明細書 新規 G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質およびその DN A 技術分野
本発明は、 ヒト脳由来の新規蛋白質 (G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質) ま たはその塩およびそれをコードする DN Aなどに関する。 背景技術
多くのホルモンや神経伝達物質は、 細胞膜に存在する特異的なレセプ夕ー蛋 白質を通じて生体の機能を調節している。 これらのレセプター蛋白質の多くは 共役している guanine nucleotide- binding protein (以下、 G蛋白質と略称す る場合がある) の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行ない、 また 7個の 膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、 G蛋白質共役型レセ プ夕ー蛋白質あるいは 7回膜貫通型レセプ夕一蛋白質と総称される。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表面に存 在し、 それら生体の細胞や臓器の機能を調節する分子、 例えばホルモン、 神経 伝達物質および生理活性物質等の標的として非常に重要な役割を担っている。 各種生体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、 その特異的レセ プ夕ー蛋白質、 特には G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質との関係を明らかにす ることは、 各種生体の細胞や臓器の機能を解明し、 それら機能と密接に関連し た医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとなる。
例えば、 脳などの中枢神経系の器官では、 多くのホルモン、 ホルモン様物質、 神経伝達物質あるいは生理活性物質などによる調節のもとで脳の生理的な機能 の調節が行なわれている。 特に、 神経伝達物質は脳内の様々な部位に存在し、 それぞれに対応するレセプ夕一蛋白質を通してその生理機能の調節を行ってい る。 脳内には未だ未知の神経伝達物質も多く、 そのレセプター蛋白質をコード する c DNAの構造に関しても、 これまで報告されていないものも多いと考え
られる。 さらに、 既知のレセプ夕一蛋白質のサブタイプが存在するかどうかに ついても分かっていなかった。
脳における複雑な機能を調節する物質と、 その特異的レセプ夕一蛋白質との 関係を明らかにすることは、 医薬品開発に非常に重要な手段である。 また、 レ セプ夕一蛋白質に対するァゴニス卜、 アン夕ゴニストを効率よくスクリーニン グし、 医薬品を開発するためには、 脳内で発現しているレセプ夕一蛋白質の遺 伝子の機能を解明し、 それらを適当な発現系で発現させることが必要であった。 近年、 生体内で発現している遺伝子を解析する手段として、 C D N Aの配列 をランダムに解析する研究が活発に行なわれており、 このようにして得られた c D N Aの断片配列が Expres sed Sequence Tag ( E S T ) としてデ一夕ベース に登録され、 公開されている。 しかし、 多くの E S Tは配列情報のみであり、 その機能を推定することは困難である。 発明の開示
本発明は、 ヒト脳由来の新規蛋白質 (G蛋白質共役型レセプター蛋白質) 、 その部分べプチドまたはそれらの塩、 該蛋白質またはその部分べプチドをコ一 ドする D N Aを含有する D N A、 該 D N Aを含有する組換えべクタ一、 該組換 えベクターで形質転換された形質転換体、 該蛋白質またはその塩の製造法、 該 蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体、 該蛋白質 (G蛋白 質共役型レセプ夕一蛋白質) に対するリガンドの決定方法、 リガンドと該蛋白 質 (G蛋白質共役型レセプター蛋白質) との結合性を変化させる化合物または その塩のスクリーニング方法、 該スクリーニング用キット、 該スクリーニング 方法もしくはスクリーニングキットを用いて得られるリガンドと該蛋白質 (G 蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質) との結合性を変化させる化合物またはその塩、 およびリガンドと該蛋白質 (G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質) との結合性を 変化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬などを提供する。
本発明者らは、 鋭意研究を重ねた結果、 ヒト脳由来の新規な蛋白質 (G蛋白 質共役型レセプター蛋白質) をコードする c D N Aを単離し、 全塩基配列を解
析することに成功した。 そして、 この塩基配列をアミノ酸配列に翻訳したとこ ろ、 第 1〜第 7膜貫通領域が疎水性プロット上で確認され、 これらの c DNA にコードされる蛋白質が 7回膜貫通型の G蛋白質共役型レセプター蛋白質であ ることを確認した (図 3) 。 本発明者らは、 これらの知見に基づいて、 さらに 研究を重ねた結果、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、
(1) 配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の ァミノ酸配列を含有することを特徴とする蛋白質またはその塩、
(2) 上記 (1) 記載の蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、
(3) 上記 (1) 記載の蛋白質をコードする DNAを含有する DNA、
(4) 配列番号: 2で表される塩基配列を有する上記 (3) 記載の DNA、
(5) 上記 (3) 記載の DN Aを含有する組換えべクタ一、
(6) 上記 (5) 記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(7)上記(6)記載の形質転換体を培養し、 上記(1)記載の蛋白質を生成 · 蓄積せしめることを特徴とする上記 (1 ) 記載の蛋白質またはその塩の製造法、
(8) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまたは その塩に対する抗体、
(9) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまたは その塩を用いることを特徴とする上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩に対す るリガンドの決定方法、
(1 0) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまた はその塩を用いることを特徴とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋白質または その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(1 1) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまた はその塩を含有することを特徴とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋白質また はその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キッ 卜、
(1 2) 上記 (1 0) 記載のスクリーニング方法または上記 (1 1) 記載のス
クリーニング用キットを用いて得られうる、 リガンドと上記 (1) 記載の蛋白 質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(13) 上記 (10) 記載のスクリーニング方法または上記 (11) 記載のス クリーニング用キットを用いて得られうる、 リガンドと上記 (1) 記載の蛋白 質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる医 薬、 および
(14) 上記 (3) 記載の DNAとハイストリンジェン卜な条件下でハイプリ ダイズする DN Aなどを提供する。
より具体的には、
(15) 蛋白質が、 ①配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2 個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜9個程度、 さらに 好ましくは数個 (1または 2個) ) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 ②配 列番号: 1で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜 30個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは数個 (1また は 2個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号: 1で表わされる アミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ま しくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは数個 (1または 2個) ) のアミノ酸 が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または④それらを組み合わせたァ ミノ酸配列を含有する蛋白質である上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩、 (16) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩または上記 (2) 記載の部分 ペプチドもしくはその塩と、 試験化合物とを接触させることを特徴とする上記 (10) 記載のリガンドの決定方法、
(17) リガンドがアンギオテンシン、 ボンべシン、 カナピノイド、 コレシス トキニン、 グルタミン、 セロトニン、 メラトニン、 ニューロペプチド Y、 オビ ォイド、 プリン、 バソプレツシン、 ォキシトシン、 PACAP、 セクレチン、 グルカゴン、 カルシトニン、 アドレノメジュリン、 ソマトス夕チン、 GHRH、 CRF、 ACTH、 GRP、 PTH、 V I P (バソアクティブ インテスティ ナル アンド リレイテッド ポリペプチド) 、 ソマトス夕チン、 ドーパミン、
モチリン、 アミリン、 ブラジキニン、 CGRP (カルシトニンジーンリレーテ イツドペプチド) 、 ロイコトリェン、 パンクレアスタチン、 プロスタグランジ ン、 トロンポキサン、 アデノシン、 アドレナリン、 ひおよび /3—ケモカイン (chemokine) (例えば、 I L— 8、 GROa、 GR〇;3、 GROァ、 NAP— 2、 ENA— 78、 PF4、 I P 10、 GCP - 2、 MCP_ 1、 HC 14、 MCP— 3、 I一 309、 M I P 1ひ、 M I P— 1 )3、 RANTESなど) 、 エンドセリン、 ェンテロガストリン、 ヒスタミン、 ニューロテンシン、 TRH、 パンクレアティックポリぺプ夕イドまたはガラニンである上記 (9) 記載のリ ガンドの決定方法、
(1 8) ( i ) 上記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩または上記 (2) 記載 の部分ペプチドもしくはその塩と、 リガンドとを接触させた場合と、 (ii) 上 記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩または上記 (2) 記載の部分ペプチドも しくはその塩と、 リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行 なうことを特徴とする上記 (1 1) 記載のスクリーニング方法、
(1 9) ( i) 標識したリガンドを上記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩ま たは上記(2) 記載の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合と、 (ii) 標識したリガンドおよび試験化合物を上記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩 または上記 (2) 記載の部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、 標識したリガンドの上記 (1) 記載の蛋白質もしくはその塩または上記 (2) 記載の部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測定し、 比較することを 特徴とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化 させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(20) ( i) 標識したリガンドを上記 (1) 記載の蛋白質を含有する細胞に 接触させた場合と、 (ii) 標識したリガンドおよび試験化合物を上記 (1) 記 載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、 標識したリガンドの該 細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記(1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスク リーニング方法、
(2 1) ( i) 標識したリガンドを上記 (1) 記載の蛋白質を含有する細胞の 膜画分に接触させた場合と、 (ii) 標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1) 記載の蛋白質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、 標識 したリガンドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、 比較することを特徴 とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させ る化合物またはその塩のスクリ一ニング方法、
(22) (i) 標識したリガンドを上記 (6) 記載の形質転換体を培養するこ とによって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触させた場合と、 (ii) 標識したリガンドおよび試験化合物を上記 (6) 記載の形質転換体を培養する ことによって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触させた場合におけ る、 標識したリガンドの該蛋白質に対する結合量を測定し、 比較することを特 徴とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化さ せる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(23) ( i) 上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩を活性化する化合物を上 記 (1) 記載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、 (ii) 上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を上記 ( 1 ) 記載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、 蛋白質を介した細胞 刺激活性を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと上記 (1) 記載の蛋 白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリ一ニン グ方法、
(24)上記(1) 記載の蛋白質またはその塩を活性化する化合物を上記(6) 記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋 白質に接触させた場合と、 上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩を活性化する 化合物および試験化合物を上記 (6) 記載の形質転換体を培養することによつ て該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触させた場合における、 該蛋白 質を介する細胞刺激活性を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと上記
( 1 ) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩 のスクリーニング方法、
(25) 上記 (1) 記載の蛋白質を活性化する化合物が、 アンギオテンシン、 ボンべシン、 カナピノイド、 コレシストキニン、 グルタミン、 セロトニン、 メ ラトニン、 ニューロペプチド Y、 ォピオイド、 プリン、 バソプレツシン、 ォキ シトシン、 PACAP、 セクレチン、 グルカゴン、 カルシトニン、 アドレノメ ジュリン、 ソマトス夕チン、 GHRH、 CRF、 ACTH、 GRP、 PTH、 V I P (バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリべ プチド) 、 ソマトス夕チン、 ド一パミン、 モチリン、 アミリン、 ブラジキニン、
CGRP (カルシトニンジーンリレーティッドペプチド) 、 ロイコトリェン、 パンクレアスタチン、 プロスタグランジン、 トロンボキサン、 アデノシン、 ァ ドレナリン、 ひおよび /3—ケモカイン (chemokine) (例えば、 I L— 8、 GR Οα、 GRO/3、 GROr > NAP— 2、 ENA_78、 PF4、 I P 10、 GCP— 2、 MCP— 1、 HC 14、 MCP— 3、 1—309、 ΜΙ Ρ 1 α、 MI P— l i3、 RANT ESなど) 、 エンドセリン、 ェンテロガストリン、 ヒ ス夕ミン、 ニューロテンシン、 TRH、 パンクレアティックポリぺプタイドま たはガラニンである上記 (23) または上記 (24) 記載のスクリーニング方 法、
(26) 上記 (18) 〜 (25) 記載のスクリーニング方法で得られうる、 リ ガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物 またはその塩、
(27) 上記 (18) 〜 (25) 項記載のスクリーニング方法で得られうる、 リガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させるの化 合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬、
(28) 上記 (1) 記載の蛋白質を含有する細胞を含有することを特徴とする 上記 (1 1) 記載のスクリーニング用キット、
( 29) 上記 (1) 記載の蛋白質を含有する細胞の膜画分を含有することを特 徵とする上記 (1 1) 記載のスクリーニング用キット、
(30) 上記 (6) 記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の 細胞膜に発現した蛋白質を含有することを特徴とする上記 (1 1) 記載のスク
リーニング用キッ卜、
(31) 上記 (28) 〜 (30) 記載のスクリーニング用キットを用いて得ら れうる、 リガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化さ せる化合物またはその塩、
(32) 上記 (28) 〜 (30) 記載のスクリーニング用キットを用いて得ら れうる、 リガンドと上記 (1) 記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化さ せる化合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬、
(33) 上記 (8) 記載の抗体と、 上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分べプチドまたはその塩とを接触させることを特徴とする上記 ( 1 ) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法、
(34) 上記 (8) 記載の抗体と、 被検液および標識化された上記 (1) 記載 の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまたはその塩とを競合的に反 応させ、 該抗体に結合した標識化された上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記
( 2 ) 記載の部分べプチドまたはその塩の割合を測定することを特徴とする被 検液中の上記 (1) 記載の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまた はその塩の定量法、 および
(35) 被検液と担体上に不溶化した上記 (8) 記載の抗体および標識化され た上記 (8) 項記載の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、 不溶化 担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検波中の上記 (1) 記載 の蛋白質もしくは上記 (2) 記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法などを 提供する。 図面の簡単な説明
図 1は実施例 1で得られた本発明のヒト脳由来蛋白質をコードする DN Αの 塩基配列 (AQ27) 、 およびそれから推定されるアミノ酸配列を示す (図 2 に続く) 。
