JPH0110060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、たとえば火災現場や工場現場等のよ
うに、周囲の騒音が大きく、一般のトランシーバ
では交信できないような場所で使用するトランシ
ーバ用として好適なイヤホンマイクロホンに関す
る。

（従来技術） 上記のような環境下では、特にマイクロホンに
問題が生ずる。すなわち従来の一般的なマイクロ
ホンは、音声を受けて振動板を振動させ、この振
動板の振動を機械・電気変換機構の利用等によつ
て電気信号に変えるものであるため、マイクロマ
ンに音声を入力する者が騒音の大きい場所にいる
ときには、当然に周囲の騒音も拾つてしまうの
で、充分な送話ができないこともある。

そこで、この問題を解決するものとし、人間が
発声するときの気道音による頭骨の振動を、外耳
道に挿入した素子によつて取出し、これから電気
信号を得る、いわゆるイヤーマイクロホンが開発
されている。このイヤーマイクロホンには、チタ
ン酸ジルコン酸塩（PZT）等のバイモルフ形セ
ラミツク素子を変換素子として用いた、加速度形
の振動検出器が用いられる。

この振動検出器は前述のように外耳道に挿入さ
れるケースの内部に収容しなければならないこと
から、変換素子自体をできる限り小形にする必要
を生ずる。しかるにセラミツク素子は基本的に、
機械的な応力に対して脆いので、細く薄く作るこ
とが難しく、製作できるものに一定の限度があつ
た。

一方、これとは別に、イヤーマイクロホンを使
用する状況下では、前述したトランシーバのよう
に、他人との連絡用に、イヤホン（またはヘツド
ホン）を使用することが多い、そこでイヤーマイ
クロホンにイヤホンを組込めば使用性が著しく向
上することになるが、イヤーマイクロホンが前述
のように加速度形であるとき、イヤホンの音圧通
路にセラミツク素子およびその支持体が存在する
構造とならざるを得ないため、設計上、構造上に
無理があつた。

（考案の目的） 本考案は従来技術が有するこれらの問題を解決
し、トランシーバ等に使用して好適な、イヤホン
マイクロホンを提供することを目的とする。

（考案の構成） 本考案は上記目的を達成するため、少なくとも
一部を外耳道に挿入される大きさと形状にした筒
状のケースを設け、該ケースの内壁に高分子圧電
フイルムを貼着してマイクロホンユニツトとする
と共に、該高分子圧電フイルムを貼着した部分に
隣接する部分に、イヤホンユニツトを収容した構
成としたものである。イヤホンユニツトとして
は、高分子圧電フイルムを張設して形成したも
の、および電磁形、動電形等を考えることができ
る。そしてマイクロホンユニツトとイヤホンユニ
ツトとは、ケースに設けられた端子板により、外
部機器と接続することができる。

（実施例） 次に、本考案の第１の実施例を第１図について
説明する。１は樹脂等の可撓材からなるケースで
あり、先端に孔２を設けた外耳道挿入部３と、こ
の外耳道挿入部３の後部にあつて、後述する振動
板を張設した大径部４とから成つている。外耳道
挿入部３の外形は、外耳道に挿入される大きさと
形状の筒状になつている。そしてこの外耳道挿入
部３の内壁には、マイクロホンユニツトを形成す
る高分子圧電フイルム５が、その両端対向部分に
若干の空隙６を残して、貼着されている（第２図
参照）。

この高分子圧電フイルム５は、使用者の気道音
による頭骨の振動がケース１の外耳道挿入部３を
振動させたとき、これに応じて屈曲し（すなわち
伸長部と圧縮部ができる）、起電することになる。
この出力信号を取出すためのリード線７，８は、
ケース１の大径部４の内側に形成された溝９，１
０（孔でもよい）を通り、大径部４に設けられた
端子１１，１２に接続されている。なお、この実
施例では端子は符号１１，１２，１３で示すよう
に３個設けられている。

ケース１の大径部４の内部には、イヤホンユニ
ツトを形成する高分子圧電フイルム１４が張設さ
れている。この高分子圧電フイルム１４は２枚の
素子を貼り合せた、いわゆるバイモルフ形として
ある。そしてこの高分子圧電フイルム１４の両面
電極に接続された一方のリード線１５は端子１３
に接続され、他方のリード線１６は前述したリー
ド線８に接続され（共通に）、端子１２に接続さ
れいる。

このように構成されたこのイヤホンマイクロホ
ンは、ケース１の外耳道挿入部３を外耳道に挿入
し、端子１１，１２からマイクロホンの出力を取
出し、また端子１２，１３にイヤホンの入力を接
続して使用する。これにより、使用者の気道音に
よる頭骨の振動がケース１を振動させ、外耳道挿
入部３内の高分子圧電フイルム５を屈曲させ、起
電するので、マイクロホンユニツトとして機能す
る。一方、リード線１５，１６によつて音声信号
を与えられる高分子圧電フイルム１４は、これを
音に変換し、音波を孔２から外部（外耳道内）に
放射することになる。

以上説明した実施例においては、イヤホンユニ
ツトとしても高分子圧電フイルムを用いたが、本
考案はこれに限られるものではない。すなわち、
第３図に示す第２の実施例のように、ポールピー
ス１６に巻回したコイル１７と、マグネツト１８
との電磁作用で、中央にセンターピース１９を取
付けた振動板２０を振動させる、いわゆる電磁形
のものとしてもよい。第３図中、２１，２２はマ
イクロホンのリード線、２３，２４はイヤホンの
リード線である。

（考案の効果） 本考案は以上説明したように構成したものであ
るから、充分に小形で軽量であり、高騒音下の通
信用として使用性の高いイヤホンマイクロホンを
得ることができる。そして構造が簡単であること
から故障が生じにくく、安定した作動が得られる
ことになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例の縦断面図、第
２図は第１図の−線に沿う断面図、第３図は
本考案の第２の実施例の縦断面図である。 １……ケース、２……孔、３……外耳道挿入
部、４……大径部、５，１４……高分子圧電フイ
ルム、１７……コイル、１８……マグネツト、２
０……振動板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも一部を外耳道に挿入される大きさ
   と形状にした筒状のケースを設け、該ケースの
   内壁に高分子圧電フイルムを貼着してマイクロ
   ホンユニツトとすると共に、該高分子圧電フイ
   ルムを貼着した部分に隣接する部分に、イヤホ
   ンユニツトを収容したことを特徴とするイヤホ
   ンマイクロホン。 (2) イヤホンユニツトが、ケースの内部に高分子
   圧電フイルムを張設して形成したものである、
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のイヤホン
   マイクロホン。 (3) イヤホンユニツトが、コイルとマグネツトで
   生ずる電磁作用によるものである、実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のイヤホンマイクロホ
   ン。