JPWO2022076549A5 - - Google Patents

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JPWO2022076549A5
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Description

優先権
本出願は、2020年10月7日に出願された米国特許第63/088,826号、及び2021年2月9日に出願された米国特許第63/147,527号の優先権の利益を主張するものであり、同出願はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。
電子的に提出した配列表の参照
本出願では、2021年9月30日に作成したファイル名「12656-141-228_Sequence_Listing.txt」、ファイルサイズ107,133バイトのテキストファイルとして本出願と共に提出した配列表を、参照により援用する。
1.発明の背景
人間の眼は、極めて複雑で高度に発達した感覚器であり、多くの疾患及び障害を起こしやすい。世界では約2億8,500万人が視覚障害を有し、そのうち3,900万人が盲目であり、2億4,600万人が中程度から重篤な視覚障害を有する(World Health Organization,2012,“Global Data On Visual Impairments 2010,”Geneva:World Health Organization)。失明の主要な原因の一部は、白内障(47%)、緑内障(12%)、加齢関連黄斑変性症(AMD)(9%)、及び糖尿病性網膜症(5%)である(World Health Organization,2007,“Global Initiative For The Elimination Of Avoidable Blindness:Action Plan 2006-2011,”Geneva:World Health Organization)。
特定の眼の疾患の治療に遺伝子治療が用いられている(例えば、国際特許出願第PCT/US2017/027650号(国際公開第WO2017/181021 A1号)参照)。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、非病原性、分裂細胞及び非分裂細胞を含め、幅広い宿主及び細胞型への感染の指向性の範囲、ならびに長期的な導入遺伝子発現を確立できるという特性のために、遺伝子治療用として魅力的なツールである(例えば、Goncalves,2005,Virology Journal,2:43)。
眼の遺伝子治療のために使用される現在の方法(例えば、硝子体内投与または網膜下投与による)は侵襲的であり、例えば白内障、網膜剥離、及び中心窩内の網膜色素上皮(RPE)からの光受容体剥離のリスク上昇など、重大な欠点を有する。現在の眼の遺伝子治療の欠点を改善した、または欠点を取り除いた治療法への、重要な満たされていない医療的ニーズが存在する。
パルボウイルス科ディペンドウイルス属のメンバーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、約4.7キロベース(kb)~6kbの一本鎖線状DNAゲノムを有する小型非エンベロープ正二十面体型ウイルスである。AAVの非病原性、分裂細胞及び非分裂細胞を含め、幅広い宿主及び細胞型への感染の指向性の範囲、ならびに長期的な導入遺伝子発現を確立できるという特性が、AVVを遺伝子治療用として魅力的なツールとしている(例えば、Goncalves,2005,Virology Journal,2:43)。
Construct IIは、脈絡膜上腔内に注射によって送達される治療として研究されている。脈絡膜上腔(SCS)は、薬液の注入に応じて拡張する、強膜と脈絡膜との間の領域である(Habot-Wilner,2019)。注入された溶液が生理的プロセスによって消失するにつれ、SCS腔は注射前の寸法に回復する。薬液はSCS内で拡散し、隣接組織に吸収される。脈絡膜内の毛細血管は、低分子量浸透圧調節物質に対して透過性である。本開示は、脈絡膜上腔での長い滞留時間をもたらし、その結果として医薬組成物の効能を向上させるという、満たされていないニーズに対処するものである。
2.発明の概要
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、医薬組成物が本明細書において提供される。
一態様では、ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、医薬組成物が、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、導入遺伝子が抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体であり、医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、医薬組成物が本明細書において提供される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間に等しい、またはより大きく、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みと比較して等しい、または大きく、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に、発現レベルの導入遺伝子が眼において検出される期間と比較して、より長期間にわたって、医薬組成物の脈絡膜上投与後に、発現レベルの導入遺伝子が眼において検出され、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度と比較して等しい、またはより高く、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率は、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率と比較して等しい、またはより高く、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物では、脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減し、参照医薬組成物は導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物は脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する。
いくつかの実施形態では、組換えAAVはConstruct IIである。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体である。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15及びAAV.HSC16からなる群から選択される、1種以上のアデノ随伴ウイルス血清型からの構成成分を含む。いくつかの実施形態では、組換えAAVはAAV8である。いくつかの実施形態では、組換えAAVはAAV9である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約100,000cP、約25cP~約50,000cP、約25cP~約1×10cP、約25cP~約5,000cP、約25cP~約1×10cP、約100cP~約100,000cP、約100cP~約1×10cP、約100cP~約5,000cP、約100cP~約1×10cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、少なくとも約100cP、少なくとも約400cP、少なくとも約500cP、少なくとも約900cP、少なくとも約1000cP、少なくとも約4000cP、または少なくとも約1×10cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約4000cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上の粘度を有する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物はスクロースを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はスクロースを含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、スクロース、4%のスクロース、6%のスクロース、10%のスクロース、2%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、1%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、0.5%のCMC、1%のCMC、2%のCMC、4%のCMC、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうち少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4%のスクロース、6%のスクロースまたは10%のスクロースを含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%小さい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日間、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日を超える。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間は、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日である。
いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、SCSからの、または眼からのクリアランス時間である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mmまたは10mmである。
いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、最大約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μmまたは1000μmである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みは、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年持続する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の、より長期間は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼において、導入遺伝子は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、23日間、25日間、27日間、30日間、35日間、40日間、50日間、55日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、95日間、100日間、120日間、140日間、160日間、180日間、200日間、220日間、240日間、260日間、280日間、300日間、320日間、340日間、360日間、380日間または400日間検出される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼において、導入遺伝子は、最大約1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、23日後、25日後、27日後、30日後、35日後、40日後、50日後、55日後、60日後、65日後、70日後、75日後、80日後、85日後、90日後、95日後または100日後、120日後、140日後、160日後、180日後、200日後、220日後、240日後、260日後、280日後、300日後、320日後、340日後、360日後、380日後または400日後に検出される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%低減する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い。
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVの安定性は、参照医薬組成物中の組換えAAVの安定性の、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態では、組換えAAVの安定性は、組換えAAVの感染力によって決定される。いくつかの実施形態では、組換えAAVの安定性は、組換えAAVの凝集レベルによって決定される。いくつかの実施形態では、組換えAAVの安定性は、組換えAAVによって放出される遊離DNA濃度によって決定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物中の遊離DNA濃度と比較して、約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2倍少ない、約3倍少ない遊離DNAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVの感染力と比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍高い感染力を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物中の組換えAAV凝集レベルと比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍低い組換えAAV凝集を含む。
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、対象となる疾患を治療する、それ以外の場合には改善する、予防する、または進行を遅らせるために好適な導入遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、nAMD(滲出型AMD)、萎縮型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)またはバッテン病と診断されている。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠動脈疾患、脳血管疾患、デュシェンヌ筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー及び封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患と診断されている。いくつかの実施形態では、AAVは、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)またはトリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)をコードする。
いくつかの実施形態では、組換えAAVのゲノムコピーの量は、ベクターゲノム濃度を基準とする。いくつかの実施形態では、組換えAAVのゲノムコピーの量は、投与当たりのゲノムコピーを基準とする。いくつかの実施形態では、組換えAAVのゲノムコピーの量は、ヒト対象に投与される全ゲノムコピーを基準とする。いくつかの実施形態では、投与当たりのゲノムコピーは、脈絡膜上投与当たりの組換えAAVのゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、投与される全ゲノムコピーは、脈絡膜上に投与される組換えAAVの全ゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、ベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである。いくつかの実施形態では、投与される全ゲノムコピーは、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013のゲノムコピーである。いくつかの実施形態では、投与当たりのゲノムコピーは、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013個のゲノムコピーである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される。
いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、DPBS及びスクロースを含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1%のカルボキシメチルセルロース高粘度グレードを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.2~15%の、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、すなわちCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、すなわちHPMC、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、CMC低粘度グレード、及び/またはポロキサマー407を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、0s-1のせん断速度で測定される。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の粘度は、0s-1のせん断速度で測定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度及び参照医薬組成物の粘度は、同一のせん断速度で測定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度はせん断減粘性である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、最大で、または少なくとも約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1,000s-1、2,000s-1、3,000s-1、4,000s-1、5,000s-1、6,000s-1、7,000s-1、8,000s-1、9,000s-1、10,000s-1、15,000s-1、20,000s-1または30,000s-1のせん断速度で測定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、約5,000s-1のせん断速度で測定したとき、約35cP以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、約10,000s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1500cP以上である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約362cP以下である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の粘度は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物の粘度は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.5cP~約400cPである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、改変ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び所望により界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20及び/またはポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、及び所望により界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び所望により界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびに所望によりCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、及びポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびに所望により0.5%のCMC高粘度グレード、1%のCMC高粘度グレード、0.5%のCMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び15%のポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、ならびにポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびにCMC、HPMC及びHESから選択される1種以上の多糖類を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188、及び1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレードを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ほぼ室温、20℃、4℃または-80℃で保管される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒト対象への投与前に保管される。
2.1例示的実施形態
1.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、医薬組成物。
2.ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、医薬組成物が、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、導入遺伝子が抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体であり、医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、医薬組成物。
3.脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間に等しい、またはより大きく、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
4.脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
5.脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みと比較して等しい、またはより大きく、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
6.参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に、発現レベルの導入遺伝子が眼において検出される期間と比較して、より長期間にわたって、脈絡膜上投与後に発現レベルの導入遺伝子が眼において検出され、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
7.脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度と比較して等しい、またはより高く、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
8.脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率と比較して等しい、またはより高く、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落1または2の医薬組成物。
9.脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減し、参照医薬組成物が導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えAAVを含み、医薬組成物または参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、段落2の医薬組成物。
10.組換えAAVがConstruct IIである、段落1~9のいずれか1項の医薬組成物。
11.導入遺伝子が、抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体である、段落1、3~8及び10のいずれか1項の医薬組成物。
12.組換えAAVが、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15及びAAV.HSC16からなる群から選択される、1種以上のアデノ随伴ウイルス血清型からの構成成分を含む、段落1~11のいずれか1項の医薬組成物。
13.組換えAAVがAAV8である、段落1~12のいずれか1項の医薬組成物。
14.組換えAAVがAAV9である、段落1~9及び11~12のいずれか1項の医薬組成物。
15.医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約100,000cP、約25cP~約50,000cP、約25cP~約1×10cP、約25cP~約5,000cP、約25cP~約1×10cP、約100cP~約100,000cP、約100cP~約1×10cP、約100cP~約5,000cP、約100cP~約1×10cPの粘度を有する、段落1~14のいずれか1項の医薬組成物。
16.医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、少なくとも約100cP、少なくとも約400cP、少なくとも約500cP、少なくとも約900cP、少なくとも約1000cP、少なくとも約4000cP、または少なくとも約1×10cPの粘度を有する、段落1~15のいずれか1項の医薬組成物。
17.医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上の粘度を有する、段落1~16のいずれか1項の医薬組成物。
18.医薬組成物がスクロースを含む、段落1~17のいずれか1項の医薬組成物。
19.医薬組成物がスクロースを含まない、段落1~17のいずれか1項の医薬組成物。
20.医薬組成物が、スクロース、4%のスクロース、6%のスクロース、10%のスクロース、2%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、1%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、0.5%のCMC、1%のCMC、2%のCMC、4%のCMC、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうち少なくとも1種を含む、段落1~19のいずれか1項の医薬組成物。
21.医薬組成物が、4%のスクロース、6%のスクロースまたは10%のスクロースを含む、段落1~18及び20のいずれか1項の医薬組成物。
22.医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%小さい、段落4及び10~21のいずれか1項の医薬組成物。
23.医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい、段落3及び10~22のいずれか1項の医薬組成物。
24.医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日間、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である、段落1~23のいずれか1項の医薬組成物。
25.医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日を超える、段落1~24のいずれか1項の医薬組成物。
26.参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日である、段落3~25のいずれか1項の医薬組成物。
27.クリアランス時間が、SCSからの、または眼からのクリアランス時間である、段落1~26のいずれか1項の医薬組成物。
28.医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい、段落5及び10~27のいずれか1項の医薬組成物。
29.医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである、段落5及び10~28のいずれか1項の医薬組成物。
30.医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mmまたは10mmである、段落5及び10~29のいずれか1項の医薬組成物。
31.参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、最大約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μmまたは1000μmである、段落5及び10~30のいずれか1項の医薬組成物。
32.医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年持続する、段落5及び10~31のいずれか1項の医薬組成物。
33.医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における導入遺伝子の濃度が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い、段落7及び10~32のいずれか1項の医薬組成物。
34.医薬組成物の脈絡膜上投与後のより長期間が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い、段落6及び10~33のいずれか1項の医薬組成物。
35.医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼において、導入遺伝子が、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、23日間、25日間、27日間、30日間、35日間、40日間、50日間、55日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、95日間、100日間、120日間、140日間、160日間、180日間、200日間、220日間、240日間、260日間、280日間、300日間、320日間、340日間、360日間、380日間または400日間検出される、段落1~34のいずれか1項の医薬組成物。
36.参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼において、導入遺伝子が、最大約1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、23日後、25日後、27日後、30日後、35日後、40日後、50日後、55日後、60日後、65日後、70日後、75日後、80日後、85日後、90日後、95日後または100日後、120日後、140日後、160日後、180日後、200日後、220日後、240日後、260日後、280日後、300日後、320日後、340日後、360日後、380日後または400日後に検出される、段落3~35のいずれか1項の医薬組成物。
37.医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減する、段落11の医薬組成物。
38.医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%低減する、段落9~37のいずれか1項の医薬組成物。
39.医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率が、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い、段落8及び10~38のいずれか1項の医薬組成物。
40.医薬組成物中の組換えAAVの安定性が、参照医薬組成物中の組換えAAVの安定性の、少なくとも約50%である、段落1~39のいずれか1項の医薬組成物。
41.組換えAAVの安定性が、組換えAAVの感染力によって決定される、段落40の医薬組成物。
42.組換えAAVの安定性が、組換えAAVの凝集レベルによって決定される、段落40の医薬組成物。
43.組換えAAVの安定性が、組換えAAVによって放出される遊離DNA濃度によって決定される、段落40の医薬組成物。
44.医薬組成物が、参照医薬組成物中の遊離DNA濃度と比較して、約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2倍少ない、約3倍少ない遊離DNAを含む、段落43の医薬組成物。
45.医薬組成物中の組換えAAVが、参照医薬組成物中の組換えAAVの感染力と比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍高い感染力を有する、段落41の医薬組成物。
46.医薬組成物が、参照医薬組成物中の組換えAAV凝集レベルと比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍低い組換えAAV凝集を含む、段落42の医薬組成物。
47.導入遺伝子が、対象となる疾患を治療する、それ以外の場合には改善する、予防する、または進行を遅らせるために好適な導入遺伝子である、段落1~46のいずれか1項の医薬組成物。
48.ヒト対象が、nAMD(滲出型AMD)、萎縮型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)、バッテン病、緑内障、または非感染性ブドウ膜炎と診断されている、段落1~47のいずれか1項の医薬組成物。
49.ヒト対象が、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠動脈疾患、脳血管疾患、デュシェンヌ筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー及び封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患と診断されている、段落1~47のいずれか1項の医薬組成物。
50.AAVが、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗カリクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、抗TNF抗体もしくは抗原結合フラグメント、抗C3抗体もしくは抗原結合フラグメント、または抗C5抗体もしくは抗原結合フラグメントをコードする、段落1、3~8及び10~49のいずれか1項の医薬組成物。
51.組換えAAVのゲノムコピーの量が、ベクターゲノム濃度を基準とする、段落3~50のいずれか1項の医薬組成物。
52.組換えAAVのゲノムコピーの量が、投与当たりのゲノムコピーを基準とする、段落3~50のいずれか1項の医薬組成物。
53.組換えAAVのゲノムコピーの量が、ヒト対象に投与される全ゲノムコピーを基準とする、段落3~50のいずれか1項の医薬組成物。
54.投与当たりのゲノムコピーが、脈絡膜上投与当たりの組換えAAVのゲノムコピーである、段落52の医薬組成物。
55.投与される全ゲノムコピーが、脈絡膜上に投与される組換えAAVの全ゲノムコピーである、段落53の医薬組成物。
56.ベクターゲノム濃度(VGC)が、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである、段落51の医薬組成物。
57.投与される全ゲノムコピーが、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約3×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約6×1011個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013個のゲノムコピーである、段落53及び55のいずれか1項の医薬組成物。
58.投与当たりのゲノムコピーが、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約3×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013個のゲノムコピーである、段落52及び54のいずれか1項の医薬組成物。
59.医薬組成物が、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される、段落1~58のいずれか1項の医薬組成物。
60.参照医薬組成物が、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される、段落3~59のいずれか1項の医薬組成物。
61.医薬組成物が、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される、段落1~60のいずれか1項の医薬組成物。
62.参照医薬組成物が、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、または1日に7回投与される、段落3~60のいずれか1項の医薬組成物。
63.参照医薬組成物がDPBS及びスクロースを含む、段落1~60のいずれか1項の医薬組成物。
64.参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1cPの粘度を有する、段落3~60のいずれか1項の医薬組成物。
65.医薬組成物が、0.2~15%の、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、すなわちCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、すなわちHPMC、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、CMC低粘度グレード、及び/またはポロキサマー407を含む、段落1~64のいずれか1項の医薬組成物。
66.医薬組成物の粘度が、0s-1のせん断速度で測定される、段落1~65のいずれか1項の医薬組成物。
67.参照医薬組成物の粘度が、0s-1のせん断速度で測定される、段落3~66のいずれか1項の医薬組成物。
68.医薬組成物の粘度及び参照医薬組成物の粘度が、同一のせん断速度で測定される、段落1~67のいずれか1項の医薬組成物。
69.医薬組成物の粘度がせん断減粘性である、段落1~68のいずれか1項の医薬組成物。
70.医薬組成物の粘度が、少なくとも約1,000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、最大で、または少なくとも約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、段落1~69のいずれか1項の医薬組成物。
71.医薬組成物の粘度が、少なくとも約1,000s-1、2,000s-1、3,000s-1、4,000s-1、5,000s-1、6,000s-1、7,000s-1、8,000s-1、9,000s-1、10,000s-1、15,000s-1、20,000s-1または30,000s-1のせん断速度で測定される、段落70の医薬組成物。
72.医薬組成物の粘度が、約5,000s-1のせん断速度で測定したとき、約35cP以下である、段落1~71のいずれか1項の医薬組成物。
73.医薬組成物の粘度が、約10,000s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP以下である、段落1~71のいずれか1項の医薬組成物。
74.医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上である、段落1~71のいずれか1項の医薬組成物。
75.医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1500cP以上である、段落1~71のいずれか1項の医薬組成物。
76.医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約362cP以下である、段落1~71のいずれか1項の医薬組成物。
77.参照医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である、段落3~76のいずれか1項の医薬組成物。
78.参照医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である、段落3~77のいずれか1項の医薬組成物。
79.医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.5cP~約400cPである、段落1~78のいずれか1項の医薬組成物。
80.医薬組成物が、改変ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び所望により界面活性剤を含む、段落1~79のいずれか1項の医薬組成物。
81.医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、ならびに所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤を含む、段落1~80のいずれか1項の医薬組成物。
82.医薬組成物が、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び所望により界面活性剤を含む、段落1~81のいずれか1項の医薬組成物。
83.医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびに所望によりCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、及びポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む、段落1~82のいずれか1項の医薬組成物。
84.医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびに所望により0.5%のCMC高粘度グレード、1%のCMC高粘度グレード、0.5%のCMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び15%のポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む、段落1~83のいずれか1項の医薬組成物。