図 2は実施例 1で得られた本発明のヒト脳由来蛋白質をコ一ドする DNAの 塩基配列 (AQ27) 、 およびそれから推定されるアミノ酸配列を示す (図 1
の続き) 。
図 3は本発明のヒト脳由来蛋白質の疎水性プロットを示す。
図 4は実施例 2で行われた AQ27 の発現組織分布の解析結果を示す。
図 5は実施例 3で行われた AQ27に対する Met- Enk印 hal in-Arg-Phe amideの反 応性の解析結果を示す。 縦軸は Acidification rate, 横軸は測定サイクルを表 わし、 參は受容体発現 CH0細胞の、 〇は mock細胞の反応性を示す。 発明の実施をするための最良の形態
本発明の蛋白質 (G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質) は、 配列番号: 1で表 わされるアミノ酸配列 〔図 1〜図 2中のアミノ酸配列〕 と同一もしくは実質的 に同一のアミノ酸配列を含有するレセプ夕一蛋白質である (以下、 本発明の蛋 白質 (G蛋白質共役型レセプター蛋白質) またはその塩を本発明の蛋白質と略 記する場合がある) 。
本発明の蛋白質 (G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質) は、 例えば、 ヒトゃ哺 乳動物 (例えば、 モルモット、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ブ夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) のあらゆる細胞 (例えば、 脾細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 .滕臓 /3 細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細 胞、 内皮細胞、 繊維芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マ クロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラルキラ一細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくはガン細胞など) や血球系の細胞 (例えば、 MEL, Ml, CT LL- 2, HT- 2, WEH I— 3, HL - 60, J〇SK_ 1, K 562, ML- 1, MOLT— 3, MOLT - 4, MOLT - 10, CCRF - CEM, TALL- 1, J u r k a t , CCRT— HSB— 2, KE— 37, SKW- 3, HUT- 78, HUT- 102, H 9, U 937, THP- 1 , HEL, J K- 1, CMK, KO— 812, MEG— 01など) 、 またはそれらの細胞 が存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁頭核、 大脳
基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 視床下核、 大脳皮質、 延髄、 小脳、 後頭葉、 前頭葉、 側頭葉、 被殻、 尾状核、 脳染、 黒質) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 fl萃臓、 腎 臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 末梢血球、 前立腺、 睾丸、 精巣、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋など (特に、 脳や脳の各部 位) に由来する蛋白質であってもよく、 また合成蛋白質であってもよい。
配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とし ては、 例えば、 配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列と約 7 0 %以上、 好ま しくは約 8 0 %以上、より好ましくは約 9 0 %以上、さらに好ましくは約 9 5 % 以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸 配列を含有する蛋白質としては、 例えば、 配列番号: 1で表わされるアミノ酸 配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、 配列番号: 1で表わされるァミノ 酸配列と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 リガンド結合活性、 シグナル情報伝 達作用などが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの活性が性質的に同質で あることを示す。 したがって、 リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用など の活性が同等 (例、 約 0 . 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの活性 の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、 自体公知の方 法に準じて行なうことができるが、 例えば、 後述するリガンドの決定方法ゃス クリ一ニング方法に従って測定することができる。
また、 本発明の蛋白質としては、 ①配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列 中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1または 2個) ) のアミノ酸が欠失したァ ミノ酸配列、②配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個以上(好 ましくは、 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ましく は数個 (1または 2個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号:
1で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個 程度、より好ましくは 1〜 1 0個程度、さらに好ましくは数個( 1または 2個)) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または④それらを組み 合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
本明細書における蛋白質は、 ペプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (ァ ミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) である。 配列番号: 1で表わ されるアミノ酸配列を含有する蛋白質をはじめとする本発明の蛋白質は、 C末 端が通常カルボキシル基 (一 C O OH) またはカルポキシレート(一 C O O一) であるが、 C末端がアミド (― C〇N H 2) またはエステル (一 C O O R) で あってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピ ル、 イソプロピルもしくは n—ブチルなどのじェ アルキル基、 例えば、 シク 口ペンチル、 シクロへキシルなどの C 3 - 8シクロアルキル基、 例えば、 フエ二 ル、 α—ナフチルなどの C 6 2ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルな どのフエ二ルー アルキル基もしくは α—ナフチルメチルなどの α—ナフ チル— C — 2アルキル基などの C 7 _ i 4ァラルキル基のほか、 経口用エステルと して汎用されるビバロイルォキシメチル基などが用いられる。
本発明の蛋白質が C末端以外にカルボキシル基 (またはカルポキシレート) を有している場合、 カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているも のも本発明の蛋白質に含まれる。 この場合のエステルとしては、 例えば上記し た C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明の蛋白質には、 上記した蛋白質において、 N末端のメチォ二 ン残基のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの C 2 _ 6ァ ルカノィル基などの ァシル基など) で保護されているもの、 N端側が生 体内で切断され生成したグル夕ミル基がピログルタミン酸化したもの、 分子内 のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば、 —〇H、 — S H、 アミノ基、 イミダゾ ール基、 インドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミ ル基、 ァセチル基などの C 2 _ 6アルカノィル基などの 一 6ァシル基など)で保
護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白 質なども含まれる。
本発明の蛋白質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 1で表わされるアミ ノ酸配列を含有するヒト由来 (より好ましくはヒト脳由来) の蛋白質などがあ げられる。
本発明の蛋白質の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある) としては、 前記した本発明の蛋白質の部分ペプチドであれば何れのものであつ てもよいが、 例えば、 本発明の蛋白質分子のうち、 細胞膜の外に露出している 部位であって、 レセプ夕一結合活性を有するものなどが用いられる。
具体的には、 配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質の部分 ぺプチドとしては、 〔図 3〕 で示される疎水性プロット解析において細胞外領 域(親水性(Hydroph i l i c) 部位) であると分析された部分を含むペプチドであ る。 また、 疎水性(Hydrophob i c)部位を一部に含むペプチドも同様に用いるこ とができる。 個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、 複数のドメ インを同時に含む部分のペプチドでも良い。 本発明の部分ペプチドのァミノ 酸の数は、 前記した本発明の蛋白質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも 2 0 個以上、 好ましくは 5 0個以上、 より好ましくは 1 0 0個以上のアミノ酸配列 を有するぺプチドなどが好ましい。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、 これらアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好 ましくは約 7 0 %以上、 より好ましくは約 8 0 %以上、 さらに好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。 ここで、 「実質的に同質の活性」 とは、 前記と同意義を示す。 「実質的に同 質の活性」 の測定は前記と同様に行なうことができる。
また、本発明の部分べプチドは、上記アミノ酸配列中の 1または 2個以上(好 ましくは、 1 ~ 1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1または 2個) ) のアミ ノ酸が欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 ( 1 または 2個) ) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列中の 1または
2個以上 (好ましくは、 1〜10個程度、 より好ましくは 1〜5個程度、 さら に好ましくは数個 (1または 2個) ) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されて いてもよい。
また、 本発明の部分ペプチドは C末端が通常力ルポキシル基 (一 COOH) またはカルボキシレート (—(:〇〇—) であるが、 前記した本発明の蛋白質の ごとく、 C末端がアミド (― C〇NH2) またはエステル (― COOR) であ つてもよい。
さらに、 本発明の部分ペプチドには、 前記した本発明の蛋白質と同様に、 N 末端のメチォニン残基のァミノ基が保護基で保護されているもの、 N端側が生 体内で切断され生成した Ginがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸 の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合 したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
また、 本発明の部分ペプチドは C末端が通常力ルポキシル基 (一 COOH) またはカルポキシレート(_CO〇—) であるが、 前記した本発明の蛋白質のご とく、 C末端がアミド (― C〇NH2) またはエステル (― COOR) であつ てもよい。
本発明の蛋白質またはその部分ペプチドの塩としては、 とりわけ生理学的に 許容される酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩 などが用いられる。
本発明の蛋白質またはその塩は、 前述したヒトゃ哺乳動物の細胞または組織 から自体公知の蛋白質の精製方法によって製造することもできるし、 後述する 本発明の蛋白質をコードする DN Aを含有する形質転換体を培養することによ つても製造することができる。 また、 後述の蛋白質合成法またはこれに準じて 製造することもできる。
ヒトゃ哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトゃ哺乳動物の組織
または細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行ない、 該抽出液を逆相ク 口マトグラフィ一、 イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー を組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明の蛋白質、 その部分ペプチドもしくはそれらの塩またはそれらのアミ ド体の合成には、 通常市販の蛋白質合成用樹脂を用いることができる。 そのよ うな樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチル樹脂、 ベン ズヒドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4—ベンジルォキシベンジルアル コール樹脂、 4一メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 PAM樹脂、 4ーヒドロキシ メチルメチルフエニルァセトアミドメチル樹脂、 ポリアクリルアミド樹脂、 4 - (2' , 4' -ジメトキシフエ二ルーヒドロキシメチル) フエノキシ樹脂、 4一 (2' , 4' -ジメトキシフエニル一 Fmocアミノエチル) フエノキシ樹脂などを挙げ ることができる。 このような樹脂を用い、 ひ—ァミノ基と側鎖官能基を適当に 保護したアミノ酸を、 目的とする蛋白質の配列通りに、 自体公知の各種縮合方 法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂から蛋白質を切り出すと同 時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフイ ド結合形成 反応を実施し、 目的の蛋白質またはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 蛋白質合成に使用できる各種活性 化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジィ ミド類としては、 DC (:、 N, Ν' -ジイソプロピルカルポジイミド、 Ν-ェチル - Ν' - (3 - ジメチルァミノプロリル) カルポジイミドなどが用いられる。 これらによる活 性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 HOB t, HOOBt)とともに保護アミノ酸を 直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物または HOB tエステルあるいは H00B t エステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加す ることができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 蛋白質縮 合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N , N—ジメチルホルムアミド, N , N—ジメチルァセトアミド, N—メチル ピロリドンなどの酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化
炭化水素類、 トリフルォロェ夕ノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキ シドなどのスルホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなど のエーテル類、 ァセトニ卜リル, プロピオ二トリルなどの二トリル類、 酢酸メ チル, 酢酸ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用い られる。 反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ることが知られている範 囲から適宜選択され、 通常約一 2 0 °C〜5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活 性化されたァミノ酸誘導体は通常 1 . 5〜 4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン 反応を用いたテス卜の結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うこと なく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。 反応を 繰り返しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミ ダゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化することができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 Boc、 夕ーシャリーペンチル ォキシ力ルポニル、 イソポルニルォキシカルポニル、 4ーメトキシベンジルォ キシカルポニル、 -Ζ、 Br- Ζ、 ァダマンチルォキシカルボニル、 トリフルォロ ァセチル、 フタロイル、 ホルミル、 2—ニトロフエニルスルフエニル、 ジフエ ニルホスフィノチオイル、 Fmocなどが用いられる。
力ルポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 夕ーシャリーブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロへプチル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状も しくは環状アルキルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジル エステル、 4—ニトロべンジルエステル、 4ーメトキシベンジルエステル、 4 —クロ口べンジルエステル、 ベンズヒドリルエステル化) 、 フエナシルエステ ル化、 ベンジルォキシカルボニルヒドラジド化、 夕ーシャリーブトキシカルボ ニルヒドラジド化、 トリチルヒドラジド化などによつて保護することができる。 セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護する ことができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基など の低級アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカル ボニル基、 エトキシカルポニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられ
る。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒド ロビラニル基、 t-ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 Bz l、 CI 2-Bzし 2 _ニトロベンジル、 Br- Z、 ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾ一ルの保護基としては、 例えば、 Tos、 4 -メトキシ- 2, 3, 6-トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル、 Bum、 Boc、 Tr t、 Fmocなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無 水物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペン夕クロ口フエノール、 2, 4, 5 -トリクロ口フエノール、 2, 4-ジニトロフエノール、 シァノメチルアルコ —ル、 パラニトロフエノール、 H0NB、 N-ヒドロキシスクシミド、 N-ヒドロキシ フタルイミド、 HOBt) とのエステル〕 などが用いられる。 原料のァミノ基の活 性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 P d —黒あるいは P d -炭素な どの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メ タンスルホン酸、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいは これらの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチ ルァミン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア 中ナトリウムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一 般に約— 2 0 ° (:〜 4 0 °Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソ一ル、 フエノール、 チオア二ソ一ル、 メタクレゾ一ル、 パラクレゾール、 ジメチルスルフイ ド、 1, 4-ブタンジチオール、 1, 2-エタンジチオールなどのよ うなカチオン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾ一ル保 護基として用いられる 2, 4-ジニトロフエニル基はチォフエノール処理により除 去され、 トリブトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上 記の 1, 2-エタンジチオール、 1, 4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理によ る脱保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアなどによるアルカリ 処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保 護基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段 から適宜選択しうる。
蛋白質のアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 カルポキシ末端 アミノ酸の a—カルボキシル基をアミド化して保護した後、 アミノ基側にぺプ チド (蛋白質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ペプチド鎖の N末端の a— ァミノ基の保護基のみを除いた蛋白質と C末端の力ルポキシル基の保護基のみ を除去した蛋白質とを製造し、 この両蛋白質を上記したような混合溶媒中で縮 合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得られた 保護蛋白質を精製した後、 上記方法によりすベての保護基を除去し、 所望の粗 蛋白質を得ることができる。 この粗蛋白質は既知の各種精製手段を駆使して精 製し、 主要画分を凍結乾燥することで所望の蛋白質のアミド体を得ることがで さる。
蛋白質のエステル体を得るには、 例えば、 カルポキシ末端アミノ酸のひ一力 ルポキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、 蛋白 質のアミド体と同様にして、 所望の蛋白質のエステル体を得ることができる。 本発明の蛋白質の部分ペプチドまたはその塩は、 自体公知のペプチドの合成 法に従って、 あるいは本発明の蛋白質を適当なぺプチダ一ゼで切断することに よって製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例えば、 固相合成 法、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明の蛋白質を構成し 得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が保護基 を有する場合は保護基を脱離することにより目的のぺプチドを製造することが できる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例えば、 以下の①〜⑤に記 載された方法が挙げられる。
(DM. Bodanszky および Μ· A. Onde t t i , ペプチド シンセシス (Pept ide Synthes i s) , Int ersc i ence Pub l i shers, New York (1966年)
② Schroederおよび Luebke、 ザ ペプチド(The Pept i de) , Academi c Press, New York (1965年)
③泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年)
④矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 蛋白質の化学 IV、 205、 (1977 年)
⑤矢島治明監修、 続医薬品の開発第 14巻 ペプチド合成広川書店
また、 反応後は通常の精製法、 たとえば、 溶媒抽出,蒸留 ·カラムクロマト グラフィー ·液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて本発明の部 分べプチドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分べプチドが 遊離体である場合は、 公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩で得られた場合は、 公知の方法によって遊離体に変換することができる。 本発明の蛋白質をコードする DNAとしては、 前述した本発明の蛋白質をコ ードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲノム DNAライブラリー、 前記した細胞 ·組織由来の cDN A、 前記した細胞 ·組織由来の c DNAライブラリー、 合成 DNAのいずれで もよい。 ライブラリーに使用するべクタ一は、 バクテリオファージ、 プラスミ ド、 コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞 · 組織より total RN Aまたは mRN A画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 R T-P C R法と略称する) によって増幅することもできる。
具体的には、 本発明の蛋白質をコードする DN Aとしては、 例えば、 配列番 号: 2で表わされる塩基配列を含有する DNA、 または配列番号: 2で表わさ れる塩基配列を有する DNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダィ ズする DN Aを有し、 本発明の蛋白質と実質的に同質の活性 (例、 リガンド結 合活性、 シグナル情報伝達作用など) を有する蛋白質をコードする DNAであ れば何れのものでもよい。
配列番号: 2で表わされる塩基配列を有する DNAとハイストリンジェント な条件下でハイブリダィズする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 2で表わ される塩基配列と約 70%以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 さらに好ましくは約 95%以上の相同性を有する塩基配列を含有
する D N Aなどが用いられる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例 えは、 モレ千ユラ—クロ一ニンク (Mol ecul ar Cl oning) 2 nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行な うことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明 書に記載の方法に従って行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリン ジェントな条件に従つて行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、 例えば、 ナトリゥム濃度が約 1 9〜4 0 mM、 好ましくは約 1 9〜 2 0 mMで、 温度が約 5 0〜 7 0 °C、 好ましくは約 6 0〜6 5 °Cの条件を示す。 特に、 ナトリウム濃度が約 1 9 mMで温度が約 6 5 °Cの場合が最も好ましい。
より具体的には、 配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質 をコードする D N Aとしては、 配列番号: 2で表わされる塩基配列を有する D NAがあげられる。
本発明の蛋白質をコードする塩基配列を含有する、 または該塩基配列と相補 的な塩基配列の一部を含有してなるヌクレオチド (オリゴヌクレオチド) とは、 本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコードする D N Aを包含するだけで はなく、 R N Aをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、 本発明の蛋白質遺伝子の複製又は発現を阻害することので きるアンチセンス · (オリゴ) ヌクレオチド (核酸) を、 クローン化したある いは決定された蛋白質をコードする塩基配列の塩基配列情報に基づき設計し、 合成しうる。 そうした (オリゴ) ヌクレオチド (核酸) は、 G蛋白質共役型蛋 白質遺伝子の R N Aとハイブリダィズすることができ、 該 R N Aの合成又は機 能を阻害することができるか、 あるいは G蛋白質共役型蛋白質関連 R N Aとの 相互作用を介して G蛋白質共役型蛋白質遺伝子の発現を調節 ·制御することが できる。 G蛋白質共役型蛋白質関連 R NAの選択された配列に相補的な (オリ ゴ) ヌクレオチド、 及び G蛋白質共役型蛋白質関連 R NAと特異的にハイプリ ダイズすることができる (オリゴ) ヌクレオチドは、 生体内及び生体外で G蛋
白質共役型蛋白質遺伝子の発現を調節 ·制御するのに有用であり、 また病気な どの治療又は診断に有用である。
用語 「対応する」 とは、 遺伝子を含めたヌクレオチド、 塩基配列又は核酸の 特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。 ヌクレオ チド、 塩基配列又は核酸とペプチド (蛋白質) との間で 「対応する」 とは、 ヌ クレオチド (核酸) の配列又はその相補体から誘導される指令にあるペプチド
(蛋白質) のアミノ酸を通常指している。 G蛋白質共役型蛋白質遺伝子の 5' 端ヘアピンループ、 5' 端 6—ベースペア ' リピート、 5' 端非翻訳領域、 ポ リペプチド翻訳開始コドン、 蛋白質コード領域、 ORF翻訳開始コドン、 3' 端非翻訳領域、 3' 端パリンドローム領域、 及び 3' 端ヘアピンループは好ま しい対象領域として選択しうるが、 G蛋白質共役型蛋白質遺伝子内の如何なる 領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、 対象領域の少なくとも一部に相補的な (オリゴ) ヌクレオチド との関係は、 対象物とハイブリダィズすることができる (オリゴ) ヌクレオチ ドとの関係は、 「アンチセンス」 であるということができる。 アンチセンス - (オリゴ) ヌクレオチドは、 2—デォキシー D—リポ一スを含有しているポリ デォキシヌクレオチド、 D—リボースを含有しているポリデォキシヌクレオチ ド、 プリン又はピリミジン塩基の N—グリコシドであるその他のタイプのポリ ヌクレオチド、 あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー (例え ば、 市販の蛋白質核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマー) 又は特殊な結合を 含有するその他のポリマー (但し、 該ポリマーは DNAや RNA中に見出され るような塩基のペアリナグゃ塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを 含有する) などが挙げられる。 それらは、 2本鎖 DNA、 1本鎖 DNA、 2本 鎖 RNA、 1本鎖 RNA、 さらに DNA: RNAハイブリッドであることがで き、 さらに非修飾ポリヌクレオチド又は非修飾オリゴヌクレオチド、 さらには 公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた標識のあるもの、 キ ヤップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然のヌクレオチドを 類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電
結合 (例えば、 メチルホスホネート、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデー ト、 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合又は硫黄含有結合 (例 えば、 ホスホロチォエート、 ホスホロジチォエー卜など) を持つもの、 例えば 蛋白質 (ヌクレア一ゼ、 ヌクレア一ゼ ·インヒビ夕一、 トキシン、 抗体、 シグ ナルぺプチド、 ポリ一 Lーリジンなど)や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を有しているもの、 インターカレント化合物 (例えば、 ァクリジ ン、 プソラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例えば、 金属、 放射活性 をもつ金属、 ホウ素、 酸化性の金属など) を含有するもの、 アルキル化剤を含 有するもの、 修飾された結合を持つもの (例えば、 αァノマー型の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌクレオチド」 及び 「核酸」 と は、 プリン及びピリミジン塩基を含有するのみでなく、 修飾されたその他の複 素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。 こうした修飾物は、 メチル化 されたプリン及びピリミジン、 ァシル化されたプリン及びピリミジン、 あるい はその他の複素環を含むものであってよい。 修飾されたヌクレオチド及び修飾 されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、 例えば 1個以上の水 酸基がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されていたり、 あるいはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンス核酸は、 R N A、 D N A、 あるいは修飾された核酸で ある。 修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフェート 誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミドゃオリゴヌクレオシドアミドの分解に 抵抗性のものが挙げられるが、 それに限定されるものではない。 本発明のアン チセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。 すなわち、 細胞内で のアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性 をより高める、 目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。 こうして修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami e t al. , Pharm Tech Japan, Vo l. 8, pp. 247, 1992 ; Vol. 8, pp. 395, 1992 ; S. T. Crooke et al. ed. , An t i sense Research and Appl i cat i ons, CRC Press, 1993 などに
開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結合を含有していて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で 供与されたり、 遺伝子治療により適用されたり、 付加された形態で与えられる ことができうる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格 の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との 相互作用を高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホス ホリッピド、 コレステロールなど) といった粗水性のものが挙げられる。 付加 するに好ましい脂質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレス テリルクロ口ホルメート、 コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核 酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレ オシド結合を介して付着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に特異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレ ァ一ゼ、 R N a s eなどのヌクレア一ゼによる分解を阻止するためのものが挙 げられる。 こうしたキャップ用の基としては、 ポリエチレングリコール、 テト ラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水 酸基の保護基が挙げられるが、 それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、 本発明の形質転換体、 本発明の生体内や生 体外の遺伝子発現系、 あるいは蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べ ることができる。 該核酸其れ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
本発明の部分ペプチドをコ一ドする D NAとしては、 前述した本発明の部分 ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであって もよい。 また、 ゲノム D NA、 ゲノム D NAライブラリ一、 前記した細胞 '組 織由来の c D NA、 前記した細胞 ·組織由来の c D N Aライブラリー、 合成 D NAのいずれでもよい。 ライブラリ一に使用するべクタ一は、 バクテリオファ —ジ、 プラスミド、 コスミド、 ファ一ジミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞 ·組織より m R N A画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reac t i on (以下、 R T- P C R法と略称する)
によって増幅することもできる。
具体的には、 本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 2で表わされる塩基配列を有する DN Aの部分塩基配列を有する D NA、 または②配列番号: 2で表わされる塩基配列を有する DNAとハイスト リンジェン卜な条件下でハイブリダィズする DNAを有し、 本発明の蛋白質べ プチドと実質的に同質の活性 (例、 リガンド結合活性、 シグナル情報伝達作用 など) を有する蛋白質をコ一ドする DNAの部分塩基配列を有する DNAなど が用いられる。
配列番号: 2で表わされる塩基配列を有する DNAとハイストリンジェント な条件下でハイブリダィズする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 2で表わ される塩基配列と約 70%以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 さらに好ましくは約 95 %以上、 なかでも好ましくは約 98%以 上の相同性を有する塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
本発明の蛋白質またはその部分ペプチド(以下、本発明の蛋白質と略記する) を完全にコードする DN Aのクローニングの手段としては、 本発明の蛋白質の 部分塩基配列を有する合成 DN Aプライマーを用いて PC R法によって増幅す るか、 または適当なベクターに組み込んだ DN Aを本発明の蛋白質の一部ある いは全領域をコ一ドする DNA断片もしくは合成 DNAを用いて標識したもの とのハイブリダィゼ一シヨンによつて選別することができる。 ハイブリダイゼ ーシヨンの方法は、例えば、 モレキュラー 'クローニング(Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の 方法などに従って行なうことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する 場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の変換は、 PCRや公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (宝酒造 (株) ) 、 Mutan™- K (宝酒造 (株) ) 等を用いて、 0DA-LA PCR法、 Gupped duplex法や Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準 じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された蛋白質をコードする DNAは目的によりそのまま、 または
