明細書
外用抗真菌剤 技術分野
本発明は、 皮膚真菌症に有効な抗真菌剤用組成物に関する。 更に詳しくは白 癬菌属及び力ンジダ属に対する抗真菌作用が増強された水虫治療薬に関する。 背景技術
水虫の主要な原因菌は、 白癬菌属及びカンジダ属の真菌である。水虫の多く は白癬菌属が原因であり、 白癬菌が原因の水虫は、 難治性である。 従って、 白癬 菌による水虫の治療では、 長期に薬を患部に塗布しなければならない。水虫の症 状は、 冬場に治まるが、 これは水虫が完治したのではなく、 菌の活動が緩和にな つただけである。 これに対して、 カンジダ属が原因の水虫は、 白癬菌による水虫 に比べて数が少ない。 また、 カンジダ属による水虫は、 白癬菌による水虫と比べ て比較的治癒しやすい。
また、 水虫治療の現場において、 水虫症状の原因菌の判別が難しいという問 題がある。 即ち、 水虫の原因菌が白癬菌属かカンジダ属かという区別は、 専門医 が顕微鏡でみるか、 菌を培養することによってのみ判別できるので、 原因菌の判 別までに手間と時間がかかる。
従って、 1 )水虫の最も主要な原因菌であり、 かつ難治性である白癬菌属に 対して、 より一層増強された抗真菌作用を有すること、 2 )原因菌がカンジダ属 の水虫であっても、 原因菌の判別をすることなく効果的な治療を行うことができ るように、 カンジダ属に対して抗真菌作用を有すること、 の 2つの利点を兼ね備 えた、 水虫治療効果の高い抗真菌剤が望まれる。
前記課題を解決すべく、 従来から、 白癬菌属及びカンジダ属の双方に抗真菌作
用を有するァゾール系抗真菌剤と、 種々の薬剤とを組み合わせて、 抗真菌作用を 増強した抗真菌剤が開発されてきた。 ァゾ一ル系抗真菌剤と、 他の薬剤とを組み 合わせた抗真菌剤として、 例えば、 ァリールメチルァミン系抗真菌剤と組み合わ せた薬剤 (特許掲載 2581707号公報) 、 ニコマイシン誘導体と組み合わせた薬剤 (特許掲載 2713755号公報) 、 リゾチームと組み合わせた薬剤 (特開平 9- 20680号 公報) 、 4級アンモニゥム塩と組み合わせた薬剤 (特開平 9- 110690号公報) 、 ラ クトフェリン類の加水分解物又はそれ由来の抗菌性べプチドとを組み合わせた薬 剤 (特開平 9- 165342号公報) 、 シクロピロクス 'オラミン、 トルナフタート等の 一定の抗真菌剤及び殺菌剤と組み合わせた薬剤 (特開平 9- 110693号公報) が開示 されている。 また、 2つのァゾール系抗真菌剤を組み合わせた薬剤として、 クロ トリマゾール及びピロール二トリンの組み合わせが開示されている (特閧 2000-1 86037号公報) 。
しかしながら、 これらの薬剤は、 いずれもァゾール系抗真菌剤を含有する。 白 癬菌属及びカンジダ属の双方に抗真菌作用を有する、 ァゾール以外の系、 例えば 、 モルホリン系抗真菌剤と、 他の薬剤を組み合わせた抗真菌剤については、 報告 されていない。 ,
また、 現在の抗真菌剤開発の現場では、 新規な薬剤の開発が中心となっており 、 従来の抗真菌剤の新たな組み合わせによる薬剤の開発はあまり行われていない 更に、 抗真菌作用を有する薬剤を組み合わせた抗真菌剤は、 各々の薬剤の相加 作用を示すこと'が多いが、 拮抗作用を示す場合も少なくない。 従って、 新たな組 み合わせの抗真菌剤が相乗作用を示すか否かは、 予測できないのが現状である。 相乗作用を示す抗真菌剤を得るには、 様々な組み合わせの抗真菌剤について試験 を逐一行い、 その作用を確認しなければならない。従って、 相乗作用を示す新た な薬剤の組み合わせを見つけることは、 容易ではない。
本発明の目的は、 特に白癬菌属に対して高い抗菌力を有し、 かつカンジダ属に も抗菌力を有する、 薬剤の新規な組み合わせの抗真菌剤、 水虫治療桀を提供する ことにある。 発明の開示 '
本発明者らは、 白癬菌属及びカンジダ属の双方に効力を有するモルホリン系 抗真菌剤ァモロルフインの効力を更に増強すべく種々の抗真菌剤との併用効果を 検討した結果、 ベンジルァミン系抗真菌剤ブテナフィン又はァリルアミン系抗真 菌剤テルビナフィンと組み合わせることによって、 ァモロルフインの白癬菌属に 対する抗真菌作用を顕著に増強させ、 かつ、 予想外にもカンジダ属に対する抗真 菌作用をも顕著に増強させることを見いだした。
