明 細 書
核酸の変異解析方法および遺伝子の発現解析方法
技術分野
本発明は、 固相されたプローブ核酸を用いて核酸の変異を 解析する方法に関する。 また本発明は、 固相された標識プロ ーブ核酸を用いて遺伝子発現を解析する方法に関する。 更に 本発明は、 核酸を用いた種々の解析、 例えば遺伝子の発現解 析等に有用である、 標識プローブ核酸の調製方法に関する。 背景技術
所謂 D N Aマイ ク ロア レイ は、 多数の異なったプローブ D N Aをガラスなどの固相基板上に高密度に固定した装置であ る。 こ のよ う な基板にプローブ核酸を固定した装置は、 その 製造方法から 2種類に大別される。 1 つは、 光 リ ソグラフ方 式によ り D N Aをガラス表面上で合成していく タイ プの装置 即ち、 一般的には D' N Aチップと称される装置である ( Proc Natl Acad Sci USA (1994) 91 : 5022 - 5026) 。 も う 1 つは 予め調製した D N Aをスライ ドガラス上に機械的に並べ、 そ れによって D N Aを張り 付けてレヽ く タイ プの装置、 即ち、 一 般的には D N Aマイ ク ロア レイ と称される装置である (Scie nce (1994) 270: 467-470) 。
上記 2種類の D N Aマイ ク ロア レイ の基本的な測定原理は 固定されたプローブ核酸に対して標識された核酸試料をハイ ブリ ダィズさせ、 核酸試料の標識を基に、 核酸試料の中に、 プローブ核酸にハイプリ ダイズする核酸が存在するか否かを 検出する ものである。 このよ う な原理によって、 遺伝子の大
量解析が可能になる。 また、 検出感度の向上、 装置のマイ ク 口化によるサンプルの節約、 データの取得の自動化およびデ ータ処理の簡便化なども達成される と期待されている。
D N Aをガラス表面上で合成していく タイ プの D N Aマイ ク ロア レイ は、 半導体に使われる光リ ソグラフィー技術と 固 相法 D N A合成技術を融合させる こ とで作製する。 まず光反 応で取り 除く こ と ができる保護基を持った合成リ ンカーをガ ラス基板上に結合させ、 マスク と呼ばれる遮蔽物質を通して 光を照射する こ と によ り 、 特定の領域の保護基を脱離させる 次にこのガラス基板を水酸基が保護されたヌ ク レオチ ドと反 応させる。 これによ り保護基が脱離している部分のみで、 重 合反応が起こる。 更に、 別のマスク を用いて基板上の異なる 領域に光を照射し、 ヌ ク レオチ ドの重合を繰り返し、 ア レイ を作製する。
スライ ドガラスに D N Aを張り 付けていく タイプの D N A マイ ク ロアレイは大がかり な半導体製造機を必要と しない。
D N Aア レイ機と検出器があれば目的の D N Aマイ ク ロ ア レ ィ を製造する こ と が可能である。 また、 この方法は、 張り付 ける D N Aを任意に選択でき る こ とが利点であるが、 その一 方で、 D N Aのコ レク ショ ンを調製する必要があ り 、 繁雑な 作業が必要である。 また、 こ の方法では、 ピン先で物理的に スポッ ト していく 。 従って、 D N Aの高密度化は光リ ソダラ フ方式よ り は劣る。 しかしなが ら、 例えば、 直径 1 0 0 μ m のスポッ ト を 1 0 0 m間隔でスポッ トする と計算上 1 c m 2 に 2 5 0 0スポッ 卜する こ とが可能である。 通常のスライ
ドガラス 1 枚 (有効面積は約 4 c m 2である) について、 約 1 万の D N Aを载せる こ とが可能である。
D N Aア レイ機は、 基本的に高性能サーボモータを組み合 わせて、 コ ン ピュータ制御下でピン先、 或いは、 ス ラ イ ドホ ルダーを X Y Z軸方向に作動して、 マイ ク ロタイ タープ レー トからスライ ドガラス表面上に D N Aサンプルを運ぶもので ある。 ピン先の形状には、 多く の工夫がなされてお り 、 こ の 技術の命と も言える。 最も一般的なピン先形状は、 カラス 口 のよ う に割れたペン先形状である。 そこに D N Aプローブ溶 液を溜め、 複数のス ラ イ ドにス ポ ッ トする方式である。 洗浄 および乾燥のサイ クルを挟んで次の D N Aサンプルを載せる とレヽ ぅ 工程を繰り返す。 理想的なア レイ機に求め られる機能 は、 スポッ トのサイズや形状が均一で、 しかも高速で再現性 がよいとい う こ とである。 ペン先のロ ッ トの違いなどによ り 均一性ゃス ピー ドに限界があるので、 よ り 高性能なものを求 めてイ ンク ジヱ ッ ト方式やキヤ ビラ リ 一方式など、 新しい技 術の開発も進め られている。
D N A固定法に関しては、 ガラスはメ ンブレンと比較して 有効固定面積が小さ く 電荷のチャージも少ないので、 種々の コーティ ングが試みられている。 実用的にはポリ L リ ジンや シラン化などが用いられている。 D N A末端をア ミ ノ化して シラン化ガラスにク ロス リ ンクする方法もある。
D N Aマイ ク ロ ア レイ上でハイブリ ダィズした蛍光標識 D N Aの蛍光シグナルの検出は蛍光検出器で行う。 通常、 スキ ャナ一は蛍光顕微鏡と可動ステージを組み合わせたものであ
る。 従来型のゲル用の蛍光イ メージアナライザーでも、 それ 程高密度ではない D N Aマイ ク ロア レイ の読み取り なら可能 である。 最近、 D N Aマイ ク ロア レイ専用の高解像度スキヤ ナ一が売り 出された。 読み取り 方式の違いによ り 共焦点型と 落射型がある。
D N Aマイ ク ロア レイから出てく るデータは膨大なものに なるので、 データ解析ソフ トが重要と なってく る。 データの 表示方法やデータの後処理、 他のデータベース との リ ンクな ど実験者にと って使い勝ってのよいソフ ト ウエアの開発が望 まれている。 マイ ク ロ ア レイ によ る遺伝子発現モニタ リ ング のデータベースィ匕の試みや、 ア レイデータ ベース のイ ンタ ー ネッ トでの公開も始まっている。
このよ う な技術の D N Aマイ ク ロア レイ を用いて、 突然変 異を検出する こ とが試みられている。 まず、 サンプルの特定 領域中の 1 塩基に対して、 その塩基のみが異なる 4種類のォ リ ゴヌク レオチ ドプローブをデザィ ンし、 D N Aプロ一プチ ップに載せる。 一方、 塩基配列を調べるサンプルは P C Rで 増幅し、 蛍光色素を用いて末端標識しておく 。 こ のサンプル を前記の D N Aチップとハイ ブリ ダイゼーショ ンさせる と、 サンプル配列と相補的な塩基を持つプローブが最も強いハイ ブリ ダィゼーシヨ ンシグナルを示す。 同様に、 1 塩基置換の 突然変異を持ったサンプルの場合は、 変異塩基に相補的な塩 基を持つプローブが最も強いハイブリ ダイゼーシ ョ ンシダナ ルを示す。 こ の方法では、 電気泳動に基づいた D N Aシーケ ンシングと異なる、 未知の塩基配列を決定する こ とはできな
いが、 特定の遺伝子の決まった領域について、 突然変異の存 在を高密度で検出でき る。
サンプル調製では、 例えば、 Hu SNP Mapping Assay ( Af f ymetrix 社) は、 S N Pマーカーの増幅に 1 本の反応チュー ブで約 1 0 0種類の P C R産物を增幅させるマルチプル P C Rを採用 している。 2段階目 にはラベリ ング P C Rを行い、 各 S N Pマーカーを含む P C R産物を更に増幅させる と共に . ビォチン標識を行う が、 この と きには、 全ての P C R産物に 共通なプライマーペアを用レ、る こ とができ る。 このサンプル 調整の効率化によ り 、 約 1 2 0 n g のゲノ ム D N Aから出発 し、 1 日 半で S N P遺伝子型を決定する こ とができ る よ う に なった。 実験操作は、 G e n e C h i p システムによ り極限 まで自動化されており 、 1 台のス キャナを用いた場合には 2 4時間で 1 8 0 サンプルの解析が可能である。
このよ う な D N A変異解析は、 4種類のオリ ゴヌ ク レオチ ドプローブをガラスなどの固相基板上に固定し、 その上に、
P C Rで増幅した蛍光標識 D N Aをハイ プ リ ダイ ズさせ、 各々のプローブからのシグナルを自動検出器で検出し、 その データ をコ ンピュータで解析する。 このよ う な解析は、 以下 の よ う な問題点がある。 即ち、 1 ) 測定したい試料を各試料 毎に蛍光標識ヌ ク レオチ ドゃ蛍光標識プライマ ーを用いて標 識しなければな らず、 標識の効率が低く 、 且つ製造コス トが 高い、 2 ) ハイ プリ ダイゼーシヨ ンまでの前処理が煩雑で自 動化しずらい、 3 ) 1 つの試料を測定するのに 4種類のプロ ープを用意しなければな らず費用がかかる、 4 ) 測定が乾燥
状態で行われるために蛍光シグナルの検出効率が低い。
—方、 上述の D N Aマイ ク ロ ア レイ を用いて、 遺伝子発現 を解析する こ と も現在行われている。 その主流は、 二蛍光標 識法を用いたディ フ ァ レンシャルな遺伝子発現をみる系であ る。 その原理は、 2つの異なった m R N Aサンプル中での遺 伝子発現の差を検出する ものである。 そのために、 各 m R N Aサンプルから各標識 c D N Aを調製する際に、 それぞれを 異なる蛍光物質で標識し、 各標識 c D N Aをア レイ上のプロ ーブに競合的にハイプリ ダイ ズさせ、 両方の蛍光を測定し比 較する ものである。
このよ う な従来の方法は、 以下のよ う な問題点がある。 即 ち、 1 ) 従来の方法では、 測定したい試料を標識するため、 例えば R N Aなどの試料のデグラデーショ ンが生じる。 2 ) 従来の方法では、 ハイブリ ダイゼーショ ンまでの前処理が煩 雑で自動化しずらい。 3 ) 従来の方法は、 ディ フ ァ レンシャ ルな遺伝子発現を検出する ものである。 従って、 相対的変化 でしか発現量を見られない。 4 ) 従来の方法では、 プローブ の固相量や、 点着スポッ トの状態を反応前に知るこ とができ ない。 従って、 プローブ固相の精度管理を行う こ とが不可能 である。 5 ) 従来の方法では、 測定は乾燥状態で行われてい る ので、 蛍光シグナルの検出効率が低い。
発明の開示
上記の状況に鑑み、 本発明の目的は、 効率がよ く 、 且つ経 済的な遺伝子変異解析方法を提供する こ とである。
鋭意研究の結果、 本発明者らは、 上記の課題を解決するた
めの手段を見出 した。 即ち、
ターゲッ ト核酸の標的部位の塩基を決定する方法であって 以下の工程を具備する方法 ;
( 1 ) 前記ターゲッ ト核酸の標的部位に隣接する 3 ' 側の 塩基配列に相補的な選択用配列を含み、 且つその 5 ' 末端を 介して基体に固相化されているプローブ核酸と、 核酸試料と を、 適切なハイブリ ダイゼーショ ンを得るための条件にある 反応系において反応させる工程と 、
( 2 ) 適切な伸長反応を得るための条件において、 検出可 能な信号を生ずる標識物質を付された特定の 1 種類の塩基を 含む標識化デォキシヌ ク レオシ ド三リ ン酸と、 ポ リ メ ラーゼ との存在下で、 前記 ( 1 ) の工程で得られた反応産物を伸長 する工程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の伸長する工程において、 当該伸長反応 に使用されなかった標識化デォキシヌ ク レオシ ド三リ ン酸を 当該反応系から除去する工程と、
( 4 ) 前記 ( 3 ) の工程の後で、 当該反応系に存在する前 記標識物質由来の信号を検出する工程と、
( 5 ) 前記 ( 4 ) の工程における当該信号の検出の有無と 前記標識化デォキシヌク レオシ ド三リ ン酸に含まれる塩基の 種類から、 標的部位の塩基を決定する工程
を具備する方法である。
また、 上記背景技術に記載された状況に鑑み、 本発明の 目 的は、 効率のよい遺伝子発現解析方法を提供する こ とである , 本発明の更なる 目的は、 複数のプレー ト間での比較が可能な
遺伝子発現解析方法を提供する こ とである。 また本発明の更 なる 目的は、 検出精度のよい遺伝子発現解析方法を提供する こ とである。
鋭意研究の結果、 本発明者らは、 上記の課題を解決するた めの手段を見出 した。 即ち、
被検核酸中の標的配列の存在を検出する方法であって、
( 1 ) そこにおいて反応を行 う こ とが可能な流路に固相化 され、 標識物質を付加された標識化プローブ核酸に、 適切な ハイプリ ダイゼーショ ン可能な条件下で被検核酸を反応させ る工程と、
( 2 ) 前記 ( 1 ) の工程の後に、 1 本鎖特異的ヌ ク レア一 ゼを前記流路に添加して、 適切な酵素反応を得られる条件下 で反応を行う 工程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の工程の後に、 前記流路から酵素反応の 分解産物を除去する工程と、
( 4 ) 前記流路内の 2本鎖核酸に含まれる標識物質からの 信号を検出する工程と、
( 5 ) 前記 ( 4 ) の工程において検出された信号を基に、 被検核酸中の標的配列の存在を検出する工程と
を具備する方法 ; および、
対象における標的配列の発現頻度を判定する方法であって、 ( 1 ) そこにおいて反応を行 う こ と が可能な流路に固相化 され、 且つ標識物質を付加された標識化プローブ核酸に、 適 切なハイ プリ ダイゼーシヨ ン可能な条件下で、 対象から得た 被検核酸を含む試料を反応させる工程と、
( 2 ) 前記 ( 1 ) の工程の後に、 1 本鎖特異的ヌ ク レア一 ゼを前記流路に添加して、 適切な酵素反応を得られる条件下 で反応を行う 工程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の工程の後に、 前記流路から酵素反応の 分解産物を除去する工程と、
( 4 ) 前記 ( 3 ) の工程の後に、 前記流路内の 2本鎖核酸 に含まれる標識物質に由来する信号を検出する工程と、
( 5 ) 前記 ( 4 ) の工程において検出された信号を基に、 対象における標的配列の発現頻度を判定する工程
を具備する方法である。
また、 このよ う な遺伝子発現解析方法を実施するにあた り 、 この方法が、 流路等の支持体上のプローブをすベて標識しな ければならないという 点において、 多大な費用 と時間と労力 を要する とい う 問題を有している こ と を見出した。
従って本発明は、 ア レイ上のプローブをすベて一括して標 識する こ とが可能な、 簡便なプローブ標識方法を提供する こ と を 目 的とする。 すなわち、 本発明は、 標識プローブ核酸を 固相化した支持体を簡便に作成する方法を提供する こ と を 目 的とする。
上記課題を解決するため、 本発明は、 以下の手段を提供す る。 即ち、
標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法であって、 ( 1 ) 作成したい標識プローブ核酸の塩基配列に相補的な 鏡型核酸と、 前記錶型核酸の塩基の総数よ り少なく 、 作成し たい標識プローブ核酸の塩基配列の一部が欠損している未標
識プローブ核酸前駆体であって、 その 5 ' 端で支持体に固相 化されている未標識プローブ核酸前駆体と を、 これらがハイ ブリ ダィズ可能な条件下で、 反応させる工程と、
( 2 ) 検出可能な信号を生ずる標識物質を付された、 特定 塩基の標識ヌ ク レオチ ドと、 前記特定塩基以外の他の塩基の 非標識ヌ ク レオチ ドと を基質と して用いて、 前記未標識プロ ープ核酸前駆体の欠損部分を、 前記鎵型核酸を铸型と して、 5 ' から 3 , 方向に向かって伸長させ、 標識プローブ核酸を 合成する工程と、
( 3 ) 前記工程によ り 得られた標識プローブ核酸と、 前記 铸型核酸との間の相補的結合をすベて解離させる工程と、
( 4 ) 解離された前記铸型核酸を支持体上から除去するェ 程と を含む方法である。
図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の 1 態様に従って使用 される反応容器の例 を示す図であ り 、 ( a ) は、 本発明の 1 態様に従って使用 さ れる反応容器の例を示す平面図であ り 、 図 1 ( b ) お よび ( c ) は、 図 1 ( a ) の I B— I B線の断面図である。
図 2 は、 本発明の 1 態様に従う変異解析方法の例を模式的 に示す図である。
図 3 は、 本発明の 1 態様に従う変異解析方法の例を模式的 に示す図である。
図 4 は、 S 1 ヌ ク レアーゼによ る核酸分解の例を模式的に 示す図である。
図 5 は、 ヌ ク レアーゼプロテク シ ョ ンア ツセィ の原理を模
式的に示す図である。
図 6 は、 本発明の 1 態様に従 う 変異解析方法の 1 例を模式 的に示す図である。
図 7 は、 本発明の 1 態様に従 う変異解析方法の 1 例を模式 的に示す図である。
図 8 は、 本発明の 1 態様に従 う遺伝子発現解析方法を模式 的に示す図である。
図 9 は、 本発明の 1 態様に従 う プローブ核酸の標識方法の 例を示す図である。
図 1 0 は、 本発明の 1 態様に従 う標的配列の検出方法を模 式的に示す図である。
図 1 1 は、 本発明の 1 態様に従 う プローブ核酸の標識方法 の例を示す図である。
図 1 2 は、 本発明の 1 態様に従 う プローブ核酸の標識方法 の例を示す図である。
図 1 3 は、 本発明の 1 態様に従 う プローブ核酸の標識方法 の例を示す図である。
図 1 4 は、 本発明の標識プローブ核酸を固相化した支持体 の作成方法の第一の実施の形態を説明する図である。
図 1 5 は、 本発明の標識プローブ核酸を固相化した支持体 の作成方法の第二の実施の形態を説明する図である。
図 1 6 は、 本発明の標識プローブ核酸を固相化した支持体 の作成方法の第三の実施の形態を説明する図である。
図 1 7 は、 第 1 6 の実施例の結果を示す顕微鏡写真である c 図で用いられた符号は、 以下のとお り である :
1 …反応容器、 2 ···反応部、 3 …プローブ核酸、 4 a 、 4 b …開口部、 5 …ポリ イ ミ ド薄膜、 6 … ヒーター 7 …温度センサー ;
2 1 a 、 2 1 b …ターゲッ ト核酸、 2 2 a 、 2 2 b …プ ローブ核酸、 2 3 a 、 2 3 b …標識化基質核酸 ;
3 1 a 、 3 1 b 、 3 1 c …ターゲッ ト核酸、 3 2 a 、 3 2 b 、 3 2 c …プローブ核酸、 3 3 …標識化基質核酸、 3 4 …反応部の底面、 3 5 …反応部、 3 6 a 、 3 6 b 、 3 6 c …伸長され標識されたプローブ核酸 ;
8 1 a 、 8 1 b 、 8 1 c …ターゲッ ト核酸、 8 2 a 、 8
2 b 、 8 3 c …プローブ核酸、 8 3 …標識化基質核酸、
8 4 …反応部の底部、 8 5 …反応部、 8 6 a 、 8 6 b 、
8 6 c …伸長され標識されたプローブ核酸、 8 7 a 、 8 7 b …ターゲッ ト核酸 ;
9 1 a …ターゲッ ト核酸、 9 2 …プロープ核酸、 9 3 a …標識化基質核酸、 9 4 …反応部の底部、 9 5 …反応 部、 9 6 a …伸長され標識されたプローブ核酸、 9 1 b
…ターゲッ ト核酸、 9 3 b …標識化基質核酸、 9 6 b … 伸長され標識されたプローブ核酸 ;
1 0 1 …プローブ核酸、 1 0 2 …ターゲッ ト核酸、 1 0 4 …反応部の底面、 1 0 5 …反応部 ;
1 2 1 …铸型核酸、 1 2 2 …種プローブ核酸、 1 2 3
…標識化基質核酸、 1 2 4 …反応部の底面、 1 2 5 …反 応部、 1 2 6 …伸長され標識されたプローブ核酸、 1 2 7 , 1 2 8 …非標識化基質核酸 ;
1 3 1 a 、 1 3 1 b 、 1 3 1 c …铸型核酸、 1 3 2 a 、 1 3 2 b , 1 3 2 c …種プローブ核酸、 1 3 3 …標識化基 質核酸、 1 3 4 …反応部の底面、 1 3 5 …反応部、 1 3 6 a 、 1 3 6 b , 1 3 6 c …伸長され標識されたプローブ 核酸 ;
1 4 1 a …铸型核酸、 1 4 2 …種プローブ核酸、 1 4 3 a 、 1 4 3 b …標識化基質核酸、 1 4 4 …反応部の底面、
1 4 5 …反応部、 1 4 6 a 、 1 4 6 b …伸長され標識さ れたプローブ核酸 ;
1 5 1 …種プローブ核酸、 1 5 2 …反応部の底面、 1 5 3 …錶型核酸、 1 5 4 …第 1 の標識化基質核酸、 1 5 5 …第 2 の標識化基質核酸 ;
1 6 1 a 、 1 6 1 b 、 1 6 1 c …铸型核酸、 1 6 2 a 、 1 6 2 b 、 1 6 2 c …種プローブ核酸、 1 6 3 …標識化基 質核酸、 1 6 4 …反応部の底面、 1 6 5 …反応部、 1 6 6 a 、 1 6 6 b 、 1 6 6 c …プローブ核酸、 1 6 7 a 、 1 6 7 b …ターゲッ ト核酸 ;
2 0 1 …支持体、 2 0 2 …铸型核酸、 2 0 3 …未標識 プローブ核酸前駆体、 2 0 4 …標識ヌ ク レオチ ド、 2 0 5 …非標識ヌ ク レオチ ド、 2 0 6 …標識プローブ核酸 ;
2 0 7 …ジデォキシヌ ク レオチ ド ;
2 0 3 a …未標識プローブ核酸前駆体 A、 2 0 3 b …未 標識プローブ核酸前駆体 B。
発明を実施するための最良の形態
丄. 核 変異解析方法
1 . 1 核酸の変異解析方法の概要
本発明の態様に従う と、 ターゲッ ト核酸の特定部位の塩基 を決定するための方法が提供される。 本方法において、 ター ゲッ ト核酸を選択的に捕獲するための配列を含み、 かつその
5 ' 末端で基体に固相化されているプローブ核酸を用いる。 こ こで使用 される 「核酸」 の語は、 天然に存在する種々 の D N Aおよび R N A、 並びにペプチ ド核酸、 モルホ リ ノ核酸、 メ チルフォス フォネー ト核酸おょぴ S -オ リ ゴ核酸などの人 ェ的に合成された核酸類似体などを示す。
こ こで使用 される 「ターゲッ ト核酸」 と は、 前記核酸の何 れかの核酸であって、 ハイ プリ ダイゼーシ ョ ンに適切な塩基 長を有する核酸をい う。 ハイ プリ ダイゼーシ ョ ンに適切な塩 基長と は、 1 0塩基長から 1 0 0 0塩基長であればよ く 、 好 ま しく は 1 5塩基長から 2 0 0塩基長であ り 、 よ り 好ま しく は 1 5塩基長から 5 0塩基長である。
