JPWO2021117787A1 - 含水型耐熱性チョコレート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、従来の方法よりも簡便な方法で、短時間の保温処理工程であっても耐熱性が発現する、含水型耐熱性チョコレートの製造方法を提供することである。本発明は、融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の水性組成物(以下、この組成物を「含水材」という。)を添加してなる、含水型耐熱性チョコレートである。また本発明は、前記含水材の添加により、チョコレートに水が0.5〜2.5質量%、好ましくは1.0〜2.0質量%含有してなるチョコレートである。

Description

本発明は、含水型耐熱性チョコレート及びその製造方法に関する。
チョコレートを食する文化は、冷涼な気候のヨーロッパにおいて発展し、今や世界中のあらゆる国及び地域に広がっている。しかし、一般的なチョコレートである、カカオ豆に含まれるココアバターのみを油脂分として含むチョコレートは、ココアバターの耐熱温度が31℃程度であるため、暑熱環境下では溶けて品質を損なう。従って、赤道付近等の暑い地域においては、耐熱性を備えるチョコレート(以下、「耐熱性チョコレート」という)に対するニーズがある。
チョコレートに耐熱性を付与する方法としては、例えば、チョコレートに融点の高い油脂を配合する方法や、チョコレートの固形分を高める(油脂分を減らす)方法がある。また別の方法として、例えば、特許文献1〜3に記載されるような、チョコレート生地に少量の水を混ぜて砂糖の骨格を形成する方法がある(以下、「含水型耐熱性チョコレート」という)。しかし、融点の高い油脂の配合は、チョコレートの口どけを著しく悪くする。また、チョコレートの固形分の増加は、チョコレートの口あたりを損なう。他方、チョコレート内部での砂糖骨格の形成は、口どけや口あたりを損なわずに、チョコレートに耐熱性を付与できる有力な方法である。しかし、暑熱環境下での流通に耐えうるような十分な耐熱性の発現には長時間の保温処理工程が必要であり、生産性を著しく低下させるという問題があった。
欧州特許出願公開第0297054号明細書 国際公開第2013/083641号 国際公開第2015/098932号
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、従来の方法よりも簡便な方法で、短時間の保温処理工程であっても耐熱性が発現する、含水型耐熱性チョコレートの製造方法を提供することである。
そこで、保温処理工程の時間を短縮するために、後述する含水材に含まれる糖組成について検討を行ったところ、驚くべきことに、果糖を一定以上含む糖組成の含水材を用いると、保温処理工程の時間が著しく短縮できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の一態様によれば、融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の水性組成物(以下、この組成物を「含水材」という。)を添加してなる、含水型耐熱性チョコレートを提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記含水材の添加により、チョコレートに水が0.1〜5.0質量%、好ましくは0.3〜3.0質量%加配してなるチョコレートを提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記チョコレートが、テンパリング型あるいはノンテンパリング型であるチョコレートを提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、20℃のヘキサン浸漬後、20分以上経っても型崩れが起きないチョコレートを提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の水性組成物(以下、この組成物を「含水材」という。)を添加する工程を含む、含水型耐熱性チョコレートの製造方法を提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、さらに続いて、冷却固化工程、及び、保温処理工程を含み、前記保温処理工程における処理時間が従来よりも短くなることを特徴とする製造方法を提供することができる。
本発明によれば、従来の方法よりも簡便な方法で、耐熱性の発現に要する保温処理工程の期間が短縮された、含水型耐熱性チョコレートの製造方法を提供することができる。このような製造方法は、従来の方法よりも工程にかかる日数を短縮することができるため、製造コストを削減することができ、工業的な大量生産に適しているといえる。
以下、本発明の「含水型耐熱性チョコレート及びその製造方法」を詳細に説明する。
<チョコレート>
