以下、水棲動物検出装置やそれを有する水棲動物検出システム等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
なお、以下において用いる用語は、一般的には次のように定義される。なお、これらの用語の語義は常にここに示されるように解釈されるべきではなく、例えば以下において個別に説明されている場合にはその説明も踏まえて解釈されるべきである。
水棲動物とは、例えば、魚であるが、これに限られず、甲殻類、貝類など、水中に生息する動物であればよい。以下、水棲動物について述べるとき、これを代表して魚ということがあり、また、その水棲動物の体について、魚体ということがある。
画像とは、例えば、カメラにより撮影された静止画又は動画像であるが、これに限られない。例えば、カメラにより撮影された動画像から抽出された静止画などであってもよい。
水棲動物検出システムは、例えば、水棲動物の養殖が行われる生簀(養殖場)において用いることができるものである。養殖場は、海であっても、湖や池、川などであってもよい。
生簀とは、水棲動物の養殖を行うための水(淡水、海水、汽水を問わない)が張られている領域すなわち養殖場をいう。養殖場の環境は、養殖対象となる水棲動物の種類等によって異なる環境であってもよい。養殖場は、天然に形成されているものであってもよいし、人工的に作成されたものであってもよい。養殖場は、屋外、屋内を問わず、養殖用の大きな水槽に水が張られたものであってもよい。水がある領域の一部を区切ることにより構成された一区画を養殖場と呼んでもよい。
ある事項について識別子とは、当該事項を一意に示す文字又は符号等である。識別子は、例えば、IDであるが、対応する事項を識別しうる情報であれば種類は問わない。すなわち、識別子は、それが示すものそのものの名前であってもよいし、一意に対応するように符号を組み合わせたものであってもよい。
取得とは、ユーザ等により入力された事項を取得することを含んでいてもよいし、他の装置に記憶されている情報を取得することを含んでいてもよい。他の装置に記憶されている情報を取得するとは、他の装置に記憶されている情報をAPI経由などで取得することを含んでいてもよいし、他の装置により提供されている文書ファイルの内容(ウェブページの内容なども含む)についてスクレイピング等を行うことにより取得することを含んでいてもよい。また、画像ファイルについて光学式文字読み取りを行うことにより情報を取得することなど、元の情報に基づいてそれとは異なるフォーマットの情報を取得することを含んでいてもよい。
また、情報の取得には、いわゆる機械学習の手法を利用するようにしてもよい。機械学習の手法の利用については、例えば次のようにすることができる。すなわち、特定の種類の入力情報を入力とし、取得したい種類の出力情報を出力とする学習器を、機械学習の手法を用いて構成する。例えば、予め、入力情報と出力情報との組を2以上用意し、当該2組以上の情報を機械学習の学習器を構成するためのモジュールに与えて学習器を構成し、構成した学習器を格納部に蓄積する。なお、学習器は分類器ということもできる。なお、機械学習の手法としては、例えば、深層学習、ランダムフォレスト、SVR等、問わない。また、機械学習には、例えば、fastText、tinySVM、random forest、TensorFlow等の各種の機械学習フレームワークにおける関数や、種々の既存のライブラリを用いることができる。なお、学習器は分類器ということもできる。
情報を出力するとは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。具体的には、例えば、情報のウェブページへの表示を可能とすることや、電子メール等として送信することや、印刷するための情報を出力することなどを含む。
情報の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、他の装置等から有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
(実施の形態1)
本実施の形態において、水棲動物検出システムは、例えば魚などの水棲動物の養殖時に、その魚などの数や生育状態を検出するために用いられるものである。水棲動物検出システムの検出装置は、カメラにより撮影された画像に映っている魚体を検出する。このとき、魚体の検出に関する所定の通知条件が満たされたか否かを判断し、所定の通知条件が満たされた場合にユーザに水棲動物の検出情報に関する通知を行う。通知は、例えば、水棲動物検出システムにおいて用いられる端末装置や当該端末装置に連携する機器から、音声を出力したり振動を発生させたりすることにより行われるが、これに限られない。通知は、例えば、水棲動物検出システムにおいてカメラにより撮影された画像が表示される表示部を有する端末装置において行われてもよい。また、水棲動物検出システムの情報処理装置は、検出装置で検出された魚体の検出情報と撮影された画像に対応する環境情報とを取得して検出情報と環境情報とを対応付けて蓄積し、蓄積した情報に基づいて魚の生育状態に関する判定を行い、判定結果を出力する。
なお、検出装置について、所定の通知条件は、魚体の検出の進捗状況に関するものを含むものであることが好ましい。また、所定の通知条件は、当該画像について検出された魚体の数の合計数に関するものを含んでいてもよい。所定の通知条件は、魚体とカメラとの位置関係に関するものを含んでいてもよい。また、検出装置は魚体の計測を行い、その結果に基づいて通知を行うように構成されていてもよい。
本実施の形態において、カメラはステレオカメラであり、ステレオカメラにより撮影された画像に含まれる魚体が検出されるが、これに限られない。
また、情報処理装置は、時系列の生物情報と給餌情報とに基づいて生育異常に関する判定を行うようにしてもよい。また、情報処理装置は、生育状態に関する判定結果に基づいて給餌指示情報を出力するようにしてもよく、生育計画情報と生育状態の判定結果とに基づいて、給餌指示情報を出力するようにしてもよい。情報処理装置は、生簀毎に生物情報を取得する判定を行い、判定結果を出力するようにしてもよいし、判定が完了していない生簀を特定する未完生簀情報を出力するようにしてもよい。情報処理装置は、水棲動物の生育状態が予め設定された出荷基準を満たしているか否かを判定するようにしてもよい。
図1は、本発明の実施の形態1における水棲動物検出システム1の概要図である。
なお、以下の図において、符号Pは海などに設けられた生簀を示し、符号P1は生簀Pを構成する構成部材(例えば、生簀Pを囲うネットなど)を示す。
図1に示されるように、本実施の形態において、水棲動物検出システム1は、情報処理装置10、端末装置60、カメラユニット80、及び情報入力装置90を備える。本実施の形態において、後述のように、情報処理装置10が水棲動物検出装置10Dとしても機能するようになっているが、これに限られるものではない。
本実施の形態において、情報処理装置10及び情報入力装置90は、リモート側(いわゆるASP側)の装置であり、端末装置60及びカメラユニット80は、ローカル側(生簀P側)の装置であるといえる。情報処理装置10と端末装置60とは、互いにインターネットなどのネットワークを介して通信可能である。また、情報処理装置10と情報入力装置90とは、互いにネットワークを介して通信可能である。カメラユニット80は、端末装置60に接続されている。
