明 細 書
キ ラル化合物の絶対配置の決定方法 技術分野
本発明は、 キ ラル化合物の絶対配置の決定方法に関す る
背景技術
従来よ り 、 円二色性 ( C D ) 分光光度分析に よ り 把握 さ れる誘導コ ッ ト ン効果によ っ て外部 リ ガ ン ド の絶対配 置を決定する こ とが試み られてい る。 た と えば以下のよ う な報告がな さ れてい る。
( 1 ) J . A m C h e m . S o c . , 1 9 9 7 , 1 1 9 , 6 3 4 5 - 6 3 5 9 , E . ヤ シマ、 T . マツ シマ マ及び Υ . オカ モ ト は、 キ ラ ル化合物の存在下で らせん 構造を と る高分子につ いて、 リ ガ ン ド (キ ラル化合物) によ っ て誘起さ れる 円二色性の コ ッ ト ン効果の符号と 、 リ ガ ン ド の絶対配置の間 にょ い相関があ る こ と を見い 出 してレ ^ る。
しか し 、 らせん構造の誘起は、 高分子側鎖のカ ルボキ シ ラ ー ト基と リ ガ ン ド のア ンモニゥム基の間のイ オ ン対 形成に 由来する ので、 こ の方法は、 一般モ ノ ア ミ ン、 ァ ミ ノ アルコ ールに は適用でき るがアルコ ールに は適用不
可能であ る。
( 2 ) J . A m C h e m . S o c . , 1 9 9 8 , 1
2 0 , 6 1 8 5 - 6 1 8 6 , X . H u a n g 、 B . H .
R i c k m a n n , B . B o r h a n 、 N . B e r o v a , K . ナカニ シでは、 長い架橋鎖でむすばれたボルフ ィ リ ンニ量体にお ける キ ラルな リ ガ ン ド に よ る 円二色性 の誘起を報告 してい る 。 コ ッ ト ン効果の符号 と リ ガ ン ド の絶対配置の間 に相関があ るが、 こ の系では、 一分子の リ ガ ン ド が同時 に二つのポ リ フ ィ リ ン単位に配位する こ と によ っ て初めて円二色性が誘起さ れる ので、 適用可能 な化合物は、 ジア ミ ンゃア ミ ノ アルコ ールな ど二官能性 の化合物に限 ら れてレ る。
( 3 ) B u 1 1 . C h e m . S o c . , J p n . , 1 9 9 8 , 7 1 , 1 1 1 7 - 1 1 2 3 , M . タ ケゥチ, T イ マダ, S . シ ンカイ では、 フ エニルボ ロ ン酸単位を有 するポ リ フ ィ リ ンニ量体が各種の糖の存在下で円二色性 を示す こ と を報告 してレゝ る。
こ の方法は 、 ボ ロ ン酸 と の間に結合を作るポ リ オール (多価アルコ ール) にのみ適用可能であ り 、 しか も、 特 定の (一つの ) 不斉中心の まわ り の絶対配置を直接決め う る方法ではな い。
( 4 ) J . C h e m . S o c . D a l t o n T r
a n s 1 9 9 9 1 1 - 1 2 , H . ッ ク ベ, M . ホ ソ ク ボ . M . ヮ ダ, S . シ ノ ダ, H . 夕 ミ アキでは、 ラ ンタ ニ ド の ト リ ス ( 3 — ジケ ト ナ ト ) 錯体がキ ラルなァ ミ ノ アルコ ールの存在下で円二色性を示す こ と を明 ら か に した。 しカゝ し こ の系では、 モ ノ ア ミ ン、 モ ノ アルコ ー ルはキ ラ リ ティ 一 を誘起 しな い。
