明 細 書 眼用 レンズ 技術分野 .
本発明は、 人眼の視力矯正や視力回復のために用い られる コ ンタ ク ト レ ンズゃ眼內 レンズ等の.眼用 レ ンズ と その製造方 法に係 り 、 特に回折面'を利用 した新規な構造の眼用 レ ンズ と その製造方法に関する ものである。 背景技術
良く 知 られている よ う に、' 人眼において視力を司る水晶体 は、 外傷や生活習慣, 遺伝, 加齢等の要因によ って、 その調 節能力が低下 した り 、 水晶体自 体の透明度等の特性が悪化す る こ と があ り 、 それに伴い、 例えば近視, 遠視, 老視等の屈 折異常や白内障等の問題'が発生して、 有効な視力が得られ難 く なる。 そ して、 そのよ う な場合の処置のために、 従来から 、 眼用 レ ンズが提供されている。 例えば、 角膜上に装着され る ソ フ ト タイ プやハー ドタイ プ等のコ ンタ ク ト レ ンズや、 眼 球内に装用 される前房 レンズや後房レンズ等の眼内 レンズが 、 それで る。
と こ ろで、 従来のコ ンタ ク ト レンズや眼内 レンズは、 一般 に、 P M M A (ポ リ メ チノレメ タ タ リ レ、一 ト ) やアク リ ル系樹 脂, ガラ ス, H E M A (ヒ ドロ キシェチルメ タ タ リ レー ト ) 等 と いっ た可視光線の透過率が高 く 人体に無害の光学材料を 用いて形成されて、 レンズの表面と裏面に屈折面を設けた屈
折レ ンズ と して提供されてい る。
と こ ろが、 このよ う な屈折レンズにおいては、 レ ンズ度数 のディ ォプタ値がマイ ナス側或いはプラス側に大き く なる と 、 レ ンズの最大厚さ が非常に大き く なる こ と が避け られなレヽ 。 そのために、 例えばコ ンタ ク ト レンズの場合には、 良好な 装用感が得られ難く 、 装用感を向上させるために全体に薄肉 化する と最小厚さ寸法が小さ く な り過ぎて強度や耐久性, 光 学性能の安定性な どを十分に.確保する こ と が難 し く なる等 と い う 問題があった。 また、 例えば眼用 レ ンズの場合には、 レ ンズ自体の最大厚さ寸法が大き く なる こ と に加えて、 眼内に 挿入する に際 して レンズを折 り 畳んだり ロ ールする (丸める ) こ と も難しく なる こ と 力 ら、 レンズ揷入のために角膜に施 す切開創を大き く しなければな らな く な り 、 術後の回復時間 が長 く なって患者の負担が大き く なった り 、 術後の角膜乱視 が発生し易いな ど と い う 問題があった。
なお、 こ の よ う な問題に対処するために、 例えば米国特許 第 5 2 8 1 2 9 4 号公報に記載されている よ う に球面状の屈 折面を径方向で分割する こ と によ り 、 環状の屈折面を レ ンズ 中心軸回 り に多数条分割形成したフ レネルレンズを採用する こ と に よ っ て コ ンタ ク ト レンズの最大厚さ寸法を抑える こ と も考え られるが、 屈折型の フ レネル レンズでは、 レ ンズ表面 に比較的大き な凹凸が形成されている こ と に起因 して、 良好 な装用感が得られ難い と い う 問題や、 凹んだ部分に入った異 物を取 り 除き難く 、 かかる異物が光学特性や衛生上の問題の 原因 と な ら ないよ う に取扱い等に注意する必要があった。
また、 米国特許第 4 8 2 8 5 5 8 号公報には、 上述の如き
屈折型のフ レネル レ ンズの凹凸面を別体形成された被覆プレ 一ト で覆 う こ と によ り、 レ ンズ表面を平滑化 した眼内 レ ンズ が開示されてい る が、 結局、 従来の フ レネル レ ンズは、 例え ば灯台の投光器のよ う に、 大き な ώ レンズの重量と 体積を節 約するために、 それをレ、 く つかの輪帯状の レンズに分割 した に過ぎないも ので、 比較的に大き な凹凸を持ち、 凸 レンズ と 略同 じ屈折レンズである こ と から、 大き な凹凸を形成するた めに耒だレ ンズ厚さ を十分に小さ く する こ と が難し く 、 特に 凹凸面を別体の被覆プレー トで覆 う と レンズ厚さが一層大き く なつて しま う と い う 問題があった.。
—方、 近年では、 特開平 2 — 2 4 9 6 3 1 号公報に開示さ れている よ う に、 回折作用を利用 して 目 的 とする レ ンズ'度数 を実現する回折型の眼内 レンズが検討される よ う になっ てき ている。 回折レ ンズその も のは、 例えば微細な穴や隔壁, 突 起物, 明暗パター ン, 屈折率変化等の光学的に障害と な り 得 る構造 (回折面) を レンズに作 り'込んだ、 従来から公知の光 学素子である。 しか .しなが ら、 回折レンズは、 意図する回折 特性を得る こ と の出来る格子構造の設計と その加工が極めて 難し く 少な く と も眼用 レンズと しての実用化には至っていな かっ たのであるが、 近年になって コ ンピュ ー タ の飛躍的な性 能向上と普及に加えて、' 微細加工技術も急激に進歩した こ と に伴い、 実用可能な技術レべルまで高め られてき ているので ある。
と こ ろが、 回折レ ンズでは、 回折面において複数次数の回 折光を生ずる こ と と な り 、 そのために、 正負の高次の回折光 が 目 的 とする焦点 と異なる位置に集束し或いは発散して、 特
に眼用 レンズでは、 コ ン ト ラ ス トゃ視認性を低下させて しま う. と い う 、 重大な問題があつたのである。
こ こ において、 本癸明は上述の如き事情を背景と して為さ れたものであって、 その解決課題とする と こ ろは、 レンズ度 数に拘わらず レ ンズ厚さ を小さ く する こ と が出来る と共に、 レンズ表面を平滑面とする こ と が可能で、 それによ つて、 良 好な光学特性を維持しつつ、 例えばコ ンタ ク ト レ ンズへの適 用に際して優れた装用感を達成 し得る一方、 例えば眼内 レ ン ズへの適用に際 して ロールや屈曲等を行っ て小 さ な切開創か ら眼内に挿入する こ と が可能と なる、 新規な構造の眼用 レ ン ズを提供する こ と にある。 発明の開示