例えば、 本発明に従って好ま しく 対象と されるターゲッ ト 核酸は、 D N A断片、 R N A断片、 ポ リ ヌ ク レオチ ドおよび オリ ゴヌ ク レオチ ド等、 何れの核酸断片であっても よい。 ま た、 当該ターゲッ ト核酸は、 人工的に合成された核酸断片で あっても、 対象から抽出された何れの核酸断片であっても、 それを元に合成された c D N Aおよび R N A断片であっても、 P C Rなどによ り 増幅されて得られた核酸断片であっても よ い。 また、 それ自身公知の何れかの細胞工学的技術によって 操作して得られた核酸の断片であっても よい。
こ こで使用 される 「対象」 の語は、 ヒ ト、 サル、 ゥシ、 ブ
タ、 ヒ ッジ、 ャギ、 ィ ヌ 、 ネコ、 ゥサギ、 ラ ッ トおよびマウ ス を含む任意の哺乳動物、 爬虫類、 魚類おょぴ昆虫などの個 体、 並びに遺伝子を発現し得るその他の生物個体、 並びに個 体から採取した細胞おょぴ組織等であっても よい。
上記のよ う な対象からターゲッ ト核酸を含む核酸試料を対 象から得る工程はそれ自身公知の手段によ り 行 う こ とが可能 である。 例えば、 核酸試料がゲノ ム D N Aである場合には、 市販のキッ ト を使用 しても、 他の公知の方法を使用 しても よ い。 また例えば、 核酸試料が R N Aである場合には、 例えば、 市販のキッ ト を使用 しても、 オリ ゴ d Tカ ラムを使用 しても よいが、 これに限定されるのもではない。
本発明の方法で使用 される 「プローブ核酸」 は、 特定の配 列を有する 「ターゲッ ト核酸」 をハイ プリ ダイゼーシ ヨ ンを 利用 して選択的に捕獲するための核酸である。 従って、 解析 の対象と なる ターゲッ ト核酸の既に分かっている配列の連続 する一部分に相補的な配列を選択用配列と して有する。 プロ ーブ核酸の長さは、 1 0塩基から 1 0 0塩基、 好ま しく は 1 5塩基から 2 5塩基であればよい。 また、 選択用配列の長さ は、 1 0塩基から 5 0塩基、 好ま しく は 1 5塩基から 3 0塩 基であればよい。 プローブ核酸は、 5 , 末端を介して基体に 固相化されている。
本発明の方法で使用 される 「ターゲッ ト核酸」 は、 本発明 の方法において解析の対象となる配列であ り 、 その塩基を決 定しょ う とする標的部位以外の配列は既に分かっている配列 である こ と が好ま しい。 ターゲッ ト核酸に含まれる標的部位
の 3 ' 側に上記 「選択用配列」 に相捕的な配列が存在する。 また、 標的部位の長さは 1 塩基であっても、 2塩基以上であ つても よいが、 1 塩基である こ とが好ま しい。 また、 ターゲ ッ ト核酸における標的部位の位置は、 プローブ核酸が 5 ' 端 を介して基体に固相化されている場合であれば、 3 ' 端側に 選択用配列に相補的な配列が位置するので、 選択用配列の相 補配列に隣接し、 且つその相捕配列よ り も 5 ' 端側でに位置 すればよ く 、 5 ' 末端であっても、 末端でな く 末端までに幾 つかの塩基を有していても よい。
本発明の態様に従 う方法は、 例えば、 次のよ う に行う こ と が可能である。 先ず最初に、 選択用配列を有するプローブ核 酸を反応容器に固相化する。 次に、 核酸試料をその反応容器 に添加し、 適切なハイプリ ダイゼーシ ョ ンが得られる条件、 例えば、 厳格な (ス ト リ ンジエ ンシーな) 条件、 で反応を行 う。 選択用配列に相補的な配列を有するターゲッ ト核酸が前 記核酸試料に存在すれば、 プローブ核酸にはターゲッ ト核酸 がハイ ブリ ダィ ズする。 これによ り 、 特定の配列を有するタ 一ゲッ ト核酸を核酸試料から捕獲される。 続いて、 そこに検 出可能な信号を生ずる標識物質を付された特定の 1 種類の塩 基を含む標識化デォキシヌ ク レオシ ド三リ ン酸と、 ポリ メ ラ 一ゼと を反応容器に添加し、 適切な伸長反応が得られる条件 下で伸長反応を行う。 その後、 伸長反応に使用 されなかった 標識化基質を除去し、 標識物質に由来する信号を検出する。 その結果、 当該信号が観察されれば伸長が生じていれる こ と が分かる。 従って、 標的部位の塩基が、 使用 した標識化デォ
キシヌク レオシ ド三リ ン酸に含まれるに塩基に相捕的な塩基 であるこ と が分かる。 1 つの核酸試料について、 このよ う な 工程を 4種類の塩基全てについて行っても よい。 また、 標的 部位が遺伝子多型の存在する部位であれば、 その多型の遺伝 子型と な り 得る塩基の種類についてのみ上記の工程を行つて も よい。
本発明の態様においてプローブ核酸は、 その 5 , 末端を介 して基体に固相化されている。 プローブ核酸の固相化は、 従 来公知の何れかの基体に対して所望のプローブ核酸を固定す る こ とによって行う こ とが可能である。
本発明の態様に従って使用 され得る 「基体」 .は、 そこにお いてハイプリ ダイゼーショ ン反応を行う こ と が可能な形態で あればよい。 例えば、 一般的に使用 される反応容器、 例えば、 キヤ ビラ リ 一形状またはゥエル形状のそこにおいて反応を行 う ための反応部を有した反応容器であっても、 その面におい て反応を行 う よ う な板状および球状の基体であっても よい。 あるいは、 「基体」 が、 針、 糸 (ス ト ラン ド) 、 繊維 (ファ ィパ) 、 円錐 (ディ スク) 、 多孔質フィルタであっても よい c 処理の容易 さから、 キヤ ビラ リ ー形状の反応部を有した反応 容器が好ま しい。
基体が球状である場合、 当該球状の基体を用いて以下に記 載の とお り 、 本発明を実施する こ とができ る。 すなわち、 基 体と して、 検出すべきターゲッ ト に対応する複数のプローブ を固相化した微粒子を調製し、 当該微粒子をキヤ ピラ リ ーま たはゥエル等の反応容器に供給して、 本発明に記載の反応を
実行するこ と ができ る。 当該微粒子は、 反応後に反応容器か ら回収して、 フ ロ ーサイ トメ ーター ( F C M ) やレーザース キヤユングメ ーター ( L S M ) によ る既知の測定に適用 して も よい。 基体と して微粒子を用いた場合、 好ま しく は、 反応 容器であるキヤ ビラ リ 一と連.続する流路の別の場所において 流動させなが ら、 あるいは静止させた状態で測定を行う こ と ができ る。 また、 1 本の流路内の異なる場所に微粒子を順次 移動させて、 それぞれの位置で固相化工程、 反応工程おょぴ 測定工程とい う 一連の工程を同時または連続的に行う こ と も 可能である。 微粒子をキヤ ビラ リ ー内の液体と独立して移動 または停止させるために、 個々 の微粒子が、 既知の磁気的分 離技術を使用可能なよ う に磁性体を含んでいるのが好ま しい このよ う に、 キヤ ピラ リ ー内を流通させる こ と によって、 タ ーゲッ トの種類毎に順番に移動と停止を行 う こ と ができ る。 すなわち、 ある種類のプローブを固相 した微粒子をキヤ ビラ リ 内に流通させ、 その後別の種類のプローブを固相 した微粒 子を流通させる こ と によって、 流路内の上流と下流とで異な る反応を行 う こ と もできる し、 各種ターゲッ トを含む各試料 を流路内に順次流通させる こ と によって、 流路内の上流と下 流と で異なる反応を行う こ と もでき る。
また、 本発明において、 伸長反応時に使用 される基質を標 識するための 「標識物質」 の語は、 検出可能な信号を生じる こ と が可能な物質をいい、 例えば、 蛍光物質、 放射性物質お よび化学発光物質などであってよい。 また、 酵素反応などで 発色する基質を用いても よい。 複数のプローブ核酸を 1 つの
基体において同時に用いる場合など、 所望に応じて識別可能 な複数の標識物質を同時に使用 しても よい。
1 . 2 実施例
以下、 本発明に従う態様例を用いて本発明について更に説 明する。
第 1 の実施例 : 反応容器
本発明の態様において使用 され得る反応容器の例を図 1 に 示す。 図 1 ( a ) は、 当該反応容器の平面図であ り 、 図 1
( b ) は、 図 1 ( a ) の線 1 B — 1 B に沿った断面図である。 本例における反応容器 1 は、 そこにおいて反応を行う ための 反応部 2 を具備する (図 1 ( b ) ) 。 こ こ で、 反応部 2 は、 図 1 ( b ) に示す通 り の容器内部の形状がキヤ ビラ リ 一形状 である。
また、 図 1 ( a ) および ( b ) に示すよ う に反応容器 1 は、 反応部 2 に試薬などを揷入および/または反応部 2から試薬 などを排出するための開口部 4 a および 4 b を有している。 また、 反応部 2 の底部には、 特定の配列を含むターゲッ ト配 列を捕獲するための選択用配列を含むプローブ核酸 3 が所望 の領域に固相化されている (図 1 ( b ) ) 。 この よ う な反応 容器 1 の製造は次のよ う に行った。
即ち、 キヤ ピラ リ ーを形成可能な溝およびその溝の両端に 孔を有する第 1 の基板 (キヤ ビラ リ 一力パー) と、 その表面 にプローブ核酸が固相化された第 2 の基板と を接合して製造 した。 この と き、 前記プローブ核酸は、 第 1 の基板の溝と第 2 の基板の表面によ り形成される空間內に含まれる。 よ り 具
体的には次の通 り である。 図 1 には、 1 キヤ ピラ リ ーを具備 する反応容器を示したが、 本発明の態様に置いて使用される 反応容器は、 2 以上のキヤ ピラ リ ーを具備する反応容器であ つても よい。
また、 上記の例ではその内部形状がキヤ ビラ リ ー形状の例 を示したが、 キヤ ビラ リ 一形状に限定する ものではなく 、 そ こにおいて所望の反応を行う こ と が可能であればどのよ う な 形状であっても よい。
また、 本発明に従って使用 されるキヤ ビラ リ ーア レイ は、 例えば、 以下の様に変更する こ と も可能である。 図 1 ( c ) は、 図 1 ( a ) の線 1 B — 1 B に沿っ た断面である。 図 1 ( c ) にその断面を示すよ う に、 反応部 2 の下方にヒーター 6 および温度センサー 7 を配置しても よい。 その場合、 例え ば、 プローブ核酸 3 が固相化されるポリ イ ミ ド薄膜 5 の下方 にヒーター 6 を配置し、 ヒーター 6 の下方に温度センサー 7 を配置すればよい。 こ のよ う な装置は、 それ自身公知の何れ かの手法によ り 製造する こ と が可能である。 また、 このよ う な装置に含まれる ヒーターおよびセンサーの配置の位置およ ぴ配置パターンは所望に応じて変更しても よい。 また、 必ず しも、 ヒーターおよびセンサーが当該基板と一体化されて提 供される必要はない。
本実施例に記載のキヤ ビラ リ ーア レイ については、 米国特 許公開 20020013457 ( Akira Suyama) を参照、する こ とカ でき る。 また、 他のキヤ ビラ リ ーア レイ については、 米国特許 6, 143, 152 (Simpson et al. ) を参照する こ とができる。
キヤ ビラ リ ーア レイ は、 米国特許公開 20020013457 ( Akir a Suyama) に記載される よ う に全長に亘つて一定の断面積 を有する よ う に構成される。 これによ り 、 液体の流路内にお ける液量は何処も均等であるから反応条件が等しい。 同 じ理 由によ り 、 キヤ ビラ リ ーア レイ における液体の出入 り は、 特 別な制御手段を用いる こ と なく 定量的に調節されており 、 且 つ脈流のない円滑な液体ハン ドリ ングを可能にする。
第 2 の実施例
( 1 ) 反応容器
以下に示すよ う に、 4つのキヤ ビラ リ一、 即ち、 キヤ ビラ リ ー 1 、 キヤ ピラ リ ー 2 、 キヤ ピラ リ ー 3 およびキヤ ビラ リ 一 4 を具備する こ と以外は第 1 の実施例に記載の反応容器と 同様な反応容器を用いてターゲッ ト核酸の標的部位の塩基を 決定する方法の例を示す。
第 1 の基板であるガラス板に長さ 3〜 4 c m、 幅 l m m、 高さ 0 . 1〜 0 . 2 mmの溝を 4本开 成し、 これらの夫々 の 溝の両端に貫通孔を形成した。 第 2 の基板には、 ス ト レプ ト アビジンコー トス ライ ド (株式会社グライナ一 ' ジャパン) を用いた。 このス ト レプ トアビジンコー トス ライ ドに対して、 5 , 末端をピオチン標識した R Vプローブ ( ggaaacagctatga ccatg ; 配列番号 1 ) を点着装置を用いて固相化した。 固相 化は、 第 1 および第 2 の基板を接合した時に、 前記 4本の溝 に相当する夫々の位置に、 R Vプローブが配置されるよ う に した。 この固相化は、 ピオチン一アビジン反応を利用 した。 このよ う な第 1 の基板と第 2 の基板を接合し、 前記 4つの溝
によって 4本のキヤ ビラ リ一、 即ち、 キヤ ピラ リ ー 1 、 キヤ ピラ リ ー 2、 キヤ ピラ リ ー 3 およびキヤ ピラ リ ー 4 を形成し た。 これによ り 、 得られた 4本のキヤ ピラ リ ー内に前記 R V プローブ核酸が具備された。 このよ う にして形成した反応容 器を用いて次の実験を行った。
( 2 ) 遺伝子の変異解析
以下、 遺伝子の変異を解析する方法の 1 例である。 こ こで ίま、 第 4番目 の塩基 「NJ カ 不明である試料 tgcNcatggtcata gctgtttcc ターゲッ ト核酸について、 その 「N」 がアデニン であるのか、 グァニンであるのかを決定する。
前記のキヤ ピラ リ ー 1 と キヤ ピラ リ ー 2 には、 第 1 のター ケッ ト核酸と し の R V comp target ^tgcacatggtcatagctgt ttcc ; 配列番号 2 )を 1 0 0 n M ( 1 X S S C溶液中) の濃 度で添加した。 また、 同様に、 前記のキヤ ピラ リ ー 3 と キヤ ピラ リ ー 4 には、 第 2 のターゲッ ト核酸と しての R V comp target (tgcgcatggtcatagctgtttcc ; 目 ή歹' J番号 3 ) ¾r 1 0 0 n M ( 1 X S S C溶液中) の濃度で添加 した。 これらについて . 3 7 °Cで 1 時間のハイブリ ダィゼーシヨ ンを行った。 ハイ ブ リ ダィゼーシヨ ン後、 1 X S S C溶液 (以下の組成である ; 0 . 1 5 M N a C l 、 0 . 0 1 5 M クェン酸ナ ト リ ウム , p H 7 . 0 ) で十分に洗浄して、 未反応のターゲッ ト核酸を キヤ ビラ リ一内力、ら取り 除いた。 次に 0 . 0 2 m Lの伸長反 応溶液 A [ 1 0 mMの T r i s — H C 1 ( pH7.5) 、 7 m Mの M g C l 2、 0 . 1 mMの D T T、 K l e n o w F r a g m e n t ( DNA ポ リ メ ラーゼ I , Large Fragment; T0Y0B
) ]を 0 . 4 ユニ ッ ト / μ L、 Ι Ο μ Μの C y 3 — d U T P をキヤ ピラ リ ー 1 と 3 に加え (図 2 反応 A ) 、 伸長反応溶液 。 [ 1 0 1111^の丁 1: 1 3 — 11 〇 1 ( pH7.5) 、 7 m Mの M g 〇 1 „、 0 . 1 11^の ]3 丁 丁、 1: 1 6 11 0 F r a g m e n t ( DNA ポ リ メ ラーゼ I , Large Fragment; T0Y0B0) ] を O . 4 ユニ ッ ト / ju L、 1 0 μ Μの C y 3 — d C T P をキヤ ピラ リ ー 2 と 4 に加え (図 2 反応 B ) 、 これら を 3 7 °Cで 1 2 時間反応 した。
反応後、 0 . 1 X S S Cで十分に洗浄し、 未反応物質を取 り 除き蛍光強度を測定した。 その結果を表 1 に示す。 表 1 は 一番強い蛍光強度を 1 と した場合の相対値で示している。
蛍光強度 (相対値) タ一ゲット核酸 N dNTP キヤピラリー 1 1.000 a UTP キヤピラリー 2 0.012 a CTP キヤピラリー 3 0.017 9 UTP キヤピラリー 4 0.952 9 CTP 表 1 の結果に示される よ う に、 キヤ ピラ リ ー 1 と キヤ ビラ リ ー 4 の蛍光強度が大きい。 こ の結果から、 キヤ ピラ リ ー 1 と キヤ ピラ リ ー 4 に伸長が生 じ、 これに対してキヤ ビラ リ 一 2 と キヤ ビラ リ ー 3 では伸長は生じていないこ と が分かる。 従って、 キヤ ピラ リ ー 1 に添加 したターゲッ ト核酸の標的部 位の塩基は、 アデニンであ り 、 キヤ ピラ リ ー 4 に添加 したタ 一ゲッ ト核酸の標的部位の塩基は、 グァニンである こ と が判 定される。
このよ う に、 加えた伸長反応溶液中に含まれる基質の種類 と、 伸長の有無から試料ターゲッ トの 「N」 の塩基が決定され た。
上記の例では、 本発明の態様に従 う方法を説明するために 、 便宜上、 その配列を予め分かっているターゲッ ト核酸、 即 、 R V comp 七31^61; (七§0§03七 §;03七3§0七 1:1:1:00 ; @己歹[|番^" 3 と R V comp target (tgcacatggtcatagctgtttcc ; 酉 d歹 (J番^" 2 ) を用いた。 同様に、 標的部位の塩基の不明な配列についても 、 その塩基を決定する こ とが可能である。 このよ う な態様に よ り 、 遺伝子の変異を検出した ら、 多型の遺伝子型を決定す るこ とが可能である。
このよ う な反応によ り 生じる現象を、 図 2 に模式的に示し た。 本反応では、 ( A 1 ) および ( B 1 ) に示すよ う に、 選 択用配列に相補的な配列を含む核酸試料と してターゲッ ト核 酸 2 1 a および b を、 選択用配列を含むプローブ核酸と して プローブ核酸 2 2 a および b を使用 した。 また、 ターゲッ ト 核酸の標的部位 「 N」 に該当する塩基は Aである。 反応 Aは . キヤ ピラ リ ー 1 で生じる反応を示し、 反応 Bは、 キヤ ビラ リ 一 2 で生じる反応を示す。 反応 Aでは、 標識化基質核酸と し て蛍光標識した塩基 U 2 3 a (即ち、 C y 3 — d U T P ) を 用いた (A 3 ) 。 反応 Bでは、 標識化基質核酸と して蛍光標 織した塩基 C 2 3 b (即ち、 C y 3 — d C T P ) を用いた ( B 3 ) 。 本明細書において、 各略語はそれぞれ、 「A」 は アデニン、 「 U」 はゥラシル、 「 T」 はチミ ン、 「 G」 はグ ァニ ン、 「 C」 はシ トシ ンである。 また、 本明細書において
例と して挙げる塩基は、 記載の便宜上、 例と して挙げている に過ぎないので、 それらの塩基に限定する ものではない。
まず、 反応 Aにおいて生じる事象について説明する。
( A 1 ) プローブ核酸鎖 2 2 a を固相化したキヤ ビラ リ一 にターゲッ ト核酸 2 1 a を含む試料を添加する。
( A 2 ) 当該キヤ ビラ リ ー内の条件をハイ プリ ダイゼーシ ヨ ンが生じるのに適切な条件とする。 これによ り 、 ターゲッ ト核酸 2 1 a とプローブ核酸 2 2 a がハイブリ ダィズする。
( A 3 ) 次に、 C y 3 で標識した d U T P 2 3 a を基質と して添加し、 キヤ ビラ リ ー内を伸長反応が生じるのに適切な 条件とする。 その結果、 d U T P 2 3 a は、 プローブ核酸 2 2 a に取り込まれ、 プローブ核酸 2 2 a の伸長が起こる。
次に、 反応 Bにおける事象を説明する。
( B 1 ) プローブ 2 2 b を固相化したキヤ ビラ リ 一にター ゲッ ト核酸 2 1 b を含む試料を添加する。
( B 2 ) 当該キヤ ピラ リ ー内の条件をハイ プリ ダイゼーシ ョ ンが生じるのに適切な条件とする。 これによ り ターゲッ ト 核酸 2 1 b とプローブ核酸 2 2 b がハイプリ ダイズする。
( B 3 ) 次に、 C y 3 で標識した 4 C T P 2 3 b を基質と して添加し、 キヤ ピラ リ ー内を伸長反応が生じるのに適切な 条件とする。 その結果、 d C T P 2 3 b は、 ターゲッ ト核酸 2 1 の 「 N」 の位置の塩基に相補性がないために、 ハイ ブ リ ダイズは生じず、 プローブ核酸 2 2 b の伸長は起こ らない c こ こでは、 ターゲッ ト核酸 2 1 a および b は選択用配列に 相捕的な配列を含み、 且つその相捕的配列の 5 ' 側に選択用
配列および相補鎖と は異なる配列を含む。 一方、 プローブ配 列 2 2 a および b は選択用配列を有する。 続く 、 プローブ核 酸 2 2 a および b の 3 ' 端の伸長は、 そこにハイプリ ダイズ しているターゲッ ト核酸の選択用配列に相補的な配列よ り も 5 ' 側の配列を鎊型と して達成される。
上記のよ う なキヤ ビラ リ ー形状の反応容器を使用する と、 使用する試料おょぴ試薬も微量で済むと い う利点がある。 し かしなが ら、 本発明において使用 される反応容器は、 キヤ ピ ラ リ ー形状に限られる ものではない。 また、 上記の例では 1 つの反応容器に 1 本のキヤビラ リ 一が具備される装置の例を 示したが、 これに限定される ものではなく 、 1 つの反応容器 に複数のキヤ ビラ リ 一形状などの内部形状を有する反応部を 有する反応容器を用いてもよい。
上記の模式図では、 便宜上、 1 つのプローブ核酸について 示したがこれに限定する ものではない。 また、 プローブ核酸 の配列は上記の配列に限定する も のではなく 、 所望に応じて 任意に選択し得る。 また、 複数の異なる配列をそれぞれに有 するプローブ核酸を 1 つの基体において用いても よ く 、 同 じ 種類のプローブ核酸を複数使用 しても よい。
以上のよ う な本発明の態様に従 う と、 ターゲッ ト核酸に含 まれる標的部位の塩基の決定に加えて、 同時に、 プローブ核 酸へのラベル付与を容易に行う こ と も可能である。
第 3 の実施例
第 2 の実施例に記載した反応容器を用いて、 同様に第 3 の 実施例を実施した。
また、 第 2 の実施例において使用 した伸長反応液 A と して [ 1 0 111:^の丁 ]: 1 3 — 11 〇 1 ( pH7. 5) 、 7 m Mの M g C
0 I m Mの D T T、 K 1 e n o F r a g m e n t ( DNA ポ リ メ ラーゼ I , Large Fragment; T0Y0B0) を 0 . 4 ユニ ッ ト / し、 1 0 μ Μの C y 3 — d d U T P ] を用レヽ 伸長反応液 C と して [ l O m Mの T r i s — H C 1 ( pH7.
