイブリッドを形成させた後、 2 xSSCで 50。Cにて洗浄するよう.な条件 (Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6) 等を挙げることができる。 洗浄ステップにおける塩 濃度は、 例えば、 2 xSSCで 50°Cの条件 (低ストリンジエンシーな条件) から 0 . 2 xSSCで 50°Cまでの条件 (高ストリンジエンシーな条件) から選択すること ができる。 洗浄ステップにおける温度は、.例えば、 室温 (低ストリンジエンシーな 条件) から 65°C (高ストリンジエンシーな条件) までの温度から選択することが できる。 また、 塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
本発明プロモーターの調製方法としては、 例えば、 化学合成法、 PCR、 ハイブ リダイゼーシヨン法等が挙げられる。
化学合成法を用いて調製する場合、 DNA自動合成機、 例えば DNA合成機モデ ル 380A (ABI社製) 等を用いることができる。
次に、 PCRを用いて本発明プロモーターを調製する方法について説明する。 鎵 型とするゲノムライブラリ一は、 例えば、 「Mo l e c u l a r C l o n i n g : A L a b o r a t o r y Ma nu a l 2 n d e d i t i o n」 (1 98 9) 、 Co l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s等に記載されている方法に準じてヒト、 マウス等の哺乳動物の,袓織から調製する ことができる。 また、 ヒトゲノム DNA (クローンテック製) 等の市販のゲノム D NAや、 ヒトゲノムウォーカーキット (クローンテック製) 等の市販ゲノムライブ
ラリーを用いることができる。 次いで、 増幅させるプロモーターに対応したプライ マー、 例えば配列番号 33で示される塩基配列からなる DNAを含む本発明プロモ 一ターを調製する場合であれば、 例えば配列番号 36で示される塩基配列からなる プライマーと、 配列番号 37で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて P CRを行う。 尚、 前記プライマーは、 配列番号 33で示される塩基配列に基づいて 適宜設計することができ、 また、 その 5' 末端側に、 制限酵素認識配列等を付加し てもよい。 前記のようにして増幅された DNAは、 「Mo l e c u l a r C l o n i n g : A : L a b o r a t o r y Ma nu a l 2 d e d i t i o n」 (1989) , Co l d Sp r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 「 Cu r r e n t P r o t o c o l s I n Mo l e c l a r B i o l o g y」 (1987) , J o hn Wi l e y & S o n s, I n c . I SBNO-471 -50338— X等に記載される通常の方法に準じてべ クタ一にクローユングすることができる。 具体的には例えば I n v i t r o g e n 製の T Aクローエングキットに含まれるプラスミドベクターや S t r a t a g e n e製の; B l u e s c r i p t l lなどのプラスミドべクターを用いてクローニン グすることができる。 クローニングされた DNAの塩基配列は、 F. S a n g e r , . N 1 c k 1 e n, A. R. C o u i s o n^- P r o c e e d i n g s o f Na t i o n a l Ac a d emy o f S c i e n c e U. S. A. ( 1 977) , 74, 5463— 5467等に記載されるダイデォキシターミネーテ ィング法などにより分析することができる。
次に、 ハイプリダイゼーシヨン法を用いて本努明プロモーターを調製する方法に ついて説明する。
まず、 プローブに用いる DNAを標識する。 プローブに用いる DNAとしては、 調製しようとするプロモーターの塩基配列の少なくとも一部を有する DNA、 例え ば、 配列番号 33又は 35で示される塩基配列もしくはその連続した一部の塩基配 列からなる DN Aであってその鎖長が 20塩基以上 160塩基以下である DNA、 前記 DNAの塩基配列において 1個もしくは複数個の塩基が欠失、 置換もしくは付 加された塩基配列からなる DNA、 前記 DNAとストリンジェントな条件下にハイ プリダイズする DN A等を挙げることができる。
具体的には、 配列番号 33の塩基番号 1番から 600番で示される塩基配列から なる DNA、 配列番号 33の塩基番号 400番から 1 100番で示される塩基配列 からなる DNA、 配列番号 33の塩基番号 900番から 1600番で示される塩基 配列からなる DNA、 配列番号 33の塩基番号 1400番から 2100番で示され る塩基配列からなる D N A、 配列番号 33の塩基番号 1900番から 2600番で 示される塩基配列からなる DNA、 配列番号 33の塩基番号 2400番から 300 0番で示される塩基配列からなる D N A等を挙げることができる。
また、 配列番号 35の塩基番号 1番から 600番で示される塩基配列からなる D NA、 配列番号 35の塩基番号 400番から 1 100番で示される塩基配列からな る DNA、 配列番号 35の塩基番号 900番から 1600番で示される塩基配列か らなる DNA、 配列番号 35の塩基番号 1400番から 2100番で示される塩基 配列からなる DNA、 配列番号 35の塩基番号 1900番から 2600番で示され る塩基配列からなる DNA、 配列番号 35の塩基番号 2400番から 3000番で 示される塩基配列からなる DN A等を挙げることができる。
プローブに用いる前記 DNAは、 例えば、 化学合成法、 PCR、 ハイブリダィゼ ーシヨン法等、 「本発明プロモーターの調製方法」 として前述した通常の DNAの 調製方法によって得ることができる。 なお、 プローブに用いる前記 DNAは、 それ 自身が例えば配列番号 2で示されるァミノ酸配列を有する PGC1ひ bをコードする遺 伝子の転写を制御する能力を有していても良い。
プローブに用いる前記 DNAを放射性同位元素により標識するには、 例えば、 ベ 一リンガー製、 宝酒造製の R a n d om L a b e l l i n g K i t等を用いる ことができ、 通常の PCR反応組成中の d CTPを [α— 32P] dCTPに替えて 、 プローブに用いる前記 DNAを铸型にして PCR反応を行うことにより、 標識を 行うこともできる。 また、 プローブに用いる DNAを蛍光色素で標識する場合には 例えば、 ECL D i r e c t Nu c l e i c Ac i d L a b e l l i n g a n d D i t e c t i o n Sy s t em (Am e r s h am P h a r m a c i a B i o t e c h製) 等を用いることができる。 プローブをハイブリダィズ させる DNAライプラリーとしては、 例えば、 ラットなどのげつ歯類等の動物由来 のゲノム DNAライブラリ一等を使用することができる。 当該 DNAライプラリー
には、 市販のゲノム DNAライブラリーを用いることもできるし、 また 「Mo 1 e c u l a r C 1 o n i ii g : A L a b o r a t o r y Ma nu a l 2 n d e d i t i o n」 (1 989) , Co l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s sや 「 Cu r r e n t P r o t o c o l s I n Mo l e c u l a r B i o l o g y」 (1987) , J o hn Wi l e y &
S o n s, I n c. I S B N 0— 471— 50338—X等に記載される通常の ライブラリ一作製法に従い、 例えば、 S t r a t a g e n e製の F I X I I 、 λ EMBL 3、 λ EMBL4、 λ DASH I I等の λベクターを用い、 G i g a p a c k p a c k a g i n g Ex t r a c t s (S t r a t a g e n e製) 等を i n v i t r oパッケージングに用いてゲノム DNAライプラリーを 作製し、 これを用いることもできる。 .
ハイブリダイゼーション方法としては、 コロニーハイプリダイゼーションゃプラ ークハイプリダイゼーシヨンをあげることができ、 ライブラリーの作製に用いられ たベクターの種類に応じて方法を選択するとよレ、。 例えば、 使用されるライブラリ 一がプラスミドベクターで構築されたライブラリーである場合には、 コロニーハイ プリダイゼーシヨンを行うことができる。 具体的にはまず、 ライブラリーの DN A を宿主微生物に導入して形質転換細胞を取得し、 得られた形質転換細胞を希釈して 寒天培地にまき、 コロニーが現れるまで 37 °Cで培養を行う。 また、 使用されるラ イブラリーがファージベクターで構築されたライブラリーである場合には、 プラー クハイプリダイゼーシヨンを行うことができる。 具体的にはまず、 宿主微生物とラ ィブラリーのファージを感染可能な条件下で混合した後さらに軟寒天培地と混合し 、 これを寒天培地上にまく。 その後プラークが現れるまで 37°Cで培養を行う。 よ り具体的には、 例えば、 Mo l e c u l a r C l o n i n g 2 n d e d i t i o n (J. S amb r o o k, E. F . F r i s c h, T. Ma n i a t i s著、 Co l d Sp r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s 1989年) 2. 60から 2. 65等に記載されている方法に準じて、 . N Z Y 寒天培地に寒天培地 1 mm2当り 0. 1〜1. O p f uの密度で、 約 9. 0 X 105 p f uのファージライプラリーを広げ、 37°Cで 6〜10時間培養する。
次いで、 前記のいずれのハイプリダイゼーシヨン法を用いた場合も、 前述の培養
を行った寒天培地の表面にメンブレンフィルターをのせ、 プラスミドを保有する形 質転換細胞やファージを当該メンプレンフィルターに転写する。 このメンブレンフ ィルターをアルカリ処理した後、 中和処理し、 次いで、 DNAを当該フィルターに 固定する処理を行う。 より具体的には例えば、 プラークハイブリダィゼーシヨンの 場合には、 クローユングとシークェンス :植物バイオテクノロジー実験マニュアル (渡 ¾、 杉浦編集、 農村文化社 1 9 8 9年) 等に記載の通常の方法に準じて、 前記 寒天培地の上にニトロセルロースフィルター又はナイロンフィルタ一等、 例えば、 H y b o n d— N+ (Am e r s h a m P h a r ma c i a B i o t e c h製 ) を置き、 約 1分間静置してファージ粒子をメンブレンフィルターに吸着させる。 次に、 当該フィルターをアルカリ溶液 (1. 5 M塩化ナトリウム、 0. 5N水酸化 ナトリゥム) に約 3分間浸してファージ粒子を溶解させてファージ DNAをフィル ター上に溶出させた後、 中和溶液 (1. 5M塩化ナトリウム、 0. 5Mトリス塩酸 、 p H7. 5) に約 5分間浸す処理を行う。 当該フィルターを洗浄溶液 (3 00m M塩化ナトリウム、 3 OmMクェン酸ナトリウム、 200mMトリス塩酸) で約 5 分間洗つた後、 例えば、 約 8 0 °Cで約 9 0分間べ一キングすることによりファージ DNAをフィルターに固定する。 このように調製されたフィルターと、 前記プロ一 ブとを用いてハイプリダイゼーシヨンを行う。 ハイブリダイゼーションを行う際の 試薬及ぴ温度条件は、 例えば、 D. M. G 1 o V e r編 「DNA c l o n i n g , a r a c t i c a l a p p r o a c h」 I R L PRE S S (1 9 8 5) I S BN 0— 94 7 9 4 6— 1 8— 7、 クローエングとシークェンス :植 物バイオテクノロジー実験マニュアル (渡辺、 杉浦編集、 農村文化社 1 9 8 9年) 、 または、 Mo l e c u l a r C l o n i n g 2 n d e d i t i o n (J . S a mb r o o k, E. F. F r i s c h, T. Ma n i a t i s著、 C o l d S p r i n g H a r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 1 9 8 9年) 等の記載の方法に準じて行うことができる。 例えば、 4 5 0〜 9 0 OmMの塩化ナ トリウム、 4 5〜 9 OmMのクェン酸ナトリウムを含み、 ドデシル硫酸ナトリウム (SD S) を 0. 1〜1. 0% (W/V) の濃度で含み、 変性した非特異的 DN A を 0〜2 0 0 g/mLの濃度で含み、 場合によってはアルブミン、 フイコール、 ポリビュルピロリ ドン等をそれぞれ 0〜0. 2% (W/V) の濃度で含んでいても
よいプレハイブリダイゼーション溶液、 好ましくは、 900 mMの塩化ナトリウム 、 9 OmMのクェン酸ナトリウム、 1% (W/V) の SD Sおよび 100 gZm Lの変性 C a l f — t hymu s DNAを含むプレハイブリダイゼーション溶液 を、 前記のようにして作製したフィルター 1 cm2当り 50〜200/x Lの割合で 準備し、 当該溶液に前記フィルターを浸して 42〜 68 °Cで 1〜 4時間、 好ましく は、 45 °Cで 2時間保温する。 次いで、 例えば、 450〜900 mMの塩化ナトリ ゥム、 45〜 9 OmMのクェン酸ナトリウムを含み、 SDSを 0. 1〜1. 0% ( W/V) の濃度で含み、 変性した非特異的 DNAを 0〜200 μ gZniLの濃度で 含み、 場合によってはアルブミン、 フイコール、 ポリビニルピロリ ドン等をそれぞ れ 0〜0. 2% (W/V) の濃度で含んでいてもよいハイプリダイゼーシヨン溶液 、 好ましくは、 90 OmMの塩化ナトリウム、 9 OmMのクェン酸ナトリウム、 1 % (W/V) の SDSおよび: L O O/i g /m Lの変性 C a 1 f - t hymu s D N Aを含むハイプリダイゼーシヨン溶液と、 前述の方法で調製して得られたプロ一 プ (フィルター 1 cm2当り 1. 0X 104〜2. 0 X 106 c p m相当量) とを混 合した溶液をフィルター l cm2当り 50〜200/_i Lの割合で準備し、 当該溶液 にフィルターを浸し 42〜 68 °Cで 4〜 20時間、 好ましくは、 45 で 16時間 保温しハイブリダイゼーション反応を行う。 当該ハイプリダイゼーション反応後、 フイノレターを取り出し、 15〜 30 OmMの塩ィ匕ナトリウム、 1. 5〜30mMの クェン酸ナトリウム、 および 0. 1〜1. 0% (W/V) の SDS等を含む 42〜 68 °Cの洗浄溶液等、 好ましくは、 300 mMの塩化ナトリウム、 30 mMのタエ ン酸ナトリウム、 および 1 % (W/V) の S D Sを含む 55。Cの洗浄溶液で、 10 〜 60分間のフィルタ一洗浄を 1〜 4回、 好ましくは 15分間の洗浄を 2回行う。 さらに、 フィルターを 2 X S SC溶液 (30 OmM塩化ナトリウム、 および 30m Mクェン酸ナトリウムを含む。 ) で軽くすすいだのち乾燥させる。 このフィルター を、 例えば、 オートラジオグラフィーなどに供してフィルター上のプローブの位置 を検出することにより、 用いたプローブとハイブリダィズする D N Aのフィルター 上の位置を検出する。 検出された DNAのフィルター上の位置に相当するクローン をもとの寒天培地上で特定しこれを釣菌することにより、 当該 DN Aを有するクロ 一ンを単離することができる。 具体的には例えば、 フィルターをイメージングプレ