本発明において「チョコレート」とは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)又は法規上の規定等により限定されるものではなく、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、調温工程、成形工程、冷却工程等)の一部又は全部を経て製造されたものを指す。また、本発明におけるチョコレートは、ミルクチョコレートのほか、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等も含む。なお、本発明のチョコレートは、テンパータイプであっても、非テンパータイプであってもどちらでもよい。
本発明のチョコレートは、油脂を好ましくは28〜44質量%含有する。ここで油脂とは、ココアバター等の油脂のみだけではなく、カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等のチョコレートの原料中に含まれる油脂も全て合計したものである。例えば、一般的に、カカオマスの油脂(ココアバター)含有量は55質量%(含油率0.55)であり、ココアパウダーの油脂(ココアバター)含有量は11質量%(含油率0.11)であり、全脂粉乳の油脂(乳脂)含有量は25質量%(含油率0.25)であるから、チョコレート中の油脂含量は、各原料のチョコレート中の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせたものを合計した値となる。本発明のチョコレートは、作業性や風味の点から油脂含有量は30〜40質量%であることがより好ましく、31〜39質量%であることがさらに好ましく、32〜38質量%であることがことさらに好ましい。
チョコレートは連続相が油脂なので、チョコレートの油脂含有量は、粘度に大きな影響を与える。油脂含有量が多いほど、粘度は低くなり、水の添加によって生じる粘度上昇の影響を軽減できる。しかし、油脂含有量が多くなると糖の比率が低下して糖骨格構造がもろくなり、得られるチョコレートの耐熱性が低下する可能性がある。他方、油脂分を30質量%以下にすると、チョコレートの粘度が高くなり、水添加による粘度上昇の影響も大きくなるので、チョコレート製造時のハンドリング性を低下させる可能性がある。ただし、このようなハンドリング性の低下は、減粘作用のある乳化剤(レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(PGPR)等)をチョコレートに配合して、粘度を適宜調整することで抑制することができる。減粘作用のある乳化剤の含有量は、チョコレート中に0.2〜1質量%であることが好ましく、特に、レシチンとPGPRとを併用することが好ましい。
本発明のチョコレートは、糖類の1つとしてショ糖を好ましくは30〜58質量%含有する。本発明においてチョコレート中のショ糖は、糖骨格を形成する重要な成分の1つである。ショ糖としては、実質的にショ糖の結晶であるグラニュー糖を粉にした粉糖を使用するのが適当である。本発明のチョコレートのショ糖含有量は、32〜54質量%であることがより好ましく、34〜50質量%であることがさらに好ましい。チョコレートのショ糖含有量が上記範囲程度であると、チョコレート中に糖骨格が形成され易い。
本発明のチョコレートは、粉乳を好ましくは4〜32質量%含有する。本発明に使用する粉乳としては、乳由来の粉末であれば特に制限はなく、例として、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、クリームパウダー、バターミルクパウダーが挙げられる。粉乳は1種または2種以上を選択して使用できるが、特に、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーが含まれることが好ましく、全脂粉乳、脱脂粉乳が含まれることがより好ましい。本発明のチョコレートに使用される粉乳は、また、スプレードライヤー等の噴霧乾燥により、製造されたものが好ましい。本発明のチョコレートの粉乳含有量は、8〜28質量%であることがより好ましく、12〜24質量%であることがさらに好ましい。チョコレートの粉乳含有量が上記範囲程度であると、チョコレートの風味と保形性が良好である。
本発明のチョコレートは、本発明の特徴を損なわない限り、上記成分(油脂、ショ糖、及び粉乳)のほかに、通常チョコレートに使用されるカカオマス、ココアパウダー、乳化剤、香料、色素等のほか、ショ糖以外の糖類、澱粉類、ガム類、熱凝固性タンパク、いちご粉末や抹茶粉末等の各種粉末類等の、各種食材や各種改質材が含まれていてもよい。
<チョコレート生地の製造方法>