5) 7 m Mの M g C 1 0 m Mの D T T、 K l e n o w F r a g m e n t ( DNA ポ リ メ フーゼ I , Large Fr a gment ;T0Y0B0) を 0 . 4 ユニ ッ ト Z^u L Ι Ο μ Μの C y 3 - d d C T P ] を用いたこ と 以外の条件は第 2 の実施例の記 載と 同様に して反応を行った。
この反応の結果を表 2 に示す。 表 2 は、 一番強い蛍光強度 を 1 と した場合の相対値で示 している。
表 2 蛍光強度 (相対値) ターゲット核酸 N dNTP キヤピラリー 1 0.991 a UTP キヤピラリー 2 0.022 a CTP キヤピラリー 3 0.011 9 UTP キヤピラリー 4 1.000 g GTP 表 2 の結果に示される よ う に、 キヤ ピラ リ ー 1 と キヤ ビラ リ ー 4 の蛍光強度が大きい。 こ の結果から、 キヤ ピラ リ ー 1 と キヤ ビラ リ ー 4 に伸長が生 じ、 これに対してキヤ ビラ リ ー 2 と キヤ ビラ リ ー 3 では伸長は生じていないこ と が分かる。 従って、 キヤ ピラ リ ー 1 に添加 したターゲッ ト核酸の標的部 位の塩基は、 アデニンであ り 、 キヤ ピラ リ ー 4 に添加 したタ
一ゲッ ト核酸の標的部位の塩基は、 グァニンである こ と が判 定される。
この よ う に、 加えた伸長反応溶液中に含まれる基質の種類 と、 伸長の有無から試料ターゲッ トの 「N」 の塩基が決定され た。
上記の例では、 本発明の態様に従う方法を説明するために 、 便宜上、 その配列を予め分かっている ターゲッ ト核酸、 即 、 R V comp target(tgcgcatggtcatagctgtttcc ; 配歹 [J番 ·¾" 3 )と R V comp target (tgcacatggtcatagctgtttcc ; 酉己歹 (J番号 2 ) を用いた。 同様に、 標的部位の塩基の不明な配列についても 、 その塩基を決定する こ とが可能である。 このよ う な態様に よ り 、 遺伝子の変異を検出 した ら、 多型の遺伝子型を決定す るこ とが可能である。
第 4 の実施例
遺伝子の変異を解析する方法のも う 1 つの例を示す。 こ こ では、 第 4番目 の塩基 「N」 が不明である試料 tgcNcatggtca tagctgtttcc ターゲッ ト核酸について、 その 「N」 がアデ二 ン、 グァニン、 シ ト シンまたはチミ ンであるのかを決定する。
第 1 の実施例に記載した形態の反応容器を用いて、 第 4 の 実施例を実施した。 使用 した反応容器は以下のよ う に製造し た。
即ち、 第 1 の基板には、 ガラス板に長さ 3〜 4 c m、 幅 1 m m、 高さ ◦ . 1〜 0 . 2 m mの溝を 1 本形成し、 この溝の 両端に貫通孔を形成した。 第 2 の基板には、 ス ト レプ トアビ ジンコー トス ライ ド (株式会社グライナ一 ' ジャパン) を用
いた。 こ のス ト レプ ト ア ビジンコー ト ス ライ ドに対して、 5 ' 末端をビォチン標識した R Vプローブ ( ggaaacagctatga ccatg ; 配歹 U番号 1 ) を点着装置を用いて固相化した。 固相 化は、 第 1 および第 2 の基板を接合した時に、 前記 4本の溝 に相当する夫々 の位置に、 R Vプロープが配置される よ う に した。
この よ う な第 1 の基板と第 2 の基板を接合し、 前記溝によ つて 1 本のキヤ ビラ リ ーを形成した。
前記のキヤ ビラ リ ーに、 ターゲッ ト核酸と しての R V comp t ar g e t (. t g c a c a t gg t c a t a g c t g 111 c c ; 酉 S列番号 2 )を 1 0 0 n M ( 1 X S S C溶液中) の濃度で添加した。 これらについ て、 3 7 °Cで 1 時間のハイプリ ダイゼーシヨ ンを行った。 ハ イブリ ダィゼーシ ヨ ン後、 1 X S S C溶液 (以下の組成であ る ; 0 . 1 5 M N a C l 、 0 . 0 1 5 M タエン酸ナ ト リ ゥム、 p H 7 . 0 ) で十分に洗浄して、 未反応のターゲッ ト 核酸をキヤビラ リ ー内から取り 除いた。
次に 0 . 0 2 m L の伸長反応溶液 A [ 1 0 mMの T r i s - H C 1 ( pH7.5) 、 7 mMの M g C l 2、 0 . l mMの D T T、 K 1 e n o w F r a g m e n t ( DNA ポ リ メ ラー ゼ I , Large Fragment; T0Y0B0) ]を 0 . 4 ユニ ッ ト Z /i L 、 並びに 1 Ο μ Μの 6 — F AM— d U T P、 1 0 Mの H E X 一 d A T P 、 l O ^u Mの T A M R A— d C T Pおよび 1 0 μ Μの R O X— d G T P を前記キヤ ピラ リ ーに力 Βえ、 これら を 3 7 °Cで 1 、 2 時間反応した。
反応後、 0 . 1 X S S Cで十分に洗浄し、 未反応物質を取
り 除き蛍光強度を測定した。 蛍光強度の測定は、 励起光と し て 4 8 8 n mと 5 1 4 n mに強いレーザー光を発するァルゴ ン レーザを使用 し、 標識物質と して用いた夫々 の蛍光物質に 応じた波長で蛍光強度を測定した。 使用 した蛍光物質の波長 は、 6 — F A Mは 5 1 3 n m、 H E Xは 5 6 0 n m、 T A M R Aは 5 8 0 n mおよび R O Xは 6 1 0 n mである。
このよ う に 4種類の蛍光物質を標識物質と して使用する こ と によって、 1 キヤ ビラ リ ー内で効率的に標的部位の塩基を 決定する こ とが可能である。
第 5 の実施例
第 4 の実施例に記載した反応容器を用いて、 同様に第 5 の 実施例を実施した。 第 4 の実施例に記載した方法と 同様に、 ターゲッ ト核酸をハイ プリ ダイズした。 次に、 第 4 の実施例 において使用 した伸長反応液に変えて、 次の伸長反応液 [ 1 O mMの T r i s — H C 1 (pH7.5) 、 7 mMの M g C l 2 0 . I mMの D D T、 K 1 e n o w F r a g m e n t ( DN A ポ リ メ ラーゼ I , Large Fragment; T0Y0B0) を 0 . 4 ュニ ッ ト / i L、 1 0 Mの d A T P、 Ι Ο ^ Μの d C T P 、 0 μ Μの d G T Pまたは 1 Ο μ Μの d d G T P、 および 1 0 μ Μの C y 3 — d U T P を含む] を用い、 他の条件は第 4 の実 施例の記載と 同様にして伸長反応を行った。
この反応の結果、 Ο μ Μの d G T P を用いた場合には、 R Vターゲッ ト はその 3 ' 端から C y 3 — Uまで伸.長された。 即ち、 その後の G、 Cおよび Aは伸長されない。 また、 1 0 μ Μの d d G T P を用いた場合には、 R Vターゲッ トはその
3 ' 端から Gまで伸長された。 即ち、 その後の C、 Aは伸長 されない。
このよ う にして、 変異の有無を検出する こ とができ る。
第 6 の実施例
第 6 の実施例を模式図である図 3 を用いて説明する。 本例 では、 それぞれに異なる選択用配列を有する第 1 、 第 2 およ び第 3 のプローブ核酸 3 a 、 3 b および 3 c を固相化した以 外は第 5 の実施例と 同様に作成レた反応容器 3 0 を使用する。 3 Aに示す通 り 、 それぞれのターゲッ ト核酸 3 1 a 〜 3 1 c に含まれる標的部位の塩基を便宜上 「 A」 と して示した。
第 5 の実施例において記載した方法に従って、 先ず、 3 B に示すよ う にターゲッ ト核酸 3 1 a 〜 3 1 c をプローブ核酸 3 2 a 〜 3 2 c に対してハイ ブリ ダィ ズし、 次に、 3 Cに示 すよ う に伸長反応を行う。 続いて、 3 Cにおいて、 反応部 3 5 を例えば、 約 9 5 °Cに温度を上昇させ、 伸長したプローブ 核酸 3 6 からターゲッ ト核酸 3 1 を解離させ、 反応部 3 5 を 具備するキヤ ピラ リ ー内に 0 . 1 X S S C溶液などの緩衝液 を注入し、 排出する こ と によ り 内容液をフローする。 それに よ り 、 解離したターゲッ ト核酸を除去して、 3 Dに示すよ う に、 伸長され標識されたプローブ核酸 3 6 a 、 3 6 b および 3 6 c をそれぞれ 1 本鎖と して得る こ とが可能である。
上記の態様では、 2本鎖核酸の解離手段と して熱処理を行 つているが、 本発明の態様に従って使用可能な 2本鎖核酸の 解離手段は、 これに限定する も のではない。 即ち、 それ自体 公知の一般的に 2本鎖核酸を 1 本鎖に解離する場合に使用さ
れる手段であれば何れの手段であってよい。 例えば、 アル力 リ溶液、 尿素またはホルムア ミ ド等を用いても よい。
また、 ターゲッ ト核酸が R N Aであ り 、 プローブ核酸が D N Aである場合、 1 本鎖への解離は、 前記 R N Aを分解する よ う な酵素、 例えば、 R N A a s e Hなどを用いて行っても よい。
上記では 3種類のプローブ核酸と ターゲッ ト核酸の例を示 したが、 これ以上または以下の種類のプローブ核酸および/ またはターゲッ ト核酸を用いても よ く 、 また、 各種類の核酸 を 1 以上で用いても よい。
また、 本例では 2本鎖核酸を 1 本鎖核酸と してから蛍光強 度を測定したが、 二本鎖のままで蛍光強度を測定しても よい c 同様に本明細書に開示した他の例についても 1 本鎖核酸と し てから蛍光強度を測定してもよい。
本発明の態様に従 う と、 上述した第 1 の実施例から第 6 の 実施例に記載した方法の一部分を所望に応じて組み合わせて 実行しても、 また、 所望に応じて一部を変更して実施しても よい。
本発明の更なる側面に従う と 、 上述のよ う な第 6 の実施例 に示すよ う な本発明の態様によ り 得られた 1 本鎖標識化プロ ーブ核酸も本発明の更なる態様と して提供される。
例えば、 本発明の態様に従って得た伸長され標識されたプ ローブ核酸を、 1 本鎖にした後に、 更なる標識化プローブ核 酸と して、 後述する第 7 の実施例と して記載する よ う なヌ ク レアーゼプロテク ショ ンアツセィ に利用する こ と も可能であ
る。
従来の方法では、 プローブ核酸の中間部位を標識化する場 合には、 高度な技術が必要と されている。 また、 中間部位が 標識されたプローブ核酸の作製を専門業者に依頼した場合に は、 莫大な時間と費用が必要と されている。 しかしなが ら、 本発明の態様に従う と、 ヌ ク レオチ ドの伸長反応を制御でき るので、 最終的に得られる更なるプローブ核酸の所望の中間 位置を容易に標識化する こ とが可能である。 従って、 ヌ ク レ ァーゼプロテク ショ ンアツセィ に利用するためのプローブ核 酸も短時間に効率よ く 作製する こ とが可能である。
第 7 の実施例
ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィへの利用
核酸分解酵素 (nuclease) である S I ヌ ク レアーゼは、 1 本鎖特異的ェン ドヌ ク レアーゼであ り 、 DNA およぴ RNA と も に酸可溶性の 5 , 一 Pのヌク レオチ ドに分解し最終的には、 全体の 9 0 %以上を 5 ' — Pのヌ ク レオチ ドに分解する。 ま た 2本鎖中の 1 本鎖部分にも作用 し、 これを分解する酵素で ある。 また、 この酵素は D N A— D N Aおよび D N A— R N Aハイ プリ ッ ド中の 1 本鎖部分の除去などによ く 用い られる c また、 ェキ ソヌ ク レアーゼ I も、 1 本鎖特異的ェク ソヌ ク レ ァーゼであ り 、 1 本鎖 D N Aの 3 ' 端から順番に加水分解し て 5 ' — P のヌ ク レオチ ドにする。 これらの酵素は、 P C R 後のプライマーの除去などに用いられている (図 4 ) 。
ヌ ク レアーゼプロ テク シ ョ ンア ツセィ (Nuclease Protect ion Assay)は、 固相化 したプローブ核酸をあ ら力、じめラベ
ルを しておき、 ハイブリ ダィゼーシヨ ン後に 1 本鎖特異的ヌ ク レアーゼを反応させる解析方法である。 例えば、 ターゲッ ト核酸とハイプリ ダイゼーシ ョ ンした 2本鎖 D N Aは、 こ の ヌ ク レアーゼからプロテク シ ョ ンされるので標識が保護され るのに対し、 未反応のプローブ核酸 (例えば、 1 本鎖 D N A など) は分解されるので標識が遊離して しま う。 従って、 そ のプロテク ショ ンされたプローブ核酸の標識量を、 プローブ 核酸に含まれる標識物質からの信号を検出する こ と によって 測定し、 それによつて遺伝子の発現頻度を測定する方法であ る (図 5 ) 。
このよ う なヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ を本発明 の一部と して変異解析のために利用する こ と も可能である。 例えば、 第 6 の実施例に記載する方法によ り 得た 1 本鎖標識 化プローブ核酸を用いてヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセ ィ によ り核酸を解析しても よい。 また、 第 2 から第 5 の実施 例に記載する方法によ り 得た 2本鎖標識化プローブを第 6 の 実施例に記載する よ う な手段によ り 1 本鎖して得られた 1 本 鎖標識化プローブ核酸を用いても よい。 また、 そのよ う に し て得られた 1 本鎖標識化プローブ核酸は、 本発明の態様に従 つて得られたままで、 即ち、 基体に固相化されたままでヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ に利用 しても よ く 、 或いは 基体から遊離させ回収して利用 しても よい。 更に、 回収した 後に生成した後に使用 してもよい。
本発明の更なる態様を、 図 6 の模式図を用いて説明する。 まず、 第 6 の実施の態様に記載した方法と 同様に、 蛍光強度
の検出以前の段階まで、 即ち、 図 6 の 6 Aから 6 Dまでを行 う。 これによ り 、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ のた めの 1 本鎖標識化プローブ核酸が得られる ( 6 D )。
次に、 核酸配列の解析を行う べき試料を添加し、 ハイ プリ ダイゼーシ ョ ン可能な条件下で反応する。 6 Eに示すよ う に、 試料中に検出すべき標的核酸が存在する場合それらはハイ ブ リ ダィズする。 即ち、 前記標的核酸を含むターゲッ ト核酸 8 7 a および 8 7 b と標識化プローブ核酸 8 6 a および 8 6 b がそれぞれハイ ブリ ダィズする。 その後、 6 F に示すよ う に、 1 本鎖特異的ェン ドヌ ク レアーゼを添加し、 適切な条件下で 反応する。 その結果、 ハイプリ ダイゼーシヨ ンの生じなかつ た標識化ターゲッ ト核酸 8 6 Cは分解される ( 6 G ) 。 続レ、 て、 反応部 8 5 内の容器をフローさせ、 分解された核酸を除 去し ( 6 G ) 、 蛍光強度を検出する ( 6 H ) 。
本態様によ り使用 されるヌ ク レオチ ドプロテク ショ ンア ツ セィ の詳細な条件は、 実施者によって、 適宜決定されればよ い
こ こに示した態様では、 プローブ核酸の伸長および標識化 から、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ までを連続して 行う例を示したが、 これに限る ものではなく 、 上述したプロ ーブ核酸の伸長および標識化によ り 得られた更なる伸長され 標識されたプローブ核酸を、 ヌ ク レアーゼプロテク シ ョ ンァ ッセィ のための 1 本鎖標識化プローブ核酸と して予め作成し, 所望に応じてヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ に使用 し ても よい。
キヤ ビラ リ 一形状の反応容器を用いる場合の利点の 1 は、 各種溶液を置換するだけで分注および洗浄方法から測定まで の処理を自動化でき る可能性が大きいこ とである。 また、 キ ャ ピラ リ ー形状の反応容器の場合、 そこに含まれる溶液を容 易に置換する こ とが可能であるこ と も更なる利点である。
上述したよ う な本発明の態様によって得られた標識化プロ ーブ核酸を用いれば、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ は次のよ う な利点を得る こ と が可能である。 即ち、 プローブ 核酸を予め蛍光ラベルしておけるのでハイブリ ダィゼーショ ン前のプローブ核酸の固相量を予め知るこ と が可能である。 即ち、 プローブ核酸の固相の量や点着スポッ トの状態を反応 前に知る こ とが可能である。 従って、 プローブ核酸の固相の 精度管理が可能である。 また、 試料と して m R N Aを用いる 場合には、 従来の方法と は異な り 、 これを直接にハイブリ ダ ィゼーショ ン反応させる こ と が可能であるので、 逆転写酵素 で c D N Aを作製した り標識化するな どの作業によ り 生じる 効率のロスを避る こ とが出来る。
第 8 の実施例
本発明の更なる側面に従 う と 、 1 プローブ核酸に対して、 複数回、 ターゲッ ト核酸を含む被検試料を繰り 返し処理する こ と も可能である。
第 1 の実施例に記載した反応容器と 同じ構成を有する反応 容器 1 を使用 し、 本発明の態様に従い 2回繰り 返して処理す る場合の例について、 各工程における各分子の状態を模式的 に示した図 7 を用いて説明する。
まず、 プローブ核酸 9 2 を反応部 9 5 の底面 9 4 に固相化 する。 次に、 反応部 9 5 に対して、 第 1 のターゲッ ト核酸 9 1 a と第 1 の蛍光標識化基質核酸 9 3 a (こ こでは例と して 標識化 d U T P を記載 している) および非標識化基質核酸 (図には示してないが、 例えば、 d C T P、 d G T Pおよび d A T P ) をハイ プリ ダイズ可能な条件の下で加えハイブリ ダイゼーショ ンを行う ( 7 B ) 。 続いて、 ポ リ メ ラーゼを添 加し、 第 1 の標的部位 (図 7 では 「 A」 で示す) の次の塩基 まで伸長反応を行う ( 7 C ) 。
或いは、 上記のハイプリ ダイゼーシ ヨ ンの際に、 蛍光標識 化基質核酸 9 3 a および非標識化基質核酸は添加せずに、 最 初に、 プローブ核酸 9 2 と第 1 のターゲッ ト核酸 9 1 a と を ハイプリ ダイ ズし、 その後、 両基質核酸と ポリ メ ラーゼを添 加して伸長反応を行ってもよい。
こ こで、 所望の箇所、 即ち、 第 1 の標的部位の次の塩基で 伸長反応を停止するためには、 例えば、 第 1 の標的部位の次 の次の塩基に相捕的な塩基からなる d N T P を添加しないと い う 手段を用いればよい。