85.医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、ならびにポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびにCMC、HPMC及びHESから選択される1種以上の多糖類を含む、段落1~84のいずれか1項の医薬組成物。
86.医薬組成物が、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188、及び1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレードを含む、段落1~85のいずれか1項の医薬組成物。
87.医薬組成物が、ほぼ室温、20℃、4℃または-80℃で保管される、段落1~86のいずれか1項の医薬組成物。
88.医薬組成物が、ヒト対象への投与前に保管される、段落1~87のいずれか1項の医薬組成物。
3.図面の簡単な説明
異なる粘度値を有する溶液を脈絡膜上投与した後の、エクスビボの眼内における青色色素または蛍光色素の拡散領域の例である。Aは、青色色素を含有する水溶液を脈絡膜上投与した後の、青色色素の拡散領域を示す図である。Bは、青色色素を含有する1%のCMC中程度粘度溶液を脈絡膜上投与した後の、青色色素の拡散領域を示す図である。Cは、蛍光色素を含有する1%のCMC中程度粘度溶液を脈絡膜上投与した後の、蛍光色素の拡散領域を示す図である。
SCS内に、異なる粘度値を有する溶液を注入したときに得られた圧力を示すグラフである。Aは、SCS内に、約1cPの粘度を有する水溶液を注入するときに得られる圧力を示すグラフである。Bは、SCS内に、約4000cpの粘度を有する2%のヒプロメロース溶液を注入するときに得られる圧力を示すグラフである。
様々な粘度値(mPas)を有する異なる溶液を、30ゲージ針を用いて、異なる注入速度でSCS内に注入する場合の、算出した圧力値(PSI)を示すグラフである。
異なる30ゲージ針及び29ゲージ針の、算出した注射圧力を、粘度の関数として示すグラフである。グラフを100PSIの上限にスケーリングしたものである。 異なる30ゲージ針及び29ゲージ針の、算出した注射圧力を、粘度の関数として示すグラフである。グラフを65PSIの上限にスケーリングしたものである。 異なる30ゲージ針及び29ゲージ針の、算出した注射圧力を、粘度の関数として示すグラフである。グラフを45PSIの上限にスケーリングしたものである。
様々な粘度値(mPas)を有する異なる溶液を、異なるゲージ寸法を有する針、すなわち30ゲージ(GA)針、30GA STW針、及び29GA STW針を用いて、SCS内に注入したときの、算出した圧力値(PSI)を示すグラフである。
異なる粘度値を有する溶液で得られる、拡散データを示すグラフである。AAV(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を含有する6種の溶液について、初日(T0)及び37℃で4日後の拡散データを得た。溶液には、スクロースを含むDPBS(対照)、0.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)中程度粘度溶液、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び1%のCMC低粘度溶液が含まれた。
異なる粘度値を有する溶液で得られる、遊離DNAのパーセンテージを示すグラフである。AAV(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を含有する6種の溶液について、初日(T0)及び37℃で4日後の遊離DNAのパーセンテージを得た。溶液は、スクロースを含むDPBS(対照)、0.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)中程度粘度溶液、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、または1%のCMC低粘度溶液であった。
異なる粘度値を有する溶液で得られる、DLS熱的ランピング(DLS-融解物)を示すグラフである。溶液には、スクロースを含むDPBS(対照)、0.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)中程度粘度溶液、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び1%のCMC低粘度溶液が含まれた。
異なる粘度値を有する溶液についての示差走査蛍光分析熱的ランプデータを示すグラフである。上から下(S-0C0VからS-0C12)に、溶液には、スクロースを含むDPBS(対照)、0.5%のカルボキシメチルセルロース中程度粘度グレード(CMC)、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び1%のCMC低粘度、15%のポロキサマー407、及び0.5%のカルボキシメチルセルロース高粘度が含まれた。上部パネル:未加工の融解曲線シグナル。中央パネル:ピークを特定するためのデータ派生物。下部パネル:凝集またはゲル形成を示す光散乱データ。2種のヒプロメロース製剤では、約55℃において、濁ったゲル形成に起因する光散乱の増大が観察された。上部パネルの垂直線及び中央パネルのピークによって示される融解温度開始及び中央値は全ての製剤で類似しており、キャプシドが異なる製剤中で類似の熱安定性を有することを示した。
20℃での1%のCMC高粘度グレード製剤の粘度(Pas)対せん断速度を示す。
CMC中程度粘度グレード製剤の、摘出されたブタの眼への注射圧力対濃度を示す。
CMC高粘度グレード製剤の、摘出されたブタの眼への注射圧力対濃度を示す。
オートクレーブ滅菌による臨床用製剤の調製例を示す。
Clearsideデバイス及び30ゲージ針(160μm針)を用いた、1%のカルボキシメチルセルロース製剤の注射圧力測定値を示す。
対照(S-0DGN)及び1%のカルボキシメチルセルロース製剤(S-0DGR)の示差走査蛍光分析プロファイルを示す。
4.発明の詳細な説明
本明細書において、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物が提供される。対象は、セクション4.5に記載される1種以上の疾患と診断される対象であることができる。AAVベクターはセクション4.4に記載され、このようなベクターの投与量はセクション4.3に記載される。いくつかの実施形態では、セクション4.1で提供される医薬組成物は、セクション4.2に記載される1つ以上の機能特性を有するように調製される。特定の実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、各種利点、例えば、より長い、またはより遅いクリアランス時間(セクション4.2.1)、周辺への拡散の低減(セクション4.2.2)、SCSの厚みの増大(セクション4.2.3)、血管拡張及び/または血管漏出の減少(セクション4.2.4)、注入部位におけるAAVレベルの上昇及び形質導入率の上昇(セクション4.2.5)、ならびに医薬組成物投与後の、SCSにおける導入遺伝子の濃度上昇、を有する。理論に束縛されるものではないが、機能特性は、セクション4.1に開示されるような高粘度製剤を用いて達成できる。本明細書においては、関連する研究(セクション4.6)に使用され得るアッセイもまた提供される。
4.1医薬組成物の調製
本開示は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、脈絡膜上投与に好適な医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、異なる粘度値を有するいくつかの医薬組成物(例えば、液体製剤)を使用して、導入遺伝子をコードするAAVを投与する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、同等の医薬組成物(参照医薬組成物)より粘性が高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、水の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対照の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、網膜下注射に通常使用される溶液の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、PBSまたはdPBSの粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ハンクス液(HBSS)の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物よりも低い粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と同一のまたは類似した粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、対照溶液(例えば、PBS、水またはHBSS)である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物はスクロースを含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、AAVの網膜下注射に一般に使用される医薬組成物である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、低いせん断粘度(例えば、1s-1以下で測定したとき、または最大10,000cPの外挿されたゼロせん断粘度)における増加(大きな増加)を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、高いせん断粘度(例えば、約1000/s~約5000/sのせん断速度、または10,000/sもしくは20,000/sに外挿した、約500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10cP未満の粘度として定義される)における増加(小さな増加)を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度で測定したとき、約5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、110cP、120cP、125cP、130cP、135cP、140cP、150cP、160cP、170cP、180cP、190cP、200cP、210cP、220cP、225cP、230cP、235cP、240cP、250cP、260cP、270cP、280cP、290cP、300cP、310cP、320cP、325cP、330cP、335cP、340cP、350cP、360cP、370cP、380cP、390cP、400cP、410cP、420cP、425cP、430cP、435cP、440cP、450cP、460cP、470cP、480cP、490cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、最大で、または少なくとも約5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、110cP、120cP、125cP、130cP、135cP、140cP、150cP、160cP、170cP、180cP、190cP、200cP、210cP、220cP、225cP、230cP、235cP、240cP、250cP、260cP、270cP、280cP、290cP、300cP、310cP、320cP、325cP、330cP、335cP、340cP、350cP、360cP、370cP、380cP、390cP、400cP、410cP、420cP、425cP、430cP、435cP、440cP、450cP、460cP、470cP、480cP、490cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである。いくつかの実施形態では、せん断速度は、少なくとも約1,000s-1、2,000s-1、3,000s-1、4,000s-1、5,000s-1、6,000s-1、7,000s-1、8,000s-1、9,000s-1、10,000s-1、15,000s-1、20,000s-1または30,000s-1である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度(例えば、1,000s-1、2,000s-1、5,000s-1、10,000s-1または20,000s-1)で測定したとき、約0.1cP~約2cP、約0.1cP~約5cP、約0.1cP~約10cP、約0.1cP~約1.5cP、約5cP~約150cP、約5cP~約500cP、約5cP~約300cP、約20cP~約40cP、約15cP~約200cP、約15cP~約50cP、約20cP~約200cP、約20cP~約400cP、約30cP~約40cP、約30cP~約500cP、約30cP~約1000cP、約20cP~約1000cPである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、約5,000s-1のせん断速度で測定したとき、約34cP以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、約10,000s-1で測定、または外挿したとき、約24cP以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2,000s-1以上のせん断速度で、約365cP以下の粘度を有する(例えば、約2,100s-1以上のせん断速度で、約362cP以下の粘度)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10,000s-1以上のせん断速度で、約35cP以下の粘度を有する(例えば、約16,000s-1のせん断速度で、約34cP以下の粘度)。いくつかの実施形態では、医薬組成物の脈絡膜上投与は、高せん断(例えば、少なくとも約1,000s-1のせん断速度、または約2,000s-1~約20,000s-1)で実施される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度(例えば、約5,000s-1)で、約105cP以下の粘度を有し、さらに所望により約43PSI以下の圧力をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度(例えば、約2,100s-1)で、約365cP以下の粘度を有し、さらに所望により約43PSI以下の圧力をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度(例えば、約6,300s-1)で、約121cP以下の粘度を有し、さらに所望により約43PSI以下の圧力をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1,000s-1のせん断速度(例えば、約16,000s-1)で、約35cP以下の粘度を有し、さらに所望により約43PSI以下の圧力をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1s-1のせん断速度で、約500cP以上の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で、約1500cP以上の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で、約362cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で、約0.1cP~約400cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、少なくとも約1s-1のせん断速度で、約0.5cP~約10cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で、約0.5cP~約10cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、せん断減粘性でない、またはわずかにせん断減粘性である。いくつかの実施形態では、医薬組成物はせん断減粘性である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、0、0.001、0.01、0.1もしくは1s-1のせん断速度、すなわち約1s-1以下のせん断速度で、約2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、15cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、45cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、800cP、900cP、1000cP、1、500cP、2、000cP、3、000cP、4、000cP、5、000cP、6、000cP、7、000cP、8、000c、9、000cP、10、000cP、12、000cPもしくは15、000cP、少なくともまたは最大約2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、15cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、45cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、800cP、900cP、1000cP、1、500cP、2、000cP、3、000cP、4、000cP、5、000cP、6、000cP、7、000cP、8、000c、9、000cP、10、000cP、12、000cPもしくは15、000cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、せん断速度は、約100s-1、50s-1、10s-1、1s-1、0.1s-1、0.01s-1、0.001s-1または0.0001s-1以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物の粘度は、例えば約100s-1、50s-1、10s-1、1s-1、0.01s-1、0.001s-1または0.0001s-1以下のせん断速度で、本明細書にて開示される任意の粘度である。いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、注入中、せん断減粘を経る。
いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下の粘度を有する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、(例えば、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき)、約5cP以上、約10cP以上、約15cP以上、約20cP以上、約25cP以上、約30cP以上、約35cP以上、約40cP以上、約45cP以上、約50cP以上、約60cP以上、約70cP以上、約80cP以上、約90cP以上、100cP、約115cP以上、約120cP以上、約125cP以上、約130cP以上、約135cP以上、約140cP以上、約145cP以上、約150cP以上、約160cP以上、約170cP以上、約180cP以上、約190cP以上、約200cP以上、約300cP以上、約400cP以上、約500cP以上、約600cP以上、約700cP以上、約800cP以上、約900cP以上、約1000cP以上、約1500cP以上、約2000cP以上、約2500cP以上、約3000cP以上、約3500cP以上、約4000cP以上、約4500cP以上、約5000cP以上、約5500cP以上、約6000cP以上、約6500cP以上、約7000cP以上、約7500cP以上、約8000cP以上、約9000cP以上、約10000cP以上、約1×10cP以上、約3×10cP以上、約1×10cP以上、約3×10cP以上、約1×10cP以上、約1.7×10cP以上、約3×10cP以上、約1×10cP以上、約3×10cP以上、約1×10cP以上、約3×10cP以上、約1×10cP以上、約3×10cP以上の粘度(低せん断粘度、例えば約1s-1以下または速度ゼロで外挿されるせん断粘度)、またはせん断粘度を有する。いくつかの実施形態では、粘度は、約25cP~約1×10cP、約25cP~約1×10cP、約25cP~約5,000cP、約25cP~約1×10cP、約100cP~約1×10cP、約100cP~約1×10cP、約100cP~約5,000cP、約100cP~約1×10cPである。いくつかの実施形態では、粘度は、約25cP~約3×10cP、約10cP~約3×10cP、約50cP~約5000cP、約10cP~約15000cP、約25cP~約1500cP、約50cP~約1500cP、約25cP~約3×10cPである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約25cP~約3×10cP、少なくとも約10cP~約3×10cP、少なくとも約50cP~約5000cP、少なくとも約10cP~約15000cP、少なくとも約25cP~約1500cP、少なくとも約50cP~約1500cP、または少なくとも約25cP~約3×10cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、(例えば、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき)約0.1cP以下、約0.2cP以下、約0.3cP以下、約0.4cP以下、約0.5cP以下、約0.6cP以下、約0.7cP以下、約0.8cP以下、約0.9cP以下、約1cP以下、約1.1cP以下、約1.2cP以下、約1.3cP以下、約1.4cP以下、約1.5cP以下、約1.6cP以下、約1.7cP以下、約1.8cP以下、約1.9cP以下、約2cP以下、約3cP以下、約4cP以下、約5cP以下、約6cP以下、約7cP以下、約8cP以下、約9cP以下、約10cP以下、約15cP以下、約20cP以下、約25cP以下、約30cP以下、約35cP以下、約40cP以下、約45cP以下、約50cP以下、約55cP以下、約60cP以下、約65cP以下、約70cP以下、約75cP以下、約80cP以下、約85cP以下、約90cP以下、約95cP以下、約100cP以下、約200cP以下、約300cP以下、約400cP以下、または約500cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、(例えば、少なくとも約1000s-1のせん断速度で)約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、1cP、1.3cP、1.5cP、2cP、3cP、5cPまたは10cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、(例えば、少なくとも約1000s-1のせん断速度で)約2cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、(例えば、少なくとも約1000s-1のせん断速度で)約1.5cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、(例えば、最大約1s-1のせん断速度で)約1.3cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、同等の医薬組成物、または参照医薬組成物、または対照は、約0.1cP~約3cP、約0.1cP~約2cP、0.1cP~約1.5cP、0.1cP~約5cP、1cP~約20cP、約1cP~約24cP、約1cP~約25cP、約1cP~約10cP、約1cP~約50cP、約1cP~約100cP、約5cP~約50cP、約1cP~約5cP、または約1cP~約200cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、(例えば、最大約1s-1のせん断速度で)約1cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、(例えば、少なくとも約1000s-1のせん断速度で)約1cP未満の粘度を有する。粘度はせん断速度に依存するため、医薬組成物(例えば液体製剤)の「低せん断粘度、またはゼロせん断粘度」とは、0.01s-1~1s-1のせん断速度の任意の値での粘度である。いくつかの実施形態では、粘度の単位は、cPまたはmPasと定義できる。場合によっては、cP及びmPasは、同じ意味で用いられる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度(または0もしくは1s-1でのせん断粘度)は、少なくとも約10cP、または少なくとも約100cP、または少なくとも約1000cP、または少なくとも約10,000cP、または少なくとも約70,000cP、または最大約200,000cP、または最大約250,000cP、または最大約300,000cP以上である。いくつかの実施形態では、せん断速度は、0.1/秒のせん断速度である。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも300,000mPasのゼロせん断粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1000s-1のせん断速度での約400mPas以下の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25℃、約0.1/秒のせん断速度で、約130,000cP~約300,000cPの粘度を有することができる。いくつかの実施形態では、0または1s-1での粘度は、少なくとも1000s-1のせん断速度(例えば、1,000s-1、2,000s-1、5,000s-1、10,000s-1または20,000s-1)での粘度よりも、少なくとも約2、3、5、10または20(または20を超える)倍小さい。いくつかの実施形態では、100s-1での粘度は、5s-1のせん断速度での粘度よりも、少なくとも約2、3、5、10または20倍以上小さい。いくつかの実施形態では、せん断減粘が始まる応力は、降伏応力として知られる。いくつかの実施形態では、医薬組成物がすぐに流れ始める前に、一定のせん断応力(力)が必要とされる。この臨界せん断応力は、多くの場合、降伏応力と呼ばれる。この降伏応力は、応力制御レオメータによって測定した定常状態流動曲線から決定できる。適用したせん断応力の関数として粘度をプロットしたとき、臨界せん断応力を超えた後に、粘度の劇的な低下が見られる。いくつかの実施形態では、降伏応力は、約0.0001Pa、0.0005Pa、0.001Pa、0.005Pa、0.01Pa、0.05Pa、0.1Pa、0.5Pa、1Pa、2Pa、3Pa、5Pa、10Pa、15Pa、20Pa、25Pa、30Pa、35Pa、40Pa、45Pa、50Pa、55Pa、60Pa、65Pa、70Pa、75Pa、80Pa、85Pa、90Pa、100Pa、110Pa、120Pa、130Pa、140Pa、150Pa、200Pa、250Pa、300Pa、350Pa、400PA、450Pa、500Paまたは500Paを超える、少なくとも、または最大約0.0001Pa、0.0005Pa、0.001Pa、0.005Pa、0.01Pa、0.05Pa、0.1Pa、0.5Pa、1Pa、2Pa、3Pa、5Pa、10Pa、15Pa、20Pa、25Pa、30Pa、35Pa、40Pa、45Pa、50Pa、55Pa、60Pa、65Pa、70Pa、75Pa、80Pa、85Pa、90Pa、100Pa、110Pa、120Pa、130Pa、140Pa、150Pa、200Pa、250Pa、300Pa、350Pa、400PA、450Pa、500Paまたは500Paを超える。
いくつかの実施形態では、比較的高粘度の医薬組成物は、低粘度製剤またはより低粘度の製剤と比較して、注入後、より長期間にわたって、SCS内(または眼内)に残留する(異なる時点で測定)。いくつかの実施形態では、より高粘度の医薬組成物は、(例えば、低粘度製剤またはより低粘度の製剤と比較して)、SCSまたは注入部位での厚みを拡張させる(セクション4.2.3参照)。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、少なくとも注入部位の一部(例えばSCS)を、投与後少なくとも2時間、少なくとも500μm、または約500μm~約3mmの厚みに拡張するために十分な粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmの厚みに拡張するために十分である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約500μm~約3.0mmの厚みに、投与後、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年拡張するために十分である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約1mm~約3mmの厚みに、投与後、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間または少なくとも24時間拡張するために十分である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約1mm~約2mmの厚みに、投与後、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年拡張するために十分である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約2mm~約3mmの厚みに、投与後、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年拡張するために十分である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、注入部位(例えばSCS)を、約750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmの厚みに、無期限に拡張するために十分である。無期限は、少なくとも部分的には、注入部位(例えばSCS)における医薬組成物(例えば液体製剤)の安定性のために達成できる。
いくつかの実施形態では、注入部位(例えばSCS)を、少なくとも500μm、または約500μm~約3mmの厚みに拡張するために十分な粘度を有する医薬組成物(例えば液体製剤)は、水の粘度(すなわち約1cP)を超える粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、注入部位(例えばSCS)を、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、または10mmを超える厚みに拡張するために十分な粘度を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、注入部位を、最大約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mmまたは10mmの厚みに拡張するために十分な粘度を有する。
いくつかの実施形態では、注入部位(例えばSCS)を、少なくとも500μm、または約500μm~約3mmの厚みに拡張するために十分な粘度を有する医薬組成物(例えば液体製剤)は、多糖類を含む(例えば、セクション4.1.1に記載される多糖類参照)。
本明細書においては、本明細書にて開示される医薬組成物を用いて、セクション4.5に記載される疾患(例えば、眼の疾患)を治療する方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、眼の疾患を治療する方法は、有効量の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を、対象(例えばヒト)に投与することを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)内に投与される。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量は、網膜下投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量は、硝子体内投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの医薬組成物は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与される場合と同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの医薬組成物は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与される場合と同量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、対象において治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量は、SCSに投与されるとき、対象において治療応答性を引き出すために十分な参照医薬組成物の有効量と比較して少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量は、網膜下投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な参照医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、SCSに投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な医薬組成物の有効量は、硝子体内投与されるときの、治療応答性を引き出すために十分な参照医薬組成物の有効量よりも少ない。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物の粘度よりも高い粘度を有する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、挿入部位の近くで実質的に局在化される(セクション4.2.1及びセクション4.2.2参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCS内に投与されるとき、網膜下または硝子体内に投与されるときと比較して、より高レベル(濃度)の導入遺伝子発現をもたらす(セクション4.2.6参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物がSCS内に投与されるとき、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内、またはSCS内に投与されるときと比較して、より高レベル(濃度)の導入遺伝子発現をもたらす(セクション4.2.6参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCS内に投与されるとき、網膜下または硝子体内に投与されるときと比較して、より高レベルのAAVをもたらす(セクション4.2.5参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物がSCS内に投与されるとき、参照医薬組成が物網膜下、硝子体内、SCS内に投与されるときと比較して、より高レベルのAAVをもたらす(セクション4.2.5参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCS内に投与されるとき、網膜下または硝子体内に投与されるときと比較して、注入部位でのより高い形質導入率(すなわち感染率)をもたらす(セクション4.2.5参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物がSCS内に投与されるとき、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内、またはSCS内に投与されるときと比較して、注入部位でのより高い形質導入率(すなわち感染率)をもたらす(セクション4.2.5参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、SCS内に投与されるとき、網膜下または硝子体内に投与されるときと比較して、血管拡張及び/または血管漏出の低減をもたらす(セクション4.2.4参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物がSCS内に投与されるとき、参照医薬組成物が網膜下、硝子体内、またはSCS内に投与されるときと比較して、血管拡張及び/または血管漏出の低減をもたらす(セクション4.2.4参照)。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物よりも高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同量のゲノムコピーを有する。
4.1.1粘度の操作
いくつかの実施形態では、粘度誘導成分(viscosity-inducing component)が、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度を上昇させる量で存在する。いくつかの実施形態では、製剤の粘度を、水の粘度を十分に上回る値、例えば0.1/秒~1/秒のせん断速度で、少なくとも約100cPに上昇させることで、配置、例えば対象の眼のSCS内への注入のために極めて有効な製剤となる。いくつかの実施形態では、製剤の比較的高い粘度は、製剤中の実質的に均質な懸濁液において、より長期間にわたって、このような製剤の治療的構成成分(例えば、導入遺伝子を含む発現カセットを含むAAV)を維持する能力を増強し、また製剤の保存安定性を補助することができる。
いくつかの実施形態では、低粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)を使用して、導入遺伝子をコードするAAVを投与する。いくつかの実施形態では、中程度の粘度を有する医薬組成物(例えば液体製剤)を使用して、導入遺伝子をコードするAAVを投与する。いくつかの実施形態では、高粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)を使用して、導入遺伝子をコードするAAVを投与する。いくつかの実施形態では、対照溶液と比較して、またはPBSと比較して、または網膜下注射に一般的に使用される医薬組成物(例えば液体製剤)と比較して、より高粘度を有する医薬組成物(例えば液体製剤)を使用して、導入遺伝子をコードするAAVを投与する。低粘度を有し、本開示の医薬組成物において使用可能な溶液の非限定例としては、スクロース(例えば、100mM NaCl及び4%のスクロース、6%のスクロースまたは10%のスクロース(約1.3cPの粘度))、PEG3350、デキストラン40k、PEG12000及び/またはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(10~50cPの粘度、2%のHO、25℃)を含有する溶液が挙げられる。中程度の粘度を有し、本開示の医薬組成物において使用可能な溶液の非限定例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(2%=400~800cP)、ポリビニルアルコール26-88(4%=25cP)(すなわちMowiol(登録商標))、及び/またはヒドロキシエチルセルロース(100cPの粘度、NF)(すなわちヒドロキシエチルデンプン)が挙げられる。高いまたは極めて高い粘度を有し、本開示の医薬組成物において使用可能な溶液の非限定例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1500~3000cPの高粘度)(1%のHO、25℃)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)(4000mPasの高粘度、2910タイプ)、及び/またはポリビニルピロリドン(ポビドンK-90)(分子量約360,000のK-90、極めて高粘度)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、多糖類を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(10~50cPの粘度、2%のHO、25℃)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(2%=400~800cP)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、ヒドロキシエチルセルロース(100cPの粘度、NF)(すなわちヒドロキシエチルデンプン)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1500~3000cPの高粘度)(1%のHO、25℃)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)(4000mPasの高粘度、2910タイプ)を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約50重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.5%~約2重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約40重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約30重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約20重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約10重量%の濃度で、多糖類を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、医薬組成物(例えば液体製剤)の重量を基準として、約0.2%~約5重量%の濃度で、多糖類を含有する。多糖類は、任意の生体適合性多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸またはこれらの組み合わせから選択できる。いくつかの実施形態では、非ニュートンせん断減粘性挙動を示す医薬組成物(例えば液体製剤)が、針を介する挿入の間、高せん断の下で粘度が低くなるため望ましい。医薬組成物(例えば液体製剤)はまた、注入部位(例えばSCS)内に1種以上の眼の流体の一部を引き込むために十分な濃度で添加剤を含有できる。注入部位(例えばSCS)内に1種以上の眼の流体を引き込むことで、注入部位(例えばSCS)を拡張する助けとなり得る。いくつかの実施形態では、1種以上の添加剤としては、多糖類が挙げられる。いくつかの実施形態では、粘度誘導成分(viscosity-inducing component)は、製剤の約0.5重量%、または約1.0重量%~約5重量%、または約10重量%、または約20重量%の範囲の量で存在する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度を上昇させるために、粘度誘導剤(例えば粘度調整剤)を使用する。粘度誘導成分の例としては、ヒアルロン酸、カルボマー、ポリアクリル酸、セルロース誘導体、ポリカルボフィル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン、多糖類、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、これらの誘導体及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリマー構成成分を含む。ポリマー構成成分としては、天然原料に由来するか、合成であるかに関わらず、哺乳動物の身体において有用な任意のポリマー材料が挙げられる。製剤中で使用できるポリマー材料の例としては、炭水化物ベースのポリマー、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、デキストリン、シクロデキストリン、アルギナート、ヒアルロン酸及びキトサン、タンパク質ベースのポリマー、例えばゼラチン、コラーゲン及び糖タンパク質、ならびにヒドロキシ酸ポリエステル、例えば生体分解可能なポリ乳酸-グリコリド共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリホスファゼン及びポリオルトエステルが挙げられる。またポリマーは、製剤中で、架橋される、混合される、またはコポリマーとして使用されることができる。その他のポリマーキャリアとしては、アルブミン、ポリ無水物、ポリエチレングリコール、ポリビニルポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ピロリドン及びポリビニルアルコールが挙げられる。
