JPWO2021054001A5 - - Google Patents

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本発明は、濾過回収装置に関する。
濾過対象物を含む液体を濾過する装置として、例えば、特許文献1に記載のセルストレーナーが知られている。特許文献1に記載のセルストレーナーは、上方が開口し液体を濾過する濾過部(フィルタ)と、濾過部を開口部内に保持する保持部と、チューブに保持した際、チューブの内部と外部とを連通する連通部を有する。特許文献1に記載のセルストレーナーでは、濾過部が保持部の側面および底面に配置されている。
特開2013-141456号公報
しかしながら、特許文献1のセルストレーナーでは、濾過対象物の回収率を向上させる点で未だ改善の余地がある。
本発明は、濾過対象物の回収率を向上することができる濾過回収装置を提供する。
本発明の一態様に係る濾過回収装置は、
液体を導入する導入口、前記液体を排出する排出口、および前記導入口と前記排出口とを連通する流路を有し、外周に溝部が形成されたホルダと、
前記ホルダの前記流路に配置され、複数の貫通孔を有する濾過フィルタと、
前記溝部に挿入される挿入部を有する1つまたは複数の把持部と、
を備え、
前記溝部と前記挿入部との間に隙間が形成されている。
本発明によれば、濾過対象物の回収率を向上することができる濾過回収装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置の一例の概略斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置の一例の概略分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置の一例の概略平面図である。 図3の濾過回収装置のA-A断面図である。 図4Aの濾過回収装置の一部を拡大した部分拡大図である。 例示的なフィルタ部の一部の拡大斜視図である。 図5のフィルタ部の一部を厚み方向から見た概略図である。 本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置を遠沈管に取り付けた状態を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係る変形例の濾過回収装置の概略斜視図である。 図8Aの濾過回収装置の概略平面図である。 図8Aの濾過回収装置の分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る別の変形例の濾過回収装置の概略平面図である。 本発明の実施の形態2に係る濾過回収装置の一例の概略構成図である。 10の濾過回収装置の別の概略構成図である。 11の濾過回収装置の平面図である。 図11の濾過回収装置のB-B断面図である。 13Aの濾過回収装置の一部を拡大した拡大断面図である。 比較例1の濾過回収装置の概略構成図である。 作製した細胞懸濁液を観察した顕微鏡写真である。 実施例1の濾過回収装置から排出された液体の顕微鏡写真である。 比較例1の濾過回収装置から排出された液体の顕微鏡写真である。 実施例1の濾過回収装置により捕捉された細胞の顕微鏡写真である。 比較例1の濾過回収装置により捕捉された細胞の顕微鏡写真である。 実施例1および比較例1の顕微鏡による観察結果を示す表である。
(本発明に至った経緯)
濾過対象物を含む液体を特許文献1に記載のセルストレーナーに通して、濾過対象物をサイズごとに分画することがある。この場合、濾過対象物は、セルストレーナーの貫通孔を通過する小さいものと、濾過フィルタの貫通孔より大きいものとに分画される。濾過対象物の分画の際に、液体をセルストレーナーに導入した後、セルストレーナーの貫通孔を通過するはずの小さな濾過対象物が、セルストレーナーに付着したままになってしまうことがある。
その結果、濾過対象物の回収率が低下してしまうという問題がある。また、セルストレーナーを通液用容器に接続して使用する場合、容器内の圧力が高くなり、セルストレーナーを液体が通過しにくくなるため液体の処理時間が長くなり、処理効率が低下するという問題がある。
また、貫通孔の大きさの異なるセルストレーナーを重ねることで、同時に複数の大きさの濾過対象物を分画することがある。特許文献1に記載のセルストレーナーは、フィルタ部と把持部とが一体形成されており、通液用容器に接続して使用する場合に、把持部が干渉して複数のセルストレーナーを重ねて使用することが難しい。また、セルストレーナーが接続された通液用容器を同時に複数平面上で使用する場合、把持部が干渉するため、通液用容器間には一定の配置間隔が必要となり、限られた作業平面において複数のセルストレーナーを同時に使用することが困難である。さらに、フィルタ部と把持部とが一体形成されていると、フィルタ部を顕微鏡で観察する際に誤って把持部に触れてしまうことがあり、観察域が変化してしまうおそれがある。
そこで、本発明者らは、フィルタ部と把持部とを別部品として構成することを検討し、以下の発明に至った。
本発明の一態様に係る濾過回収装置は、
液体を導入する導入口、前記液体を排出する排出口、および前記導入口と前記排出口とを連通する流路を有し、外周に溝部が形成されたホルダと、
前記ホルダの前記流路に配置され、複数の貫通孔を有する濾過フィルタと、
前記溝部に挿入される挿入部を有する1つまたは複数の把持部と、
を備え、
前記溝部と前記挿入部との間に隙間が形成されている。
このような構成により、濾過対象物の回収率を向上することができる。
濾過回収装置において、
前記ホルダは、
前記溝部を有する筒状の第1ホルダと、
前記第1ホルダに嵌め込まれる筒状の第2ホルダと、
を有し、
前記濾過フィルタは、前記第1ホルダと前記第2ホルダとによって挟持されていてもよい。
このような構成により、濾過フィルタをホルダから取り外すことが可能になる。
