明細書
カロテノィ ド含有水畜産飼料 技術分野 本発明は、 水産及び畜産飼料 (以下、 水畜産飼料ということがある。 ) 、 特に魚介類などの体色や筋肉の色の改善 (以下、 色揚げとか体色改 善ということがある。 ) などのためにカロテノイ ド ( c a r o t e n o i d) が配合された水畜産飼料に関する。
更に詳しくは、 本発明は、 ( 1 ) 前記カロテノィ ド含有水畜産飼料に おいて、 飼料中のカロテノィ ドの抗酸化安定性を高度に改善するととも に、 ( 2 ) 前記飼料を食した動物において、 黒ずんだ体色の原因となる メラニンの生成を抑制したり酸化ストレスを軽減するために、 生体安全 性に優れる特定の配合成分を添加してなる高付加価値のカロテノィ ド含 有水畜産飼料に関する。 景技術 魚介類の養殖ゃニヮトリ、 ゥシ、 ブ夕などの畜産が盛んになるにつれ て、 鮮度や肉質だけでなく、 体色は養殖魚や畜産動物の品質を評価する 上で重要な要素になって来ている。
マダイのヒレや表皮の赤色、 サケゃマス類の筋肉の赤紅色は主として カロテノィ ドの一種である赤色を呈するァスタキサンチン ( a s t ax a n t h i n) に由来するものである。
ここで、 マダイの体表の色素成分について詳しくみてみる。 マダイの 体表の色は、 赤色のカロテノィ ドであるァスタキサンチン ( a s t ax a t h i n) と黄色のカロテノイ ドであるヅナキサンチン ( t un ax a n t h i n) および黒色のメラニン (me l a n i n) などの色素に
よつて発現されるものである。
天然マダイの体側部は鮮やかな赤色を呈し、 腹部は白色を呈し、 美し いコントラストをなしている。
一方、 養殖マダイは天然マダイに比べ全体に体色が黒ずんでしまうと いう難点がある。 これは養殖マダイが天然マダイの生息場所に比べ水深 の浅い所で飼育するため、 日焼けによってメラニンが生成、 沈着し、 全 体に黒ずんだ体色を呈してしまうことに起因するものである。 このため
、 天然マダイに見られる体側部の鮮やかな赤色と腹部の白色を養殖魚で 再現するためには、 単に赤一黄色系の色素であるカロテノィ ドを投与す るだけでなく、 メラニンの生成を抑えることが重要であることが判る。 前記したように、 ァスタキサンチンなどのカロテノィ ドは魚介類など の養殖において体色改善、 色揚げに多用されている。
また、 前記ァスタキサンチンは、 卵質向上効果、 孵化率向上、 仔稚魚 の正常な生育、 などに効果があることも知られている (松野隆男、 幹渉 、 日本農芸化学会編、 学会出版センタ一刊 「化学と生物」 、 2 8、 2 1 9一 2 2 7、 1 9 9 0 ) 。
前記したことからわかるように、 ァスタキサンチンなどのカロテノィ ドは、 マダイ、 サケ、 マスなどの魚介類の養 :ゃニヮトリ、 ゥシ、 ブ夕 などの畜産において色揚げ、 卵質向上効果、 孵化率向上などの観点から 不可欠の飼料用配合成分である。
しかしながら、 カロテノィ ド、 例えばァスタキサンチンは光、 熱、 酸 化に対して極めて不安定であり、 酸化分解して退色してしまうという問 題点がある。
例えば、 ァスタキサンチンを添加した飼料を押出し成形機によりェク ストルーダ一ペレッ ト (E P ) を製造しょうとするとき、 1 2 0 °C前後 の加熱による熱変性とそれに伴う酸化分解を受けてしまい、 ァス夕キサ ンチンの配合効果を消失してしまう。
このほか、 ァスタキサンチンは、 飼料保存中における脂質の過酸化反
応によって分解したり、 さらには養殖魚にァスタキサンチンを投与して もその魚体内で起こる種々の過酸化反応によりァスタキサンチンが分解 してしまい、 配合効果を消失してしまうという問題がある。
一方、 前記養殖マダイのところで説明したメラニンの生成による体色 の黒化の問題において、 従来の改善方法としては遮光ネッ トなどで日光 を遮る方法などがとられている。 しかし、 遮光ネッ トで日覆いをするだ けではマダイの体色黒化の防止に満足な効果が得られない。 また、 メラ ニン生成抑制剤であるコウジ酸 (特開平 3— 3 0 6 3 7 ) 、 グル夕チォ ン (特開平 7— 2 3 1 7 5 5 ) 、 プロ トアン トシァニジン (特開平 1 0 一 2 2 5 2 6 6、 特開 2 0 0 1— 2 9 9 2 3 2 ) を用いる方法も提案さ れているが、 これらは飼料に添加した場合の安全性、 安定性、 体色鮮明 化の効果などにおいて難点がある。 発明の開示 本発明は、 前記した従来技術の問題点を解消するべく創案されたもの である。
本発明者らは、 水産分野や畜産分野の飼料において、 体色改善'(色揚 げ) の観点から必要不可欠のァスタキサンチンなどのカロテノィ ド配合 成分の安定化を図る方策とともに、 併せてカロテノィ ド含有飼料を食し た水畜産動物においてカロテノィ ドの呈色効果を低減させるメラニンの 生成を抑制する方策について、 鋭意検討を加えた。