なお、本実施の形態において、情報処理装置10と、端末装置60と、情報入力装置90とのそれぞれがインターネットなどのネットワークに接続されているが、これに限られるものではない。例えば、情報処理装置10と端末装置60のみがネットワークに接続されており、情報入力装置90が情報処理装置10に接続されていてもよい。カメラユニット80がネットワークに接続されており、ネットワーク経由でカメラユニット80と端末装置60とが接続されていてもよい。また、ローカル側にサーバ装置が設けられており、そのサーバ装置に他のローカル側の装置が接続されていてもよい。また、情報処理装置10や情報入力装置90がローカル側の装置の1つとして設けられていてもよいし、各装置が、ローカル側とリモート側との区別なく、以下に説明するような水棲動物検出システム1の動作を行うことができるように互いに接続されていればよい。
なお、図1においては、例えば、タブレット型の情報端末装置が端末装置60として示されており、ラップトップコンピュータ型の装置が情報入力装置90として示されているが、これに限られない。これらの装置は、例えば、タブレット型の情報端末装置や、いわゆるスマートフォンなどの携帯情報端末装置や、ラップトップコンピュータなどのパーソナルコンピュータ(PC)のいずれであってもよいし、これら以外の装置であってもよい。
情報入力装置90は、例えば一般的なラップトップコンピュータ型の情報端末装置である。情報入力装置90は、種々の情報やプログラム等が記憶されている格納部、MPUやメモリ等から実現されており、プログラムを実行することで種々の処理を行う処理部、情報入力装置90をネットワークに接続し、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行えるように制御する通信部などを有している。
情報入力装置90においては、処理部がプログラムを実行することにより、例えばウェブブラウザ機能を機能させたり、電子メール等の情報の送受信機能を機能させたりすることができる。このような機能により、情報入力装置90のユーザは、ネットワークに接続されている他の装置から受信した情報を閲覧したり、情報入力装置90に他の装置に向けて情報を送信させたりすることができる。
カメラユニット80は、カメラ81が取り付けられておりユーザ(検出作業者)が手で把持可能な治具87を有している。換言すると、治具87は、カメラユニット80のうち、カメラ81以外の部分である。治具87は、カメラ81を水中に沈めて保持するための腕部88を有している。なお、治具87の形状や構成はこれに限られるものではない。また、ワイヤなどを介してカメラ81を吊り下げる構成などが採用されていてもよい。
本実施の形態では、例えば、ユーザは、検出対象の魚が居る生簀Pのそばに行き、端末装置60及びそれに接続されたカメラユニット80を用いて、生簀P内の魚についての検出作業を行う。
詳しくは後述するが、本実施の形態において、水棲動物検出システム1では、以下のように情報のやりとりが行われる。すなわち、カメラ81により撮影された画像等やカメラユニット80により取得された情報は、端末装置60に入力される。端末装置60は、ネットワークを介して、画像等の情報(例えば、画像や、センサ計測情報や、位置情報などの情報であるが、これに限られるものではない)を、情報処理装置10に送信する。また、情報入力装置90は、種々の入力データ(例えば、魚種や、生育日数や、給餌量に関する情報や、天候履歴や、水質履歴などの情報であるが、これに限られるものではない)を、情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、後述のように検出処理や生育状態に関する判定処理等を行い、その結果を示す情報(魚のサイズや、重量や、通知情報や、判定結果などの情報であるが、これに限られるものではない)を端末装置60に送信する。端末装置60では、送信された情報を受信して、ユーザに対して出力することができる。
図2は、同水棲動物検出システム1のブロック図である。図3は、同情報処理装置10のブロック図である。
図3に示されるように、情報処理装置10は、受信部18、送信部(通知出力部の一例)19、格納部21、及び処理部30を備える。
受信部18及び送信部19は、情報処理装置10をネットワークに接続し、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行う。受信部18及び送信部19は、例えば無線LANや携帯電話のデータ通信などを利用して無線通信を行うように構成されていてもよいし、各種の有線による通信を行うように構成されていてもよい。
受信部18は、他の装置から送信された情報を受信する。受信部18は、受信した情報を、例えば格納部21に蓄積したり、処理部30により行われる処理に引き渡す。
送信部19は、他の装置に情報を送信する。送信部19は、例えば、格納部21に格納されている情報を送信したり、処理部30から引き渡された情報を送信する。送信部19は、例えば、後述のようにして通知生成部36により生成された通知情報を送信する通知出力部として機能する。
格納部21には、種々の情報が格納される。格納部21は、不揮発性の記録媒体で実現されているが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部21の各部には、例えば後述のような処理部30の各部によって取得された情報などがそれぞれ格納されるが、格納部21の各部に情報等が記憶される過程はこれに限られない。例えば、記録媒体を介して情報等が格納部21で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報等が格納部21で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報等が格納部21で記憶されるようになってもよい。
格納部21は、本実施の形態において、通知条件格納部22及び第2通知条件格納部23を備えている。
通知条件格納部22には、通知条件が格納される。通知条件は、後述のように、検出作業の実行時に、検出作業を行うユーザに対して、検出作業に関する通知を行うか否かを判定する際に用いられる。通知条件は、予め設定されている。ユーザの検出作業に先立って設定されてもよいし、検出作業の開始時や作業中にユーザにより指定されることで設定されるようにしてもよいし、情報処理装置10が取得した情報に基づいて自動的に設定されるようにしてもよい。
本実施の形態において、通知条件は、水棲動物の検出の進捗状況に関する条件を含む。具体的には、例えば、通知条件は、検出作業により検出された水棲動物の個体数の合計(検出数)に関する条件を含む。また、通知条件は、検出数の最終達成値に対する現在の検出数の達成度など(検出数100がゴールとして設定されている場合に、現在の検出数がその10パーセント、20パーセント、・・に達したことなど)であってもよい。例えば、一の生簀において生育されている水棲動物の大きさを測定する目的で検出作業を行う場合において、検出数が所定の数以上になれば水棲動物の大きさを表すのに統計的に有効な平均値が得られる場合、その数を通知条件として設定することができる。また、この場合、例えば、測定により得られる測定値と、その測定値を用いて計算される標準偏差等の値とを用いて、所定の信頼区間(例えば、3シグマの区間)を有する測定結果が得られるだけの検出数を、水棲動物の検出作業の進捗に伴って随時算出して(例えば、後述の検出処理部31により算出するようにすればよい)、通知条件として設定してもよい。
