明細書
脊髄損傷による障害の予防及び/又は治療のための医薬 技術分野
本発明は、 ピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれ らの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む脊髄損傷による障害の予防及 び Z又は治療のための医薬、 並びに脊髄神経保護剤に関する。 背景技術
脊髄は細長い円柱状の神経索で、 その上部は大孔のところで延髄に連続し、 下 部は上位腰椎で終わる。脊髄は中心から外側へ向かって中心管、 H字形の灰白質、 及ぴ白質の 3つの層から構成される。 灰白質には前柱、 側柱、 後柱があり、 前柱 には運動性の神経細胞が集まり、 前根を経て神経線維を骨格筋に送り、 後柱には 後根を経て知覚神経線維が入る。 従って、 脊髄は運動、 感覚、 反射、 自律などを 支配する重要な役割を担っている。
交通事故、 転落事故による外傷 (骨折、脱臼、 捻挫等)、脊椎変形などの脊椎疾 患、腫瘍、炎症、血管障害などの種々の原因で脊髄が損傷されると、損傷部を通過 する刺激伝導に障害が起き、 四肢の運動麻痺や失行などの運動障害や知覚麻痺を はじめ、 尿路、 性器、 気道、 自立神経、 代謝にも障害をきたす。
脊髄損傷の発生 ·進行機序としては、 まず脊椎やその周辺神経への直接的な物 理的圧迫や傷害によって脊髄に損傷部位が生じ、 その部位において白血球などの 蓄積による炎症、 血管のれん縮や閉塞などによる血流障害が起こって虚血状態と なり、 虚血·生病変 (壊死) が進行拡大していく。
脊髄損傷の治療方法としては、まず骨傷の整復固定によって脊髄保護をはかり、 その後二次障害の改善のための内科的治療が施されるのが一般的である。 内科的 治療としては受傷急性期、 具体的には脊髄損傷後 8時間以内にステロイド剤を大 量投与することによって運動 ·感覚機能の維持を図る療法が知られているが、 ス
テロイド剤の大量投与は副作用も多く患者への負担も大きい。 従って、 脊髄損傷 において安全にかつ効果的に利用できる薬剤が切望されている。
一方、 下記式 ( I ) :
(式中、 R 1は水素原子、 ァリール、 炭素数 1〜 5のアルキル又は総炭素数 3〜 6のアルコキシカルボニルアルキルを表し、 R 2は、水素原子、了リールォキシ、 ァリ一ルメルカプト、 炭素数 1〜 5のアルキル又は.1〜 3のヒドロキシアルキル を表し、 あるいは、 R 1及ぴ R 2は、 共同して炭素数 3〜5のアルキレンを表し、 R 3は水奉原子、 炭素数 1〜5のアルキル、 炭素数 5〜 7のシクロアルキル、 炭 素数 1〜3のヒ ドロキシアルキル、 ベンジル、 ナフチル又はフエニル、 又は炭素 数 1〜5のアルコキシ、 炭素数 1〜3のヒ ドロキシアルキル、 総炭素数 2〜 5の アルコキシカルボニル、 炭素数 1〜 3のアルキルメルカプト、 炭素数 1〜4のァ ルキルァミノ、 総炭素数 2〜 8のジアルキルァミノ、 ハロゲン原子、 トリフルォ ロメチル、 カルボキシル、 シァノ、 水酸基、 ニトロ、 ァミノ、 及ぴァセトアミ ド からなる群から選ばれる同一若しくは異なる 1〜 3個の置換基で置換されたフエ ニルを表す。) で表されるピラゾロン誘導体については、 医薬の用途として、脳機 能正常化作用 (特公平 5— 3 1 5 2 3号公報)、過酸化脂質生成抑制作用 (特公平 5 - 3 5 1 2 8号公報、例 1の化合物)、抗潰瘍作用 (特開平 3— 2 1 5 4 2 5号 公報)、及ぴ血糖上昇抑制作用 (特開平 3— 2 1 5 4 2 6号公報)等が知られてい る。
また、 上記式 (I ) の化合物のうち、 3—メチルー 1—フエ二ルー 2—ピラゾ リン一 5—オンを有効成分とする製剤は、 2 0 0 1年 6月以来、 脳保護剤 (一般 名 「エダラボン」、 商品名 「ラジカット」:三菱ゥエルファーマ株式会社製造 .販 売) として上巿されている。 この 「エダラボン」 は、 活性酸素に対して高い反応
性を有することが報告される (Kawai, H. , et al. , J. Phamacol. Exp. Ther. , 281 (2) , 921, 1997; Wu, TW. et al. , Life Sci, 67 (19) , 2387, 2000)。 このよ うに、 ェダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去するこ とで、 細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。 こ れまでネコ脊髄損傷モデルでメチルプレドニゾロンの有効性を示す知見はあるが (E. D. Meams, et al. , J. Neurosurg. , 55, 200, 1981)、 エダラボンが脊髄損傷に 対して有効であるか否かの検討については従来全く報告がなレ、。 発明の開示