本発明における「チョコレート生地」とは、融液状態のチョコレートを意味する。すなわち、常法に従い、上記チョコレートの原材料である、油脂、ショ糖及び粉乳等の混合、ロールリファイニング等による微粒化、必要に応じてコンチング処理等を行って製造する溶融状態のチョコレートを意味する。しかし、固形状態のチョコレートを加熱して溶融し、融液状としてもよい。コンチング処理を行う場合、コンチング処理における加熱は、チョコレートの風味を損なわないように、40〜60℃で行うことが好ましい。なお、本発明の製造方法において、工程と処理とは、同じ意味として使用している。なお、後述の含水材は、好ましくは、微粒化処理を経ているチョコレート生地に添加される。
本発明の含水型耐熱性チョコレートの製造方法においては、融液状態にある上記チョコレート生地に、水を添加分散させる工程(水添加工程)が含まれる。ここで、融液状態とは、チョコレート生地中の油脂が融解された状態を指す。チョコレート生地が融液状態であるかどうかは、テンパータイプのチョコレートの場合、冷却した後の、チョコレート生地の型抜けを確認することで判断できる。冷却されたチョコレート生地が成形型から型抜けしない場合(具体的には、成形型からのチョコレート生地の離型率が70%未満である場合)、チョコレート生地が融液状態であると判断する。
[水添加工程]
水添加工程における融液状態にあるチョコレート生地の温度は、30〜70℃であることが好ましく、35〜60℃であることがより好ましく、32〜50℃であることが更に好ましい。水添加工程において添加される水の量(以下、「添加する水の全体量」ということもある)は、通常の含水型耐熱性チョコレートにおいて使用される量でよく、特に限定されないが、融液状態のチョコレート生地に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましい。水の添加量が融液状態のチョコレート生地に対して0.1質量%以上であると、糖骨格が十分に形成され、耐熱性に優れたチョコレートが得られる。他方、水の添加量が融液状態のチョコレート生地に対して5.0質量%以下であると、微生物汚染のリスクを抑制できる。水の添加量は、融液状態のチョコレート生地に対して、0.3〜3.0質量%であってもよく、さらに0.5〜2.5質量%であってもよい。水はチョコレート生地の粘度に多大な影響を与えるため、1.0〜1.5質量%であることが殊更好ましい。本発明において、「添加する水の全体量」とは、前述のような範囲となるために必要な水の量の総計であり、例えば、100gのチョコレート生地に対して、1gとなるように水を添加する場合、「添加する水の全体量」は1質量%と計算される。なお、本発明において、水が添加された前記チョコレート生地のことを「含水チョコレート生地」という。
水添加工程において添加される水は、水と糖類を含む水性組成物として添加される。前記糖類を構成する糖組成の60質量%以上が果糖である水性組成物を用いることが好ましい(以下、このような組成物を「含水材」という)。この点が本発明における重要な特徴である。含水材に含まれる糖類に占める果糖は、その含有率が85質量%程度に高いほうが工程を短くする点で好ましく、例えば、糖組成中に60〜100質量%であることが好ましく、65〜99質量%であることがより好ましく、70〜99質量%であることがさらに好ましく、75〜98質量%であることが殊更好ましく、77〜90質量%であることが最も好ましい。なお、「糖類」とは、単糖類および二糖類を合わせたものをいう。
含水材に含まれる水の含有量は、含水材全体に対して10〜90質量%であってもよく、10〜50質量%であってもよい。水添加工程において、水を含水材の形態で添加する場合は、その添加量は、融液状態のチョコレートに対する水の量が上記の範囲となるように添加すればよい。例えば、水の含有量が25質量%の含水材を用いて、100gのチョコレート生地に対して1gとなるように水を添加する場合、必要な「添加する含水材の全体量」は4質量%と計算される。水添加工程におけるチョコレート生地の温度は、後述する「保持工程」における温度範囲を考慮して、32〜50℃に設定しておくことが好ましい。34〜48℃に設定することがより好ましく、35〜45℃に設定することがさらに好ましい。このような温度範囲に設定することで、チョコレート生地中に分散した水の温度を高め、チョコレート生地中に分散する砂糖や乳糖等への水の親和性を高めて糖骨格の形成を促進することができる。
[テンパリング・シーティング処理]
本発明の含水型耐熱性チョコレートの製造方法において、上記水添加工程の前後のどちらかで、テンパリング処理もしくはシーディング処理を行ってもよい。
上記テンパリング処理は、融液状態にあるチョコレートに安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。具体的には、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレートを、品温を27〜28℃程度まで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作として知られる。テンパリング処理は、水添加工程の前に行うことが好ましい。
