WO2005068184A1

WO2005068184A1 - ２ﾋﾟｰｽ缶用ﾗﾐﾈｰﾄ鋼板およびそれを用いた２ﾋﾟｰｽ缶

Info

Publication number: WO2005068184A1
Application number: PCT/JP2004/000218
Authority: WO
Inventors: Masanobu Matsubara; Masatoki Ishida; Hitoshi Kuroda
Original assignee: Toyo Kohan Co., Ltd.
Priority date: 2004-01-15
Filing date: 2004-01-15
Publication date: 2005-07-28

Abstract

樹脂フィルムを被覆してなる被覆金属板を２ピース缶に成形加工した後においても、缶外面側において金属板素地が十分に隠蔽され、良好な白色調を呈することが可能な２ピース缶用ラミネート鋼板およびそれを用いた２ピース缶を提供することを目的とする。鋼板に錫めっきを施した後に溶錫処理を施した鏡面、または溶錫処理を施さない真珠光沢面に缶外面側用として白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆して２ピース缶用ラミネート鋼板とし、このラミネート鋼板を絞りしごき加工、絞り加工およびストレッチ加工、絞り加工およびストレッチ加工と同時のしごき加工、のいずれかを施して２ピース缶に成形加工する。

Description

明細書

2ピース缶用ラミネ一ト鋼板およびそれを用いた 2ピース缶技術分野

本発明は、缶壁部の白色調に特に優れた 2ピース缶を得ることを目的とした 2 ピース缶用ラミネ一ト鋼板およびそれを用いた 2ピース缶に関する。背景技術

近年、予め金属板に樹脂フィルムを被覆した被覆金属板を、（1 ) 絞りしごき加工、（2 ) 絞り加工およびストレッチ加工（再絞りダイスの曲率コーナー部で缶壁部を曲げ延ばして側壁部を薄肉化する加工方法）、（3 ) 絞り加工およびストレツチ加工による成形加工において、ストレツチ加工時にしごき加工を併用してさらに缶壁部を薄肉化する加工、のいずれかにより缶底と缶壁を一体化して成形加工する、いわゆる 2ピース缶が飲料用缶のかなりの部分を占めるようになつている。これらの被覆金属板を成形加工した 2ピース缶においては、缶外面側には塗装や印刷が施されるため、被覆金属板の缶外面となる面には印刷下地となる白色顔料を含有する樹脂フィルムが被覆される。この白色フィルムは金属板に被覆された状態では金属板素地を十分に隠蔽して、良好な白色調を呈するが、上記のように 2ピース缶に成形加工すると缶壁部が薄肉化するために、金属板素地が十分に隠蔽されず、良好な白色調が得られない。特に、樹脂フィルムとの接着性に優れているため被覆金属板の接着基板として多用されている T F S (電解ク口ム酸処理鋼板）は、鋼板表面に薄い金属クロム層とクロム水和酸化物皮膜が形成されているため、黒味を帯びた鋼板素地の色調に青味を帯びたクロム水和酸化物皮膜の色調とが加味された表面の色調であるため、缶壁部が薄肉化されると金属板素地が十分に隠蔽されなくなる。これを補償するため、樹脂フィルム中の白色顔料の含有量を増加させることも試みられているが、含有量が過剰に多くなると、成形加工時に削れたり、加工性が低下してフィルムにクラックが生じやすくなるため、一定量以上に含有させることはできない。さらに、近年、缶コスト削減の要求から金属板および樹脂フィルムの薄化が進行し、 2ピース缶外面の良好な白色調はさらに得られにくくなっている。

従来技術として、特開平 1 1—0 9 1 0 3 1号公報には、 T F Sの缶内面になる側に 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体フィルム、缶外面になる側に酸化チタンを 3 0重量％含有する 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体フィルムを被覆してなる有機被覆金属板を、絞りおよびストレッチ加工して深絞りカップとした後、外面側にアルミフレークまたは雲母を添加してなる塗料を塗布して隠蔽力ないし白色不足を補い、重厚な光輝感ある缶が得られることを開示している。しカゝし、缶に成形加工した後に別工程で塗装を施し、焼付け乾燥する必要があり、大掛かりな装置が成形加工装置以外にも必要となるため、缶のコストアップを招き経済的ではない。