本発明の課題は、 脊髄損傷による障害の予防及び/又は治療に有用な医薬、 並 びに脊髄神経保護剤を提供することにある。
本発明者らは、 上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、 式 (I ) で示 されるピラゾ口ン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水 和物若しくは溶媒和物が、 物理的圧迫により脊髄損傷をもたらしたモデル動物に おいて下肢の運動障害を有意に改善することを見出した。 本発明は上記の知見を 基にして完成された。
即ち、 本発明によれば、 下記式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはそ の生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分と して含む脊髄損傷による障害の予防及び/又は治療の'ための医薬が提供される。
(式中、 R 1は、 水素原子、 ァリール基、 炭素数 1〜5のアルキル基又は総炭素 数 3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表し; R 2は、 水素原子、 ァリー ルォキシ基、 ァリールメルカプト基、 炭素数 1〜 5のアルキル基又は炭素数 1〜 3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、 R 1及ぴ R 2は、 共同して炭素数 3
〜5のアルキレン基を表し; R 3は、 水素原子、 炭素数 1〜5のアルキル基、 炭 素数 5〜 7のシクロアルキル基、 炭素数 1〜 3のヒ ドロキシアルキル基、 ベンジ ル基、 ナフチル基、 フエニル基、 又は炭素数 1〜 5のアルキル基、 炭素数 1〜5 のアルコキシ基、 炭素数 1〜 3のヒドロキシアルキル基、 総炭素数 2〜 5のアル コキシカルボニル基、 炭素数 1〜 3のアルキルメルカプト基、 炭素数 1〜4のァ ルキルアミノ基、 総炭素数 2〜 8のジアルキルアミノ基、 ハロゲン原子、 トリフ ルォロメチル基、 カルボキシル基、 シァノ基、 水酸基、 ニトロ基、 アミノ基及び ァセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる 1〜3個の置換基で 置換されたフエ二ル基を表す。 )
本発明の好ましい態様によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体が 3— メチルー 1 —フエ二ルー 2—ビラゾリンー 5—オン若しくはその生理学的に許容 される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。 好ましくは、 脊髄損傷は圧迫性脊髄損傷である。
好ましくは、 脊髄損傷による障害は、 運動障害、 運動麻痺、 感覚障害、 半身不 随、 反射喪失、 及ぴ自律神経障害から成る群から選ばれる障害である。
本発明の別の局面によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはそ の生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分と して含む脊髄損傷に対する脊髄神経細胞保護剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若し くはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防 及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、 脊髄損傷に よる障害の予防及び Z又は治療方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若し くはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防 及び Z又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、 脊髄損傷に 対して脊髄神経細胞を保護する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 上記の医薬または脊髄神経細胞保護剤の製
造のための式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容さ れる塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用が提供される。 図面の簡単な説明
