明細書
癌の検出方法 技術分野
本発明は、 痛の分類に有用なマーカー遺伝子の選択方法、 該遺伝子を使用する 癌の分類方法、 癌の検出方法、 及び該分類方法又は検出方法に用いるキットに関 する。
背景技術
近年、 正常細胞が癌になるまでの多段階発癌機構が存在することが明らかにさ れている 〔フィ一ロン E . R. (Fearon,E. R. )ら、 セル (Cell) 、 第 6 1巻、 第 7 5 9— 7 6 7頁 (1 9 9 0 ) 、 スギムラ T. (Sugi腕 ra, T. )、 サイエンス (Science) 、 第 2 5 8巻、 第 6 0 3 - 6 0 7頁 ( 1 9 9 2 ) 〕 。 具体的には、 正 常細胞の癌化には、 D NA修復遺伝子、 癌抑制遺伝子及び癌遺伝子を含む複数の 遺伝子異常の蓄積が必要とされている。 一般に、 遺伝子の不安定性と癌抑制遺伝 子の不活化とは、 癌の発生に関与すると考えられている。 また、 癌遺伝子の活性 化及び/又は増殖因子の過剰発現は、 癌の進展及び悪性化に関与すると考えられ ている。 さらに、 細胞外マトリックス分子の分解酵素をコードする遺伝子や細胞 の運動能又は接着性を調節するタンパク質をコードする遺伝子は、 転移、 浸潤に 関与すると考えられている。
このように、 癌の発生、 増殖、 転移には、 数多くの遺伝子の発現促進又は抑制 が関与している。
現在、 個々の遺伝子のレベルでは、 癌の発生、 進展に関与する遺伝子、 及び該 遺伝子異常に関する情報は増えてきている。 しかしながら、 発癌機構は、 多段階 であり、 複数の変異の蓄積が必要とされるため、 単一の遣伝子による判定や、 少 数の遺伝子のランダムな組み合わせによる判定では、 いまだに実用性に十分な、
痛の確定診断や予後の判定にはいたっていないのが現状である。
事実、 現在においても、 癌の診断や進行度、 分化度の判定は、 そのほとんどが 病理診断により行われている。 しかしながら、 病理学的には、 ほぼ同様の進行度 、 分化度を示す癌であっても予後の良い症例が存在する一方、 早期に再発、 転移 する悪性度の高い症例が存在する。 また、 一部の症例では、 抗瘙剤や放射線照射 に感受性を示すものの、 他方では抵抗性を示す症例が多数存在する。 したがって 、 現時点ではこれらを治療前や手術後早期に予測することは不可能であるのが現 状である。
癌の化学療法においては、 癌の種類ごとに、 化学療法剤の有効性が異なること が知られている。 例えば、 5 F U ( 5—フルォロウラシル) や C D D P (シスプ ラチン) の場合、 胃癌、 大腸癌、 肝癌のようにほとんど効果がない癌がある一方 、 子宮頸部癌に対しては、 その初期にはほとんどの症例で効果がある。 食道痛の の約 5 0 %の症例は、 5 F U、 C D D Pに感受性を示す症例である。 したがって 、 個々の症例での薬剤感受性を知ることができれば、 化学療法の効果をより高め ることが可能である。 このような目的には遺伝子レベルでの痛の診断、 タイプ分 類が効果的であると考えられる。
遺伝子レベルで上記のようなタイプ分類を行うには、 特定のタィプの癌組織に おいて、 特異的に発現の変動が見られる遺伝子を探索、 同定する必要がある。 し かしながら、 通常、 癌組織では、 細胞の増殖に関連して多数の遺伝子発現の変動 が見られることから、 適切なマ一力一遺伝子を見出すことは困難である。
迅速、 簡便に癌をその進行度、 分化度、 タイプにより分類することができれば 、 不必要な治療を避け、 適切な治療法を選択することが可能となり、 患者の負担 を最小限に押さえ、 かつ個々の患者に適した治療方針を立てることに大きく貢献 できる。 また医療費の抑制にもつながると考えられる。 発明の開示
本発明の第一の目的は、 遺伝子レベルでの癌分類に関してより正確な結果を得 ることが可能な遺伝子を見出す方法を提供することにある。 また、 本発明の第二 の目的は、 上記の方法で見出された遺伝子を利用する癌の分類方法を提供するこ とにある。 さらに、 本発明の第三の目的は、 癌の検出方法を提供することを目的 とする。
本発明者らは、 上記目的を達成するために、 細胞の増殖時において特異的に発 現が変動している遺伝子の影響を受けることなく、 癌の分類、 悪性度の評価に有 用な遺伝子を選択する方法を見出した。 さらに、 この手法を用いて見出された遺 伝子を使用する癌の分類方法、 検出方法を構築し、 本発明を完成するに至った。 すなわち、 本発明の要旨は、
〔 1〕 癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法であって、 下記ステップ:
( 1 ) 被検癌試料において、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子の少 なくとも 1種の発現量を測定し、 該発現量と、 対照試料における当該遺伝子の発 現量とを比較し、 それにより、 該遺伝子の発現量の変動を評価するステップ、 こ こで、 該対照試料は、 正常組織若しくは悪性度の低い癌試料である、
( 2 ) 前記ステップ (1 ) で評価された遺伝子の発現量の変動と、 被検癌試料の 病理学的な所見とに基づき、 被検癌試料を複数のタイプに分類するステップ、 及 び
( 3 ) 前記ステップ (2 ) で分類された各々の被検癌試料について、 該被検癌試 料中の複数の遺伝子の発現の変動を調べ、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動す る遺伝子と独立して、 かつ被検癌試料のタイプごとに特異的に発現量が変動する 遺伝子を選択するステップ;
を含む、 癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法、
〔2〕 癌の分類方法であって、 下記ステップ:
( a ) 被検試料について、 前記 〔1〕 記載の選択方法により選択された癌の分類
の指標となる遺伝子の少なくとも 1種の発現量を測定するステップ、 及び (b ) ステップ (a ) で測定された遺伝子の発現量と、 対照試料における当該遺 伝子の発現量とを比較して、 該被検試料について、 癌の分類を行なうステップ、 を含み、 該被検試料における該遺伝子の発現量により、 癌を分類することを特徵 とする、 癌の分類方法、
〔3〕 癌の検出方法であって、 下記ステップ:
( 1 ) 被検試料について、 前記 〔1〕 記載の選択方法により選択された癌の分類 の指標となる遺伝子の少なくとも 1種の遺伝子の発現量を測定するステップ、 及 び
( 2 ) ステップ (1 ) で測定された被検試料における遺伝子の発現量と、 対照試 料における当該遺伝子の発現量とを比較して、 癌を検出するステップ、 を含み、 ここで、 癌の分類の指標となる遺伝子の少なくとも 1種の遺伝子に対応 する核酸又は該遺伝子にコ一ドされたポリべプチドの発現が、 対照試料に比較し て変動していることが、 前記被検試料中に癌細胞が存在することの指標となる、 癌の検出方法、
〔4〕 癌の分類及び Z又は検出に使用されるキットであって、 後述の I群の遺 伝子群から選択された少なくとも 5種の遺伝子の mRNA量及び/又は後述の I
I群の遺伝子群から選択された少なくとも 5種の遺伝子の mRNA量の測定に使 用されるプライマー及び Z又はプローブを含有してなるキット、
〔5〕 癌の分類及び 又は検出に使用されるキットであって、 後述の I群の遺 伝子群から選択された少なくとも 5種の遺伝子にコードされるポリべプチドに特 異的に結合する抗体及び Z又は後述の I I群の遺伝子群から選択された少なぐと も 5種の遺伝子にコードされるポリべプチドに特異的に結合する抗体を含有して なるキット、 並びに
〔6〕 癌の分類及び 又は検出に使用される DNAアレイであって、 後述の I 群の遺伝子群から選択された少なくとも 5種の遺伝子若しくはその断片、 及び
又は後述の I I群の遺伝子群から選択された少なくとも 5種の遺伝子若しくはそ の断片が支持体上のそれぞれ定められた領域に固定化されてなる DN Aアレイ、 に関する。 発明を実施するための最良の形態
本明細書において、 「本発明の癌の分類の指標となる遺伝子」 (以下、 マーカ —遺伝子とも記載する) とは、 癌のタイプの分類に有用な遺伝子であればよく、 任意の特徴を有する癌のマーカ一として使用可能な遺伝子を指す。 より具体的に は、 「本発明の癌の分類の指標となる遺伝子」 とは、 細胞の増殖時に特異的に発 現が変動する遺伝子と独立した遺伝子であり、 癌の進行度、 分化度、 タイプ等に 依存して特異的に発現量が変動する遺伝子をいう。 前記 「癌の分類の指標となる 遺伝子」 は、 癌の診断 (癌と正常組織の判別) 、 癌のタイプの分類、 癌の悪性度 評価の指標となりうる遺伝子であり、 癌のタイプ、 悪性度に応じてその発現量が 変化する遺伝子、 言い換えれば、 その発現が有意に誘導又は抑制される遺伝子で ある。
1 . 本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法
本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法は、 下記ステップ:
( 1 ) 被検癌試料における細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子の少な くとも 1種の遺伝子の発現量と、 対照試料における当該遺伝子の発現量とを比較 し、 それにより、 該遺伝子の発現量の変動を評価するステップ、 ここで、 該対照 試料は、 例えば、 正常組織若しくは悪性度の低い癌試料である、
( 2 ) ( 1 ) で評価された遺伝子の発現量の変動と、 被検癌試料の病理学的な所 見とに基づき、 被検癌試料を複数のタイプに分類するステップ、 及び
( 3 ) ( 2 ) で分類された各々の被検瘙試料について、 該被検癌試料中の複数の 遺伝子の発現の変動を調べ、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子と独
立して、 かつ被検瘙試料のタイプごとに特異的に発現量が変動する遺伝子を選択 するステップ、
を含むことを 1つの特徴とする。
本発明の選択方法によれば、 試料中の癌のタィプに応じて適切な分類の指標と なる遺伝子が提供されるため、 従来の遺伝子的な癌の検出、 診断方法に比べてよ り信頼性の高い情報を得ることができるという優れた効果を発揮する。 また、 本 発明の選択方法によれば、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子と独立 して、 かつ被検瘙試料のタイプごとに特異的に発現量が変動する遺伝子が提供さ れる。 したがって、 本発明の選択方法により得られた遺伝子を、 癌の検出、 診断 方法における指標として用いることにより、 癌と正常な細胞増殖との間の区別化 を容易にすることができ、 癌の検出、 診断の信頼性を高めうるという優れた効果 を発揮する。
本発明の選択方法においては、 まず、 癌患者より採取された癌病変部組織 (癌 組織) について、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子の発現状態を測 定し、 当該発現量に応じて癌組織を分類する。
具体的には、 被検癌試料における細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝 子の少なくとも 1種の発現量と、 対照試料における当該遺伝子の発現量とを比較 し、 それにより、 該遺伝子の発現量の変動を評価する 〔ステップ(1 ) という〕 o
本明細書における被検癌試料には、 癌病変組織のみならず、 癌細胞の存在が疑 われる癌患者由来の試料等も含まれる。