上記シーディング処理は、テンパリング処理の替りに、安定結晶の結晶核として機能するシーディング剤を添加して、融液状態にあるチョコレート中に安定結晶の結晶核を生じさせる処理であり、テンパリング処理と同様に、チョコレート中の油脂をV型の安定結晶として固化させるために行う処理である。
本発明の含水型耐熱性チョコレートの製造方法において、シーディング処理を行う場合は、製造工程には、シーディング処理及び水添加工程が含まれるが、その順序はいずれが先であってもよい。また、シーディング処理及び水添加工程を同時に行ってもよい(つまり、シーディング剤及び水を融液状態のチョコレートに同時に添加してもよい)。
[保持工程]
本発明におけるチョコレート生地は、上記水添加工程後、融液状態のチョコレート生地を10分以上、生地温度を32〜40℃、好ましくは34〜39℃、さらに好ましくは35〜39℃、最も好ましくは37〜39℃に保持してもよい。これにより、チョコレート生地中に分散した水の温度を高め、チョコレート生地中に分散する砂糖や乳糖等への水の親和性を高めて糖骨格の形成を促進できる。その結果、チョコレート生地の粘度の上昇を効果的に抑制しつつ、チョコレートの保形性を向上させることができる。
保持工程における、32〜40℃に保持する時間は、0.25〜24時間であることが好ましく、0.5〜12時間であることがより好ましく、1〜8時間であることが最も好ましい。保持時間が上記の範囲内にあると、水添加効果を維持した状態で、水添加工程後の生地粘度を、両工程完了時の生地粘度の1.20倍以下(より好ましくは1.15倍以下)に維持し得るので、エンローバー等を使用してチョコレート生地を食品に被覆等する際に、チョコレート生地の取り扱いが容易となる。なお、シーディング剤添加工程及び水添加工程後の生地粘度と、保持工程における生地粘度とは、同一の温度条件で測定して比較する。
本発明におけるチョコレート生地の粘度は、例えば、回転型粘度計であるBH型粘度計(東機産業社製)を用いて、測定温度にてNo.6のローターを4rpmで回転させ、3回転後の読み取り数値に装置係数(2500)を乗じて求める塑性粘度として計測できる。
[冷却固化工程]
水添加工程を経た融液状態のチョコレート生地は、冷却固化してもよく、この工程により、融液状態から固形の成型されたチョコレートを効率的に製造できる。
冷却固化の方法は特に限定されないが、モールド成形や食品への被覆といったチョコレート製品の特性に応じて、例えば、冷却トンネル(クーリングトンネル)等での冷風吹付、冷却プレートとの接触等により冷却固化することができる(例えば、「製菓用油脂ハンドブック」(蜂屋巖訳、2010年発行、株式会社幸書房)を参照)。
冷却固化の条件は、融液状態のチョコレートが固化する限り特に限定されないが、0〜20℃(好ましくは0〜10℃で5〜90分間(好ましくは10〜60分間)行ってもよい。
[保温処理工程]
本発明の製造方法においては、上記冷却固化後のチョコレートを、さらに保温処理する、保温処理工程を設けることが好ましい。保温処理とは、冷却固化後のチョコレートを、好ましくは24〜36℃、より好ましくは26℃〜34℃、さらに好ましくは28〜32℃において、好ましくは30分〜6日間、より好ましくは3時間〜4日間、さらに好ましくは3時間〜3日間、最も好ましくは6時間〜2日間保温する処理である。保温処理により、チョコレート中に形成された糖骨格をより強固なものとすることができる。
本発明の特徴の1つは、糖組成の60質量%以上が果糖である含水材を用いると、この保温処理工程に要する時間が著しく短くなることである。比較のために述べると、従来の含水材を使用した一般的な保温処理の時間は、本発明の含水材を使用した場合の約2倍である。従来の含水材を使用した一般的な保温処理は、以下のとおりである。
一般的な保温処理とは、冷却固化後のチョコレートを、好ましくは24〜36℃、より好ましくは26℃〜34℃、さらに好ましくは28〜32℃において、好ましくは1時間〜12日間、より好ましくは6時間〜8日間、さらに好ましくは6時間〜6日間、最も好ましくは12時間〜4日間保温する処理である。
得られた含水型耐熱性チョコレートの耐熱性は、例えば、30℃〜50℃の恒温槽で2〜6時間静置してから、その形状、硬さ、粘調性等に基づいて評価される。すなわち、30℃〜50℃の恒温槽で2〜6時間静置すると、通常のチョコレートであれば、溶融してその形状等を維持することは難しいが、耐熱性があるチョコレートであれば、溶融せずにその形状等を維持しているため、耐熱性を評価することができる。本発明における「耐熱性チョコレート」とは、30℃〜50℃の恒温槽で2〜6時間静置しても、その形状において変化がないチョコレートをいう。