ァモロルフインは、 白癬菌属に対して非常に高い抗真菌作用を有し、 カンジ ダ属に対しては、 白癬菌属ほどではないが、 抗真菌作用を有する。 また、 ブテナ フィンは、 白癬菌属に非常に高い抗真菌作用を有するが、 カンジダ属に対しては 有効ではないことは周知である。 また、 テルビナフインは、 白癬菌に対して非常 に高い抗真菌作用を有し、 カンジダ属に対しては、 ァモロルフインよりも抗真菌 作用が低く、 従来カンジダ属に対する治療薬としては重要視されていなかった。 従って、 ァモロルフインとブテナフィン又はテルビナフインとの組み合わせが、 白癬菌属のみならず、 カンジダ属にも相乗効果を示すことは予想外であつた。 本発明者らは、 前記知見に基づいて本発明を完成し、 本発明は、 ァモロルフイン と、 プテナフィン又はテルビナフインとを含有する外用抗真菌剤、 水虫治療薬に 関するものである。 図面の簡単な説明
図 1は、 モルモット体部白癬モデルの培養試験による培養陽性率のグラフであ
る。
図 2は、 モルモット体部白癬モデルの培養試験による平均感染強度のグラフで める。 発明の実施をするための態様
モルホリン系抗真菌剤のァモロルフインは、 本明細書において、 その塩も含 む概念であり、 特に塩酸塩が好ましい。塩酸ァモロルフイン ((土)-シス- 2,6 - ジメチル- 4- [3- [4-(1, 1-ジメチルプロピル)フェニル ]-2-メチルプロピル]モルホ リンモノハイドロクロライド、 (C21H35N0 'HC1)、 分子量 353.97) の構造式を以 下に示す。
ァモロルフィンは、 白癬菌属、 カンジダ属をはじめ、 小胞子菌属、 表皮菌属 、 マラセチア属、 黒色真菌等の諸菌種に対して幅広い抗菌力を発揮する。 ァモロ ルフィンは、 世界的に使用されており、 我が国でも現在医薬用として最も繁用さ れている抗真菌剤であり、 巿場において容易に入手可能である。
塩酸ァモロルフインは、 白癬菌属のトリコフィトン 'メン夕グロフィテス (T richophyton mentagrophytes) に対して、 最小発育阻止濃度 (MIC) ≤0.0012〜 O.QS ig/m トリコフィトン 'ルブルム (Trichophyton rubnii) に対して ≤0.0012〜0.02 g/mL、 カンジダ 'アルビカンス (Candida albicans) に対 して 0.01〜; 10〃 g/mLを示す (表在性皮膚真菌症の患者から分離された真菌の
臨床分離株に対する MIC、 山ロ英世他、 Jap. J. Antibiotics, 44(9)、 1007、 1 013 (1991) を参照されたい) o
塩酸ァモロルフィンの作用機序は、 エルゴステロ一ル生合成経路上の 2つの 段階を選択的に阻害することにより、 細胞膜の構造、 機能を障害し抗真菌活性が 発現されると考えられる。
塩酸ァモロルフインの毒性等は、 以下の通りである。 LD5Q(mg/kg)マウス: 経口 =雄2514 雌 2406、 皮下 >雄雌5000、 静注二雄 141 雌 112、 腹腔内二雄 205 雌 239、 ラット :経口 =雄1960 111756、 皮下 >雄雌2000、 腹腔内 =雄 468 雌 46 5、 ィヌ:経口 >雄雌 1000、 皮下〉雄 2500、 生殖試験 (ラット、 経口) :妊娠前 〜授乳期及び周産期 ·授乳期に: tOmg/kg/日以上投与で出生児の生存率への影響が 認められた (薬業時報社発行、 医療薬日本医薬品集 1997年 10月版 92頁より) 。 本発明の抗真菌剤におけるァモロルフインの有効配合量は、 0. 1〜1質量 %であり、 好ましくは 0. 1~ 0. 5質量%、 更に好ましくは 0. 2〜0. 4質 量%である。
ベンジルァミン系抗真菌剤のブテナフィンは、 本明細書において、 その塩も 含む概念であり、 特に塩酸塩が好ましい。
塩酸ブテナフィン (N - 4- tert—ブチルベンジル- N -メチル -1 -ナフタレンメチル ァミンハイドロクロライド (C23H27N'HC1) 、 分子量 353.93) の構造式を以下に 示す。