図 1は、 脊髄損傷による神経症状を経時的に判定した結果(平均) を示す。 図 2は、 脊髄損傷による神経症状を経時的に判定した結果 (個別) を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明の脊髄損傷による障害の予防及び /又は治療のための医薬、 並びに脊髄 神経細胞保護剤 (以下、 これらを総称して本発明の医薬という) は、 本明細書に 定義する式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容され る塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む。
本発明で用いる式( I )で示される化合物は、互変異性により、以下の式( I ' ) 又は (1 ") で示される構造をもとりうる。 本明細書の式 (I ) には、 便宜上、 互 変異性体のうちの 1つを示したが、 当業者には下記の互変異性体の存在は自明で ある。 本発明の医薬の有効成分としては、 下記の式 (1 ' ) 又は (1 ") で表され る化合物若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶 媒和物を用いてもよい。
式 (I ) において、 R
1の定義におけるァリール基は単環性又は多環性ァリー ル基のいずれでもよい。例えば、フエニル基、ナフチル基などのほ力 \メチル基、 プチル基などのアルキル基、 メ トキシ基、 ブトキシ基などのアルコキシ基、 塩素 原子などのハロゲン原子、 又は水酸基等の置換基で置換されたフ ニル基等が挙
げられる。 ァリール部分を有する他の置換基 (ァリールォキシ基など) における ァリール部分についても同様である。
R R 2及び R 3の定義における炭素数 1〜5のアルキル基は直鎖状、 分枝鎖状 のいずれでもよレ、。例えば、 メチル基、ェチル基、 プロピル基、イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基、 ペンチル基等が挙げ られる。 アルキル部分を有する他の置換基 (アルコキシカルボュルアルキル基) におけるアルキル部分についても同様である。
R 1の定義における総炭素数 3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、 メ トキシカルポニノレメチ /レ基、 エ トキシカルボ二ルメチノレ基、 プロポキシカルボ ニルメチル基、 メ トキシカルポニルェチル基、 メ トキシカルボニルプロピル基等 が挙げられる。
R 2の定義におけるァリールォキシ基としては、 p—メチルフエノキシ基、 p ーメ トキシフエノキシ基、 ρ—クロロフエノキシ基、 p—ヒドロキシフエノキシ 基等が挙げられ、 ァリールメルカプト基としては、 フエ二ルメルカプト基、 P— メチ/レフェュノレメノレカプト基、 p—メ トキシフエニノレメノレカプト基、 p—クロ口 フエ二ルメルカプト基、 p—ヒ ドロキシフエ二ルメルカプト基等が挙げられる。
R 2及ぴ R 3の定義における炭素数 1〜3 のヒ ドロキシアルキル基としては、 ヒ ドロキシメチル基、 2—ヒ ドロキシェチル基、 3—ヒドロキシプロピル基等が挙げ られる。 R 3の定義における炭素数 5〜7のシクロアルキル基としては、 シクロべ ンチル基、 シク口へキシル基、 シク口へプチル基等が挙げられる。
R 3の定義において、 フエニル基の置換基における炭素数 1〜5のアルコキシ基 としては、 メ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキ シ基、ペンチルォキシ基等が挙げられ、総炭素数 2〜5のアルコキシカルボニル基 としては、 メ トキシカノレポ二ノレ基、 エトキシカルボニル基、 プロポキシカルボュ ル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数 1〜3のアルキルメルカプト基 としては、 メチルメルカプト基、 ェチルメルカプト基、 プロピルメルカプト基等 が挙げられ、炭素数 1〜4のアルキルァミノ基としては、 メチルァミノ基、ェチル
アミノ基、 プロピルアミノ基、 ブチルァミノ基等が挙げられ、総炭素数 2〜8のジ アルキルアミノ基としては、 ジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基、 ジプロピル アミノ基、 ジブチルァミノ基等が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分として好適に用いられる化合物( I )として、例えば、 以下に示す化合物が挙げられる。
3—メチルー 1—フエ二ルー 2—ピラゾリンー 5—オン;
3—メチル一 1— (2—メチルフエニル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン
3—メチルー 1 - (3—メチルフエニル) - 2—ビラゾリン一 5—オン
3—メチノレー 1— (4—メチノレフエ二ノレ) 一 2—ピラゾリン一 5—オン
