圧電型振動発生器及ぴこれを用いた振動送音器
発明の属する技術分野
本発明は圧電型振動子を用いることにより軽量且つ小型化を可能にした圧電型振動発生 器及びこれを用いた振動送音器に関する。
明 糸
従来の技術
従来のへッ ドフォンあるいは補聴器等は音声を発生するィャフォンを耳介に揷入し、 ィ ャフォンなどから発生する音で鼓膜を振動させる。 そして鼓膜の振動を中耳及び耳小骨を 介して聴覚器官に伝達し、 聴覚神経を通って脳に届き音として感じるように構成されてい た。
このように従来のへッ ドフォンあるいは補聴器等はィャフォンを耳介に揷入していたの で、 長時間使用すると耳介が塞がれるために疲労感を感じていた。 また、 聴覚器官に達す るまでの鼓膜、 中耳あるいは耳小骨が病気等で損傷しているときには音を全く聞く ことが できない。
斯かる欠点を解消するために、 例えば特開昭 5 5 - 7 4 2 9 0号公報に記载されている ように骨導型受話器が開発されている。
図 1 5は従来の骨導型受話器である。 磁束発生装置 1はコイル 1 a と磁石とヨーク 1 b 等により構成され: Γいる。 振動板 2は支持装置 3に支持され、 磁束発生装置 1にて振動さ れる。 圧電振動装置 4は振動板 2に連結され、 振動板 2と同一振動を行う面 4 a と圧電振 動装置 4の圧電機構が入力信号により駆動され、 面 4 a に対して独自の振動する面 4 b と を有する。
図 1 6に示すように、 圧電振動装置 4は基部 6が第一の連結体 7により連結され、 振動 板 2と同一振動を行う。 圧電振動子 8は支持部 9により基部 6に取り付けられている。 圧 電振動子 8は第 2の連結体 1 1によって加振板 1 0に連結され、 加振板 1 0の上面は頭や 顔などの外部当接部 5に接触し振動を外部当接部 5に伝える。
磁束発生装置 1及び圧電装置 8が入力信号にが加えられると、 磁束発生装置 1及ぴ圧電 装置 8が同時に振動して加振板 1 0を振動させ、 その振動を耳近くの頰等の外部当接部に 伝え、 骨導を介して聴覚器官に伝達し、 さらに脳へ伝え音として感じさせている。 発明が解決しようとする課題 '
従来の骨導型受話器は上述したように、 圧電振動装置では圧電型振動子を面で支持して おり、 圧電型振動子が十分に振動しないのでィャフォンとしての役目を果たさない。 その ため圧電型振動子単独あるいは圧電型振動子と電磁型振動装置を併用して用いていたが、 電磁型振動装置はコイル及ぴ磁石などを必要としたので、 大型化し且つ重くなつた。 また、 電磁型振動装置ではコイルに電流を流す必要があつたので、 電力消費が大きくな り電池で駆動される携帯用には不向きであった。
さらに補聴器において、 マイクロフォンを一体に内蔵した場合に、 振動板が振動するこ とにより発生する音がマイク口フォンに帰還され、 ハウリングを起こす恐れがあるため、 振動板とマイクロフオンとを一体に内,蔵することはできなかった。 課題を解決するための手段
本発明は圧電型振動子を中央付近で支持することにより、 圧電型振動子の端部を自由振 動させ、 入力信号で十分に振動させることができる圧電型振動発生器を実現するものであ る。
特に、 本発明は入力信号が加えられる圧電型振動子と、 前記圧電型振動子からの振動を 伝達される振動板と、 前記圧電型振動子と前記振動板とを結合する結合手段とを備え、 前 記圧電型振動子の振動を前記結合手段を介して前記振動板に伝達される圧電型振動発生器 を提供する。
本発明は前記結合手段が前記圧電型振動子の中央付近にその一端を固着され且つ他端を 前記振動板に固着され、 前記圧電型振動子の端部は前記入力信号 応じて自由に振動させ る圧電型振動発生器を提供する。
