明 細 書
手持ち動力工具および手持ち動力工具のアタッチメント
技術分野
[0001] 本発明は、手持ち動力工具およびそのアタッチメントに関する。
背景技術
[0002] インパクトレンチ、オイノレノ ノレスレンチ、チッピングハンマ、スケーリングハンマ、エア 一サンダ等の手持ち動力工具が従来から使用されている。
[0003] この手持ち動力工具として衝撃式回転ねじ締め工具の 1種であるインパクトレンチ は、衝撃力発生機構としてのハンマによる被駆動軸(アンビル)への打撃が 1秒間に 約 15回生じ、これが連続して行われ、鉄鋼材料でできたハンマと被駆動軸とが激しく 衝突することにより、大きな回転力が発生してねじ締め、緩めを行うようになっている。
[0004] そして、ねじ締め、緩めを行うときに周波数の高い衝撃音が発生する力 この衝撃 音はハウジング内部の空気を振動させ、また打撃時の振動は被駆動軸の軸受け部 を通して衝撃力発生機構を内蔵しているハウジングに伝わり、ハウジングの振動がそ の周りの空気を振動させることによって、騒音が発生するようになっている。
[0005] また、被駆動軸と、それに嵌め込まれたアタッチメントとしてのソケット (衝撃力伝達 要素)との間、およびソケットと六角ボルトまたは六角ナットの六角形の頭との間に遊 びがあるため、これらの遊び箇所においても衝撃力発生機構による打撃に続いて発 生する被駆動軸によるソケットの打撃時、およびソケットによるねじの打撃時に生じる ソケットの振動がその周囲の空気を振動させることによって、騒音が発生するようにな つている。
[0006] 一方、オイルパルスレンチの場合、衝撃力発生機構であるオイルシリンダとベーンと の摩擦による振動が衝撃力発生機構を内蔵しているハウジングに伝わってハウジン グも振動し、工具の周囲の空気を振動させることによって、騒音が発生するようになつ ている。
チッビングハンマやスケーリングハンマの場合、シリンダ内を往復移動するピストン の先端が往動時に往動方向に設けられた作用部を備えた
ル (衝撃力伝達要素)の後端を打撃するとき、またそれに続くチゼルが工作対象物を 打撃する時にもインパクトレンチの場合と同様にハウジングやチゼルの振動によって 、その周囲に騒音が発生するようになっている。
[0007] エアーサンダの 1つであるダブルアクションサンダの場合、エアーモータの回転時 にべ一ンとシリンダが擦れることによる振動や、バランスシャフトが偏心回転する際に それがハウジング内の空気を撹拌する音の振動が、その駆動部の周囲を囲っている ハウジングに伝わり、そのハウジングの振動によってハウジングの外側の空気を振動 させることによって、その周囲に騒音が発生するようになっている。
[0008] そこで、ハウジングの外周にシート状のゴムを巻き付けたり、ハウジングの外周にス ポンジを巻き付けるとともに、スポンジの外側にゴムカバーを施しハウジング内で発生 する騒音を吸音させるようにした手持ち動力工具が既に提案されてレ、る(特許文献 1 しかし、上記の手持ち工具のような吸音構造では、十分な吸音効果を発揮せず、依 然として大きな騒音が外部に漏れ出ているのが現状である。
[0009] 特許文献 1:特開平 9 - 109044号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、上記事情に鑑みて、騒音の少ない手持ち動力工具およびアタッチメント を提供することを目的としてレ、る。
課題を解決するための手段
[0011] 上記目的を達成するために、本発明にかかる手持ち動力工具は、動力により駆動 する駆動部を有する工具本体と、駆動部に装着され駆動部の駆動によって工作対象 物に作用する作用部を有する作用体とを備える手持ち動力工具において、駆動部を 囲むように設けられたハウジングおよび作用体の少なくともいずれか一方の一部が、 空気層と透湿性樹脂層とを備える吸音構造体によって覆われていることを特徴として いる。
[0012] 本発明の手持ち動力工具において、吸音構造体は、請求項 2のように、透湿性樹 脂層と内部に空気層を有する繊維シート層とからなる透湿性シート材料で形成され