以下、 こ の よ う な課題を解決するために為 された本発明の 態様を記載する。 ,なお、 以下に記載の各態様において採用 さ れる構成要素は、 可能な限 り 任意の組み合わせで採用可能で ある。 また、 本発明の態様乃至は技術的特徴は、 以下に記載 · の も の ίこ限定される こ と な く 、 明細書全体および図面に記載 され、 或いはそれら'の記載から当業者が把握する こ と の出来 る発明思想に基づいて認識される ものである こ と が理解され るべきである。 '
すなわち、 本発明の第一の態様は、 レ ンズ内部に少な く と も一対の回折面を形成 した眼用 レンズを、 特徴と する。 こ の よ う な本態様においては、 第一に、 眼用 レンズにおいて回折 作用を利用 して 目 的 とする光学特性を得る よ う に したこ と 力 ら、 従来の屈折作用を利用する眼用 レ ンズ '(屈折型のフ レネ
ル レ ンズを含む) に比 して、 レ ンズ厚さ を十分に小さ く する こ と が出来るの であ り 、 それ故、 例えばコ ンタ ク ト レンズに おいて優れた装用感ゃ強度, 耐久性等が レ ンズ度数に拘わ ら ず安定して実現可能 と なる と共に、 例えば眼内 レ ンズにおい て眼内に挿入する際にロールや折り 曲げ等で十分に小さ く す る こ と に よ り 角膜の切開創を小さ く 抑える こ と が可能と なる また、 回折面を レ ンズ内部に形成 したこ と から、 回折面の 構造の如何に拘わ らず、 レンズ表面を平滑化する こ と が出来 るのであ り 、 それ故、 レンズ表面の凹凸に起因する安全上や 光学上, 衛生上のあ ら ゆる問題が回避され得る。
しかも、 回折面を少な く と も一対形成 したこ と によ り 、 対 を為す一方の回折面を透過 した際に発生する高次の回折光を 、 他方の回折面を透過させる こ と で集束させる こ と が出来る のであ り 、 その結果、 目 的とする一次の回折光の集束効率を 向上させる と共に、 高次の回折光を低減させてフ レア光を抑 える こ と に よ り 、 コ ン ト ラ ス トゃ視認性を十分に実用的な レ ベルまで高める こ と が可能と なるのである。
なお、 本態様で採用 される対を為す回折面は、 透過光が両 方の回折面を順次に透過せしめ られる よ う に、 光路上で重な る状態で相対的に対向位置せしめる こ と が有効である。 また 、 本態様において採用 される一対の回折面は、 高次の回折光 を抑えて 目 的と する一次の回折光の割合を有利に向上させる ために、 相互に対応する回折特性を備えたものが望ま しい。 なお、 回折.面と しては、 例えば微細な穴や隔壁, 突起物, 明 暗パター ン',' 屈折率変化等の光学的に障害と な り 得て、 透過
光に対 して回折作用 を及ぼし得る各種.の構造が採用可能であ り 、 回折格子等を含む概念である。
また、 本発明の第二の態様は、 前記第一の態様に係る眼用 レンズにおいて、 屈折率の異なる光学層を レ ンズ厚さ方向に 積層 して、 それ ら光学層の界面において前記'回折面の少な く と も一つを形成 したこ と を、 特徴とする。 本態様においては 、 光学層の界面を利用 して、 例えば特開平 2 — 2 4 9 6 3 1 号公報に記載されている如き凹凸面形状の回折面や、 例えば 特開平 7 — 2 8 1 0 1 5 号公報に記載されている如き平坦面 形状の積層型回折面な どを、 レ ンズ内部で光学層を挟んだ両 側に対.を為す状態で有利に形成する こ と が可能と なる。 なお 、 本態様における光学層は、 積層 される界面間で相互に屈折 率が異なっ ていれば良く 、 従って、 例えば二種類以上の屈折 率を有する光学層を 3層以上重ね合わせる こ と によ って、 界 面において一対以上の回折面を形成する こ と が可能である。
また、 本発明の第三の態様は、 前記第二の態様に係る眼用 レンズにおいて、 気体または液体が内部に封止 される こ と に よ り 、 前記光学層の少な く と も一つが気体層または液体層 と されている こ と を、 特徴とする。 本態様においては、 実質的 に変形強度を有しない気体層や液体層で光学層が形成される こ と 力ゝら、 眼用 レンズの全体剛性を小さ く 設定する こ と が可 能と な り 、 例えば眼内に挿入する際のロールや折 り 曲げ等を 一層容易に行な う こ と の出来る眼内 レ ンズ等が有利に実現さ れ得る。
また、 本発明の第四の態様は、 Ιίί記第一乃至第三の何れか の態様に係る眼用 レ ンズにおいて、 薄肉の固体プレー ト を レ
ンズ内部に埋設せしめて、 該固体プレー ト によって前記回折 面を形成 したこ と を、 特徴とする。 本態様においては、 固定 ブ レ一 ト で回折面が形成される こ と から、 回折面の形状ゃ特 性の安定性が向上されて、 目 的 とする光学特性をよ り 高精度 に得る こ と が可能と なる。 特に、 かかる 固体プレー ト は レン ズ内部に埋設配置される こ と によ り 生体への直接の接触を回 避する こ と が可能である こ と等から、 材料等の選択に際 して 大き な 自 由度が実現される。 なお、 本態様において も、 第三 の態様に係る気体層や液体層の光学層を併せて採用する こ と が可能であ り 、 気体層や液体層の光学層を固定プ レー ト によ つて形成された光学層 と レ ンズ光軸方向で重ね併せて配設す る こ と によ り 、 一対或いは二対以上の回折面を形成 して も 良 レヽ 0 . .
