明 細 書
核酸分子送達用担体
技術分野
[0001] 本発明は、糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体に関する。
背景技術
[0002] 最近注目されて 、る遺伝子治療では、患者の体内から取り出した細胞に培養系で 外来遺伝子を導入し、形質転換細胞を増殖させた後に患者に再移植する「Ex vivo 遺伝子導入法」が主として実施されている。この場合、患者から単離できる細胞は限 られているため、多くの場合、末梢血リンパ球が利用されている。しかし、ターゲットと なる細胞は、その対象疾患によって異なり、特に体細胞や臓器組織の細胞をターゲ ットとする場合には、外来遺伝子をコードするプラスミド DNAを直接生体に投与する 必要がある(In vivo遺伝子導入法)。
[0003] In vivo遺伝子導入法は、多くの研究者によって検討が行われており、遺伝子を効 率よく生体内に導入し、安全性が確保できる核酸分子送達用担体の開発が強く望ま れている。
[0004] 一方、米国 FDAにより認可されている、遺伝子治療プロトコールの 85%以上にお いては、アデノウイルスやレトロウイルスなどが使用されている(Annu.Rev.Microbiol., 49, 807, 1995) oウィルスによる遺伝子導入効果は極めて高ぐ有効である力 米国 で実施された遺伝子治療においてはウィルスに対する免疫反応が原因と考えられる 事故が起こるなど、ウィルス増殖などの危険性が指摘されて 、た。
[0005] そのため、カチォニックリボソーム (Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, 7413, 1987)ゃカチ オンポリマー (Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 92, 7297, 1995 ; Bioconjugate Chem., 6, 7, 1995)などの非ウィルス性担体を核酸分子送達用担体として用いることが検討されて きた。具体的には、従来、ジェチルアミノエチルデキストラン (DEAE-dex)やポリ- L-リ ジン (PLL)などの直鎖状ポリカチオンが検討されてきた。
[0006] ポリカチオンの遺伝子発現効率はリボソームより低いが、リボソームに比べて生体内 に直接投与したときに肝臓に集積する傾向が少なぐ体内動態のコントロールが比較
的容易であるという利点がある。しかし、ポリカチオンの一つで、従来、核酸分子送達 用担体として精力的に検討されてきたポリ- L-リジンは、遺伝子導入能の効率が低い
[0007] このような問題に鑑み、本発明者らは、特定の構造を有する糖含有共重合体並び に該糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体に関する技術を発明し、 先に特許出願を行ったが(特開 2004— 26866)、遺伝子発現効率の更なる向上など が求められていた。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明は、糖含有共重合体から形成される、遺伝子発現効率に優れ、且つ細胞内 に導入された場合に核酸を放出し、核酸の発現効率の高い核酸分子送達用担体を 提供することを主な目的とする。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明者は、遺伝子発現を効率的に行うことができる核酸分子送達用担体につい て鋭意研究した結果、特定の構造を有する糖含有共重合体を用いる場合に、優れた 効果を奏する核酸分子送達用担体が得られることを見出し、更に鋭意検討を重ねて 本発明を完成するに至った。
[0010] 即ち、本発明は、以下の核酸分子送達用担体に係る。
1. カチオン性基を有する繰り返し単位 (A)、糖 (Sugar)を含有する繰り返し単位 (B) 及び疎水性置換基を有する繰り返し単位 (C)を有する糖含有共重合体。
2. 該カチオン性基を有する繰り返し単位 (A)が一般式 (I)
[0011] [化 1]
[0012] (式中、 Rは、 H又は CHを示す。
2 3
[0013] Yは、— C ( = 0) 0— (CH ) n—、 -OC ( = 0)-(CH ) n—、一 OC ( = 0)— (CH ) n
2 y 2 y 2
— C ( = 0)、又は— CONH— (CH ) n—を示す。 nは 1
2 y y 一 10の整数を示す。
[0014] Zは、 NR R (R及び Rは、各々同一または異なって炭素数 1一 10の炭化水素
3 4 3 4
基を示す。 )、 N+R R R (R 及び Rは、各々同一または異なって炭素数 1
5 6 7 5、 R
6 7 一 1
0の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。 )
で表される、請求項 1に記載の糖含有共重合体。
3. 該糖 (Sugar)を含有する繰り返し単位 (B)が一般式 (II)
[0015] [化 2]
[0016] (式中、 Rは、 H又は CHを示す。
1 3
Sugarは糖から 1個の NH (Sugarがァミノ糖のアミノ基で結合して 、るモノサッカライド、
2
ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくは OH (Sugarが糖の水酸基で結合し て 、るモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除 、た糖残基
を示す。
Xは、 C ( = O) Z1—、— C ( = O) O-R―、— CONH―、— CONH— R―、 - a b
R -C ( = 0) Z1-,又は— Ph— R— Z1 を示す。ここで、
c d
Rは Ph— O—、又は— (CH ) n— O—を示す。 nは 1
a 2 a a 一 10の整数を示す。
Rは- Ph-0-、又は— (CH ) n— O—を示す。 nは 1
2 b 一 10の整数を示す。
Rは— (CH ) n—、又は—(CH ) n -Ph-(CH ) n―を示す。 nは 2— 18、好ましくは c 2 c 2 c 2 c c
2— 10の整数を示す。
Rは CH—、又は SO を示す。
d 2 2
Z1は O または NH—を示す。
Phは (0- , m-または P-)フエ-レン基を示す。 )。
で表される、項 1に記載の核酸分子送達用担体。
4. 該糖を含有する繰り返し単位 (B)が、下記一般式 (III)
[0017] [化 3]
Sugar—— Z——。一 (CH2) C—— 0
[0018] (式中、 Sugarは糖から 1個の NH (Sugarがァミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッ
2
カライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくは OH (Sugarが糖の水酸基 で結合して 、るモノサッカライド、ジサッカライド或 、はポリサッカライドの場合)を除 ヽ た糖残基を示し、 mは 2— 10の整数を示す。 Zは 0または NHを示す。 )
で表される項 3に記載の核酸分子送達用担体。
5. カチオン性基を有する繰り返し単位 (A)が、下記一般式 (IV):
[0019] [化 4]
[0020] (式中、 nは 1一 10の整数を示す。 Raおよび Rは、同一または異なっていてもよぐ炭 素数 1一 4のアルキル基を示す。 )
で表される繰り返し単位である項 1一 3の ヽずれかに記載の核酸分子送達用担体。 6. 疎水性置換基を有する繰り返し単位 (C)が、下記一般式 (V)で表される繰り返 し単位である項 2— 4のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
一般式 (V):
[0021] [化 5]
[0022] (式中、 Rは、 H又は CHを示す。
8 3
Wは— C( = 0)0—、— OC( = 0)—、 -OC( = 0)-(CH )n— C( = 0)0—、又は— C(
2 w
= 0)NHを示す。 nは 2— 18、好ましくは 2— 10の整数を示す。
w
Rは、炭素数 3— 30の飽和または不飽和の脂肪族または脂環式の炭化水素基を示
9
す。)
7. 糖含有共重合体における繰り返し単位 (A) +繰り返し単位 (B)に対する繰り返
し単位(C)のモル比率が A+B: C = 99. 9 : 0. 1—0. 1 : 99. 9である、項 2— 6のい ずれかに記載の核酸分子送達用担体。
8. 糖含有共重合体の重量平均分子量が 10000— 1000000である項 1一 7のい ずれかに記載の核酸分子送達用担体。
9. 項 1一 8の 、ずれかに記載の核酸分子送達用担体を用 V、たトランスフエクション 試薬あるいは遺伝子治療用担体。
10. 項 1一 9の ヽずれかに記載の核酸分子送達用担体と DNAを細胞に適用する ことを特徴とする細胞内に前記 DNAを導入する方法。
11. 前記担体が糖残基を含み、かつ、前記細胞が該糖残基のレセプターを有し、 レセプター介在性に前記担体と DNAの複合体を細胞内に取り込ませることを特徴と する項 10に記載の方法。
発明の効果
[0023] 下記の結果に示されるように、本発明の糖含有共重合体から形成される核酸分子 送達用担体は、高い遺伝子発現効率を示すことが明らかになった。
[0024] 本発明の核酸分子送達用担体は、細胞の取り込み機構に応じて、核酸分子を細 胞内に適切に導入することができるものであって、レセプターを介在したエンドサイト 一シスによる核酸分子送達に特に適して 、る。
[0025] レセプターを介在したエンドサイト一シスにより取り込まれた複合体 (核酸分子と糖 含有共重合体との complex)は、核内への移行性が高ぐ本発明の核酸分子送達用 担体によって、核酸分子の核内への送達が、特に効率よく行われる。
