WO2004039502A1

WO2004039502A1 - 静電塗装用スプレーガン

Info

Publication number: WO2004039502A1
Application number: PCT/JP2003/013933
Authority: WO
Inventors: Takuya Matsumoto; Yasuhiro Ochii; Atsushi Morohoshi
Original assignee: Anest Iwata Corporation
Priority date: 2002-10-31
Filing date: 2003-10-30
Publication date: 2004-05-13
Also published as: US20060124782A1; US7552882B2; AU2003277535A1; TW200413101A; EP1566222A4; EP1566222B1; EP1566222A1

Description

明細書

静電塗装用スプレーガン

技術分野

本発明は特に水系塗料，メタリック系塗料等の高導電性塗料を用いて静電塗装する場合に最適な塗装効率と安全性、作業性に優れた静電塗装用スプレーガンに係る。より詳しくは、スプレーガンによる塗料の噴霧領域から外れた位置に設置された外部電極に高電圧を印加することにより被塗装物等の接地電位側に放電させて電界を形成し、この放電域を通過する塗料の微粒子に帯電させる外部帯電方式の静電塗装用スプレーガンに関するものである。

背景技術

静電塗装は、噴霧される塗料粒子に高電圧静電気を帯電させ、静電スプレーガンから被塗装物に形成される電界によって塗着効率を向上させる塗装方法として広く採用されている。この様な静電塗装に使用される塗料は、作用効果の関係で電気的に抵抗値の大きい溶剤型塗料と電気抵抗値の低い水系もしくはメタリック系塗料等の高導電性塗料に大別され、その塗装方法、装置が大きく異なっている。

又、揮発性有機化合物を含む溶剤型塗料は、近年の環境問題から使用の削減が求められ、水系塗料への移行が必要とされてきている。しかしながら噴霧される塗料に直接帯電させて静電塗着効果を高めようとした場合、水系塗料の場合は、通常の装置では荷電する高電圧が塗料を通じて接地された塗料供給源に流れ、静電効果が得られないだけでなく、塗料供給系に高電圧が流れ危険性が生ずる。このため塗料供給系を接地側から絶縁し、高電圧を維持しながら静電塗装を行う方法 ·装置が用いられている。しかし膨大となる塗料供給系の帯電量から、危険性の増加は避けられず、また連続的に塗装作業を行い工業的に効率を上げるには、特開平 6 - 1 9 8 2 2 8に見られるような塗料供給装置を使用する必要があり、大がかりな装置の導入が必要で、使用上の注意、保守の問題も発生する。これらの問題から、水系塗料やメタリック系塗料の静電塗装は普及が進まず、環境対策への遅れの原因になっていた。

静電塗装では、塗料に帯電させる方式として、塗料に直接荷電させる直接帯電方式の他に、塗料には直接荷電せずに噴霧域の外に設置した電極からの放電によりイオン化された領域を通過する塗料粒子に帯電させ、被塗装物に向かう電気力線（電界）に載せて被塗装物に塗着させる外部電極を用いた外部帯電方式の静電塗装装置が知られている。例えば、スプレーガンに一体として構成して共動する装置としたものとして、特許第 2 7 7 0 0 7 9号や特開平 7— 2 1 3 9 5 8の如き静電塗装装置が提案されている。外部帯電方式の静電塗装装置は、スプレーガンによる噴霧塗料領域から外れた位置に設置された外部電極に高電圧を印加することにより、被塗装物等の接地電位側に放電させて電界を形成し、この放電域を通過する塗料の微粒子に帯電させると共に被塗装物へ向かって形成される電界に載せて塗着を促進するものである。しかし、前述の直接帯電方式に比較し放電域を通過する塗料粒子への帯電効果は低く、.充分な静電効果が得られていない。

