明 細 書 歯磨剤及びその製造方法、 歯面清掃具、 並びにそれらからなる歯牙清掃用セット 技術分野 本発明は、 口腔内の歯牙清掃用の物品に関し、 更に詳しくは、 タバコのャニ、 コーヒー、 紅茶などにより歯間及び歯面に付着した着色汚れを容易に除去し、歯牙を美しくするための歯磨 剤及びその製造方法、歯磨剤などとともに用いる歯面清掃具、並びにそれらからなる歯牙清掃用 セットに関する。 背景技術 一般的に歯牙清掃においては、 歯ブラシと歯磨剤を用いてのプラッシング清掃が主に行わ れている。 しかしながら、 タバコのャニ、 コ一ヒ一、紅茶などに由来する着色汚れが歯牙表面に 付着した場合、通常使用される歯ブラシや歯磨剤では汚れの除去が容易ではない。そこで歯科医 により専門器具を使用して除去清掃が行われていたが、近年では、家庭でも手軽に清掃除去がで きるように、 着色汚れ除去用の歯磨剤や清掃器具が市販されるようになってきた。
上記着色汚れ除去用の歯磨剤としては、 例えば、 炭酸カルシウム、 リン酸カルシウム、 シ リカ、 アルミナ等の無機粉末等が使用されているものがある (特許文献 1参照)。 これらの無機 粉末は硬度が不足で充分なャ二等の除去効果を得るにはかなりの時間及び労力を必要とする。こ れらに対し、最も硬度の高いダイヤモンド微粉末を用いれば、比較的容易にャ二等の除去効果を 得ることが可能であるが、ダイヤモンド微粉末は高価であり、通常の歯磨剤に使用するには経済 性に難点がある。
一方、 本発明者らが以前見出しているものとして、 歯科治療に用いられる各種材料の表面 を研磨して艷を出すための艷出し材に、チッ化ケィ素を含有させているものがある(特許文献 2 参照)。 チッ化ケィ素はダイヤモンドに次ぐ硬度を有する力 ダイヤモンドよりはるかに安価で ある。
また、 チッ化ゲイ素をフイラ一として使用し、 歯科用組成物に配合させているものや (特 許文献 3参照)、 歯科用接着剤に含有させているものもある (特許文献 4参照)。
なお、 本発明者らは、 すでにチッ化ケィ素粉末を含有する着色物除去用歯磨剤を見出して いる (特許文献 5参照)。
一方、 上記清掃器具として、 例えば、 片手で持つように設計された操作用ハンドルの一方 の端が屈曲しており、その先端に、研磨部分が組み込まれた清掃具が取り付けられている歯の付 着物及び汚れの除去用器具がある (特許文献 6参照)。 この器具において、 操作用ハンドルは射 出成形されたプラスチック素材によって製作され、全長にわたって中空とした円形、多角形また は楕円形の断面を持つことが示されており、中空部分に清掃具を納められる区画室を設けられる ことも示されている。また研磨部分はグラスファイバ一または合成樹脂の微粒子から構成される ことが示されており、 研磨剤として無機物質を混入できることも示されている。
また、 金属繊維や無機繊維などの硬質フィラメント材料からなるフェルトや織布などの繊 維面状体を、合成樹脂製や金属製、あるいは木製の棒状体の任意形状とした先端の両側や一端に 設け形成した歯ャニ除去具がある (特許文献 7参照)。 この器具における棒状体として、 形状記 憶樹脂や形状記憶合金、または針金のように自由に曲げられる合成樹脂などを使用すれば、 自由 に曲げ、歯の裏側の歯ャ二の除去清掃も可能となり得ることが示されている。そして、 この器具 の大きさはマッチ棒程度であることも示されている。
さらに、 研磨剤が混入されているゴム質チップが、 台座を介して、 あるいは直接に、 取つ 手の先端に取り付けられている歯牙清掃具がある (特許文献 8参照)。 この器具において、 取つ 手と台座は一体構造でも着脱可能な構造でもよく、両者が角度を有して構成されている例も示さ れている。また研磨剤が混入されているゴム質チップに代えて、パルプないし紙材を圧縮成型し たパルプ製チップを用いてもよいことが示されている。
そして、 握り部の先端または両端それぞれに嵌合部を設け、 該嵌合部の嵌合穴に歯牙清掃 部材を固設した歯牙清掃用具もある (特許文献 9参照)。 この器具は、 前記握り部の長軸と前記 嵌合部の嵌合穴中心軸とのなす角度を 1 1 0 ° 〜1 2 0 ° または 8 0 ° 〜8 5 ° とするととも に、前記歯牙清掃部材の先端面を斜めカツトまたは略円錐形としたことが示されている。また握 り部は略ストレート形状で、 長さ 1 2 0 mm程度がよいことが示されている。
なお、 本発明者らが以前提案したものとして、 全体が清掃部用キャップ、 清掃部、 結合部
および柄部からなる着色物除去用口腔内清浄器具がある (特許文献 10参照)。 この器具は、 清 掃部に加わった力が、結合部内部に設けられた弾性体のクッション強度を超えた場合に、清掃部 が結合部の内部に収納される構造である。
【特許文献 1】
特開 2000— 355528号公報 (第 2— 4頁)
【特許文献 2】
特開平 11— 155882号公報
【特許文献 3】
特開 2001— 139844号公報 (第 26頁)
【特許文献 4】
特開 2002— 128620号公報 (第 6頁)
【特許文献 5】
特開 2002— 293724号公報
【特許文献 6】
特開平 4— 338464号公報
【特許文献 7】
特開平 10— 75966号公報
【特許文献 8】
特開平 11—76271号公報
【特許文献 9】
特開 2000— 288000号公報
【特許文献 10】
特開 2002— 282282号公報 本発明者らは従来の技術を鑑みて、 着色汚れを除去する歯磨剤を改良すべく鋭意研究した 結果、 本発明における歯磨剤を完成した。
また、 上述した従来の技術による清掃器具は、 特許文献 8などで示されるように、 清掃時 の持ち易さや操作性などを特徴としていないものがある。また、特許文献 6や特許文献 9などで
示される清掃器具などのように、形状に工夫を凝らしていても、把持部分の大きさが指先でしつ かりと持つにはちようど良いとはいえず、持ち易さや操作性に一層の工夫の余地が残されている ものもある。逆に、 特許文献 7などで示される清掃器具のように、 小さく、 自由に形状を変えら れるようになっているものは、把持したときの力加減が難しい。そこで、本発明者らは従来の技 術を鑑みて、着色汚れを除去清掃するための歯面清掃具の持ち易さや操作性などを改良すベく鋭 意研究した結果、 本発明を完成した。