続いて、 7 Cに示すよ う に、 反応部 9 5 に、 例えば、 0 . 1 X S S C溶液を満た した状態で 9 5 °Cに温度を上昇させ、 伸長されたプローブ核酸 9 6 a からターゲッ ト核酸 9 1 a を 解離させる。 反応部 9 5 を具備するキヤ ビラ リ一内に、 例え ば、 0 . 1 X S S C溶液などを注入し排出する こ と によって 内容液をフ ロー して解離核酸を除去する。 その結果、 7 Dに 示すよ う に、 伸長され標識されたターゲッ ト核酸 9 6 a 力 1
本鎖と して得られる。
続いて、 7 Eに示すよ う な第 2 のターゲッ ト核酸 9 1 b と 第 2 の蛍光標識化基質核酸 9 3 b (こ こでは例と して標識化 d A T P を記載している) およぴ非標識化基質核酸 (図には 示してないが、 例えば、 d C T P 、 d G T P および d U T P ) をハイブリ ダィズ可能な条件の下で、 伸長され標識され たターゲッ ト核酸 9 6 a に対してカ卩ぇノヽイ ブリ ダイゼーショ ンを行う ( 7 G ) 。 続いて、 ポリ メ ラーゼを添加 し、 第 2 の 標的部位 (図 7 では 「 T」 で示す) の次の塩基まで伸長反応 を行う ( 7 H ) 。 続いて、 更に伸長され標識された第 2 のプ ローブ核酸 9 6 b について、 第 1 の蛍光物質およぴ第 2 の蛍 光物質の蛍光強度を測定する ( 7 H ) 。
或いは、 上記のハイブリ ダィゼーシヨ ンの際に、 蛍光標識 化基質核酸 9 3 b および非標識化基質核酸は添加せずに、 最 初に、 プローブ核酸 9 6 a と ターゲッ ト核酸 9 1 b と をハイ ブリ ダィズし、 その後、 両基質核酸と ポリ メ ラーゼを添加し て伸長反応を行ってもよい。
この態様においては、 第 2 の標的部位の次の塩基まで伸長 反応を行った例を示したが、 それ以上伸長しても、 第 2 の標 的部位まで伸長する こ と も可能である。
また、 上記の例では、 プローブ核酸の伸長において、 第 1 の標的部位と第 2 の標的部位の間に 1 の塩基が配置される例 を示したが、 これに限定する ものではなく 、 当該間に塩基が 配置されなく と も、 また 2以上の塩基が配置されても よい。
7 Hに示すよ う に、 得られた伸長され標識されたプローブ
核酸 9 6 b に含まれる第 1 の蛍光物質 (図 7 では星印でしめ す) と第 2 の蛍光物質 (図 7 では X印で示す) は、 識別可能 である こ とが望ま しく 、 互いに異なる波長の蛍光を生じる物 質である こ とが望ま しい。 また、 検出される蛍光強度の違い によって、 判定する場合や、 使用する検出手段の選択によつ ては、 必ずしも互いに異なる波長である必要はない。
また更に、 得られた伸長され標識されたプローブ核酸 9 6 b を 1 本鎖に変性し、 上述した方法の更なる繰り 返しを行つ ても よい。
本発明の態様に従う と、 効率のよい遺伝子変異解析方法が 提供される。
本発明の態様に従う と、 反応容器内で、 検出するべき標的 部位を含むターゲッ ト核酸とハイブリ ダィゼーシ ョ ンしたプ ローブ核酸についてのみ選択的に標識化する こ とが可能であ る。 従って、 効率のよい遺伝子変異解析が可能である と共に、 プローブ核酸の標識化を効率的に行う こ と も可能であ り 、 且 つ反応容器の製造コ ス ト も安価なものと なる。
本発明の態様に従う と、 遺伝子の変異の解析を、 煩雑な操 作を必要とせずに行う こ とが可能である。
本発明の態様に従う と、 標識化から発現頻度解析までの全 ての処理を 1 つの容器内で一括して行う こ とが可能である。
2 . 遺伝子の発現解析方法
2 . 1 遺伝子の発現解析方法の概要
本発明に従 う と 、 被検核酸中の標的配列の存在を検出する 方法が提供される。 そのよ う な被検核酸中の標的配列の存在
を検出する方法の 1 態様を図 8 を用いて説明する。
まず、 検出 したい標的配列を有するターゲッ ト核酸 1 0 2 を設定する。 一方、 前記標的配列に相補的な配列を有し、 且 つその配列の一部の塩基に標識物質を付与されたプローブ核 酸 1 0 1 を準備する ( 8 A ) 。 次に、 プローブ核酸 1 0 1 を 反応部 1 0 5 の底面 1 0 4 に固相化する。 プローブ核酸 1 0 1 を固相化された反応部 1 0 5 に被検核酸を添加 し ( 8 B ) 、 適切なハイ プリ ダイゼーショ ンが可能な条件下で、 それらを 反応させる ( 8 C ) 。 こ こで、 被検核酸中に標的配列を有す るターゲッ ト核酸が存在すれば、 ハイブリ ダィゼーシ ヨ ンが 生じ、 2本鎖核酸が生じる。
続いて、 1 本鎖特異的ヌ ク レアーゼを添加 し、 適切な酵素 反応が得られる条件下で反応を行 う ( 8 D ) 。 その結果、 1 本鎖のままのプローブ核酸およびターゲッ ト核酸などの当該 反応系に存在する 1 本鎖核酸は当該酵素によって分解される。 この酵素反応の後、 反応系を洗浄し、 そこに残った 2本鎖核 酸に含まれる標識物質からの信号を検出し、 それによつて被 検核酸中に標的配列を有するターゲッ ト核酸が存在する こ と を検出する。
また、 こ の と き、 被検核酸を対象から採取した核酸を含む 試料と し、 上述の通 り に検出を行 う こ と によって、 対象にお ける遺伝子の発現頻度を解析する方法と しても提供される。
本発明で利用 されるヌ ク レオチ ドプロテク ショ ンアツセィ においては、 ヌ ク レアーゼによる分解反応中にヌ ク レアーゼ を含む液体を流動させる工程を加えても よい。 この流動によ
つて、 ヌク レア一ゼは固相化された多種類のターゲッ ト に対 応する標識化プローブ核酸に対して均質な分解作用をする。 さ らに、 キヤ ビラ リ ーア レイ のよ う な流路の一方向にヌ ク レ ァーゼを含む溶液を連続的ないし断続的に流動させる よ う に すれば、 分解反応と除去と を継続して実行する こ とができ る し、 静止状態に起こ る よ う な酵素活性の低下も起こ る こ と な く 活性状態を維持する こ と ができ る。 一方、 本発明で利用 さ れるヌク レオチ ドプロテク ショ ンア ツセィ においては、 試料 との反応前および反応後の両方の標識量を測定し、 両方の標 識量を比較する こ と によって真の固相量に基づく 反応量を正 確に産出する工程を付加する こ と もでき る。
このよ う な反応において使用 される 1 本鎖特異的ヌ ク レア ーゼは、 核酸分解酵素 (nuclease) であ り 、 1 本鎖の核酸を 選択的に分解する酵素である。 その 1 つである S 1 ヌ ク レア ーゼは、 D N Aおよび R N A と もに酸可溶性の 5 , 一 P のヌ ク レオチ ドに分解し最終的には、 全体の 9 0 %以上を 5 ' — P のヌ ク レオチ ドに分解する酵素である (図 4 ) 。 また、 2 本鎖中の 1 本鎖部分にも作用 しこれを分解する。 この酵素は D N A— D N Aおよび D N A— R N Aハイプリ ッ ド中の 1 本 鎖部分の除去などによ く 用いられる。 また、 ェキソヌ ク レア ーゼ I も、 1 本鎖特異的エタ ソヌ ク レアーゼであ り 、 1 本鎖 D N Aの 3 , 端カゝら順番に加水分解して 5 ' — Pのヌク レオ チ ドにする。 従来、 これらの酵素は、 P C R後のプライマー の除去などに用いられている。
従来のヌ ク レアーゼプロテ ク シ ョ ンア ツセィ ( Nuclease
Protection Assay) は、 固相 したプロ ーブ核酸をあ ら力、じ めラベルを しておき、 ハイプリ ダイゼーショ ン後に 1 本鎖特 異的ヌ ク レアーゼを反応させる解析方法である。 例えば、 タ ーゲッ ト核酸とハイプリ ダイゼーシ ョ ンした 2本鎖 D N Aは、 このヌ ク レアーゼからプロテク ショ ンされるので標識が保護 されるのに対し、 未反応のプローブ核酸 (例えば、 1 本鎖 D N Aな ど) は分解されるので標識が遊離して しま う (図 5 ) 。 従って、 そのプロテク ショ ンされたプローブ核酸の標識量を、 プローブ核酸に含まれる標識物質からの信号を検出する こ と によって測定し、 それによつて遺伝子の発現頻度を測定する 方法である。 このよ う な従来のプロテクショ ンアツセィ の例 は、 例えば、 特表 2 0 0 0 — 5 1 2 4 9 9 (米国特許 5, 770, 370 の 日本での公表公報) に記載されている。
前記文献に記載される よ う な従来の方法に比較して、 本発 明は以下のよ う な効果を有する。 本発明の態様に従う と、 上 述したよ う な本方法は、 好ま しく は後述する よ う な温度制御 の可能なキヤ ビラ リ 一形状の反応部を具備する反応容器中で 行われる。 キヤ ビラ リ 一形状の反応部を具備する反応容器を 使用する こ と によ り 、 反応前の操作 (例えば、 固相化や標識 化) を同一のキヤ ビラ リ 一で実行する こ と によって、 効率的 に全ての操作および反応を行う こ と が可能である。 また、 従 来では必要であった煩雑な操作も不要にな り 、 必要な試料の 容量も微量ですむ。 また、 全ての反応について、. 小型の容器 で一括して行 う こ とが可能であるので自動化が可能である。 また、 本発明の態様に従 う と 、 反応前のプローブの固相化の
状態をモニターする こ とが可能である。 更に、 従来の D N A ア レイで行われる よ う な競合反応によ り解析を行う の と異な り 、 本発明の態様では、 他検体同士での比較や、 キヤ ビラ リ 一間での比較、 また、 プレー ト間での比較が可能である。 ま た、 逆転写酵素で c D N Aを作成した り 、 ラベルする作用で 生じる効率の低下などを回避する こ とが可能である。
上述したよ う に、 本発明に従 う発現解析方法は、 図 1 に示 すよ う なキヤ ビラ リ ー形状の反応部 2 を具備する反応容器 1 内において実施される こ とが好ま しい。
本発明において使用 される 「対象」 の語は、 ヒ ト、 サル、 ゥシ、 ブタ、 ヒ ッジ、 ャギ、 ィヌ、 ネコ、 ゥサギ、 ラ ッ トお よびマウスを含む任意の哺乳動物、 爬虫類、 魚類および昆虫 などの個体、 並びに遺伝子を発現し得るその他の生物個体、 並びに個体から採取した細胞および組織等であってもよい。
本発明において使用 される 「被検核酸」 の語は、 標的配列 の存在の検出対象となる核酸である。 被検核酸は、 自然界に 存在する如何なる核酸であっても、 人工的に作られた核酸で あっても よい。 例えば、 遺伝子の発現頻度を解析する場合に は、 一般的には対象において発現される m R N Aが被検核酸 であってよい。
対象から被検核酸を得る工程はそれ自身公知の手段によ り 行う こ とが可能であ り 、 例えば、 被検核酸が m R N Aである 場合には、 例えば、 市販のキッ トを使用 しても、 オリ ゴ d T カラムを使用 してもよい。 しかしなが ら、 これらの手段に限 定されるのもではない。 また、 被検核酸は、 対象から抽出さ
れた後に、 それ自身公知の方法によって増幅されて本発明の 態様に従う 方法に供されても よい。
また、 標識されたプローブ核酸を得る場合に使用する 「鐯 型核酸」 および 「種プローブ核酸」 も どのよ う な核酸であつ ても よい。 こ こ における 「核酸」 は、 天然に存在する種々 の D N Aおよび R N A、 並びにペプチ ド核酸、 モルホ リ ノ核酸、 メ チルフォ スフォネー ト核酸および S -オ リ ゴ核酸などの人 ェ的に合成された核酸類似体などであっても よ く 、 その塩基 配列および修飾の有無などは任意に選択すればよい。
本発明において使用 される 「標的配列」 の語は、 検出され るべき塩基配列を示す。 こ こ で使用 される 「ターゲッ ト核 酸」 の語は、 検出されるべき塩基配列、 標的配列を含む核酸 を示す。
本発明において使用 される 「プローブ核酸」 の語は、 標的 配列を検出するための核酸を示し、 標的配列に相補的な塩基 配列をその一部に含む核酸である。 また、 こ こ で使用 される 「標識化プローブ核酸」 の語は、 その配列の一部分の塩基に 標識物質が付与されている核酸を示す。 本発明の態様に従 う プローブ核酸は、 その 5 ' 末端を介して基体に固相化されて いる。 プローブ核酸の固相化は、 従来公知の何れかの基体に 対して所望のプローブ核酸を固定する こ と によって行う こ と が可能である。
本発明の態様に従って使用 され得る 「基体」 は、 そこにお いてハイ プリ ダイゼーショ ン反応を行う こ と が可能な形態で あればよい。 例えば、 一般的に使用 される反応容器、 例えば,
キヤ ビラ リ 一形状またはゥエル形状のそこにおいて反応を行 う ための反応部を有した反応容器であっても、 その面におい て反応を行う よ う な板状および球状の基体であっても よい。 あるいは、 「基体」 が、 針、 糸 (ス ト ラン ド) 、 繊維 (フ ァ ィパ) 、 円錐 (ディ スク) 、 多孔質フ ィ ルタ であっても よい。 処理の容易さから、 キヤ ビラ リ 一形状の反応部を有した反応 容器が好ま しい。
キ ヤビラ リ 一形状の反応部を有した反応容器の場合、 例え ば、 シ リ コ ン基板またはガラス基板などの基体に、 幅およぴ 厚さ約 1 0 〜約 5 0 μ mで形成された溝によ り キヤ ビラ リ一 形状の反応部が形成されても よい。 また、 1 反応容器に具備 されるキヤ ビラ リ 一形状の反応部は、 例えば、 キヤ ビラ リ一 間隔約 5 0 μ πιで 1 反応容器に約 5 0 〜約 1 0 0本/ c mの 本数で具備されても よい。 また、 各々 のキヤ ビラ リ 一は反応 温度に素早く 到達でき る よ う な構成である こ とが好ま しい。
本発明において使用 される 「標識物質」 の語は、 検出可能 な信号を生じる こ と が可能な物質をいい、 例えば、 蛍光物質、 放射性物質および化学発光物質などであってよい。 また、 酵 素反応な どで発色する基質を用いても よい。 また、 異なる部 位に存在する複数の核酸を標的配列と して検出する場合や、 複数のプローブ核酸を 1 つの基体において同時に用いる場合 など、 所望に応じて識別可能な複数の標識物質を同時に使用 してもよい。
本発明の方法において使用 される 1 本鎖特異的ヌク レアー ゼは、 1 本鎖核酸を分解する こ とが可能な酵素であればよい c
そのよ う な酵素は、 それ自身公知の何れの酵素を使用 してよ く 、 例えば、 S 1 ヌク レアーゼおよぴェク ソヌ ク レアーゼ I などを使用するこ とが可能である。
2 . 2 標識化プローブ核酸の調製方法
本発明では、 プローブ核酸の所望の部位に対して標識物質 を付与する際に使用 されるそれ自身公知の何れの手段も、 本 発明において使用される 「標識化プローブ核酸」 を調製する 際に使用 してよい。 また、 以下において説明する標識化プロ ープ核酸の調製方法を、 上述の遺伝子発現解析方法で使用 さ れる 「標識化プローブ核酸」 を調製する際に使用 しても よい 以下、 図 9 を用いて 「標識化プローブ核酸」 を調製する方法 を説明する。
先ず最初に、 錶型捕獲用配列を有する種プローブ核酸 1 2 2 を、 その 5 , 末端を介して反応部 1 2 5 の底面 1 2 4 に固 相化する。 次に、 錶型核酸 1 2 1 を反応部 1 2 5 に添加し、 適切なハイ ブリ ダィゼーシヨ ンが得られる条件、 例えば、 厳 格な (ス ト リ ンジエ ンシーな) 条件、 で反応を行う。 こ こで . 錶型核酸 1 2 1 は、 その 3 ' 端側に铸型捕獲用配列に相補的 な配列 a を、 配列 a の 5 ' 側の隣り に被標識配列 b を、 更に 被標識配列 b の 5 ' 側の隣り に伸長配列 c を含む ( 9 A ) 。 このよ う な構成によって、 铸型核酸 1 2 1 は、 種プローブ核 酸 1 2 2 に対してハイブリ ダィズする。 図 9 には、 被標識配 列 b 力 S 「 A」 即ちアデニンである場合を示す。
ハイプリ ダイゼーショ ンの後に、 ハイブリ ダイゼーシ ョ ン に使われなかった錶型核酸 1 2 1 を除去する。
続いて、 反応部 1 2 5 に対して、 検出可能な信号を生ずる 標識物質を付された特定の 1 種類の塩基を含む標識化デォキ シヌ ク レオシ ド三リ ン酸 1 2 3 と、 伸長配列 c に相補的な塩 基を含む非標識化デォキシヌ ク レオシ ド三リ ン酸 1 2 7 およ ぴ 1 2 8 と、 ポ リ メ ラーゼと を反応部に添加し、 適切な伸長 反応が得られる条件下で伸長反応を行 う ( 9 D ) 。 伸長反応 終了後、 伸長反応に使用 されなかった基質を除去する。 その 後、 得られた 2本鎖を変性し、 铸型核酸 1 2 1 を除去する。 それによ り標識されたプローブ核酸 1 2 6 が得られる。 得ら れた標識されたプローブ核酸 1 2 6 は、 反応部 1 2 5 に固.相 化されたままの状態で使用 しても、 回収してから使用 してい よい。
また、 上述の例では、 ハイブリ ダィゼーシヨ ンおょぴ伸長 反応の後に、 反応に供されなかった物質を除去している。 し かしなが らこれらの除去は必ずしも行 う必要はない。
こ こで、 錄型核酸の長さは、 目 的とする標識されたプロ一 ブ核酸の長さ に応じて変更すればよい。 例えば、 铸型核酸の 長さは 1 0塩基から 1 0 0 0塩基でよ く 、 好ま しく は 1 5塩 基から 2 0 0塩基であればよい。
種プローブ核酸の長さは、 1 0塩基から 5 0塩基でよ く 、 好ま しく は 1 5塩基から 3 0塩基であればよい。 また、 上記 の例では被標識配列がアデニンの例を示したが、 これに限定 する ものではな く 、 シ ト シン、 ゥ ラ シル、 チ ミ ン、 グァユン 何れであっても よい。
伸長配列は、 種プローブ核酸に標識化基質が取り 込まれた
後に、 続いて取 り 込まれる非標識化基質の種類および長さを 決定する配列である。 従って、 実施者が任意に選択する こ と が可能である。 しかしながら必ずしも伸長配列が存在する必 要はなく 、 伸長配列が存在しない場合には、 標識化基質が種 プローブ核酸の末端に存在する。 伸長配列の長さは、 1 塩基 から 5 0塩基であればよ く 、 好ま しく は 1 塩基カゝら 1 0塩基 である。
本発明に従う と、 以下の [ 1 ]〜 [ 6 ]に記載の態様も本発明 と して好ま しく 提供される。
[ 1 ] 以下の工程によ り得られる標識化プローブ核酸 :
( 1 ) 種プローブ核酸に対して、 適切なハイ ブリ ダィゼー シヨ ン可能な条件下で、 前記種プローブ核酸に相補的な相捕 配列と 、 この相補配列の 5 ' 側に存在する被標識配列と、 こ の被標識配列の 5 ' 側に存在する伸長配列と を含む鎳型核酸 を反応させる工程と、
( 2 ) 前記被標識配列の塩基に相補的な塩基を含み、 且つ 標識物質を付与された標識化基質核酸と、 前記伸長配列に含 まれる塩基に相補的な塩基を具備する基質核酸と、 ポリ メ ラ ーゼの存在する条件下で、 前記種プローブ核酸を伸長するェ 程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の工程で得られた 2本鎖を解離する こ と によ り 、 1 本鎖の標識化プローブ核酸を得る工程。