本発明は前記圧電型振動子の端部が前記入力信号に応じて振動し、 前記圧電型振動子及 び前記圧電型'振動子の端部に設けた重りで加速エネルギーを発生させ、 その加速度ェネル
ギーを前記結合手段を介して前記振動板に伝達する圧電型振動発生器を提供する。
本発明は前記圧電型振動子が前記入力信号に応じて振動し、 過大な前記入力振動を印加 されたときに前記圧電型振動子の入力電圧と振幅の非直線特性を用いて一定の値以下の振 動に抑制できる圧電型振動発生器を提供する。
本発明は入力信号が加えられる圧電型振動子と、 前記圧電型振動子からの振動を伝達さ れる振動板と、 前記圧電型振動子と前記振動板とを結合する結合手段とを備え、 前記結合 手段はその一端を前記圧電型振動子の中央付近に設けた貫通孔に固定され、 他端を前記振 動板に固定され、 前記圧電型振動子の振動を前記結合手段を介して前記振動板に伝達され る圧電型振動発生器を提供する。
本発明は結合手段が皿丸ビス及び皿丸ナツ トを用い、 前記圧電型振動子の前記貫通孔で 点支持をして前記圧電型振動子の端部を自由に振動させ、 前記圧電型振動子の振動の振幅 を確保する圧電型振動発生器を提供する。
本発明は入力信号が加えられる圧電型振動子と、 前記圧電型振動子からの振動を伝達さ れる振動板と、 前記圧電型振動子と前記振動板とを結合する結合手段とを備え、 前記結合 手段を振動減衰膜で支持し、 前記圧電型振動子の振動をほぼ前記結合手段を介して前記振 動板に伝達される圧電型振動発生器を提供する。
本発明は圧電型振動子を金属製の電極板と、 その電極板の両面に取付けた 2つの圧電素 子で構成した圧電型振動発生器を提供する。
本発明は入力信号が加えられる圧電型振動子と、 前記圧電型振動子からの振動を伝達さ れる振動板と、 前記圧電型振動子と前記振動板とを結合する結合手段と、
前記圧電型振動子を囲む振動遮蔽筐体と、 端部を前記振動遮蔽筐体に固定して前記結合手 段を支持する振動減衰膜と、 前記振動遮蔽筐体の外側に設けたマイク口フォン及び制御回 路とを備え、 前記マイクロフォンからの入力信号を前記制御回路で増幅して前記圧電型振 動子に印加し、 前記圧電型振動子の振動を前記結合手段を介して前記振動板に伝達される 振動送音器を提供する。
本発明は前記振動板は前記振動遮蔽筐体から露出され、 前記振動板と前記振動遮蔽筐体 の隙間を当接物で塞ぎ、 前記圧電型振動子の振動を前記振動遮蔽筐体内で遮蔽し、 前記マ ィク口フォンへの回り込みを防止することができる振動送音器を提供する。
本発明は前記振動遮蔽筐体に硬質ゴムあるいは鉄や銅などの質量が大きい材質を使用し、 圧電型振動子の振動により振動遮蔽筐体が振動することを抑制したことを特徴とする振動 送音器を提供する。 発明の実施の形態
図 1〜図 1 3は本発明の圧電型振動発生器に関するもので、 図 14は本発明の圧電型振 動発生器を用いた振動送音器に関するものである。
図 1は本発明の圧電型振動発生器の圧電型振動子と振動板との部分を示す断面図である。 振動板 1 1に金属板で構成された結合手段 1 3の一端を接着し、 圧電型振動子 1 2の一面 に結合手段 1 3の他端を固定し、 振動板 1 1 と圧電型振動子 1 2とを結合手段 1 3で連結 している。 振動板 1 1の結合手段 1 3が連結されているのと反対面は耳介の近くの頰ある いは額等の外部当接部に接触するので、 外部当接部に馴染む材質のものが良い。