前記被検癌試料としては、 血液;尿;糞便;外科的手法により摘出した組織等 の生体試料由来の試料が挙げられ、 本発明の癌の指標となる遺伝子の選択方法に おいては、 術前診断の観点から、 生検鉗子で採取された病変組織が望ましい。 前記ステップ ( 1 ) における対照試料としては、 例えば、 外科的手法により摘 出された組織中の正常部位や悪性度の低 、癌組織が挙げられる。
前記 「細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子」 としては、 例えば、 細 胞周期に関連する遺伝子が挙げられ、 例えば、 D NA合成期 (S期) の細胞にお いて特異的に発現していることが知られている遺伝子を使用することができる。 本発明の選択方法においては、 例えば、 C D C 6遺伝子や E 2 Fファミリーに属 する遺伝子を使用することができ、 特に好適には E 2 F— 1遺伝子を使用するこ とができる。
細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子の発現量の測定方法としては、 特に限定はなく、 例えば、 前記遺伝子の転写産物 (mRNA等) 、 又は翻訳産物 (ポリペプチド等) を指標として測定する方法等が挙げられる。 前記ステップ ( 1 ) においては、 遺伝子操作技術の進歩に伴い、 その解析に様々な手法が開発さ れている m R N Aを指標として遺伝子の発現量を測定する方法が効率的である。 転写産物、 特に、 mR NAを指標として遺伝子の発現量を測定する方法として は、 ドット ·ブロット ·ハイブリダイゼ一シヨン法、 ノーザンハイブリダイゼ一 シヨン法、 R T— P C R法、 サブトラクシヨン法、 ディファレンシャル ·デイス プレイ法等が挙げられる。
また、 D NAアレイ (D NAチップ) を使用したハイブリダィゼ一シヨン解析 法により遺伝子の発現量を測定することもできる。
翻訳産物を指標として遺伝子の発現量を測定する方法としては、 例えば、 該翻 訳産物に対する抗体を用いた慣用の免疫測定法等が挙げられる。
本発明の選択方法においては、 ついで、 前記ステップ(1 ) で評価された遺伝 子の発現量の変動と、 被検瘙試料の病理学的な所見とに基づき、 被検癌試料を複 数のタイプに分類する 〔ステップ (2 ) とレ、う〕 。
具体的には、 前記ステップ (1 ) において、 被検癌試料中、 例えば、 癌組織中 の 「細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子」 の発現量と対照試料におけ る当該遺伝子の発現量とを比較することにより、 評価された該遺伝子の発現量の 変動を指標として、 癌組織の分類を行なう。 前記ステップ (1 ) において、 正常
組織に比較して、 「細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子」 の発現量の 変化量 (絶対値) が、 少なくとも 2倍、 好ましくは 3倍以上、 特に好ましくは 5 倍以上となる場合、 癌組織における該遺伝子の発現が、 有意に変動したことを示 す。
具体的には、 例えば、 E 2 F— 1遺伝子の発現量と、 対照試料における当該遺 伝子の発現量とを比較することにより、 評価された該遺伝子の発現量の変動を指 標として、 癌組織の分類を行ない、 正常組織に比較して、 少なくとも 2倍、 好ま しくは 3倍以上、 特に好ましくは 5倍以上に E 2 F— 1遺伝子の発現が増加して いる組織を E 2 F— 1陽性組織とする。
次に、 被検癌試料、 例えば、 上記の癌組織を、 その病理学的所見、 例えば、 細 胞の形態、 周辺組織への浸潤状態、 薬剤への感受性、 リンパ節への転移の状態等 により分類する。 このような病理学的所見は、 例えば、 治療法の選択等の際に、 極めて重要である。 したがって、 本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方 法によれば、 外科的な処理なしに、 例えば、 治療の開始前に患者の癌について、 上記のような病理学的分類を可能とする手段を提供される。
ついで、 前記ステップ (2 ) で分類された各々の被検癌試料について、 該被検 癌試料中の複数の遺伝子の発現の変動を調べ、 細胞の増殖時に特異的に発現が変 動する遺伝子と独立して、 かつ被検癌試料のタイプごとに特異的に発現量が変動 する遺伝子を選択する 〔ステップ (3 ) という〕 。
前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 は、 対照試料と被検癌試料との間におい て、 発現量の差異がある遺伝子を特定すること、 例えば、 対照とする細胞におけ る遺伝子産物の発現量と、 癌組織由来の細胞における遺伝子産物の発現量とを比 較し、 両細胞間で差異のあるものを特定することにより選択することができる。 なお、 ステップ (3 ) における対照試料としては、 例えば、 正常組織や悪性度 の低い癌試料が挙げられる。
悪性度の低い癌試料としては、 例えば、 リンパ節転移がないような悪性度の低
い試料であって、 前記 「細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子」 の発現 の変動がなレ、試料等が挙げられる。
前記遺伝子産物としては、 例えば、 遺伝子より転写される mRNAや翻訳産物 であるタンパク質が挙げられる。
本発明に使用される遺伝子の選択においては、 遺伝子操作技術の進歩に伴い、 その解析に様々な手法が開発されている mRNAを指標とするのが効率的である
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mRNAを指標として遺伝子発現の変化を確認する手法としては、 ドット ·ブ ロット ·ハイブリダィゼーシヨン法、 ノーザンハイブリダィゼーシヨン法、 R T — P C R法、 サブトラクシヨン法、 ディファレンシャル ·ディスプレイ法等が挙 げられ、 これらの方法を適宜選択して、 本発明に使用される遺伝子を見出すこと ができる。 さらに、 数百、 数千といった多数の遺伝子の発現の変化を同時に検出 する方法としては、 DNAアレイ (DNAチップ) を使用したハイブリダィゼ一 シヨン解析法が知られており、 本発明に好適に使用される。
本明細書において、 前記 「DNAアレイ」 とは、 遺伝子又は遺伝子由来の D N A断片が支持体上の定められた領域に固定されているアレイ (チップ) を指し、 例えば DN Aチップと呼称されているものを包含する。 また、 遺伝子又は遺伝子 由来の DNA断片が支持体上に高密度に、 例えば、 1 c m2 に 1 0 0遺伝子以上 の密度で固定されているものは DN Aマイクロアレイとも呼ばれる。
D N Aアレイの支持体は、 ハイブリダイゼーシヨンに使用可能なものであれば よく、 通常、 スライドグラス、 シリコンチップ、 ニトロセルロース膜、 ナイロン 膜等が使用される。 また、 支持体上に固定される遺伝子又はその断片としては、 特に限定するものではないが、 例えば、 ゲノム DNAライブラリーや c DNAラ イブラリー、 又はこれらを铸型とした P C R等によって増幅された DNAが挙げ られる。
このような DNAアレイを使用することにより、 核酸試料中に含まれる多種類
の核酸分子の量を同時に測定することができる。,また、 少量の核酸試料でも測定 できるという利点がある。 例えば、 試料中の mRNAを標識するか、 若しくは m RN Aを铸型として標識された c DNAを調製し、 これと DN Aアレイの間でハ イブリダィゼーシヨンを実施することにより、 試料中で発現されている mRNA を同時に検出し、 さらにその発現量を測定することができる。
本発明において、 「癌の分類の指標となる遺伝子」 は、 例えば、 ヒト由来の遺 伝子に対応する核酸又はその断片が固定化された DN Aアレイを使用することに より選択することができる。 すでに癌やその他の生理現象に関して、 何らかの関 連が示唆されるか若しくは疑われる遺伝子の断片を固定化した DNAマイクロア レイが市販されており (例えば、 Intel liGene Human Cancer CHIP や IntelliGen e Apoptosis CHIP, ともに宝酒造社製) 、 これらを使用して、 前記ステップ ( 1 )〜(3 ) を行なうことにより得ることができる。
こうしていくつかのタイプに分類された癌組織について、 種々の遺伝子の発現 量を測定して対照組織における発現量と比較することにより、 各タイプにおいて 特異的に発現状態の変化している遺伝子を見出すことができる。
遺伝子の発現量の測定方法としては、 特に限定はなく、 上記した遺伝子発現の 変化を確認する手法のいずれもが好適に使用できる。 なかでも、 多数の遺伝子の 発現を同時に測定することが可能であることから、 DNAアレイを使用する方法 が特に好適である。
例えば、 各タイプの癌組織から mRNAを調製し、 該 mRNAを铸型とした逆 転写反応を行なう。 この際、 例えば適切な標識を付したプライマ一や標識ヌクレ ォチドを使用することにより、 標識された c DN Aを得ることができる。
標識に用いられる標識物質としては、 放射性同位元素、 蛍光物質、 化学発光物 質、 発光団を有する物質等の物質を用いることができる。 例えば、 蛍光物質とし ては、 C y 2、 F l u o r X、 C y 3、 C y 3. 5、 C y 5、 C y 5 . 5、 C y 7、 イソチォシアン酸フルォレセイン (F I T C) 、 テキサスレツド、 σ—ダミ
ン等が挙げられる。 また、 同時に検出できる点から、 2種類以上の蛍光物質を用 いて、 被検試料 (本選択方法における被検瘙試料) 、 および対照として用いる試 料をそれぞれ異なった蛍光物質で標識することが望ましい。 ここで試料の標識は 、 試料中の mRNA、 該 mRNA由来の cDNA若しくは該 cDNAより転写あ るいは増幅された核酸を標識することによって実施される。
次に、 上記の標識 cDNAと、 適当な遺伝子に対応する核酸又はその断片を固 定化された DNAアレイとの間でハイプリダイゼ一シヨンを実施する。 ハイプリ ダイゼーシヨンは公知の方法で実施すればよく、 その条件は使用する D N Aァレ ィゃ標識 cDNAに適したものを適宜選択すればよい。 例えばモレキュラー ·ク ローニング、 ァ ·ラボラトリ一マニュアル (Molecular cloning, A laboratory manual) 、 第 2版、 第 9. 52 - 9. 55頁 (1 989 ) に記載の条件で行なう ことができる。
前記のハイブリダイゼ一ション条件下に試料由来の核酸と DNAアレイとのハ ィブリダイゼーションを行なう。 これらの試料の採取から遺伝子発現量の測定ま でに時間がかかる場合には、 RNA分解酵素の作用により mRNAが分解を受け る可能性がある。 被検試料 (本選択方法における被検癌試料) と対照試料との遺 伝子発現の差を測定するためには、 比較的発現変動の少ない標準的な遺伝子を用 いて両者の mRNA量を補正することが好ましい。 さらに、 以下に述べる 2種類 の蛍光を用いて 1枚の DNAアレイ上で競合ハイブリダイゼ一シヨンを行なう場 合には、 2種の蛍光物質間の強度差を補正することにより、 より正確なデ一夕を 得ることができる。 このような補正の目的に使用される核酸としては、 非病変部 位の試料由来の核酸;ハウスキーピング遺伝子 〔例えば、 グリセルアルデヒド 3 —リン酸デヒドロゲナ一ゼ (GAPD) 遺伝子、 シクロフィリン遺伝子、 β—Ύクチ ン遺伝子、 α—チューブリン遺伝子、 ホスフオリバ一ゼ A 2遺伝子等〕 に対応す る核酸等が挙げられ、 また、 非特異的なハイブリダィゼ一シヨンでないことを確 認するための陰性対照としては、 試料とまったく関連のない核酸、 例えばプラス
