明細: 光弾性定数が小さいガラス 技術分野
本発明は、 プリズム、 レンズ等の光学素子に使用するのに適し、 特に 、 偏光光学系の光学素子である偏光ビームスプリッ夕、 空間光変調素子 などの偏光制御素子を構成するプリズム及び基板等に使用するのに好適 な光弾性定数が小さいガラスに関する。 背景技術
近年、 偏光を利用した光学系、 すなわち偏光光学系は、 液晶プロジェク 夕をはじめとして様々な分野において利用されている。 例えば、 偏光を 空間的に変調する空間光変調素子や、 s偏光と P偏光とを分離する偏光 ビームスプリ ッ夕などが液晶プロジェクタなどに利用されており、 これ らの偏光光学系においては、 偏光特性をより高精度に制御することが望 まれている o
偏光光学系中の光学素子のうち、 偏光ビームスプリ ッ夕ゃ空間光変調 素子などの偏光特性の保持が要求される偏光制御素子のプリズムゃ基板 等に、 光学的異方性を有する部材を用いると、 透過した主光線とこれに 直交する異常光線との間の位相差 (光路差) が材料を透過する前と比較 して変化し、 偏光特性が保持できなくなるので、 それらの素子には光学 的に等方性を有する部材を使用する必要がある。
十分にァニールされ、 除歪された光学的等方性を有する従来の光学ガ ラスを偏光光学系中の偏光特性の保持が要求される光学素子に用いた場 合でも、 機械的応力や熱応力がそれらのガラスに加わったときに、 ガラ スの光弾性定数が大きいと光弾性効果による光学的異方性、 すなわち複 屈折性を示すようになり、 その結果、 所望の偏光特性が得難くなるとい う問題がある。 上記機械的応力は、 たとえば、 熱膨張率がガラスのそれ と異なる材料をガラスと接合したりすることにより生じ、 また、 上記熱 応力は、 たとえば、 周辺機器の発熱や、 透過光のエネルギーを吸収する ことによるガラス自体の発熱により生じる。 これらの応力がガラスにカロ わることによりガラスが示す複屈折性の大きさは光路差で示すことがで きる。 光路差を(5 (nm) 、 ガラスの厚さを d ( cm) 、 応力を F ( P a) とすると下記の式 ( 1 ) が成り立ち、 光路差が大きいほど複屈折量 が大きい o
(5 = ? · d · F 式 ( 1 )
上記式 ( 1 ) における比例定数 (^) は光弾性定数と呼ばれており、 その値はガラスの種類によって異なる。 上記式 ( 1 ) に示すとおり、 ガ ラスに加わる応力 ( F ) およびガラスの厚さ ( d ) が同じ場合、 光弾性 定数 ( ?) の絶対値が小さいガラスほど光路差 ( δ ) 、 すなわち複屈折 量が小さい。
偏光光学系に用いる部材の光弾性定数の寄与に関する論述は、 例えば 、 特開平 7 - 30 63 14号公報や特閧平 8 - 234 1 79号公報ゃ特 開平 9— 1 2 746 1号公報などに記述されているとおりである。 より 具体的な数値解析としては、 例えば、 特開 2000— 1 7 1 770号公 報に開示されているような下記の関係式 ( 2 ) を満たす部材が偏光光学 系に望まれる。 式 ( 2) の右辺は、 熱応力による複屈折量を示す。
5. 0 0 χ 1 02 ≥ Κ · α · Ε · S ( 1一 T ) ά λ/ p/C p 式 ( 2 )
ここで、 Κは光弾性定数 ( nm/mm · mm2ノ Ν;) 、 は線熱膨張係 数 ( 1 0— 6 /Κ) 、 Εはヤング率 ( 1 03 N/mm2 ) 、 入は使用光の 波長 (nm) 、 Tは波長人における部材の内部透過率、 pは部材の比重 ( g/c m3 ) 、 C pは部材の比熱 ( J/g ' k) であり、 式 ( 2 ) 中 の積分範囲は、 部材の主たる吸収波長帯 ([4 2 0 nm;]〜 [ 5 0 0 nm] ) である。
式 ( 2 ) に示されるとおり、 熱応力による複屈折量は、 光弾性定数の絶 対値がゼロに近いほど低減できることが明らかである。
また、 光弾性定数には波長依存性があり、 可視光領域 ( 4 0 0 nm~ 7 5 0 nm) 全般に渡って一定ではない。 よって、 光弾性定数の可視領 域での代表値である波長 5 4 6 n mにおける光弾性定数が小さくても波 長依存性が大きいと、 波長によって偏光特性にばらつきが生じる。 例え ば、 特開平 1 1 — 1 3 3 5 2 8号公報に、 偏光ビームスプリ ッ夕ならび にプリズム構成部材用の透光性部材として開示されているような P b 0 高含有のガラスは、 光弾性定数の波長依存性が大きく、 特に短波長にな るほど光弾性定数が小さくなる波長依存性があり、 4 0 0 ηπ!〜 7 0 0 nmの光弹性定数の変化量 Δ 5は 0. 8 x 1 CT 5 nm' c nT 1 -P a" 1 前後となる。 そのようなガラスを、 例えば、 液晶プロジェクタにおける 偏光ビームスプリ ッ夕として使用した場合、 緑色 ( G) 光 (波長 5 5 0 nm近傍) で 5 = 0. 0 x 1 0 - 5 nm' c nT 1 -P a' 1 としても、 青色 (B ) 光 (波長 4 3 0 nm近傍) や赤色 ( R ) 光 (波長 6 4 0 nm近傍 ) では、 ?の絶対値は概算で 0. 4 x 1 0— 5 nm' c m— 1 -P a" 1 程度 となり、 特に B光では屈折率が大きいため、 複屈折による光路差が大き
くなってしまうという問題がある。
P b 0は、 ガラスの光弾性定数を小さくする効果が大きい成分である ため、 上述のような、 偏光光学系を構成する光学部材に使用するための 光弾性定数が小さいガラスとして、 従来、 前記特開平 1 1一 1 3 3 5 2 8号に開示されている S i 02 - P b 0系のガラスの他に、 例えば、 特 開平 9— 4 8 6 3 1号公報には、 P b O _ S i 02 + B 2 03 + A 12 03 系の光学ガラス、 特開平 1 1— 3 3 5 1 3 5号公報には、 P 2 05 — P b O系のガラスおよび P 2 05 一: P b O _B a O系のガラスが開示 されているが、 これらのガラスは、 いずれも、 光弾性定数を小さくする ために P b 0を大量に含有している。