[ 2 ] 以下の工程によ り得られる標識化プローブ核酸 :
( 1 ) 第 1 の種プローブ核酸に対して、 適切なハイ ブリ ダ ィゼーショ ン可能な条件下で、 前記第 1 の種プローブ核酸に
相補的な第 1 の相補配列と、 こ の第 1 の相補的配列の 5 ' 側 に存在する第 1 の被標識配列と 、 第 1 の被標識配列の 5 ' 側 に存在する第 1 の伸長配列と を含む铸型核酸を反応させるェ 程と、
( 2 ) 前記第 1 の被標識配列の塩基に相補的な塩基を含み、 且つ標識物質を付与された第 1 の標識化基質核酸と、 前記第 1 の伸長配列に含まれる塩基に相補的な塩基を具備する非標 識基質核酸と 、 ポ リ メ ラーゼ と の存在する条件下で、 前記
( 1 ) の工程で得られた 2本鎖に含まれる前記第 1 の種プロ ーブ核酸を伸長する工程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の工程における伸長の後に、 当該 2本鎖 を解離する こ と によ り 、 第 2 の種プローブ核酸を得る工程と 、
( 4 ) 前記 ( 3 ) で得られた第 2 の種プローブ核酸に対し て、 適切なハイプリ ダイゼーシ ヨ ン可能な条件下で、 前記第 2 の種プローブ核酸の 3 , 側の一部の配列に相補的な第 2 の 相補的配列と、 この第 2 の相補的配列の 5 , 側に存在する第 2 の被標識配列と、 第 2 の被標識配列の 5 ' 側に存在する第 2 の伸長配列と を含む铸型核酸を反応させる工程と、
( 5 ) 前記第 2 の被標識配列の塩基に相補的な塩基を含ん でお り標識物質を付与された第 2 の標識化基質核酸と、 前記 第 2 の伸長配列に含まれる塩基に相補的な塩基を具備する非 標識基質核酸と、 ポリ メ ラーゼと の存在する条件下で、 前記 ( 4 ) の工程で得られた 2本鎖に含まれる前記第 2 の種プロ ーブ核酸を伸長する工程と、
( 6 ) 前記 ( 5 ) の工程における伸長の後に、 当該 2本鎖
を解離する こ と によって 1本鎖と して標識化プローブ核酸を 得る工程。
[ 3 ] 前記 ( 6 ) の工程で得られた標識化プローブ核酸を 種プローブ核酸と して用いて、 前記 ( 4 ) の工程から ( 6 ) の工程を任意の回数だけ繰り 返すこ と によ り 得られる こ と を 特徴とする上記 [ 2 ]に記載の標識化プローブ核酸。
[4 ] 前記種プローブ核酸がその 5 ' 末端を介して基体に 固相化されている こ と を特徴とする上記 [ 1 ]から [ 3 ]の何れ か 1 に記載の標識化プローブ核酸。
[ 5 ] 上記 [ 1 ]から [ 4 ]の何れか 1 に記載の標識化プロ一 ブ核酸を用いる こ と を特徴と し、 以下の工程を含む、 被検核 酸中の標的配列の存在を検出する方法 ;
( 1 ) そこにおいて反応を行 う こ とが可能な流路に固相化 され、 標識物質を付加された標識化プローブ核酸に、 適切な ハイ プリ ダイゼーシ ョ ン可能な条件下で被検核酸を反応させ る工程と、
( 2 ) 前記 ( 1 ) の工程の後に、 1 本鎖特異的ヌク レア一 ゼを前記流路に添加して、 適切な酵素反応を得られる条件下 で反応を行う 工程と、
( 3 ) 前記 ( 2 ) の工程の後に、 前記流路から酵素反応の 分解産物を除去する工程と、
( 4 ) 前記流路内の 2本鎖核酸に含まれる標識物質からの 信号を検出する工程と、
( 5 ) 前記 ( 4 ) の工程において検出された信号を基に、 被検核酸中の標的配列の存在を検出する工程。
[6 ] 上記 [ 5 ]に記載の ( 1 ) の工程において使用 される 標識物質を付加された標識化プローブ核酸が、 以下の工程に よ り製造される こ と を特徴とする、 上記 [ 5 ]に記載の被検核 酸中の標的配列の存在を検出する方法 :
( i) 種プローブ核酸に相補的な相補配列と 、 こ の相補配 列の 5 ' 側に存在する被標識配列と、 この被標識配列の 5 ' 側に存在する伸長配列と を含む铸型核酸を、 適切なハイプリ ダイゼーショ ン可能な条件下で、 種プローブ核酸に対して反 応させる工程と、
( ii) 前記被標識配列の塩基に相補的な塩基を含み、 且つ 標識.物質を付与された標識化基質核酸と、 前記伸長配列に含 まれる塩基に相補的な塩基を具備する基質核酸と、 ポリ メ ラ ーゼの存在する条件下で、 前記種プローブ核酸を伸長するェ 程と、
( iii) 前記 ( i i ) の工程で得られた 2 本鎖を解離する こ と によ り 、 1 本鎖の標識化プローブ核酸を得る工程。
2 . 3 実施例
本発明の遺伝子の発現解析方法は、 上述の第 1 およぴ第 2 の実施例で記載される反応容器に、 検出 したい標的配列に相 捕的な配列を含む標識化プローブ核酸を固相化して行う こ と ができ る。
第 9 の実施例 : ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ 1 本発明の態様に従 う被検核酸中の標的配列の存在を検出方 法の例を図 1 0 を用いて説明する。
それ自身公知の何れかの手段によ り 、 所望する部分に対し
て標識物質を付与されたプローブ核酸を準備する。 この よ う な標識化プローブ核酸を第 1 の実施例に示す反応容器と 同様 の反応容器の底面に固相化する ( 1 0 D ) 。
例えば、 これに限定される ものではないが、 種プローブ核 酸 1 6 2 a カゝら 1 6 2 c を反応容器の反応部 1 6 5 の底面 1 6 4 に固相ィ匕し ( 1 0 A ) 、 铸型核酸 1 6 l a 力 ら 1 6 1 c と、 蛍光標識化基質核酸 1 6 3 (こ こでは例と して標識化 d U T Pを記載している) およぴ非標識化基質核酸 (図には示 してないが、 例えば、 d C T P、 d G T Pおよび d A T P ) をハイブリ ダィ ズ可能な条件の下で加えてハイ ブリ ダィゼー シヨ ンを行い ( 1 0 B ) 、 ポ リ メ ラーゼを添加 して所望の塩 基まで伸長反応を行い、 更に加熱しなが らまたは加熱後にフ ローを行って一本鎖と し ( 1 0 C ) 、 所望する標識化プロ一 ブ核酸 1 6 6 a 力 ら 1 6 6 c を合成しても よい ( 1 0 D ) 。 また、 こ こでは、 ハイブリ ダィゼーシヨ ン時に蛍光標識化お よび非標識化基質核酸を存在させたが、 ハイ ブリ ダィズ終了 後のポリ メ ラーゼ添加と共に蛍光標識化および非標識化基質 核酸を添加してもよい。
次に、 核酸配列の解析を行 う べき試料を添加 し、 ハイ プリ ダイゼーショ ン可能な条件下で反応する。 1 0 Eに示すよ う に、 試料中に検出すべき標的核酸が存在する場合、 ハイ プリ ダイゼーシヨ ンが生じる。 こ こで示す例は、 前記標的配列を 含むターゲッ ト核酸 1 6 7 a および 1 6 7 b と プロープ核酸 1 6 6 a および 1 6 6 b が、 それぞれにハイプリ ダイズして いる ( 1 0 E ) „
その後、 1 本鎖特異的ヌ ク レアーゼを添加し、 適切な条件 下で反応する ( 1 0 F ) 。 その結果、 ハイ プリ ダイゼーショ ンの生じなかった 1 本鎖のプローブ核酸 1 6 6 c は分解され る ( 1 0 G ) 。 次に、 反応部 1 6 5 内の内容物をフローさせ、 分解された核酸を除去する ( 1 0 G ) 。 続いて、 反応部 1 6 5 について蛍光強度を検出する ( 1 0 H ) 。
本態様によ り 使用 されるヌ ク レオチ ドプロテク シ ョ ンア ツ セィ の詳細な条件は、 実施者によって、 適宜決定されてよい。
ここに示した態様では、 種プローブ核酸の伸長および標識 化から、 ヌ ク レアーゼプロ テ ク ショ ンア ツセィ までを連続し て行う例を示したが、 これに限る も のではない。 予め、 上述 した種プローブ核酸の伸長および標識化によ り 得られた、 更 なる伸長され標識されたプローブ核酸を、 ヌ ク レアーゼプロ テクシ ョ ンア ツセィ のための 1 本鎖標識化プローブ核酸と し て作成しておき、 所望の時期にヌ ク レアーゼプロテク シ ョ ン ア ツセィ に使用 しても よい。 また、 他のそれ自身公知の方法 によって所望の位置に標識を付与した 1 本鎖標識化プローブ 核酸を使用 しても よい。
上述したよ う な本発明の態様に従 う標識化プローブ核酸を 用いれば、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ を次のよ う な有利点をもって行 う こ と が可能である。 即ち、 プローブ核 酸を予め蛍光ラベルしておけるので、 ハイプリ ダイゼーショ ン前に、 予めプローブ核酸の固相量を知る こ と が可能である。 即ち、 固相化されたプローブ核酸量や点着ス ポ ッ ト の状態を 反応前に把握する こ とが可能である。 それによつて、 プロ一
ブ核酸の固相について精度管理を行 う こ と が可能になる。 ま た、 試料と して m R N Aを用いる場合には、 従来の方法と は 異な り 、 これを直接にハイ プリ ダイゼーショ ン反応させる こ とが可能であるので、 逆転写酵素で c D N Aを作製した り標 識化するなどの作業によ り 生じる効率のロスを回避する こ と が可能である。
キヤ ビラ リ 一形状の反応容器を用いる場合の利点の 1 は、 各種溶液を置換するだけで分注および洗浄方法から測定まで の処理を行えるため、 装置を 自動化でき る可能性が大きいこ とである。 また、 キヤ ビラ リ 一形状の反応容器の場合、 そこ に含まれる溶液の置換も容易である。
第 1 0 の実施例 : ヌ ク レアーゼプロテク シ ョ ンア ツセィ 2 まず、 第 1 の実施例と 同様の方法によ り 反応容器を形成し た。 第 1 の基板に、 ガラス板に長さ 3〜 4 c m、 幅 1 m m、 高さ 0 . 1〜 0 . 2 nx mの溝を形成し、 こ の溝の両端にそれ ぞれ貫通孔を形成した。 第 2 の基板は、 ス ト レプ トア ビジン コー トス ライ ド (株式会社グライナ一 , ジャパン) である。
ス ト レプ ト ア ビジンコー ト ス ライ ド ( (株) グライ ナ一' ジャパン社製) に対 して、 5 , 端を ピオチン標識 し、 且つ 3 ' 端力 ら 1 0番目 の Tを C y 3標識した P R H— H P R T 1 M . B D { biotin- G G G G G C T A T A A A T T C T T T G C ( T - C y 3 ) G A C C T G C T G (配列番号 4 ) } を 1 0 n Mで点着装置を用いてスポッティ ングした。 これに よ り ピオチン一アビジン反応でプローブ核酸が固相化された。 続いて、 第 1 の基板と第 2 の基板を接合した。
上述のよ う に して作成した反応容器に前記溝によって形成 されたキヤ ビラ リ一内に、 ターゲッ ト核酸と して 1 O n Mの P R H - H R R T 1 R V . 0 ( C A G C A G G T C A G C A A A G A A T T T A T A G C C C C C (配列番号 5 ) ) を添 カロ した。 この と き、 溶媒と しては 1 X S S C溶液 ( 0 . 1 5 Mの N a C l 、 0 . 0 1 5 Mのク ェン酸ナ ト リ ウム) を使用 した。 これを 4 2 °Cで 1 時間ハイ ブリ ダィズした。 ハイブリ ダイゼーショ ン後、 1 X S S C溶液で十分に洗浄し、 未反応 のターゲッ ト核酸を当該キヤ ビラ リ 一から除去した。 次に、 S 1 ヌ ク レアーゼ溶液 ( 3 O mMの酢酸ナ ト リ ウム ( p H 4 . 6 ) 、 2 8 0 の & じ 1 、 I mMの Z n S 0 4の緩衝液 中) をキヤ ピラ リ ー内に添加し、 3 7 °Cで 1 時間反応した。 反応後、 0 . 1 X S S Cで十分に洗浄し、 未反応物質を除去 して蛍光強度を測定した。 表 3 に P R H— H P R T 1 R V . 0 ターゲッ ト核酸を濃度 1 0 n Mで存在させた場合と、 当該 ターゲッ ト核酸を存在させなかった場合に得られる蛍光強度 を相対的に示した。
表 3
PRH-HPRT1RV.0ターゲッ 卜 蛍光強度 (相対値)
10nM 1.000
OnM 0.012
PRH-HPRT1M.BDプローブ 10Π
表 3 中の蛍光強度は、 一番強い蛍光強度を 1 と した場合の 相対値である。 表から分かる よ う に、 本態様に従う方法によ
る と 、 定量的にターゲッ ト核酸の検出を行 う こ とが可能であ る。
本発明の態様に従 う と、 反応容器内で、 標的配列を有する ターゲッ ト核酸にハイプリ ダイズしたプローブ核酸について のみ、 その標識物質からの信号が選択的に検出される。 従つ て、 効率のよい遺伝子発現頻度解析が可能である。
本発明の態様に従 う と、 遺伝子の発現頻度の解析を、 煩雑 な操作を必要とせずに行う こ と が可能である。 また、 本発明 の態様に従う と 、 標識化から発現頻度解析までの全ての処理 を 1 つの容器内で一括して行う こ とが可能である。
本発明に従 う遺伝子の発現頻度の解析は、 従来の解析方法 のよ う な競合反応ではないので、 他検体などについて検出を 行った反応容器と の間で比較をするこ とができ る。 即ち、 複 数の反応容器間 (例えば、 キヤ ビラ リ 一間や、 プレー ト 間な ど)での比較が可能である。
また、 プローブ核酸の固相状況を把握する こ とが可能であ るので、 プローブ核酸の固相量や、 点着スポ ッ トの状態を反 応前に把握する こ とが可能である。 従って、 プローブ固相の 精度管理が可能である。
第 1 1 の実施例 : 標識化プローブの製造 1
上述のよ う な第 1 の実施例に示すよ う な反応容器を用いて、 次の実験を行った。
前記キヤ ビラ リ一内に、 鍀型核酸と して前記 R V核酸の配 歹 にネ目捕的な R V c o m p t a r g e t 、 tgcacatggtcata gctgtttcc ; 配列番号 2 ) を 1 0 0 n M ( 1 X S S C溶液
中) の濃度で添加し、 3 7 °Cで 1 時間、 ハイ プリ ダイゼーシ ヨ ンを行った。 ハイ ブリ ダィゼーシ ヨ ン後、 1 X S S C溶液 (以下の組成である ; 0 . 1 5 Mの N a C l 、 0 . 0 1 5 M のクェン酸ナ ト リ ウム、 p H 7 . 0 ) で十分に洗浄して、 未 反応の鎳型核酸をキヤ ビラ リ一内から取り 除いた。 次に 0 . 0 2 πl L の伸長反応溶液 [ 1 0 mMの T r i s — H C l ( p H 7 . 5 ) 、 7 mMの M g C l 2、 0 . I mMの D D T、 K 1 e η ο w F r a g m e n t ( D Ν Α ポ リ メ ラーゼ I , L a r g e F r a g m e n t ; T O Y O B O ) を 0 . 4ュ ニ ッ ト / μ Ι^、 Ι Ο ^ Μの d A T P、 Ι Ο μ Μの d C T P、 1 Ο μ Μの d G T P、 および 1 Ο μ Μの C y 3 _ d U T P を 含む]を前記キヤ ピラ リ ー内に添加 し 3 7 °Cで 1 〜 2 時間反 応させた。 反応後、 0 . 1 X S S Cで十分に洗浄して未反応 物を取り 除き蛍光を測定した (表 4 ) 。
表 4 は、 種プローブ核酸の基体への点着量を 1 0 n Mまた は I n Mと した場合に、 K l e n o w F r a g m e n t を 添加あ り の場合と添加なしと した場合に得られる蛍光強度を 示す表である。 表中の蛍光強度は、 一番強い蛍光強度を 1 と したと きの相対値である。
表 4 ターゲッ 卜点着量 10n 1n
Klenow Fragmentめ 'り -. 1.000 0.321
Klenow Fragmentなし 0.017 0.012 表 4 に示すよ つ に、 伸長反 M、中に K 1 e n o w F r
m e n t を存在させなかった場合には、 相対値は非常に低か つた。 従って、 種プローブ核酸への標識核酸の結合が非特異 的なものではなく 、 ポ リ メ ラーゼによ る伸長である こ とが確 認できた。 また、 種プローブ核酸の点着量の増加に依存して、 相対的蛍光強度も増加した。
このよ う な反応によ り 生じる現象を、 図 9 に模式的に示し た。 本反応では、 9 Aに示すよ う に、 铸型核酸 1 2 1 と して 5 ' 末端をピオチン標識した R V核酸 ( ggaaacagctatgaccat g ; 配列番号 1 ) 1 2 1 を、 プローブ核酸 1 2 2 と して R V c o m p t a r g e t ( tgcacatggtcatagctgtttcc ; 酉己歹 (J 番号 2 ) を使用 した。 また、 被標識配列 b はそこに存在する 塩基を Aと し、 それに相補的な塩基を含む標識化基質核酸と しては蛍光標識した塩基 U 2 3 を用いた ( 9 A ) 。 本明細書 において、 各略語はそれぞれ、 「A」 はアデニン、 「 U」 は ゥ ラ シル、 「 T」 はチ ミ ン、 「 G」 はグァニン、 「 C」 はシ ト シンである。 また、 本明細書において例と して挙げる塩基 は、 記載の便宜上、 例と して挙げているに過ぎないので、 そ れらの塩基に限定する ものではない。
また、 錶型核酸 1 2 1 は、 捕獲用配列 a を含み、 且つその 捕獲用配列 a の 5 ' 側に被標識配列 b を含む。 この捕獲用配 列 a によって、 種プローブ核酸 1 2 2 と のハイブリ ダィゼー シ ヨ ンが達成される。 続く 、 種プローブ核酸 1 2 2 の 3 ' 端 の伸長は、 铸型核酸 1 2 1 の捕獲用配列 a よ り も 5 ' 側の配 列を铸型と して達成される。 更に、 その铸型核酸 1 2 1 の捕 獲用配列 a よ り も 5 ' 側に含まれる被標識配列 b の塩基に対
して、 標識化基質 1 2 3 がハイブリ ダィ ズして取り 込まれる こ と によって、 標識化が達成される。
こ こ では 1塩基の被標識配列を用いた例を示 したが、 被標 識配列は 1 塩基のみを含むものに限らず、 連続した複数の塩 基を含んでいても よ く 、 または断続的な複数の塩基であって あ よい。
このよ う なプローブ核酸の標識化は、 上述のよ う にキヤ ピ ラ リ ー形状の反応容器を使用する と 、 必要と される試料およ ぴ試薬の量が微量でよいとい う効果が得られる。
以上のよ う な本発明の態様に従 う と、 プローブ核酸の標識 化を容易に行 う こ とが可能である。 本態様に従 う と、 所望す る特定の配列を有するプローブ核酸の特定の塩基を選択的に 標識する こ とが可能であ り 、 これによつて、 被検試料中に含 まれる被検核酸に標的配列が存在するか否かを判定する こ と が可能である。 それによ り 、 遺伝子の発現頻度を解析する こ とが可能である。 また、 上述のよ う な方法によ り標識化した プローブ核酸も本発明の範囲内である。