( 5 ) O r g . L e t t . , 1 9 9 9 , 1 , 8 6 1 - 8 6 4 , S . Z a h n , J . W . C a n a r yでは、 ァ ミ ノ 酸およびア ミ ノ アルコ ールの絶対配置が銅錯体の 円 二色性に よ っ て決定でき る こ と を明 らか に した。
だが、 こ の方法は、 銅に、 二座配位可能なア ミ ノ 酸や ァ ミ ノ アルコ ールにのみ適用可能で、 モ ノ ア ミ ンやモ ノ アルコ ールには適用できない。
以上のよ う に、 これまでは、 モ ノ アルコ ールを含む広 範囲の塩基性基を有するキ ラ ル化合物の絶対配置の決定 法につ いては報告さ れていない。
また、 キ ラル化合物の絶対配置の決定方法と しては、 X線回折法が知 ら れて い る が、 これは結晶性の も の に限 ら れる と い う 限定があ る。
図面の簡単な説明
図 1 は、 キ ラ ルなァ ミ ン によ っ て誘起さ れる亜鉛ポル フ ィ リ ンダイ マーの円二色性を例示 した図であ る。
図 2 は、 亜鉛ポルフ ィ リ ンダイ マ一にお ける不斉誘起 の機構を示 した概要図であ る 。
図 3 は、 ポルフ ィ リ ン 2 量体の最大吸収バ ン ド につ い てモ一 メ ン ト の方向を説明 した図であ る 。
図 4 は、 実施例において、 ( R ) — (— ) — 1 — シ ク 口 へキ シルェチルァ ミ ン を使用 し た場合の C D スべク 卜 ルを示 した図であ る。
図 5 は、 実施例 にお いて、 ( R ) — (一 ) 一 フ エニル ェタ ノ —ルを使用 した場合の C D ス ぺク ト ルを示 した図 であ る
発明の開示
本発明は、 前記の従来技術の限界 と 問題点を克服 し 、 口 口 してい る塩基性基の種類が広範囲のキ ラ ル化合物の 絶対配置を、 精度よ く 、 しか も簡単に決定する こ と ので さ る 、 汎用的な、 新 し いキ ラ ル化合物の絶対配置の決定 方法を提供する こ と を主な 目 的 と してい る。
本発明は、 下記のキ ラ ル化合物の絶対配置の決定方法 に係る も のであ る。
1 . 炭素鎖で架橋さ れたポルフ ィ リ ン 2 量体の構造を 有 し、 2 量体構造の一方のポルフ ィ リ ン環の炭素鎖に よ る架橋位置の炭素か ら ポルフ ィ リ ン環の外周 に沿っ て二 つ 目 の炭素の少 く と も一方にェチル基以上にバルキーな
置換基を持つ金属ポルフ ィ リ ン に、 該金属ポルフ ィ リ ン の 2 量体構造の他方のポルフ ィ リ ン環の金属に配位可能 な塩基性基が結合 した不斉炭素 または該塩基性基が結合 し た炭素原子の隣接位置に不斉炭素 を有するキ ラル化合 物 を配位させ、 円二色性分光光度分析に よ り コ ッ ト ン効 果の符号か ら 前記キ ラル化合物の不斉炭素の絶対配置を 決定する こ と を特徴 とするキ ラ ル化合物の絶対配置の決 定方法。
2 . ェチル基以上にバルキーな置換基は、 1 ) 炭素数 2 以上の炭化水素基、 2 ) 含酸素置換基、 3 ) 含窒素置 換基、 4 ) ノ、 ロ ゲン原子または 5 ) ハ ロ ゲン化炭化水素 基であ る 上記第 1 項の決定方法。
3 . キ ラル化合物は、 1 ) 一級ア ミ ン類、 2 ) 二級ァ ミ ン類、 3 ) —級ジァ ミ ン類、 4 ) 二級ジァ ミ ン類、
5 ) モ ノ アルコ ール類または 6 ) ァ ミ ノ アルコール類で あ る上記第 1 項の決定方法。
4 . 金属ポルフ ィ リ ンは次式 ( I )