ていることが好ましい。さらに、請求項 3のように、人間の聴覚感度の高い周波数バン ドである 2kHz— 6kHzの周波数バンドの騒音を低下させることが好ましぐ人間の聴 覚感度のもっとも高い領域である 3kHz— 5kHz (1999年工業調査会発行の「わかり やすい静音化技術」 P42参照)の周波数バンドの騒音を低下させることがより好まし レ、。
[0013] 一方、本発明にかかるアタッチメントは、手持ち動力工具の駆動部に着脱自在な作 用部を有する手持ち動力工具用のアタッチメントにおいて、少なくとも一部が空気層 と透湿性樹脂層とを備える吸音構造体によって覆われていることを特徴としている。
[0014] 本発明において、手持ち動力工具としては、特に限定されず、たとえば、インパクト レンチ、オイルパルスレンチ等の衝撃式回転ねじ締め工具、チッビングハンマ、スケ 一リングハンマ等の衝撃式往復動工具、ナットランナ、ラチヱットレンチ等の非衝撃式 回転ねじ締め工具、ダブルアクションサンダ、ォービタルサンダ、グラインダ、ディスク サンダ、ポリッシャ、ベルトサンダ等の非衝撃式回転研磨'磨き工具、レシプロソ一等 の非衝撃式往復切断工具などが挙げられ、その駆動方式としては、エアー駆動式、 電動式(充電タイプも含む)のものが挙げられる。
[0015] 駆動部とは、ハンマおよび被駆動軸受撃部、オイルシリンダおよびべーン部分ゃモ ータ部分だけでなぐ減速手段、ピストン摺動部、バランスシャフト部分 (バランスをと るためのものでカウンタウェイト、バランスウェイト等)などの部分が含まれる。
本発明において作用部とは、駆動部の駆動によって回転、往復動等を行うことによ つて、工作対象物に作用する部分を言い、たとえば、ボルト頭部やナットが嵌まり込 むソケットの穴、チゼルの先端、鋸刃の刃先、ディスクの研削面などが挙げられ、この ような作用部を備えた作用体としてのソケット、チゼル、鋸刃、ディスク等は、駆動部と 一体構造あるいはビス止め等によって直結されていても構わないし、駆動部に着脱 自在なアタッチメントとなっていても構わない。
[0016] 本発明において、透湿性樹脂とは、水蒸気は透過するが、防水性を備えたもので あれば、特に限定されないが、たとえば、四フッ化工チレン樹脂等のフッ素樹脂、ポリ ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミノ酸ウレタン樹脂等の微多孔質体、あるいは 、無孔の吸湿性変性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
[0017] 微多孔質樹脂の孔径としては、特に限定されないが、 0. 1— ΙΟ μ ΐη程度が好まし く、 1一 10 μ ΐη程度がより好ましい。
透湿性樹脂層の厚みとしては、特に限定されないが、 10— 85 / m程度が好ましい
[0018] 透湿性樹脂層の透湿度は、特に限定されないが、 3000g/m2' day以上 lOOOOg
/m2' day以下が好ましい。
[0019] 空気層は、特に限定されないが、たとえば、ハウジングと、透湿性樹脂層との間に 柱状のスぺーサを設け、このスぺーサによって透湿性樹脂層と、ハウジングとの間に 空気層となる隙間を形成する方法や、透湿性樹脂層とハウジングとの間に合成繊維 あるいは天然繊維の織編物ゃ不織布等の内部に空気層を含む繊維構造材を介在さ せる方法等が挙げられる。
なお、吸音構造体としては、透湿性樹脂層と空気層を構成する繊維構造材とが予 めシート状に一体成形されている市販の透湿性シート材料を用いるようにしても構わ ない。
[0020] 上記のような透湿性シート材料としては、たとえば、ゴァテックス社製ゴァテックスメ ンブレン (ゴァテックスは登録商標)、日東電工社製ミクロテックス(ミクロテックスは登 録商標)等の微多孔質のフッ素樹脂フィルムを合成繊維または天然繊維を使用した 編織物(基布)、不織布、フェルト、ネットなどに接着剤によって貼り合わせた微多孔 質体ラミネートタイプのもの、ポリアミノ酸ウレタン樹脂や東レコーテックス社製ェントラ ント(ェントラントは登録商標)等のポリウレタン樹脂を有機溶剤に溶力 た樹脂溶液 を織編物の片面にコーティングしたのち脱溶媒および凝固によって微多孔質の透湿 性樹脂層を形成するコーティングタイプのもの、特開 2002—30576号公報に開示さ れているような吸湿性変性ポリウレタン (無孔親水性ウレタン樹脂)、特殊ポリエステノレ 樹脂、疎水性のポリアミノ酸樹脂のフィルム等を合成繊維または天然繊維を使用した 編織物(基布)、不織布、フェルト、ネットなどに接着剤によって貼り合わせた無孔透 湿性樹脂ラミネートタイプのもの、吸湿性変性ポリウレタン (無孔親水性ウレタン樹脂) 、特殊ポリエステル樹脂、疎水性のポリアミノ酸樹脂を合成繊維または天然繊維を使 用した編織物(基布)、不織布、フェルト、ネットなどに塗布するコーティングタイプのも