ート (富士フィルム) に 4時間露光させ、 次いで当該プレートを、 BAS 2000 (富士フィルム) を用いて解析し、 シグナルを検出する。 フィルターの作製に用い た寒天培地のうち、 シグナルが検出された位置に相当する部分を約 5mm角にくり 抜き、 これを約 500 Lの SMバッファー (5 OmMトリス一塩酸 pH7. 5、 0. 1M塩化ナトリウム、 7 mM硫酸マグネシウム、 および 0. 01% (W/V) ゼラチンを含む。 ) に 2〜16時間、 好ましくは 3時間浸してファージ粒子を溶出 させる。 得られたファージ粒子溶出液を Mo l e c u l a r C l o n i n g 2 n d e d i t i o n ( J . S amb r o o k, E. F. F r i s c h, T. Ma n i a t i s著、 Co l d Sp r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 1 989年) 2. 60から 2. 65に記載の方法に準じて寒天培地 に広げ、 37°Cで 6〜10時間培養する。 この寒天培地を用いて前述の方法と同様 の方法でファージ D N Aをフィルターに固定し、 このフィルタ一と前述のプローブ を用いてハイブリダイゼーシヨンを行う。 フィルターの作製に用いた寒天培地のう ちの、 シグナルが検出された位置に相当する部分からファージ粒子を溶出し、 これ を寒天培地に広げ、 前述の方法と同様にフィルターを作製し、 ハイプリダイゼーシ ヨンを行う。 このようなファージクローンの特定と純化を繰り返すことにより、 用 いたプローブとハイブリダイズする塩基配列からなる D N Aを含むファージクロー ンが得られる。 前述のようなハイプリダイゼーションによるスクリーニングを行う ことにより得られたクローンの保有する DNAは、 DN A調製や解析が容易なブラ スミドベクター、 例えば市販の pUC l 8、 pUC 19、 p B LUE S CR I PT KS十、 B LUE S CR I PT KS_ 等にサプクローニングして、 プラス ミド DNAを調製し、 F. S a n g e r, S. N i c k l e n, A. R. C o u 1 s o n著、 P r o c e e d i n g s o f Na t i o n a l Ac a d emy o f S c i e n c e U. S. A. (1977) , 74, 5463— 5467等 に記載されるダイデォキシターミネ一ティング法を用いてその塩基配列を決定する ことができる。 塩基配列分析に用いる試料の調製は、 例えば、 Mo 1 e c u 1 a r C l o n i n g 2n d e d i t i o n ( J . S amb r o o k, E. F . F r i s c h, T. Ma n i a t i s著、 Co l d Sp r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 1 989年) 13. 15等に記載されている
プライマ一エクステンション法に準じて行うことができる。 また、 ファージクロー ンを M o l e c u l a r C l o n i n g 2 n d e d i t i o n J . S a m b r o o k, E. F. F r i s c h, T. Ma n i a t i s著、 C o l d S p r i n g H a r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 1 9 8 9年) 2. 6 0力 ら 2. 6 5等に記載の方法に準じて N Z YM液体培地で増幅し、 ファ一ジ液を 調製して、 これから例えば、 L amb d a— TRAP P LUS DNA I s o l a t i o n K i t (C l o n t e c h製) 等を用いてファージクローン DNAを 抽出し、 当該 DNAを铸型として、 例えば前述のプライマーエクステンション法に より塩基配列分析用の試料を調製し、 塩基配列を分析することもできる。 このよう にして得られる DN Aの転写を制御する能力は、 後述のようにして確認することも できる。 尚、 本願において 「転写を制.御する能力」 とは、 例えば、 プロモーターの 下流に位置する遺伝子の転写を開始させる活性等を意味する (以下、 プロモーター 活性と記すこともある。 ) 。
本発明プロモーターは、 配列番号 3 3の塩基番号 1番から 3 0 0 0番又は配列番 号 3 5の塩基番号 1番から 3 0 2 2番で示される塩基配列からなる DNAを含むプ 口モーター等に変異を導入することによって作製しても良い。 具体的には、 例えば 、 A. G r e e n e r , M. C a l l a h a n、 S t r a t e g i e s (1 9 94 ) 7 , 3 2— 34等に記載される方法を用いてランダムに変異を導入することによ つて取得することができ、 W. K r a me r , e t a 1. Nu c l e i c A c i d s R e s e a r c h ( 1 9 84) 1 2, 9 44 1もしくは W. K r a m e r , H. J . F r i t s、 Me t h o d s i n E n z ymo 1 o g y (1 9 8 7) 1 54, 3 5 0等に記載のギャップド 'デュープレックス (g a p p e d d u 1 e x) 法、 または T. A. Ku n k e l、 P r o c . o f N a t l . A c a d. S c i . U. S. A. (1 9 8 5) 8 2, 4 8 8もしくは T. A. u n k e l , e t a l . 、 Me t h o d s i n E n z ymo l o g y (l 9 8 7) 1 5 4, 3 6 7等に記載のクンケル (K u n k e 1 ) 法を用いて部位特異 的に変異を導入することによって取得することができる。 あるいは、 配列番号 3 3 で示される塩基配列からなる DNAを含むプロモーター等のうち 1ケ所ないし数力 所の部分塩基配列を、 他のプロモーターの、 DN Aの一部と入れ換えたキメラ DN
Aを作製することによって取得することができ、 例えば、 S. He n i k o f f , e t a 1. 、 G e n e (1 9 84) 28, 3 5 1、 C. Y a n i s c h— P e r r o n, e t a l . 、 G e n e (1 985) 33, 1 0 3等に記載された方法 を用いることができる。
本明細書において、 「プロモーターの下流 (3,側) に当該プロモーターによつ て転写が制御される遺伝子」 とは、 前記プロモーターによって、 転写が開始する遺 伝子であれば特に限定は無いが、 具体的には、 PGCla b遺伝子又は後述するレポ一 タージーンアツセィに用いられるレポータ一遺伝子等を挙げることができる。 ここで、 PGCla b遺伝子には、 配列番号 2で示されるヒト PGCI CK bをコードする 、 配列番号 1で示される塩基配列からなるヒト PGClab遺伝子のみならず、 その同 族体 (ホモログ) および変異体等が包含される。 例えば、 同族体 (ホモログ) とし ては、 ヒトのタンパク質に対応するマウスゃラットなど他生物種のタンパク質が例 示でき、 これら【ま HomoloGene (http: //www. ncbi. nlra. nih. gov/HomoloGene/) により同定された遺伝子の塩基配列から演繹的に同定することができる。 具体的に は、 配列番号 4で示されるマウス PGC1 α bをコードする、 配列番号 3で示される塩 基配列からなるマウス PGC1ひ b遺伝子、 又は配列番号 6で示されるラット PGC 1ひ bを コードする、 配列番号 5で示される塩基配列からなるラット PGC1 a b遺伝子を挙げ ることができる。
前記の種々の方法で調製される本発明プロモーターを、 通常の方法、 例えば、 「田村隆明著 (羊土社刊) 、 新転写制御のメカニズム (2000年) 」 3 3〜40 頁、 「野村慎太郎、 渡辺俊樹監修著 (秀潤社刊) 、 脱アイソトープ実験プロトコ一 ル (1998年) 」 等に記載された方法に準じて、 プロモーター活性を維持したまま、 その一部分の塩基を欠失させて得られる (即ち、 適当な制限酵素を用いて切り出す ことにより調製される) DNAも本発明プロモーターとして使用することができる 。 得られた DNAの、 PGC1ひ b遺伝子の転写を制御する能力は後述する方法により 確認することができる。
本発明プロモーターを機能可能な形で含有する発現ベクターも又、 本発明の範疇 である。 当該発現ベクターとしては、 後述するプラスミド等を挙げることができる 。 すなわち、 本発明プロモーターを揷入するためのプラスミドとしては、 所望の細
胞内で機能可能なプラスミドであれば良く、 当該プラスミドが導入された細胞を選 択するためのマーカー遺伝子 (例えば、 カナマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシ ン耐性遺伝子又はネオマイシン耐性遺伝子等) を含んでいてもよい。 また、 前記プ ラスミドにおいて、 本発明プロモーターおょぴ所望の遺伝子がプラスミド上で機能 可能な形で連結されるような位置、 例えば当該プロモーターを揷入する部位の下流 に遺伝子挿入部位がさらに有ると、 所望の遺伝子を細胞内で発現させるためのブラ スミ ドの構築等に好ましく利用できる。 ここで遺伝子挿入部位とは、 例えば、 遺伝 子工学的手法で通常用いられる制限酵素が特異的に認識切断可能な塩基配列であり 、 本発明プロモーターを有するプラスミ ド上に唯一存在する種類の制限酵素認識配 列が好ましい。 当該プラスミドとして具体的には、 例えば、 pUC系プラスミド [ pUC 1 18, pUC 1 19 (宝酒造製) など] 、 p SC 101系プラスミド、 T i一プラスミド [p B I l O l, B I 121 (C l o n t e c h製) など] 、 p BR 322プラスミド (B o e h r i n g e r Ma nnh e i m製) 、 c DN A 3プラスミド (I n v i t r o g e n製) 等が挙げられる。
本発明プロモーターの前記プラスミドへの挿入は、 通常の方法、 例えば 「Mo 1 e c u l a r C l o n i n g : Α· L a b o r a t o r y Ma n u a l 2 n d e d i t i o nj (1989) , Co l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s s、 「 Cu r r e n t P r o t o c o l s I n Mo l e c u l a r B i o l o g y」 (1987) , J o h n Wi l e y & S o n s, I n c. I S B N 0— 471— 50338— X等に記載される方法 に準じて行うことができる。
また、 例えば前記プラスミドのうち本発明プロモーターの制御下にルシフェラー ゼ遺伝子等のレポーター遺伝子を含むプラスミドは、 当該プラスミド中の本発明プ 口モーターのプロモーター活性を測定する場合に好ましく利用することができる。 具体的には、 ルシフェラーゼ遺伝子を含む市販のプラスミ ド、 例えば、 pGL 3— b a s i c (P r ome g a製) P i c aGe n e B a s i c Ve c t o r (東洋インキ製) 等のプラスミドを使って作製することができる。 具体的には、 p GL 3— b a s i cの遺伝子揷入部位に通常の方法により本発明プロモーターを機 能可能な形で揷入することにより、 本発明プロモーターの制御下にルシフェラーゼ
遺伝子を含むプラスミドを作製することができる。
前記の本発明プロモーターを含有する本発明の発現ベクターが導入されてなる本 発明形質転換細胞の調製方法について以下に説明する。
本発明プロモーター又は本発明発現ベクターを導入する宿主細胞としては、 大腸 菌、 酵母、 植物細胞、 動物細胞等の細胞を挙げることができ、 本発明プロモーター 又は本発明発現べクターが細胞内で増幅可能な形態を保てる細胞であればよい。 好 ましくは動物細胞、 特に好ましくは骨格筋由来細胞を挙げることができる。 本発明 プロモーター又は本発明発現ベクターの宿主細胞への導入法としては、 細胞に応じ た導入方法を適用することができ、 例えば動物細胞にはりん酸カルシウム法、 電気 導入法、 DEAEデキストラン法、 ミセル形成法などを適用することができる。 具 体的には例えば、 りん酸カルシウム ¾としては、 Gr imm, S. e t a 1. , P r o c. Na t l . Ac a d. S c i . USA, 93, 10923-1092 7等に記載の方法を挙げることができ、 電気導入法および DE A Eデキストラン法 としては、 T i n g, A. T. e t a 1. , EMB O J. , 15, 6189 -6196等に記載の方法を挙げることができ、 ミセル形成法としては、 Hawk i n s, C. J . e t a 1. , P r o. c. Na t l . Ac a d. S c i . US A, 93, 13786— 13790等に記載の方法を挙げることができる。 ミセル 形成法としては例えば、 リポフエクトァミン (G i b c oBRL製) やフュージー ン (B o e h r i n g e r Ma nnh e i m製) 等の市販の試薬を使用すること が可能である。
(V) 発現制御能力の評価方法
(V-1) プライマー又はプローブを用いる方法
また本発明は、 下記の工程 (1) 、 (2) 及び (3) の工程を含む PGClab遺伝 子の発現制御能力の評価方法を包含する。
(1) 被験物質と PGClab遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2) 被験物質を接触させた細胞の PGClab遺伝子の発現量を測定し、 該発現量を、 被験物質を接触させない対照細胞の上記遺伝子の発現量と比較する工程、
(3) (2) の比較結果に基づいて、 PGClab遺伝子の発現量を変動させるか否かを
指標として被験物質の PGC1 a b遺伝子の発現制御能力を評価する工程。
ここで用いられる PGCl a b遺伝子としては、 使用する細胞の内在性の PGCl a b遺伝 子、 外来遺伝子として細胞に導入された PGCl a b遺伝子のいずれでも良いが、 使用 する細胞の内在性の PGCl a b遺伝子が好ましい。 外来遺伝子として導入する場合、 P GCl a b遺伝子は用いられる細胞の由来動物種の PGCl a b遺伝子であることが好まし い。
かかるスクリーユングに用いられる細胞としては、 PGCl a b遺伝子を発現してい る細胞であれば特に限定は無いが、 例えば筋肉組織由来細胞、 前述の PGCl a b遺伝 子発現ベクターを導入されてなる形質転換細胞等が挙げられる。 由来動物種として は、 ラット、 マウス、 モルモット等のげつ歯類哺乳動物、 ィヌ、 サル、 ヒト等が挙 げられる。 ,
以上に挙げたような細胞の他、 細胞の集合体である組織 (例えば筋肉組織片) も 、 本発明のスクリーニングに用いられる 「細胞」 の範疇に含まれる。
被験物質となりえるものとしては、 制限されないが、 核酸、 ペプチド、 タンパク 質、 有機化合物、 無機化合物などであり、 スクリーニングは、 具体的には被験物質 を含む試料 (被験試料) を上記組織 Zまたは細胞と接触させて行うことができる。 力かる被験試料としては特に限定は無く、 細胞抽出液、 遺伝子ライブラリーの発現 産物、 合成低分子化合物、 合成ペプチド、 天然化合物、 土壌抽出液などが挙げられ るが、 これに制限されない。
前記の工程 ( 2 ) における 「対照細胞」 とは前記工程 ( 1 ) で用いられる PGCl a b遺伝子を発現可能な細胞において、 被験物質を接触させない場合の当該細胞を表 す。 「被験物質を接触させない場合」 には、 被験物質の代わりに被験物質と同量の 溶媒 (ブランク) を添加する場合や、 PGC1ひ b遺伝子の発現に影響を与えないネガ ティブコントローノレ物質を添加する場合も含まれる。
また、 被験物質と細胞とを接触させる条件は、 特に制限されないが、 該細胞が死 なないように、 その培養条件 (温度、 p H, 培地組成など) を大きく変化させない 条件を採用することが好ましい。
このような遺伝子の発現レベルの検出及び定量は、 前記細胞から調製した RNA又 はそれから転写された相補的なポリヌクレオチドを用いて、 ノ一ザンブロット法、