{μ {5,5'- (エタン -1,2ジィル)ビス [2,3,7,8, 12, 13, 17, 18·ォクタェチル- 21H.23H-ボルフィ リナ一ト】 (4-)} -Κ ,K ΝΜ,Λ: Ν»,Κ Ν"',
Κ Ν22·,ΛΓ Ν23",Λ: N"'} } ~ α
で表わ さ れる も のであ る上記第 1 項ない し第 3 項の いず れかの決定方法。
本発明 にお いては、 前記の とお り の 円二色性 ( C D ) 分光光度分析法が適用 さ れる こ と にな る が、 こ の分析で は、 誘導コ ッ ト ン効果の符号は外部 リ ガ ン ド の不斉炭素 の絶対配置に よ っ て決ま る こ と にな る。 C Dエキシ ト ン ' キ ラ リ ティ 一法 ( H a r a d a , N . : N a k a n i s h i , K . ; C i r c u l a r D i c h r o i c S p e c t r o s c o p y — E x c i t i o n c o u P 1 i n g i n O r g a n i c S t e r e o c h e m i s t r y ; U n i v e r s i t y S c i e n c e B o o k s ; M i 1 1 V a 1 l e y , 1 9 8 3 .
N a k a n i s h i , K . ; B e r o v a , N . I n C i r c u l a r D i c h r o i s m ; P r i n c i p i e s a n d A p p l i c a t i o n s ; W o o d y , R . , E d ; V C H P u b l i s h e r s ; N e w Y o r k , 1 9 9 4 ; p p 3 6 1 — 3 9 8 ) に よ れば、 二つの相互に作用する電子遷移モー メ ン ト が右回 り に並ぶ と正のキ ラ リ テ ィ ー を創出 し、 左回 り に並ぶ と 負のキ ラ リ ティ 一 と な る 。
本発明 は、 配位子と してのキ ラル化合物の不斉炭素の 絶対配置 ( R体か S 体か) と コ ッ ト ン効果の符号 と の間 には一定の対応関係があ る と の知見に基づいて完成さ れ た。
の絶対配置の決定につ いてよ り 原理的 次式
( I )
{μ {5,5'- (エタン -1,2ジィル)ビス [2,3,7,8,12,13,17,18-ォクタエテル- 21H.23H-ボルフィ リナ一ト】 (4-)} -Λ: ΝΪΙ,Λ: N", C Ν23.Λ: Ν"·,
で表わ さ れる亜鉛ポルフ ィ リ ンの場合を例に して説明す る 。
こ の亜鉛ポルフ ィ リ ンは 、 2 量体構造の一方のボルフ ィ リ ン環のエチ レ ン架橋鎖 ( - C H 2 - C H 2 - ) によ る 架橋位置の炭素原子 ( a ) か ら ポルフ ィ リ ン環の外周 に 沿っ て二つ 目 の炭素原子 ( b ) ( b ) の双方にェチル基 ( - C H 2 C H 3 ) を有する も のであ る。
も ち ろ ん、 本発明では、 上記エチ レ ン架橋鎖の部位に 各種の炭素数の アルキ レ ン鎖等の炭素鎖 (好ま し く は炭 素数 2 〜 3 の炭素鎖) を有 し、 しか もポルフ ィ リ ン環に 結合 している ェチル基の部位 ( b ) ( b ) の少な く と も 一方にバルキ一な置換基を有する金属ポルフ ィ リ ン も適 宜使用する こ とができ る。
