WO2004074397A1

WO2004074397A1 - 不凍液、及びそれに用いうる防錆剤

Info

Publication number: WO2004074397A1
Application number: PCT/JP2004/000875
Authority: WO
Inventors: Yasuo Fukutani; Etsushi Tanaka; Yukio Wada
Original assignee: Fukutani, Kikuko; Tanaka, Mie
Priority date: 2003-01-29
Filing date: 2004-01-29
Publication date: 2004-09-02
Also published as: JPWO2004074397A1; KR20060030011A; US7141102B2; US20060038159A1

Description

明細書

不凍液、及ぴそれに用いうる防鲭剤技術分野

本発明は、熱交換機器用熱媒体、自動車エンジン等の内燃機関用ラジェータ液に添加して使用される、また、道路等の凍結防止等にも用いられ得る低温でも凍らない不凍液に関する。背景技術

水は、 0 °C以下になると氷結して体積が約 1割膨張する。熱交換機器、例えば、自動車用エンジンの冷却を目的とする冷却液は、水のように凍ると、ラジェータゃシリンダー 'ブロックを破壊してしまう。このため、従来、自動車エンジンの冷却を目的とする冷却液には、氷点の低い薬品を添カ卩し、希釈して使用され凍結を防止している。このような冷却液に添加される薬品としては、凍結を防止するため凝固点を低下させるグリコール類、アルコール類が主成分とされている。さらに、これらに金属類の腐食防止のため、防鲭剤、腐食防止剤、酸化抑制剤などが添加され、長寿命化が図られている (例えば、特開平 7— 1 5 7 8 8 6号公報（特許請求の範囲）、特開 2 0 0 2— 9 7 4 6 1号公報（特許請求の範囲））。ラジェータ液に用いられるグリコール類は、従来エチレンダリコールが多量に使用されてきている。

また、冬季、特に寒冷地においては、道路上の降水や積雪、霜等による水分が道路表面で凍結し、または積雪が踏み固められた圧雪となり、通行する通行人や車両がスリップしてスリップ事故や交通渋滞が発生する。このため、円滑な交通、輸送確保、危険防止の観点から、道路の融雪対策、凍結防止対策が必須であり、国または各地方自治団体、道路整備事業関連業界において、種々の凍結防止剤を散布して、凍結を防止している。具体的には、塩化ナトリウムや、塩化カルシゥムを主体とする凍結防止剤（例えば、特開平 1 1一 0 6 1 0 9 5号公報（特許請求の範囲）、特開 2 0 0 0— 2 0 4 3 4 3号公報（特許請求の範囲）、特開 2 0 0 2 - 0 6 0 7 2 6号公報（特許請求の範囲）参照）を散布し、路面の水分に凍結防止剤が溶解し、水分中の塩分濃度を上昇させて凝固点を低下させ、また融解熱により圧雪や凍結路面の氷を融解させている。

' しかし、このような凍結防止剤に添加されている添加剤は、環摔への影響の観点、および人体や動物への影響の観点等から、使用が規制されつつある趨勢となつてきた。規制される物質としては、有害大気汚染物質等に該当する可能性のある物質として、硫黄系、塩素系添加剤、ホウ素化合物、亜硝酸塩およびその誘導体、ホルムアルデヒドおよびその誘導体、ヒドロキシルァミン、ジエタノー/レアミン、ニトロソァミン、トリエタノールァミン等のアミン類、 P C P , P C B等、その他ダイォキシン含有物質、重金属類、エチレンダリコール等の物質が挙げられる。

上記従来技術の不凍液には、上記物質が含有されている。従って、環境を汚染しない物質を用いた不凍液の開発が待たれていた。

一方、道路凍結防止のための凍結防止剤は、 -塩化物を含んでいるので、金属が鲭びやすく、車体を構成する金属、電気系統を保護する被膜、タイヤを劣化させてしまう。さらに、コンクリート、アスファルト等のスケーリングなどの劣化につながる。水分により溶解すると、道路周辺の土壌を汚染し、動植物の生態に影響を与える。上記影響から、自治体によっては、塩化物の使用を停止しているところもあり、酢酸を代替物として用いている場合もある。酢酸は、上記塩化物に比較し高価であるため、大量使用ができない。このため、凍結した道路は、通行禁止としている自治体もある。従って、安価で環境に優しい凍結防止剤の開発が待たれていた。

また、屋根等への積雪を除去するための融雪剤は、温湯等を用いていたが、気温の低下とともに凝固し、除雪することができなレ、場合があつた。

そこで、本発明者らは、ラジェータ液、凍結防止剤、融雪剤等種々の用途に用いうる不凍液を提供することを目指し鋭意研究の結果、本発明に想到した。本発明の不凍液は、上記使用材料の法的規制に対応し、かつ環境保全、衛生面、動植物に対し悪影響を与えない成分で構成され、金属類の防鲭をかねつつ、低温の環境下にあっても凍らない特性を有する。また、排水の際複雑な処理を必要としない、環境に優しいものである。発明の開示

本発明の不凍液は、熱交換機器用熱媒体、自動車エンジン等の内燃機関用ラジエータ液に添カ卩して使用され得る。また、道路等の凍結防止剤、また融雪剤等としても用いられることができる。

すなわち、本発明の不凍液は、グリセリンを含有し、エチレングリコールを使用しないことを特徴とする。

また、本発明の不凍液は、凝固点が、マイナス 2 0 °C以下、さらにはマイナス 5 0 °Cでありうる。

さらに、本発明の不凍液の実施態様としては、エチレンダリコールを含まず、凝固点がマイナス 2 0 °C以下であり、以下の A液、 B液を混合しうる。

(A液) グリセリンを含有する液

( B液) 以下の成分を含む、混合液

主成分としての水

ジカノレボン酸

金属水酸化物水溶液

トリァゾール類、キレート剤、飽和脂肪酸、および不飽和脂肪酸からなる群より選択される 1以上の物質。

さらに、本発明の不凍液は、プロピレングリコール類を含みうる。

ここで、ジカルボン酸は、ドデカンニ酸、またはセバチン酸から選択されうる。水酸化金属塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムから選択される 1または 2以上でありうる。