RT- PCR法など公知の方法で実施できる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、 具体的には、 PGCl a b遺伝子の塩基配列 において連続する少なくとも 15塩基を有するポリヌクレオチド及ぴ Z又はその相捕 的なポリヌクレオチドをプライマーまたはプローブとして用いることによって、 RN A中の PGCl a b遺伝子の発現の有無やその発現レベルを検出、 測定することができる ここで相補的なポリヌクレオチド (相補鎖、 逆鎖) とは、 PGCl a b遺伝子の全長 配列、 または該塩基配列において少なくとも連続した 1 5塩基長の塩基配列を有す るその部分配列 (ここでは便宜上、 これらを 「正鎮」 ともいう) に対して、 A : Tお よび G : Cといった塩基対関係に基づいて、 塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレ ォチドを意味するものである。 ただレ、 力かる相補鎖は、 対象とする正鎖の塩基配 列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、 対象とする正鎖とストリンジェント な条件でハイプリダイズすることができる程度の相補関係を有するものであっても よい。 なお、 ここでストリンジェントな条件は、 前述のとおりである。 具体的には 、 このような相補鎖として、 対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩 基配列からなる鎖、 並びに該鎖と少なくとも 90%、 好ましくは 95%の相同性を有す る塩基配列からなる鎖を例示することができる。 また、 正鎖側のポリヌクレオチドには、 PGC1 a b遺伝子の塩基配列またはその部 分配列を有するものだけでなく、 上記相補鎖の塩基配列に対してさらに相補的な関 係にある塩基配列からなる鎖を含めることができる。
さらに上記正鎖のポリヌクレオチド及び相補鎖 (逆鎖) のポリヌクレオチドは、 各々一本鎖の形態でプライマーもしくはプローブとして使用されても、 また二本鎖 の形態で使用されてもよレ、。
前記プライマーもしくはプローブは、 具体的にはヒト PGCl a b遺伝子の塩基配列 に関する配列番号 1に記載される塩基配列 (全長配列) からなるポリヌクレオチド であってもよいし、 その相捕配列からなるポリヌクレオチドであってもよい。 また 、 マウス PGCl a b遺伝子の塩基配列に関する配列番号 3に記載される塩基配列 (全 長配列) もしくはラット PGCl a b遺伝子の塩基配列に関する配列番号 5に記載され
る塩基配列 (全長配列) からなるポリヌクレオチドであってもよいし、 その相補配 列からなるポリヌクレオチドであってもよい。 更に、 前記各配列番号で示される PG C1ひ b遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチドを選択的に (特異的に ) 認識するものであれば、 上記全長配列若しくはその相補配列の部分配列からなる ポリヌクレオチドであってもよい。 この場合、 前記 (II) に記載のプライマーもし くはプローブを用いればよい。
なお、 ここで 「選択的に (特異的に) 認識する」 とは、 例えばノーザンプロット 法を用いた場合は、 PGC1 a b遺伝子またはこれらに由来するポリヌクレオチドが特 異的に検出できること、 また RT- PCR法を用いた場合は、 PGCl a b遺伝子またはこれ らに由来するポリヌクレオチドが特異的に生成されることを意味するが、 それに限 定されることなく、 当業者が上記検出物または生成物がこれらの遺伝子に由来する ものであると判断できるものであればよい。
上記のプローブもしくはプライマーは、 PGCl a b遺伝子の発現によって生じた R N Aまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に認識し増幅するためのプラ イマ一として、 または該 R N Aまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に 検出するためのプローブとして利用することができる。
具体的には、 前記プライマーもしくはプローブを放射性同位元素 (3 2 P、 3 3 Pなど : RI) や蛍光物質などで標識し、 それを、 常法に従ってナイロンメンプレン等にト ランスファーした細胞由来の RNAとハイブリダィズさせた後、 形成された前記プラ イマ一もしくはプローブ (DNAまたは醒) と R Aとの二重鎖を、 前記プライマーも しくはプローブの標識物 (RI若しくは蛍光物質) に由来するシグナルを放射線検出 器 (BAS- 180011、 富士フィルム社製) または蛍光検出器で検出、 測定する方法を例 示すること力 Sできる。 また、 AlkPhos Direct Labelling and Detection System (A mersham PharamciaBiotech社製)を用いて、 プロトコ一ノレに従って前記プローブを 標識し、 被験者の生体組織由来の RNAとハイプリダイズさせた後、 前記プローブの 標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメ一ジャー ST0RM860 (Amersham Pharm acia Biotech社製) で検出、 測定する方法を使用することもできる。
RT-PCR法を利用する場合は、 PGC1 a b遺伝子の塩基配列において連続する少なく とも 15塩基を有するポリヌクレオチド及ぴ Z又はその相補的なポリヌクレオチドを
プライマーとして用いることによって、 RNA中の PGClab遺伝子の発現の有無ゃ努現 レベルを検出、 測定することができる。 具体的には、 被験者の生体組織由来の RNA 力、ら常法に従って cDNAを調製して、 これを踌型として標的の PGClab遺伝子の領域 が増幅できるように、 PGClab遺伝子の配列に基づき調製した一対のプライマー ( 上記 c DNA (—鎖) に結合する正鎖、 +鎖に結合する逆鎖) をこれとハイブリダ ィズさせて、 常法に従って P C R法を行い、 得られた増幅ニ本鎮 DNAを検出する 方法を例示することができる。 なお、 増幅された二本鎖 DNAの検出は、 上記 P C Rを予め RIや蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行うことによつて産生 される標識二本鎖 DNAを検出する方法、 産生された二本鎖 DNAを常法に従って ナイロンメンプレン等にトランスファーさせて、 標識した前記プライマーをプロ一 ブとして使用してこれとハイブリダィズさせて検出する方法などを用いることがで きる。 なお、 生成された標識二本鎖 DNA産物はアジレント 2100バイオアナライザ (横河アナリティカルシステムズ社製) などで測定することができる。 また、 SYBR Green RT- PCR Reagents (Applied Biosystems社製)で該プロトコールに従って R T-PCR反応液を調製し、 ABI PRIME 7900 Sequence Detection System (Applied Bio systems社製)で反応させて、 該反応物を検出することもできる。
また、 PGClab遺伝子の遺伝子発現レベルは、 DNAチップを利用して検出あるいは 定量することもできる。 この場合、 前記の PGClab遺伝子を特異的に認識するポリ ヌクレオチドをチップのプローブとして使用することができる (例えば、 Affymetr ix社の Gene Chip Human Genome U95 A, B, C, D, Eの場合、 25bpの長さのポリヌクレオ チドプローブとして用いられる) 。 かかる DNAチップを、 本評価方法で用いる細胞 から調製される標識 DNAまたは標識 R Aとハイプリダイズさせて、 ハイブリダイズに よつて形成されたチップ上の前記プローブと標識 DNAまたは標識 RNAとの複合体を、 該標識 DNAまたは標識 R Aの標識を指標として検出することにより、 細胞での PGC1 a b遺伝子の発現の有無または発現レベル (発現量) が評価できる。
被験物質を添加した細胞における PGC1ひ b遺伝子の発現量が被験物質を添加しな い対照細胞での発現量と比較して 1.5倍以上、 好ましくは 2倍以上、 更に好ましくは 3倍以上であれば、 該被験物質は PGClabの発現誘導物質として選択することがで きる。 一方、 被験物質 (候補物質) を添カ卩した細胞における PGClab遺伝子の発現
PC漏 005/006544
45 が被験物質 (候補物質) を添加しない対照細胞での発現量と比較して 3/4倍以下、 好ましくは 1/2倍以下、 更に好ましくは 1/3倍以下であれば、 該被験物質は PGClab の発現抑制物質として選択することができる。
あるいは、 被験物質存在下における、 PGClab遺伝子の発現量 (以下、 測定値 1と 記す。 ) を、 被験物質非存在下における当該遺伝子の発現量 (以下、 測定値 2と記 す。 ) と比較することによって、 被験物質の PGCla b遺伝子の発現誘導活性もしく は発現抑制活性を評価することができる。 この場合、 前記測定値を用いて、 下記の 式に従って発現誘導率として求めるとよい。
発現誘導率 (%) = { (測定値 1一測定値 2) Z測定値 2} X I 00
被験物質の PGClab遺伝子発現誘導率が、 統計学的に有意な値を示す物質、 具体 的に好ましくは、 例えば、 30%以上を示す物質、 より好ましくは 50%以上を示 す物質を、 PGCla b発現誘導能力を有する物質として選抜する。 尚、 測定値が負の 値を示す場合、 当該被験物質は発現抑制物質である。
実施例に示すように、 筋肉細胞では、 運動刺激により特異的かつ迅速に PGClab 遺伝子が発現上昇している。 この知見は、 PGC1ひ b遺伝子の発現は糖代謝応答性で あることを示している。
よって、 本発明の評価方法で得られる PGC1ひ b遺伝子発現促進剤は、 後述する糖 代謝改善剤等として利用される。
(V - 2) 抗体を用いる方法
また、 本癸明は下記の工程 (1) 、 (2) 及び (3) の工程を含む、 PGClabの 発現制御能力の評価方法に関する:
( 1 ) 被験物質と PGC1 abを発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2) 被験物質を接触させた細胞の PGClabの発現量を測定し、 該発現量を、 被験物 質を接触させない対照細胞の PGC1 α bの発現量と比較する工程
(3) (2) の比較結果に基づいて、 PGClabの発現量を変動させるか否かを指標と して被験物質の PGC1 abの発現制御能力を評価する工程。
本発明スクリーニング方法に用いられる細胞は、 内在性および外来性を問わず、 PGClabを有する培養細胞全般を挙げることができる。 具体的には上記 (V- 1)項に 記載された細胞を挙げることができる。
PGC1ひ bの発現は PGC1 a b遺伝子発現産物であるタンパク質を検出することにより 、 容易に確認することができる。
本発明の評価方法にかかる PGC1ひ bの発現量は、 前記 (ΠΙ)に記載の抗体 (例え ば配列番号 2で表されるヒト PGC1 α b、 または配列番号 4もしくは 6で表されるそ のホモログを認識する抗体) を用いたウェスタンブ άット法等の公知方法に従って 定量できる。 ウェスタンプロット法は、 一次抗体として本発明の抗体を用いた後、 二次抗体として 1251などの放射性同位元素、 蛍光物質、 ホースラディッシュペルォ キシダーゼ (HRP)等の酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて標識し、 これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器 (BAI-1800II:富士フィルム社製な ど) 、 蛍光検出器などで測定することによって実施できる。 また、 一次抗体として 本発明の抗体を用いた後、 ECL Plus Western Blotting Detection System (アマシ ャム フアルマシアバイオテク社製) を利用して該プロトコールに従って検出し、 マルチバイオメージャー STORM860 (アマシャム ファルマシアバイォテク社製) で 測定することもできる。
被験物質となりえるもの、 または対照細胞としては、 前記 (V-1)と同じものが挙 げられる。
被験物質を添加した細胞における PGC1 a bの発現量が被験物質を添加しない対照 細胞での発現量と比較して 1. 5倍以上、 好ましくは 2倍以上、 更に好ましくは 3倍以 上であれば、 該被験物質は PGCl o! bの発現誘導物質として選択することができる。 一方、 被験物質 (候補物質) を添加した細胞における PGCl a bの発現が被験物質 ( 候補物質) を添加しない対照細胞での発現量と比較して 3/4倍以下、 好ましくは 1/2 倍以下、 更に好ましくは 1/3倍以下であれば、 該被験物質は PGC 1 ひ bの発現抑制物 質として選択することができる。
あるいは、 被験物質存在下における、 PGC1ひ bの発現量 (以下、 測定値 1と記す。 ) を、 被験物質非存在下における PGCl a bの発現量 (以下、 測定値 2と記す。 ) と 比較することによって、 当該被験物質の PGC1 a bの発現誘導活性もしくは発現抑制 活性を評価することができる。 この場合、 前記測定値を用いて、 下記の式に従って 発現誘導率として求めるとよい。
発現誘導率 (%) = { (測定値 1一測定値 2 ) /測定値 2 } X I 0 0
被験物質の PGCl a b発現誘導率が、 統計学的に有意な値を示す物質、 具体的に好 ましくは、 例えば、 3 0 %以上を示す物質、 より好ましくは 5 0 %以上を示す物質 を、 PGCl a b発現誘導能力を有する物質として選抜する。 尚、 測定値が負の値を示 す場合、 当該被験物質は発現抑制物質である。
(V - 3 )プロモーター活性を指標とする方法
また本発明は、 下記の工程 (1 ) 、 (2 ) 及び (3 ) を含む、 PGCl a b遺伝子の 発現制御能力の評価方法を包含する:
( 1 ) 被験物質と、 本発明のプロモーターを結合されてなるレポーター遺伝子を発 現可能な細胞とを接触させる工程、
( 2 ) 被験物質を接触させた細胞の前記レポーター遺伝子の発現量を測定し、 該発 現量を、 被験物質を接触させない対照細胞の前記レポーター遺伝子の発現量と比較 する工程、 及び
( 3 ) ( 2 ) の比較結果に基づいて、 前記レポーター遺伝子の発現量を変動させる か否かを指標として被験物質の PGC1 a b遺伝子の発現制御能力を評価する工程。 使用される細胞としては、 I 乳動物細胞を宿主とする本発明形質転換細胞が好ま しく、 哺乳動物の骨格筋由来細胞を宿主とする本発明形質転換細胞が特に好ましい 。 由来動物種としては、 ラット、 マウス、 モルモッ ト等のげつ歯類哺乳動物、 ィヌ 、 サル、 ヒ ト等が挙げられる。 以上に挙げたような細胞の他、 細胞の集合体である 組織 (例えば筋肉組織片) も、 本発明のスクリーニングに用いられる 「細胞」 の範 疇に含まれる。
前記形質転換細胞は、 以下のようにして調製することができる。
まず本発明プロモーターを、 グノレクロニダーゼ (GUS) 、 ルシフェラーゼ、 クロ ラムフエニコールトランスァセチラーゼ (CAT) 、 ;3 -ガラタトシダーゼ及ぴグリ一 ン蛍光蛋白質 (GFP) 等のレポーター遺伝子 (その発現を解析することができる遺 伝子) に機能可能な形で連結することにより、 本発明プロモーターを機能可能な形 で連結されてなるレポーター遺伝子を調製する。 ここで 「機能可能な形で連結する 」 とは、 ある遺伝子と一つまたはそれ以上の調節配列とが、 適した外来 のシグナ ル又は因子が調節配列に結合した時に遺伝子発現が可能となるような様式で連結す ることを意味する。 次に、 本発明プロモーターを機能可能な形で連結されてなるレ
ポーター遺伝子を通常の遺伝子工学的手法を用いて、 当該レポーター遺伝子を導入 する細胞において使用可能なベクターに揷入することにより、 プラスミドを作製す る。 次いで、 前記プラスミドを細胞へ導入する。 細胞への導入法としては、 例えば 、 リン酸カルシウム法、 電気導入法、 D E A Eデキストラン法、 ミセル形成法等を 挙げることができる。 リン酸カルシウム法としては Grimm, S. et al. , Proc. Natl . Acad. Sci. USA, 93, 10923- 10927等に記載される方法、 電気導入法及び D E A Eデキストラン法としては Ting, A. T. et al. , EMBO J. , 15, 6189- 6196等に記載 される方法、 ミセル形成法としては Hawkins, C. J. et al. , Proc. Natl. Acad. S ci. USA, 93, 13786- 13790等に記載される方法を挙げることができる。 ミセル形成 法を用いる場合には、 リポフエクトァミン (ギブコ製) やフュージーン (ベーリン ガー製) 等の市販の試薬を利用するとよい。