なお、本実施の形態において、通知条件は、カメラ81と画像から検出された水棲動物との位置関係に関する条件を含んでいてもよい。ここで、位置関係とは、例えば、水棲動物の姿勢(例えば、魚である水棲動物の向き)に対するカメラ81の向きや、水棲動物とカメラ81との距離等であるが、これに限られない。
第2通知条件格納部23には、第2通知条件が格納される。第2通知条件は、後述のように、検出作業の実行時に行われる、水棲動物の計測結果に関する条件である。すなわち、第2通知条件は、例えば、水棲動物の大きさ(魚体長(先端から尾びれの後端までの長さであるが、これと異なる定義であってもよい)や、魚体高(背側から腹側までの魚体の寸法であるが、これと異なる定義であってもよい)や、魚体幅(魚体の両側面間の幅であるが、これと異なる定義であってもよい)や、体重(重量)など)の計測結果について定められた、所定の閾値等である。なお、第2通知条件は、これらに限られるものではない。例えば、検出作業において、魚体の大きさに関わる任意の特徴量(例えば、水棲動物の腹の垂れ下がり具合や水棲動物のフォルムなど)について計測結果を得る場合において、当該特徴量に関する第2通知条件が設定されていてもよい。
また、格納部21は、本実施の形態において、生物情報格納部24、モデル情報格納部25、給餌情報格納部26、生育計画情報格納部27、及び出荷基準情報格納部28を備えている。
生物情報格納部24には、生物情報が格納される。生物情報は、後述のように、生物情報取得部42により取得された情報である。すなわち、生物情報は、画像に基づいて取得された情報であり、検出作業において検出された水棲動物についての計測値又は魚体の大きさに関わる任意の特徴量であってもよいし、検出作業において検出された水棲動物の個体数等に基づいて得られる情報であってもよい。
モデル情報格納部25には、モデル情報が格納される。モデル情報は、水棲動物の成長に関する参照値である。モデル情報は、例えば、水棲動物についての、時間の推移(例えば、生育数(例えば、DOC(Day of Culture;養殖用の生簀に稚魚を入れてからの成育日数)や、ふ化後に経過した日数など)と体の成長を示す指標との標準的な関係を示す情報である。より具体的には、例えば、魚について、DOCと、標準的な魚体長や平均体重などを対応付けた値をいう。参照値は、テーブルにまとめられていてもよいし、例えば数式などによって表される成長曲線であってもよい。なお、モデル情報は、このような既存の成長曲線モデルなどに限られるものではない。例えば、公知の成長曲線モデルを、生物情報格納部24に格納されている時系列の生物情報を活用して補正した成長曲線モデルであってもよい。また、モデル情報は、生簀の環境(例えば、水温や、水質(酸素濃度や、pHなど)に応じて用意されていてもよい。
給餌情報格納部26には、給餌情報が格納される。給餌情報は、生簀への給餌に関する情報であり、より具体的には、例えば、給餌を行った時刻や、給餌を行った量などの情報(給餌開始/終了時間、日間給餌量、月間給餌量、給餌間隔など)を含む。給餌情報は、他にも、例えば、給餌した餌を特定する識別子や、餌の性質に関する情報(ペレットの大きさや魚粉含有量など)などを含んでいてもよい。
生育計画情報格納部27には、予め設定された生育計画を示す生育計画情報が格納される。生育計画情報とは、例えば、水棲動物についての時間の推移に対応付けられた、体の成長を示す指標の目標値である。生育計画情報は、例えば、モデル情報に、水棲動物の種苗としての特性や、生簀の環境等の特性などを踏まえて設定することができるものであるが、これに限られるものではない。生育計画情報は、例えば、水棲動物について出荷することが期待される時期や大きさ等を踏まえて設定されていてもよい。
出荷基準情報格納部28には、予め設定された出荷基準を示す出荷基準情報が格納される。出荷基準情報とは、出荷基準を示す情報であり、例えば、水棲動物の出荷先(販売先)から要求された大きさ、重量、販売時期等を示す情報であるが、これに限られない。
処理部30は、検出処理部31、及び情報処理部40を備える。処理部30は、上述の検出処理部31や情報処理部40が行う処理のほか、情報処理装置10の動作を制御したり、端末装置60等と連携した処理などを行う。端末装置60など、ネットワークを介して接続されている装置との連携は、各装置に指令を送信したり各装置からの情報を受信したりすることなどにより行うことができる。
処理部30は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。処理部30の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
検出処理部31は、主に、検出作業に関する処理を行う。検出処理部31は、画像取得部32、検出部33、計測部34、通知判断部35、及び通知生成部36を備える。なお、計測部34は検出部33に含まれているが、これに限られるものではない。
画像取得部32は、カメラ81により撮影された画像を取得する。本実施の形態において、画像は、カメラ81により撮影された後、即時に端末装置60を介して情報処理装置10に送信される。すなわち、画像取得部32は、カメラ81により撮影された画像を、即時に取得する。なお、ここで即時とは、必ずしも時間差が極めて小さいことを意味せず、多少の遅延時間や、通信や画像処理などの処理のための時間が含まれていてもよい。なお、カメラ81により撮影された画像が即時に情報処理装置10に送信されなくてもよく、例えば、定期的(数秒間隔、数分間隔、数時間間隔など)に送信されたり、所定のイベントの発生が端末装置60などで検出されたタイミングで画像が情報処理装置10に送信されたりするように構成されていてもよい。
検出部33は、画像に映っている水棲動物を検出する。本実施の形態において、検出部33は、画像が撮影されてから即時に水棲動物の検出を行う。換言すると、検出部33は、画像取得部32により撮影から即時に取得された画像を読み出し、即時に水棲動物の検出を行う。検出部33による水棲動物の個体の検出は、種々の公知の方法により行うことができる。例えば、検出部33は、画像取得部32により取得された画像に含まれる物体の輪郭を抽出し、抽出した輪郭と予め用意された輪郭情報とを比較し、水棲生物の輪郭情報との類似度が所定値よりも高い場合に、輪郭を抽出した物体が水棲動物であると判定できる。また、例えば、検出部33は、画像取得部32により取得された画像に含まれる物体を含む領域画像を入力とし、当該物体が水棲動物であるか否かを示す情報を出力として、機械学習の手法により構成した学習器を用いて、画像に含まれる物体が水棲動物であるか否かを検出するようにしてもよい。
