明 細 書
可変光減衰器
技術分野
[0001] 本発明は、光の減衰量を調節することができる可変光減衰器に関する。
背景技術
[0002] 図 1は従来例 1の可変光減衰器 (特許文献 1)の原理を示す概略図である。この可 変光減衰器 1は、入力用及び出力用の光ファイバ 2、 3と、レンズ 4と、レンズ 4の焦点 位置に配置されたミラー 5と、当該ミラー 5を光軸の方向に移動させるための駆動部 6 とを備えている。し力 て、入力用光ファイバ 2を伝搬してきた信号光 7が入力用光フ アイバ 2のコア端面から出射されると、この信号光 7はレンズ 4の光軸から外れた位置 でレンズ 4を透過し、レンズ 4により平行光束に変換されると共に信号光 7の進む方向 がレンズ 4の光軸に対して傾けられる。レンズ 4を透過した信号光 7は、ミラー 5によつ てレンズ 4側へ向けて反射され、再びレンズ 4の光軸から外れた位置でレンズ 4を透 過する。レンズ 4を再度透過した信号光 7は、レンズ 4により集光させられると共に信 号光 7の進む方向がレンズ 4の光軸に平行な方向に曲げられ、出力用光ファイバ 3に 結合される。
[0003] この可変光減衰器 1にあっては、駆動部 6によってミラー 5の角度を制御することで 、出力用光ファイバ 3に入射する信号光 7の光軸を出力用光ファイバ 3の光軸からォ フセットさせ、それによつて入力用光ファイバ 2と出力用光ファイバ 3との光結合効率 を変化させ、出力用光ファイバ 3から取り出される信号光 7の減衰量を可変にしている
[0004] 図 2は従来例 2の別な可変光減衰器 (特許文献 2)の構造を示す一部破断した斜視 図である。この可変光減衰器 11にあっては、支持部 12の上面に遮蔽壁 13を介して 2つの溝 14、 15を凹設してあり、溝 14に入力用光ファイバ 16を納めると共に溝 15に 出力用光ファイバ 17を納め、溝 14、 15に納められた入力用及び出力用の光フアイ バ 16、 17の端面にはそれぞれレンズ(図示せず)を設けている。支持部 12の上面の うち、溝 14、 15よりも一段低くなつた箇所には、直交する 2面のミラー 18、 19からなる
光反射体 20が支持されており、光反射体 20は、ァクチユエータ 21によって光フアイ バ 16、 17の光軸方向に沿って移動させられる。
[0005] しかして、この可変光減衰器 11にあっては、入力用光ファイバ 16から出射された信 号光は一方のレンズによって集光され、光反射体 20のミラー 18、 19によって 2回反 射されて元の方向へ戻り、他方のレンズで集光されて出力用光ファイバ 17に結合さ れる。そして、ァクチユエータ 21によって入力用及び出力用光ファイバ 16、 17と光反 射体 20との距離を変化させることによって入力用光ファイバ 16と出力用光ファイバ 1 7との結合効率を調整し、出力用光ファイバ 17から取り出される信号光の減衰量を可 変にしている。
[0006] し力、しながら、従来例 1と従来例 2のいずれにおいても、光ファイバとの相対位置精 度が要求されるミラーを回転させたり、移動させたりする構造となっていたので、可変 光減衰器の組み立てや調整が困難であり、結果として性能がばらつく問題があった。 また、製造段階でミラーが正しく調整されていたとしても、ミラーを繰り返し駆動してい るうちにミラーの位置のバラツキが大きくなる恐れがあった。
[0007] さらに、従来例 1の可変光減衰器では、減衰調整分解能を決定する光軸のオフセ ット分解能は、 2 (ただし、 fはレンズの焦点距離、 ξはミラー角制御分解能である。 )となるので、ミラー角制御分解能が十分でない場合には、 f値を小さくする必要があ つた。しかし、従来例 1のような構造では、レンズ収差が制約となるため、高分解能、 高精度の可変光減衰器を実現することは困難であった。
[0008] また、従来例 2の可変光減衰器の場合には、光ファイバからの出射光束をほぼコリ メート状態にすることで制御分解能を高めることが可能であるが、適当な減衰レンジ を得るためには、駆動ストロークを大きくする必要があり、可変光減衰器のサイズが大 きくなつていた。逆に、レンズの焦点距離を短くして光ファイバからの出射光束を絞る ようにすれば、可変光減衰器のサイズを小さくすることができるが、制御分解能は低 下するという欠点があった。
[0009] 特許文献 1 :特開 2000— 131626号
特許文献 2:特開 2002—221676号
発明の開示
[0010] 本発明の目的とするところは、光の減衰量の制御精度が高ぐ小型で分解能も高い 可変光減衰器を提供することにある。
[0011] 本発明にかかる可変光減衰器は、少なくとも一対の光結合された光伝送路を備え、 対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から出射された光束の全体又は一部を対 をなす他方の光伝送路に光結合させるようにした可変光減衰器において、前記光伝 送路どうしを光結合させている光路内に、透光性部材を角度変更可能に配置したこ とを特徴としている。ここで光伝送路としては、光ファイバ、光導波路などを用いること ができる。
[0012] 本発明の可変光減衰器にあっては、光伝送路どうしを光結合させている光路内に 透光性部材を角度変更可能に配置しているので、透光性部材の角度を変化させると 、それによつて透光性部材を透過した光束の光軸がシフトさせられる。その結果、他 方の光伝送路に入射する光束の光軸がオフセットし、他方の光伝送路に結合される 光量を制御することができる。
[0013] また、本発明の可変光減衰器によれば、光量調整 (又は減衰量調整)の分解能は 透光性部材の角度制御分解能以外にも透光性部材の入射面と出射面との間の板厚 を薄くすることによって向上させることができるので、高分解能で小型の可変光減衰 器を製作することができる。さらに、その構造上、狭ピッチの光伝送路にも適用可能 で多チャンネル化も可能になる。
[0014] 本発明にかかる可変光減衰器のある実施態様においては、前記透光性部材の角 度を変更すると、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から出射された光束が前 記透光性部材に入射する角度又は透光性部材から出射する角度のうち少なくとも一 方の角度が変化するようになってレ、る。
[0015] 本発明の上記実施態様にあっては、光路内に配置された透光性部材の角度を変 化させると、一方の光伝送路から出射された光束が透光性部材に入射する角度又は 透光性部材から出射する角度のうち少なくとも一方の角度が変化し、それによつて透 光性部材を透過した光束の光軸がシフトさせられる。その結果、他方の光伝送路に 入射する光束の光軸がオフセットし、他方の光伝送路に結合される光量を制御する こと力 Sできる。
[0016] 本発明の別な実施態様においては、前記透光性部材は、対をなす光伝送路の各 光軸を含む平面に垂直な方向を向いた回転軸の回りで角度変更可能となっている。 この実施態様にあっては、透光性部材が対をなす光伝送路の各光軸を含む平面に 垂直な方向を向いた回転軸の回りで角度変更可能となっているので、透光性部材の 角度を変更することにより、光の減衰量を高精度で調整することができる。
[0017] 本発明のさらに別な実施態様においては、前記各光伝送路の端面に対向する位 置に入出射光束を制御するためのレンズ又は回折格子を設けている。かかる実施態 様にあっては、各光伝送路の端面に対向する位置に入出射光束を制御するための レンズ又は回折格子を設けているので、対をなす光伝送路間における光の損失を小 さくできる。
[0018] 本発明のさらに別な実施態様においては、前記透光性部材の角度を変更させるた めのァクチユエータを備えてレ、る。ここでァクチユエータとしては特に限定されるもの ではないが、例えばボイスコイルモータ、電磁モータ、超音波モータ、 MEMS技術を 用いて作製されたァクチユエータ、圧電バイモルフなどを用いることができる。かかる 実施態様によれば、透光性部材の角度を変更させるためのァクチユエータを備えて いるので、透光性部材をァクチユエータで駆動することができ、可動光減衰器のケー シング等を開くことなく減衰量を調整することが可能になる。