所望により制限酵素で消化したり、 リンカーを付加したりして使用することが できる。 該 DN Aはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての AT Gを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TG Aまたは TAGを有 していてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 D N Aアダプタ一を用いて付加することもできる。
本発明の蛋白質の発現ベクターは、 例えば、 (ィ) 本発明の蛋白質をコード する DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA断片を適当 な発現べクタ一中のプロモー夕一の下流に連結することにより製造することが できる。
ベクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pBR 322, pBR 3 25, pUC 12, pUC 13) 、 枯草菌由来のプラスミド (例、 pUB 1 1 0, pTP 5, pC 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 p SH 19, p SH 15) 、 λファ一ジなどのバクテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニア ウィルス, バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 pAl— 11、 p XT 1、 p R c/CMV, pRc/RS V, p c D N A I ZN e oなどが用い られる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対 応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞 を宿主として用いる場合は、 SRひプロモータ一、 SV40プロモーター、 H I V-LTRプロモーター、 CMVプロモ一夕一、 H S V-TKプロモー夕一な どが挙げられる。
これらのうち、 CMVプロモ一夕一、 S R αプロモーターなどを用いるのが 好ましい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモーター、 l a cプロモーター、 r e cAプロモーター、 λΡ^プロモータ一、 l p pプロモ —夕一などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 SPO lプロモーター、 S PO 2プロモータ一、 p e n Pプロモ一夕一など、 宿主が酵母である場合は、 PH05プロモータ一、 PGKプロモータ一、 GAPプロモーター、 ADHプ 口モーターなどが好ましい。 宿主が昆虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロ
モーター、 P 10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシング シグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マ一カー、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r iと略称する場合がある) などを含有しているものを用いること ができる。 選択マーカ一としては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 d h i rと略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシリン耐性遺伝子 (以下、 Amp rと略称する場合がある) 、 ネオマイ シン耐性遺伝子 (以下、 Ne o「と略称する場合がある、 G418耐性) 等が 挙げられる。 特に、 CH〇 (d h f r— ) 細胞を用いて d h f r遺伝子を選択 マーカ一として使用する場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によって も選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明の蛋白質の N端 末側に付加する。宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA ·シグナル配列、 0即 A ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 α—アミラー ゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母である場 合は、 MFa ·シグナル配列、 SUC2 ·シグナル配列など、 宿主が動物細胞 である場合には、 インシュリン ·シグナル配列、 α—インターフェロン ·シグ ナル配列、 抗体分子 ·シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明の蛋白質をコードする DN Αを含有するべ クタ一を用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、ェシエリヒア 'コリ(Escherichia col 0 K 12 · DH 1 〔プロシ一ジングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォ ブ 'サイェンシィズ 'ォブ ·ザ ·ュ一エスエー (Pro Natl. Acad. Sci. US A) , 60巻, 160 (1968)〕 , J M 103 〔ヌクイレック 'ァシッズ' リサーチ, (Nucleic Acids Research) , 9巻, 309 (1981)〕 , JA2 21 〔ジャーナル ·ォブ ·モレキュラー ·バイオロジー (Journal of Molecular
Biology)〕 , 120巻, 517 (1978)〕 , HB 101 〔ジャーナル ·ォブ · モレキュラー 'バイオロジー, 41巻, 459 (1969)〕 , C 600 〔ジェ ネティックス (Genetics) , 39巻, 440 (1954)〕 などが用いられる。 バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サチルス (Bacillus subtilis) M I 114 〔ジーン, 24巻, 255(1983)〕 , 207 - 21 〔ジャーナ ル 'ォブ 'バイオケミストリー (Journal of Biochemistry) , 95巻, 87 (1 984)〕 などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス セレピシェ (Saccharomyces cerevisiae) AH 22, AH22R―, NA87 - 1 1 A, DKD- 5 D, 2 0B— 12、 シゾサッカロマイセス ボンべ (Schizosaccharomyces pombe) N CYC 1913, NCYC 2036、 ピキア パストリス (Pichia pastoris) などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが Ac NPVの場合は、 夜盗蛾の幼虫 由来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f細胞) 、 Trichoplusia ni の中腸由来の MG 1細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High FiveTM細胞、 Mamestrabrassicae由来の細胞または Estigmena acrea由来の細胞などが用いら れる。 ウィルスが BmNP Vの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyxmori N; Bm N細胞) などが用いられる。 該 S ί細胞としては、 例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL1711)、 S f 21細胞(以上、 Vaughn, J. L.ら、 イン ·ヴイボ (In Vivo) , 13, 213-217, (1977)) などが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、 ネィチヤ 一 (Nature) , 315巻, 592 (1985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7, Vero, チャイニーズハム スター細胞 CHO (以下、 CHO細胞と略記) , dh f r遺伝子欠損チヤィニ —ズハムスター細胞 CHO (以下、 CHO (dh f r-) 細胞と略記) , マウ ス L細胞, マウス A t T— 20, マウスミエローマ細胞, ラット GH3, ヒト FL細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、 例えば、 プロシージングズ *ォブ'
ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンジィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスェ ― (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 69卷, 21 10 (1972)やジーン (Gene) , 17巻, 107 (1982)などに記載の方法に従って行なうことが できる。 バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー 'アンド · ジエネラリレ 'ジェネティックス (Molecular & General Genet ics) , 168巻, 1 1 1 (1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ'イン'ェンザィモロジ一 (Me t hods inEnzymology), 194巻, 182— 187 (1991)、 プロシージングズ · ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ'ォブ ·ザ*ユー エスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 75巻, 1929 (1978) などに記載の方法に従つて行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 バイオ/テクノロジー (Bio/Technology) , 6, 47-55 (1988)) などに記載の方法に従って行なうことが できる。
動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8 新 細胞工学実験 プロトコール. 263— 267 ( 1995) (秀潤社発行) 、 ヴィロロジー (Virology) , 52巻, 456 ( 1973)に記載の方法に従って行なうことが できる。
このようにして、 G蛋白質共役型蛋白質をコードする DNAを含有する発現 ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培 養に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体 の生育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源と しては、 例えば、 グルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖など、 窒素 源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ' リカー、 ペプトン、 カゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液などの無機または 有機物質、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウ ム、 塩化マグネシウムなどが挙げられる。 また、 酵母、 ビタミン類、 生長促進
因子などを添加してもよい。 培地の pHは約 5〜8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザ ミノ酸を含む M 9培地 〔ミラ一 (Miller) , ジャーナル ·ォブ ·ェクスぺリメ ンッ ' -モレキュラー ·ジエネティックス (Journal of Experiments in Molecular Genet ics) , 43 1—433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1 972〕が好ましい。 ここに必要によりプロモータ一を効率よく働かせ るために、 例えば、 3 )3—インドリル アクリル酸のような薬剤を加えること ができる。
宿主がェシエリヒア属菌の場合、 培養は通常約 1 5〜43°Cで約 3〜24時 間行ない、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 30〜 40 °Cで約 6〜 24時間行 ない、 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バーク ホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、 「プロシージングズ · ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ユー エスェ一 (Pro Natl. Acad. Sci. USA) , 77巻, 4505 (1 980)〕 や 0. 5 %カザミノ酸を含有する SD培地 〔Bitter, G. Α. ら、 「プロシージン グズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ · ュ一エスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 8 1巻, 5330 ( 1 98 4) 〕 が挙げられる。 培地の pHは約 5〜 8に調整するのが好ましい。 培養は 通常約 20°C〜35°Cで約 24〜72時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を 加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Grace' s Insect Medium (Grace, T. C. C. ,ネイチヤー (Nature) , 195, 788 (1962)) に非動化した 1 0 %ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地の pHは約 6. 2〜6. 4に調整するのが好ましい。 培養は通常約 27°C で約 3〜5日間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約
5〜20 %の胎児牛血清を含む MEM培地 〔サイエンス (Science), 122巻, 501 (1952)〕 , DMEM培地 〔ヴイロロジー (Virology) , 8巻, 39 6 (1959)〕, RPMI 1640培地〔ジャーナル'ォブ'ザ 'ァメリカン ' メディ刀 レ ' ァソシェ——シヨン (The Journal of the American Medical Association) 199巻, 519 (1967)〕 , 199培地 〔プロシ一ジング- ォブ'ザ 'ソサイエティ ·フォー'ザ 'バイオロジカル 'メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine) , 73巻, 1 (1950)〕 な どが用いられる。 pHは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 30で〜 40°Cで約 15〜60時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明の G 蛋白質共役型蛋白質を生成せしめることができる。
上記培養物から本発明の蛋白質を分離精製するには、 例えば、 下記の方法に より行なうことができる。
本発明の蛋白質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リゾチームおよび または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した のち、 遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ る。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどの蛋白質変性剤や、 トリトン X— 100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中に蛋白質が分泌さ れる場合には、 培養終了後、 それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清と を分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精 製は、 自体公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。 こ れらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用す る方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および SD S—ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロ マトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティーク口マトダラ フィ一などの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマ
などの疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用 する方法などが用いられる。
かくして得られる蛋白質が遊離体で得られた場合には、 自体公知の方法ある いはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られた場 合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他の塩 に変換することができる。
なお、 組換え体が産生する蛋白質を、 精製前または精製後に適当な蛋白修飾 酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリペプチドを部分的 に除去することもできる。 蛋白修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン、 キモ トリプシン、 アルギニルエンドべプチダ一ゼ、 プロテインキナーゼ、 グリコシ ダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明の蛋白質またはその塩の活性は、 標識したリガンド との結合実験および特異抗体を用いたェンザィムィムノアッセィなどにより測 定することができる。
本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、 本発 明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の何れであつてもよい。
本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩 (以下、 本発明の蛋白 質等と略記する) に対する抗体は、 本発明の蛋白質等を抗原として用い、 自体 公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクロナール抗体産生細胞の作製
本発明の蛋白質等は、 哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位に それ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能 を高めるため、 完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバント を投与してもよい。 投与は通常 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計 2〜 1 0回程度行な われる。 用いられる哺乳動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモ ット、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギが挙げられるが、 マウスおよびラットが