また、特開 2 0 0 0— 1 5 4 2 6 4号公報にはアルミニウム合金、 T F S、ぶりきのいずれかの金属板に、 1つの層に 2種類以上の着色顔料を含有させてなる 2層以上の層からなる着色ポリエステル樹脂を被覆し、絞り加工およびストレツチ加工と同時にしごき加工を施してなる 2ピース缶を開示している。この 2ピース缶においては意匠性に富むと同時に下地金属基板の色調を隠蔽でき、塗装を省略することができるとしている。し力、し、このように多色の複層フィルムを製膜するには、様々な種類の顔料を含有させた樹脂ペレツトからなるマスターバッチを多種類準備する必要があり、また同一の製膜装置を用いて異なる色のフィルムを連続して製膜する場合、前に製膜したフィルム用の樹脂の残滓が完全に無くなり、後に製膜するフィルムの色調に一定するまで、後に製膜するフィルムのマスターパツチを少なからぬ量で供給して前に製膜したフィルム用の樹脂の残滓を除去しなくてはならず、フィルムの製膜コス卜に少なからぬ増大をもたらすことになり、経済的に有利ではない。

本発明は、樹脂フィルムを被覆してなる被覆金属板を 2ピース缶に成形加工した後においても、缶外面側において金属板素地が十分に隠蔽され、良好な白色調を呈することが可能な 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板およびそれを用いた 2ピース缶を提供することを目的とする。発明の開示

上記課題を解決する本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板は、錫めつき鋼板の片面に透明ポリエステル樹脂フィルム、他面に白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆してなるラミネート鋼板であって、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面の、色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 8以上である 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板であり、錫めつき鋼板が、錫を電気めつきした後に溶錫処理を施した錫めつき鋼板であること、または、錫めつき鋼板が、溶錫処理を施さない、錫を電気めっきしたままの錫めつき鋼板であこと、さらに透明ポリエステル樹脂フィルムおよび白色ポリエステル樹脂フィルムが無配向フィルムであること、またさらに白色ポリエステル樹脂フィルムが白色顔料を 5〜 3 0重量％含有してなることを特徴とする。

また、本発明の 2ピース缶は、上記のいずれかの 2ピース缶用ラミネート鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞りしごき加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピース缶、または上記のいずれかの 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞り加工およびストレツチ加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピース缶、または上記のいずれかの 2ピース缶用ラミネート鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞り加工およびストレツチ加工と同時にしごき加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピ —ス缶であり、さらに上記のいずれかの 2ピース缶用ラミネート缶において、缶上部に絞り加工を施して缶底径よりも小径の開口端部を設けてなることを特徴とし、またさらに開口端部にスクリューキャップを装着するネジ部が設けられてなることを特徴とする。発明を実施するための最良の形態

本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板は、錫めつき後に溶錫処理を施した鏡面、または溶錫処理を施さない真珠光沢面に缶外面側用として白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆してなり、良好な白色調を呈する。そのため、本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面となるようにして、絞りしごき加工、絞り加工およびストレッチ加工、絞り加工およびストレツチ加工と同時のしごき加工、のいずれかを施して 2ピース缶に成形加工して缶壁部の白色ポリエステルフィルムが薄化した 2ピース缶の缶外面の缶壁部においても良好な白色調を保持することができる。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板の、樹脂フィルムを被覆する下地の鋼板としては、錫めつき鋼板を用いる。錫めつき鋼板は、定法を用いて冷延鋼板を脱脂、酸洗した後、公知の電気めつき法を用いて錫めつきすることにより得られる。市販の錫めつき鋼板の大半は、錫めつき後、めっき鋼板を錫の溶融温度以上の温度に加熱して錫を溶融し鏡面化されたものである。本発明の 2ピース缶用ラミネート鋼板の、樹脂フィルム被覆下地用の錫めつき鋼板としては、このような溶錫処理を施して鏡面化した錫めつき鋼板を用いてもよいし、錫めつき後に溶錫処理を施さずに、電気めつきしたままの錫めつき鋼板を用いてもよい。溶錫処理を施して鏡面化した錫めつき鋼板に白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆して 2ピース缶に成形加工した場合、缶壁部の白色ポリエステルフィルムが薄化しても鏡面により白色が反射されるので、 T F Sにおけるように下地金属が透けて見えて隠蔽性に乏しくなることがない。一方、溶錫処理を施さない錫めつきの表面は美麗な真珠光沢を呈しており、その上に白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆して 2ピース缶に成形加工した場合でも下地の真珠光沢は保持されるので、缶壁部の白色ポリエステルフィルムが薄化してもフィルムの白色と錫めつきの真珠光沢が相俟って、 T F Sにおけるように白色調が低下することがない。耐食性、成型加ェ後の白色調の保持性、および経済性の観点から、錫めつき量としては、 0 . 2 〜： L 1 . 2 g Zm ² であることが好ましい。