[0019] 本発明のさらに別な実施態様においては、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送 路から出射され他方の光伝送路に入射する光束の減衰量を検知するためのモニタ 一手段を備えている。力かる実施態様によれば、対をなす光伝送路のうち一方の光 伝送路から出射され他方の光伝送路に入射する光束の減衰量を検知するためのモ 二ター手段を備えているので、減衰量をモニターしながら調整することができ、減衰 量を高精度に調整することができる。
[0020] 本発明のさらに別な実施態様においては、前記透光性部材を光束が透過する際 に前記透光性部材に光束が入射する面と前記透光性部材から光束が出射する面と が、互いに平行な平面によって構成されている。力かる実施態様にあっては、透光性 部材を光束が透過する際に透光性部材に光束が入射する面と透光性部材から光束 が出射する面とを、互いに平行な平面によって構成しているので、透光性部材の位
置が任意の方向に平行移動するように位置ずれしても、減衰量が影響を受けないよ うにすることができる。よって、可変光減衰器の組立精度の要求度を緩和することが でき、可変光減衰器の組立を容易にすることができる。
[0021] 本発明のさらに別な実施態様においては、 2対以上の光結合された光伝送路を備 え、対をなす光伝送路どうしを光結合させる各光路を横切るように 1つの透光性部材 を配置している。力、かる実施態様によれば、 2対以上の光結合された光伝送路を備 えている場合において、対をなす光伝送路どうしを光結合させる各光路を横切るよう に 1つの透光性部材を配置しているので、複数対の光伝送路間の減衰量を一括して 調整すること力 Sできる。
[0022] 本発明のさらに別な実施態様においては、 2対以上の光結合された光伝送路を備 え、対をなす光伝送路どうしを光結合させる各光路にそれぞれ個別に透光性部材を 配置している。かかる実施態様によれば、対をなす光伝送路どうしを光結合させる各 光路にそれぞれ個別に透光性部材を配置しているので、複数対の光伝送路間の減 衰量を個別に調整することが可能になる。
[0023] 本発明のさらに別な実施態様においては、 2対以上の光結合された光伝送路を備 え、前記透光性部材を光束が透過する際に、前記透光性部材に光束が入射する面 と前記透光性部材から光束が出射する面のうち少なくとも一方の面が湾曲面又は屈 曲面となっている。力かる実施態様にあっては、 2対以上の光結合された光伝送路を 備えている場合において、透光性部材に光束が入射する面と透光性部材から光束 が出射する面のうち少なくとも一方の面を湾曲面又は屈曲面によって形成しているの で、その湾曲面又は屈曲面のプロファイルによって各光伝送路毎の減衰量を任意の 比率で変化させることができる。
[0024] 本発明のさらに別な実施態様においては、前記各光伝送路は互いに平行に配置 されて一体化されており、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から出射された 光束を対をなす光伝送路の他方の光伝送路に光結合させるための折返し光学部品 を有し、前記透光性部材は前記各光伝送路と前記折返し光学部品との間に配置さ れている。折返し光学部品としては、少なくとも 2つの反射面を有するミラー部材、直 角プリズム、屋根型プリズムなどが含まれる。かかる実施態様においては、各光伝送
路を互いに平行に配置して一体化し、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から 出射された光束を対をなす光伝送路の他方の光伝送路に光結合させるための折返 し光学部品を設け、透光性部材を各光伝送路と折返し光学部品との間に配置してい るので、各光伝送路を一方にまとめることができ、可変光減衰器を小型化することが できる。また、各光伝送路が一体化されるので、光伝送路の取り扱レ、も簡単になる。
[0025] 本発明のさらに別な実施態様は、前記折返し光学部品を有する実施態様において 、前記透光性部材を光束が透過する際に、前記透光性部材に光束が入射する面と 前記透光性部材から光束が出射する面とが、いずれも平面によって構成され、光束 が出射する面は光束が入射する面に対して傾いている。かかる実施態様によれば、 透光性部材に光束が入射する面と透光性部材から光束が出射する面とがいずれも 平面によって構成され、光束が出射する面を光束が入射する面に対して傾けている ので、透光性部材の回転角度と減衰量との関係を直線に近づけることが可能になる
[0026] 本発明のさらに別な実施態様は、前記折返し光学部品を有する実施態様において 、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から出射された光束は、一方の光伝送路 力 前記折返し光学部品に向力 光路と、前記折返し光学部品で反射されて対をな す光伝送路の他方の光伝送路へ向かう光路とで前記透光性部材を 2度透過するも のである。かかる実施態様によれば、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から 出射された光束が、一方の光伝送路から折返し光学部品に向かう光路と、折返し光 学部品で反射されて対をなす光伝送路の他方の光伝送路へ向力 光路とで前記透 光性部材を 2度透過するので、透光性部材の一定角度の傾きに対する減衰量の変 化を大きくすることができる。
[0027] 本発明のさらに別な実施態様は、前記折返し光学部品を有する実施態様において 、対をなす光伝送路のうち一方の光伝送路から出射された光束は、一方の光伝送路 力 前記折返し光学部品に向力 光路と、前記折返し光学部品で反射されて対をな す光伝送路の他方の光伝送路へ向かう光路とで前記透光性部材を 2度透過し、前 記透光性部材を光束が透過する際に、前記透光性部材に光束が入射する面と前記 透光性部材から光束が出射する面とが、互いに平行な平面によって構成されている
。上記折返し光学部品を備えた実施態様において、往き側の光路と戻り側の光路で
2度透光性部品を透過するもので、透光性部材に光束が入射する面と透光性部材か ら光束が出射する面とを互いに平行な平面によって構成されているので、透光性部 材の回転軸が傾いていたり、透光性部材が平行移動するように位置ずれしていたりし ても減衰量が影響を受けないようにすることができる。よって、可変光減衰器の組立 精度の要求度を緩和することができ、可変光減衰器の組立を容易にすることができる
[0028] 本発明のさらに別な実施態様は、前記折返し光学部品を有する実施態様において 、 2対以上の光結合された光伝送路を備え、前記各光伝送路は一定ピッチで一列に 配列されたものである。力かる実施態様にあっては、互いに平行に配置された 2対以 上の光結合された光伝送路を一定ピッチで一列に配列されてレ、るので、可変光減衰 器を薄型化することができる。
[0029] 本発明のさらに別な実施態様は、前記折返し光学部品を有する実施態様において 、 2対以上の光結合された光伝送路を備え、対をなす各光伝送路のうち一方の光伝 送路を一列に配列し、対をなす各光伝送路の他方の光伝送路を一列に配列し、前 記一方の光伝送路の配列方向と前記他方の光伝送路の配列方向とを互いに平行と したものである。力かる実施態様にあっては、対をなす各光伝送路のうち一方の光伝 送路を一列に配列し、対をなす各光伝送路の他方の光伝送路を一列に配列し、一 方の光伝送路の配列方向と他方の光伝送路の配列方向とを互いに平行としている ので、光伝送路を 2段に配置することができ、一体化された光伝送路をコンパクトィ匕 すること力 Sできる。さらに、ここに用いる透光性部材も小型化することができ、可変光 減衰器をより小型化することができる。
[0030] なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることが できる。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]従来例 1の可変光減衰器の原理を示す概略図である。
[図 2]従来例 2の可変光減衰器を示す概略斜視図である。
[図 3]本発明の実施例 1による可変光減衰器の構造を示す斜視図である。
園 4]同上の可変光減衰器の水平断面図である。
園 5]図 3の可変光減衰器の作用説明のための水平断面図である。
園 6]図 3の可変光減衰器の縦断面図である。
園 7]回動ブロックの回転軸が Z軸方向から傾いている場合の信号光の挙動を説明 する縦断面図である。