[0026] また、本発明の核酸分子用送達担体は、特に遺伝子の送達用担体として好適に用 いることができる。本発明の核酸分子用送達担体により運ばれた遺伝子は、細胞内 に送達された後、高い効率で遺伝子発現が行われる。特に、本発明の核酸分子送 達用担体にお!ヽて、疎水性置換基を有する繰り返し単位を有する糖含有共重合体 カゝら形成されるものは、 DNA解離能が高ぐ細胞内に取り込まれた遺伝子の遺伝子 発現を特に効率よく行うことができる。
[0027] 本発明の核酸分子送達用担体はこのように優れた特性を備えたものであって、各 種細胞への遺伝子導入に有効に利用し得るものである。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1は、(A)HepG2細胞への pCMV-Lucと糖含有共重合体との複合体、及び
(B)COS細胞への pCMV-Lucと糖含有共重合体との複合体による、ルシフェラーゼの 発現効率と C/A比の関係を調べた結果を示す図面である。 PEIはポリエチレンィミン( Polyethyleneimine)を す。
[図 2]図 2は、 DC protein法によるタンパク定量を行うことによって、ポリマーの細胞に 対する毒性を検討した結果を示す図面である。
[図 3]図 3は、 HepG2細胞への遺伝子発現効率に及ぼすガラクトースの影響を調べた 結果を示す図面である。 Poly-Galはガラクトース含有共重合体、 Poly-gluはダルコ一 ス含有共重合体、 PEIはポリエチレンィミン(Polyethyleneimine)を用いた場合を示す。
[図 4]図 4は、 Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose)による HepG2細胞へ の DNA取り込みとガラクトースの影響を調べた結果を示す図面である。(A)は核内、( B)は細胞質内に対する取り込みの検討結果を示す。図 4において Sugarはガラクトー スを示す。
[図 5]図 5は、 Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy D- glucose)による HepG2細胞へ の DNA取り込みとグルコースの影響を調べた結果を示す図面である。(C)は核内、 (D)は細胞質内に対する取り込みの検討結果を示す。図 5において Sugarはダルコ一 スを示す。
[図 6]図 6は、 HepG2細胞に対し Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose) 及び Poly(DMAPAA- co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- glucose)により導入した遺伝子の核移 行性の割合を示した図面である。
[図 7]図 7は、ァ-オン分子によるポリプレックスからの DNAの解離をモデル化した図 面である。
[図 8]図 8は pCMV-Lucと各種糖含有共重合体との複合体を用いた場合における HepG2細胞へのルシフェラーゼの発現効率と C/A比の関係を示した図面である。
[図 9]図 9は、ガラクトース含有共重合体と pCMV-Luとの複合体の PVS存在下での遺 伝子の遊離に関する図面である。
[図 10A]図 10Aは、コレステリルエステル合成の酵素検討の結果を示す。
[図 10B]図 10Bは、コレステリルエステル合成の DVA (ジビュルアジペート)の濃度の 検討結果を示す。
[図 11]図 11は、ステアリル基(S)含量によるポリマー DNA複合体の AFM画像とァガ ロース電気泳動を用いたァ-オンポリマー(PVSK)添カ卩による DNAの解離の確認を 示す。
[図 12]図 12は、 FRET解析による細胞内での DNA解離の確認を示す。図 12において 、 Gal-D-A (a) :ステアリル基を含まないポリマー Ga卜 D- A- S (b) :ステアリル基を 2— 10%含有するポリマー細胞: HepG2 cells.、 Excitation wavelength = 495nm, Bar = 20 μ m
発明を実施するための最良の形態
[0029] 本発明の核酸分子送達用担体は、繰り返し単位 (A)及び (B)に加えて、更に疎水 性置換基を有する繰り返し単位 (C)を有する糖含有共重合体により形成される。
[0030] カチオン性某を有する繰り返し単位 (A)
カチオン性基を有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、本 発明にお 、ては、下記一般式 (I)で表される構造であることが好ま 、。
[0031] [化 6]
~ Z (り
[0032] (式中、 Rは、 H又は CHを示す。
2 3
[0033] Yは、— C ( = 0) 0— (CH ) n— (CH ) n—
2 y 、― OC ( = 0)—
2 y 、— OC ( =〇)—(CH ) n
2
— C ( = 0)、又は— CONH— (CH ) n—を示す。 nは 1
2 y y 一 10の整数を示す。
[0034] Zは、 NR R (R及び Rは、各々同一または異なって炭素数 1
3 4 3 4 一 10の炭化水素 基を示す。 )、 N+R R R (R 及び Rは、各々同一または異なって炭素数 1
5 6 7 5、 R
6 7 一 1
0の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。 )
本発明の 1つの好まし 、実施形態にぉ 、て、カチオン性基を有する繰り返し単位 ( A)が、下記一般式 (IV) :
[0035] [化 7]
[0036] (式中、 Ra、 Rbおよび nは前記に定義される通りである。 )
で表される。
[0037] R で表される炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基又
3 7
は不飽和炭化水素基、或いは環式炭化水素基等が挙げられる。環式炭化水素基と しては、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭化水素基として は具体的には、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。また、
R3と R4或いは R5と R6力 これらが結合している窒素原子と一緒になつて、ピロリジン 環またはピぺリジン環を形成することが可能である。
[0038] 窒素含有複素環式基としては、例えば、ピロリジニル、ピペリジル、ピペリジ入ピぺ ラジニル、 N—メチルビペラジ入モルホリノ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジ
-ル、イミダゾリジ -ル、キノリル、イソキノリル等が挙げられる。
[0039] Raおよび Rbで表される炭素数 1一 4のアルキル基としては、メチル、ェチル、 n-プロ ピル、イソプロピル、 n-ブチル、イソブチル、 sec-ブチル、 t-ブチルなどの直鎖又は分 枝を有するアルキル基が例示される。
[0040] 該繰り返し単位は、カチオン性基を有する単量体を重合することによって得ることが できる。
[0041] カチオン性基を有する単量体としては、例えば、
CH =CH-C ( = 0) 0-(CH ) -N (CH )、
CH =CH-C( = 0)0-(CH )— N+(CH ) 、
2 2 3 3 3
CH =CH-OC( = 0)-(CH ) -N(CH ) 、
2 2 3 3 2
CH =CH-OC( = 0)-(CH )— N+(CH ) 、
2 2 3 3 3
CH =CH— CONH— (CH )— N(CH ) 、
2 2 3 3 2
CH =CH-OC( = 0)-(CH ) -C( = 0)0-N(CH ) 、
2 2 3 3 2
CH =CH-OC( = 0)-(CH ) -C( = 0)0-N(CH CH )
2 2 3 2 3 2
などが挙げられる。
[0042] 糖を含有する線り返し単位 (B)
糖を含有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、特に下記- 般式 (II)で表される構造のものが好適に用いられる。
一般式 (Π):
[0043] [化 8]
[0044] (式中、 Rは、 H又は—CHを示す。
1 3
Sugarは糖から 1個の NH (Sugarがァミノ糖のアミノ基で結合して 、るモノサッカライド、
2
ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくは OH (Sugarが糖の水酸基で結合し て 、るモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除 、た糖残基 を示す。
Xは、一 C ( = O) O—、 一 C ( = O) O-R―、 一 CONH―、 一 CONH— R―、 一 OC ( = O) a b
R— C( = 0)0—、又は一 Ph— R― O—を表す。ここで、
c d
Rは- Ph-0-、又は— (CH )n-0—を表す。 nは 1
2 a a 一 10を表す。
a
Rは- Ph-0-、又は— (CH )n— O—を表す。 nは 1
2 b b 一 10を表す。
b
Rは— (CH )n—、又は—(CH )n— Ph— (CH )n—を表す。 nは 2 18を表す。 c 2 c 2 c 2 c c
Rは CH—、又は SO を表す。
d 2 2
Phはフヱ-レン基を表す。)。
[0045] 一般式 (II)において「Sugar」は、糖 (単糖、二糖、多糖)から 1個の NH (ァミノ糖の
2
場合)または 1個の OH (ァミノ糖以外の大部分の糖の場合)を除 、た糖残基を示す。 該糖残基 (Sugar)が OH基で結合する場合、へキソースの場合にはァノマー炭素(1位 )または 2位の水酸基、或いは 6位の 1級水酸基に結合し、へキソース以外にもこれら に対応する位置で結合する。また、該糖残基 (Sugar)が NH基で結合する場合、例え
2
ばダルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなど NH基の結合している炭素は通常 2
2
位である。
[0046] Sugarは、 Sugar— (OH)で表される糖と Sugar— (NH )で表されるァミノ糖の両方
2
を含む。
[0047] Sugar— (OH)で表される糖の種類は特に限定されず、例えば、グルコース、フルク トース、マンノース、ガラクトース、キシロース,エリスロース,ソノレボース, リボース,リブ ロース,キシノレロース等の単糖、スクロース、マノレトース、ラタトース、セロビオース, ァ ガロビオース,イソマルトース,キシロビオース,ゲンチォビオース,コージビオース, ソフォロース,タラノース, トレハロース等の二糖、マルトトリオース,ラフイノース,ラクト N—テトラオース、デキストリン、アミロース,アミロぺクチン,キトサン、デンプン、セル ロース、 α—シクロデキストリン、 j8—シクロデキストリン、 γ—シクロデキストリン等の多 糖及び多糖の加水分解生成物などが挙げられる。それらは天然糖でも合成糖でもよ い。
[0048] Sugar- (ΝΗ )で表されるアミノ糖としては、ダルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミ
2
ン、ノィラミン酸等の単糖、或いはこれらアミノ単糖を有する二糖ないし多糖が例示さ れる。
[0049] 糖の種類は核酸分子送達用担体を適する生物試料の種類に応じて適宜設定し得 る。例えば、肝実質細胞のように、ガラクトースレセプターが存在する細胞に遺伝子を 導入する場合には、ガラクトースが好適に用いられる。
[0050] 糖を含有する繰り返し単位 (B)は、対応する糖含有単量体を重合することにより得 ることがでさる。
[0051] 好まし 、糖含有単量体としては、例えば、ビニルアジボイル D ガラクトース( vinyladipoyl—D— Galactose)、ビュルアジポィルー D グルコース((
vinyladipoyl-D-Glucose)、アタリロイルガラタトース、アタリロイルグルコース、ビ-ノレセ バシルグルコース、アジポィルマンノース等が挙げられる。
[0052] 疎水性置換某を有する繰り返し単位 (C)
疎水性置換基を有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、特 に下記一般式 (V)で表される構造のものが好適に用いられる。
一般式 (V)
[0053] [化 9]
[0054] (式中、 Rは、 H又は CHを表す。
8 3
Wは— C ( = 0) 0—、— OC ( = 0)—、 -OC ( = 0)-(CH ) n— C ( = 0) 0—、又は— C (
2 w
= 0) NHを表す。 nは 2— 18の整数を表す。
w
Rは、炭素数 3— 30、好ましくは 5— 30、より好ましくは 10— 30の炭化水素基を表す
9
。)。
[0055] Rの炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基 (プロピル、 n—ブ
9
チル、イソブチル、 tーブチル、ペンチル、へキシル、ォクチル、デシル、ドデシル、テト ラデシル、へキサデシル、ォクタデシル (ステァリル)、アイコシル等の C3— C30のァ ルキル基))又は不飽和炭化水素基 (ァリル、ブテニル、ペンテニル、へキセ -ル、ォ クテュル、デセ -ル、ドデセ -ル、テトラデセ -ル、へキサデセニル、ォクタデセ -ル、 アイコセニル等の C3— C30のァルケ-ル基など)、或いは環式炭化水素基等が挙 げられる。環式炭化水素基としては、芳香族炭化水素基 (例えばフ ニル、キシリル、
トルィル、ナフチル、アントラニル、フエナントリルなど)、飽和または不飽和の脂環式 炭化水素基(シクロペンチル、シクロへキシル、シクロへキセ -ル、コレステリル、植物 ステロール由来の基など)が挙げられる。植物ステロールとしては、スチグマステロ一 ル、スチグマスタノール、シトステロール( α , β、 γなど)、カンペステロールなどが 挙げられる。 R9は好ましくはステアリル、ノ ルミチル、ペンタデカノィル、ヘプタデカノ ィル、コレステリルが挙げられる。
[0056] 疎水性置換基を有する繰り返し単位 (C)は、疎水性置換基を有する単量体を重合 すること〖こより得ることができる。
[0057] 疎水性置換基を有する単量体としては、例えば、炭素数 10— 20の高級脂肪アル コールのアクリル酸エステル、炭素数 10— 20の高級脂肪酸のビュルエステル、コレ スロール部分、植物ステロール部分を有するビュル単量体等が挙げられる。より具体 的には、ステアリルアタリレートや下記一般式 (VI)で表されるコレステロール部分を 有するビニル単量体等が例示できる:
[0058] [化 10]
[0059] (式中、 nlは、 2— 18、好ましくは 2— 10の整数を示す。 )
上記のコレステロール誘導体は、エステル型の重合性置換基と酵素を用いる方法 により容易に合成することができる。
[0060] 溶媒としてはテトラヒドロフラン、トルエン、ピリジン、ジォキサンなどの有機溶媒を使 用し、酵素としては Pseudomonas sp.由来のリパーゼ(LPL- 311)、 LPL- 311の固定化 酵素(LIP-301)等を使用する。重合性置換基としてはコハク酸ジビュル、アジピン酸 ジビュル、セバシン酸ジビュルなどのジカルボン酸ジビュルが例示される。コレステロ ールと同様に、対応する植物ステロールを使用して、同様に対応する植物ステロー
ルエステルを合成できる。また、一般的に高級アルコールのエステルについても同様 に合成することができる
本発明に用いたビニルエステルは重合後、ポリマー鎖がポリビニルアルコールとな る。ポリビュルアルコールは古くから生体材料としても使用されており。安全性は高い
[0061] 糖含有共 ¾合体
本発明における、繰り返し単位 (A)及び繰り返し単位 (B)を有する糖含有共重合 体は、カチオン性基を有する単量体及び糖含有単量体を共重合することによって、 得ることができる。また、本発明における、繰り返し単位 (A)、繰り返し単位 (B)及び 繰り返し単位 (C)を含有する共重合体は、カチオン性基を有する単量体、糖含有単 量体及び疎水性置換基を有する単量体を共重合させることによって、得ることができ る。
[0062] 各単量体を共重合する方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。例え ば、重合開始剤を用いるラジカル重合により行うことができる。
[0063] 重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、ァゾ イソプチル-トリル (AIBN)等のァゾ系開始剤や有機過酸化物などを使用することが できる。
[0064] 糖含有共重合体における各繰り返し単位のモル比率は、所望の性質を有する糖含 有共重合体又は核酸分子送達用担体を得ることを目的として、適宜設定することが できる。
[0065] 通常、繰り返し単位 (A)と繰り返し単位 (B)力もなる共重合体にぉ 、て、 (A)と (B) とのモル比率は、 A: B= 1: 99— 99: 1程度、好ましくは 10: 90— 90: 10程度、より好 ましくは A: B= 15— 85 : 50— 50、さらに好ましくは A: B = 20— 80 : 30— 70である。
[0066] また、繰り返し単位 (C)を有する場合、繰り返し単位 (A)と繰り返し単位 (B)の総和 に対する繰り返し単位(C)のモル比率は、 A+B : C = 99. 9 : 0. 1—0. 1 : 99. 9程 度、好ましくは 99. 5 : 0. 5-0. 5 : 99. 5程度である。なお、繰り返し単位 (A)と繰り 返し単位 (B)の総和 (A+B)の各繰り返し単位 (A) , (B)の比率は、繰り返し単位 (A )と繰り返し単位 (B)からなる共重合体の上記 Aと Bの比と同じである。より好ましくは(
A+B): C = 99. 5—0. 5 : 90— 10 ;さらに好ましくは(A+B) : C = 99. 3—0. 7 : 95 一 5である。
[0067] 糖含有共重合体の分子量は、所望に応じて適宜設定し得るが、通常、重量平均分 子量で 10000— 1000000程度、好まし <は 15000— 50000、より好まし <は 20000 一 50000程度である。
[0068] また、本発明の糖含有共重合体には、本発明の目的の範囲内で、繰り返し単位 (A
) , (B) (C)以外の他の繰り返し単位や構成単位を含めてもよい。
[0069] 核 ;幸) 体
本発明の核酸分子送達用担体は、上記本発明の糖含有共重合体を用いて形成さ れる。
[0070] 該核酸分子送達用担体における糖含有共重合体が、静電的作用によって核酸分 子を凝縮し、核酸分子と複合体を形成する。この複合体が細胞に取り込まれ、核酸 分子が細胞内に送達されることとなる。
[0071] 糖含有共重合体と核酸分子との複合体を形成する方法は、公知の方法により適宜 行うことができるが、例えば、核酸分子を含有する溶液と、糖含有共重合体を含有す る溶液を混合することによって、調整することができる。
[0072] 核酸が導入される細胞は、ヒトを含む哺乳動物細胞、昆虫細胞等の動物細胞、植 物細胞、酵母、大腸菌などの細菌、真菌などが例示されるが、好ましくは動物細胞、 特に哺乳動物細胞である。
[0073] 細胞への導入は、本発明の細胞導入剤と DNA, RNAなどの核酸分子を細胞に作 用させことで、実施可能である。細胞導入剤と DNA, RNAなどの核酸分子は、予め 複合体を形成し、次に細胞に作用させて、核酸を導入してもよい。
[0074] 複合体における糖含有共重合体と核酸分子の比率は、糖含有共重合体のカチォ ン基のモル数 (C)の DNA又は RNAのリン酸基のモル数 (A)に対する比率(以下、 これを CZA比と言う)で表して、通常 0. 5以上であり、 1. 0以上が好ましぐさらに 1.