また、 本発明の第五の態様は、 前記第四の態様に係る 眼用 レンズであ っ て 、 前記固体プ レー ト がホ ロ グラ フ ィ ーフ ィ ノレ ムである こ と を、 特徴とする。 本態様におい.ては、 レーザ光 や電子線等を利用 して フ ィ ルム上に回折面を高精度に形成す る こ と が出来る のであ り 、 高精度な光学特性が有利に実現'可 能と なる。 しかも、 薄肉のフイ ノレム上に形成される こ と 力 ら 、 眼用 レ ンズの層厚さ を十分に薄く する こ と が出来る と共に 、 乱視や老視の矯正な どに際 して、 部分的に異な る レ ンズ度 数が要求される よ う な場合にも 、 眼用 レ ンズの成形用型等を 変更する こ と な く 容易に対応する こ と が可能と なる。 なお、. 本態様においても、 第三の態様に係る気体層や液体層の光学 層の他、 第四の態様に係る固体プレー ト を、 適宜に組み合わ せて採用する こ とが可能であ り 、 それによつて全体と して一
対或いは二対以上の回折面を形成 しても良い。
また、 本発明の第六の態寧は、 前記第四の態様に係る服用 レンズであって、 前記固体プレー ト の両側に形成される、 該 固体プレー ト と 屈折率の異なる光学層 と の界面によ ってそれ ぞれ前記回折面を形成したこ と を、 特徴'と する。 本態様にお いては、 固体プ レー ト を物理的に挟んだ両側に回折面が形成 される こ と から、 それら両回折面の形成面が相互に直接に干 渉する こ と が防止される のであ り 、 それ故、 例えば眼用 レ ン ズの敢扱いに際 して レンズを湾曲や屈曲 させた際に も、 回折 面が相互に直接に干渉して損傷する よ う なこ と もない。
また、 本発明の第七の態様は、 前記第一乃至第六の何れか. の態様に係る眼用 レンズにおいて、 前記回折面が、 略同心円 状に延びる多数状のパター ンで形成されている こ と を、 特徴 とする。 本態様においては、 人眼の屈折異常に対 して特に効 果的な矯正作用を発揮し得る光学特性が実現可能と なる。
また、 本発明の第八の態様は、 前記第七の態様に係る眼用 レンズにおいて、 前記パタ ーンの径方向での間隔が、 径方向 外方に行く に従って次第に小さ く されている こ と を、 特徴と する。 本態様においては、 回折面によ る回折光を 目 的と する 焦点に対 して一層効率的に集光させる こ と の出来る 眼用 レ ン ズがよ り 効果的に実現可能と なる。
また、 本発明の第九の態様は、 前記第 1 乃至第八の何れか の態様に係る眼用 レンズにおいて、 少な く と も一つの屈折面 が形成されている こ と を、 特徴とする。 本態様においては、 レンズを透過する光線に対して.、 回折面によ る回折作用 と 屈 折面によ る屈折作用が重ねて及ぼされる のであ り 、 それに よ
り 、 回折作用に基づく 光学特性と屈折作用に基づ く 光学特性 を相補 う よ う に利用 して、 目 的 とする光学特性を よ り 高度に 且つ容易に実現する こ と が可能と なる。
また、 本発明の第十の態様は、 前記第九の態様に係る眼用 レ ンズであ っ て、 前記屈折面が、 前記回折面に対 して レ ンズ 光軸方向で重なる よ う に形成されている こ と を、 特徴とする 。 このよ う な本態様においては、 光学特性の --つ と しての色 収差に関 して、 回折作用 と 屈折作用で反対方向の収差が発生 する こ と 力ゝ ら、 それら を相殺させる よ う に して、 色収差を低 減する こ と も可能と なる。
また、 本発明の第十一の態様は、 前記第九の態様に係る眼 用 レンズであって、 レンズ中央部分と外周部分の何れか一方 に前記屈折面が形成されている と共に、 それら レ ンズ中央部 分と外周部分の他方に前記回折面が形成されている こ と を、 特徴とする。 このよ う な本態様にあっては、 大き な レ ンズ度 数 (マイ ナス側と プラ ス側の何れも含む) .の眼用 レ ンズにお いて、 中央部分と外周部分の何れか、 目 的 とする レ ンズ度数 を屈折作用で得よ う とする と厚肉 と なる一方の側で回折面を 利用する こ と によ り 、 眼用 レ ンズの最大厚ざを抑える こ と 力 s 出来る と 共に、 それ程厚肉 と な らない他方の側で屈折力を利 用する こ と によ り 、 高度な集光効果等と い う 屈折レ ンズによ る利点が享受 され得る。 ―
また、 本発明の第十二の態様は、 前記第一乃至第十一の何 れかの態様に係る眼用 レンズにおいて、 前記対を為す回折面 を、 レ ンズ光軸方向で 0 . 0 1 mm〜 1 . 0 0 ram の距離を隔て て対向位置せしめたこ と を、 特徴とする。 本態様においては
、 対を為す一方の回折面によ る高次の回折光を他方の回折面' で集束させて、, 両者によって一次の回折光を '一層効率的に得 る こ と が可能と なる。
また、 本発明の第十三の態様は、 前記第一乃至第 +二の何 れかの態様に係る眼用 レ ンズにおいて、 レ ンズ光軸方向の最 大厚さ を 0 . 0 5 mn!〜 1 . 5 ◦ mm と したこ と を、 特徴とする 。 本態様においては、 レ ンズの厚さ寸法だけでな く レ ンズの 重量も十分に小さ く 抑える こ と が出来るのであ り 、 それに よ つ て、 コ ンタ ク ト レ ンズ と 眼内 レ ンズの何れにおいて も 、 良 好な装用性や装用状態下での安定性な どが高度に達成され得 る。 なお、 本態様において、 よ り 好ま し く は、 レン X光軸方 向の最大厚さが 0 . 1 0 mn!〜 1 . 0 0 mm と される。