また、トリアゾール類は、トリルトリアゾール、またはべンゾトリアゾールでありうる。

さらに、キレート剤は、エチレンジァミン四酢酸錯体であり得る。

また、飽和脂肪酸は、カブロン酸、力プリル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群から選択される 1または 2以上であり得る。

また、不飽和脂肪酸は、ォレイン酸、パクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、ァラキドン酸からなる群から選択される 1または 2以上であり得る。

本発明の不凍液の他の実施態様としては、 B液の各成分比が、

キレート剤： 0重量％〜 20. 0重量％

ジカルボン酸： 0. 1重量％〜10. 0重量％

トリアゾール類： 0 '重量％〜 10. 0重量％

飽和脂肪酸及ぴまたは不飽和脂肪酸： 1. 0重量％〜50. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0. 10重量％〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％であり得る。トリァゾール類、キレート剤、飽和脂肪酸、および不飽和脂肪酸は、これらより選択した 1以上の成分を上記範囲内で用いうる。

本発明の不凍液のさらに他の実施態様としては、エチレンダリコールを含まず、凝固点がマイナス 20°C以下であり、以下の構成であり得る。

(A液) グリセリンを含有する液

(B液) 以下の成分を含む、混合液

エチレンジァミン四酢酸錯体、

トリルトリァゾール、

ドデカンニ酸、

力プリル酸および/またはォレイン酸、

金属水酸化物水溶液、

主成分としての水

B液の各成分比としては、

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0. 5重量％〜 20. 0重量％ドデカンニ酸： 0. 1重量。/。〜 10. 0重量％トリルトリアゾール： 0. 1重量％〜 10. 0重量％カプリル酸及ぴ Zまたはォレイン酸： 1. 0重量％〜 50. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0. 10重量％〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％でありうる。力プリル酸おょぴォレイン酸を用いる場合は、力プリル酸： 1. 0 重量⁰/。〜 25. 0重量⁰ /₀、ォレイン酸： 1. 0重量⁰/。〜 25. 0重量⁰ /₀であり得る。

更に、他の実施態様としては、 B液の各成分比としては、

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 1. 0重量％〜10. 0重量⁰ /₀ ドデカンニ酸： 0. 5重量％〜 5. 0重量％トリノレトリアゾール： 0. 5重量⁰/。〜 5. 0重量⁰ /₀ 力プリル酸： 2. 0重量％〜20. 0重量％ォレイン酸： 2. 0重量⁰/。〜 20. 0重量⁰ /₀ 金属水酸化物水溶液： 1. 0重量％〜1 5. 0重量％水： 30. 0重量％〜 90. 0重量％でありうる。

ここで、上記不凍液は、さらに、ジプロピレングリコールを含み得る。

また、上記不凍液は、さらに、多価フエノール類を含み得る。多価フエノール類は、フラボノィド、クマリン類、フエ-ルプロパノイド、タンニン類から選択される 1以上の物質であり得る。

本発明の不凍液における (A液) グリセリンを含む液は、不凍液全量に対し、 1重量％〜 99重量％であり得る。

また、本発明の不凍液は、 A液中、グリセリンとプロピレンダリコールの重量比が、 99. 5 : 0. 5〜0. 5 : 99. 5であり得る。

上記不凍液は、さらに、水ガラス水溶液が含まれ、凍結防止剤に用い得る。本発明の防鲭剤は、以下の成分を含むことを特徴とする。

主成分としての水

ジカノレボン酸

金属水酸化物水溶液

ここで、ジカルボン酸は、ドデカン二酸、セバチン酸から選択されうる。また、水酸化金属塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化力リウムからなる群から選択される 1または 2以上であり得る。

また、トリアゾール類は、トリルトリアゾール、またはべンゾトリアゾールであり得る。

ここで、キレート剤は、エチレンジァミン四酢酸錯体であり得る。

さらに、飽和脂肪酸は、カブロン酸、力プリル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群から選択される 1または 2 以上であり得る。

また、不飽和脂肪酸は、ォレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、ァラキドン酸からなる群から選択される 1または 2以上であり得る。

本発明の防鲭剤の実施態様としては、各成分比が、

キレート剤： 0重量⁰/。〜 20. 0重量⁰ /₀

ジカルボン酸： 0. 1重量％〜 1 0. 0重量％トリアゾール類： 0重量％〜 10. 0重量％

飽和脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸： 1. 0重量％〜50. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0. 10重量％〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％であり得る。

更に、他の実施態様としては、 B液の各成分比としては、

ェ ― ミン 4酢酸錯体： 0. 5重量％〜20

ドデカンニ酸： 0 1重量％〜 10

トリルトリ了ゾーノレ： 0 1重量％〜 10

カプリル酸： 1 0重量％〜25 0重

ォレイン酸： 0重量％〜25. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0 10重量％〜20. 0重量％水： 30. 0重量％〜95. 0重」でありうる。

本発明の防鲭剤のさらに他の実施態様としては、以下の成分を含み得る _t エチレンジァミン 4酢酸錯体

ドデカンニ酸

トリルトリァゾール

力プリル酸及ぴまたはォレイン酸金属水酸化物水溶液

水

本発明の防鲭剤のさらに他の実施態様は、以下の成分を含み得る。

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0. 5重量％〜 20. 0重量％ドデカンニ酸： 0. 1重量％〜 10. 0重量％

トリルトリアゾール： · 0. 1重量％〜 10. 0重量％

力プリル酸及ぴまたはォレイン酸： 1. 0重量％〜50. 0重量％金属水酸化物水溶液 0. 1重量％〜 20. 0重量％

水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％

本発明の防鲭剤は、さらに、多価フエノール類を含み得る。

ここで、多価フエノール類は、フラボノィド、クマリン類、フエニルプロパノィド、タンニン類からなる群から選択される 1以上の物質であり得る。

さらに、多価フエノール類は、 1 X 10一 ⁶重量％〜 1重量％含有され得る。図面の簡単な説明

第 1図は、本発明の不凍液を融雪剤として用いた場合の屋根面への散布の態様を示す図である。発明を実施するための最良の形態

本発明の不凍液は、基本的には、グリセリンまたはその誘導体を含み、ェチレングリコールを使用せず、環境に悪影響を与えない成分で構成された不凍液であり、従来用いられている不凍液をしのぐ性能を有する。