また、検出部33は、計測部34を有している。計測部34は、画像に映っている水棲生物の計測を行う。本実施の形態において、計測部34は、検出部により画像から検出された水棲動物の個体について、大きさに関する計測を行う。計測部34は、例えば、魚体長を計測するが、これに限られない。水棲動物の個体について、魚体長のほか、魚体高、魚体幅などの種々の寸法をそれぞれ計測したり、これらのいずれかを計測したりしてもよい。また、計測部34は、測定した測定値に基づいて、水棲動物の体重を取得してもよい。体重は、例えば、予め測定値と体重とを対応付けたテーブル情報(例えば、格納部21に格納されていればよい)を用いて体重を判定することや、測定値と体重との関係を示す関数を用いて算出することや、予め機械学習の手法により構成された学習器を用いて取得することにより、求めることができる。本実施の形態において、計測部34がこのようにして体重を取得することを、体重を計測するということができる。また、計測部34は、例えば、魚体の大きさに関わる任意の特徴量(例えば、水棲動物の腹の垂れ下がり具合や水棲動物のフォルムなど)を取得するようにしてもよい。なお、このような水棲動物の大きさに関する計測は、種々の公知の方法により行うことができる。例えば、計測部34は、上述のように水棲動物であると判定した物体について検出した複数の所定の特徴点間の距離や特徴点の位置に基づいて寸法を計測してもよい。また、例えば、計測部は、水棲生物であると判定した物体がある領域の画像を入力とし、水棲生物の大きさに関する特徴量を出力とするように構成された学習器を用いて、計測結果を得るようにしてもよい。
このように、本実施の形態において、水棲動物の検出とは、水棲動物の個体の検出と、検出した個体の大きさに関する計測とを含む概念である。検出部33は、画像について水棲動物の個体を検出すると、計測部34により、検出された当該個体についての計測を行う。一の個体についての計測が完了すると、別の個体の検出と計測とが行われる。なお、水棲動物の検出は、水棲動物の個体の大きさの計測を含まない概念として捉えてもよい。この場合、検出処理部31は、検出部33による水棲動物の検出と、計測部34による水棲動物の大きさに関する計測とを行うということができる。
通知判断部35は、検出部33による水棲動物の検出状況に関する通知条件が満たされた否かを判断する。ここで水棲動物の検出状況とは、例えば、一の生簀Pについて水棲動物の検出を開始した場合における、水棲動物の検出数である。すなわち、例えば、通知条件格納部22に、上述のようにして、検出数が所定の数に達したことが通知条件として設定されているとき、通知判断部35は、水棲動物の検出数が、通知条件を満たすか否かを判断する。水棲動物の検出数が所定の数に達した場合に、通知判断部35は、通知条件が満たされたと判断する。
また、カメラ81と画像から検出された水棲動物との位置関係に関する条件が含まれているときに、通知判断部35は、検出部33の検出状況として当該位置関係を表す情報を取得し、通知条件が満たされたか否かを判断するようにしてもよい。
なお、水棲動物の検出状況は、例えば、検出した個体の体調や活動量などであってもよく、この場合、通知条件として、検出した個体の体調や活動量に関する事項が設定されていてもよい。なお、水棲動物の体調や活動量などは、例えば、所定時間において撮影された当該個体の動き等の変化を画像から検出することにより、検出することができる。すなわち、所定時間内において撮影された2以上の画像又は動画像において、検出した一の個体について、移動した距離や、姿勢の変化量などを検出する。検出した値が所定の閾値を超えているか否かに応じて、当該個体の体長や活動量を検出することができる。なお、検出方法は、これに限られるものではない。
また、本実施の形態において、通知判断部35は、計測部34による計測結果に関する第2通知条件が満たされたか否かを判断する。例えば、水棲動物の魚体長が所定の閾値に達したことが第2通知条件として設定されている場合において、通知判断部35は、水棲動物の個体の計測値が所定の閾値に達しているか否かを判断する。そして、計測値が所定の閾値に達しているとき、通知判断部35は、第2通知条件が満たされたと判断する。なお、第2通知条件として水棲動物の大きさに関する所定の閾値が設定されている場合に、通知判断部35は、検出を行った個体の計測値の平均値を所定の閾値と比較して、第2通知条件が満たされたか否かの判断を行うようにしてもよい。この場合、例えば、検出数が所定数以上になるまで、第2通知条件が満たされたか否かの判断を行わないようにしてもよい。また、通知判断部35は、各個体の計測値が所定の閾値に達していると所定回数以上判断したり、各個体の計測値が所定の閾値に達していると連続して所定回数以上判断したりした場合に、第2通知条件が満たされたと判断するようにしてもよい。
通知生成部36は、通知判断部35により通知条件が満たされたと判断された場合に、通知情報を生成する。ここで、通知情報とは、ユーザに通知を行うための情報である。本実施の形態では、通知生成部36が生成した通知情報は、送信部19により、端末装置60に送信(出力の一例)される。通知情報が端末装置60に送信される結果として、例えば、端末装置60から通知が行われる。具体的には、例えば、端末装置60から音声が出力されたり、端末装置60から振動が発生したり、端末装置60の画面に情報が表示されたりすることにより、ユーザが通知を受けることができる。通知情報は、例えば、ユーザに対して、通知条件が満たされたことを通知するための情報である。すなわち、ユーザは、通知情報に基づく通知が行われることで、通知条件が満たされたことを知ることができる。通知条件が満たされたことが、当該生簀Pにおける検出作業が十分に行われたことを意味する場合には、ユーザは、通知を受けることにより、生簀Pにおける検出作業を終了してもよい状態になっていることを知ることができる。通知情報の生成は、例えば次のようにして行うことができる。例えば、予め通知条件に対応付けられた所定のメッセージ文を通知情報として生成してもよいし、通知条件に関する所定の変数(「$変数」として示す)を用いて、「『合計で』$変数 『匹の検出が完了しました』」というようなメッセージ文を通知情報として生成してもよい。
また、通知生成部36は、通知判断部35により第2通知条件が満たされたと判断された場合に、第2通知情報を生成する。ここで、第2通知情報は、通知情報と同様に、ユーザに通知を行うための情報であり、送信部19により端末装置60に送信される情報である。第2通知情報が端末装置60に送信される結果として、通知情報が送信されたときと同様に、端末装置60から通知が行われ、ユーザが通知を受けることができる。第2通知情報は、ユーザに対して、第2通知条件が満たされたことを通知するための情報である。すなわち、ユーザは、第2通知情報に基づく通知が行われることで、第2通知条件が満たされたことを知ることができる。例えば、魚体長に関する閾値が第2通知条件として設定されている場合に、ユーザは、通知を受けることにより、生簀Pにおいて、水棲動物の魚体長が第2通知条件が満たされる水準に達していることを知ることができる。第2通知情報の生成は、例えば次のようにして行うことができる。例えば、予め第2通知条件に対応付けられた所定のメッセージ文を第2通知情報として生成してもよいし、第2通知条件に関する所定の変数(「$変数」として示す)を用いて、「『平均の魚体長は』$変数 『センチメートルです』」というようなメッセージ文を第2通知情報として生成してもよい。