3—メチルー 1一 (3, 4—ジメチルフエニル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (4ーェチノレフエ二ノレ) 一 3—メチノレ一 2—ピラゾリン一 5 _オン; 3—メチル一 1— (4—プロピルフエ-ル) _ 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— (4—ブチノレフエ二ノレ) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— (3—トリフルォロメチルフエ-ル) 一 3—メチルー 2 _ピラゾリン一 5 一オン;
1— (4—トリフルォロメチルフエニル) 一3—メチル一2—ピラゾリン一 5 —オン;
1一 (2—メ トキシフエニル) 一3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (3—メ トキシフエニル) 一 3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1— (4—メ トキシフエニル) 一3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - (3, 4ージメ トキシフエニル) 一3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1— (4一エ トキシフエ二ノレ) 一3—メチ/レー 2—ピラゾリン一 5—オン; 3—メチルー 1一 (4—プロポキシフエ-ル) _ 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— (4一ブトキシフエ-ル) 一3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1― (2—クロ口フエ-ル) 一 3—メチルー 2—ビラゾリン一 5—オン; 1一 (3—クロ口フエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1 - ( 4 _クロ口フエニル) _ 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— ( 3 , 4—ジクロ口フエニル) 一 3—メチノレ一 2—ビラゾリンー 5—オン; 1一 (4一ブロモフエニル) _ 3—メチル一 2 _ピラゾリン _ 5—オン; 1— ( 4—フノレオロフェュル) 一 3—メチ /レー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (3—クロ口 _ 4一メチルフエ二ノレ) ー 3—メチノレ一 2—ピラゾリンー5 一オン;
1 - ( 3—メチルメルカプトフエニル) 一 3—メチルー 2—ビラゾリンー 5 - オン;
1― ( 4ーメチルメルカプトフエニル) 一 3—メチル _ 2—ピラゾリン一 5— オン;
4 - ( 3—メチルー 5—ォキソ— 2—ピラゾリン一 1 _ィル) 安息香酸; 1一 (4一エトキシ力/レポエルフェ二ノレ) 一 3 _メチル一 2—ピラゾリン _ 5 —オン;
1 - ( 4—ニトロフエ二ノレ) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 3ーェチノレー 1—フエニノレー 2 -ピラゾリン一 5—オン;
1一フエニノレー 3—プロピル一 2—ピラゾリン一 5—オン;
1 , 3—ジフエ二ノレ一 2—ピラゾリン一 5—オン;
3—フエニノレー 1 _ ( p— トリル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン;
1 - ( 4—メ トキシフエニル) 一 3—フエニノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1― ( 4一クロ口フエ二ノレ) — 3 _フエ二ノレ一 2—ピラゾリン _ 5—オン; 3, 4—ジメチルー 1一フエ二ルー 2—ピラゾリンー 5一オン;
4ーィソブチノレー 3—メチル一 1—フエ二ノレ一 2—ビラゾリン一 5—オン; 4一 ( 2—ヒ ドロキシェチル) 一 3—メチノレー 1一フエ二ノレ一 2—ビラゾリン 一 5一オン;
3—メチノレ _ 4ーフエノキシ一 1—フエニル一 2—ピラゾリン一 5—オン; 3—メチノレー 4—フエ二ノレメルカプト一 1—フエ二ノレ一 2—ピラゾリン一 5— オン;
3 , 3 ' , 4, 5, 6, 7—へキサヒ ドロ一 2—フエ-ルー 2Η—インダゾーノレ 一 3一オン;
3一 (エトキシカルボニルメチル) 一 1—フエ二ルー 2—ビラゾリンー 5—才 ン;
1一フエ二ルー 2—ビラゾリン一 5—オン;
3—メチルー 2—ビラゾリン一 5—オン;
1 , 3 _ジメチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1—ェチルー 3—メチル一 2—ビラゾリンー 5—オン;