本発明の不凍液は、日本国環境省環境管理局で指定している「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」（改正大気汚染防止法（1997年 4月 1日施行）第 2条第 9項掲載）に挙げられているエチレングリコールを一切含まない。本発明の不凍液は、希釈しない濃厚液の状態において、凝固点が、マイナス 20 °C以下も可能である。これ以下の温度においても、シャーベット状の固体であつて、固化しない。成分の調整例によっては、凝固温度が、マイナス 50°C以下も可能である。本発明の不凍液は、グリセリンまたはその誘導体から製造することも可能である。例えば、 2 5 %の水/ 7 5 %のグリセリンからなる混合物は、マイナス 9 0 °Cまで凍らないことが本発明において実証されている。

本発明の不凍液は、グリセリンまたはその誘導体を含む A液と、特定成分を含む B液とを混合してなる。 A液は、グリセリンの他、水可溶のアルコール類またはその誘導体を含み得る。グリセリンの他に含まれ得る成分としては、例えば、グリセリン . カーボネート、グリセリンのァセターノレ、ソノレビ'トーノレ、ダルコ一ス、好ましくは、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピレンアルコール、プロピレンダリコールまたはその誘導体類等を含み得る。ここで、「アルコールの誘導体類」とは、アルコールのエステル、エーテルを含む概念である。

グリセリン等は、本発明の不凍液に冷却効果を付与し、さらに使用の態様に応じた適度の粘度を付与する。被着物への不凍液の付着を容易にする効果も有する。さらに、グリセリン等は、他の溶媒との混合液、例えば水溶液とすると、特に不凍液の凝固点低下に貢献する。さらに、これらは、 p H安定効果を有する。 A液中のグリセリンの成分比は、 0 . 5〜 1 0 0重量％が好ましい。

ダリセリンの他の A液成分として、プロピレングリコールが、好ましく用いられる。グリセリンとプロピレングリコールの A液中での重量比は、好ましくは 9 9 . 5 : 0 . 5〜 0 . 5 : 9 9 . 5である。グリセリンと他の A成分との比率は、用途に応じて、適宜設定し得る。

B液は、基本的には、金属に対する防鲭の効果、および凝固点をさらに低下させる効果を担保し得る。 B液は、以下の成分を含み得る。すなわち、水を主成分とし、さらに、ジカルボン酸、金属水酸化物水溶液を含む。この他、トリァゾール類、キレート剤、飽和脂肪酸、または不飽和脂肪酸からなる群より選択される 1以上の物質から構成される。 B液は、本発明の不凍液の構成成分であるが、単独で防鲭剤としても用い得る。

ジカルボン酸は、好ましくは、ドデカン二酸、セバチン酸などが用いられ得る。

B液中の好ましい成分比は、 0 . 1重量％〜1 0 . 0重量％であり得る。

金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが挙げられる。なお、塩素系の金属塩は使用しない。これらは、水に溶解した水溶液として用いることが取り扱い上好ましい。この水溶液は、好ましくは、水で 3倍から 5倍に希釈して用いることが好ましい。 B液中の金属水酸化物水溶液の好ましい成分比は、 0 . 1 0重量％〜2 0 . 0重量％であり得る。

トリアゾール類は、トリルトリアゾール、またはべンゾトリアゾールが例示される。 B液中の好ましい成分比は、 0重量％〜1 0 . 0重量％である。

キレート剤は、エチレンジァミン四酢酸、ユトリロ酢酸、またはこれらの金属塩、イオン等の錯体が挙げられる。 B液中の好ましい成分比は、 0重量％〜2 0 . 0重量％であり得る。

本発明に用いられる B液は、さらに飽和脂肪酸および/又は不飽和脂肪酸を含む。飽和脂肪酸としては、力プリル酸、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、少なくとも 1つが選択され得る。さらに、不飽和脂肪酸は、例えば、ォレイン酸、リノール酸、リノレイン酸から少なくとも 1つ選択され得る。これらの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸は、 1つまたは 2以上の組み合わせで用いられ得る。例えば、飽和脂肪酸の力プリル酸と不飽和脂肪酸のォレイン酸が本発明の不凍液の成分として用いられ得る。 B 液中の飽和脂肪酸および/又は不飽和脂肪酸の好ましい成分比は、 0重量％〜5 0 . 0重量％であり、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸を用いる場合は、それぞれ 1 · 0重量⁰/。〜 2 5 . 0重量％であり得る。

水は、主成分として含まれ、基本的には、脱イオン水、精製水、蒸留水、水道水、あるいは鉱泉水等を用い得る。 B液に含まれる好ましい成分比としては、 3 0 . 0重量％〜9 5 . 0重量％であり得る。

本発明の不凍液は、上記成分の他、さらにジプロピレンダリコールを含み得る。ジプロピレンダリコールは、本発明の不凍液に添加すると、不凍液を高温の環境で用いても p H値が安定し、好ましい。本発明の不凍液において、防鲭効果を担う B液中、好ましくは、 0 . 0 1重量％〜1 0 . 0重量％含まれ得る。また、ジプロピレングリコールは、本発明の防鲭剤の成分としても、用いることができ、上記成分に加えて用い得る。

さらに、本発明の不凍液は、多価フエノールを含み得る。ここで、多価フエノール類は、フラボノィド、クマリン類、フエニルプロパノイド、タンニン類から選択される 1以上の物質であり得る。この多価フエノール類は、本発明の不凍液の成分として添加すると、不凍液を高温の環境で用いても、接触している金属に焼きつきがなく、金属表面が変色しにくい。多価フエノール類は、本発明の不凍液において、防鲭効果を担う B液中、好ましくは、 1 X 1 0— ⁶重量％〜1重量％含まれ得る。フラボノィドには、たとえは、バイカリン、クリシン、ミリセチン、ジヒドロミリセチン、モリン、ナリンジン、タエノレセチン、クエルシトリン、ノレチン、ォゥゴニンがあげられる。クマリン類には、クマリン、エスクレチン、スコポレチン、スコポレチンがあげられる。フエ-ルプロパノィドには、カフェ酸、クロロゲン酸、ケィヒ酸、タマル酸等、タンニン類は、ェピガロカテキン、没食子酸、タンニン等があげられる。