すなわち、 本発明の目的は、 歯牙表面を傷つけることなく、 短時間の簡単な清掃で良好な ャニ及び茶渋等の着色汚れを除去し、歯牙を美しくすることができる歯磨剤及びその製造方法を 提供すること、歯面に付着した着色汚れを除去する際に、指先でしっかりと持つことができ、把 持したときの力加減が容易であり、かつ歯牙表面を傷つけることなく、短時間で手軽に清掃でき る歯面清掃具を提供すること、歯磨剤と歯面清掃具を組合わせて用いることで、より効果的に歯 牙清掃できる歯牙清掃用セットを提供することにある。 発明の開示 上述の目的は、 平均粒径 0 . 5〜1 0 zmのチッ化ケィ素を含有することを特徴とする歯 磨剤により達成される。
上記歯磨剤は、 チッ化ケィ素と共に、 天然物由来ロウ成分を含有することが好ましい。 ま た、 チッ化ケィ素と共に、 高粘性親水性溶媒を含有することも好ましく、 さらに、 水溶性高分子 を含有することも好ましい。そしてチッ化ケィ素の含有量は、 3 0〜6 0重量%であることが好 ましい。
歯磨剤の製造方法としては、 平均粒径 0 . 5〜1 0 のチッ化ケィ素の粉末と、 天然物 由来ロウ成分の粉末と、高粘性親水性溶媒と水溶性高分子を含有する溶液とを混合し、 2 5 °Cの 温度における粘度が 1 0 0, 0 0 0〜 3 , 0 0 0 , O O O c p sとなるまで撹拌することを特徵 としている。
さらに、 把持部材の一端に清掃部材を備える歯面清掃具において、 前記把持部材の少なく とも前記一端側を長手方向に円弧状に形成した彎曲部を有するとともに、この彎曲部の長手方向 中央部が、前記把持部材の短手方向外側に向かつて円弧状に形成した幅広部とを有することを特
徴とする歯面清掃具により達成される。
上記把持部材の一端に嵌合穴を設けて、 この嵌合穴に清掃部材を嵌入するとと に、 彎曲 部の厚み方向内面側を前記把持部材の長手方向および短手方向に円弧状に形成した凹面部と、前 記彎曲部の厚み方向外面側を前記把持部材短手方向に円弧状に形成した凸面部とを有すること が望ましい。 また、前記把持部材の一端側に形成した彎曲部を第 1の把持部とするとともに、他 端側を前記把持部材の長手方向に円弧状に形成して第 2の把持部とし、この第 2の把持部を形成 する円弧の中心と前記第 1の把持部を形成する円弧の中心は、前記把持部材の厚み方向内面側に あることが望ましい。さらに前記第 2の把持部の長手方向中央部は、前記把持部材の短手方向内 側に向かって円弧状に形成した絞り部を有することが望ましい。そして前記凹面部表面は、前記 把持部材の短手方向に刻まれた複数本の溝により凹凸が設けられたものであることが望ましい。
上記清掃部材は、繊維方向が同一となるようにポリエステル繊維を複数本揃えた集合体を、 ポリァセタール樹脂で固着成形したものが好ましい。
そして、 上記歯磨剤と、 上記歯面清掃具を組み合わせて用いる歯牙清掃用セットである。 図面の簡単な説明 第 1図
本発明の歯面清掃具の一実施形態を示す側面図である。
第 2図
本発明の歯面清掃具の一実施形態を示す正面図である。
第 3図
第図 2における A— A ' 断面図である。
第 4図
本発明の歯面清掃具の把持状態の一例を示す説明図である。
第 5図
本発明の歯面清掃具の別の把持状態の例を示す説明図である。
符号の説明
1 清掃部材
2 把持部材
3 嵌合穴
4 第 1把持部 (彎曲部)
5 凹面部
6 溝 (凹凸)
7 凸面部
8 幅広部
9 第 2把持部
1 0 絞り部 発明を実施するための最良の形態 以下、 本発明の構成について、 歯磨剤、 歯面清掃具、 歯牙清掃用セットの順に、 それぞれ 詳細に説明する。
本発明の歯磨剤に用いるチッ化ケィ素の平均粒径は、 0 . 5 ~ 1 0 mである。 微細な凹 ώを有する歯牙表面に付着した着色汚れは、歯牙から除去することが困難であり、着色汚れを効 果的に除去するためには、平均粒径 0 . 5 z m以上のチッ化ゲイ素粉末を用いる。チッ化ケィ素 の粒子が大きいと歯牙表面を傷つけるため、平均粒径 1 0 ^ m以下のチッ化ケィ素粉末を用いる。
なお、本発明において平均粒径とは、 いわゆるメジアン径(d 50) のことである。例えば、 レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置 (たとえば Microtrac Inc.製 7 9 9 7 S P A型な ,ど)を用いて、チッ化ケィ素粉末の体積基準の分布を測定し、累積分布で表したときに累積 5 0 % となる粒径を求めることにより得られる。 もちろん、 ふるい法、 自然沈降法、 遠心沈降法、 動的 光散乱法、顕微鏡法、画像解析法などの他の手法によつて測定した粒度分布に拠っても構わない。
上記チッ化ケィ素は組成式 S i 3N4で示される無機化合物である。 特に α型 · /3型の結晶 質チッ化ケィ素は、ダイヤモンド(モース硬度 1 0 )の次に硬いモース硬度 9を有する。従って、 チッ化ケィ素は、 コンポジットレジンなどの歯科材料、 切削工具、軸受けなどの機械部品等に用
いられる。 なお、 アルミナ、 シリカ等の無機化合物の中には、 チッ化ケィ素と同等のモース硬度 (ロックウェル硬度、 ビッカース硬度も同等である) を有するものがある。 これらは歯科材料、 切削工具、機械部品等にチッ化ケィ素と同様に用いられるが、破壊靭性はチッ化ケィ素が優れて いる。 例えば、 S E P B法 (J I S R 1 6 0 7準拠) によれば、 チッ化ケィ素の破壊靭性は約 6 M P a /ml/2であるが、 アルミナは 3〜4 M P a /ml/2である。
本発明の歯磨剤においては、 チッ化ケィ素の含有量は 3 0〜 6 0重量%が好ましい。 着色 汚れの除去効果を充分に得るためには、チッ化ケィ素の含有量は 3 0重量%以上が好ましい。チ ッ化ケィ素の含有量を多くすると歯磨剤の粘性が高くなるため、 使いやすさの面を考慮すると、 含有量は 6 0重量%以下が好ましい。
本発明の歯磨剤に用いるチッ化ゲイ素の粒子形状は、 鋭角を有しない表面が滑らかで曲面 から形成されたものが好ましく、 特に好適な形状としては、 例えば球状粉末が挙げられる。