1—プチル一 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5—オン;
1— (2—ヒ ドロキエチル) _ 3—メチル _ 2—ピラゾリン一 5—オン; 1ーシク口へキシルー 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5一オン;'
1一べンジルー 3ーメチルー 2—ビラゾリン一 5—オン;
1— (α—ナフチル) 一 3 _メチル一 2—ピラゾリン _ 5—オン;
1ーメチノレー 3—フエニル一 2—ビラゾリン一 5—オン;
3—メチノレー 1一 (4—メチノレフエニル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - (4一ブチルフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— (4—メ トキシフエエル) 一3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1― (4—ブトキシフエニル) - 3—メチルー 2—ビラゾリン一 5—オン; 1一 (4—クロ口フエ-ル) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5 _オン; 1— (4—ヒ ドロキシフエニル) 一3—メチル一2—ピラゾリン一5—オン; 1 - (3, 4—ジヒ ドロキシフエ-/レ) ー3—メチノレ一 2—ピラゾリン一 5— オン;
1 - (2—ヒ ドロキシフエニル) 一 3 _メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (3—ヒ ドロキシフエニル) 一 3—メチノレ一 2—ビラゾリン一 5—オン; 1― (4ーヒ ドロキシフエニル) — 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (3, 4ーヒ ドロキシフエエノレ) 一 3—メチノレ一 2—ビラゾリンー 5—才 ン;
1 _ ( 4—ヒ ドロキシフエ二ノレ)一 3—フエ二ノレ一 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 ( 4ーヒ ドロキシメチノレフエニル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5— オン;
1 一 (4—ァミノフエ二ル) 一 3—メチノレ一 2—ピラゾリン一 5 _オン; 1 一 (4—メチルァミノフエニル)一 3—メチル一 2—ビラゾリン一 5—オン 1― ( 4—ェチルァミノフエニル) _ 3—メチル一 2—ビラゾリンー 5—オン 1 - ( 4一ブチノレアミノフエ二ノレ)一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5一オン 1一 ( 4—ジメチルァミノフエニル) 一 3—メチル一 2 _ピラゾリン一 5—ォ ン;
1 - (ァセトアミ ドフエニル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン _ 5—オン;及 ぴ
1— ( 4一シァノフエ二ノレ) 一 3—メチノレ一 2—ピラゾリン一 5—オン 本発明の医薬の有効成分としては、 式 (I ) で表される遊離形態の化合物のほ カ 生理学的に許容される塩を用いてもょレ、。生理学的に許容される塩としては、 塩酸、 硫酸、 臭化水素塩、 リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、 p -トル エンスノレホン酸、 ベンゼンスノレホン酸、 醉酸、 グリコーノレ酸、 グノレクロン酸、 マ レイン酸、 フマル酸、 シユウ酸、 ァスコルビン酸、 クェン酸、 サリチル酸、 ニコ チン酸、 酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、 カリウム等のアルカリ金属との 塩;マグネシウム、 カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニア、 トリ ス (ヒ ドロキシメチル) ァミノメタン、 N, N—ビス (ヒドロキシェチル) ピペラ ジン、 2ーァミノー 2—メチノレ一 1一プロパノーノレ、 エタノーノレアミン、 N—メチ ルグルタミン、 L—グルタミン等のァミンとの塩が挙げられる。 また、 グリシンな どのアミノ酸との塩を用いてもよい。
本発明の医薬の有効成分としては、 上記式 (I ) で表される化合物若しくはそ の生理学的に許容される塩の水和物、 又は上記式 (I ) で表される化合物若しく はその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。 溶媒和物を形成する 有機溶媒の種類は特に限定されないが、 例えば、 メタノール、 エタノール、 エー