本発明者らは、 カロテノィ ド含有水畜産飼料用の高度に生体安全性に 優れる安定剤を開発するという観点から、 数多くの植物由来の抗酸化性 物質について系統的に研究した。 その結果、 米ぬかに含まれるフヱルラ 酸、 ァ—オリザノールなどのフエニールプロパノィ ド化合物及びフイチ ン酸が有効な安定剤となり得ることを見出した。 更には、 これらカロテ ノィ ドの安定性に寄与する化合物は、 メラニンの生成を抑制する効果に
優れているということも見出した。 本発明は、 前記した知見をベースに して完成されたものである。
本発明により、 米ぬかをはじめ多くの食物に含まれヒ 卜が摂取して安 全性が確立されているフヱルラ酸、 ァーオリザノールなどのフェニール プロパノィ ド化合物及びフィチン酸を、 カロテノィ ドの抗酸化性を改善 するために、 かつ、 メラニンの生成を抑制するために添加配合してなる カロテノィ ド含有水畜産飼料が提供される。
本発明を概説すれば、 本発明は、 カロテノィ ド ( c a r o t e n o i d ) 含有水畜産飼料が、 前記カロテノィ ドの抗酸化安定剤として、 かつ 、 メラニン生成の抑制剤としてフェラールプロパノイ ド化合物及びフィ チン酸からなる群から選ばれた少なく とも 1種の化合物、 を含有するこ とを特徴とするカロテノィ ド含有水畜産飼料に関するものである。 発明を実施するための最良の形態 以下、 本発明の技術的構成及び実施態様について詳しく説明する。 本発明は、 前記したように、 第一にカロテノイ ド含有水畜産飼料にお いて、 カロテノィ ドの酸化劣化による不安定性を高度に改善することを 目的とし、 第二に前記カロテノィ ド含有水畜産飼料を食した水畜産動物 において、 カロテノィ ドの発色効果を低減 (消失) させるメラニンの生 成を高度に抑制することを目的とするものである。
本発明者らは、 安定化の対象がカロテノィ ド含有水畜産飼料というこ とから、 これら飼料を食べる魚介類や畜産動物にとっての安全性はもと より、 これら魚介類や畜産動物を食べるヒ トにとっても安全性の高い安 定剤系を開発しなければならない、 という観点から研究を進めた。 本発明者らは、 まず、 ァスタキサンチンの酸化分解を防く、方法につい て種々の化学的、 物理的な方法について検討した結果、 飼料中に抗酸化 剤を添加する方法が有効であるという知見を見い出した。
。しかしながら、 合成系の抗酸化剤、 例えばプチルヒ ドロキシトルエン
( B H T ) 、 プチルヒ ドロキシァ二ソール (B H A ) 、 エトキシキンな どは、 近年、 安全性の観点から使用が控えられる傾向にあり、 本発明の 目的に沿わないものである。
また、 前記したように天然物系のメラニンの生成抑制剤として提案さ れているコウジ酸 (特開平 3— 3 0 6 3 7号公報) 、 グル夕チオン (特 開平 7— 2 3 1 7 5 5号公報) 、 プロ トアントシァニジン (特開平 1 0 - 2 2 5 2 6 6号公報、 特開 2 0 0 1 - 2 9 9 2 3 2号公報) をカロテ ノィ ドに対する抗酸化安定剤として使用した場合、 例えばコウジ酸は発 癌性であることが見い出されており、 かつ、 内分泌撹乱作用を持っため 飼料への使用が問題視されるなど、 これら化合物は安全性や安定性の観 点から難点がある。
本発明者らは、 前記した従来の抗酸化剤の欠点に鑑み、 水畜産飼料用 として不可欠のァスタキサンチンなどのカロテノィ ドを高度に安定化さ せるための抗酸化剤の候補として、 植物由来の抗酸化性物質に焦点を絞 つて鋭意検討を加えた。
その結果、 米ぬかに含まれるフェルラ酸、 ァーオリザノールなどのフ ェニールプロパノィ ド化合物及び Z又はフィチン酸がァスタキサンチン などのカロテノィ ドの酸化分解を効果的に防止することを見い出した。 また、 本発明者らは、 前記化合物により安定化されたカロテノィ ド含 有水畜産飼料を食した水畜産動物において、 吸収されたカロテノィ ドの 発色効果がメラニンにより低減される度合いについて、 別言すればメラ ニン生成の抑制効果について、 並行して鋭意検討を加えた。
その結果、 前記したカロテノィ ドの抗酸化性を改善する化合物が、 メ ラニンの生成抑制剤としても有効であることを見い出した。'
本発明は、 体色改善、 色揚げなどの目的のためにカロテノィ ドを含有 した水畜産飼料において、 カロテノィ ドの酸化劣化を高度に安定化させ 、 かつ、 メラニンの生成を効果的に抑制するために (別言すればメラ二
ン生成による体色の黒化を防止するために) 、 前記フヱニールプロパノ ィ ド化合物及び/又はフィチン酸を添加配合した高付加価値のカロテノ ィ ド含有水畜産飼料を提供するものである。