また、 本発明の第十四の態様は、 前記第一乃至第十三の何 れかの態様に係る眼用 レンズであって、 ロ ール可能 と されて 、 ロ ール状態で眼球内に挿入する こ と の出来る眼内 レンズで ある こ と を、 特徴と する。 本態様に従 う構造と された眼内 レ ンズにおいては、 前記第一乃至第十三の何れかの態様に従 う 特性構造の眼用 レ ンズを採用 したこ と によ り 薄肉で小径に 口 ールする こ と が出来るのであ り 、 それ故、 眼球内に挿入する に際 しての角膜への切開創を十分に小さ く する こ と が可能 と なって、 患者の負担も軽減され得るのである。
また、 本発明の第十五の態様は、 前記第一乃至第十四の何 れかの態様に係る眼用 レンズであっ て、 薄肉の固体プ レー ト を レ ンズ内部に埋設配置せ しめて、 該固体プレー ト .によ って 前記回折面を形成する と共に、 光学部を有する レ ンズ本体か ら外方に突出 して該 レ ンズ本体を前記眼球に対 し て位置決め
する支持部を該固体プ レー ト に -一体形成した眼内 レ ンズであ る こ と を、 特徴とする。 本態様に従 う構造と された眼内 レ ン ズにおいては、 固定プレー トで回折面を形成したこ と によ り 、 回折面の特性が安定して発揮されて 目 的 とする回折効果を 高精度に得る こ と が出来る と共に、 かかる固定プレー ト を巧 く 利用する こ と によ り 、 眼内 レ ンズを眼内の所定位置に保持 せしめる支持部を、 容易に且つ高強度に形成する こ と が可能 と なるのである。
また、 本発明の第十六の態様は、 前記第一乃至第十三の何 れかの態様に係る眼用 レ ンズであっ て、 一方の レンズ表面が 略球状凹面と される と共に、 他方の レンズ表面が略球状凸面 と された コ ンタ ク ト レンズである こ と を、 特徴と する。 本態 様に従 う 構造と されたコ ンタ ク ト レンズにおいては、 前記第 ' 一乃至第十三の何れかの態様に従 う 特性構造の眼用 レ ンズを 揉用 したこ と に よ り 、 薄肉で且つ レンズ内外面に適当な略球 面形状を大き な 自 由度で設定する こ と が出来るのであ り 、 そ れ故、 良好な光学特性を確保 しつつ、 優れた装用感が容易に 実現可能 と なる のである。
さ らに、 上述の如き本発明の第一乃至第十六の何れかに係 る眼用 レ ンズの製造方法に関する本発明の特徴とする と こ ろ は、 ( a ) 回折面が形成された薄肉の固体プレー ト を準備す る工程と 、 ( b ) 該固体プレー ト を眼用 レンズの成形キヤ ビ テ ィ における所定位置にセ ッ トする工程と 、 ( c ) かかる成 形型の成形キヤ ビテ ィ に光学層の成形用のモノ マ材料を充填 する工程と 、 ( d ) かかるモ ノ マ材料を重合せしめて光学層 を形成する と 同時に前記固体プ レー ト を該光学層に一体的に
固着する工程と を、 含んで眼用 レンズを製造する こ と を、 特 · 徴とする。
こ の よ う な'本発明方法に従えば、 回折面を備えた固体プレ 一 ト に対 して、 別の光学層を高精度に密接状態で積層形成す る こ と が出来るのであ り .、 それ故、 内部に少な く と も一対の 回折面を備えた眼用 レンズを、 容易に且つ高精度に製造する こ と が可能と なる のである。
また、 本発明方法に従えば、 固体プ レー ト の表面に ミ ク ロ ンオーダやサブ ミ ク ロ ンオーダの如き微小な凹凸が付されて いる よ う な場合でも、 固定プレー ト の表面に高度な密着状態 で光学層を形成する こ と が出来るのであ り 、 それ故、 固体プ レー ト と その表面に形成される別の光学層 と の界面に凹凸等 によ る回折面が形成される場合でも、 目 的 とする回折効果を 安定して得る こ と が可能と なる。 . 図面の簡単な説明
第 1 図は、 本発明の第一の実施形態と し ての眼內 レンズを 示す正面図である。 第 2 図は、 第 1 図の右側面図である。 第 3 図は、 第 1 図に示された眼内 レ ンズにおける光学部の縦断 面図であって、第 1 図の I I I 一 I I I 断面に相当する 図である。 第 4 図は、 第 3 図における I V— I V 断面図である。 第 5 図は、 第 1 図に示 された眼内 レンズの人眼へ'の装着状態を示す説明 図である。 第 6 図は、 本発明の第二の実施形態 と しての眼内 レンズの光学部を示す縦断面図である。 第 7 図は、 第 6 図に おける V I I — V I 断面図である。 第 8 図は、 本発明の第三の実 施形態と しての眼内 レンズの光学部を示す縦断面図である。
第 9 図は、 本発明の第四の実施形態と しての眼内 レ ンズの光 学部を示す、 第 4 図に対応する断面図である。 第 1 0 図は、 本発明の第五の実施形態と しての眼内 レンズの光学部を示す、 第 4 図に対応する断面図である。 第 1 1 図は、 本発明の第六 の実施形態 と しての眼内 レ ンズの光学部を示す、 第 4 図に対 応する断面図である。 第 1 2 図は'、 本発明の第七の実施形態 と しての眼内 レンズの光学部を示す縦断面図である。 第 1 3 図は、 本発明 の第八の実施形態と して の コ ンタ ク ト レ ンズを 示す縦断面図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を更に具体的に明 らかにするために、 本発明 の実施形態について、 図面を参照 しつつ、 詳細に説明する。
先ず、 第 1 図及び第 2 図には、 本発明の第一の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 1 0 が、 正面図および右側面図 と して概略 的に示されてい る。 これら の図カゝら明 らかなよ う に、 眼内 レ ンズ 1 0 は、 レ ンズ本体と なる光学部 1 2 と 、 眼内において 該光学部 1 2 を位置決め支持せ しめる支持部 1 4 , 1 4 を含 んで、 構成されてい る。