一般に商業的に使用しての効果が得られる静電塗装用スプレーガンとして、主に溶剤系塗料に使用される直接帯電方式の場合、電極への荷電電圧は一 3 0 k Vから— 7 0 k V程度で、電位差があるほど効果が得られるが、高電圧による火花放電や電撃放電の危険性増加と、装置の耐電圧強度等から、荷電電圧はなるべく低いことが要求される。従って、電極への荷電電圧は一 5 0 k V前後で使用されることが多くなっている。これに対し外部帯電方式の場合は、より高い電位差で荷電されるのが一般的となっている。直接、塗料の噴霧中心に荷電電極を設置して効率良く帯電する直接帯電方式に比べ、外部帯電方式では実用的効果を得るために、より高い電圧を必要とし、荷電電極の位置は、実質的に接地電位側になる噴霧塗料の噴出口への危険な放電及び放電による荷電電極の電圧低下を防止するために噴霧装置の前方に設置される。通常、商業的なスプレーガンの場合、荷電電極の位置は前記噴出口より前方 8 O ra mから 1 5 O m mともいわれ、噴霧装置の前方に大きく突き出す構成になっている。このために多くが自動塗装装置に付帯させて駆動される自動スプレーガンとして使用されていた。即ち、手持ち式スプレーガンとしては荷電電極が大きく前方に突き出し、かつ噴霧塗料の付着による機能低下を防止するために、荷電電極は噴霧の中心軸から外して側方に置かれることから、大形で操作のしにくいスプレーガンとなって作業者の負担を増大せしめていた。

又、手持ち式の静電塗装用スプレーガンとして、特開昭 5 3— 3 0 6 4 6の提案も見られるが、先端に突き出す電極が操作性を悪くし、また操作中に物品にぶっけて破損する危険性がある等の問題が多く残存し、普及を妨げていた。また、塗料に直接帯電させる方式に比べ、外部に設けた電極の放電による帯電では帯電量に大きな差があり、より高い電圧の使用による安全性の向上、効果的な帯電による塗着効率の向上が要求され、その解決が求められている。

上記のように外部帯電方式の場合は帯電効果が充分に得られないことから、より高い電圧の使用とこれに対する危険性への配慮、高電圧による絶縁破壊に対する考慮を必要とし、スプレーガンとしての装置の小形化、手持ち式スプレーガンとしての実用化に多くの問題があった。

また、静電塗装に限らず塗装用スプレーガンは、工場における自動化ラインで量産塗装する場合に自動スプレーガンが使用されているが、塗膜の最終品質を決定する工程において、作業者による操作で使用される手持ち式のスプレーガンが多く使用されている。しかし、安全性、操作性において問題となるのがこの種の手持ち式のスプレーガンであり、スプレーガンの取扱性、操作性は、単に塗着効率向上の経済性だけでなく作業能率の向上、塗装品質の向上 ·安定性につながり、総体的、長期的に見た場合の改善効果は極めて重要な要素となる。

従来の静電塗装用スプレーガンは、自動装置等に装着される自動スプレーガンを前提としており、従って、手持ち式の静電スプレーガンにあっては、取扱性、操作性及び直接作業者に及ぼす危険性に対する厳密な安全対策、小形化に改善の余地がある。

通常使用される手持ち式のスプレーガンに外部電極を配置する場合、噴霧ノズルから前方に大きく離れた位置に先端電極を配置する必要から、電極は軽量であることが重要であるが、必要な要素の部材を組み合わせることにとらわれ、これを使用する作業者の最も必要とする取扱性や軽量化の問題が解決されていない。又、従来の手持ち式の静電スプレーガンの場合、外部の高電圧発生装置から連絡する高電圧ケーブルをスプレーガンに接続し、高電圧の供給を得ていたが、電極に荷電する高電圧発生器をスプレーガンと一体に設けて高電圧ケーブルの重さの負担から作業者を解放させること、噴霧ノズルょり前方に突出する高電圧に荷電される電極からの危険性を排除することの課題を解決する、総合的に実用価値の高い静電塗装用スプレーガンが要求される。

又、塗料が外部電極や電極保持部に付着した状態で塗装を続行すると、蓄積された塗料粒子が堆積を増して塗料の垂れを起し、塗装の仕上り品質を低下させ、塗装機としての信頼性を損なうという問題がある。また水系塗料のように固まりやすく塗料中の希釈液では溶けない場合は、固形分が絶縁の作用をし電極としての作用効果が大きく減少する。従って、静電塗装用スプレーガンとして長期の使用に耐えられること、機能が低下もしくは不能になつたときには直ちに正常状態に復帰できることが要求される。発明の開示