好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原を免疫された温血動物、 例えば、 マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に 脾臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と 融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリドーマを調製するこ とができる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化した本発明の 蛋白質等と抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定す ることにより行なうことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケーラー とミルス夕ィンの方法 〔ネィチヤ一 (Nature)、 256卷、 495頁 ( 1975 年) 〕 に従い実施することができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリェチ レンダリコール (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましく は PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS_ 1、 P 3U1、 SP 2/0などが挙げ られるが、 P 3U1が好ましく用いられる。 用いられる抗体産生細胞 (脾臓細 胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1〜20 : 1程度であり、 PE G (好ましくは、 PEG 1000〜PEG6000) が 10~80 %程度の濃 度で添加され、 約 20〜 40 °C、 好ましくは約 30〜 37 °Cで約 1〜 10分間 ィンキュベー卜することにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が 使用できるが、 例えば、 本発明の蛋白質等抗原を直接あるいは担体とともに吸 着させた固相 (例、 マイクロプレート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞融合に用い られる細胞がマウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) また はプロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫グロブリン抗体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ 培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識した本発明の蛋白質等を加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノク口一ナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従つて
行なうことができるが、 通常は HA T (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チ ミジン) を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。 選別および育 種用培地としては、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を 用いても良い。 例えば、 1〜2 0 %、 好ましくは 1 0〜 2 0 %の牛胎児血清を 含む R P M I 1 6 4 0培地、 1〜 1 0 %の牛胎児血清を含む G I T培地(和光 純薬工業 (株) ) またはハイプリドーマ培養用無血清培地 (S F M— 1 0 1、 日水製薬 (株) ) などを用いることができる。 培養温度は、 通常 2 0〜4 0 °C、 好ましくは約 3 7 °Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週 間〜 2週間である。 培養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なうことができる。 ハイ プリドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして 測定できる。
( b ) モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 通常のポリクローナル抗体の分離精製と 同様に免疫グロブリンの分離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点 沈殿法、 電気泳動法、 イオン交換体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心 法、 ゲルろ過法、 抗原結合固相またはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなど の活性吸着剤により抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精 製法〕 に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 それ自体公知あるいはそれに準じる方法に したがって製造することができる。例えば、免疫抗原(本発明の蛋白質等抗原) とキャリア一蛋白質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製造法 と同様に哺乳動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発明の蛋白質等に対する 抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリア一蛋白質との複合 体に関し、 キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、 キヤリァ一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アルブ
ミン、 ゥシサイログロブリン、 キーホール · リンペット ·へモシァニン等を重 量比でハプテン 1に対し、約 0. 1〜2 0、好ましくは約 1〜 5の割合でカプル させる方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いること ができるが、 ダルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チオール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。 縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるい は担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよ い。 投与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜1 0回程度行なうことが できる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、 上記の血清中の抗体価の測定と 同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクロ一 ナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従つて行なうこと ができる。 本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 およびそれらをコー ドする D N Aは、 ①本発明の蛋白質に対するリガンドの決定方法、 ②抗体およ び抗血清の入手、 ③組換え型蛋白質の発現系の構築、 ④同発現系を用いたレセ プタ一結合アツセィ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、 ⑤構造的 に類似したリガンド · レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実 施、 ⑥遺伝子診断におけるプローブや P C Rプライマーを作成するための試薬、 ⑦トランスジエニック動物の作製または⑧遺伝子予防 ·治療剤等の医薬などと して用いることができる。
特に、 本発明の組換え型蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アツセィ系 を用いることによって、 ヒトゃ哺乳動物に特異的な G蛋白質共役型レセプター
に対するリガンドの結合性を変化させる化合物 (例、 ァゴニスト、 アン夕ゴニ ストなど) をスクリーニングすることができ、 該ァゴ二ストまたはアンタゴニ ストを各種疾病の予防 ·治療剤などとして使用することができる。
本発明の蛋白質、 部分ペプチドまたはそれらの塩 (以下、 本発明の蛋白質等 と略記する場合がある) 、 本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコードす る DNA (以下、 本発明の DNAと略記する場合がある) および本発明の蛋白 質等に対する抗体 (以下、 本発明の抗体と略記する場合がある) の用途につい て、 以下に具体的に説明する。
( 1) 本発明の蛋白質に対するリガンド (ァゴ二スト) の決定方法
本発明の蛋白質もしくはその塩または本発明の部分べプチドもしくはその塩 は、 本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンド (ァゴ二スト) を探索し、 または決定するための試薬として有用である。
すなわち、 本発明は、 本発明の蛋白質もしくはその塩または本発明の部分べ プチドもしくはその塩と、 試験化合物とを接触させることを特徴とする本発明 の蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供する。
試験化合物としては、 公知のリガンド (例えば、 アンギオテンシン、 ボンべ シン、 カナピノイド、 コレシストキニン、 グルタミン、 セロ卜ニン、 メラ卜二 ン、 ニューロペプチド Y、 ォピオイド、 プリン、 バソプレツシン、 ォキシトシ ン、 PACAP、 セクレチン、 グルカゴン、 カルシトニン、 アドレノメジユリ ン、 ソマトス夕チン、 GHRH、 CRF、 ACTH、 GRP、 PTH, V I P (バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリべプチ ド) 、 ソマトス夕チン、 ドーパミン、 モチリン、 アミリン、 ブラジキニン、 C GRP (カルシトニンジーンリレーティッドペプチド) 、 ロイコトリェン、 パ ンクレアスタチン、 プロスタグランジン、 トロンポキサン、 アデノシン、 アド レナリン、 αおよび3—ケモカイン (chemokine) (例えば、 I L— 8、 GRO a、 GRO/3、 GROT、 NAP— 2、 ENA— 78、 P F 4、 I P 1 0、 G CP - 2、 MCP - 1、 HC 14、 MCP— 3、 1— 309、 M I P 1 M I P— l j3、 RANTESなど) 、 エンドセリン、 ェンテロガストリン、 ヒス
夕ミン、 ニューロテンシン、 T R H、 パンクレアティックポリぺプタイドまた はガラニンなどがあげられ、 またその他に、 例えば、 ヒトまたは哺乳動物 (例 えば、 マウス、 ラット、 ブ夕、 ゥシ、 ヒッジ、 サルなど) の組織抽出物、 細胞 培養上清などが用いられる。 例えば、 該組織抽出物、 細胞培養上清などを本発 明の蛋白質に添加し、 細胞刺激活性などを測定しながら分画し、 最終的に単一 のリガンドを得ることができる。
具体的には、 本発明のリガンド決定方法は、 本発明の蛋白質、 その部分ぺプ チドもしくはそれらの塩を用いるか、 または組換え型蛋白質の発現系を構築し、 該発現系を用いたレセプ夕一結合アツセィ系を用いることによって、 本発明の 蛋白質に結合して細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン 遊離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c AM P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシ ト一ルリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o s活 性化、 P Hの低下などを促進する活性または抑制する活性)を有する化合物(例 えば、 ペプチド、 蛋白質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物など) またはその塩を決定する方法である。
本発明のリガンド決定方法においては、 本発明の蛋白質またはその部分ぺプ チドと試験化合物とを接触させた場合の、 例えば、 該蛋白質または該部分ぺプ チドに対する試験化合物の結合量や、 細胞刺激活性などを測定することを特徴 とする。
より具体的には、 本発明は、 ①標識した試験化合物を、 本発明の蛋白質もし くはその塩または本発明の部分べプチドもしくはその塩に接触させた場合にお ける、 標識した試験化合物の該蛋白質もしくはその塩、 または該部分ペプチド もしくはその塩に対する結合量を測定することを特徴とする本発明の蛋白質ま たはその塩に対するリガンドの決定方法、
②標識した試験化合物を、 本発明の蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画 分に接触させた場合における、 標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に 対する結合量を測定することを特徴とする本発明の蛋白質またはその塩に対す るリガンドの決定方法、
③標識した試験化合物を、 本発明の蛋白質をコードする D NAを含有する形質 転換体を培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質に接触させた場合に おける、 標識した試験化合物の該蛋白質またはその塩に対する結合量を測定す ることを特徴とする本発明の蛋白質に対するリガンドの決定方法、
④試験化合物を、 本発明の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、 蛋白質を介した細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊 離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c AM P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシト ールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活 性化、 P Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など) を測定するこ とを特徴とする本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、 お よび
⑤試験化合物を、 本発明の蛋白質をコ一ドする D NAを含有する形質転換体を 培養することによって細胞膜上に発現した蛋白質に接触させた場合における、 蛋白質を介する細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊 離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c AM P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシト 一ルリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活 性化、 P Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など) を測定するこ とを特徴とする本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法を提 供する。
特に、 上記①〜③の試験を行ない、 試験化合物が本発明の蛋白質に結合する ことを確認した後に、 上記④〜⑤の試験を行なうことが好ましい。
まず、 リガンド決定方法に用いる蛋白質としては、 前記した本発明の蛋白質 または本発明の部分べプチドを含有するものであれば何れのものであってもよ いが、 動物細胞を用いて大量発現させた蛋白質が適している。
本発明の蛋白質を製造するには、 前述の発現方法が用いられるが、 該蛋白質 をコードする D N Aを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうこ とが好ましい。 目的とする蛋白質部分をコードする D NA断片には、 通常、 相 補 D N Aが用いられるが、 必ずしもこれに制約されるものではない。 例えば、
遺伝子断片や合成 DNAを用いてもよい。 本発明の蛋白質をコードする DNA 断片を宿主動物細胞に導入し、 それらを効率よく発現させるためには、 該 DN A断片を昆虫を宿主とするバキュロウィルスに属する核多角体病ウィルス (nuclear polyhedrosis virus; NPV) のポリヘドリンプロモーター、 SV 40由来のプロモーター、 レトロウイルスのプロモ一夕一、 メタ口チォネイン プロモ一夕一、 ヒトヒートショックプロモータ一、 サイトメガロウィルスプロ モータ一、 SRひプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。 発現した レセプ夕一の量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。 例えば、 文献 〔Nambi, P. ら、 ザ ·ジャーナル ·ォブ ·バイオロジカル ·ケミストリー (J. Biol. Chem. ) , 267巻, 19555〜19559頁, 1992年〕 に記載の方法に従って行 うことができる。
したがって、 本発明のリガンド決定方法において、 本発明の蛋白質、 その部 分ペプチドまたはそれらの塩を含有するものとしては、 それ自体公知の方法に 従って精製した蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩であってもよいし、 該蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分を用いてもよい。
本発明のリガンド決定方法において、 本発明の蛋白質を含有する細胞を用い る場合、 該細胞をダルタルアルデヒド、 ホルマリンなどで固定化してもよい。 固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行なうことができる。
本発明の蛋白質を含有する細胞としては、 本発明の蛋白質を発現した宿主細 胞をいうが、 該宿主細胞としては、 大腸菌、 枯草菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細 胞などが用いられる。
細胞膜画分としては、 細胞を破碎した後、 それ自体公知の方法で得られる細 胞膜が多く含まれる画分のことをいう。 細胞の破碎方法としては、 Potter— Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、 ヮーリングブレンダーゃポ リトロン (Kinematica社製) による破砕、 超音波による破砕、 フレンチプレス などで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破碎などが挙 げられる。 細胞膜の分画には、 分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠 心力による分画法が主として用いられる。 例えば、 細胞破碎液を低速 (500
r pm〜3000 r pm) で短時間 (通常、 約 1分〜 10分) 遠心し、 上清を さらに高速 (15000 r pm〜30000 r pm) で通常 30分〜 2時間遠 心し、 得られる沈澱を膜画分とする。 該膜画分中には、 発現した蛋白質と細胞 由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該蛋白質を含有する細胞やその膜画分中の蛋白質の量は、 1細胞当たり
103〜108分子であるのが好ましく、 105〜107分子であるのが好適であ る。 なお、 発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性 (比活性) が高 くなり、 高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、 同一口 ットで大量の試料を測定できるようになる。
本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンドを決定する前記の①〜③の方 法を実施するためには、 適当な蛋白質画分と、 標識した試験化合物が必要であ る。
蛋白質画分としては、 天然型のレセプ夕一蛋白質画分か、 またはそれと同等 の活性を有する組換え型レセプ夕一画分などが望ましい。 ここで、 同等の活性 とは、 同等のリガンド結合活性、 シグナル情報伝達作用などを示す。
標識した試験化合物としては、 〔3H〕 、 〔125 I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで標識したアンギオテンシン、 ボンべシン、 カナピノイド、 コレシストキ ニン、 グルタミン、 セロトニン、 メラトニン、 ニューロペプチド Y、 オビオイ ド、 プリン、 バソプレツシン、 ォキシトシン、 PACAP、 セクレチン、 グル 力ゴン、 カルシトニン、 アドレノメジュリン、 ソマトス夕チン、 GHRH、 C RF、 ACTH、 GRP、 PTH、 V I P (バソアクティブ インテスティナ ル アンド リイテッド ポリペプチド) 、 ソマトス夕チン、 ドーパミン、 モ チリン、 アミリン、 ブラジキニン、 CGRP (カルシトニンジーンリレーティ ッドペプチド) 、 ロイコトリェン、 パンクレアスタチン、 プロスタグランジン、 トロンポキサン、 アデノシン、 アドレナリン、 ひおよび /3—ケモカイン (chemokine) (例えば、 I L一 8、 GR〇a、 GRO 3、 GROァ、 NAP— 2、 ENA— 78、 PF4、 I P 10、 GCP - 2、 MCP_ 1、 HC 14、 MCP— 3、 1— 309、 MI P 1ひ、 M I P— 1 )3、 RANTESなど) 、
エンドセリン、 ェンテロガストリン、 ヒスタミン、 ニューロテンシン、 TRH、 パンクレアティックポリべプ夕ィド、 ガラニンなどが好適である。