' よ り 具体的には、 光学部 1 2 は、 所定厚さ の略円板形状を 有している。 一方、 支持部 1 4 , 1 4 は、 細長いロ ッ ド形状 を呈してお り 、 光学部 1 2 における周縁部の互いに径方向で 対向位置する 2 箇所から、 それぞれ接線方向に傾斜 して、 互 いに反対方向に向かって所定寸法で延び出 して形成されてい る。 また、 これら一対の支持部 1 4 , 1 4 の先端.部分は、 光 学部 1 2 の周方向に湾曲 しで延びる よ う に成形されてお り 、
各先端縁部が無接続の 自 由端と されている。
また、 光学部 1 2 は、 第 3 図に縦断面図が示されている よ う に、 薄肉の略円板形状を有する 固体プ レー ト と しての中央 プ レー ト 1 6 と 、 該中央プ レー ト 1 6 を厚さ方向両側から挟 み込むよ う に して重ね合わせられた一対の カノく一層 1 8 , 1 8 .を含んで構成されている。 これら 中央プレー ト 1 6 と カ ノく 一層 1 8 , 1 8 は、 何れも可視領域の光線に対 して透光性を 有してお り 、 全体と して 3 つの光学層を構成 している。
特に、 中央プ レー ト 1 6 は、 第 4 図に正面図が示されてい る よ う に、 表裏両面に対して、 中心軸 2 0 の回 り に同心的に 延びる多数の微小の環状凹凸を形成する こ と に よ り 、 全体と してキ ノ フ ォーム様の光学素子と されてレ、る。 また、 中央プ レー ト 1 6 には、 外周縁部から外方に向かって突出する状態 で、 前記一対の支持部 1 4 , 1 4 がー体形成されている。 即 ち、本実施形態では、中央プレー ト 1 6 が--対の支持部 1 '4 , 1 4 を備えた一体成形品にて構成されているのである。
そ して、 こ の中央プレー ト 1 6 を全体に亘っ,て覆 う よ う に 被覆材 2 2 が設け られてお り 、 かかる被覆材 2 2 に よっ て、 中央プ レー ト 1 6 の表裏両面には、 それぞれの面を密着状態 で覆 う 略円板形状の一対のカバー層 1 8 , 1 8 が形成されて いる。 また、 こ の被覆材 2 2 は、 中央プ レー ト 1 6 を、 そ の 表裏両面だけでな く 外周面も含めて覆ってお り 、 一対のカバ —層 1 8 , 1 8 が外周縁部で相互に連結されて --体形成 され ている。 そ して、 中央プレー ト 1 6 と被覆材 2 2 によ っ て協 働して、 全体と して略一定厚さ寸法を有する 円板形状の光学 部 1 2 が構成されている。 また、 被覆材 2 2 を貫通 して、 中
T 膽 44
-15- 央プレー ト 1 6 に一体形成された - 対の支持部 1 4 , 1 4 が 外部に突出位置せ しめ られている c
こ の よ う に、' キ.ノ フ ォーム様の光学素子と された中央プレ ー ト 1 6 の表裏両面に対してカバー層 1 8, 1 8 が密着状態 で重ね合わされて形成される こ と によ り 、 中央プレー ト 1 6 の表裏両面とカバー層 1 8, 1 8 と の界面 2 4, 2 4 におい て、 回折作用を発揮する回折面と しての回折格子が形成され ている。 なお、 図面上では判 り 易 く するために、 中央プレー ト 1 6 の表裏両面における凹凸を誇張して図示 しているが、 実際には、 目 的 とする回折効果が発揮される よ う に'、 一般に
、 公知の下式な.どに従つて設計される こ と と なる。
R m = ( m 2 。 2 + 2 m i 。 )
但し、 R mは、 フ レネル形状で同心的に周方向に延ぴる各 輪帯の レ ンズ中心軸 2 0 からの半径寸法 (輪帯半径) であ り 、 mは各輪帯の径方向幅寸法であ り 、 λ 。は設計波長であ り 、 f は焦点距離である。 従っ て、 一つの焦点距離を得る場合に は、 一般に、 各輪帯の径方向幅寸法 : mの値は、 径方向外方 に行く に従つて小さ く なる よ う に される。
そ して、 上述の如き構造と された眼内 レ ンズ 1 0 は、 例え ば第 5 図に示されている よ う に人眼 2 6 の角膜 2 8 の一部を 切開 して、 そ こ か ら眼内に差し入れる こ と によ り 、 図示され ている如き後房や、 或いは前房内の光路上に収容状態で装着 される こ と と なる。 なお、 かかる装着状態下では、 一対の支 持部 1 4 , 1 4 が嚢な どの眼組織に当 ·接せ しめ られて、 光学 部 1 2 を眼内の所定位置に支持せ しめる よ に される。
そ こにおいて、 本実施形態の眼内 レンズ 1 0 においては、 .
P T/JP03/06944
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光路上で中央プ レー ト 1. 6 を挟んで重ね合わせられた状態で 対向配置された一対の回折格子によ る回折作用の結果、 透過 光の 目 的 と する焦点への集光が効率的に実現され得て、 目的 とする レ ンズ度数が有利に実現され得る と共に、 優れたコ ン ト ラ ス トや視認性も発揮される のである。
しかも、 上述の如き眼内 レンズ 1 0 では、 回折作用を利用 している こ と から、 屈折作用を利用する従来構造の眼内 レン ズに比 して最大厚さ を十分に小さ く して全体を略一定厚さ の 薄肉のプレー ト形状とする こ と が出来るのであ り 、 それ故、 ロ ール状に卷いた り 、 折 り 畳むよ う に して湾曲乃至は屈曲 さ せる こ と によって、 十分に小さ く する こ と が容易 と なる。 従 つ て、 眼内に挿入する際に角膜等に形成される切開創を小さ く 抑え る こ と が可能と なって患者の負担が大幅に軽減され得 る のであ る 。 .