:、 特に白癬菌属、 小胞子菌属、 表皮菌属等の皮膚糸状菌ゃマ ラセチア属に対して強い抗菌力を発揮することを特徴とする。 ブテナフィンは、 我が国でも現在医薬用として最も繁用されている抗真菌剤であり、 市場において 容易に入手可能である。
塩酸ブテナフィンは、 白癬菌属のトリコフィ トン ·メン夕グロフィテスに対 して、 M I C 0.006〜0.025〃g/mLを示し、 トリコフィ トン 'ルブルムに対し て、 0.0015〜0.025〃g/mLを示す (前田鉄也他、 薬学雑誌、 111、 126-137 (199 1) 、 横尾守他、 西日本皮膚科、 53、 144-151 (1991) を参照されたい) 。 塩酸ブ テナフィンは、 白癬菌属に対して、 きわめて強い抗真菌作用を示すが、 カンジダ 属に対しては有効ではない。
塩酸ブテナフィンの作用機序は、 エルゴステロールの合成阻害であるが、 そ の作用部位はィミダゾ 7 "ル系薬剤と異なり、 スクヮレンのエポキシ化反応阻害に 基づいており、 その作用は殺菌的である。
塩酸ブテナフィンの毒性等は以下の通りである。 L D5。(mg/kg) ICRマウス雄 雌:経皮 >800、 皮下 >200、 静注 >140、 経口 >5000、 Wis tarラット :経皮 >雄 雌 1000、 皮下 >雄雌 150、 静注 >雄100、 雌 100、 経口 >雄雌4000、 Beagleィヌ 雄:経皮 >100、 経口 >5000、 生殖'発生毒性、 抗原性、 変異原性は認められず
、 局所刺激性は、 ゥサギ背部皮膚及び眼粘膜で、 クリーム及び液の刺激性は弱く 、 苛酷条件下の劣化品でも刺激性の増強は認められなかった (薬業時報社発行、 医療薬日本医薬品集 1997年 10月版 1262頁より) 。
本発明の抗真菌剤におけるブテナフィンの有効配合量は、 0. 1〜2質量%' であり、 好ましくは 0. 1〜1質量%であり、 更に好ましくは 0. 3〜1質量% である。
また、 ァモロルフインとブテナフインとの質量比は、 100 : 1〜1 : 10 であり、 好ましくは 20: 1〜1 : 5、 更に好ましくは 5 : 1〜1 : 5である。 ァリルアミン系抗真菌剤のテルビナフインは、 本明細書において、 その塩も 含む概念であり、 特に塩酸塩が好ましい。
塩酸テルビナフイン ((E)- N-(6, 6-ジメチル -2-ヘプテン- 4-ィニル)- N-メチル - ナフ夕レンヌチルァミンハイ ドロクロライ ド (C21¾5N'HC1) 、 分子量 327.90 ) の構造式を以下に示す。
ンは、 特に白癬菌属、 小胞子菌属、 表皮菌属等の皮膚糸状菌ゃ マラセチア属に対して強い抗菌力を発揮することを特徴とする。 また、 カンジダ 属についても抗真菌活性が確認されている。 テルビナフインは、 我が国でも現在 医薬用として最も繁用されている抗真菌剤であり、 巿場において容易に入手可能 である。
塩酸テルビナフインは、 白癬菌属のトリコフィトン 'メン夕グロフィテス及 びトリコフィトン 'ルブルムに対して、 M l CO.001~0.Ol g/mLを示す。 ま た、 トリコフィ トン ·メン夕グロフィテス発芽分生子に対し低濃度で明らかな殺 真菌作用を示す (Schuster, Iら、 : "Preclinical characteristics of allylami nesノ,,· in Berg,Dら、 eds. Sterol Biosynthesis Inhibitors : Pharmaceutical and Agrochemical Aspects.: Pbl.: Ellis Hor ood Ltd. Chichester (UK) pp. 449-470、 1988、 及び平谷民雄ほか:日本医真菌学会雑誌 32 (4)、 323、 1991を参 照されたい) 。 また、 塩酸テルビナフインは、 カンジダ'ァレビカンスに対して 、 0.098 / g/mL以上の濃度で酵母形から菌糸形への変換を阻止し、 1 / g/ml 以上の濃度では酵母形増殖に対し静真菌作用を示す (Schaude, M.ら、 : Mykosen 3 0(6)、 281、 1987及び平谷民雄ほか:日本医真菌学会雑誌 33( 1 >、 9、 1992を参照 されたい) 。