ミ ド p U C 1 8等が挙げられる。
ついで、 被検試料 (本選択方法における被検癌試料) とのハイブリダィゼーシ ョン及び対照試料とのハイプリダイゼーシヨンのそれぞれ結果を比較することに より、 両者で発現量の異なる遺伝子を検出することができる。 具体的には、 上記 の方法で標識された核酸試料とハイブリダイゼ一ションを行なつたアレイについ て、 使用された標識方法に応じて適切なシグナルの検出を行ない、 アレイ上の各 遺伝子について、 被検試料 (本選択方法における被検癌試料) 中の発現量、 対照 試料中の発現量を比較することができる。 好ましくは、 複数の標識、 例えば、 2 種類の蛍光を検出することができる多波長検出蛍光アナライザ一を用いれば、 被 検試料 (本選択方法における被検癌試料) における遺伝子発現量と対照試料での 遺伝子発現量との差を同じ D N Aアレイ上で競合ハイブリダイゼーシヨンにて比 較することができる。 例えば、 癌病変部試料由来の試料については、 C y 5— d U T Pで蛍光標識を行ない、 対照の核酸試料については C y 3 _ d U T Pで蛍光 標識する。 両者を等量混合して D NAアレイとハイブリダィゼ一シヨンを行なう ことで両者の遺伝子発現量の差を、 シグナルの色及び蛍光強度の違いとして検出 することができる。
標識核酸の検出法は、 用いられる標識物質の種類により、 適宜選択すればよい 。 例えば、 前記 C y 3及び C y 5を標識物質として用いる場合、 C y 3は 5 3 2 n m、 C y 5は 6 3 5 n mの波長でスキャンすることにより検出することができ る。 なお、 標識の強度を遺伝子の発現量の指標とする。
上記の遺伝子発現量の変化の測定において、 対照試料には、 特に限定するもの ではないが、 正常組織由来の試料、 上記の瘙試料のうち悪性度の低いと考えられ るもの、 例えば、 E 2 F— 1遺伝子の発現が低く、 かつリンパ節への転移が見ら れないか軽度であるもの等が使用される。
こうして得られたシグナルの強度に有意な差のある遺伝子は、 各タイプの癌組 織において特異的に発現量が変動している遺伝子である。 これらのうちのあるも
のは、 上記の細胞の増殖時において特異的に発現の変動する遺伝子と並行して、 若しくは負の相関を持って変動しているが、 これらは単に試料中の細胞の増殖状 態を反映して発現量が変化している可能性が高く、 癌試料の分類に適したマーカ —遺伝子とは限らない。 本発明では、 これらの遺伝子以外で、 各タイプの癌試料 において特異的に発現の変動している遺伝子を見出すことにより、 より正確な癌 のタイプ分類、 悪性度の評価に有用なマーカ一遺伝子を見出すことを特徴とする さらに、 こうして見出されたマーカー遺伝子は、 特に限定するものではないが 、 他のタイプの瘙試料に比較してより発現量の差の大きな遺伝子ほど分類の指標 として望ましい。
本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法を利用し、 癌のタイプ分類に 有用な遺伝子を得ることができる。 例えば、 食道癌のリンパ節転移に関しては、 下記の表 1に列挙される遺伝子をマーカ一遺伝子として、 被検試料がリンパ節転 移のリスクの高い癌であるかどうかを評価することができる。
表 1
Genes GenBank
Accession # insulin-like growth factor binding protein 2 (IGFBP2) XI 6302
BIGH3 M77349 insulin-like growth factor binding protein 6 (IGFBP6) 62402 gelatinase A ( MP-2 ) M55593 type I I cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7;CK 7) ) M13955 desmoplakin I M77830 glutathione S-transf erase Al M16594 glutathione S- transferase Pi (GSTP1 ) U12472 collagenase-3 (M P-13) X75308 type I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5;CK5)) M21389
P-cadherin X63629 type I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14;CK14) ) 纏 24 type I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK6B) ) L42610
Matrilysin (腿 P-7 ) X07819 forkhead-like 7 AF048693 connective tissue growth factor (CTGF) M92934 growth hormone-dependent insulin-like
growth factor-binding protein 35878
Rho8 protein X95282
また、 下記の表 2に列挙される遺伝子をマーカ一遺伝子として、 被検試料がリ ンパ節転移のリスクのある癌の中でも特にリスクの高いものであるかどうかを評 価することができる。
表 2
Genes GenBank
Accession #
RBA/p48 X74262 cell division control protein 2 homologCEC 2.7. l. -)(cdc2) X05360 replication factor C 38-kDa subunit(RFC38) L07541 apopain precursor U13737 xeroderma pigmentosum group C repair complementing protein
P58/HHR23B D21090 cyclin G2 U47414 cyclin A X51688 apoptosis-related protein TFAR15 AF022385
TRKB tyrosine kinase receptor U12140 signal transducer and activator of
transcription l-alpha/beta(STATl M97935
K-ras oncogene 54968 retinoblastoma susceptibility L41870 BCL2/adenovirus EIB 19kD-interacting protein l(BNIPl)
mRNA, complete cds AF083957 inhibitor of apoptosis protein KHIAP-l) U45878
2. 本発明の癌の分類方法
本発明の癌の分類方法は、 下記ステップ:
( a ) 被検試料について、 本発明の選択方法により選択された癌の分類の指標と なる遺伝子の少なくとも 1種の発現量を測定するステップ、 及び
( b ) ステップ (a ) で測定された遺伝子の発現量と、 対照試料における当該遺 伝子の発現量とを比較して、 該被検試料について、 癌の分類を行なうステップ、 を含むことに 1つの特徵がある。
本発明の分類方法においては、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺伝子 と独立した遺伝子であり、 かつ癌の進行度、 分化度、 タイプ等に依存して特異的 に発現量が変動する遺伝子を、 癌の分類の指標として用いるため、 例えば、 治療 の開始前に患者の癌について、 細胞の形態、 周辺組織への浸潤状態、 薬剤への感 受性、 リンパ節への転移の状態等に基づいて分類することができるという優れた 効果を発揮する。 また、 かかる癌の分類方法によれば、 例えば、 治療法の選択等 の際に、 信頼性の高い、 有用な情報を簡便かつ迅速に提供されうる。
本発明の癌の分類方法によれば、 癌、 特に、 食道痛であることが疑われる個体 由来の試料を分類することができる。
本発明の癌の分類方法においては、 まず、 被検試料について、 本発明の選択方 法により選択された癌の分類の指標となる遺伝子の少なくとも 1種の発現量を測 定する 〔ステップ (a ) という〕 。
前記被検試料としては、 例えば、 血液;尿;糞便;外科的手法により摘出した 組織等の生体試料由来の試料であって、 癌、 特に、 食道癌であることが疑われる 個体由来の試料が挙げられる。
前記ステップ (a ) においては、 精度よく瘙を分類する観点から、 複数の遺伝 子の発現量を測定することが好ましく、 特に限定するものではないが、 例えば、 少なくとも 5種のマーカー遺伝子の発現量を測定する。
本発明の分類方法に用いられる 「癌の分類の指標となる遺伝子」 は、 本発明の
選択方法により得られた遺伝子であればよく、 例えば、 上記の表 1及び/又は表 2に記載された遺伝子より適当なものを選択して使用することができる。
前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 の発現量は、 該遺伝子より転写される m R N A量若しくは該遺伝子より翻訳されるポリべプチド量から測定される。
mRNA量の測定方法としては、 ハイブリダィゼ一シヨン法、 核酸増幅法等が 挙げられ、 具体的には、 ドット ·プロット ·ハイプリダイゼ一シヨン法、 ノーザ ンハイブリダィゼーシヨン法、 R T— P C R法等の公知の方法が使用できる。 少 量の試料を用い、 多数の遺伝子の発現を同時に測定、 比較できる観点からは、 特 に限定するものではないが、 DNAアレイ、 特に DNAマイクロアレイを使用す るハイプリダイゼーシヨン法が本発明に好適である。 DNAアレイを使用するハ ィブリダイゼ一シヨンは、 上記の操作により実施することができる。
前記遺伝子にコ一ドされたポリべプチド量は、 該ポリべプチド又はその断片に 対する抗体を用いた、 酵素免疫測定法、 蛍光免疫測定法、 発光免疫測定法等によ り測定することができる。 具体的には、 例えば、 標識抗体を用い、 慣用の E L I S A法等により行なうことができる。
前記抗体は、 前記ポリべプチドに特異的に結合する能力を有するものであれば 、 特に限定はなく、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体のどちらでもよい 。 さらに、 前記抗体は、 前記抗体を断片化して得られた抗体断片、 公知技術によ り修飾された抗体や抗体の誘導体、 例えばヒト化抗体、 Fabフラグメント、 単鎖 抗体等をも包含する。 前記抗体は、 例えば、 1992年、 ジョン ·ワイリー &サンズ 社 (John Wiely & Sons, Inc) 発行、 ジョン · E ·コリガン (John E. Coligan ) 編集、 カレント 'プロトコルズ 'イン 'ィムノロジ一 (Current Protocols in Immunology ) に記載の方法により、 前記ポリペプチドの全部又は一部を用いて ゥサギゃラット、 マウス等を免疫することにより、 容易に作製され得る。 こうし て得られた抗体を精製後、 ぺプチダーゼ等により処理することにより、 抗体断片 が得られる。 また、 遺伝子工学的に抗体を作製することもできる。 さらに、 前記
抗体は、 酵素免疫測定法、 蛍光免疫測定法、 発光免疫測定法等による検出を容易 にするために、 各種修飾を有してもよい。
ついで、 前記ステップ (a ) で測定された遺伝子の発現量と、 対照試料におけ る当該遺伝子の発現量とを比較し、 前記被検試料について、 癌の分類を行なう 〔 ステップ (b ) という〕 。