テル、 ジォキサン、 テトラヒドロフランなどを例示することができる。 また、 上 記式 (I ) で表される化合物は、 置換基の種類により 1以上の不斉炭素を有する 場合があり、 光学異性体又はジァステレオ異性体などの立体異性体が存在する場 合がある。 本発明の医薬の有効成分としては、 純粋な形態の立体異性体、 立体異 性体の任意の混合物、 ラセミ体などを用いてもよい。
式 (I ) で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、 特公平 5— 3 1 5 2 3号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、有効成分である式(I ) で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あたり 0. 1〜 lOOOmg/kg体重、 好ましくは一日あたり 0. 5〜50mg/kg体重、 であり、 非経口投与 の場合には一日あたり 0. 01〜; 100mg/kg体重、 好ましくは 0. 1〜: 10mg/kg体重であ る。上記投与量は 1日 1回又は 2〜3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病 態、 症状により適宜増減してもよい。
本発明の医薬としては、 上記式 (I ) で表される化合物若しくはその生理学的 に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのまま投与してもよ いが、 一般的には、 有効成分である上記の物質と薬理学的及び製剤学的に許容さ れる添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、 例えば、 賦形剤、 崩壊剤 ないし崩壌補助剤、 結合剤、 滑沢剤、 コーティング剤、 色素、 希釈剤、 基剤、 溶 解剤ないし溶解補助剤、 等張化剤、 p H調節剤、 安定化剤、 噴射剤、 及び粘着剤 等を用いることができる。
経口投与に適する医薬組成物には、 添加物として、 例えば、 ブドウ糖、 乳糖、 D—マンニトール、 デンプン、 又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチ ノレセルロース、 デンプン、 又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊 剤又は崩壊補助剤; ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチル セルロース、 ポリビニルピロリ ドン、 又はゼラチン等の結合剤; ステアリン酸マ グネシゥム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、
ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、 流動パ ラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、力オリン、 グリセリン、精製水、 又はハードフアツト等の基剤を用いることができる。
注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、 注射用蒸留水、 生理食塩水、 プ 口ピレンダリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は 溶解補助剤;ブドウ糖、 塩化ナトリウム、 D—マンニトール、 グリセリン等の等 張化剤;無機酸、 有機酸、 無機塩基又は有機塩基等の p H調節剤等の添加物を用 いることができる。
本発明の医薬の形態は特に限定されず、 当業者に利用可能な種々の形態をとる ことができる。 経口投与に適する医薬として、 例えば、 固体の製剤用添加物を用 いて錠剤、 散剤、 顆粒剤硬ゼラチンカプセル剤、 坐剤、 又はトローチ剤などを調 製することができ、 液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、 乳剤、 軟ゼラチン 力プセル剤などを調製することができる。また、非経口投与に適する医薬として、 注射剤、 点滴剤、 吸入剤、 坐剤、 経皮吸収剤、 経粘膜吸収剤などを調製すること ができる。 なお、 上記の式 (I ) の化合物を有効成分とする脳保護剤 (点滴剤) 力 すでに臨床において使用されているので (一般名 「エダラボン」、商品名 「ラ ジカツト」:三菱ゥエルファーマ株式会社製造'販売)、 本発明の医薬において上 記巿販製剤をそのまま用いることができる。
本発明の医薬は、 脊髄損傷による障害に有効である。 すなわち、 本発明の医薬 は、 脊髄損傷による障害を防止する予防剤としての作用、 及び/又は脊髄損傷に よる障害を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。