なお、上述の第2通知条件が通知条件に含まれていると解釈してもよいし、通知条件が第2通知条件に含まれていると解釈してもよい。通知情報は、第2通知情報を含んでいたり、第2通知情報を兼ねていると解釈してもよい。また、第2通知情報は、通知情報を兼ねていると解釈してもよい。例えば、情報処理装置10から送信された通知情報に基づいて端末装置60からユーザに対して行われる通知が、所定数以上の水棲動物の大きさが所定の閾値に達している旨の通知である場合、通知生成部36によって生成された通知情報は、水棲動物の大きさの測定値に関する第2通知情報でもあると解釈することもできるし、この場合の通知条件は、水棲動物の大きさの測定値に関する第2通知条件も含んでいるものであると解釈することも可能である。
検出処理部31は、格納部21の通知条件格納部22及び第2通知条件格納部23と共に、水棲動物検出装置10Dを構成しているといえる。換言すると、情報処理装置10は、水棲動物検出装置10Dを有しているといえる。
情報処理部40は、以下に示すように、検出作業により得られた情報に基づいて処理を行う。本実施の形態において、情報処理部40は、状況情報取得部41、生物情報取得部42、生物情報蓄積部43、未完生簀判定部44、未完生簀情報生成部45、生育状態判定部46、及び給餌指示情報生成部47を備える。
状況情報取得部41は、カメラ81により撮影された画像の撮影状況に関する撮影状況情報を取得する。撮影状況に関する撮影状況情報には、撮影が行われた時刻等、時間に関する撮影時間情報が含まれる。また、撮影状況情報に他の情報が含まれていてもよく、その情報は、例えば、カメラ81の位置に対応する位置情報(すなわち、生簀Pの位置を示す位置情報)であってもよいし、天候等を示す情報であってもよいし、後述のようにカメラユニット80に設けられている環境センサ84により計測された情報などの環境情報であってもよい。また、撮影状況情報には、撮影対象である生簀Pを特定する情報や、生簀Pの性質を示す情報などの生簀情報が含まれていてもよい。
なお、位置情報は、例えば、カメラユニット80又は端末装置60で衛星利用測位システム(GPS)などを利用して取得された情報であってもよいし、予め特定された住所等の地点を示す情報であってもよい。また、位置情報は、例えば、端末装置60や情報入力装置90などを介してユーザにより入力された情報であってもよい。例えば、ユーザにより入力された撮影対象である生簀Pを特定する情報と、予め生簀Pを特定する情報と生簀Pの位置情報とが対応付けられた情報とに基づいて、位置情報が取得されるようにしてもよい。
天候等を示す情報は、例えば、晴れや曇りなどの情報であってもよいし、気温、風速、天候、降水量、日射量、波の高さなどを示す情報であってもよい。
環境情報は、例えば、水温や、酸素、アンモニア、硝酸塩、亜硝酸塩、二酸化炭素、海水の色や濁度、プランクトンなどの生物量の濃度や、その他の水質に関する事項などに関する情報などであるが、これに限られるものではない。
生簀情報のうち、生簀Pを特定する情報は、例えば、生簀Pを識別可能な生簀識別子等である。また、生簀Pの性質を示す情報は、例えば、育成されている水棲動物の種苗を特定する情報(魚種、種苗情報など)や、育成期間に関する情報や、生育開始時の尾数に関する情報や、生簀Pの大きさを示す情報など、種々の情報が該当しうる。
状況情報取得部41は、このような撮影状況情報を、例えば、情報入力装置90から送信された入力データから取得可能であってもよい。この場合、情報入力装置90においてユーザにより入力された情報が、撮影状況情報として取得されるということができる。また、状況情報取得部41は、端末装置60から送信された情報から、撮影状況情報を取得可能であってもよい。この場合、端末装置60により自動的に取得された情報(例えば、カメラユニット80から端末装置60に送られた情報)や、端末装置60においてユーザにより入力された情報が、撮影状況情報として取得されるということができる。
なお、状況情報取得部41は、給餌情報を含む撮影状況情報を取得してもよい。給餌情報は、例えば、撮影された水棲動物に対して行われた給餌作業に関する情報である。取得された撮影状況情報に含まれる給餌情報は、例えば、給餌情報格納部26に蓄積される。
生物情報取得部42は、検出部33で検出された、水棲動物に関する生物情報を取得する。生物情報とは、画像に基づいて検出部33により取得されたものである。例えば、検出部33により検出された水棲動物の検出数等に基づいて得られる情報であってもよいし、水棲動物の大きさの計測値であってもよい。
生物情報蓄積部43は、生物情報取得部42により取得された生物情報を、撮影状況情報に対応づけて、生物情報格納部24に蓄積する。本実施の形態において、生物情報は、例えば、その生物情報に対応する画像が撮影された生簀Pを示す生簀識別子と、撮影時間情報とに、少なくとも対応付けられている。
生物情報蓄積部43により生物情報取得部42に生物情報が蓄積されていくことにより、生物情報取得部42には、時系列の生物情報が構成される。すなわち、時系列の生物情報とは、過去の複数の時点においてそれぞれ検出作業により検出された生物情報である。なお、時系列の生物情報は、時系列の生育履歴情報やそれを含むものであってもよい。時系列の生育履歴情報は、過去の複数の時点における生育状態判定部46による水棲動物の生育状態に関する判定結果(詳細は、後述する)が蓄積された情報である。
未完生簀判定部44は、本実施の形態において、生簀P毎に、一の検出機会における水棲動物の検出作業が行われたか否かを判定する。ここで、一の検出機会とは、複数の生簀Pについてまとめて検出作業を行うための機会をいう。一の検出機会についての情報として、例えば、検出作業を行う日と、検出作業を行うべき生簀Pの生簀識別子を対応付けた検出機会情報が、格納部21等に格納されている。本実施の形態において、未完生簀判定部44は、例えば、検出機会情報を参照し、一の検出作業を行う日に対応付けられている生簀識別子を抽出する。また、未完生簀判定部44は、生物情報格納部24に格納されている生物情報のうち撮影時間情報に基づいて同日の情報であると判別される生物情報に対応する生簀識別子を抽出する。そして、未完生簀判定部44は、両者の生簀識別子同士を比較し、生物情報に対応する生簀識別子が抽出された生簀Pについて、一の検出機会における水棲動物の検出作業が行われたと判定し、生物情報に対応する生簀識別子が抽出されていない生簀Pについて、水棲動物の検出作業が行われていない(検出作業が未完了である)未完生簀であると判定する。すなわち、未完生簀判定部44は、生物情報格納部24に格納されている生物情報に対応する生簀識別子及び撮影時間情報に基づいて、生簀P毎に、未完生簀であるか否かを判定する。