前記プラスミドの導入処理を施した細胞を、 例えば、 当該ベクターに予め含まれ る選抜マーカー遺伝子を利用し、 当該選択マーカー遺伝子に応じた選抜条件の培地 で培養することにより、 形質転換細胞を選抜することができる。
また、 前記形質転換細胞は、 後述する形質転換非ヒト動物の組織から通常の方法 により.調製してもよい。
被験物質となりえるものとしては、 制限されないが、 核酸、 ペプチド、 タンパク 質、 有機化合物、 無機化合物などであり、 スクリーニングは、 具体的には被験物質 を含む試料 (被験試料) を上記組織/または細胞と接触させて行うことができる。 かかる被験試料としては特に限定は無く、 細胞抽出液、 遺伝子ライブラリ一の発現 産物、 合成低分子化合物、 合成ペプチド、 天然化合物、 土壌抽出液などが挙げられ るが、 これに制限されない。
上記の工程 ( 1 ) において、 本発明プロモーターを機能可能な形で連結されてな るレポーター遺伝子を含有する細胞と接触させる被験物質の濃度は、 通常約 0 . 1 μ Μ〜約 1 0 0 μ Μであればよく、 約 1 μ Μ〜約 5 0 μ Μが好ましく、 約 1 μ Μ〜 約 1 Ο /i Mがより好ましい。 当該細胞と被験物質とを接触させる時間は、 通常、 約 1時間以上 5日程度であり、 数時間から 4日程度が好ましい。 好ましくは、 1 8時 間以上 6 0時間程度であり、 より好ましくは 2 4時間から 4 0時間程度が挙げられ る。
当該細胞と被験物質との接触は、 当該細胞が成育可能な条件で培養しながら行え ばよい。 例えば、 哺乳動物細胞を宿主とする本発明形質転換細胞の場合、 適宜ゥシ 胎児血清等の哺乳動物由来の血清を添加した D—MEM、 OPT I -MEM, RP MI 1 640培地 (G i b e o— BRL製) 等の市販の培地中で培養できる。 培養 は、 通常約 30°C〜約 40°C、 約 2% (V/V) -1 0% (V/V) 二酸化炭素存 在下で実施すればよく、 約 3 5。。〜約 3 7。C、 約 4 % (V/V) 〜約 6 % (V/V ) 二酸化炭素存在下で実施するのがより好ましい。
被験物質と接触させる際の当該細胞の細胞数は、 例えば 24ゥエルプレートを用 いる場合、 通常約 1 X 105個/ゥエル〜約 1 X 1 06個/ゥエルであればよく、 約 5 X 1 05個 ゥェル〜約 8 X 1 05個 ウエルが好ましい。
前記の工程 (2) における 「対照細胞」 とは、 前記工程 (1) で用いられるレポ 一ター遺伝子を発現可能な細胞において、 被験物質を接触させない場合の当該細胞 を表す。 「被験物質を接触させない場合」 には、 被験物質の代わりに被験物質と同 量の溶媒 (ブランク) を添加する場合や、 レポーター遺伝子の発現に影響を与えな いネガティブコントロール物質を添加する場合も含まれる。
また、 被験物質と細胞とを接触させる条件は、 特に制限されないが、 該細胞が死 なないように、 その培養条件 (温度、 pH、 培地組成など) を大きく変化させない 条件を採用することが好ましい。
上記の探索方法において、 「レポーター遺伝子の発現量をモニターする」 方法と しては、 前記形質転換細胞中におけるレポーター遺伝子の発現量を時間経過に沿つ て連続的に又は不連続に測定できる方法であればどのような方法であってもよい。 例えば、 レポーター遺伝子として酵素遺伝子を用いる場合には当該酵素の活性測定 を利用し、 またレポーター遺伝子の発現産物、 即ち当該遺伝子に対応する mRNA もしくは当該遺伝子に対応する蛋白質を検出する方法 (具体的にはノザンプロッテ イング、 ウェスタンブロッテイング等) 等を利用すればよい。
レポーター遺伝子として酵素遺伝子を用いる場合における当該酵素の活性測定を 利用する方法において、 使用され得るレポーター遺伝子としては、 例えば、 ルシフ エラーゼ遺伝子、 GF P (G r e e n F l u o r e s c e n t P r o t e i n ) 、 クロラムフエ-コールァセチルトランスフェラーゼ、 ]3ガラクトシダーゼ等、
発現生成した蛋白質の活性の測定が容易であるものを好ましく挙げることができる 。 レポーター遺伝子としてはルシフェラーゼ遺伝子を用いる場合には次のようにす ればよい。 (1 ) 例えば本発明プロモーターの制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含 む本発明プラスミドを導入された本発明形質転換細胞を数日間培養後、 当該細胞の 抽出物を得る。 (2 ) 当該抽出物をルシフ リンおよび A T Pと反応させて化学発 光させ、 その発光強度を測定することによりプロモーター活性を検出できる。 この 際、 ピツカジーンデュアルキット (東洋インキ製) 等の市販のルシフェラーゼ反応 検出キットを用いることができる。
前記のようにして、 前記細胞と被験物質との接触および前記細胞における本発明 プロモーターのプロモーター活性の測定を行い、 当該プロモーター活性の上昇また は低下が検出された場合、 当該被験物質を、 当該プロモーターに作用し当該プロモ 一タ一活性を制御する物質として選抜することができる。
すなわち、 被験物質存在下におけるレポーター遺伝子の発現量が、 被験物質非存 在下におけうるレポーター遺伝子の発現量よりも大きければ、 当該被験物質は、 本 発明プロモーターの機能を亢進する PGCl a b遺伝子の発現誘導剤であるとして評価 することができる。 一方、 被験物質存在下におけるレポーター遺伝子の発現量が、 被験物質非存在下におけるレポーター遺伝子の発現量よりも小さければ、 当該被験 物質は、 本発明プロモーターの機能を抑制する PGC1ひ b遺伝子の発現抑制剤である として評価することができる。
具体的には、 被験物質を添加した細胞におけるレポーター遺伝子の発現が被験物 質を添加しない対照細胞での発現量と比較して 1. 5倍以上、 好ましくは 2倍以上、 更 に好ましくは 3倍以上であれば、 該被験物質は PGC1 a b遺伝子の発現誘導物質とし て選択することができる。 一方、 被験物質 (候補物質) を添加した細胞におけるレ ポーター遺伝子の発現が被験物質 (候補物質) を添加しない対照細胞での発現量と 比較して 3/4倍以下、 好ましくは 1/2倍以下、 更に好ましくは 1/3倍以下であれば、 該被験物質は PGC 1 の発現抑制物質として選択することができる。
あるいは、 被験物質存在下における、 本発明プロモーターを機能可能な形で連結 されてなるレポーター遺伝子の発現量 (以下、 測定値 1と記す。 ) を、 被験物質非 存在下における当該レポーター遺伝子の発現量 (以下、 測定値 2と記す。 ) 'と比較
することによって、 当該被験物質の PGCl a b遺伝子の発現誘導活性もしくは発現抑 制活性を評価することができる。 この場合、 前記測定値を用いて、 下記の式に従つ て発現誘導率として求めるとよい。
発現誘導率 (%) = { (測定値 1一測定値 2 ) ノ測定値 2 } X 1 0 0
被験物質の PGCl a b遺伝子発現誘導率が、 統計学的に有意な値を示す物質、 具体 的に好ましくは、 例えば、 3 0 %以上を示す物質、 より好ましくは 5 0 %以上を示 す物質を、 PGCl a b発現誘導能力を有する物質として選抜する。 尚、 測定値が負の 値を示す場合、 当該被験物質は発現抑制物質である。 (VI) 糖代謝改善剤等の探索方法
本発明実施例に示されるように、 PGC1 a b遺伝子の発現が亢進することにより、 ミトコンドリァ活性化作用が生ずる。
従って、 前記 (V- 1) 〜 (V- 3) に記載の評価方法で評価された被験物質の PGCI CK b遺伝子もしくは PGCl a bの発現促進能力を指標として、 ミトコンドリア活性化能力 を有する物質、 すなわち糖代謝改善剤を選別する方法も又、 本発明の範疇である。 すなわち、 本発明は前記 (V- 1) 〜 (V- 3) に記載の評価方法で評価された被験物 質の PGC1 a b遺伝子もしくは PGC1 a bの発現誘導活性を指標として、 PGC1 a b遺伝子 又は PGCl a bの発現誘導物質 (発現量を増大させる物質)を、 ミトコンドリア活性化 能力を有する物質、 すなわち糖代謝改善剤として選択する工程を含む探索方法を提 供する。
ここでミトコンドリァ活性化能力とは前記と同義である。
また、 前記 (V-1) 〜 (V-3) に記載の評価方法で評価された被験物質の PGC1ひ b 遺伝子もしくは PGC1 a bの発現誘導活性を指標として、 PGC1 a b遺伝子又は PGC1 a b の発現誘導物質 (発現量を増大させる物質) を、 Glut4発現誘導活性を有する物質、 すなわち Glut4発現誘導剤として選択する工程を含む、 Glut4発現誘導剤の探索方法 を提供する。
Glut4は、 細胞における糖 (すなわちグルコース) の取り込みを制御するタンパ ク質であり、 Glut4の発現量が上昇することにより、 細胞外から細胞内へ、 トラン スポーターを介して糖が取り込まれ、 細胞へのエネルギーの補充が行われる。
運動によりエネルギーが消費される場合、 細胞内の AMPレベルが上昇し、 ATPレべ ルは低下する。 キナーゼの一種である AMPKはこのような環境下で活性が上昇する。 発明者らは、 PGClabの発現が運動により誘導され、 誘導された PGCloibは Glut4の 発現を誘導することを見出した。 更に AMPKを活性化することが知られている化合物 : 5— aminoimidazole— 4_carboxamide rebonucleosiae (AICAR)【こよつ飞も PGC1ひ b退 伝子が発現誘導されることを見出した (実施例 9を参照) 。
上記のように、 PGClab遺伝子もしくは PGClabの発現誘導物質は、 Glut4の発現 を誘導することによって、 細胞内への糖取り込みを促進する活性を有する。 PGClo; bは筋肉細胞特異的に発現しており、 PGC1 ab遺伝子もしくは PGC 1 abの発現誘導物 質は、 筋肉細胞における糖取り込みを選択的に促進することを特徴とする。
上記のこと力、ら、 PGC1 ab遺伝子もしくは PGC1 abの発現誘導物質は、 糖代謝改善 能力を有する。 すなわち、 本発明は PGClab遺伝子もしくは PGC1 bの発現誘導物質 (発現量を増大させる物質) を、 糖代謝改善能力を有する物質、 すなわち糖代謝改 善剤として選択する工程を含む、 糖代謝改善剤の探索方法を提供する。
本発明実施例に示されるように PGClabは、 筋肉細胞等に特異的に発現している 。 一方、 従来知られている PGCla aは筋肉細胞のみならず肝臓、 腎臓、 脳などの他 の組織細胞でも発現している。 従って、 PGClab遺伝子もしくは PGClabの発現を選 択的に誘導させる物質は、 筋肉細胞特異的に作用する糖代謝改善剤として非常に有 用である。 また、 PGClab遺伝子もしくは PGClabの発現を選択的に誘導または抑制 する物質は、 例えば当該遺伝子の翻訳産物の発現過少もしくは発現過多に起因する 疾患のための医薬として有用である。
従って、 糖代謝改善剤の候捕物質のうち、 被験物質を添加した細胞における PGC1 a a遺伝子の発現量が被験物質を添加しない対照細胞における当該遺伝子の発現量 と比較して、 有意な発現誘導もしくは発現抑制を示さない物質、 すなわち PGC1 a 遺伝子もしくは PGC1 a aの発現量を変動させない物質であるものを選別することが 望ましい。 尚、 被験物質が PGC1 aaの発現を誘導もしくは制御するかどうかは、 前 記 (V- 1) 〜 (V- 3)に記載の評価方法と同様の方法で、 被験物質の存在下及び非存 在下に PGC1 a aの発現レベルを定量することで判断することができる。
また、 前記 (V- 3)に記載の方法で評価することによって選別される、 本発明プロ
モーターを活性化する物質は、 本発明プロモータ一の制御下に連結した所望の D N A、 例えば前記 PGCl a b等の筋肉細胞における作用等を検討する際の転写調節剤と して利用することもできる。 (VII)予防剤、 改善剤及び治療剤
本発明の探索方法で得られる糖代謝改善剤は、 糖代謝の異常な低下の改善作用を 示す。
すなわち、 本発明の探索方法は、 インスリン抵抗性糖尿病、 及び/又は肥満等の 代謝性疾患の予防ノ改善 Z治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである 。
当該有効成分となる PGC1ひ b遺伝子もしくは PGCl a bの発現誘導物質もしくは発現 抑制物質 (これらをまとめて発現制御物質と称する。 ) は、 上記のスクリーニング 方法を利用して選別されたもののみならず、 選別された物質に関する情報に基づい て常法に従って工業的に製造されたものであってもよい。
上記探索方法によって選別される PGCl a b遺伝子もしくは PGCl a bの発現誘導剤の 候補物質の中から、 さらにィンスリン抵抗性糖尿病及び Z又は肥満等の代謝性糖代 謝疾患の改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を選別する方法としては、 従来公知である如何なる選別方法をも用いることができるが、 代表的な方法として 、 例えばインスリン負荷試験、 プドウ糖負荷試験を挙げることができる。
本発明遺伝子 ·タンパク質の発現制御物質は、 そのままもしくは自体公知の薬学 的に許容される担体 (賦形剤、 増量剤、 結合剤、 滑沢剤などが含まれる) や慣用の 添加剤などと混合して医薬組成物として調製することができる。 当該医薬組成物は 、 調製する形態 (錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 散剤、 顆粒剤、 シロップ剤などの経口 投与剤;注射剤、 点滴剤、 外用剤、 坐剤などの非経口投与剤) 等に応じて経口投与 または非経口投与することができる。 また投与量は、 有効成分の種類、 投与経路、 投与対象または患者の年齢、 体重、 症状などによって異なり一概に規定できないが 、 1日投与用量として、 数 m g〜2 g、 好ましくは数 +m g程度を、 1日 1〜数回 にわけて投与することができる。
また、 上記の物質が DNAによりコードされるものであれば、 該 DNAを遺伝子治療用
ベクターに組み込み、 遺伝子治療を行うことも考えられる。 これらの場合も、 投与 量、 投与方法は患者の体重や年齢、 症状などにより変動するが、 当業者であれば適 宜選択することが可能である。
上記遺伝子治療にっき詳述すれば、 該遺伝子治療は、 通常のこの種の遺伝子治療 と同様にして、 例えば PGC1 b遺伝子またはそれらの化学的修飾体 (以下本遺伝子 と称することがある。 ) を直接患者の体内に投与することにより目的遺伝子の発現 を制御する方法、 もしくはこれらの遺伝子を患者の標的細胞に導入することにより 該細胞による目的遺伝子の発現を制御する方法により実施できる。
ここで前記化学修飾体としては、 例えばホスホ口チォエート、 ホスホロジチォェ ート、 ァノレキ /レホスホトリエステノレ、 ァノレキノレホスホナート、 アルキルホスホアミ デートなどの、 細胞内への移行性また.は細胞内での安定性を高め得る誘導体 ("Ant isense RNA and DNA" WILEY— LISS刊、 1992年、 pp. 1—50、 J. Med. Chem. 36, :192 3-1937 (, 1993) )が含まれる。 これらは常法に従い合成することができる。
本遺伝子は、 その投与に当たり、 通常慣用される安定化剤、 緩衝液、 溶媒などを 用いて製剤化され得る。
本遺伝子を患者の標的細胞に導入する方法において、 用いられるポリヌクレオチ ドは、 好ましくは 100塩基以上、 より好ましくは 300塩基以上、 さらに好ましくは 50 0塩基以上の長さを有するものでミトコンドリァ活性化能力を有する蛋白質を発現 するものとすればよい。 また、 この方法は、 生体内の細胞に遺伝子を導入する in V ivo法および一旦体外に取り出した細胞に遺伝子を導入し、 該細胞を体内に戻す ex vivo法を包含する(日経サイエンス, 1994年 4月号, 20- 45頁、 月刊薬事, 36 (1) , 2 3-48 (1994)、 実験医学増刊, 12 (15), 全頁 (1994)など参照) 。 この内では in vi vo法が好ましく、 これには、 ウィルス的導入法 (組換えウィルスを用いる方法)と非 ウィルス的導入法がある (前記各文献参照)。