医薬組成物中で使用できる非浸食性ポリマーのいくつかの例としては、シリコーン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリビニルアセテート、ポリウレタン、エチルビニルアセテート誘導体、アクリレート樹脂、架橋ポリビニルアルコール及び架橋ポリビニルピロリドン、ポリスチレンならびに酢酸セルロース誘導体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、粘度誘導成分の分子量は、最大約2,000,000ダルトン、例えば約10,000ダルトン以下~約2,000,000ダルトン以上の範囲である。いくつかの実施形態では、粘度誘導成分の分子量は、約100,000ダルトンまたは約200,000ダルトン~約1,000,000ダルトンまたは約1,500,000ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態では、粘度誘導成分は、重合性ヒアルロン酸塩成分、例えばヒアルロン酸金属塩成分、例えばヒアルロン酸アルカリ金属塩、ヒアルロン酸アルカリ土類金属塩及びこれらの混合物、ヒアルロン酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物である。いくつかの実施形態では、このようなヒアルロン酸塩成分の分子量は、約50,000ダルトンまたは約100,000ダルトン~約1,300,000ダルトンまたは約2,000,000ダルトンの範囲である。
4.1.2製剤の他の構成成分
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)と、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース及び界面活性剤の少なくとも1つと、を含む医薬組成物(例えば液体製剤)を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)はスクロースを含まない。
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)と、イオン性塩の賦形剤または緩衝剤、スクロース及び界面活性剤の少なくとも1つと、を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、イオン性塩の賦形剤または緩衝剤は、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム六水和物、塩基性リン酸ナトリウム一水和物、トロメタミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス-HCl)、アミノ酸、ヒスチジン、塩酸ヒスチジン(ヒスチジン-HCl)、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、硫酸カルシウム、塩化カリウム、塩化カルシウムならびにクエン酸カルシウムからなる群からの1種以上の構成成分であることができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群からの1種以上の構成成分であることができる。いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)と、1種以上の粘度調整剤と、を含む医薬組成物を提供する。粘度調整剤の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HES)及びポロキサマー407が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)と、CMC、HPMC及びHESなどのセルロースまたはデンプンの任意の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない1種以上の多糖類と、を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、0.2~15%の、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、すなわちCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、すなわちHPMC、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、CMC低粘度グレード、及び/またはポロキサマー407を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、0.2~10%の、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、すなわちCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、すなわちHPMC、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、またはCMC低粘度グレードと、15%のポロキサマー407とを含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約115mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約100mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約65mM~約95mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約70mM~約90mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約75mM~約85mMのイオン強度を有する。
特定の実施形態では、医薬組成物は、約30mM~約100mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約35mM~約95mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約40mM~約90mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約45mM~約85mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約80mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約55mM~約75mMのイオン強度を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mM~約70mMのイオン強度を有する。
特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム(例えば0.2g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、一塩基性リン酸カリウム(例えば0.2g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化ナトリウム(例えば5.84g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、二塩基性無水リン酸ナトリウム(例えば1.15g/Lの濃度で)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム及び二塩基性無水リン酸ナトリウムを含む。
いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と同一の構成成分を含む。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、医薬組成物と同一の構成成分を含むが、医薬組成物より低い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、組成物または溶液の粘度に作用する、または上昇させる1種以上の成分を除いて、医薬組成物と同一の構成成分を含む。
特定の実施形態では、医薬組成物は、3%(重量/体積、30g/L)~18%(重量/体積、180g/L)の濃度でスクロースを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、4%(重量/体積、40g/L)の濃度でスクロースを含む。
特定の実施形態では、医薬組成物は、0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.005g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度でポロキサマー188を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.05g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポリソルベート20を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.0005%(重量/体積、0.05g/L)~0.05%(重量/体積、0.5g/L)の濃度でポリソルベート80を含む。
特定の実施形態では、医薬組成物のpHは約7.4である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは、約6.0~9.0である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは7.4である。特定の実施形態では、医薬組成物のpHは6.0~9.0である。
特定の実施形態では、医薬組成物は、疎水性コーティングガラスバイアル瓶中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、シクロオレフィンポリマー(COP)バイアル瓶中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、Daikyo Crystal Zenith(登録商標)(CZ)バイアル瓶中にある。特定の実施形態では、医薬組成物は、TopLyoコーティングバイアル瓶中にある。
特定の実施形態では、組換えAAVと、(a)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(b)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(c)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(d)1.15g/Lの濃度の二塩基性無水リン酸ナトリウム、(e)4%(重量/体積、40g/L)の濃度のスクロース、(f)0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(g)水の少なくとも1つと、を含む医薬組成物であって、組換えAAVがAAV8である医薬組成物が、本明細書にて開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物はスクロースを含まない。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)抗ヒト血管内皮増殖因子(hVEGF)抗体をコードするConstruct IIと、(b)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(c)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(d)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(e)1.15g/Lの濃度の二塩基性無水リン酸ナトリウム、(f)4%(重量/体積、40g/L)の濃度のスクロース、(g)0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(h)水の少なくとも1つと、を含み、抗hVEGF抗体は、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はスクロースを含まない。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)トリペプチジルペプチダーゼ1をコードするAAV8またはAAV9と、(b)0.2g/Lの濃度の塩化カリウム、(c)0.2g/Lの濃度の一塩基性リン酸カリウム、(d)5.84g/Lの濃度の塩化ナトリウム、(e)1.15g/Lの濃度の二塩基性無水リン酸ナトリウム、(f)4%(重量/体積、40g/L)の濃度のスクロース、(g)0.001%(重量/体積、0.01g/L)の濃度のポロキサマー188、及び(h)水の少なくとも1つと、を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はスクロースを含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物の粘度は、バッテン病-CLN2関連の視力障害に影響を与える。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、脈絡膜上への注射(例えば、マイクロニードルを備えたマイクロインジェクターなどの、脈絡膜上への薬物送達デバイスを介して)に好適な、所望の粘度、密度、及び/または浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、液体組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、凍結組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書にて開示される液体組成物からの凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、溶液調製された凍結乾燥製剤である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1%~約7%の残留水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2%~約6%の残留水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約3%~約4%の残留水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5%の残留水分含有量を含む凍結乾燥組成物である。
特定の実施形態では、医薬組成物は、200mOsm/L~660mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は、約200mOsm/L、250mOsm/L、300mOsm/L、350mOsm/L、400mOsm/L、450mOsm/L、500mOsm/L、550mOsm/L、600mOsm/L、650mOsm/Lまたは660mOsm/L、少なくとも、または最大約200mOsm/L、250mOsm/L、300mOsm/L、350mOsm/L、400mOsm/L、450mOsm/L、500mOsm/L、550mOsm/L、600mOsm/L、650mOsm/Lまたは660mOsm/Lの浸透圧を有する。
特定の実施形態では、遺伝子治療構造体は、製剤緩衝液中にあるAAVベクター有効成分の、単回使用する凍結無菌溶液として供給される。特定の実施形態では、網膜下投与に好適な医薬組成物は、生理的に適合性の水性緩衝液、界面活性剤及び所望により賦形剤を含む製剤緩衝液中にある、組換え(例えば、rHuGlyFabVEGFi)ベクターの懸濁液を含む。いくつかの実施形態では、構造体は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び0.001%のポロキサマー188、pH=7.4、中で調製される。
4.2機能特性
4.2.1クリアランス時間
本開示は、SCSからのクリアランス時間が遅くなった医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)を提供する。いくつかの実施形態では、粘性(またはより粘性が高い)医薬組成物は、非粘性または低粘度医薬組成物と比較して、SCSからのクリアランス時間が遅くなっている。いくつかの実施形態では、粘性(またはより粘性が高い)医薬組成物は、非粘性または低粘度医薬組成物と比較して、眼からのクリアランス時間が遅くなっている。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物は、より粘性が低い医薬組成物と比較して、眼からのクリアランス時間が遅くなっている。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物は、水の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物は、網膜下注射に通常使用される溶液の粘度よりも高い粘度値を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に投与した後の医薬組成物のクリアランス時間は、参照医薬組成物を網膜下または硝子体内に投与した後の参照医薬組成物のクリアランス時間に等しい、またはより長い。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCSに投与した後の医薬組成物のクリアランス時間は、参照医薬組成物をSCS内に投与した後の参照医薬組成物のクリアランス時間に等しい、またはより長い。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)は、SCSからの、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日のクリアランス時間をもたらす。いくつかの実施形態では、SCSからのクリアランス時間は、約3日~約365日、約3日~約300日、約3日~約200日、約3日~約150日、約3日~約125日、約7日~約365日、約7日~約300日、約7日~約200日、約7日~約150日、約7日~約125日である。「SCSからのクリアランス時間」は、実質的に全ての医薬組成物、医薬品またはAAVが、SCSから排出されるために必要となる時間である。いくつかの実施形態では、「SCSからのクリアランス時間」は、医薬組成物、医薬品またはAAVが、任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載されるよう方法)によって、SCS内で検出されなくなるために必要となる時間である。いくつかの実施形態では、「SCSからのクリアランス時間」は、任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載されるよう方法)によって検出されるとき、最大約2%または最大約5%の量で、SCS内に医薬組成物、医薬品またはAAVが存在するときの時間である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)は、眼からの、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日のクリアランス時間をもたらす。いくつかの実施形態では、眼からのクリアランス時間は、約3日~約365日、約3日~約300日、約3日~約200日、約3日~約150日、約3日~約125日、約7日~約365日、約7日~約300日、約7日~約200日、約7日~約150日、約7日~約125日である。「眼からのクリアランス時間」は、実質的に全ての医薬組成物、医薬品またはAAVが、眼から排出されるために必要となる時間である。いくつかの実施形態では、「眼からのクリアランス時間」は、医薬組成物、医薬品またはAAVが、任意の方法(セクション4.6及びセクション5に記載されるよう方法)によって、眼内で検出されなくなるために必要となる時間である。いくつかの実施形態では、「眼からのクリアランス時間」は、任意の標準的な方法(セクション4.6及びセクション5に記載されるよう方法)によって検出されるとき、最大約2%または最大約5%の量で、眼内に医薬組成物、医薬品またはAAVが存在するときの時間である。
いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、医薬組成物(例えば液体製剤)の投与後、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日の前ではない(例えば、SCSまたは眼からのクリアランス時間は、この期間が過ぎるまで発生しない)。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、医薬組成物(例えば液体製剤)の投与後、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日である。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)は、より粘性が低い医薬組成物(参照医薬組成物)を使用して、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを投与する(例えば、網膜下投与、硝子体内投与、またはSCSへの投与を介して)場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%長いクリアランス時間をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、より粘性が低い医薬組成物(参照医薬組成物)を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを脈絡膜上に投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%長いクリアランス時間をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、より粘性が低い医薬組成物を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、網膜下投与によって、または硝子体内投与によって投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%長いクリアランス時間をもたらす。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同一の医薬組成物を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%長いクリアランス時間をもたらす。
いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与される比較的高粘性医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与される同一の医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与されるより粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、脈絡膜上注射によって投与される同等のより粘性が低い医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与されるより粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与される同等のより粘性が低い医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与される粘性医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与される同等の粘性医薬組成物のクリアランス時間よりも長い。
いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与される粘性医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与、または硝子体内投与を介して投与される同一の医薬組成物のクリアランス時間よりも、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い。
いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与されるより粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、脈絡膜上注射によって投与される同等のより粘性が低い医薬組成物(参照医薬組成物)のクリアランス時間よりも、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い。
いくつかの実施形態では、脈絡膜上注射によって投与されるより粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)のクリアランス時間は、網膜下投与、または硝子体内投与を介して投与される同等のより粘性が低い医薬組成物のクリアランス時間よりも、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い。
いくつかの実施形態では、硝子体内注射、または網膜下注射を介して投与される医薬組成物のクリアランス時間は、投与後、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または最大約400日である。
いくつかの実施形態では、硝子体内注射、網膜下注射によって、またはSCSに投与される参照医薬組成物のクリアランス時間は、投与後、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または最大約400日である。
いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、眼からのクリアランス時間である。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、SCSからのクリアランス時間である。いくつかの実施形態では、クリアランス時間は、注入部位からのクリアランス時間である。
4.2.2周辺への拡散
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、注入部位で局在化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、同等の低粘性医薬組成物よりも長期間にわたって、注入部位で局在化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、SCS内に注入されるときに、医薬組成物が網膜下注射または硝子体内注射によって投与されるときと比較して、より長期間にわたって注入部位で局在化する。医薬組成物は、異なる粘度値を有することができる。いくつかの実施形態では、粘性(または、より粘性が高い)医薬組成物は、非粘性または低粘度医薬組成物と比較して、より長期間にわたってSCS内での局在化を維持する。
いくつかの実施形態では、局在化は、周辺への拡散(例えば、二次元の周辺への拡散)を評価することによって決定できる。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)は、より粘性が低い医薬組成物を使用して、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを投与する(例えば、脈絡膜上注射によって、網膜下注射によって、または硝子体内注射によって)場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%小さい周辺への拡散をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、より粘性が低い医薬組成物を使用して、例えば、脈絡膜上投与によって、網膜下投与によって、または硝子体内の投与によって導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%小さい周辺への拡散をもたらす。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同一の医薬組成物を使用して、例えば、網膜下投与によって、または硝子体内投与によって導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%小さい周辺への拡散をもたらす。
いくつかの実施形態では、周辺の拡散は、医薬組成物または参照医薬組成物の投与後、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日で決定できる。
4.2.3SCSの厚み
いくつかの実施形態では、局在化は、医薬組成物(例えば液体製剤)を対象に投与した後、SCSの厚みを評価することによって決定できる。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、SCS内に注入された後に、SCSの厚みを増大させる。いくつかの実施形態では、SCSは、低粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)の挿入を収容するために拡張する。いくつかの実施形態では、より大容量の低粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)を挿入しても、SCSのさらなる拡張を引き起こされない。いくつかの実施形態では、より大容量の低粘度の流体製剤は、SCSがさらに拡張することなく、SCS内の流体拡散の面積が増大されることによって収容される。いくつかの実施形態では、粘性医薬組成物(例えば液体製剤)のSCSへの挿入は、低粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)がSCS内に挿入されるときに達成されるSCSの厚みを越えて、SCSの厚みを拡張できる。いくつかの実施形態では、粘性医薬組成物(例えば液体製剤)によってSCSの厚みを増大することで、SCSへのアクセスが容易になり、それによってSCS内のデバイスの廃棄が容易となる、または可能となり得る。いくつかの実施形態では、SCSの厚みを拡大することで、医薬組成物(例えば液体製剤)及び/または導入遺伝子をコードしたAAVが、より長期間にわたって注入部位に残留する(局在化)ことが可能となる。いくつかの実施形態では、粘性医薬組成物は、非粘性または低粘度医薬組成物と比較して、より長期間にわたって、注入部位またはその近くで、厚みを増大する。いくつかの実施形態では、より粘性の高い医薬組成物は、より粘性の低い医薬組成物と比較して、より長期間にわたって、注入部位またはその近くで、厚みを増大する。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCSに投与した後の注入部位での厚みは、参照医薬組成物を網膜下または硝子体内に投与した後の、参照医薬組成物の注入部位での厚みに等しい、またはより大きい。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCSに投与した後の注入部位での厚みは、参照医薬組成物をSCSに投与した後の、参照医薬組成物の注入部位での厚みに等しい、またはより大きい。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、より粘性が低い医薬組成物を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、脈絡膜上投与によって投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きいSCSの厚みの増大をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、より粘性が低い医薬組成物を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、網膜下投与によって、または硝子体内投与によって投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい、注入部位またはその近くでのSCSの厚みの増大をもたらす。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同一の医薬組成物を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%大きい、注入部位またはその近くでのSCSの厚みの増大をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後に、注入部位で得られる厚みは、同等のより粘性が低い医薬組成物を脈絡膜上注射によって投与した後の厚みよりも大きい。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後に、注入部位で得られる厚みは、同等のより粘性が低い医薬組成物を網膜下注射または硝子体内注射よって投与した後の厚みよりも大きい。いくつかの実施形態では、粘性医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後に、注入部位で得られる厚みは、同一の医薬組成物を網膜下投与または硝子体内投与によって投与した後の厚みよりも大きい。
いくつかの実施形態では、注入部位またはその近くでの厚み(例えば、SCSまたはその近くでの厚み)は、医薬組成物または参照医薬組成物の投与後、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日で決定できる。
4.2.4血管拡張及び血管漏出
いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCSに投与した後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物を網膜下または硝子体内に投与した後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、またはそれ未満である。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCSに投与した後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルは、参照医薬組成物をSCSに投与した後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低い。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)は、医薬組成物を網膜下投与、または硝子体内投与を介して投与した後と比較して、同一の医薬組成物をSCSに投与した後の、VEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)は、同等(より粘性が低い)の医薬組成物を網膜下投与、硝子体内投与を介して、またはSCSに投与した後と比較して、医薬組成物をSCSに投与した後の、VEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、VEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%低減する。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体である。
いくつかの実施形態では、VEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出は、投与後、約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または最大約400日で決定される。
4.2.5注入部位での形質導入率(すなわち感染率)
いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に投与した後の注入部位での形質導入率(すなわち感染率)は、同一の医薬組成物を網膜下投与、または静脈内投与を介して投与した後の注入部位での形質導入率(すなわち感染率)と比較して等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に投与した後の注入部位での形質導入率(すなわち感染率)は、同等の(例えば、より粘性が低い)医薬組成物(参照医薬組成物)を、網膜下投与、または静脈内投与を介して、またはSCSに投与した後の注入部位での形質導入率(すなわち感染率)と比較して等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物(同等の低粘性医薬組成物)よりも高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、注入部位での形質導入率(すなわち感染率)の上昇は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%の上昇である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物を脈絡膜上に投与した後の注入部位でのAAVの濃度は、同一の医薬組成物を網膜下投与、または静脈内投与を介して投与した後の注入部位でのAAVの濃度と比較して等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物を脈絡膜上に投与した後の注入部位でのAAVの濃度は、同等(例えば、より粘性が低い)の医薬組成物を網膜下投与、または静脈内投与を介して、またはSCSに投与した後の注入部位でのAAVの濃度と比較して等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、参照医薬組成物よりも高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物(同等の低粘性医薬組成物)は、同一のベクターゲノム濃度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物及び参照医薬組成物は、同量のゲノムコピーを有する。いくつかの実施形態では、注入部位でのAAV濃度の上昇は、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%の上昇である。
いくつかの実施形態では、AAV濃度または形質導入率(すなわち感染率)は、投与後、約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、15時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または最大約400日で決定される。
4.2.6導入遺伝子の発現
いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物の濃度は、参照(より粘性が低い)医薬組成物をSCS内に注入した後と比較して、少なくとも等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物の濃度は、参照(より粘性が低い)医薬組成物を網膜下注射、または硝子体内注射によって注入した後と比較して、少なくとも等しい、またはより高い。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物の濃度は、同一の医薬組成物を網膜下注射、または硝子体内注射によって注入した後と比較して、少なくとも等しい、またはより高い。
いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、同等(より粘性が低い)の医薬組成物をSCS内に注入した後と比較して、より長期間にわたって、眼(例えば、硝子体)内で検出される。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、参照(より粘性が低い)医薬組成物を網膜下注射によって、または硝子体内投与によって注入した後と比較して、より長期間にわたって、眼(例えば、硝子体)内で検出される。いくつかの実施形態では、医薬組成物をSCS内に注入した後の導入遺伝子産物(例えば、導入遺伝子産物の濃度)は、同一(同様の粘度)の医薬組成物を網膜下注射によって、または硝子体内注射によって注入した後と比較して、より長期間にわたって、眼(例えば、硝子体)内で検出される。
いくつかの実施形態では、より長期間とは、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日以上である。いくつかの実施形態では、より長期間とは、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日以上である。
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、SCS内に医薬組成物を投与した後、投与後、少なくとも約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日、または約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日の期間、眼(例えば硝子体)内で検出される。