本発明者 ら は、 上記のよ う な亜鉛ォク 夕 エヂルポルフ ィ リ ンダイ マ一 ( Z n D ) が、 た と えば次式の よ う な、 アルコ ールやア ミ ン
キラル ゲスト アキラル ホスト
アミン類
(λ)/
の配位によって s y n型力、 ら a n t i 型へのコ ンホメ一 シ ョ ン変化を示すこ と を見出 していた。
そして、 新たに、 キラルなアルコールゃァ ミ ンが配位 する と、 a n t i 型のコ ンホーマ一に不斉が誘起され、 図 1 に示すよ う な円二色性を示すよ う になる こ と を見い だした。 不斉誘起の機構は、 図 2 のよ う に説明される。 すなわち、 配位子の α炭素に結合する も っ と も大きな置 換基 ( X ) と、 ポルフ ィ リ ンのェチル基 ( E t ) の間に 立体障害が働く こ と によって、 ポルフ ィ リ ンの配向にね じれが生じ、 ボルフ ィ リ ン間の励起子相互作用に基づく 円二色性があ らわれる ものと理解できる。
配位子の絶対配置 ( R体か S 体か) と コ ッ ト ン効果の 符号 と の関係につ いては、 た と えば表 1 に示す こ とがで き る 。 こ の表 1 を見る と 、 ア ミ ノ 基、 あ る いは ヒ ド ロ キ シ基の α 炭素の まわ り の立体配置 と コ ッ ト ン効果の符号 の間 に、 一定の対応関係があ る こ とがわかる。 図 1 に も 示すよ う に、 よ り 短波長側の ピーク が第二コ ッ ト ン効果 よ り 長波長側の ピー ク が第一コ ッ ト ン効果を示す。 各 ピ ー ク の符号は正の場合 と負の場合があ る。 例え ば、 図 1 の 1 一 フ エニルェチルァ ミ ンの場合には、 絶対配置が
( R ) であれば、 第二コ ッ ト ン効果の符号は正、 第一コ ッ ト ン効果の符号は負 とな り 、 絶対配置が ( S ) であれ ば、 これ ら の符号は逆になる 。 すなわち 、 第一コ ッ ト ン 効果の符号が正の場合はキ ラル化合物の絶対配置は
( S ) と なる。 こ れに対 し 、 第一コ ッ ト ン効果の符号が 負であ る場合は ( R ) と なる。 表 1 は、 多 く のキ ラル化 合物につ いて こ の対応関係が成立する こ と を示す。 こ の こ と によ っ て、 キ ラ リ ティ ーの誘導 に関する 上記の推定 機構が正 し い こ とが証明 さ れる と 同時に、 絶対配置不明 の化合物の絶対配置を決定する こ とができ る。
キラルァミン^とアルコール^の ay'tfidsの帰 リガント' «¾対配ほと 第ニコッ トン n—コッ 卜ン リガンド符 (B上娜) (Β ¾移) -ブタノール (-)
\ τ f
1-フェニ レエタノ ·一 jレ n/ \ ·ノ
oノ /
-ブチリレアミン ( )- (-)
1-フエニルェチルァミン
i {
1-U-ナフチル)ェチルァミン (R)- (+)
(SH-) t 2- ,
ジァミノシク□へキサン (1 .2 )- (-)
卜アミノ- 2-ブロパノール (R)- (-)
(S)-( +
2-ァミノ- 4-メチル-卜ベンタノール (RH-)
(S)-( \ レシク αへキシルェチルァミン (R)- (-)
(S)-(t)
Η-メチル -卜フエニルェチルァミン (R)-(t)
(S)- (-) +
2-メチル -1-ブチルァミン (S)- (-) \ ポルニルアミン (LR.2S)- (+) Γ
1,2-ジフエニルエチレンジァミ ン (lR,2R)-( \
(1S.2S)- (-) \