具体的には、 本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法を行 なうには、 まず本発明の蛋白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、 決定方 法に適したバッファ一に懸濁することによりレセプ夕一標品を調製する。 バッ ファーには、 pH4〜10 (望ましくは pH6〜8) のリン酸バッファ一、 ト リス—塩酸バッファーなどのリガンドと本発明の蛋白質との結合を阻害しない バッファーであればいずれでもよい。 また、 非特異的結合を低減させる目的で、 CHAPS, Twe e n— 80™ (花王—アトラス社) 、 ジギトニン、 デォキ シコレ一トなどの界面活性剤ゃゥシ血清アルブミンゃゼラチンなどの各種蛋白 質をバッファーに加えることもできる。 さらに、 プロテア一ゼによるリセプ夕 一やリガンドの分解を抑える目的で PMS F、 ロイぺプチン、 E—64 (ぺプ チド研究所製) 、 ぺプス夕チンなどのプロテア一ゼ阻害剤を添加することもで きる。 0.0 lm 1〜 1 Omlの該レセプ夕一溶液に、 一定量 (5000 c pm 〜500000 c pm) の 〔3H〕 、 〔125 I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで 標識した試験化合物を共存させる。 非特異的結合量 (NSB) を知るために大 過剰の未標識の試験化合物を加えた反応チューブも用意する。 反応は約 0 か ら 50°C、 望ましくは約 4 :から 37°Cで、 約 20分から 24時間、 望ましく は約 30分から 3時間行なう。 反応後、 ガラス繊維濾紙等で濾過し、 適量の同 バッファーで洗浄した後、 ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレ ーシヨンカウンタ一あるいはァーカウン夕一で計測する。 全結合量 (B) から 非特 ¼的結合量 (NSB) を引いたカウント (B— NSB) が O c pmを越え る試験化合物を本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンド (ァゴニスト) として選択することができる。
本発明の蛋白質またはその塩に対するリガンドを決定する前記の④〜⑤の方 法を実施するためには、 該蛋白質を介する細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン 酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a2+遊離、 細胞内 c AMP生成、 細胞 内 cGMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質の
リン酸化、 c一 f o sの活性化、 pHの低下などを促進する活性または抑制す る活性など) を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することが できる。 具体的には、 まず、 本発明の蛋白質を含有する細胞をマルチウエルプ レート等に培養する。 リガンド決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地 あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファ一に交換し、 試験化合物などを 添加して一定時間インキュベートした後、 細胞を抽出あるいは上清液を回収し て、 生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。 細胞刺激活性の指標と する物質 (例えば、 ァラキドン酸など) の生成が、 細胞が含有する分解酵素に よって検定困難な場合は、 該分解酵素に対する阻害剤を添加してアツセィを行 なってもよい。 また、 c AMP産生抑制などの活性については、 フオルスコリ ンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用と して検出することができる。
本発明の蛋白質またはその塩に結合するリガンド決定用キットは、 本発明の 蛋白質もしくはその塩、 本発明の部分ペプチドもしくはその塩、 本発明の蛋白 質を含有する細胞、 または本発明の蛋白質を含有する細胞の膜画分などを含有 するものである。
本発明のリガンド決定用キッ卜の例としては、 次のものが挙げられる。 1. リガンド決定用試薬
①測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution (ギブコ社製) に、 0. 05%のゥシ血清ァ ルブミン (シグマ社製) を加えたもの。
孔径 0.45 zmのフィルターで濾過滅菌し、 4°Cで保存するか、あるいは用 時調製しても良い。
② G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質標品
本発明の蛋白質を発現させた CHO細胞を、 12穴プレートに 5 X 105個 Z穴で継代し、 37° (:、 5%C〇2、 95 % a i rで 2日間培養したもの。
③標識試験化合物
市販の 〔3H〕 、 〔125 I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで標識した化合物、
または適当な方法で標識化したもの
水溶液の状態のものを 4°Cあるいは— 2 or:にて保存し、 用時に測定用緩衝 液にて に希釈する。 水に難溶性を示す試験化合物については、 ジメチル ホルムアミド、 DMSO、 メタノール等に溶解する。
④非標識試験化合物
標識化合物と同じものを 1 00〜1000倍濃い濃度に調製する。
2. 測定法
① 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明の蛋白質発現 CHO細胞を、 測定用緩衝液 1 m 1で 2回洗浄した後、 490 1の測定用緩衝液を各穴に加 える。
②標識試験化合物を 5 a 1加え、 室温にて 1時間反応させる。 非特異的結合量 を知るためには非標識試験化合物を 5 1加えておく。
③反応液を除去し、 lm 1の洗浄用緩衝液で 3回洗浄する。 細胞に結合した標 識試験化合物を 0. 2N N aOH- 1 %SDSで溶解し、 4m 1の液体シンチ レーター A (和光純薬製) と混合する。
④液体シンチレ一シヨンカウンタ一 (ベックマン社製) を用いて放射活性を測 定する。
本発明の蛋白質またはその塩に結合することができるリガンドとしては、 例 えば、 脳、 下垂体、 滕臓などに特異的に存在する物質などが挙げられ、 具体的 には、 アンギオテンシン、 ボンべシン、 カナピノイド、 コレシストキニン、 グ ル夕ミン、 セロトニン、 メラトニン、 ニューロペプチド Y、 ォピオイド、 プリ ン、 バソプレツシン、 ォキシトシン、 PACAP、 セクレチン、 グルカゴン、 カルシトニン、 アドレノメジュリン、 ソマトス夕チン、 GHRH、 CRF、 A CTH、 GRP、 PTH、 V I P (バソアクティブ インテスティナル アン ド リレイテッド ポリペプチド) 、 ソマトス夕チン、 ド一パミン、 モチリン、 アミリン、 ブラジキニン、 CGRP (カルシ卜ニンジーンリレーティッドぺプ チド) 、 ロイコトリェン、 パンクレアスタチン、 プロスタグランジン、 トロン ボキサン、 アデノシン、 アドレナリン、 ひおよび ]3—ケモカイン (chemokine)
(例えば、 I L一 8、 GROa、 GR〇i3、 GROr、 NAP— 2、 ENA_ 78、 PF4、 I P 10、 GCP_2、 MCP— 1、 HC 14、 MCP_3、 1—309、 M I P 1 M I P— 1 )3、 RANT ESなど) 、 エンドセリン、 ェンテロガストリン、 ヒスタミン、 ニューロテンシン、 TRH、 パンクレアテ イツクポリぺプタイド、 ガラニンなどが用いられる。
(2) 本発明の蛋白質欠乏症の予防 ·治療剤
上記 (1) の方法において、 本発明の蛋白質に対するリガンドが明らかにな れば、 該リガンドが有する作用に応じて、 ①本発明の蛋白質または②該蛋白質 をコードする DNAを、 本発明の蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防およ び Zまたは治療剤などの医薬として使用することができる。
例えば、 生体内において本発明の蛋白質が減少しているためにリガンドの生 理作用が期待できない (該蛋白質の欠乏症) 患者がいる場合に、 ①本発明の蛋 白質を該患者に投与し該蛋白質の量を補充したり、 ② (ィ) 本発明の蛋白質を コードする DN Aを該患者に投与し発現させることによって、 あるいは (口) 対象となる細胞に本発明の蛋白質をコ一ドする DNAを挿入し発現させた後に、 該細胞を該患者に移植することなどによって、 患者の体内における蛋白質の量 を増加させ、 リガンドの作用を充分に発揮させることができる。 したがって、 本発明の蛋白質をコードする DNAは、 安全で低毒性な本発明のレセプタ一蛋 白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤などの医薬として 有用である。
本発明の蛋白質または本発明の D N Aは中枢疾患 (例えばァルツハイマー病 · 痴呆'摂食障害 (拒食症) ,てんかんなど)、 ホルモン系の疾患 (例えば、 微弱 陣痛、 弛緩出血、 胎盤娩出前後、 子宮復古不全、 帝王切開術、 人工妊娠中絶、 乳汁うっ滞など) 、 肝/胆 /勝/内分泌疾患 (例えば糖尿病 ·摂食障害など)、 炎症 性疾患(アレルギー ·喘息 · リュウマチなど)、 循環器疾患 (例えば高血圧症-心 肥大'狭心症 ·動脈硬化等)の予防および Zまたは治療に有用である。
本発明の蛋白質を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 常套手段に従つ て製剤化することができる。
一方、 本発明の蛋白質をコードする D N A (以下、 本発明の D N Aと略記す る場合がある) を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 本発明の D NAを 単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノウィ ルスァソシエーテッドウィルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、 常套手段に従って実施することができる。 本発明の D NAは、 そのままで、 あ るいは摂取促進のための補助剤とともに、 遺伝子銃やハイドロゲルカテーテル のようなカテーテルによって投与できる。
例えば、 ①本発明の蛋白質または②該蛋白質をコードする D NAは、 必要に 応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤な どとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との 無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。 例え ば、 ①本発明の蛋白質または②該蛋白質をコードする D N Aを生理学的に認め られる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤など とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和すること によって製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示された 範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えばゼラ チン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セ ルロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのよう な膨化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサ ッカリンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリーのような 香味剤などが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 前記タイ プの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のため の無菌組成物は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油など のような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に 従って処方することができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マ ンニトール、 塩化ナトリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例え
ば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコ —ル、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン性界面活性剤 (例、 ポリソルベー ト 80TM、 HCO— 50) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いられ、 溶解補助剤である安息香酸ベンジル、 ベンジ ルアルコールなどと併用してもよい。
また、 上記予防 ·治療剤は、 例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢 酸ナトリウム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロ 力インなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコ一 ルなど) 、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸化防 止剤などと配合してもよい。 調製された注射液は通常、 適当なアンプルに充填 される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ哺 乳動物 (例えば、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルな ど) に対して投与することができる。
本発明の蛋白質または DNAの投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与 方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に成人 (60 kgとし て) の拒食症患者においては、 一日につき約 0. lmg〜100mg、好ましく は約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜20mgである。 非経口的 に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常成人 (6 O kgとして) の拒食症患者においては、 一日につき約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは 約 0. 1〜2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射 により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 6 O kg当たりに換算 した量を投与することができる。
(3) 遺伝子診断剤
本発明の DN Aは、 プローブとして使用することにより、 ヒトまたは哺乳動 物 (例えば、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) における本発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコードする DN Aまたは m
RNAの異常 (遺伝子異常) を検出することができるので、 例えば、 該 DNA または mRNAの損傷、 突然変異あるいは発現低下や、 該 DNAまたは mRN Aの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。
本発明の DNAを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自体公知のノーザン ハイブリダィゼ一シヨンや PCR—S SCP法 (ゲノミックス (Genomics) , 第 5巻, 874〜879頁 ( 1989年) 、 プロシージングズ.ォブ ·ザ ·ナ ショナル'アカデミー'ォブ 'サイェンシィズ 'ォブ 'ユーエスエー(Proceedings of the Nat inal Academy of Sciences of the United States of America; , 第 86巻, 2766〜 2770頁 (1 989年) ) などにより実施することが できる。
(4) 本発明の蛋白質に対するリガンドの定量法
本発明の蛋白質等は、 リガンドに対して結合性を有しているので、 生体内に おけるリガンド濃度を感度良く定量することができる。
本発明の定量法は、 例えば、 競合法と組み合わせることによって用いること ができる。 すなわち、 被検体を本発明の蛋白質等と接触させることによって被 検体中のリガンド濃度を測定することができる。 具体的には、 例えば、 以下の ①または②などに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って用いることが できる。
①入江寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 49年発行)
②入江寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 54年発行)
(5) 本発明の蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物のスクリ一二 ング方法
本発明の蛋白質等を用いるか、 または組換え型蛋白質等の発現系を構築し、 該発現系を用いたレセプ夕一結合アツセィ系を用いることによって、 リガンド と本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物 (例えば、 ペプチド、 蛋白 質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物など) またはその塩を効率 よくスクリーニングすることができる。
このような化合物には、 (ィ) G蛋白質共役型レセプ夕一を介して細胞刺激
活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c AM P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜 電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 p Hの低下などを 促進する活性または抑制する活性など) を有する化合物 (いわゆる、 本発明の 蛋白質に対するァゴニスト) 、 (口) 該細胞刺激活性を有しない化合物 (いわ ゆる、 本発明の蛋白質に対するアン夕ゴニスト) 、 (ハ) リガンドと本発明の 蛋白質との結合力を増強する化合物, あるいは (二) リガンドと本発明の蛋白 質との結合力を減少させる化合物などが含まれる (なお、 上記 (ィ) の化合物 は、 前記したリガンド決定方法によってスクリーニングすることが好ましい) 。 すなわち、 本発明は、 ( i ) 本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれ らの塩と、 リガンドとを接触させた場合と (i i ) 本発明の蛋白質、 その部分べ プチドまたはそれらの塩と、 リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合と の比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発明の蛋白質、 その部分べプチ ドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリー二 ング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、 (i ) と (i i ) の場合における、 例えば、 該蛋白質等に対するリガンドの結合量、 細胞刺激活性などを測定して、 比較することを特徴とする。
より具体的には、 本発明は、
①標識したリガンドを、 本発明の蛋白質等に接触させた場合と、 標識したリガ ンドおよび試験化合物を本発明の蛋白質等に接触させた場合における、 標識し たリガンドの該蛋白質等に対する結合量を測定し、 比較することを特徴とする リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス クリーニング方法、
②標識したリガンドを、 本発明の蛋白質等を含有する細胞または該細胞の膜画 分に接触させた場合と、 標識したリガンドおよび試験化合物を本発明の蛋白質 等を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、 標識した リガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、 比較することを特
徴とするリガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはそ の塩のスクリ一ニング方法、
③標識したリガンドを、 本発明の D N Aを含有する形質転換体を培養すること によって細胞膜上に発現した蛋白質等に接触させた場合と、 標識したリガンド および試験化合物を本発明の D N Aを含有する形質転換体を培養することによ つて細胞膜上に発現した本発明の蛋白質等に接触させた場合における、 標識し たリガンドの該蛋白質等に対する結合量を測定し、 比較することを特徴とする リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス クリーニング方法、