また、得られた含水型耐熱性チョコレートに糖骨格が形成されているかどうかは、n−ヘキサンへの浸漬テストを行い、少なくとも20分間、チョコレートの形状が保たれていることを確認することで特定できる。n−ヘキサンの浸漬テストにおいて、本発明のチョコレートは好ましくは2時間以上、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは24時間以上形状が保たれていることが好ましい。なお、n−ヘキサンへの浸漬テストについては、特許文献3に詳しく記載されている。
以下、本発明の「融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の含水材を添加する工程を含む、含水型耐熱性チョコレートの製造方法」についても詳細に説明する。
本発明は、チョコレート生地に果糖60質量%以上含む糖組成の含水材を添加し、冷却固化工程、保温処理工程をおこなった含水型耐熱性チョコレートの製造方法のことをいう。ここで、前記含水材の果糖含有量は、60〜100質量%が好ましく、65〜99質量%であることがより好ましく、70〜99質量%であることがさらに好ましく、75〜98質量%であることが殊更好ましく、77〜90質量%であることが最も好ましい。
このように含水材の中に果糖が多く含まれていることにより、従来よりも短い時間の保温処理工程で、耐熱性を強化することができる。本発明の保温処理工程における具体的な温度と時間は、上記「保温処理工程」で説明したのと同様である。また、本発明の効果を別の視点で捉えれば、含水材の中に果糖が多く含まれていることによる糖骨格の強度を高めることができる(糖骨格強度を向上する方法を提供できる)。また、本発明の効果を別の視点で捉えれば、含水材の中に果糖が多く含まれていることにより、含水材の添加量(水の添加量)を低減しても、従来の含水材と同程度の耐熱性を保持できるので、水添加装置の簡略化や水の分散性の向上が図れる。
以下に、実施例を提示することにより、本発明をさらに具体的に説明する。なお、表中の%は質量%を意味する。
[チョコレートの原材料]
チョコレートの主原材料として、以下のものを使用した。
・全脂粉乳(よつ葉乳業株式会社、商品名:全脂粉乳)
・脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社、商品名:脱脂粉乳)
・粉糖(株式会社徳倉製、商品名:POWDER SUGAR)
・ココアバター(大東カカオ株式会社製、商品名:TCココアバター)
・カカオマス(大東カカオ株式会社製、商品名:カカオマス QM-P)
・香料(小川香料株式会社製、商品名:バニラ香料)
・レシチン(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:レシチンDX)
・PGPR(ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、太陽化学株式会社製)
[水性組成物]
水性組成物として、以下の市販の液糖を使用した。
・ニューフラクト55(水分25質量%、日本コーンスターチ株式会社製果糖ブドウ糖糖液)
・ハイフラクトS95C(水分25質量%、日本コーンスターチ株式会社製高果糖糖液)
[液糖の調製法]
表2に記載した液糖A〜Dは、使用前に、ニューフラクト55とハイフラクトS95Cをガラス瓶の中で適当な比率でブレンドし、20〜30℃の室温の環境下においてスターラー(アズワン社製マルチスターラーM-1)を用いて、各液糖が全体に均質になるように30分間撹拌して調製した。
[耐荷重応力の測定]
35℃で2時間静置した含水型耐熱性チョコレート(上面が縦16mm、横35mmであり、下面が縦20mm、横38mmであり、厚さが6mmの立体形状)を、レオメーター(英弘精機社製)を用いて測定した。ここで言う耐荷重応力とは、レオメーターは侵入速度を0.33mm/secに設定し、直径3mmの円筒状のプランジャーが、測定サンプルに3mm侵入するまでの最大応力のことを指す。
[付着性の評価]
35℃で2時間静置した含水型耐熱性チョコレートの状態を熟練した技術者による官能評価により評価した。当該生地に指を押し付け、以下の基準により評価した。
○:指にチョコレートがほとんど付着していない
△:指にチョコレートが少し付着する
×:指に溶融したチョコレートがべっとりと付着する
(実施例1〜3、比較例1)
以下表1の配合に従って、原材料を混合した後、常法に従って、ロールリファイニング、コンチングを行い、温度が35℃の融液状態にあるチョコレート生地(油脂含有量(油分)33.0質量%)を調製した。このチョコレート生地100質量%に対して、表2の各種液糖(水分25質量%)を用意し、4質量%(水としては対チョコレート生地1質量%)になるように添加し、撹拌分散させた。なお、液糖を滴下中、チョコレート生地は公知の攪拌機を用いて63rpmで攪拌した。また、液糖の添加が完了してから20分経過時点で、サンプリングをおこない、速やかにモールドに充填し、冷却工程によって成型をおこなった。その後、保温処理工程を28℃で48時間および96時間おこない供試した。耐荷重応力(単位はgf(重量グラム))および付着性に関する結果を表3にまとめた。なお、液糖Aを用いた含水型耐熱性チョコレートは比較例1であり、液糖B、C、Dを用いた含水型耐熱性チョコレートが実施例1〜3である。
