WO2002099389A1 - Forme polyedre variable pour la fabrication de specimen de tissu biologique - Google Patents

Description

明 細書

生物組織標本作製のための可変式多角柱型枠 技術分野

この発明は、医療において外科的に切除された生体組織の断端面全体の顕微鏡的検査 に適した標本作製に関し、固定中の変形や歪みを制御する目的で用いる可変式多角柱型枠 に関する。 背景技術

医療域における生体組織の顕微鏡的検査にぉ 、て重要なことは、臨床的に推定された 病変が存在するかどうかを明らかにするとともに、病変が完全に外科的に除去された力 うか を評価することである。とくに病変が腫瘍性の場合、この評価の結果は局所再発の危険度を 推定し、追加治療法を決定するための最も信賴できる情報となる。通常、切除断端面に癌が 露出している状態が肉眼的あるいは顕微鏡的に確認されたときに、それぞれ肉眼的あるいは 顕微鏡的に腫疡残存ありと判定される (文献 1)。この判定のための標本作製法は、さまざまに 行われており、国際的に標準化されたものはないが、断端面の一部を削ぎ落とすようなスライ スを作って、その面を顕微鏡的に観察するか、パンを切るように一定の厚みで連続的スライス を作り、各スライスの端を顕微鏡的に観察することによって行われる（文献 2)。切除断端の検 査の感度を高めるためには、できるだけ切除断端の全体が観察できるような標本を作製するこ とが必要である。もし断端面全体が検査されないと、断端陽性の感度が低下する可能性があ る。

光学顕微鏡による観察に適した生物組織標本を作製する場合に、最初に行われる操作 は固定である。これは、組織の自己融解や腐敗を防止し、組織の諸成分の形態を生前に近い 状態にとどめるために必要な処理である。固定は、通常たんぱく質凝固作用を有するホルマリ ンゃアルコールなどの固定液に組織を一定時間浸すことによって行われる。固定中に生じや すい問題点は、制御困難な組織の変形と、生体中における位置情報の喪失である。この原因 としては、生体組織の多くが柔らかく可塑性に富み、組成がかならずしも均一でないこと、固定 による凝固が表面力 深部へ徐々に進むこと、生体組織の固; S中の組織に力かる重力、浮力、 容器内壁力 の圧力の影響等が考えられる。切除断端面が固定中に歪むと、断端全体を観 察できるような適切な標本を作製することが技術的に困難となり、生体内における位置が不明 瞭になりやすい。これは、腫瘍除去の目的で行われた手術標本における断端評価の精度に 悪影響を及ぼす。

このため、生検や手術で切除された比較的大きな組織に対しては、何らかの変形防止策 力 Sとられることが多い。たとえば腸管や胃などの膜状組織は、そのまま固定液に入れると曲が つて固定されてしまうので、紙片や木板などの平面に貼り付けて固定される。乳腺、甲状腺、 肝臓などの立体的な実質性臓器の場合、通常、固定液が浸透しやすいように、ナイフで割が 入れられた後、平面的な固定板に割面が接触するようにピンで止められて固定されることが多 レ、。しかし、この方法の限界は、固定板に接触していない面の変形が制御できない点である。

切除断端の評価は、乳癌の外科的治療として広く用レヽられて ヽる乳房温存術におい ても、不可欠の検査項目である。温存術 うち、扇状切除術 (Quarantectomy)で切除されたシ ョートケーキ状の組織に関して、望ましくない生体組織標本の変形を制御し、標本の断端面全 体を評価できるような標本作製のために、 V字型の可変式型枠が考案された (文献 3)。この型 枠で固定された乳腺組織は、ほぼ扇柱の形に固定される。乳頭に向カゝぅ二つの側面断端が平 坦となるので、この部分の全面的なスライスを作ることができ、断端評価が容易になる。しかし、 V字型の可変式型枠は、乳房温存術のうち円状切除術 (Lumpectomy)で切除された楕円柱 状の組織の固定には対応していない。今回の発明は、おもに円状切除術で切除された乳腺 組織の断端検査を目的として ヽる。 発明の開示