なお、 表 1 において、 B u遷移 と は、 吸収帯が B ノ ン ド と なる二つのポルフ ィ リ ン環のモー メ ン ト が共にポ リ フ イ リ ン環を結合する方向に あ る場合の遷移であ り 、 B 丄遷 移 と は、 前記モー メ ン ト が共にポ リ フ ィ リ ン環を結合す る方向 と は垂直の方向に あ る場合の遷移であ る (図 3 実 線参照) 。 キ ラ ルなポルフ ィ リ ン二量体では、 B u遷移及 び B 1遷移の いずれの場合 も 、 アキ ラ ルな場合に比べて、 一方の環のモーメ ン 卜 の方向は他方のモーメ ン ト の方向 に対 し 、 若干ずれる こ と になる (図 3 点線参照) 。
本発明 においては、 以上の亜鉛ポルフ ィ リ ンの例 にみ ら れる よ う に、 キ ラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決 定する こ とが可能であ る 。
金属ポルフ ィ リ ンにつ いては、 本発明の方法において は、 炭素鎖で架橋さ れたポルフ ィ リ ン 2 量体の構造を有 し 、 こ の 2 量体構造の一方のポルフ ィ リ ン環の炭素鎖に よ る架橋位置の炭素 (すなわち 、 架橋炭素鎖に結合 し た ポルフ ィ リ ン環上の炭素原子) か ら ポルフ ィ リ ン環の外 周 に沿っ て二つ 目 の炭素の少 く と も一方にェチル基以上 にバルキ一な置換基を持っ てい る。
ェチル基以上にバルキーな置換基 と は、 ェチル基と 同 等 も し く はそれ以上に嵩の大きな置換基であ る こ と を意 味する。 こ のよ う な、 ェチル基以上 にバルキーな置換基
と しては、 た と えば 1 ) ェチル基、 プロ ピル基、 ブチル 基等の炭素数 2 以上の炭化水素基、 2 ) エステル基 (メ チルエステル基、 ェチルエステル基等) 、 カルボキ シル メ チル基等の含酸素置換基、 3 ) ア ミ ノ 基、 ア ミ ド基、 2 — ア ミ ノ エチル基等の含窒素置換基、 4 ) — C l 、 B r 一 、 一 F等のハ ロ ゲン原子、 5 ) 塩化工チル基等のハ ロ ゲ ン化炭化水素基な どが挙げ られる 。 金属ボルフ イ リ ン に結合する 上記置換基は、 互い に 同一又は異なっ て い て も 良い。
金属ポルフ ィ リ ン と しては各種ポルフ ィ リ ンの金属化 合物が考慮さ れるが、 こ の場合の金属は 6 配位の金属で あれば任意の も のでよ い。 た とえば、 亜鉛の他に、 F e M n , R u等が例示さ れる。 二量体構造の 2 つの金属は 互い に同一又は相異な っ ていて も 良い。
本発明で用 い る金属ポルフ ィ リ ン 自体は、 公知の製法 (例えば、 特開平 1 1 一 2 5 5 7 9 0 号) に従っ て合成 する こ とができ る。 本発明では、 特に、 前記の亜鉛ポル フ ィ リ ンを好適に用 レ る こ とができ る。
一方、 本発明の方法に よ り 絶対配置が決定さ れる キ ラ ル化合物は、 基本的に は、 前記の金属ポルフ ィ リ ンの 2 量体構造にお いて、 ェチル基以上にバルキ一な置換基を 有する一方のポルフ ィ リ ン環に結合する他方のポルフ ィ
リ ン環の金属に配位可能な塩基性基が結合 した不斉炭素 または該塩基性基が結合 した炭素原子の隣接位置に不斉 炭素 (すなわち 、 塩基性基が結合 し た炭素原子に結合 し た不斉炭素) を有する化合物であ る 。