濾過回収装置において、
前記挿入部には、1つまたは複数の切欠き部が形成されていてもよい。
このような構成により、通液用容器の内部と外部との間での通気が可能になり、フィルタの通液性を向上することができる。
濾過回収装置において、
前記複数の切欠き部は、等間隔に設けられていてもよい。
このような構成により、挿入部が溝部に等間隔に挿入されるため、ホルダに対する把持部の安定性が向上する。
濾過回収装置において
前記ホルダは円筒形状であり、
前記複数の把持部は、平板状に形成され、厚み方向に重ねて配置されていてもよい。
このような構成により、一方の把持部を回転させて複数の切欠き部で形成される穴の大きさを変化させることができ、流量調節が可能になる。
濾過回収装置において、
前記把持部は、主面を有する平板状に形成され、前記主面に1つまたは複数の凸部が形成されていてもよい。
このような構成により、通液用容器との間に通気口が形成され、通液性を向上することができる。
以下、本発明に係る実施の形態1について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置は、濾過および回収を行うことができる装置である。具体的には、濾過回収装置は、濾過対象物を含む液体を濾過フィルタによって濾過し、濾過フィルタを通過した濾過対象物または濾過フィルタで捕捉された濾過対象物を回収する。
本明細書において、「濾過対象物」とは、液体に含まれる対象物のうち、濾過されるべき対象物を意味している。例えば、濾過対象物は、液体に含まれる生物由来物質であってもよい。「生物由来物質」とは、細胞(真核細胞)、細菌(真正細菌)、ウィルス等の生物に由来する物質を意味する。細胞(真核細胞)としては、例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、ES細胞、幹細胞、間葉系幹細胞、単核球細胞、単細胞、細胞塊、浮遊性細胞、接着性細胞、神経細胞、白血球、再生医療用細胞、自己細胞、がん細胞、血中循環がん細胞(CTC)、HL-60、HELA、菌類を含む。細菌(真正細菌)としては、例えば、大腸菌、結核菌を含む。
実施の形態1では、1つの例として、液体は細胞懸濁液であり、濾過対象物は細胞として説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置1Aの一例の概略斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置1Aの一例の概略分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置1Aの一例の概略平面図である。図4Aは、図3の濾過回収装置1AのA-A断面図である。図4Bは、図4Aの濾過回収装置1Aの一部を拡大した部分拡大図である。図1~図3中のX、Y、Z方向は、それぞれ濾過回収装置1Aの縦方向、横方向、厚み方向を示している。
図1~図4Bに示すように、濾過回収装置1Aは、濾過フィルタ10と、濾過フィルタ10を保持するホルダ20と、ホルダ20に取り付けられた把持部23とを備える。
<濾過フィルタ>
濾過フィルタ10は、金属製フィルタである。具体的には、濾過フィルタ10は、金属および金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする。濾過フィルタ10は、複数の貫通孔を有するフィルタ部11と、フィルタ部11の外周を囲むように配置された枠部12と、を備える。実施の形態1では、フィルタ部11と枠部12とは一体で形成されている。
図5は、例示的なフィルタ部11の一部の拡大斜視図である。図6は、図5のフィルタ部11の一部を厚み方向から見た概略図である。
図5および図6に示すように、フィルタ部11は、液体に含まれる濾過対象物が補足される第1主面PS1と、第1主面PS1に対向する第2主面PS2とを有する板状構造体である。フィルタ部11には、第1主面PS1と第2主面PS2とを貫通する複数の貫通孔13が形成されている。具体的には、フィルタ部11を構成するフィルタ基体部14に、複数の貫通孔13が形成されている。
図2に示すように、フィルタ部11の形状は、濾過フィルタ10の厚み方向(Z方向)から見て、例えば、円形、長方形、楕円形である。実施の形態1では、フィルタ部11の形状は、略円形である。なお、本明細書において、「略円形」とは、短径の長さに対する長径の長さの比が1.0以上1.2以下であることをいう。
図5および図6に戻って、複数の貫通孔13は、フィルタ部11の第1主面PS1および第2主面PS2上に周期的に配置されている。具体的には、複数の貫通孔13は、フィルタ部11においてマトリクス状に等間隔で設けられている。
実施の形態1では、貫通孔13は、フィルタ部11の第1主面PS1側、すなわちZ方向から見て、正方形の形状を有する。なお、貫通孔13は、Z方向から見た形状が正方形に限定されず、例えば、長方形、円形、または楕円などの形状であってもよい。
実施の形態1では、フィルタ部11の第1主面PS1に対して垂直な面に投影した貫通孔13の形状(断面形状)は、長方形である。具体的には、貫通孔13の断面形状は、濾過フィルタ10の半径方向の一辺の長さが、濾過フィルタ10の厚み方向の一辺の長さより長い長方形である。
実施の形態1では、複数の貫通孔13は、フィルタ部11の第1主面PS1側(Z方向)から見て正方形の各辺と平行な2つの配列方向、すなわち図5中のX方向とY方向に等しい間隔で設けられている。このように、複数の貫通孔13を正方格子配列で設けることによって、開口率を高めることが可能であり、濾過フィルタ10に対する液体の通過抵抗を低減することができる。このような構成により、濾過の時間を短くし、濾過対象物へのストレスを低減することができる。