また、 特に本実施形態の眼内 レ ンズ 1 0 においては、 中央 プレー ト 1 6 の表裏両面に回折格子が形成されている こ と か ら、 回折格子が互いに或いは他部材に対して干渉する こ と が な く 、 眼内 レ ンズ 1 0 の変形等に際 して も回折格子の形状が 高精度に維持されて、 目 的 とする光学特性が安定 して発揮さ れ得るのである。
更にまた、 回折格子を形成するための凹凸が付された中央 プレー ト 1 6 の表裏両面は、 カバー層 1 8 によって前面が覆 われてお り 、 カバー層 1 8 で形成された眼内 レ ンズ 1 0 自 体 の表裏両;面は、 何れも十分に平滑な面と されている こ と から 、 レンズ表面への異物の付着に起因する光学特性の低下や、 レンズ表面の生組織への接触に起因する人体への悪影響な ど
も、 有利に回避され得る のである。
加えて、 本実施形態の眼内 レ ンズ 1 0 では、 一対の支持部 1 4 , 1 4 が、 光学部 1 2 を形成する中央プレー ト 1 6 と一 体形成されている こ と から、 支持部 1 4 を光学部 1 2 に後固 定する ための微細加ェが不要と なって眼内 レンズ 1 0 の製造 · が容易になる と 共に、 支持部 1 4 , 1 4 の光学部 1 2 への取 付部位における強度も有利に且つ安定して得る こ と が出来る 。 なお、 支持部 1 4 , 1 4 の具体的形状は、 何等限定される も のでないこ と は、 言 う までもない。 また、 眼内 レ ンズ 1 0 の外周緣部を捕強や保護等した り 、 或いは中央プ レー ト 1 6 力 ら別体形成された支持部 1 4 , 1 4 を高強度に取 り 付ける な どの 目 的で、 眼内 レンズ 1 0 の光学部を除く 外周縁部だけ を捕強する補強被覆材な ど、 各種の付加的な構成は、 必要に 応 じて適宜に採用可能である。
なお、 上述の如き構造と された眼内 レ ンズ 1 0 において光 学部 1 2 や被覆材 2 2 を与える材料と しては、 可視光線に対 する透明性が高く 可撓性を有する も のが望ま し く 、 人体への 影響等を考慮して従来から公知の ものが適宜に用い られ得る こ と と なる。 そこ において、 回折の他、 反射や屈折等ま で考 えて、 中央プレー ト 1 6 と カバー層 1 8 における屈折率の相 違にっレ、て も考慮する こ と が望ま し く 、 例えば、 光学部 1 2 と カバー層 1 8 に関 して、 屈折率が 1 . 4 0 〜 : I . 7 0 程度 の高屈折率の材料と 、 屈折率が 1 . 3 2 〜 1 . 6 0程度の低 屈折率の材料を組み合わせて、 回折格子の両側で屈折率が異 なる よ う に設定する こ と が望ま しい。
具体的に例示する と 、 光学部 1 2 や被覆材 2 2 と しては、
何れも、 高屈折率の材.料.と して、 ポ リ カーボネー ト , ポ リ イ ミ ド, P M M Aや芳香族を有する (メ タ) アタ リ レー ト等が 好適に採用 される一方、 低屈折率の材料と して、 シ リ コ ン系 ラバー, P M M Aやフ ッ素を含有する (メ タ) ア タ リ レー ト 等が好適に採用 される。
更にまた、 前記実施 :形態では、 中央プ レー ト 1 6 が固体プ レー ト材で形成されていたが、 その他、 かかる 中央プレー ト 1 6 は、 被覆材 2 2 で完全に被覆する こ と で外部か ら遮断さ れた内部の密閉領域に配設される こ と から、 例えば気体や液 体からなる光学層で形成する こ と も可能である。 その場合に は、 かかる 中央プレー ト 1 6 の材料と して、 例えば高屈折率 の も の と しては、 ァニ リ ンやグ リ セ リ ン, 四塩化炭素, ジ ョ 、一 ドメ タ ン, セダ油, ノ、。 ラ フ ィ ン油, ブロモナフ タ レ ン, ベ ンゼン等が好適に採用 きれる一方、 被覆材 2 2 と しては、 シ リ コ ンオイ ノレ , ェ チ ノレ ア ノレ コ ー ノレ, ジェ チノレエ ー テ ノレ, 水, メ チルアル コ ール,' 空気等が好適に採用 される。
なお、 前述の如き材料から 目 的 とする眼內 レ ンズ 1 0 を製 造するに際 しては、 例えば、 中央プレー ト 1 6 を単体で製作 し、 その後、 該中央プレー ト 1 6 の周囲にカバー層 1 8 を形 成する手法が、 好適に採用 される。
そ こに'おいて、 中央プレー ト 1 6 は、 目 的 とする表裏面を 与える'成形面を有する成形キヤ ビテ ィ を備えた成形型を用い て射出成形する こ .と も考え られるが、 表裏面の微細な凹凸を 高精度に形成するために、 射出圧縮成形や射出プ レス成形が 好適に採用 される。. また、 平坦な表裏面を備えた中央プ レー ト · 1 6 の基板を成形 した後、 その表裏面に レーザ光等を利用
した後加工を施すこ と によ り 、 目的 とする 凹凸を形成して中 央プレー ト 1 6 とする こ と も可能である。 或いはま た、 目 的 とする表裏面を与える成形面を有する成形キヤ ビテ ィ にモノ マ材料を充填し、 紫外線照射や加熱等の重合処理を施すこ と によ って中央プ レー ト 1 6 を成形する こ と も可能である。 な お、 中央プレー ト 1 6 は、 一対の支持部 1 4 , 1 4 を一体的 に備えた一体成形品 と して形成される こ と と なる。
そ して、 このよ う に して得られた中央プレー ト 1 6 を、 目 的 とする被覆材 2 2 の外形形状に対応 した成形面を有する成 形キヤ ビティ を備えた成形型にセ ッ トする。 なお、 かかるセ ッ ト に際しては、 例えば中央プ レー ト 1 6 に一体形成された 一対の支持部 1 4 , 1 4 を成形型で挟持する こ と に よ り 、 中 央プレー ト 1 4 を成形キヤ ビティ 内の略中央部分に位置決め 保持せしめる。 そ して、 かかる状態下で被覆材 2 2 の成形材 料を成形キヤ ビティ に充填 して成形固化せ しめる こ と によ り 、 中央プレー ト 1 6 の表裏面にカバ、—層 1 8 , 1 8 がー体的 に形成された 目 的とする眼内 レンズ 1 0 を得る こ と が出来る なお、 被覆材 2 2 の成形は、 射出成形等に よ つて行な う こ と も可能であるが、 例えば被覆材 2 2 の成形用モノ マ材料を 成形キヤ ビティ に充填 し、 その後、 紫外線照射や加熱等の適 当な重合処理を施すこ と によ っ て被覆材 2 2 を形成する こ と が望ま し く 、 それに よつて、 中央プレー ト 1 6 の表裏面に形 成された微細な凹凸にまで入 り 込んで密着状態と されたカバ 一層 1 8 を容易に且つ安定して製造する こ と が可能 と なる。