上記のようにして作成した溶錫処理錫めつき鋼板または未溶錫処理錫めつき鋼板に、樹脂フィルムとの接着力を向上させるための表面処理を施す。表面処理としては、重クロム酸塩の水溶液中における浸漬処理、または電解処理により、錫めっき上にクロム水和酸化物皮膜を形成させる方法、無水クロム酸の水溶液中における電解処理により、錫めつき上に金属クロムとクロム水和酸化物からなる 2 層皮膜を形成させる方法、錫めつき上にポリアクリル酸やエポキシ樹脂などの有機樹脂の薄層を形成させる方法、錫めつき上にシランカツプリング処理を施す方法などがあるが、樹脂フィルムとの良好な接着力が得られること、および処理が簡便で経済的であることから、シランカツプリング処理を施すことが好ましい。シラン力ップリング処理は鋼板に錫をめつきした後、または錫をめつきし溶錫処理を施した後に実施してもよいし、シラン力ップリング処理を施す前に錫めつき層表面に生成した錫酸化物皮膜を除去する処理を施した後に実施してもよい。錫酸化物皮膜を除去する処理としては、アルカリ金属またはアンモユウムの炭酸塩、もしくは重炭酸塩の水溶液中における陰極電解処理、亜塩素酸ナトリウムとリン酸ナトリゥムと水酸化ナトリゥムの混合水溶液中における浸漬処理、トリアジンチオールモノナトチウムゃトリアジンチオールジナトチウムなどのトリアジンチオール化合物の水溶液中における陰極電解処理などを挙げることができる。上記の錫めつき鋼板、または錫酸化物皮膜を除去する処理を施した錫めつき鋼板の表面にシランカツプリング剤を塗布し乾燥させる。シランカツプリング剤としては、ビュル系、アクリル系、エポキシ系、アミノ系、メルカプト系、クロ口プロピル系などの各種のものがあるが、ァミノ系のシラン力ップリング剤を用いることが好ましい。ァミノ系のシランカップリング剤としては、ァミノプロピルトリメトキシシラン、ァミノプロピルメチルジェトキシシラン、ァミノプロピルトリエトキシシラン、フエニルァミノプロビルトリメトキシシランなどを、用いることができる。これらのシラン力ップリング剤の 5〜2 0 0 g / Lの水溶液をこれらの錫めつき鋼板の表面に塗布し乾燥させる。塗布方法としては公知の浸漬法、ロールコート法、浸漬後ロールによる絞り法、スプレー法、あるいは電界処理法が適用できる。乾燥後の皮膜量は、蛍光 X線法で測定したケィ素量で 1〜5 O m g /m ² であることが好ましい。このようにして本発明の 2ピース缶用ラミネート鋼板の、樹脂フィルムを被覆する下地の鋼板が得られる。