未完生簀情報生成部45は、未完生簀判定部44において検出作業が行われていないと判定された未完生簀がある場合に、未完生簀を特定する未完生簀情報を生成する。未完生簀情報には、未完生簀を特定する生簀識別子が含まれる。本実施の形態において、未完生簀情報生成部45により未完生簀情報が生成されると、送信部19により、未完生簀情報が端末装置60に送信される。未完生簀情報が端末装置60に送信される結果として、例えば、端末装置60の画面に情報が表示され、ユーザが通知を受けることができる。ユーザは、未完生簀情報に基づく通知が行われることで、未完生簀があることや、その未完生簀の情報を知ることができる。なお、例えば、未完生簀情報には、未完生簀の位置を示す位置情報が含まれていてもよい。その場合、端末装置60が未完生簀の位置を示す情報を表示することで、ユーザは、未完生簀の場所をより容易に知ることができる。
生育状態判定部46は、以下のように、生物情報蓄積部43により蓄積された生物情報に基づいて、水棲動物の生育状態に関する判定を行う。生育状態に関する判定としては、種々のものを行うようにすればよい。例えば、生育状態に関する判定とは、水棲動物が順調に生育しているか否かの判定や、生育異常があるか否かの判定などであるが、これに限られない。例えば、後述するような、水棲動物が出荷に好適な程度に成長しているか否か(すなわち、出荷基準を満たしているか否か)や、水棲動物への給餌状態が適正であるか否かなどに関する判定を意味していてもよい。
水棲動物の生育状態に関する判定には、生物情報蓄積部43により蓄積された時系列の生物情報が用いられてもよいし、一の時点の生物情報のみが用いられてもよい。本実施の形態においては、生育状態判定部46は、生簀P毎に、水棲動物の生育状態に関する判定を行う。
このような生育状態の判定結果は、送信部19により、端末装置60等の他の装置に送信されるようにしてもよい。判定結果が端末装置60等に送信されると、ユーザは、端末装置60等を通して、水棲動物の生育状態に関する情報を得ることができる。
本実施の形態において、生育状態判定部46は、生物情報と、給餌情報格納部26に格納されている給餌情報とに基づいて、水棲動物の生育が異常な状態である(生育異常である)か否かについて判定するようにしてもよい。
また、生育状態判定部46による判定は、例えば、モデル情報格納部25に格納されているモデル情報に基づいて行われてもよい。すなわち、生育状態判定部46は、時系列の生物情報から得られる水棲動物の成長の過程を、モデル情報と比較して、成長が遅いか否かなどについて判定することができる。
また、例えば、生育状態判定部46は、生育計画情報格納部27に格納されている生育計画情報に基づいて、生育状態に関する判定を行うようにしてもよい。すなわち、生育計画情報において生育状態として期待されている大きさに達しているか否かについて、生育状態判定部46が判定するようにしてもよい。
また、例えば、生育状態判定部46は、生物情報と出荷基準情報格納部28に格納されている出荷基準情報とに基づいて、水棲動物の生育状態が出荷基準を満たしているか否かを判定してもよい。例えば、出荷基準として、水棲動物の魚体長と販売時期等が規定されている場合には、生育状態判定部46は、当該販売時期において、生物情報が出荷基準で規定されている魚体長に達しているときには、出荷可能であると判定することができる。
給餌指示情報生成部47は、生育状態判定部46による水棲動物の生育状態に関する判定結果に基づいて、水棲動物に対して行われるべき給餌作業に関する給餌指示情報を生成する。給餌指示情報は、例えば、給餌を行う時刻や、飼料の量などの情報を含む。給餌指示情報は、他にも、例えば、給餌する餌を特定する識別子などを含んでいてもよい。
例えば、給餌指示情報生成部47は、生育状態判定部46によって水棲動物の生育状態が生育計画に照らして遅れ気味(生育が進んでいない)であるというような判定が行われた場合には、通常より水棲動物の成育が促進するように給餌指示情報を生成する。具体的には、例えば、1回の給餌量を通常(例えば、予め格納部21に格納されている標準給餌量)よりも増加させたり、給餌を行う頻度が増加するように給餌を行う時刻を設定する。他方、水棲動物が生育計画に照らして過剰に生育しているというような判定が行われた場合には、通常より水棲動物の成育が遅くなるように給餌指示情報を生成する。具体的には、例えば、1回の給餌量を通常よりも減少させたり、給餌を行う頻度が減少するように給餌を行う時刻を設定する。なお、給餌指示情報の生成は、これに限られない。
なお、給餌指示情報生成部47により給餌指示情報が生成された場合には、給餌指示情報は、例えば、格納部21に蓄積される。ユーザは、給餌指示情報を参照することで、生育状態に応じた適正な給餌を行うことができるようになる。なお、給餌指示情報は、送信部19により、端末装置60に送信されるようにしてもよい。給餌指示情報が端末装置60に送信されると、ユーザは、端末装置60を通して、給餌に関する情報を受けることができる。
図2に示されるように、端末装置60は、端末操作受付部61、端末出力部62、端末送信部64、端末受信部65、端末入力部66、端末格納部71、及び端末処理部73を備える。端末装置60は、例えば、検出作業を行うユーザが検出作業を行う場(船上など)で取り扱うことができる情報端末装置である。端末装置60は、例えば一般的なタブレット端末であり、タッチパネルを備えたディスプレイデバイスを有しているが、これに限られるものではない。端末装置2は、ネットワークに接続可能であり、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行えるように構成されている。
端末操作受付部61は、ユーザによる操作に応じて、ユーザにより入力される情報を受け付ける。
端末出力部62は、例えばディスプレイデバイスである端末表示部63を有している。端末出力部62は、例えば端末表示部63に情報を表示することなどにより、情報の出力を行う。なお、情報の出力方法はこれに限られず、音声等をスピーカーなどから出力することなどにより行われるようにしてもよい。また、端末出力部62は、振動発生デバイスなどを振動させることにより出力を行うようにしてもよい。端末出力部62は、例えば、端末格納部71に格納されている情報を読み出して、出力することができる。
端末表示部63は、カメラ81により撮影された画像を即時に表示可能である。
端末送信部64は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されてもよい。端末送信部64は、端末構成部75が構成した送信情報を端末格納部71などから読み出して、送信する。端末送信部64は、例えば、カメラユニット80から入力された情報を含む送信情報を送信する。
端末受信部65は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されてもよい。端末受信部65は、情報処理装置10や、その他の装置から送信された情報を、ネットワークを介して受信する。端末受信部65は、受信した情報を、例えば端末格納部71に蓄積し、端末処理部73などが取得できるようにする。端末受信部65は、通知生成部36が生成した通知情報や第2通知情報を受信する。
端末入力部66は、例えば、カメラユニット80などの外部装置に接続され、接続された外部装置から出力された情報の端末装置60への入力を制御するインターフェースである。端末入力部66は、入力された情報を、例えば端末格納部71に蓄積し、端末処理部73などが取得できるようにする。本実施の形態において、端末入力部66は、例えば、所定の規格に適合した接続端子及び信号処理装置等で構成されている。なお、端末入力部66は、有線により外部装置との接続を可能とするものではなく、無線により外部装置との接続を可能とするものであってもよい。また、端末入力部66は、外部装置への情報の出力を行い、双方向通信を可能とするものであってもよい。