本発明の歯磨剤には、 天然物由来ロウ成分を加えることが可能である。 天然物由来ロウ成 分を加えると、 ロウ成分が歯牙表面の微細な凹凸や傷を埋めるため、歯牙表面を滑らかにする効 果が得られる。歯牙表面が滑らかになる結果、新規に着色汚れが付着することを予防できる。 さ らに、 ロウ成分の艷出し効果により、 歯牙表面の光沢も増加する。
本発明の歯磨剤に天然物由来ロウ成分を加える場合、 天然物由来ロウ成分の含有量は 3〜 1 0重量%が好ましい。歯牙表面の光沢を充分に得るためには、天然物由来ロウ成分の含有量は 3重量%以上が好ましい。天然物由来ロウ成分は疎水性であることから、天然物由来ロウ成分の 含有量を多くすると歯磨剤の粘性が高くなるため、使いやすさの面を考慮すると、含有量は 1 0 重量%以下が好ましい。
上記天然物由来ロウ成分としては、 植物より抽出して得られるカルナウパロウと、 カイガ ラムシから抽出して得られるセラックが挙げられる。いずれも食品、化粧品及び薬品の光沢化剤 として一般に使用されている。 カルナウパロウとセラックは、 それぞれ単独使用又は併用して、 歯磨剤に加えることができる。 いずれも歯磨剤に加えるときは、粉末を用いるのが好ましい。粉 末の大きさは、 歯磨剤へ粉末を均一に分散させるために平均粒径 1 0 m以下が好ましい。
本発明の歯磨剤には、 高粘性親水性溶媒を加えることが可能である。 高粘性親水性溶媒を 加えると、歯磨剤はスラリー状又はペースト状になるため、チッ化ケィ素粉末等の飛散を防ぐこ とができ、 また、 適度な湿り気を与えるため、 歯磨剤として使いやすい。
本発明の歯磨剤に高粘性親水性溶媒を加える場合、 高粘性親水性溶媒の含有量は 1 0〜 6 0重量%が好ましい。歯磨剤の粘性を適度な使いやすさにするためには、高粘性親水性溶媒の含 有量は 1 0重量%以上が好ましい。着色汚れの除去効果を充分に得るために必要なチッ化ケィ素 の含有量との割合を考慮すると、 高粘性親水性溶媒の含有量は 6 0重量%以下が好ましい。
上記高粘性親水性溶媒としては、 グリセリン、 エチレングリコール、 ポリエチレングリコ ール、 プロピレングリコール等が挙げられる。 これら高粘性親水性溶媒は、それぞれ単独又は二 種以上を混合して歯磨剤に加えることができる。高粘性親水性溶媒を歯磨剤に加える際は、水を 併用することもできる。 なお、 歯磨剤に水を加えた場合、 使用時の漱ぎ性が良くなる。
本発明の歯磨剤に、 高粘性親水性溶媒を加えてスラリー状又はペースト状にした場合、 水 溶性高分子を加えることが可能である。水溶性高分子を加えることにより、歯磨剤の粘性を調整 しゃすくなり、 歯磨剤の経時安定性も得られる。
本発明の歯磨剤に水溶性高分子を加える場合、 水溶性高分子の含有量は 0 . 5〜5重量% が好ましい。チッ化ケィ素や天然物由来ロウ成分等の粉末成分と高粘性親水性溶媒や水等の溶液 成分との分離を防いだり、粉末成分の沈降を防ぐためには、水溶性高分子の含有量は 0 . 5重量% 以上が好ましい。水溶性高分子の含有量を多くすると歯磨剤の粘性が高くなるため、使いやすさ の面を考慮すると、 含有量は 5重量%以下が好ましい。
上記水溶性高分子としては、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 カラギ一ナン、 カル ポキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等の水以外には 溶解し難いものと、ポリピニルピロリドン等の水以外にも親水性溶媒に可溶なものとが挙げられ る。これら水溶性高分子は、それぞれ単独又は二種以上を混合して歯磨剤に加えることができる。 水溶性高分子を用いる場合、一般に歯磨剤には高粘性親水性溶媒の他に水を加える必要があるが、 親水性溶媒に可溶な水溶性高分子のみを用いる場合は、 水を加えなくてもよい。
本発明の歯磨剤には、 上記天然物由来ロウ成分、 高粘性親水性溶媒、 水溶性高分子、 水等 以外にも、 所望により無機粉末、 湿潤剤、香料、 顔料等の他の成分を含有させることが可能であ る。 無機粉末は、 炭酸カルシウム、 リン酸カルシウム、 シリカ、 アルミナ等が挙げられ、 粘性調 整効果と着色汚れ除去効果を補助できる。湿潤剤は、 D—ソルビット水溶液、 グリセリン等の親 水性溶媒が挙げられ、歯磨剤に適度の水分量と可塑性を付与できるため、乾燥固化防止効果が得 られる。 香料、 顔料は、 食品、 化粧品及び薬品など一般に広く用いられるものでよい。
本発明の歯磨剤は、 その形態を特に限定するものではないが、 粉末状、 スラリー状、 ベー スト状などが挙げられる。歯磨剤としての使いやすさを考慮すれば、スラリー状又はペースト状 が好ましい。 そして、 その粘度が 100, 000〜3, 000, 000 c p s (25 °C) である と、 より好ましく、 200, 000〜1, 500, O O O c p s (25。C) であると、 さらに好 ましい。粉末状の場合は、 チッ化ケィ素粉末をそのまま用いればよく、 さらに、 天然物由来ロウ 成分粉末や無機粉末などを適宜加えてもよい。スラリー状又はペース卜状の場合は、上述したよ うにチッ化ケィ素に高粘性親水性溶媒を加えればよく、さらに上述した天然物由来ロウ成分、水 溶性高分子、水等の添加可能な他の成分を適宜選択して加えてもよい。そして水溶性高分子とし て、 水以外には溶解し難いものを添加した場合、好ましい粘度は 100, 000〜 300, 00 0 c p s (25で)である。 また水溶性高分子として、 親水性溶媒にも可溶なものだけを添加し た場合、 好ましい粘度は 800, 000-2, 000, O O O c p s ( 25 °C) である。 なお粘 度の測定は、 一般的な粘度計 (例えば、 Brookfield Engineering Labs, Inc.製粘度計 HBDV— 1 +型など) を用いて、 所定の条件 (例えばスピンドルの型式、 回転数、 温度等) の下、 測定す ればよい。
本発明の歯磨剤の製造方法としては、 例えば、 平均粒径 0. 5〜10 tmのチッ化ケィ素 の粉末と、天然物由来ロウ成分の粉末と、高粘性親水性溶媒と水溶性高分子を含有する溶液とを 混合し、 25°Cの温度における粘度が 100, 000〜3, 000, O O O c p s、 好ましくは 200, 000- 1, 500, 000 c p sとなるまで撹拌することにより実現できる。