上記のようにして得られる樹脂フィルムを被覆する下地の鋼板の片面に透明ポリエステル樹脂フィルムを、他面に白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆して本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板とする。透明フィルムおよび白色フィルムに用いるポリエステル樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、 2， 5 —ナフタレンジカルボン酸、 2， 6 —ナフタレンジカルボン酸、 1， 4—ナフタレンジカルボン酸、 1 , 5 —ナフタレンジカルボン酸、ジフエ二ルカルボン酸、ジフエノキシエタンジカルボン酸、ジフエニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、 1， 3 —シクロペンタンジカルボン酸、 1， 3—シクロへキサンジカルボン酸、 1 , 4—シクロへキサンジカルボン酸、へキサヒドロテレフタノレ酸、へキサヒドロイソフタゾレ酸、マロン酸、ジメチノレマロン酸、コハク酸、 3， 3—ジェチルコハク酸、ダルタル酸、 2 , 2—ジメチルダルタル酸、アジピン酸、 2—メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、ァゼライン酸、ダイマ一酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸などのジカノレボン酸と、エチレングリコーノレ、プロピレングリコーノレ、へキサメチレングリコーノレ、ネオペンチノレグリコーノレ、 1 ， 2—シクロへキサンジメタノーノレ、 1 , 4—シクロへキサンジメタノール、デカメチレングリコール、 1 ， 3—プロパンジォーノレ、 1 ， 4—ブタンジォーノレ、 1 ， 5—ペンタンジォーノレ、 1 , 6 - へキサジォーノレ、 2 , 2—ビス（4 ' —ヒドロキシフエニル）プロパン、ビス（ 4—ヒドロキシフエニル）スルホンなどのジオールを、それぞれ 1種を重縮合してなるホモポリマー、またはジカルボン酸 1種以上とジオール 2種以上を重縮合してなる共重合体、あるいはジカルボン酸 2種以上とジオールを 1種以上を重縮合してなる共重合体、およびこれらのホモポリマーや共重合体を 2種以上プレンドしてなるブレンド樹脂のいずれかのポリエステル樹脂を挙げることができる。共重合ポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸を主体としたものが、加工性や機械的物性の点で、また缶に充填する内容物の香味を変化させずに保持する特性の点で特に好ましい。また、ホモポリマーおよび共重合体のポリエステル樹脂は、フィルムに製膜することが可能な範囲の分子量を有している必要があり、フエノール/テトラクロロェタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度 [ η ]が 0 . 5〜 1 . 6、特に 0 . 6〜 1 . 5の範囲にあることが好ましい。

これらのポリエステル樹脂から製膜したフィルムは、一軸方向または二軸方向に延伸して熱固定処理した配向フィルム、または樹脂を加熱溶融し Τダイから押し出したままで延伸処理を施していない、無配向フィルムのいずれであってもよいが、本発明においては無配向フィルムを用いることが好ましい。無配向ポリエステル樹脂フィルムは、樹脂組成にもよるが、錫の融解温度である 2 3 2 °C以下の温度で錫めつき鋼板に熱接着させることができる。本発明において、溶錫処理を施さな、真珠光沢の錫めつき層を有する錫めつき鋼板に無配向のポリエステル樹脂フィルムを用いなくてはならない。また、溶錫処理を施した鏡面の錫めつき層を有する錫めつき鋼板にポリエステル樹脂フィルムを被覆する場合においても、錫めつき鋼板を錫の溶融温度以上に加熱して溶融した錫面にポリエステル樹脂フィルムを当接して圧着すると、良好な接着力が得られにくレ、。以上の点から、本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板に用いる透明ポリエステル樹脂フィルムおよび白色ポリエステル樹脂フィルムは無配向フィルムを用いることが好ましい。白色ポリエステル樹脂フィルムは、酸化チタンからなる白色顔料を含有する白色の樹脂ペレツトと透明の樹脂ペレツトを、所望の顔料含有量となるように混合して加熱溶解し、押出して製膜することにより得られる。本発明においては、白色ポリエステル樹脂フィルムは 5〜 3 0重量％の白色顔料を含有していることが好ましい。含有量が 5重量％未満では、 2ピース缶用ラミネート鋼板において、 7 8以上の L値の良好な白色調が得られず、そのため 2ピース缶に成形加工した後の缶壁部において、 7 5以上の L値の良好な白色調が得られない。 3 0重量％を超えて白色顔料を含有させると、 2ピース缶に成形加工する際に削れたり、フイルムにクラックが生じるようになる。

透明ポリエステル樹脂の厚さは耐食性および内容物の耐透過性の観点から 1 0

〜5 0 mであることが好ましい。また、白色ポリエステル樹脂の厚さは良好な白色調が得られること、および経済性の観点から 5〜4 0 μ πιであることが好ましい。

これらの、透明ポリェステル樹脂フィルムおよび白色ポリエステル樹脂フィルムは、以下に示すようにして錫めつき鋼板に熱接着する。すなわち、公知のラミネート装置を用い、錫めつき鋼板を錫の融点以下の温度に加熱し、その片面に透明ポリエステル樹脂フィルムを、他面に白色ポリエステル樹脂フィルムを当接し、 1対の圧着ロールを用いて 3者を挟み付けて圧着し、直ちに水中に浸漬して急冷する。このようにして本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板を得ることができる。