しかし、 鉛成分は環境負荷が高い成分であり、 鉛成分を含有するガラ スを製造、 加工、 廃棄するに際には、 環境対策上の措置を講じる必要が あり、 そのためのコス トを要するうえ、 近年、 鉛成分を含有するガラス に対する規制をさらに厳しくする動きがあるため、 鉛成分 (例えば、 P b O、 P b F2 など) を含有するガラスは、 実用上好ましくないという 欠点がある。
特開平 9 -4 8 6 3 3号公報には、 光弾性定数が小さい、 弗化物燐酸系 の偏光光学系用光学ガラスが開示されているが、 同号公報には、 具体的 なガラスの組成が一切閧示されていない。
また、 上述した、 特開平 1 1 -3 3 5 1 3 5号公報には、 B a 0成分が ガラスの光弾性定数を小さくする効果を有することが記載されており、 鉛成分を含有せず、 かつ、 光弾性定数が小さいガラスとして、 上記特閧 平 1 1 -3 3 5 1 3 5号公報、 特開平 1 1— 1 9 9 2 6 9号公報、 特開 2 0 0 0 - 34 1 3 2号公報および特開 2 0 0 2 - 1 2 8 5 4 0号公報に 、 P 2 05 -B a 0系のガラスが開示されているが、 これらの公報中には
、 + 0. 32 x 1 0- 5 nm'cn 1 'P a-1 より小さい光弾性定数 ( β ) を有する実施例のガラスは開示されていない。
本発明の目的は、 上記従来技術の実情を鑑み、 鉛成分を含有せず、 か つ、 光弾性定数 ( ?) がー 0. 2 5 X 1 0— 5 nm'cm—1 -P a"1 〜十 0. 30 x 1 0— 5 nm'cm- 1 'P a— 1 の範囲、 または一 0. 1 5 x 1 0 - 5 n m · c m" 1 'P a- 1 〜十 0. 30 x 1 0— 5 nm'cm—1 - P a" 1 の範囲、 または— 0. 1 0 x l 0-5 nm'cn 1 'P a-1 〜+ 0. 3 O x l 0- 5 nm'cn 1 'P a-1 の範囲であり、 1. 60以上の屈折率 (nd) を有し、 光弾性定数 ( ?) の波長依存性が小さく、 プリズム、 レンズ等の光学素子に使用するのに適し、 特に、 偏光光学系の光学素子 である偏光ビ一ムスプリ ッ夕、 空間光変調素子などの偏光制御素子を構 成するプリズム及び基板等に使用するのに好適な光弾性定数が小さいガ ラスを提供することにある。
発明の開示
本発明者等は、 前記目的を達成するために鋭意試験研究を重ねた結果 、 特定組成範囲の P 2 05 一 B aO系ガラスに T l 2 0成分を含有させ ることによって、 鉛成分を含有することなく、 非常に小さな光弾性定数 を有するガラスが得られることを見出し、 本発明をなすに至った。
すなわち、 本発明は、 酸化物換算の質量%で、 Ρ2 05 35〜49 % 未満、 B aO 3 0〜5 5 %、 T 12 0を 0. 5 %より多く含有し、 鉛成 分を含有せず、 波長 546 nmにおける光弾性定数 ( ) が— 0. 2 5 X 1 0 " 5 nm'cm—1 'P a -1 〜 + 0. 30 x 1 0 " 5 nm'cm—1 - P a— 1 の範囲であり、 屈折率 ( n d ) が 1. 60以上であることを特徴と する光弾性定数が小さい第 1のガラスを提供する。
また本発明は、 酸化物換算の質量%で、 P 2 05 3 5 ~49 %未満
、 B a 0 3 0〜 5 5 %、 T 12 0を 0. 5 %より多く含有し、 鉛成分を 含有せず、 波長 5 4 6 nmにおける光弾性定数 ( ?) が— 0. 1 5 x 1 0 " 5 nm' c m— 1 'P a - 1 〜 + 0. 3 0 x 1 0 nm' c m— 1 · P a"
1 の範囲であり、 屈折率 (n d) が 1 . 6 0以上であることを特徴とす る光弾性定数が小さい第 2のガラスを提供する。
また本発明は、 酸化物換算の質量%で、 P 2 05 3 5〜4 9 %未満 、 B a 0 3 0〜 5 5 %、 T 12 0を 0. 5 %より多く含有し、 鉛成分を 含有せず、 波長 5 4 6 nmにおける光弾性定数 ( ?) が— 0. 1 0 x 1 0 " " n m■ c m" 1 'P a - 1 〜 + 0. 3 0 x 1 0—。 n m · c m" 1 · P a " 1 の範囲であり、 屈折率 (n d) が 1. 6 0以上であることを特徴とす る光弾性定数が小さい第 3のガラスを提供する。
また本発明は、 酸化物換算の質量%で、 P 2 05 3 5〜 4 9 %未満 、 B a 0 3 0〜 5 5 %、 T 12 0を 1 %以上含有し、 鉛成分を含有せず ヽ A= ( T 12 0 - (B 2 〇 3 + (A 12 03 " + C a 0 + Y 2 03 + G d 2 03 + N b 2 05 +M g 0 + L u 2 03 + B i 2 03 ) ) ÷ T 1 2 0で示される質量比 A値が、 0. 5 0より大きく 1. 0 0以下の範囲 であり、 波長 5 4 6 n mにおける光弾性定数 ( ^ ) がー 0. 2 5 x 1 0 " S nm' c m^ 'P a―1〜 + 0. 3 0 x 1 O—S nm- c nT^P a-1の範囲で あり、 屈折率 ( n d) が 1 · 6 0以上であることを特徴とする光弹性定 数が小さい第 4のガラスを提供する。
また本発明は、 酸化物換算の質量%で、 P 2 05 3 5〜 4 9 %未満 、 B a 0 3 0〜 5 5 %、 T 12 0を 1 %以上含有し、 鉛成分を含有せず ヽ A二 ( T 12 〇— (B 2 03 + (A 12 03 ) 2 + C a 0 + Y 2 03 + G d 2 0 a + N b 2 05 +M g O + L u 2 03 + B i 2 03 ) ) ÷ T 1 2 〇で示される質量比 A値が、 0. 5 0より大きく 1 . 0 0以下の範囲