園 8]可変光減衰器におけるプリズム回転装置の一例を示す断面図である。
園 9] (a)は同上のプリズム回転装置により直角プリズムを回転させる前の状態を示す 平面図、(b)は直角プリズムを回転させた後の状態を示す平面図である。
園 10]可変光減衰器におけるプリズム回転装置の別な例を示す縦断面図である。 園 11]同上のプリズム回転装置によりプリズムを回転させた状態を示す平面図である 園 12]実施例 1の可変光減衰器の変形例を示す水平断面図である。
園 13]実施例 1の可変光減衰器の別な変形例を示す水平断面図である。
園 14]本発明の実施例 2による可変光減衰器の構造を示す水平断面図である。 園 15]本発明の実施例 3による可変光減衰器の構造を示す水平断面図である。 園 16]実施例 1の可変光減衰器と実施例 3の可変光減衰器における、回動ブロック の回転角度と信号光の減衰量との関係を示す図である。
[図 17]本発明の実施例 4による可変光減衰器を示す概略縦断面図である。
園 18]本発明の実施例 5による可変光減衰器を示す斜視図である。
園 19]同上の可変光減衰器の水平断面図である。
[図 20]実施例 5の変形例を示す概略水平断面図である。
園 21]同上の変形例における各出力用光ファイバを伝搬する信号光の減衰量を示 す図である。
園 22]発明の実施例 6による可変光減衰器の斜視図である。
園 23]同上の可変光減衰器縦断面図である。
園 24]図 22の可変光減衰器の作用を説明する縦断面図である。
園 25]回動ブロックを駆動するための複数本のァクチユエータを備えた可変光減衰 器の平面図である。
[図 26]同上の可変光減衰器の概略縦断面図である。
[図 27] (a)はベース基板上に設けられたァクチユエータを示す斜視図、(b) (c)はァク チユエータにより回動ブロックを傾ける様子を示す図である。
[図 28]モニター出力機能を付加した実施例 7の可変光減衰器を示す水平断面図で ある。
[図 29]入力用レンズとハイブリッドレンズを備えたレンズアレイの正面図である。
[図 30] (a)はハイブリッドレンズの正面図、 (b)はハイブリッドレンズの下面図、 (c)は ハイブリッドレンズを構成する出力用レンズとモニターレンズの正面図である。
[図 31]ハイブリッドレンズの詳細な設計例を説明するための図である。
[図 32] (a) (b) (c) (d)はハイブリッドレンズによる信号光の分割推移の様子を説明す る図である。
[図 33]従来の出力モニター方法を説明する図である。
[図 34]実施例 7の可変光減衰器を用いた制御回路内蔵可変減衰器の構成を示す概 略ブロック図である。
[図 35] (a) (b)は同上の制御回路内蔵可変減衰器における信号光の減衰量を調整 する方法を説明する図である。
[図 36]図 34に示した制御回路内蔵可変減衰器の制御動作を表したフロー図である。 なお、図面において用いられている主な符号は、次の通りである。
32 光ファイバアレイ
33 回動ブロック(透光性部材)
34 直角プリズム(折返し部材)
35 入力用光ファイバ(光伝送路)
36 出力用光ファイバ(光伝送路)
38 レンズアレイ
40a 入力用レンズ
40b 出力用レンズ
41、 42 反射面
45 信号光
49 プリズム回転装置
50 回転型ァクチユエータ
51 回転テーブル
54 揺動型ボイスコイルモータ
63 コイル
83 ァクチユエータ
92 モニタ用光ファイバ
93 モニタレンズ
94 ハイブリッドレンズ
発明を実施するための最良の形態
[0033] 以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。但し、本発明は、以下の 実施例に限定されるものでなぐ本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において変 形することができることはもちろんである。
実施例 1
[0034] 図 3は本発明の実施例 1による可変光減衰器 31の構造を示す斜視図、図 4はその 断面図である。この可変光減衰器 31は、主として、光ファイバアレイ 32、透光性を有 する回動ブロック 33、レンズアレイ 38、および直角プリズム 34によって構成されてい る。
[0035] 光ファイバアレイ 32は、光通信回線につながる 2本の光ファイノく、すなわち入力用 光ファイバ 35と出力用光ファイバ 36の端部を一定間隔をあけて平行に並べたものを 樹脂製のホルダー 37で保持して一体化させたものである。レンズアレイ 38は、ホル ダー 37の前面に取り付けられている。レンズアレイ 38は、透明な基板 39の表面に球 面レンズ又は非球面レンズ力 なる入力用レンズ 40a (マイクロレンズ)と出力用レン ズ 40b (マイクロレンズ)を設けたものであり、入力用レンズ 40aと出力用レンズ 40bは 、その光軸間距離が両光ファイバ 35、 36の端部の光軸間距離と等しくなるように配 置されている。レンズアレイ 38は、接着剤等によってホルダー 37の前面に固着され ており、入力用レンズ 40a及び出力用レンズ 40bの光軸は、それぞれ入力用光フアイ バ 35及び出力用光ファイバ 36の光軸に一致している。また、基板 39の厚みは両レ
ンズ 40a、 40bの焦点距離にほぼ等しくなつており、両レンズ 40a、 40bの主平面と両 光ファイバ 35、 36の端面との距離は、両レンズ 40a、 40bの焦点距離に等しくなつて いる。
[0036] ここで、入力用光ファイバ 35及び出力用光ファイバ 36のコア半径を rc、開口数を N Aとし、基板 39の厚みを Tとすれば、入力用レンズ 40a及び出力用レンズ 40bの半径 Rを、
R^rc + Τ· tan rcsinNA)
とすることにより、入力用光ファイバ 35から出射された信号光をほぼ 100%入力用レ ンズ 40aに入射させて平行光に変換することができ、また、戻ってきた平行光をほぼ 1
00。 /o出力用レンズ 40bに入射させて出力用光ファイバ 36に入射させることができる。
[0037] 直角プリズム 34は、透光性を有するガラスや樹脂などによって製作されており、巿 販品を用いることができる。直角プリズム 34は、平面視で直角二等辺三角形状をして おり、互いに直交する 2面が光を全反射させるための反射面 41、 42となり、反射面 4
1、 42に対して 45° の角度をなす面が入出射面 43となっている。直角プリズム 34は 、入出射面 43が両光ファイバ 35、 36の各光軸に垂直となるようにして、かつ、入力用 光ファイバ 35の光軸の延長上に反射面 41が位置し、出力用光ファイバ 36の光軸の 延長上に反射面 42が位置するようにして、光ファイバアレイ 32の前方に配置されて いる。
[0038] 回動ブロック 33は、透光性を有する樹脂又はガラスからなるブロックであって、光フ アイバアレイ 32前面のレンズアレイ 38と直角プリズム 34との間に配置されている。回 動ブロック 33は、直角プリズム 34が直角二等辺三角形に見える方向(垂直方向)に 平行な回転軸 44を中心として回動自在となっている。実施例 1では、回動ブロック 33 は、レンズアレイ 38に対向する面(前面)と直角プリズム 34に対向する面(後面)とが 平行になっていて、好ましくは直方体に形成されている。また、実施例 1では、回動ブ ロック 33は、入力用光ファイバ 35の光軸の延長上と出力用光ファイバ 36の光軸の延 長上とに跨って配置されている。この回動ブロック 33は、手動により、あるいは、ァク チユエータ(ァクチュェータの具体例については後述する。)を用いて回転軸 44の回 りに回動させられるようになつており、角度調整された状態で固定できるようになって
いる。
[0039] し力 て、回動ブロック 33を初期設定角度(すなわち、図 4に示すように、回動プロ ック 33の前面がレンズアレイ 38と平行で、回動ブロック 33の後面が直角プリズム 34 の入出射面 43に平行な状態)で固定した場合には、図 4に示すように、入力用光ファ ィバ 35内を伝搬してきて入力用光ファイバ 35のコア端面から出射された信号光 45 は、入力用レンズ 40aによって平行光に変換され、平行光となった信号光 45は回動 ブロック 33を真っ直ぐに通過して入出射面 43から直角プリズム 34内に進入する。直 角プリズム 34内に入射した信号光 45は反射面 41、 42で 2回全反射して元の方向に 戻り、再び回動ブロック 33を真っ直ぐに通過して出力用レンズ 40bに入射し、出力用 光ファイバ 36に結合される。この場合には、入力用光ファイバ 35と出力用光ファイバ 36との光結合効率がほぼ 100%、つまり減衰量がほぼ OdBとなる。