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日または100日の期間(例えば、参照医薬組成物を網膜下投与を介して、もしくは硝子体内投与を介して、もしくはSCSに投与した後、または医薬組成物を網膜下投与または硝子体内投与を介して投与した後)、眼(例えば硝子体)内で検出される。
いくつかの実施形態では、眼(例えば硝子体)内の導入遺伝子産物の濃度は、医薬組成物または参照医薬組成物の投与後、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日で決定できる。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同等のより粘性が低い医薬組成物(参照医薬組成物)を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、脈絡膜上投与によって投与する後よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い導入遺伝子濃度をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同等のより粘性が低い医薬組成物(参照医薬組成物)を使用して、例えば導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを、網膜下投与によって、または硝子体内投与によって投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い導入遺伝子濃度をもたらす。
いくつかの実施形態では、粘性(例えば、比較的高粘性、中程度~超高粘性、または水より高粘性、または対照溶液より高粘性、または網膜下投与に一般的に使用される溶液より高粘性)の医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む液体製剤)の脈絡膜上投与は、同一の医薬組成物を網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して投与する場合よりも、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%または少なくとも200%、少なくとも250%または少なくとも300%、少なくとも400%または少なくとも500%高い導入遺伝子濃度をもたらす。
いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後の導入遺伝子濃度は、同等のより粘性が低い医薬組成物を脈絡膜上注射によって投与した後よりも高い。いくつかの実施形態では、より粘性が高い医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後の導入遺伝子濃度は、同等のより粘性が低い医薬組成物を網膜下投与によって、または硝子体内投与によって投与した後よりも高い。いくつかの実施形態では、粘性医薬組成物(例えば、導入遺伝子をコードする発現カセットを含むAAVを含む医薬組成物)を脈絡膜上注射によって投与した後の導入遺伝子濃度は、同一の医薬組成物を網膜下投与によって、または硝子体内投与によって投与した後よりも高い。
4.2.7その他の機能特性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、脈絡膜上注射に好適な所望の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物(または同等な医薬組成物)中の組換えAAVと、少なくとも同程度安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物(または同等な医薬組成物)中の組換えAAVの、少なくとも50%安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同一、または同等の凝集レベルを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同一、または同等の感染力レベルを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同一、または同等の遊離DNAレベルを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同一、または同等のインビトロ相対力価(IVRP)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の組換えAAVと少なくとも同一、または同等のサイズ変化のレベルを有する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、凍結/解凍サイクルに対して、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍より安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、凍結/解凍サイクルに対して、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%安定である。特定の実施形態では、組換えAAVの安定性を、セクション4.6節及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍高い感染力を示す。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVの感染力の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を有する。特定の実施形態では、組換えAAVのウイルス感染力を、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズを、セクション4.6節及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、凍結/解凍サイクルの前、または後にサイズを測定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍少ない凝集を示す。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同じ組換えAAVと比較して、一定の時間、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%安定である。特定の実施形態では、組換えAAVの凝集を、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、凍結/解凍サイクルの前、または後に凝集を測定する。特定の実施形態では、組換えAAVの凝集を、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、一定の時間(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)、例えば少なくとも約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヵ月、約2ヵ月、約3ヵ月、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、12ヵ月、約15ヵ月、約18ヵ月、約24ヵ月、約2年、約3年、約4年、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍より安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、一定の時間、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%安定である。特定の実施形態では、組換えAAVの一定の時間にわたる安定性を、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、組換えAAVの一定の時間にわたる安定性を、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍インビトロ相対力価(IVRP)が高い(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと、ほぼ同一のインビトロ相対力価(IVRP)を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%のインビトロ相対力価(IVRP)を有する。特定の実施形態では、組換えAAVのインビトロ相対力価(IVRP)を、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、凍結/解凍サイクルの前、または後にインビトロ相対力価(IVRP)を測定する。特定の実施形態では、組換えAAVのインビトロ相対力価(IVRP)を、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍少ない遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、およそ同量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、約2倍以下の量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の量の遊離DNAを有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2倍少ない、または約3倍少ない遊離DNAを有する。特定の実施形態では、組換えAAVの遊離DNAを、セクション4.6及びセクション5に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、一定の時間(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)、例えば、少なくとも約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヵ月、約2ヵ月、約3ヵ月、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、約12ヵ月、約15ヵ月、約18ヵ月、約24ヵ月、約2年、約3年及び約4年、最大20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%または1%のサイズ変化を有する。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズを、本開示に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。特定の実施形態では、凍結/解凍サイクルの前、または後にサイズを測定する。特定の実施形態では、組換えAAVのサイズを、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVよりも、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍より安定である(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVとおよそ同程度安定である(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の組換えAAVは、参照医薬組成物中の同一の組換えAAVと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%安定である(例えば、-20℃または37℃で保管するとき)。特定の実施形態では、組換えAAVの安定性を、セクション4.6に開示する1つ以上のアッセイによって決定する。
特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間、例えばセクション4.6またはに開示されている1つ以上のアッセイで決定されるように、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、4℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、≦60℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、-80℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、-20℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12ヵ月間保管した後に、4℃で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間、安定性を失うことなく保管できる。
特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、最初に-80℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間保管し、続いて解凍し、解凍後、2~10℃、4~8℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃または9℃で、さらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12ヵ月間、例えばセクション4.6またはに開示されている1つ以上のアッセイで決定されるように、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、最初に-80℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間保管し、続いて解凍し、解凍後、約4℃で、さらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12ヵ月間、例えばセクション4.6または5に開示されている1つ以上のアッセイで決定されるように、安定性を失うことなく保管できる。特定の実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物は、最初に≦60℃で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24ヵ月間保管し、続いて解凍し、解凍後、約4℃で、さらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または12ヵ月間、例えばセクション4.6または5に開示されている1つ以上のアッセイで決定されるように、安定性を失うことなく保管できる。
本明細書で提供される方法または医薬組成物の効果は、視力障害、感染、炎症、及び網膜剥離を含む、その他の安全事象の兆候を測定することによって監視されてよい。いくつかの実施形態では、異なる粘度(例えば、低粘度から極めて高粘度にわたる)を有する異なる医薬組成物(例えば液体製剤)を用いて、SCS内にベクターを送達することができる。いくつかの実施形態では、中程度からより高粘度の医薬組成物(例えば液体製剤)を使用して送達されるベクターは、低粘度医薬組成物(例えば液体製剤)を用いて送達されるベクターよりも、より有効である(例えば、SCS内に投与されるとき)。いくつかの実施形態では、中程度からより高粘度の製剤を使用して送達されるベクターは、低粘度製剤を使用して送達されるベクターと比較して、視力の改善をもたらす。
本明細書で提供される方法または医薬組成物の効果を、National Eye Institute Visual Functioning Questionnaire、Raschスコアバージョン(NEI-VFQ-28-R)(複合的スコア、活動の制限に関するドメインのスコア、及び社会的感情的な機能ドメインのスコア)における、ベースラインからの変化によって測定してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法の効果を、National Eye Institute Visual Functioning Questionnaire、25項目バージョン(NEI-VFQ-25)(複合的スコア及び心の健康サブスケールスコア)における、ベースラインからの変化によって測定してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法の効果を、Macular Disease Treatment Satisfaction Questionnaire(MacTSQ)(複合的スコア、安全性、効能、不快感ドメインのスコア、及び情報提供、利便性ドメインのスコア)における、ベースラインからの変化によって測定してもよい。
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法またはベクター(ベクター製剤)の効能は、約4週間、12週間、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月での、またはその他の所望の時点での視力の改善に反映される。特定の実施形態では、視力の改善は、BCVAの上昇、例えば1文字、2文字、3文字、4文字、5文字、6文字、7文字、8文字、9文字、10文字、11文字または12文字以上の上昇によって特徴づけられる。特定の実施形態では、視力の改善は、視力におけるベースラインからの5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%以上の上昇によって特徴づけられる。
特定の実施形態では、治療後の眼には炎症がない、または治療後の眼には炎症がほとんどない(例えば、ベースラインからの炎症レベルの上昇が、10%、5%、2%、1%以下)。
4.3投与量及び投与様式
一態様では、本明細書において、眼の病態を治療するための脈絡膜上投与の方法であって、治療を必要とするヒト対象の眼の脈絡膜上腔に、治療用産物(この治療用産物が発現され、眼の病態の治療がもたらされるように)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスベクターを投与すること含む、方法が提供される。特定の実施形態では、投与工程は、脈絡膜上への薬物送達デバイスを用いて、脈絡膜上腔に組換えウイルスベクターを注入することによるものである。特定の実施形態では、脈絡膜上への薬物送達デバイスは、マイクロインジェクターである。いくつかの実施形態では、本明細書にて提供される医薬組成物または参照医薬組成物は、1つ、2つ以上の投与経路による投与に好適である(例えば、脈絡膜上への投与、及び網膜下投与に好適である)。
特定の実施形態では、医薬組成物(または参照医薬組成物)のベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約3.2×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約6.5×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mLまたは約3×1013GC/mLである。
特定の実施形態では、医薬組成物(または、参照医薬組成物)のベクターゲノム濃度(VGC)は、約3×10GC/mL、4×10GC/mL、5×10GC/mL、6×10GC/mL、7×10GC/mL、8×10GC/mL、9×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約2×1010GC/mL、約3×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約5×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約7×1010GC/mL、約8×1010GC/mL、約9×1010GC/mL、約1×1011GC/mL、約2×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約4×1011GC/mL、約5×1011GC/mL、約6×1011GC/mL、約7×1011GC/mL、約8×1011GC/mL、約9×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約4×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約7×1012GC/mL、約8×1012GC/mL、約9×1012GC/mL、約1×1013GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、約3×1013GC/mLである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の体積は、強膜と脈絡膜とを分離するための最小の力を低減できる任意の体積である。いくつかの実施形態では、医薬組成物(例えば液体製剤)の体積は、約50μL~約1000μL、50μL~約500μL、50μL~約400μL、50μL~約350μL、50μL~約300μL、約50μL~約275μL、約50μL~約250μL、約50μL~約225μL、約50μL~約200μL、約50μL~約175μL、約50μL~約150μL、約60μL~約140μL、約70μL~約130μL、約80μL~約120μL、約90μL~約110μLまたは約100μLである。
脈絡膜上腔(SCS)への送達のために、現在利用可能な技術が存在する。臨床前のものとしては、強膜弁技法、カテーテル、及び標準的な皮下注射針を用いて、さらにマイクロニードルを用いて、SC注射が達成されている。中空750um長のマイクロニードル(Clearside Biomedical,Inc.)は、組織部分に挿入でき、臨床試験における将来性を示している。力触覚技術を用いて設計されたマイクロニードルを、Chitnisら(Chitnis,G.D.,et al.A resistance-sensing mechanical injector for the precise delivery of liquids to target tissue.Nat Biomed Eng 3,621-631(2019).https://doi.org/10.1038/s41551-019-0350-2)によって記載されるように、SC注射用に利用できる。Oxular Limitedは、脈絡膜上腔内で照明付きカニューレを前進させる送達システム(Oxulumis)を開発している。Orbitデバイス(Gyroscope)は、柔軟なカニューレを用いて、脈絡膜上腔へのカニューレ挿入を可能にする特別設計のシステムである。カニューレ内のマイクロニードルを、網膜下の空間内に前進させると、目標とする投与量の送達が可能となる。低侵襲緑内障手術(MIG)デバイスとして機能するマイクロステントを用いて、Ab internoによるSCSへのアクセスも達成できる。例としては、CyPass(登録商標)Micro-Stent(Alcon, Fort Worth,Texas,US)及びiStent(登録商標)(Glaukos)が挙げられ、これらは外科的に挿入され、濾過胞を形成することなく、前眼房からSCSへ房水を排出する導管を提供する。脈絡膜上への送達のための検討されるその他のデバイスとしては、英国特許公開第GB 2531910A号及び米国特許第10,912,883 B2号に記載されるものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、脈絡膜上への薬物送達デバイスは、1ミリメートルの30ゲージ針を備えるシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、より大きな外径(例えば、29ゲージ針)を有する。このデバイスを用いた注射の間、針を強膜の底部に突き刺すと、薬剤を含有する流体が脈絡膜上腔に入り、脈絡膜上腔の拡張をもたらす。その結果、注射中には、触知できる及び見て分かるフィードバックがある。注射後、流体は背部に流れ、脈絡膜及び網膜内に優位に吸収される。これによって、全ての網膜細胞層及び脈絡膜細胞から導入遺伝子タンパク質が産生される。この種のデバイス及び処置を用いることで、合併症のリスクが低い、迅速かつ容易な院内での処置が可能となる。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルまたはシリンジは、医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度を基準として選択される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、医薬組成物(例えば液体製剤)が投与されるとき、眼(例えばSCS内)内にもたらされる圧力を基準として選択される。例えば、中程度または高粘度を有する医薬組成物(例えば液体製剤)は、注射用により太いマイクロニードルを使用することで利益を得られ得る。いくつかの実施形態では、SCS内の圧力は、より細いマイクロニードルを用いるときに得られる圧力と比較して、より太いマイクロニードルを用いるときに低くなる。いくつかの実施形態では、10ゲージ針、11ゲージ針、12ゲージ針、13ゲージ針、14ゲージ針、15ゲージ針、16ゲージ針、17ゲージ針、18ゲージ針、19ゲージ針、20ゲージ針、21ゲージ針、22ゲージ針、23ゲージ針、24ゲージ針、25ゲージ針、26ゲージ針、27ゲージ針、28ゲージ針、29ゲージ針、30ゲージ針、31ゲージ針、32ゲージ針、33ゲージ針または34ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、28ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、29ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、31ゲージ針が使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージ針より小さいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、27ゲージ針より大きいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージ針より小さいゲージが使用される。いくつかの実施形態では、30ゲージ針より大きいゲージが使用される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物投与の間の圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSIである。いくつかの実施形態では、医薬組成物投与の間の圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSI以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物投与の間の、SCSを開く圧力は、約10PSI、15PSI、20PSI、25PSI、30PSI、35PSI、40PSI、45PSI、50PSI、55PSI、60PSI、65PSI、70PSI、75PSI、80PSI、85PSI、90PSI、95PSI、100PSI、150PSI、または200PSI以下である。いくつかの実施形態では、医薬組成物投与の間(またはSCSを開くために必要となる圧力)の圧力は、20PSI~50PSI、20PSI~75PSI、20PSI~40PSI、10PSI~40PSI、10PSI~100PSI、または10PSI~80PSIである。いくつかの実施形態では、注入速度が低下するにつれて、圧力は低下する(例えば、4秒の注入速度から10秒の注入速度で圧力は低下する)。いくつかの実施形態では、針の寸法が大きくなるにつれて、圧力は低下する。いくつかの実施形態では、粘度が上昇するにつれて、圧力は上昇する。
導入遺伝子産物の濃度を、眼(例えば硝子体)内で少なくとも0.330μg/mL、または房水(前眼房)内で0.110μg/mLのCminで、3ヵ月間維持する投与量が所望される。その後は、導入遺伝子産物を、硝子体内で1.70~6.60μg/mLの範囲のCmin濃度、及び/または房水内で0.567~2.20μg/mLの範囲のCmin濃度に維持するべきである。ただし、導入遺伝子産物は絶えず生成されるため(構成的プロモーターの制御下で、または低酸素誘発性プロモーターを使用するとき、酸素圧低下状態によって誘発される)、低濃度を維持することが有効であり得る。導入遺伝子濃度は、体液、眼の流体、硝子体または前眼房から収集した、流体の患者試料において直接測定できる、または患者の、導入遺伝子産物の血清濃度を測定することによって推定及び/または監視でき、硝子体に対する全身の、導入遺伝子産物への曝露の比率は、約1:90,000である(例えば、vitreous humor and serum concentrations of ranibizumab reported in Xu L,et al.,2013,Invest.Opthal.Vis.Sci.54:1616-1624,at p.1621 and Table 5 at p.1623を参照、同文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
特定の実施形態では、投与量は、患者の眼に投与(例えば脈絡膜上投与)されたml当たりのゲノムコピー(GC/mL)、またはゲノムコピーの個数によって測定される。いくつかの実施形態では、2.4×1011GC/mL~1×1013GC/mLが投与される、2.4×1011GC/mL~5×1011GC/mLが投与される、5×1011GC/mL~1×1012GC/mLが投与される、1×1012GC/mL~5×1012GC/mLが投与される、または5×1012GC/mL~1×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、1.5×1013GC/mL~3×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、約2.4×1011GC/mL、約5×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約1×1013GC/mL、または約1.5×1013GC/mLが投与される。いくつかの実施形態では、1×10個~1×1012個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、3×10個~2.5×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10個~2.5×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10個~1×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、1×10個~5×10個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、6×10個~3×1010個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、4×1010個~1×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、2×1011個~1.5×1012個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、約3×10個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約1.2×1010GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1×1010個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約4×1010GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1010個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約2.4×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6.4×1010個のゲノムコピーが投与される(体積200μl中の約3.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.3×1011個のゲノムコピーが投与される(体積200μl中の約6.5×1011GC/mLに相当する)。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約6.4×1010個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約6.4×1010個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約1.3×1011個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約1.3×1011個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約2.5×1011個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約2.5×1011個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約5×1011個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約5×1011個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約3×1012個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約3×1012個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。別の特定の実施形態では、約1.6×1011個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約6.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.55×1011個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約6.2×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.6×1011個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約6.4×1011GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約2.5×1011個のゲノムコピーが投与される(体積250μl中の約1.0×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約2.5×1011個のゲノムコピーが投与される(体積100μl中の約2.5×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約3×1011個のゲノムコピーが投与される(体積100μl中の約3×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約5×1011個のゲノムコピーが投与される(体積200μl中の約5×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1011個のゲノムコピーが投与される(体積200μl中の約3×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約6×1011個のゲノムコピーが投与される(体積100μl中の約6×1012GC/mLに相当する)。別の特定の実施形態では、約1.5×1012個のゲノムコピーが投与される(体積100μl中の約1.5×1013GC/mLに相当する)。
特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6.0×1010個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6.4×1010個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.3×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.5×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.6×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約2.5×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約5.0×1011個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、眼当たり、または投与量当たり、または投与経路当たり、約1.5×1012個のゲノムコピーが投与される。いくつかの実施形態では、約1.5×1012個のゲノムコピーは、投与されるゲノムコピーの総数である。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1012個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.0×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約2.5×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1012GC/mLが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3.0×1013個のゲノムコピーが投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、最大3.0×1013個のゲノムコピーが投与される。
特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.5×1011個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約2.5×1011個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約5.0×1011個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約1.5×1012個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1012個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、眼当たり、約2.5×1011個のゲノムコピーが、1回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが、1回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが、1回の体積100μlの脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが、1回の体積200μlの脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが、2回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが2回の脈絡膜上注射によって投与され、各注入の体積は50μlである。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3×1011個のゲノムコピーが2回の脈絡膜上注射によって投与され、各注入の体積は100μlである。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約5.0×1011個のゲノムコピーが、2回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが、1回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが、1回の体積100μlの脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが、1回の体積200μlの脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが、2回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが2回の脈絡膜上注射によって投与され、各注入の体積は50μlである。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約6×1011個のゲノムコピーが2回の脈絡膜上注射によって投与され、各注入の体積は100μlである。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、約3.0×1013個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、投与当たり、または眼当たり、最大3.0×1013個のゲノムコピーが、脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、眼当たり、約2.5×1012GC/mLが、1回の体積100μlの脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、眼当たり、約2.5×1012GC/mLが2回の脈絡膜上注射によって投与され、各注入は体積100μlである。特定の実施形態では、眼当たり、約1.5×1013GC/mLが、1回の体積100μlの脈絡膜上注射によって投与される。
特定の実施形態では、組換えウイルスのベクターが、2回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、右眼への1回目の注射は、上側頭象限(すなわち10時と11時の間の位置)に投与され、同じ眼への2回目の注射は、下鼻象限(すなわち4時と5時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、右眼への1回目の注射は、下鼻象限(すなわち4時と5時の間の位置)に投与され、同じ眼への2回目の注射は、上側頭象限(すなわち10時と11時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、左眼への1回目の注射は、上側頭象限(すなわち1時と2時の間の位置)に投与され、同じ眼への2回目の注射は、下鼻象限(すなわち7時と8時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、左眼への1回目の注射は、下鼻象限(すなわち7時と8時の間の位置)に投与され、同じ眼への2回目の注射は、上側頭象限(すなわち1時と2時の間の位置)に投与される。