であり、 波長 5 4 6 nmにおける光弾性定数 ( ) がー 0. 1 5 x 1 0— Snm' c m i 'P a -1〜 + 0. 3 0 x 1 O^ nm' c m-i 'P a-1の範囲で あり、 屈折率 ( n d ) が 1 . 6 0以上であることを特徴とする光弾性定 数が小さい第 5のガラスを提供する。
また本発明は、 酸化物換算の質量%で、 P 2 05 3 5〜 4 9 %未満 、 B a 0 3 0〜 5 5 %、 T 12 0を 1 %以上含有し、 鉛成分を含有せず 、 A= ( T 12 0 - (B 2 03 +(A l 2 03 )2 + C a O + Y2 03 + G d 2 0 a +N b 2 05 +M g O + L u 2 03 +B i 2 〇 3 ) ) ÷T 1 2 0で示される質量比 Α値が、 0. 5 0より大きく 1 . 0 0以下の範囲 であり、 波長 5 4 6 nmにおける光弾性定数 (^ ) がー 0. 1 0 x 1 0— 5 n m · c m"1 · P a- 1〜十 0. 3 O x l 0— 5 n m · c m— 1 · P a 1の範囲で あり、 屈折率 ( n d ) が 1 . 6 0以上であることを特徴とする光弾性定 数が小さい第 6のガラスを提供する。
本発明の他の側面においては、 酸化物換算の質量%で、
T 12 0 0. 5 %より多く 2 5 %まで、
P 2 05 3 5 〜 4 9 %未満、
B a 0 3 0 〜 5 5 %
を含有し、 さら
A 12 03 0 3 %、 および/または、
B 2 03 0 5 %未満、 および/または、 -b 2 0 a 0 6 %、 および/または、
Υ , 0 0 5 %、 および/または、
G d 2 03 0 5 %、 および/または、
N b 2 05 0 5 %、 および/または、
Μ g 0 0 1 %未満、 および/または、
C a 0 0 3 % および/または、 S r 0 0 1 5 %、 および/または、
L i 2 0 0 3 %、 および/または、
N a 2 0 0 3 %、 および/または、 K2 0 0 3 %、 および/または、
C s 2 0 0 5 %、 および/または、
B i 2 03 0 5 %、 および/または、
L u 2 0 a 0 5 %、 および/または、
S b2 03 0 4 % を含有し、
ただし、 P2 05 +B a 0 + A 12 03 の合計量が 9 6 %以下であり、 上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置換 した弗化物の Fとしての合計量 0〜 5 %を含有し、 鉛成分を含有しな いことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 3のガラスが提供 される。
本発明の他の側面においては、 酸化物換算の質量%で、
T 12 0 1 %〜 2 5 %、
P 2 05 3 5 〜 49 %未満、
B a 0 30 〜 5 5 %
を含有し、 さらに
A 12 03 0 3 %、 および/または、 B 2 〇 3 0 5 %未満、 および/または. L a 2 。3 0 6 %、 および/または、
Υ2 ο 3 0 5 %、 および/または、
Gd2 03 0 5 %、 および/または、 Nb2 05 0 5 %、 および/または、
M g 0 0 1 %未満、 および/または、 C a 0 0 3 %、 および/または、 S r 0 0 1 5 %、 および/または、 L i 2 0 0 3 %、 および/または、 N a 2 0 0 3 %、 および/または、 K2 0 0 3 %、 および/または、 C s 2 0 0 5 %、 および/または、 B i 2 03 0 5 %、 および/または、 L u 2 03 0 5 %、 および/または、 S b2 03 0 4%を含有し、
ただし、 P2 05 + B a 0 + A 12 03 の合計量が、 9 6 %以下であり
、 上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置 換した弗化物の Fとしての合計量 0〜 5 %を含有し、 鉛成分を含有し ないことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 6のガラスが提 供される。
本発明の他の側面においては、 酸化物換算の質量%で、
T 12 0 0. 5 %より多く 25 %まで、
P 0 3 5 〜 49 %未満、
B a 0 30 〜 55 %
を含有し、 さらに
A 2 0^ 3 0 3 %、 および/または、
B 〇 0 5 %未満、 および/または. J a, 2 3 0 6 %、 および/または、
2 ο 3 0 5 %、 および/または、
Gd2 03 0 5 %、 および/または、
N b 2 0 5 0 5 %、 および/または、 M g 0 0 1 %未満、 および/または、 C a 0 0 3 % および/または、 S r 0 0 1 5 %、 および/または、
L 0 0 3 %、 および/または、
N a 9 0 0 3 %、 および/または、
K 0 0 3 %、 および/または、
C s 9 0 0 5 %、 および/または、
B 0 0 5 %、 および/または、
L u 2 0 a 0 5 %、 および/または、 S b 2 0 3 0 4 % を含有し、
ただし、 P 2 0 5 + B a 0 + A 1 2 0 3 の合計量が 9 3 %以下であり、 上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置換 した弗化物の Fとしての合計量 0〜 5 %を含有し、 鉛成分を含有しな いことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 3のガラスが提供 される。
本発明の他の側面においては. 酸化物換算の質量%で、
T 1 2 0 1 %〜 2 5 %、
P 2 o 5 3 5 〜 4 9 %未満、
B a 0 3 0 〜 5 5 %
を含有し、 さらに、
A 1 2 0 3 0 〜 3 %、 および/または、 B 2 0 3 0 〜 5 %未満、 および/または.