以上、 本発明の一実施形態と しての眼内 レンズ 1 0 につい
て詳述してき たが、 これはあ く までも例示であって、 本発明 は係る実施形態の具体的な記 '載によって何等限定的に解釈さ れる も のでな く 、 当業者の知識に基づいて種々 なる変更, 修 正、 改良等を加えた態様において実施され得る も の であ り 、 また、 そのよ う な実施態様が、 本発明の趣旨を逸脱 しない限 り 、 何れも、 本発明の範囲内に含まれる こ と が理解されるべ きである。
例え'ば、 第 6 図及び第 7 図に示されている よ う に、 中央プ レー ト 1 6 の中心軸 2 0 上に所定径の透孔 3 2 を形成し、 こ の透孔 3 2 に被覆材 2 2 を充填する こ と に よ って、 光学部 1 2 の中央部分において、 被覆材 2 2 の単層から なる屈折型の 光学レンズ 3 4 を形成 して も良い。 このよ う な本発明の第二 の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 3 6 においては、 中央部分に 屈折面 3 8 , 3 8 を有する光学レンズ 3 4 が形成されてい る と 共に、 外周部分に回折格子を有する光学 レ ン ズ 4 0 が形成 されてお り 、 それらが協働 して 目 的 と する光学特性を発現す る よ う になってレ、る。
本実施形態の眼内 レンズ 3 6 においては、 レ ンズの最大厚 さ を抑えつつ、 屈折型の光学レンズ 3 4 を採用する こ と が可 能であ り 、 それによって、 例えば、 回折型レンズに比 して設 計が容易で技術が高度に確立されてい る屈折型 レ ンズを用い て光学特性の設計自 由度を大き く 確保する こ と が出来る と い ' う利点がある と共に、 二つの光学レ ンズ 3 4 , 4 0 に対して 互いに異なる焦点距離を設定する こ と によ り 、 パイ フォー力 ルレンズや多焦点 レンズが有利に実現され得る。 更にまた、 眼内 レンズ 3 8 の中央部分が単一材で形成される こ と から、
中央プ レー ト 1 6 が軟質材ゃ気体, 液体等である場合でも、 眼内 レ ズ 3 8 の湾曲性を十分に '確保しつつ、 全体強度を有 利に得る こ と が出来る と共に、 中央の光学 レンズ 3 4 によ つ て一層安定 した光学特性が発揮される といった利点もある。
また、 第 8 図に示 されている、 本発明の第三の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 4 2 においては、 中央プ レー ト 1 6 と各力 バー層 1 8 , 1 8 と の界面 2 4 , 2 4 および各カ ノく一層 1 8 , 1 8 で形成された光学部 1 2 の レンズ表裏面 4 4 , 4 4 の何 れもが、 全体と して凸 レンズ形状を与える よ う に中心軸 2 0 上で軸方向外方に向かって略球面状に凸 と されている。
こ の よ う な本実施形態の眼内 レ ンズ 4 2 においては、 界面 2 4 , 2 4 に形成された一対の回折格子の回折作用に加えて 、 それら界面 2 4 , 2 4やレンズ表裏面 4 4 , 4 4 によ る屈 折作用が発揮される こ と と な り 、 回折作用 と 屈折作用の両者 を適当 に調節する こ と が出来る こ と から、 光学特性の調節 自 由度が大き く なる。
また、 第 9 図に示 されている、 本発明の第四の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 4 6 においては、 光学部 1 2 の内都に 2 枚 の中央プレー ト 1 6 , 1 6 が埋設されてお り 、 それら 中央プ レー ト 1 6 , 1 6 と 3 つのカバー層 1 8 , 1 8 , 1 8 によ つ て、 合計 5 つの光学層が、 中心軸 2 0 の方向に積層形成され てレヽ る
こ の よ う な本実施形態の眼内 レ ンズ 4 6 においては、 各中 央プレー ト 1 6 と各カバー層 1 8 の界面 2 4 において、 合計 2対の回折格子が形成されてお り 、 各対を為す 0折格子が互 いに光線の透過方向 (中心軸 2 0 の方向) で重ね合わせられ
て対向配置されている こ と から、 それぞれの回折格子によ る 回折効果が有効に発揮されて全体と して大き な回折作用が発 揮される と共に、 高次の回折光が抑え られて、 全体と して 目 的とする 1 次の回折光を高効率に得る こ と が可能と なる ので ある。 また、 本実施形態の眼内 レンズ 4 6 は、 前記第三の実 施形態 と 同様に、 全体と して凸 レ ンズ形状と されて界面 2 4 , 2 4やレ ンズ表面 4 4 , 4 4 で屈折面が形成されている こ と から、 回折作用に加えて屈折作用によ る光学効果も発揮さ れ'得る。 '
また、 第 1 0 図に横断面説明図が示されている、 本発明の 第五の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 4 8 は、 界面 2 4 を形成 する 中央プ レー ト 1 6 およびカバー層 1 8 の両者に形成され た回折格子が、 中心軸 2 0 の回 り で同心円状と されている が'、 互いに直交する径方向でピッチ (輪帯半径および輪帯幅寸法 ) が異な らせられている。 こ の よ う に輪帯半径等を部分的に 異な らせる こ と によって、 円柱レ ンズ度数を設定した り 、 部 ' 分的に異なる レ ンズ度数を付与 して多焦点 レ ンズ等を実現す る こ と も可能 と なる のである。 ' ·
' また、 第' 1 1 図に横断面図が示されている、 本発明の第六 の実施形態と しての眼内 レ ンズ 5 0 は、 中心軸 2 0 回 り の周 方向で部分的に中央プレー ト 1 8 が配設されている。 即ち、 中央プ レー ト 1 8 は、 所定の中.心角 を有する扇形の平面形状 と された分割プ レー ト 5 2 , 5 2 力 ら構成されている。また、 光学部 1 2 において、 これら分割プレー ト 5 2 , 5 2 が配設 されていない部分は、 被覆材 2 2 のみから形成された単体レ ンズと されてお り 、 図面上で必ずし も明確ではないが、 例え
ば屈折型の光学レ ンズが形成されてい る。 こ の よ う に回折格 子を周方向で部分的に形成する こ と によ り 、 局部的に異な る レンズ度数を設定する こ と が可能と な り 、 レンズの設計自 由 度が大き く され得、 例えばバイ フ ォ ーカル レンズや多焦点 レ ンズ等の設計に有利と なる。