本発明は上述した従来技術の問題と要求に鑑みなされたもので、使用される静電塗装の主要な範囲で、手持ち式の静電塗装用スプレーガンとして使い易く、作業者が使用して安全であり、かつ塗着効率を向上させ、結果として環境問題に大きな改善となる水系塗料の活用普及に貢献できる静電塗装用スプレーガンを提供するものである。

本発明では静電塗装用スプレーガンとして高電圧発生器と噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは電気的絶縁を維持して離開し、噴霧化装置の外側に噴霧化装置の前方に突出して外部電極を設けたスプレーガンにおいて、嘖霧化装置の後方に導電性ハンドルを備えた手持ち式のスプレーガンの外側に設けた電極接続部に、外部電極を着脱可能とした。これにより外部電極が塗料の付着により汚れて機能が低下しても、また操作中に誤ってぶつかり破損した場合なども簡単に交換して正常状態に復帰できる。

電極接続部は噴霧化装置と後部のハンドルとの間に設け、外部電極の小形化を図り、スプレーガンの操作性を損なわないようにしている。別の安全性の面から、電気的接合部の高電圧出力側に設けた第 1の高抵抗に対し、先端電極側に第 2の高抵抗を設けることによって、高電圧が荷電される先端電極側の静電容量を減少させることができる。

また、着脱部は高電圧出力部との電気的接合部と着脱部の嵌合面の外表面露出端部との距離を沿面放電が防止できる距離とし、着脱部の外表面に接地電位側になる物体が接近した場合や、塗料による外表面の汚れ等の影響を受けスプレーガン先端もしくは後部ハンドルの接地電位側に高電圧が沿面放電することを防止している。

接続部そのものを短くし、銃身部を短くする場合に効果的に沿面放電を防止する手段として、電気的接合部と着脱部の嵌合面の外表面露出端部との間に折り返し部を設ける。これにより高電位となる電極接続部と外部表面との絶縁を保持し、スプレーガン本体の着脱部の長さや着脱可能とした外部電極の長さを短くでき、手持ち式スプレーガンとしての取り扱い性を向上させることができる。折り返し部は複数の同心状の深い溝を交互にはめ込む形状によって沿面距離を長くし外表面部への沿面放電を防ぐことがでさる。

更に本発明の特徴は、絶縁体で構成される外部電極を、柔軟性を持つ弾性材料で形成することによって予期せぬ衝突等による破損変形から電極体を守ることである。衝撃を吸収し、一時の変形に対応することで破損を防ぎ、耐久性を向上する。より大きな衝撃を受け、電極体が破損に至るような時は、スプレーガン側に設けた取付部の破損を引き起こさず、電極体が外れるかその一部が破損し最小限の損害で済むよう、電極体の一部に弱部を設けることも必要な手段である。これによつて装置全体の被害を最小限にとどめ、電極体を簡単に交換することで正常状態に戻すことが可能となる。

又、外部電極は先端に荷電電極を備え、その先端位置を嘖霧化位置の前方 3 0 m mから 8 0 m mで、噴霧流を避け、且つ噴霧流の可及的近傍に電極先端を位置させることによって、最も効率の高い塗着効果と安全性を確保できる。

前記噴霧流を避ける位置は、噴霧軸中心から離し、その距離は荷電電極の位置が前方に離れる距離に対し 1 / 2の長さを越えない範囲とする。これによつて噴霧された塗料粒子の付着を防止し、塗料粒子に対する帯電効果を維持して静電効果を得ることができる。

又、先端電極は、噴霧流もしくはアース側電位の塗料ノズルに向かって電気的に集中した流れを持つストリーマ放電が生じない距離にあって、噴霧流の端部を避けて噴霧軸から離開する位置に設けられる。 .