このようにして得られる 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板において、白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆した面の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 8以上であることが好ましい。より好ましくは 8 3〜8 8である。 L値が 7 8未満である場合は、 2ピース缶に成形加工した後の缶壁部において、 7 5以上の L値の良好な白色調が得られない。 8 8を超えた L値を得ることは極めて困難である。本発明の 2ピース缶は、上記の本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板を成形加ェすることにより得ることができる。成形加工法としては、（1 ) 絞りしごき加ェ、（2 ) 絞り加工およびストレッチ加工（再絞りダイスの曲率コーナー部で缶壁部を曲げ延ばして側壁部を薄肉化する加工方法）、（3 ) 絞り加工およびストレツチ加工による成形加工において、ストレツチ加工時にしごき加工を併用してさらに缶壁部を薄肉化する加工、のいずれかを用いることができる。以下に各加ェ方法について説明する。

[絞りしごき加工]

2ピース缶用ラミネ一ト鋼板から円板上のブランクを打ち抜き、ブランクを白色フィルム側が外面側となるようにして絞り加工して浅い力ップに成形する。この力ップを再絞り加工して目的とする 2ピース缶の缶径を有する深い力ップに成形する。この深い力ップを 2〜 3段の連続的に配置したしごきダイスを用いて力ップの側壁部をしごき加工して側壁部を薄肉化するとともに缶高さを高め、底部と壁部が一体化した 2ピース缶に成形する。次いで、缶上部をトリミングして一定の高さの 2ピース缶とする。絞りしごき加工により 2ピース缶に成形加工する場合、総しごき率（（本板厚一最終段のしごき加工後の側壁厚さ元板厚） X I 0 0 ： (%) ) は 5 0〜 7 0 %であることが好ましい。

[絞り加工およびストレッチ加工]

2ピース缶用ラミネ一ト鋼板から円板上のブランクを打ち抜き、ブランクを白色フィルム側が外面側となるようにして絞り加工して浅いカップに成形する。この浅いカップを 2段（1次、 2次）または 3段（1次、 2次、 3次）のストレツチ加工による再絞り加工を施して順次に小径化し、目的とする 2ピース缶の缶径および缶高さの底部と壁部が一体化した 2ピース缶に成形する。次いで、缶上部をトリミングして一定の高さの 2ピース缶とする。総絞り比（ブランク径 Z最終段の再絞り加工後の缶径）は、 2 . ：!〜 2 . 5であることが好ましい。

[絞り加工およびしごき加工を併用するストレツチ加工]

上記の絞り加工およびストレッチ加工において、最終段の再絞り加工時に、しごき加工が可能なダイスを用いてストレツチ加工と同時に 5〜2 0 %程度のしごき加工を付与する。

上記のいずれかの成形加工を施してなる 2ピース缶において、白色樹脂フィルムが薄化した缶壁部外面の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上であることが好ましい。 L値が 7 5未満である場合は良好な白色調が得られない。より好ましくは 8 0〜 8 6である。 8 6を超えた L値を得ることは極めて困難であるこのようにして成形加工を施してなる 2ピース缶において、トリミングした缶上部の開口部付近の外周部に絞り加工を施して、缶底径よりも小径の開口端部を設けた、 2ピース缶としてもよレ、。またさらに、この開口端部付近に、スクリュ一キヤップを装着するネジ部を、転造法を用いて形成してもよい。実施例

以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。

[錫めつき鋼板の作成]

表 1に示す板厚の冷延鋼板を、定法により電解脱脂処理および酸洗処理を施した後、公知のフエロスタン浴を用い、その両面に表 1に示すめっき量で錫を電気めっきした。一部のめっき板は錫の溶融温度以上の温度に加熱し、錫を加熱溶融して鏡面化した。次いでこれらの錫めつき鋼板をアミノ系シランカツプリング剤 ( K B M- 9 0 3 , 信越化学（株）製）の 8 0 g / Lの濃度の水溶液中に浸潰した後、乾燥し、錫めつき上にシランカップリング剤塗布層を形成させた。