図 2 (A) 及ぴ図 2 (B) に示すように、 圧電型振動子 1 2はピエゾ効果を有するチタ ンサンバリユームあるいはセラミック等の 2つの圧電素子 1 4 A、 1 4 Aを電極板 1 4 B の両面に張り合わせて形成している。 このとき電極板 1 4 Bは圧電素子 1 4 A、 1 4Aよ り大きく形成され、 周端を圧電素子 1 4A、 1 4 Aから突出させる構造にしている。
さらに電極板 1 4 Bの端部に金属小片やハンダ等で重り 1 4 B 1、 1 4 B 1を設け、 後 述するように、 圧電型振動子 1 2が前記入力信号に応じて振動する際に、 重り 1 4 B 1、 14 B 1による反動で加速度エネルギーを増幅して、 その加速度エネルギーを結合手段 1 3を介して振動板 1 1に伝達されるようにしている。
—例を.示すと、 圧電素子 1 4 A、 1 4 Aの長さは 3 Omm、 幅は 8mm、 厚さは 0. 2 mmである。 一方電極板 14 Bは長さ 3 2 mm, 幅は 9 mm, 厚さは 0. 2 mmである。 従って圧電型振動子 1 2は長さ 3 2mm、 幅は 9 mm、 厚さは 0. 6 mmとなる。
また圧電型振動子 1 2の全重量は約 6 gで、 そのうち重り 14 B 1、 1 4 B 1はそれぞ れ 2 gである。
圧電素子 1 4A、 14Aは図 2 (B) に示すように両面に A gメツキ 1 4 A 1を施して あり、 A gメツキを施した一面を電極板 14 Bに貼り付け、 外側の A gメツキ 1 4A 1に 電極ュ 4 a、 1 4 aを形成し、 この電極 14 a、 1 4 aは接続されている。 電極板 1 4
Bは圧電素子 1 4 Aの補強を兼ねたもので、 黄銅等の金属板で形成されている。 入力信号 は上述した電極 1 4 a、 1 4 a と電極板 1 4 Bの圧電素子 1 4 A、 1 4 Aから突出させ周 端に設けた電極 1 4 b間に印加される。
電極 1 4 a、 1 4 a及び電極 1 4 bは振動を阻害しないように、 圧電型振動子 1 2の中 心付近に設けられ、 そこからリード線で引き出される。
電極板 1 4 Bの両面に圧電素子 1 4 A、 1 4 Aを貼り付けたのは、 圧電素子 1 4 A、 1 4 Aがピエゾ効果で歪むことにより得られる加速度エネルギーが倍加されて振動が大きく なり、 振動板 1 1に十分な振動を供給できるからである。
通常、 圧電型振動子 1 2はピエゾ効果により中央部が腹となり、 両端付近が'節となって 振動をするが、 振動板 1 1は外部当接部に接触させた本発明の使用状態では、 振動板 1 1 が固定されるので、 振動板 1 1と結合された結合手段 1 3で支持されている圧電型振動子 1 2の中心部分は固定され、圧電型振動子 1 2の両端部が自由振動されるように動作する。 従って、 圧電型振動子 1 2の中央付近を結合手段 1 3で一点支持すると、 圧電型振動子 1 2は何らの振動を抑制するものがないので効率よく 自由振動を行うことができる。
図 3 ( A ) に示すように、 圧電型振動子 1 2の電極 1 4 a及び 1 4 bに入力信号が加え られていないとき、 圧電型振動子 1 2は平らな状態にある。
図 3 ( B ) に示すように、 .入力信号の +信号がリード線 L 1を介して電極 1 4 aに加え られ、 一信号がリード線 L 2を介して電極 1 4 bに加えられると、 圧電型振動子 1 2は中 央部が結合手段 1 3で固定されているので、 両端部が上方にピエゾ効果により歪む。
図 3 ( C ) に示すように、 入力信号の一信号が電極 1 4 aに加えられ、 +信号が電極 1 4 bに加えられると、 圧電型振動子 1 2は中央が固定されているので、 今度は両端部が下 方にピエゾ効果により歪む。