前記ステップ (b ) において、 ステップ (a ) で測定された、 被検試料中のマ 一力一遺伝子の発現量を対照試料中のマ一力一遺伝子の発現量と比較し、 その発 現量の変動のパターンを解析することにより、 被検試料に存在する癌を分類する ことができる。 上記し に述べた、 マーカ一遺伝子を選択する際に、 癌のタイプ ごとの各遺伝子の発現量変動のパターンが明らかにされており、 これを参照する ことによって被検試料を分類することができる。 すなわち、 本発明の分類方法に おいては、 本発明の選択方法により得られた癌の進行度、 分化度、 タイプ等に依 存して特異的に発現量が変動する遺伝子を、 癌の分類の指標として用いるため、 各遺伝子と、 癌のタイプ等との関連性が明らかであり、 該遺伝子の発現量の変動 を参照することにより被検試料を分類することができる。
前記対照試料としては、 例えば、 正常組織由来の試料が挙げられる。
また、 ステップ (b ) を行なう代わりに、 対照試料を使用することなく、 被検 試料中の発現量の変動が少ない遺伝子、 例えば上記のハウスキーピング遺伝子の 発現量との比較によって、 癌の分類の指標となる遺伝子の発現量の変動を知るこ ともできる。
特に、 DNAマイクロアレイを使用する本発明の癌の分類方法では、 ごく少量 の試料から多数の遺伝子の発現の変動を調べることが可能である点が有利である 。 DNAマイクロアレイを使用する癌の分類方法は、 例えば、 内視鏡やその他の 手段で患者の癌病変部位の一部のみを採取して、 当該病変部位に存在する癌組織 を分類することができるため、 癌の診断、 治療法選択の指標として極めて有用で める。
具体的には、 例えば、 食道癌組織由来の試料について、 前記表 1に記載の遺伝 子の発現量を正常な食道組織由来の試料と比較し、 その変動のパターンから当該 食道癌のリンパ節転移のリスクを評価することができる。
さらに、 表 2に記載の遺伝子の発現量を正常な食道組織由来の試料と比較し、 その変動パターンから、 被検試料がリンパ節転移のリスクのある癌の中でも特に リスクの高いものであるかどうかを評価することができる。
本発明の分類方法においては、 被検試料における表 1に列挙される遺伝子のい くつかの発現が減少し、 表 2に列挙される遺伝子のいくつかの発現が増加する場 合、 該被検試料が、 リンパ節転移のリスクが高いと予想される試料であると分類 されうる。
以上のように解析して得られた結果は、 例えば、 プリンタ一、 ディスプレイ又 はディスプレイ用グラフィックソフトウエアのような他のソフトウエアパッケ一 ジに対して出力が与えられる。 かかる出力は、 本発明の検出方法により得られた 結果を診断、 治療法の選択などに用いる場合、 特に有利である。
3 . 本発明の癌の検出方法
本発明の選択方法により得られた 「癌の分類の指標となる遺伝子」 は、 癌、 特 に、 食道癌を検出するための指標としても有用である。 したがって、 本発明によ り、 癌、 特に食道癌の検出方法も提供される。 かかる癌の検出方法も本発明の範 囲に含まれる。
本発明の癌の検出方法においては、 細胞の増殖時に特異的に発現が変動する遺 伝子と独立して、 かつ癌のタイプごとに特異的に発現量が変動する 「癌の分類の 指標となる遺伝子」 を癌の指標として用いるため、 癌と正常な細胞増殖との間の 区別化を容易にすることができ、 高い信頼度で、 癌を検出することができるとい う優れた効果を発揮する。 また、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 の発現量 の変動は、 癌、 特に食道癌の進行度、 悪性度、 タイプを反映するものであるため
、 該遺伝子を検出すると同時に、 癌、 特に食道癌の進行度、 悪性度、 タイプをも 判定することができるという優れた効果を発揮する。
本発明の癌の検出方法は、 具体的には、 被検試料と対照試料とについて、 前記 選択方法により得られた 「癌の分類の指標となる遺伝子」 の少なくとも 1種に対 応する核酸又は該遺伝子にコ一ドされたポリべプチドの発現を調べ、 該被検試料 と対照試料との間において該遺伝子又はポリペプチドの発現の差異がある場合に 、 該被検試料が癌細胞を含むことの指標として、 癌、 特に食道瘙を検出すること を 1つの大きな特徴とする。
本発明の癌の検出方法は、 具体的には、 下記ステップ:
( 1 ) 被検試料について、 本発明の選択方法により選択された痛の分類の指標と なる遺伝子の少なくとも 1種の遺伝子の発現量を測定するステップ、 及び
( 2 ) ステップ (1 ) で測定された被検試料における遺伝子の発現量と、 対照試 料における当該遺伝子の発現量とを比較して、 癌を検出するステップ、 を行なう。
本発明の癌の検出方法における被検試料としては、 例えば、 血液;尿;糞便; 外科的手法により摘出した組織等の生体試料由来の試料が挙げられる。
対照試料として、 健常人由来試料、 非病変部位、 すなわち正常組織由来の細胞 等が挙げられる。
また、 ステップ (2 ) を行う代わりに、 対照試料を使用することなく、 癌の検 出の指標となる遺伝子の発現量と、 被検試料中の発現量の変動の少ない遺伝子、 例えば、 上記のハウスキ一ピング遺伝子の発現量との比較によって、 「癌の検出 の指標となる遺伝子」 の発現量の変動を知ることもできる。
本発明の検出方法において、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 の少なくと も 1種に対応する核酸又は該遺伝子にコードされたポリべプチドの発現は、 核酸 増幅方法、 ハイブリダィゼーシヨン法、 酵素免疫測定法、 蛍光免疫測定法、 発光 免疫測定法等により測定することができる。 本発明においては、 核酸の発現を測
定する場合、 多種類の 「癌の分類の指標となる遺伝子」 を同時に調べることがで き、 検出に要する時間を短縮できる観点から、 前記 D NAアレイを用いて、 遺伝 子の発現を調べることがより好適である。
本発明の検出方法においては、 「癌の分類の指標となる遺伝子」 の少なくとも 1種に対応する核酸又は該遺伝子にコードされたポリべプチドの発現が、 対照試 料に比較して変動していることが、 前記被検試料中に癌細胞が存在することの指 標となり、 それにより、 癌、 特に食道癌を検出することができ、 かつ癌、 食道癌 の進行度、 悪性度、 タイプを判定することができる。
以上のように解析して得られた結果は、 例えば、 プリン夕一、 ディスプレイ又 はディスプレイ用グラフィックソフトウエアのような他のソフトウエアパッケ一 ジに対して出力が与えられる。 かかる出力は、 本発明の検出方法により得られた 結果を診断、 治療法の選択などに用いる場合、 特に有利である。
4 . 本発明の癌の分類及び 又は検出に使用されるキット
本発明の癌の分類及び/又は検出に使用されるキットとしては、 上記 「癌の分 類の指標となる遺伝子」 の被検試料における発現量の変動を調べるためのキット が挙げられる。 すなわち、 本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法によ り得られた少なくとも 1種の遺伝子の発現量を測定するためキットである。 より 正確に癌を分類する観点から、 特に限定されないが、 少なくとも 5種の 「癌の分 類の指標となる遺伝子」 の発現量を測定できるものであることが好ましい。 本発明のキットは、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 より転写される mR N A量を定量することができるキットであり、 当該遺伝子の mRNA量の測定に 使用されるプライマ一及ぴ 又はプローブを含有することを 1つの大きな特徴と する。
本発明のキットは、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 、 より具体的には、 表 1及び表 2に示された遺伝子が、 癌、 特に食道癌の進行度、 悪性度、 タイプを
反映するという本発明者らの驚くべき知見に基づくものであり、 本発明のキット によれば、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 、 より具体的には、 表 1及び表 2に示された遺伝子に対応する核酸又はその相補的な鎖 (アンチセンス鎖) に特 異的に結合する、 すなわち、 ストリンジ Xントな条件下にハイブリダィズしうる オリゴヌクレオチドにより、 高い信頼度で、 癌、 特に食道癌を検出でき、 かつそ の進行度、 悪性度、 タイプに応じて分類することができる。
前記プライマ一は、 通常の核酸増幅法、 例えば、 RT— PCRに使用される反 応条件下において、 上記の遺伝子から転写された mRNA由来の核酸配列を特異 的に増幅できるものであればよく、 例えば、 当該遺伝子の塩基配列を基に設計し 、 合成することができる。 また、 プライマーの鎖長は、 特に限定はないが、 例え ば、 15〜40塩基長であり、 特に好ましくは 17〜30塩基長である。
また、 本発明のキットには、 好ましくは、 上記の遺伝子から転写された mRN A由来の核酸配列を特異的に増幅できるプライマーを対として含有することが望 ましい。
核酸増幅法、 特に、 RT - PCR法により mRNA量を測定する場合、 例えば 、 競合 PCR法、 Ta qMan法 〔例えば、 リンダ ·ジ一 · リ一等(L i n d a
G. Le e) 、 ヌクレイック ァシッズ リサーチ (Nucleic Acids Research ) , 第 21巻、 第 3761— 3766頁 (1 993)等を参照のこと〕 等により 、 mRNA量を測定できる。
また、 前記プローブ又はプライマ一は、 前記 「癌の分類の指標となる遺伝子」 に対応する核酸 (センス鎖) 、 又は該遺伝子に相補的な塩基配列を有する核酸 ( アンチセンス鎖) にストリンジェントな条件下にハイブリダィズするものであれ ばよい。 ここで 「ストリンジヱントな条件」 とは、 特に限定されないが、 例えば 、 6 XSSC (ここで、 1 XSSCは、 0. 1 5 M NaC l、 0. 0 1 5 M クェン酸ナトリウム、 pH7. 0 を示す) 、 0. 5%SDS、 5 xデンノヽ ルト、 1 00 zgZml変性二シン精子 DNAを含む溶液中、 〔前記プライマ一
及び/又はプローブの Tm— 25で〕 の温度で一晩保温する条件等をいう。 なお 、 プローブの Tmは、 例えば、 下記式:
Tm = 81.5-16.6 (logJO[Na+ ]) + 0.41 (¾G+C) - (600/N)
(式中、 Nはプローブの鎖長であり、 %G + Cはプローブ又はプライマ一中のグ ァニン及びシトシン残基の含有量である)
により求められる。
また、 プローブの鎖長が 1 8塩基より短い場合、 Tmは、 例えば、 A + T (ァ デニン +チミン) 残基の含有量と 2 °Cとの積と、 G + C残基の含有量と 4でとの 積との和 〔(A+T) X2+CG+C) X4〕 により推定することができる。
前記プローブの鎮長は、 特に限定はないが、 非特異的なハイブリダィゼーショ ンを防止する観点から、 15塩基以上であり、 好ましくは 18塩基以上であるこ とが望ましい。
さらに、 本発明のキットは、 上記のプライマ一及び/又はプローブの他、 核酸 増幅法に使用される試薬 〔例えば、 DNAポリメラ一ゼ (PCR、 特に LA— P CRに適した耐熱性 DNAポリメラーゼ) 、 dNTP、 MgC l2 、 ポリメラー ゼ反応を促進する物質など〕 、 検出用の試薬等を含むものであることができる。
5. 本発明の DN Aアレイ