0 〜 6 %、 および/または、
Υ , 0 0 〜 5 %、 および/または、
Gd2 03 0 5 %、 および/または、 Nb2 05 0 5 %、 および/または、 M g 0 0 1 %未満、 および/または、 C a 0 0 3 %、 および/または、 S r 0 0 1 5 %、 および/または、
L 0 0 3 %、 および/または、
N a 2 0 0 3 %、 および/または、 K2 0 0 3 %、 および/または、
C s 2 0 0 5 %、 および/または、
B i 2 03 ひ 5 %、 および/または、
L u 2 03 0 5 %、 および/または、
0 4%を含有し、
ただし、 P2 05 + B a 0 + A 12 03 の合計量が、 9 3 %以下であり 、 上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置 換した弗化物の Fとしての合計量 0〜 5 %を含有し、 鉛成分を含有し ないことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 6のガラスが提 供される。
本発明の他の側面においては、 酸化物換算の質量%で、
T 12 0 0. 5 %より多く 2 5 %まで、
P 2 05 3 5 〜 49 %未満、
B a 0 30 〜 5 5 %、
A 12 03 0 〜 3 %、
ただし、 P2 05 + B a 04- A 12 03 の合計量が 9 3 %以下、
B 2 03 0 〜 5%未満、
L a 2 0 a 0 〜 6 %、
Y2 o3 0 5 %、
Gd2 03 0 5 %、
Nb2 05 0 5 %、
M g 0 0 1 %未満、
C a 0 0 3 %、
S r 0 0 1 5 %、
L 0 0 3 %、
N a 2 0 0 3 %、
K2 0 0 3 %、
10 C s 2 0 0 5 %、
B i 2 03 0 5 %、
S b 2 03 0 4 %、
上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置 換した弗化物の Fとしての合計量 0〜5 %を含有し、 鉛成分を含有し ないことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 3のガラスが提 供される。
本発明の他の側面においては酸化物換算の質量%で、
12 0 1 % 2 5 %、
20 P2 05 3 5 49 %未満、
B a 0 30 5 5 %、
A „ 〇„ 0 3 %、
ただし、 P2 05 + B a〇+A l 2 03 の合計量が、 9 3 %以下
25 B 9 2 0 ^ 3 0 5 %未満、
L a 2 03 0 6 %、
Y2 o 3 0 5 %、
Gd2 03 0 5 %、
Nb2 05 0 5 %、
M g 0 0 1 %未満、
C a 0 0 3 %、
S r 0 0 1 5 %、
L i 2 0 0 3 %、
N a 2 0 0 3 %、
K2 0 0 3 %、
C s 2 0 0 5 %
B i 2 03 0 5 %、
L U 2 〇 3 0 5 % s
S b 9 0 0 4 %、
上記各金属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置 換した弗化物の Fとしての合計量 0〜 5 %を含有し、 鉛成分を含有し ないことを特徴とする光弾性定数が小さい前記第 1〜第 6のガラスが提 供される。
本発明の他の側面においては、 前記本発明により提供されるガラスで あって波長 6 4 4 nmにおける光弾性定数 ( /5 ) と、 波長 4 3 6 nmに おける光弾性定数 ( ?) との差の絶対値が 0 X 1 0 - 5 n m · c m
■P a—1 以下であることを特徴とする光弾性定数が小さいガラスが提供 される。
本発明の他の側面においては前記本発明により提供されるガラスであ つて 1 0 mm厚のガラスの反射損失を含む分光透過率が 8 0 %を示す波
長が 380 nm以下である.ことを特徴とする光弾性定数が小さいガラス が提供される。
T 12 0を含有する P 2 05 —B a 0系ガラスである本発明の光弾性 定数が小さいガラスは、 波長 546 nmにおける光弾性定数 ( ?) がー 0. 2 5 X 1 (K 5 nm* c π 1 ·Ρ a- 1 〜十 0. 30 x 1 0- 5 nm-c m— 1 -P a'1 の範囲、 または— 0. 1 5 x 1 0 - 5 nm'cm— 1 'P a— 1 〜+ 0. S O x l O- S n m'cm- i 'P a-1 の範囲、 または一 0 · 1 O x l 0 " 5 nm- c m" 1 -P a"1 〜十 0. 30 x 1 0 " 5 nm'cnT1 ' P a_ 1 の範囲であり、 屈折率 (n d ) が 1. 60以上であり、 光弾性定 数 ( 5) の波長依存性も小さいため、 プリズム、 レンズ等の光学素子に 使用するのに適しており、 特に、 偏光光学系の光学素子である偏光ビー ムスプリッ夕、 空間光変調素子などの偏光制御素子を構成するプリズム 及び基板等に使用するのに好適である。 さらに、 鉛成分を含有していな いため、 環境負荷が低く、 環境対策上の措置に要するコス トを大幅に低 減できる効果も有する。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
なお、 本明細書中において、 「酸化物換算」 とは、 本発明のガラス構 成部分の原料として使用される酸化物、 複合塩、 金属弗化物等が溶融時 にすベて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合において、 ガラス中 に含有される各成分を当該生成酸化物の質量に換算したものである。 酸 化物換算の質量%としてガラス組成を表わすときは当該生成酸化物の質 量の総和を基準 = 1 00としている。
また、 本明細書中において 「各金属元素の一種または二種以上の酸化
物の一部または全部と置換した弗化物の Fとしての合計量」 とは、 「本 発明のガラス組成物中に存在しうるフッ素の含有量を F原子として計算 した場合の質量」 を Xとし、 「前記酸化物換算によって示される生成酸 化物の質量の総和」 を yとしたとき、 x÷y x l 0 0で示される百分率 で表わしたものである。