なお、複数の貫通孔13の配列は、正方格子配列に限定されず、例えば、準周期配列、または周期配列であってもよい。周期配列の例としては、方形配列であれば、2つの配列方向の間隔が等しくない長方形配列でもよく、三角格子配列または正三角格子配列などであってもよい。なお、貫通孔13は、フィルタ部11に複数設けられていればよく、配列は限定されない。
複数の貫通孔13の間隔は、濾過対象物である細胞の種類(大きさ、形態、性質、弾性)または量に応じて適宜設計されるものである。ここで、貫通孔13の間隔とは、図6に示すように、貫通孔13をフィルタ部11の第1主面PS1側から見て、任意の貫通孔13の中心と隣接する貫通孔13の中心との距離bを意味する。周期配列の構造体の場合、貫通孔13の間隔bは、貫通孔13の形状が正方形であるとき、例えば、貫通孔13の一辺dの1倍よりも大きく10倍以下であり、好ましくは、貫通孔13の一辺dの3倍以下である。あるいは、例えば、フィルタ部11の開口率は、10%以上であり、好ましくは、開口率は、25%以上である。このような構成により、フィルタ部11に対する液体の通過抵抗を低減することができる。そのため、処理時間を短くすることができ、細胞へのストレスを低減することができる。なお、開口率とは、(貫通孔13が占める面積)/(貫通孔13が空いていないと仮定したときの第1主面PS1の投影面積)で計算される。
フィルタ部11の厚みは、貫通孔13の大きさ(一辺d)の0.1倍よりも大きく100倍以下が好ましい。より好ましくは、フィルタ部11の厚みは、貫通孔13の大きさ(一辺d)の0.5倍よりも大きく10倍以下である。このような構成により、液体に対する濾過フィルタ10の抵抗を低減することができ、濾過の時間を短くすることができる。その結果、濾過対象物へのストレスを低減することができる。
フィルタ部11において、濾過対象物を含む液体が接触する第1主面PS1は、表面粗さが小さいことが好ましい。ここで、表面粗さとは、第1主面PS1の任意の5箇所において触針式段差計で測定された最大値と最小値との差の平均値を意味する。実施の形態1では、表面粗さは、濾過対象物の大きさより小さいことが好ましく、濾過対象物の大きさの半分より小さいことがより好ましい。言い換えると、フィルタ部11の第1主面PS1上の複数の貫通孔13の開口が同一平面(XY平面)上に形成されている。また、フィルタ部11のうち、貫通孔13が形成されていない部分であるフィルタ基体部14は、繋がっており、一体に形成されている。このような構成により、フィルタ部11の表面(第1主面PS1)への濾過対象物の付着が低減され、液体の抵抗を低減することができる。
貫通孔13は、第1主面PS1側の開口と第2主面PS2側の開口とが連続した壁面を通じて連通している。具体的には、貫通孔13は、第1主面PS1側の開口が第2主面PS2側の開口に投影可能に設けられている。すなわち、フィルタ部11を第1主面PS1側から見た場合に、貫通孔13は、第1主面PS1側の開口が第2主面PS2側の開口と重なるように設けられている。実施の形態1において、貫通孔13は、その内壁が第1主面PS1および第2主面PS2に対して垂直となるように設けられている。
フィルタ基体部14を構成する材料は、金属および/または金属酸化物を主成分としている。フィルタ基体部14は、例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、チタン、これらの合金およびこれらの酸化物であってもよい。特に、チタンや、ニッケル-パラジウム合金を使用することにより、金属の溶出が少なく、濾過対象物への影響を低減することができる。
枠部12は、濾過フィルタ10とホルダ20とを接続する接続部として機能する。
また、枠部12には、フィルタの情報(例えば、貫通孔13の寸法など)を表示してもよい。これにより、改めて測長などを行うことなく貫通孔13の寸法を把握したり、表裏を判別したりしやすくなる。
実施の形態1では、濾過フィルタ10の直径は17mmであり、膜厚は1.6μmである。フィルタ部11の直径は13mmであり、枠部12の幅は2mmである。濾過フィルタ10は、これらの寸法に限定されることなく、他の寸法で作製されていてもよい。
実施の形態1では、枠部12を構成する材料は、フィルタ部11(フィルタ基体部14)を構成する材料と同じである。なお、枠部12の材料とフィルタ部11の材料とは、一体で形成されていなくてもよく、別の部材で構成されていてもよい。
<ホルダ>
図4Aに示すように、ホルダ20は、液体を導入する導入口20aと、液体を排出する排出口20bと、導入口20aと排出口20bとを連通する流路20cとを有し、外周に溝部21aが形成されている。ホルダ20は、導入口20aと排出口20bとの間の流路20cに濾過フィルタ10を保持する。実施の形態1では、ホルダ20は、流路20cにおいて、排出口20bよりも上方に濾過フィルタ10を保持する。
ホルダ20は、筒状に形成されている。具体的には、ホルダ20において、導入口20aと排出口20bとが対向して設けられている。ホルダ20の内部において、導入口20aと排出口20bとを連通するように流路20cが設けられている。
実施の形態1では、ホルダ20は、筒状の第1ホルダ21と、第1ホルダ21の内側に配置される筒状の第2ホルダ22と、を有する。
図2および図4Aに示すように、第1ホルダ21は外周に溝部21aが形成され、溝部21aに後述する把持部23の挿入部23aが挿入されることにより、第1ホルダ21に把持部23が取り付けられている。図4Bに示すように、把持部23の挿入部23aが溝部21aに挿入された状態で、挿入部23aと溝部21aとの間には隙間が形成されている。具体的には、把持部23の厚みW1よりも溝部21aの幅W2が大きく、挿入部23aの端面23aaと溝部21aの底部21aaとの間の距離D1が0より大きい。換言すると、把持部23の挿入部23aと溝部21aとの間には、溝部21aの幅方向および深さ方向において、隙間が形成されている。溝部21aの幅方向は、図1~図3におけるZ方向、溝部21aの深さ方向は、図1~図3におけるXY方向である。なお、隙間は、溝部21aの幅方向または深さ方向の少なくともどちらか一方に形成されていればよい。