混合 ·撹拌には、一般に用いられる混合機を使用すればよい。混合機は、容器自体が回転、 振動、揺動する容器回転型、羽根等の撹拌物部品や気流を用いる容器固定型、両者を組み合わせ た複合型に大きく分かれるが、 歯磨剤の形態 (粉末状、 スラリー状、 ペースト状など) に応じて 適宜選択すればよい。
混合機に各成分を投入する手順に制約はないが、 例えば、 チッ化ケィ素の粉末と天然物由 来ロウ成分の粉末をあらかじめ混合しておき、この混合粉末を水溶性高分子を含有する溶液に投 入すると、混合 '撹拌による均一化を効果的にできる。 また、他の粉末成分や溶液成分を用いる 場合も、粉末成分同士、溶液成分同士をそれぞれ混合してから、溶液成分に粉末成分を投入する と混合 ·撹拌による均一化を効果的にできる。
混合 ·撹拌して得られる歯磨剤は、 最終的な粘度が、 100, 000〜 3, 000, 00
0 c p s (25°C)であることが望ましく、 200, 000〜1, 500, O O O c p s (25T) であると、 さらに望ましい。撹拌途中の温度条件に特に制約はないが、粘度確認や物性変化を防 ぐ上で、 20〜 30でで撹拌するのが好ましい。
実施例
以下、 本発明の歯磨剤を実施例及び比較例を例示することにより具体的に説明するが、 本 発明の歯磨剤はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、 実施例及び比較例における、 評価に用いる歯 (ポリツシング対象歯)、 歯磨剤の使 用方法 (ポリツシング操作)、 各種評価方法すなわちハンター白度の増加量、 光沢度、 除去感、 表面傷、 使用感, 粘度については、 以下のようにして行った。
( 1 ) ポリツシング対象の歯の調製
まず牛の抜去歯のエナメル質部分を # 1 80のシリコン力一バイド研磨紙で平坦に研磨 する。次にショートピース 100本分のタバコの煙を蒸留水 5 Oml中に通過させた抽出液を別 途用意する。 そして、 この抽出液に上記牛の抜去歯を浸漬後、 37 °Cの恒温機で 1週間保存し、 表面に着色汚れが沈着するように調製したポリッシング対象の歯を得た。
(2) ポリッシング操作
調製した上記歯の表面に実施例及び比較例の歯磨剤を適量塗布し、 ASO C0TT0NSWAB綿棒 (阿蘇製薬社製) にてポリッシングを行った。試験は男性 3人女性 2人の計 5人で行い、 日常の 歯ブラシでブラッシングする場合と同程度の力で、 1歯につき 20往復のポリツシング操作を行 なった。
(3) 着色汚れ除去効果 (ハンター白度の増加量、 光沢度、 除去感)
•ハンター白度の増加量
ポリッシング試験前後の牛歯エナメル質表面のハンター白度を、 ミノル夕カメラ社製の 分光測色計 (CM- 2002) で測定し、 ポリツシングによるハン夕一白度の増加量を算出した。 この ハンター白度の増加量を歯磨剤のポリッシング効果の目安とした。
•光沢度
ポリッシング試験後の牛歯エナメル質表面の光沢を、 村上色彩研究所製の光沢計で入射 角 60° にて測定した。
-除去感
試験後の牛歯エナメル質表面を、 試験を実施した男女 5人が観察し、 着色 汚れが除去できたかどうかを次の基準で官能的に評価した。
〇…充分に除去できた △…ほぼ除去できた X…除去できたとはいえない
なお、 ハン夕一白度の増加量、 光沢度、 除去感は、 試験を実施した男女 5人の平均を代 表値とした。
(4) 歯牙表面の傷
ポリツシング前後の歯牙表面を、 走査型電子顕微鏡写真で観察し、 歯牙表面の傷が増え たかどうを次の基準で官能的に評価した。
〇…ほとんど傷は増えていない X…傷が増えている
なお、 試験を実施した男女 5人の平均を代表とした。
(5) 使用感
ポリッシング操作したときの歯磨剤の、扱いやすさや磨きやすさなどの使用感について、 次の基準で官能的に評価した。
〇…歯牙に塗布しやすい粘性を持ち、 磨きやすい (粘性に問題はない)
△…やや塗布しにくいが、 歯牙を磨く上では問題ない
X…歯牙に塗布しにくく、 磨きにくい (パサツキ又は流れやすい)
なお、 試験を実施した男女 5人の平均を代表とした。
(6) 粘度
粘度の測定には、 Brookfield Engineering Labs, Inc.製粘度計 HB D V— I +型を用い た。 このとき歯磨剤の温度は 25 °Cとし、 スピンドルは No. 7を用いて、 所定の回転数で測定 した。 なお、 スピンドルの回転数は、 100, 000〜 300, O O O c p sの測定は 50 r p m、 300, 000-1, 000, O O O c sの測定は 25 r pm、 1, 000, 000 c ρ s以上の測定は 4 r pmに設定した。
[実施例;!〜 4、 比較例 1-3] ーチッ化ケィ素の平均粒径が異なる例
走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有しており、 平均粒径が表 1に示す 各大きさのチッ化ゲイ素粉末 50重量%と、天然物由来ロウ成分である平均粒径 5 xmのカルナ ゥバロウ粉末 5重量%と、高粘性親水性溶媒(グリセリン Zプロピレンダリコール Zポリエチレ ングリコール =18重量%ノ4重量%/6重量%) と、水溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース/カラギ一ナン =0. 5重量%/0. 5重量%) と、 水 10重量%と、 湿潤剤であ るソルビット水溶液(70%溶液) 6重量%をライカイ機で良く混合し、粘度 150, 000〜 1, 200, 000 c p s ( 25 °C) のペースト状の歯磨剤を得た。 これらの歯磨剤を用いたポ リッシング操作の効果を評価した結果を表 2に示す。
表 2より明らかなように、 チッ化ケィ素の平均粒径が 0. 5〜10 mである実施例 1〜 4は、 着色汚れ除去効果 (ハンター白度の増加量、 光沢度、 除去感)、 歯牙表面の傷、 使用感す ベてに優れている。一方、 チッ化ケィ素の平均粒径が 0. 1 μπιと小さい比較例 1は、 着色汚れ 除去効果 (八ンタ一白度の増加量、 光沢度、 除去感) が劣っており、 逆にチッ化ケィ素の平均粒 径が 15 m以上と大きい比較例 2や 3は、ハンター白度の増加量は大きいものの、歯牙表面に 傷を増やし、 光沢度も劣る結果となった。