端末格納部71は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。端末格納部71には、種々の情報やプログラム等が記憶されている。これらの情報等が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が端末格納部71で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が端末格納部71で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が端末格納部71で記憶されるようになってもよい。
端末格納部71は、位置情報格納部72を有する。位置情報格納部72には、端末装置60の位置を示す位置情報が格納される。本実施の形態において、位置情報は、例えば、端末装置60に設けられている位置センサ(図示せず)により随時取得された情報が格納されるが、これに限定されない。例えば、ユーザにより入力された位置情報であってもよいし、カメラユニット80等の外部機器から送信された位置情報であってもよい。
端末処理部73は、端末取得部74、端末構成部75、及び端末通知部76を備える。
端末処理部73は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。端末処理部73の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
端末取得部74は、端末格納部71に格納されている情報を、端末処理部73による処理を実行するために取得する。なお、端末取得部74は、端末装置60に入力されたり送信されたりした情報を取得してもよい。
端末構成部75は、カメラユニット80から入力された情報と、位置情報格納部72に格納されている位置情報などと、カメラ81又は端末装置60を特定する識別子とを対応付けた送信情報を構成する。構成された送信情報は、例えば、端末送信部64によって情報処理装置10などに送信される。
端末通知部76は、情報処理装置10から送信された通知情報等が端末受信部65で受信されたとき、通知情報等に応じて端末出力部62に情報を出力させる。すなわち、端末通知部76は、端末受信部65により取得された通知情報に基づいて、ユーザに水棲動物の検出状況に関する通知を行う。端末通知部76は、端末出力部62に音声を出力させることにより通知を行うようにしてもよいし、端末出力部62に振動を出力させることにより通知を行うようにしてもよい。また、端末表示部63への表示、音声の出力、振動の発生など、複数の手段を併用して通知を行うようにしてもよい。端末出力部62からこのような通知が行われることにより、ユーザは、水棲動物の検出状況などに関して通知を受けることができる。
カメラユニット80は、カメラ81、環境センサ84、及びカメラ出力部85を備える。
カメラ81は、例えば、ステレオカメラである。カメラ81は、互いに離れた位置にあり、それぞれ光を受光する撮像素子を有する第1撮像部82と第2撮像部83とを備えている。カメラ81は、第1撮像部82と第2撮像部83とのそれぞれで画像を撮影することで、ステレオ画像を撮影することができる。カメラ81は、水中に沈められて、生簀Pの水中画像を撮影可能である。なお、カメラ81は、ステレオカメラに限られない。また、カメラ81は、例えば、超音波や電波などを送受した結果に基づいて生成される画像を撮影するものであってもよい。
環境センサ84は、例えば、カメラ81とともに、治具87に取り付けられている。環境センサ84は、例えば、生簀Pの水中に沈められて、水温や、酸素、アンモニア、硝酸塩、亜硝酸塩、二酸化炭素の濃度や、その他の水質に関する事項を検出する。
カメラ出力部85は、例えば、カメラユニット80を接続した外部装置に対する情報の出力を制御するインターフェースである。カメラ出力部85は、カメラ81で得られた画像や環境センサ84で検出された情報を、外部装置に出力可能である。本実施の形態において、カメラ出力部85は、カメラユニット80が接続された端末装置60に対して、これらの情報を出力する。カメラ出力部85は、例えば、所定の規格に適合した接続端子及び信号処理装置等で構成されている。なお、カメラ出力部85は、有線により外部装置との接続を可能とするものではなく、無線により外部装置との接続を可能とするものであってもよい。また、カメラ出力部85は、外部装置への情報の出力を行い、双方向通信を可能とするものであってもよい。
図4は、同カメラ81の一例を示す斜視図である。
図4は、紙面おける上下が水の中の上下と一致するようにして通常の使用状態におけるカメラ81の姿勢が示されているものであるが、カメラ81の姿勢はこれに限定されるものではない。
カメラ81において、第1撮像部82と第2撮像部83とは、上下に互いに所定の距離だけ離れている。これにより、撮影された画像に基づいて、生簀P内の水棲動物の寸法を比較的高い精度で測定することができるようになっている。なお、第1撮像部82と第2撮像部83とが、水平方向(上下方向に略垂直な方向)に離れていてもよい。両撮像部82,83の光軸は、互いに略平行であるが、これに限られない。
また、本実施の形態において、カメラ81は、上下方向に略垂直な断面が、各撮像部82,83の光軸に略平行な弦を有する対称翼形状をなす流線型形状を有する筐体を有している。すなわち、カメラ81の筐体は、撮像部82,83の光軸に平行な流れに対して比較的抗力を受けにくい形状を有している。
図5は、同カメラ81を用いた検出作業について説明する図である。
図5においては、生簀Pを上方から見た図が模式的に示されている。生簀Pは、例えば四角形状をなす構成部材P1により囲われた領域である。生簀Pの内部では、多数の水棲動物が泳いでいる。一般に、生簀Pの内部においては、それぞれの水棲動物が同一の方向に、上方から見て円周状の経路上を周回する(図において破線矢印で示す)。そのため、生簀Pの内部においては、その円周状の経路から径方向外側に向けて流れる水流が生まれている(図において実線矢印で示す)。
ユーザは、このような生簀Pについて検出作業を行うとき、水棲動物が周回する経路の外側に、カメラ81を投入する。このとき、径方向外側に向けて流れる水流があるため、ユーザは、容易に、カメラ81を、撮像部82,83の光軸が径方向に略平行となる姿勢に維持することができる。これにより、カメラ81により撮影される画像において、各水棲動物がカメラ81に近い位置において水平方向に移動する姿が収められる。そのため、高い精度で検出作業を行うことができる。
以下、上述のように構成された本実施の形態に係る水棲動物検出システム1の動作の一例を説明する。
図6は、同情報処理装置10の動作の一例を説明するフローチャートである。
本実施の形態において、情報処理装置10は、例えば次のように、ユーザが行う検出作業に関する検出時動作と、生簀Pの生育状態に関する判定を行う判定時動作とを行う。