本発明の水畜産飼料は、
(1).水産分野においては、 マダイ、 プリ、 ヒラメ、 スズキ、 サケな どの海産魚; マス、 アマゴ、 ャマメ、 ァュなどの淡水魚; ェビ、 力二などの甲殻類; キンギヨ、 ニシキゴィなどの鑑賞魚、 などに 対するカロテノィ ドを配合した魚介類用飼料、
(2).畜産分野においては、 ニヮ トリ、 ゥシ、 ブ夕などに対するカロ テノィ ドを配合した畜産用飼料、
などを例示することができる。
前記した水産分野及び畜産分野における配合飼料について、 以下、 具 体的に説明する。
(υ·海産魚マダイ、 プリ用の配合飼料 :
一般的な組成は、 動物性飼料 (魚粉) 50〜65 %、 穀類 (小麦 粉など) ~ 15 %、 植物性油かす類 (大豆脂粕) 〜 10 %、 そうこ う類 (米ぬか、 ふすま) 〜 5%、 その他 (動物油脂、 ビール酵母、 炭酸カルシウム、 リン酸カルシウムなど) 〜 1 0%である。 また、 これの成分組成は、 粗蛋白質 45〜 55 %、 粗脂肪 10〜 1 6 %以 上、 粗糖質 15 ~ 20 %、 粗灰分〜 1 1 %、 である。
例えば、 キリンフィード株式会社製のマダイ育成用配合飼料(マダイ Ε Ρ 4. 5 ) の一般的な組成は、 動物性飼料 60%、 穀類 1 5 %、 植物 性油かす類 10%、 そうこう類 (米ぬか、 ふすま) 5%、 その他 (動物 油脂、 ビール酵母、 炭酸カルシウム、 リン酸カルシウムなど) 10%で ある。 また、 このものの成分組成は、 粗蛋白質 48 %、 粗脂肪 1 2%、 粗繊維 1. 8%、 粗灰分 1 5 %、 カルシウム 1. 8 %、 リン 1. 4 %で ある。
なお、 マダイ、 プリなどの海産魚用飼料としては、 株式会社ヒガシマ
ノレ、 日清飼料株式会社、 オリエンタル酵母株式会社、 日本配合飼料株式 会社、 日本農産工業株式会社、 丸紅飼料株式会社などのメーカ一がほぼ 同じ組成の配合飼料を提供している。
(2).淡水魚ァュ育成用飼料:
ァュ育成用の配合飼料として、 日本農産 (株) は、 一般的な組成 が、 動物性飼料 (魚粉) 5 5 %、 穀類 (小麦粉) 2 1 %、 そうこう 類 (米ぬか、 ふすま) 1 0 %、 植物性油粕類 (大豆油粕) 7 %、 そ の他 (飼料用酵母、 アルフアルファミール、 小麦胚芽、 食塩) 6 % のものを提供している。 このものの成分組成は、 粗蛋白質 4 5. 0 %、 粗脂肪 3. 0 %以上、 粗繊維 4. 0 %以下、 粗灰分 1 5. 0 % である。
なお、 オリエンタル酵母株式会社、 日本配合飼料株式会社、 日本農産 工業株式会社、 丸紅飼料株式会社などのメーカーがほぼ同じ組成の配合 飼料を提供している。
(3).畜産用ニヮ トリ用の配合飼料 :
成鶏用の配合飼料として、 例えば日本農産工業 (株) は、 一般的 な組成が、 榖類 (とうもろこし、 マイ口) 6 0 %、 植物性油粕類 ( 大豆油粕、 なたね油粕、 コ一ングルテンミール) 1 5 %、 動物性飼 料 (魚粉) 1 0 %、 そうこう類 (コーングルテンミ一ル、 米ぬか) 5 %、 その他 (炭酸カルシウム、 動物性油脂、 食塩、 リン酸カルシ ゥム) 1 0 %、 のものを提供している。 この中の成分組成は、 粗蛋 白質 1 7. 0 %、 粗脂肪 3. 0 %以上、 粗繊維 5. 0 %以下、 粗灰 分 1 3. 0 %、 カルシウム 2. 8 %、 リン 0. 5 %である。
なお、 オリエンタル酵母株式会社、 日本配合飼料株式会社、 丸紅飼料 株式会社などのメーカーがほぼ同じ組成の配合飼料を出している。
(4).肉豚用配合飼料 :
肉豚用配合飼料として、 例えば中部飼料株式会社のナチュラル U P Cは、 一般的な組成が、 穀類 (とうもろこし、 マイ口) 6 6 %、
そうこう類 (コーングルテンミール、 米ぬか) 30%、 植物性油粕 類 (大豆油粕、 なたね油粕) 2%、 その他 (炭酸カルシウム、 動物 性油脂、 食塩、 リ ン酸カルシウム) 2%、 のものを提供している。 このものの成分組成は、 粗蛋白質 1 7. 0%、 粗脂肪 3. 0%以上 、 粗繊維 5. 0 %以下、 粗灰分 13. 0%、 カルシウム 2. 8 %、 リン 0. 5 %である。
なお、 オリエンタル酵母株式会社、 日本配合飼料株式会社、 日本農産 工業株式会社、 丸紅飼料株式会社などのメーカーがほぼ同じ組成の配合 飼料を出している。
本発明において、 体色改善、 色揚げなどの目的で前記水畜産飼料に配 合されるカロテノイ ド (c ar o t eno i d) は、 動植物界に広く分 布している黄色ないし赤色の脂溶性色素で、 多数の共役二重結合を含む 脂肪族または脂環式のポリェン類である。