塩酸テルビナフインの作用機序は、 真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼ の選択的阻害であり、 スクアレンの蓄積並びにエルゴステロール含量の低下をも たらし抗真菌作用を示す。皮膚糸状菌に対しては、 低濃度で細胞膜構造を破壊し 、 殺真菌的に作用する。 また、 カンジダ 'アルビカンスに対しては、 低濃度から 部分的発育阻止効果を示し、 高濃度では直接的細胞膜障害作用により抗真菌活性 をあらわす。
塩酸テルビナフインの毒性等は以下の通りである。 L D5 Q (mg/kg)マウス:静 注 =雄 410、 雌 377、 経口 =雄 3570、 >雌 4000、 皮下 >雄雌 2000、 ラット :静注 = .雄 220 雌 206、 経口 >雄雌 4000、 皮下 '経皮 >雄雌 2000、 ゥサギ雄雌:経皮 >15 00、 生殖試験において、 ラヅト、 ゥサギに大量投与で母獣の #:重増加抑制がみら れたが、 生殖及び胎児発育には影響は見られず、 抗原性は、 認められず、 局所刺 激性は、 ゥサギ背部皮膚あるいは眼粘膜で、 いずれの試験でも弱い刺激性あるい は軽度の累積刺激性が認められた (薬業時報社発行、 医療薬曰本医薬品集 1997年
10月版 959- 960頁より) 。
テルビナフインの有効配合量は、 0 . 1〜2質量%であり、 好ましくは 0 . 1〜1質量%であり、 更に好ましくは 0 . 3 ~ 1質量%である。
また、 ァモロルフインとテルビナフインとの質量比は、 1 0 0 : 1〜1 : 1 0で あり、 好ましくは 2 0 : 1〜1 : 5、 更に好ましくは 5 : 1〜1 : 5である。 本発明の外用抗真菌剤は、 通常用いられる方法 (例えば 1 4改正日本薬局方 に規定する方法 (医薬品各条の製法、 製剤総則)等) に従って調製することがで きる。 その剤形としては、 軟膏剤、 クリーム剤 (乳剤性軟膏剤) 、 ゲル剤、 液剤 、 ローション剤、 エアゾール剤等の各種外用製剤に調製することができる。 軟膏剤は、 適当な稠度の全質均等な半固形状に製した、 皮膚に塗布する外用 剤であり、 油脂性軟膏、 乳剤性軟膏、 水溶性軟膏を含む。 特に、 乳剤性軟膏のク リーム剤が好ましく、 クリーム剤は、 親水軟膏などの水中油型の乳剤性基剤、 吸 水軟膏などの油中水型の乳剤性基材、 親水ヮセリンなど水を含まない乳剤基剤を 用いたものである。 また、 ゲル剤は、 水に不溶性の薬物の抱水化合物を水性液に 懸濁したものである。 液剤は、 液状の外用製剤をいい、 本発明の外用抗真菌剤、 水虫治療薬に適した製剤を全て含み、 具体的には、 ローション剤、 懸濁剤 ·乳剤 、 リニメント剤等を含む。 ローション剤は、 医薬品を水性の液中に溶解又は微細 均等に分散して製した、 皮膚に塗布する液状の外用剤である。 また、 エアゾール 剤は、 医薬品の溶液、 懸濁液等を容器に充填した液ィ匕ガス又は圧縮ガスの圧力に より、 用時噴出して用いるように製したものであり、 霧状、 粉末状、 泡沫状、 ぺ —スト状等の噴出形態を取ることができる。
これらの剤形で本発明の外用抗真菌剤、 水虫治療薬を調製する場合、 各剤形 におけるァモロルフイン、 ブテナフィン及びテルビナフインの配合量は、 前述の 有効配合量が好ましい。
また、 各剤形におけるァモロルフインとプテナフィン又はテルビナフインと
の質量比は、 前述の質量比が好ましい。
本発明の外用抗真菌剤、 水虫治療薬には、 通常外用剤に配合する成分等を本 発明の効果を損なわない範囲で加えることができ、 また前記剤形を調製する賦形 剤や可溶化剤等を使用できる。 例えば、 抗ヒスタミン剤 (例えば、 ジフェンヒド ラミン、 塩酸ジフェンヒドラミン、 塩酸イソチペンジル、 マレイン酸クロルフエ 二ラミン等) 、 抗炎症剤 (例えば、 グリチルリチン酸及び塩類、 グリチルリチン 酸ジカリウム、 グリチルレチン酸、 アラントイン等) 、 殺菌剤 (例えばイソプロ ピルメチルフエノール、 塩ィ匕べンゼトニゥム、 塩化デカリニゥム、 ヒノキチォー ル等) 、 鎮痒剤 (例えば、 クロタミ トン等) 、 清涼剤 (例えば、 カンフル、 メン トール、 ハツ力油等) 、 局所麻酔剤 (例えば塩酸ジブ力イン、 リ ドカイン、 塩酸 リ ドカイン、 ァミノ安息香酸ェチル等) 、 抗酸化剤 (例えば、 ジプチルヒドロキ シトルェン、 ピ口亜硫酸ナトリウム、 没食子酸プロピル、 ァスコルビン酸等) 、 角質溶解剤 (例えば、 尿素、 サリチル酸等) 、 ゲル剤 (例えば、 カルボキシビ二 ルポリマ一、 ヒドロキシェチルセルロース、 ヒドロキシプロピノレセソレ口一ス、 ヒ ドロキシプロピルメチルセルロース、 ポリビニルァセ夕一ルジェチルアミノアセ テート等) 、 金属封鎖剤 (エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム(EDTA- 2Na)等). 