上記組換えウィルスを用いる方法としては、 例えばレトロウイルス、 アデノウィ ノレス、 アデノ関連ウィルス、 ヘルぺスウィルス、 ワクシニアウィルス、 ポリ.ォウイ ルス、 シンビスウイルスなどのウイルスゲノムに PGC1 a b遺伝子のポリヌクレオチ ドを組込んで生体内に導入する方法が挙げられる。 この中では、 レトロウイルス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルスなどを用いる方法が特に好ましい。 非ウイノレ
ス的導入法としては、 リボソーム法、 リポフエクチン法などが挙げられ、 特にリポ ソーム法が好ましい。 他の非ウィルス的導入法としては、 例えばマイクロインジェ クシヨン法、 リン酸カノレシゥム法、 エレクト口ポレーシヨン法なども挙げられる。 遺伝子治療用製剤組成物は、 本遺伝子又はこれらを含む組換えウィルスおよびこ れらウィルスが導入された感染細胞などを有効成分とするものである。 該組成物の 患者への投与形態、 投与経路などは、 治療目的とする疾患、 症状などに応じて適宜 決定できる。 例えば注射剤などの適当な投与形態で、 静脈、 動脈、 皮下、 筋肉内な どに投与することができ、 また患者の疾患対象部位に直接投与、 導入することもで きる。 in vivo法を採用する場合、 遺伝子治療用組成物は、 本遺伝子を含む注射剤 などの投与形態の他に、 例えば本遺伝子を含有するウィルスベクターをリボソーム または膜融合リボソームに包埋した形態(センダイウィルス(HVJ) -リボソームなど) とすることができる。 これらのリボソーム製剤形態には、 懸濁剤、 凍結剤、 遠心分 離濃縮凍結剤などが含まれる。 また、 遺伝子治療用糸且成物は、 本遺伝子を含有する ベクターを導入されたウィルスで感染された細胞培養液の形態とすることもできる 。 これら各種形態の製剤中の有効成分の投与量は、 治療目的である疾患の程度、 患 者の年齢、 体重などにより適宜調節することができる。'通常、 患者成人 1人当たり 約 0. 0001_100rag、 好ましくは約 0. 001- 10mgが数日ないし数力月に 1回投与される量 とすればよい。 本遺伝子を含むレトロウイルスベクターの場合は、 レトロウイルス 力価として、 1日患者体重 lkg当たり約 I x l03pfu_l x l01 5 pfuとなる量範囲から選ぶ ことができる。 本遺伝子を導入した細胞の場合は、 1 104細胞/1>0^7-1 101 5細胞/ body程度を投与すればよい。
(VIII) 本発明プロモーターと結合する物質の探索方法
本発明は、 以下の (1 ) 及び (2 ) の工程を有することを特徴とする、 本発明プ 口モーターと結合する物質の探索方法を包含する:
( 1 ) 〔5〕 記載のプロモーターと被験物質とを接触させる工程、
( 2 ) 前記 (1 ) の工程後に、 当該プロモーターと被験物質との複合体生成の有無 を調べる工程。
本発明プロモーターと被験物質とを接触させる工程 (1 ) に使用されるプロモー
タ一は、 例えば市販の D N A標識キットを用い、 ラジォアイソトープ若しくは蛍光 色素化合物で標識したものを用いることができ、 当該プロモーターと被験物質との 複合体の検出が容易になる点で好ましい。 当該プロモーターを放射性同位元素によ り標識するには、 例えば、 市販の R a n d om La b e l l i n g K i t等を 用いることができ、 通常の P.CR反応組成中の dCTPを [a— 32P] dCTPに 替えて、 当該 DNAを铸型にして PC R反応を行うことにより、 標識を行うことも できる。 また、 当該 DNAを蛍光色素で標識する場合には例えば、 ECL D i r e c t Nu c l e i c Ac i d L a b e l l i n g a n d D e t e c t i o n S y s t em等を用いることができる。
当該プロモーターと被験物質とを、 約 4°C〜約 37°C、 好ましくは約 20°C〜約
30 °Cで、 約 5分間〜約 60分間、 好ましくは約 10分間〜約 30分間適当なバッ ファー中、 例えばトリス、 He p e s、 ME S等のバッファ一中、 好ましくは He p e sバッファ一中で接触させる。 被験物質の濃度は通常約 0. l μM〜約l, 0 Ο Ο μΜであればよく、 1 μ Μ〜 100 Μが好ましい。 当該 DNAの量は通常約 1 f mo 1〜約 10 f m o 1であればよく、 2 f mo l〜7 f mo lが好ましい。 当該プロモーターと被験物質との複合体生成の有無を調べる方法としては、 ゲル シフト法、 フットプリント法、 B I ACORE法等を挙げることができる。 被験物 質が比較的高分子量の化合物 (例えばタンパク質、 DNA等) の場合、 ゲルシフト 法、 フットプリント法等を用いるとよい。 被験物質が比較的低分子量の化合物の場 合、 B I AC ORE法、 例えば 「永田和宏 ·半田宏共著 生体物質相互作用のリア ルタイム解析実験法一 B I ACOREを中心に一 シュプリンガー ·フエアラーク 東京株式会社」 記載の方法を用いるとよい。 例えば、 ゲルシフト法の場合、 先ず当 該 D N Aと被験物質混合液を、 通常の方法でポリアクリルアミドゲル電気泳動に供 する。 電気泳動後のポリアクリルアミドゲルを乾燥した後、 例えば、 オートラジオ グラフィーなどに供してゲル上の当該 DNAの位置を検出することにより、 当該 D NAと被験物質が結合しているかどうか調べることが出来る。 具体的には例えば、 乾燥したゲルをィメ一ジングプレートに約 1時間〜約 1晚、 より好ましくは 6〜 8 時間感光し、 B AS 2000で画像イメージを取得する。 被験物質が当該プロモー ターと結合した場合、 プロモータ^ ^一被験物質複合体の移動度が遊離のプロモータ
一より小さくなり、 画像イメージ上のバンドのシフトが起こる。 バンドのシフトが 検出された場合の被験物質を、 本発明プロモーターと結合する物質として選抜する ことが出来る。 当該結合物質は、 本発明プロモーターに結合できることから、 本発 明プロモーターのプロモーター活性を制御し得る。 さらに、 本発明プロモーターの 制御下にある遺伝子の細胞内での発現を制御し得る。 具体的には、 本発明プロモー ターに結合する転写因子等が挙げられる。 よって、 当該物質は、 当該遺伝子の翻訳 産物の発現過多もしくは発現過少に起因する疾患のための医薬として有用である。 また、 本発明プロモーターの制御下に連結した所望の D NA、 例えば骨格筋との関 連が推定される D NA等の骨格筋における作用ゃミトコンドリア活性化への影響を 検寸する際の転写調節剤として利用することもできる。
前記被験物質としては、 特に限定は無く、 例えば上記 (V-1)に記載の物質を用い ることができる。
(IX) 本発明のプロモーターと結合する物質の精製方法
また、 本発明は、 以下の (1 ) 及び (2 ) の工程を含む、 本発明のプロモーター と結合する物質の精製方法に関する:
( 1 ) 〔5〕 記載のプロモーターと試料とを接触させて、 当該プロモーターと当該 試料中に含有される当該プロモーターと結合する物質との複合体を生成させる工程 、 及び、
( 2 ) 前記 (1 ) の工程後、 生成させた複合体から当該結合物質を単離する工程、 を有することを特徴とする精製方法。
本発明精製方法について以下に説明する。
本発明精製方法は、 本発明プロモーターと試料とを接触させて、 当該プロモータ 一と当該試料中に含有される当該プロモーターと結合する物質との複合体を生成さ せる第一工程、 及び、 前記第一工程後、 生成させた複合体から当該結合物質を単離 する第二工程を含む。 .
本発明プロモーターと試料とを接触させる際には、 通常、 当該プロモーターを担 体に結合させた形態で試料との接触を行うと、 当該プロモーターもしくは当該プロ モーターと結合物質との複合体を容易に回収できる点で好ましい。 当該プロモータ
一を結合させる担体の種類は特に限定されないが、 例えば、 市販のァフィ二ティー クロマトグラフィー用担体、 好ましくは臭化シアン活性化セファロース 4 B (Am e r s h a m P h a r m a c i a B i o t e c h製) 等を使用することができ る。 当該プロモーターを担体に結合させる場合には、 当該プロモーターを直接担体 に結合させる方法と、 スぺーサーを介して結合させる方法がある。 結合させる際の 条件は、 例えば、 当該プロモーターと臭化シアン活性化セファロース 4 Bを混合し 、 約 4 °C〜約 1 0 °Cで 1晚 1 0 0 0 r p mで撹拌し、 当該プロモーターをセファロ ース上に固定する。 ついで、 未反応の臭化シアンの活性基を無くすために、 ァミノ 基を持つ化合物を含んだバッファー、 例えば、 1 Mグリシンを含む炭酸水素ナトリ ゥム溶液中で、 例えば約 4 °C〜約 1 0 °Cで 1晚放置する。 得られたゲルは、 通常の バッチ法により試料と接触させてもよ.く、 また、 そのゲルを市販のクロマトグラフ 管に充填することで、 本発明プロモーターと結合する物質用ァフィ二ティーカラム を作製し、 通常のカラムクロマトグラフィー法により試料と接触させてもよい。 例えば、 カラムクロマトグラフィ一法で接触■単離を行う場合、 前記した試料を ァフィ二ティーカラムに供し当該プロモーターとプロモーター結合物質の複合体を 形成せしめた後、 担体の洗浄、 結合物質の溶出を通常の方法で行うことで、 結合物 質を単離することができる。 具体的には、 まず試料をロードし、 次いで、 ロードす るときと同組成のバッファ一で洗浄し、 複合体形成しなかつた試料中成分を除去す る。 その後、 バッファーに含まれる塩濃度を上昇させるグラジェントを行い本発明 プロモーターと結合する物質を溶出することによって、 本発明プロモーターと結合 する物質を単離することができる。 溶出に使われる前記の塩は、 例えば塩ィヒナトリ ゥム、 塩化カリウム、 硫安等を挙げることができる。
ここで 「試料」 として用いられるものには特に限定は無く、 上述の (V-1) 等に 挙げられる被験物質、 合成化合物ライブラリー、 生体由来試料等が挙げられる。 生 体由来試料としては、 任意の培養細胞由来の縣濁液もしくは抽出物、 動物組織由来 の縣濁液もしくは抽出物等が挙げられる。 試料としてヒト由来の組織■細胞の抽出 物を用いることによって、 PGCl a bプロモーターと結合する内因性の物質を探索す ることができる。
本発明精製方法によって、 本努明プロモーターのプロモーター活性を制御する物
質の選抜方法によって選抜される物質又は本発明プロモーターと結合する物質の選 抜方法によって選抜される物質を精製することができる。
実施例
以下の実施例で本発明を具体的に詳細に説明するが、 もとより本発明はこれに限 定されるものではない。
実施例 1
.(cDNAの調製)
RNeasy Mini Kit (QIAGEN)を用いて、 組織から total RNAを抽出した。 得られた to tal RNA 10 ^ g, T7- (dT) 24プライマー(Amersham社製) lOOpmolを含む 11 / 1の混合 液を、 70°C、 10分間加熱後、 氷上で冷却した。 冷却後、 当該混合液に、 SuperScrip t Choice System for cDNA Synthesis (Gibco- BRL社製)に含まれる 5 x First Strand cDNA Buffer 4μ 1、 該キットに含まれる 0. 1M DTT 2 z l及び当該キットに含まれる lOraM dNTP Mi 1 1を添加し、 この混合液を 42°C、 2分間加熱した。 更に、 当該混 合液に、 当該キットに含まれる Super Scriptll RT 2 1 (400U)を添加し、 この混合 液を 42° (、 1時間加熱後、 氷上で冷却した。 冷却後、 当該混合液に DEPC処理滅菌蒸 留水 91 // 1、 当該キットに含まれる 5 X Second Strand Reaction Buffer 30 μ 1、 10m M dNTP Mix 3 // 1、 当該キットに含まれる E. coli DNA Ligase 1 μ 1 (10U) s 当該キ ットに含まれる E. coli DNA Polymerase I 1 (40U)及び当該キットに含まれる E. coli RNaseH 1 μ 1 (2U)を添力卩し、 この混合液を 16° (:、 2時間反応させた。 次いで、 当該混合液に当該キットに含まれる T4 DNA Polymerase 2 μ 1 (10υ)を加え、 この混 合液を 16°C、 5分間反応させた後、 当該混合液に 0. 5M EDTA ΙΟ μ Ιを添加した。 次い で、 この混合液にフエノール/クロ口ホルム/イソァミルアルコール溶液 (二ツボン ジーン社製) 162 1を添加し、 混合した。 当該混合液を、 予め室温、 14, 000rpra、 3 0秒間遠心分離しておいた Phase Lock Gel Light (エツペンドルフ社製)に移.し、 こ れを室温、 14, 000rpm、 2分間遠心分離した。 遠心分離後、 145 ;x 1の水層をエツペン ドルフチューブに回収した。 回収された水層に、 7. 5M酢酸アンモニゥム溶液 72. 5 μ 1及びエタノール 362. 5 μ ΐを加え混合した後、 この混合液を 4°C、 14, 000rpm、 20分
間遠心分離した。 遠心分離後、 上清を捨て、 DNAペレットを得た。 その後、 DNAペレ ットに 80%エタノール 0.5mLを添加した。 この混合液を 4°C、 14, 000rpms 5分間遠心 分離した後、 上清を捨て、 DN Aペレットを再ぴ得た。 得られた DNAペレットに再 度 80%エタノール 0.5mLを添加した。 この混合液を 4°C、 14, 000rpra、 5分間遠心分離 した後、 上清を捨て、 DNAペレッ トを得た。 得られた DNAペレットを乾燥させ た後、 DEPC処理滅菌蒸留水 12 μ 1に溶解することにより、 c DNA溶液を得た。 実施例 2
(ヒト PGC— 1 a b遺伝子のクローニング)
ヒ ト cDNAライブラリー(Clontech製) 1 μ L、 配列番号 9で示される塩基配列から なるプライマー 20 p m ο 1、 配列番号 10で示される塩基配列からなるプライマ 一 20 pmo ls Ex- t a q (宝酒造社) 1 μ L Ex— t a q添付のバッフ ァー 5μ L及びdNTP 4 μ Lを含む 50 μ Lの反応液を調製し、 P C Rを行 つた。 当該 PCRでは、 まず 94°Cで 1分間、 次いで 60°Cで 1分間、 更に 72°Cで 2分間からなる保温サイクルが 40回繰り返された。 PCRにより増幅された PC R産物を、 ァガロースゲル電気泳動することにより、 約 2. 4 k b pの大きさの D NAを回収した。 回収された DNAを Q I AEX I I Ge l Ex t r a c t i o n K i t (Q IAGEN社) を用いて精製した。 精製された DNAを水 20 β Lに溶解し、 そのうち と pT 7_B l u e (宝酒造社) とを混合し当該混 合物をライゲーシヨンキット V e r . 1 (宝酒造社) を用いて 16 °Cで 1時間のラ ィゲーション反応に供した。 このようにして得られたライゲーシヨン反応液 20 μ Lと E. c o l i JM109株コンビテントセル (東洋紡社) とを用いて、 E. c o 1 i JM109形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 50 μ gZmLアンピ シリン含有 LB培地 10 OmLで培養して得られた培養菌体から Q I AGEN P l a sm i d Ma x i k i t (Q IAGEN社) を用いて酉己列番号 1に示す本 発明ヒト PGCla b遺伝子の塩基配列を含む組換えベクターを精製 ·単離した。 実施例 3
(マウス PGC— 1 a b遺伝子のクローニング)
マウス骨格筋 cDNAライブラリー(宝酒造製) 1 μレ 配列番号 1 1で示される塩基 配列からなるプライマー 20 p m ο 1、 配列番号 1 2で示される塩基配列からなる プライマー 20 pmo l、 E X- t a q (宝酒造社) 1 L、 E x - t a q ¾5 のバッファー 5 μ L及びdNTP 4 μ Lを含む 50 μ Lの反応液を調製し、 P CRを行った。 当該 PCRでは、 まず 94°Cで 1分間、 次いで 6 5°Cで 1分間、 更に 72 °Cで 2分間からなる保温サイクルが 40回繰り返された。 P C Rにより増幅さ れた PC R産物を、 ァガロースゲル電気泳動することにより、 約 2. 4 k b pの大 きさの DNAを回収した。 回収された DNAを Q I AEX I I G e l E x t r a c t i o n K i t (Q I AG EN社) を用いて精製した。 精製された DNA を水 2 Ο μ Lに溶解し、 そのうち 1 μ Lと p T 7— B 1 u e (宝酒造社) とを混合 し当該混合物をライゲーシヨンキット V e r . 1 (宝酒造社) を用いて 1 6°Cで 1 時間のラィゲーション反応に供した。 このようにして得られたラィゲーション反応 液 20 Lと E. c o 1 i JM1 0 9株コンビテントセル (東洋紡社) とを用いて 、 E. c o 1 i JM1 09形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 50 g/m Lアンピシリン含有 LB培地 1 0 OmLで培養して得られた培養菌体から Q I AG EN P l a sm i d M a x i k i t (Q I AG E N社) を用いて配列番号 3 に示す本発明マウス PGC1 a b遺伝子の塩基配列を含む組換えベクターを精製■単離 した。 実施例 4