実用的な静電塗装用スプレーガンで有効とされる塗着効率を得るには、荷電電圧 _ 7 0 k Vから一 9 0 k Vを維持し、電極からの放電電流を 6 0 μ Aから 1 5 0 z Aとする必要があり、危険な電撃放電を防止するために安全性から、電極と高電圧出力部の間に 1 5 Ο Μ Ω以上の抵抗を設ける。

外部電極は交換可能とし、取り付けたときに噴霧流を避けるために前方に離れるにしたがって徐々に噴霧軸中心から離れるよう取付部の角度を付け、着脱する電極体の長さに対応して最適な位置に容易に設定することができる。

その他細部の特徴については後述する実施例の説明の中で詳述する。，

図面の簡単な説明

本発明をより理解して実際的な効果を明らかにするため、本発明の効果的な実施例を示す次の添付図面が参照される。

第 1図は、本発明の一実施例を示す断面図

第 2図は、高電圧発生器の構成図

第 3図は、外部電極取付部の部分断面図

第 4図は、外部電極の取付位置を示す説明図

第 5図は、外部電極の断面図

第 6図は、図 5の A— A断面図

第 7図は、外部電極の断面図

第 8図は、図 1の先端側より見た側面図

第 9図は、電極からの電流値に対する静電効果の傾向を示すダラフ

第 1 0図は、外部電極位置による電流値の変化を示す試験結果のグラフ

発明を実施するための最良の形態第 1図は本発明を実施した場合の一例として外部帯電方式の手持ち式の静電塗装用スプレーガンを示し、該スプレーガン 1は、ハンドル 2、引金 3をもって操作される。銃身部 4は先端に設けた噴霧化装置 5により噴出する塗料を制御すると共に、銃身部 4 の上部に配置された高電圧発生器 6に供給する低電圧電源の入出力を制御して、スプレーガン 1の外側に設けた外部電極 7の先端電極 7 1に荷電する高電圧を制御している。

この実施例の場合、噴霧化装置 5は圧縮空気で塗料を霧化するエアースプレーガンが示されており、塗料ノズル 5 2の周囲に空気キャップ 5 1が配置され、所望の噴霧パターンが、この空気キヤップ 5 1により形成されて被塗装物の塗装を行う。これらの構成は広く知られたスプレーガンの構造が採用されているが、静電塗装においては銃身部 4を含め、塗料ノズル 5 2、空気キャップ 5 1は電気的絶縁材料で形成されている。本発明のような水系もしくは高導電性塗料が使用され外部に荷電電極を設けたスプレーガンの場合、塗料経路はアース側電位と接続されるため、塗料ノズル 5 2内のニードル弁 5 3は金属性で、後部に位置する前記ハンドル 2と電気的に接続されている。通常の静電スプレーガンがそうであるようにハンドル 2は導電性であり、この実施例の場合は半導電性の樹脂を使用して、作業者が手で操作する場合にァース側電位になるようにしている。

高電圧発生器 6は第 2図に示すように、低周波トランス 6 1、コッククロフトウオルトン多段倍電圧整流回路 6 2、保護用高抵抗 6 3が絶縁性樹脂で鎵込まれたカートリッジ 6 4として構成されている。カートリッジ 6 4は低電圧の供給側に入力端子 6 5、高電圧出力側に出力端子 6 6を露出している他は電気的に絶縁強度が維持されている。

カートリッジ 6 4は、絶縁材で形成されたスプレーガン 1の銃身部 4に設けた装着部 1 1に挿入され、前記高電圧発生器 6の出力端子 6 6が導線 1 2と接続される。スプレーガン 1の銃身部 4 には別に、噴霧化装置 5の外側後方に外部電極 7の電極接続部 1 3が設けられ、前記した導線 1 2の他端が接続端子 1 4として絶縁材の電極接続部 1 3の内側で露出している。

電極接続部 1 3に装着される外部電極 7は先端部に前記先端電極 7 1を露出させ、後端に着脱部 7 2を設けて全体が絶縁材で形成されている。着脱部 7 2の一端より接続端子 7 3を露出させ、該接続端子 7 3と先端電極 7 1 との間を導体 7 4で接続している。外部電極 7が銃身部 4の電極接続部 1 3に装着されたとき、接続端子 7 3と銃身部 4側の接続端子 1 4が接触し電気的に接続される。本実施例では接続を確実に行うため外部電極 7側の接続端子 7 3がパネの構成をしているが、銃身部 4側の接続端子 1 4をパネで形成しても良い。