本発明の 1つめ態様において、 プリズム、 レンズ等の光学素子に使用 するのに適し、 特に、 偏光光学系の光学素子である偏光ビームスプリツ 夕、 空間光変調素子などの偏光制御素子を構成するプリズム及び基板等 に使用するのに好適なガラスを得るためには、 波長 546 nmにおける 光弾性定数 ( ? ) は、 下限が— 0. 2 5 X 1 0— 5 nm- c Hi" 1 -P a"1 で あ る の が好ましく、 一 0. 1 5 X 1 0— 5 nm- c m" 1 -P a"1 で あるのがより好ましく、 一 0. l O x l O— S nm'cm- i 'P a— 1 で あ る の が最も好ましく、 上限が、 + 0. 3 0 X 1 0— 5 nm- c in" 1 - P a'1 であるのが好ましく、 + 0. 2 5 x l O-5 nm-cm-1 -P a- 1 で あ る の がより好ましく、 + 0. 20 x 1 0- 5 11 m■ c πι" 1 -P a" 1 で あ る の が最も好ましい。 本発明において、 波長 546 nmにおけ る光弾性定数 ( ?) の所望の範囲とは上述の下限と上限をそれぞれ選択 する事により得られる範囲である。
上述した波長 546 nmにおける光弾性定数 (^) が所望 の範囲で あり、 かつ、 光学設計上、 特に偏光制御素子の偏光膜作成に有効な 1. 6 0以上の屈折率 (nd) を有する光弾性定数が小さいガラスを、 例え ば、 レンズ、 プリズム等の光学素子、 偏光ビームスプリ ッタ、 空間光変 調素子などの偏光制御素子の基板やプリズム等に使用することによって 、 熱応力や機械的応力により生じる複屈折量が小さいレンズ、 プリズム 等の光学素子、 偏光ビームスプリ ツ夕、 空間光変調素子などの偏光制御
素子を作製することができる。
また、 上述した波長 546 nmにおける光弾性定数 ( ) が— 0. 1 O x l O— 5 n m · c m" 1 -P a"1 〜+ 0. 25 x 1 0 " 5 n m · c m" 1 ·
P a—1 の範囲であり、 かつ、 光学設計上、 特に偏光制御素子の偏光膜作 成に有効な 1. 60以上の屈折率 (nd) を有する光弾性定数が小さい ガラスを、 例えば、 レンズ、 プリズム等の光学素子、 偏光ビ一ムスプリ ッ夕、 空間光変調素子などの偏光制御素子の基板やプリズム等に使用す ることによって、 熱応力や機械的応力により生じる複屈折量が非常に小 さいレンズ、 プリズム等の光学素子、 偏光ビームスプリ ツ夕、 空間光変 調素子などの偏光制御素子を作成できるため、 液晶プロジェクタ等の機 内温度が高温になる装置のレンズ、 プリズム等の光学素子、 偏光ビーム スプリ ツ夕、 空間光変調素子などの偏光制御素子の基板ゃプリズム等に 使用するのに適している。
波長 644 nmにおける光弾性定数 ( ? ) と、 波長 43 6 nmにおけ る光弾性定数 ( ?) との差の絶対値が 0. 1 x 1 0— S nm'cm^ 'P a" 1 以下である本発明の光弾性定数が小さいガラスは、 光の 3原色であ る赤色 (R) 光 (波長 640 nm近傍) 、 緑色 (G) 光 (波長 5 5 0 η m近傍) および青色 (B) 光 (波長 430 nm近傍) 間における波長依 存性が非常に小さいため、 このガラスを、 例えば、 液晶プロジェクタ等 のカラーの投射型表示装置の偏光ビームスプリツ夕、 空間光変調素子な どの偏光制御素子の基板やプリズム等に使甩すると、 上記 3原色におけ る複屈折量の差がほとんど無く、 上記 3原色において設計どおりの偏光 特性を保持する偏光ビームスプリ ッ夕、 空間光変調素子などの偏光制御 素子を作製できるという利点がある。
本発明の光弾性定数が小さいガラスにおいて、 P 2 05 成分は、 ガラ
ス形成酸化物であるため、 必須の成分であり、 安定なガラスを形成する ため、 その量を 3 5 %以上とすることが好ましく、 3 6 %以上とするこ とがより好ましく、 3 7 %以上とすることが最も好ましい。 その一方、 光弾性定数 ( 5) を低下させる他の成分を十分に含有させ、 所望の光弾 性定数 (^) を得やすくするため、 4 9 %未満とすることが好ましく、 4 5 %までとすることがより好ましく、 4 4 %までとすることが最も好 ましい。
本発明の光弾性定数が小さいガラスにおいて、 B a O成分は、 光弾性 定数 ( ?) を小さくする効果が大きいため、 必須の成分である。 所望の 光弾性定数 ( ?) を得やすくするには 3 0 %以上含有させることが好ま しい。 特に所望の光弾性定数を容易に得るには B a 0成分の下限は 3 2 %がより好ましく、 3 4 %が最も好ましい。 また、 B a 0成分の上限は 5 5 %を越えるとガラス化範囲の限界に近づくため、 より安定なガラス を得るには、 5 5 %までとすることが好ましく、 5 4 %までとすること がより好ましく、 5 2 %までとすることが最も好ましい。
T 12 0成分は、 本発明において、 光弾性定数を小さくする効果が非 常に大きいことを見出した重要な成分であり、 かつ、 ガラスの溶融性や 安定性を向上させ、 屈折率を高める効果を有するため、 本発明の光弾性 定数が小さいガラスにおいて、 必須の成分である。 T 12 0成分を 0. 5 %より多く含有させることにより、 陽イオンとしては大きな分極率を もつタリ ウム ( T 1 ) イオンがガラス中に導入されると、 波長 5 4 6 η mにおける光弾性定数 ( 5) が所望の範囲であり、 かつ、 光学設計上、 特に偏光制御素子の偏光膜作成に有効な 1 . 6 0以上の屈折率 ( n d ) を有する光弾性定数が小さいガラスが得やすくなる。
上記光弾性定数が小さいガラスをより得やすくするためには T 12 0成
分の下限は l %以上がより好ましく、 2 %以上が最も好ましい。 . さらに光弾性定数の小さいガラスを得る上で T I 2 0成分を 0. 5% 以上含有させ、 下記式 ( 3 ) で定義される質量比 A値を、 0. 50より 大きく I . 00以下の範囲とすることが好ましく、 T 12 0成分を 1 %' 以上含有させ、 前記 Α値を 0. 50より大きく 1. 00以下の範囲とす ることがより好ましく、 T l 2 0成分を 2 %以上含有させ、 前記 Α値を 0. 50より大きく 1. 00以下の範囲とすることが最も好ましい。
A= (T 12 〇_ (B 2 03 + (A 12 03 )2 +C aO + Y 2 03 + G d 2 03 +N b 2 05 +MgO + Lu 2 03 +B i 2 03 ) ) ÷T 1 2 0 式 ( 3 )
上記式 ( 3 ) で、 Τ 12 0と示した量は、 Τ 12 0成分の酸化物換算の 含有質量%を意味し、 他の酸化物についても同様である。
上記式 (3) で示される質量比 Α値は、 T 12 0成分の実効率を示す ものであり、 右辺の第二括弧内は、 光弾性定数を大きくする酸化物の質 量%の和である。 光弾性定数を大きくする効果がある酸化物の中でも、 特に A 12 03 成分は、 光弾性定数を增大する作用が大きいため、 二乗 で寄与する。 右辺の第二括弧内の和が小さければ、 T 12 0成分による 光弾性定数低下効果が効率よく発揮され、 逆に、 右辺の第二括弧内の和 が大きければ、 T 12 0成分による光弾性定数低下効果を十分に得るた めに、 T 12 ◦成分を多く含有させる必要があることを意味する。