溝部21aの幅W2は、把持部23の厚みW1の1.1倍以上2倍未満に設定される。把持部23が第1ホルダ21から意図せず外れることを防止するため、溝部21aの幅W2は、把持部23の厚みW1の1.1倍以上1.5倍未満に設定されることが好ましい。また、把持部23の挿入部23aの端面23aaと溝部21aの底部21aaとの間の距離D1は、溝部21aの深さD2の0.1倍以上0.8倍以下に設定される。より好ましくは、距離D1は、深さD2の0.3倍以上0.6倍以下に設定されるとよい。
このように、挿入部23aと溝部21aとの間に隙間が形成されることにより、把持部23に対して、第1ホルダ21を隙間の範囲で動かすことができる。このため、把持部23を固定した状態で、第1ホルダ21および第2ホルダ22に保持されている濾過フィルタ10に対して、振動を与えることができる。また、挿入部23aと溝部21aとの間の隙間により、把持部23を容易にホルダ20から取り外すことができる。
また、第1ホルダ21の内部には、濾過フィルタ10を保持する台座部21bが設けられている。台座部21bは、第1ホルダ21の内壁から第1ホルダ21の内側に向かって突出しており、第1ホルダ21内においてリング状に形成されている。なお、台座部21bは必須の構成ではなく、例えば、第1ホルダ21または第2ホルダ22に濾過フィルタ10を嵌め込む溝等が形成されていてもよい。
実施の形態1では、第1ホルダ21は、径の異なる2つの円筒が組み合わさった形状であるが、第1ホルダ21の形状はこれに限定されない。
第2ホルダ22は、第1ホルダ21に嵌め込まれ、濾過フィルタ10を第1ホルダ21の台座部21bと第2ホルダ22の端部22aとで挟持している。実施の形態1では、第2ホルダ22の外周に突起部22bが形成されているが、突起部22bは必須の構成ではない。
第1ホルダ21および第2ホルダ22を含むホルダ20は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂材料で形成することができる。第1ホルダ21および第2ホルダ22は、異なる色で形成されていてもよい。この場合、色により、第1ホルダ21と第2ホルダ22とを識別しやすくなる。このため、ホルダ20の向きを容易に判別することができる。
<把持部>
把持部23は、平板状に形成され、第1ホルダ21の溝部21aに挿入される挿入部23aと把持部本体23cとを有する。把持部23は、挿入部23aが第1ホルダ21の溝部21aに挿入されて、第1ホルダ21に取り付けられる。すなわち、把持部23はホルダ20とは別の部品として形成されており、把持部23はホルダ20に対して着脱可能である。
把持部23は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂材料で形成することができる。把持部23は、第1ホルダ21および第2ホルダ22と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。また、把持部23は、第1ホルダ21および/または第2ホルダ22と異なる色で形成されていてもよい。
把持部本体23cには、ホルダ20が挿入される貫通孔23dが設けられている。挿入部23aは、貫通孔23dの内壁である。または、貫通孔23dの内壁と接続される把持部本体23cの上面および下面の一部も挿入部23aに含まれていてもよい。挿入部23aには4つの切欠き部23bが形成されて、切欠き部23bにより、挿入部23aが複数に分断されている。また、切欠き部23bは、把持部本体23cの外周と繋がっていてもよい。繋がっていることにより、把持部23を平板上の平面方向に移動させて、第1ホルダ21の溝部21aに挿入部23aを挿入することができる。
貫通孔23dは、上述した第1ホルダ21の溝部21aと把持部23の挿入部23aとの関係を満たすように、その内径R1が、第1ホルダ21をZ方向から見たときの溝部21aの底部21aa(図4B参照)の直径よりも大きく、第1ホルダ21の外周の直径よりも小さくなるように設けられる。実施の形態1では、第1ホルダ21は径の異なる2つの円筒が組み合わさった形状であるが、この場合の外周は、溝部21aが形成されている外周のことである。このように貫通孔23dを設けることで、把持部23が第1ホルダ21に接続されたときに、挿入部23aと溝部21aとの間に隙間を形成することができる。
挿入部23aには、4つの切欠き部23bが形成されている。このため、挿入部23aは4つに分断されている。また、切欠き部23bはホルダ20を中心にして等間隔に設けられている。「ホルダ20を中心にして等間隔に設けられている」とは、図3に示すように、ホルダ20の中心を軸として、それぞれの切欠き部23bが回転対称をなすように配置されていることを示す。実施の形態1では、それぞれの切欠き部23bは、ホルダ20を中心にしてそれぞれ90度の間隔で配置されている。なお、切欠き部23bの配置間隔はこれに限定されず、等間隔であればよい。この場合、それぞれの挿入部23aは第1ホルダ21を中心軸とする回転対称をなすように配置される。このような構成によると、把持部23を第1ホルダ21に取り付けた際の安定性を向上することができる。なお、切欠き部23bは必須の構成ではなく、設けられていなくてもよい。また、切欠き部23bが等間隔に設けられていなくても構わない。
図2に示すように、第1ホルダ21を、Z方向から把持部23の貫通孔23dに挿入することにより、第1ホルダ21と把持部23とを接続することができる。上述した挿入部23aと溝部21aとの大きさの関係により、貫通孔23dの内径R1は、第1ホルダ21の外径よりも小さい。しかし、第1ホルダ21を貫通孔23dにZ方向に押し込むことにより、挿入部23aがその応力により撓むため、挿入部23aを溝部21aに挿入することができ、第1ホルダ21と把持部23とを接続することができる。このような構成により、第1ホルダ21に把持部23が接続された状態において、溝部21aと挿入部23aとの間に隙間が生じる。このため、把持部23を固定したときに、ホルダ20を振動させることができ、逆に、ホルダ20を固定したときに、把持部23を回転させることができる。