こ の場合の塩基性基 と しては、 代表的には、 ア ミ ノ 基 ヒ ド ロ キ シル基等が例示さ れる 。 よ り 具体的には、 本発 明 の方法によ り 絶対配置が決定さ れ得る キ ラル化合物は 金属ポルフ ィ リ ン と リ ガ ン ド を形成する キ ラ ル化合物で あ っ て、 た と えば代表的に は、 1 ) 一級ア ミ ン類、 2 ) 二級ア ミ ン類、 3 ) —級ジァ ミ ン類、 4 ) 二級ジァ ミ ン 類、 5 ) モ ノ アルコ ール類、 6 ) ァ ミ ノ アルコ ール類等 が挙げ ら れる。
こ こ で、 た と えば表 1 に示 した 2 — ブ夕 ノ ール以下の N — メ チル— 1 一 フ エニルェチルァ ミ ン までの化合物が 前記のポ リ フ ィ リ ン環の金属に配位可能な塩基性基が結 合 し た不斉炭素を有する キ ラル化合物に相当する 。 ま た 2 — メ チル— 1 — プチルァ ミ ンは、 配位可能な塩基性基 が結合 した炭素原子の隣接位置に不斉炭素を有するキ ラ ル化合物に相当する。 表 1 に も示 したボルニルァ ミ ン、 ジァ ミ ン等のよ う な不斉炭素を 2 以上有する化合物では 金属ポルフ ィ リ ンの金属に配位 している ア ミ ノ 基が結合 している不斉炭素の絶対配置が決定さ れる。
本発明 においては、 前記の金属ポルフ ィ リ ン と 、 こ の 金属ポルフ ィ リ ン に対 して リ ガ ン ド を形成 し う る前記の キ ラル化合物 と の配位が好ま し く は非 リ ガ ン ド 形成性溶 媒中で行われ、 その配位 した状態において、 C D分光光 度分析が行われる。
すなわち 、 金属ポルフ ィ リ ン と リ ガ ン ド形成 し う る 各 種のキ ラル化合物の絶対配置を決定する本発明の新 し い 方法は、 円二色性 ( C D ) 分光光度分析法を用 いて、 キ ラ ル化合物 と金属ポルフ ィ リ ン と を非 リ ガ ン ド 形成性の 溶媒中 に一緒に混合 し た状態で分析する。 こ の方法に よ る と 、 キ ラル化合物を特殊な修飾化合物に誘導する こ と な し に、 直接的に絶対配置を観測する こ とが可能にな り 、 リ ガ ン ド形成基が直結 してい る炭素原子又はその隣の炭 素原子のキ ラ リ ティ ー を決定する こ とができ る 。
非 リ ガ ン ド形成性の溶媒と しては、 例えばク ロ 口 ホル ム ( C H C 1 3) 、 二塩化メ タ ン ( C H 2 C 1 2) 、 二塩化 ェ夕 ン ( C H 2 C 1 C H 2 C 1 ) 、 四塩化工タ ン ( C H C 1 2 C H C 1 2) 、 四塩化炭素 ( C C 1 4) 等のハ ロゲン化 脂肪族化炭化水素、 へキサ ン、 ヘプタ ン等の脂肪族炭化 水素がその代表的な も の と して挙げ ら れる。
本発明の方法においては、 C D分光光度分析に際 して の試料調製は、 た と え ば次の よ う に行 う こ とができ る 。
すなわち 、 キ ラル化合物及び金属ポルフ ィ リ ン を前記 溶媒に溶解させる。 キ ラル化合物及び金属ポルフ ィ リ ン の濃度は限定的ではない。 キ ラル化合物の濃度は通常 1 0 4モルノ 1 以上とすれば良い。 また、 金属ボルフ イ リ ンの濃度は 1 0 — 6モル Z 1 以上 とすれば良 い。 これ ら の 範囲内で用 いる溶媒の種類等に応 じて適宜設定すれば良 い