[実施例 5〜 8] —チッ化ケィ素の含有量が異なる例
平均粒径 1; umで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ
素粉末と、 平均粒径 5 mのカルナウパロウ粉末と、 高粘性親水性溶媒
ングリコール Zポリエチレングリコール) と、 水溶性高分子 (ヒドロキシプロピルメチルセル口 —ス/カラギーナン) と、 水と、 ソルビット水溶液 (70%溶液) を表 3に示す割合でそれぞれ ライカイ機で良く混合し、 粘度 100, 000〜 3, 200, O O O c p s (25 °C) のスラリ —状又はペースト状の歯磨剤を得た。これらの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果を評価し た結果を表 4に示す。
表 3
(単位:重量%) 表 4
表 4より明らかなように、 チッ化ケィ素の含有量が 30重量%以上あれば、 着色汚れの除 去効果 (ハン夕一白度の増加量、 除去感) は、 より好ましいものとなる。 一方、 チッ化ケィ素の 含有量が 60重量%以下であれば、 歯磨剤としての使用感がより好ましいものとなる。
[実施例 9〜 14] 一天然物由来ロウ成分の含有量が異なる例
平均粒径 1 mで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ素
粉末 50重量%と、 水溶性高分子 (ヒドロキシプロピルメチルセルロース Zカラギ一ナン =0. 5重量%/0. 5重量%) と、 水 10重量%と、 天然物由来ロウ成分 (平均粒径 5 μπιのカルナ ゥバロウ粉末 Ζ平均粒径 6 zmのセラック粉末) と、 高粘性親水性溶媒 (グリセリン Zプロピレ ングリコールノポリエチレングリコール) と、 ソルビット水溶液 (70 %溶液) を表 5に示す割 合でそれぞれライカイ機で良く混合し、粘度 200, 000-3, 500, O O O c p s (25 °C) のペースト状の歯磨剤を得た。これらの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果を評価した結果 を表 6に示す。
表 5
(単位:重量%) 表 6
表 6より明らかなように、 天然物由来ロウ成分 (カルナゥバロウ及び Z又はセラック) の含有量が 3重量%以上あれば、 光沢度は、 より好ましいものとなる。 一方、 天然物由来ロウ成
分 (カルナゥバロウ及び/又はセラック) の含有量が 10重量%以下であれば、 歯磨剤としての 使用感がより好ましいものとなる。
[実施例 15〜 21 ] —高粘性親水性溶媒の含有量が異なる例
平均粒径 1 πιで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ素 粉末と、 平均粒径 5 imのカルナウパロウ粉末と、 高粘性親水性溶媒 (グリセリンノプロピレン グリコ一ル /ポリエチレングリコ一ル/ェチレングリコール) と、 水溶性高分子 (ヒドロキシプ 口ピルメチルセルロース/カラギーナン) と、 水と、 ソルビット水溶液 (70%溶液) を表 7に 示す割合でそれぞれライカイ機で良く混合し、粘度 70, 000〜550, 000 c p s (25t) のスラリー状又はペースト状の歯磨剤を得た。これらの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果 を評価した結果を表 8に示す。
表 7
(単位:重量%)
表 8
表 8より明らかなように、 高粘性親水性溶媒 (グリセリン/プロピレングリコール Ζポ リエチレングリコ一ル Ζエチレングリコール)の含有量が 10重量%以上あれば、歯磨剤として の使用感がより好ましいものとなる。一方、高粘性親水性溶媒(グリセリン Ζプロピレングリコ ール /ポリエチレングリコール Ζエチレングリコール)の含有量が 60重量%以下であれば、歯 磨剤としての着色汚れ除去効果がより好ましいものとなる。
[実施例 22 ~ 28 ] —水溶性高分子の含有量が異なる例
平均粒径 1 mで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ素 粉末 50重量%と、 平均粒径 5 mのカルナウパロウ粉末 5重量%と、高粘性親水性溶媒(ダリ セリン Zプロピレングリコール/ポリエチレングリコ一ル) と、水溶性高分子(ヒドロキシプロ ピルメチルセルロース/ポリビニルピロリドン) と、 水と、 ソルビット水溶液 (70%溶液) と 無機粉末 (平均粒径 4 /i mのシリ力粉末)を表 9に示す割合でそれぞれライカイ機で良く混合し、 粘度 150, 000〜 2, 800, O O O c p s (25 °C) のペースト状の歯磨剤を得た。 これ らの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果を評価した結果を表 10に示す。
表 9
(単位:重量%) 表 1 0
表 1 0より明らかなように、 水溶性高分子 (ヒドロキシプロピルメチルセルロースノポリ ビニルピロリドン)の含有量が 0 . 5重量%以上あれば、歯磨剤としての使用感が好ましいもの となる。 一方、 τ溶性高分子 (ヒドロキシプロピルメチルセルロースノポリビニルピロリドン) の含有量が 5重量%以下であれば、 歯磨剤としての使用感がより好ましいものとなる。
[実施例 2 9〜 3 3 ] —その他の実施例
平均粒径 1 mで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ素
粉末と、 平均粒径 5 imのカルナウパロウ粉末と、 高粘性親水性溶媒(グリセリン) と、 水を表 1 1に示す割合でそれぞれライカイ機で良く混合し、 粘度 300, 000〜2, 600, 000 c p s (25°C) のペースト状の歯磨剤を得た。 これらの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効 果を評価した結果を表 12に示す。