本発明の不凍液には、さらに、使用の態様によって、消泡剤を添加してもよい。上記成分の混合の方法および順序は特に限定されない。例えば、 B液成分を調整し、これらを水に溶解させて、本発明に用いる B液を調整する。その後、この水溶液とグリセリンを含む A液とを混合する。または、 B液成分の一部を水に溶解し、この溶液とグリセリンを含む A液とを混合させた後、 B液残余の成分を溶解してもよい。または、 B液成分の一部とグリセリン等の一部を混合した後、他の残余の成分およぴグリセリン等を含む A液の残余とを混合してもよい。

本発明の実施の態様の 1つとしては、 A液としてグリセリン、 B液として、以下の成分を含む混合液であり得る。すなわち、エチレンジァミン四酢酸錯体、トリルトリァゾール、ドデカンニ酸、力プリル酸および/またはォレイン酸、金属水酸化物水溶液、ジプロピレンダリコール、多価フエノール類、特にはクロロゲン酸、そして残部が水である。本発明の不凍液は、環境に悪いとされている物質を含まず、 A液と相乗して凝固温度をさらに低下させる効果を有する。さらに、防鲭、洗浄効果を有する。

A液おょぴ B液の成分は、用途に応じ上述した範囲内において選択し得る。また、 A液と B液の重量比は、例えば、ラジェータの不凍液として用いる場合、防鲭効果と凝固点を下げる効果を双方効果的に得るためには、 9 9 ： 1から 1 ： 9 9の範囲が好ましい。用途に応じて、本発明の不凍液における A液と B液の比率は適宜選択し得る。本発明の好適な'実施態様の 1つとして、ラジェータの不凍液として用いる場合、例えば、 A液はグリセリンを含む液であり、 B液の各成分おょぴそれらの体積比は、以下のように選択し得る。すなわち、

(1) A液：グリセリンおよびプロピレングリコールを含有する液

(2) B液：以下の成分を含む、混合液

エチレンジァミン四酢酸錯体、

トリルトリァゾール

ドデカンニ酸

カプリル酸およぴ Zまたはォレイン酸

金属水酸化物水溶液

ジプロピレンダリコーノレ

クロロゲン酸

主成分としての水

を、成分とし得る。これらの成分からなる不凍液は、防鲭効果の点で、特に好ましい。これらの成分比としては、例えば、

(2) B液：以下の成分を含む、混合液

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0. 5〜 20重量⁰ /₀、好ましくは 0. 5〜 10重量％、

ドデカン二酸： 0. 1〜10. 0重量⁰ /₀、好ましくは、 0. 5〜5. 0重トリルトリアゾール： 0. 1〜： 1 0. 0重量⁰ /₀、好ましくは、 0. 5〜 5. 0重量％、

力プリル酸及ぴ Zまたはォレイン酸： 1. 0〜50. 0重量⁰ /。、ただし、双方を用いる場合は、

力プリル酸： 1. 0〜25. 0重量⁰ /₀、好ましくは、 2. 0〜20. 0重ォレイン酸： 1. 0〜25. 0重量⁰ /₀、好ましくは、 2. 0〜20. 0重量⁰ん金属水酸化物水溶液： 0. 1 0〜20. 0重量％、好ましくは1. 0〜1 5. 0重量％、

水： 30. 0〜95. 0重量⁰ /₀、好ましくは、 30. 0〜90. 0重量⁰ /₀ である。

さらに、ジプロピレングリコールを含む場合、 0. 01重量％〜10. 0重量 %程度含むことが好ましい。更に、クロロゲン酸を含む場合、 1 X 10一⁶重量％〜： 1重量％が好ましい。

また、本発明の不凍液は、 A液にグリセリンのほか、プロピレングリコールを含む態様も挙げられる。グリセリンとプロピレングリコールの重量比は、 99. 5 ： 0. 5〜0. 5 : 99. 5であり得る。

上記成分比の本発明の不凍液は、グリセリン等による凝固点の低下の効果、および B液成分の防鲭効果および凝固点のさらなる低下の効果とが相乗して、好ましい効果が証明されている。

本発明の不凍液は、 p H 7. 0〜pH 1 3. 0、好ましくは、 p H 7. 0〜p H 1 2. 0の範囲内の水素ィオン濃度を保持することが好ましい。この範囲において、使用態様に応じて構成成分の配合比率を選択して pH調製し、各種金属、例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼材またはこれらの合金等の各種金属の表面に対する腐食を防止することができる。

防鲭の効果として、例えば、上記組成の不凍液を、蒸留水で 1 5倍に希釈した液は、 pH9. 0〜9. 5であるが、この液に鎵鉄を 48時間浸漬しても鲭を生じない。

また、本発明に係る不凍液の 1実施態様において、 A液をグリセリン、 B液を調整例 1の調整で行い、 A液 75%、 B液 25%とする場合、マイナス 107. 8 °Cの凝固点が測定され、顕著な不凍効果が証明されている。

本発明の不凍液は、防鲭の効果の他、洗浄効果も有する。例えば、自動車のラジエータ、エンジン、配管内を循環する不凍液として用いた場合、金属製のラジエータ、エンジン、配管、周囲の機器等を鲭びさせることがない。従って、自動車のみならず、気温が零下である対流圏、成層圏を飛行する航空機等のエンジン冷却装置の冷却媒体としても用いる等、航空 ·宇宙分野においても用いることができる。また、長期間の使用に際しても、沈殿物が生じにくく、優れた不凍効果および、防鲭効果も持続する。従って、定期的に液交換する繁雑さがない。