このように電極 1 4 a、 1 4 bに入力信号が加えられる度に、 圧電型振動子の両端部が 入力信号に応じて上下方向に自由振動する際に、 重り 1 4 B 1 , 1 4 B 1により加速度ェ ネルギーを増幅させる。 結合手段 1 3には発生された加速度エネルギーが伝達され、 振動 板 1 1を介して人体の頰あるいは額等の外部当接部に音の大きさに応じた振動を伝達する。 外部当接部に伝達された振動は骨に伝導し、 骨を介し内耳近くの聴覚器官に伝達され、 聴 覚神経を経て脳に伝わり音を感じる。
本発明では振動発生源として圧電型振動子 1 2を用いており、 圧電素子 1 4 A、 1 4 A の両面に設けた電極 1 4. a、 1 4 a と 1 4 b 間に電圧を印加する電圧駆動型であるので消 費電力が少なく、 電池駆動を行う携帯用のへッ ドフォンや補聴器に最適である。
本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子 1 2を圧電素子 1 4 Aに黄銅板等の電極板 1 4 Bを張り合わせた構造となっており、 大きな音が発生し、 マイクロフォン等を介して圧 電型振動子の電極に大きな入力信号が加わっても、 電極板 1 4 Bの曲げに対する抵抗が指 数的に増加するので圧電型振動子の振動が抑えられる。 図 4に示すように、 圧電型振動子 1 2に加える交流印加電圧を徐々に高めると、 圧電型振動子 1 2の振幅は曲線 aに示すよ うにほぼ直線的に增加する答であるが、 曲線 に示すように電極板 1 4 Bの曲げに対する 抵抗力 (応力) が曲線 cに示したように、 大振幅時に急増するため 5〜 6 Vのあたりを境 'に急に伸びが止まり、 9〜 1 0 Vあたりからは飽和状態となって振幅は抑えられる。 即ち前述した図 4において、 鎖線 aは圧電素子 1 4 Aに加えられる交流電圧と振幅の関 係を示すもので、 圧電素子 1 4 Aは加えられる交流入力電圧に対して振幅が一定の割合で 直線的に増加する。 一方黄銅板等の電極板 1 4 Bは点線 bで示すように、 振動が小さいと きには振動を阻止する応力が小さいが、 振動が大きくなると指数的に応力が増大する。 従 つて実線 cに示すように、 圧電型振動子 1 2は圧電素子 1 4 Aが加えられる交流入力電圧 に対して直線的に増大しよう とするが、 交流入力電圧が大きくなると電極板 1 4 Bの応力 が大きくなるので、 圧電素子 1 4 Aと電極板 1 4 Bを張り合わせた本発明に用いた圧電型 振動子 1 2は振幅が直線的に大きくならず一定の値の交流入力電圧から飽和する特性を機 械的に創出できる。
従って圧電型振動子 1 2が入力信号の大きさに比例して直線的に振幅が大きくなるのは 0〜9 Vの範囲であり、 9 V時点における音量は、 振動板を耳介後部の乳様突起に当てた 場合ほぼ 7 0 d Bの気導聴力に相当する。 過大入力時の最大音量は同じく 9 0 d B気導聰 力相当であって、 補聴器に求められている出力制限の機能が本発明の圧電型振動子 1 2で は何の付加手段もなく実現できる利点がある。
そのため衝擊音等による大きな音が発生し、 大きな入力信号が加わっても圧電型振動子 1 2の振動が抑えられ、 聴覚器官を必要以上に刺激し、 脳に大きな音を感じさせることが ないようにできる。 従来のィャフォンを用いた補聴器ではこのような大音量が発生すると
—瞬のうちに何も聞こえない不愉快な状態が頻発していたので、 多くの人は補聴器の常時 使用を嫌がる大きな理由となっていた。