なお、 天然には 60 0種あまりの化合物が存在するといわれている。 前記カロテノィ ド (c a r o t e no i d) のうち典型的に使用され るものは、 下記一般式 ( 1) で示されるァスタキサンチン (a s t ax ant h i n) 〔分子式 C 4。 H s 204〕 である。
一般式 ( 1 ) :
ァスタキサンチン ( a s t a X a n t h i n) は、 赤色を呈するカロ テノィ ドの一種であり、 微生物、 植物、 動物に分布する。 マダイ、 キン ギヨの体表の色、 サケの筋肉の赤色、 ェビゃ力二の甲羅の色などはァス タキサンチンによるものである。
ァスタキサンチンの生理作用としては、 魚類では保護色、 婚姻色、 紫
外線防御作用、 卵質向上作用、 抗酸化作用が知られている。 また、 近年 、 強力な活性酸素消去作用を持つことが判り、 哺乳動物で発ガン予防効 果、 ガン細胞増殖抑制効果、 免疫増強効果なども判り注目されている。 本発明において、 水畜産飼料に添加配合するァスタキサンチン源とし ては、 酵母 (Phaf f i a rho d o z ima) s 緑藻 (H a fem a t o c o c cu s p l uv i a l i s) 、 ォキアミやアミェビなど の甲殻類、 の抽出物がある。 その他、 合成品 (ロッシュ社製、 商品名力 ロフィールピンク) もある。 なお、 後者はマダイ、 サケ、 マス用飼料と して限定して使用されている。
本発明のカロテノィ ド含有水畜産飼料において、 カロテノィ ドとして は、 前記したァスタキサンチンのほかに、 5—カロテン (C4。H56) 、 ルティン ( C40H56O2 ) 、 ゼアキサンチン (C40H56O2 ) 、 カプサンチン (C4。H 5603 ) などを例示することができる。
本発明において、 カロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑 制剤は、 前記したようにフェルラ酸、 ァ—オリザノールなどのフエ二一 ルプロパノィ ド化合物及びフィチン酸から成る群から選ばれる少なくと も 1種のもので構成される。
前記したカロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑制剤とし てカロテノィ ド含有水畜産飼料に添加配合される化合物は、 米ぬかをは じめ多くの食物に含まれ、 かつ、 ヒ トが摂取しているものでありその安 定性は確認されている。
本発明のカロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑制剤とし て使用されるフエニールプロパノィ ド化合物は、 下記一般式 ( 2 ) で示 される化合物である。
一般式 ( 2)
本発明の前記一般式 ( 2 ) で示されるフヱニールプロパノィ ド化合物 としては、 次の化合物を例示することができる。
(1) .フェルラ酸 :前記化 2において、 R i = C H3、 R2 - H 、 R 3 = Hの化合物である。
(2) .ァ一オリザノール :前記化 2において、 = CH3、 R2 = H 、 : 3 =ステロール、 トロテルペンアルコール、 高級アル コールから選ばれた残基の化合物である。
(3) .コ一ヒー酸 :前記化 2において、 = Hs R 2 =H、 R 3 =Hの化合物である。
(4) .シナピン酸 :前記化 2において、 = C H3、 R2 =0 C H a 、 R3-Hの化合物である。
前記したようにフェルラ酸、 コ一ヒー酸、 シナピン酸はフェニールプ ロパノイ ド化合物に属するカルボン酸である。 また、 y—オリザノール はフエニールプロパノィ ド化合物に属するフェルラ酸と/?—シ トステロ —ルゃト リテルペンアルコールなどとのエステル化合物である。
本発明のカロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑制剤とし て使用されるフィチン酸は、 下記一般式 ( 3 ) で示される化合物である
0
フィチン酸は、 一般式 ( 3 ) において、 R =— P O ( O H )
2で示さ れる化合物である。
本発明者らは、 カロテノィ ドの酸化劣化の機構について詳しく調べた 。 即ち、 本発明者らは、 飼料中もしくは魚体内で発生する脂質ラジカル がァスタキサンチンの退色の最大要因であると想定し、 抗酸化安定剤と してのフ Xニールプロパノィ ド化合物であるフエルラ酸、 コーヒ一酸、 シナビン酸、 y —オリザノール及びフィチン酸の退色防止効果を検討し た。 検討のために、 脂質ラジカルによる過酸化反応モデル (脂質過酸化 モデル) を採用した (福沢健治、 寺尾純二著、 「脂質過酸化実験法」 、 廣川書店、 1 9 9 0 ) 。