5以上が好ましい。
[0075] 細胞には、高分子量のタンパク質などを細胞膜の一部で包み込んで取り入れるェ ンドサイト一シスという現象が存在することが知られている。エンドサイト一シスには、リ
ガンドに対する特異性がない液相エンドサイト一シスとレセプターが介在したエンドサ イト一シス (RME)がある。前者は非特異的であり取込速度が遅いため細胞内への物 質輸送としては有用性が低いが、後者は低濃度のリガンドを認識して効率よく細胞内 に取り込むためにこの機構を利用した核酸分子用送達担体の応用性は高い。 RME は、肝臓、腎臓、小腸、肺、筋肉、脂肪細胞、胎盤あるいは赤血球、白血球繊維など 、多くの細胞に存在する機構であることが知られている。それぞれの細胞によってリガ ンドは異なって ヽるが、肝臓実質細胞のガラクトースゃ N—ァセチルガラタトサミン介 在性の取込みや肝臓非実質細胞のマンノース介在性の取込みが良く知られている。 本発明の核酸分子送達用担体は、このようなレセプターを介在したエンドサイトーシ ス (RME)による核酸分子送達に、特に適したものである。
[0076] 本発明の核酸分子送達用担体により運ばれる核酸分子の種類は特に限定されず 、例えば、 DNA又は RNAなどが挙げられる。より具体的には、特定の蛋白質をコー ドする遺伝子やアンチセンス DNA、プラスミド、当該遺伝子を含む発現コンストラクト 、 1RNAなどが挙げられる。
[0077] 本発明の核酸分子用送達担体は、特に遺伝子の送達用担体として好適に用いる ことができる。本発明の核酸分子用送達担体により運ばれた遺伝子は、細胞内に送 達された後、高い効率で遺伝子発現が行われる。
[0078] 特に、疎水性繰り返し単位 (C)を有する共重合体は、細胞に導入後に細胞内で核 酸と導入剤が分離し、導入された核酸の発現効率が高くなるため、特に好ましい。 実施例
[0079] 以下、実施例、実験例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、 本発明はこれら実施例に限定されることはない。
[0080] 例 1 :
ポリ (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド- Co- 6-0-ビニルアジボイル- D-ガラクトース ^Poh dimethylaminoDropylacrylamide— co— 6—0— vinyladiDoil—D— galactoses 又はポリ (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド- co- 6-0-ビュルアジボイル- D-グルコ ス) PobAdimethylaminoDroDylacrylamide— co— 6—0— vinyladipoil—D— glucose 用 ヽて 形成された核酸分早 ;幸用相.体による遣伝早 し
[0081] (1 1)糖含有共重合体の合成
Poly(dimetnylaminopropylacrylamide— co— 6—0— vinyladipoil—D— galactose) (ポリンメチ ルァミノプロピルアクリルアミド- co- 6-0-ビュルアジボイル- D-ガラクトース))を以下の ように作成した。
[0082] DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド)と 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose (
6-0-ビュルアジボイル- D-ガラクトース)をモノマーとして用い、
2 , 2- Azobis(4- methoxy- 2 ,4- dimethylbaleronitrileXAMDVN)を開始剤として 1. Omol% 加え、 Dimethylsulfoxide(DMSO)を溶媒として全量を lmlとした。密栓できる、すりつき 試験管にそれらを仕込み、三方コックで栓をして液体窒素で凍結させてから、試験管 内を三回窒素置換させた。これをもう一度室温に戻して融解させ、再び凍結させて窒 素置換を繰り返した。この操作を合計三回繰り返し行った後、凍結させずにそのまま 真空ラインを用いて脱気した。その後、真空状態で 60°Cのウォーターバスに 4時間浸 し、反応させた。 4時間後、分子量 1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で 24時間 透析した。 24時間後、ガラスチューブに入れて凍結乾燥し、ポリマー粉末を得た。 DMAPAAと 6-0- vinyladipoy D- galactoseのモノマーの仕込み比は、 20: 80, 35: 65, 50: 50, 65: 35, 80: 20 (単位は全て mol%)とし、各場合について、同様の操作 を行った。
[0083] 得られたガラクトース含有共重合体の分子量、繰り返し単位のモル比及び収率を以 下の表 1に示す。以下、ポリマーにおける繰り返し単位のモル比は、 NMR測定に よって求められる積分値によって計算した。 1H-NMR測定は、乾燥したポリマーを 10mgは力り採り、 700 1の D 0に溶かして 200MHzの1 H- NMR装置を用いて行った。
2
また、ポリマーの重量平均分子量は、 GPC測定により、乾燥したポリマーの濃度 5mg/ml溶液をそれぞれ調製し、 1/15Mリン酸バッファー (pH=7.42)を移動相として流 速 0.5ml/min、カラム温度 40°Cで 20 μ 1インジェタトして、プルラン(pullulan)を標準サ ンプルとして用いて、測定した。
[0084] [表 1]
Poly(dimethylaminopropylacrylamide-co-6-o'vinyladipoil-D-galactose)の合成
[0085] また、ガラクトース含有単量体に代えて、グルコース含有単量体(
6-O-vinyladipoyl-D-gulcose (6-0-ビュルアジボイル- D-グルコース) )を用いる以外 は、上記と同様にして、グルコース含有共重合体を得た。
[0086] 得られたグルコース含有共重合体の分子量、及び繰り返し単位のモル比を以下の 表 2に示す。
[0087] [表 2]
Poiy(dimethylaminopropylacryiamide-co-6-o-vinyladipoil-D-glucose)の合成
[0088] (1 - 2)核酸分子と糖含有共重合体との複合体の形成と確認
核酸分子として、プラスミド pCMV-Luc (プロメガ社)を用いた。
[0089] 上記 (1-1)で作成した糖含有共重合体 2.4mgを 1000 μ 1の D- MEM培地に溶解してス トツク溶液を作製した。このストック溶液 5 μ 1と pCMV- Luc溶液 45 μ KpCMV- Lucを lOOng含有)を混合することで、 C/A(Cation/Anion)比 =50とした。ストック溶液を段階 希釈し、同濃度の pCMV-Luc溶液と混合して、 C/A比の異なる試料溶液 (C/A比 = 0.5、 1、 1.5、 2、 3、 4、 5)を調製した。
[0090] 種々の C/A比で混合した糖含有共重合体と核酸分子との複合体 (Complex)形成
は、次のように、 0.8%ァガロースゲル電気泳動を用いることによって確認した。
Ethydium bromide(EtBr)を含む 0.5 X TBE溶液を用いて 0.8%ァガロースゲルを作製し た。 C/A=0.5、 1、 1.5、 2、 3、 4及び 5のポリマー (D40glu60, D42ga 8)溶液 10 し p CMV-Luc(200ng/ 1) 1 1及び BPB溶液 2 μ 1を混合して 13 μ 1とし、 37°Cで 30分間 放置した。 30分後、サンプルをスロットにアプライし、泳動バッファーを 0.5 X TBE with EtBrとして 100Vで 30分間電気泳動した。
[0091] (1 3)複合体による遺伝子発現実験
肝細胞 HepG2細胞と腎上皮細胞 COS-1細胞に対する、 pCMV-Luc-ガラクトース含 有ポリマー複合体と pCMV-Luc-グルコース含有ポリマー複合体を用いた場合におけ る遺伝子発現効率と C/A比の関係を調べた。
[0092] 遺伝子発現効率は、以下のように測定した。
[0093] 核酸分子送達用担体としては、上記 (1- 2)で作製したプラスミド DNA(pCMV-Luc)と 糖含有共重合体 (D40glu60,D42ga 8)との複合体、即ち、 pCMV-Luc-ガラクトース含 有ポリマー(Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose) (D42gal58)複合体と 、 pCMV- Luc-グルコース含有ポリマー(
Poly(DMAPAA-co-6-0-vinyladipoyl-D-glucose) (D40glu60))複合体を用いた。
[0094] 核酸分子を送達する細胞としては、ヒトの肝癌細胞である HepG2細胞とミドリザルの 腎上皮細胞である COS-1細胞を用いた。
[0095] 96well plateに 1 X 104cells/wellずつ播種して接着させた COS- 1細胞と HepG2細胞 に、 complexを 50 μ 1/well添カ卩し、 200 μ Μクロ口キン溶液 (FBS free)を 50 μ 1/well添カロ して 8時間インキュベートさせた。 8時間後、 PBSで洗浄して、 D- MEM(10%FBS)を 100 1/well添カ卩し、さらに 40時間インキュベートさせた。 40時間後、 PBSで洗浄して細胞 溶解液 (Triton X- 100など )50 1/wellを添カ卩し、 37°Cで 30分間放置後、それを 20 1 ずつ取り出して蛍光基質液 (ATP, D-Luciferinなどを含有) 100 μ 1入ったビンに入れ 、ミルカウンターで Luciferase活性によって細胞への遺伝子発現効率を測定した。
[0096] 肝細胞 HepG2細胞に対する結果を図 1 (A)に、腎上皮細胞 COS-1細胞に対する結 果を図 1 (B)に示す。
[0097] その結果、 Poly(DMAPAA— co— 6— 0— vinyladipoyト D— galactose)を用 、た核酸分子送
達用担体は、ガラクトースレセプターを有する肝細胞 H印 G2細胞にぉ 、て高 、遺伝 子発現効率を示すことが明らかになった(図 1 (A) )。また発現効率は、 C/A=1.5— 2 で高い値を示していた。一方、 COS細胞に対する同様の実験を行った結果では、取 り込み促進は見られな力つた(図 1 (B) )。 HepG2細胞にはガラクトースレセプターが 存在するが、 COS細胞にはガラクトースレセプターが存在しな 、ため、
Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose)は、ガラクトースレセプターに基づ くレセプター介在により細胞特異的に遺伝子を発現できた可能性が高いと考えられ た。