本発明の癌の分類及び/又は検出に使用される DNAアレイは、 上記の癌の分 類の指標となる遺伝子に対応する核酸又はその断片がそれぞれ支持体上の定めら れた領域に固定化されたアレイである。 すなわち、 上記し に記載の方法で選択 された少なくとも 1種の遺伝子に対応する核酸 (センス核酸又はアンチセンス核 酸) 、 若しくはその断片が整列固定化された DNAアレイである。 当該アレイを 使用することにより、 被検試料中の上記遺伝子の発現の変動を簡便、 かつ精度よ く測定できるという優れた性質を有する。
ここで、 「それぞれ定められた位置に固定化される」 とは、 各々の遺伝子に対
応する核酸 (センス核酸又はアンチセンス核酸) 又はその断片の固定化されてい る位置が支持体上においてあらかじめ決定されていることを意味する。 すなわち 、 このようなアレイを使用した場合には、 検出されたシグナルの位置から、 該シ グナルがどの遺伝子の核酸又はその断片に由来するのかを知ることができる。 より正確に癌を分類する観点から、 特に限定するものではないが、 本発明の D NAアレイは、 上記の表 1に記載のマーカー遺伝子から選択された少なくとも 5 種の遺伝子、 若しくはその断片、 及び Z又は表 2に記載のマーカ—遺伝子から選 択された少なくとも 5種の遺伝子若しくはその断片が固定化されているものであ ることが好ましい。
本発明の DNAアレイに用いる支持体は、 ハイブリダィゼ一シヨンに使用可能 なものであれば特に限定はなく、 通常スライドグラス、 シリコンチップ、 ニトロ セルロース膜、 ナイロン膜等が使用される。 更に好ましくは、 非多孔性で、 表面 が滑らかな構造を有する材質であればよく、 特に限定はないが、 例えばスライド ガラス等のガラスが好適に使用できる。 支持体の表面は、 共有結合又は非共有結 合により一本鎖 DNAを固定化できるものであればいずれでもよく、 支持体の表 面に親水性又は疎水性の官能基を有しているものが好適に使用でき、 特に限定は ないが、 例えば、 水酸基、 アミノ基、 チオール基、 アルデヒド基、 カルボキシル 基、 ァシル基等を有しているものが好適に使用できる。 これらの官能基は、 支持 体自体の表面特性として存在していてもよいが、 表面処理によつて導入してもよ い。 このような表面処理物としては、 例えば、 ガラスをァミノアルキルシラン等 の市販のシランカツプリング剤で処理したものや、 ポリリジンやポリエチレンィ ミン等のポリ陽イオンで処理したもの等が挙げられる。 また、 これらの処理を施 したスライドガラスの一部は市販されている。
本発明の DNAアレイにおいては、 遺伝子又はその断片は、 一本鎖、 二本鎖の どちらが固定されていてもよい。 例えば、 該核酸又はその断片が、 変性された二 本の鎖として支持体に整列固定化された D N Aアレイや、 固定化された D N Aの
少なくとも一部が一本鎖 DNAである DNAアレイでもよい。 また、 本発明のァ レイは、 二本鎖 DNAを変性下において、 同一支持体に整列させてスポットした DNAアレイでもよい。
支持体上に固定化される核酸又はその断片には特に限定はなく、 マーカー遺伝 子より転写された mRNA量を測定可能なものであればポリヌクレオチド、 オリ ゴヌクレオチドのいずれであってもよい。 また、 その製法にも特に限定はなく、 化学的に合成したもの、 天然の核酸から単離、 精製したもの、 酵素的に合成した もの、 さらにはこれらを組み合わせて使用することができる。
支持体上に固定される核酸又はその断片としては、 例えば、 P C R (polymera se chain reaction ) 法等により、 酵素的に増幅して調製された鎖長が 5 0塩基 長以上の二本鎖ポリヌクレオチド又はその誘導体が本発明に好適に使用できる。 該誘導体としては、 支持体表面への固定化を可能にするような修飾を付されたも のが例示され、 特に限定するものではないが、 例えば DNAの 5 ' 末端にァミノ 基ゃチオール基等の官能基が導入された DN Aが挙げられる。 支持体への固定化 にあたっては、 上記の二本鎖ポリヌクレオチド又はその誘導体を変性し、 一本鎖 ポリヌクレオチド又はその誘導体とすることもできる。
アレイにポリヌクレオチドを固定する場合、 その鎖長は、 特に限定されるもの ではなく、 例えば、 約 5 0塩基長〜約 1キロ塩基長のものが本発明に好適に使用 できる。 また、 該鎖長より短いあるいは長いものであっても被検試料由来の核酸 とハイブリダイゼーシヨンにおいて特異的にハイブリダイズするものであればよ い o
例えば、 ゲノム DN Aライブラリーあるいは c DN Aライブラリ一を鐯型とし た P C R等によって増幅された DN Aを使用することができる。 上記の遺伝子に 対応する核酸又はその断片を公知の方法、 例えばァミノ基を導入した支持体上に 固定することにより該アレイを作製することができる。 また、 上記固定化の操作 を DNAアレイ作製装置、 例えば、 GMS社製の DN Aチップ作製装置を使用し
て行なうことにより、 遺伝子に対応する核酸が整列、 固定化された本発明のァレ ィを作製することができる。
具体的には、 前記表 1に記載のマーカ一遺伝子より選択された少なくとも 5種 の遺伝子若しくはその断片、 及び/又は前記表 2に記載のマーカ—遺伝子より選 択された少なくとも 5種の遺伝子若しくはその断片が固定化された DNAアレイ が例示される。
さらに、 本発明のアレイにおいては、 固定化される遺伝子の核酸あるいはその 断片の支持体上における密度について特に限定はないが、 例えば、 高密度で DN Aが固定されたアレイでもよく、 1 00 ドット /cm2 以上の密度で DNAが固 定化されたアレイが好適に使用できる。 このような高密度のアレイは、 通常、 D N Aマイクロアレイと呼ばれている。
少量の試料を使用して高感度、 高精度の測定が可能な点から、 高密度のアレイ は本発明に有利である。
本発明の D N Aアレイは、 試料を複数のグループに分類することが可能である ように作製することができる。 この場合、 各グループへの分類の指標となる遺伝 子群をそれぞれ支持体上で近接し、 かつ他の遺伝子群と離して固定化することに より、 測定結果を迅速かつ簡便に解析することができる。 以下に、 本発明を実施例により更に具体的に説明するが、 本発明はこれらの実 施例によって限定されるものではない。 実施例 1 RNA抽出
食道偏平上皮癌の患者より、 病理組織学的にリンパ節転移のなかった 1 0症例 (サンプル No. D232、 D 242、 D250、 D 272、 D278、 D 28 8、 D 292、 D 294、 D 30 1、 D 308 ) (A群) と、 リンパ節転移が 5 個以上であった 1 0症例 (サンプル No. D230、 D 238、 D 244、 D 2
60、 D285、 D299、 D300、 D302、 D304、 D305) (B群 ) とを選択し、 それぞれの症例の外科的切除標本の原発巣から RNA抽出用試薬
I SOGEN (二ツボンジーン社製) を用いて、 該試薬に添付の説明書記載の方 法により全 RNAを抽出した。 実施例 2 ノーザンプロット解析
実施例 1で得られた全 RNAについて、 各症例につき 5 / gの全 RNAを用い て、 E2F— 1をコードする核酸をノーザンブロット解析用プローブとしてノー ザンプロット解析を行なった。
なお、 前記ノーザンブロット解析用プローブは、 以下のように作製した。 即ち 、 0. 1〃gのヒト由来の mRNAライブラリー (オリジーン; OR I GENE 社製) を铸型として、 配列番号: 1に示す配列のプライマーと配列番号: 2に示 す配列のプライマ一とを用いて RT— PCR (逆転写 PCR) を行なった。 得ら れた増幅産物を 1 %ァガロースゲル電気泳動に供した。 電気泳動後のゲルから、 520 bpのバンドに対応する部分を切りだし、 常法に従って精製した。 精製さ れた DNA断片約 1 00 ngを、 ランダムプライマー DNAラベリングキット ( ベーリンガ一 'マンハイム社製) を用いて32 P— dCTP標識することにより、 ノーザンブロット解析用の標識 E 2 F- 1プローブを得た。
ノーザンハイブリダィゼ一シヨンは、 以下のようにして行なった。 まず、 実施 例 1で得られた各サンプルの全 RNAを、 各々個別に 1ゥエルにつき 5 gずつ ホルマリン変性 1 %ァガロースゲルにて電気泳動した。 ついで、 電気泳動後のゲ ルを、 ニトロセルロースフィルタ一 N i t r o P 1 usTM (ミリポア社製) に プロッティングし、 ゲル上の RNAを該ニトロセルロースフィルタ一に転写した o
転写後のフィルターを、 プレハイブリダィゼーシヨン緩衝液 (50%ホルムァ ミ ド、 5xSSC、 5 Xデンハルト液、 0. 1%SDS) 中にて、 42°C、 2時
間放置し、 プレハイブリダィゼーシヨンを行なった。 ついで、 プレハイブリダィ ゼーシヨン後のフィルターを、 前記標識 E 2F- 1プローブを最終濃度 4 n / m lとなるよう添加したハイブリダィゼ一シヨン緩衝液 (40%ホルムアミ ド、 4 XSSC、 4 Xデンハルト溶液、 0. 0 8%SDS、 1 0 %デキストリン) 中 にて、 42°C、 一夜放置し、 ハイブリゼーシヨンを行なった。 ハイブリダィゼー シヨン後、 得られたフィルタ一を洗浄液 (0. 1 XSSC、 0. 1 %SDS) に て、 6 5°C3 0分で 2回洗浄した。 洗浄後のフィルタ一を、 高感度 X線フィルム
(コダック社製) に一夜露光した。 得られたオートラジオグラムにおけるシグナ ル強度を、 目視にて比較検討した。
その結果、 リンパ節転移が 5個以上であった 1 0症例のうち、 4症例 (サンプ ル No. D 238、 D 260、 D 29 9、 D 304 ) においては、 E 2 F— 1の 発現が高く (B— H群) 、 残りの 6症例 (サンプル No. D 230、 D 244、 D 28 5、 D 30 0、 D 302、 D 305 ) においては、 E 2 F— 1の発現は低 かった (B— L群) 。 また、 リンパ節転移のなかった 1 0症例のうち、 1症例 ( サンプル No. D 242) においては、 E 2F— 1の発現が高く (A— H群) 、 残りの 9例 (サンプル No. D232、 D 250、 D 272、 D 278、 D 28
8、 D 292、 D 294、 D 30 1、 D 308) においては、 E 2 F— 1の発現 は低かった (A— L群) 。 実施例 3
リンパ節転移が 5個以上であり、 かつ E 2 F - 1の発現が高かった 4症例 (D 260、 D 2 9 9、 D 304、 D238) 、 リンパ節転移が 5個以上であり、 か つ E 2 F— 1の発現が低かった 4症例 (D 285、 D 300、 D 230、 D 24 4) 、 リンパ節転移が 1〜3個であった 5症例 〔D 25 6 (リンパ節転移 1個) 、 D 258 (リンパ節転移 1個) 、 D 295 (リンパ節転移 1個) 、 D 29 6 ( リンパ節転移 2個) 、 D 298 (リンパ節転移 3個) 〕 の計 1 3症例をサンプル
とし、 リンパ節転移がなく E 2 F— 1の発現が低い A— L群を対照試料として、 以下のように Huma n Can c e r CH I P (宝酒造社製) 、 Human Ap op t o s i s CH I P (宝酒造社製) にて遺伝子発現解析を行なった 前記症例のそれぞれにっき、 実施例 1と同様にして全 RNAを抽出した。 得ら れた全 RN A 5 gを鎳型とし、 配列番号: 3に示す配列の T 7— dT 24ブラ イマ一をプライマーとして、 T i me S av e r™ c DNA Syn t h e s i s K i t (Am e r s ham Pha rma c i a社製) を用いて該キッ トに添付のマニュアルに従って c DNAを合成した。