本発明の圧電型振動子 1 2は端部が湾曲して自由振動するので、 その取り付け構造も振 動し易い構造にする必要がある。
本発明の圧電型振動発生器はそこで図 1から図 3に示すように、 圧電型振動子 1 2の中 心部を一点支持したことを特徴とする。 一点支持を確実にするため、 圧電型振動子 1 2の 中央部に直径約 1 m mの貫通する支点孔 1 5を開け、 支点孔 1 5に結合手段 1 3の先端を 嵌合させている。 さらに結合手段 1 3の一点支持の面積が広いと圧電型振動子 1 2の支点 部分が振動の邪魔をする結果効率が下がる。
そこで図 5に示すように、 結合手段 1 3として頭部の皿 1 7の下面が湾曲する皿丸ビス 1 8を角い、 皿丸ビス 1 8を圧電型振動子 1 2の支点孔 1 5に貫通させる。 そして貫通さ せた圧電型振動子 1 2の支点孔 1 5の周囲を上面が湾曲する皿丸ナツ ト 1 9で挟み止める。 皿丸ビス 1 8の頭部の皿 1 7の下面及びナツ ト 1 9の上面の凰の曲面を圧電型振動子 1 2 の振動が邪魔されない傾斜にしておけば、 圧電型振動子 1 2の振動は殆んど皿丸ビス 1 8 と皿丸ナツ ト 1 9に抑えられない効率の良い振動をする。
なお、 皿丸ビス 1 8の圧電型振動子 1 2が取付けられたと反対側の端部には振動板 1 1 が取付けられている。ナツ ト 1 9とナッ ト 2 0間に後述する振動減衰膜 2 1が挟持される。 本発明に用いた圧電型振動子 1 2はさらに 圧電型振動子 1 2の加速度エネルギーがより 効率よく振動板 1 1に伝えられるように、 圧電型槔動子 1 2の辺縁部が重りで僅かに重く なるように、 圧電型振動子 1 2を加工している。
図 6は本発明の圧電型振動発生器に用いられる圧電型振動子 1 2の実施例を示す平面図 であり、 圧電素子 1 4 Aと電極板 1 4 Bとを長方形の細片 1 4 Cとしている。
図 7は本発明の圧電型振動発生器に用いられた圧電型振動子の他の実施例を示す平面図 である。 圧電型振動子 1 2は前述した細片 1 4 C 1 及ぴ細片 1 4 C 2を十字状に設けてい る。 細片 1 4 C 1、 1 4 C 2を增やすことで振動の大きさを増加させ、 更に細片 1 4 C 1及 ぴ細片 1 4 C 2との長さを異ならしめて共振点をずらし、 周波数特性を平坦にしている。 図 8は本発明の圧電型振動癸生器に用いられた圧電型振動子 1 2の他の実施例を示す平 面図である。圧電型振動子 1 2は細片 1 4 C l、 1 4 C 2及ぴ細片 1 4 C 3を放射状に設け
ている。細片 1 4 Cl、 14 C 2及ぴ 14 C 3を更に増やすことで振動の大きさを增加させ、 更に細片 14 Cl、 14 C 2及び細片 1 4 C 3との長さを異ならしめて共振点をずらし、更 に周波数特性を平坦にしている。
図 9は本発明の圧電型振動発生器に用いられた圧電型振動子 1 2の他の実施例を示す平 面図である。 圧電型振動子 1 2は円板状の圧電素子 1 4 A1 と同じく円板状の電極板 1 4 B1 とを重ね合わせて圧電型振動子 1 2の端部が自由振動することにより結合手段 1 3に 伝達される加速度エネルギーを大きくなるようにしている。
しかし圧電素子 1 4 A1 と電極板 1 4 B 1とを円板状にすると、 電極板 1 4 B 1の曲げ に対する抵抗力 (応力) がその辺縁部で最も大きくなり、 電極に加わる入力信号による振 動が電極板 1 4 B 1で抑制される。 そこで放射状にスリ ッ ト Sl、 S 2、 S 3 · ·を入れて 圧電素子 1 4 A1 と電極板 1 4 B 1を複数に分割して振動をし易く している。 そして、 ス リ ッ ト S l、 S 2、 S 3 · · の長さを変えることにより共振点を異ならしめて周波数特性 が平坦になるようにしている。