[0040] これに対し、図 5に示すように、回動ブロック 33を回転軸 44 (回転軸 44は図 5の Z軸 方向と平行になっている。)の回りに回動させて初期設定角度から傾けると、入力用 光ファイバ 35から出射された信号光 45は、入力用レンズ 40aによって平行光に変換 され、平行光となった信号光 45は、回動ブロック 33を通過してその前面と後面によつ て 2度屈折する。回動ブロック 33に入射する前の信号光 45と通過後の信号光 45とで は、光軸は互いに平行となっている力 回動ブロック 33の傾きに応じて光軸が δ 0だ けシフトする。そのため、信号光 45が直角プリズム 34の反射面 41に入射する位置が 変化する。この信号光 45は、反射面 41、 42で 2回全反射して元の方向に戻り、再び 回動ブロック 33を通過する。そして、戻りの信号光 45は、回動ブロック 33の後面と前 面で 2度屈折し、往きの信号光 45が回動ブロック 33を通過した時と反対向けに光軸 が δ 0だけシフトする。回動ブロック 33を通過した信号光 45はレンズアレイ 38に達し 、出力用レンズ 40bに入射した信号光 45だけが出力用光ファイバ 36のコア端面に入 射し、出力用光ファイバ 36に結合される。
[0041] 直角プリズム 34で全反射して元の方向へ戻ってきた信号光 45が出力用レンズ 40b に入射する位置は、図 5から分かるように、回動ブロック 33を通過することによる光軸 のシフト量 δ 0の 2倍(2 δ 0)だけオフセットし、戻ってきた信号光 45の一部だけが出 力用レンズ 40bを通過して出力用光ファイバ 36に結合される。従って、回動ブロック 3
3の回転角度を変化させて回動ブロック 33を通過する信号光 45のシフト量 δ 0を調 整することにより、入力用光ファイバ 35と出力用光ファイバ 36との光結合効率や信号 光 45の減衰量を任意に調整することができる。
[0042] この可変光減衰器 31によれば、回動ブロック 33の Ζ軸回りにおける回転角度を調 整することによって可変光減衰器 31による信号光の減衰量を高精度に調整すること 力 Sできる。しかも、この可変光減衰器 31では位置精度の必要な直角プリズム 34が固 定されているので、可変光減衰器 31の組立てや調整が簡単になる。しかも、直角プ リズム 34を駆動する必要がないので、駆動しているうちに直角プリズム 34の位置が ずれたり、調整が狂ってくるといった不都合もない。
[0043] また、この可変光減衰器 31では、回動ブロック 33の前面と後面との間の幅を小さく すれば、回動ブロック 33を 1° だけ回転させたときのシフト量 δ 0の変化を小さくする ことができるので、減衰量を調整する際の分解能を高くすることができる。よって、可 変光減衰器 31のサイズを大きくすることなぐ減衰量の調整の分解能を高くすること ができ、高精度、高分解能で、かつ、小型の可変光減衰器 31を製作することができ る。
[0044] 実施例 1では、回動ブロック 33の前面と後面とが平行になっているので、図 5から明 らかなように、回動ブロック 33が、両光ファイバ 35、 36の光軸方向と平行な方向(X 軸方向)ゃ両光ファイバ 35、 36の光軸に垂直な方向(すなわち、図 5の紙面に平行 な Υ軸方向や、紙面に垂直な Ζ軸方向)に位置ずれ(=平行移動)していても、直角 プリズム 34から戻ってきて出力用光ファイバ 36に結合される信号光の光量は影響を 受けることがない。そのため、可変光減衰器 31の調整が容易に行える構造となって いる。
[0045] また、可変光減衰器 31では、図 6に示すように、両光ファイバ 35、 36端部の光軸を 含む平面と、反射面 41及び反射面 42に垂直な平面とが同一平面 (ΧΥ平面)に平行 となり、回動ブロック 33の回転軸 44が当該平面に垂直 (Ζ軸方向)となるように組み立 てることが望ましい。しかし、この実施例 1では、回動ブロック 33の前面と後面とが平 行になっているので、図 7に示すように、回動ブロック 33の回転軸 44が Υ軸方向の回 りに傾いていても、往きの信号光 45の光軸のずれと戻りの信号光 45の光軸のずれと
がキャンセルされるため、直角プリズム 34から戻ってきて出力用光ファイバ 36に結合 される信号光 45のレンズ入射位置は影響を受けることがなぐ出力用光ファイバ 36 に入射する光量が変化することがない。同じように、回動ブロック 33の回転軸 44が X 軸方向の回りに傾いている場合も、直角プリズム 34から戻ってきて出力用光ファイバ 36に結合される信号光 45のレンズ入射位置が影響を受けることがなぐ出力用光フ アイバ 36に入射する光量が変化することがない。
[0046] よって、この実施例 1の可変光減衰器 31では、回動ブロック 33の組立時に要求さ れる厳密性が緩和され、組立精度の許容度が大きいので、組み立て作業が容易に なり、コストを安価にすることが可能になる。
[0047] つぎに、上記回動ブロック 33を回転させるためのァクチユエータについて説明する 。図 8は回動ブロック 33を回動させるためのプリズム回転装置 49を備えた可変光減 衰器 31の概略断面図である。図 8に示す可変光減衰器 31では、ベース基板 46の上 面に支持盤 47が固定されており、支持盤 47の中央部には縦穴状をした空洞部 48が 設けられている。空洞部 48内において、ベース基板 46の上面には、ノ ルスステップ モータ等の電磁モータ、静電モータ、超音波モータ、 SEW、 MEMS (マイクロマシン 装置)などの回転型ァクチユエータ 50が設置されている。回転型ァクチユエータ 50か ら上方へ突出している回転軸 44の上端には回転テーブル 51が水平に支持されてお り、回転テーブル 51は回転型ァクチユエータ 50によって水平面内で回転駆動される 。光ファイバアレイ 32と直角プリズム 34は、空洞部 48を挟んで互いに対向するように して支持盤 47の上面に固定されており、回動ブロック 33は、光ファイバアレイ 32及び 直角プリズム 34とほぼ同じ高さで回転テーブル 51の上面に接着固定されている。ま た、ベース基板 46の上面には、回転型ァクチユエータ 50を回転制御させるための駆 動回路 52が搭載されており、回転型ァクチユエータ 50、回転テーブル 51及び駆動 回路 52等によってプリズム回転装置 49が構成されている。
[0048] しかして、回転型ァクチユエータ 50の上の回転テーブル 51に固定されている回動 ブロック 33が始めに図 9 (a)のように初期設定角度となっていたとする。外部から駆動 回路 52に指令信号を送ると、図 9 (b)に示すように、駆動回路 52は回転型ァクチユエ ータ 50を駆動して指令信号に応じた角度だけ回転テーブル 51を回転させ、回動ブ
ロック 33の角度を調整する。これによつて目標とする減衰量が得られるように可変光 減衰器 31が調整される。
[0049] 図 10は別なプリズム回転装置 49を備えた可変光減衰器 31の概略断面図、図 11 その平面図である。この可変光減衰器 31では、プリズム回転装置 49に揺動型ボイス コイルモータ 54を用いている。ベース基板 46の上面に円筒状をした軸受け 53が設 けられており、当該軸受け 53によって回転テーブル 51の下面に設けられた回転軸 4 4が回転自在に支持されている。回転テーブル 51の上には、回動ブロック 33が接着 固定されている。回転テーブル 51の縁からは、揺動型ボイスコイルモータ 54のァー ム 55 (ロータプレート)がー体的に延出されている。揺動型ボイスコイルモータ 54は、 3本の湾曲したヨーク(継鉄) 57、 58、 59を備えた略 E形のヨーク部材 56を備えてお り、このヨーク部材 56は、ベース基板 46の上面に固定されている支持部 60の上面に 設けられている。ヨーク 57及び 58間のスリットにおいてヨーク 57の縁には永久磁石 6 1が固定されており、永久磁石 61からヨーク 58に向けて磁界が生じている。同様に、 ヨーク 59及び 58の間のスリットにおいてヨーク 59の縁に永久磁石 62が固定されてお り、永久磁石 62からヨーク 58に向けて磁界が生じている。アーム 55の後端部下面に は環状に形成されたコイル 63が固定されており、コイル 63内には中央のヨーク 58が コイル 63に接触しないようにして挿入されている。しかして、この揺動型ボイスコイル モータ 54にあっては、コイル 63に電流を流すと、コイル 63に働くローレンツ力によつ てコイル 63がヨーク 58に沿って移動し、それによりアーム 55及び回転テーブル 51は 回転軸 44の回りに回転する。また、電流の流れる向きを反転させると、アーム 55及び 回転テーブル 51は反対向きに回転する。よって、揺動型ボイスコイルモータ 54を駆 動してアーム 55の角度を変えることにより、回動ブロック 33を任意の回転角度に回転 させること力できる。