充分な コ ッ ト ン効果の観測に必要な最低の濃度 と して は、 前記の式 ( I ) の金属ポルフ ィ リ ンの場合には、 一 級非環状モ ノ ァ ミ ン類で約 1 0 _ 3モル 1 、 芳香族の環 状モ ノ ア ミ ン類で約 1 0 — 4モル Z 1 、 第二級ァ ミ ン類で 約 1 0 — 4モル 1 、 ジァ ミ ン類で約 1 0 — 3モル / 1 、 ァ ミ ノ アルコ ール類で約 1 0 — 3モル Z 1 とする のが好ま し く 、 モ ノ アルコ —ル類では充分なコ ッ ト ン効果を示す最 低濃度 と しては約 1 0 1モル 1 で温度が一 8 0 °C とす る のが好ま し い
よ り 具体的に は、 次のケース 5 の場合 と して例示 する こ とができ る
<ケース 1 >第一級モ ノ ア ミ ン類の絶対キ ラ リ ティ ーは それのク ロ ロ ホルム、 二塩化メ タ ン、 四塩化炭素、 四塩 ィ匕ェタ ン、 へキサ ンま たはヘプ夕 ン中での最低濃度が約
1 0 _ 4乃至 1 0 3モルノ 1 に調製さ れ、 前記の式 ( I )
の金属ポルフ ィ リ ンの濃度が約 1 0 — 6モルノ 1 であ る場 合に好ま し く 解明でき る。 こ の場合の第一級モ ノ ア ミ ン 類 と しては、 た と えば、 2 — ブチルァ ミ ン、 1 一 フ エ二 ルェチルァ ミ ン、 1 — ( 1 一 ナフ チル) ェチルァ ミ ン、 1 ー シク ロへキ シルェチルァ ミ ン、 2 — メ チルー 1 ー ブ チルァ ミ ン、 〔エ ン ド 一 ( 1 R ) — 1 , 7 , 7 — ト リ メ チル ビシク ロ 〔 2 , 2 , 1 〕 ヘプタ ン 一 2 — ァ ミ ン〕 等 が挙げ ら れる 。
<ケース 2 >第二級モ ノ ア ミ ン類の絶対キ ラ リ ティ ーは それの ク ロ 口 ホルム、 二塩化メ タ ン、 四塩化炭素、 四塩 化工タ ン、 へキサ ン またはヘプタ ン中での最低濃度が約 1 0 — 4モル 1 に調製さ れ、 前記の式 ( I ) の金属ポル フ ィ リ ンの濃度が約 1 0 — 6モル 1 の場合に好ま し く 解 明でき る。 こ の場合の第二級モ ノ ア ミ ン類 と しては、 た と え ば N — メ チルー 1 — フ エニルェチルァ ミ ン等が挙げ ら れる。
くケース 3 >ジァ ミ ン類の絶対キ ラ リ ティ ーは、 それの ク ロ 口 ホルム、 二塩化メ タ ン、 四塩化炭素、 四塩化工夕 ン、 へキサン また はヘプタ ン中での最低濃度が約 1 0 モルノ 1 に調製さ れ、 前記の式 ( I ) の金属ボルフ イ リ ンの濃度が約 1 0 — 6モル 1 の場合に好ま し く 解明でき る。 こ の場合の ジァ ミ ン類と しては、 た と えば 1 , 2 —
ジ フ エ 二ルエチ レ ンジァ ミ ン、 1 , 2 — ジア ミ ノ シク ロ へキサ ン等が挙げ られる。
<ケース 4 >ア ミ ノ アルコ ール類の絶対キ ラ リ ティ ーは それの ク ロ 口 ホルム、 二塩化メ タ ン、 四塩化炭素、 四塩 化工タ ン、 へキサ ン、 又はヘプタ ン中での最低濃度が約
1 0 — 3モルノ 1 に調製され、 前記の式 ( I ) の金属ポル フ ィ リ ンの濃度が約 1 0 - 6モル Z 1 の場合に好ま し く 解 明でき る 。 こ の場合の ァ ミ ノ アルコ ール類 と しては、 た と え ば 1 一 ア ミ ノ ー 2 — プロノ\° ノ ール、 2 — ァ ミ ノ 一 4 — メ チル一 1 — ペ ン夕 ノ ール等が挙げ ら れる。