[ポリエステル樹脂フィルムの被覆 1 エチレンテレフタレート： 8 8モ /レ⁰ /₀ エチレンィソフタレート： 1 2モル⁰ /₀ 共重合体（以下、 E T / E Iで示す）からなるペレットを加熱溶融し、 Tダイから押し出し、表 1に示す厚さの無配向の透明樹脂フィルムを製膜した。また透明樹脂フィルムに用いたのと同様の E T / E Iからなるペレツトに酸化チタンからなる白色顔料を含有させたペレツトと、透明樹脂フィルムに用いたのと同様の E T Z E Iからなるペレツトとを混合して加熱溶融し、表 1に示す白色顔料の含有量と厚さを有する白色フィルムを製膜した。次いで公知のラミネート装置を用いて、上記のようにして作成した表 1に示す錫めつき鋼板、および比較材として T F S (表面処理皮膜：金属クロム量： 9 O m g /m ² 、クロム水和酸化物： 1 6 m g /m ² ) の片面に上記の透明樹脂フィルムを、他面に上記の白色フィルムを熱接着した。すなわち、シランカップリング剤塗布層を形成させた錫めつき鋼板または T F Sを 2 0 0 °Cに加熱し、その片面に透明樹脂フィルムを当接し、他面に白色フィルムを当接して、 1対の圧着ロールを用いて 3者を挟み付けて圧着した後、直ちに水中に浸漬して急冷した。その後付着した水を乾燥させ、表 1の試料番号 1〜 1 5で示す 2ピース缶用ラミネート鋼板の供試材とした。

[供試板の白色ポリエステル樹脂フィルムの白色調の程度の評価]

上記のようにして得られた試料番号 1〜1 5の供試材の白色ポリエステル樹脂フィルムの白色調をハンタの L値で評価した。すなわち、色彩色差計（C R— 3 0 0、ミノルタカメラ（株）製）を用いてハンタの L値を測定し、下記の基準で白色調の程度を評価した。

◎： ≥ 8 3

O： ≥ 7 8でかつ < 8 3

Δ： ≥ 7 3でかつ < 7 8

X ： < 7 3

◎および〇を本発明の合格品とした。評価結果を表 2に示す。表 1 供試板の作成条件

[ 2ピース缶の缶壁部における白色ポリエステル樹脂フィルムの白色調の程度の評価]

試料番号 1 1 5に示す供試材を下記の 3種の成形加工方法を用いて、白色ポリエステル樹脂被覆面が缶外側となるようにして 2ピース缶に成形加工し、得られた缶壁部の白色ポリエステル樹脂フィルムの白色調の程度を供試板と同様にしてハンタの L値を測定し、下記の基準で白色調の程度を評価した。評価結果を表 2に示す。

O ≥ 7 5でかつ < 80

Δ ： ≥ 7 1でかつ < Ί 5

X ： < 7 1

◎および〇を本発明の合格品とした。評価結果を表 2に示す。

(絞りしごき法 (表 2中で D Iで示す)）

試料番号 1〜7に示す供試材の両面にグラマーワックスを塗布し、 1 5 7mm の円板ブランクに打ち抜いた後、下記の条件で絞りしごき加工を施し、缶径 6 5 mmの 2ピース缶に成形加工した。

第 1段絞り：絞り比 1. 7 5

第 2段絞り：絞り比 1. 3 8

第 1段しごき：しごき率 30%

第 2段しごき：しごき率 30%

第 3段しごき：しごき率 30% (総しごき率： 5 2%)

(絞り加工およびストレツチ加工法 (表 2中で D Sで示す)）

試料番号 8〜 1 0、 1 2、 1 4、 1 5に示す供試材の両面にグラマーワックスを塗布し、 1 6 Ommの円板ブランクに打ち抜いた後、下記の条件で絞り加工およびストレツチ加工を施し、缶径 6 5 mmの 2ピース缶に成形加工した。

第 1段絞り加工：絞り比 1. 40

再絞り加工

第 1次再絞り：絞り比 1. 2 2

第 2次再絞り：絞り比 1. 20 第 3次再絞り：絞り比 1. 20

再絞りダイスの曲率コーナー部の曲率半径： 0. 40mm

(絞り加工およびストレツチ加工と同時のしごき加工法 (表 2中で DS Iで示す)）試料番号 8〜 1 1、 1 3、 1 5に示す供試材の両面にグラマーワックスを塗布し、 1 6 Ommの円板ブランクに打ち抜いた後、下記の条件で絞り加工およびストレツチ加工を施し、再絞り加工の第 2次再絞り加工と同時にしごき加工を施し、缶径 65 mmの 2ピース缶に成形加工した。