[0098] これに対し、 Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- glucose)を用いた核酸分子送 達用担体は、 HepG2細胞においては、取込促進作用が見られなかった力 COS細胞 にお 、ては、取込促進作用が認められた(図 1 (A)及び (B) )。
[0099] (1 4)細胞に対する毒性評価
また、 DC protein法によるタンパク定量を行うことによって細胞への毒性も検討した 。タンパク定量は Lowry法に基づいて行った。
[0100] 各ポリマー(Poly(DMAPAA— Co— 6—0— vinyladipoy D— galactose) (D42gal58)及び( Poly(DMAPAA-co-6-0-vinyladipoyl-D-glucose) (D40glu60))につ 、て毒性の比較 を行った結果を図 2に示す。細胞が死んだ場合、プレートから細胞が剥がれ落ちるた め、タンパク量は減る力 図 2に示されるように、どちらのポリマーを用いた実験でも総 タンパク量は変化しな力つた。この結果、どちらのポリマーもほとんど毒性はなぐ毒 性による発現効率への影響はな!/、と考えられた。
[0101] (1 5)糖添カ卩による競争阻害実験
次 、で、遺伝子の取込みがガラクトースレセプター介在によるものであるかを確認 する為に上記 (1-3)の遺伝子発現実験において、 D- galactoseを添カ卩して、糖添カロ による競争阻害実験を行うことにした。
Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- galactose)がガラクトースレセプターを介して HepG2細胞へ導入されているならば、ガラクトースレセプターに対して D- galactoseの 結合が競合するために、 Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy卜 D- galactose)がレセプ ターに結合しにくくなり、 D— galactose添カ卩により、
Poly(DMAPAA- co- 6- O- vinyladipoy卜 D- galactose)の HepG2細胞への遺伝子発現効 率は下がると考えられる。
[0102] 実験には、高い遺伝子発現効率を示した
Poly(DMAPAA— Co— 6—0— vinyladipoy卜 D— galactose)の C/A = 2のものを用いた。
[0103] 糖添カ卩による競争阻害実験は以下のように行った。
[0104] 96wellplateに 1 X 104cells/wellずつ播種して接着させた COS- 1細胞と HepG2細胞 に、種々の濃度の D- galactose、あるいは D- glucoseを 5 μ 1/wellカ卩え、プラスミド DNA(pCMV- Luc)とポリマーとの complexを 50 μ 1/well添カ卩した。そこへ、 200 μ Μクロ口 キン溶液 (FBS free)を 55 μ 1/well添カ卩して 8時間インキュベートした。 8時間後、 PBSで 洗浄して、 D- MEM(10%FBS)を 100 1/well添カ卩し、さらに 40時間インキュベートした。 Ludferase活性を測定することによって遺伝子発現効率を調べた。
[0105] HepG2細胞への Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy D- galactose)(D42Ga 8)の 遺伝子発現効率におけるガラクトース添加による競争阻害実験の結果を図 3に示す
[0106] その結果、図 3に示されるようにガラクトース添カ卩によって
Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- galactose)の HepG2細胞への遺伝子発現効 率は 20%程度にまで減少した。
[0107] (1 6) RIによる遺伝子の取込位置の測定
次に、糖添加の存在における遺伝子の取り込みの仕組みにおいて、遺伝子が核内 へ取り込まれているの力、細胞質に留まっているのかを明らかにするために、糖添カロ による競争阻害条件下での 32P-pCMV-Luc活性を測定し、核への取り込み量を調べ た。糖添カ卩による競争阻害条件は、上記(1-5)と同様にした。
[0108] (1)32P- pCMV— Lucのラベル化
ニックトランスレーション法により α - dCTP- 32Ρを pCMV- Lucにラベル化した。
[0109] (2)32P-pCMV-Lucによる取り込み量測定
液体シンチレーシヨンカウンターによって細胞内へ導入された 32P-pCMV-Lucの放 射能活性を測定し、核及び細胞質内への取り込み量を測定した。 96well plateに 1 X 104cells/wellずつ播種して接着させた COS-1細胞と HepG2細胞へ、様々な濃度の
D- galactose、あるいは D- glucoseをカ卩え、形成させた 32P- pCMV- Lucとポリマー (D40glu60, D42ga 8)との complexを 50 μ 1/well添カ卩した。そこへ、 200 μ Μクロ口キン 溶液 (FBS free)を 50 μ 1/well添カ卩して 8時間インキュベートした。 8時間後、 PBS溶液で 洗浄し、トリプシン溶液を添加して細胞を剥離させた後、 SDS溶液を添加して細胞を 溶解した。遠心分離後、上清と沈殿とを分け、それぞれ液体シンチレーシヨンカクテ ルへ入れて、液体シンチレーシヨンカウンターによって細胞内へ導入された
32P-pCMV_Lucの放射能活性を測定した。このときの上清を細胞質 (Cytoplasm)へ の取り込み量、沈殿を核 (Nuclear)への取り込み量とした。
[0110] 図 4に Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy D- galactose) (D42Gal58)を用いた complexによる HepG2細胞への遺伝子取り込みとガラクトースの影響を調べた結果を 示す。
[0111] 図 4に示されるように、 Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy D- galactose)の核内取 り込みは、 HepG2細胞において C/A比が高くなるにつれて取り込み量も増加していた 。また、細胞質内への取り込み量も、 C/A比が高くなるにつれて上昇していた。
[0112] 前記図 1の実験結果に示されるように、遺伝子の発現効率は、 CZAが 1. 5から 2 で最高値になっている。これに対し、図 4の実験結果に示されるように、細胞内への 遺伝子取り込み量は、 C/A> 1. 5においても増加している。この結果から、発現効 率と、ポリマーと遺伝子の複合体の取り込みには、単純な相関関係がなりたたないも のと考えられた。
[0113] また、 D- galactoseを添カ卩することによって
Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy D- galactose)を用いた場合における、 32P-pCMV-Lucの取り込み量の減少がみられた。
[0114] このように、ガラクトース添カ卩により細胞への遺伝子取り込み量が減少している結果 は、 HepG2細胞における Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoyl-D- galactose)を用いた 遺伝子取り込み力 ガラクトースレセプター介在性の取り込みであることを示すものと 考えられた。
[0115] また、図 5に Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy D- glucose) (D40glu60)を用いた complexによる HepG2細胞への DNA取り込みとグルコースの影響を調べた結果を示
す。
[0116] 図 5に示されるように、 Poly(DMAPAA— co— 6— 0— vinyladipoy卜 D— glucose)は、 HepG2 細胞において C/A比が高くなるにつれて細胞内への取り込み量は増加した力 核へ の取り込みは低 、値を示した。
[0117] また、 D- glucoseを添カ卩することにより、
Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy D- glucose)を用いた場合における、
32P-pCMV-Lucの取り込み量はあまり変化しなかった。
[0118] このことから、 HepG2細胞における
Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- glucose)を用いた場合の遺伝子取り込みは 、ガラクトースレセプター介在性のエンドサイト一シスではなぐ細胞の非特異的な取 り込みであるエンドサイト一シスにより取り込まれているものと考えられた。
[0119] 糖の種類による取り込みの機構の違いについて明瞭にするために、図 6に HepG2 細胞における Poly(DMAPAA- co- 6- 0- vinyladipoy D- galactose) (D42Ga 8)と Poly(DMAPAA— co— 6—0— vinyladipoyト D— glucose) (D40Glu60)により導入した遺伝子 の細胞質への取り込み量、そして、核への取り込み量の比率について、 C/A比が異 なる場合の結果を図示した。
[0120]
この結果から、 D40Glu60によりレセプターを介さずに細胞質内に取り込まれたと考 えられる遺伝子は、 C/A比の違いに関わらず、ほとんどが細胞質に留まり、核への移 行性が低いことが分力つた。一方、 D42Ga 8によりガラクトースレセプターを介して取 り込まれたと考えられる遺伝子は、 C/A比の違いに関わらず、ほとんどが細胞質から 核へ移行することが分力つた。この結果から、レセプター介在型によるエンドサイト一 シスにより取り込まれた複合体 (complex)は、核内への移行性が高いと考えられた。
[0121] 例 2 :
Polv(DMAPAA— co—り— 0— vinvladiDov卜 D— glucose— co— stearyl)又3~
PolY(PMAPAA-co-6-0-vinYladiDovl-D-£alactose-co-stearvDを用 、て形成された
;幸) ¾¾f本における遣伝 現,{列,
[0122] 遺伝子の細胞内への取り込み量の増加にともなって、遺伝子発現効率も増加する
と考えていた力 図 1及び図 4に表される実験結果に示されるように、遺伝子取り込み 量と遺伝子発現効率との間には相関性が見られないことが明らかになった。これは、 C/A比が上昇するにつれて取り込み量は増加する一方で、 DNA-ポリマー複合体 (ポ リブレックス)力も DNAが解離しに《なり、そのため、転写 ·翻訳も困難になり、その結 果、遺伝子の発現効率も低下する可能性が考えられた。そこで、ァ-オン分子による ポリプレックス力もの DNAの解離を検討した(図 7参照)。そして、疎水性置換基を有 する単量体を用いて共重合体を合成することによって、ポリマーの形状を変化させる ことにより、ポリプレックスからの DNAの解離の変化を調べてみることにした。