第 1 2 の実施例 : 標識化プローブ核酸の製造方法 2 第 1 の実施例に記載した反応容器を用いて、 伸長反応液を 変更したこ と以外は第 1 1 の実施例に記載の方法と 同様に標 識化プロープ核酸を作成した。
第 1 1 の実施例において使用 した伸長反応液に変えて、 次 の伸長反応液 { l O mMの T r i s — H C l ( pH7.5) 、 7 mMの M g C l 2、 0 . 1 mMの D D T、 K l e n o w F r a g m e n t ( D N A ポ リ メ ラーゼ I , L a r g e F
r a g m e n t ; T O Y O B O ) を 0 . 4ユニッ ト / L 、 1 0 /i Mの d A T P、 Ι Ο μ Μの d C T P 、 Ο μ Μの d G T Pまたは Ι Ο μ Μの d d G T P、 および Ι Ο μ Μの C y 3 — d U T P を含む } を用い、 他の条件は第 1 1 の実施例の記載 と 同様にして標識化プローブ核酸を作成した。
その反応の結果、 0 Μの d G T P を用いた場合には、 種 プローブである R V核酸はその 3 , 端から C y 3 — Uまで伸 長された。 即ち、 その後の G、 Cおよび Aは伸長されなかつ た。 また、 1 0 / Mの d d G T P を用いた場合には、 R V核 酸はその 3 , 端から Gまで伸長された。 即ち、 その後の C 、 Aは伸長されなかった。
表 5 は、 種プローブ核酸の基体への点着量を 1 O n Mと 1 n Mと し、 且つ K l e n o w F r a g m e n t を添力!]あ り の場合と添加な しの場合について、 一番強い蛍光強度を 1 と したと きの相対値を示す。
表 5 ターゲッ卜点着量 10n 1n
Klenow卜 ragn^'nt...あり 1.000 0,356
Klenow Fragmentなし 0.024 0.014 表 5 に示すよ う に、 伸長反応中に K l e n o w F r a g m e n t を存在させなかった場合には、 相対値は非常に低か つた。 従って、 種プローブ核酸への標識基質核酸の結合が非 特異的なものではなく 、 ポリ メ ラーゼによ る伸長である こ と が確認できた。 また、 種プローブ核酸の点着量の増加に依存
して、 相対的蛍光強度も増加した。
本発明は、 錶型核酸とハイ ブリ ダィ ズした種プローブ核酸 のみを標識化する こ とが可能である。 また、 鍚型捕獲用配列 にハイプリ ダイ ズするべき標識化基質核酸以外の基質核酸を、 それ以降伸長反応できないよ う なヌ ク レオチ ド(例えば、 d dN TP など)にすれば、 或いは反応系に存在させないよ う にすれ ば、 種プローブ核酸の標識量および伸長程度を制御する こ と ができ る。
また、 種プローブ核酸に取り 込まれる標識物質の量は、 铸 型核酸の量に依存する。 従って铸型核酸と して試料中の被検 核酸を使用すれば、 特定の条件において発現された核酸の情 報を反映した標識化プローブ核酸を作成する こ とが可能であ る。 また、 そのよ う な場合には、 铸型核酸の量は、 その核酸 の発現頻度に依存して変化する ので、 標識化プローブ核酸を 作成する と 同時に、 铸型核酸と して用い られた標的核酸につ いての遺伝子発現頻度も同時に測定する こ と も可能である。 このよ う な遺伝子発現頻度解析方法は、 微量な試料で行 う こ とが可能である。 即ち、 全ての処理を小型の容器内で、 一連 の処理と して行う こ とが可能であるので、 核酸基質 (例えば. d N T P など) の量おょぴ必要な試薬の量を低減する こ と が 可能であ り 、 また、 多検体について短時間に解析する こ と も 可能である。
第 1 3 の実施例 : 標識化プローブ核酸の製造方法 3
第 1 3 の実施例を模式図である図 1 1 を用いて説明する。 本例では、 それぞれに配列の異なる第 1 の種プローブ核酸 1
3 2 a 、 第 2 の種プローブ核酸 1 3 2 b 、 およぴ第 3 の種プ ローブ核酸 1 3 2 c を反応部の底部 1 3 4 に固相化した以外 は第 1 の実施例と 同様に作成した反応容器を使用する。 また、 1 1 Aでは、 それぞれの铸型核酸 1 3 1 a 〜 l 3 1 c に含ま れる被標識配列は便宜上 「 A」 と して示した。
本発明に従 う標識化プローブ核酸の作成は、 以下のよ う に 行う こ と も可能である。 先ず、 1 1 B に示すよ う に铸型核酸 1 3 1 a 〜 l 3 1 c を種プローブ核酸 1 3 2 a 〜 l 3 2 c に 対してハイ ブリ ダィズし、 次に、 1 1 Cに示すよ う に標識化 基質核酸 1 3 3 を基質と して用いて伸長反応する ( 1 1 B 〜 1 1 C ) 。 続いて、 反応部 1 3 5 について、 例えば、 約 9 5 °Cに温度を上昇させ ( 1 1 C ) 、 伸長したプローブ核酸 1 3 6 から鎳型核酸 1 3 1 を解離させ、 反応部 1 3 5 を具備す るキヤ ピラ リ ー内に 0 . 1 X S S C溶液な どの緩衝液を注入 し、 排出する こ と によって内容液をフローさせる。 それによ り 、 解離したターゲッ ト核酸を除去し、 伸長され標識された プローブ核酸 1 3 6 a カゝら 1 3 6 c を 1 本鎖と して得る ( 1 1 D 。
上記の態様では、 2本鎖核酸の解離手段と して熱処理を行 つているが、 本発明の態様に従って使用可能な 2本鎖核酸の 解離手段は、 これに限定する も のではない。 即ち、 それ自体 公知の一般的に 2本鎖核酸を 1 本鎖に解離する場合に使用 さ れる手段であれば何れの手段であってよい。 例えば、 アル力 リ 溶液、 尿素またはホルムア ミ ド等を用いても よい。
また、 铸型核酸が R N Aであ り 、 プローブ核酸が D N Aで
ある場合、 1 本鎖への解離は、 前記 R N Aを分解する よ う な 酵素、 例えば、 R N A a s e Hなどを用いて行ってもよい。
上記では 3種類の種プローブ核酸と鎵型核酸の例を示した が、 これ以上またはこれ以下の種類の種プローブ核酸おょぴ /または鎳型核酸を用いても よ く 、 また、 各種類の核酸を 1 以上で用いてもよい。
本発明の態様に従う と、 上述した第 9 の実施例から第 1 3 の実施例に記載した方法の一部分を所望に応じて組み合わせ て実行しても、 また、 所望に応じて一部を変更 して実施して あ よい。
従来の方法では、 プローブ核酸の中間部位を標識化する場 合には、 高度な技術が必要と されている。 また、 中間部位が 標識されたプローブ核酸の作製を専門業者に依頼した場合に は、 莫大な時間と費用が必要と されている。 それに対して、 本発明の態様に従う と、 ヌ ク レオチ ドの伸長反応を制御でき る。 従って、 最終的に得られる更なる標識されたプローブ核 酸の所望の中間位置を容易に標識化する こ と が可能である。 それによ り 、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ に利用す るためのプローブ核酸も短時間に効率よ く 作製する こ と が可 能である。
第 1 4 の実施例 : 標識化プローブ核酸の製造方法 4 ' 本発明の更なる側面に従 う と 、 1 種プローブ核酸に対して、 複数回繰り 返して異なる種類の錶型核酸をハイ プリ させて伸 長処理する こ と も可能である。
第 1 の実施例に記載する反応容器と 同様な反応容器を使用
し、 本発明の態様に従い標識を 2 回繰り 返して行う場合の例 を図 1 2 を用いて説明する。
まず、 第 1 の铸型核酸 1 4 1 と種プローブ核酸 1 4 2 と蛍 光標識基質核酸 1 4 3 a を用意する ( 1 2 A ) 。 次に、 種プ ロープ核酸 1 4 2 を反応部 1 4 5 の底面 1 4 4 に固相化する ( 1 2 B ) 。 次に、 反応部 1 4 5 に対して、 第 1 の铸型核酸 1 4 l a と第 1 の蛍光標識化基質核酸 1 4 3 a (こ こでは例 と して標識化 d U T P を記載している) およぴ非標識化基質 核酸 (図には示してないが、 例えば、 d C T P 、 d G T Pお ょぴ d A T P ) をハイブリ ダイズ可能な条件の下で加えてハ ィプリ ダイゼーシヨ ンを行う ( 1 2 B ) 。 続いて、 ポリ メ ラ ーゼを添加 し、 第 1 の被標識配列 (図 1 2 では 「 A」 で示 す) の次の塩基まで伸長反応を行う ( 1 2 C ) 。
こ こで、 所望の箇所、 即ち、 第 1 の被標識配列の次の塩基 で伸長反応を停止するためには、 第 1 の被標識配列の次の次 の塩基に相補的な塩基からなる d N T P を添加 しないでおけ ばよい。 或いは第 1 の被標識配列の次の塩基に相補的な塩基 からなる基質を d d N T Pにしても よい。
また、 上記では、 蛍光標識基質核酸' 1 4 3 a と非標識化基 質核酸の添加をハイ プリ ダイゼーショ ンに先駆けて添加して いるが、 蛍光標識基質核酸 1 4 3 a と非標識化基質核酸の添 加はハイプリ ダイゼーショ ンの後に、 ポリ メ ラーゼの添加と 同時またはその前後に行ってよい。
続いて、 1 2 Cに示すよ う に、 反応部 1 4 5 に、 例えば、 0 . 1 X S S C溶液を満た した状態で 9 5 °Cに温度を上昇さ
せ、 伸長されたプローブ核酸 1 4 6 a から錶型核酸 1 4 1 a を解離させる。 反応部 1 4 5 を具備するキヤ ビラ リ一内に、 例えば、 0 . 1 X S S C溶液などを注入し排出するこ と によ つて内容液をフ ロー して解離核酸を除去する。 その結果、 1 2 Dに示すよ う に、 伸長され標識されたプローブ核酸 1 4 6 a 力 本鎖と して得られる (図 1 2 ) 。
続いて、 1 2 Eに示すよ う な第 2 の铸型核酸 1 4 2 b と第 2 の蛍光標識化基質核酸 1 4 3 b (こ こでは例と して標識化 d A T P を記載している) および非標識化基質核酸 (図には 示してなレヽが、 例えば、 d C T P、 d G T P お よび d U T P ) をハイ ブリ ダイ ズ可能な条件の下で加えハイプリ ダイゼ ーシヨ ンを行 う ( 1 2 G ) 。 続いて、 ポリ メ ラーゼを添加し、 第 2 の被標識配列 (図 1 2では 「 T」 で示す) の次の塩基ま で伸長反応を行 う ( 1 2 H) 。 更に、 铸型核酸 1 4 2 b を解 離させ、 1 本鎖を得る。
また、 上記では、 ハイブリ ダィズに先駆けて第 2 の蛍光標 識基質核酸 1 4 3 b と非標識化基質核酸を添加しているが、 ハイブリ ダィ ズの後で、 ポリ メ ラーゼの添加と 同時、 または その前後に添加してもよい。
この態様においては、 第 2 の被標識配列の次の塩基まで伸 長反応を行った例を示したが、 それ以上伸長しても、 第 2 の 標的配列までで伸長を止めても よい。
また、 上記の例では、 種プローブ核酸の伸長において、 第 1 の被標識配列と第 2 の被標識配列の間に 1 の塩基が配置さ れる例を示したが、 これに限定する も のではなく 、 当該間に
塩基が配置されな く と も、 また 2以上の塩基が配置されても よい。
1 2 Hに示すよ う に、 得られた第 2 の伸長され標識された プローブ核酸 1 4 6 b に含まれる第 1 の蛍光物質 (図 1 2 で は星印でしめす) と第 2 の蛍光物質 (図 1 2 では X印で示す ) は、 識別可能である こ と が望ま しく 、 互いに異なる波長の 蛍光を生じる物質である こ と が望ま しい。 しかしなが ら、 検 出される蛍光強度の違いによって判定する場合や、 使用する 検出手段の選択の仕方によっては、 必ずしも互いに異なる波 長である必要はない。
また更に、 得られた第 2 の伸長され標識されたプローブ核 酸 1 4 6 b を更に 1 本鎖に変性し、 上述した方法を更に繰り 返しても よい。
以下に、 具体的な 1 例を挙げて更に説明する。
まず、 第 1 の実施例に記載の反応容器と 同様な反応容器を 用いて、 ハイプリ ダイゼーショ ン可能な条件下で第 1 の種プ ローブ核酸と第 1 の铸型核酸とのハイプリ ダイゼーショ ンを 行 う。 続いて伸長反応溶液を { 1 0 mMの T r i s - H C 1
( H 7 . 5 ) 、 7 mMの M g C l 0 m Mの D D T
K 1 e n o w F r a g m e n t ( D N A ポ リ メ ラーゼ I L a r g e F r a g m e n t ; T O Y O B O ) を 0 . 4 ュ ニ ッ ト / L 、 Ι Ο μ Μの d A T P 、 の d C T P 、
Ο μ Μの d G T P、 および Ι Ο μ Μの C y 3 — d U T P を含 む } を用いる こ と を除き、 第 1 1 の実施例に記載の方法と 同 様の方法によ り伸長反応を行う。
このハイブリ ダィゼーショ ンと伸長反応によって、 第 1 の 錶型核酸の存在おょぴその配列情報が第 1 のプローブ核酸の 伸長および標識化に反映される。 即ち、 第 1 の種プローブ核 酸にハイブリ ダィズした第 1 の铸型核酸を鎵型と して、 第 1 の種プローブ核酸が伸長され、 C y 3 — Uが取 り 込まれ、 G の手前まで伸長される。 その結果、 第 1 の鎵型核酸にハイプ リ ダイズした第 1 の伸長され標識されたプローブ核酸が得ら れる。
次に、 温度を約 9 5 °Cに上昇させる こ と によ り 、 第 1 の伸 長され標識されたプローブ核酸から第 1 の铸型核酸を解離す る。 更に、 反応部に含まれる溶液をフローする こ と によ り 、 遊離した第 1 の铸型核酸を除去する。
続いて、 第 2 の錶型核酸をハイ プリ ダイゼーショ ン可能な 条件下においてハイブリ ダィ ズさせ、 伸長反応溶液を { 1 0 mMの T r i s — H C 1 ( p H 7 . 5 ) 、 7 mMの M g C l 2、 0 . I mMの D D T 、 K 1 e n o w F r a g m e n t ( D N A ポ リ メ ラーゼ I , L a r g e F r a g m e n t ; T O Y O B O ) を 0 . 4ユニッ ト 1 0 Μの C y 5 - d A T P , Ο μ Μの d C T P 、 1 0 /z Mの d G T P 、 および 1 0 μ Μの d T T P を含む } を用いる こ と を除いて第 1 1 の実施例に記載の方法と 同様の方法によ り 伸長反応を行 う
上記の反応によ り 、 第 2 の錶型核酸の存在が反映され、 第 2 の鎳型核酸と第 1 の伸長され標識されたプローブ核酸と の ハイ ブリ ダィゼーショ 'ンが生じ、 続いて、 更なる伸長おょぴ
標識化が生じ、 第 2 の伸長され標識されたプローブ核酸が得 られる。 第 2 の伸長され標識されたプローブ核酸は、 C y 5 一 Aで標識化され、 Cの手前まで伸長される。
次に、 得られた 2本鎖を変性して 1 本鎖にする こ と によ り 、 標識されたプローブ核酸を得る こ とが可能である。 この標識 されたプローブ核酸は、 所望によっては基板から回収して使 用 してもよい。
こ こで、 C y 3 と C y 5 の蛍光強度をそれぞれにまたは相 対的に測定する こ と によって、 使用 した第 1 の鎵型核酸と第 2 の鎊型核酸の量または相対量を測定する こ と も可能である。 以上のよ う な本発明の態様に従う と、 複数のハイプリ ダイ ゼーショ ンおよび標識化に関する全ての処理が、 小型の容器 内で、 一括して、 即ち、 一連の操作によって行 う こ とが可能 である。 従って、 少ない試料で、 所望する遺伝子発現頻度解 祈を短時間に、 簡便に行 う こ と が可能である。 また、 プロ一 ブ核酸の伸長の程度を制御でき、 また、 所望のプローブ核酸 を伸長していく 途中の所望の部位に容易に標識を行う こ とが 可能である。
第 1 5 の実施例 : 標識化プローブ核酸の製造方法 5
本発明の態様に従い使用され得る種プローブ核酸と铸型核 酸とがハイ プリ ダイ ズした場合の状態の例を、 図 1 3 の 1 3 Aから 1 3 Dまでに模式的に示す。
上述した通 り 、 種プローブ核酸 1 5 1 は、 反応部の底部 1 5 2 にその 5 ' 末端を介して固相化されている。
1 3 Aに示すよ う に、 鎳型核酸 1 5 3 の全長は、 種プロ一
プ核酸 1 5 1 の全長よ り も長いこ と が好ま しい。 それによ り 、 铸型核酸 1 5 3 と鎵型核酸 1 5 1 がハイ ブリ ダィズした際に、 その長さの違いから生じる鎵型核酸 1 5 3 の 1 本鎖の部分を 铸型と して、 種プローブ核酸 1 5 1 の 3 , 末端が伸長される。 また、 この と き被標識配列は鍀型核酸 1 5 3 の 1 本鎖の部分 の最も 3 ' よ り に存在するこ とが好ま しい。
また、 1 3 Aおよび 1 3 C に示すよ う に、 種プローブ核酸 1 5 1 の全長に相補的な配列を、 铸型核酸 1 5 3 が含み、 そ の上で、 更に余分な配列が铸型核酸の 5 ' 側に含まれる よ う にしても よい。
或いは、 1 3 Bおよび 1 3 Dに示すよ う に、 種プローブ核 酸 5 1 の一部に相補的な配列を铸型核酸 1 5 3 の 3 ' 側が含 み、 更に余分な配列を铸型核酸 1 5 3 の 5 ' 側に含むよ う に 設計しても よい。
また、 1 3 Aおよび 1 3 B に示すよ う に、 被標識配列と し て 1 ヌ ク レオチ ドが 1 箇所に設定されても よ く 、 1 3 Cおよ ぴ 1 3 Dに示すよ う に、 被標識配列と して 1 ヌ ク レオチ ドが 2箇所以上で設定されてもよい。
上述のまた、 上述の第 1 1 の実施例から第 1 5 の実施例ま での何れかによ り得られる標識化プローブ核酸を、 上述の第 9 の実施例および第 1 0 の実施例において用いて、 同様にァ ッセィ しても よい。 第 1 1 の実施例から第 1 5 の実施例によ り得られた 1 本鎖標識化プローブ核酸は、 基体に固相化され たままでヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ に利用 されて も よ く 、 或いは基体から遊離させ回収した後に利用 しても よ
い。 また、 回収して、 更に精製した後で使用 してもよい。
上述したよ う な本発明の態様によって得られた標識化プロ ープ核酸を用いれば、 ヌ ク レアーゼプロテク ショ ンア ツセィ を次のよ う な有利点をもって行 う こ とが可能である。 即ち、 プローブ核酸を予め蛍光ラベルしておけるので、 ハイブリ ダ ィゼーショ ン前に、 予めプローブ核酸の固相量を知る こ と が 可能である。 即ち、 固相化されたプローブ核酸量や点着スポ ッ トの状態を反応前に把握する こ とが可能である。 それによ つて、 プローブ核酸の固相について精度管理を行う こ と が可 能になる。 また、 試料と して m R N Aを用いる場合には、 従 来の方法と は異な り 、 これを直接にハイプリ ダイゼーショ ン 反応させる こ とが可能であるので、 逆転写酵素で c D N Aを 作製した り標識化するなどの作業によ り 生じる効率のロスを 回避する こ とが可能である。