また、 第 1 2 図に縦断面図が示されている、 本発明の第七 の実施形態 と しての眼内 レ ンズ 5 6 は、 中央プ レー ト —ί 6 と してホロ グラ フ ィ ーフ イ ノレムを採用 した場合の概略図である。 即ち、 ホ ロ グラ フ ィ ー フ ィ ルムを用レ、る と 、 極めて薄肉のフ イ ルムに物理的な凹凸を付する こ と な く 回折面と しての回折 格子を形成する こ と が可能であ り 、 感光性のフ ィ ル ム (フォ ト リ フ ラ ク ティ ブ結晶からなる フ イ ノレムを含む) 〖こ対して光 ( レーザや電子線を含む) を照射 して所定パター ンの回折格 子を形成する こ と が出来る のである。 それ故、 所定の回折格 子を形成 したホ ロ グラ フ ィ 一フ ィ ルム力 らなる 中央プレー ト 1 6 , 1 6 の一対を中心軸 2 0 の方向で対向配置する よ う に して光学部 1 2 内に埋設する こ と によ り 、 第一-の実施形態と 同様な効果を得る こ と が出来る のである。 しかも、 ホロ ダラ フ ィ ーフ ィ ルムを採用する こ と によ り 、 回折格子を一層高精 度に形成する こ と が出来る と共に、 回折格子の変更も容易 と なる等の利点がある。
' さ ら に、 第 1 3 図には、 本発明の第八の実施形態と しての コ ンタ ク ト レンズ 5 8 の縦断面図が示されてい る。
かかる コ ンタ ク ト レンズ 5 8 は、 全体が光学部 1 2 から構 成されてお り 、 この光学部 1 2 の表面は、 略球状の凸面形状 と.されている一方、 該光学部 1 2 の裏面は、 略球状の凹面形
状と されている。 また、 かかる光学部 1 2 には、 第一の実施 形態 と 同様に、 中央プ レー ト 1 6 が設け られてお り 、 該中央 . プレー ト 1 6 の全体が被覆材 2 2 で覆われて、 被覆材 2 2 の 内部に中央プレー ト 1 6 が埋設配置きれている。 これによ り 、 コ ンタ ク ト レ ンズ 5 8 力 S、 中央プ レー ト 1 6 と 、 被覆材 2 2 で形成されて中央プレー ト 1 6 の表裏に重ね合わされた一 対のカバー層 1 8 , 1 8 からなる 3 つの光学層を有する積層 構造をも っ て形成されてい る。 ·
そ こ において、 中央プレー ト 1 6 は、 全体と して略球状の 湾曲形状と されているが、 第一の実施形態と 同様に、 表裏両 面に対して、 中心軸 2 0 を中心 とする同心円状に延びる多数 状の凹凸が形成されてキノ フ ォーム様の光学素子と されてい る。 また、 カバー層 1 8 , 1 8 も、 全体と して略球状の湾曲 形状と されているが、 第一の実施形態と 同様に、 中央プ レー ト 1 6 の表裏両面に対して密着状態で重ね合わされて形成さ れてお り 、 それによ つて、 中央プレー ト 1 6 の表裏両面 と 力 バー層 1 8 , 1 8 と の界面 2 4, 2 4 において、 回折作用 を 発揮する一対の回折格子が形成されている。
なお、 コ ンタ ク ト レ ンズ 5 8 の表裏面を形成するカ ノく一層 1 8, 1 8 の外面は、 何れも全体に亘つ て平滑な湾曲表面と されている こ とや、 中央プレー ト 1 6 の表裏両面の凹凸は、 図面上では判 り 易 く するために誇張して図示 してレ、る こ と等 は、 何れも、 第一の実施形態 と 同様である。 また、 本実施形 態において、 中央プ レ一ト 1 6 および被覆材 2 2·の材質や、 コンタ ク ト レンズ 5 8 の製造方法等について も、 第一の実施 形態のものに従 う 。
こ のよ う な構造と されたコ ンタ ク ト レ ンズ 5 8 においては 、 第一の実施形態と 同様に、 中央プ レー ト 1 6 と カバー層 1 8 , 1 8 の各界面 2 4 , 2 4 に形成された一対の回折格子に おける回折作用に基づいて、 所定の レンズ度数を有する光学 素子 と して機能 し得るのであ り 、 しかも、 回折作用 を利用 し たこ と によ っ て、 設定する レ ンズ度数に拘わらず、 コ ンタ ク ト レンズ 5 8 の厚さ寸法を十分に小さ く する こ と が可能と な つて、 優れた装用感ゃ耐久性, 強度等が有利に達成 され得る のである。
なお、 本実施形態のコ ンタ ト レンズ 5 8 においても、. 前 記第二の実施形態の如 く 部分的に、 或いは第三の実施形態の 如 く 全体的に、 屈折面を形成して屈折作用 を併せて利用する よ う に して も 良い。 また、 前記第四の実施形態や第五の実施 形態の如 く 、 回折作用を周方向等で部分的に異な らせて設定 した り 、 或いは前記第六の実施形態の如.く 、 ホ ロ グラ フ ィ ー フ ィ ルムで回折格子を形成する こ と も可能である。
上述の実施の形態における説明から も 明 らかなよ う に、 本 発明に従 う 構造と された眼用 レ ンズにおいては、 回折面を透 光方向で重な る よ う に して少な く と も一対形成した こ と によ り 、 従来からの屈折型の眼用 レンズに比 して、 レンズ厚さ を 十分に小さ く する こ と が出来る と共に、 レンズ表面の平滑性 を損な う こ と も ないのであ り 、 しかも高次の回折光を抑えて 目 的.とする一次の回折光の集光効率が飛躍的に高め られて、 良好な視認、性ゃコ ン ト ラ ス トが実現され得るのである。
それ故、 例えばコ ンタ ク ト レンズにおいては、 目 的と する 矯正視力を十分に実現しつつ、 優れた装用感ゃ強度, 耐久性
等を、 レ ンズ度数の大小に拘わ らず高度に且つ安定して得る こ と が可能 と なる。
また、 例えば眼内 レ ンズにおいては、 目 的 とする視力を十 分に実現 しつつ、 眼内に挿入する際にロールや折 り 曲げ等で 十分に小さ く する こ と が可能と なって、 手術に際 しての角膜 の切開創を極めて小さ く 抑える こ と が可能と なるのである。
さ らに、 本発明方法に従えば、 固定プ レー ト と ^れを覆 う 光学層を、 高精度な密着性をも って安定 して製造する こ と が 出来るのであ り 、 それによつ て、 目 的 と する回折作用に基づ く 光学効果を発揮し得る眼用 レ ンズを有利に製造する こ と 力 S 可能と なるのである。 産 上の利用可能性 .
本発明は、 工業的な生産ェ程によ って製造され得て巿場に 提供される コ ンタ ク ト レンズ等の眼'用 レ ンズに係 り 、 新規な 構造を備えた眼用 レ ンズおょぴかかる眼用 レ ンズの有利な製 造方法に関する ものである。 従って、 本発明が産業の場にお いて利用 され得る も のである こ と は明 らかである。 '