すなわち、 T l 2 0成分を 0. 5%より多く含有させ、 上記式 ( 3) で定義される質量比 Α値を 0. 50より大きく 1. 0 0以下の範囲とす ることにより (より好ましくは T l 2 0成分を 1 %以上含有させ、 前記 Α値を 0. 50より大きく 1. 00以下の範囲とすることにより、 最も 好ましくは T 12 ◦成分を 2 %以上含有させ、 前記 A値を 0. 50より
大きく 1 . 0 0以下の範囲とすることにより) 、 陽イオンとしては大き な分極率をもつタ リウム ( T 1 ) イオンがガラス中にさらに多く導入さ れ、 波長 5 4 6 nmにおける光弹性定数 ( ? ) が所望の範囲であり、 か つ、 光学設計上、 特に偏光制御素子の偏光膜作成に有効な 1. 6 0以上 の屈折率 (n d ) を有する光弾性定数が小さいガラスがよ り得やすくな る o
また、 T 12 0成分の量が 2 5 %より多いとガラスが着色し、 化学的 耐久性が低下する傾向があるため、 その量を 2 5 %までとすることが好 ましく、 より好ましくは 2 3 %までとし、 2 1 %までとすることが最も 好ましい。
A 12 03 成分は、 光学定数を調整する効果、 化学的耐久性及び機械 的強度を向上させる効果や、 平均線膨張係数を小さくする効果を得るた めに、 任意に含有させることができる。 しかし、 A l 2 03 成分は光弹 性定数を著しく大きく し、 かつ、 ガラスの安定性を低下させるため、 3 %より多く含有させることは好ましくない。 より好ましくは A 12 03 成分の含有量を 2. 5 %以下とすることであり、 また、 光弾性定数が小 さいガラスを得やすくするためには、 含有させないことが最も好ましい 所望の光弾性定数 (/3) および光学特性 (屈折率など) を有するガラ スを得やすくするためには、 P 2 05 + B a 0 + A 12 03 の合計量は 、 9 6 %以下であることが好ましい。 この合計量が 9 6 %より多いと、 含有させうる他の成分の種類や含有量が限定されるため、 ガラスを構成 する成分を多成分にすることによってガラスを安定化させる効果が得に く くなり、 生産性の悪化につながりやすく、 また、 T 12 0成分や、 後 述する L a 2 03 成分や S r 0成分のような光弾性定数を小さくする効
果をもつ成分を効果的に導入しにく くなり、 所望の光弾性定数が得にく くなる。 より生産性が良く、 光弾性定数を小さくする効果をもつ成分を 効果的に導入し、 所望の光弾性定数を得やすくするためには P 2 0 5 + B a 0 + A 1 2 0 3 の合計量は、 9 4 %以下がより好ましく、 9 3 %以 下が最も好ましい。
B 2 0 3 成分は、 ガラスの溶融性や安定性を良好にする効果があり、 特に L a 2 0 3 を含有させやすくなることから、 必要に応じて含有させ ることが可能であるが、 5 %以上であると所望の光弾性定数 ( ? ) を得 にく くなる。 よって、 5 %未満とすることが好ましい。 また、 小さな光 弾性定数をもつガラスを得やすくするためには、 3 %以下とすることが より好ましく、 含有させないことが最も好ましい。
L a 2 0 3 成分は、 光弾性定数を小さく し、 化学的耐久性や機械的強 度を向上させる効果があるが、 6 %を超えると、 ガラスの失透性を増大 させる傾向がある。 よって、 上限を 6 %までとすることが好ましく、 5 %までとすることがより好ましく、 4 %までとすることが最も好ましい また、 Y 2 0 3 、 G d 2 0 3 及び N b 2 0 5 の各成分は、 屈折率を高 める効果があるため、 光学定数の調整に有用であり、 また、 化学的耐久 性及び機械的強度を向上させる効果があるため、 任意に含有させること ができるが、 過度に含有させると、 光弾性定数を増大させるばかりでな く、 ガラスの安定性を低下させるので、 これら 3成分の含有量は、 それ それ、 5 %までとすることが好ましく、 3 %までとすることがより好ま しい。 また、 小さな光弾性定数をもつガラスを得やすくするためには、 これら 3成分の一種または 二種以上を含有させないことが最も好ましい
M g O成分は、 光学定数を調整する効果、 化学的耐久性及び機械的強 度を向上させる効果や平均線膨張係数を小さくする効果を得るために、 任意に含有させることができる。 しかし、 M g 0成分は光弾性定数を大 きくする作用があり、 かつ、 過度に含有させるとガラスの安定性が低下 するため、 1 %未満とすることが好ましい。 また、 小さな光弾性定数を もつガラスを得やすくするためには、 0 . 5 %以下がより好ましく、 含有 させないことが最も好ましい。
C a O成分は、 光学定数を調整する効果、 化学的耐久性及び機械的強 度を向上させる効果や平均線膨張係数を小さくする効果を得るために、 任意に含有させることができる。 しかし、 C a O成分は、 光弾性定数を 大きくする作用があり、 かつ、 過度に含有させるとガラスの安定性が低 下するため、 3 %までとすることが好ましく、 2 %までとすることがよ り好ましい。 また、 小さな光弾性定数をもつガラスを得やすくするため には、 含有させないことが最も好ましい。
S r 0成分は、 B a 0成分と同様に光弾性定数を小さ くする成分であ り、 任意に含有させることが可能であるが、 1 5 %を越えるとガラスの 安定性が著しく低下する。 よって、 1 5 %までとすることが好ましく、 1 3 %までとすることがよ り好ましく、 1 0 %までとすることが最も好 ましい。
L i 2 0、 N a 2 0および K 2 0の各成分は、 ガラス原料の溶融促進 や溶融ガラスを清澄する際の脱泡性を向上させる効果がある成分であり 、 必要に応じて、 任意に含有させることが可能であるが、 いずれの成分 も含有量が 3 %を超えると、 化学的耐久性を悪化させるため、 これら 3 成分の含有量は、 それぞれ、 3 %までとすることが好ましく、 2 . 5 % までとすることがより好ましく、 2 %までとすることが最も好ましい。
C s 2 0成分は、 光弾性定数を維持したまま屈折率を調整できる効果 を有する任意添加成分であるが、 過度に含有させるとガラスの安定性が 悪化するため、 上限は 5 %とすることが好ましく、 4 %までとすること がより好ましく、 3 %までとすることが最も好ましい。
L u 2 0 3 成分は、 屈折率調整効果、 特に高屈折率化の効果を有する ため、 任意に含有させることができるが、 光弾性定数を大きくする作用 があるため、 上限を 5 %とすることが好ましく、 3 %までとすることが より好ましい。 また、 小さな光弾性定数をもつガラスを得やすくするた めには、 含有させないことが最も好ましい。