本明細書において 「脊髄損傷」 とは、 脊髄実質に出血、 浮腫などの挫滅ゃ圧迫 病変が認められ、 その結果損傷部を通過する刺激伝導に障害が起き、 運動障害や 感覚障害をもこらす病態をいう。
脊髄損傷には多くの原因が存在するが、 脊髄の外部からの圧迫の有無により圧 迫性脊髄損傷と非圧迫性脊髄損傷に大きく分けることができる。 本明細書におけ る 「脊髄損傷」 とは圧迫性脊髄損傷と非圧迫性損傷の両方を含み、 損傷を起こす
原因により限定はされない。
また、 「脊髄損傷」 の原因となる疾患は、虚血性疾患であっても虚血性疾患でな くてもよいが、 虚血性疾患でないことがより好ましい。
本明細書において 「脊髄損傷による障害」 とは、 運動障害、 運動麻痺、 感覚障 害、 半身不随、 反射喪失、 及び自律神経障害などが挙げられる。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、 経口的または非経口的に投与する ことができる。 例えば、 上記各障害の治療に先立って予防的に本発明の医薬を経 口投与しておくことができ、 注射若しくは点滴などの非経口的投与によって手術 中又はその前後に予防的に投与することもできる。 特に脊髄損傷を被つた直後や 外科的手術直後から投与するのが最も効果的である。 また、 上記各障害の患者に 対しては、 症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として、 静脈内、 動 脈内に注肘により投与することもできる。 実施例
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明は下記の実施 例により限定されるものではない。
合成例: 3—メチルー 1一フエ二ルー 2—ピラゾリン一 5—オン (以下、 ェダラ ボンと称す) の合成
エタノール 5 O m 1中にァセト酢酸ェチル 1 3 . 0 g及ぴフエ-ルヒドラジン 1 0 . 8 gを加え、 3時間還流攪拌した。 反応液を放冷後、 析出した結晶をろ取 し、エタノールより再結晶して、表題の化合物 1 1 · 3 gを無色結晶として得た。 収率 6 7 %
融点 1 2 7 . 5〜 1 2 8 . 5 °C
実施例 1 :
( 1 ) 実験方法
①圧迫性脊髄損傷モデルの作成
ネコ (ォス、 体重 3. 0〜3. 5kg) にペントパルビタールナトリウム 30mg/kgを腹
腔内投与して麻酔した。 背部を切開して脊髄を T 1 3 _ 1^ 1— 2間で露出し、 L 1の骨組織を切除後、 髄質周辺の脂肪、 靱帯片を吸引除去した。 スクシニルコ リン lmg/kgを腹腔内投与して不動化し、 髄質と腹側骨の間にプレートを挿入し、 圧迫損傷施行に備えた。 180 gの錘を脊髄上に 5分間のせて圧迫し、脊髄損傷を与 えた。 錘を解除しプレートを外したあと直ちに薬物投与群にはエダラボン
(3mg/kg)を静脈内投与し術創を縫合した。また、コントロール群は錘を解除後、 薬物を投与することなくそのまま術創を縫合した。
②術後のケア
術後 2日間実験動物をインキュベータ内にいれて管理した。 アンピシリン lmg を 1日 2回 5日間皮下投与した。 膀胱炎の疑いがある (血尿が認められる) もの についてはセファレキシン lOOmgを 1日 2回 5日間術後投与した。 また、 全例に 対して 2週間にわたり排便を介助し、 排便障害にはミネラルオイル 3mlを 1 日 1 回術後投与した。
③神経症状の判定
下記表 1に示す Andersonらの方法 (J. Neurosurg. , 55, p. 200-208, 1981)に従 い採点した。 観察は術後 1週目より週 1回 6週にわたって行つた。
(神経症状判定基準) 項目 点数 内容
歩行能 0 後肢が完全に麻痺、 まったく歩行不可能
歩行可能だが、 よく転倒する
2 歩行中転倒しないが後肢の協調運動が欠如
3 後肢の協調運動は回復、 著しい後屈姿勢
4 正常
走行能 0 不可能
1 可能だがよく転倒する
2 走行中転倒はしないが、 著しい後屈姿勢
3 正常 — _ _
0 後肢が完全に麻痺、 まったく登れない
1 後肢伸展能あるが、 登れない
2 1から 2段登れるが、 途中で転倒 3 転倒せずに 3段以上登れる
4 正常 _
( 2 ) 実験結果
コント口ール群では脊髄損傷 1週目の得点が 0となり、 その後緩やかに神経機 能が回復した。 一方、 薬物 (エダラボン) 投与群ではコントロール群に比べてそ の回復を有意に促進した (図 1及び図 2 )。 産業上の利用可能性
本発明の医薬は脊髄損傷による障害の予防及び Z又は治療に有用である。特に、 本発明の医薬は外傷や脊椎変形などによってもたらされる圧迫性脊髄損傷に対し
て用いると、 運動障害などの障害を有意に改善することができる。
本出願が主張する優先権の基礎となる出願である米国出願 60/401, 14 6の明細書に記載の内容は全て、 本明細書の開示の一部として本明細書中に引用 により取り込むものとする。