[0050] 揺動型ボイスコイルモータはハードディスクドライブなどの磁気記録装置に多用され ていて安価に提供されているので、プリズム回転装置 49として揺動型ボイスコイルモ ータ 54を用いれば、可変光減衰器 31のコストを安価にすることができる。
[0051] なお、図示しないが、手動で回動ブロック 33を回転調整するようにしてあってもよい 。例えば、回転自在に支持された回転テーブルの上に回動ブロック 33を接着固定し
ておき、手動で回転テーブルを回転させることによって回動ブロック 33を回転させ、 回転調整後に適当なクランプ手段によって回転テーブルをロックさせるようにしてもよ レ、。
[0052] なお、この実施例 1による可変光減衰器 31は、その実施にあたっては種々の変形 が可能である。図 12はこの実施例 1の変形例を示している。上記実施例 1では、入力 用光ファイバ 35から出射された信号光 45は、入力用レンズ 40aによって平行光に変 換され、また、直角プリズム 34から戻ってきた平行光は、出力用レンズ 40bによって 集光されて出力用光ファイバ 36に結合されていた。これに対し、図 12に示した変形 例では、入力用光ファイバ 35から出射された信号光 45は入力用レンズ 40aによって 集光され、回動ブロック 33を通過して反射面 41で全反射された後、反射面 41と反射 面 42の中央で 1点に集光し、ついで、再び発散して反射面 42に入射し、反射面 42 で全反射し、回動ブロック 33を透過して発散しながら出力用レンズ 40bに入射し、出 力用レンズ 40bによって出力用光ファイバ 36のコア端面に集光されるようになってい る。このような変形例の場合には、両レンズ 40a、 40bの主平面と両光ファイバ 35、 3 6の端面との間の距離は、両レンズ 40a、 40bの焦点距離の値よりも大きくなつている
[0053] 図 13は実施例 1の別な変形例を示している。図 13の変形例は、直角プリズム 34に 代えてミラーブロック 64を用いたものである。ミラーブロック 64は、例えば、金属ブロッ クに直角をなす 2面を有する凹部を設け、その 2面を鏡面研磨して反射面 41、 42を 形成したものである。あるいは、ガラス又はプラスチックからなるブロックに直角をなす 2面を形成し、この 2面にアルミニウムや Ag等の金属膜を蒸着させて反射面 41、 42 を形成したものでもよい。
実施例 2
[0054] 図 14は本発明の実施例 2による可変光減衰器 65の構造を示す水平断面図である 。この可変光減衰器 65は、回動ブロック 33が入力用光ファイバ 35の光軸の延長上 にのみ位置し、出力用光ファイバ 36の光軸の延長上には位置しないようにしたもの である。
[0055] 図 14の可変光減衰器 65では、回動ブロック 33を回転させると、入力用光ファイバ 3
5のコア端面から出射された信号光 45の光軸が Y軸方向にシフトするので、直角プリ ズム 34で 2回全反射されて戻り、出力用レンズ 40bに入射する光の光軸も Υ軸方向 に同じだけシフトする。この結果、出力用レンズ 40bによって出力用光ファイバ 36に 結合される光量が変化し、可変光減衰器 65の減衰量を調整することができる。
[0056] この実施例 2の可変光減衰器 65では、一方の光路 (往きの光路)にしか回動ブロッ ク 33が揷入されていないので、同じ幅の回動ブロック 33を往きと戻りの両光路に揷 入した場合 (実施例 1)と比較すると、同じ回転角度だけ回動ブロック 33を回転させた ときの回動ブロック 33による光軸のシフト量は等しいが、出力用レンズ 40bに入射す る信号光 45のオフセット量は 1Z2になる。よって、実施例 2の可変光減衰器 65によ れば、実施例 1の可変光減衰器 31と比較して、その分だけ減衰量を詳細に調整でき ることになり、減衰量を調整する際の分解能が向上する。
[0057] また、実施例 2でも、回動ブロック 33の前面と後面とは平行になっているので、回動 ブロック 33が図 14の X軸方向、 Y軸方向、 Z軸方向などに平行移動するようにずれて いても、出力用光ファイバ 36に入射する光量や減衰量には影響しない。ただし、実 施例 2の場合には、一方の光路にしか回動ブロック 33が挿入されていないので、回 動ブロック 33が Y軸の回りや X軸の回りに傾いて組立てられた場合には、信号光 45 の光軸のずれが往きと戻りでキャンセルされない。従って、実施例 1に比較すると、組 立時の精度が必要となる。
[0058] なお、ここでは、入力用光ファイバ 35の光軸の延長上にのみ回動ブロック 33が位 置する場合について説明した力 出力用光ファイバ 36の光軸の延長上にのみ回動 ブロック 33が位置していてもよいことは当然である。
実施例 3
[0059] 図 15は本発明の実施例 3による可変光減衰器 66の構造を示す水平断面図である 。この可変光減衰器 66では、回動ブロック 33が平面視で台形ないし扇形をしており 、レンズアレイ 38と対向している前面と直角プリズム 34に対向している後面とが非平 行となっている。
[0060] 実施例 1の可変光減衰器 31のように、前面と後面とが平行となった回動ブロック 33 を用レ、た場合には、回動ブロック 33の回転角度と減衰量との関係は図 16に破線で
示すように大きくうねって非線形となっている。これに対し、図 15に示す可変光減衰 器 66のように、前面と後面とが平行でない回動ブロック 33を用いることにより、図 16 に実線で示すように、回動ブロック 33の回転角度と減衰量との関係を直線に近づけ ることが可能になる。よって、回転型ァクチユエータ 50などで回動ブロック 33を回転さ せて減衰量を調整する際の可変光減衰器 66の制御が容易になる。
実施例 4
[0061] 図 17は本発明の実施例 4による可変光減衰器 67を示す概略断面図である。この 可変光減衰器 67では、直角プリズム 34を用いて信号光 45を折り返さず、光ファイバ アレイ 32aと光ファイバアレイ 32bとを対向させ、両光ファイバアレイ 32a、 32b間の光 路途中に回動ブロック 33を配置している。光ファイバアレイ 32aは、信号光 45を出射 する入力用光ファイバ 35を保持し、前面には入力用レンズ 40aを有するレンズアレイ 38aが固定されている。光ファイバアレイ 32bは、信号光 45を受光する出力用光ファ ィバ 36を保持し、前面には出力用レンズ 40bを有するレンズアレイ 38bが固定されて いる。
[0062] このような可変光減衰器 67でも、回動ブロック 33を回転させることによって回動ブロ ック 33を通過する前後で信号光 45の光軸をシフトさせることができるので、回動ブロ ック 33を回転させることにより、光ファイバアレイ 32bの出力用光ファイバ 36に入射す る光量を制御することができ、信号光 45の減衰量を調整することができる。
[0063] 本発明によれば、このように光ファイバアレイ 32a、 32bを対向型としたい場合でも、 直角プリズム 34の位置に受光側の光ファイバアレイ 32bを配置することができるので 、可変光減衰器 67が大型化しにくいという利点がある。
実施例 5