B i 2 0 3 成分は、 屈折率調整効果、 特に高屈折率化の効果を有する ため、 任意に含有させることができるが、 光弾性定数を大きくする作用 があり、 加えて、 少量の添加でもガラスの着色が顕著になるため、 5 % までとすることが好ましく、 3 %までとすることがより好ましい。 また 、 小さな光弾性定数をもつガラスを得やすくするためには、 含有させな いことが最も好ましい。
S b 2 0 3 成分は、 ガラスを清澄及び均質化する効果を有することに 加えて、 屈折率を調整する効果及び光弾性定数を調整する効果を有する ため任意に添加することができるが、 ガラス原料を溶融する際に過度な 発泡をおこすため、 含有量を 4 %以下とすることが好ましく、 よ り好ま しい上限は 3 %以下であり、 最も好ましい上限は 2 %以下である。
F (弗素) 成分は、 ガラスの溶融性を高めかつ脱泡を促進する効果が あり、 さらに、 光弾性定数を小さくする効果があるが、 多量に含有させ ると、 所望の屈折率を得がたくなるうえ、 弗素の揮発により脈理が生じ やすくやすくなり、 ガラスの特性変動も著しくなるため、 上述した各金 属元素の一種または 二種以上の酸化物の一部または全部と置換した弗化
物の Fとしての合計量は、 5 %を上限とすることが好ましく、 4. 5 % を上限とすることがより好ましく、 4 %を上限とすることが最も好まし い o
なお、 S i 02 、 Z r 02 、 Z n O、 T e 02 、 T a 2 05 、 G e 0 2 、 Y b 2 03 、 W03 および T i 02 成分は、 本発明の効果を損なわ ない範囲で含有させることが可能であるが、 所望の物性の実現及びガラ スの安定性を考慮すると、 S i 02 、 Z r 02 、 Z n O、 T e 02 、 T a 2 05 、 G e 02 、 Y b 2 03 、 W03 および T i 02 の各成分は、 それぞれ、 含有量を 3 %未満とすることが好ましく、 2 %未満とするこ とがより好ましく、 含有させないことが最も好ましい。
さらに本発明の光学ガラスにおいては、 V、 C r、 Mn、 F e、 C o 、 N i、 C u、 M o、 E u、 N d、 S m、 T b、 D y、 E r等の着色成 分は、 含有しない事が好ましい。 ただし、 ここでいう含有しないとは、 不純物として混入される場合を除き、 人為的に含有させないことを意味 "5" ·έ> o
ガラスを清澄及び均質化する効果を有する公知の脱泡剤である砒素成 分 (例えば、 A s 2 〇 3 ) は、 鉛成分と同様に環境負荷が高い成分であ ることのほかに、 P 2 05 一 B a O系ガラスに含有させると、 可視光領 域 (特に 4 0 0〜 5 5 0 nm) の光線透過性を悪化させるため、 含有さ せないことがよ り好ましい。
また、 鉛成分は、 上述のとおり、 環境負荷が高い成分であり、 鉛成分 を含有するガラスを製造、 加工、 廃棄するに際には、 環境対策上の措置 を講じる必要があり、 そのためのコス トを要するうえ、 近年、 鉛成分を 含有するガラスに対する規制をさらに厳しくする動きがあるため、 本発 明の光弾性定数が小さいガラスに鉛成分を含有させるべきではない。
また、 1 0 mm厚のガラスの反射損失を含む分光透過率が 80 %を示 す波長が 380 nm以下である本発明の光弾性定数が小さいガラスは、 可視光領域 (40 0 nm〜 75 0 nm) において、 十分な光線透過性を 有するため、 多種多様な用途をもつ光学ガラスとして使用できるうえ、 光吸収によるガラス自体の発熱を低減できるため、 例えば、 液晶プロジ ェク夕のレンズやプリズムなどの光学素子に使用した場合、 光学素子に 生じる熱応力を小さくできるので光学素子に生じる複屈折量が小さくな り、 優れた光学特性や偏光制御特性を得ることができるため好ましい。 次に、 本発明の光弾性定数の小さいガラスにかかる実施例及び比較例 について具体的に説明する。 なお、 本発明の光弾性定数の小さいガラス は、 以下の実施例に限定されるものではない。
表 1ヽ 表 2に、 本発明の光弾性定数が小さいガラスの好適な実施例 ( N o .1〜N o .1 6 ) の組成ならびに得られたガラスの屈折率 (n d) 、 ァヅべ数 (レ d) 、 光弾性定数 (/5) 及び 1 0 mm厚のガラスの反射 損失を含む分光透過率が 80%を示す波長 (え 80) の数値を示した。 表 1、 表 2に示した本発明にかかる実施例のガラスは、 いずれも、 リ ン 酸化合物、 酸化物, 炭酸塩、 硝酸塩、 弗素化合物及び水酸化物等の通常 の光学ガラス原料を用いて所定の割合で秤量混合した調合原料を石英ル ヅボに投入し、 1 1 00〜 1 300 °Cの電気炉で 1〜 2時間溶融し、 そ の後、 ガラス融液を白金坩堝に移して 1 200〜 1 300 °Cの電気炉で 清澄、 攪拌して均質化し ( 1〜 2時間) 、 1 000〜 1 200 °Cの範囲 の適当な温度に下げてからガラス融液を金型に鎵込み、 徐冷することに より得た。
また、 表 3に、 従来の光弾性定数が小さいガラスの比較例 (N o .A〜 No .H) の組成ならびに屈折率 (nd) 、 アッベ数 (ソ d) 、 光弾性定
数 、β、 及び 1 0 mm厚のガラスの反射損失を含む分光透過率 (外部透 過率) が 80%を示す波長 (人 80) の再現実験値及び公報記載値 (表 3中、 ※ 1印を付点) を示した。
比較例 N 0. Aは特開 2000— 34 1 32号公報の実施例 1のガラス 、 比較例 N o .Bは同号公報の実施例 3のガラス、 比較例 N o . Cは特開 平 1 1— 1 9 9 26 9号公報の実施組成例 N o .8のガラス、 比較例 N o .Dは特開平 1 1— 33 5 1 3 5号公報の実施例 4のガラス、 比較例 N o . Eは特開 2002— 1 28 540号公報の実施例 5のガラス、 比較例 N o .Fは特開平 1 1— 1 3 3 528号公報の試料 N o .6のガラス、 比較 例 N o .Gは特開 2 000— 34 1 3 2号公報の試料 N o .2 1のガラス 、 比較例 N o .Hは特開 2002— 1 28 540号公報の試料 N o .9の ガラスである。 中でも、 比較例 N 0. A〜N 0. E、 N o . Gs N o . H は、 鉛成分を含まない光弾性定数の小さいガラスである。
特開 2000— 34 1 32号公報、 特開平 1 1一 33 5 1 3 5号公報 および特開 20 02— 1 28 540号公報では、 H e - N eレーザー (波 長 633 nm) によって、 これらの公載に記載されている実施例のガラ スの光弾性定数 ( ?) を求めているため、 比較例 N o .A、 比較例 N o . B、 比較例 N o .D、 比較例 N o .E、 比較例 N 0. G及び比較例 N o . H の組成となるように、 それぞれのガラスを作製し、 比較例 N o.A、 比較 例 No .B、 比較例 No .D、 比較例 N o .E、 比較例 N o . G及び比較例 N o . Hのガラスの波長 43 6 nm、 546 nmおよび 644 nmにおけ る光弾性定数 ( 5) を求め、 表 2に示した。