のなどが挙げられる。
発明の効果
[0021] 本発明にかかる手持ち動力工具は、以上のように構成されているので、従来の手 持ち動力工具に比べ、騒音が少なぐ静かな作業環境で作業を行うことができる。
[0022] また、吸音構造体が、透湿性樹脂層と内部に空気層を有する繊維シート層とからな る透湿性シート材料で形成されているようにすれば、容易に製造することができる。
[0023] さらに、人間の聴覚感度の高い周波数バンドである 2kHz— 6kHzの周波数域の騒 音を低下させるようにすれば、もっとも効率よく作業者に騒音による不快感を催させな くすることができる。
[0024] 一方、本発明に力かるアタッチメントは、以上のように構成されているので、工作対 象物と作用部との間で発生する騒音も抑えることができ、より騒音を低減できるととも に、既存の手持ち動力工具に装着すれば、既存の手持ち動力工具の騒音を低減さ せること力 Sできる。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図 1は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのインパクトレンチをあらわし ている。
[0026] 図 1に示すように、このインパクトレンチ Aは、工具本体 laと、作用部を備えたァタツ チメントとしてのソケット 2aとを備えてレ、る。
工具本体 laは、アルミニウム製のハウジング 3a内にモータ 41および被駆動軸 42を 有する駆動部 4aが設けられ、被駆動軸 42の先端にソケット 2aが着脱自在に設けら れている。
[0027] そして、ハウジング 3aの周囲は、 2— 10mm程度の厚みの不織布 5と、透湿性シー ト材料 6とからなる吸音構造体 9によって覆われている。
透湿性シート材料 6は、図 2に示すように、ジャパンゴァテックス社製ゴァテックスメ ンブレン (ゴァテックスは登録商標)、 日東電工社製ミクロテックス(ミクロテックスは登 録商標)等の微多孔性樹脂からなる透湿性樹脂層 61と、不織布等からなる繊維シー ト 62とが積層された市販品のものが用いられていて、繊維シート 62側を不織布 5側
に向けて不織布 5の周囲に卷回されている。
[0028] 透湿性シート材料 6の周囲には、透湿性シート材料 6および不織布 5を汚れや破損 等から保護するための樹脂プロテクタ 7aが被されている。
樹脂プロテクタ 7aは、工具本体 laを覆うように設けられた工具本体カバー部 71と、 ソケット 2aの部分を囲むように設けられた筒状をしたソケットカバー部 72とを一体に備 えている。
[0029] ソケットカバー部 72は、透湿性シート材料 6および不織布 5がその内周面に積層さ れていて、その内径がハウジング 3a中心部から延出している被駆動軸 42の先端 42a に装着される最大径のソケット 2aの外径より大きくなつている。
そして、このインパクトレンチ Aは、ねじ締めあるいは緩めを行おうとする工作対象物 としてのボルト 8あるいはナットの径に適合するソケット 2aを被駆動軸 42の先端 42aに セットしたのち、ソケット 2aの作用部としての穴 20内にボルト 8の頭部 81を臨ませ、ェ ァ一によりモータ 41を回転させて、その回転駆動力によって被駆動軸 42を介してソ ケット 2aを回転させて、ねじ締めあるいは緩めを行うようになっている。
[0030] このインパクトレンチ Aは、以上のように、工具本体 laの駆動部 4aの周囲に透湿性 シート材料 6が卷回されているので、ハンマ 43が被駆動軸 42を打撃する時に発生す る衝撃的な騒音とともに、モータ回転時に発生する擦過音等のハウジング 3a内で発 生する騒音を低減する。したがって、防音効果が高レ、ものとなる。