特定の実施形態では、組換えウイルスのベクターが、1回の脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態では、右眼への1回の注射は、上側頭象限(すなわち10時と11時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、右眼への1回の注射は、下鼻象限(すなわち4時と5時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、左眼への1回の注射は、上側頭象限(すなわち1時と2時の間の位置)に投与される。特定の実施形態では、左眼への1回の注射は、下鼻象限(すなわち7時と8時の間の位置)に投与される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、ヒト対象(例えば、脈絡膜上に、網膜下に、または硝子体内に)に、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物または参照医薬組成物は、ヒト対象に、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される。いくつかの実施形態では、投与当たり、同量のAAVのゲノムコピーが投与される。例えば、同一のゲノムコピーが、脈絡膜上に、網膜下に、または硝子体内に投与される。いくつかの実施形態では、同じ総量のAAVのゲノムコピーが投与される。例えば、総投与回数に関係なく、脈絡膜上に、網膜下に、または硝子体内に、同じ総量のAAVのゲノムコピーが投与される(例えば、網膜下投与を1回、脈絡膜上投与を2回実施する場合、1回の網膜下投与におけるゲノムコピーは、両方の脈絡膜上投与を合わせたゲノムコピーと同じ量である)。
本明細書中で使用する場合、及び特に明記されていない限り、用語「約」とは、所与の値または範囲の±10%以内を意味する。
4.4構成及び配合
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、以下の順序で以下の要素、a)構成的、または低酸素誘発性プロモーター配列、及びb)導入遺伝子をコードする配列(例えば、治療用産物)を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、以下の順序で以下の要素、a)第1のITR配列、b)第1のリンカー配列、c)構成的、または低酸素誘発性プロモーター配列、d)第2のリンカー配列、e)イントロン配列、f)第3のリンカー配列、g)第1のUTR配列、h)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部分)、i)第2のUTR配列、j)第4のリンカー配列、k)ポリA配列、l)第5のリンカー配列、及びm)第2のITR配列を含む。
特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、以下の順序で以下の要素、a)第1のITR配列、b)第1のリンカー配列、c)構成的、または低酸素誘発性プロモーター配列、d)第2のリンカー配列、e)イントロン配列、f)第3のリンカー配列、g)第1のUTR配列、h)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部分)、i)第2のUTR配列、j)第4のリンカー配列、k)ポリA配列、l)第5のリンカー配列、及びm)第2のITR配列を含み、導入遺伝子は、VEGF(配列番号5)のシグナルペプチドを含み、導入遺伝子は、開裂可能なF/F2A配列によって分離される軽鎖配列及び重鎖配列をコードする。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるAAV(AAVウイルスベクター)は、以下の順序で以下の要素、a)構成的、または低酸素誘導性プロモーター配列、及びb)導入遺伝子をコードする配列(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部分)を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、VEGFに対する、翻訳後修飾された完全ヒト(HuPTM)抗体である。いくつかの実施形態では、VEGFに対する翻訳後修飾された完全ヒト抗体は、VEGF(「HuPTMFabVEGFi」)に対するモノクローナル抗体(mAb)の、翻訳後修飾された完全ヒト抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、HuPTMFabVEGFiは、抗VEGF mAb(「HuGlyFabVEGFi」)の、完全ヒトグリコシル化抗原結合フラグメントである。代替的実施形態では、全長mAbを使用できる。いくつかの実施形態では、導入遺伝子を送達するために使用されるAAVは、ヒト網膜細胞または光受容細胞に対する指向性を有するべきである。このようなAAVとしては、非複製組換えアデノ随伴ウイルスベクター(「rAAV」)を挙げることができ、特にAAV8キャプシドを有するrAAVが好ましい。特定の実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターまたはその他のDNA発現構造体は、Construct Iであり、Construct Iは、以下の構成成分、(1)発現カセットに隣接するAAV8逆位末端反復配列、(2)制御要素、すなわちa)CMVエンハンサー/ニワトリβアクチンプロモーターを含むCB7プロモーター、b)ニワトリβアクチンイントロン、及びc)ウサギβグロビンポリAシグナル、ならびに(3)自己開裂フューリン(F)/F2Aリンカーによって分離される、抗VEGF抗原結合フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列であって、確実に同量の重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを発現する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、MYRMQLLLLIALSLALVTNS(配列番号55)である。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、IL-2シグナル配列に由来する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、表1に開示される任意のシグナルペプチドからのシグナルペプチド、例えばMNFLLSWVHW SLALLLYLHH AKWSQA(VEGF-Aシグナルペプチド)(配列番号5)、MERAAPSRRV PLPLLLLGGL ALLAAGVDA(フィビュリン-1シグナルペプチド)(配列番号6)、MAPLRPLLIL ALLAWVALA(ビトロネクチンシグナルペプチド)(配列番号7)、MRLLAKIICLMLWAICVA(補体因子Hシグナルペプチド)(配列番号8)、MRLLAFLSLL ALVLQETGT(オプチシンシグナルペプチド)(配列番号9)、MKWVTFISLLFLFSSAYS(アルブミンシグナルペプチド)(配列番号22)、MAFLWLLSCWALLGTTFG(キモトリプシノーゲンシグナルペプチド)(配列番号23)、MYRMQLLSCIALILALVTNS(インターロイキン-2シグナルペプチド)(配列番号24)、MNLLLILTFVAAAVA(トリプシノーゲン-2シグナルペプチド)(配列番号25)、またはMYRMQLLLLIALSLALVTNS(変異体インターロイキン-2シグナルペプチド)(配列番号55)を含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターまたはその他のDNA発現構造体は、Construct IIであり、Construct IIは、以下の構成成分、(1)発現カセットに隣接するAAV2逆位末端反復配列、(2)制御要素、すなわちa)CMVエンハンサー/ニワトリβアクチンプロモーターを含むCB7プロモーター、b)ニワトリβアクチンイントロン、及びc)ウサギβグロビンポリAシグナル、ならびに(3)自己開裂フューリン(F)/F2Aリンカーによって分離される、抗VEGF抗原結合フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列であって、確実に同量の重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを発現する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗hVEGF抗体は、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態では、AAVキャプシド内へのパッケージングに好適なウイルスベクターまたはその他の発現Constructは、(1)発現カセットの側面に位置するAAV逆位末端反復(ITR)、(2)1種以上のエンハンサー及び/またはプロモーター、d)ポリAシグナル、及びe)所望によりイントロンから本質的になる制御調節要素、ならびに(3)対象である1種以上のRNAまたはタンパク質生成物を提供する(例えば、コードする)導入遺伝子を含む。
いくつかの態様では、本開示は使用できる核酸を提供し、核酸は、本明細書に記載のプロモーターまたはエンハンサー-プロモーターに作動可能に連結した治療用産物をコードする。
いくつかの態様では、本開示は使用できる核酸を提供し、核酸は、HuPTMFabVEGFi、例えばCB7プロモーター(ニワトリβアクチンプロモーター及びCMVエンハンサー)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、MMTプロモーター、EF-1αプロモーター、UB6プロモーター、ニワトリβ-アクチンプロモーター、CAGプロモーター、RPE65プロモーター及びオプシンプロモーターからなる群から選択されるプロモーターに作動可能に連結したHuGlyFabVEGFiをコードする。特定の実施形態では、HuPTMFabVEGFiは、CB7プロモーターに作動可能に連結される。
特定の実施形態では、本明細書において、1種以上の核酸(例えばポリヌクレオチド)を含む組換えベクターが提供される。核酸は、DNA、RNAまたはDNA及びRNAの組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、DNAは、プロモーター配列、関心対象である治療用産物をコードする配列(導入遺伝子、例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント)、非翻訳領域、及び終止配列からなる群から選択される1種以上の配列を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、関心対象である治療用産物をコードする配列に、使用可能な状態で連結されるプロモーターを含む。
特定の実施形態では、本明細書にて開示される核酸(例えばポリヌクレオチド)及び核酸配列は、例えば、当業者に知られているいずれかの任意のコドン最適化技法を介して、コドン最適化されてもよい(例えば、Quax et al.,2015,Mol Cell 59:149-161による論評を参照)。
特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、関心対象である治療用産物(例えば、導入遺伝子、例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント部分)をコードする修飾mRNAを含む。特定の実施形態では、本明細書において、抗VEGF抗原結合フラグメント部分をコードする修飾mRNAが提供される。特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えベクターは、shRNA、siRNAまたはmiRNAである治療用産物をコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、タンパク質送達を調節する構成成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供されるウイルスのベクターは、1種以上のシグナルペプチドを含む。シグナルペプチドの例としては、VEGF-Aシグナルペプチド(配列番号5)、フィビュリン-1シグナルペプチド(配列番号6)、ビトロネクチンシグナルペプチド(配列番号7)、補体因子Hシグナルペプチド(配列番号8)、オプチシンシグナルペプチド(配列番号9)、アルブミンシグナルペプチド(配列番号22)、キモトリプシノーゲンシグナルペプチド(配列番号23)、インターロイキン-2シグナルペプチド(配列番号24)、トリプシノーゲン-2シグナルペプチド(配列番号25)、変異体インターロイキン-2シグナルペプチド(配列番号55)が挙げられるが、これらに限定されない。
(a)ウイルスベクター
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターは、AAVベースのウイルスベクターである。好ましい実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターは、AAV8ベースのウイルスベクターである。特定の実施形態では、本明細書で提供されるAAV8ベースのウイルスベクターは、網膜細胞への指向性を保持する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるAAVベースのベクターは、AAVrep遺伝子(複製のために必要)及び/またはAAVcap遺伝子(キャプシドタンパク質の合成のために必要)をコードする。複数のAAV血清型が同定されている。特定の実施形態では、本明細書で提供されるAAVベースのベクターは、AAVの1種以上の血清型からの構成成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供されるAAVベースのベクターは、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15及びAAV.HSC16の1種以上からのキャプシド構成成分を含む。好ましい実施形態では、本明細書で提供されるAAVベースのベクターは、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAVrh10血清型からの1種以上の構成成分を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される組換えウイルスベクターは、ヒトにおいて複製欠損型となるように改変されている。特定の実施形態では、組換えウイルスベクターは、ハイブリッドベクター、例えば「無力な(helpless)」アデノウイルスベクター中に置いたAAVベクターである。特定の実施形態では、本明細書において、第1のウイルスからのウイルスキャプシドと、第2のウイルスからのウイルスエンベロープタンパク質と、を含む、組換えウイルスベクターが提供される。特定の実施形態では、第2のウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)である。より具体的な実施形態では、エンベロープタンパク質は、VSV-Gタンパク質である。
特定の実施形態で提供されるのは、調節要素の制御下にあり、ITR、及びAAV8キャプシドタンパク質のアミノ酸配列を有する、またはAAV8キャプシドタンパク質(配列番号48)のアミノ酸配列と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または99.9%同一である一方で、AAV8キャプシドの生物学的機能を保持するウイルスのキャプシドが隣接する、導入遺伝子発現のための発現カセットを含むウイルスゲノムを含むAAV8ベクターである。特定の実施形態では、コードされるAAV8キャプシドは、配列番号48の配列において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のアミノ酸が置換された配列を有し、AAV8キャプシドの生物学的機能を保持している。
特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法で使用されるAAVは、Zinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068に記載されているようなAnc80またはAnc80L65が挙げられ、同文献は、参照によりその全体が援用される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法で使用されるAAVは、米国特許第9,193,956号、同第9,458,517号、及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているようなLGETTRPまたはLALGETTRPというアミノ酸挿入のうちの1つを含み、同明細書はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法で使用されるAAVは、米国特許第9,193,956号、同第9,458,517号及び同第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているようなAAV.7m8が挙げられ、同明細書はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法で使用されるAAVは、AAV.PHP.Bなどの、米国特許第9,585,971に開示される任意のAAVである。特定の実施形態では、本明細書に記載されている方法で使用されるAAVは、米国特許第7,906,111号、同第8,524,446号、同第8,999,678号、同第8,628,966号、同第8,927,514号、同第8,734,809号、US9,284,357、同9,409,953、同9,169,299、同9,193,956、同9458517、及び同9,587,282、米国特許出願公開第2015/0374803号、同第2015/0126588号、同第2017/0067908号、同第2013/0224836号、同第2016/0215024号、同第2017/0051257号、ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号、PCT/EP2015/053335の特許及び特許出願のいずれかにおいて開示されるAAVであり、同明細書はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。
AAV8ベースのウイルスベクターは、本明細書に記載の方法のいくつかで使用される。AAVベースのウイルスベクターの核酸配列、ならびに組換えAAV及び組換えAAVキャプシドの作製方法は、例えば、米国特許第7,282,199B2号、米国特許第7,790,449B2号、米国特許第8,318,480B2号、米国特許第8,962,332B2号及び国際出願第PCT/EP2014/076466号に記載されており、同明細書はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。一態様では、本明細書において、導入遺伝子(例えば、抗VEGF抗原結合フラグメント)をコードするAAV(例えばAAV8)ベースのウイルスベクターが提供される。特定の実施形態では、本明細書において、抗VEGF抗原結合フラグメントをコードするAAV8ベースのウイルスベクターが提供される。より具体的な実施形態では、本明細書において、ラニビズマブをコードするAAV8ベースのウイルスベクターが提供される。
特定の実施形態では、上記において一本鎖AAV(ssAAV)を用いてよい。特定の実施形態では、自己相補型ベクター、例えばscAAVを用いてもよい(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82、McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol 8,Number 16,Pages1248-1254、ならびに米国特許第6,596,535号、同第7,125,717号及び同第7,456,683号(これらの文献はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい)。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法で用いられるウイルスベクターは、アデノウイルスベースのウイルスベクターである。組換えアデノウイルスベクターを使用して、抗VEGF抗原結合フラグメントを導入することができる。組換えアデノウイルスは、E1欠失を伴い、E3欠失を伴うまたは伴わない、いずれかの欠失領域に発現カセットを挿入した第1世代ベクターであり得る。組換えアデノウイルスは、E2及びE4領域を完全にまたは部分的に欠失した、第2世代ベクターであり得る。ヘルパー依存型アデノウイルスは、アデノウイルスの逆位末端反復及びパッケージングシグナル(φ)のみを保持する。導入遺伝子は、ゲノムを約36kbの野生型サイズに近づけるためのスタッファー配列と共に、またはそれなしで、パッケージングシグナルと3´ITRとの間に挿入される。アデノウイルスベクター産生のための例示的なプロトコルは、Alba et al.,2005,“Gutless adenovirus:last generation adenovirus for gene therapy,”Gene Therapy 12:S18-S27中で見いだされてもよく、同文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法で用いられるベクターは、関連する細胞(例えば、インビボまたはインビトロでの網膜細胞)へのベクター導入に際し、グリコシル化及び/またはチロシン硫酸化した抗VEGF抗原結合フラグメントのバリアントが細胞で発現されるように、抗VEGF抗原結合フラグメント(例えばラニビズマブ)をコードするベクターである。特定の実施形態では、発現した抗VEGF抗原結合フラグメントは、グリコシル化及び/またはチロシン硫酸化パターンを含む。
(b)治療用産物または導入遺伝子
治療用産物は、例えば治療用タンパク質(例えば抗体)、治療用RNA(例えば、shRNA、siRNA及びmiRNA)、または治療用アプタマーであることができる。
特定の実施形態では、本開示は、導入遺伝子をコードする組換えAAVを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、IDUAをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、イズロン酸2-サルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、IDSをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、LDLRをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、TPP1をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗カリクレイン(抗pKal)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ラナデルマブのFabまたは全長抗体をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、huFollistatin344をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN2をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN3をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN6をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、huFollistatin344をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN2をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN3をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN6をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。
特定の実施形態では、治療用産物(例えば導入遺伝子)は、(1)抗ヒト血管内皮増殖因子(hVEGF)抗体またはアプタマー、(2)抗hVEGF抗原結合フラグメント、(3)抗hVEGF抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab‘)2または単鎖可変領域フラグメント(scFv)である、(4)パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、(5)トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、(6)バッテニン(CLN3)、及び(7)CLN6膜貫通ERタンパク質(CLN6)である。
特定の実施形態では、本開示は、導入遺伝子をコードする組換えAAVを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗VEGF Fabまたは抗VEGF抗体をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。より具体的な実施形態では、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、IDUAをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、イズロン酸2-サルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、IDSをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、LDLRをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、TPP1をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)をコードするrAAV8ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、マイクロジストロフィン(microdystrophin)をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗カリクレイン(抗pKal)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ラナデルマブのFabまたは全長抗体をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、huFollistatin344をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN2をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN3をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN6をコードするrAAVウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、huFollistatin344をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ヒト-α-サルコグリカン-γ-サルコグリカンをコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN2をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN3をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、CLN6をコードするrAAV8ベースまたはrAAV9ベースのウイルスベクターが本明細書において提供される。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、(1)バッテン-CLN1関連の眼の病態であり、治療用産物はパルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)である、(2)バッテン-CLN2関連の眼の病態であり、治療用産物はトリペプチジル-ペプチダーゼ1(TPP1)である、(3)バッテン-CLN3関連の眼の病態であり、治療用産物はバッテニン(CLN3)である、(4)バッテン-CLN6関連の眼の病態であり、治療用産物はCLN6膜貫通ERタンパク質(CLN6)である、(5)バッテン-CLN7関連の眼の病態であり、治療用産物は、主要なファシリテータースーパーファミリードメイン含有8(Major Facilitator Superfamily Domain Containing 8)(MFSD8)である、及び(6)バッテン-CLN1関連の眼の病態であり、治療用産物は、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)である、にて使用可能である。
いくつかの実施形態では、HuPTMFabVEGFi、例えば導入遺伝子にコードされるHuGlyFabVEGFiとしては、VEGFに結合する抗体の抗原結合フラグメント、例えばベバシズマブ、抗VEGF Fab部分、例えばラニビズマブ、またはこのようなベバシズマブまたはラニビズマブの、Fabドメイン上に追加のグリコシル化部位を含有するように設計されたFab部分(例えばCourtois et al.,2016,mAbs 8:99-112を参照、同文献は、完全長抗体のFabドメイン上で高グリコシル化されたベバシズマブ誘導体の記載に関して、参照によりその全体が本明細書に援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子をコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、網膜細胞における発現のために、適切な発現調節要素によって制御される。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブFab部分の軽鎖及び重鎖のcDNA配列(それぞれ配列番号10及び11)を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブ軽鎖及び重鎖のcDNA配列(それぞれ配列番号12及び13)を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、それぞれ配列番号3及び4の軽鎖及び重鎖を含む、ベバシズマブFabをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号3に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号4に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号3に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号4に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖と、を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、それぞれ配列番号1及び2の軽鎖及び重鎖を含む、高グリコシル化ラニビズマブをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号1に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号2に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号1に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号2に記載される配列に、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖と、を含む抗原結合フラグメントをコードする。
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、以下、L118N(重鎖)、E195N(軽鎖)またはQ160NもしくはQ160S(軽鎖)の突然変異の1種以上を有する、配列番号3及び4の軽鎖及び重鎖を含む高グリコシル化ベバシズマブFabをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、以下、L118N(重鎖)、E195N(軽鎖)またはQ160NもしくはQ160S(軽鎖)の突然変異の1種以上を有する、配列番号1及び2の軽鎖及び重鎖を含む高グリコシル化ラニビズマブをコードする。抗原結合フラグメント導入遺伝子cDNAの配列は、例えば表1において見いだされ得る。特定の実施形態では、抗原結合フラグメント導入遺伝子cDNAの配列は、配列番号10及び11または配列番号12及び13のシグナル配列を、1種以上のシグナル配列で置き換えることにより得られる。
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、抗原結合フラグメントをコードし、6つのベバシズマブCDRのヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、抗原結合フラグメントをコードし、6つのラニビズマブCDRのヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの重鎖CDR1~3(配列番号20、18及び21)を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの重鎖CDR1~3(配列番号17~19)を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ラニビズマブの重鎖CDR1~3(配列番号20、18及び21)を含む重鎖可変領域と、ラニビズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域と、を含む抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、ベバシズマブの重鎖CDR1~3(配列番号17~19)を含む重鎖可変領域と、ベバシズマブの軽鎖CDR1~3(配列番号14~16)を含む軽鎖可変領域と、を含む抗原結合フラグメントをコードする。
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)がそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)がアセチル化されない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)がそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)がアセチル化されない、抗原結合フラグメントをコードする。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)がアセチル化されない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域を含む抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)がアセチル化されない、抗原結合フラグメントをコードする。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域と、を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さず、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域と、を含む抗原結合フラグメントをコードであって、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)がアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)が、それぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗VEGF抗原結合フラグメント導入遺伝子は、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3を含む軽鎖可変領域と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3を含む重鎖可変領域と、を含む抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR3の第2のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)がアセチル化されず、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)がアセチル化されない、抗原結合フラグメントをコードする。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号20の重鎖CDR1を含み、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)が、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)はアセチル化されず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)がそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)はアセチル化されない。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
特定の態様では、本明細書において、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、このような抗原-VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子と、を含む抗VEGF抗原結合フラグメントであって、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗VEGF抗原結合フラグメントもまた提供される。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)はそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)は、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)はアセチル化されない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)はそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)はアセチル化されない。本明細書で提供される抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の、本発明による任意の方法において使用できる。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
特定の態様では、本明細書において、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、このような抗原-VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子と、を含む抗VEGF抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗VEGF抗原結合フラグメントもまた提供される。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)はアセチル化されない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)はアセチル化されない。本明細書で提供される抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の、本発明による任意の方法において使用できる。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
特定の態様では、本明細書において、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、このような抗原-VEGF抗原結合フラグメントをコードする導入遺伝子と、を含む、抗VEGF抗原結合フラグメントであって、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)が酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さず、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)が酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない、抗VEGF抗原結合フラグメントもまた提供される。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)は酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGluの)の化学修飾の1種以上を有さず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)はそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)は酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有さない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)はアセチル化されず、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)はアセチル化されない。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、配列番号14~16の軽鎖CDR1~3と、配列番号20、18及び21の重鎖CDR1~3と、を含み、(1)重鎖CDR1の9番目のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のM)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR2の3番目のアミノ酸残基(すなわち、WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号18)のN)はアセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、重鎖CDR1の最後のアミノ酸残基(すなわち、GYDFTHYGMN(配列番号20)のN)はアセチル化されず、さらに(2)軽鎖CDR1の8番目及び11番目のアミノ酸残基(すなわち、SASQDISNYLN(配列番号14)の2つのN)はそれぞれ、酸化、アセチル化、脱アミド化及びピログルタミル化(pyroglutamation)(ピロGlu)の化学修飾の1種以上を有し、軽鎖CDR3の2番目のアミノ酸残基(すなわち、QQYSTVPWTF(配列番号16)の2番目のQ)はアセチル化されない。本明細書で提供される抗VEGF抗原結合フラグメント及び導入遺伝子は、本明細書に記載の、本発明による任意の方法において使用できる。好ましい実施形態では、本明細書に記載の化学修飾(複数可)、または(場合によっては)化学修飾(複数可)の欠如は、質量分析によって決定される。