④本発明の蛋白質等を活性化する化合物 (例えば、 本発明の蛋白質等に対する リガンドなど) を本発明の蛋白質等を含有する細胞に接触させた場合と、 本発 明の蛋白質等を活性化する化合物および試験化合物を本発明の蛋白質等を含有 する細胞に接触させた場合における、 レセプターを介した細胞刺激活性 (例え ば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c A M P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 p Hの低下などを促進する活 性または抑制する活性など) を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと 本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリ一ニン グ方法、 および
⑤本発明の蛋白質等を活性化する化合物 (例えば、 本発明の蛋白質等に対する リガンドなど) を本発明の D N Aを含有する形質転換体を培養することによつ て細胞膜上に発現した本発明の蛋白質等に接触させた場合と、 本発明の蛋白質 等を活性化する化合物および試験化合物を本発明の D NAを含有する形質転換 体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の蛋白質等に接触させた 場合における、 レセプターを介する細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a 2 +遊離、 細胞内 c AM P生成、 細胞内 c GM P生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c - f o sの活性化、 p Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など)
を測定し、 比較することを特徴とするリガンドと本発明の蛋白質等との結合性 を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の蛋白質等が得られる以前は、 G蛋白質共役型レセプ夕一ァゴニスト またはアン夕ゴニストをスクリーニングする場合、 まずラットなどの G蛋白質 共役型レセプ夕一蛋白質を含む細胞、 組織またはその細胞膜画分を用いて候補 化合物を得て (一次スクリーニング) 、 その後に該候補化合物が実際にヒトの G蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合を阻害するか否かを確認 する試験 (二次スクリーニング) が必要であった。 細胞、 組織または細胞膜画 分をそのまま用いれば他のレセプ夕一蛋白質も混在するために、 目的とするレ セプ夕一蛋白質に対するァゴニストまたはアンタゴニストを実際にスクリー二 ングすることは困難であった。
しかしながら、 例えば、 本発明のヒト由来蛋白質を用いることによって、 一 次スクリ一ニングの必要がなくなり、 リガンドと G蛋白質共役型レセプ夕ー蛋 白質との結合を阻害する化合物を効率良くスクリーニングすることができる。 さらに、 スクリーニングされた化合物がァゴニストかアン夕ゴニストかを簡便 に評価することができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、 本発明のスクリーニング方法に用いる本発明の蛋白質等としては、 前 記した本発明の蛋白質等を含有するものであれば何れのものであってもよいが、 本発明の蛋白質等を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好適である。 しか し、 特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、 スクリーニングに用 いられるものとしては、 組換え体を用いて大量発現させたヒト由来のレセプ夕 一蛋白質等などが適している。
本発明の蛋白質等を製造するには、 前述の方法が用いられるが、 本発明の D N Aを哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ましい。 目的 とする蛋白質部分をコードする D NA断片には相補 D NAが用いられるが、 必 ずしもこれに制約されるものではない。 例えば、 遺伝子断片や合成 D NAを用 いてもよい。 本発明の蛋白質をコードする D N A断片を宿主動物細胞に導入し、
それらを効率よく発現させるためには、 該 D N A断片を昆虫を宿主とするバキ ュロウィルスに属する核多角体病ウィルス (nuc lear polyhedros i s vi rus; N P V) のポリヘドリンプロモー夕一、 S V 4 0由来のプロモ一夕一、 レトロゥ ィルスのプロモーター、 メタ口チォネインプロモーター、 ヒトヒートショック プロモーター、 サイ卜メガロウィルスプロモ一夕一、 S R o!プロモーターなど の下流に組み込むのが好ましい。 発現したレセプターの量と質の検査はそれ自 体公知の方法で行うことができる。 例えば、 文献 〔Namb i, P. ら、 ザ…ジャー ナル 'ォブ 'バイオロジカル ·ケミストリー (J. Biol. Chem. ) , 267巻, 19555 〜19559頁, 1992年〕 に記載の方法に従って行なうことができる。
したがって、 本発明のスクリーニング方法において、 本発明の蛋白質等を含 有するものとしては、 それ自体公知の方法に従って精製した蛋白質等であって もよいし、 該蛋白質等を含有する細胞を用いてもよく、 また該蛋白質等を含有 する細胞の膜画分を用いてもよい。
本発明のスクリーニング方法において、 本発明の蛋白質等を含有する細胞を 用いる場合、 該細胞をダルタルアルデヒド、 ホルマリンなどで固定化してもよ い。 固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行なうことができる。
本発明の蛋白質等を含有する細胞としては、 該蛋白質等を発現した宿主細胞 をいうが、 該宿主細胞としては、 大腸菌、 枯草菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細胞 などが好ましい。
細胞膜画分としては、 細胞を破碎した後、 それ自体公知の方法で得られる細 胞膜が多く含まれる画分のことをいう。 細胞の破砕方法としては、 Pot ter— Elvehj em型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、 ヮーリングブレンダ一ゃポ リトロン (Kinemat i c a社製) のよる破砕、 超音波による破砕、 フレンチプレス などで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙 げられる。 細胞膜の分画には、 分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠 心力による分画法が主として用いられる。 例えば、 細胞破砕液を低速 (5 0 0 r p m〜3 0 0 0 r p m) で短時間 (通常、 約 1分〜 1 0分) 遠心し、 上清を さらに高速 (1 5 0 0 0 r p m〜3 0 0 0 0 r p m) で通常 3 0分〜 2時間遠
心し、 得られる沈澱を膜画分とする。 該膜画分中には、 発現した蛋白質等と細 胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該蛋白質等を含有する細胞や膜画分中の該蛋白質の量は、 1細胞当たり 103〜 108分子であるのが好ましく、 105〜 107分子であるのが好適であ る。 なお、 発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性 (比活性) が高 くなり、 高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、 同一口 ットで大量の試料を測定できるようになる。
リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物をスクリーニン グする前記の①〜③を実施するためには、 例えば、 適当な蛋白質画分と、 標識 したリガンドが必要である。
蛋白質画分としては、 天然型のレセプ夕一蛋白質画分か、 またはそれと同等 の活性を有する組換え型レセプ夕一蛋白質画分などが望ましい。 ここで、 同等 の活性とは、 同等のリガンド結合活性、 シグナル情報伝達作用などを示す。 標識したリガンドとしては、 標識したリガンド、 標識したリガンドアナログ 化合物などが用いられる。 例えば 〔3H〕 、 〔125 I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで標識されたリガンドなどが用いられる。
具体的には、 リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物の スクリーニングを行なうには、 まず本発明の蛋白質等を含有する細胞または細 胞の膜画分を、 スクリーニングに適したバッファーに懸濁することにより蛋白 質標品を調製する。 バッファ一には、 pH4〜10 (望ましくは pH6〜8) のリン酸バッファー、 トリス—塩酸バッファ一などのリガンドと蛋白質との結 合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。 また、 非特異的結合を低 減させる目的で、 CHAPS、 Twe e n-80™ (花王一アトラス社) 、 ジ ギトニン、 デォキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもで きる。 さらに、 プロテアーゼによるレセプ夕一やリガンドの分解を抑える目的 で PMSF、 ロイぺプチン、 E— 64 (ペプチド研究所製) 、 ぺプス夕チンな どのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。 0. O lm l〜 10mlの該 レセプター溶液に、 一定量 (5000 c pm〜5 O O O O O c pm) の標識し
たリガンドを添加し、同時に 1 0— 4M〜1 0— 1 ϋΜの試験化合物を共存させる。 非特異的結合量 (NS B) を知るために大過剰の未標識のリガンドを加えた反 応チューブも用意する。反応は約 0°Cから 50°C、望ましくは約 4°Cから 3 7°C で、 約 2 0分から 24時間、 望ましくは約 3 0分から 3時間行う。 反応後、 ガ ラス繊維濾紙等で濾過し、 適量の同バッファーで洗浄した後、 ガラス繊維濾紙 に残存する放射活性を液体シンチレーシヨンカウンタ一またはァ—カウンター で計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B。)から非特異的結合量(N S B) を引いたカウント (B。一 NS B) を 1 0 0 %とした時、 特異的結合量 (B-NS B) 力 例えば、 5 0%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のあ る候補物質として選択することができる。
リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物スクリーニング する前記の④〜⑤の方法を実施するためには、 例えば、 蛋白質を介する細胞刺 激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細胞内 C a2+遊離、 細胞内 cAM P生成、 細胞内 c GMP生成、 イノシトールリン酸産生、 細胞膜 電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 pHの低下などを 促進する活性または抑制する活性など) を公知の方法または市販の測定用キッ トを用いて測定することができる。
具体的には、 まず、 本発明の蛋白質等を含有する細胞をマルチウヱルプレー ト等に培養する。 スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あ るいは細胞に毒性を示さない適当なバッファ一に交換し、 試験化合物などを添 加して一定時間ィンキュベ一トした後、 細胞を抽出あるいは上清液を回収して、 生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。 細胞刺激活性の指標とする 物質 (例えば、 ァラキドン酸など) の生成が、 細胞が含有する分解酵素によつ て検定困難な場合は、 該分解酵素に対する阻害剤を添加してアツセィを行なつ てもよい。 また、 CAMP産生抑制などの活性については、 フォルスコリンな どで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として 検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、 適当な蛋白質を発現
した細胞が必要である。 本発明の蛋白質等を発現した細胞としては、 天然型の 本発明の蛋白質等を有する細胞株、 前述の組換え型蛋白質等を発現した細胞株 などが望ましい。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などが用 いられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。 ,
リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩の スクリーニング用キットは、 本発明の蛋白質等、 本発明の蛋白質等を含有する 細胞、 または本発明の蛋白質等を含有する細胞の膜画分を含有するものなどで ある。
本発明のスクリーニング用キッ卜の例としては、 次のものが挙げられる。 1. スクリーニング用試薬
①測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution (ギブコ社製) に、 0. 05%のゥシ血清ァ ルブミン (シグマ社製) を加えたもの。
孔径 0.45 のフィル夕一で濾過滅菌し、 4°Cで保存するか、あるいは用 時調製しても良い。
② G蛋白質共役型レセプ夕一標品
本発明の蛋白質を発現させた CHO細胞を、 12穴プレー卜に 5 X 105個 Z穴で継代し、 37°C、 5%C〇2、 95 % a i rで 2日間培養したもの。
③標識リガンド
市販の 〔3H〕 、 〔125 I〕 、 〔14C〕 、 〔35S〕 などで標識したリガンド 水 溶液の状態のものを 4°Cあるいは一 20°Cにて保存し、 用時に測定用緩衝液に て に希釈する。
④リガンド標準液
リガンドを 0. 1 %ゥシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む PBSで ImM となるように溶解し、 — 20°Cで保存する。
2. 測定法
① 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明の蛋白質発現 CH〇細胞を、 測定用緩衝液 1 m 1で 2回洗浄した後、 490 1の測定用緩衝液を各穴に加 える。
② 10— 3〜10—1QMの試験化合物溶液を 5 1加えた後、 標識リガンドを 5 1加え、 室温にて 1時間反応させる。 非特異的結合量を知るためには試験化 合物の代わりに 10— 3Mのリガンドを 5 1加えておく。
③反応液を除去し、 lm 1の洗浄用緩衝液で 3回洗浄する。 細胞に結合した標 識リガンドを 0.2N NaOH— 1 %SDSで溶解し、 4m 1の液体シンチレ 一ター A (和光純薬製) と混合する。
④液体シンチレ一シヨンカウンタ一 (ベックマン社製) を用いて放射活性を測 定し、 Percent Maximum Binding (PMB) を次の式で求める。
PMB= [ (B-NS B) / (B。一 NSB) ] X 100
PMB: Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB: Non-specific Binding (非特異的結合量)
B 0 :最大結合量 本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩は、 リガンドと本発明の蛋白質等との結合性を変化させ る作用を有する化合物であり、 具体的には、 (ィ) G蛋白質共役型レセプ夕一 を介して細胞刺激活性 (例えば、 ァラキドン酸遊離、 アセチルコリン遊離、 細 胞内 Ca2+遊離、 細胞内 cAMP生成、 細胞内 cGMP生成、 イノシトールリ ン酸産生、 細胞膜電位変動、 細胞内蛋白質のリン酸化、 c一 f o sの活性化、 pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など) を有する化合物 (い わゆる、 本発明の蛋白質に対するァゴニスト) 、 (口) 該細胞刺激活性を有し ない化合物 (いわゆる、 本発明の蛋白質に対するアン夕ゴニスト) 、 (八) リ
ガンドと本発明の G蛋白質共役型蛋白質との結合力を増強する化合物、 あるい は (二) リガンドと本発明の G蛋白質共役型蛋白質との結合力を減少させる化 合物である。
該化合物としては、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物などが挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。
本発明の蛋白質等に対するァゴニス卜は、 本発明の蛋白質等に対するリガン ドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、 該リガンド活性に応じて 安全で低毒性な医薬 [例えば、 中枢疾患 (例えばアルツハイマー病 ·痴呆 '摂食 障害 (拒食症) ·てんかんなど)、 ホルモン系の疾患 (例えば、 微弱陣痛、 弛緩 出血、 胎盤娩出前後、 子宮復古不全、 帝王切開術、 人工妊娠中絶、 乳汁うっ滞 など)、肝/胆 /塍 /内分泌疾患 (例えば糖尿病 ·摂食障害など)、炎症性疾患(ァレ ルギー '喘息 ·リュウマチなど)、循環器疾患 (例えば高血圧症 '心肥大 '狭心症 · 動脈硬化等)の予防および または治療剤など]として有用である。
本発明の蛋白質等に対するアン夕ゴニストは、 本発明の蛋白質等に対するリ ガンドが有する生理活性を抑制することができるので、 該リガンド活性を抑制 する安全で低毒性な医薬 [例えば、ホルモン分泌調節薬、本発明の蛋白質等に対 するリガンドの過剰な産生によつて惹起される中枢疾患、 ホルモン系の疾患、 肝ノ胆 Z塍 Z内分泌疾患 (例えば抗肥満薬,摂食過剰など) 、 炎症性疾患、 循 環器疾患の予防および Zまたは治療薬など]として有用である。
リガンドと本発明の蛋白質との結合力を減少させる化合物は、 本発明の蛋白 質等に対するリガンドが有する生理活性を減少させるための安全で低毒性な医 薬 [例えば、ホルモン分泌調節薬、本発明の蛋白質等に対するリガンドの過剰な 産生によって惹起される中枢疾患、 ホルモン系の疾患、 肝/胆 Z滕 内分泌疾 患 (例えば抗肥満薬 ·摂食過剰など) 、 炎症性疾患、 循環器疾患の予防および または治療薬など]として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られ る化合物またはその塩を上述の医薬組成物として使用する場合、 常套手段に従
つて実施することができる。 例えば、 前記した本発明の蛋白質を含有する医薬 と同様にして、 錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤、 無菌 性溶液、 懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ哺 乳動物 (例えば、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルな ど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に成人 (60 kgとして) に おいては、 一日につき約 0. 1〜: L 00mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常成人 (6 O kgとして) においては、 一日につき 約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜2 Omg程度、 より好まし くは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他 の動物の場合も、 6 O kg当たりに換算した量を投与することができる。
(6) 本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の定量
本発明の抗体は、 本発明の蛋白質等を特異的に認識することができるので、 被検液中の本発明の蛋白質等の定量、 特にサンドィツチ免疫測定法による定量 などに使用することができる。 すなわち、 本発明は、 例えば、 ( i) 本発明の 抗体と、 被検波および標識化蛋白質等とを競合的に反応させ、 該抗体に結合し た標識化蛋白質等の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明の蛋白 質等の定量法、
(Π) 被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の 抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、 不溶化担体上の標識剤の活性 を測定することを特徴とする被検波中の本発明の蛋白質等の定量法を提供する。 上記 (ii) においては、 一方の抗体が本発明の蛋白質等の N端部を認識する 抗体で、 他方の抗体が本発明の蛋白質等の C端部に反応する抗体であることが 好ましい。