図 1 0は本発明の圧電型振動発生器に用いられた圧電型振動子 1 2の他の実施例を示す 平面図である。 圧電型振動子 1 2は図 9と同じ円板状の圧電素子 1 4 A1 と同じく円板状 の電極板 1 4 B1 とを重ね合わせて圧電型振動子の端部が自由振動することにより結合手 段 1 3に伝達される加速度エネルギーを大きく している。
また図 9と同じく長さの異なるスリ ッ ト Tl、 T 2、 T 3 · ·を渦卷き状で放射状に入れ ているが、 スリッ ト Tl、 Τ 2、 Τ 3 · 'を湾曲させることによりスリ ッ トが長くでき、 よ り多くの共振点が得られるようにしている。
図 1 1は本発明の圧電型振動発生器の要部を示す側面図である。 結合手段 1 3はゴム等 の弾性材ょりなる振動減衰膜 2 1に支持される。 それにより圧電型振動子 1 2の振動が他 に伝達されず振動の加速度エネルギーがほとんど振動板 1 1に伝達される。 結合手段 1 3 は例えば前述した図 5に示すように、 皿丸ビス 1 7を用いたときはナツ ト 1 9とナッ ト 2 0で挟持して固定している。 他の方法としては、 振動減衰膜 2 1の穴に結合手段 1 3また は振動板 1 1を接着しても良い。 '
図 1 2に示すように、 振動減衰膜 2 1は後述する振動遮蔽筐体 2 2にその周端を 3点支 持される脚部 2 1 Α、 2 1 Α、 2 1 Α及ぴ振動による空気の流れを逃がす間隙 2 1 Β、 2
1 B、 2 1 Bを設けた三ッ矢型をなしている。 従って圧電型振動子 1 2が振動したとき、 圧電型振動子 1 2の前後および振動減衰膜 2 1の前後および振動板 1 1の裏側に生じた音 波はこの構造により、 振動遮蔽筐体 2 2の内部で中和 (ニュートラル) され消滅するよう にしている。
図 1 3は本発明の圧電型振動発生器の側面断面図である。 振動遮蔽筐体 2 2は前面に窓 部 2 3を有する。 振動遮蔽筐体 2 2の内側壁には振動減衰膜 2 1の脚部 2 1 A、 2 1 A、 2 1 Aが支持されている。
振動遮蔽筐体 2 2は圧電型振動子 1 2の振動が外部に伝達されるのを防止するため、 質 量が大きい硬質ゴムあるいは鉄や銅などの金属が使用される。 また窓部 2 3の周囲の外部 当接部に接する当接部分 2 4は人体の頭や顔などの外部当接部に馴染み易い柔らかい材質 のゴム等で形成し、 且つ圧着しやすい形状としている。
振動遮蔽筐体 2 2により窓部 2 3から振動板 1 3の前面を外部に露出させ、 振動減衰膜 2 1及ぴ圧電型振動子 1 2等を囲んでいる。 従って、 振動遮蔽筐体 2 2の当接部分 2 4を 頭や顔の外部当接部に当接すると、 振動遮蔽筐体 2 2の内部は密閉され、 圧電型振動子 1 2が振動することにより起こる空気の振動が外部に漏れないようにしている。
圧電型振動子 1 2の振動に伴い振動減衰膜 2 1も振動されるが、 振動減衰膜 2 1が有す る弾性に対し、 振動遮蔽筐体 2 2の質量が大きいため、 その共振点は僅かに数へルツ以下 と低く、 音声周波数の帯域内でこの振動が振動遮蔽筐体 2 2に伝わることはな.い。
前述のようにして形成された圧電型振動発生器は振動遮蔽筐体 2 2の当接部分 2 4を耳 の付近のに当てる。 斯かる状態でリード線 2 6、 2 6を介して入力信号を加えると、 圧電 型振動子 1 2が前述したピエゾ効果で端部が振動する。