、 p H調節剤 (例えば、 乳酸ナトリウム、 乳酸、 トリエタノールァミン、 ジイソ プロパノールァミン、 クェン酸、 クェン酸ナトリウム、 水酸化ナトリウム等) 、 油成分 (例えば、 流動パラフィン、 ステアリルアルコール、 ステアリン酸、 中鎖 脂肪酸トリグリセリド、 ワセリン、 ゲル化炭化水素、 動植物油等) 、 多価アルコ —ル類 (例えば、 グリセリン、 プロピレングリコール、 マクロゴ一ル、 1 , 3— ブチレングリコール、 グリセリンモノステアレート、 高級アルコール等) 、 乳ィ匕 剤 (例えば、 グリセリン脂肪酸エステル、 ソルビ夕ン脂肪酸エステル、 ソルビ夕 ンモノステアレート、 スパン(Span)類、 ステアリン酸ポリオキシル、 ポリソルべ ート類 (ヅィーン類) 、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、 ラウリル硫酸ナトリ
ゥム、 ポリオキシエチレンソルビ夕ンモノステアレート等) 、 保存剤 (例えば、 パラォキシ安息香酸塩類、 安息香酸類塩、 塩化ベンザルコニゥム、 ソルビン酸等
) 、 溶剤 (エチルアルコール、 変性 99v/v%エチルアルコール、 イソプロパノール 等) 等、 懸濁化剤 (例えば、 アラビアゴム、 アルギン酸ナトリウム、 カルメロ一 スナトリウム、 メチルセルロース、 ベントナイト等) 、 その他基剤 (例えば、 ラ ノリン、 パラフィン、 ろう、 樹 S旨、 プラスチック、 グリコール類、 水等)、 エア ゾ一ルの噴射剤 (例えば、 フロンや代替フロン (塩素を含まないフヅ化炭ィ匕水素 類の HFC- 134a、 HFC- 227等) 、 ジメチルエーテル (DME) が挙げられる。 実施例
以下、 実施例及び試験例を挙げて、 本発明を更に詳細に説明するが、 本発明 の範囲は、 これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例 1
以下の処方により各成分を混合し、 液剤を得た
成分 配合量 (g)
塩酸ァモロルフイン 0. 3
塩酸ブテナフィン 0. 4
クロタミ卜ン 5. 0
3—プチレングリコール 14. 5
ヒドロキシプロピルセルロース 1. 0
精製水 10. 0
エチルアルコール 全 100 mL
実施例 2
以下の処方により各成分を混合し、 液剤を得た。
成分 配合量 (g) 塩酸ァモロルフイン 0. 2 塩酸ブテナフィン 0. 5 クロタミ卜ン 5 0
1 , 3—ブチレングリコール 24 5 ポリビニルァセ夕一ルジェチルァミノアセテート 2, 5 変性 99 v/v%エチルアルコール 全 10 OmL 実施例 3
以下の処方により各成分を混合し、 液剤を得た。
成分 配合量 (g) 塩酸ァモロルフイン 0. 35 塩酸ブテナフィン 0. 35 クロタミトン 5. 0 ジフェンヒドラミン 0. 25 リドカイン 1. 0
1 , 3—ブチレングリコール 20. 0 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0. 5 精製水 7. 0 エチルアルコール 全 100 mL 実施例 4
以下の処方により各成分を混合し、 クリーム剤を得た。 成分 配合量 (g) 塩酸ァモロルフイン 0. 3 g 塩酸テルビナフイン 0. 4g リドカイン 2. 0 g
1, 3—ブチレングリコール 10. 0g 中鎖脂肪酸トリグリセリド 10. 0 g ステアリルアルコール 5. 0g
EDTA-2Na 0. 1 g 精製水 全 100 g 実施例 5
以下の処方により各成分を混合し、 ゲルクリーム剤を得た c 成分 配合量 (g) 塩酸ァモロルフイン 0. 2 g 塩酸テルビナフイン 0 5 g リドカイン 2 0 g