新たに考案した生体組繳固定のための可変式型枠は、取り囲む空間が多角柱である。 切除された生体組織に対して、容積、形状など力 S最も適合する多角柱を形づくり、型枠内側に 断端検査の必要な側面断端面が密着するように切除生体組織を設置する。生体から取り出さ れた直後の組織は可塑性に富むため、型枠内に収められて固定されると、固定完了後には、 組織の形は、型枠の囲む多角柱の形状となる。多角柱の各側面は長方形となる力 これらは 標本の切除断端面である。各側面に平行で一定の厚みを持ったスライスを作ることは容易で ある。これらを観察することにより、切除断端面全体の組織学的観察が可能となる。 図面の簡単な説明

第 1図は可変式多角柱型枠の設計図であり、第 2図は、上記可変式多角柱型枠によって五 角柱の型枠を作ったときの概観を示す。 この場合、型枠に使用されない側面力 個生ずるが、 図では省略してある。 符号の説明： 1 a.型枠側面， 2 b.ピンホール、 3 cプッシュ ピン用の穴 （型枠と固定板をプッシュピンや画飯で固定するときに通す穴）、 4 d.型 枠支持脚、 5 e.蝶番の中心軸、 6 f.開口部 発明を実施するための最良の形態

型枠を構成する 10枚の長方形の側面が蝶番で結合した型枠を考案した。図 1はその設計 図である。この型枠は、等辺 N角柱 (N=5〜10)を取り囲むことができる。この可変式型枠では、 側面と側面の角度、使用する型枠側面の個数が変えられるので、色々なサイズと形の等辺多 角柱を作ることができる。図 2は、可変式型枠のうち 5個側面を使って可変式型枠で等辺五角 柱をつくったときの概観である。この可変式型枠の素材としては、金属、樹脂、セラミックス、木、 紙からなる板状材料が用いられうる。また、可変式型枠は篩状で各支持面には細かい穴が多 数開いているため、固定液が材料に浸透しやすく固定が良好となる。側面のサイズとしては、 標本作製時に使用する合成樹脂製カセットを無駄なく利用するために、カセットの縦あるいは 横の幅を整数倍したサイズを参考にして決めることができる。

可変式型枠において使用する側面の個数を調整し、摘出された生体組織材料の検査す べき断端面が可変式型枠の内面に接するように設置する。この際、断端面が可変式型枠内面 にぴったりと接触し、また固定液が十分標本に浸透するように、可変式型枠内の組織の複数 の部位に注射器にて固定液を少量ずつ注入する。以上の操作が終わったら、可変式型枠本 体は、可変式型枠の一部力 出ている支持脚に存在する穴に針を刺して通常の固定板に止 める。また、可変式型枠内の摘出臓器にも釙を数本打って通常の固定板に止める。この状態 で可変式型枠内の組^は固定液中に浸される。

固定完了後には、組織の形は、可変式型枠の囲む等辺 N角柱 (N=5〜10)の形状となる。 この標本の断端面は長方形となるので、これらの面に平行に一定の厚さ (約 5ミリ)でスライスを 切り出すことが可能となる。これらのスライスを組織標本とし、全面を顕微鏡観察する。腫瘍の 場合、この組織標本に腫 ¾が認められれば、断端陽性と判定し、認めなければ、断端陰性と 判定する。

この断端検査法の結果、断端すべてが陰性であれば、手術を受けた患者は、術後放射 線照射などの追加治療を受ける必要がなレ、。これは轧癌患者の生活の質の向上となるととも に、不要で高額な術後放射線照射の数を減らし、医療費節約に貢献するであろうは献 4)。 産業上の利用可能性

本発明にかかる立体的可変式型枠は、医療域における病理組繊標本作製に有用である。 とくに乳腺温存術や皮/ の腫瘍切除術の場合のように摘出組織が柔らかく立体的な場合の断 端評価に適している。 文 献 UICC TNM Supplement 2^nd den A Commentary on Uniform Use Wittekind CH， Henson DE, Hutter RVP and Sobin LH eds Wiley-Liss, New York, 2001. pl0-12

市原周、鈴木啓仁ほか 温存術式における断端チェック：標準法と工夫 臨床外科 57(3):303〜312， 2002

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Claims

請求の範囲

1. 生物組織標本作製における固定中の組織の変形を制御するために用いられる可変式 型枠であって、型枠の側面である構造物が蝶番によって連結され、型枠内面が囲む空 間が多角柱であるような型枠。

2. 金属、榭脂、セラミックス、木、紙の物質力 なる群より選ばれた素材からなることを特徴 とする請求項 1に記載の可変式型枠。

3. 素材が篩状であり液体力 S透過する請求項 2に記載の可変式型枠。