図7は、本発明の実施の形態1に係る濾過回収装置1Aを遠沈管40に取り付けた状態を示す概略図である。図7に示すように、把持部23を有することにより、濾過回収装置1Aが把持部23により遠沈管40に保持される。具体的には、遠沈管40の開口に濾過回収装置1Aを取り付ける場合、把持部23が遠沈管40の開口を画定する開口端部に載置される。このようにして、把持部23が遠沈管40の開口端部によって保持される。
濾過回収装置1Aを遠沈管40に取り付けたとき、把持部23の挿入部23aに形成された4つの切欠き部23bが、遠沈管40の内部と外部との間で空気を通過させる通気口となり、遠沈管40の内圧が上昇することを防止することができる。すなわち、遠沈管40の内部と外部とで気圧差が小さくなるため、濾過回収装置1Aに液体を導入する際に、遠沈管40の内圧が上昇することによる液体の通過抵抗を低減することができる。このような構成により、濾過の時間を短くし、濾過対象物へのストレスを低減することができる。
また、把持部23の挿入部23aに切欠き部23bが形成されていることにより、濾過回収装置1Aを遠沈管40に取り付けた状態で、切欠き部23bから遠沈管40に排出された液体の状態を目視で確認することができる。
さらに、遠沈管40に排出された液体に、切欠き部23bからピペット等で、例えば試薬等の追加の液体を投入したり、遠沈管40に排出された液体の一部を抽出したりすることができる。
把持部23の遠沈管40との接触部分に1つまたは複数の凸部が設けられていてもよい。このような構成によると、濾過回収装置1Aに液体を導入している間に、ホルダ20に対してより振動を与えやすく、液体の通液性および濾過対象物の回収率を向上することができる。
[濾過回収方法]
濾過回収装置1Aによる懸濁液の濾過回収方法の一例を説明する。
(1)図7に示すように、濾過回収装置1Aを遠沈管40に取り付ける。このとき、把持部23が遠沈管40の開口端部で保持される。
(2)濾過回収装置1Aのホルダ20の導入口20aから、濾過対象物を含む液体をホルダ20内部の流路20cに導入する。把持部23の挿入部23aと第1ホルダ21の溝部21aとの間には隙間が形成されているため、把持部23が遠沈管40の開口端部に固定されたときに、ホルダ20を振動させることができる。このため、液体を導入している間に、液体が流れる際の衝撃によりホルダ20が不規則に振動する。この不規則な振動により、濾過フィルタ10のフィルタ基体部14に付着した貫通孔13よりも小さい濾過対象物が遠沈管40に落下するため、濾過フィルタ10の目詰まりを防止することができる。その結果、液体の通液性を向上することもできる。
(3)遠沈管40に排出された液体をピペット等で抽出する。遠沈管40に排出された液体には、所望の大きさよりも小さい濾過対象物、すなわちフィルタ部11の貫通孔13を通過する大きさの濾過対象物が含まれている。
(4)濾過フィルタ10をホルダ20から取り外し、例えば緩衝液中に投入して濾過フィルタ10に付着した濾過対象物を分離する。
このように、濾過フィルタ10の貫通孔13を通過する大きさの濾過対象物と、貫通孔13よりも大きい濾過対象物とを分画することができる。
[効果]
実施の形態1に係る濾過回収装置1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
濾過回収装置1Aは、ホルダ20と、濾過フィルタ10と、把持部23とを備える。ホルダ20は、導入口20a、排出口20b、および導入口20aと排出口20bとを連通する流路20cを有し、外周に溝部21aが形成されている。濾過フィルタ10は、ホルダ20の流路20cに配置され、複数の貫通孔13を有する。把持部23は、溝部21aに挿入される挿入部23aを有する。溝部21aと挿入部23aとの間に隙間が形成されている。このため、把持部23を固定した状態で濾過回収装置1Aに液体を導入すると、ホルダ20を振動させることができる。
このような構成により、濾過回収装置1Aに濾過対象物を含む液体を導入したときに、濾過フィルタ10のフィルタ基体部14に付着した貫通孔13よりも小さい濾過対象物が遠沈管40に落下するため、目詰まりの発生を低減して、通液性を向上することができる。
また、溝部21aと挿入部23aとの間の隙間により、ホルダ20を固定したときにホルダ20を中心に把持部23を回転させることができる。例えば、ホルダ20に濾過フィルタ10を装着したまま顕微鏡による観察を行う場合に、誤って把持部23に触れてしまっても、把持部23が回転するため、観察域を変化させることを防止することができる。
また、濾過回収装置1Aは、濾過フィルタ10、ホルダ20、および把持部23に分解することができる。例えば、複数の濾過回収装置1Aを同一容器内に梱包して搬送や保管する場合、ある濾過回収装置1Aに接続された把持部23が、別の濾過回収装置1Aの濾過フィルタ10に接触してしまい、濾過フィルタ10が破損してしまう場合がある。しかし本発明に基づき、ホルダ20と把持部23を分解することによって、梱包の際に把持部23により濾過フィルタ10を破損させることを防止することができる。
把持部23がホルダ20から取り外し可能であるため、把持部23同士を干渉させずに複数の濾過回収装置1Aを重ねて使用することができる。