即ち、 リノール酸を基質にしてァゾラジカル発生剤である 2, 2, 一 ァゾビス ( 2 , 4—ジメチルバレロニト リル) (A M V N ) で脂質ラジ カルを発生させて過酸化反応を誘発させるというモデルを採用して、 前 記酸化防止剤の酸化防止メカニズムを検討した。
前記過酸化反応を誘発させた系にァスタキサンチンを添加すると、 す みやかに分解、 退色がおこ り、 これがフェルラ酸などの酸化防止剤の添 加により濃度依存的に防止ないしは抑制されるかどうかを確かめた。 前記した脂質過酸化モデルにより、 以下のことが判明した。
1 ) .ァスタキサンチンは、 ポリェン構造を持つ抗酸化剤であり、 一重 項酸素や脂質ラジカルに対する優れた消去特性を持つている。 しか しながら、 脂質ラジカルと反応するとポリェン構造の部位の酸化分 解が起り退色する。
2 ) .—方、 フェルラ酸、 コ一ヒ一酸、 シナピン酸ゃァーオリザノール はフヱニールプロパノィ ドに属するフエノール系抗酸化剤であり、 脂質ラジカルに速やかに水素を供与し過酸化反応を停止させること ができる。
3 ) .フエニールプロパノイ ドはァスタキサンチンより脂質ラジカルと の反応が早いためァス夕キサンチンが酸化分解される前に脂質ラジ カルを消去することができ、 従ってァスタキサンチンの劣化、 減耗 を抑えることができる。
4 ) .一方、 フィチン酸は水溶性ラジカル消去剤であり、 ァスタキサン チンが消去できない水溶性ラジカルを消去することができるという 効果がある。
なお、 フィチン酸の酸化防止メカニズムの検討のためには、 水溶性系 の 2価の鉄である硫酸鉄と過酸化水素によって発生するヒ ドロキシラジ カルによる脂質過酸化反応モデル (福沢健治、 寺尾純二著、 「脂質過酸 化実験法」 、 廣川書店、 1 9 9 0 ) を採用した。
ァスタキサンチンの退色防止実験において、 フィチン酸がァス夕キサ ンチンの退色を濃度依存的に抑制することが確かめられた。 フィチン酸 は金属をキレ一ト化する作用があることから、 金属が誘発するラジカル 反応を効果的に抑制することができる。
本発明の前記カロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑制剤 としてのフェルラ酸、 コ一ヒー酸、 シナピン酸、 ァーオリザノールなど のフエニールプロパノィ ド化合物及びフィチン酸は、 前記したことから も判るように、 それそれを単独で用いることができるが、 これらを組合 わせて用いることもできる。
本発明において、 これら抗酸化安定剤は、 1 0 0 %純品 (化合物その もの) のほかに、 これら化合物を含有する植物、 典型的には米ぬかの抽 出物、 抽出濃縮物、 抽出エキスを用いてもよいものである。
前記米ぬかの抽出は、 有機溶媒、 例えばへキサンを用いて所望に行え
ばよい。 より具体的には、 米ぬか 1 00 gにへキサン 20mlを加え、 40 °Cで抽出すればよい。
なお、 米ぬかは前記抗酸化性の化合物を含有しているが、 米ぬかそれ 自体では含有量が極めて少なく抗酸化安定剤としての機能を発揮するこ とができない。 従って、 米ぬかは前記したように各種の水畜産飼料に配 合されているが、 中には米ぬかを脱脂処理したものを配合しているもの があり、 これら米ぬかを配合した水畜産飼料は抗酸化性に優れていると いうことができない。
本発明において、 ァスタキサンチンなどのカロテノィ ドは、 水畜産飼 料に対して所望に配合されるものであり、 例えばカロテノィ ドの飼料へ の混合比 (重量%) は 0. 000 1〜0. 0 1 %、 好ましくは 0. 00 1〜0. 05 %である。
また、 本発明において、 ァスタキサンチンなどのカロテノイ ドの抗酸 化安定剤及びメラニンの生成抑制剤 (フェルラ酸、 コーヒー酸、 シナピ ン酸、 ァ—オリザノールなどのフエ二一ルプロパノイ ド化合物及びフィ チン酸で構成される。 ) の飼料への混合比率も所望に設定すればよく、 例えばその飼料中への混合比は 0. 0001 %〜 1 0%、 好ましくは 0 . 0 1〜0. 1 %である。
本発明のカロテノィ ド含有水畜産飼料は、 カロテノィ ドの抗酸化安定 剤として特定の安定剤を含有させているため、 飼料を押出し成形機によ り成形してペレッ トタイプのェクス トルーダーペレツ 卜 (EP) を製造 するとき、 飼料が加熱されても安定剤によりァスタキサンチンなどの力 口テノィ ドの分解が効果的に防止ないし抑制される。
本発明のカロテノィ ドの抗酸化安定剤及びメラニンの生成抑制剤は、 ドライペレッ ト、 モイス トペレッ トをはじめ、 自家製の飼料などいずれ の形態の飼料にも添加配合することができる。
本発明のカロテノィ ド含有水畜産飼料の投与期間は、 特段に制限され るものではないが、 商品価値の高い美しい体色を発現させるためには数
3
ヶ月の投与が好ましい。
以下、 本発明の技術的構成について実施例により更に詳しく説明する ο