[0064] 図 18は本発明の実施例 5による可変光減衰器 71を示す斜視図、図 19はその概略 水平断面図である。この可変光減衰器 71にあっては、光ファイバアレイ 32内に複数 本の入力用光ファイバの端部と複数本の出力用光ファイバの端部とが平行に、かつ 、一定ピッチで一列に配列されている。各光ファイバの端面は、光ファイバアレイ 32 の前面で露出しており、光ファイバアレイ 32の前面にはレンズアレイ 38が固定されて いる。
[0065] 入力用光ファイバと出力用光ファイバは、いずれも 2本以上であればよいが、ここで は 4本の入力用光ファイノく 35a、 35b、 35c、 35dと、 4本の出力用光ファイノ 36d、 3 6c、 36b、 36aがー列に配列されている場合を例にとって説明する。
[0066] レンズアレイ 38ίこ fま、各光ファイノ 35a、 35b、 35c、 35d、 36d、 36c、 36b、 36a (こ 合わせて 4個の入力用レンズ 40aと 4個の出力用レンズ 40bが設けられており、各入 力用レンズ 40aの光軸は、各入力用光ファイバ 35a、 35b, 35c, 35dの光軸と一致し 、各出力用レンズ 40bの光軸は、各出力用光ファイバ 36a、 36b、 36c、 36dの光軸と 一致している。また、直角プリズム 34の幅も 8本の各光ファイバ 35a、 35b、■·■、 36a 全体の幅よりも広くなつており、反射面 41が入力用光ファイバ 35a、 35b, 35c, 35d の端部の光軸の延長線と交差し、反射面 42が出力用光ファイバ 36d、 36c、 36b、 3 6aの端部の光軸の延長線と交差するように直角プリズム 34が配置されている。矩形 状をした回動ブロック 33も、 8本の各光ファイバ 35a、 35b、■·■、 36aの端部の光軸の 延長線を横切るように配置されてレ、る。
[0067] しかして、この可変光減衰器 71にあっては、回動ブロック 33が初期設定角度となつ ている場合には、図 19に破線で示す信号光 45のように、入力用光ファイバ 35a、 35 b、 35c、 35dのコア端面から出射された光は、各入力用レンズ 40aで集光されて平 行光となった後、回動ブロック 33を真っ直ぐに通過し、直角プリズム 34内に進入して 反射面 41と反射面 42で 2回全反射して元の方向へ戻り、再び回動ブロック 33を真つ 直ぐに通過して各出力用レンズ 40bで集光され、出力用光ファイバ 36a、 36b、 36c、 36dの各コア端面に入射させられる。
[0068] これに対し、回動ブロック 33を初期設定角度から傾けると、例えば入力用光フアイ バ 35cから出射された信号光 45は、図 19に実線で示す信号光 45のように、回動ブ ロック 33を通過する際に光軸をシフトさせられて直角プリズム 34内に進入し、直角プ リズム 34の反射面 41と反射面 42で 2回全反射されて元の方向へ戻る。戻ってきた信 号光 45は再び回動ブロック 33を通過する際に光軸をシフトさせられ、戻ってきた信 号光 45の一部だけが出力用レンズ 40bを通過して出力用光ファイバ 36cに入射させ られ、出力用光ファイバ 36cの他端から出射される信号光 45が減衰される。同様に、 回動ブロック 33を初期設定角度力も傾けると、入力用光ファイバ 35a、 35b, 35dから
出射された信号光 45は、直角プリズム 34で反射して戻ってくる往きと戻りの光路で回 動ブロック 33により光軸をシフトさせられ、戻りの各信号光 45の一部だけが各出力用 レンズ 40bを通過してそれぞれの出力用光ファイバ 36a、 36b、 36dに入射させられ、 出力用光ファイバ 36a、 36b、 36dの他端から出射される信号光 45が減衰される。従 つて、図 19に示す実施例 5の可変光減衰器 71のように、前面と後面が平行な回動ブ ロック 33を用いれば、各出力用光ファイバ 36a、 36b、 36c、 36dの他端から出射され る信号光 45を等しレ、減衰量となるように一括して調整することができる。
[0069] 図 20は実施例 5の変形例を示す概略水平断面図である。この変形例による可変光 減衰器 72では、回動ブロック 33の後面を湾曲形状又は屈曲形状に形成している。こ のような可変光減衰器 72によれば、各入力用光ファイバ 35a、 35b、 35c、 35dから 出射された信号光 45毎に回動ブロック 33内を通過する光路長が異なるので、各信 号光 45毎に光軸のシフト量を異ならせることができる。よって、この変形例によれば、 図 21に示すように、各出力用光ファイバ 36a、 36b、 36c、 36d (チャンネル)毎に信 号光 45の減衰量を異ならせることができ、回動ブロック 33の後面の形状を設計する ことにより、各出力用光ファイバ 36a、 36b、 36c、 36d毎の減衰量が所望の値となる ようにできる。
[0070] なお、図 20の変形例では、回動ブロック 33の後面を湾曲又は屈曲させた力 回動 ブロック 33の前面、あるいは回動ブロック 33の前面及び後面を湾曲又は屈曲させて あよい。
実施例 6
[0071] 図 22は本発明の実施例 6による可変光減衰器 81の斜視図、図 23及び図 24はい ずれもその縦断面図である。この可変光減衰器 81にあっては、光ファイバアレイ 32 内に上下 2段に光ファイバが配列されており、上段には複数本の出力用光ファイバ 3 6a、 36b、…が一定ピッチで一列に配列され、下段には複数本の入力用光ファイバ 3 5a、 35b、…が一定ピッチで一列に配列されている。さらに、上段の出力用光フアイ バ 36a、 36b、…と下段の入力用光ファイバ 35a、 35b、…とはそれぞれ等しいピッチ で配列されていて、上下に並んだ出力用光ファイバどうしが対となっている。各光ファ イノ 36a、 36b、 · ' ·;35&、 35b、…の端面 ίま光ファイノくアレイ 32の端面に露出してレヽ
る。
[0072] 光ファイバアレイ 32の端面にはレンズアレイ 38が固定されており、レンズアレイ 38 にも上下 2段にレンズが配列されており、上段に一列に配列された複数個の出力用 レンズ 40bは、その光軸が上段の出力用光ファイバ 36a、 36b、…の光軸と一致し、 下段に一列に配列された複数個の入力用レンズ 40aは、その光軸が下段の入力用 光ファイバ 35a、 35b、…の光軸と一致している。
[0073] 直角プリズム 34は断面直角二等辺三角形状の柱状体となっており、その三角断面 に垂直な方向(長さ方向)が水平方向(Y軸方向)を向くようにして光ファイバアレイ 32 の前方に配置されている。直角プリズム 34の反射面 41は、下段の入力用光ファイバ 35a、 35b、…の光軸の延長線と交差しており、反射面 42は上段の出力用光フアイ バ 36a、 36b、…の光軸の延長線と交差しており、入出射面 43がレンズアレイ 38の方 向を向いている。
[0074] レンズアレイ 38と直角プリズム 34との間には、複数枚の透明な回動ブロック 33から なる回動ブロックアレイ 82が配設されている。各回動ブロック 33は入力用光ファイバ 35a、 35b、…又は出力用光ファイバ 36a、 36b、…の配列ピッチと等しい幅を有して おり、手動で、あるいはァクチユエータ(後述する。)により互いに単独で垂直面 (XZ 面)内で回動できるようになつている。
[0075] しかして、この可変光減衰器 81では、各回動ブロック 33を個別に回動させることに より、上下で対をなす入力用光ファイバと出力用光ファイバの間における信号光 45 の減衰量を個別に調整できるようになっている。以下においては、図 23、図 24に従 つて入力用光ファイバ 35aと出力用光ファイバ 36aの間で伝送される信号光 45の場 合について説明するが、上下で対をなす他の光ファイバ間についても同様である。
[0076] 回動ブロック 33が初期設定角度となっている場合には、図 23に示すように、入力用 光ファイバ 35aのコア端面から出射された信号光 45は、下段の入力用レンズ 40aで 集光されて平行光となった後、回動ブロック 33を真っ直ぐに通過し、直角プリズム 34 内に進入して反射面 41と反射面 42で 2回全反射して元の方向へ戻り、再び回動ブ ロック 33を真っ直ぐに通過して上段の出力用レンズ 40bで集光され、出力用光フアイ バ 36bに入射する。この場合には、信号光 45のほぼ全光束が出力用光ファイバ 36b