表 1 1
(単位:重量%) 表 12
[比較例 4〜6] —チッ化ケィ素を含有しない例
実施例 30のチッ化ケィ素の代わりに、 比較例 4は平均粒径 1. 5 xmの合成球状シリカ 粉末を使用し、 比較例 5は平均粒径 0. 7 β mの合成球状アルミナ粉末を使用した。それ以外は 実施例 30と同様にして、 粘度 900, 000〜1, 200, O O O c p s (251:) のペース ト状の歯磨剤を作製した。 また、 比較例 6は市販のタバコャニ除去専用の歯磨剤を用いた。 これ らの歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果を評価した結果を表 1 3に示す。
表 1 3
表 1 3より明らかなように、 チッ化ケィ素を含有しない比較例 4〜6は、 着色汚れ除去効 果 (ハンター白度の増加量、 光沢度、 除去感) が劣っている。
[実施例 3 4〜 4 2 ] —粘度の異なる例
平均粒径 1 mで走査型電子顕微鏡写真では角が無く滑らかな表面を有するチッ化ケィ素 粉末と、 平均粒径 5 zz mのカルナウパロウ粉末と、 高粘性親水性溶媒 (グリセリン) と、 水溶性 高分子 (ヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポリビニルピロリドン) と、 水を表 1 4に示す 割合でそれぞれライカイ機で良く混合し、スラリー状又はペースト状の歯磨剤を得た。 これらの 歯磨剤を用いたポリッシング操作の効果を評価した結果を表 1 5に示す。 表 1 4
(粘度以外の単位:重量%)
表 15
表 15より明らかなように、 水溶性高分子として、 水以外には溶解し難いもの (ヒドロキ シプロピルメチルセルロース) を添加した場合、粘度が 100, 000〜 300, O O O c p s (25°C)であれば、歯磨剤としての使用感がより好ましいものとなる。一方、 水溶性高分子と して、 親水性溶媒にも可溶なもの (ポリビニルピロリドン) を添加した場合、 粘度が 800, 0 00〜 2, 000, O O O c p s (25°C) であれば、 歯磨剤としての使用感がより好ましいも のとなる。
次に、 本発明の歯面清掃具の実施の形態について、 図面を参照してその一例を以下説明す る。図 1は本発明による歯面清掃具の一実施形態の側面図を示したものであり、図 2はその正面 図を示したものである。 また、 図 3は図 2における A— A' 断面図である。
本実施形態の歯面清掃具は、 清掃部材 1と把持部材 2とからなものである。 そして、 把持 部材 2の一端に嵌合穴 3が設けられ、 この嵌合穴 3に清掃部材 1が嵌入されている。
上記把持部材 2において嵌合穴 3が設けられた一端側は、 把持部材 2の長手方向に円弧状 に形成されて、彎曲部である第 1把持部 4となっている。この第 1把持部 4の厚み方向内面側は、 把持部材 2の長手方向および短手方向に円弧状に形成されて凹面部 5となっている。この凹面部 5の表面は、把持部材 2の短手方向に複数本の溝 6が刻まれて凹凸を形成している。 また、第 1 把持部 4の厚み方向外面側は、把持部材 2の短手方向に円弧状に形成されて凸面部 7となってい
る。 さらに、前記第 1把持部 4の長手方向中央部は、把持部材 2の短手方向外側に向かって円弧 状に形成されて幅広部 8となっている。
一方、 上記把持部材 2において第 1把持部 4の他端側は、 把持部材 2の長手方向に円弧状 に形成されて第 2把持部 9となっている。そして、 この第 2把持部 9の円弧の中心と第 1把持部 4の円弧の中心は、 ともに把持部材 2の厚み方向内面側に位置している。 さらに、前記第 2把持 部 9の長手方向中央部は、把持部材 2の短手方向内側に向かって円弧状に形成されて絞り部 1 0 となっている。
次に、 本実施形態の上記各構成についての詳細を説明する。
上記清掃部材 1は、 繊維方向が同一となるようにポリエステル長繊維を複数本揃えた集合 体を、 ポリアセ夕一ル樹脂に含浸し、直径約 4 mmの円柱状に固着成形した後、両端を所定形状 にカットして長さ約 1 2 mmとしたものである。 この円柱状の清掃部材 1の両端カツト形状は、 一端を直角に力ットして直角面 1 1とし、他端を第 1傾斜面 1 2と第 2傾斜面 1 3の 2面に力ッ 卜して先端を尖らせたものである。 この 2面カットは大きさが異なり、 円柱の直径方向で、第 1 傾斜面 1 2:第 2傾斜面 1 3 = 1: 2の比率になっているため、第 2傾斜面 1 3のほうが大きな 面となっている。
上記把持部材 2はポリプロピレン樹脂を用いて、 射出成形したものであり、 長手方向の長 さ Lは約 5 4 mmである。その一端に設けられた上記嵌合穴 3は直径約 4 mm、深さ約 5 mmで あり、 この端部では把持部材 2は円形状であり、 厚み方向 D 1は約 6 mmである。
彎曲部でもある上記第 1把持部 4は、把持部材 2の長手方向に外面円弧半径 R l=約 3 8 m m、 内面円弧半径 R2=約 3 4 mmで彎曲している。 この内面側にある上記凹面部 5は、 把持部 材 2の長手方向に円弧半径 R 3==約 2 7 mm、短手方向に円弧半径 R4=約 1 2 mmの曲面で凹ん でいる。この表面には、深さ 0 . 3 mmの溝 6が 0 . 5 mmピッチで 3 1本刻まれている。一方、 第 1把持部 4の外面側にある上記凸面部 7は、 短手方向に円弧半径 R 5=約 1 0 mmの曲面で膨 らんでいる。そして、第 1把持部 4の長手方向中央部の上記幅広部 8は、把持部材 2の短手方向 外側に向かって、両側とも円弧半径 R 6=約 2 1 mmで広げられて幅 Wl=約 1 2 mmになってい る。
上記第 2把持部 9は、 把持部材 2の長手方向に外面円弧半径 R 7-約 2 0 0 mm、 内面円弧 半径 R8=約 1 9 5 mmで彎曲しており、 厚み方向 D 2は約 5 mmである。 この第 2把持部 9の