さらに、潜熱蓄熱に応用することができ、床暖房、氷蓄熱器等の熱媒体として用いることができる。

本発明の不凍液は、特殊な廃液処理を要する原材料を用いていないので、使用後、廃液は環境に悪影響を与えず、通常の処理で排水することができる。

さらに、本発明の他の実施態様として、上記調整した不凍液を凍結防止剤としても用いうる。凍結防止剤として用いる場合は、道路や駐車場等のアスファルトやコンクリート、タイル等による舗装面に散布して、凍結を防止することができる凍結防止剤として使用する場合、散布した道路等への付着性を高めるために、不凍液に増粘剤を添加すると好ましい。増粘剤としては、低温であっても増粘効杲を付加することができる範囲で特に限定されず、たとえばベントナイト、アルミノシリケ一ト、非イオン系セルロース誘導体であるヒドロキシェチルセルロース、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、ヒドロキシプロピルメチノレセノレロース、ヒドロキシェチノレメチノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレエチノレセノレロース、ヒドロキシェチルェチルセルロースや、水ガラスなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらを水溶液として、本発明の不凍液と混合した混合液は、凍結防止剤として好適に用いられ得る。水ガラスの水溶液は、例えば、水ガラスを水で 2〜1 0倍に希釈したものを用いる。上記調整した不凍液と水ガラス水溶液との体積比率は、好ましくは、 1 ： 2〜2 ： 1である。この調整液を原液とし、気温により、好適な凝固範囲を選択して、適宜水で希釈度を調整し、道路や駐車場の表面に散布して用いる。なお、上記凍結防止剤に用いる調整液は、原液を用いても、走行車両を用いたスリップ試験において、水と同等の評価を得ている。

また、上記調整した凍結防止剤に用いる不凍液は、凍結した道路の表面に散布すると、凍結していた道路表面の水が解凍する。上記液は、 3 0 °C〜4 0 °C程度の温水とすると特に解凍効果が大きい。

また、本発明の不凍液は凝固点が低いので、融雪効果が大きく、融雪剤として好ましく用い得る。融雪剤として使用した場合、経時的に雪が解けて水となり本発明に混合して不凍液を希釈することとなる。本発明の不凍液は、 A液の濃度が低くなつても、 0 °Cよりはるかに低い凝固点を保持しうる。従って、長時間にわたって融雪効果を持続することができる。

本発明の不凍液はグリセリンを含む A液の割合が大きいと、凝固点が低くなる特徴を有する。 A液を 7 0 %、好ましくは 7 5 %、特には 8 0 %含む不凍液は、マイナス 1 0 0 °C以下の凝固点を有する特異な特徴を有する。従って、このよう' な A液を多く含む不凍液を融雪剤として散布すると、短時間で融雪効果が得られ、さらに融けた水で希釈されても長時間優れた融雪効果を持続することができる。本発明の不凍液は、融雪剤として、降雪時に家屋の屋根に散布することにより、屋根の上への積雪を減少させることもできる。従来から、屋根に水や温水を散布する技術は知られている。しかし、降雪時には気温は 0 °C以下となるが、水は 0 °C以下で凍結するため、屋根の温度が 0 °C以下であれば、屋根に接触した部分から水が凍結する可能性がある。また、散布を継続していなければ屋根で水が凍結してしまうという問題がある。しかし、本発明の不凍液は 0 °Cを下回っても凍結しないので、散布の途中で凍結することはない。また、散布を停止しても、乾燥が水に比較して遅いので、水を含んだ湿潤状態を持続することができる。上述のように希釈されても融雪効果を持続することができるので、断続的な散布で足り例えば、図 1 ( a ) ( b ) ( c ) に示すような装置の設置例により、本発明の不凍液を屋根面に散布することができる。図 1において、 2は本発明の不凍液を貯蔵するためのタンク、 4は、屋根の上まで不凍液を揚水するための加圧ポンプであり、 6は、本発明の不凍液を屋根に散布するための、有孔管である。有孔管6の孔 1 0は、屋根面双方に向けて設置されている。 1 2は、有孔管を屋根に取り付ける固定器具である。図中、矢印は、不凍液の流れ方向を示す。

上記不凍液に用いられ得る B液は、本発明の不凍液の防鲭効果を担う必須成分として含まれる。

さらに本発明の防鲭剤は、成分が、上述した B液成分と同様であってよく、言い換えれば、上記 B液は、単独で防鲭剤として用いうる。具体的には、本発明の防鲭剤は、主成分としての水、ジカルボン酸、金属水酸化物水溶液を必須成分とし、さらにトリァゾール類、キレート剤、飽和脂肪酸、および不飽和脂肪酸からなる群より選択される 1以上の物質を含み得る。

ジカルボン酸、トリァゾール類、飽和脂肪酸、キレート剤、不飽和脂肪酸、水酸化金属塩は、上記不凍液に例示したものと同様のものが用いられ得る。

また、これらの成分比も、本発明の不凍液に例示した、成分比を用い得る。さらに、本発明の防鲭剤の実施態様としては、

エチレンジァミン 4酢酸錯体

ドデカンニ酸

トリノレトリアゾール

カプリル酸

ォレイン酸

金属水酸化物水溶液

水を含み得る。このような組成の本発明の防鲭剤は、環境に悪いとされている物質を含まず、防鲭、洗浄効果を有する。

ここで、上記実施態様の成分比の 1例としては、

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0. 5重量％〜20. 0重量％、好ましくは 1. 0重量％〜 10. 0重量％

ドデカン二酸： 0. 1重量％〜10. 0重量％、好ましくは0. 5重量％〜5. 0重量％、

トリルトリァゾール： 0. 1重量⁰/。〜 10. 0重量⁰ /₀、好ましくは 0. 5 重量％〜5. 0重量％、

力プリル酸： 1. 0重量％〜25. 0重量％、好ましくは 2. 0重量％〜 20. 0重量％、

ォレイン酸： 1. 0重量％〜25. 0重量⁰ /₀、好ましくは 2. 0重量％〜 20. 0重量％、

金属水酸化物水溶液： 0. 01重量％〜 20. 0重量％、好ましくは 1. 0重量％〜1 5. 0重量％

水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％、好ましくは 30. 0重量％〜 90. 0重量％が好ましく挙げられる。