に入射し、信号光 45の減衰量は OdBとなる。
[0077] これに対し、図 24に示すように回動ブロック 33を初期設定角度から傾けると、入力 用光ファイバ 35aから出射された信号光 45は、回動ブロック 33を通過することによつ て光軸がシフトする。回動ブロック 33を通過した信号光 45は、直角プリズム 34に入 射し、反射面 41、 42で 2回全反射して元の方向に戻り、回動ブロック 33を再度通過 する。戻りの信号光 45も回動ブロック 33を通過することによって光軸がシフトし、その 結果、信号光 45の一部だけが出力用レンズ 40bによって出力用光ファイバ 36bのコ ァ端面に集められ、出力用光ファイバ 36bに入射する光量が減少するために信号光 45が減衰する。
[0078] 図 25は回動ブロックアレイ 82を駆動するための複数本のァクチユエータ 83を備え た当該可変光減衰器 81の平面図を示し、図 26はその概略断面図を表している。こ のァクチユエータ 83は、図 27 (a)に示すように、リボン状をしており、基端部がベース 基板 46の上面に固定され、先端部上面に回動ブロック 33が固定されている。この回 動ブロック 33を保持したァクチユエータ 83をベース基板 46上に並べて配列させるこ とによってァクチユエータ 83の先端部に回動ブロックアレイ 82が構成されている。こ のァクチユエータ 83としては、電圧を印加すると圧電効果によって反りを発生する圧 電バイモルフを用いてもよい。あるレ、は、 MEMS (マイクロマシニング技術)によって 帯状のリボンを形成し、リボンの先端部とベース基板 46の上面に設けた電極(図示 せず)間に発生させた静電反発力又は静電吸引力によってリボンの弾性に抗してァ クチユエータ 83を湾曲させるようにしたものでもよい。
[0079] よって、ァクチユエータ 83を電気的に制御することによって図 27 (b) (c)に示すよう にァクチユエータ 83の湾曲具合を制御することができ、各回動ブロック 33の角度を 変化させ、それによつて可変光減衰器 81の減衰量を調整することができる。また、図 示のようなァクチユエータ 83を用いることで可変光減衰器 81を小型化することができ る。
[0080] また、入力用光ファイバ 35a、 35b、…と出力用光ファイバ 36a、 36b、…とを 2段に 配置する構造とすれば、実施例 5のように各光ファイバ 35a、 35b、■·■、 36aを一列に 配列する場合と比較すると、光ファイバアレイ 32の幅が広くならないので、光ファイバ
アレイ 32を小型化することができる。また、実施例 5の場合には光ファイバ本数が増 加するにつれて直角プリズム 34が非常に大きくなる力 実施例 6では直角プリズム 34 が長くなるだけであまり大きくならなレ、。よって、実施例 5の場合と比較してより一層可 変光減衰器 81を小型化することができる。
[0081] このような 84ァクチユエータ 83を用いると、回動ブロック 33は平行移動を伴うことに なるが、回動ブロック 33としてその前面と後面とが平行なもの、例えば矩形状をした 透明ブロックを用いれば前記のように回動ブロック 33の平行移動によって減衰量が 影響を受けることはない。
実施例 7
[0082] 前記のような各実施例の可変光減衰器にはモニター出力機能を付加することがで きる。以下においては、実施例 1の可変光減衰器 31にモニター出力機能を付加した ものを ί列にとって説明する。
[0083] 図 28は実施例 1の可変光減衰器 31にモニター出力機能を付加したものである。光 ファイバアレイ 32には、シングルモードファイバ(コア径約 10 μ ΐη)からなる入力用及 び出力用光ファイバ 35、 36と共に、マルチモードファイバ(コア径約 50 /i m)又はシ ングノレモードファイバからなるモニター用光ファイバ 92が保持されており、モニター用 光ファイバ 92は出力用光ファイバ 36に近接する位置に平行に配置されている。また 、レンズアレイ 38の前面には、図 29に示すように、入力用レンズ 40aとハイブリッドレ ンズ 94が設けられている。入力用レンズ 40aは、入力用光ファイバ 35の前方に位置 している。ハイブリッドレンズ 94は、出力用レンズ 40bとモニターレンズ 93がー体に結 合されたものであり、出力用レンズ 40bは出力用光ファイバ 36の前方に位置し、モニ ターレンズ 93はモニター用光ファイバ 92の前方に位置している。モニターレンズ 93 とモニター用光ファイバ 92とは光軸が一致するように調芯されている。その他の構成 については、実施例 1と同じであるので、説明を省略する。
[0084] ハイブリッドレンズ 94は、図 30 (c)に示すような形状の出力用レンズ 40bとモニ ターレンズ 93を結合一体化したものであり、図 30 (a) (b)に示すような正面形状と下 面形状を有している。まず、出力用レンズ 40bの形状を説明する。図 30 (c)に示した 出力用レンズ 40bの内側の輪郭の円 95は、入射する信号光 45のビーム断面の半径
と等しい半径の円を表わしている(これは、実施例 1の出力用レンズ 40bの外形と同じ である。)。また、外側の輪郭の円 96は、円 95よりも適当に大きな円を表わしており、 これが出力用レンズ 40bの外径となる。円 96の中心と円 95の中心は一致しており、 出力用レンズ 40bの光軸も当該中心と一致している。出力用レンズ 40bは、円 96を 外形とする球面又は非球面レンズから円 95の外側の領域を 180度の範囲にわたつ て除去した形状となってレ、る。図 30 (c)に示すモニターレンズ 93の輪郭の円 97は、 ビーム断面の半径に比べて充分に大きな円であればよく(厳密には、後述のモニタ 一集光範囲よりも大きな円である。)、モニターレンズ 93は円 97を外形とする球面又 は非球面レンズから出力用レンズ 40bの重なり合う領域を除去した形状となっている 。そして、モニターレンズ 93の一部除去された部分に出力用レンズ 40bの一部が嵌 め込まれたような形状となるようにハイブリッドレンズ 94が構成されている。なお、図 3 0 (b)に示すように出力用光ファイバ 36は出力用レンズ 40bの光軸と一致するように 配置され、モニター用光ファイバ 92はモニターレンズ 93の光軸と一致するように配置 される。
[0085] 図 31は上記ハイブリッドレンズ 94のより詳細な設計例を示している。まず、信号光 4 5のビーム径と等しレ、半径の円 95を描く。この円と外接するようにして信号光 45のビ 一ム径と等しい半径の円 98を描く。ついで、円 98に外接し、かつ、円 95の中心を通 る垂線(直線 99)と円 95の交点を通る円 100を描く。さらに、円 95と同心円状の大き な円 96を描き、円 95の外部のうち直線 99の片側を除去して出力用レンズ 40bの形 状を決める。また、円 98と同心円状の大きな円 97を描き、円 97から出力用レンズ 40 bと重なる領域を除去してモニターレンズ 93の形状を決める。ついで、円 96の中心に 光軸を有する球面又は非球面レンズを一部カットして上記のような出力用レンズ 40b の形状にする。また、円 97の中心に光軸を有する球面又は非球面レンズを一部カツ トして上記のようなモニターレンズ 93の形状にする。円 100内の領域から円 95の領 域を除いた領域はモニター集光領域 101 (図 32参照)であって、信号光 45の直径が 100 z mであるとすると、モニター集光領域 101は直径が約 175 x mの領域となる。
[0086] ハイブリッドレンズ 94は、非球面レンズ製造技術を応用して一体構造で製作される 。個別に製作した 2つのレンズを貼り合わせても良いが、結合部分で光の損失が生じ
るので、一体成形することが望ましい。