くケース 5 >モ ノ アルコ ール類の絶対キ ラ リ ティ 一は、 それの二塩化メ タ ン またはへキサ ン中での最低濃度が約 1 0 — 1モル Z 1 に調製さ れ、 前記の式 ( I ) の金属ポル フ ィ リ ンの濃度が一 8 0 °Cで約 1 0 — 6モルノ 1 の場合に 好ま し く 解明でき る。 その場合のモ ノ アルコ ール類と し ては、 た と えば 2 — ブ夕 ノ ール、 1 一 フ エ二ルェ夕 ノ ー ル等が挙げ ら れる 。
本発明 によ っ て、 結合 して い る塩基性基の種類が広範 囲のキ ラル化合物の絶対配置、 すなわち 、 配位可能な塩 基性基が結合 した不斉炭素 または該塩基性基が結合 し た 炭素原子の隣接位置に不斉炭素を有する キ ラル化合物の 絶対配置を精度よ く 、 しか も簡単に決定する こ とが可能
と なる。 よ り 具体的には、 た と え ば以下の よ う な優れた 効果が奏せ ら れる こ と になる。
① 各種の光学活性化合物の絶対キ ラ リ ティ 一を直接 観測する こ とができ る。
② 金属ポルフ ィ リ ンは ; g 、 キ ラル化合物はァ ミ ン 類な ら g 、 アルコ ール類な ら m g の極 く 少量の試料で 済む。
③ 化学変化が起 こ ら な いため、 試科は必要に応 じて 容易 に回収でき る。
l o ④ 絶対キ ラ リ ティ ーの測定は非常に速い。 試料調製 と C D ス べク ト ル測定は 1 0 分以内 に終わ る。
⑤ コ ッ ト ン効果の検出は 4 0 0 〜 4 5 0 n mで通常 な さ れるが、 大抵のキ ラル化合物の吸収は 4 0 0 n m迄 であ るため、 非常 に広範囲の化合物の分析が可能であ る
1 5 ⑥ キ ラル化合物の特殊な修飾化合物への誘導体化が 不要であ る
⑦ 非結晶性の化合物の絶対キ ラ リ ティ 一が測定でき る。
発明 を実施する ための最良の形態
20 そ こで以下に実施例 を示 し 、 さ ら に に詳 し く 本発明の 方法につ いて説明する 。
実施例 1
3 m 1 のセルに、 約 1 0 — 6モル Z 1 の前記の式 ( I ) の亜鉛ポリレフ ィ リ ン と約 1 0 — 4モル Z 1 の ( R ) —
( - ) 一 1 一 シ ク ロ へキ シルァ ミ ンの C H 2 C 1 2溶液を 調製 し、 室温で 3 5 0 〜 5 0 0 n mでの 円二色性スぺク 卜 ルを観測 した。 その結果を図 4 に示す。
キ ラル化合物の絶対配置はよ り 長波側に あ る第一コ ッ ト ン効果の符号で決ま る こ と になる。 つ ま り 、 図 4 力、 ら 明 ら かなよ う に、 第一コ ッ ト ン効果の符号が負であ る こ とか ら 、 絶対配置は ( R ) であ る こ とが確認さ れた。
同様に して、 3 m 1 セルに、 約 1 0 — 6モルノ 1 の亜鉛 ボルフ ィ リ ン と約 1 0 — 1モル 1 の ( R ) — (― ) 一 1 一 フ エニルエタ ノ ールの C H 2 C 1 2溶液を調製 し 、 一 8
0 °Cで 3 5 0 〜 5 0 0 n mの 円二色性ス ぺク ト ルを観測 した。 その結果を図 5 に示す。
こ の場合に も 、 第一コ ッ ト ン効果の符号が負であ る こ とか ら 、 絶対配置は ( R ) であ る こ とが確認できた。
以上のよ う に してキ ラ ル化合物の絶対配置を決める本 発明の方法によ る有効性は、 前記の表 1 の とお り 、 各種 のキ ラルァ ミ ン類 と アルコ ール類の絶対配置の帰属と し て も確認された