WO2004002274A1 - マット - Google Patents

Abstract

本発明は、内部にゲル状の熱媒体（１２）が封入され、その熱媒体（１２）の自圧で膨張する複数条の充填室（１０ａ、４０ａ）を、並列に隣接して有するマット（１、４）を提供する。本発明に係るマット（１、４）は、褥瘡を防止すると共に、患者の全身又は一部を簡単かつ効率的に保温又は保冷できる。

Description

明 細 マツ卜 技術分野

本発明は、 褥瘡を防止すると共に、 体躯を保温又は保冷するマットに関す る。 背景技術

手術時や、 療養時など、 同じ体勢での体位の保持が予想される場合、 毛細 血管の圧迫に伴う血行障害に起因する褥瘡予防のための対策が必要となる。 このような褥瘡は、 自体重によって毛細血管が圧迫され、 血行障害が発生 することによって、 皮膚が発赤から始まり、 徐々に重症化していく。

この圧迫による血行障害を防止するために、 従来は、 例えばエア一マット や樹脂製マット、 ビーズ入りのパッドなどの除圧具を利用し、 人体とマット 等の接触部位に圧力が集中しないようにしている。

しかしながら、 例えば、 エアーマットは、 非常に弾力性に富むので、 手術 操作中の手術野の安定性に問題があり、 また、 つぶれすぎて褥瘡防止効果も 充分でなく、 さらに、 サイズやメンテナンス性、 エアポンプの騒音などの問 題があった。

また、樹脂製マツ卜には、例えば、ウレタンフォームやドライポリマー（商 品名： ACTONドライポリマー） を利用したものなどがある。

これらの樹脂製マツトには、 ある程度の接触圧分散効果が望める場合もあ るが、 褥瘡予防には充分ではない。

また、 この他にも、 例えば、 発泡樹脂ビーズを伸縮性に富む織布等に収容 させたビーズ入りのパッドもあるが、 これも樹脂製マットと同様、 褥瘡予防 には充分ではなかった。 さらに、 患者の状態、 手術時間等の条件によっては、 手術中又は術前術後 の絶対安静時に、 血行障害に伴う単なる発赤が、 より深刻な褥瘡に発展し、 患者の回復に重大な悪影響を及ぼす。

このような事態を回避するためには、 褥瘡の発生が予想される部位の観察 と、 体位の変更が極めて重要である。

しかしながら、 手術中や、 術前術後でも患者の状態によっては、 その部位 の観察や体位の変更ができない場合もあり、 このような場合には褥瘡を防止 できなかった。

また、 部位の観察や体位の変更ができたとしても、 医師、 看護師や介護人 などの人手に頼らざるを得ず、看護師等の負担が大きいという問題があった。 また、 意識障害や、 運動機能障害を伴う患者の場合も、 従来の除圧具を用 いても褥瘡を充分に防ぐことができなかった。 このため、 介護者等が、 頻繁 に体位を変更させなければならず、 負担が大きいという問題があった。

また、 褥瘡予防の効果が期待されるマットとしては、 ウォーターベッドが ある。

しかしながら、 このウォー夕一ベッドは、 患者の体が沈みすぎるので、 褥 瘡の発生を充分に防止することができない。

また、 ウォーターベッドは、 設備自体が大がかりになる上、 非常に重いの で、 設置、 移動等の取り扱いが困難で、 価格も高く、 病院や介護施設、 家庭 での使用は現実的でないという問題があった。

また、手術時に注意すべき問題として、急激な体温低下に伴う震え、即ち、 シバリング (shivering) の防止がある。

人体内部の温度は、 年齢、 性別、 病状などによっても異なるが、 3 8ない し 4 0 °C前後であるので、 例えば、 室温 2 5 °C前後の手術室内で開腹手術を おこなうと、 患者の体温が一気に奪われ、 シバリングが発生する。

このため、 手術時には体温管理が必要になるが、 従来は、 手術室内に温風 ヒーターや、 温風エアーマツ卜、 温水循環式のブランケットなどの保温具に より、 患者の体温が低下しないよう保温している。

しかしながら、 このような従来の方法では、 手術台の近くにヒーター等の 装置を置かなければならず、 邪魔である上、 騒音もあり、 装置自体も故障し やすいという問題があった。

また、 これらの保温具が、 温水循環ブランケットのような患者の下に敷く ものである場合、 保温を優先すると、 保温具を、 除圧具と患者との間に揷入 しなければならず、 この場合除圧効果が著しく低減する。