長手方向中央部の上記絞り部 1 0は、把持部材 2の短手方向内側に向かって、両側とも円弧半径 R9=約 6 O mmで絞られて幅 W2=約 7 mmになっている。
以上の構成による歯面清掃具の使用方法について、 図 4および図 5を参照して説明する。 本実施形態の歯面清掃具は、 清掃部材 1の先端に研磨剤を含有する歯磨剤や研磨ペースト などを軽く取り、着色汚れが付着した歯面に直接塗布して、鏡などで確認しながら、汚れが落ち るまで磨き上げるように擦って用いると良い。 この際、細かいところの汚れは清掃部材 1の尖ら せた部分を使い、 平面の汚れは清掃部材 1の平たい部分を使って落とすと効果的である。 また、 彎曲部でもある第 1把持部 4が彎曲していることにより、清掃時に清掃部材 1の先端を歯面に当 て易くなり、 さらに鏡を見たときに手で隠れることがなくなる。
そして、 歯面表側を清掃する場合の持ち方としては、 例えば、 図 4に示すように、 凹面部 5に当てた親指先端付近の腹部と、凸面部 7に当てた人差し指第一関節付近の腹部とで、第 1把 持部 4を挟み、 さらに絞り部 1 0に中指第 2関節付近を当てて第 2把持部を挟むと良い。
この持ち方をすると、 親指腹部の膨らみが凹面部 5にフィットし、 溝 6により滑りにくく なり、幅広部 8により歯面清掃具の幅方向のぶれも押さえられる。また人差し指第一関節腹部の 曲がりが凸面部 7にフィットし、さらに曲げた中指第 2関節の前後の腹部が絞り部 1 0にフィッ 卜する。 このため 3本の指先で歯面清掃具をしつかりと持つことができ、把持したときの力加減 が容易となる。
また、 歯面裏側を清掃する場合の持ち方としては、 例えば、 図 5に示すように、 凸面部 7 に当てた親指先端付近の腹部と、凹面部 5に当てた人差し指先端付近の腹部とで、第 1把持部 4 を挟み、 さらに絞り部 1 0に中指第 2関節付近を当てて第 2把持部を挟むと良い。
この持ち方をすると、 人差し指親指腹部の膨らみが凹面部 5にフィットし、 溝 6により滑 りにくくなり、幅広部 8により歯面清掃具の幅方向のぶれも押さえられる。また親指腹部が凸面 部 7を押さえ、さらに曲げた中指第 2関節の前後の腹部が絞り部 1 0にフィットする。 このため 3本の指先で歯面清掃具をしつかりと持つことができ、 把持したときの力加減が容易となる。
上述の二通りの持ち方は、 本実施形態の代表的な持ち方であるが、 もちろん他の持ち方で あっても構わない。なお、 図 4に示した持ち方で本実施形態の歯面清掃具を用いれば、歯科審美 上重要となる歯面表側を清掃するのに最適である。
以上のように実施の形態を説明したが、 本発明はこの実施の形態に限定されるものではな
い。 なお、 本発明の各構成に関して、 実施の形態で説明した以外の例を以下に説明する。
清掃部材 1はポリエステル長繊維の集合体を、 ポリァセタール樹脂で固着成形したが、 ナ ィロンなどの他の合成繊維を用いることもでき、またエポキシなどの他の樹脂で固めることもで きる。 また、研磨剤含有の有無も問わない。 ただし、研磨剤を含有する歯磨剤などと併用する場 合、歯面を傷つけないようにするため、清掃部材 1には研磨剤を含有させない方が好ましい。 ま た、併用する歯磨剤としては、例えば、特開 2 0 0 2— 2 9 3 7 2 4号公報に開示されるチッ化 ケィ素粉末を含有する着色物除去用歯磨剤が好適である。 そして、 清掃部材 1の形状としては、 直径約 4 mmの円柱状の一端を第 1傾斜面 1 2と第 2傾斜面 1 3の 2面に力ットしたが、円柱状 である必要はなく、両端の形状もこれに限定する必要はない。ただし、柱状体の先端を複数面力 ットし、 尖った部分と、 面の部分が混在しているほうが、 清掃効果の面で好ましい形状である。 そして、柱状体の断面外形サイズも好ましくは 1 ~ 8 mm,より好ましくは 2〜 6 mm程度がよ い。
把持部材 2はポリプロピレン樹脂を用いて、 射出成形によったが、 ポリエチレンゃポリウ レタンなどの他の合成樹脂を用いることもでき、圧縮成形や中空成形などの他の金型成形によつ ても、 切削加工によっても可能であるが、 ·コスト面からみてポリプロピレン樹脂を用いて、射出 成形したものが好ましい。そして、把持部材 2の長さ Lは約 5 4 mmとしたが、指先でしっかり と持ち、把持したときの力加減が容易となる長さは、 3 0〜8 0 mm程度が好ましく、 より好ま しくは 4 5〜6 5 mm程度の長さである。 また端部の厚み D 1は約 6 mmとしたが、 清掃部材 1 より 0 . 5 mm以上余分に厚みが取れればよい。すなわち、 好ましくは 2 mm以上、 より好まし くは 3 mm以上がよい。ただし大きくし過ぎても使いにくくなるため、好ましくは 1 0 mm以下、 より好ましくは 8 mm以下がよい。
嵌合穴 3は直径約 4 mm、 深さ約 5 mmとしたが、 清掃部材 1が嵌入可能であれば形状、 深さは限定されないが、例えば、清掃部材 1が円形断面であれば、 嵌合穴 3も丸穴にする。 この 場合、 清掃部材 1が円周方向に摺動可能となり、 先端の向きを調整できるので好ましい。
彎曲部でもある上記第 1把持部 4は、 外面円弧半径 R l =約 3 8 mm、 内面円弧半径 R2= 約 3 4 mmとしたが、 清掃時の歯面に当てやすさや鏡の見やすさなどの面から見て、 R 1は 2 0 〜5 0 mm程度が好ましく、 より好ましくは 3 0〜.4 0 mm程度である。 そして、 R 2は R 1よ り 5〜1 0 mm程度小さいことが望ましい。 なお R 1と R 2は、 同心円弧である必要はないが、
その場合、 厚み D 1が好ましい範囲となるように中心位置を決めたほうが良い。
上記凹面部 5は、 円弧半径 R3=約 2 7 mm、 円弧半径 R4=約 1 2 mmとしたが、 親指ま たは人差し指の腹部のフィット性と、指先でしっかりと持ち、把持したときの力加減が容易とな る点を考慮すると、 R3は 2 0〜4 0 mm程度が好ましく、 より好ましくは 2 5〜 3 5 mm程度 であり、 R4は 8〜2 0 mm程度が好ましく、 より好ましくは 1 0〜 1 5 mm程度である。