得られた cDNAを、 それぞれ 1 0 1の TE緩衝液に溶解した。 得られた c DNA溶液の 5〃 1相当量を鐯型として、 MEGAs c r i p tTM i n v i t r o Tr an s c r i p t i on K i t f o r La r e S e a l e Syn t h e s i s o f RNA s (Amb i o n社製) を用いて該キッ トに添付のマニュアルに従って c R N Aを合成した。
得られたそれぞれの cRNA 2 «gを铸型とし、 以下のように Cy 3— dU TPを使用した逆転写反応を行なうことによって、 Cy 3で蛍光標識された DN Aを作製した。 すなわち、 cRNA 2 fi g, λ p o 1 yA+ RNA— A (宝酒 造社製) 7 n g、 ランダムプライマー へキサデォキシリボヌクレオチド ミ ックス (宝酒造社製) 0. 75 /gを混合した反応液 20 1を調製し、 65 でで 1 0分加熱した後、 氷冷した。 氷冷後の溶液に、 RNa s e i nh i b i t o r 6 1. 5Uと、 l O x l ow dTNTP m i x 4 1と、 1 mM
Cy 3 -dUTP 4 1と、 5 XAMV用反応緩衝液 8 1と、 AMV r e v e r s e t r an s c r i p t a s e X L (ライフサイエンス社製)
50Uとを加え、 遮光して 42でで 1時間逆転写反応を行なった。 次に、 得ら れた反応産物に、 AMV r e v e r s e t r a n s c r i p t a s e XL
5 OUをさらに添加し、 遮光して、 更に 42 °Cで 1時間逆転写反応を行なった
。 反応終了後、 得られた反応産物をセントリセップカラム (アプライド 'バイオ システム社製) にて精製し、 得られた精製産物をエタノール沈殿した。 回収され た沈殿物をハイブリダィゼーシヨン緩衝液 (6 XSSC、 0. 2% SDS、 5 xデンハルト溶液、 熱変性サケ精子 DNA 100 zgZm 1、 ヒト Co t I D NA 1. 25 1、 ポリデォキシアデノシン 0. 8〃g l、 酵母 t RNA 1 ug/ 1) 5〃 1に溶解し、 Cy 3標識サンプル DNAを得た
0
A— L群についても同様に RNA抽出、 cDNA合成、 cRNA合成を行ない 、 得られた cRNA を铸型とし、 Cy 5_dUTPを使用した逆転写反 応を行なうことによって Cy 5で蛍光標識し、 Cy 5標識 A— L群 DNAを得た o
各々の Cy 3標識サンプル DNAと Cy 5標識 A— L群 DNAを等量を混合し たものを Human Canc e r CH I P (宝酒造社製) 、 Hum a n A p op t o s i s CHI P (宝酒造社製) による遺伝子発現の解析に供した。 なお、 CH I Pによる解析は以下のようにして行なった。
カバーグラスにプレハイブリダィゼ一シヨン緩衝液(6 XSSC、 0. 2% SDS、 5 xデンハルト溶液、 熱変性サケ精子 DNA1 /gZ z 1) 10〃 1を 滴下し、 滴下された溶液の上に Huma n Canc e r CHI P (宝酒造社 製) 、 又は Human Apop t os i s CHI P (宝酒造社製) をかぶせ 、 ペーパーボンドで周囲を密閉した。 得られた CH I Pを、 65°Cで 2時間保持 した。 その後、 カバ一グラスを外し、 CH I Pを 2 xSSCで洗浄し、 ついで 0 . 2XSSCで洗浄し、 風乾した。 これにより、 プレハイブリダィゼ一シヨンを 行なつた。
Cy 3標識サンプル DNAと Cy 5標識 A— L群 DNAとを等量で混合した溶 液 10 / 1を 1 00°Cで 2分間熱処理し、 氷冷した。 得られた溶液を、 力バーグ ラスに滴下し、 滴下された溶液の上に、 プレハイブリダィゼーシヨン後の Hum
an Canc e r CHI P (宝酒造社製) 、 又はプレハイプリダイゼ一ショ ン後の Huma n Ap o p t o s i s CHI P (宝酒造社製) をかぶせ、 ぺ ーパ一ボンドで周囲を密閉した。 得られた CH I Pを、 65 °Cで一晩保持してハ イブリダィゼ一シヨンを行なった。 その後、 カバ一グラスを外し、 CHI Pを、 2 XSSC, 0. 2%SDS中で 65°C、 5分洗浄後、 2XSSC、 0. 2%S 03中で55で、 30分の洗浄を 2回行ない、 0. 05 XSSCで 5分リンスし 、 ついで、 風乾した。
得られたハイブリダィゼ一シヨン済みの CH I Pをマイクロスキャナ一 (GM S社製) に供して、 各スポットの蛍光シグナルを測定した。 測定されたシグナル を発現データ解析ソフト ImaGe n e (バイオディスカバリー社製) で解析し た。
その結果、 下記遺伝子:
•インスリン様増殖因子結合夕ンパク質 2 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 2 (IGFBP2)、 (ジーンバンク登録番号: XI 6302) 〕 遺伝子、 •BIGH3 (ジーンバンク登録番号: M77349)遺伝子、
•インスリン様増殖因子結合夕ンパク質 6 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 6 (IGFBP6)、 (ジーンバンク登録番号: 62402) 〕 遺伝子、
•ゼラチナーゼ A Cgelatinase A (MMP-2)、 (ジーンバンク登録番号: M55593 ) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 7 Ctype II cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955) 〕 遺伝子、
•デスモプラキン I Cdesmoplakin I、 (ジーンバンク登録番号: M77830) 〕 遺 伝子、
-グル夕チオン一 S—トランスフェラ一ゼ A 1 (glutathione S-transf erase Al 、 (ジーンバンク登録番号: M16594) 〕 遺伝子、
•グル夕チオン一 S—トランスフェラ一ゼ P i (glutathione S- transferase Pi
(GSTP1)、 (ジーンバンク登録番号: U12472) 〕 遺伝子、
'コラゲナーゼ一 3 Ccollagenase-3 (MMP-13) 、 (ジーンバンク登録番号: X7 5308) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 5 Ctype I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
• P—力ドヘリン 〔P-cadherin、 (ジーンバンク登録番号: X63629) 〕 遺伝子、
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 Ctype I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14))、 (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 6 (type I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) 、 (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
が、 転移を有するサンプルで発現量が減少していた。
また、 下記遺伝子群:
•マトリリシン Onatrilysin (腿 P- 7)、 (ジーンバンク登録番号: X07819) 〕 遺 伝子、
• フォークへッド様 7 Cforkhead-like 7、 (ジーンバンク登録番号: AF048693 ) 〕 遺伝子、
•結合組織増殖因子 Cconnective tissue growth factor (CTGF)、 (ジーンバン ク登録番号: M92934) 〕 遺伝子、
•成長ホルモン依存性ィンスリン様増殖因子結合夕ンパク質 (growth hormone - d ependent insulin-like growth factor-binding protein、 (ジーンパンク登録 番号: M35878) 遺伝子、
• R h o 8タンパク質 〔Rho8 protein (ジーンバンク登録番号: X95282) 〕 遺 伝子、
は、 転移を有するサンプルのいくつかで発現量が減少していた。
一方、 下記遺伝子群:
•RBA/p48 (ジーンバンク登録番号: X74262) 遺伝子、
'細胞分裂制御タンパク質 2ホモログ 〔cell division control protein 2 homo log (EC 2.7.1.- )(cdc2)、 (ジーンバンク登録番号: X05360) 〕 遺伝子、 •複製因子 C 38 kD aサブュニット (replication factor C 38-kDa subuni t (RFC38) 、 (ジーンバンク登録番号: L07541) 〕 遺伝子、
•アポパイン前駆体 〔apopain precursor、 (ジーンバンク登録番号: U13737) 〕 遺伝子、
•色素乾皮症 C群修復補体タンパク質 p 58/HHR 23 B Cxeroderma pigmen tosura group C repair complementing protein p58/HH 23B、 (ジーンノヽンク登 録番号: D21090) 〕 遺伝子、
•サイクリン G 2 Ccyclin G2、 (ジーンバンク登録番号: U47414) 〕 遺伝子、 •サイクリン A Ccyclin A、 (ジーンバンク登録番号: X51688) 〕 遺伝子、 •アポトーシス関連タンパク質 TFAR 1 5 〔apoptosis- related protein TFAR 15、 (ジーンバンク登録番号: AF022385) 〕 遺伝子、
• TRKBチロシンキナーゼレセプ夕一 〔TRKB tyrosine kinase receptor、 ( ジーンバンク登録番号: U12140) 〕 遺伝子、
• シグナル伝達転写活性化因子 1 - α/β (signal transducer and activator of transcription 1 -alpha/beta (STAT1) 、 (ジーンバンク登録番号: M97935) 〕 遺伝子、
は、 リンパ節転移が 1〜3個であったサンプルにおいては、 対照試料における発 現量との差はなかったが、 リンパ節転移 5個であったサンプルにおいては、 発現 量が増加していた。
また、 下記遺伝子群:
• K一 r a sオンコジーン 〔K- ras oncogene, (ジーンバンク登録番号: M54968 ) )
'網膜細胞腫感受性タンパク質 Cretinoblastoma susceptibility protein (RBI ) 、 (ジーンバンク登録番号: L41870) 〕 遺伝子
• BCL 2/アデノウイルス E 1 B 19 kD相互作用タンパク質 1 (BN I P 1) mRNA CBCL2/adeno virus EIB 19kD- interacting protein 1 (BNIPl) mRN A, complete cds、 (ジーンバンク登録番号: AF083957)〕 遺伝子、
•アポトーシスタンノヽ0ク質 1インヒビ夕一 [inhibitor of apoptosis protein 1
(HIAP-1)、 (ジーンバンク登録番号: U45878)〕 遺伝子、
はリンパ節転移が 5個以上であったサンプルの幾つかにおいて発現量が増加して いた。