また、把持部23がホルダ20から取り外し可能であるため、把持部23同士を干渉させずに複数の濾過回収装置1Aを平面上に多数並べて使用することができる。把持部23がホルダ20に固定されたセルストレーナーが接続された遠沈管40等の複数の通液用容器を、同時に同じ平面上で使用することがある。この場合、把持部23が干渉するため、通液用容器間には一定の配置間隔が必要となる。このため、限られた作業平面において、複数のセルストレーナーを同時に使用することが困難である。例えば、図3に示すように、Z方向から見たときに、濾過回収装置1Aが収まる円C1より外側に、隣接する濾過回収装置1Aが接続された通液用容器を配置することになる。
しかし、把持部23をホルダ20から取り外せば、隣接する濾過回収装置1Aが接続された通液用容器を、図3に示す円C2、すなわちホルダ20の外周まで近接させることがでる。このため、限られた作業平面において、より多くの数の濾過回収装置1Aを同時に使用することができる。
また、挿入部23aに、複数の切欠き部23bが形成されている。この場合、濾過回収装置1Aを、例えば遠沈管40に取り付けた際に、切欠き部23bは、遠沈管40の内部と外部との間で空気を通過させる通気口となり、遠沈管40の内圧が上昇することを防止することができる。したがって、さらに通液性を向上することができる。
また、複数の切欠き部23bは、ホルダ20に対して等間隔に形成されている。この場合、把持部23をホルダ20に取り付けた際の安定性を向上することができる。
また、把持部23は、主面を有する平板状に形成され、主面に1つまたは複数の凸部が形成されていてもよい。この場合、濾過回収装置1Aに液体を導入している間に、ホルダ20に対してより振動を与えやすく、液体の通液性および濾過対象物の回収率を向上することができる。
濾過フィルタ10は、金属および金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする。このような構成により、濾過対象物を容易に回収することができ、回収率を向上させることができる。例えば、樹脂フィルタにおいては、貫通孔の寸法および配置にばらつきがあり、濾過対象物が貫通孔に入り込んでしまう場合がある。金属および金属酸化物のうち、少なくともいずれかを主成分とする濾過フィルタ10においては、貫通孔の寸法および配置が樹脂フィルタに比べて均等に設計されている。このため、濾過回収装置1Aでは、金属および金属酸化物のうち少なくともいずれかを主成分とする濾過フィルタ10を用いることによって、濾過対象物を回収する際、濾過フィルタ10から濾過対象物を剥離しやすくなり、樹脂フィルタに比べて回収率を向上させることができる。
なお、実施の形態1では、濾過フィルタ10は金属製フィルタである例を説明したが、これに限定されない。濾過フィルタ10は、液体に含まれる濾過対象物を濾過することができる膜状もしくはシート状の物質であればよい。
実施の形態1では、濾過回収装置1Aは、1つの濾過フィルタ10を備える例について説明したが、これに限定されない。濾過回収装置1Aは、複数の濾過フィルタを備えてもよい。濾過回収装置1Aが複数の濾過フィルタを備える場合、複数の濾過フィルタは、液体が流れる方向に直列に配置されてもよい。また、複数の濾過フィルタの貫通孔の寸法は、異なっていてもよい。例えば、複数の濾過フィルタは、液体が流れる上流側から、貫通孔の寸法が大きい順に直列に配置されていてもよい。このような構成により、一度にサイズの異なる濾過対象物を濾過し、回収することができる。
実施の形態1では、濾過対象物を細胞、液体を細胞懸濁液として説明したが、これに限定されない。
実施の形態1では、ホルダ20は第1ホルダ21と第2ホルダ22とで構成される例について説明したが、これに限定されない。ホルダ20は、第1ホルダ21と第2ホルダ22とが一体形成されていてもよいし、2つ以上のパーツで構成されていてもよい。
実施の形態1では、濾過フィルタ10の枠部12は、全周にわたって第1ホルダ21と第2ホルダ22とによって挟持されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、枠部12は、第1ホルダ21と第2ホルダ22とによって部分的に挟持されていてもよい。このような構成により、濾過フィルタ10の径方向外側に引っ張る力を抑制することができる。その結果、濾過中に濾過フィルタ10が破損することを抑制することができる。
実施の形態1では、濾過を行う際に、濾過回収装置1Aを遠沈管40に取り付ける例について説明したが、これに限定されない。濾過を行う際には、濾過回収装置1Aは、遠沈管以外の容器または装置などに取り付けられていてもよい。
実施の形態1では、濾過フィルタ10は、ホルダ20の内壁に対して略垂直に配置される例について説明したが、これに限定されない。濾過フィルタ10は、ホルダ20の内壁に対して斜めに配置されていてもよい。
また、実施の形態1では、4つの切欠き部23bか形成されている例について説明したが、これに限定されない。切欠き部23bは、1つまたは複数であってもよい。
図8Aは、実施の形態1に係る変形例の濾過回収装置1Bの概略斜視図である。図8Bは、図8Aの濾過回収装置1Bの概略平面図である。図8Cは、図8Aの濾過回収装置1Bの分解斜視図である。
図8A~図8Cに示す濾過回収装置1Bのように、把持部24がZ方向からみて凹状に形成されていてもよい。「把持部24が凹状に形成されている」とは、切欠き部のうちの1つである切欠き部24dが、把持部本体24cの外周と繋がって形成されていることを示す。なお、外周と繋がって形成される切欠き部24dは、図8A~図8Cに示すものに限らず、切欠き部24bが外周と繋がって形成されていてもよい。図8Cに示すように、把持部本体24cの外周と繋がっている切欠き部24dに、矢印Lの方向にホルダ20を移動させることにより、ホルダ20と把持部24とを接続することができる。このため、把持部24とホルダ20との着脱がさらに容易になる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る別の変形例の濾過回収装置1Cの概略平面図である。図9に示すように、把持部25の挿入部25aに設けられた切欠き部25bの形状および大きさが異なっていてもよい。