'ート 1 0 g プロピレングリコール 10 0 g 中鎖脂肪酸トリグリセリド 5 0 g ステアリルアルコール 1 0 g カルボキシビニルポリマー 1 0 g ジィソプロパノ一ルァミン 1 0 g EDTA - 2Na 0 1 g 精製水 全 100 g 実施例 6
以下の処方により各成分を混合し、 エアゾール剤を得た。
3
成分 配合量 (g) 原液: 塩酸ァモロルフイン 0. 35 g
塩酸テルビナフイン 0. 35 g
グリチルリチン酸ジカリウム 0. 25 g
エタノール 35. 0 g
精製水 5 OmL
噴射剤: D ME (ジメチルエーテル) 5 OmL
(製造方法)
ェ夕ノール、 精製水の基剤に主薬成分を溶解した原液を容器に充填後、 ノル ブを装着し、 噴射剤を充填し、 エアゾール剤を作成した。
試験例 1 ' mm
検体 1 : トルナフテート
検体 2 :塩酸ブテナフィン
検体 3 :塩酸テルビナフイン
検体 4:ラノコナゾ一ル
検体 5 :シクロピロクス ·ォラミン
質量比 1 : 1の塩酸ァモロルフインと各検体 (以下、 薬剤と称す) をジメチ ルスルホキシド (DMSO) に溶解し、 DMSOで 2倍希釈系列を作成した。 抗 菌力の測定の際、 薬剤と培地とを 1 : 99の割合で混合した。
(試験方法)
感受性測定用培地として、 サブ口一寒天培地 (栄研) を用いた。 薬剤を含む サブ口一寒天培地上にカンジダ ·アルビカンスは 106胞子/ mLに、 白癬菌は約 10s分生子 ZmLに調製した菌液を調製し、 その 5〃1をミクロプランター (佐 久間製作所製) を用い上記培地上に接種、 カンジダ 'アルビカンスは 2日間、 白
4
癬菌 (トリコフィ トン 'メン夕グロフィテス、 トリコフィ トン 'ルプルム) は Ί 日間培養した。 抗菌力は培養終了時に菌の発育が認められない最小の薬剤濃度 (
M I C:最小発育阻止濃度、 j g/m ) から FI Cインデックス (Fractional
Inhibitory Concentration index) を算出した。
算出式: F I Cインデックス二 aZa。十 b/b0
a:塩酸ァモロルフイン、 検体併用時での塩酸ァモロルフインの M I C
:塩酸ァモロルフイン単独での MI C
b:塩酸ァモロルフイン、 検体併用時での検体の MI C
b0 :検体単独での MI C
以下の基準 (FICインデックス) により併用効果の有無を判定した。
>2 : 拮抗作用
2以下〜 1より大きい : 相加作用
1以下: 相乗効果
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(結果)
表 1
塩酸ァモロルフインと各薬剤併用時での F I
表 1から明らかなように、 塩酸ァモロルフインと塩酸ブテナフィン又は塩酸 テルビナフインとを質量比 1 : 1で併用した場合、 前記 3菌種すべてに対して F I Cインデックスは 1より小さくなり、 顕著な相乗効果が認められた。
なお、 トルナフテートは、 チォカルバミン酸系、 ラノコナゾ一ルはイミダゾール 系、 シクロピロクス ·オラミンは、 ピリドン系の抗真菌剤である。
試験例 2
(検体) '
検体 1 :塩酸プテナフィン
検体 2 :塩酸テルビナフィン
( 1 ) 質量比 1 0 0 : 1 ~ 1 : 1 0 0の塩酸ァモロルフインと各検体 (以下、 薬 剤とする) をジメチルスルホキシド (D M S O) に溶角牟し、 D M S Oで 2倍希釈 系列を作成した。 抗菌力を測定の際、 薬剤と培地とを 1 : 9 9の割合で混合した
6
(2)更に、 質量比 1 : 3〜3: 1の塩酸ァモロルフインと各検体(以下、 薬剤 とする) をジメチルスルホキシド (DMSO) に溶角军し、 DMSOで 2倍希釈系 列を作成した。 抗菌力を測定の際、 薬剤と培地とを 1 : 99の割合で混合した。
(試験方法)
感受性測定用培地として、 サブ口一寒天培地 (栄研) を用いた。 薬剤を含む サプロ一寒天培地上にカンジダ .アルビカンスは 106胞子/ mLに、 前記 2種類 の白癬菌は約 106分生子/ mLに調製した菌液を調製し、 その 5〃1をミクロプ ラン夕一 (佐久間製作所製) を用い上記培地上に接種、 カンジダ 'アルビカンス は 2日間、 白癬菌は 7日間培養した。 抗菌力は培養終了時に菌の発育が認められ ない最小の薬剤濃度 (MI C:最小発育阻止濃度、 PL g/ml) から F I Cィン デヅクスを算出した。