第 1段絞り加工：絞り比 1. 60

再絞り加工

第 1次再絞り：絞り比 1. 25

第 2次再絞り：絞り比 1. 23

第 2次再絞り時のしごき率（元板厚に対して） 50%

再絞りダイスの曲率コーナー部の曲率半径： 0. 37mm

表 2に示すように、本発明の 2ピース缶用ラミネート鋼板およびそれを 2ピース缶に成形してなる本発明の 2ピース缶においては、板表面および缶外面において良好な白色調を示す。

次いで試料番号 1 2および 14の供試材を絞り加工およびストレツチ加工を施してなる 2ピース缶の缶上端をトリミングして 1 35 mmの一定高さとした後、口絞り法を用いて、缶上端部 35mmを、開口端部の径が 40mm、開口端から 1 2 mmの部分が円筒状となるように円錐状およびその上方が円筒状となるように絞り加工を施したが、缶内外面において樹脂フィルムの剥離は認められなかつた。さらに、開口端から 1 2mmの部分に転造法によりネジ部を形成させたが、ネジ形成部においても樹脂フィルムの剥離は認められなかった。表 2 特性評価結果

産業上の利用可能性

本発明の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板は、錫めつき後に溶錫処理を施した鏡面、または溶錫処理を施施さない真珠光沢面に缶外面用に白色ポリエステル樹脂フイルムを被覆してなる。溶錫処理を施して鏡面化した錫めつき鋼板に白色ポリェステル樹脂フィルムを被覆して 2ピース缶に成形加工して缶壁部の白色ポリエステルフィルムが薄化しても鏡面により白色が反射され、 T F Sにおけるように下地金属が透けて見えて隠蔽性に乏しくなることがない。溶錫処理を施さない錫めつきの表面は美麗な真珠光沢を呈しており、その上に白色ポリエステル樹脂フィルムを被覆して 2ピース缶に成形加工しても下地の真珠光沢は保持され、缶壁部の白色ポリエステルフィルムが薄化してもフィルムの白色と錫めつきの真珠光沢が相俟って、 T F Sにおけるように白色調が低下することがない。

また、本発明の 2ピース缶用ラミネート鋼板においては、シランカップリング処理を施した錫めつき鋼板に樹脂フィルムを熱接着してなり、加工を施しても良好な接着力が低下することがない。そのため、絞りしごき加工、絞り加工およびストレッチ加工、絞り加工およびストレッチ加工と同時のしごき加工、のいずれかを施して 2ピース缶に成形加工して樹脂フィルムが剥離することがなく、さらに 2ピース缶上部に小径化させる口絞り成形を施したり、さらにネジ部を形成させても樹脂フィルムが剥離することがない。

Claims

1 . 錫めつき鋼板の片面に透明ポリエステル樹脂フィルム、他面に白色ポリェステル樹脂フィルムを被覆してなるラミネート鋼板であって、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面の、色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 8以上である 2 ピース缶用ラミネ一ト鋼板。

言

2 . 錫めつき鋼板が、錫を電気めつきした後に溶錫処理を施した錫めつき鋼板求

である、請求項 1に記載の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板。

の 1

3 . 錫めつき鋼板が、溶錫処理を施さ 7ない、錫を電気めつきしたままの錫めつき鋼板である、請求項 1に記載の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板。

囲

4 . 透明ポリエステル樹脂フィルムおよび白色ポリエステル樹脂フィルムが無配向フィルムである、請求項 1に記載の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板。

5 . 白色ポリエステル樹脂フィルムが白色顔料を 5〜 3 0重量％含有してなる、請求項 1または 4に記載の 2ピース缶用ラミネ一ト鋼板。

6 . 請求項 1〜 5のいずれかに記載の 2ピース缶用ラミネート鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞りしごき加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピース缶。

7 . 請求項 1〜 5のいずれかに記載の 2ピース缶用ラミネート鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞り加工およびストレツチ加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピース缶。

8 . 請求項 1〜 5のいずれかに記載の 2ピース缶用ラミネート鋼板を、白色ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶外面側となるようにして絞り加工およびストレツチ加工と同時にしごき加工を施して成形してなる 2ピース缶において、缶外面の缶壁部の色彩色差計で測定したハンタの L値が 7 5以上である 2ピース缶。

9. 請求項 6〜 8のいずれかに記載の 2ピース缶用ラミネート缶において、缶上部に絞り加工を施して缶底径ょりも小径の開口端部を設けてなる 2ピース缶。

10. 開口端部にスクリューキャップを装着するネジ部が設けられてなる、請求項 9に記載の 2ピース缶。