切欠き部25bの大きさを、上述の切欠き部23bの大きさよりも小さくすることにより、遠沈管40の内部と外部との間の通気口の役割を担う部分が小さくなるため、液体が濾過フィルタ10を通過する速度を遅くすることができる。このように、切欠き部の大きさを調整することにより、液体が濾過フィルタ10を通過する速度を調整することができる。
また、この場合、挿入部25aが、上述の挿入部23aよりも幅広に形成されるため、把持部25がホルダ20に接続されたときの安定性を向上することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る濾過回収装置について説明する。
実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
実施の形態2では、濾過回収装置が複数の把持部を有する点で、実施の形態1と異なる。
図10は、本発明の実施の形態2に係る濾過回収装置1Dの一例の概略構成図である。図11は、図10の濾過回収装置1Dの別の概略構成図である。図12は、図11の濾過回収装置1Dの平面図である。図13Aは、図12の濾過回収装置1DのB-B断面図である。図13Bは、図13Aの濾過回収装置1Dの一部を拡大した拡大断面図である。
図10~図12に示すように、濾過回収装置1Dは、複数の把持部26、27を有する。複数の把持部26、27は平板状に形成され、厚み方向(Z方向)に重ねて配置されている。図10に示すように、実施の形態2では、複数の把持部26、27は、同一の形状のものが厚み方向に重ねて配置されている。把持部26は、挿入部26aと切欠き部26bとを有する。把持部27も同様に、挿入部27aと切欠き部27bとを有する。図11および図12に示すように、把持部26と把持部27とは、ホルダ20を中心として個別に回転させることができる。このような構成により、2つの切欠き部26b、27bで形成される穴の大きさを変えることができる。2つの切欠き部26b、27bで形成される穴は、例えば、濾過回収装置1Dを遠沈管等に取り付けた際に、遠沈管の内部と外部との間の通気口として機能する。
図13Aに示すように、実施の形態2では、第1ホルダ21に形成された溝部21aに、把持部26の挿入部26aと把持部27の挿入部27aとが挿入されることにより、第1ホルダ21に把持部26および把持部27が取り付けられている。溝部21aは、図13Bに示すように、把持部26および把持部27が溝部21aに挿入されたときに、挿入部26aおよび挿入部27aと溝部21aとの間に隙間が形成されている。具体的には、把持部26と把持部27とを重ねたときの厚みW3よりも溝部21aの幅W4が大きく、挿入部26aの端面26aaまたは挿入部27aの端面27aaと溝部21aの底部21aaとの間の距離D3が0より大きい。すなわち、把持部26の挿入部26aおよび把持部27の挿入部27aと溝部21aとの間には、溝部21aの幅方向および深さ方向において、隙間が形成されている。溝部21aの幅方向は、図10~図12におけるZ方向、溝部21aの深さ方向は、図10~図12におけるXY方向である。なお、隙間は、溝部21aの幅方向または深さ方向の少なくともどちらか一方に形成されていればよい。
溝部21aの幅W4は、把持部26と把持部27とを重ねたときの厚みW3の1.1倍以上2倍未満に設定される。把持部26および把持部27が意図せず外れることを防止するため、溝部21aの幅W4は、把持部26と把持部27とを重ねたときの厚みW3の1.1倍以上1.5倍未満に設定されることが好ましい。また、挿入部26aの端面26aaおよび挿入部27aの端面27aaと溝部21aの底部21aaとの距離D3は、溝部21aの深さD4の0.1倍以上0.8倍以下に設定される。より好ましくは、距離D3は深さD4の0.3倍以上0.6倍以下に設定されるとよい。
なお、把持部26と把持部27とは、厚みが異なるように形成されていてもよい。
[効果]
実施の形態2に係る濾過回収装置1Dによれば、以下の効果を奏することができる。
濾過回収装置1Dでは、2つの把持部26、27が厚み方向に重ねて配置されている。このような構成により、例えば遠沈管に濾過回収装置1Dを取り付けたとき、把持部26または把持部27のどちらか一方を回転させることにより、遠沈管の内部と外部との間で空気を通過させる通気口の大きさ変化させることができる。なお、通気口とは、上述した2つの切欠き部26b、27bにより形成される穴である。例えば、濾過回収装置1Dに液体を導入中に通気口の大きさを変えることにより、液体が濾過フィルタ10を通過する速度を調整することができる。
(実施例)
実施例1として、実施の形態1の濾過回収装置1Aを用いて、細胞懸濁液に含まれる細胞塊およびシングル細胞の分画を行い、濾過フィルタ10を通過した細胞懸濁液、および濾過フィルタ10に捕捉された細胞塊に対して評価を行った。また、比較例1を用いて、実施例1と同様の条件にて評価を行った。
<実施例1の濾過回収装置>
実施例1で濾過回収装置1Aの構成は、実施の形態1で述べているため説明を省略する。
<比較例1の濾過回収装置>
図14は、比較例1の濾過回収装置101Aの概略構成図である。図14に示すように、比較例1の濾過回収装置101Aは、導入口、排出口および導入口と排出口とを連通する流路120cを有するホルダ120と、流路120cに配置される濾過フィルタ110とを備える。ホルダ120は、把持部121aが一体形成された第1ホルダ121と第1ホルダ121に嵌め込まれる第2ホルダ122とを有する。その他の構成は、実施例1の濾過回収装置1Aと同一である。
実施例1の濾過回収装置1A、および比較例1の濾過回収装置101Aには、同一の濾過フィルタを配置した。この濾過フィルタは、正方形の貫通孔が正方格子配列で設けられており、正方形の一辺の長さd(図6参照)は30μm、格子間隔b(図6参照)は42μm、濾過フィルタの厚みは1.6μmである。また、濾過フィルタの材質はNiである。