外部電極 7は第 4図に一部を示すように、電極接続部 1 3に差し込まれ、僅かに回転させることによって係止溝 1 5に係止片 7 5を係止させることで固定され、必要な先端電極位置とした外部電極を配置することができる。この係止方法は本例に限らず、通常使用されている係止手段、すなわち単に差し込み、その寸法精度によって密着し摩擦力で必要な固定力を得る方法、或いは、変形する係止片と溝のかみ合わせにより係止させ、取り外す際は係止片を開放させて外す方法を用いること等選択が可能である。外部電極 7は簡単な構成で、かつ容易に着脱できるため交換が容易に可能で、噴霧作業による先端電極部への汚損や万が一の破損があっても直ちに交換ができ、大きな中断をせずに塗装作業を続行することができる。また電極接続部 1 3を噴霧化装置 5の後部に配したことにより、細くできる外部電極 7の先端部のみを嘖霧領域側に置くことができ、噴霧に影響を与えない範囲で帯電効果をあげうるより近い位置に設置することが可能になっている。外部電極 7の着脱部 7 2はその中心に揷通されている導体 7 4 と接続端子 7 3の周囲に同心状の深い溝 7 6が設けられ、この溝と嵌合するように銃身部 4の電極接続部 1 3も同心状の溝 1 6が形成されている。外部電極 7を装着したとき、電極接続部 1 3の沿面長さは該溝 1 6内を折り返しながら、電極接続部 1 3の外表面露出端部 7 7に至る。従って、接続端子 7 3に荷電された高電圧は外表面露出端部 7 7に至るまで充分な沿面放電防止距離を確保することができ、外表面露出端部 7 7にアース電位にある物体が接触しても不測の放電や絶縁破壊を防ぐことができる。

放電を防止する沿面距離は、通常 1 0 k V当たり 1 5 m m前後を必要とするが、本発明によれば外部電極 7側の同心状の深い溝 7 6と、これに嵌合する電極接続部 1 3側の同心状の溝 1 6内の折り返しにより沿面長さは十分とることが出来、その分、着脱部を短くできるためスプレーガン自体の長さも短く構成することができ、取扱い易くなる。

外部電極 7は、スプレーガン 1側に設けられた高電圧発生器 6 の高電圧出力端子 6 6に保護用高抵抗 6 3を通して出力された高電圧が供給されるために不慮の電撃が防止される構成になっているが、外部電極 7に使用される導体 7 4に帯電する静電容量に対しては急激な放電が避けられない。このため第 7図に示すように外部電極 7の先端電極 7 1近傍に制限抵抗として第 2の高抵抗 7 8を設けることによって、更に安全性を得ることが可能となる。第 2の高抵抗 7 8は外部電極 7が操作、取り扱い性を低下させない程度にその大きさが選定される。

このような構成は保護用高抵抗の分散を図り、高電圧発生器 6 側に設けた保護用高抵抗 6 3の大きさを小さくし、高電圧発生器 6そのものの小形化を図り、スプレーガンの小形化、軽量化を更に進めることが可能となる。

さらに本発明においては、外部電極 7を柔軟性のある弾性材料で形成することを提案している。即ち、絶縁性樹脂で成型される電極体 7 0はポリエチレン等の樹脂で形成することによって不慮の落下、操作中の物体との衝突等による衝撃を避け、電極体 7 0 の破損を守ることができる。

衝撃を避けられず破損に至る場合においても、例えば第 7図に示すように、外部電極 7の一部分に曲げ強度の低い材質部分 7 9 を設けることによって、スプレーガン本体側の電気接続部 1 3より強度を弱くし、電極体のみの破損に止め、電極体のみの交換で済ませることができる。