なお、 本発明は実施例のものに限定されないことはいうまでもないこ とである。
(実施例 1 )
0. 1 Mリノール酸含有エタノール溶液 1 m 1に 0. 003 %ァス夕 キサンチン含有エタノール溶液 0. 5 m 1を加えた。 この溶液に 0. 1 %フヱルラ酸含有エタノール溶液を加え、 全量 4m 1に対し最終フェル ラ酸濃度 0. 3 5mg/ml〜 0. 00003 5 m g /m 1となるよう 調整した。 またフェルラ酸の代わりにエタノール溶液を加えたものを対 照区 (コン トロール区) とした。
この溶液に 0. 1M AMVNのへキサン溶液 0. 5mlを加え 37 °Cで浸盪しながら脂質過酸化反応を行い脂質ラジカルを発生させた。 経 時的に 470 nmの吸光度を測定しァスタキサンチンの減少率をモニタ 一した。
結果を下記の表 1に示す。 表 1から、 フェルラ酸は濃度依存的にァス タキサンチンの脂質ラジカルによる分解を抑制したことが判る。
〔表 1〕
(実施例 2)
0. 1 Mリノール酸含有ェ夕ノ一ル溶液 1 m 1に 0. 003 %ァス夕 キサンチン含有ェ夕ノ一ル溶液 0. 5 m 1を加えた。 この溶液に 0. 1
% y—オリザノール含有エタノール溶液を加え、 全量 4 m 1に対し最終 y—オリザノール濃度 0. 35mg/ml〜0. 000035mg/m 1となるよう調整した。 またァ一オリザノールの代わりにェタノ一ル溶 液を加えたものを対照区とした。
この溶液に 0. 1 M AMVNのへキサン溶液 0. 5mlを加え 37 °Cで浸盪しながら脂質過酸化反応を行い脂質ラジカルを発生させた。 経 時的に 47 0 rimの吸光度を測定しァスタキサンチンの減少率をモニタ —した。
結果を下記の表 2に示す。 表 2から、 ァ—オリザノールは濃度依存的 にァスタキサンチンの脂質ラジカルによる分解を抑制したことが判る。
〔表 2〕
(実施例 3)
0. 1 Mリノール酸含有エタノール溶液 1 m 1に 0. 003 %ァス夕 キサンチン含有エタノール溶液 0. 5 m 1を加えた。 この溶液に 0. 1 %フェルラ酸、 ァーオリザノール、 シナピン酸及びコーヒー酸含有エタ ノール溶液をそれぞれ加え、 全量 4mlに対し最終濃度 0. 35mg/ ml〜 0. 000035 mg/m 1となるよう調整し 。
この溶液に 0. 1M AMVNのへキサン溶液 0. 5mlを加え 37 °Cで浸盪しながら脂質過酸化反応を行い脂質ラジカルを発生させた。 経 時的に 47 0 nmの吸光度を測定しァスタキサンチンの減少率をモニタ —した。
結果を下記の表 3〜表 4に示す。 表 3〜表 4から、 ァスタキサンチン
の退色抑制効果はフェルラ酸 >ァーオリザノール >シナピン酸 >コ一ヒ 一酸の順であることが判る。
〔表 3〕
(実施例 4)
0. 1 %卵黄レシチン懸濁液に 0. 0 0 3 %ァスタキサンチン含有ェ タノ一ル溶被 0. 5 mlを加えた。 この溶液 2. 5 mlへ 15 mM硫酸 鉄水溶液 0. 5 m 1および 50 mM過酸化水素水 50 1を加えた (ヒ ドロキシラジカルによる脂質過酸化反応モデルの採用) 。 これに 0. 2 5%フィチン酸溶液を加え、 全量 4 mlに対し最終濃度 0. 06 25〜 0. 5 m 1となるよう調整し、 30分室温で静置した。
その後、 ァセ トンおよびジェチルェ一テルにてァスタキサンチンを反 応溶液から抽出して 470 nmの吸収を測定し、 ァス夕キサンチン残存 率を算出した。
結果を下記の表 5に示す。 表 5からフイチン酸は濃度依存的にァス夕 キサンチンの脂質ラジカルによる分解を抑制したことが判る。
6
〔表 5〕
(実施例 5 )
0. 1 Mリノール酸含有エタノール溶液 1 m 1に 0. 003 %ァス夕 キサンチン含有エタノール溶液 0. 5mlを加えた。 この溶液にフェル ラ酸、 ァーオリザノール及びフィチン酸をそれそれ 0. 1 %含有するェ 夕ノール溶液を加え、 全量 4 m 1に対しそれそれの最終抗酸化安定剤濃 度が; I . 05mg7ml〜 0. 0000 1 05 m g Zm 1となるよう調 整した。 また抗酸化安定剤の代わりにェ夕ノ一ル溶液を加えたものを対 照区 (コン トロール区) とした。
この溶液に 0. 1M AMVNのへキサン溶液 0. 5mlを加え 37 °Cで浸盪しながら脂質過酸化反応を行い、 脂質ラジカルを発生させた。 絰時的に 47 0 nmの吸光度を測定しァスタキサンチンの減少率をモニ 夕一した。
結果を下記の表 6に示す。 表 6から、 フェルラ酸、 ァーオリザノ一ル 及びフイチン酸混合物は濃度依存的にァスタキサンチンの脂質ラジカル による分解を抑制したことが'判る。
〔表 6〕
(実施例 6 ) (マダイ育成用配合飼料を用いたケースでの実験)