上述のよ う な本発明によって、 効率のよい遺伝子発現頻度 解析方法が提供された。 また、 上述のよ う な本発明によって、 複数のプレー ト間での比較が可能な遺伝子発現頻度解析方法 が提供された。 更に、 上述のよ う な本発明によって、 検出精 度のよい遺伝子発現頻度解析方法が提供された。
3 . 標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法
3 . 1 標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法の 概要
上記 2 . 2 の欄で説明した 「標識化プローブ核酸の調製方 法」 は、 別の側面に従えば、 標識プローブ核酸を固相化した 支持体の作成方法とい う こ と もでき る。 以下、 標識プローブ
核酸を固相化した支持体の作成方法について詳説する。 当該 方法によ り 作成される標識プローブ核酸を固相化した支持体 は、 核酸を用いた種々の解析、 例えば遺伝子の発現解析等に 有用である。 と り わけ、 上記 2 . 1 の欄で説明 した 「ヌク レ ァーゼプロテク ショ ンア ツセィ を利用 した遺伝子の発現解析 方法」 に有用である。
標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法について、 第一から第三の実施の形態を例に説明する。
第一の実施の形態
本発明の第一の実施の形態に係る方法は、
標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法であって、
( 1 ) 作成したい標識プローブ核酸の塩基配列に相補的な鎵 型核酸と 、 前記铸型核酸の塩基の総数よ り 少な く 、 作成した い標識プローブ核酸の 3 , 端の 1 以上のヌ ク レオチ ドが欠損 している未標識プローブ核酸前駆体であって、 その 5 ' 端で 支持体に固相化されている未標識プローブ核酸前駆体と を、 これらがハイ プリ ダイ ズ可能な条件下で、 反応させる工程と、
( 2 ) 検出可能な信号を生ずる標識物質を付された、 特定塩 基の標識ヌ ク レオチ ドと 、 前記特定塩基以外の他の塩基の非 標識ヌ ク レオチ ドと を基質と して用いて、 前記未標識プロ一 プ核酸前駆体の欠損部分を、 前記錶型核酸を錶型と して、 5 ' から 3 ' 方向に向かって伸長させ、 標識プローブ核酸を 合成する工程と、
( 3 ) 前記工程によ り 得られた標識プローブ核酸と、 前記錶 型核酸と の間の相補的結合をすベて解離させる工程と、
( 4 ) 解離された前記鐯型核酸を支持体上から除去する工程 と
を含む。
第一の実施の形態では、 支持体上に作成される各標識プロ ーブ核酸は、 その 3 ' 側に標識ヌ ク レオチ ドが導入される。
以下、 各工程について、 図 1 4 を参照しなが ら順に説明す る。
[工程 ( 1 ) ]
工程 ( 1 ) の反応によ り 、 図 1 4 ( a ) に模式的に示す状 態が作成される。
まず、 目的とする解析に応じて、 支持体上に作成する標識 プローブ核酸の塩基配列をデザィ ンする。 一般に標識プロ一 ブ核酸の長さは、 1 5〜 5 0塩基とする こ とができ る。
デザィ ン された標識プローブ核酸の塩基配列に基いて、 「鎵型核酸 2 0 2」 および 「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3」 を調製する。
こ こで、 「铸型核酸 2 0 2」 および 「未標識プローブ核酸 前駆体 2 0 3 」 は、 それぞれ、 D N Aを構成するデォキシリ ボヌク レオチ ド ·( dATP、 dTTP、 dGTP、 dCTP ) 、 R N Aを構成 する リ ボヌ ク レオチ ド ( ATP、 UTP、 GTP、 CTP ) 、 その他 d UT P等のヌ ク レオチ ドから構成され得る。
「铸型核酸 2 0 2」 は、 作成したい標識プローブ核酸に相 補的な配列を有する よ う に調製される。 一方、 「未標識プロ ープ核酸前駆体 2 0 3 」 は、 「鎵型核酸」 の塩基の総数よ り 少なく 、 作成したい標識プローブ核酸の 3 ' 端の 1 以上のヌ
ク レオチ ドが欠損するよ う に調製される。 こ の欠損部分に、 後の工程で標識ヌク レオチ ドが少なく と も一つ導入される。 こ こで、 欠損させるヌ ク レオチ ドの数は、 好ま しく は 2 〜 1 0個とする こ と ができる。 欠損させるヌ ク レオチ ドの数を好 ま しく は 2以上と した理由は、 標識プローブ核酸の 3 ' 端の ヌ ク レオチ ドに標識が取込まれる こ と を、 標識の安定性の観 点から避けるためである。 また、 欠損させるヌ ク レオチ ドの 数を好ま しく は 1 0 以下と した理由は、 取込まれる標識ヌ ク レオチ ドの数を制限するためである。
欠損させるヌ ク レオチ ドの数は、 作成したい標識プローブ 核酸の 3 ' 端側の塩基配列と、 欠損部分に後の工程で導入す る標識ヌ ク レオチ ドの塩基の種類と を考慮して決定する。 例 えば、 作成したい標識プローブ核酸が、 その 3 ' 端から AAC UA CAUUA · · · と い う配列を有し、 欠損部分に導入する標識 ヌ ク レオチ ドが Cy 5 - dUTP である場合、 「未標識プローブ核 酸前駆体」 は、 作成したい標識プローブ核酸の 3 ' 端から 4 〜 7 のヌ ク レオチ ドを欠損させる こ と ができ る。 この場合、 標識ヌ ク レオチ ド C y 5 - dUTP は、 欠損部分に一つだけ導入さ れる こ と になる。 こ の よ う に、 「未標識プローブ核酸前駆 体」 に一つの標識ヌ ク レオチ ドのみが導入される よ う に、 欠 損させるヌ ク レオチ ドの数を制御すれば、 D N Aア レイ上の すべての標識プローブを同じ標識物質の量で均一に標識する こ とが可能である。
「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3 」 は、 その 5 ' 端で支 持体 2 0 1 に固相化されている (図 1 4 ( a ) ) 。 本発明の
方法において 「支持体 2 0 1 」 は、 そこにおいてハイブリ ダ ィゼーショ ン反応を行う こ とが可能な形態であればよい。 例 えば、 一般的に使用 される反応容器、 例えば、 キヤ ビラ リ一 形状またはゥエル形状のそこにおいて反応を行う ための反応 部を有した反応容器であっても、 その面において反応を行う よ う な板状おょぴ球状の支持体であっても よい。 あるいは、 「支持体」 が、 針、 糸 (ス ト ラ ン ド) 、 繊維 (フ ァ イ バ) 、 円錐 (ディ スク) 、 多孔質フィルタであっても よい。 キヤ ピ ラ リ ー形状の反応部を有した反応容器 (以下、 キヤ ビラ リ一 ア レイ と もい う) は、 反応部内の溶液を置換する こ とが容易 であるため好ま しく 使用 される。 キヤ ビラ リ ーア レイ の具体 的な説明については、 上述の第 1 およぴ第 2 の実施例の記载 を参照する こ とができ る。 こ こ で用いた 「支持体」 の用語は、 上記 「基体」 と同 じ意味を有する。
「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3 」 の支持体への固相化 は、 従来公知の方法によ り行う こ とができ る。 例えば、 核酸 の固相化は、 後述の実施例のよ う にアビジンコー ト された支 持体と、 ピオチン標識された 5 ' 端を有する核酸と を用いて ピオチンア ビジン反応によ り 行っても ょレヽ し、 あるいは、 反 応基を導入した支持体と、 該反応基と反応性を有する反応基 を 5 ' 端に有する核酸と を用いて化学結合によ り行っても よ い o
ェ.程 ( 1 ) において、 「铸型核酸 2 0 2」 と、 支持体 2 0
1 上に固相された 「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3」 とが ハイ プ リ ダイ ズされた状態が作成される (図 1 4 ( a ) 参
照) 。 こ こでのハイブリ ダィゼーシ ヨ ンは、 「鎵型核酸」 と 、 支持体上に固相されていない 「未標識プローブ核酸前駆体」 と をハイブリ ダイズさせた後に、 支持体上に固相 しても よい し、 「鎵型核酸」 と、 支持体上に予め固相 した 「未標識プロ ーブ核酸前駆体」 と をハイプリ ダイズさせても よい。
「ハイブリ ダィ ズ可能な条件下で反応させる」 と は、 例え ば適切なハイ ブリ ダィゼーシヨ ン溶液 ( 1 X S S C ) 中で、 2 5 〜 7 0 °Cで (または 9 5 °Cで 5分間ののち徐冷して 2 5 〜 7 0 °Cで) 5 〜 6 0分間静置させる こ と をレヽ う。
[工程 ( 2 ) ]
工程 ( 2 ) において、 「未標識プロ ーブ核酸前駆体 2 0 3 」 の欠損部分 (すなわち 3 ' 側) が、 「铸型核酸 2 0 2 J を錶型と した伸長反応によ り 修復される と と もに、 「未標識 プローブ核酸前駆体 2 0 3」 に標識ヌ ク レオチ ド 2 0 4 が導 入される (図 1 4 ( b ) 参照) 。
こ こでの伸長反応には、 その基質と して、 「検出可能な信 号を生ずる標識物質を付された、 特定塩基の標識ヌ ク レオチ ド 4」 と、 「当該特定の塩基以外の他の各塩基の非標識ヌ ク レオチ ド 5 」 とが使用 される。 こ こで 「標識物質」 と は、 検 出可能な信号を生じる こ とが可能な物質をいい、 例えば蛍光 物質、 放射性物質、 化学発光物質等であ り 得る。 「特定塩基 の標識ヌ ク レオチ ド」 と して、 1 種類の塩基の標識ヌ ク レオ チ ドを使用 し、 「当該特定塩基以外の他の塩基の非標識ヌク レオチ ド」 と して、 他の 3種類の塩基の各ヌ ク レオチ ドを使 用する こ とができ る。 ただし、 これに限定されず、 複数種類 '
の塩基のヌ ク レオチ ドを標識ヌ ク レオチ ドと して使用 しても よい。 あるいは、 後述の第二の実施の形態に記載される とお り 、 ある種類の塩基のヌ ク レオチ ドを基質と して使用 しなく ても よい。 例えば 「標識ヌ ク レオチ ド」 と して、 Cy5- d UTP を用い、 「非標識ヌ ク レオチ ド」 と して、 dATP、 d CTP およ ぴ d GTP を使用するこ とができ る。
伸長反応溶液は、 上述の基質と なるヌ ク レオチ ド、 伸長反 応酵素 ( T4 DNA polymerase) 、 Tris buffer, M g 2+を含 む公知の溶液を使用する こ と ができ る。 伸長反応は、 例えば 2 5 〜 7 0 °Cで 5 〜 1 2 0分間行う。
「標識ヌ ク レオチ ド」 と して、 Cy5- d UTP を用いる場合、
「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠損部分に、 当該伸長反応 によ り 少なく と も 1 つの Cy5- d UTP が導入される よ う に、
「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠損部分のヌ ク レオチ ド数 を設計する こ とが必要である。 すなわち、 伸長反応の際に錶 型と なる 「鎵型核酸」 の部分に、 d ATP が少なく と も 1 っ存 在していなければ、 Cy5- d UTP は導入されないため、 Cy5- d UTP が導入される よ う に 「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠 損部分のヌク レオチ ド数を設計する必要がある。
好ま しく は、 「標識ヌ ク レオチ ド」 と して Cy5- d UTP を用 いる場合、 「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠損部分に、 当 該伸長反応によ り 「 1 つの」 Cy5- d UTP が導入される よ う に、
「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠損部分のヌ ク レオチ ド数 を設計する。 支持体上のすべての 「未標識プローブ核酸前駆 体」 の欠損部分のヌ ク レオチ ド数を、 当該伸長反応によ り 1
つの Cy 5- d UTPが導入される よ う に設計しておく と、 すべて のプローブ核酸 1 分子に対して、 均一に 1 つの Cy 5- d UTP を 導入する こ と ができる。 これによ り 、 支持体上のすべてのプ ローブ核酸を、 1 回の伸長反応によ り 、 均一な標識量で標識 する こ とが可能になる。
ただし、 第一の実施の形態において、 作成された標識プロ ーブ核酸の 3 ' 端のヌ ク レオチ ドに標識が取込まれる よ う に する こ と は、 標識の安定性の面から望ま しく ない。
[工程 ( 3 ) ]
工程 ( 3 ) において、 工程 ( 2 ) の伸長反応によ り 作成さ れた 「標識プローブ核酸」 と 、 「鎵型核酸」 と の間の相補的 結合をすベて解離させる (図 1 4 ( c ) 参照) 。
こ こでの解離は、 後述の実施例のよ う に支持体上の伸長反 応溶液を、 0 . 1 N N a O H溶液に置換し、 当該溶液中で 5 〜 1 0分間室温で反応させる こ と によ り 行っても よいし、 9 0 〜 9 8 °Cで 5 〜 1 0分間維持し、 熱処理を施すこ と によ り 行っても よい。
[工程 ( 4 ) ]
工程 ( 4 ) において、 工程 ( 3 ) で解離された 「鎵型核 酸」 等を支持体上から除去し、 標識プローブ核酸が固相化さ れた支持体を作成する。 こ こでの除去は、 緩衝液、 オー ト ク レーブ水等を用いた洗浄によ り行 う こ とができ る。
以上第一の実施の形態で説明 したとお り 、 支持体上のプロ ーブ核酸前駆体の 3 ' 端のヌ ク レオチ ドを幾つか欠損させて おく こ と によ り 、 プローブ核酸の 3 ' 側に標識を付与する こ
とが可能である。 これを支持体上に複数の標識プローブ核酸 を作成する際に適用 して、 支持体上のすべてのプローブ核酸 前駆体の 3 , 端のヌク レオチ ドを幾つか欠損させておけば、 支持体上のすべてのプローブ核酸を一回の伸長反応で標識す る こ とが可能である。
また、 本発明の方法は、 支持体上のすべてのプローブ核酸 前駆体の欠損部分を、 導入する標識ヌ ク レオチ ドの塩基の種 類に応じて、 1 つの標識ヌ ク レオチ ドのみが導入される よ う に設計しておく こ と によ り 、 支持体上のすべてのプローブ核 酸に対して、 それぞれ均一な標識量の標識を導入する こ とが でき る。
これによ り 、 支持体上のすべてのプローブ核酸を、 1 回の 伸長反応によ り 、 均一に標識する こ とが可能になる。 この よ う に、 1 回の伸長反応で、 支持体上のすべてのプローブ核酸 を標識でき る とい う 点において本発明は簡便であ り 、 加えて、 欠損部分のヌク レオチ ド数を制御する こ と によ り 、 核酸プロ ーブに導入する標識物質の量を制御でき る とい う 点において 優れている。
第二の実施の形態
本発明の第二の実施の形態に係る方法は、 第一の実施の形 態に係る方法と基本的には同 じであるが、 以下の点を特徴と する。 すなわち、 第二の実施の形態に係る方法は、 欠損部分 の伸長反応に使用する ための 「特定塩基の標識ヌ ク レオチ ド」 が、 1 種類の塩基の標識ヌ ク レオチ ドであ り 、 欠損部分 の伸長反応に使用するための 「前記特定塩基以外の他の塩基
の非標識ヌ ク レオチ ド」 の少なく と も 1 種類が、 ジデォキシ ヌ ク レオチ ドであるか、 あるいは存在しないこ と を特徴とす る。
このよ う に第二の実施の形態に係る方法は、 上記特徴以外、 第一の実施の形態に係る方法と 同様であるため、 各工程の詳 細については、 上記第一の実施の形態の工程の各説明を参照 されたい。 第二の実施の形態の概要を、 図 1 5 に模式的に示 す。
第二の実施の形態では、 まず、 「铸型核酸 2 0 2」 と、 支 持体 2 0 1 上に固相された 「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3 」 と がハイ ブ リ ダィ ズされた状態が作成される (図 1 5 ( a ) 参照) 。 次いで、 「未標識プロ ーブ核酸前駆体 2 0 3 」 の欠損部分 (すなわち 3 ' 側) が、 「鎵型核酸 2 0 2」 を铸型と した伸長反応によ り 修復される と と もに、 「未標識 プローブ核酸前駆体 2 0 3」 に標識ヌ ク レオチ ド 2 0 4 が導 入される (図 1 5 ( b ) 参照) 。
ここで、 「非標識ヌ ク レオチ ド」 と して、 ジデォキシヌ ク レオチ ド 7 を用いる こ と によ り 、 ジデォキシヌ ク レオチ ドが 欠損部分に導入された後の伸長反応を停止させる こ とができ る。 「標識ヌ ク レオチ ド 2 0 4 」 と して、 Cy5— dUTP を用い た場合、 「ジデォキシヌ ク レオチ ド 2 0 7 」 と して、 ddATP、 ddCTP、 ddGTP の少な く と も 1 つを用レヽる こ と ができ る。 例 えば、 「未標識プローブ核酸前駆体」 がその 3 ' 端から UUA ACUA と い う配列を欠損 してお り 、 欠損部分に導入する標識 ヌ ク レオチ ドが Cy5- dUTP である場合、 ddCTP を 「非標識ヌ
ク レオチ ド」 と して使用 して、 伸長反応を途中で停止させる こ とができ る。 こ こでは、 d dCTP を用いる こ と によ り 、 伸長 反応の際に Cy 5- dUTP が 3分子取込まれないで 1 分子取込ま れるこ と になる。
あるいは、 塩基がシ ト シ ンのヌ ク レオチ ド ( d C T P、 d d C T P ) を伸長反応の際に存在させないこ と によ り 、 伸長反応を 途中で停止させるこ と もでき る。
伸長反応の後、 伸長反応によ り 作成された 「標識プローブ 核酸」 と、 「铸型核酸」 との間の相補的結合をすベて解離さ せる (図 1 5 ( c ) 参照) 。
第二の実施の形態では、 ジデォキシヌ ク レオチ ドを用いた り 、 特定塩基のヌ ク レオチ ドを使用 しないこ と によ り 、 伸長 反応を停止させる。 このよ う に特定塩基のジデォキシヌ ク レ ォチ ドの使用 も しく は特定塩基のヌ ク レオチ ドの除去によ り 、 プローブ核酸への標識物質の導入量を制御する こ とができ る。
第三の実施の形態
本発明の第三の実施の形態に係る方法は、
標識プローブ核酸を固相化した支持体の作成方法であって、 ( 1 ) 作成したい標識プローブ核酸の塩基配列に相補的な铸 型核酸と 、 前記鎳型核酸の塩基の総数よ り 少なく 、 作成した い標識プローブ核酸の中間部分においてヌ ク レオチ ドがー部 欠損している未標識プローブ核酸前駆体であって、 その 5 ' 端で支持体に固相化されている未標識プローブ核酸前駆体と を、 これらがハイプリ ダイズ可能な条件下で、 反応させるェ 程と、