次に、本発明の実施例では外部電極 7の取付け位置を次のような条件で設定している。

第 4図に示すように、電極接続部 1 3に装着された外部電極 7 の先端電極 7 1は、噴霧化装置 5の塗料ノズル 5 2の先端位置より 7 0 m m (図上、 X ) 前方で、縦方向に長い噴霧の軸中心（図上、 C ) から横方向に 3 O m m (図上、 Y ) 離れた位置となるように取付けられている。

銃身部 4側の電極接続部 1 3は噴霧の軸中心 Cに対して外側に広がる約 1 0度の角度 Bをもって形成されており、外部電極 7を取付けたとき先端までの距離が長くなる程噴霧の軸中心 Cから離れる方向になる。従って、通常の塗装作業で使用される範囲での塗料の噴出量、噴霧の広がりに対しては前記した実施例の先端電極 7の位置で塗料の付着を受けずに作業の継続ができるが、荷電電圧の状況やその他の塗装条件の変動によっては電極位置を変更した方が良い場合もあり、異なる長さの外部電極 7を用いたときに噴霧ノズル 5 2から離れる程に噴霧軸からも離れ、塗料の付着を防止することができる。

外部電極方式による静電塗装の場合、種々の試験の結果から無荷電、即ち、通常の塗装に対し 1 0 %程度の塗着効率のアップは必要と判断される。そのため外部電極 7に荷電される電圧は、必要且つ安全性から— 7 0 k Vから一 9 0 k Vが必要であり、直接帯電方式の場合に比べてより高電圧が必要となる。このことから安全性に対する対策が必要で、高電圧発生器 6の出力側には先端電極 7 1がアース側に接近した場合に放電電流を安全な範囲として 2 0 0 μ Aに抑えるために保護用高抵抗 6 3が設けられており、制限抵抗値を少なくとも 1 5 Ο Μ Ωもつ高抵抗を必要とする。実際に塗料を噴霧した場合の電流値は 1 5 0 μ A程度に減少し、この値が静電塗装時の最大電流値として扱われる。実用的な塗装の平均的条件として吹付け圧力 3 0 0 k P a、吹付け距離 3 0 0 m m、塗料噴出量 3 0 0 m l Zm i nで、 1 5 0 Μ Ωから 3 0 Ο Μ Ωの高抵抗を用い、先端電極 7 1の位置を 3 0 m mから 8 0 m m , 荷電電圧を 3 0 k Vから 9 0 k Vでテストを重ねた結果（第 1 0図参照）、第 9図のグラフに示すようにほぼ 1 2 0 Αまで静電効果が向上するが、それ以上は変化が顕著に見られず逆に危険性が増すことになるため最大電流値は 1 2 0 μ Aが良いと言える。

但し、危険性に関しても問題ないとされる 1 5 0 /z Aとしても実質効果に大きな差異はない。逆に、電流値 6 0 μ Aないしは 7 0 μ A付近以下では急激に静電効果が低下し、実用的に使用する意味が無くなる。

高抵抗を高くすれば安全性が向上するが電流値が低下し、これによって十分な放電が行われず、結果として塗料への帯電が損なわれ、静電効果の低下を招くことになる。従って、高抵抗は最大で 3 0 0 Μ Ωが実用範囲として求められる。

ここで示す静電効果は、所謂、つき回りとして噴霧流が対面する被塗装面以外の背面や側面に塗料が回り込んで塗着する程度を表しているが、その値は高い程、塗料が被塗装物に塗着し、静電塗装における塗装工程の短縮、塗装効率向上の効果があるとされ、塗着効率との相関も確認されている。

更に、このとき、重要な要素として外部電極 7の先端電極 7 1 の設置位置が求められる。即ち、高電圧の電極からアース電位側の塗料ノズル 5 2若しくは噴出する塗料に放電する場合、その距離が近いほど電流値が大きくなることが知られている。しかし、静電塗装においてはイオン化効率の高い放電が必要であり、塗料ノズル 5 2に集中する放電電流が生ずるほどに近すぎると逆に静電効果が得られなくなる。そこで多くの試験の結果、実際に適用される塗装条件の範囲において先端電極 7 1の位置は、噴霧の始まる位置、即ち、嘖霧化開始位置から 3 O m m以上離すとよいことが解った。