市販配合飼料として、 キリンフィード社製の魚粉 60 %、 穀類 1 5% 、 植物性油かす類 1 0%、 そうこう類 (米ぬか、 ふすま) 5 %、 その他
(動物油脂、 ビール酵母、 炭酸カルシウム、 リン酸カルシウム 1 0 %) から成るマダイ育成用配合飼料 (マダイ EP 4. 5 ) を使用し、 これに ァスタキサンチン (ホフマンラロッシュ社製、 商品名カロフィールピン ク) を 60 ppm配合し、 更に下記表 7に示すようにフェルラ酸または ァ一オリザノールを添加し、 押出し成形機によって飼料 1〜8のェクス トルーダ—ペレッ ト (EP) を作成した。
飼料 1は対照区としてフェルラ酸又はァーオリザノールは添加してい ないものである。 飼料 2— 8は下記の表 7に示す所定量のフェルラ酸又 はァーオリザノールを添加したものである。
E P作成前後の各飼料に含まれるァスタキサンチン含量を吸光度法で 求め、 E P作成後のァスタキサンチン残存率を求めた。 結果を下記の表 7に示す。
表 7からフエルラ酸またはァ一才リザノールを添加した区は無添加区 (残存率 73. 6 %) に比べていずれも有意にァスタキサンチンの残存 率が上昇した。 特にフェルラ酸を 0. 5 %添加した区はァスタキサンチ ン残存率が 90. 4%であり、 無添加区にく らべ 1. 2倍もァス夕キサ ンチンが残存していることが判る。
〔表 7〕
8
(実施例 7 ) (マダイでのフィ ール ド飼育試験) :
(1).試験飼料の調整法 :前記キリ ンフィールド社製のマダイ育成用配 合飼料 (マダイ EP 4. 5 ) (実施例 6参照) に対し、 ァス夕キサ
• ンチンを 60 ppm加えた。 更に、 これに下記表 8に示す所定量の フェルラ酸またはァーォリザノールを添加し、 試験飼料を調整した
(コントロール区は無添加) 。
〔表 8〕
試験飼料 試験区 試験飼料 フエルラ酸またはァーォリザノール添加量
1区 飼料 1 無添加 (コントロール区)
2区 飼料 2. フエ^)レラ酸 0. 01 %添加
3区 飼料 3 フエ レラ酸 0. , 05 %添加
4区 飼料 4 フエノレラ酸 0. , 1%添加
5区 飼料 5 フエノレラ酸 0. . 5%添加
6区 飼料 6 ァ一オリザノ- —ル 0. 05 %添加
7区 飼料 7 アーオリザノ- —ル 0. 1%添カロ
8区 飼料 ·8 アーオリザノ'ール 0. 5%添加
(2).飼育試験 ( 1) (体色測定値) :平均体重 2 80 g前後のマダイ を一群 30尾ずつ 2 x 2 x 2. 5 mの網生簀に収容して 8試験区を 設定し、 海面で飼育試験を 98日行った。 なお、 すべての試験区に は日覆ネッ トを施した。 各試験区には所定の試験飼料を 1日 2回、 1週間に 6日給餌した。 飼育 98日目に各試験区から 10尾を取り 上げ、 フエノキシエタノールで麻酔した直後に、 背鰭基部、 胸鰭基 部、 尾柄部及び腹鰭後部の体色を色彩色差計で L値 (明度) 、 a値
(赤系色調) を測定した。 その結果下記の表 9に示す,
〔表 9〕
色彩色差計によるマダイの体色測定値 (L :明度、 a :赤系色調) 背鰭基部 胸鰭 S部 尾柄部 腹鰭後部
T T
J d Ju d J L
1区 32.77 8.00 62.48 12.22 68.60 13.45 82.21
2区 37.06 8.00 66.43 14.28 69.30 14.48
3区 37.86 8.14 66.70 13.74 68.05 14.59 86.12
4区 34.23 8.00 65.26 13.06 68.46 15.07 85.28
5区 38.73 8.00 64.56 14.40 72.59 13.50 84.03
6区 40.64 8.45 63.61 13.86 72.54 14.03 84.50
7区 37.08 8.52 62.44 15.74 69.53 15.04 84.98
8区 38.03 8.10 62.84 14.53 70.13 14.00 85.02 表 9に示されるように、 背鰭基部において、 明るさを示す L値は、 コ ントロール区 ( 1区) が 3 2 . 7 7であるのに対してフェルラ酸または ァ一ォリザノールの投与区 ( 2— 8区) では 3 7— 4 0と上昇しており 、 これは最も日焼けする背鰭基部においてフェルラ酸およびァ一オリザ ノールの投与により効果的にメラニンの生成が抑制されたことを示して いる。
同様に、 胸鰭基部、 尾柄部、 腹鰭後部でもフェルラ酸およびァ一オリ ザノ一ル投与区 ( 2— 8区) ではコントロール区 ( 1区) に比べ、 L値 の上昇が見られる。 これらの結果から、 マダイにフェルラ酸およびァ一 ォリザノールを投与することによりメラニンの生成が効果的に抑制され たことが判る。
一方、 赤さを示す a値もフェルラ酸またはァ一ォリザノ一ルの投与区