反対に、 除圧を優先すると、 保温具と患者の間に除圧具を配さなければな らず、 体温保持効果が低減する。

このように、 手術時の体温保持と、 褥瘡防止は相反している。

体温保持機能と、 褥瘡防止機能を同時に備えたものとしては、 樹脂製マツ トにコードヒーターを埋設したものがある。

しかしながら、 樹脂製マット自体に充分な褥瘡防止機能がなく、 また、 コ ードヒーターは断線などによつて故障しゃすいという問題があった。

また、 高齢化社会が進み、 寝たきり状態となる人が増えており、 施設又は 自宅での介護に際しても褥瘡防止は大きな課題であるが、 これを解決できる 簡単かつ効果的 マットなどはなく、 現在では、 介護者等の手作業に頼らざ るを得ず、 負担が大きいという問題があった。

また、 横臥している患者の全身または所定部位を冷却しなければならない 場合、 アイスパックなどの冷却体を患者とベッドなどとの間に挟むことがあ る。

この場合、 患者の体重により毛細血管が押しつぶされ、 血行障害が発生し ている領域に、 冷却体を密着させることになるので、 凍傷の恐れがあり、 ま た、 血行障害が促進され、 褥瘡の進行を早めるという問題があった。

このため、 従来のアイスパックなどの冷却体を用いて冷却する場合、 冷却 体の当接状態や、 その当接領域の血行状態及び冷却状況を随時確認しなけれ ばならず、 状態管理に手間がかかるという問題があつた。 従って、 本発明の課題は、 褥瘡を防止すると共に、 患者の全身又は一部を 簡単かつ効率的に保温又は保冷できるマットを提供することにある。 発明の開示

本発明者らは、 上記課題を解決するため、 鋭意検討した結果、 柔軟なシー トで、 並列に隣接するよう配された複数条の充填室を設け、 その充填室にゲ ル状の熱媒体を封入し、 その充填室を熱媒体の自圧により膨張させたマツト を用いることにより、 褥瘡を防止すると共に、 患者の全身又は一部を簡単か つ効率的に保温又は保冷できるようになることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、 本発明は、 以下の （1) 〜 （8) によって特定される。

(1) 並列に隣接する複数条の充填室を有し、 充填室が柔軟なシートで形成 され、 ゲル状の熱媒体が充填室内部に封入され、 充填室が熱媒体の自圧によ り膨張するマツト。

(2) 熱媒体が、 充填室に緊密に挿入し得る袋体に封入され、 その熱媒体が 封入された袋体を充填室に挿入し、 充填室を封止することにより、 充填室に 熱媒体を封入してなる （1) に記載のマット。

(3) 充填室の少なくとも一方の端部近傍に、 充填室を形成し、 互いに対面 する壁面の所定領域を接着してなるエンボスが設けられた （1) 又は （2) に記載のマツト。

(4) 充填室を形成するシートが、 対面する一対の熱可塑性樹脂シートであ つて、 充填室の輪郭に沿つて溶着加工を施すことにより充填室が画成される (1) 又は （2) に記載のマツト。

(5)外周縁の少なくとも一部から外方に伸びる柔軟なフィンを設けた（1) 又は （2) に記載のマツト。

(6) 熱媒体が保温剤である （1) 又は （2) に記載のマット。

(7) 熱媒体が保冷剤である （1) 又は （2) に記載のマット。

(8) 熱媒体が、 ハイド口ゲルである （1) 又は （2) に記載のマット。 図面の簡単な説明

図 1は本発明に係るマツ卜の第一実施例を示す上面図である。

図 2は図 1に示した A— A線断面の端面図である。

図 3は図 1に示したマツトの使用状態の一例を示す部分説明図である。 図 4は本発明に係るマツトの第二実施例を示す上面図である。 発明を実施するための最良の形態

以下、 図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。

まず、図 1に基づき、本発明に係るマツトの第一実施例について説明する。 マット 1は、 マット部 1 0と、 フィン 1 1と、 熱媒体 1 2とからなる。 マツト部 1 0は、 一対の熱可塑性樹脂製の長方形のシートを重ね合わせ、 充填室 1 0 aの輪郭に沿って、 両者を高周波ウェルダー溶着などの手段によ つて接着したものである。

この充填室 1 0 aは、 そのシートの長手方向に沿って長尺矩形状に 5条並 列に隣接して画成される。

また、 この充填室 1 0 aには、 その充填室 1 0 aが画成される過程で、 熱 媒体 1 2が充填され、 充填室 1 0 a内に密封される。

充填材 1 2としては、 多量に水を含む親水性ポリマ一、 即ち、 ハイドロゲ ルが用いられる。

また、 充填室 1 0 a内の熱媒体 1 2の自圧を高めるため、 各充填室 1 0 a の両端近傍には、 その充填室 1 0 aを形成する壁面のシートの、 互いに対面 する領域を円状に熱接着してエンボス 1 0 bが設けられる。 このため、 充填 室 1 0 aは、 図 2に示したように、 その自圧により強く膨張する。