(ラット PGC— 1 a b遺伝子のクローユング)
ラット cDNAライブラリー(Clontech製) 1 μ L、 配列番号 1 3で示される塩基配列 からなるプライマー 20 p m ο 1、 配列番号 14で示される塩基配列からなるブラ ィマー 20 pmo l、 Ex- t a q (宝酒造社) 1 μ L E x- t a q添付のバ ッファー 5 // 及び(1 ^丁? 4 z Lを含む 50 μ Lの反応液を調製し、 PCR を行った。 当該 PCRでは、 まず 94°Cで 1分間、 次いで 6 5°Cで 1分間、 更に 72 °Cで 2分間からなる保温サイクルが 40回繰り返された。 PCRにより増幅された PCR産物を、 ァガロースゲル電気泳動することにより、 約 2. 4 k b pの大きさ の DNAを回収する。 回収された DNAを Q I AEX I I Ge l E x t r a
c t i o n K i t (Q I AGEN社) を用いて精製する。 精製された DNAを水 20 μ Lに溶解し、 そのうち I Lと p T 7— B l u e (宝酒造社) とを混合し当 該混合物をラィゲーシヨンキット V e r . 1 (宝酒造社) を用いて 1 6 で 1時間 のライグーション反応に供する。 このようにして得られたライゲーシヨン反応液 2 O /i Lと E. c o 1 i JM1 0 9株コンビテントセル (東洋紡社) とを用いて、 E . c o 1 i JM1 09形質転換細胞を得る。 当該形質転換細胞を 50 μ gZmLァ ンピシリン含有 LB培地 1 0 OmLで培養して得られた培養菌体から Q I AGEN P l a sm i d Ma x i k i t (Q I AG E N社) を用いて配列番号 5に示 す本発明ラット PGC1 a b遺伝子の塩基配列を含む組換えベクターを精製 ·単離でき る。 実施例 5
(RT-PCR)
RT-PCR法を利用する場合は、 マウス筋肉組織、 あるいはマウス横紋筋由来培養細 胞 C2C12から調製した RNAを、 あるいは得られた腿を铸型として TaqMan Reverse Tr anscription Reagents (ABI社製) を用いて調製した cDNAを錄型として定量しょう とする遺伝子をコードする塩基配列領域が特異的に増幅できるように、 一対のブラ イマ一 (上記 cDNA (—鎖) に結合する正鎖、 +鎖に結合する逆鎖) を設計し、 通常の方法で合成した。 マウス PGClabを定量する際には配列番号 1 5で示される 塩基配列からなるプライマー及び配列番号 1 6で示される塩基配列からなるプライ マーを用いた。 合成したプライマーを用いて SYBR Green RT-PCR Reagents (Applie d Biosystems社製)を用いてプロトコールに従って RT- PCR反応液を調製し、 ABI PR IME 7900 Sequence Detection System (Applied Biosystems社製)で反応させて、 該反応物を検出、 定量した。 以下実施例 6及び 7においては本実施例の方法で RT-P CRを行った。 実施例 6
(マウス各組織における PGC1 a bの発現)
マウス各組織から調製した RNAを铸型として、 cDNAを調製し、 RT— PCRによりマウ
ス PGCl a bの発現の解析を行った。 発現の内部標準としては 36B4遺伝子の発現定量 を用い、 配列番号 1 7で示される塩基配列からなるプライマ一及び配列番号 1 8で 示される塩基配列からなるプライマーを用いた。 それぞれのサンプルにおける解析 対象遺伝子の発現定量値を 36B4遺伝子発現定量値で除することで相対発現量を求め た。 比較のため、 配列番号 1 9で示される塩基配列 らなるプライマー及び配列番 号 2 0で示される塩基配列からなるマウス PGC1ひ a遺伝子を特異的に定量するプラ イマ一を用いて比較した。 結果を図 1に示す。 PGCl a bは筋肉、 心臓でのみ明らか な発現が検出され、 褐色脂肪組織でわずかに発現が認められた。'他の肝臓を含む臓 器ではこの条件においては全く発現は認められなかった。 一方、 これまで知られて いる PGCl a aにおいては褐色脂肪組織、 筋肉、 腎臓、 脳、 心臓で明らかな発現が見 られ、 肝臓でも発現が認められた。 実施例 7
(骨格筋における PGC1 a bの運動依存的発現誘導)
47〜55週齢の雄性 C57BL6jマウス(日本クレア)を用いた。 飼育室の照明時間は、 6 時〜 18時までを明期、 18時〜 6時までを暗期とした。 飼育飼料として CE— 2型固形 飼料(日本クレア)、 飲料水として水道水を与え飼育した。
運動負荷試験にはトレツドミル機種: MK-680S (ラット 'マウス兼用型トレッド ミル/室町機械株式会社製) を使用し、 運動条件は 14 m/min x 45rain x 2 (10 min interval)で実施した。 運動終了から 3時間後に下肢よりヒラメ筋、 長指伸筋をす ばやく摘出し、 液体窒素にて急速凍結することにより R Aの R aseによる分解を防い だ。 摘出したヒラメ筋、 長指伸筋より RNAを抽出し、 RT—PCRを行なった。
5-amino irai dazo 1 e-4-carboxami de ribonucleoside (AICAR)処理 S式験に fま AICAR ( Tronto Research Chemicals Inc. )を 1 rag/g of body weight (50 mg/ml in steril e 0. 9% NaCl) 皮下より投与した。 投与 1 2時間後にヒラメ筋、 長指伸筋を摘出し、 液体窒素にて早急に凍結し、 腿の RNaseによる分解を防いだ。 摘出したヒラメ筋、 長指伸筋より R Aを抽出し、 RT— PCRを行なった。
発現の内部標準としては 36B4遺伝子の発現定量を用い、 配列番号 1 7で示される 塩基配列からなるプライマー及び配列番号 1 8で示される塩基配列からなるプライ
マーを用いた。 それぞれのサンプルにおける解析対象遺伝子の発現定量値を 36B4遺 伝子発現定量値で除することで相対発現量を求めた。 RT— PCRは 3連で実施し、 平均 値、 及び標準誤差を算出した。
結果を図 2に示す。 PGCl a bは運動、 及び AICAR処理でヒラメ筋、 長指伸筋のいず れにおいても明らかな発現誘導が共通して認められた。 一方、 これまで知られてい る PGC 1 a aにおいては長指伸筋の AI CAR処理で誘導される傾向が見られたものの、 ヒ ラメ筋、 長指伸筋のいずれにおいても運動、 及び AICAR処理で共通した誘導は見ら れなかった。 実施例 8
(マウス PGCl a bアデノウィルスベクターの構築)
実施例 3で調製されたマウス PGCl a b遺伝子のセンス鎖をコスミドベクター pAxCA wt (宝酒造社) の Swal部位に挿入し、 pAxCAwt- mPGCl c¾ bを得た。 得られた pAxCAw 1:-111?6(:1 0:1を 1ノ、°ッケージングキット6:1 3010^ (Stratagene社) を用いてイン ビト口パッケージングを行い大腸菌 DH5 aに感染させた。 感染させた大腸菌を、 50m 1 50 μ g/mlアンピシリン含有 LB培地で培養し、 Lambda DNA purification Kit ( 東洋紡社)によりコスミド DNAを大量調製した。
293細胞 (宝酒造社) を 10°/。FCS添加 D-MEM培地 (宝酒造社) で 37°C、 5%二酸化炭素 下で培養する。 前述のようにして調製された pAxCAwt-mPGClひ b 8 gと制限酵素 処理済み DNA-TPC (宝酒造) 5 μ 1とを混合し、 当該混合物を用いてリン酸カルシゥ ム法にて 293細胞にコトランスフエクシヨンを行った。 当該細胞をそのまま 18時間 培養後、 培地を 10%FCS添加 D- MEM培地 (宝酒造社) と交換し、 さらに 12時間培養す る。 培養終了後、 後細胞をディッシュから剥がすことにより、 回収された細胞懸濁 液と 293細胞を混ぜてさらに 10%FCS添加 D-MEM培地 (宝酒造社) にて培養をつづけ、 293細胞が完全に死滅した時点で培養液をドライアイスにて急凍した。 凍結融解 6回 後、 5000rpm 5分間遠心することにより得られた上清を 1次組換えアデノウィルス 液 (AxCAwt - mPGCl a b) として保存した。
293細胞 (宝酒造社) に前述方法で調製された 1次組換えウィルス液を 1 0 μ 1加 え、 これに 5%FCS添加 D-MEM培地 (宝酒造社) を加えた後、 当該混合物を 37°C、 5%二
酸化炭素下で 1時間培養した。 さらに当該混合物に 5%FCS添加 D-MEM培地 (宝酒造社 ) を加えた後、 これを 37°C、 5%二酸化炭素下で培養した。 3日間培養後、 感染させ た 293細胞を回収し、 細胞から蛋白画分を抽出し、 PGCl o;抗体 (Santa Cruz Biotec hnology社) を用いたィムノブロットに供した。 PGC1ひ蛋白の発現の有無を確認す ることにより、 糸且換えアデノウイルスの作成を確認した。 また、 ウィルス感染させ た 293細胞 (宝酒造社) の培養液を回収し、 これをドライアイスにて急凍した。 凍 結融解 6回後、 5000rpm 5分間遠心することにより得られた上清を 2次糸且換えアデ ノウィルス液として保存した。 続いてこの組換えアデノウィルス DNAを前記操作を 繰り返すことにより継代培養した。 このようにして、 高力価組換えウィルスを作製 した。 力価の測定は既存の方法 (特開平 7- 298877) により測定した。 実施例 9
(培養筋細胞における PGC1 b遺伝子の発現誘導)
マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12へのアデノウィルス AxCAwt- mPGCl a bの感染実 験は以下のように行った。
C2C12細胞を 1 0 %FCS添加 D- MEM培地 (宝酒造社) にてコンフルェントになるま で培養した後に、 2 %FCS添加 D-MEM培地 (宝酒造社) にて 5日間培養することにより 筋筒細胞への分化を誘導した。 筋筒細胞への分化後、 AxCAwt-mPGCl oi bで感染させ 、 4 8時間後に細胞を回収し、 RNAを抽出した。 実施例 5に記載の方法で、 RT-PCR を行い、 マウス PGCl a bの発現定量を行った。
発現の内部標準としては 36B4遺伝子の発現定量を用い、 配列番号 1 7で示される 塩基配列からなるプライマーと配列番号 1 8の塩基配列からなるプライマーを用い た。 それぞれのサンプルにおける解析対象遺伝子の発現定量値を 36B4遺伝子発現定 量値で除することで相対発現量を求めた。 mtTFA遺伝子の定量には、 配列番号 2 1 で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号 2 2で示される塩基配列からな るプライマー、 UCP-2遺伝子の定量には、 配列番号 2 3で示される塩基配列からな るプライマーと配列番号 2 4で示される塩基配列からなるプライマー、 C0XII遺伝 子の定量には、 配列番号 2 5で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号 2 6で示される塩基配列からなるプライマー、 NRF遺伝子の定量には、 配列番号 2 7
で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号 2 8で示される塩基配列からな るプライマー、 ATPsynthase遺伝子の定量には、 配列番号 2 9で示される塩基配 列からなるプライマーと配列番号 3 0で示される塩基配列からなるプライマー、 G1 ut4遺伝子の定量には、 配列番号 3 1で示される塩基配列からなるプライマーと配 列番号 3 2で示される塩基配列からなるプライマーを用いて定量、 比較した。 結果 を図 3及び図 4に示す。
アデノウイルス AxCAwt - mPGCl a bの感染により、 PGC1 a bの発現が見られ、 その 発現はウィルス量の増加により上昇した。 ミトコンドリア機能に関わる遺伝子であ り、 ミトコンドリアにおいてエネルギー消費を起こすと考えられている UCP2、 ミト コンドリアのゲノム複製や転写反応に重要な役割を示す転写因子: tntTFA (raitocho ndrial transcription factor A、 多くのミトコンドリア遺伝子のプロモーターに 結合する転写因子 NRF1、 ミトコンドリァでの酸化的リン酸化経路に関わる遺伝子群 である 3 ATPsynthase、 cytochrome c oxidase subunits II (C0XII)のいずれにお いても PGCl a bの発現の上昇に呼応した発現上昇が見られた。 実施例 1 0
(探索方法)
PGC1 a b遺伝子を発現する筋肉組織、 あるいは培養細胞を用いて化合物がその発 現を促進するか否かを判定することにより、 PGC1ひ b遺伝子発現誘導物質を探索す ることができる。 マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 10cm Dish (コ一二ング社) に 1 Dish当たり 5 X 1 0 5細胞ずつ巻き込む。 この細胞を、 1 0 %ゥシ胎児血清 (JRH life sciences社。 以下、 F C Sと記す。 ) 、 及び ImMピルビン酸ナトリウム (Gibe 0 - BRL社) が添加された D— M E M培地 (高グノレコース、 SIGMA社) を用い、 3 7 °C 、 5 %二酸化炭素下で培養する。 培養開始後、 3日目に 2% HS (Gibco- BRL社) 入 りの培地に交換して分化誘導を行なう。 分化開始 7 3目のマウス横紋筋由来培養細 胞 C2C12に例えば、 被験物質もしくは培養溶媒 (対照の場合) 、 および必要に応じ て 0 . 5 %ジメチルスルホキシド (以下、 DM S Oと記す。 ) を添加した培地に交 換することができる。 15時間後に培養された C2C12培養細胞を回収し、
それぞれ培養混合物より totalR Aを調製、 さらに c DNAを調製する。 調製したサン
プルをノーザンプロット法で分析し、 PGC1ひ b遺伝子の発現レベルを定量する。 被 験物質を添加した細胞における PGC1 a b遺伝子の発現が被験物質を添加しない対照 細胞での発現量と比較して 1.5倍以上であれば、 該被験物質は PGC1 a bの発現誘導物 質であり、 糖代謝改善物質の候補物質として選択することができる。 このとき、 同 様の方法で対照として PGCla a遺伝子の発現レベルを定量する。 糖代謝改善物質の 候補物質のうち、 被験物質を添加した細胞における PGC1 aa遺伝子の発現が被験物 質を添加しない対照細胞と比較して、 有意な発現誘導を示さない物質であるものを 選別する。 実 M例 1 1
(培養筋細胞における PGC1 a b遺伝子の発現誘導)
マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 10cm Dish (コーユング社) に IDish当たり 5 X 1 05細胞ずつまき込んだ。 この細胞を、 1 0%ゥシ胎児血清 (JRH life scienc es社。 以下、 F C Sと記す。 ) 、 及び ImMピルビン酸ナトリウム (Gibco- BRL社) が 添加された D— MEM培地 (高グノレコース、 SIGMA社) を用い、 3 7°C、 5 %二酸 化炭素下で培養した。 培養開始後、 3日目に 2% HS (Gibco- BRL社) 入りの培地に 交換して分化誘導を行い、 分化開始 7日目に 5- aminoimidazole- 4_carboxamide ribo nucleoside (AICAR; Tronto Research Chemicals Inc. ) 500μΜ、 Isoproterenol (S IGMA社) 10μΜ、 Forkolin(DMS0溶液 SIGMA社) 50μΜ、 Caffeine (SIGMA社) 5raM、 CoCl2 ( SIGMA社) 100μΜ、 A23187 (SIGMA社) 500nM を含む培地に交換した。 15時間後に培養さ れた C2C12培養細胞を回収し、 RNAの抽出を行なった。 発現の内部標準としては 36B4 遺伝子の発現定量を用い、 配列番号 40と 4 1の配列を有するプライマーを用いた 。 それぞれのサンプルにおける解析対象遺伝子の発現定量値を 36B4遺伝子発現定量 値で除することで相対発現量を求めた。 結果を図 5に示す。 Forkolin、 Caffeine, AICAR処理条件で明らかな PGC1 ab遺伝子の発現誘導が認められた。 実施例 12
(本発明ヒト PGC— labプロモーターのクローニング)
Huma n G e n om i c DNA (C L ONT E CH社) 1 μ L、 配列番号
36で示される塩基配列からなるプライマー 20 p m o 1、 配列番号 3 7で示され る塩基配列からなるプライマー 20 pmo l、 Ex- t a q (宝酒造社) 1 μ L· 、 E x— t a q添付のバッファー 5 μ L及ぴdNTP 4 を含む 50 // の 反応液を調製し、 PCRを行った。 当該 PC Rでは、 まず 94 °Cで 30秒間、 次い で 60 °Cで 30秒間、 更に 7 2でで 3分間からなる保温サイクルが 40回繰り返さ れた。 PCRにより増幅された PCR産物を、 ァガロースゲル電気泳動することに より、 約 3 k b pの大きさの DNAを回収した。
同様に配列番号 44で示される塩基配列からなるプライマー 20 pmo 1、 配列番 号 4 5で示される塩基配列からなるプライマー 20 pmo 1を用いて約 1. 8kbの 大きさの DNA、 配列番号 46で示される塩基配列からなるプライマー 20 pmo 1、 配列番号 47で示される塩基配列からなるプライマー 20 mo 1を用いて 約 1. 3kbの大きさの DNAを回収した。 回収された DNAを Q I AEX I I G e l Ex t r a c t i o n K i t (Q I AGEN社) を用いて精製した。 精製 された DNAを水 20 / Lに溶解し、 そのうち 1 // Lと p T 7— B l u e (宝酒造 社) とを混合し当該混合物をライゲーシヨンキット V e r . 1 (宝酒造社) を用い て 1 6。Cで 1時間のラィゲーション反応に供した。 このようにして得られたライゲ ーシヨン反応液 20 // Lと E. c o l i JMl O 9株コンビテントセル (東洋紡社 ) とを用いて、 E. c o 1 i JM1 0 9形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 50 g/mLアンピシリン含有 LB培地 1 0 OmLで培養して得られた培養菌体 から Q I AGEN P l a sm i d Ma x i k i t (Q I AG EN社) を用い て本発明ヒ ト PGC— labプロモーターの塩基配列を含む組換えべクタ一 hPGC 1 b- P 1 (3.0)_pT7Blue、 hPGCl ab- P2(l.8)- pT7Blue、 hPGCl ab_P3(l.3) - p Blueを精製 - 単離した。 実施例 1 3
(本発明ヒ ト PGC— labプロモーターの塩基配列の決定)
実施例 5で精製'単離された、 本発明ヒト PGC— labプロモーターの塩基配列を 含む組換えベクターを鎵型として、 Th e r mo S e q u e n a s e I Iダイ • タ' ~·ミネ一ターキット (Am e r s h a m P h a rma c i a B i o t e c
W
6 9 h社) 及ぴ AB I 3 7 3 DN A配列読み取り装置 (P E Ap p l i e d B i o s y s t em s社) を用いて、 サンガーの方法 〔F. S a n g e r , S. N i c k 丄 e n, A. R. C o u 1 s o n著、 P r o c e e d i n g s o f N a t i o n a 1 A c a d emy o f S c i e n c e U. S. A. (1 9 7 7) , 74, 546 3— 546 7〕 により、 本発明ヒ ト PGC— labプロモーターの塩 基配列を決定した。 決定された約 3kbpの断片の塩基配列を配列番号 3 3に、 約 1.8k bpの断片の塩基配列を配列番号 3 3で示される塩基配列における塩基番号 1 1 5 7 から塩基番号 3 0 00までの塩基配列、 約 1.3kbpの断片の塩基配列を配列番号 34 に示す。 尚、 配列番号 34に示される塩基配列は、 配列番号 3 3で示される塩基配 列における塩基番号 1 6 48〜塩基番号 3 0 0 0までの塩基配列に対応している。 実施例 1 4
(本発明ヒト PGC— labプロモータ一及びルシフェラーゼレポータ一遺伝子を含有 するプラスミドの構築)
実施例 1 3で精製 ·単離された、 本発明ヒト PGC— labプロモーターの塩基配列 を含む組換えべクタ一 hPGCl a b-Pl (3.0) - pT7Blue、 hPGCl a b- P2 (1.8) - PT7Blue、 hP GClab-P3(l.3)-pT7Blue5 μ gを、 Kp n I及び S a 1 I各 5Uを用いて 7 0 μ L· の反応液中で 3 7でで 1時間消化した。 一方、 ; p G L 3 -Basic (P r ome g a 社) 5 gを Kp n I及び Xh o I各 5 Uを用いて 70 μ Lの反 液中で 3 7°C で 1時間消化した。 両者の消化反応液をそれぞれ別々にァガロースゲル電気泳動に 供することにより、 DNA断片を回収した。 回収された DNA断片を Q I ΑΕΧΠ G e l E x t r a c t i o n K i tを用いて精製した。 精製された D N A断 片をそれぞれ水 2 0 μ Lに溶解し、 この溶角 夜各 1 Lとライゲーシヨンキット V e r . 1に含まれる A液 1 6 /z Lと B液 2 z Lとを混合した。 当該混合物を 1 6 °C で 1時間のライゲーシヨン反応に供した。 このようにして得られたライゲーシヨン 反応液 2 0 Lと E. c o 1 i JM1 0 9株コンビテントセルとを用いて、 E. c o 1 i JM1 0 9形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 5 0 gZmLアンピ シリン含有 LB培地 1 0 OmLで培養して得られた培養菌体から Q I AGEN P 1 a s m i d Ma x i k i tを用いて本発明ヒ ト PGC— 1 abプロモータ の下
流 (3, 側) にルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む組換え発現ベクター (以下 、 phPGCl«b-P 1(3.0) —pGL3basic、 hPGCl ab-P2(l.8) — pGL3basic 、 hPGCla b-P3(l.3) -pGLSbasicと記す。 ) を精製.単離した。 実施例 1 5
(本発明マウス PGC— labプロモーターのクローニング)
Mo u s e Ge n om i c DNA (C L ONT E CH社) 1 μ L、 配列番号 48で示される塩基配列からなるプライマー 20 p m o 1、 配列番号 49で示され る塩基配列からなるプライマー 20 pmo l、 Ex— t a q l / L、 Ex— t a q添付のバッファー 5 し及ぴ dNTP 4 μ Lを含む 50 /z Lの反応液を調 製し、 PCRを行った。 当該 PC Rでは、 まず 94 °Cで 30秒間、 次いで 65でで 30秒間、 更に 72でで 3分間からなる保温サイクルが 40回繰り返された。 P C Rにより増幅された PCR産物を、 ァガロースゲル電気泳動することにより、 約 3 k b pの大きさの DNAを回収した。 回収された DNAを Q I AEX I I G e 1 Ex t r a c t i o n K i tを用いて精製した。 精製された DNAを水 20 Ai Lに溶解し、 そのうち 1 // Lと pT7—B l u eとを混合し当該混合物をライゲ ーションキット V e r . 1を用いて 16 °Cで 1時間のライゲーシヨン反応に供した 。 このようにして得られたライゲーシヨン反応液 20/ Lと E. c o l i JMl O 9株コンビテントセルとを用いて、 E. c o 1 i JM109形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 50 g /m Lアンピシリン含有 L B培地 100 m Lで培養し て得られた培養菌体から Q I AGEN P l a sm i d Ma x i k i tを用い て本発明マウス PGC—1ひ bプロモーターの塩基配列を含む組換えべクターを精製 · 単離した。 実施例 16
(本発明マウス PGC— labプロモーターの塩基配列の決定)
実施例 1 5で精製'単離された、 本発明マウス PGC— labプロモーターの塩基配 列を含む組換えベクターを铸型として、 Th e r mo S e q u e n a s e I I ダイ ·ターミネーターキット (Am e r s h a m Ph a rma c i a B i o t
e c h社) 及び AB I 3 7 3 DN A配列読み取り装置 (PE Applied Biosysteras社 ) を用いて、 サンガーの方法 〔F. Sanger, S. Nicklen, A. R. Coulson著、 Proceedings of National Academy of Science U.S.A. (1977), 74, 5463-5467] により、 本努明 マウス PGC— labプロモーターの塩基配列を決定した。 決定された塩基配列を配列 番号 3 5に示す。 実施例 1 7
(本発明マウス PGC— labプロモータ一及びルシフェラーゼレポータ一遺伝子を含 有するプラスミ ドの構築)
実施例 1 5で精製■単離された、 本発明マウス PGC— labプロモーターの塩基配 列を含む組換えベクター 5 yu gを、 M.l u I及び Sma I各 5Uを用いて 70 μ L· の反応液中で 3 7。Cで 1時間消化した。 一方、 p GL 3— B a s i c (Proraega社 ) 5 gを M 1 u I及び Sma Iを用いて 7 0 /z Lの反応液中で 3 7 °Cで 1時間 消化した。 両者の消化反応液をそれぞれ別々にァガロースゲル電気泳動に供するこ とにより、 DNA断片を回収した。 回収された DNA断片を Q I ΑΕΧΠ G e l E x t r a c t i o n K i tを用いて精製した。 精製された DNA断片をそれ ぞれ水 2 0 /X Lに溶解し、 この溶解液各 1 Lとライゲーシヨンキット V e r . 1 に含まれる A液 1 6 z Lと B液 2 /z Lとを混合した。 当該混合物を 1 6 °Cで 1時間 のライグーション反応に供した。 このようにして得られたラィゲーシ 3ン反応液 2 0 // Lと E. c o l i JMl O 9株コンビテントセルとを用いて、 E. c o 1 i J Ml 0 9形質転換細胞を得た。 当該形質転換細胞を 5 0 μ gZmLアンピシリン含 有 LB培地 1 0 OmLで培養して得られた培養菌体から Q I AGEN P l a s m i d Ma x i k i tを用いて配列番号 3 5で示される塩基配列における塩基番 号 1から塩基番号 3 0 2 2までの塩基配列からなる本発明マウス PGC— 1 bプロモー ターの下流 (3, 側) にルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む組換え発現べクタ 一 (以下、 raPGClひ b-Pl(3.0)- pGL3basicと記す。 ) を精製.単離した。
また、 実施例 1 5で精製'単離された、 本宪明マウス PGC— labプロモーターの 塩基配列を含む組換えベクターが Kp n I及び Sma Iで切断されることにより得 られた DNA断片を p GL 3— Basicの Kp n I及ぴ Sm a Iサイトに導入するこ
と以外は上記と同様な方法に準じて、 配列番号 35で示される塩基配列における塩 基番号 1631から塩基番号 3022までの塩基配列からなる本発明マウス PGC—1 abプロモーターの下流 (3, 側) にルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む糸且換 え発現ベクター (以下、 mPGClab - P2(l.0)_pGL3basicと記す。 ) を取得した。 実施例 18
(本発明ヒト PGC— labプロモーターが有する転写開始能力の測定)
マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 24ウエノレプレート (Becton Dickinson社) に 1ゥエル当たり 5.0X 104細胞ずつまき込んだ。 この C2C12培養細胞を、 10 %ゥシ胎児血清 (JRH life sciences社。 以下、 FCSと記す。 ) 及び、 IraMピルビ ン酸ナトリウム (Gibco- BRL社) が添カ卩された D— MEM培地 (高グルコース、 SIG MA社) を用い、 37°C、 5%二酸化炭素下でー晚培養した。 次いで、 phPGClab-P 1(3.0) - pGL3basic、 あるいは phPGClひ b- P2(l.8) -pGL3basic 、 hPGCl ab-P3(l .3) -pGL3basic lOOngと、 LacZ遺伝子を含むプラスミド pME18s- LacZ lOOngとを 混合し、 これに PLUS Reagent (Invitrogen社) 2 μ L及び Lipofectamine Reagent (I nvitrQgen社) 0.5μ Lを添加、 混合し、 これを 24ゥエルプレート 1ゥエル当たり のトランスフエクシヨン用 DNA液とした。 このトランスフエクション用 DNA液 を前記の C2C12培養細胞に添加し、 これをさらに一 B免培養した。 翌日、 Forskolin(5 0 μ Μ)または AICAR(500 μ Μ)を含む培地に交換し、 10から 14時間後に培養された C2C1 2培養細胞を回収した。 細胞を D— PB Sで 1回洗浄した後、 lmg/ralのゥシ血清ァ ルブミンを含む!)- PBSで希釈したピッ力ジーンキット(東洋ィンキ)専用の細胞溶解 剤を、 1ウエノレ当たり 100 μ Lずつ添加した。 これを室温で 15分間放置するこ とにより細胞溶解液を得た。 ピぺットを用いて当該細胞溶解液を 1.5mlェッペンド ルフチューブに移し、 遠心分離 (15, 000 r m, 2分間、 4°C) することによ り上澄み液を得た。 得られる上澄み液のうち 20 μ Lを、 上記キット付属のホタル ルシフェラーゼ用発光基質液 100 μ Lに添加し、 10秒間の発光量をルミノメー ター (Fluoroskan Ascent FL; Thermo Labsystems社) で定量した。 測定された値 をホタルルシフェラーゼ活性測定値 (測定値 A) とした。 次いで、 前記の上澄み液 に LacZ用基質液(25raMの。- Nitrophenyl β -D-Galactopyranoside; SIGMA社) 10 μ
Lを添加し、 マイクロプレートリーダー(model 3550; Bio - Rad社)で定量した。 測 定された値を ガラクトシダーゼ活性測定値 (測定値 Β) とした。 上記の測定値 Αを上記の測定値 Βで割ったイ直 (A/B値) を算出した後、 各 C2C12培養細胞細胞 における AZ B値を対照における A Z B値で割つて、 各 C2C12培養細胞における相 対ルシフェラーゼ活性 (相対値) を算出した。 尚、 ここで 「対照」 とは、 組換えプ ラスミ ド phPGClab- Pl(3.0) - pGL3basic、 hPGCl ab-P2 (1.8) - pGL3basic 、 ph PGClab-P3(l.3) - pGL3basicの代わりに p G L 3—Basicのみを同様な方法により トランスフエクシヨンして得られた対照横紋筋由来細胞を意味する。