即ち、実用上必要とされる一 7 0 k Vの荷電電圧で、 2 0 0 M Ωの高抵抗を備えた場合、 1 2 0 μ Αから 1 5 0 // Αの電流値を維持できる先端電極 7 1の位置は嘖霧化開始位置の前方約 3 O m mであり、これより近くなるとストリーマ放電が発生し、急激に放電電流が上昇して安全性が損なわれる。従って、塗着効率を維持する上で制限抵抗としての高抵抗を前記のように 3 0 0 Μ Ωとした場合の先端電極 7 1までの至近距離は約 3 O m mとするのが望ましい。

又、先端電極の位置が一定以上離れた場合、放電電流値は前記の高抵抗の値によってほぼ決まり、第 1 0図のグラフに示すように安定し、静電効果にも大きな変化は見られない。従って、従来から安全性を考慮し、効果の影響が少ない離れた位置に設置するようにしており、被塗装物との中間近くに設定するようにしている。

しかし乍、スプレーガンの操作性を考慮した場合、噴霧装置の前方に置かれる電極は小型で、噴霧装置からより近い位置におかれることが望ましいのは明らかであり、前記した実施例で示す位置によって、安全且つ高効率での静電塗装を行うことができる。一方、嘖霧流を避けるための電極位置は、実際の塗装において噴霧された塗料が一定の広がりを持って被塗装物に向かうため、塗料の付着から電極を守る為の距離をとることも重要な要素となる。即ち、電極に塗料が付着した場合、塗膜となった塗料は絶縁材となり、電極からの放電を阻止する。従って、静電効果は急激に減少することになる。

本発明の先端電極 7 1の位置は嘖霧流を避けてできるだけ噴霧軸に近い位置に置かれる。実際のエアースプレーの場合、長円形の噴霧パターンの短径側に電極が置かれる。噴霧パターンの短径側は嘖霧の広がりが少なく安定しており、噴霧の始まる点では急激に広がりをもつが以後、ほぼ噴射気流の広がりと同じ約 1 0度の角度の安定した広がりを持って噴霧が行われる。

尚、本発明の外部帯電式の静電塗装用スプレーガンは、水系等の導電性塗料の塗装に用いられるもので、嘖霧化装置から噴出する塗料の微粒子が、嘖霧化位置の前方に設けられた先端電極からの放電により形成されたイオン化域を通過する際に帯電し、電極に対抗して置かれた被塗装物に向かって塗着し、静電効果を奏するもので、噴霧化装置は本実施例に示すエアースプレーガンに限定されるものではない。

以上の如く、本発明は高電圧発生器を有する手持ち式の静電塗装用スプレーガンに、外部電極を簡単に着脱、交換できるようにしたため、手持ち式として各種塗装条件に対応が可能で、操作性、取り扱い性の優れた実用性の高い外部帯電方式の静電塗装用スプレーガンを得ることができる。

又、外部電極の先端電極を最も効果的に作用する位置に特定したため、静電効果を最大限に引き出し、塗着効率が向上される。又、外部電極は着脱部に折り返し部を設けたことにより、短い着脱部により必要な沿面放電防止距離を得ることができ、外部電極自体の小形化を図り、且つスプレーガン自体の小形化を図ることができるため、設置の容易化、操作性の向上等、使用上の問題点を改善できる。更に、外部電極を最小限の構成にしたことで、交換を容易にでき、破損した場合においてもスプレーガン本体の破損に至らず、安価な外部電極のみの交換で済み、損害を最小限度に押さえることが可能となる。

産業上の利用分野

静電塗装分野では電気的に抵抗値の大きい溶剤型塗料が主であつたが、近年の環境問題から揮発性有機性化合物を含む溶剤型塗料に代わって水系塗料への移行が求められている。特に、電気的抵抗値の低い水系塗料ゃメタリック系塗料を用いる場合の危険性、装置の大型化の問題から普及が進まなかった現状を解決し、外部電極を着脱自在にし高電圧発生器を内蔵した手持ち式のスプレ一ガンで、安全性を確保し、作業性に優れ、最適な塗装効率を確保できる静電塗装用スプレーガンを提供する。これによつて、環境問題に大きな改善となる水系塗料の活用及び普及に貢献できる。