[0123] すなわち、カチオン性繰り返し単位及び糖含有繰り返し単位を有するポリマーに、 更に疎水性置換基である stearyl基を有する繰り返し単位を導入した共重合体、具体 的には、 Poly(DMAPAA— co— 6—0— vinyladipoy卜 D— glucose— co— stearyl)と
Poly(DMAPAA-co-6-0-vinyladipoyl- D— galactose— co— stearyl)を合成し、これらの ポリマーを用いることによって、ァ-オン分子によるポリプレックスからの DNAの解離 能と遺伝子の発現効率との相関性を比較した。
[0124] (2-1) Poly(DMAPAA— co— 6—0— vinyladipoyト D— galactose— co— stearyl)と
Poly(DMAPAA- co- 6-0- vinyladipoyト D- glucose- co- stearyl)の合成
カチオン性基を有する単量体として DMAPAA、糖を含有する単量体として り— 0— vinyiaaipoy卜 D— glucose又 ίま 6—〇— vinyladipoy卜 D— galactose、でして、 水'性 換基を有する単量体としてステアリルアタリレート(stearylacrylate)を用い、実験例に おける共重合体の合成と同様の方法で重合反応を行った。モノマー全体の濃度を 0.5 X 10— 3molとし、モノマーの仕込み比を DMAPAA: 6- 0- vinyladipoy D- glucose( 又 ίまり— O— vinyladipoy卜 D— galactose): stearylacrylate = J5: 65: 1(単 全て mol%) とした。開始剤 2,2し Azobis(4— methoxy— 2,4— dimethylvaleronitrileXAMDVN)を 1.0mol% カロえて、 DMSOを溶媒として全量を lmlとした。密栓できる、すり付き試験管にそれらを 仕込み、三方コックで栓をして液体窒素で凍結させてから、試験管内を三回窒素置 換させた。これをもう一度室温に戻して融解させ、再び凍結させて窒素置換を繰り返 す。この操作を合計三回繰り返して行った後、凍結させずにそのまま真空ラインでひ いて脱気した。その後、真空状態で 60°Cのウォーターバスに 4時間浸し、反応させた
。 4時間後、分子量 1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で 24時間透析した。 24時 間後、ガラスチューブに入れて凍結乾燥した。
[0125] 得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率について、
Poiy(DMAPAA— co— 6—〇— vinyladipoy卜 D— galactose— co— stearyDii表 d【こ、
Poly(DMAPAA— co— 6— O— vinyladipoy卜 D— glucose— co— stearyl)は表 4に示す。
[0126] [表 3]
Poly(DMAPAA-co-6-0-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)の合成
[0127] [表 4]
Poly(DMAPAA-co-6-0-vinyladi o l-D- lucose-co-stear l)の合成
[0128] (2— 2) DNA解離能の確認
Poly(DMAPAA—o— 6—0— vinyladipoyト D— galactose— co— stearyl (D50gal49sl)と DNA との complex、及び Poly(DMAPAA— o— 6— O— vinyladipoyト D— glucose (D38glu61sl) )と DNAとの complexに、ァ-オン分子である potassium polyvinyl Sulfate Solution (PVSK )を添カ卩し、 complexからの DNAの解離能をァガロースゲル電気泳動によって確認した 。すなわち、 Poly(DMAPAA—o— 6—0— vinyladipoy卜 D— galactose— co— stearyl)と DNA ( pCMV- Luc)との complex (C/A比 =0.5, 1, 1.5, 2, 3, 4, 5, 10)と Poly(DMAPAA —o— 6—0— vinyladipoyト D— galactose)と DNA (pCMV— Luc)との complex (C/A比 = 0.5, 1, 1.5, 2, 3, 4, 5, 10)を各 5 μ 1ずっとり、 1 μ 1の pCMV- Luc(200 nも / n 1)と混合して、 37 °Cで 30分間放置したものに、等モル量の PVSKを各 3.88 1添加し、 37°Cで 30分間放 置した。コントロールとして 1 μ 1の pCMV- Luc(200 μ / μ 1)に D- MEMを 5 μ 1、 ΤΕを 3.88 μ 1添カ卩したものと、 1 μ 1の pCMV- Luc(200 μ g/ μ 1)に各 C/A比のポリマー溶液を 5 μ 1 、 ΤΕを 3.88 1添カ卩したものを、電気泳動した。
[0129] (2-3) Poly(DMAPAA— co— 6—0— vinyladipoyト D— galactose— co— stearyl) (D50gal49sl )を用いた遺伝子発現効率の測定
DNAの解離能と遺伝子の発現効率との相関性を確認する為に、 D50gal49slを用い て遺伝子導入を行うこととした。プラスミド DNA (pCMV- Luc)とポリマーとの complexを 形成させた。 96well plateに 1 X 104 cells/wellずつ播種して接着させた COS-1細胞と HepG2細胞へ、 complexを 50 μ 1/well添カ卩し、 200 μ Μクロ口キン溶液 (FBS free)を 50 μ 1/well添カ卩して 8時間インキュベートさせた。 8時間後、 PBSで洗浄して、
D- MEM(10%FBS)を 100 1/well添カ卩し、さらに 40時間インキュベートさせた。 40時間 後、 PBSで洗浄して細胞溶解液 (Triton X- 100など) 50 μ 1/well添カ卩し、 37°Cで 30時間 放置後、それを 20 μ 1ずつ取り出して発光基質液 (ATP,D- Luciferinなど) 100 μ 1入った ビンに入れ、ミルカウンターで Luciferase活性による細胞への遺伝子発現効率を測定 した。
[0130] 同様に、 Poly(DMPAA-co-6-o-vinyladipoil-D-galactose)(D42gal58),
Poly(DMPAA-co-6-o-vinyladipoil-D-glucose)(D40glu60),
Poly(DMAPAA- co- 6- o- vinyladipoU- D- glucose- co- stearyl)(D38glu61sl)の共重合体 を用いて遺伝子発現効率の測定を行った。
[0131] 具体的には、上記 4種の共重合体と pCMV-Lucとの複合体により Hep2細胞への遺 伝子取り込みを行った場合のルシフェラーゼの発現効率と C/A比の関係を調べた。 結果を図 8に示す。
[0132] 図 8に示される結果から、 Poly(DMAPAA- Co- 6-0- vinyladipoy D- galactose)
(D42Ga 8)を用いた場合には、核への移行性は C/A比の上昇にしたがって向上する 力 C/A=l.5で発現効率がピークになることがわ力つた。
[0133] 一方、 Poly(DMAPAA- Co- 6- 0- vinyladipoy卜 D- galactose- co- stearyl)を用いた場合 には、 C/A比が高くなるにつれて HepG2細胞における遺伝子の発現量が増加した。
[0134] このことから、 H印 G2細胞におけるガラクトース含有共重合体を用いた遺伝子送達 の場合、遺伝子取り込みの量は C/A比の上昇に伴って向上する力 DNAを解離しに くい場合には、 C/A=1.5で遺伝子の発現効率がピークになってしまうことが示唆され
[0135] (2— 4)ァ-オン分子の添カ卩による DNAの解離
さらに、 pCMV— Luc— Ga 8 (pCMV— Luc— D42Ga 8)複合体及び
pCMV-Luc-Gal49(s) (pCMV- Luc- D50Gal49sl)複合体からの PVS (Poly(vinylsulfate) )存在下での遺伝子の遊離を調べた。遺伝子の遊離は、上記(2— 2) DNA解離能の 確認と同様の方法で行った。結果を図 9に示す。
[0136] C/A=1.5の時、 Poly(DMAPAA— co— 6— 0— vinyladipoyト D— glucose)(D42ga 8)は、ァ ユオン分子を添カ卩して ヽな ヽ時はスロット内に留まって 、るが、ァ-オン分子を添カロ すると DNAが解離し、スロットから流れだしたバンドを確認することができた。 C/A=2で は、解離して流れ出した DNAのバンドを確認することはできる力 C/A=l, 1.5の時の バンドと比べると、非常に薄くなつていた。さらに C/A比が上昇すると、解離してスロッ トから流れ出した DNAのバンドを確認することはできな力つた。このことから、発現効 率が C/A=1.5のとき最高値を示すのは、やはりこの DNAの解離能と関係があるのでは ないかと示唆される。一方、
Poly(DMAPAA— Co— 6—0— vinyladipoy卜 D— galactose— co— stearyl)(D50gal49sl)では、 C/A=10のときでも、ァ-オン分子を添加することによって、解離してスロットから流れ 出した DNAを確認することができた。
[0137] これらの結果から、 DNAの解離能が発現効率と関係があるのならば、
Poly(DMAPAA— co— 6—0— vinyladipoy卜 D— galactose— co— stearyl) 用 ヽることによって
、 C/A比の上昇に伴って発現効率も上昇すると考えられる。
例 3:糖含有共重合体の合成
( 1)メチルガラクトシド含有ポリマー
Poly(DMAPAA- co- 6-0- vinyladipoyl- methyl- D-galactoside- co- stearylacryiate) カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水 性置換基を有する単量体として stearylacryiate (ステアリルアタリレート)を用いた。単 量体全体の濃度を 0.5 X 10— 3molとし、仕込み比をそれぞれカチオン性基:糖:疎水性 = 50 : 50 : 1 (単位はすべて mol%)とした。開始剤 2,2,