C2C12培養細胞を分化誘導して測定する場合には、 上記と同様にトランスフエクシ ヨンを行なった後、 翌 Sに 2% HS入りの培地に交換して分化誘導を行い、 さらに その翌日に Forskolin (50 μ M)または AICAR (500 μ M)による刺激を行なつた。 10から 1 4時間後に培養された C2C12培養細胞を回収し、.活性の測定を行なった。
結果を図 6に示す。 分化誘導を行なわなかったマウス横紋筋由来培養細胞 C2C12 ( 未分化) と分化誘導を行なったマウス横紋筋由来培養細胞 C2C12のいずれにおいて も phPGClab— Pl(3.0) — pGL3basic、 p hPGCl α b-P2 (1.8) -pGL3basic 、 p hPGCl a b-P3(l.3) -pGL3basicの全てにおいて対照と比較して有意なプロモーター活性が検 出され、 その活性は Forskolinで約 5. 5から 8. 5倍に増強された。 実施例 1 9
(本発明マウス PGC— labプロモーターが有する転写開始能力の測定)
マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 24ゥエルプレート (Becton Dickinson社) に 1ゥエル当たり 5 · 0 X 1 04細胞ずつまき込んだ。 この細胞を、 1 0 %ゥシ胎児 血清 (JRH life sciences社。 以下、 FCSと記す。 ) 及び ImMピルビン酸ナトリウ ム(Gibco- BRL社)が添加された D—MEM培地 (高グルコース、 SIGMA社) を用い、 3 7°C、 5 %二酸化炭素下でー晚培養した。 次いで、 mPGClab- P2(1.0)- pGL3basic 100ngと、 LacZ遺伝子を含むプラスミド pME18s - LacZ 100ngとを混合し、. これに PLUS Reagent (Invitrogen%h) 2 μ L及ぴ Lipofectamine reagent (Invitrogen¾) 0.5 μ Lを添加、 混合し、 これを 24ゥエルプレート 1ゥェ /レ当たりのトランスフエク シヨン用 DN A液としすこ。 このトランスフエクション用 DNA液を前記の C2C12培
養細胞に添加し、 これをさらにー晚培養した。 翌日、 Forskolin SO/ M)を含む培地 に交換し、 10から 14時間後に培養された C2C12培養細胞を回収し、 これを D— PB Sで 1回洗浄した後、 lmg/ralのゥシ血清アルブミンを含む D- PBSで希釈したピッ力 ジーンキット(東洋ィンキ)専用の細胞溶解剤を、 1ゥエル当たり 1 00 /X Lずつ添 加した。 これを室温で 1 5分間放置することにより細胞溶解液を得た。 ピぺットを 用いて当該細胞溶解液を 1.5ralエツペンドルフチューブに移し、 遠心分離 (15, 0 00 r pm, 2分間、 4°C) することにより上澄み液を得た。 得られる上澄み液のう ち 20 μ Lを、 上記キット付属のホタルルシフェラーゼ用発光基質液 1 00 μ Lに 添加し、 10秒間の発光量をルミノメーター (Fluoroskan Ascent FL; Thermo Labs ystems社)で定量した。 測定された値をホタルルシフェラーゼ活性測定値 (測定値 A) とした。 次いで、 前記の上澄み液に LacZ用基質液(25mMの 0- Nitrophenyl j3 - D - Galactopyranoside; SIGMA社) 10 Lを添加し、 マイク口プレートリーダー (mode 1 3550; Bio-Rad社)で定量した。 測定された値を β -ガラク シダーゼ活性測定値 (測定値 Β) とした。 上記の測定値 Αを上記の測定値 Βで割った値 (A/B値) を 算出した後、 各 C2C12培養細胞細胞における AZB値を対照における A/B値で割 つて、 各 C2C12培養細胞における相対ルシフエラーゼ活性 (相対値) を算出した。 尚、 ここで 「対照」 とは、 組換えプラスミド mPGClab-P2(l.0)- pGL3basicの代わり に pGL 3—Basicのみを同様な方法により トランスフエクシヨンして得られた対 照横紋筋由来細胞を意味する。
結果を図 7に示す。 mPGClab_P2(1.0)- pGL3basicにおいて対照と比較して有意なプ 口モーダー活性が検出され、 その活性は Forskolinで約 1. 8倍に増強された。 実施例 20
(本発明ヒト PGC— labプロモーターのプロモーター活性を制御する物質の選抜) 実施例 1 8に記載される方法を用いて、 phPGClひ b - Pl(3.0) - pGL3basic、 ある いは phPGCloib— Ρ2(1.·8) -pGL3basic 、 hPGCl (¾b-P3(L 3) — pGL3basicが.トラン スフエクシヨンされたマウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 9 6ゥエルプレートに 1 ゥエル当たり 1 X 1 04細胞ずつまき込む。 次いで、 被験物質の 1 μΜ DMSO 溶液をゥエルプレートに 1ゥエル当たり 0. 5 / Lずつ添加し、 これをー晚培養す
る。 同時に、 対照として、 被験物質の Ι μΜ DMSO溶液の代わりに DMSO 0. 5;/ Lを添加し、 これを同様に培養する。 実施例 1 5に記載される方法を用い てホタルルシフェラーゼ活性測定値 (測定値 Α) と LacZ活性測定値 (測定値 B) と の測定を行う。 次いで、 測定値 Aを測定値 Bで割った値 (AZB値) を算出した後 、 各培養細胞における AZB値を対照における AZB値で割って、 各細胞の相対ル シフェラーゼ活性 (相対値) を算出する。 この相対ルシフェラーゼ活性 (相対値) が 1より大きい場合の被験物質を、 正の転写調節能力を有する物質として選抜する 。 逆に、 この相対ルシフェラーゼ活性 (相対値) が 1より小さい場合の被験物質を 、 負の転写調節能力を有する物質として選抜する。 実施例 2 1
(本発明ヒト PGC— labプロモーターに結合する物質の選抜)
実施例 1 2に記載される hPGCl c¾b-Pl (3.0)_pT7Blue、 hPGClひ b- P2(l.8)-pT7Blue , hPGCl a b-P3 (1.3) -pT7Blue 5 μ gを、 Kp n l及び S a l I各 1 0Uを用いて 20 μ Lの反応液中で 3 7°Cで 1時間消化する。 この消化反応液をァガロースゲル 電気泳動に供することにより、 DN A断片を回収する。 回収された DN A断片を Q I AEXII G e l E x t r a c t i o n K i tを用いて精製する。 精製され た DNA断片 l ;x g、 [α-3 2 P] d CTP (Am e r s h a m P h a rma c i a B i o t e c h社) 5 L、 非標識ヌクレオチド ( d AT P , dTTP , dGTP) (宝酒造社) 各 1 L、 l O X k l e n ow B u f f e r (宝酒造 社) 2 μ L及び k 1 e n o w酵素 (宝酒造社) 1 μ Lを混合する。 これを蒸留 水で合計 20 とする混合液を、 3 7°Cで 1時間放置することにより、 標識 DN A断片を反応系内に形成させる。 このように調製された反応液を、 反応系内に存在 する未反応 [α— 3 2 P] d CTP と標識 DNA断片とを分離するために、 1 0 mMトリス塩酸及び ImMEDTA (以後 T E溶液と表記する。 ) で平衡化された P r o b e Qu a n t G— 50 M i c r o C o 1 u m n sに供した锋、 遠' 分離 (室温、 1, 200 r pm、 1分) により、 標識 D N A断片を溶出させる。 得 られた溶出液の放射活性をシンチレ一ターで測定し、 1 04 c pm/ x Lになるよ う TE溶液で希釈して標識 DN A断片溶液を調製する。 次いで、 5 Xバインディン
グバッファー (5 0mM H e p e s—水酸化カリウム (ρΗ 7. 8) 、 2 5 0m M 塩化カリウム、 5mM EDTA (pH 8. 0) 、 2 5 mM 塩化マグネシゥ ム、 5 0%グリセロール、 2 5mM ジチオスレィ トール、 3. 5 mM PMS F 、 1 0 // g / m L Ap r o t i n i nN 1 0 μ g/mL P e p s t a t i n、 1 0 μ g /m L L e u p e p t i n及び 5 mM s o d i um o r t h o v a n a d a t eを含有する。 ) 5 μ L、 2 μ g, / μ L ρ ο 1 y d I d C 1. 5 μ L、 Ι Ο μΜ被験物質 5 μ L及び標識 DNA断片溶液 2 ju Lを混合し、 これを 蒸留水で合計 2 5 μ Lにする。 混合液を室温で 3 0分間放置した後、 これをポリア クリルアミドゲル電気泳動に供する。 電気泳動後、 ゲルをゲル板よりはがして、 ヮ ットマン 3 MMろ紙上にて 8 0°C、 1時間真空ポンプにより減圧乾燥した。 これを ィメ一ジングプレートに 2時間感光させた後、 B A S 2 0 0 0で画像ィメ一ジを取 得する。 被験物質が標識 DN A断片と結合し、 DNAと被験物質とからなる複合体 が形成された結果、 ゲル上での移動度が遊離の DNA断片より小さくなり、 画像ィ メージ上のバンドのシフトが検出された場合の被験物質を本宪明プロモーターに結 合する物質 (即ち、 結合物質) として選抜する。 実施例 2 2
(本発明ヒ ト PGC— labプロモーターに結合する物質の取得方法)
(1) 本発明ヒト PGC— labプロモーターに結合する物質を精製するためのァフィ 二ティーカラム (結合物質用ァフィ二ティーカラム) の作製
実施例 1 2に記載される hPGClab- Pl(3.0) - pT7Blue、 hPGCl a b-P2 (1.8) -pT7Blue 、 hPGClab- P3(l.3)- pT7Blue 200 μ gを、 K p n I及び S a 1 I各 5 0 Uを用 いて 2 00 /z Lの反応液中で 3 7°Cで 1時間消化する。 この消化反応液をァガロー スゲル電気泳動に供することにより、 約 1 8 0 b p付近に存; ί£する DNA断片を回 収した。 回収された DNA断片を Q I ΑΕΧΠ G e l E x t r a c t i o n
K i tを用いて精製する。 精製された DNA断片 44mgと、 2mLの臭化シアン 活性化セファロース 4 Bとを混合し、 4 °Cで一晚 1, 0 00 r p mで撹拌しながら 、 当該 DNA断片をセファロース上に固定する。 次いで、 未反応の臭化シアンの活 性基を無くすために、 前記混合物に 1Mグリシンを含む炭酸水素ナトリウム溶液 (
pH9. 5) 20mLを添加し、 これを 4 °Cでー晚放置する。 このようにして得 られたゲルを、 10 X 30 Ommクロマトグラフ管 (イワキガラス社) に充填する ことにより、 結合物質用ァフィ二ティーカラムを作製する。
(2) 被験物質の調製
マウス横紋筋由来培養細胞 C2C12を 50 cm2 フラスコ (イワキガラス社) 40 枚に 1フラスコ当たり 4. 5 X 106個の細胞ずつをまき込む。 このマウス横紋筋 由来培養細胞 C2C12を、 10%ゥシ胎児血清 (JRH life sciences社。 以下、 FCS と記す。 ) 及び ImMピルビン酸ナトリウム(Gibco - BRL社)が添加された D— MEM培 地 (高グルコース、 SIGMA社) を用い、 37°C、 5 %二酸化炭素下でニ晚培養する 。 培養後、 上記フラスコから培地を除去した後、 15 mLのリン酸緩衝液でフラス コの器壁を 1回洗浄する。 洗浄後のフラスコにトリプシン一 EDT A溶液 (0. 0 5%トリプシン、 0. 53mM EDT Aを含む。 G i b c o社) lmL〜2mL を細胞が浸るように添加し、 37°Cで 5分放置する。 これに、 FBS含有培地を上 記のトリプシン一 E D T A溶液の約 10倍量添加することにより、 細胞懸濁液を得 る。 得られる細胞懸濁液を遠心分離 (室温、 1, 300 r pm、 5分間) した後、 上清を除去する。 残つた細胞沈殿を 15 m Lのリン酸緩衝液 ( p H 7. 5) に懸濁 して得られる懸濁液を遠心分離 (室温、 1, 300 r pm、 5分間) した後、 上清 を除去する。 残った細胞沈殿を氷冷した 1 OmM He p e s—水酸化力リウム ( H 7. 8) 、 1 OmM 塩化カリウム及ぴ 0. ImM EDTA (pH8. 0) 溶液 (以下、 バッファー Aと記す。 ) 10mLに懸濁する。 得られる懸濁液を 10分間氷上で冷却した後、 遠心分離 (4°C、 1, 300 r pm 5分間) する。 上清を除去した後、 残った細胞沈殿を 3 Om 1のバッファー Aで懸濁する。 得られ る懸濁液をダウンスホモジナイザーぺッスル B (Wh e a t o n社) を用いて氷上 で冷却しながら細胞を完全に破碎する。 得られた細胞破砕液を遠心分離 (4°C、 1 , 300 r pm、 5分間) した後、 上清を除去する。 残った沈殿を 50 mM He e s -KOH (p H 7. 8) 、 42 OmM 塩化力リウム、 0. 1 mM ED TA ( H8.. 0) 、 5mM 塩化マグネシウム及び 2 %グリセロール溶液 ( 以下、 バッファー Bと記す。 ) 2mLに懸濁する。 得られる懸濁液を、 4°Cで 30 分間ローテ一ターにて穏やかに回転させた後、 遠心分離 (4°C、 24, 0ひ O g、
3 0分間) する。 上清を回収し、 回収される上清に蒸留水を加えることにより 5倍 に希釈された液を被験物質として調製することが出来る。
( 3 ) 単離 ·回収の工程
上記の被験物質を、 上記 ( 1 ) で作製される結合物質用ァフィユティーカラムに 供する。 さらに、 当該カラムを洗浄するために、 5倍に希釈されたバッファー B l O m Lを供する。 その後、 バッファー B中の塩化カリウムの濃度を 1 Mまで上昇 させるグラジェント溶出を行うことにより、 当該カラムから結合物質を溶出させる 。 溶出液を回収した後、 当該溶出液から結合物質を回収する。
産業上の利用可能性 .
本発明により、 生体内でのエネルギー代謝に重要な役割を果たしている PGCl aの 新規バリアント : PGCl a b、 そのプロモーター、 これらを用いる骨格筋における熱 産生作用等のィンスリンの機能を選択的に改善する薬剤の探索方法、 及び PGC1ひ b の発現を促進する物質を有効成分とする糖代謝異常を伴う糖尿病等の疾患の治療薬 を提供する とが可能になった。 配列表フリ. テキスト
配列番号 7 PGCl a bの部分配列
配列番号 8 ; PGCl a bの部分配列
配列番号 9 '· PCR用プライマー
配列番号 1 0 : PCR用プライマー
配列番号 1 1 : PCR用プライマー
配列番号 1 2 : PCR用プライマー
配列番号 1 3 : PCR用プライマー
配列番号 1 4 : PCR用プライマー
配列番号 1 5 : PCR用プライマー
配列番号 1 6 : PCR用プライマー
配列番号 1 7 : PCR用プライマー
配列番号 1 8 PCR用プライマ■ ~ 配列番号 1 9 PCR用プライマー 配列番号 2 0 PCR用プライマー 配列番号 2 1 PCR用プライマー 配列番号 2 2 PCR用プライマー 配列番号 2 3 PCR用プライマー 配列番号 2 4 PCR用プライマー 配列番号 2 5 PCR用プライマー 配列番号 2 6 PCR用プライマー 配列番号 2 7 PCR用プライマー 配列番号 2 8 PCR用プライマー 配列番号 2 9 PCR用プライマー 配列番号 3 0 PCR用プライマー 配列番号 3 1 PCR用プライマー 配列番号 3 2 PCR用プライマー 配列番号 3 6 PCR用プライマー 配列番号 3 7 PCR用プライマー 配列番号 3 8 PCR用プライマ1 ~ 配列番号 3 9 PCR用プライマー 配列番号 4 0 PCR用プライマー 配列番号 4 1 PCR用プライマー 配列番号 4 2 PCR用プライマー 配列番号 4 3 PCR用プライマー 配列番号 4 4 PCR用プライマー 配列番号 4 5 PCR用プライマー 配列番号 4 6 PCR用プライマー 配列番号 4 7 PCR用プライマー 配列番号 4 8 PCR用プライマー 配列番号 4 9 PCR用プライマー
配列番号 5 0 PGC1 a bの部分配列 配列番号 5 1 PGC1 a bの部分配列 配列番号 5 2 PGC1 a bの部分配列 配列番号 5 3 PGC1 a bの部分配列 配列番号 5 4 PGC1 bの部分配列 配列番号 5 5 PGC1 a bの部分配列