本発明の防鲭剤の他の実施態様としては、さらに、ジプロピレンダリコールを含みうる。ジプロピレングリコールは、本発明の防鲭剤に成分として添加すると、例えば金属加工工程において高温の環境で用いても p H値が安定し、好ましい。ジプロピレングリコールは、本発明の防鲭剤において、好ましくは、 0 . 0 1重量％〜1 0 . 0重量％含まれ得る。本発明の防鲭剤は、さらに他の実施態様としては、さらに、多価フヱノール類を含み得る。ここで、多価フヱノール類は、フラボノイド、クマリン類、フエニルプロパノイド、タンニン類から選択される 1 以上の物質であり得る。この多価フエノール類は、本発明の防鲭剤として用いると、例えば金属加工工程において、高温の環境で用いても、接触している金属に焼きつきがなく、金属表面が変色しにくい。多価フノール類は、本発明の防鲭剤の成分中、好ましくは、 1 X 1 0一⁶重量％〜1重量％含まれ得る。フラボノィドには、たとえは、バイカリン、クリシン、ミリセチン、ジヒドロミリセチン、モリン、ナリンジン、タエルセチン、クエノレシトリン、ノレチン、才ゥゴニンがあげられる。クマリン類には、クマリン、エスクレチン、スコポレチン、スコポレチンがあげられる。フエニルプロパノイドには、カフェ酸、クロロゲン酸、ケィヒ酸、クマル酸等、タンニン類は、ェピガロカテキン、没食子酸、タンニン等があげらる。

上述した本発明の防錡剤は、銅、アルミニウム、鉄、鋼材またはこれらの合金等種々の金属の加工工程に用いる金属加工液あるいは金属部品等の保管、ラジェータ用冷却液等にも使用されうる。

以上、本発明について説明したが、本発明は、これらの実施の形態のみに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々の変更、修正、改変を加えた態様で実施しうる。以下、本発明の実施の態様について,説明する。

【調製例 1 ( B— 1液）】

E D T A · N a塩（商品名クレワット帝国化学産業株式会社製） 5 0 g , ドデカン二酸 1 4 . 5 g , トリルトリァゾール（商品名 T T一 1 3 0 城北化学工業株式会社製） 12. 5 g、力プリル酸 1 30 g , ォレイン酸 125 g，水 450 g、水酸化ナトリゥム水溶液（33%希釈、 pHl 1〜1 3) 1 50 g, ポリアルキレングリコール（商品名デイスホーム LE— 1 20 R) 68 gを調製し、混合する。これを B— 1液とする。

【実施例 1】

A (グリセリン 100重量％)液：上記調製例 1で調製した B— 1液の重量比を、 5 : 95、 10 : 90、 1 5 : 85、 20 : 80、 25 : 75、 30 : 70、 5 0 : 50、 75 : 25で混合し、実施例 1一 1、 1— 2、 1— 3、 1一 4、 1一 5、 1— 6、 1一 7、 1—8とした。それぞれ調整した液について、示差走査熱量計（セイコーインスツルメント製：走査速度 5°C/m i n) にて測定し、凝固点を得た。表 1に、 A液と B液の配合比と凝固温度を示した。

【表 1】

【調整例 2 (不凍液原液（1) 】

A (グリセリン 100重量％)液：調製例 1で調製した B液 =7： 3の混合比で、本発明の不凍液を調整した。

【実施例 2】

調整例 2で調整した不凍液原液（1) を精製水で希釈した、液の凝固温度を測定した。

調整例 2で調整した不凍液原液（1) と水の重量比が、 100 : 0、 50 : 50、 30 : 70、 20 : 80の割合で混合し、実施例 2— 1、 2— 2、 2— 3、 2— 4とした。それぞれ調整した液の、凝固温度を測定した。表 2に、配合比と p H、凝固温度を示した。【表 2】

【実施例 3】

調整例 2で調整した不凍液原液（1) を、蒸留水で重量比で、 5%、 1 0%、 1 5%、 20%、 2 5%、 3 0%にそれぞれ希釈した液を調整し、それぞれ、実施例 3— 1、 3— 2， 3— 3， 3— 4、 3— 5とした。冷凍庫（ホシザキ（株） HPFDOMFT 3) を用いて、一 1 5 °Cで 6時間放置後の状態を観察した。結果を、表 3に各液の目視観察による状態を示した。

【 J

【実施例 4】

(防鲭試験）

铸鉄、鉄、銅合金、アルミニウム 400 0、アルミニウム 5 0 0 0、アルミニゥム 6 00 0、アルミニウム 7 00 0の各金属片を、調整例 2で調整した本発明の不凍液を 1 5倍に蒸留水で希釈した液（ p H 9. 0〜 9. 5) に、 50 °Cで 4 8 時間浸漬した。铸鉄、鉄には鲭が発生しなかった。銅合金、アルミニウム片は変色がなかった。

【調整例 3 不凍液原液（2) 】

グリセリンを 30重量％、プロピレングリコールを 6 1重量％、調製例 1で調製した B— 1液を 9重量％の割合で混合した。【実施例 5】

上記調整例 3の不凍液原液（ 2 )液を 30重量％、蒸留水 70重量％で希釈した。この液に、アルミ 7000番、エンジン用アルミ合金、銅、黄銅、鎳鉄、鉛ースズはんだ、の各金属片を浸漬し、 60. 0°Cの保温庫（東洋製作所株式会社製： C I— 410) 内で、 420時間放置した。結果を表 4に示す。変化のあつたものについては記載し、変化がないものは〇とした。

【表 4】

【比較例 1】

市販の不凍液（日石三菱株式会社製：クーラント補充液グリーン）に、実施例 5 と同様の条件で、アルミ 7000番、銅、黄銅、铸鉄の各金属片を浸漬した結果を表 4に示す。

本発明にかかる不凍液は、アルミ ⁷000番、銅、黄銅に関しては、市販の不凍液が変色したのに対し、変化はみられなかった。錄鉄については、市販の不凍液と比較し、同様に変化はみられなかった。

【実施例 6】

上記調整例 3で調整した不凍液原液（2) と蒸留水を重量比で、 50 : 50、および 30 ： 70の割合で、希釈した液'を調整した。また、グリセリン 90重量 %Β液 10重量⁰ /₀を混合した液と蒸留水を重量比で 50 ： 50の割合で液を調整した。それぞれ、実施例 6— 1, 6-2, 6— 3とした。

これらを、一 24°Cで 900時間放置した。表 5に各サンプルの配合比と希釈率、目視観察の状態を示した。【表 5】

【調製例 4 (B— 2液）】

EDTA . N a塩（商品名クレワット帝国化学産業株式会社製） 30 _g, ドデカン—酸 1 0 " トリルトリアゾール（商品名 T T— 1 30 城北化学工業株 ¾ 会社製） 7 g、力プリル酸 1 1 0 g, ォレイン酸 5 0 g，水酸化カリウム水溶液 (3 3%希釈、 pH l 1〜1 3) 1 3 0 g、水 6 6 3 gを調製し、混合する。これを B— 2液とする。