(2— 8区) ではコントロール区 ( 1区) に比べ、 高い傾向が認められ た。 このことはフェルラ酸およびァ一ォリザノールがァスタキサンチン の蓄積にも有効に働いたことを示している。 特に胸鰭基部ではコントロ —ル区 ( 1区) の a値が 1 2. 22であるのに対して、 フェルラ酸また は "X—オリザノールの投与区 (2— 8区) ではおおむね 14以上と良い 結果を示している。 なお、 この傾向は、 背鰭基部および尾柄部において も認められる。
(3).飼育試験 (2) (成長性及び飼育効率について) : フェルラ酸ま たはァーォリザノールの添加飼料による 98日間後のマダイの成長 性について調べた。 結果を下記の表 10に示す。 各試験区間におい て成長には大きな差は見られなかった。 このことはフヱルラ酸およ びァ一才リザノールの投与による魚の生成への負の影響がないこと を示している。
また、 飼料効率 (%) (飼育後の増重量を摂餌量で除した値) に ついて調べた結果を、 下記の表 10にあわせて示す。 表 1 0に示さ れるように、 フェルラ酸または y—オリザノールの投与区 (2- 8 区) ではコントロール区 '( 1区) に比べ、 飼料効率 (%) の上昇が 認められる。
2
〔表 1 0〕
飼育成績 試験区 1区 2区 3区 4区 5区 ' 6区 7区 8区 平均体重 (g) 開始時 293 287 285 286 294 280 287 302 終了時 665 695 672 658 695 672 673 730 増重量 (kg) 9.41 10.22 10.33 9.55 10.18 10.33 9.63 9.27 摂餌量 (kg) 17.42 17.21 17.05 17.31 17.09 17.69 17.10 16.62
飼料効率 (%〉 54.0 59.4 60.6 55.2 59.0 58.4 56.3 55.7 また、 フェルラ酸またはァ一ォリザノールの投与区の魚を食したとこ ろ、 コントロール区 ( 1区) の魚と食味、 食感の違いは認められなかつ た。
(4) .飼育試験 ( 3 ) (過酸化脂質生成抑制効果について) :
飼育試験を 9 8 日間行った後、 各試験区から 5尾の肝臓を取り 出し、 肝臓中の過酸化脂質をチォバルビヅ一ル酸法で求めた。 下 記表 1 1に各試験区の肝臓に含まれる過酸化物量をマロンジアル デヒ ド (M D A ) 含量で示す。 その結果、 フェルラ酸またはァー オリザノールの投与により魚の過酸化ス トレスが軽減され、 ァス タキサンチンが有効に蓄積されたことを示している。
なお、 表 1 1において a、 bの文字の付いた数字で異なる文字 の付いた数字 (たとえば aと bの付いた数字では) 統計的に 5 % の危険率 (pく 5 %で表す。 ') があること、 即ち 9 5 %以上の信 頼度で 2つの数字には有意な差があることを示す。
〔表 1 1〕 肝臓の MDA含量
試験区 1区 2区 3区 4区 5区 6区 7区 8区
MDA (nmol/g肝臓)
601.8b 522.9 540a'b 485. 5 a 469. 8 a 520.2a,b 507.2a.b 457.8»
(注) a, bの異なる文字間に有意差あり (pぐ 5 %)
産業上の利用可能性 水畜産業において、 例えば魚介類などの体表の色や筋肉の色を改善 ( 体色改善、 色揚) するためにァスタキサンチンなどのカロテノィ ドを含 有する水畜産飼料が多用されているが、 カロテノィ ドは酸化や熱に対す る安定性が悪く、 例えばァスタキサンチンは酸化されて退色し、 その添 加効果を消失してしまう。
本発明は、 カロテノィ ドの酸化や熱に対する安定性を改善するために 、 植物由来で生体安全性に優れるフェルラ酸、 コ一ヒー酸、 シナピン酸 、 y —オリザノールなどのフエニールプロパノィ ド化合物及びフィチン 酸を安定剤として使用する。 このため、 本発明により、 酸化や熱に対す る安定性が高度に改善されるため体色改善に優れ、 かつ生体安全性に優 れたカロテノィ ド含有水畜産飼料が提供される。
また、 前記フエニールプロパノィ ド化合物及びフィチン酸は、 水畜産 動物の体内において、 黒ずんだ体色の原因となり、 かつ吸収されたカロ テノィ ドの発色効果を低減するメラニンの生成を効果的に抑制すること ができるため、 本発明によりカロテノィ ドの添加効果 (発色効果) を増 長する体色改善性に優れたカロテノィ ド含有水畜産飼料が提供される。 更にまた、 前記フエニールプロパノィ ド化合物及びフィチン酸は、 水
畜産動物の体内において、 過酸化脂質の生成を効果的に抑制することが できるため、 過酸化脂質による過酸化ス トレスを効果的に軽減すること ができるため、 本発明により飼育効果 (動物の成長性) 、 飼料効果に優 れたカロテノィ ド含有水畜産飼料が提供される。