[0031] すなわち、ハウジング 3a内で発生した騒音は、まず多孔質型吸音材の一種である 不織布 5の内部に伝わり、不織布 5内部にある小さい孔内の空気を振動させることに よって、音のエネルギーが熱エネルギーに変換されて騒音が少し減少する。そして、 不織布 5によって吸収されな力 た騒音は、音のエネルギーが透湿性シート材料 6の 繊維シート 62の内部の空気層によってさらに熱エネルギーに変換されたのち、透湿 性樹脂層 61に設けられた微細孔によって共鳴吸収され広い周波数範囲に亙っての 吸音がなされる。
[0032] しかも、被駆動軸 42の先端 42aに装着されたソケット 2aが、ソケットカバー部 72によ つて囲まれるとともに、ソケットカバー部 72の内周面に、透湿性シート材料 6および不 織布 5がその内周面に積層されているので、被駆動軸 42によるソケット 2aへの打撃
およびソケット 2aによるボルト頭部 81への打撃によって生じる打撃音が不織布 5およ び透湿性シート材料 6によって吸音される。
したがって、騒音の軽減効果が大きくなり、静かな作業環境を得ることができる。
[0033] また、吸音構造体 9が、透湿性樹脂層 61と、不織布等からなる繊維シート 62とが積 層された透湿性シート材料 6によって形成されているので、本発明のインパクトレンチ Aを容易に製造することができる。
なお、上記インパクトレンチ Aの場合、樹脂プロテクタ 7aの工具本体カバー部 71と ソケットカバー部 72とが一体になつていた力 S、ソケットカバー部 72を工具本体カバー 部 71に対して着脱自在とし、異なる径のソケット 2aに交換するごとに、そのソケット 2a の外径に適合したソケットカバー部 72に交換するようにしても構わなレ、。このようにす れば、ソケット 2aの部分で発生する騒音をより小さくすることができる。
[0034] 図 3は本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としての他のインパクトレンチおよび 図 3に示すように、このインパクトレンチ Bは、樹脂プロテクタ 7bがソケットカバー部を 備えていないとともに、ソケット 2bが、ソケット本体 21の周囲に不織布 5および透湿性 シート材料 6が積層された構造をしている以外は、上記インパクトレンチ Aと同様にな つている。
[0035] このインパクトレンチ Bは、以上のように、樹脂プロテクタ 7bがソケットカバー部を備 えておらず、ソケット本体 21の周囲に不織布 5および透湿性シート材料 6が積層され た本発明のアタッチメントであるソケット 2bが装着されるようになっているので、ソケット 2bの径の制限がなぐすなわち大きな径のソケット 2bも装着することができる。したが つて、ソケット 2bを交換すれば,上記のインパクトレンチ Aに比べ、 1種類のインパクト レンチ Bのみでいろいろな径のボルトナットを締め込んだり緩めたりすることができる。 また、ソケット 2bは、ソケット本体 21の周囲に不織布 5および透湿性シート材料 6が 積層された状態になっているので、既存のインパクトレンチに装着すれば、既存のィ ンパクトレンチの騒音の発生を低減することができる。なお、図 3中、 laは工具本体で める。
[0036] 図 4は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのオイルパルスレンチをあらわ
している。
図 4に示すように、このオイルパルスレンチ Cは、工具本体 lcの駆動部 4cを覆うハ ウジング 3cと透湿性シート材料 6との間に不織布 5の層が設けられていない以外は、 上記インパクトレンチ Bと同じ吸音構造を備えている。
[0037] このオイルパルスレンチ Cは、以上のように、不織布 5の層が設けられていないので 、不織布 5の層が設けられたものに比べ、小型化することができる。
なお、図 4中、 7cは樹脂プロテクタである。
[0038] 図 5は本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのチッピングハンマをあらわして いる。
図 5に示すように、このチッビングハンマ Dは、工具本体 Idのハウジング 3dと、駆動 部 4dのシリンダ部 45と、作用部を備えたアタッチメントとしてのチゼル 2dのシリンダ揷 入部側 23を囲む部分とが、内面にそれのみで吸音構造体となる透湿性シート材料 6 が貼着された樹脂プロテクタ 7dで覆われている。そして、図 5および図 6に示すように 、チゼル 2dが、チゼル本体 25の作用部となる先端部およびシリンダ挿入部側を除き 、吸音構造体となる透湿性シート材料 6で覆われてレ、る。
[0039] したがって、ハウジング 3d内で発生する騒音およびチゼル 2dが工作対象物(図示 せず)の表面を切削する際のチゼル 2dの振動によって生じる騒音も吸音構造体とし ての透湿性シート材料 6によってうまく吸音して騒音を少なくすることができる。
また、チゼル 2dは、チゼル本体 25の作用部となる先端部およびシリンダ挿入部側 を除き、透湿性シート材料 6で覆われているので、既存のチッビングハンマに装着す れば、既存のチッビングハンマの騒音の発生を低減することができる。
[0040] 図 7は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのナットランナをあらわしてい る。
図 7に示すように、このナットランナ Eは、工具本体 leの駆動部 4eを覆うハウジング 3eと透湿性シート材料 6との間に不織布 5の層が設けられていない以外は、上記イン パクトレンチ Bと同じ吸音構造を備えている。なお、図 7中、 2eはアタッチメントとして のソケット、 7eは樹脂プロテクタである。
[0041] 図 8は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのラチエツトレンチをあらわし
ている。
図 8に示すように、このラチヱットレンチ Fは、工具本体 Ifの駆動部 4fを覆うハウジン グ 3fと透湿性シート材料 6との間に不織布 5の層が設けられていない以外は、上記ィ ンパクトレンチ Bと同じ吸音構造を備えている。
なお、図 8中、 7fは樹脂プロテクタである。
[0042] 図 9は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのダブルアクションサンダをぁ らわしている。
図 9に示すように、このダブルアクションサンダ Gは、工具本体 lgの駆動部 4gを覆う ハウジング 3gと透湿性シート材料 6との間に不織布 5の層が設けられていない以外は 、上記インパクトレンチ Bと同じ吸音構造を備えている。なお、図 9中、 2gはアタッチメ ントとしてのディスク、 7gは樹脂プロテクタである。
[0043] 図 10は、本発明に力、かる手持ち動力工具の 1例としてのレシプロソーをあらわして いる。
図 10に示すように、このレシプロソー Hは、工具本体 lhの駆動部 4hを覆うハウジン グ 3hと透湿性シート材料 6との間に不織布 5の層が設けられていない以外は、上記ィ ンパクトレンチ Bと同じ吸音構造を備えている。なお、図 10中、 2hはアタッチメントとし ての鋸刃、 7hは樹脂プロテクタである。
[0044] 図 11は、本発明に力かるアタッチメントの 1例としてのソケットの他例および連結棒 をあらわしている。
図 11に示すように、このソケット 2iおよび連結棒 ¾力 連結棒本体 26のソケット嵌合 部 27を除き、周囲が透湿性シート材料 6で覆われていて、図 3に示すようなインパクト レンチ Bや既存のインパクトレンチ等に装着することができるようになつている。なお、 図 11中、 28はソケット本体である。
実施例 1
[0045] 既存のエアーインパクトレンチ(空研社製エアーインパクトレンチ KW— 1600Spro排 気ホース(30cm)付き)のハウジングを空気層を形成する厚さ 10mmの不織布(住友 スリーェム社製シンサレート(登録商標) NL200L)で覆レ、、その外側に 1. 7mmの透 湿性シート材料(アンビック社製の商品名 FT0503F (不織布に厚み 15 μ m、透湿度
8000g/m2' 24時間の四フッ化工チレン樹脂多孔質膜 (日東電工社製ミクロテックス(ミ クロテックスは登録商標) )をラミネートしたもの)を卷き、一番外側に工具本体カバー 部を取り付けた本発明の手持ち工具の実施例としてのサンプノレエアーインパクトレン チを作製した。