[0087] 図 32 (a) (b) (c) (d)はハイブリッドレンズ 94による戻りの信号光 45の分割推移の様 子を説明する図である。図 32 (a)に示すように、円 95内に信号光 45が入射している 場合には、ほとんど全ての信号光 45が出力用レンズ 40bに入射して出力用レンズ 40 bにより集光され、出力用光ファイバ 36に入射する。これに対し、信号光 45がモニタ 一レンズ 93側へ少し移動すると、信号光 45の照射領域が円 95からはみ出すので、 円 95内の信号光 45は出力用レンズ 40bにより集光されて出力用光ファイバ 36に入 射するが、円 95からはみ出てモニター集光領域 101に入った信号光 45は全てモニ ターレンズ 93で集光され、モニター用光ファイバ 92で受光される。さらに信号光 45 が大きく移動し、信号光 45の照射領域の大部分が円 95からはみ出すと、円 95内の わずかな信号光 45が出力用レンズ 40bにより集光されて出力用光ファイバ 36に入射 するが、円 95からはみ出てモニター集光領域 101に入ってレ、る大部分の信号光 45 はモニターレンズ 93で集光され、モニター用光ファイバ 92で受光される。さらに、信 号光 45の照射領域が完全に円 95からはみ出すと、ほぼ全ての信号光 45がモニタ 一レンズ 93で集光され、モニター用光ファイバ 92で受光される。
[0088] これらのいずれの状態においても、出力用レンズ 40bからはみ出した光(例えば、 図 31に示した信号光 45)は全てモニターレンズ 93で集光されてモニター用光フアイ バ 92で受光され、モニター用に使用されていることが分かる。よって、出力用レンズ 4 Obでもモニターレンズ 93でも受光されない光が発生せず、モニター感度とモニター 精度が向上する。また、出力用光ファイバ 36やモニター用光ファイバ 92で受光され ない信号光 45が可変光減衰器 31を温度上昇させる原因になるのを防止することも できる。
[0089] 上記の動作から分かるように、出力用レンズ 40bとしては、円 95で表わされる球面 又は非球面レンズであればよぐモニターレンズ 93としては、円 100で表わされる球 面又は非球面レンズから円 95の部分を除いたものであればよいが、この実施形態で は出力用レンズ 40bを円 95よりも大きくして、モニターレンズ 93もモニター集光領域 1 01の領域よりも大きくしている。これは、円 95の領域やモニター集光領域 101からは み出た微弱な光もハイブリッドレンズ 94によって集光させ、出力用光ファイバ 36又は
モニター用光ファイバ 92へ入射させるようにし、光ファイバアレイ 32などの温度上昇 を少しでも減らすためである。
[0090] 尚、従来の可変光減衰器は、モニター機能を有していない。そのため、図 33に示 すように、可変光減衰器 102の後段に可変光減衰器 102から出力された信号光を 9 9 : 1に分岐させるスプリツタ 103を接続し、 99%の光を光出力として使用し、 1%の光 をモニター出力として利用している。しかし、このような構成では、光出力がロスすると レ、う問題と、モニター精度が悪いという問題がある。前者の問題は、このような方法で は可変光減衰器 102からの出力を 99 : 1に分割しているため、スプリッタ 103からの 出力は可変光減衰器 102からの出力の 99。/0となり、必ず 1%の出力を損失するため である。また、後者の問題は、モニター出力される光量は可変光減衰器 102からの出 力の 1%のみであり、この 1%の光を使って残りの 99%の光を算出しなければならな いので、モニター精度が悪ぐフィードバック制御しても、光出力量の補正精度が悪 いためである。
[0091] これに対し、本発明の実施例 7の可変光減衰器 31では、可変光減衰器 31からの 出力は 100%後段に出力されるので、光出力のロスが少ない。特に、ノ、イブリツドレン ズ 94を用いることにより、光のロスがほとんどないので、より一層高精度に制御可能に なる。また、可変光減衰器 31の入力と出力との差がモニター出力となるので、モニタ リング光量 (絶対値)が大きくなり、信号光の減衰量を高精度に制御可能になる。
[0092] また、上記のようなモニター出力機能を備えた可変光減衰器 31を用いれば、図 34 に示すような制御回路内蔵可変減衰器 104を構成することもできる。制御回路内蔵 可変減衰器 104は、回動ブロック 33、回動ブロック 33の角度を変化させるためのァク チユエータ 105、モニター出力機能を備えた光ファイバアレイ 32を備えており、これら によってモニター機能付きの可変光減衰器 31が構成されている。制御回路内蔵可 変減衰器 104は、さらにァクチユエータ 105を駆動するための駆動回路 106、駆動回 路 106を通してァクチユエータ 105を制御し、光ファイバアレイ 32に戻る信号光 45の オフセット量を制御する制御回路 107、光ファイバアレイ 32のモニター用光ファイバ 9 2から出力されたモニター光を受光するフォトダイオード(PD)等の受光素子 108、受 光素子 108からの出力信号を増幅して制御回路 107にフィードバック信号を入力す
る増幅回路 109を備えている。また、制御回路 107は、制御電圧又は制御信号を通 じて上位システム 110と通信する。
[0093] 次に、この制御回路内蔵可変減衰器 104により減衰量を調整するための制御動作 を説明する。図 36はこの制御動作を表わしたフロー図である。信号光 45の減衰量を 調整又は再調整する際には、制御回路 107は、まず駆動回路 106に制御信号を出 力してァクチユエータ 105を駆動し、図 35 (a)に示すように、光ファイバアレイ 32へ戻 つてくる信号光 45が全てモニターレンズ 93に入射する角度で(あるいは、受光素子 1 08で受光しているモニター光をモニターしながら、モニター光の光量が最大となる位 置で)回動ブロック 33を停止させる(ステップ Sl)。このときのモニター用光ファイバ 9 2の受光量を、光入力の入射光量 IIとみなしてメモリに記憶する(ステップ S2)。つい で、この入射光量 IIの値から、光出力を規格値 Olに保つことができる減衰量を演算 する。
[0094] 次に、制御回路 107は、演算された減衰量となるように駆動回路 106に制御信号( 制御電圧)を出力し (ステップ S3)、駆動回路 106を通じてァクチユエータ 105で回動 ブロック 33を元の角度に戻す (ステップ S4)。図 35 (b)に示すように、こうして演算さ れた減衰量となる角度で回動ブロック 33が停止すると、出力用光ファイバ 36から外 れてモニター用光ファイバ 92に入射している光量を受光素子 108で測定し (ステップ S5)、受光素子 108から出力される信号を増幅回路 109で増幅してモニター信号と して制御回路 107へフィードバックさせる。制御回路 107は、このモニター信号からモ 二ター光の光量 02を算出し、さらに出力用光ファイバ 36からの出射光量 03 = 11- 02を演算する。
[0095] この出射光量の演算値〇3が規格値〇1に等しいか否かを判定し (ステップ S6)、等 しくない場合には、制御回路 107は、モニター光の光量〇2から演算した出射光量 O 3と規格値 Olとを比較し、出射光量が規格値 Olに近づくように回動ブロック 33の角 度をフィードバック制御し、出射光量を補正する。
[0096] なお、信号光 45の光軸のオフセットが小さい領域では、モニター用光ファイバ 92の 受光量が小さくなるので、光軸のオフセットがゼロの位置、又はモニター用光ファイバ 92の受光量がゼロになる回動ブロック 33の角度を見い出すのは困難である。このよ
うな場合には、モニター用光ファイバ 92の受光量がゼロに近くなる前のモニター光量 の変化率と予め記憶させられているデータとに基づいて、モニター光量がゼロになる 角度を予測するようにすればょレ、。
[0097] なお、上記各実施例では、回動ブロックがレンズアレイの正面と平行に揃っている 状態で出力用光ファイバに入射する光量が最大となり、その状態から回動ブロックが 傾くと次第に信号光が減衰するようにしているが、回動ブロックが傾いている状態で 出力用光ファイバに入射する光量が最大となり、その状態から回動ブロックの傾きを 小さくするに従って信号光が減衰していくようにしてもよい。また、入力用レンズ、出 力用レンズに代えて入力用の回折格子や出力用の回折格子を用いてもよい。
産業上の利用可能性
[0098] 本発明にかかる可変光減衰器は、光ファイバ通信において、信号回線中を伝搬す る光信号の光量や信号強度を減衰させることによって所望の値に調整するものであ る。例えば、本発明の可変光減衰器によれば、光ファイバケーブルを伝搬して微弱 になった信号光を光増幅器で増幅した後、可変光減衰器で所定の信号強度に調整 して出力させること力 Sできる。