<細胞懸濁液>
クラレ社製Micro-Space Cell Culture Plate(品番MPc 500 6)の1ウェルあたりにDMEM培地(1 g/L Glucose with L-Glutamine and Sodium Pyruvate - 10% FBS)を2ml投入し、マウス胎児線維芽細胞(MEF細胞)を1ウェルあたりに1×10個を播種して細胞塊を作製した。培養7日目にプレートから細胞塊を抽出し、DMEM培地で調整して、細胞塊濃度が30個/mlの細胞懸濁液を20ml作製した。この細胞懸濁液を顕微鏡で観察し、細胞塊10個の平均値、最小値、および最大値を計測したところ、細胞塊を球形近似した場合の直径は110±40μmであった。図15は、作製した細胞懸濁液を観察した顕微鏡写真である。図15に示すように、3個の細胞塊と、細胞塊になりきっていない16個のシングル細胞とが観察された。なお、顕微鏡の視野面積は、1.70×1.17mmである。図15の顕微鏡写真において、大きな塊が細胞塊であり、白い球形の像がシングル細胞である。なお、シングル細胞には顕微鏡の焦点が合っていないため、シングル細胞の大きさは実際よりも大きく見えている。
<評価方法>
実施例1の濾過回収装置1A、および比較例1の濾過回収装置101Aを、それぞれ50mlの遠沈管に取り付けて、上述の細胞懸濁液をそれぞれの濾過回収装置に対して10ml導入し、さらにその後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を40ml導入した。
実施例1の濾過回収装置1Aに細胞懸濁液およびPBSを導入している間、濾過回収装置1Aが遠沈管上でカタカタと音をたて不規則に振動する様子を目視で観察した。
一方、比較例1の濾過回収装置101Aに細胞懸濁液およびPBSを導入している間、濾過回収装置101Aが遠沈管に対して静置している様子を目視で観察した。
細胞懸濁液およびPBSの導入から20秒後に、遠沈管の目盛りを使用して目視測定した遠沈管の液量は、実施例1では48ml、比較例1では44mlであった。
遠沈管に排出された液体をピペットで抽出し、顕微鏡により観察を行った。図16は、実施例1の濾過回収装置1Aから排出された液体の顕微鏡写真である。図17は、比較例1の濾過回収装置101Aから排出された液体の顕微鏡写真である。なお、顕微鏡の視野面積は、1.70×1.17mmである。
図16に示すように、実施例1では14個のシングル細胞が観察された。また、図17に示すように、比較例1では、5個のシングル細胞が観察された。
次に、濾過フィルタに捕捉された細胞を観察した。PBS10mlを投入した20mlビーカーに、実施例1および比較例1それぞれの濾過回収装置から取り外した濾過フィルタを投入し、濾過フィルタに付着した細胞を分離した。ビーカー内の液体を顕微鏡で観察した。
図18は、実施例1の濾過回収装置1Aにより捕捉された細胞の顕微鏡写真である。図19は、比較例1の濾過回収装置101Aにより捕捉された細胞の顕微鏡写真である。なお、顕微鏡の視野面積は、1.70×1.17mmである。
実施例1および比較例1のどちらの場合も、細胞塊が観察された。図18に示すように、実施例1では、2個の細胞塊が観察され、さらに1個のシングル細胞が観察された。なお、図18において、中央から右上に見られる粒子状物質は細胞以外の微粒子である。
図19に示すように、比較例1では、1個の細胞塊が観察され、さらに12個以上のシングル細胞が観察された。
<考察>
図20は、実施例1および比較例1の顕微鏡による観察結果を示す表である。図20に示すように、実施例1では、遠沈管に排出された液体中にシングル細胞が多く観察され、比較例1では、濾過フィルタに捕捉された細胞中にシングル細胞が多く観察された。
実施例1では、液体の導入中の濾過回収装置1Aの不規則な振動により通液性が向上したため、シングル細胞が濾過フィルタから効率よく落下および通過し、比較例1と比べて多くの液体が遠沈管に排出された。
また、実施例1では、濾過回収装置1Aの不規則な振動により、濾過フィルタに付着したシングル細胞が遠沈管内に落下して濾過フィルタを通過できた。この結果、遠沈管に排出された液体において、実施例1では比較例1よりも多くのシングル細胞を観察することができた。
一方、濾過フィルタに捕捉された細胞を観察した結果、比較例1では多くのシングル細胞が観察された。比較例1では、液体の導入中に濾過回収装置101Aが遠沈管に対して静置していたため、図6に示す濾過フィルタのフィルタ基体部14にシングル細胞が付着したままであったことを示している。
上述の評価により、実施例1の濾過回収装置1Aのように、液体の導入中に不規則な振動が発生することにより、細胞の分画を効率よく行うことができることがわかった。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して十分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明の濾過回収装置は、流体中の生物由来物質を高回収率で回収する用途に有用であり、再生医療産業や食品産業等への応用が効果的である。
1A、1B、1C、1D 濾過回収装置
10 濾過フィルタ
20 ホルダ
20a 導入口
20b 排出口
20c 流路
21 第1ホルダ
21a 溝部
22 第2ホルダ
23、24、25、26、27 把持部
23a、24a、25a、26a、27a 挿入部
23b、24b、25b、26b、27b 切欠き部
101A 濾過回収装置
110 濾過フィルタ
120 ホルダ
120c 流路
121 第1ホルダ
121a 把持部
122 第2ホルダ
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