-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を 1 mol%カロえて、 DMSOを
溶媒としてガラスアンプル中で全量を lmlとした。脱気封かんし、 60°Cで 24時間反応し た。分子量 1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で 24時間透析し、凍結乾燥した。 得られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た。得られたポリマ 一の分子量、繰り返し単位のモル比及び収率にっ 、ては下の表に示す。
Poly(DMAPAA- co- 6- 0- vinyladipoyト methyト D- galactoside- co- vinylstearateノ カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水 性置換基を有する単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、 上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び
、ては下の表に示す。
Poly(DMAPAA— co— 6— 0— vinyladipoyト methyト D— galactoside— co— vinylpalmitateノ カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水 性置換基を有する単量体として vinylpalmitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い 、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及
、ては下の表に示す。
Poly(DMAEA- co-り- 0- vinyladipoyト methyト D- galactoside- co- stearyl)
カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水性置 換基を有する単量体として stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用い、上と同様 の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率に ついては下の表に示す。
Poly(DMAtiA- co- 0-0- vinyladipoyl- methyl- D- galactoside- co- vinylstearate) カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水性置 換基を有する単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、上と同 様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率 については下の表に示す。
Poly(DMAEA- co- 6- O- vinyladipoyト methyト D- galactoside- co- vinylpalmitate) カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6- 0- vinyladipoyHnethy卜 D- galactoside、そして、疎水性置 換基を有する単量体として vinylpalmitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い、上と 同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収 率にっ 、ては下の表に示す。
[0138]
(2)マンノース含有ポリマー
Poiy(DMAPAA— co— 6—〇— vinyladipoyl— D—mannose— co— stearylacrylateノ
カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用い、上と同様の方 法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につい ては下の表に示す。
[0139]
Poiy(DMAPAA— co— 6—〇— vinyladipoy卜 D—mannose— co— vinyistearate)
カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、上と同様の 方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につ いては下の表に示す。
[0140]
Poiy(DMAPAA— co— 6—〇— vinyladipoy卜 D—mannose— co— vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylpalmitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い、上と同様 の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率に ついては下の表に示す。
Poly(DMAEMA- co- 6- O- vinyladipoyト D- mannose- co- stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用い、上と同様の方 法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につい ては下の表に示す。
Poly(DMAEMA— co— 6—0— vinylaaipoyi—D— mannose— co— vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、上と同様の 方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につ いては下の表に示す。
Poly(DMAEMA- co- 6-0- vinylaaipoyi-D- mannose- co- vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylpalmitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い、上と同様 の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率に ついては下の表に示す。
(3)マルトース含有ポリマー
Poly(DMAEA— co—り— O—vinyladipoyl—D— maltose— co— stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- maltose、そして、疎水性置換基を有す る単量体として stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用い、上と同様の方法で反 応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下 の表に示す。
Poly(DMAEA— co—り一 0— vinyladipoyト D— maltose— co— vinylstearateノ
カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- maltose、そして、疎水性置換基を有す
る単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、上と同様の方法 で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率について は下の表に示す。
Poly(DMAEA- co-り- 0- vinyladipoyト D- maltose- co- vinylpaimitate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEA (ジメチルアミノエチルアタリレート)、糖 を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- maltose、そして、疎水性置換基を有す る単量体として vinylpaimitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い、上と同様の方法 で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率について は下の表に示す。
(4)トレハロース含有ポリマー
Poly(DMAEMA— co— 6—0— vinyladipoyi—D— trehalose— co— stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D_trehalose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用い、上と同様の方 法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につい ては下の表に示す。
Poly(DMAEMA -co- 6-0- vinyladipoyト D- trehalose- co- vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-0-vinyladipoy卜 D_trehalose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylstearate (ステアリン酸ビュルエステル)を用い、上と同様の 方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率につ いては下の表に示す。
Poly(DMAEMA -co- 6-0- vinyladipoyト D- trehalose- co- vinylpaimitate)
カチオン性基を有する単量体として DMAEMA (ジメチルアミノエチルメタアタリレート )、糖を含有する単量体として 6-0-vinyladipoy卜 D_trehalose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinylpaimitate (パルミチン酸ビュルエステル)を用い、上と同様 の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率に ついては下の表に示す。
(5)グルコース含有ポリマー