圧電型振動子 1 2の端部の振動により生じる加速度エネルギーが結合手段 1 3を介して 振動板 1 1に伝達され、 振動板 1 1を振動させる。 振動板 1 1の振動で骨を振動させる。 骨の振動は内耳の近くにある聴覚器官に伝達され、 聰覚器官から聴覚神経を介して脳に伝 達され音を感じる。
図 1 4は本発明の圧電型振動発生器を用いた振動送音器の側面断面図である。 振動遮蔽 筐体 2 2の背面に制御回路 2 7、 電池 2 8及ぴマイクロフォン 2 9を設け、 マイクロフォ ン 2 9の集音口 3 0だけが外部に露出されるようにして、 これらを振動遮蔽筐体 2 2とと
もに外ケース 3 1で包囲し一体化している。 . 圧電型振動子 1 3 と制御回路 2 7とは振動遮蔽筐体 2 2とで隔離されているが、 制御回 路 2 7の出力と圧電型振動子 1 2とはリード線 2 6、 2 6で接銃されている。 また振動遮 蔽筐体 2 2の外部当接部と接触する部分にスィッチ 3 2が取付けられ、 外部当接部にスィ ツチ 3 2が触れると電源が入るようになつており、 無用のパウリングを抑える。
本発明の圧電型振動送話器の使用方法を説明する。
振動遮蔽筐体 2 2の窓部 2 3から露出される振動板 1 1の一面を耳の近くの頰あるいは 額等の外部当接部分に当てる。 振動板 1 1を外部当接部に当てることにより、 窓部 2 3は 外部当接部で覆われ、 振動遮蔽筐体 2 2内は密閉される。
またこのとき振動遮蔽筐体 2 2に設けられているスィツチがオンされ動作状態になる。 外ケース 3 1に取付けられたマイクロフオン 2 9の集音口 3 0が外部に向けられているの で,会話等の音声が集音口 3 0に集音される。
集音された音声はマイクロフォン 2 9で電気的な音声信号に変換される。 変換された音 声信号は制御回路 2 7で増幅され、 リード線 2 6、 2 6を介して圧電型振動子 1 2の電極 に加わる。 電極に音声信号が加わると、 圧電型振動子 2 2がピエゾ効果で中心部が固定さ れて端部が振動する。
圧電型振動子 2 2の端部の振動による加速度エネルギーは結合手段 1 3を介して振動板 1 1に伝達され、 振動板 1 1を振動させる。 振動板 1 1が振動することにより骨にこの振 動が伝達される。 骨の振動は内耳の近くにある聴覚器官に伝達され、 聴覚器官から聴覚神 経を介して脳に伝達され音を感じさせる。
圧電型振動子 1 2が振動することにより音を発生するが、 振動遮蔽筐体 2 2内は前述し たように密閉されているので、 音が漏れてマイクロフオン 2 9に帰還されることがなく、 ハウリングを起こす恐れがない。 発明の効果 ,
本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子の中心部を結合手段で一点支持するようにし たので、 圧電型振動子はピエゾ効果により端部が自由振動できる。 従って圧電型振動子を 用いて直接入力信号の大きさに応じた振動を得ることができるので、 極めて少ない要素で
比較的広帯域の音声を再生でき、 小型化及ぴ軽量化が図られる。
本発明の圧電型振動発生器は圧電素子を用いたので電圧駆動が可能となり、 従来のコィ ルを用いた電流駆動に比べて格段に消費電力を小さくできる。 このために携帯用のへッ ド フォンや補聴器などに適用できる。
本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子の電極板の両面に圧電素子を設けたので、 2 つの圧電素子の歪みが倍加されるので、 重りと共に大きな加速度エネルギーを得ることが でき、 圧電型振動子のみで十分な大きさの振動を発生できる。