また、 特開平 1 1— 1 9 9 2 69号公報には、 同号公報の実施組成例 のガラスの波長 43 6 nmおよび 644 nmにおける光弾性定数 ( ? ) が記載されていないため、 比較例 N o . Cの組成となるように、 ガラスを
作製し、 波長 4 3 6 nmおよび 644 nmにおける光弾性定数 ( 5 ) を 求め、 表 2に示した。
また、 比較例 N o .Fについては、 特開平 1 1一 1 3 3 5 2 8号公報の図 3から波長 4 3 6 n m、 5 4 6 n mおよび 6 44 n mにおける光弾性定 数 ( 5) 値を読み取り表 3に示した (表 3中、 ※ 2印を付点) 。
本発明の光弾性定数が小さいガラスの好適な実施例 (N o .;!〜 N 0 . 1 6 ) ならびに比較例 N o . A、 比較例 N o .B、 比較例 N o . D、 比較 例 N o .E、 比較例 N o .G及び比較例 N 0.Hの波長 4 3 6 nm、 5 4 6 nmおよび 6 44 nmにおける光弾性定数 ( ) は、 ガラス試料 (直径 2.5 c m、 厚さ 0. 8 c mの対面研磨品) の光透過厚、 すなわち、 前 記式 ( 1 ) における厚さ ( d ) を 0. 8 c mとし、 外部からガラス試料 に一直線方向に圧縮荷重 (F) を加え、 それぞれ g線 (波長 4 3 6 nm ) 、 e線 (波長 5 4 6 n m) 、 C f線 ( 6 44 nm) の光を透過させた ときに生じた複屈折による光路差を測定することによって前記式 ( 1 ) により求めた。 また、 比較例 N o . Cの波長 4 3 6 n mおよび 6 44 n mにおける光弾性定数 は、 ガラス試料 (直径 2.5 c m、 厚さ 0 . 8 c mの対面研磨品) の光透過厚、 すなわち、 前記式 ( 1 ) における 厚さ ( d ) を 0. 8 c mとし、 外部からガラス試料に一直線方向に圧縮 荷重 (F) を加え、 それぞれ g線 (波長 4 3 6 nm) 、 C £線 ( 6 44 nm) の光を透過させたときに生じた複屈折による光路差を測定するこ とによって前記式 ( 1 ) により求めた。
【表 1 】
【表 3】
表 1、 表 2に示したとおり、 本発明の光弾性定数が小さいガラスの好適 な実施例 (N o .1 N o .1 6 ) のガラスは、 いずれも、 波長 546 η mにおける光弾性定数 ( ?) の値が— 0. 2 5 X 1 0— 5 nm' c m— 1 - P a + 0. S O x l O- S nm'cm^ 'P a-1 の範囲内であり、 屈折率 (nd) が 1. 6 0以上であり、 644 nmにおける光弾性定数 { β ) と 43 6 nmにおける光弾性定数 ( ?) との差の絶対値が 0. 1
x 10 ' 5 nm'cnT1 'P a- 1 以下であり、 1 0 mm厚のガラスの反射 損失を含む分光透過率が 80 %を示す波長 (人 8 0 ) が 380 nm以下 である。
また、 本発明の光弾性定数が小さいガラスの好適な実施例のうち、 T 12 0を 1 %以上含有し、 かつ、 前記式 ( 3) で定義される質量比 A値 が、 0. 50より大きく 1. 00以下の範囲である実施例 (N 0.1〜N o .4、 N o .7、 N o .9〜 N o .1 3、 N o .1 5および No .1 6) の ガラスは、 波長 546 nmにおける光弾性定数 ( ) が、 一 0 · 1 5 x 1 0-5 n m · c m" 1 -P a"1 〜十 0. 2 5 x 1 0— 5 nm'cm— 1 · P a-1 の範囲内であり、 屈折率 (nd) が 1. 6 0以上であり、 644 η mにおける光弾性定数 ( ?) と 43 6 nmにおける光弾性定数 ( ? ) と の差の絶対値が 0. 1 X 1 0— 5 nm' c πΓ 1 ' P a- 1 以下であり、 1 0 m m厚のガラスの反射損失を含む分光透過率が 8 0 %を示す波長 ( λ 8 0 ) が 380 nm以下である。
比較例 N 0 · A〜 N o . E、 N 0. Gおよび N o . Hは、 鉛成分を含有し ないガラスとしては、 比較的光弾性定数 ( ?) が小さいと言えるが、 光 弾性定数 ( ) 値が + 0. 30 X 1 0 - 5 nm- cm—1 -P a'1 以下では なく、 高精度に偏光制御を行う用途 (例えば、 液晶プロジェクタの偏光 ビ一ムスプリ ヅ夕等) には、 十分であるとは言えない。
比較例 N 0. A〜N o . Eヽ N o . Gおよび N o . Hのガラスと、 本発明の ガラスとの明確な違いは、 ガラス中の T l 2 0成分の有無である。 例え ば、 比較例 Ν 0.Α〜Ν 0.Ε、 Ν ο . Gおよび Ν ο . Ηと、 本発明の実施 例 No.9、 No .1 1、 N o .1 2および N o .1 6とを比較すると、 本 発明の実施例 N o .9、 N 0.1 1、 N 0.1 2および N 0.1 6は、 光弾 性定数 ( ?) を小さくする効果が高い事が知られている B a 0成分の含
有量が比較例 N o . A〜 N 0. E、 N 0. Gおよび N o . Hよりも少ないが 、 比較例 N o . A〜 N 0. E、 N o . Gおよび N 0. Hよりも小さな光弾性 定数 ( ?) を有しており、 明らかに、 T 12 0成分含有の効果によって 、 光弾性定数 ( ?) が小さくなつていることが分かる。
比較例 N o .Fの P b Oを多く含有するケィ酸ガラスは、 546 nmに おける光弾性定数 ( 5) は、 ほぼ 0 X 1 0— 5 nm- c in" 1 ·Ρ a 1 であ るが、 波長依存性が大きく、 (Δ 5 = 0. 5 X 10 - 5 nm- c m" 1 ·Ρ a— 1 ) 、 特に短波長 (43 6 nm) の光弾性定数 (^) の絶対値が約 0 . 4 X 1 0 - 5 nm'cm— 1 -P a"1 と大きい値を示し、 短波長領域での 複屈折量が増大し、 実用上好ましくない。 更に重大な問題は、 光弾性定 数 の波長依存性の観点から言って、 例えば、 比較例 No . Fのガラ スを用いて、 可視光領域全般を透過するレンズゃプリズムを作製した場 合、 透過波長によって生じる複屈折量が変化するため、 設計した光学特 性を可視光領域全般で均一に実現することができないので、 複雑な光学 設計を必要とするか、 或いは、 複数の光弾性定数 (^) の波長依存性を 持つガラスを組み合わせて光学系を作成しなくてはならない。 また、 大 量の P b 0を含有しており、 環境負荷が非常に高いという欠点がある。