Figure 2022076549000001
Figure 2022076549000002
Figure 2022076549000003
Figure 2022076549000004
Figure 2022076549000005
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Figure 2022076549000010
Figure 2022076549000011
Figure 2022076549000012
Figure 2022076549000013
Figure 2022076549000014
4.5疾患
本明細書で提供される医薬組成物または参照医薬組成物(例えばセクション4.1)は、nAMD(滲出型AMD)、萎縮型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)、またはバッテン病と診断された対象に投与できる。
いくつかの実施形態では、本明細書にて、nAMD(滲出型AMD)、萎縮型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)、またはバッテン病と診断された対象に、脈絡膜上注射(例えば、マイクロニードルを備えたマイクロインジェクターなどの、脈絡膜上への薬物送達デバイスを介して)によって、治療上有効量の医薬組成物を対象に投与することで、対象を治療する方法が開示される。
いくつかの実施形態では、約2.5×1011GC/眼、約5×1011GC/眼または約1.5×1012GC/眼のConstruct IIを含有し、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mLすなわち4w/v%のスクロース、及び所望により界面活性剤を含む医薬組成物を、脈絡膜上投与を介して患者に投与する。いくつかの実施形態では、患者は糖尿病性網膜症を有する。
いくつかの実施形態では、約2.5×1011GC/眼、約5×1011GC/眼または約1.5×1012GC/眼のConstruct IIを含有し、10w/v%のスクロースを含む医薬組成物を、脈絡膜上投与を介して患者に投与する。いくつかの実施形態では、患者は糖尿病性網膜症を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、240mOsm/kg以上の張度/浸透圧を有する。
いくつかの態様では、本明細書にて、治療上有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠動脈疾患、脳血管疾患、デュシェンヌ筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー及び封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患と診断された対象を治療するために好適な医薬組成物、または方法が開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物はSCS内に投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される(例えばセクション4.1)医薬組成物または参照医薬組成物は、(1)バッテン-CLN2、治療用産物はトリペプチジル-ペプチダーゼ1(TPP1)である、(2)アッシャー症候群1型、治療用産物はミオシンVIIA(MYO7A)である、(3)アッシャー症候群1型、治療用産物はCadherin Related 23(CDH23)である、(4)アッシャー症候群2型、治療用産物はProtocadherin Related 15(PCDH15)である、(5)アッシャー症候群2型、治療用産物はUsherin(USH2A)である、(6)アッシャー症候群3型、治療用産物はClarin 1(CLRN1)である、(7)スターガルト病、治療用産物は、ATP Binding Cassette Subfamily A Member 4 (ABCA4)である、(8)スターガルト病 治療用産物はELOVL Fatty Acid Elongase 4(ELOVL4)である、(9)赤緑色覚異常、治療用産物はLオプシン(OPN1LW))である、(10)赤緑色覚異常、治療用産物はMオプシン(OPN1MW)である、(11)青錐体1色型覚異常、治療用産物はMオプシン(OPN1MW)である、(12)レーバー先天性黒内障-1(LCA 1)、治療用産物はGuanylate Cyclase 2D, Retinal(GUCY2D)である、(13)レーバー先天性黒内障-2(LCA 2)、治療用産物はRetinoid Isomerohydrolase RPE65(RPE65)である、(14)レーバー先天性黒内障-4(LCA 4)、及び、治療的産物はAryl Hydrocarbon Receptor Interacting Protein Like 1(AIPL1)である、(15)レーバー先天性黒内障-7(LCA 7)、治療用産物はCone-Rod Homeobox(CRX)である、(16)レーバー先天性黒内障-8(LCA 8)、治療用産物はCrumbs Cell Polarity Complex Component 1(CRB1)である、(17)レーバー先天性黒内障-9(LCA 9)、治療用産物はNicotinamide Nucleotide Adenylyltransferase 1(NMNAT1)である、(18)レーバー先天性黒内障-10(LCA 10)、治療用産物はCentrosomal Protein 290(CEP290)である、(19)レーバー先天性黒内障-11(LCA 11)、治療用産物はInosine Monophosphate Dehydrogenase 1 (IMPDH1)である、(20)レーバー先天性黒内障-15(LCA 15)、治療用産物はTubby Like Protein 1(TULP1)である」、(21)LHON、治療用産物はMitochondrially Encoded NADH Dehydrogenase 4(mT-ND4)である、(22)LHON、治療用産物はMitochondrially Encoded NADH Dehydrogenase 6(mT-ND6)である、(23)先天性脈絡膜欠如、治療用産物はRab Escort Protein 1(CHM)である、(24)X連鎖性網膜分離症(XLR)、治療用産物はRetinoschisin(RS1)である、(25)バルデービードル症候群1、治療用産物はBardet-Biedl Syndrome 1(BBS1)である、(26)バルデービードル症候群6、治療用産物はMcKusick-Kaufman Syndrome (MKKS)である、(27)バルデービードル症候群10、治療用産物はBardet-Biedl Syndrome 10(BBS10)である、(28)錐体ジストロフィー、治療用産物はGuanylate Cyclase Activator 1A(GUCA1A))である、(29)視神経萎縮症、治療用産物はOPA1 Mitochondrial Dynamin Like GTPase(OPA1)である、(30)網膜色素変性症1、治療用産物はRP1 Axonemal Microtubule Associated(RP1)である、(31)網膜色素変性症2、治療用産物はRP2 Activator of ARL3 GTPase(RP2)である、(32)網膜色素変性症7、治療用産物はPeripherin 2(PRPH2)である、(33)網膜色素変性症11、治療用産物はPre-mRNA Processing Factor 31(PRPF31)である、(34)網膜色素変性症13、治療用産物はPre-mRNA Processing Factor 8(PRPF8)である、(35)網膜色素変性症37、治療用産物はNuclear Receptor Subfamily 2 Group E Member 3(NR2E3)である、(36)網膜色素変性症38、治療用産物はMER Proto-Oncogene, Tyrosine Kinase(MERTK)である、(37)網膜色素変性症40、治療用産物はPhosphodiesterase 6B(PDE6B)である、(38)網膜色素変性症41、治療用産物はProminin 1(PROM1))である、(39)網膜色素変性症56、治療用産物はInterphotoreceptor Matrix Proteoglycan 2(IMPG2)である、(40)網膜色素変性症62、治療用産物はMale Germ Cell Associated Kinase(MAK)である、(41)網膜色素変性症80、治療用産物はIntraflagellar Transport 140(IFT140)である、または(42)ベスト病、治療用産物はBestrophin 1(BEST1)である、と診断された対象に投与できる。
4.6アッセイ
当業者は、本明細書に記載のアッセイ及び/または当該技術分野で公知の技術を使用して、本明細書に記載の組成物及び方法を試験する、例えば、本明細書に提供する製剤を試験してもよい。セクション5に詳細に記載されるように、本明細書において、以下のアッセイも提供される。
4.6.1超音波Bスキャン
高周波超音波(U/S)プローブ(UBM Plus;Accutome,Malvern,PA,USA)を使用して、エクスビボの動物の眼において、異なる体積、異なる粘度(例えば、25μl~500μl、低粘度から高粘度にわたる)の注入後、SCSの二次元断面画像を作成することによってSCSの厚みを決定できる。U/Sプローブカバー(Clearscan,Eye-Surgical-Instruments,Plymouth,MN)をUBM Plusに取り付けると、U/S画像取得を容易にできる。U/Sプローブを使用して、眼周辺の矢状断面図(例えば8枚の矢状断面図)を取得できる。U/S Bスキャンの後処理を実行して、外側の強膜から内側の網膜までの厚みを、例えば、強膜岬の1mm、5mm及び9mm後方で見いだすことができる。眼ごとの平均値、中央値及び標準偏差を算出できる。
4.6.2液体体積に基づくSCSの厚みの測定
三次元クライオ再構成イメージングを使用して、SCSの厚みを測定することができる。例えば、赤色蛍光性粒子含有の25μL~500μlを注入した動物の眼を、注射後、数分間(例えば3~5分)凍結し、凍結切片を調製する。デジタルカメラを用いて、クライオスタットで試料をスライスすることによって、300μmごとの組織凍結ブロックの赤色蛍光画像1枚を取得することができる。赤色蛍光画像からなる画像スタックを解析して、SCSの厚みを決定する。
4.6.3製剤に基づくSCSの厚みの測定
異なる粘度の医薬組成物を動物のSCS内に注入後、U/S Bスキャンを使用してSCSの厚みを決定できる。高周波超音波Bスキャンを使用して、SCSの崩壊速度を決定できる。毛様体扁平部上での8枚の矢状断面図、すなわち(a)注射部位上の、鼻上部、(b)上部、(c)鼻部、(d)側頭上部、(e)側頭部、(f)側頭下部、(g)下部、(h)及び鼻下部を取得できる。
U/S表示上でオフラインの後処理を実行して、SCSの厚みを測定することができる。U/Sプローブは、15μmの最小距離分解能を有することができる。各U/S表示について、強膜岬の後方で、強膜に対して垂直な5mmの線分を引くことができる。線は、強膜の外表面から始まり、網膜の内表面で終わることができる。この線を確実に垂直にするために、強膜及び網膜を測定に含むことができる。続いて、測定した線の長さから組織の厚みを差し引くことによって、SCSの厚みを算出できる。カーブフィッティングを行って、SCS崩壊の速度を決定する。
U/S Bスキャンを使用して、複数箇所で経時的にSCSの厚みを決定し、SCS崩壊の速度を算出することができる。注入した蛍光材料の、SCSからのおおよそのクリアランス速度は、インビボでの動物の眼において、蛍光性眼底の画像を、蛍光が検出されなくなるまで経時的に撮影することによって、見いだすことができる。
4.6.4眼底撮影によるSCSのクリアランス動態
SCS内の動きへの、AAV凝集の影響を検査するために、AAV凝集レベルが異なり、フルオレセインを含有する異なる医薬組成物を、SCS内に注入することができる。インビボでの動物の眼において、経時的に蛍光性眼底の画像を撮影することによって、注入する蛍光材料の、SCSからのおおよそのクリアランス速度またはクリアランス時間を見いだすことができる。場合によっては、総蛍光シグナルの経時的な正規化濃度に由来するカーブフィットを用いて算出した、総クリアランス時間及びクリアランス時間定数(tclearance)を決定することによって、クリアランス速度を決定できる。各撮影セッションの前に、瞳を拡大するためのトロピカミド及びフェニレフリン(Akorn,Lake Forest,IL)の局所的点眼を投与できる。130°レンズを装着し、内蔵型蛍光眼底血管撮影モジュールを備えたRetCam II(Clarity Medical Systems,Pleasanton,CA)を使用して、画像を取得することができる。例えば、0.0009、1.6及び2.4W/mに設定したRetCam IIからの青色光の出力によって、複数の画像を撮影できる。眼球の内面全体を撮影するためには、9枚の画像、すなわち中心部、鼻上部、上部、側頭上部、側頭部、側頭下部、下部、下鼻部、鼻部の画像を取得することができる。これによって遠周辺内での撮影が可能となる。撮影は、注射の直後、注射後1時間、3時間ごとに12時間、及び2日ごとに行うことができる。総クリアランス時間は、目視観測では蛍光を検出可能でない、注射後の最初の時点と定義でき、注射した全ての眼について決定する。類似の実験において、SCS内でのAAV粒子の運動及びクリアランスを追跡するために、フルオレセインイソチオシアネート複合化AAV(FITC-AAV)、またはFITC複合化AAVキャプシドタンパク質特異的モノクローナル抗体を利用してもよい。AAVの蛍光標識方法は、当該技術分野において既知である(Shi,et al.Sci.Adv.2020;6:eaaz3621及びTsui,T.Y.,et al.Hepatology 42,335-342(2005)。多くのAAV血清型を認識する抗体(複合化FITC)は市販されている。
4.6.5二次元の周辺への拡散を特徴づけるフラットマウント
フルオレセイン含有の本開示の医薬組成物、または蛍光標識AAVをSCS内に注入する。SCS注入及び凍結後、粒子及びフルオレセインの二次元拡散を評価するために眼の準備を行うことができる。凍結した眼をスライスして輪部から後極まで開き、等距離の強膜フラップを作製する。得られた強膜フラップを開き、凍結した硝子体、水晶体及び房水を除去する。
100mmレンズ(Canon)を装着したデジタル一眼レフカメラ(Canon 60D,Canon,Melville,N.Y.)を使用して、明視野及び蛍光画像を取得することができる。カメラパラメーターは一定に保持する。フルオレセイン拡散領域を取得するために、緑色光学バンドパスフィルター(520±10 nm;Edmunds Optics,Barrington,N.J.)をレンズに配置し、試料を、多色LED電球を青紫色にセットしたランプ(S Series RGB MR16/E26.HitLights,Baton Rouge,La.)によって照らすことができる。赤色蛍光粒子の位置を視覚化するために、赤色フィルター(610±10nm;Edmunds Optics)をレンズに配置し、緑色光へ切り替えた同一のランプで試料を照らすことができる。閾値を超える緑色及び赤色蛍光の領域を、ImageJ(National Institutes of Health,Bethesda,Md.)を用いて、眼ごとに算出できる。閾値設定は、バックグラウンドシグナルの目視検査を基準として手動で設定できる。
4.6.6眼圧測定
圧力測定システムを使用して、SCS注入後、SCS内の圧力を測定することができる。動物を、ケタミン/キシラジンカクテルの皮下注射によって終末的に麻酔することができる。SCS注入(N=4)後、数分ごとにSCS内の圧力を測定することができる。圧力を、注入前からの元のベースライン値(すなわち約15mmHg)に到達するまで監視する。測定後、動物に致死量のペントバルビタールを静脈内注射し、安楽死させる。SCS注入の第2セットは、動物の死後に行うことができる。死後の測定では、圧力は、注入を行った組織の腔(すなわちSCS)においてのみ測定する。
4.6.7温度ストレスアッセイ
温度ストレス開発安定性試験を、1.0×1012GC/mLで、37℃、4日間にわたって実施して、本明細書で提供する製剤の相対的安定性を評価することができる。
アッセイを用いて、インビトロ相対力価(IVRP)、ベクターのゲノム濃度(ddPCRによるVGC)、色素蛍光による遊離DNA、動的光散乱、外観、及びpHが挙げられるが、これらに限定されない安定性を評価することができる。長期的な開発安定性試験を12ヵ月間実施して、本明細書において提供される製剤の、-80℃(≦-60℃)及び-20℃(-25℃~-15℃)での、インビトロ相対力価及びその他の品質の維持を示すことができる。
4.6.8インビトロ相対力価(IVRP)アッセイ
ddPCR GC力価を遺伝子発現に関連付けるために、HEK293細胞を形質導入し、細胞培養上清を抗VEGF Fabタンパク質レベルについてアッセイすることにより、インビトロバイオアッセイを実施してもよい。HEK293細胞を3枚のポリ-D-リジンでコーティングした96ウェル組織培養プレートに一晩プレーティングする。次いで、細胞を野生型ヒトAd5ウイルスに事前感染させた後、AAVベクター参照標準と試験物質の3つの独立して調製した段階希釈液で形質導入し、各調製物を別々のプレートの異なる位置にプレーティングする。形質導入の3日後に、細胞培養培地をプレートから回収し、ELISAを介してVEGF結合Fabタンパク質レベルを測定する。ELISAの場合、VEGFでコーティングされた96ウェルELISAプレートをブロックし、次いで回収した細胞培養培地と共にインキュベートして、HEK293細胞によって産生された抗VEGF Fabを捕捉する。Fab特異的抗ヒトIgG抗体を使用して、VEGFで捕捉されたFabタンパク質を検出する。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)基質溶液を添加し、発色させ、停止緩衝液で停止させ、プレートリーダーでプレートを読み取る。HRP産物の吸光度またはODを対数希釈に対してプロットし、各試験物質の相対力価を、平行類似性試験に合格した後の4パラメーターロジスティック回帰モデルでフィッティングした同じプレート上の参照標準に対して、式:EC50参照÷EC50試験物質を使用して計算する。試験物質の力価は、3枚のプレートの加重平均から計算した、参照標準力価の割合として報告される。
ddPCR GC力価を機能的遺伝子発現に関連付けるために、HEK293細胞に形質導入し、導入遺伝子(酵素など)の活性をアッセイすることにより、インビトロバイオアッセイを実施してもよい。HEK293細胞を、3枚の96ウェル組織培養プレートに一晩プレーティングする。次いで、細胞を野生型ヒトアデノウイルス血清型5型ウイルスに事前感染させた後、酵素参照標準と試験物質の3つの独立して調製した段階希釈液で形質導入し、各調製物を別々のプレートの異なる位置にプレーティングする。形質導入の2日後に、細胞を溶解し、低pHで処理して酵素を活性化し、導入遺伝子(酵素)による切断時に蛍光シグナルを増加させるペプチド基質を使用して酵素活性をアッセイする。RFUの蛍光を対数希釈に対してプロットし、各試験物質の相対力価を、平行類似性試験に合格した後の4パラメーターロジスティック回帰モデルでフィッティングした同じプレート上の参照標準に対して、式:EC50参照÷EC50試験物質を使用して計算する。試験物質の力価は、3枚のプレートの加重平均から計算した、参照標準力価の割合として報告される。
4.6.9ベクターゲノム濃度アッセイ
ddPCRを使用してベクターゲノム濃度(GC)を評価することもできる。注射後の異なる時点で数匹のマウスを屠殺し、眼の組織に、全DNA抽出及びベクターコピー数についてのddPCRアッセイを実施した。異なる組織切片において、経時的な時点で識別される組織のグラム当たりのベクターのゲノムコピー(導入遺伝子)は、眼におけるAAVの拡散を明らかにするであろう。
収集した眼の組織切片からの全DNAをDNeasy Blood & Tissue Kitによって抽出し、Nanodrop分光光度計を用いてDNA濃度を測定する。組織切片中のベクターコピー数を決定するために、Naica Crystal Digital PCRシステム(Stilla technologies)によってデジタルPCRを実施した。導入遺伝子AAVと内在性コントロール遺伝子とを同時に測定するための、2色多重システムを本明細書で適用した。端的にいえば、導入遺伝子プローブはFAM(6-カルボキシフルオレスセイン)色素によって標識でき、一方で内在性コントロールプローブはVIC蛍光色素によって標識できる。特定の組織切片における、2倍体細胞当たりの送達されたベクターのコピー数は、(ベクターコピー数)/(内在性コントロール)×2で算出する。特定の細胞型、例えばRPE細胞におけるベクターコピーは、網膜への持続的な送達を明らかにし得る。
4.6.10色素蛍光アッセイを使用した遊離DNA分析
DNAに結合したSYBR(登録商標)Gold核酸ゲル染色(「SYBR Gold色素」)の蛍光によって、遊離DNAを測定することができる。マイクロプレートリーダーを使用して蛍光を測定し、DNA標準で定量することができる。ng/μLでの結果を報告することができる。
測定したng/μLでの遊離DNAを、遊離DNAの割合に変換するために、2つのアプローチを使用して総DNAを推定することができる。第1のアプローチでは、UV-可視分光法によって測定したGC/mL(OD)を使用して、試料中の総DNAを推定した(式中、MはDNAの分子量、1E6は単位変換係数である):
推定総DNA(ng/μL)=1E6×GC/mL(OD)×M(g/mol)/6.02E23
第2のアプローチでは、試料を0.05%のポロキサマー188と共に85℃に20分間加熱することができ、加熱した試料中でSYBR Gold色素アッセイによって測定した実際のDNAを総量として使用することができる。したがって、これは全てのDNAを回収し、定量化したという仮定を有する。トレンド分析には、生のng/μLを使用することができ、または一貫した方法で測定した割合を使用することができる。
4.6.11サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SECは、Waters Acquity Arc機器ID0447(C3PO)で、パス長25mmのフローセルを用いて、Sepax SRT SEC-1000ピークカラム(PN215950P-4630、SN:8A11982、LN:BT090、5μm 1000A、4.6×300mm)を使用して実施することができる。移動相は、例えば、20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、0.005%のポロキサマー188、pH6.5とすることができ、流量は0.35mL/分で20分間、カラムは周囲温度とする。データ収集は、2ポイント/秒のサンプリングレートと1.2nmの解像度で実施することができ、214、260、及び280nmで25ポイントの平均平滑化を行う。理想的な標的負荷は1.5E11GCであり得る。試料には、理想的な標的の約1/3である50μLを注入するか、5μLを注入することができる。
4.6.12動的光散乱(DLS)アッセイ
動的光散乱(DLS)は、試料量30μLのCorning3540 384ウェルプレートを使用してWyatt DynaProIIIで実施することができる。反復ごとに10秒間にそれぞれ10回の取得結果を収集することができ、試料ごとに3回の反復測定を実施できる。溶媒は、例えばdPBS中のAAVベクターには「PBS」のように、試料で用いられる溶媒によって設定できる。データ品質基準(ベースライン、SOS、ノイズ、適合)を満たさない結果を「マーク」して、分析から除外することができる。
4.6.13粘度測定
粘度は、当該技術分野で公知の方法、例えば、2019年に公開された米国薬局方(USP)及びそれ以前のバージョン(その全体が参照により本明細書に援用される)で提供されている方法を使用して測定することができる。低せん断での粘度は、毛細管粘度計を用いて、USP<911>に記載されている方法を使用して測定した。
コーン及びプレートの回転性レオメータを用いて、粘度対せん断速度を決定した。流動測定については、米国薬局方(USP)のUSP<1911>に記載され、回転粘度測定については、USP<912>に記載される。ペルチェ温調プレートと60mm、1°の角度のアルミニウムコーンアクセサリ(TA Instruments,New Castle,DE)を装着したAr-G2レオメータによって、回転流動粘度測定値を収集した。粘度対せん断速度掃引を、<0.3s-1から開始し、最大5000s-1まで上昇させた範囲で、ディケード当たり5ポイントを収集して実施した。粘度対せん断速度は20℃で収集した。10,000及び20,000s-1の粘度は、データから外挿した。場合によっては、医薬組成物または参照医薬組成物の粘度は、0、0.1s-1、1s-1、1000s-1、5000s1、10,000s-1、20,000s-1または20,000s-1超で測定できる。
4.6.14ウイルス感染力アッセイ
Francois,et al. Molecular Therapy Methods & Clinical Development(2018)Vol.10,pp.223-236(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようにTCID50感染力価アッセイを使用することができる。2018年10月15日に出願された仮出願62/745859に記載されている相対感染力アッセイを使用することができる。
4.6.15示差走査蛍光分析
タンパク質及びタンパク質で構成されるウイルスキャプシドの熱安定性は、示差走査蛍光分析(DSF)によって決定できる。DSFは、温度の関数としての、タンパク質の内在性トリプトファン及びチロシンの放出を測定する。蛍光の大きな増加をもたらすタンパク質のアンフォールディングが進むにつれて、Trp及びTyr残基の局所的環境は変化する。タンパク質の50%が折り畳まれてない温度を、「融解」温度(T)として定義する。蛍光分光法は、USP<853>及びUSP<1853>に記載されている。
Promethius NTPlex Nano DSF Instrument(NanoTemper technologies,Munich,Germany)を用いてDSFデータを収集した。試料を20℃で毛細管セルに充填し、温度を1℃/分の速度で95℃に上昇させた。350nm(折り畳まれてない)及び330nm(折り畳まれてない)で放出されるシグナル出力比を使用して、Tを決定した。
4.6.16注射圧力測定
Flow Screen and Fluid Sensor(Viscotec America,Kennesaw,GA)、または単回使用プレッシャセンサS-N-000を備えたPressureMAT-DPG(PendoTECH,Princeton,NJ)のいずれかを使用して、注射圧力を測定した。
空気中への注射は、手動で、または一貫した流量を適用するために、Legato-100シリンジポンプ(Kd Scientific,Holliston,MA)を使用してのいずれかで実行した。摘出したブタの眼への注射のために、眼圧を調整する吸引を適用しながら、眼をMandellアイマウント(Mastel)に搭載した。
4.6.17参照組成物
本明細書で提供される組成物の粘度は、組成物を参照医薬組成物と比較することによって評価されてもよい。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、リン酸緩衝生理食塩水中で評価される組成物と、同一の濃度で、同一の組換えAAVを含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、0.001%のポロキサマー188を有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で評価される組成物と、同一の濃度で、同一の組換えAAVを含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、参照医薬組成物は、4%のスクロース及び0.001%のポロキサマー188を含む、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)において評価される組成物と、同一の濃度で、同一の組換えAAVを含む医薬組成物である。
5.実施例
当セクション(すなわちセクション5)の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
5.1実施例1:脈絡膜上送達のための粘度製剤の最適化
この実験において、AAV8抗VEGF-ab(例えば、AAV8抗VEGFfab)含有溶液を、脈絡膜上腔への投与について評価した。脈絡膜上腔(SCS)は、薬液の注入に応じて拡張する、強膜と脈絡膜との間の領域である(Habot-Wilner,2019)。注入された溶液が生理的プロセスによって消失するにつれ、SCS腔は注射前の寸法に回復する。薬液はSCS内で拡散し、隣接組織に吸収される。脈絡膜内の毛細血管は、低分子量浸透圧調節物質に対して透過性である。異なる粘度レベルを有する異なる溶液を脈絡膜上腔内に注入して、SCS内の溶液の滞留時間に基づいて効能を評価した。
この実験では、高粘度を有する最終製剤(注射時により低い粘度を有するせん断減粘性)中にAAVを調製することによって、より長い滞留時間を達成した。高粘度製剤(せん断減粘性を有する)を用いてAAVをSCS内に注入すると、低粘度製剤と比較して、局在化及びクリアランス時間の増大があった。この局在化及びクリアランス時間の増大は、効能が増強されていることを示す。注入と同時により低い粘度をもたらすせん断減粘性挙動は、針の寸法(例えば、29または30ゲージ針)、標準的な高分子シリンジ圧力レイティングの制限、及びヒトの眼内に医師が注射するために適切で十分に低い圧力と適合する、より低い注射圧力を可能にする。
5.1.1初期設計パラメーターの概要
脈絡膜上腔への粘着性製剤の送達には、その他の投与経路にはない設計パラメーター及び制限がある。眼は重要な器官であるため、眼に対する注射は繊細な注射処置である。眼内に薬剤を注入するとき、痛み、組織損傷または炎症を回避するためには、針ゲージは高すぎることはできない。例えば、場合によっては30ゲージを選択でき、その他の場合では、29ゲージを選択する。これに対して、末梢静脈への定期的な注射のために18または21ゲージ針を用いてもよく、皮下投与には29~27ゲージ針を用いてもよい。これらの領域における組織損傷または一時的な炎症は、眼内の組織損傷または炎症よりも重大ではない。したがって、その他の投与経路による粘性製剤の注入は、針ゲージによる制限が少ない。
注射圧力は、ハーゲンポアズイユの式に示されるように、針の内径(ID)の4乗に反比例し、製剤粘度に対して比例する。ハーゲンポアズイユの式は、ΔP=(8μLQ)/(πR)で表される。圧力は、粘度(μ)、針の長さ(L)、体積流量(Q)及び針の内径(R)に依存する。したがって、針ゲージは脈絡膜上注射を決定的に制限している。他の考慮事項がなければ、論理的アプローチは、注射による脈絡膜上腔への送達のために、製剤粘度を最小化することだろう。しかし、この側面に反して、脈絡膜上腔に送達された投与量を長期間局在化させるために、極めて高い粘度の製剤を有することが本開示の要求である。これらの要因が正反対であるという事実によって、注射によって引き起こされる潜在的な炎症を最小限に抑えると同時に、脈絡膜上送達のために、せん断減粘性製剤を使用するという特定のニーズが導かれる。
この実験において、許容範囲の粘度を有し、一般にまたは合理的に入手可能なシリンジ構成要素(すなわち、シリンジ圧力レイティングの制限を基準とした注射圧力制限、または好ましい針ゲージ)を用いた注射に好適な異なる製剤を、脈絡膜上注射について試験した。針ゲージの制限を適用しつつ、注射のための低い粘度と、局在化のための高い粘度との均衡を保つという、矛盾する設計パラメーターが存在する。場合によっては、所望の針寸法は30または29ゲージの寸法であることができる。ゲージ寸法は、注射中の圧力に影響を与える。場合によっては、注射圧力は、業界の標準的な構成要素、及び構成要素のための規格(例えば、ISO)と一致する。表2に設計パラメーターを要約する。
Figure 2022076549000015
Figure 2022076549000016
5.2実施例2:脈絡膜上腔(SCS)内の溶液の分布は溶液粘度に依存する
この実験では、エクスビボの眼内に異なる粘度を有する溶液を注入して、SCSにおける溶液の局在化及び拡散への、流体粘度の影響を分析した。エクスビボの異なる眼内に、異なる3種の溶液、1)水及び青色色素を含有する溶液、2)1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)中程度粘度グレード及び青色色素を含有する溶液、ならびに3)中程度粘度グレードの1%のCMC及び蛍光色素を含有する溶液、を注入した。CMC溶液を、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188をさらに含有する溶液(pH7.4)中で調製した。眼は、注射後、異なる時点で目視で分析した。この実験により、流体粘度がSCS内での溶液の拡散に重要な影響を及ぼしたと示された。例えば、水及び青色色素含有の溶液は、1%のCMC含有の溶液と比較して、より大きな周辺への拡散をもたらした(図1A~図1C)。青色色素及び蛍光色素は、水含有の溶液と比較して、1%のCMC含有の溶液とともに眼に注入する場合、眼内(SCS内)で大幅に局在化した(図1A~図1C)。この実験により、SCS内に所望の流体粘度を有する溶液が注入されるとき、対象である剤(例えば、AAV、薬物または組成物)は、SCS内で拡散を最小限にしつつ局在化することができると示された。
5.3実施例3:粘度、注入速度及び針ゲージの、注射圧力への影響
この実験では、いくつかの眼のSCS内に、異なる粘度を有する異なる溶液を注入した。ヒプロメロース溶液を、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188をさらに含有する「ベース」溶液(pH7.4)中で調製した。追加の賦形剤を、この溶液中に溶解させた。要するに、水含有の溶液、及び2%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)含有の溶液を、別々に、また異なる眼に注入した。SCS内への注射は、例えば、SCS Microinjector(商標)(Clearside Biomedical,Alpharetta,GA)を用いて実行できる。この実験により、SCS内に溶液を注入するために必要な圧力の量は、溶液粘度によって影響されることが示された。例えば、水溶液(約1cPの粘度)をSCS内に注入するために必要な圧力の量は、約25PSIであることが判明し、一方で2%のヒプロメロース含有の溶液(約4000cPの粘度)を注入するために必要な圧力の量は、約25PSI~約40PSIの範囲であった(図2A~図2B)。この圧力は、ニュートン流体(せん断速度に対して粘度が一定)の挙動を基準として予測されるであろうよりもはるかに低い。この実験により、極めて高粘性の溶液には、せん断減粘性が好ましいことも示された。せん断減粘性流体では、低せん断で粘度が極めて高く(例えば静止、または極めて低い流量)、せん断速度が上昇するにつれて、または流量が増加するとき、粘度が低下する。注射中のせん断速度でのより低い粘度は、針を通して投与量を注入するために必要な圧力を、所望の針及びシリンジと適合する範囲まで低下させる。注射後、流体の粘度ははるかに高くなり(流体がもはや運動しないため)、したがって溶液の拡散を低減し、より長期間にわたって注入した投与量の局在化を維持する。
このデザインスペース研究では、SCS内に異なる溶液を注入するために必要な圧力の計算量への、注入速度の影響も分析した。このデザインスペース実現可能性算出では、160μmの内径(ID)を有する30ゲージ(GA)針を介した、SCS内での異なる粘度の溶液について、4秒、6秒、8秒または10秒の注入速度を算出した。流れが針を通る間の圧力低下についてのハーゲンポアズイユの式は、ΔP=(8μLQ)/(πR4)によって与えられる。圧力は、粘度(μ)、針の長さ(L)、体積流量(Q)及び針の内径(R)に依存する。最も遅い注入速度(すなわち10秒)では、最小量の算出圧力という結果になった(図3)。例えば、図3のデータは、10mPasの粘度を有する溶液は、10秒の速度で注入されるとき約12PSIの圧力という結果になるが、4秒の速度で注射される場合は約28PSIの圧力となることを示す。この算出により、圧力は、溶液粘度が上昇するにつれて、注入速度による影響をより大きく受けることが示された(図3)。例えば、30mPasの粘度を有する溶液は、10秒の注入速度では約36PSIの圧力、4秒の注入速度では約96PSIの圧力という結果になると算出される(図3)。場合によっては、注射時間は5秒~30秒の範囲である。場合によっては、10秒~15秒の注射時間を使用して、脈絡膜上投与を介して溶液を注入する。せん断減粘性流体の粘度は、せん断速度(γ°)に依存する。したがって、予測される注射圧力は、直接的に流量の観点から注入速度に依存し、さらに流体のせん断減粘性の粘度挙動に依存する。針を通って流れる流体の平均せん断速度は、<γ°>=(8Q)/(3πR)(Jaspe,J.;Hagen,S.J.Biophys J 2006,91,3415-3424)を用いて算出できる。図3に示す例では、せん断速度は、10秒の注入における約16,500s-1から、4秒の注入における41,000s-1に変動する。せん断速度は、20秒の注入の場合は約8000s-1であり、30秒の注入の場合は約5000s-1である。
ハーゲンポアズイユの式及び平均せん断速度の式を用いて、注射中の好ましい製剤粘度特性及び一定の圧力制限の範囲を算出できる。圧力の変化は、針ゲージに基づいて評価できる(図4A~図4C及び図5)。3つの異なる寸法の針ゲージ(例えば30ゲージ針、30ゲージのSTW針及び29ゲージのSTW針)を使用して、様々な粘度レベルを含有する溶液を注入した。この実験により、針ゲージが、SCS内に溶液を注入するために必要な圧力に影響を及ぼしたことが示された。ハーゲンポアズイユの式を使用して、30ゲージ及び29ゲージ針(ISO 9626:2016:標準的な肉厚チューブ(RW)、薄肉チューブ(TW)、極薄肉圧チューブ(ETW)、超薄肉厚チューブ(UTW)及びさらにClearSide(CLSD)の針が設計される、または開発研究で使用)について、粘度の関数としてポンド/平方インチ(PSI)の圧力低下を算出した。PSI=Pa/6894.76の換算係数を使用してPSIに変換した。全体の針の長さは、取り付けの長さを含めて14mmであり、注入量は0.1mLであり、注入時間は10秒(Q=0.1mL/10=0.01mL/s)でモデル化され、考慮される針の内径は、以下、30Ga/29Ga(133μmの内径)、30Ga TW(165μmの内径)、30Ga ETW/29Ga TW(190μmの内径)、30Ga UTW/29Ga ETW(240μmの内径)、ClearSide(CLSD)ブランド30Ga針(160μmの内径)、CLSD 30Ga ETW(220μmの内径)、CLSD 29Ga ETW(240μmの内径)である。
図4A~図4Cは、圧力対粘度の算出値を示し、表3は、推奨値(場合による)、目標値及び制限値を表にした結果を示す。場合によっては、より太い針またはより高い圧力のシリンジを用いることによって、粘度範囲は広がる可能性がある。
算出値に基づくと、推奨の(場合による)製剤粘度は、室温で内径160μmの針を用いて34mPasであり、同時に注射せん断速度でのせん断減粘性の理由となっている。許容範囲の粘度は、内径160μm及び220μmの針で、より遅い(30秒)、またはより高圧力(65PSI)を用いた注射の場合、それぞれ最大103mPas及び362mPasであることができる。許容範囲は、室温で、103mPasから、121mPas及び最大362mPas(cP)であると算出され、同時に注射せん断速度でのせん断減粘性の理由となっている。これは、CLSD 30Ga(160μmの内径)針及び10秒の注射を用いるときの、最大43PSIの注射圧力目標値の推奨値に基づく。CLSD 30Ga ETW(220μmの内径)針を用いて、最大43PSI及び10秒の注射圧力目標値を用いる注射では、許容範囲は注射圧力目標値を含む。あるいは、CLSD 30Ga(160μmの内径)針、もしくはCLSD 30Ga ETW(220μmの内径)針を用いる場合は、注射圧力目標値は最大65PSI、または30秒の注射を使用する場合は、注射圧力目標値は43PSIである。場合によっては、好ましい針は、CLSD 30Ga(160μmの内径針)、またはCLSD 30Ga ETW(220μmの内径針)である。その他の針もまた選択可能であり、その一部は、注射せん断速度値でのより広い粘度範囲という結果にさえなり得る(例えば、10秒にわたる43PSIの注射では最大約175mPas、10秒にわたる65PSIの注射では最大約250mPas)。
Figure 2022076549000017
10秒及び43PSIの圧力で、160μm針を用いた注射の好ましい粘度値:好ましい設計は、内径160μmの針を用いる10秒の注射である。内径160μmの針を用いる10秒の注射では、注射せん断速度(約16,000s-1と算出される)で43PSIの圧力という結果になる好ましい粘度は、約34mPasである。
10秒及び43PSIの圧力で、220μm針を用いた注射の許容範囲の粘度値:内径220μmの針を用いる10秒の注射では、注射せん断速度(約6,300s-1と算出される)で43PSIの圧力という結果になる許容範囲の粘度は、約121mPasである。
30秒及び43PSIの圧力を用いた注射の許容範囲の粘度値:最大30秒のより長い注入時間が許容範囲内である。内径160μmの針を用いる30秒の注射では、注射せん断速度(約5000s-1と算出される)で43PSIの圧力という結果になる許容範囲の粘度は、約103mPasである。内径220μmの針を用いる30秒の注射では、注射せん断速度(約2100s-1と算出される)で43PSIの圧力という結果になる許容範囲の粘度は、約362mPasである。