【調製例 5 不凍液原液（3) 】

ロピレンダリコール^{9 5}重量％、グリセリン 1重量⁰ /o、上記調製例 4で調製した B— 2液 4重量⁰ /₀とした。

【実施例 7】

上記調製例 5で調整した本発明の不凍液原液 (3) 3 3 0m lを蒸留水 6 7 Q m 1で希釈した。この液に、アルミ 700 0番、エンジン用アルミ合金、銅、黄銅、铸鉄、鋼、鉛ースズはんだ、の各金属片を浸漬し、一 2 1°Cの冷凍庫（ホシザキ (株） HPFDOMFT 3) 、 3 6 0時間放置、および保温槽（タイガー VE真電動ポット）内で、 1 2時間毎に 1 0 0。Cに沸騰させ、 9 8°Cの保温状態を³ 6 0時間持続させた。結果を表⁶に示す。〇は、変化がないことを示す。

【表 6】

サンブル

条件アルミ 7000番銅黄銅錶鉄 in 鉛-スス '/ ダ

実施例フ —21。0360時間〇〇 .0 o 〇〇

実施例 7 98^uO360時間〇〇〇〇〇〇【調整例 6 不凍液原液（4) 】

調製例 1で調整した B— 1液、

グリセリン、

珪酸ナトリウム（荒川科学工業株式会社製） 500 gを 60 gの精製水で 20倍に希釈した水溶液、

を、この順で、重量比 1 ： 7 ： 1の割合で混合した。

【実施例 8】

(スリップ試験）

カローラ（トヨタ自動車株式会社製）を速度 50 km/ hで安定走行させ、急ブレーキをかけた。ブレーキをかけた位置から停止した位置との間の距離を測定した（天候：晴れ、気温 25°C) 。路面はアスファルト舗装面である。水おょぴ、調製例 6で調整した本発明の不凍液原液（4) の各種希釈率の希釈液を、路面に散布した。以下の条件におけるアスファルト路面上の車両走行によるテストを行つた。

実施例 8-1 ：不凍液なしの路面走行、

実施例 8-2 ：本発明の不凍液の 3倍希釈液を散布した路面走行、

実施例 8— 3 ： 5倍希釈液を散布した路面走行、

実施例 8— 4 ： 10倍希釈液を散布した路面走行、

実施例 8-5 ：水道水を散布した路面走行、

実施例 8— 6 ：タイヤに砂を一面に付着させた車両を用いた、本発明の不凍液の 3倍希釈液を散布した路面上の走行、

について、テストを行った。結果を表 7に示した。

【表 7】

表 7により、スリップテストの結果、本発明の不凍液を散布した状態は、不凍液の希釈率に関係なく、水道水を散布した状態と変化ないことが示された。すなわち、通常の自然水による路面のぬれに対するスリップ状態となんら変化のないこと力 Sゎカゝる。

【調製例 7 (B— 3液）】

EDTA · N a塩（商品名クレワット帝国化学産業株式会社製） 2 0 g, ドデ力ンニ酸 1 4 g，トリルトリアゾール（商品名 T T一 1 30 城北化学工業株式会社製） 1 0 g、力プリル酸 7 5 g，ォレイン酸 7 5 g，水酸化カリウム水瑢液 (3 3 %希釈、 p H 1 1〜 1 3) 1 3 0 g、ジプロピレンダリコール 40 g、クロロゲン酸水（クロロゲン酸（和光製薬株式会社製） l gを蒸留水 4リットルに希釈した液） 1 0 g、水 6 26 gを調製し、混合する。これを B— 3液とする。

【調製例 8 不凍液】

A液（プロピレングリコール 9 5重量％グリセリン 5重量⁰ /₀の混合液） 3 0重量 %、上記調製例 7で調製した B— 3液 3重量⁰ /₀、水 6 7重量⁰ /₀として、不凍液を調製した。

【実施例 9】

上記調製例 8で調製した不凍液に、この液に、アルミ 700 0番、エンジン用ァルミ合金、銅、黄銅、錡鉄、鋼、鉛ースズはんだ、の各金属片を浸漬し、一 2 1°Cの冷凍庫（ホシザキ（株） HP FDOMFT 3) 、 3 6 0時間放置、および保温槽（タイガー VE真空電動ポット）内で、 1 2時間毎に 1 00°Cに沸騰させ、 9 8°Cの保温状態を 1 2 0 0時間持続させた。結果を表 8に示す。〇は、変化がないことを示した。

【表 8】サンブル

条件アルミ銅錶鉄鋼ハンダアルミ合金

7000番鉛 -ス； rェンシ "ン用実施例 9 -21"C

1200時間〇〇〇〇〇〇〇

実施例 9 98。C

1200時間〇〇〇〇〇 o 〇産業上の利用可能性

以上のように、本発明にかかる不凍液は、新規な成分の不凍液であり、詳しくは、環境庁が指定する有害物質、エチレングリコール等の化学物質を使用せず、水を主成分とし、種々の特定された成分を含むことにより、原液で常圧で一 2 0 °C以下、さらには _ 5 0 °C以下の条件においても、凍ることなく液状であることが可能である。種々の分野において、不凍効果、防鲭効果の要求用途に応じて、水にて希釈することができ、作業性および環境性に優れ、廃液も環境に悪影響を与える物質を含まないので、廃液処理が簡便である。

また、本発明の不凍液は、エンジンに併設されるラジェータの冷却水として特に寒冷地においても使用することができる他、電気エネルギーの負担を軽減することのできる床やビルの冷房のための氷冷却機構にも使用することができ、さらには食品、薬品等の保冷剤等あらゆる不凍液を用いてなる用途に用い得る。また、水ガラスを一定量付加させ、適宜希釈した液を路面に散布することにより、路面上の水分が凍結することを防止することができる。