フィン 1 1は、 マット部 1 0の、 充填室 1 0 aの端部側の両端縁と同一の 幅を有し、 それぞれの両端縁から外方に伸びるよう、 マット部 1 0に熱接着 される矩形状の熱可塑性樹脂製シートである。 上記のマット 1を使用するときには、 まず、 マット 1を図示しない加温庫 などに収納し、 熱媒体 1 2が所定温度に達するまで充分に加温する。

この加温庫内は、 例えば、 5 0 °C以下の適温に保温されるようになってお り、 内部に収納されたマット 1は、 輻射熱及び伝導熱によって加温される。 一般に、人間の体表温度は、 3 2ないし 3 3 °Cであるので、 この加温庫は、 マツト 1の表面が 3 4ないし 3 6 °C程度になるよう加温できればよい。 次に、 充分に加温されたマット 1を取り出し、 手術台 2のマットレス 2 1 上の所要位置に、 フィン 1 1が手術台 2の両側から垂れ下がるように載置す る。

次に、 手術台 2の両側に垂れ下がるフィン 1 1を、 図 3に示したように、 マットレス 2 1の下側に巻き込んで、 基台 2 0とマットレス 2 1との隙間に 挟み込み、 さらに、 その上をシーツ 3で覆い、 シーツの周縁部もマットレス 2 1の下に巻き込み、 同様に挟み込む。

このようにマツト 1が装着された手術台 2上に患者が横臥すると、 患者の 体が略丸棒状に膨張した複数の充填室 1 0 aに保持される。

このとき、 充填室 1 0 aは、 程よい固さで患者の身体を支え、 マット 1と の接触面で、 負荷が集中することがなく、 毛細血管の圧迫が生じない。 また、 加温されたマット 1によって、 患者は保温され、 血行が促進される ので褥瘡が発生しない。

さらに、 開腹手術を行った場合、 マット 1の保温効果により、 体温が急激 に低下することがないので、 シバリングを防止することができる。

また、 このマツト 1の使用時、 マツト 1は患者の体躯や、 患者に掛けられ るカバーなどで断熱されるため、 その保温効果は長時間維持される。

従って、長時間に渡る手術でも、褥瘡及びシバリングの発生を防止できる。 次に、図 4に基づき、本発明に係るマツトの第二実施例について説明する。 なお、 この実施例の主要構成は、 第一実施例と同様であるので、 相違点を 中心に説明する。 マツト 4は、 内部に熱媒体が充填された充填室 4 0 aを 7条有するもので ある。

これらの充填室 4 0 aは、 それぞれ、 エンボス 4 0 bによって高められた 自圧により、 強く膨張する。

このマット 4は、 車椅子用座布団のクッションとして適している。

このマツト 4を収容した車椅子用座布団が装着された車椅子は、 車椅子利 用者が長時間に渡って座り続けても、 その座布団が接触する、 利用者の皮膚 に発赤や褥瘡が発生しない。

また、 この場合、 利用前にマット 4を加温したり、 座布団自体にヒーター を設け、 適温に加温しながら使用できるようにしてもよい。

また、 マット 4と、 車椅子の座面の間に、 ウレタンマットなどの断熱層を 配し、 利用者の体温が、 マット 4に効率よく蓄熱されるようにすることが推 奨される。

本実施例は上記のように構成されるが、 マツトを構成するシート及びフィ ンの素材としては、 加工性、 強度などの観点から、 エチレン系フィルムが好 適であるが、 これに限定されるものではない。

また、 マット部を構成するシートと、 フィンとは、 異なる素材を用いても よく、 また、 マット部を構成する一対のシートもそれぞれ異なる素材を用い てもよい。

また、 熱媒体としては、 具体的に、 ポリ （N—ビニルァセトアミド）、 ポリ ビニルアルコール、 ポリエチレンオキサイド、 ポリビエルピロリドン、 カラ ギーナン、 アルギン酸、 カルボキシメチルセル口一スナトリゥム、 カルボキ シメチルデンプンナトリウム、 ポリアクリル酸、 ポリアクリル酸ソーダ、 ポ リアクリロアミド、 寒天、 ポリアスパラギン酸、 ポリグルタミン酸ナトリウ ム及びポリ （ε —リジン） などが挙げられるが、 これに限定されるものでは なく、 また、 複数のハイド口ゲルを配合して用いてもよい。