10秒及び65PSIの圧力を用いた注射の許容範囲の粘度値:最大65PSIのより高い圧力が許容範囲内である。内径160μmの針を用いる10秒の注射では、注射せん断速度(約16,000s-1と算出される)で65PSIの圧力という結果になる許容範囲の粘度は、約51mPasである。内径220μmの針を用いる10秒の注射では、注射せん断速度(約6300s-1と算出される)で65PSIの圧力という結果になる許容範囲の粘度は、約183mPasである。
さらに、ハーゲンポアズイユの式を使用して、30ゲージ及び29ゲージ針について、粘度の関数としてのポンド/平方インチ(PSI)の圧力低下を算出した。より太い径の針(例えば、29ゲージSTW)では、SCS内に注射するために必要な圧力が低くなるという結果になった。針ゲージの圧力への影響は、流体の粘度が上昇するにつれてより重大となった(図5)。例えば、約30mPasの粘度を有する流体では、30ゲージ針を用いる場合、約48PSIの圧力が得られ、一方で100mPasの粘度を有する流体、または150mPasの粘度を有する流体では、それぞれ30ゲージSTW及び29ゲージの針を用いるときに、48PSIの圧力が観察された(これは、それぞれ3.5倍及び5倍の粘度に相当する)(図5)。したがって、より太い内径の針ゲージでは、得られる圧力は著しく低下した。
5.4実施例4:様々な賦形剤を有するいくつかの溶液を、製剤の粘度を高めるための適性についてスクリーニングした
この実験では、様々な粘度の異なる溶液を分析した。溶液を、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188をさらに含有する「ベース」溶液(pH7.4)中で調製した。追加の粘度調整剤を、この溶液中に溶解させた。表4は、毛細管粘度計を用いて測定した低せん断での粘度、空気中への注射圧力、及び摘出したブタの眼への注射圧力を示す。この実験中、PEG3350、デキストラン40k、PEG12000の低いせん断粘度は、脈絡膜上腔内での局在化の増大を潜在的に補助するためには低すぎると見なされ、そのため好適でないと見なされた。加えて、PEGは高濃度でAAVを沈殿させることが知られているため、例えばPEG12000は好適でなかった。粘度及び圧力挙動に基づくと、ポリビニルピロリドンはせん断減粘性が十分ではないようであった。ポリビニルピロリドンの用途を調査したところ、主に経口送達のための賦形剤として用いられ、非経口の賦形剤としては安全性の懸念がある可能性があることが示され、そのため考慮から除外した。ポリビニルアルコールは極めて溶解しにくく、発泡及び気泡の兆候を示したため、製造上の実用性に基づいて除外した。多糖類賦形剤の変種については、ポロキサマー407に加えて(CMC、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルデンプン)さらに調査し、分析した。
Figure 2022076549000018
Figure 2022076549000019
5.5実施例5:異なる粘度を有するいくつかの溶液を、拡散、遊離DNA及びAAV安定性について分析した
異なる粘度を有する6種の溶液から得られたデータに基づいて、拡散データ、遊離DNAのパーセント、及び直径を分析した。対照溶液はスクロースを含むDPBSであった。その他の5種の溶液は、0.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)中程度粘度(2%=400~800cP)、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び1%のCMC低粘度であった。つまり、AAV(例えば、可溶性抗VEGF Fabタンパク質のコード配列を有する、複製欠損アデノ随伴ウイルスベクター8(AAV8))が、6種の溶液のいずれかに存在した。図6は、初日(T0)及び37℃で4日後に取得した、6種の溶液それぞれで得られた拡散データを示す。この実験により、拡散データは、初日の測定(T0)と4日後の測定とで同等であったことが示された(図6)。この実験により、拡散係数が溶媒の粘度に依存することも確認された。図7は、T0の間に得られた遊離DNAのパーセンテージ、及び37℃で4日後に得られた遊離DNAのパーセンテージを示す。図8は、約63℃で小さなピークを示し、続いて約70℃でより大きな融解が開始される(これがAAVの安定性を示す)DLS熱的ランピング(DLS-融解)見かけの直径を示す。HPMCは55℃でゲルを形成した(図8)。まとめると、データにより、CMC及びHES溶液はAAVと適合性があることが示唆された。
図9は、異なる粘度値を有する溶液についての示差走査蛍光分析熱的ランプデータを示す。上から下(S-0C0VからS-0C12)に、溶液には、スクロースを含むDPBS(対照)、0.5%のカルボキシメチルセルロース中程度粘度グレード(CMC)(2%=400~800cP(または)mPas)、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び1%のCMC低粘度グレード(2% HO 25℃=10~50cP)、15%のポロキサマー407、及び0.5%のカルボキシメチルセルロース高粘度グレード(1% HO、25℃=1500~3000cP)が含まれた。上部パネル:未加工の融解曲線シグナル。中央パネル:ピークを特定するためのデータ派生物。下部パネル:凝集またはゲル形成を示す光散乱データ。2種のヒプロメロース製剤では、約55℃において、濁ったゲル形成に起因する光散乱の増大が観察された。上部パネルの垂直線及び中央パネルのピークによって示される融解温度開始及び中央値は全ての製剤で類似しており、キャプシドが異なる製剤中で類似の熱安定性を有することを示した。結果を表5に要約する。
Figure 2022076549000020
忍容性/安全性、AAVの安定性及びその他の送達因子を対象とする実験は、異なる粘度を有する様々な溶液、例えばこの実験において提示された溶液を用いて実行する。スクロース含有の溶液で、及び本明細書で開示される溶液の大半で、問題は起こっていない。ただし、PEG12000溶液は、沈殿を引き起こし得る(AAVの不安定性を引き起こす)、ポリビニルピロリドン溶液は、おそらくはせん断減粘性でない、または限定されたせん断減粘性挙動を有するために、高い注射圧力になり得る、またポリビニルアルコール溶液は溶解しにくい可能性がある。
5.6実施例6:リード候補製剤の注射圧力及びレオロジーの測定
1%のカルボキシメチルセルロース高粘度グレード製剤の粘度対せん断速度を図10に示す。粘度は、約1s-1のせん断速度で2,000mPas(2Pas)を超え、5,000s-1で34mPasの測定値に低下し、10,000s-1のせん断速度では約24mPasの低さで外挿される。これは、1s-1~5000s-1のせん断速度での粘度と比較すると、65倍の粘度の低下である。ハーゲンポアズイユの式を用いて算出するか、図3の算出されたデータプロットを読み取るかのいずれかによると、このせん断減粘性挙動は、30Gaの針(160μmの内径)を用いて、30~40PSIの圧力で、8~10秒にわたって注射される場合、1%の高粘度グレード製剤の注入を可能にする。これは、注射圧力として十分に許容範囲内であり、一方で製剤が注入されると、極めて高い粘度を有することを可能にする。220μmの内径を有する30Ga ETW針では、10秒間の注入の平均的なせん断速度は、約10,000s-1であり、20秒間の注入では約5000s-1である。上述したように、注射せん断速度での好ましい(場合による)最大粘度は、34mPas(160μm内径の針を用いる)、または最大121mPas(220μm内径の針を用いる)である。
中程度粘度グレードのカルボキシメチルセルロース製剤についての、摘出されたブタの眼への注射圧力を図11に示す。図12は、高粘度グレードのカルボキシメチルセルロース製剤についての、摘出されたブタの眼への注射圧力を示す。いずれの製剤でも、注射圧力は43PSIを超えなかった。図11のデータの外挿に基づき、図4A~図4Cの圧力低下の算出、及び図10の粘度データを用いると、高粘度グレードのカルボキシメチルセルロース製剤は1%の濃度で、所望の製剤特性に好適のようである。図13は、1%の高粘度グレードのカルボキシメチルセルロース製剤を無菌的に製造する方法を示す。例えば、1.11%溶液を調製し、オートクレーブによって滅菌し(粘性溶液の濾過には課題があるため)、続いて1%のカルボキシメチルセルロースの最終濃度を達成するために、調製したAAV中間体を用いて、9:1の比でスパイクしてもよい。滅菌処置中に、一部のわずかな水の損失が生じ得る(約2~4%の損失)ことを示す実験研究を考慮して、所望により水を添加してもよい。
5.7実施例7:血管新生加齢関連黄斑変性症(nAMD)を有する対象の脈絡膜上腔内に投与される遺伝子治療
5.7.1研究の概要
本実施例は、血管新生(滲出型)加齢関連黄斑変性症(nAMD)を有する患者のための遺伝子治療薬に関する。本実施例では、Construct II、または可溶性抗VEGF Fabタンパク質のコード配列を有する複製欠損アデノ随伴ウイルスベクター8(AAV8)を、異なる粘度値(低粘度から極めて高粘度までの範囲)を有する異なる溶液を用いてnAMDを有する患者に投与する。遺伝子治療薬の目標は、最小限の介入/侵襲的処置を用いて、網膜変性の進行を遅らせるまたは抑えること、及び視力障害を遅らせるまたは予防することである。現在の抗VEGF療法は、滲出型AMDの治療薬の展望を大きく変え、さらに患者の大部分において視力障害の進行を防ぐ性能のために標準治療となっている。しかしながら、これらの療法は、効能を維持するために、通常は4~12週間ごとの頻度で繰り返す、生涯にわたる眼内への注射を必要とする。患者は、治療の負担のために、時間の経過とともに治療の頻度が低下し、多くの場合視力の低下を経験する。脈絡膜上腔内に投与される遺伝子治療薬は、滲出型AMDのための、または何らかのその他の眼疾患のための、可能性がある1回限りの治療として開発されている。
研究の詳細説明:この用量漸増試験は、nAMDを有する対象における、Construct IIまたはAAV8抗VEGF-ab遺伝子治療薬の効能、安全性及び忍容性を評価するように設計される。この研究の主要な焦点は効能である。この試験全体にわたって、Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abの安全性及び忍容性について対象を評価する。選択/除外基準を満たす約40名の対象を、2つの投与量コホートのいずれかに無作為に分けた。一部の対象は対照治療薬としてのラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))を投与され、一部は、1回の脈絡膜上腔(SCS)注射を介して送達される、Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abを投与され、また一部は、2回の脈絡膜上腔(SCS)注射を介して送達される、Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abを投与される。本実施例は、様々な粘度レベルを有する異なる溶液中に存在する、遺伝子治療薬を送達するためにも使用できる。例えば、一部の溶液は高粘度を有することができ、一方でその他の溶液は低粘度を有することができる。Construct IIまたはAAV8抗VEGF-ab(または任意のその他の遺伝子治療薬)の効能、安全性及び忍容性を、送達溶液の粘度に関連させて分析することもできる。
この試験の一次評価項目は、Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abについての最良矯正視力(BCVA)の平均値変化を、ラニビズマブと比較して、毎月、40週間の時間フレームにわたって評価することである。用いる基準は、早期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)の0~100の文字スコア(より高いスコアがより良好な視力である)である。
この試験の二次評価項目には、1)Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abの安全性及び忍容性を、眼及び眼以外の有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生を52週間の時間フレームにわたって検出することによって評価すること、2)Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abの脈絡膜新血管新生(CNV)病変の増殖及び漏出への影響を、蛍光眼底血管撮影(FA)に基づく40週目及び52週目でのCNV病変サイズのベースラインからの平均値変化、及び漏出領域を分析することによって、52週間の時間フレームにわたって評価すること、3)Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abのBCVAへの影響を、BCVAのベースラインからの平均値変化を52週目まで分析することによって、52週間の時間フレームにわたって評価すること、4)Construct IIまたはAAV8抗VEGF-abの中心窩網膜厚(CRT)への影響を、40週目及び52週目までスペクトル領域光学的干渉断層法(SD-OCT)で測定したCRTのベースラインからの平均値変化を分析することによって、52週間の時間フレームにわたって評価すること、ならびに5)52週間の時間フレームにわたってConstruct IIまたはAAV8抗VEGF-ab治療を受けた参加者の、追加の抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療の必要性を評価すること(例えば、年率に換算した追加の抗VEGF注入率を、40週目及び52週目を通して確認することによって)が含まれる。
5.7.2適格基準:
この試験には以下適格基準が適用される。
最低年齢:50歳
最高年齢:89歳
性別:全て
ベースとなる性:なし
健康なボランティアの受け入れ:なし
5.7.3選択基準:
試験眼において、加齢関連黄斑変性症(AMD)に続発する中心窩下CNVと診断された、≧50歳かつ≦89歳の患者
参加者は、抗VEGF治療に有意な反応を示したことが必要である。
5.7.4除外基準:
試験眼における、AMD以外の任意の原因による続発性のCNVまたは黄斑浮腫。
試験眼における、中心窩下線維化または萎縮。
過去に硝子体切除を行った対象。
試験眼における、研究者の意見による視力(VA)改善を制限し得る任意の状態。
試験眼における、現在の網膜剥離または網膜剥離の既往歴。
試験眼における管理されていない緑内障。
何らかの遺伝子治療を受けた。
試験眼の眼底の視覚化またはVA改善を妨げる何らかの状態、例えば白内障、硝子体混濁、線維化、萎縮、または中心窩中央の網膜上皮性裂孔。
試験眼における眼内の外科手術歴。
2回目の来院から30日以内に何らかの治験薬の投与を受ける方。
試験登録の6ヵ月以内の心筋梗塞、脳血管発作または一過性脳乏血発作。
5.8実施例8:動物モデルにおける、AAV(例えばAAV8抗VEGFfab)の脈絡膜上注射及び網膜下注射の比較
5.8.1研究の概要
AAV(例えば、可溶性抗VEGF Fabタンパク質のコード配列を有する複製欠損アデノ随伴ウイルスベクター8(AAV8))を含有する様々な医薬組成物(例えば液体製剤)の脈絡膜上注射によって達成される発現と、網膜下注射によって達成される発現とを比較するために以下の試験を実施する。この実験は、中程度から高い粘性の溶液中のAAV(例えば、AAV8抗VEGF fab)の脈絡膜上注射が、網膜下注射または脈絡膜上注射による、低粘性溶液中のAAVの送達と比較して、眼内のVEGF誘発の漏出及び血管新生を低減させる、及び抗VEGFの産生を増加させることができるかどうかを決定するためにさらに用いられる。異なる粘度レベルを有する、いくつかの医薬組成物(例えば液体製剤)を試験する。
溶液の粘度が、脈絡膜上または網膜下のAAV抗VEGF fabによって注入された、眼内で検出される抗VEGF fabに影響を及ぼし、網膜対脈絡膜内の抗VEGFタンパク質分布に影響を及ぼし、さらにVEGF誘発の漏出及び血管新生の制圧に影響を及ぼすことを結果は示している。より粘性が高い溶液(PBSと比較して、またはAAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液と比較して)の存在下で送達されるAAV抗VEGF fabは、溶液をSCS内に注入する(脈絡膜上注射)場合、対照溶液(例えば、PBS、AAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液、またはより粘性が低い溶液)の存在下で送達されるAAV抗VEGF fabと比較して、より高い濃度の抗VEGF fabが眼内で検出されるという結果になることを示すために、抗VEGF fabタンパク質の濃度をELISAで測定する。AAV抗VEGF fabを含有するより粘性が高い溶液が、脈絡膜上注射を介して注入される場合、対照溶液(例えば、AAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液、またはより粘性が低い溶液)中のAAV抗VEGF fabの網膜下注射と比較して、より高い濃度の抗VEGF fabが眼内で検出されることも、この実験により示される。AAV抗VEGF fabを有する粘性医薬組成物が、脈絡膜上注射を介して注入されるときに、同一の粘性医薬組成物が網膜下注射によって投与される場合と比較して、より高い濃度の抗VEGF fabが眼内で検出されることも、この実験により示される。SCS投与及び網膜下投与には、同一濃度のウイルスゲノムを用いる。
AAV抗VEGF fabを含有する粘性溶液の脈絡膜上注射は、AAV抗VEGF fabを含有する同一の粘性溶液の網膜下注射と比較して、VEGF誘発の漏出及び血管新生を制圧するためにより有効であることを示すために、ELISAによる硝子体試料中のアルブミンの測定によって血管漏出を評価する。
5.8.2方法
動物(例えば、ドブネズミ)は、例えば、片眼に、眼当たり2.85×1010個のゲノムコピー(GC)を含有する(4×1010GC/mlの濃度)AAV8-CB7-抗VEGF fab、3μlを脈絡膜上または網膜下注射で受け、もう一方の眼に、7.2×10GCのAAV8-CB7-GFPを含有する3μlの脈絡膜上注射または網膜下注射を受ける。数週間後(例えば2週間)に、VEGF(例えば200ng)を眼に注入する。動物のサブセットに、異なる量のVEGF(例えば100ng)を注入する。
5.8.3結果
VEGF注入の24時間後に撮影した眼底写真(例えば2週間で)では、AAV8抗VEGF fabを注入した眼では正常な網膜及び網膜血管径を示し、一方でAAV8-GFPを注入した眼では、拡張血管、浮腫の形跡、ぼやける視神経乳頭周囲及び乳白色の網膜を示す。
血管漏出を、ELISAによる硝子体試料中のアルブミン測定によって評価する。AAV8抗VEGF fabを含有する粘性溶液をSCS内に注入された眼内では、同一濃度のウイルスゲノムを用いて、網膜下投与を介して同一の医薬組成物を注入するときと比較して、より高濃度の抗VEGF fabが検出される。また、AAV8抗VEGF fab含有のより粘性が高い溶液をSCS内に注入された眼内では、SCS内に注入される、または網膜下送達を経て注入される、AAV8抗VEGF fab含有の対照溶液(例えば、AAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液、またはより粘性が低い溶液)と比較して、より高濃度の抗VEGF fabが検出される。AAV抗VEGF fabは、より粘性が高い溶液を使用してSCS内にAAVを注入する場合、対照溶液(例えば、AAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液、またはより粘性が低い溶液)を使用してSCS内に、または網膜下送達を経てAAVを注入する場合と比較して、注入部位で残留し(拡散がより少ない)、より局在化する。
5.9実施例9:液体製剤の、脈絡膜上腔(SCS)の厚みへの影響
液体製剤の、SCSの厚み及びSCS崩壊速度への経時的な影響を、生きている動物内(例えば、ウサギ、マウスまたはサル)で測定する。異なる粘度を有する異なる溶液を使用する。この実験において使用可能な溶液の例は、本開示に、例えば実施例1に開示されている。例えば、異なるパーセンテージのCMCまたはHES含有の溶液をこの実験において使用できる。初期の注入部位でのSCSの厚みを、例えば、超音波画像(セクション4.6参照)を用いて、様々な医薬組成物(例えば液体製剤)について算出する。SCSの厚み(例えば、注入前及び注入後に測定されるSCSの厚み)は、溶液の粘度に依存する。SCSの厚みは、異なる時点で、例えば注入前及び注入後の異なる時点で測定できる。例えば、5%のCMC溶液は、1%のCMC溶液またはPBSと比較して、より大きなSCSの厚みを示す。SCSの厚みは、眼内の異なる位置でも経時的に測定する。溶液の粘度は、経時的にSCSの厚みに影響を与える。例えば、1%のCMC溶液は、経時的に測定した場合でさえ、注入部位近くでのSCSの厚みを高め、一方でPBS溶液を用いる場合、注入部位でのSCSの厚みは経時的に低下する。PBSを用いる場合の、注入部位での経時的なSCSの厚みの低下は、SCS内の隣接する部位での、SCSの厚みの付随する増大を伴う。液体の粘度は、SCSの厚みの持続時間及びSCSの厚みの局在化に影響を与える。また、溶液の粘度は、溶液がSCSから消失するためにかかる時間にも影響を与える。例えば、1%のCMCを有する溶液は、低粘度溶液、例えばPBSと比較して、より長期間にわたってSCS内(または眼内)に残留する。
5.10実施例10:脈絡膜上腔(SCS)の厚みを決定するための超音波イメージング
高周波超音波(U/S)プローブ(例えば、UBM Plus,Accutome,Malvern,PA)を使用して、エクスビボにおける眼内(例えば、動物の眼)のSCSの二次元断面画像を生成する(セクション4.6参照)。断面画像は、眼に溶液を注入した後に生成する。溶液の粘度及び体積は、広範囲に及ぶことができる。例えば、体積は、1μl~500μlの範囲であることができる。場合によっては、体積は、1μL未満、または500μLを超えることができる。溶液は、水溶液(例えば水)、PBS、ハンクス液(HBSS)、1%~5%のCMC、または本開示の任意のその他の溶液であることができる。溶液は、色素(例えば、蛍光色素、赤色蛍光、青色蛍光、青色色素または任意のその他の色素)をさらに含むことができる。また、溶液は、本開示とともに使用可能な任意の組成物、薬剤、試薬またはウイルス(例えばAAV)を含むことができる。U/Sプローブカバー(例えば、Clearscan,Eye-Surgical-Instruments,Plymouth,MN)をUBM Plusに取り付けると、U/S画像取得は容易になる。注射の数分後、U/Sプローブを使用して、眼周辺の矢状断面図を取得する(例えば、12時、1.5時、3時、4.5時、6時、7.5時、9時及び10.5時の位置) U/S Bスキャンの後処理を実行して、外側の強膜から内側の網膜までの厚みを、例えば、強膜岬の後方(例えば、1mm、5mm及び9mm)で見いだす。各眼の平均値、中央値、及び標準偏差を計算する。超音波BスキャンにおけるSCSの厚みの算出は、強膜及び脈絡膜に対して垂直な線分、例えば外側の強膜から内側の網膜までの線分を見いだすことによって実施できる。結膜は測定から除外する。組織の厚みを見いだし差し引くと、SCSの厚みを得られる。
5.11実施例11:脈絡膜上注射による、バッテン-CLN1またはCLN2関連の視力障害の治療
バッテン-CLN1関連の視力障害を呈する対象に、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1をコードするAAV8またはAAV9を、眼内(例えば硝子体)で、導入遺伝子産物の治療的有効量の濃度を産生するために十分な投与量で、3ヵ月間投与する。バッテン-CLN2関連の視力障害を呈する対象に、トリペプチジルペプチダーゼ1をコードするAAV8またはAAV9を、眼内(例えば硝子体)で、導入遺伝子産物の治療的有効量の濃度を産生するために十分な投与量で、3ヵ月間投与する。投与は、脈絡膜上腔に対する投与によって行う。異なる粘度を有するいくつかの医薬組成物(例えば液体製剤)を使用する。医薬組成物(例えば液体製剤)の粘度は、バッテン-CLN2またはCLN1関連の視力障害、及び治療の効能に影響を与える。治療後、バッテン-CLN2関連の視力障害の改善について、対象を評価する。治療後、バッテン-CLN1関連の視力障害の改善について、対象を評価する。粘性医薬組成物を用いてSCS内にAAVを投与した対象は、同一の医薬組成物を網膜下注射によって投与した対象と比較して、バッテン-CLN1またはCLN2関連の視力障害のより良好な改善を示す。比較的粘性の医薬組成物を用いてSCS内にAAVを投与した対象は、参照医薬組成物を網膜下注射によって、硝子体内投与によって、またはSCSに投与した対象と比較して、バッテン-CLN1またはCLN2関連の視力障害のより良好な改善を示す。
本明細書で提供される方法の、視覚障害への効果を、視線運動性眼振(OKN)を含む、1種以上の視力スクリーニングによって測定する。OKN視力スクリーニングは、患者の眼が移動目標を追うことができるかどうかを客観的に評価するために、OKNの自発的でない反射の原理を利用する。上記治療前後での、OKNスクリーニング結果のパーセンテージ変化を算出する。
5.12実施例12:ヒト患者への注入を監視するための赤外線サーマルカメラの使用
滲出型AMDを呈する対象に、眼内(例えば硝子体)において、少なくとも0.330μg/mLのCminで導入遺伝子産物の濃度を産生するために十分な投与量で、ラニビズマブFabをコードするAAV8を、3ヵ月間投与する(例えば網膜下投与、脈絡膜上投与または硝子体内投与によって)。ラニビズマブFabをコードするAAV8は、異なる粘度を有するいくつかの医薬組成物(例えば液体製剤)を用いて、脈絡膜上投与によって投与できる。中程度~高粘度溶液(PBSと比較して、またはAAVの網膜下注射に一般的に使用される溶液と比較して)中のラニビズマブFabをコードするAAV8を投与した対象は、低粘度溶液(例えば、PBS、またはAAVの網膜下注射に一般に使用される溶液、またはより粘性でない溶液)中のラニビズマブFabをコードするAAV8を、脈絡膜上投与によって投与した対象の導入遺伝子濃度と比較して、より高濃度の導入遺伝子を示す(例えば、投与後1週間、2週間、3週間、4週間、8週間または12週間に測定)。導入遺伝子濃度は、ラニビズマブFabをコードするAAV8の投与後、いつでも測定できる。例えば、より粘性が高い溶液を用いてSCS内にAAV8を投与した対象は、AAV投与後1週間、4週間、2ヵ月または3ヵ月で測定したとき、より粘性が低い溶液を用いて、SCS内に、または網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介してAAV8を投与した対象と比較して、眼内においてより高濃度の導入遺伝子を示す。同様に、粘性溶液を用いてSCS内にAAV8を投与した対象は、網膜下投与を介して、または硝子体内投与を介して、同一の医薬組成物を投与した対象と比較して、より高い濃度の導入遺伝子を示す。この実験で使用する全ての溶液は、同量のゲノムコピーを有する。
FLIR T530赤外線サーマルカメラは、処置中の注入の評価に使用する、また注入後、投与が成功して完了しているか、投与失敗かを確認することにも利用できる。あるいは、FLIR T420、FLIR T440、Fluke Ti400またはFLIRE60赤外線サーマルカメラを使用する。治療後、臨床上の作用の兆候、及び滲出型AMDの改善兆候と症状について、対象を臨床的に評価する。
5.13実施例13:製剤A及び製剤Bの構成成分
この実施例は、≦-60℃で保管される、製剤A(0.001%のポロキサマー188を含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)、及び-20℃で保管される、製剤B(4%のスクロース及び0.001%のポロキサマー188を含む、「改変ダルベッコ」リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4’)の構成成分を示す。2種の製剤についての比較及び影響分析を、表6に提供する。製剤Bは、2年の保管後、現在に至るまで、AAV産物への影響が観察されることなく、改善された保管実現可能性を有する。異なる粘度値を有するその他の医薬組成物(例えば液体製剤)を試験する。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は例えば、製剤Bからの1種以上の構成成分を含むことができる。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は、AAV産物への影響なく(例えば、2年の保管後)、改善された保管実現可能性を有する。
Figure 2022076549000021
製剤B(スクロースを含む改変DPBS)は、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含む(pH7.4)。モル単位では、製剤Bは、2.70mMの塩化カリウム、1.47mMの一塩基性リン酸カリウム、100mMの塩化ナトリウム、8.1mMの二塩基性無水リン酸ナトリウム、117mMのスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含む(pH7.4)。製剤Bの密度は1.0188g/mLであってよく、製剤Bの浸透圧は約345(331~354)であってよい。
Figure 2022076549000022
Figure 2022076549000023
5.14実施例14:製剤Aと製剤Bの長期安定性についての比較
この実施例は、製剤A及び製剤Bの長期安定性についての比較を示す。製剤A及び製剤Bは-80℃で類似の長期的な凍結安定性を有し、製剤Bは-20℃でも安定だった。「4%のスクロースを含む改変DPBS」製剤Bは、-20℃及び-80℃で、12ヵ月間、力価を保持した。異なる粘度値を有するその他の医薬組成物(例えば液体製剤)を試験する。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は、-20℃及び-80℃で安定である。中程度~高粘度を有する医薬組成物は、-20℃及び-80℃で、12ヵ月間、力価を保持した。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は例えば、製剤Bからの1種以上の構成成分を含むことができる。
5.15実施例15:製剤A及び製剤Cのインビトロ力価の比較
この実施例は、製剤A及び製剤Cの長期安定性についての比較を示す。製剤Cは、60mMのNaCl及び6%のスクロースを含む「スクロースを含む改変dPBS」の変種である。製剤Cは、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、3.50mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、60.0mg/mL(6w/v%)のスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188を含む(pH7.4)。
製剤Cは、-20℃で2年間安定であった。参照製剤A(dPBS)は-20℃で安定でなかった。製剤B及び製剤Cは、-20℃で同等の、かつ優れた長期的安定性を有し得る。異なる粘度値を有するその他の医薬組成物(例えば液体製剤)を試験する。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は、例えば製剤Bまたは製剤Cからの1種以上の構成成分を含むことができる。本開示の医薬組成物(例えば、中程度~高粘度を有する)は、-20℃で2年間安定である。
5.16実施例16:異なる脈絡膜上製剤を用いた、カニクイザルにおける薬力学、生体分布及び忍容性試験
この試験の目的は、AAV8抗VEGF-abを含む異なる製剤について、脈絡膜上注射を介して、単回投与としてカニクイザルに投与する場合の生体分布、薬力学(導入遺伝子の濃度)及び忍容性を評価することである。投与後少なくとも4週間、動物を観察する。また、1群には大量の製剤を投与する。一部の製剤は、低粘度から高粘度にわたる異なる粘度レベルを含む。例えば、製剤1は低粘度を有し、製剤2は中程度の粘度を有し、製剤3は高粘度を有する。群の割当て及び投与量レベルを表8に示す。試験物質は、AAV8抗VEGF-abである。対照物質はプラセボである。製剤及び対照は、冷凍庫内で-60℃~-80℃で保管し使用日に室温で解凍することができる、または調製日に使用する場合は室温で、または冷蔵庫内で2℃~8℃で保管できる。適応症は、滲出型AMD及び糖尿病性網膜症などの慢性的網膜状態である。
Figure 2022076549000024
動物供給元での抗体プレスクリーニング:約90匹の雌のサルから、大腿静脈を介して血液(少なくとも1mL)を回収し、抗凝血物質を含有しない試験管内に入れる。必要に応じて、もう一方の静脈を使用して回収してもよい。動物は、プレスクリーニングの結果を基準として、試験候補として選択する。血液は、室温で凝固させることができ、1時間以内遠心分離にかけて血清を得る。血清を2分割し、クライオバイアル内に入れ、約-70℃での保管前にドライアイス上で保持する。試料を、分析のための一晩ドライアイス上に移送する。続いて、任意の許容範囲の方法によって、抗AAV8中和抗体(NAbs)について試料を分析する。動物は、抗AAV8Nabの結果を基準として出荷用に選択される。
投与量の投与:動物を一晩絶食させ、脈絡膜上注射の前に、ケタミン及びデスメデトミジンによって麻酔をかける。要するに、100μlの単回脈絡膜上注射(または各50μlを2回注入)を5~10秒かけて、各眼(縁から3~4mm)に投与する。大量の製剤投与では、眼当たり200μLを投与する。製剤を、Clearside SCS Microinjectorsを用いて投与する。マイクロニードルの寸法は、製剤の粘度に応じて異なる。場合によっては、30ゲージマイクロニードルを使用する。右眼への注射は、上側頭象限(すなわち10時と11時の間の位置)に投与する。左眼への注射は、上側頭象限(すなわち1時と2時の間の位置)に投与する。注射後、針を引き抜く前に、約5秒間眼内で維持する。マイクロニードルの引き抜きに際し、注入部位上に約10秒間、綿棒を当てる(投与量を拭く)。投与に続いて、局所用抗生物質(例えば、Tobrex(登録商標)または適切な代替品)を各眼に点眼する。各投与時間を、各注射完了の時間として記録する。最初に右眼に投与し、次に左眼に投与する。
眼の処置:眼の検査(例えば、投与後4日、8日、15日及び29日)を実施する。細隙灯生体顕微鏡及び倒像検眼鏡を用いて、動物を検査する。細隙灯生体顕微鏡を用いて、両眼の付属器及び前眼部を検査する。倒像検眼鏡を用いて、両眼の眼底(見える部分)を検査する。倒像検眼鏡を用いる検査の前に、散瞳薬(例えば、1%のトロピカミド)を用いて瞳孔を拡大させる。投与日(投与前の10分以内)、ならびに例えば、4日、8日、15日及び29日に眼圧を測定する。Rebound眼圧測定計(TonoVet)を使用して眼圧を評価できる。眼の写真撮影は、4週目頃に実施する。写真はデジタル眼底カメラを用いて撮影する。カラー写真は、後極の立体写真及び2つの中周辺領域の非立体的写真(側頭及び鼻)を含めて、個々の眼で撮影する。周辺部の写真も撮影する。さらに、インドシアニングリーンを用いた自家蛍光イメージングを実行して、投与量の拡散を記録する(例えば、1日目及び2日目)。
抗AAV8中和抗体分析:各動物からの血液試料を、大腿静脈から、異なる時点(例えば、投与前、投与日、及び投与の後日)で取り出し、室温で保持し、少なくとも30分間凝固させ、遠心分離にかける。試料を収集の1時間以内に遠心分離にかけ、血清をハーベストする。ハーベスト後、試料を、-60℃~-80℃で保管するまでドライアイス上に置く。続いて、適格な中和抗体アッセイを用いて、AAV8抗体についての血清分析を実行する。
抗AAV8抗VEGF-ab導入遺伝子産物抗体分析:血液試料を上記のように取り出し、本開示のいずれかのアッセイ、または任意の許容できるアッセイを用いて、AAV8抗VEGF-abに対する抗体について、血清試料を分析する。AAV8抗VEGF-ab導入遺伝子分析用に、投与の少なくとも2週間前、15日目、及び動物の屠殺の日(29日目)に、血液試料を上記のように取り出す。投与量の投与前に、前眼房から50μL収集する。房水及び硝子体からの試料は、剖検時に収集できる。血清試料は、投与前、15日目、及び剖検前に収集できる。続いて、本開示の任意のアッセイ、または任意の適用できるアッセイもしくは方法によって試料を分析する(例えば、導入遺伝子濃度について)。
房水収集:投与の少なくとも2週間前、15日目、及び動物を屠殺する日に、各眼から約50μLを取り出す。各眼からの房水試料を、Watsonバーコードラベルを貼った別々の試験管に入れ、液体窒素中で急速冷凍し、-60℃~-80℃で保管するまでドライアイス上に置く。
房水採取穿刺後の投薬計画:この治療計画の目的は、房水収集処置に関連した緩和療法を提供することである。収集日後の治療目的は、有害事象(例えば、不快感)の適切な緩和処置を提供することである。眼痛及び副作用について、動物を試験する。
Figure 2022076549000025
試験終了:29日目に動物にペントバルビタールナトリウムで麻酔をかけ、放血する。
房水及び硝子体の剖検収集:房水及び硝子体から、それぞれ眼当たり最大50μL及び眼当たり最大100μLを取り出す。放血後に、眼を摘出し、各眼から房水及び硝子体試料を収集する。硝子体試料をほぼ等しく2分割し、房水試料を分割せずに保管する。それぞれの収集後、動物の右眼に、改変Davidson固定液を、膨張するまで注入する。眼を改変Davidson固定液中で48~96時間保管し、続いて10%の中性緩衝ホルマリンに移す。試料を急速冷凍し、-60℃~-80℃で保管する。房水試料及び硝子体試料を、導入遺伝子濃度について分析する。
体内分布のための眼組織の収集:放血後に、全ての動物から左眼を、様々な製剤群からの2匹の動物(生存によって決まる)から右眼を摘出し、組織を収集する。組織を、Watsonバーコードラベルを貼った別々の試験管に収集する。収集した組織には、網膜色素上皮を含む脈絡膜、角膜、虹彩及び毛様体、視神経交差、視神経、網膜、強膜、ならびに後眼杯(posterior eye cup)が含まれる。眼を、ほぼ等しい4象限(投与部位領域を含む上側頭部、鼻上部、側頭下部、及び投与部位領域を含む鼻下部)に分割する。各象限から、8mmの生検パンチを用いて1つの試料を取り出す。試料を-60℃~-80℃で保管する。qPCRまたはqRT-PCR方法を用いて、ベクターDNAまたはRNAについて試料を分析する。
体内分布のための眼以外の組織の収集:約5mm×5mm×5mmの2つの試料を、右脳半球(例えば、小脳(外側)、小脳(背側)、前頭皮質(ブロードマン第4野)、前頭皮質(ブロードマン第6野)、後頭葉(皮質表面)、後頭葉(実質組織))、卵巣、心臓、腎臓、涙腺(左)、肝臓(左葉)、肺(左後葉)、リンパ節(耳下腺)、リンパ節(下顎)、脳下垂体、唾液腺(下顎)、脾臓、胸腺、後根神経節(頸部、左)、後根神経節(腰部、左)、及び後根神経節(胸部、左)から収集する。試料を-60℃~-80℃で保管する。
組織学:動物からの右眼及び右視神経を公称5μmで切断し、ヘマトキシリン‐エオジンによって染色する。眼組織を、中心窩、注入部位領域、網膜黄斑、視神経円板及び視神経の検査を容易にするために切断する。下方頭蓋冠のおよそ中心を通って、垂直な切片を1つ取り出す。これにより、1つのスライド/ブロック/眼(合計で眼当たり3つのスライド)ができる。さらに、選択した顕微鏡用スライドから、デジタルスキャン(仮想スライド)を準備できる。
データ評価及び統計分析:平均及び標準偏差を用いて統計的データ解析を算出する。体重の絶対値、体重変化、及び眼圧の測定値について平均及び標準偏差を算出する。
5.17実施例17:1%のカルボキシメチルセルロース高粘度グレード製剤の注射性及び熱安定性の評価
0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188をさらに含有する「ベース」溶液(pH7.4)中で調製した1%のカルボキシメチルセルロース高粘度グレード含有の製剤を、安定性及び注射性について評価した。図14は、約13秒にわたる手動注射、及び10秒及び15秒にわたる速度制御型シリンジポンプを用いた2種の注射についての注射圧力対時間を示す。Clearside注射デバイス(CLS-HN001)及び30ゲージ(160μmの内径、CLS-MN1100)針を用いて、注射を実行した。結果は、得られた圧力は全て、およそ<43PSIの推奨(場合による)範囲内であることを示した。手動注射の最大圧力は42PSIであり、15秒にわたるシリンジポンプ注射の最大圧力は39PSIであり、10秒にわたるシリンジポンプ注射の最大圧力は49PSIの短いスパイクであった(図14)。手動注射では、注射しやすく、滑らかであると認識された。
示差走査蛍光分析(DSF)では、温度の関数として、タンパク質の内在性トリプトファン及びチロシンの放出を測定する。蛍光の大きな増加をもたらすタンパク質のアンフォールディングが進むにつれて、Trp及びTyr残基の局所的環境は変化する。図15は、1%のカルボキシメチルセルロース製剤と比較した対照についての、示差走査蛍光分析熱的ランプデータを示す。上部パネル:未加工の融解曲線シグナル。中央パネル:ピークを特定するためのデータ派生物。下部パネル:凝集を示す光散乱データ。1%のカルボキシメチルセルロース製剤(T=67.52℃)は、熱ランピングに関して対照(T=67.10℃)と類似のプロファイルを有し、これはAAVがこの製剤中で安定であることを実証する。
5.18実施例18:異なる脈絡膜上製剤を用いた、カニクイザルにおける薬力学、生体分布及び忍容性試験
この試験の目的は、AAV8抗VEGF-abを含む1%のCMC製剤について、脈絡膜上注射を介して、単回投与としてカニクイザルに投与する場合の生体分布(DNA及びmRNA)、薬力学(導入遺伝子の濃度)ならびに忍容性を評価することであった。投与後少なくとも4週間、動物を観察した。
ラットまたはウサギの脈絡膜上腔への2回注射の投与が、1回注射と比較して、注入された製剤の、眼周辺でのより大きな拡散と関係していたことが、他の動物で示された。それらの試験では、眼周辺での拡散の増大は、眼への治療薬送達の増加と関係していた。
注射1回対2回の、これらの試験における導入遺伝子発現及び体内分布への影響を理解するために、1群の上側頭象限に、投与体積の総量を1回注入した。残りの群には、同一の投与体積を達成するために2回の注射を行い、上側頭象限への1回、下鼻象限への1回の注射を行った。群の割当て及び投与量レベルを表10に示す。試験物質はAAV8抗VEGF-abであった。対照物質はプラセボであった。
Figure 2022076549000026