Claims

請求の範囲

、先端に噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは電気的絶縁を維持して離開し、噴霧化装置の外側前方に突出する外部荷電電極を備えた静電塗装用スプレーガンであって、嘖霧化装置の後方に導電性ハンドルを備えた手持ち式のスプレーガンの外側に設けられ、先端に荷電電極を露出し絶縁体で形成された電極体の後端に着脱部を設けた外部電極を、高電圧出力部が接続された電極接続部に着脱自在とした静電塗装用スプレーガン。、電極接続部を嘖霧化装置より後部に設けた請求の範囲 1記載の静電塗装用スプレーガン。

、高電圧出力部側に第 1の高抵抗を介して電極接続部を設け、外部電極の先端電極側に第 2の高抵抗を設けた請求の範囲 1記載の静電塗装用スプレーガン。

、外部電極の着脱部は、高電圧出力側との電気的接合部を有し、該電気的接合部と電極接続部の外表面露出端部との距離を沿面放電が防止できる距離とじた請求の範囲 1記載の静電塗装用スプレーガン。

、先端に噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは電気的絶縁を維持して離開し、噴霧化装置の外側前方に突出する外部荷電電極を備えた静電塗装用スプレーガンであって、該スプレーガンの外側に設けられ、'高電圧出力部が接続された電極接続部に、先端に荷電電極を露出した絶縁体で形成された電極体の後端に着脱部を設けた外部電極を着脱自在とすると共に、電気的接合部と着脱部の外表面露出端部との間に折り返し部を設けて沿面距離を長くした静電塗装用スプレーガン。

、外部電極は、先端に電極を露出し、絶縁体で構成される電極体の少なくとも一部を弾性材料で形成した曲折許容部を有する請求の範囲 1又は 5記載の静電塗装用スプレーガン。

、外部電極は、先端に電極を露出し、絶縁体で構成される電極体の少なくとも一部がスプレーガン本体側の接続部より強度を弱くして形成された請求の範囲 1又は 5記載の静電塗装用スプレーガン、先端に噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは電気的絶縁を維持して離開し、噴霧化装置の外側に荷電電極を備えた外部帯電式静電塗装用スプレーガンであって、噴霧化装置による嘖霧化開始位置の手前に高抵抗を介して高電圧出力端を設け、該噴霧化開始位置の前方 3 O m mから 8 O m m離れた位置にあって、噴霧流を避け且つ該噴霧流の可及的近傍に先端電極を位置させた静電塗装用スプレーガン。

、外部電極の先端電極の位置は、噴霧軸中心から外側に、噴霧化開始位置からの前方向距離に対し 1 / 2を越えない範囲に設置している請求の範囲 8記載の静電塗装用スプレーガン。

、先端に噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは電気的絶縁を維持して離開し、噴霧化装置の外側に荷電電極を備えた外部帯電式静電塗装用スプレーガンであって、噴霧化装置の塗料噴出口に向かってストリ一マ放電の発生が防止され、且つ噴霧流の端部を避けて噴霧の先端から離開するにしたがって噴霧軸の中心から徐々に離開するように先端電極を配置した静電塗装用スプレーガン。

、先端電極と高電圧出力部の間に、 1 5 0 Μ Ω以上の高抵抗を設け、荷電電圧一 7 0 k Vを荷電した場合に、先端電極からの放電電流を 6 0 Aから 1 5 0 μ Aに維持したときの先端電極の位置が、噴霧化装置の塗料噴出口に向かってストリーマ放電の発生が防止され、且つ噴霧流の端部を避けて噴霧の先端から離開するに従つて噴霧軸の中心から徐々に離開する位置に配置した静電塗装用スプレーガン。

、外部電極を高電圧出力端子より分離可能とし、静電塗装用スプレ一ガンの側方に設けた電極取付部の取付角度が、前方に向かって拡開するよう形成した請求の範囲 1 0又は 1 1記載の静電塗装用スプレーガン。