本発明の蛋白質等に対するモノクローナル抗体 (以下、 本発明のモノクロ一 ナル抗体と称する場合がある) を用いて本発明の蛋白質等の測定を行なえるほ 力、、 組織染色等による検出を行なうこともできる。 これらの目的には、 抗体分 子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F ( a b ' ) 2 、 F a b '、 あるい は F a b画分を用いてもよい。 本発明の蛋白質等に対する抗体を用いる測定法 は、 特に制限されるべきものではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 蛋白質 量) に対応した抗体、 抗原もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理 的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準 曲線より算出する測定法であれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフロメトリー、 競合法、 ィムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に 用いられるが、 感度、 特異性の点で、 後述するサンドイッチ法を用いるのが特 に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位 元素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 〔1 2 5 I〕 、 〔1 3 1 I〕 、 〔3 H〕 、 〔1 4 C〕 などが用いられる。 上記 酵素としては、 安定で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 i3—ガラクト シダ一ゼ、 j3—ダルコシダーゼ、 アルカリフォスファタ一ゼ、 パーォキシダー ゼ、 リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フル ォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物 質としては、 例えば、 ルミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフェリン、 ルシゲ ニンなどが用いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビォチ ンーアビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常、 蛋白質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用いる 方法でもよい。 担体としては、 例えば、 ァガロース、 デキストラン、 セルロー スなどの不溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合 成樹脂、 あるいはガラス等が用いられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液
を反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した本発明のモノクローナル抗体を反 応させ (2次反応) たのち、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定することによ り被検波中の本発明の蛋白質量を定量することができる。 1次反応と 2次反応 は逆の順序に行なっても、 また、 同時に行なってもよいし時間をずらして行な つてもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ る。
また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あるいは標識 用抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を向上 させる等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明の蛋白質等の測定法においては、 1次 反応と 2次反応に用いられる本発明のモノク口一ナル抗体は本発明の蛋白質等 の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。 即ち、 1次反応および 2次反応に用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体が、 本発明 の蛋白質の C端部を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好ましくは C端部以外、 例えば N端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドィツチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができ る。 競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応さ せたのち、 未反応の標識抗原と(F ) と抗体と結合した標識抗原(B ) とを分離 し (B Z F分離) 、 B, Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定 量する。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 B Z F分離をポリェチ レンダリコール、 前記抗体に対する第 2抗体などを用いる液相法、 および、 第 1抗体として固相化抗体を用いるか、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用 い第 2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
ィムノメトリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化 抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは、 被検波中 の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標 識化抗体を固相に結合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの
相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果、 生じた不溶性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量 の沈降物しか得られない場合にもレーザ一の散乱を利用するレーザ一ネフロメ トリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、 特別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の 条件、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明の蛋白質またはその 塩の測定系を構築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを参照することができる 〔例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノ アツセィ〕 (講談社、 昭和 49年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアッセ ィ〕 (講談社、 昭和 54年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書 院、 昭和 53年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 2版) (医学書 院、 昭和 57年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 3版) (医学書 院、 昭和 6 2年発行) 、 「メソッズ 'イン ·ェンジモノジー (Methods in ENZYM0L0GY) J Vol. 70 (I匪 unochemical Techniques (Par t A))、 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、 同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D:Selected Immunoassays)) > 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、 アカデミックプレス社発行)など参照〕 。
以上のように、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明の蛋白質または その塩を感度良く定量することができる。 さらに、 本発明の抗体を用いて本発 明の蛋白質またはその塩を定量することによって、 各種疾病の診断をすること ができる。
また、 本発明の抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在する本発明の蛋白 質等を検出するために使用することができる。 また、 本発明の蛋白質等を精製
するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明の蛋白質等 の検出、 被検細胞内における本発明の蛋白質の挙動の分析などのために使用す ることができる。
( 7 ) 本発明の G蛋白質共役型蛋白質をコードする D N Aを有する非ヒト動物 の作製
本発明の D N Aを用いて、 本発明の蛋白質等を発現するトランスジエニック 非ヒト動物を作製することができる。 非ヒト動物としては、 哺乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) など (以下、 動物と略記する) が挙げれるが、 特に、 マウス、 ゥサギなどが好適で ある。
本発明の D N Aを対象動物に転移させるにあたっては、 該 D N Aを動物細胞 で発現させうるプロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用 いるのが一般に有利である。 例えば、 ゥサギ由来の本発明の D N Aを転移させ る場合、 これと相同性が高い動物由来の本発明の D N Aを動物細胞で発現させ うる各種プロモー夕一の下流に結合した遺伝子コンストラクトを、 例えば、 ゥ サギ受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明の蛋白質等を 高産生する D N A転移動物を作出できる。 このプロモーターとしては、 例えば、 ウィルス由来プロモーター、 メタ口チォネイン等のュビキアスな発現プロモー 夕一も使用しうるが、 好ましくは脳で特異的に発現する N G F遺伝子プロモー 夕ーゃェノラーゼ遺伝子プロモーターなどが用いられる。
受精卵細胞段階における本発明の D N Aの転移は、 対象動物の胚芽細胞およ び体細胞の全てに存在するように確保される。 D N A転移後の作出動物の胚芽 細胞において本発明の蛋白質等が存在することは、 作出動物の子孫が全てその 胚芽細胞及び体細胞の全てに本発明の蛋白質等を有することを意味する。 遺伝 子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発 明の蛋白質等を有する。
本発明の D N A転移動物は、 交配により遺伝子を安定に保持することを確認 して、 該 D N A保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。
さらに、 目的 DNAを保有する雌雄の動物を交配することにより、 導入遺伝子 を相同染色体の両方に持つホモザィゴー卜動物を取得し、 この雌雄の動物を交 配することによりすべての子孫が該 D N Aを有するように繁殖継代することが できる。
本発明の DN Aが転移された動物は、 本発明の蛋白質等が高発現させられて いるので、 本発明の蛋白質等に対するァゴニストまたはアン夕ゴニス卜のスク リーニング用の動物などとして有用である。
本発明の D N A転移動物を、 組織培養のための細胞源として使用することも できる。 例えば、 本発明の DN A転移マウスの組織中の DN Aもしくは RN A を直接分析するか、 あるいは遺伝子により発現された本発明の蛋白質が存在す る組織を分析することにより、 本発明の蛋白質等について分析することができ る。 本発明の蛋白質等を有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらを使用して、 例えば、 脳や末梢組織由来のような一般に培養困難な組織 からの細胞の機能を研究することができる。 また、 その細胞を用いることによ り、 例えば、 各種組織の機能を高めるような医薬の選択も可能である。 また、 高発現細胞株があれば、 そこから、 本発明の蛋白質等を単離精製することも可 能である。
本明細書および図面において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 I UP AC- I UB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あ るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 ま たアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示 すものとする。
DNA デォキシリボ核酸
c DNA 相補的デォキシリボ核酸
A アデニン
T チミン
G グァニン
C シ卜シン
RNA リボ核酸 mRNA メッセンジャーリポ核酸 d ATP デォキシアデノシン三リン酸 dTTP デォキシチミジン三リン酸 dGTP デォキシグアノシン三リン酸 d CTP デォキシシチジン三リン酸 ATP アデノシン三リン酸
EDTA エチレンジァミン四酢酸 SDS ドデシル硫酸ナトリウム G 1 y グリシン
A 1 a ァラニン
Va 1 ン
Le u
I 1 e
S e r セリン
Th r スレオニン
Cy s システ ノ
Me t メチォニン
G 1 u グルタミン酸
As p
L y s リジン
Ar g アルギニン
H i s ヒスチジン
Ph e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
Tr p トリプトファン
P r o プロリン
A s n ァスパラギン
G 1 n グルタミン
p G 1 u ピログルタミン酸
T o s p-卜ルエンスルフォニル
CHO ホルミル
B z 1
Cl2Bzl 2, 6—ジクロ口べンジル
Bom ベンジルォキシメチル
Z ベンジルォキシカルポニル
C 1 -z 2—クロ口べンジルォキシカルボニル
B r - Z
B o c tーブ卜キシカルボニル
DNP ジニトロフエノール
T r t 卜 Uチル
Bum t一ブトキシメチル
Fmo c N— 9—フルォレニルメトキシカルボニル
HOB t 1ーヒドロキシベンズトリアゾール
HOOB t 3, 4—ジヒドロ一 3—ヒドロキシ一 4ーォキソ一
1, 2, 3—ベンゾトリアジン
HONB :卜ヒドロキシ -5-ノルポルネン- 2, 3-ジカルボキシイミド 本明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕
本発明のヒト脳由来蛋白質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2〕
配列番号: 1で表わされるアミノ酸配列を有する本発明のヒト脳由来蛋白質 をコードする DNAの塩基配列を示す (AQ27) 。
〔配列番号: 3〕
後述の実施例 1および実施例 2で用いられたプライマー 1の塩基配列を示す。
〔配列番号: 4〕
後述の実施例 1および実施例 2で用いられたプライマー 2の塩基配列を示す。 〔配列番号: 5〕
後述の実施例 2で用いられたフォヮ一ドプライマ一の塩基配列を示す。
〔配列番号: 6〕
後述の実施例 2で用いられたリバースプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号: 7〕
後述の実施例 2で用いられたプローブの塩基配列を示す。
後述の実施例 1で得られた形質転換体ェシエリヒア コリ (Escherichia coli)DH5 α/ρ c DNA3. 1一 AQ 27は、平成 1 1年 8月 23日から曰 本国茨城県つくば巿東 1丁目 1一 3の通商産業省工業技術院生命工学工業技術 研究所 (N I BH) に寄託番号 FERM BP- 6854として、 平成 1 1年 8月 4日から日本国大阪府大阪市淀川区十三本町 2丁目 1 7— 8 5の財団法 人 ·発酵研究所 ( I F〇) に寄託番号 I F O 16304として寄託されてい る。
以下に実施例を示して、 本発明をより詳細に説明するが、 これらは本発明の 範囲を限定するものではない。 なお、 大腸菌を用いての遺伝子操作法は、 モレ キユラ一 'クローニング (Molecular cloning) に記載されている方法に従った。 実施例 1 G蛋白質共役型レセプ夕一蛋白質 AQ 27をコードする cDNA のクローニングと塩基配列の決定
ヒト胎児脳 cDNA (CLONTECH社) を铸型とし、 2個のプライマー、 プライマ一 1 (5'- TGT CAG CAT GCA GGC GCT TAA CAT TAC CCC GGA GCA G -3' ;配列番号: 3) 及びプライマ一 2 (5'- GAC TAG TTT AAT GCC CAC TGT CTA AAG GAG AAT TCT C -3' ;配列番号: 4) を用いて PCR反応を 行った。 該反応における反応液の組成は上記 cDNAの 10分の 1量を铸型と して使用し、 Advantage2 Polymerase Mix (CLONTECH社) 1Z50量、 プライマー 1及びプライマー 2を各 0.2 M, dNTPs 200 M、 及び酵素に添付
のバッファーを加え、 の液量とした。 PCR反応は、 95°C ' 1分の後、 95°C ' 30秒、 72 °C · 4分のサイクルを 5回、 95 °C · 30秒、 70 ' 4分のサイクルを 5回、 95。0 30秒、 68°C ' 30秒、 66 °C ' 4分のサ イクルを 30回繰り返し、 最後に 68°0 3分の伸長反応を行った。 該 PCR 反応後の反応産物を ΤΑクロ一ニングキット (Invitrogen社) の処方に従いプ ラスミドベクタ一 pcDNA3. 1/V5/His (Invi trogen社) へサブクローニングし、 得られたプラスミドを pcDNA3.卜 AQ27と命名した。これを大腸菌 DH5 αに導入 し、 c DNAをもつクローンをアンピシリンを含む LB寒天培地中で選択した 後、 個々のクローンの配列を解析した結果、 新規 G蛋白質共役型レセプ夕一蛋 白質をコードする cDNA配列を得た。 この c DNAより導き出されるァミノ 酸配列を有する蛋白質を A Q 2 7と命名し、 この形質転換体を大腸菌 (Escherichia coli) DH5 a/pcDNA3.卜 AQ27と命名した。 実施例 2 TaqMan PCRを用いた AQ27 の発現組織分布の解析
まずプライマ一及びプローブは Primer Express ver.1.0 ( PE バイオシス テムズジャパン ) を用いてデザインし、 フォワードプライマー AQ27taqF ( 5' - CAATG CTAGG TGTGG TCTGG CT - 3' (配列番号: 5) ) 、 リバースプラ イマ一 AQ27taqR ( 5' - GATCT CAAGT TGTTG CACGT GC - 3' (配列番号: 6 ) ) 、 プローブ AQ27-515T ( 5' - TGGCA GTCAT CGTAG GATCA CCCAT G - 3' (配列番 号 : 7 ) ) を作製した。 プローブのリポーター色素は FA ( 6- carboxyf luorescein ) を付カロした。
スタンダード cDNA は、 pcDNA3.卜 AQ27を铸型にしてプライマー 1 (配列番 号: 3)、プライマ一 2 (配列番号: 4) を用いて増幅した PCR断片を QIAquick PCR Purification Kit [ QIAGEN ( Germany ) ] にて精製し、 10° - 106 コ ピー / 1 に調製して用いた。
各組織の cDNA ソースは Human Tissue cDNA Panel I 及び Panel II [ CLONTECH Laboratories, Inc. ( CA, USA ) ] を用いた。
TaqMan PCRの反応は TaqMan Universal PCR Master Mix ( PE
) の試薬を用い、 ABI PRISM 7700 Sequence Detection System ( PEバイオシステムズジャパン) にて、 添付の説明書に従い反応させた。 結果を図 4および表 1に示した。 AQ27 は心臓、 肝臓、 精巣に高い発現が見 られた。
実施例 3 (}27の\^卜6111^131131^- -?116 amideに対する反応
AQ27発現 CH0細胞および raock細胞をサイトセンサ一用のカプセルにそれぞれ
2.7X105cells/capsuleで播種し、 一晩培養した後、 サイトセンサ一 (モレキュ ラ一デバイス社) にセットした。 Acidification rateが安定した後、 Met - Enkephalin- Arg-Phe amide (Bachem社、 H- 2835)を 10 /Mの濃度で 7分 2秒間作用 させ、 Acidification rateの上昇率を指標に細胞の活性化を測定した。 その結 果、 Met- Enkephalin- Arg-Phe amideは AQ27発現 CH0細胞を特異的に活性化し、 AQ27に対して特異的に反応することが確認された (図 5) 。 産業上の利用可能性
本発明の蛋白質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 およびそれらをコー ドする D NAは、 ①リガンド (ァゴ二スト) の決定、 ②抗体および抗血清の入 手、 ③組み替え型蛋白質の発現系の構築、 ④同発現系を用いたレセプ夕一結合 アツセィ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、 ⑤構造的に類似した リガンド · レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実施、 ⑥遺伝 子診断におけるプローブや P C Rプライマーの作成のための試薬、 ⑦トランス ジエニック動物の作製または⑧遺伝子予防 ·治療剤等の医薬等として用いるこ とができる。