下記遺伝子群:
• G1/S特異的サイクリン C Ccyclin C Gl/S-specif ic (ジーンバンク登録番 号: M74091)〕 遺伝子、
• BRC A 1関連環状ドメインタンパク質 〔BRCAl-associated ring domain pro tein (ジーンバンク登録番号: U76638) 〕 遺伝子、
• APC 〔ジーンバンク登録番号: M73548〕 遺伝子、
■インテグリン — E前駆体 〔integrin alpha-E precursor (ITGAE) (ジーンバ ンク登録番号: L25851)〕 遺伝子、
•ェズリン 〔ezrin (cytovillin 2) (ジーンバンク登録番号: X51521) 〕 遺伝子、
• r e c A様タンパク質 Hs Ra d 51 (recA-like protein HsRad51 (ジーン バンク登録番号: L07493)〕 遺伝子、
•血管内皮増殖因子 C前駆体 (vascular endothelial growth factor C precurs or (VEGF-C) (ジーンバンク登録番号: U43142) 〕 遺伝子、
•サイクリン E Ccyclin E (ジーンバンク登録番号: M73812) 〕 遺伝子、 の発現量の増加は、 転移が 5個以上であったサンプルにおいて見出されたが、 こ れら 8種の遺伝子発現の増加が見られたサンプルにおいては、 いずれも E 2 F—
1発現の低いサンプルであつた。
また、
• CDK 6インヒビタ一 2 c (ρ 18) mRNA, comp l e t e c d
s CCDK6 inhibitor 2c (pl8) mRNA, complete cds (ジーンバンク登録番号: Ul 7074) 〕 遺伝子、 及び
■PCNA 〔ジーンバンク登録番号: 15796) 遺伝子、
の発現量の増加が、 転移が 5個以上であったサンプルにおいて見出されたが、 こ れら 2種の遺伝子発現の増加が見られたサンプルにおいては、 いずれも E 2 F— 1発現の高いサンプルであった。
したがって、 これら 1 0種の遺伝子は、 E 2 F— 1の発現の多少に従って発現 量が増減する遺伝子と考えられ、 これらの遺伝子の発現の多少を以つて転移能を 評価することはできないと考えられた。
以上の結果より、
'インスリン様増殖因子結合タンパク質 2 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 2 (IGFBP2). (ジーンバンク登録番号: XI 6302) 〕 遺伝子、
•BIGH3 (ジーンバンク登録番号: M77349) 〕 遺伝子、
•インスリン様増殖因子結合タンパク質 6 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 6 (IGFBP6). (ジーンバンク登録番号: M62402) 〕 遺伝子、
'ゼラチナ一ゼ A Cgelatinase A (MMP-2) 、 (ジーンバンク登録番号: M55593 ) ) 遺伝子、
• Π型細胞骨格ケラチン 7 (type I I cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955) 〕 、
•デスモプラキン I Cdesmoplakin I 、 (ジーンバンク登録番号: M77830) 〕 遺 伝子、
•グル夕チオン一 S—トランスフヱラ一ゼ A 1 (glutathione S-transf erase Al 、 (ジーンバンク登録番号: M16594) 〕 遺伝子、
•グル夕チオン一 S—トランスフェラ一ゼ P i (glutathione S-transf erase Pi
(GSTP1)、 (ジーンバンク登録番号: U12472) 〕 遺伝子、
.コラゲナ―ゼ— 3 (coiiagenase-3 (腿 P-13) 、 (ジーンバンク登録番号: X7
5308) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 5 Ctype I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
• P—力ドヘリン 〔P-cadherin、 (ジーンバンク登録番号: X63629) 〕 遺伝子、
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 Ctype I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14))、 (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 6 (type I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) 、 (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
■マトリリシン Onatrilysin (MMP- 7)、 (ジーンバンク登録番号: X07819) 〕 遺 伝子、
'フォークヘッド様 7 Cforkhead-like 7、 (ジーンバンク登録番号: AF048693 ) 〕 遺伝子、
•結合組織増殖因子 Cconnective tissue growth factor (CTGF)、 (ジーンバン ク登録番号: M92934) 〕 遺伝子、
•成長ホルモン依存性ィンスリン様増殖因子結合夕ンパク質 〔growth hormone-d ependent insulin-like growth factor-binding protein、 (ジーンノヽンク登録 番号: M35878) 〕 遺伝子、
• R h o 8タンパク質 〔Rho8 protein, (ジーンバンク登録番号: X95282) 〕 遺 伝子、
特に好ましくは、
•インスリン様増殖因子結合タンパク質 2 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 2 (IGFBP2)、 (ジーンバンク登録番号: XI 6302) 〕 遺伝子、
- BIGH3 (ジーンバンク登録番号: M77349) 遺伝子、
,インスリン様増殖因子結合夕ンパク質 6 Cinsulin-like growth factor bindi ng protein 6 (IGFBP6)、 (ジーンバンク登録番号: M62402) 〕 遺伝子、
'ゼラチナ一ゼ A Cgelatinase A (M P-2) 、 (ジーンバンク登録番号: M55593
) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 7 Ctype I I cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955) 〕 遺伝子、
•デスモプラキン I 〔desmoplakin 〖 、 (ジーンバンク登録番号: M77830) 〕 遺 伝子、
•グル夕チオン一 S—トランスフェラ一ゼ A 1 (glutathione S-transf erase Al 、 (ジーンバンク登録番号: M16594) 〕 遺伝子、
• グル夕チオン一 S—トランスフェラ一ゼ P i (glutathione S-transf erase Pi (GSTP1)、 (ジーンバンク登録番号: U12472) 〕 遺伝子、
' コラゲナーゼ一 3 Ccollagenase-3 (MMP-13) 、 (ジーンバンク登録番号: X7 5308) 〕 遺伝子、
• Π型細胞骨格ケラチン 5 Ctype I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
• p一力ドヘリン 〔p- cadherin、 (ジーンバンク登録番号: X63629) 〕 遺伝子、
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 Ctype I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14))、 (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 6 Ctype I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) 、 (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
がリンパ転移の指標となることが明らかにされた。
また、
•RBA/P48 〔ジーンバンク登録番号: X74262〕 遺伝子、
'細胞分裂制御タンパク質 2ホモログ (cell division control protein 2 homo log (EC 2.7. 1. -) (cdc2)、 (ジーンバンク登録番号: X05360) 〕 遺伝子、
•複製因子 C 3 8 k D aサブュニット [replication factor C 38-kDa subuni t (RFC38) 、 (ジーンバンク登録番号: L07541) 〕 遺伝子、
•アポパイン前駆体 Capopain precursor、 (ジーンバンク登録番号: U13737)
〕 遺伝子、
■色素乾皮症 C群修復補体タンパク質 p 58/HHR 23 B (xeroderma pigmen tosum group C repair complementing protein p58/HHR23B、 (ジーンノくンク登 録番号: D21090) 〕 遺伝子、
•サイクリン G 2 Ccyclin G2、 (ジーンバンク登録番号: U47414) 〕 遺伝子、 •サイクリン A Ccyclin A、 (ジーンバンク登録番号: X51688) 〕 遺伝子、 ■アポト一シス関連タンパク質 T FAR 1 5 〔apoptosis - related protein TFAR 15、 (ジーンバンク登録番号: AF022385) 〕 遺伝子、
• TR KBチロシンキナーゼレセプ夕一 CTRKB tyrosine kinase receptor、 ( ジーンバンク登録番号: U12140) 〕 遺伝子、
• シグナル伝達転写活性化因子 1— a/ β (signal transducer and activator of transcription 1 -alpha/beta (STAT1) 、 (ジーンバンク登録番号: M97935) 〕 遺伝子、
• K一 r a sオンコジーン 〔K-ras oncogene. (ジーンバンク登録番号: M54968 ) )
•網膜細胞腫感受性タンパク質 (retinoblastoma susceptibility protein (RBI ) 、 (ジーンバンク登録番号: L41870) 〕 遺伝子、
■ BCL 2 アデノウイルス E 1 B 1 9 kD相互作用タンパク質 1 (BN I P 1) mRNA CBCL2/adenovirus EIB 19kD- interacting protein 1 (BNIPl) mRN
A, complete cds、 (ジーンバンク登録番号: AF083957) 〕 遺伝子、
特に好ましくは
•RBA/p48 〔ジーンバンク登録番号: X74262〕 遺伝子、
•細胞分裂制御タンパク質 2ホモログ 〔cell division control protein 2 homo log (EC 2.7.1.- )(cdc2)、 (ジーンバンク登録番号: X05360) 〕 遺伝子、
•複製因子 C 38 kD aサブュニット Creplication factor C 38-kDa subuni t (RFC38) 、 (ジーンバンク登録番号: L07541) 〕 遺伝子、
•アポパイン前駆体 Capopain precursor、 (ジーンバンク登録番号: U13737) 〕 遺伝子、