また、 ハイド口ゲルとしては、 親水性ポリマー、 例えば、 ポリビニルアル コール、 ポリエチレンォキサイド、 ポリビニルピロリ ドンなどと、 水を混合 し、これに放射線を照射し、橋かけ反応をおこさせたものを使用してもよい。 また、 本発明に係るマットの大きさは、 例えば、 図 1に示した 5条の充填 室を有するものであれば、 充填室の長さを 5 0 O mm、 全充填室にまたがる 幅を 3 0 0 mm、 エンボスの直径を 2 0 mm、 水平な平面上に載置した状態 で膨張した充填室の中央付近の高さを 3 O mmとすると、 重量が 3 k g程度 となり、 使用しやすい。

また、 充填室は、 5条に限定されるものではなく、 使用目的に応じて 4条 以下であっても、 6条以上であってもよい。

例えば、 4条の充填室を有するマットの場合、充填室の長さを 5 0 O mm, 全充填室にまたがる幅を 2 3 8 mm、 エンボスの直径を 2 0 mm、 水平な平 面上に載置した状態で膨張した充填室の、 中央付近の高さを 2 5 mmとする と、 重量は約 2 k gとなり、 使用しやすい。

また、 マットを構成する各部のサイズや充填室の数は、 使用目的、 使用条 件に応じ、 当然上記のサイズに限定されるものではなく、 本発明の範囲内で 適宜変更できるものであるが、 大型化したり、 充填室の数を増せば、 重量と 嵩が増加し、 扱い難くなる。

従って、 広範囲に渡ってマツ卜を敷きたい場合には、 上記に示したような サイズのマットを複数組み合わせ、 例えば、 頭、 肩、 腕、 臀部、 脚部、 かか となどが載置される位置にセットして使用することが推奨される。

なお、 本発明に係るマットは、 ゲル状の熱媒体の自圧により膨張した充填 室をクッシ 3ンとして身体を保持できることを最大の特徴とするものであり、 その細部の構成は、 上記の実施例に限定されるものではなく、 例えば、 マツ ト部及びフィンを構成するシートは、 柔軟性、 防水性、 使用に耐え得る強度 を備え、 所要の形状に加工可能なものであれば、 どのようなものであっても よく、 例えば、 不織布や織布などで強化された繊維強化シートや、 複数の材 料を積層した複合材などであってもよい。 また、 充填室の画成方法は、 上記の実施例に限定されず、 例えば、 丸棒状 に形成された充填室部を並列に連接したり、 平面状の裏面シート上に波状に 表面シートを接着して充填室を形成してもよい。

また、充填室に充填された熱媒体の自圧を高めるために設けたエンボスは、 熱媒体の充填により、 熱媒体の自圧を充分確保できるのであれば、 設けなく てもよく、 その数や形状、 面積は、 充填室を充分に膨張させることができれ ば、 自由に設計変更できる。

また、 熱媒体は、 直接充填室に封入せず、 例えば、 充填室内の形状と略同 型の長尺の袋体に予め封入しておき、 その袋体を充填室に挿入し、 充填室を 封止して充填室に封入するようにしてもよく、 この場合、 熱媒体の封入作業 が容易になると共に、充填室の破損による熱媒体の漏出を防ぐことができる。 また、 この袋体の形状は、 充填室に、 緊密に挿入し得るものであればどの ような形状であつてもよく、 一室の充填室に複数の袋体を挿入するようにし てもよい。

また、 マットを手術台や寝台等に固定する方法は、 フィンに限定されず、 例えば、 マツトの裏面にシーツやマツトレスに係着可能な面状ファスナーを 設けてもよく、 複数の固定方法を組み合わせてもよい。

また、 フィンのないマットを袋やカバーなどに入れ、 これを手術台上など に係止するようにしてもよく、 また、 マットに所要の係止具を設け、 固定す るようにしてもよい。

また、 複数のマットを装着し得るマットホルダーに、 複数のマットを装着 されたものを寝台上に載置して、 マツトの自重によって使用中にマツトがず れないようにしてもよい。

さらに、 マットの寝台等への取付方法は、 このマットが使用中にずれない ようにできればどのようなものであってもかまわない。

また、 使用目的によっては、 フィンなどの取付手段は設けなくても構わな い。 また、 上記の実施例では、 熱媒体として、 ハイド口ゲルを使用しているの で、 このマットを冷蔵室等で冷却し、 冷却マットとして使用できる。