Figure 2021117787
Figure 2021117787
Figure 2021117787
上記表3の結果から明らかであるように、液糖に含まれる果糖の糖組成が60質量%以上であると、同じ保温処理工程であっても、耐荷重応力は大きくなり、付着性も改善されていることがわかった。
このように、果糖が多く含まれる含水材(液糖B〜D)をチョコレートに添加することで、従来技術の液糖(液糖A)を使用した場合よりも、より短い時間で保温処理工程を終えることができ(例えば、通常96時間必要であるところ、48時間で終えることができ)、より工程全体にかかる時間を短かくして、含水型耐熱性チョコレートを簡便に製造できることが証明できた。
また、同じ時間の保温処理工程であっても、果糖が多く含まれる含水材(液糖B〜D)をチョコレートに添加することで、耐荷重応力の高い含水型耐熱性チョコレートを得ることができるので、暑熱環境下における衝撃に対する保形性や、喫食行動に対する可搬性の向上等も期待できる。
(実施例4)
上記と同様の温度が35℃の融液状態にあるチョコレート生地(油脂含有量(油分)33.0質量%)100質量%に対して、液糖Dを3質量%(水としては対チョコレート生地0.75質量%)になるように添加し、撹拌分散させた。なお、液糖を滴下中、チョコレート生地は公知の攪拌機を用いて63rpmで攪拌した。また、液糖の添加が完了してから20分経過時点で、サンプリングをおこない、速やかにモールドに充填し、冷却工程によって成型をおこなった。その後、保温処理工程を28℃で48時間および96時間おこない供試した。耐荷重応力(単位はgf(重量グラム))および付着性に関する結果を表4にまとめた。なお、参考のため比較例1(液糖Aを4質量%、水としては対チョコレート生地1質量%)の結果を併記した。
Figure 2021117787
上記表4の結果から明らかであるように、果糖の含有量が高い液糖Dであると、液糖の添加量を低減しても、果糖の含有量が低い従来技術の液糖(液糖A)と同等の耐荷重応力、付着性が得られることがわかった。また、液糖Cを使用すると、より高い効果が期待される。
このように、果糖が多く含まれる含水材を使用することで、含水材添加設備の小型化と融液状態のチョコレート生地への水の分散の効率化が図れる。
比較例1、実施例1〜4で得られた保温処理工程48時間の含水型耐熱性チョコレートをn−ヘキサンへの浸漬テストに供した。すなわち、長間隔16 mm、短間隔8mmで60°と120°で交差する菱形のステンレスネット上にチョコレートを載せ、室温でnーヘキサン中に浸漬し、48時間後の形状を下記の基準に基づいて評価した。結果を表5に示した。

〇:元の形状が完全に残っている
△:元の形状の一部が崩れている
×:ネット上に残渣が残っている程度に崩れているか、全て落下している。
Figure 2021117787
比較例1、実施例1〜4で得られた保温処理工程48時間の含水型耐熱性チョコレートには、糖骨格が形成されていることが確認できた。表3の結果と総合すると、果糖が多く含まれる含水材を使用すると、糖骨格の強度が向上すると推察される。

Claims (6)

  1. 融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の水性組成物(以下、この組成物を「含水材」という。)を添加してなる、含水型耐熱性チョコレート。
  2. 前記含水材の添加により、チョコレートに水が0.1〜5.0質量%、好ましくは0.3〜3.0質量%加配してなる、請求項1に記載のチョコレート。
  3. 前記チョコレートが、テンパリング型あるいはノンテンパリング型である、請求項1または2に記載のチョコレート。
  4. 20℃のヘキサン浸漬後、20分以上経っても型崩れが起きない、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のチョコレート。
  5. 融液状のチョコレートに、果糖を60質量%以上含む糖組成の水性組成物(以下、この組成物を「含水材」という。)を添加する工程を含む、含水型耐熱性チョコレートの製造方法。
  6. さらに続いて、冷却固化工程、及び、保温処理工程を含み、前記保温処理工程における処理時間が従来よりも短くなることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
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