( 2 ) 検出可能な信号を生ずる標識物質を付された、 特定塩 基の標識ヌ ク レオチ ドと、 前記特定塩基以外の他の塩基の非 標識ヌ ク レオチ ドと を基質と して用いて、 前記未標識プロ一 ブ核酸前駆体の欠損部分を、 前記铸型核酸を铸型と して、 5 ' から 3 ' 方向に向かって伸長させ、 標識プローブ核酸を 合成する工程と、
( 3 ) 前記工程によ り得られた標識プローブ核酸と、 前記鎳 型核酸と の間の相補的結合をすベて解離させる工程と、
( 4 ) 解離された前記铸型核酸を支持体上から除去する工程 と
を含む。
第三の実施の形態では、 支持体上に作成される各標識プロ ーブ核酸は、 その中間部分 (例えば中央部分) に標識ヌ ク レ ォチ ドが導入される。 こ の点を除いて、 第三の実施の形態は 第一の実施の形態と 同様である。
従って、 以下、 各工程について図 1 6 を参照しなが ら順に 説明するが、 各工程 ( 1 ) 〜 ( 4 ) の詳細については、 第一 の実施の形態の工程 ( 1 ) ( 4 ) の各説明も適宜参照され たい。
[工程 ( 1 ) ]
工程 ( 1 ) の反応によ り 6 ( a ) に模式的に示す状 態が作成される。
第一の実施の形態と 同様 目 的とする解析に応じて、 支持 体上に作成する標識プローブ核酸の塩基配列をデザィ ンする。 「鎵型核酸 2 0 2」 は、 作成したい標識プローブ核酸に相補
的な配列を有する よ う に調製される。 一方、 「未標識プロ一 ブ核酸前駆体 2 0 3 a および 2 0 3 b 」 は、 その総塩基数に おいて、 「铸型核酸」 の塩基数よ り 少なく 、 作成したい標識 プローブ核酸の中間部分においてヌ ク レオチ ドが一部欠損す る よ う に調製される。
本実施の形態では、 「未標識プローブ核酸前駆体」 は、 図 1 6 ( a ) に示すとお り 、 作成したい標識プローブ核酸の中 間部分においてヌ ク レオチ ドを一部欠損しているため、 欠損 部分によ り分断された 2つの 「未標識プローブ核酸前駆体 2 0 3 & ぉょぴ 2 0 3 ) 」 から構成される。 2つの 「未標識プ ローブ核酸前駆体 2 0 3 a および 2 0 3 b 」 を、 図 1 6 では、 それぞれ 「未標識プローブ核酸前駆体 A」 、 「未標識プロ一 ブ核酸前駆体 B」 と称する。 「未標識プロ ーブ核酸前駆体 A」 、 「未標識プローブ核酸前駆体 B」 は、 それぞれ単独で、
「铸型核酸」 にハイプリ ダイ ズする こ とができ る長さである こ と が必要である。 よ っ て、 「未標識プローブ核酸前駆体 A」 および 「未標識プローブ核酸前駆体 B」 は、 それぞれ少 なく と も 6 ヌ ク レオチ ド以上の長さを有し、 好ま しく は 1 0 〜 1 5 ヌク レオチ ドの長さを有する。 このよ う にある程度の 長さ を有する 2つの 「未標識プローブ核酸前駆体」 の間に欠 損部分を作成するため、 「中間部分」 は、 必然的に、 作成し たい標識核酸プローブの中央部分になる。
こ こで、 欠損させるヌ ク レオチ ドの数は、 一般に 1〜 1 5 個、 好ま しく は 5〜 1 0個とする こ と ができ る。 欠損させる ヌク レオチ ドの位置およびその数は、 作成したい標識プロ
プ核酸の塩基配列と 、 欠損させた領域に後の工程で導入する 標識ヌ ク レオチ ドの塩基の種類と を考慮して決定する。 例え ば、 欠損させた領域に導入する標識ヌ ク レオチ ドが Cy5 - dUT P である場合、 欠損させるヌ ク レオチ ドの位置は、 dUTPが導 入されるべき位置を含んでいなければならない。 また、 欠損 させるヌ ク レオチ ドの数は、 作成したい標識プローブ核酸の 中央部分においてその塩基配列が Uである部分の前後 1 〜 5 個とする こ とができ る。 こ こ で、 欠損させた領域に標識ヌ ク レオチ ド Cy5- dUTP がーつだけ導入される よ う に欠損部分を 選定すれば、 支持体上のすべてのプローブ核酸に均一な標識 量で標識を導入する こ とができる。
工程 ( 1 ) では、 第一の実施の形態と 同様にして、 「铸型 核酸」 と、 支持体上に固相された 「未標識プローブ核酸前駆 体」 と がハイ ブ リ ダィ ズされた状態が作成 される (図 1 6 ( a ) 参照) 。
[工程 ( 2 ) ]
工程 ( 2 ) において、 「未標識プローブ核酸前駆体」 の欠 損部分 (すなわち中間部分) が、 「铸型核酸」 を铸型と した 伸長反応によ り 修復される と と もに、 「未標識プローブ核酸 前駆体 A」 と 「未標識プローブ核酸 B」 の間に標識ヌ ク レオ チ ド 2 0 4 が導入される (図 1 6 ( b ) 参照) 。 こ こでは第 一の実施の形態と 同様に して、 伸長反応を 5 ' から 3 ' 方向 へと行う。 ただし、 第三の実施の形態では、 伸長された最後 のヌ ク レオチ ドの 3 ' 端と 「未標識プローブ核酸前駆体 B」 (図 1 6 の符号 2 0 3 b ) の 5 ' 端と の間に切れ目 ( - ッ
ク) が存在し、 伸長反応だけで標識核酸プローブは完全な 1 本鎖ではない。 よって、 伸長反応の後、 好ま しく はライ ゲー シ ヨ ン反応を行う必要がある。 ライ ゲーシヨ ン反応は、 ライ ゲース酵素を含む緩衝液中で 1 4 〜 3 7 °Cで 3 0 〜 1 2 0分 行う こ とができる。
工程 ( 3 ) および ( 4 ) については、 第一の実施の形態と 同様に して行い、 標識プローブ核酸が固相された支持体を作 成する。
以上第三の実施の形態で説明 したとお り 、 支持体上のプロ ーブ核酸前駆体の中間部分のヌ ク レオチ ドを欠損させておく こ と によ り 、 プローブ核酸の中間部分に標識を付与する こ と が可能である。 第三の実施の形態では、 プローブ核酸の中間 部分に標識を付与するため、 中間部分の種々 の任意の位置を 欠損部分と して選定する こ とができ る。 こ の点において第三 の実施の形態は、 欠損部分がプローブ核酸の 3 ' 端に限定さ れる第一の実施の形態に比べて、 導入する標識ヌ ク レオチ ド の数を制御しやすいとい う 点で優れている。 また、 プローブ 核酸の中間部分に標識ヌ ク レオチ ドが入っている こ と は、 標 識が安定している点でも優れている。
従来の方法では、 プローブ核酸の中間部分を標識化する場 合には、 高度な技術が必要と されていた。 また、 中間部位が 標識されたプローブ核酸の作製を専門業者に依頼した場合に は、 莫大な時間と費用が必要と されていた。 それに対して、 本実施の形態に従う と、 プローブ核酸の所望の中間位置を容 易に標識化するこ とが可能である。
3 . 2 実施例
第 1 6 の実施例
第 1 6 の実施例では、 「未標識プロ ーブ核酸前駆体」 の 3 ' 端を、 標識 d UTP を用いて伸長 し、 「標識プローブ核 酸」 を作成した。
本実施例では、 「未標識プロ ーブ核酸前駆体」 と して、 5 ' - biotin- TATAAATTCTTTGCTGACCTGCTGGATTAC- 3 ' (配 列番号 6 ) を用い、 「铸型核酸」 と して、 5 ' - TTGATGTAAT CCAGCAGGTCAGCAAAGAATTTATA- 3 ' (酉 B歹 IJ番号 7 ) を用いた。
基板であるス ト レプ トア ビジンコー トスライ ド ((株)ダラ イナ一 . ジャパン) において、 5 , 端にピオチンを結合した
20η M 「未標識プローブ核酸前駆体」 と、 20 η Μ 「鎳型核酸」 と を、 等量 I O Lずつ 1 X S S C溶液 ( 3 0 /i L ) 中で混 合し、 3 7 °Cで 1 時間反応させた。 反応によ り ハイブリ ダィ ズした 「未標識プローブ核酸前駆体」 と 「鎵型核酸」 を、 点 着装置を用いて、 ピオチンと アビジンと の反応によ り 基板上 に固相化した。
基板上の未反応物を洗浄によ り 除去した後、 キヤ ビラ リ一 を形成可能な溝を有するキヤ ビラ リ 一力パーを基板上にかぶ せ、 核酸分子が固相化されたキヤ ビラ リ ーア レイ を作成した。 こ こで、 キヤ ビラ リ 一力パーは、 両端に溶液を出 し入れでき る穴を有し、 長さ 3〜 4 c m。 幅 l m m、 深さ 0. 1〜0.2m mのキヤ ビラ リ ーを形成可能なものを使用 した。
次いで、 以下の成分からなる伸長反応溶液をキヤ ビラ リ一 内に入れ、 3 7 °Cで :! 〜 2 時間反応させた : lOmM Tris- HC1
(pH7.5)、 7mM MgCl2、 0. ImM DTT、 0.4units/ μ L lenow Fr a g m e t (DNA polymerase I Large Fragment; T0Y0B0)、 10 μ M dATP, 10 μ M dCTP、 10 μ M dGTP、 10 M Cy5 - dUTP。 伸 長反応によ り 、 基板上の 「未標識プローブ核酸前駆体」 は、 その 3 ' 端を、 dATP→ Cy5-dUTP→ dCTP→ dATP→ dATP と伸長 し、 「標識プローブ核酸」 が作成される。
反応後、 0. 1 X S S Cでキヤ ピラ リ ー内の未反応物を十分 洗浄する こ と によ り 除去した。 次いで、 0. 1 N NaOH のアル 力 リ溶液をキヤ ビラ リ ー内に導入し、 室温で 5 分間反応させ
「鍚型核酸」 を 「標識プローブ核酸」 から解離した。 解離さ れた 「錶型核酸」 を洗浄によ り キヤ ビラ リ一内から除去し、
「標識プローブ核酸」 が固相 されたキヤ ビラ リ ーア レイ を作 成した。
表 6 は、 以上の方法で固相 された 「標識プローブ核酸」 の 蛍光強度を 100 と し、 「铸型核酸」 な しで同様の工程を経た 場合 (ネガティ ブコ ン ト ロ ール) の蛍光強度をその相対値に よ り示す。
表 6 鎢型核酸なしで 錶型核酸を用いて
作成された 作成された
標識プローブ核酸 標識プローブ核酸
蛍光強度 0. 55 100
また、 図 1 7 は、 以上の方法で固相された 「標識プローブ 核酸」 と 「ネガティ ブコ ン ト ロ ール」 の蛍光顕微鏡写真を示 す。 図 1 7 において、 「 ( 1 ) ネガティ ブコ ン ト ロ ール」 は 蛍光が観察されず、 固相 された 「 ( 2 ) 標識プローブ核酸」
は、 蛍光が観察されている。
表 6 およぴ図 1 7 の結果は、 本発明の方法によ り 、 標識さ れたプロープ核酸が基板上に作成可能である こ と を示す。
第 1 7 の実施例
第 1 7 の実施例では、 第 1 6 の実施例と 同様、 「未標識プ ローブ核酸前駆体」 の 3 ' 端を、 標識 d- UTP を用いて伸長し、
「標識プローブ核酸」 を作成した。 第 1 7 の実施例では、 標 識 d- UTP を導入する伸長反応の際に、 ΙΟ μ Μ dCTP の代わ り に 0 μ M dCTP も しく は 10 M ddCTP を用いて伸長反応を途 中で停止させた点において第 1 6 の実施例と異なる。
第 1 6 の実施例で使用 した伸長反応溶液を、 以下の成分に 変えた以外、 第 1 6 の実施例と 同様にして、 「標識プローブ 核酸」 が固相されたキ ヤ ビラ リ ーア レイ を作成した。 すなわ ち、 第 1 7 の実施例では、 以下の成分の伸長反応溶液を使用 した : 10mM Tris-HCl (pH7. 5) , 7mM MgCl2、 0. ImM DTT、 0. 4 units/ μ L K 1 e now Fragment (DNA polymerase I Large Fr a gment; T0Y0B0)、 10 μ U dATP、 0 μ dCTP また ^; 10 ,u M ddC TP、 10 μ M dGTP、 10 μ M Cy5— dUTP。
伸長反応のための基質ヌク レオチ ドと して、 dCTP を 用いた場合、 伸長反応によ り 、 基板上の 「未標識プローブ核 酸前駆体」 は、 その 3 ' 端を、 dATP→ Cy5- dUTP と伸長し、 反応は停止する。 一方、 伸長反応のための基質ヌ ク レオチ ド と して、 10 μ U ddCTP を用いた場合、 dATP→ Cy5-dUTP→ ddCT P と伸長し、 反応は停止する。 この結果、 「標識プローブ核 酸」 が作成される。
表 7 は、 以上の方法で固相された 「標識プローブ核酸」 の 蛍光強度を 100 と し、 「铸型核酸」 な しで同様の工程を経た 場合 (ネガティ ブコ ン ト ロール) の蛍光強度をその相対値に よ り 示す。
表 7 錶型核酸なしで 錶型核酸を用いて
作成された 作成された
標識プローブ核酸 標識プローブ核酸
爱光強度 1. 02 100 表 7 の結果は、 本発明の方法によ り 、 標識されたプローブ 核酸が基板上に作成可能である こ と を示す。
第 1 8 の実施例
第 1 8 の実施例では、 「未標識プローブ核酸前駆体」 の中 央付近に位置する欠損部分を、 標識 d UTP を用いて伸長し、
「標識プローブ核酸」 を作成した。 本実施例では、 図 1 6 に示すとお り 、 「未標識プローブ核 酸前駆体」 と して、 2 つのオ リ ゴヌ ク レオチ ド、 すなわち
「未標識プローブ核酸前駆体 A」 : 5, - biotin- CAGCAGGT CAGCAAAGAATTT— 3 , (酉己歹 IJ番号 8 ) と 「未標識プローブ核 酸前駆体 B」 : 5 ' - AGCCCCCCTTGAGCACACAGAGGGCTA- 3 '
(配列番号 9 ) を使用 した。 また、 「鎵型核酸」 と して、 5 , 一
TG (配列番号 1 0 ) を使用 した。 基板であるス ト レプ ト ア ビジンコー ト ス ライ ド ((株)ダラ イナ一 ' ジャパン) 上において、 20n M の 「未標識プローブ 核酸前駆体 A」 と 、 20 n M の 「未標識プロ ーブ核酸前駆体
B'」 と、 20 n M の 「铸型核酸」 と を、 等量 l O / Lずつ I X S S C溶液 ( 3 0 μ L ) 中で混合し、 3 7 °Cで 1 時間反応さ せた。 反応によ り ハイブリ ダィ ズした 「未標識プローブ核酸 前駆体」 と 「铸型核酸」 を、 点着装置を用いて、 ピオチンと ア ビジンと の反応によ り 基板上に固相化した。
基板上の未反応物を洗浄によ り 除去した後、 キヤ ビラ リ一 を形成可能な溝を有するキヤ ビラ リ 一力パーを基板上にかぶ せ、 核酸分子が固相化されたキヤ ビラ リ ーア レイ を作成した。 こ こで、 キヤ ビラ リ 一力パーは、 両端に溶液を出 し入れでき る穴を有し、 長さ 3〜 4 c m。 幅 l m m、 深さ 0. 1〜0. 2m mのキヤ ビラ リ ーを形成可能なものを使用 した。
次いで、 以下の成分からなる伸長反応溶液をキヤ ビラ リ一 内に入れ、 3 7 °Cで 1〜 2 時間反応させた : 1 OmM Tris-HCl (pH7. 5) 7mM MgCl2、 O. lmM DTT、 0. 4units/ μ L Klenow Fr a gme nt (DNA polymerase I Large Fragment; T0Y0B0)、 10 μ M dATP、 ΙΟ μ Μ dCTP、 10 μ dGTP、 10 μ M Cy5 - dUTP。 伸 長反応によ り 、 基板上の 「未標識プローブ核酸前駆体 A」 は、 その 3 , 端を、 dATP→ Cy5- dUTP と伸長する。 その後、 「未 標識プローブ核酸前駆体 A」 の 3 ' 端の Cy5- dUTP と 、 「未 標識プローブ核酸前駆体 B」 の 5 ' 端の dATP と の間の切れ 目 (ニック) を リ ガーゼによ り 連結した。 具体的には、 66mM Tris-HCl (pH 7. 6)、 6. 6mM MgCl2、 10mM DTT、 O. lmM ATP、 lOOunits T4 DNA 1 i gas e 溶液で、 1 6 °C、 1 時間反応させ る こ と によ り 連結した。 これによ り 、 「標識プローブ核酸」 が作成される。
反応後、 o . i x s s cでキヤ ビラ リ ー内の未反応物を十分 洗浄する こ と によ り 除去した。 次いで、 0. 1 N N a OH のアル カ リ 溶液をキヤ ビラ リ ー内に導入し、 室温で 5分間反応させ
「铸型核酸」 を 「標識プローブ核酸」 から解離した。 解離さ れた 「鎳型核酸」 を洗浄によ り キヤ ビラ リ一内から除去し、
「標識プローブ核酸」 が固相されたキヤ ビラ リ ーア レイ を作 成した。
表 8 は、 以上の方法で固相された 「標識プローブ核酸」 の 蛍光強度を 100 と し、 「铸型核酸」 な しで同様の工程を経た 場合 (ネガティ ブコ ン ト ロ ール) の蛍光強度をその相対値に よ り 示す。
表 8
錶型核酸なしで 錶型核酸を用いて
作成された 作成された
標識プローブ核酸 標識プローブ核酸
蛍光強度 0. 8 2 1 0 0 表 8 の結果は、 本発明の方法によ り 、 標識されたプローブ 核酸が基板上に作成可能である こ と を示す。
以上説明したとおり 、 本発明の方法に従って作成された、 標識プローブ核酸が固相された支持体は、 当該標識プローブ 核酸を用いた種々の解析、 例えば遺伝子の発現解析等に利用 するこ とが可能である。
支持体上のプローブ核酸を標識する本発明の方法は、 以下 に記載の点で優れてお り 、 試料を標識する場合にみられた問 題点を解決し得る ものである。
まず、 本発明の方法は、 試料を標識しないので試料が分解
する心配がない。 また、 本発明の方法は、 支持体上のすべて のプローブ核酸に対して、 1 回の伸長反応によ り 一括して標 識を付与する こ とができる点で簡便である。
また、 ア レイ上のデザィ ンされた既知の配列を有するプロ ーブを標識するため、 標識物質を導入する位置および標識効 率を制御可能である。 すなわち、 本発明の方法は、 プローブ 核酸の中間部分の任意のヌ ク レオチ ドに標識物質を導入する こ と ができ るため、 その後の検出反応の際に標識が離脱する こ と のない安定な標識プローブを作成する こ と が可能である。 加えて、 本発明の方法は、 プローブ核酸の特定のヌ ク レオチ ドに標識物質を導入する こ とができ るため、 支持体上のすべ てのプローブに対して均一な量の標識物質を導入する こ とが でき る。 このよ う にプローブを均一な標識量で標識する こ と によ り 、 試料への不均一な標識しかできなかった従来と比較 して、 標識量に左右されない信頼性のある測定結果を得る こ とが可能になる。
更に、 本発明に従って標識プローブを固相 したア レイ を準 備する こ と によ り 、 発現解析の自動化が可能である。 その上、 遺伝子の発現量を、 他のサンプルと の競合的ハイプリ ダイゼ ーシ ョ ンで測定する のではなく 、 単一サンプルの遺伝子発現 量の絶対値と して測定する こ とができ る。 加えて、 ア レイ上 のプローブを標識する こ と は、 反応前のプローブが標識され ているため、 その固相化状態をモニターする こ とが可能であ り 、 これは解析精度を管理する上で望ま しい。