(結果)
前記 (1) において、 塩酸ァモロルフインと塩酸プテナフィン又は塩酸テル ピナフィンとの質量比が、 例えば、 100 : 1〜1 : 10の範囲で、 FICイン デヅクス約 0. 5〜0. 9であり、 特に優れた相乗効果が確認された。
また、 前記 (2) の結果を、 以下の表に示す。
7
表 2
最小発育阻止濃度 (M I C ) pi g/mL
A:塩酸ァモロルフィン
B :塩酸ブテナフィン
( ) :各薬剤の質量比
各菌種とも 2株を供試、 幾何平均 MI C ( /g/mL)で表示
表 3
F I Cインデックス
A:塩酸ァモロルフイン
B :塩酸ブテナフィン
( ) :各薬剤の質量比
カンジダ ·アルビカンスについての F I Cインデックスは、 塩酸ブ ンの M I Cを 16.0〃gZmLとして算出
表 4
最小発育阻止濃度 (M I C ) j g/ml
A:塩酸ァモロルフイン
T:塩酸テルビナフイン
( ) :各薬剤の質量比
各菌種とも 2株を供試、 幾何平均 M I C (u s/ml) で表示
表 5
F I Cインデックス
A:塩酸ァモロルフイン
T :塩酸テルビナフイン ' ( ) :各薬剤の質量比
カンジダ ·アルビカンスについての F I Cィンデヅクスは、 塩酸テルビナフィン の M I Cを 16.0 z g/mLとして算出 表 3及び表 5から明らかなように、 塩酸ァモロルフインと塩酸ブテナフィン または塩酸テルビナフインを、 例えば、 質量比 1 : 3から 3 : 1の割合で併用し た場合、 前記 3菌種すべてに対して F I Cインデックスは 1より小さくなり、 顕 著な相乗効果が認められた。
ここで注目すべきは、 白癬菌属だけでなく、 カンジダ属においても、 顕著な 相乗効果が認められたことである。 表 2及び表 4において、 塩酸ブテナフィン及 び塩酸テルビナフィンを単独でカンジダ ·アルビ力ンスに適用した場合、 いずれ も M I C >8.0〃gZmLであったにもかかわらず、 塩酸ァモロルフインと併用す
ると、 カンジダ ·アルビカンスに対する塩酸ァモロルフインの M I C1.0 g/ mLよりも更に低い M I Cを示した。 また、 表 3及び表 5において、 F I Cイン デヅクスが 0.32〜0.54であり、 非常に高い相乗効果が認められた。
試験例 3
(検体)
検体 1 : 酸ブテナフィン
検体 2 :塩酸テルビナフイン
質量比 1 : 2の塩酸ァモロルフインと各検体 (以下、 薬剤とする) をポリエ チレングリコール 4 0 0に最終濃度 0 . 7 5 %質量比となるように溶解し、 混合 した。塩酸ァモロルフイン及び各薬剤を単独で、 それそれポリエチレングリコ一 ル 4 0 0に最終濃度 0 . 7 5 %質量比となるように溶解した。
(試験方法)
[供試動物]
ハ一トレ一 (Hartley) 系雄性モルモット (日本エスエルシ一 (株) 、 6週齢 ) を供試した。 試験期間中はアイソレー夕一 (ネガティブラック、 日本クレア ( 株) ) の中で個別飼育し、 固形飼料 (Gスタンダード、 日本農産工業 (株))及び 水を自由摂取させた。 トリコフィ トン 'メン夕グロフィテス T画 1189株をサブロー ·グルコース 寒天斜面培地上で 27° (、 14日間培養後、 0.05% ヅィーン (Tween) 80を含む滅 菌生理食塩水を加えて分生子を採取し、 菌浮遊液をした。 この液をセルストレイ ナ一 (ファルコン (FALCON) (株) ) でろ過して大きな菌塊を除き、 血球計算盤 を用いて分生子数を計数後、 0.05% ヅィ一ン 80含有滅菌生理食塩水にて 4X 107 個/ mLとなるよう希釈し、 接種菌液とした。
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[感染方法]