投与量の投与:試験物質及び対照物質の調製を表11に示す。試験物質及び対照物質は、冷凍庫内で-60℃~-80℃で保管し、使用日に室温で解凍した。製剤を解凍し、室温で保管した。動物は投与前に一晩絶食させなかった。脈絡膜上注射の前に、動物をケタミン及びデクスメデトミジンで麻酔した。投与において、2回の50μlの脈絡膜上注射(群1及び群2)、または1回の100μlの注入(合計100μL/眼、群3)を、各眼(縁から3~4mm)に、10~15秒にわたって投与した。シリンジとマイクロニードルの寸法を表11に示す。右眼への最初の注射は上側頭象限(すなわち、10時と11時の位置の間)に投与し、右眼への2回目の注射(適用される場合)は下鼻象限(すなわち、4時と5時の位置の間)に投与した。左眼への最初の注射は上側頭象限(すなわち、1時と2時の位置の間)に投与し、左眼への2回目の注射(適用される場合)は下鼻象限(すなわち、7時と8時の位置の間)に投与した。注射後、針を引き抜く前に、約30秒間眼内で維持した。マイクロニードルの引き抜きに際し、注入部位上に約10秒間、綿棒を当てた(投与量を拭く)。
Figure 2022076549000027
眼の処置:投与後4日、8日、15日及び29日に眼の検査を実施した。細隙灯生体顕微鏡及び倒像検眼鏡を用いて、動物を検査した。細隙灯生体顕微鏡を用いて、両眼の付属器及び前眼部を検査した。倒像検眼鏡を用いて、両眼の眼底(見える部分)を検査した。倒像検眼鏡を用いる検査の前に、散瞳薬(例えば、1%のトロピカミド)を用いて瞳孔を拡大させた。投与日(投与前10分以内)、及び4、8、15、及び29日目に、眼圧(IOP)を測定した。圧平眼圧計を用いてIOP測定を行った。4週目中に眼の写真撮影を行った。デジタル眼底カメラ及び広角レンズを用いて、写真を撮影した。カラー写真は、後極の立体写真及び2つの周辺領域の非立体的写真(上側頭及び下鼻)を含めて、個々の眼で撮影した。
抗AAV8抗VEGF-ab導入遺伝子産物抗体分析:投与前、及び屠殺予定の日(29日目)に、血液試料を上記のように取り出した。認可された抗体分析を用いて、AAV8抗VEGF-abに対する抗体について血清試料を分析した。AAV8抗VEGF-ab導入遺伝子分析用に、投与の少なくとも2週間前、15日目、及び動物の屠殺予定の日(29日目)に、血液試料を上記のように取り出した。続いて、認可された抗体分析によって試料を分析した。
房水収集:投与の少なくとも2週間前、15日目、及び屠殺予定の日に、各眼から約50μLを取り出した。各眼からの房水試料を、Watsonバーコードラベルを貼った別々の試験管に入れ、液体窒素中で急速冷凍し、-60℃~-80℃で保管するまでドライアイス上に置いた。認可された方法によって、試料を抗VEGF濃度について分析した。
試験終了:29日目に動物にペントバルビタールナトリウムで麻酔をかけ、放血した。
房水と硝子体の剖検収集:放血後、眼球を摘出し、房水及び硝子体試料を収集した。収集後、試料を急速冷凍し、-60℃~-80℃で保管した。認可された方法によって、房水試料及び硝子体試料を導入遺伝子濃度について分析した。
体内分布のための眼組織の収集:放血後に、各動物から右眼を、群2及び群3の最後の2種の動物から左眼を摘出し、組織を収集した。組織を別々の試験管に収集した。収集した組織には、網膜色素上皮を含む脈絡膜、網膜及び強膜が含まれた。上述のように、超清浄処置を使用して組織を収集し、生理食塩水ですすぎ、拭いて乾燥させた。試料を急速冷凍し、-60℃~-80℃で保管した。qPCRまたはqRT-PCR方法を用いて、ベクターDNAまたはRNAについて試料を分析した。
対照薬試験:本実施例に記載されたプロトコルに類似させて実施したカニクイザル試験において、対照製剤(対照物質2.5)を各眼のSCSに注入した(マイクロインジェクターによる、上側頭部及び下鼻部への注射)。対照製剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含まない。
Figure 2022076549000028
対照製剤は、AAV8抗VEGF-abも含有し、100μL/眼/投与量(50μLを2回注入)中、3×1011gc/眼で投薬した。
データ評価及び統計分析:平均及び標準偏差を用いて統計的データ解析を算出した。房水中の導入遺伝子産物(「TP」、タンパク質)を15日目及び29日目に評価し、それ以外は、硝子体、血清及び肝臓中のTP、DNA及びRNAを29日目に評価した。
結果
Figure 2022076549000029
上側頭でのSCS内への試験物質2(1%のCMC)の1回の注射、及び試験物質2(1%のCMC)の2回の注射は、対照製剤と比較して、房水中のより高い導入遺伝子産物(TP)濃度をもたらした。試験物質2の1回の注射は、同一の組成を有する2回の注射と比較して、房水中のTP濃度を高めたが、上側頭位置での1回の注射で総量を投与した。
Figure 2022076549000030
上側頭位置でのSCS内への、試験物質2(1%のCMC)の1回の注射は、試験物質2(1%のCMC)の2回の注射及び対照製剤と比較して、VH中の最高濃度の遺伝子産物を生成する。硝子体の遺伝子産物濃度は、注入後29日に房水中で見いだされるTPよりも、全体的に高かった。
Figure 2022076549000031
試験物質2(1%のCMC)、またはAAV8抗VEGF-abを含有する対照製剤の、SCS内への各注入は、血清中の遺伝子産物(抗VEGF-ab)の最小限の力価をもたらした。
Figure 2022076549000032
眼内に1回で注入するCMC製剤は、同一の投与量で2回の注入を行うよりも、より効率的に網膜を形質導入するようであった。全体として、試験物質2(1%のCMC)は、対照製剤と比較して、脈絡膜及び強膜へのベクター送達を増加させた。
5.19実施例19:異なる脈絡膜上製剤の安定性と適合性
この試験の目的は、スクロースを含む改変DPBS(5.84mg/mLの塩化ナトリウム、0.201mg/mLの塩化カリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、0.200mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、0.001%のポロキサマー188)(pH7.4)中の1.0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムとともに調製される、AAV8抗VEGF-abの安定性及びデバイスとの適合性を評価することであった。
安定性の結果は、調製されたAAV8抗VEGF-ab試験物質及びプラセボ物質は、試験の間、≦-60℃の保管温度で安定なままだったと示している。試験の最後に、充填後3.3ヵ月で検査を開始した。
使用中の安定性結果は、調製したAAV8抗VEGF-abは、室温で、最大6時間安定であると示している。また、調製したAAV8抗VEGF-abは、この試験に用いられることを意図した脈絡膜上への送達システムと適合することが示された。下記の表に裏付けるデータを提供する。
Figure 2022076549000033
均等物
本発明の具体的な実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明されているが、機能的に均等である変形形態が、本発明の範囲内であることは分かるであろう。したがって、本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明の種々の修正は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
この本明細書に記述される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、明確かつ個別に参照により明細書に組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (88)

  1. ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、前記医薬組成物。
  2. ヒト対象の眼の脈絡膜上腔(SCS)への投与に好適な医薬組成物であって、前記医薬組成物が、導入遺伝子をコードする発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含み、前記導入遺伝子が抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体であり、前記医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約3×10cPの粘度を有する、前記医薬組成物。
  3. 脈絡膜上投与後のクリアランス時間が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のクリアランス時間に等しい、またはより大きく、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 脈絡膜上投与後の周辺への拡散が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の周辺への拡散と比較して小さく、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  5. 脈絡膜上投与後の注入部位の厚みが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位の厚みと比較して等しい、またはより大きく、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  6. 参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に、発現レベルの前記導入遺伝子が眼内で検出される期間と比較して、より長期間にわたって、脈絡膜上投与後に発現レベルの前記導入遺伝子が眼内で検出され、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  7. 脈絡膜上投与後の眼内の前記導入遺伝子の濃度が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼内の前記導入遺伝子の濃度と比較して等しい、またはより高く、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  8. 脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率が、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の注入部位での形質導入率と比較して等しい、またはより高く、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  9. 脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減し、前記参照医薬組成物が前記導入遺伝子をコードする前記発現カセットを含む前記組換えAAVを含み、前記医薬組成物または前記参照医薬組成物が脈絡膜上腔に投与される際の前記組換えAAVのゲノムコピーの量が同じであり、前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、最大約24cPの粘度を有する、請求項2に記載の医薬組成物。
  10. 前記組換えAAVがConstruct IIである、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 前記導入遺伝子が、抗ヒト血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体である、請求項1、3~8及び10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  12. 前記組換えAAVが、AAV1、AAV2、AAV2tYF、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVrh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、rAAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV.PHP.eB、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15及びAAV.HSC16からなる群から選択される、1種以上のアデノ随伴ウイルス血清型からの構成要素を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  13. 前記組換えAAVがAAV8である、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  14. 前記組換えAAVがAAV9である、請求項1~9、及び11~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  15. 前記医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP~約100,000cP、約25cP~約50,000cP、約25cP~約1×10cP、約25cP~約5,000cP、約25cP~約1×10cP、約100cP~約100,000cP、約100cP~約1×10cP、約100cP~約5,000cP、約100cP~約1×10cPの粘度を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  16. 前記医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、少なくとも約100cP、少なくとも約400cP、少なくとも約500cP、少なくとも約900cP、少なくとも約1000cP、少なくとも約4000cP、または少なくとも約1×10cPの粘度を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 前記医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上の粘度を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  18. 前記医薬組成物がスクロースを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  19. 前記医薬組成物がスクロースを含まない、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  20. 前記医薬組成物が、スクロース、4%のスクロース、6%のスクロース、10%のスクロース、2%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、1%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、0.5%のCMC、1%のCMC、2%のCMC、4%のCMC、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうち少なくとも1種を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  21. 前記医薬組成物が、4%のスクロース、6%のスクロースまたは10%のスクロースを含む、請求項1~18及び20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  22. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記周辺への拡散が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%小さい、請求項4及び10~21のいずれか1項の医薬組成物。
  23. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きい、請求項3及び10~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  24. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間が、約30分~約20時間、約2時間~約20時間、約30分~約24時間、約1時間~約2時間、約30分~約90日、約30分~約60日、約30分~約30日、約30分~約21日、約30分~約14日、約30分~約7日、約30分~約3日、約30分~約2日、約30分~約1日、約4時間~約90日、約4時間~約60日、約4時間~約30日、約4時間~約21日、約4時間~約14日間、約4時間~約7日、約4時間~約3日、約4時間~約2日、約4時間~約1日、約4時間~約8時間、約4時間~約16時間、約4時間~約20時間、約1日~約90日、約1日~約60日、約1日~約30日、約1日~約21日、約1日~約14日、約1日~約7日、約1日~約3日、約2日~約90日、約3日~約90日、約3日~約60日、約3日~約30日、約3日~約21日、約3日~約14日、または約3日~約7日である、請求項1~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  25. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間が、約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日を超える、請求項1~24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  26. 前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記クリアランス時間が、最大約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日である、請求項3~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  27. 前記クリアランス時間が、SCSからの、または眼からのクリアランス時間である、請求項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  28. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の前記厚みが、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%大きい、請求項5及び10~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  29. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の前記厚みが、約500μm~約3.0mm、750μm~約2.8mm、約750μm~約2.5mm、約750μm~約2mm、または約1mm~約2mmである、請求項5及び10~28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  30. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の前記厚みが、少なくとも約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mmまたは10mmである、請求項5及び10~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  31. 前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の前記厚みが、最大約1nm、5nm、10nm、25nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μmまたは1000μmである、請求項5及び10~30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  32. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位の前記厚みが、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも21日、少なくとも1ヵ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヵ月月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも3年または少なくとも5年持続する、請求項5及び10~31のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  33. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の眼における前記導入遺伝子の濃度が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、請求項7及び10~32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  34. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の、前記より長期間が、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、23日、25日、27日、30日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、100日、120日、140日、160日、180日、200日、220日、240日、260日、280日、300日、320日、340日、360日、380日または400日長い、請求項6及び10~33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  35. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後に、眼において、前記導入遺伝子が、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、23日間、25日間、27日間、30日間、35日間、40日間、50日間、55日間、60日間、65日間、70日間、75日間、80日間、85日間、90日間、95日間、100日間、120日間、140日間、160日間、180日間、200日間、220日間、240日間、260日間、280日間、300日間、320日間、340日間、360日間、380日間または400日間検出される、請求項1~34のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  36. 前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後に、眼において、前記導入遺伝子が、最大約1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、23日後、25日後、27日後、30日後、35日後、40日後、50日後、55日後、60日後、65日後、70日後、75日後、80日後、85日後、90日後、95日後または100日後、120日後、140日後、160日後、180日後、200日後、220日後、240日後、260日後、280日後、300日後、320日後、340日後、360日後、380日後または400日後に検出される、請求項3~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  37. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、前記参照医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルと比較して等しい、または低減する、請求項11に記載の医薬組成物。
  38. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後のVEGF誘発の血管拡張及び/または血管漏出のレベルが、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%低減する、請求項9~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  39. 前記医薬組成物の脈絡膜上投与後の前記注入部位での前記形質導入率が、少なくとも約2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%、少なくとも250%、または少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%高い、請求項8及び10~38のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  40. 前記医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性が、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの安定性の、少なくとも約50%である、請求項1~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  41. 前記組換えAAVの安定性が、前記組換えAAVの感染力によって決定される、請求項40に記載の医薬組成物。
  42. 前記組換えAAVの安定性が、前記組換えAAVの凝集レベルによって決定される、請求項40に記載の医薬組成物。
  43. 前記組換えAAVの安定性が、前記組換えAAVによって放出される遊離DNA濃度によって決定される、請求項40に記載の医薬組成物。
  44. 前記医薬組成物が、前記参照医薬組成物中の遊離DNA濃度と比較して、約50%多い、約25%多い、約15%多い、約10%多い、約5%多い、約4%多い、約3%多い、約2%多い、約1%多い、約0%多い、約1%少ない、約2%少ない、約5%少ない、約7%少ない、約10%少ない、約2倍多い、約3倍多い、約2倍少ない、約3倍少ない遊離DNAを含む、請求項43に記載の医薬組成物。
  45. 前記医薬組成物中の前記組換えAAVが、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAVの感染力と比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍高い感染力を有する、請求項41に記載の医薬組成物。
  46. 前記医薬組成物が、前記参照医薬組成物中の前記組換えAAV凝集レベルと比較して、少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、100倍または1000倍低い組換えAAV凝集を含む、請求項42に記載の医薬組成物。
  47. 前記導入遺伝子が、対象となる疾患を治療する、それ以外の場合には改善する、予防する、または進行を遅らせるために好適な導入遺伝子である、請求項1~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  48. 前記ヒト対象が、nAMD(滲出型AMD)、萎縮型AMD、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症(DR)、バッテン病、緑内障、または非感染性ブドウ膜炎と診断されている、請求項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  49. 前記ヒト対象が、ムコ多糖症IVA型(MPS IVA)、ムコ多糖症I型(MPS I)、ムコ多糖症II型(MPS II)、家族性高コレステロール血症(FH)、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)、冠動脈疾患、脳血管疾患、デュシェンヌ筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、ベッカー筋ジストロフィー及び封入体筋炎、またはカリクレイン関連疾患と診断されている、請求項1~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  50. 前記AAVが、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、抗VEGF抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗カリクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、抗TNF抗体もしくは抗原結合フラグメント、抗C3抗体もしくは抗原結合フラグメント、または抗C5抗体もしくは抗原結合フラグメントをコードする、請求項1、3~8及び10~49のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  51. 前記組換えAAVのゲノムコピーの量が、ベクターゲノム濃度を基準とする、請求項3~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  52. 前記組換えAAVのゲノムコピーの量が、投与当たりのゲノムコピーを基準とする、請求項3~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  53. 前記組換えAAVのゲノムコピーの量が、前記ヒト対象に投与される全ゲノムコピーを基準とする、請求項3~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  54. 前記投与当たりのゲノムコピーが、脈絡膜上投与当たりの前記組換えAAVのゲノムコピーである、請求項52に記載の医薬組成物。
  55. 前記投与される全ゲノムコピーが、脈絡膜上に投与される前記組換えAAVの全ゲノムコピーである、請求項53に記載の医薬組成物。
  56. 前記ベクターゲノム濃度(VGC)が、約3×10GC/mL、約1×1010GC/mL、約1.2×1010GC/mL、約1.6×1010GC/mL、約4×1010GC/mL、約6×1010GC/mL、約2×1011GC/mL、約2.4×1011GC/mL、約2.5×1011GC/mL、約3×1011GC/mL、約6.2×1011GC/mL、約1×1012GC/mL、約2.5×1012GC/mL、約3×1012GC/mL、約5×1012GC/mL、約6×1012GC/mL、約1.5×1013GC/mL、約2×1013GC/mL、または約3×1013GC/mLである、請求項51に記載の医薬組成物。
  57. 投与されるゲノムコピーの総数が、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約3×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約6×1011個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013個のゲノムコピーである、請求項53及び55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  58. 投与当たりのゲノムコピーの総数が、約6.0×1010個のゲノムコピー、約1.6×1011個のゲノムコピー、約2.5×1011個のゲノムコピー、約3×1011個のゲノムコピー、約5.0×1011個のゲノムコピー、約3×1012個のゲノムコピー、約1.0×1012個のゲノムコピー、約1.5×1012個のゲノムコピー、約2.5×1012個のゲノムコピー、または約3.0×1013個のゲノムコピーである、請求項52及び54のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  59. 前記医薬組成物が、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される、請求項1~58のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  60. 前記参照医薬組成物が、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回または30回投与される、請求項3~59のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  61. 前記医薬組成物が、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される、請求項1~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  62. 前記参照医薬組成物が、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回または1日に7回投与される、請求項3~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  63. 前記参照医薬組成物がDPBS及びスクロースを含む、請求項1~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  64. 前記参照医薬組成物が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1cPの粘度を有する、請求項3~60のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  65. 前記医薬組成物が、0.2~15%の、カルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレード、すなわちCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、すなわちHPMC、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、CMC低粘度グレード、及び/またはポロキサマー407を含む、請求項1~64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  66. 前記医薬組成物の粘度が、0s-1のせん断速度で測定される、請求項1~65のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  67. 前記参照医薬組成物の粘度が、0s-1のせん断速度で測定される、請求項3~66のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  68. 前記医薬組成物の粘度及び前記参照医薬組成物の粘度が、同一のせん断速度で測定される、請求項1~67のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  69. 前記医薬組成物の粘度がせん断減粘性である、請求項1~68のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  70. 前記医薬組成物の粘度が、少なくとも約1,000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、最大で、または少なくとも約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、2cP、3cP、4cP、5cP、10cP、20cP、25cP、30cP、35cP、40cP、50cP、60cP、70cP、80cP、90cP、100cP、150cP、200cP、250cP、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、850cP、900cP、950cP、1000cP、1500cP、2000cP、2500cP、3000cP、3500cP、4000cP、4500cP、5000cPもしくは10000cPである、請求項1~69のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  71. 前記医薬組成物の粘度が、少なくとも約1,000s-1、2,000s-1、3,000s-1、4,000s-1、5,000s-1、6,000s-1、7,000s-1、8,000s-1、9,000s-1、10,000s-1、15,000s-1、20,000s-1または30,000s-1のせん断速度で測定される、請求項70に記載の医薬組成物。
  72. 前記医薬組成物の粘度が、約5,000s-1のせん断速度で測定したとき、約35cP以下である、請求項1~71のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  73. 前記医薬組成物の粘度が、約10,000s-1のせん断速度で測定したとき、約25cP以下である、請求項1~71のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  74. 前記医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約500cP以上である、請求項1~71のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  75. 前記医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約1500cP以上である、請求項1~71のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  76. 前記医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約362cP以下である、請求項1~71のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  77. 前記参照医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である、請求項3~76のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  78. 前記参照医薬組成物の粘度が、最大約1s-1のせん断速度で測定したとき、約0.1cP、0.2cP、0.3cP、0.4cP、0.5cP、0.6cP、0.7cP、0.8cP、0.9cP、1cP、1.1cP、1.2cP、1.3cP、1.4cP、1.5cP、1.6cP、1.7cP、1.8cP、1.9cP、2cP、2.1cP、2.2cP、2.3cP、2.4cP、2.5cP、2.6cP、2.7cP、2.8cP、2.9cP、3cP、3.1cP、3.2cP、3.3cP、3.4cP、3.5cP、3.6cP、3.7cP、3.8cP、3.9cP、4cP、4.1cP、4.2cP、4.3cP、4.4cP、4.5cP、4.6cP、4.7cP、4.8cP、4.9cPまたは5cP以下である、請求項3~77のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  79. 前記医薬組成物の粘度が、少なくとも約1000s-1のせん断速度で測定したとき、約0.5cP~約400cPである、請求項1~78のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  80. 前記医薬組成物が、改変ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、及び所望により界面活性剤を含む、請求項1~79のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  81. 前記医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、及び所望により1種以上の界面活性剤を含む、請求項1~80のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  82. 前記医薬組成物が、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、及び所望により界面活性剤を含む、請求項1~81のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  83. 前記医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、ならびにポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびにCMC高粘度グレード、CMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HES)、及びポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む、請求項1~82のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  84. 前記医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、所望によりポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびに所望により0.5%のCMC高粘度グレード、1%のCMC高粘度グレード、0.5%のCMC中程度粘度グレード、CMC低粘度グレード、0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.2%のHPMC、2%のヒドロキシエチルセルロース(HES)、及び15%のポロキサマー407から選択される1種以上の粘度調整剤を含む、請求項1~83のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  85. 前記医薬組成物が、塩化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、塩化ナトリウム、二塩基性無水リン酸ナトリウム、スクロース、ならびにポロキサマー188、ポリソルベート20及びポリソルベート80から選択される1種以上の界面活性剤、ならびにCMC、HPMC及びHESから選択される1種以上の多糖類を含む、請求項1~84のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  86. 前記医薬組成物が、0.2mg/mLの塩化カリウム、0.2mg/mLの一塩基性リン酸カリウム、5.84mg/mLの塩化ナトリウム、1.15mg/mLの二塩基性無水リン酸ナトリウム、40.0mg/mL(4w/v%)のスクロース、0.001%(0.01mg/mL)のポロキサマー188、及び1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)高粘度グレードを含む、請求項1~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  87. 前記医薬組成物が、ほぼ室温、20℃、4℃または-80℃で保管される、請求項1~86のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  88. 前記医薬組成物が、ヒト対象への投与前に保管される、請求項1~87のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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