また、 熱媒体としては、 ゲル状のものであれば、 どのようなものであって もよい。

この熱媒体は、 一般的には、 保温及び保冷兼用のものが用いられるが、 保 温又は保冷専用のものを用いてもよい。

本発明に係るマツトを冷却に使用した場合、 患部周辺の毛細血管に圧迫に よる血行障害が発生しないので、 好適に患部を冷却できる。

また、 実施例では、 手術台に固定して使用しているが、 使用は手術時に限 定されず、 例えば、 通常のベッドや布団に使用してよく、 医療施設の他、 介 護施設、 一般家庭など、 どのような環境でも使用でき、 また、 利用者の体位 は、 あお向け、 横向き、 うつぶせ等の横臥状態の他、 医療行為や療養の必要 に応じた特殊な体位であってもよい。

さらに、 本発明に係るマットの利用分野は、 医療、 福祉、 介護に限定され るものではない。 例えば、 このマットは、 その長さや幅、 充填室数を変更す ることにより、 座布団、 クッション、 まくら、 各種パッドにも利用できる。 本発明に係るマットを、 事務椅子の座布団として使用すると、 長時間座り 続けていても、 臀部が痛くなることがなく、 効率よく作業を続けることがで さる。

また、 本発明に係るマットは、 加温しないで使用してもよい。 この場合、 利用者の体温が、 充填室に充填された熱媒体に蓄熱され、 使用途中で、 予め 加温されたマットと同様の保温効果を発揮するようになる。 実施例

以下、 実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、 これらの例は単な る実例であって本発明を限定するものではなく、 また本発明の範囲を逸脱し ない範囲で変更させてもよい。 図 1に示したものと同様のマツトを用い、 試験を行った。

マツ卜のサイズは、 充填室の長さが 5 0 0 mm、 全充填室にまたがる幅を 3 0 0 mm, エンボスの直径が 2 0 mm、 水平な平面上に載置した状態で膨 張した充填室の中央付近の高さが 3 0 mmのものを用いた。

このマットを、 加温庫で所定時間加温し、 加温されたマットを硬い天板を 有する台上に並べて固定し、 その上にシーツを敷いた。

このとき、 マットの表面温度は、 3 4 °Cであった。

発明者は、 シーツを挟んでこのマット上に仰向けに横臥し、 足元から肩に かけ、 ブランケットで覆わせた。

そのまま安静を保ち、 1 0時間経過後に、 肩甲骨周辺、 仙骨周辺、 かかと 周辺の皮膚の状態を観察したところ、 いずれの箇所も発赤していなかった。 また、 マットの表面温度は 3 3 °Cであり、 ほとんど温度は変化しなかた。 この結果から、 このマットを使用すれば、 褥瘡を防止できること、 及び、 その保温効果も長時間維持されることが判明した。 産業上の利用可能性

褥瘡を防止できると共に、 患者の全身又は一部を簡単かつ効果的に保温又 は保冷できる。

また、 手術時における患者の体温低下防止対策として用いる場合、 余計な 装置などを手術室内に持ち込む必要がないので、 手術を円滑に進行させるこ とができる。

また、 加温庫や冷蔵庫などがあれば、 医療機関や介護施設に限らず、 家庭 でも簡単に使用でき、 介護者等の負担を軽減できる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 並列に隣接する複数条の充填室を有し、 充填室が柔軟なシートで形成さ れ、 ゲル状の熱媒体が充填室内部に封入され、 充填室が熱媒体の自圧によ り膨張するマツト。

2 . 熱媒体が、 充填室に緊密に挿入し得る袋体に封入され、 その熱媒体が封 入された袋体を充填室に挿入し、 充填室を封止することにより、 充填室に 熱媒体を封入してなる請求項 1に記載のマツト。

3 . 充填室の少なくとも一方の端部近傍に、 充填室を形成し、 互いに対面す る壁面の所定領域を接着してなるエンボスが設けられた請求項 1又は 2に 記載のマツト。

. 充填室を形成するシートが、 対面する一対の熱可塑性樹脂シートであつ て、 充填室の輪郭に沿って溶着加工を施すことにより充填室が画成される 請求 1又は 2に記載のマツト。

5 . 外周縁の少なくとも一部から外方に伸びる柔軟なフィンを設けた請求 1 又は 2に記載のマツト。

6 . 熱媒体が保温剤である請求 1又は 2に記載のマツト。

7 . 熱媒体が保冷剤である請求項 1又は 2に記載のマツト。

8 . 熱媒体が、 ハイド口ゲルである請求 1又は 2に記載のマット。