上記溝 6は、 深さ 3 mmで 0 . 5 mmピッチに 3 1本刻んだが、 溝の深さや本数が限 定されることはなぐまた凹面部 5の表面に凹凸が設けられるのであれば形状も特に限定されな レ^例えば、 複数の突起を設けることでも可能であるが、 把持部材 2の短手方向 (幅方向) に溝 を刻めば、 清掃時の主な操作方向と交差し滑りにくいので好ましい。
上記凸面部 7は、 円弧半径 R5=約 1 0 mmとしたが、 人差し指第一関節腹部の曲がりまた は親指の腹部のフィット性と、指先でしっかりと持ち、把持したときの力加減が容易となる点を 考慮すると、 R5は 6〜1 5 mm程度が好ましく、 より好ましくは 8〜 1 2 mm程度である。
上記幅広部 8は、 円弧半径 R 6=約 2 l mm、 幅 1 =約1 2 ]!11 1としたが、 親指の腹部ま たは人差し指先端付近の腹部とのフィット性と、歯面清掃具の幅方向のぶれも押さえられる効果 を考慮すると、 R6は 1 5〜3 0 mm程度が好ましく、 より好ましくは 2 0〜 2 5 mm程度であ り、 W1は 5 mm以上が好ましく、 より好ましくは 1 0〜 2 0 mm程度である。
上記第 2把持部 9は、 把持部材 2の長手方向に外面円弧半径 R 7= 2 0 0 mm、 内面円弧半 径 R8= 1 9 5 mmとしたが、 彎曲していなくても構わない。 また、 この第 2把持部 9の円弧の 中心と第 1把持部 4の円弧の中心が、把持部材 2の厚み方向で反対側に位置していても構わない。 ただし、歯面表側を主に清掃する場合、 中指第 2関節前後の腹部のフィット性と、指先でしっか りと持ち、把持したときの力加減が容易となる点を考慮すると、各把持部の円弧中心が同じ側に あり、 R7は 1 0 0 mm以上が好ましく、 より好ましくは 1 5 0 mm以上である。
そして、 R8は R7より 5〜1 0 mm程度小さいことが望ましい。 なお、 R 7と R8は、 同 心円弧である必要はないが、 その場合、 厚み D 2が好ましくは 3 mm以上、 より好ましくは 5〜 1 0 mm程度となるように中心位置を決めたほうが良い。 一方、 歯面裏側を主に清掃する場合、 中指第 2関節前後の腹部のフィット性と、指先でしっかりと持ち、把持したときの力加減が容易 となる点を考慮すると、 各把持部の円弧中心が反対側にあることが好ましい。
上記絞り部 1 0は、 円弧半径 R9= 6 0 mm、 幅 W2=約 7 mmとしたが、 中指第 2関節前
後の腹部とフィット性と、把持したときの力加減が容易となる点を考慮すると、 R 9は 4 0〜8 0 mm程度が好ましく、 より好ましくは 5 0〜 7 0 mm程度であり、 W2は 3 mm以上が好まし く、より好ましくは 5〜 1 0 mm程度である。ただし、幅広部 8より幅が小さいことが好ましい。
次に、 本発明の歯牙清掃用セットの実施例を示すことにより、 具体的に説明するが、 本発 明の歯牙清掃用セットはこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例におけ る、 評価に用いる歯 (ポリツシング対象歯)、 各種評価方法すなわちハンター白度の増加量、 光 沢度、 除去感、表面傷については上述した内容とまったく同一にして行った。 なお、 ポリツシン グ操作及び使用感の評価方法については、 以下のようにして行った。
( 1 ) ポリッシング操作
実施例 2 8の歯磨剤を、 各実施例の器具に適量塗布し、 ポリツシングを行った。 試験は男 性 3人女性 2人の計 5人で行い、 日常の歯ブラシでブラッシングする場合と同程度の力で、 1歯 にっき 2 0往復のポリッシング操作を行なつた。
( 2 ) 使用感
ポリッシング操作したときの歯磨剤と器具の、 扱いやすさや磨きやすさなどの使用感につ いて、 次の基準で官能的に評価した。
〇…歯磨剤が塗布しやすく、 磨きやすい (力加減が容易で操作も容易)
△…塗布しにくいが、 歯牙を磨く上では問題ない
X…塗布しにくく、 磨きにくい
なお、 試験を実施した男女 5人の平均を代表とした。
[実施例 4 3 - 4 4 ] —ポリッシング操作に用いる器具が異なる例
実施例 2 8の歯磨剤を用い、 それぞれ異なる器具でポリツシング操作を行い、 歯牙清掃効 果を評価した結果を表 1 6に示す。実施例 4 3は、 上述した歯面清掃具である。すなわち、繊維 方向が同一となるようにポリエステル長繊維を複数本揃えた集合体を、ポリァセタ一ル樹脂に含 浸し、直径約 4 mmの円柱状に固着成形した後、両端を所定形状にカットして長さ約 1 2 mmと した清掃部材を有するものである。実施例 4 4は、清掃部材の材質が研磨剤を含有するシリコン ゴムである以外は、実施例 4 3と同様の歯面清掃具である。実施例 4 5は、歯科医師が、研磨剤 とともに使用する着色汚れ除去用の器具である。なお実施例 2 8では上述のごとく綿棒を用いた。
表 1 6
表 1 6から明らかなように、 綿棒や歯科医師が使用する器具に比べ、 本発明による歯面清 掃具のほうが使用しやすい事がわかる。また、着色汚れ除去効果も実施例 4 3が最適であること がわかる。 また、実施例 4 4のように研磨剤入りの清掃具を使用した場合、歯磨剤にも研磨効果 があるため、 研磨剤によっては歯牙表面を傷つけるおそれがある。
以上のように、 本発明によれば高硬度セラミックスであるチッ化ケィ素粉末を使用するこ とにより、高価なダイヤモンド粉末を使用することなく、 また歯牙表面を傷つけることなく、短 時間の簡単な清掃で良好なャニ及び茶渋等の着色汚れを除去し、歯牙を美しくすることができる 歯磨剤及びその製造方法を提供することができ、歯面に付着した着色汚れを除去する際に、指先 でしつかりと持つことができ、把持したときの力加減が容易であり、かつ歯牙表面を傷つけるこ となく、短時間で手軽に清掃できる歯面清掃具が提供でき、歯磨剤と歯面清掃具を組合わせて用 いることで、 より効果的に歯牙清掃できる歯牙清掃用セットを提供することができる。 産業上の利用可能性 以上のように、本発明にかかる歯磨剤は、タバコのャ二等の着色汚れの除去に有用であり、 歯科医院及び一般家庭での歯の清掃に有用で、また本発明にかかる歯面清掃具は、指先による保 持が容易で、本発明の歯磨剤と併せ用いることにより、一般家庭においても容易かつ効果的に歯 の着色汚れを除去することができる。