本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子を電極板の応力の増加特性を利用して、 衝擊 音等の大きな音に対しては振動が抑えられる。 従って聴覚器官に必要以上の過大な振動が 伝達されるのを防止されるので、 衝擊音等で一瞬聞こえなくなるような不愉快な状態を排 除できる。
本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子に孔をあけ、 その孔に結合手段を貫通させて 結合させるので、 一点支持であっても強固に支持される。 しかも結合手段として頭部が球 面をなす皿丸ビスを用い、 圧電型振動子を皿丸ビスとナツ トで持って挟み支持するので、 圧電型振動子の振動は邪魔されず、 良好な一点支持を実現できる。
また本発明の圧電型振動発生器は圧電型振動子にスリ ッ トを入れることにより、 圧電型 振動子はより振動が容易になり、 かつ共振点をずらすことにより平坦な周波数特性が得ら れる。
本発明の圧電型振動発生器を用いた振動送音器は圧電型振動子を振動遮蔽筐体に密閉で きるので、 圧電型振動子が振動することにより発生する音声がマイク口フォンに帰還され てハウリングを起こすということが防止され、 圧電型振動子とマイクロフォンあるいはス ピー力などを一体化でき、 極めて小型の補聴器を実現できる。
本発明の圧電型振動発生器を用いた振動送音器は振動遮蔽筐体に質量が大きい硬質ゴム あるいは鉄や銅などの金属を使用したので、 圧電型振動子の振動が振動減衰膜を介して振 動遮蔽筐体に伝わっても、 振動遮蔽筐体が振動することがない。
本発明の圧電型振動発生器は人体の頭や顔などのの外部当接部に当接し、 耳介に揷入す る必要がないため、 耳介が連続して塞がれる不快感あるいは疲労感を起こさせず、 長時間 の使用に耐えることができる。
図面の簡単な説明
第 1図は本発明の圧電型振動発生器の部分を示す断面図であり、 第 2図 (A ) は本発明 の圧電型振動発生器に用いた圧電型振動子の平面図であり、 第 2図 (B ) は本発明の圧電 型振動発生器に用いた圧電型振動子の側面図であり、 第 3図 (A ) は本発明の圧電型振動 発生器に用いた圧電型振動子の通常状態を示す側面図であり、 第 3図 (B ) は本発明の圧 電型振動発生器に用いた圧電型振動子の加電状態を示す側面図であり、 第 3図 (C ) は本 発明の圧電型振動発生器に用いた圧電型振動子の加電状態を示す側面図であり、 第 4図は 本発明に用いられた圧電型振動子の音声信号と振動の関係を表す特性図であり、 第 5図は 本発明の圧電型振動発生器の部分を示す側面図であり、 第 6図は本発明の圧電型振動発生 器に用いた圧電型振動子の平面図であり、 第 7図は本発明の圧電型振動発生器に用いた圧 電型振動子の平面図であり、 第 8図は本発明の圧電型振動発生器に用いた圧電型振動子の 平面図であり、第 9図は本発明の圧電型振動発生器に用いた圧電型振動子の平面図であり、 第 1 0図は本発明の圧電型振動発生器に用いた圧電型振動子の平面図であり、 第 1 1図は 本発明の圧電型振動発生器の部分を示す断面図であり、 第 1 2図は本発明の圧電型振動発 生器に用いた振動減衰膜を示す平面図であり、 第 1 3図は本発明の圧電型振動発生器の断 面図であり、 第 1 4図は本発明の振動送音器の断面図であり、 第 1 5図は従来の骨導受話 器の断面図であり、 第 1 6図は従来の骨導受話器の部分を示す断面図である。