自動車、航空機等のエンジンの冷却装置の冷却媒体として、また、床暖房、氷蓄熱器等の熱媒体として、また道路等の凍結防止等のあらゆる用途に用いうる。さらには、防鲭の効果、洗浄効果も有する。使用後、廃液は、環境に悪影響を与えず、通常の処理で排水することができる。

また、本発明の防鲭剤は、上記本発明の不凍液の必須成分として用い得る他、単独で、金属加工液や、金属の保存液としても用いることができ、優れた防鲭効果を有する。本発明の防鲭剤も、本発明の不凍液同様に、作業性および環境性に優れ、廃液も環境に悪影響を与える物質を含まないので、廃液処理が簡便である。

Claims

請求の範囲

1 . グリセリンまたはその誘導体を含有し、エチレンダリコールを使用しない、不凍液。

2 . 凝固点が、マイナス 2 0 °C以下である、請求の範囲第 1項に記載の不凍液。

3 . 凝固点が、マイナス 5 0 °C以下である、請求の範囲第 2項に記載の不凍液。

4 . エチレングリコールを含まず、凝固点がマイナス 2 0 °C以下であり、以下の A液、 B液を混合してなる、不凍液。

(A液) グリセリンを含有する液

( B液) 以下の成分を含む、混合液

主成分としての水

ジカ.ルボン酸

金属水酸化物水溶液

5 . さらにプロピレングリコール類を含む、請求の範囲第 4項に記載の不凍液。

6 . 前記ジカルボン酸が、ドデカン二酸、セバチン酸から選択される、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

7 . 前記水酸化金属塩が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリゥムから選択される 1または 2以上である、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

8 . 前記トリアゾール類が、トリノレトリアゾール、またはべンゾトリアゾールである、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

9 . 前記飽和脂肪酸が、カブロン酸、力プリル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群から選択される 1または 2 以上である、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

1 0 . 前記キレート剤が、エチレンジァミン四酢酸錯体である、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

1 1 . 前記不飽和脂肪酸が、ォレイン酸、バタセン酸、リノール酸、リノレイン酸、ァラキドン酸からなる群から選択される 1または 2以上である、請求の範囲第 4項または第 5項に記載の不凍液。

1 2. 前記 B液の各成分比が、

キレート剤： 0重量⁰/。〜 20. 0重量％

ジカルボン酸： 0. 1重量％〜 10. 0重量％トリアゾール類： 0重量％〜 10. 0重量％

飽和脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸： 1. 0重量％〜50. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0. 10重量％〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％である、請求の範囲第 4項または第 5項記載の不凍液。

1 3. エチレンダリコールを含まず、凝固点がマイナス 20°C以下であり、以下を混合してなる、不凍液。

(A液) グリセリンを含有する液

(B液) 以下の成分を含む、混合液

エチレンジァミン四酢酸錯体、

トリルトリアゾール、

ドデカンニ酸、

カプリル酸および/またはォレイン酸、

金属水酸化物水溶液、

主成分としての水

14. 前記 B液の各成分比が、

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0 5直量％〜 20 0重]

ドデカンニ酸： 0 10

トリノレトリアゾール： 0 - 10

カプリル酸及び Zまたはォレイン酸 1. 0重量％〜 50. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0 10重量％〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％である、請求の範囲第 1 3項記載の不凍液。

1 5. 前記 B液の各成分比が、

エチレンジァミン 4酢酸錯体： 0. 5重量％〜20. 0重量⁰ /₀ ドデカンニ酸： 0 -10.

トリノレトリァゾール： 0 -10. 0重量％カプリル酸： 0重量％〜25. 0重量％才レイン酸： 0重量％〜25. 0重量％金属水酸化物水溶液： 0 ；)〜 20. 0重量％水： 30. 0重量％〜 95. 0重量％である、請求の範囲第 14項記載の不凍液。

1 6. さらに、ジプロピレングリコールを含む、請求の範囲第 14項に記載の不凍液。

1 7. さらに、多価フエノール類を含む、請求の範囲第 1 3項乃至第 1 6項のいずれかに記載の不凍液。

1 8. 前記多価フエノール類が、フラボノイド、クマリン類、フエニルプロパノイド、タンニン類から選択される 1以上の物質である、請求の範囲第 1 7項に記載の不凍液。

1 9. 前記 A液が、不凍液全量に対し、 1重量％〜99重量％である、請求の範囲第 4項、第 5項、第 13項、第 14項のいずれかに記載の不凍液。

20. 前記 A液において、グリセリンとプロピレングリコールの重量比が、 9 9. 5 : 0. 5〜0. 5 : 99. 5である、請求の範囲第 20項記載の不凍液。

21. さらに、水ガラス水溶液が含まれる、凍結防止剤に用い得る、請求の範囲第 4項、第 5項、第 1 3項のいずれかに記載の不凍液。

22. 以下の成分を含む、防鲭剤。

主成分としての水金属水酸化物水溶液

23. 前記ジカルボン酸が、ドデカン二酸、セバチン酸から選択される、請求の範囲第 22項に記載の防鲭剤。

24. 前記水酸化金属塩が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化力リゥムからなる群から選択される 1または 2以上である、請求の範囲第 2 2項に記載の防鲭剤。

2 5 . 前記トリアゾール類が、トリルトリアゾール、またはべンゾトリアゾールである、請求の範囲第 2 2項に記載の防鲭剤。

2 6 . 前記キレート剤が、エチレンジァミン四酢酸錯体である、請求の範囲第 2 2に記載の防鲭剤。

2 7 . 前記飽和脂肪酸が、力プロン酸、カプリル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群から選択される 1または 2以上である、請求の範囲第 2 2に記載の防鲭剤。

2 8 . 前記不飽和脂肪酸が、ォレイン酸、パクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、ァラキドン酸からなる群から選択される 1または 2以上である、請求の範囲第 2 2項に記載の防鲭剤。

2 9 . 以下の成分を含む、防鲭剤。

ェチレンジァミン 4酢酸錯体

ドデカンニ酸

トリルトリァゾール

カプリル酸および/またはォレイン酸

金属水酸化物水溶液 .

水

3 0 . さらに、ジプロピレンダリコールを含む、請求の範囲第 2 9項に記載の防鲭剤。

3 1 . さらに、多価フヱノール類を含む、請求の範囲第 2 9項または第 3 0項に記載の防鲭剤。