Poly(DMAPAA- co- 6-0- vinyladipoyト D- glucose- co- vinyladipoyト cholesterol) カチオン性基を有する単量体として DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド )、糖を含有する単量体として 6-O-vinyladipoy卜 D- mannose、そして、疎水性置換基 を有する単量体として vinyladipoy卜 cholesterol (3-ビュルアジボイルコレステロール) を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモ ル比及び収率については下の表に示す。
[0141] 3-ビュルアジボイルコレステロールは、以下のように合成した。
(1)溶媒の検討
コレステロール 485mg、ジビニルアジピン酸 0.95mlを溶かしたテトラヒドロフラン 5mlに 、酵素(LIP- 301) 500mgをカ卩えて、室温で 6日間振とうした。反応液を薄層クロマトダラ フィー(展開溶媒としてへキサン:酢酸ェチル = 9: 1硫酸発色)で調べ生成物の有無 を確認した。結果を表 5に示す。
[0142] [表 5]
Ppm 9 8 7 6 5 3 2 1 0 溶媒 コレステロールの溶解性 a エステル体の生成 b g I
トルエン + + + + ―
DMSO ― ―
DMF ― ―
ピリジン + + + + +
ジォキサン + + + + +
へキサン ― ―
イソオクタン ― ―
テ卜ラヒドロフラン + + + + + a0.5M濃度(+ + + + :よく溶ける、一:溶けにくい)、 TLCで確認(+ :生成物有り、一 :生成物無し)
(2)酵素の検討
コレステロール 485mg、ジビュルアジピン酸 0.95mlにトルエン、 DMSO、 DMF,ピリジ ン、ジォキサン、テトラヒドロフランをそれぞれ 5ml加え、酵素としては Candida
Antarctica由来の lipase: Novozyme435 (Novo)、 Pseudomonas sp.由来のリノく1 ~* Y: LPL- 311 (東洋紡績)、 LPL- 311の固定化酵素: LIP-30K東洋紡績)、ぶた勝臓由来リ パーゼ: L-3126 (シグマ)、 Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ: Bioprase cone. (長瀬)、 Streptomyces sp.由来のアルカリ性プロテアーゼ: ALP- 101 (東洋紡績 )それぞれ 500mgを添力 D、室温で 6日間振とうした。反応液を薄層クロマトグラフィー( 差替え用紙(規則 26;)
展開溶媒としてへキサン:酢酸ェチル = 9: 1硫酸発色)で調べ生成物の有無を確認 した。結果を図 10Aに示す。
(3)ジビュルアジピン酸濃度の検討
コレステロール 485mg、コレステロールに対して 3倍モル、 2倍モル、 1. 5倍モル、 1 . 1倍モルになるように加えたジビニルアジピン酸を溶力したテトラヒドロフラン 5mlに、 酵素(LIP- 301) 500mgを加えて、室温で 6日間振とうした。反応液を薄層クロマトグラフ ィー(展開溶媒としてへキサン:酢酸ェチル = 9: 1硫酸発色)で調べ生成物の有無を 確認した。結果を図 10Bに示す。
(4)スケールアップ合成
コレステロール 2.228g、ジビュルアジピン酸 4.36mlを溶かしたテトラヒドロフラン 23ml に、リパーゼ (LIP-301) 2.3gを加えて、室温で一晩振とうした。反応後、反応液をろ過 し不溶の酵素を除去した後、溶媒を濃縮し、シリカゲル 50gをつめたカラムに、溶離液 としてへキサン:酢酸ェチル = 20 : 1を用いて目的物であるエステル体の油状生成物 2.5gを得た。
[表 6]
糖含有共重合体の合成 (仕込み比 (mol%)、 カチオン性基:糖:疎水性 =50
[0145] SA: stearylacrylate (ステアリルアタリレート)、 SV: vinylstearate (ステアリン酸ビュルェ ステル)、 PV: vinylpalmitate (パルミチン酸ビュルエステル)、 CholV:
vinyladipoy卜 cholesterol (3-ビニノレアジポィノレコレステロ一ノレ)
合成例 1 :
(1)固定化リパーゼによるモノアクリロイル α—シクロデキストリンの合成
[0146] [化 11]
- CD Acryloyl ひ- CD
[0147] a 製) 10gを DMF50mlに溶解し、固定化リパー
ゼ (LIP 東洋紡製) lgおよびモレキュラーシーブ 3Aを 8gカ卩え、 2時間撹拌した。ァク リル酸ビュル 2mlをカ卩え、 48時間、室温で撹拌した。反応終了後、ノ、ィフロースーパ 一セル(ナカライテスタ製)で濾過し、さらにカートリッジフィルター(MINISART SRP 15 、ザルトリウス製)で濾過後、酢酸ェチル 300mlをカ卩え、モノアクリロイル α—シクロデ キストリンの白色の沈殿物 5gを得た。
(2)Poiy(DMAPA-co-acryioyl a— cyclodextrm— D— galactoside— co— stearyl)の合成
DMAPA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド)、 acryloyl a- cyclodextrin、 stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用いた。単量体全体の濃度を 0.5 X 10"3mol とし、仕込み比をそれぞれカチオン性基:糖:疎水性 =50 : 50 : 1 (単位はすべて mol%) とした。開始剤 2,2 ' -Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を lmol% 加えて、 DMFを溶媒としてガラスアンプル中で全量を lmlとした。脱気封かんし、 60°C で 24時間反応した。分子量 1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で 24時間透析し 、凍結乾燥した。得られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た 合成例 2 :
• 固定化リパーゼによるビュルアジボイル aーシクロデキストリンの合成
[化 12]
a -CD
V nv aH nnvl 01 -CT) aーシクロデキストリン(ナカライテスタ製) 10gを DMF50mlに溶解し、固定化リパー ゼ (LIP 東洋紡製) lgおよびモレキュラーシーブ 3Aを 8gカ卩え、 2時間撹拌した。ァ ジピン酸ジビニル 2mlを加え、 48時間、室温で撹拌した。反応終了後、ハイフロース 一パーセル(ナカライテスタ製)で濾過し、さらにカートリッジフィルター(MINISART SRP 15、ザルトリウス製)で濾過後、酢酸ェチル 300mlを加え、ビュルアジボイル α
ーシクロデキストリンの白色の沈殿物 5gを得た。
(2)Poly(DMAPAA-co-vinyladipoyl a- cyclodextrin- D- galactoside- co- stearyl)の合成
DMAPAA (ジメチルァミノプロピルアクリルアミド)、 vinyladipoyl a- cyclodextrin、 stearylacrylate (ステアリルアタリレート)を用いた。単量体全体の濃度を 0.5 X 10"3mol とし、仕込み比をそれぞれ DMAPAA: vinyladipoyl a~CD: stearylacrylate = 50: 50: 1 ( 単位はすべて mol%)とした。開始剤 2,2 '
-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を lmol%カ卩えて、 DMFを溶 媒としてガラスアンプル中で全量を lmlとした。脱気封かんし、 60°Cで 24時間反応した 。分子量 1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で 24時間透析し、凍結乾燥した。得 られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た。
試験例 1
例 3と同様に合成したステアリル基 (S)含量 (0%、 2%、 3%、 10%、 13%)のガラタト 一スを糖残基として有する RITCラベルしたポリマー(
Poly(DMAPAA— co— 6— vinyladipoyl—D— galactoside— co—stearyl(S含量は 0%) ;
Poly(DMAPAA— co— 6— vinyladipoyl—D— galactoside— co—stearyl)(S含量は 2%)) を使用して、 FITCラベルした DNAと複合体 (complex)を形成した。該複合体にポリビ- ル硫酸カリウム塩 (PVSK)を作用させて、 DNAの遊離の有無を確認した。結果を図 11 に示す。
[0150] 疎水性基としてステアリル基を含有しないカチオン基、ガラクトース基のみからなる ポリマーでは、 AFM画像とした確認できなかったこと力 直鎖状になって 、るものと思 われた(S content = 0)。このとき、ァガロース電気泳動からァ-オン性ポリマー PVSK 添加でも DNAの遊離は確認されなかった。一方、 2mol%以上のステアリル基を導入し た場合、ポリマーのみあるいは DNA複合体を形成した場合の ヽずれにお ヽても粒子 状になっていることが AFM力 確認された。さらに、ァガロース電気泳動力 ステアリ ル含量が多いほど、遊離しやすい現象が見られた。
[0151] この FITCラベルした DNAと RITCラベルしたポリマーの複合体にポリビュル硫酸カリ ゥム塩 (PVSK)を作用させて、 DNAの遊離の有無を確認した。結果を図 11下段に示 す。図 11に示されるように、ステアリル基(S)含量が上がるほど、 DNAが遊離されや
すいことを確認した。
[0152] さらに、該複合体の HepG2細胞を用いた遺伝子導入を FRET解析することにより、 実際の細胞内において DNAが遊離することを確認した(図 12)。ステアリル基を含ま な!、ポリマー(Ga卜 D-A)にお!/、ては、細胞の FITCの励起波長 (495nm)で励起した場 合、 RITCの蛍光が増大したことから、 FRETが確認され、 DNAとポリマーが細胞内でも 複合体を形成したままであることが分力つた。一方、ステアリル基を含有したポリマー では、 FITCの励起波長 (495nm)で FITCの蛍光が見られ、 FRETが生じなかった。この こと力ら、これらのポリマーにおいては、細胞内でも効果的に DNAが遊離していること が確認された。
産業上の利用可能性
[0153] 本発明の核酸分子送達用担体を使用することで、細胞内に核酸を効率よく導入で き、細胞内に導入された核酸が核内に移行し、発現効率も高めることができる。