[0046] また、不織布および透湿性シート材料に代えて、厚さ 20mmのポリエーテル系樹脂 製吸音フォーム(ブリジストン社製 吸音フォーム VD)でハウジングを覆うようにした以 外は、上記の本発明のサンプルエアーインパクトレンチと同様にして比較例のサンプ ルエアーインパクトレンチを作製した。
[0047] そして、上記のようにして得た実施例および比較例のサンプノレエアーインパクトレン チのそれぞれについて、無響室内で固定打撃盤を打撃した時に発生する騒音を周 波数補正回路 A特性 CFIS C 1505 : 1988)で 5秒間データを 3回ずつ採取し、それ を 1Z3オクターブ分析し、その各中心周波数での騒音レベルの平均値を求め、その 結果を図 12のグラフに示した。なお、マイク位置は、インパクチレンチの幾何学的中 心点から距離 lmの仰角 45° の地点、排気方向は、水平方向で、マイク位置に対し て 90° となる方向であった。
[0048] 図 12に示すように、全周波数帯域 (AP :オールパス)での騒音レベルでは値にほと んど違いはなかったが、 1/3オクターブ分析では人間の聴覚としてもっとも感度の高 い領域である 3— 5kHz付近のうち、 5kHzで大きな違いが見受けられた。つまり、 5k Hzにおいて、比較例では、騒音レベルがすべての周波数バンドにおける最大の 81 . 6dBであったのに対し、実施例のものは、 5kHzにおいて、騒音レベルが 74. 8dB と、比較例のものに比べ、 6. 8dBの騒音レベルの低下がみられる。また、模擬空調 音の上に種々の周波数変調音(FM音)を重畳させた音にっレ、て SD法 (Semantic Differencial Method)で評価を求めた結果によると、高い周波数ほど音の評価として「 不快である」、「刺々しレ、」とレ、う印象をもっとされてレ、る(株式会社フジ ·テクノシステ ム 2000年発行「音の環境と制御技術」第 1卷 基礎技術 P128-130参照)。
[0049] したがって、上記のように、人間の聴覚としてもっとも感度の高い周波数領域である
3— 5kHzの中でもっとも「不快である」、「刺々しレ、」とレ、う印象を与える 5kHzの騒音 レベルが大きく低下することは、手持ち動力工具を操作する作業者にとって、騒音の
不快さを著しく改善することが可能となると言える。
図面の簡単な説明
[0050] [図 1]本発明にかかる手持ち動力工具の 1例としてのインノ 断面図である 園 2]本発明の手持ち動力工具に用レ、られる透湿性シート材料の断面を模式的にあ らわす図である。
園 3]本発明に力かる手持ち動力工具の 1例としての他のインパクトレンチの断面図 である。
[図 4]本発明に力かる手持ち動力工具の 1例としてのオイルパルスレンチの断面図で ある。
園 5]本発明にかかる手持ち動力工具の 1例としてのチッビングハンマの断面図であ る。
[図 6]本発明に力かるアタッチメントの 1例としてのチゼルであって、同図(a)はその一 部切欠平面図、同図(b)はその一部切欠側面図である。
園 7]本発明にかかる手持ち動力工具の 1例としてのナットランナの断面図である。 園 8]本発明にかかる手持ち動力工具の 1例としてのラチエツトレンチの断面図である
[図 9]本発明にかかる手持ち動力工具 C zサンダの断面 図である。
[図 10]本発明にかかる手持ち動力工具( の断面図である。
[図 11]本発明にかか ;よび連結棒をあらわす断 面図である。
[図 12]実施例のエア一/ fンパクトレンチと比較例のエア、 周波数 バンド別騒音レベル比較のグラフである。
符号の説明
[0051] A, B インパクトレンチ(手持ち動力工具)
C オイルパルスレンチ (手持ち動力工具)
D チッビングハンマ(手持ち動力工具)
E ナットランナ (手持ち動力工具) F ラチヱットレンチ (手持ち動力工具)
H レシプロソー(手持ち動力工具) la, lc一 lh 工具本体
2a, 2b, 2e, 2i ソケット(アタッチメント)
2d チゼル(アタッチメント)
¾ 連結棒(アタッチメント)
3a, 3c 3h ハウジング
4a, 4c一 4h 駆動部
5 不織布
6 透湿性シート材料
7a— 7h 樹脂プロテクタ
8 ボルト(工作対象物)
9 吸音構造体
20 穴(作用部)