モルモット背部を剃毛した後、 脊柱を中心とした左右 1箇所ずつ、 合計 2箇 所に直径 2 cmの円形の接種部位を設定し、 ガムテープを貼り付けては剥がすとい う操作を 3回繰り返した。 これによつて局所皮膚の抜毛を行うと同時に皮膚角質 層上部を剥離させた。 更に残った毛は毛抜きにて完全に抜き取った。 この拔毛部 位に接種菌液を 0.05mLずつ塗布接種した。
[治療試験方法]
供試動物数は 1群 5匹とし、 菌接種後 3日目より上記薬剤溶液を 1日 1回 0.1 mLずつ連日接種部位に塗布した。 塗布期間〖ま 5日間とした。 これらの治療群の他 に無処置感染対照群を設けた。
[培養試験による薬効の判定]
薬剤最終塗布後 5日目に局所皮膚組織片の培養試験を行い、 薬効判定を行つ た。培養試験は以下のように行った。 モルモヅトをエーテル麻酔下で屠殺、 接種 部位の皮膚を全面摘出した。 各実験群について合計 10箇所の接種部位 (モルモッ ト 5匹 X接種部位 2箇所) の皮膚が得られた。 この接種部位の皮膚を更に 10個 の皮膚小片に切り出し、 各実験群について合言十 100個の皮膚小片を得た。 各小片 をシクロへキシミド (cycloheximide) 500 zg/mLs クロラムフエ二コール (chl oramphenicol) 50〃g/mL及びシソマイシン sisomycin) 50〃g/mLを含有する サブ口一 ·グルコース寒天平板上にのせ、 27°Cにて培養し、 トリコフィトン 'メ ン夕グロフィテスのコロニ一が発育したものを培養陽性小片とした。
( i)培養陽性率
1箇所の接種部位の皮膚から得られた 10個の皮膚小片のうち、 前記培養陽性 小片を 1個でも含む接種部位を培養陽性と判定し、 各実験群の接種部位総数 1 0 のうち培養陽性部位数をもって培養陽性率を算出する。
( ii)平均感染強度
接種部位の前記培養陽性小片数に基づいて次の通りスコア化し、 感染強度と する。 即ち、 1箇所の接種部位の皮膚から得られた 10個の皮膚小片中、 P昜性小片 の個数が 10、 9、 8、 7、 6、 5、 4、 3、 2、 1、 0の場合をそれそれ +10、 +9、 +8、 +7 、 +6、 +5、 +4、 +3、 +2、 +1、 0とした。 各実験群について接種部位 1 0箇所で試 験を行ったので、 それそれの接種部位箇所のスコアを加算して 1 0で除算し、 平 均感染強度を算出した。
[推計学的処理]
培養陽性率についてはフィッシャー (Fisher) の正確確率検定法により、 感 染強度についてはノンパラメトリヅクなテュ一キ一 (Tukey) の多重比較検定法 によりそれそれ有意水準 5%で解析した。
(結果)
図 1に、 前記(i)培養陽性率、 図 2に、 前記 ( ii)平均感染強度の結果を示した 。無処置感染対照群の陽性培養率は 1 0 0 %、 平均感染強度は + 1 0 . 0と高く 、 真菌学的に感染の成立が確認された。
図 1において、 3つの薬剤単独塗布群 (塩酸ァモロルフインのみ、 塩酸ブテ ナフインのみ、 塩酸テルビナフインのみ) の各薬剤溶液では、 培養陽性率は全て 1 0 0 %であった。 即ち、 これらの薬剤溶液を単独で使用した場合、 接種部位 1 0箇所すぺてに菌が確認された。 一方、 2つの薬剤併用塗布群 (塩酸ァモロルフ インと塩酸ブテナフィンとを併用及び塩酸ァモロルフインと塩酸テルビナフイン とを併用) は、 ±咅養陽性率がそれぞれ 4 0 %と 0 %であった。
図 2において、 3つの薬剤単独塗布群では、 平均感染強度が 4〜 5であったの に対し、 2つの薬剤併用塗布群では、 平均感染強度がそれそれ 0 . 4、 0であつ た。 即ち、 薬剤を併用すると、 薬剤単独塗布群よりも有意に高い治療効果が認め られ、 特に、 塩酸ァモロルフインと塩酸テルビナフインとを併用した薬剤溶液で
は、 驚くべきことにどの接種部位にも、 どの皮膚小片にも菌が確認されず、 顕著 に高い治療効果が認められた。 塩酸ァモロルフインと塩酸ブテナフィン又は塩酸 テルビナフインとを組み合わせた抗真菌剤は、 in vivoにおいても顕著な相乗効 果を有することが確認された。
以上詳述の通り、 本発明は、 ァモロルフインとブテナフィン又はテルビナフ インとを併用することにより、 併用による顕著な相乗効果を示し、 低濃度で白癬 菌属とカンジダ菌属両方に抗菌活性を発揮する優れた抗真菌剤、 水虫治療薬を提 供することができる。