•色素乾皮症 C群修復補体タンパク質 p 5 8 /HH R 2 3 B [xeroderma pigmen tosum group C repair complementing protein p58/HHR23B 、 (ジーンノヽンク登 録番号: D21090) 〕 遺伝子、
•サイクリン G 2 Ccycl in G2、 (ジーンバンク登録番号: U47414) 〕 遺伝子、 •サイクリン A Ccyclin A、 (ジーンバンク登録番号: X51688) 〕 遺伝子、 •アポトーシス関連タンパク質 T F A R 1 5 Capoptosis-related protein TFAR 15、 (ジーンバンク登録番号: AF022385) 〕 遺伝子、
• T R K Bチロシンキナーゼレセプター 〔TRKB tyrosine kinase receptor 、 ( ジーンバンク登録番号: U12140) 〕 遺伝子、
, シグナル伝達転写活性化因子 1 - / β (signal transducer and activator of transcription 1 -alpha/beta (STAT1) 、 (ジーンバンク登録番号: M97935) 〕 遺伝子、
がリンパ節高転移の指標となることが明らかにされた。 実施例 4
実施例 3でリンパ転移の指標となることが明らかにされた遺伝子群より、
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 (type I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14)) (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
■ I I型細胞骨格ケラチン 6 (type I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 5 Ctype I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5 ; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
'ゼラチナ一ゼ A (MM P - 2 ) Cgelatinase A (MMP-2) (ジーンバンク登録 番号: 55593) 〕 遺伝子、
, II型細胞骨格ケラチン 7 Ctype II cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955)〕 遺伝子、
の 5種類を選択し、 これらの遺伝子に対応する cDNAが固定化された DNAマ イクロアレイを以下のようにして作製した。
実施例 3にて調製した A— L群の RN Aを铸型として、 それぞれの遺伝子につ き RT— PCR法にて cDNA断片を増幅した。 I型細胞骨格ケラチン 14 〔ty pe I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14))、 (ジーンバン ク登録番号: J00124) 〕 の c DNAの増幅には、 それぞれ配列番号: 4又は 5に 示される配列を有するプライマーからなるプライマ一対、 II型細胞骨格ケラチン 6 Ctype II cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B))、 (ジーンバ ンク登録番号: L42610)〕 の c DNAの増幅には、 配列番号: 6及び 7に示され る配列を有するプライマ一からなるプライマ一対、 Π型細胞骨格ケラチン 5 〔ty pe II cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク 登録番号: M21389)〕 の c DNAの増幅には、 配列番号: 8及び 9に示される配 列を有するプライマーからなるプライマ一対、 ゼラチナ一ゼ A (MMP- 2)
Cgelatinase A (醒 P-2) (ジーンバンク登録番号: M55593)〕 の c DNAの増幅 には、 配列番号: 10及び 1 1に示される配列を有するプライマ一からなるブラ イマ一対、 II型細胞骨格ケラチン 7 Ctype II cytoskeletal 7 keratin (cytok eratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955)〕 の c DNAの増幅 には、 配列番号: 12及び 13に示される配列を有するプライマーからなるブラ イマ一対を用いた。 増幅された cDNAの塩基配列分析を行なって、 目的の断片 であることを確認した。 また、 目的の断片であることが確認された cDNA断片 を、 エタノール沈殿法により回収し、 1 OmM 炭酸バッファ一 (pH9. 5) に 1 /IV [となるように溶解した。
E 1 F— 2遺伝子の cDNA、 ハウスキーピング遺伝子として8—ァクチン遺 伝子の cDNA、 ネガティブコントロールとしてプラスミ ド pUC 18をそれぞ
れ同様に調製した。
これらの DNAを、 DNAチップ作製装置 (GMS社製) を用いてアミノ基導 入スライドガラス (シグマ社製) にスポットし、 UV照射により該スライドガラ スに固定した。 得られたスライ ドを、 0. 2 %SDS溶液で洗浄し、 次いで蒸留 水で洗浄し、 乾燥して DN Aアレイを得た。 実施例 5
下記キットを構築した。
( 1 ) キット 1
① 実施例 3でリンパ転移の指標となることが明らかにされた遺伝子群中の下記 5種類の遺伝子:
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 (type I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14)) (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 6 Ctype II cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 5 (type II cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
.ゼラチナ一ゼ A (MMP- 2) Cgelatinase A (MMP-2) (ジーンバンク登録 番号: M55593) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 7 (type II cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955) 〕 遺伝子、
のそれぞれの mRN A量を測定するためのプライマー及びプライマー
② AMV Reverse Transcriptase XL (5U/ /1) 5 0〃 1
③ RNase Inhibitor (40U/〃1) 25 1
④ Random 9 mers (50 ^M) 50〃 1
⑤ oligo dT (2.5 z ) 50〃 1
⑥ TaKaRa Taq (5U/ z l) 2 5 1
⑦ 10XRNA PGR buffer (100 mM Tris-HCl, 500 mM KCl, pH8.3) 1 m 1
⑧ dNTP mixture (各 10 mM) 1 5 0〃 1
⑨ MgCl2 (25 mM) 1 m l
( 2 ) キット 2
① 実施例 3でリンパ転移の指標となることが明らかにされた遺伝子群中の下記 5種類の遺伝子:
• I型細胞骨格ケラチン 1 4 Ctype I cytoskeletal 14 keratin (cytokeratin 14 (K14; CK 14)) (ジーンバンク登録番号: J00124) 〕 遺伝子、
• I I型細胞骨格ケラチン 6 Ctype I I cytoskeletal 6 keratin (cytokeratin 6B (CK 6B)) (ジーンバンク登録番号: L42610) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 5 Ctype I I cytoskeletal 5 keratin (cytokeratin 5 (K5; CK 5))、 (ジーンバンク登録番号: M21389) 〕 遺伝子、
•ゼラチナーゼ A (MMP - 2 ) Cgelatinase A (MMP-2) (ジーンバンク登録 番号: M55593) 〕 遺伝子、
• II型細胞骨格ケラチン 7 Ctype I I cytoskeletal 7 keratin (cytokeratin 7 (K7; CK 7))、 (ジーンバンク登録番号: M13955) 〕 遺伝子、
のそれぞれにコードされたポリべプチドに特異的に結合する抗体 (標識抗体) 配列表フリーテキスト
配列番号: 1は、 E 2 F— 1遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマー の配列である。
配列番号: 2は、 E 2 F— 1遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマ一 の配列である。
配列番号: 3は、 逆転写反応用プライマーの配列である。
配列番号: 4は、 I型細胞骨格ケラチン 1 4遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマ一の配列である。
配列番号: 5は、 I型細胞骨格ケラチン 1 4遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマ一の配列である。
配列番号: 6は、 II型細胞骨格ケラチン 6遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。
配列番号: 7は、 II型細胞骨格ケラチン 6遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。
配列番号: 8は、 II型細胞骨格ケラチン 5遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。
配列番号: 9は、 I I型細胞骨格ケラチン 5遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。
配列番号: 1 0は、 ゼラチナーゼ A遺伝子の一部を増幅するための P C Rブラ イマ一の配列である。
配列番号: 1 1は、 ゼラチナ一ゼ A遺伝子の一部を増幅するための P C Rブラ イマ一の配列である。
配列番号: 1 2は、 I I型細胞骨格ケラチン 1 7遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。
配列番号: 1 3は、 U型細胞骨格ケラチン 1 7遺伝子の一部を増幅するための P C Rプライマーの配列である。 産業上の利用の可能性
本発明の癌の分類の指標となる遺伝子の選択方法によれば、 種々の癌において 、 その進行度、 分化度、 タイプ等による分類が可能な遺伝子を簡便迅速に選択す ることができ、 癌の診断、 治療のための情報を提供することが可能になる。 また 、 本発明の癌の分類方法によれば、 痛の分類、 例えば進行度、 分化度、 タイプ等
を簡便迅速に分類することができ、 その分類結果から、 個々の症例において適切 な治療法の選択が可能となる。 さらに、本発明の癌の検出方法によれば、 種々の 進行度の癌、 種々の分化度の癌、 種々のタイプの瘙を簡便迅速に検出することが 可能になり、 個々の症例において適切な治療法の選択が可能となる。 したがって 、 本発明は、 癌の診断、 治療等に有用である。