(ステップS101)すなわち、処理部30は、一の検出機会の作業が開始されたか否かを判断する。例えば、検出機会であることを指示するユーザなどからの情報入力があったり、予め検出機会として規定された時間であったりする場合に、処理部30は、一の検出機会の作業が開始されたと判断する。一の検出機会の作業が開始されたと判断した場合にはステップS102に進み、そうでない場合にはステップS103に進む。
(ステップS102)処理部30は、検出時動作を行う。検出時動作については、後述する。
(ステップS103)処理部30は、生育状態の判定を開始するか否かを判断する。例えば、生育状態の判定を開始することを指示するユーザなどからの情報入力があったり、予め生育状態の判定タイミングとして規定された時刻が到来した場合に、処理部30は、生育状態の判定を開始すると判断する。生育状態の判定を開始すると判断した場合にはステップS104に進み、そうでない場合にはステップS101に戻る。
(ステップS104)生育状態判定部46は、カウンタkに1をセットする。
(ステップS105)生育状態判定部46は、判定対象であるk番目の生簀Pがあるか否かを判断する。判定対象であるk番目の生簀Pがある場合にはステップS106に進み、そうでない場合にはステップS101に戻る。
(ステップS106)生育状態判定部46は、k番目の生簀Pに関して、判定時動作を行う。判定時動作については、後述する。
(ステップS107)生育状態判定部46は、カウンタkを1だけインクリメントし、ステップS105に戻る。
図7は、同検出時動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS111)検出処理部31は、一の生簀Pについての検出作業が開始されたか否かを判断する。例えば、検出を開始することを指示するユーザなどからの情報入力があったり、端末装置60から送信された画像等を含む送信情報の受信が開始された場合に、検出処理部31は、一の生簀Pについての検出作業が開始されたと判断する。このとき、検出処理部31は、例えば、ユーザにより入力された情報又は端末装置60からの送信情報に含まれる、検出作業が行われる生簀Pを特定する生簀識別子に基づいて、検出作業が開始された生簀Pを特定することができる。一の生簀Pについての検出作業が開始されたと判断した場合にはステップS112に進み、そうでない場合にはステップS115に進む。
(ステップS112)状況情報取得部41は、撮影状況情報を取得する。
(ステップS113)検出処理部31は、検出処理を行う。検出処理については、後述する。
(ステップS114)生物情報取得部42は、検出処理において得られた生物情報を取得する。生物情報蓄積部43は、生物情報取得部42により取得した生物情報を、撮影状況情報に対応づけて、生物情報格納部24に蓄積する。
(ステップS115)未完生簀判定部44は、未完生簀があるか否かを判断する。未完生簀がある場合にはステップS116に進み、そうでない場合にはステップS117に進む。
(ステップS116)未完生簀情報生成部44は、未完生簀情報を生成する。送信部19は、生成された未完生簀情報を端末装置60に送信する。これにより、ユーザは、未完生簀があることやその情報を知ることができる。
(ステップS117)検出処理部31は、一の検出機会における検出作業が終了したか否かを判断する。例えば、検出作業を終了することを指示するユーザなどからの情報入力があった場合に、検出処理部31は、検出作業が終了したと判断する。なお、未完生簀がなくなったとき、検出処理部31が検出作業が終了したと判断してもよい。検出作業が終了したと判断した場合には図6の処理に戻り、そうでない場合にはステップS111に戻る。
図8は、同検出処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS131)検出処理部31は、カウンタiに1をセットする。
(ステップS132)画像取得部32は、カメラ81により撮影された画像を取得する。
(ステップS133)検出部33は、画像について画像認識を行い、画像に含まれる水棲動物の魚体を検出する。
(ステップS134)検出部33は、画像について魚体を検出したか否かを判断する。検出した場合にはステップS135に進み、そうでない場合にはステップS139に進む。
(ステップS135)計測部34は、検出した魚体(i番目の魚体)について、魚体長を計測する。計測部34は、計測結果を格納部21に記録する。
(ステップS136)検出処理部31は、カウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS137)通知判断部35は、第2通知条件に基づいて、第2通知条件が満たされたか否かを判断する。第2通知条件が満たされたと判断された場合にはステップS138に進み、そうでない場合にはステップS139に進む。
(ステップS138)通知生成部36は、第2通知情報を生成する。第2通知情報は、送信部19により端末装置60に送信される。これにより、端末装置60において、第2通知情報に基づく通知が行われる。
(ステップS139)通知判断部35は、通知条件に基づいて、通知条件が満たされたか否かを判断する。通知条件が満たされたと判断された場合にはステップS140に進み、そうでない場合にはステップS141に進む。
(ステップS140)通知生成部36は、通知情報を生成する。通知情報は、送信部19により端末装置60に送信される。これにより、端末装置60において、通知情報に基づく通知が行われる。
(ステップS141)検出処理部31は、当該生簀Pについての検出が終了したか否かを判断する。例えば、当該生簀Pについての検出を終了することを指示するユーザなどからの情報入力があった場合に、検出処理部31は、当該生簀Pについての検出が終了したと判断する。なお、通知判断部35により通知条件が満たされたと判断された場合や、所定の時間が経過した場合など、その他のトリガをもって当該生簀Pについての検出が終了したと自動的に判断されるようにしてもよい。生簀Pについての検出が終了したと判断した場合には図7の処理に戻り、そうでない場合にはステップS132に戻る。
図9は、判定時動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS151)生育状態判定部46は、生物情報格納部24から、k番目の生簀Pについての時系列の生物情報を取得する。
(ステップS152)生育状態判定部46は、モデル情報格納部25から、モデル情報を取得する。また、生育状態判定部46は、給餌情報格納部26から、給餌情報を取得する。
(ステップS153)生育状態判定部46は、生簀Pにおいて水棲動物が正常に生育しているか否かを判定する。判定は、例えば、取得した生物情報と、モデル情報と、給餌情報とに基づいて行うことができる。なお、取得した生物情報と給餌情報とに基づいて判定が行われてもよいし、生物情報とモデル情報とに基づいて判定が行われてもよい。正常に生育していると判定された場合にはステップS155に進み、そうでない場合にはステップS154に進む。
(ステップS154)生育状態判定部46は、生育異常であると判定する。
(ステップS155)生育状態判定部46は、生育計画情報格納部27から、生育計画情報を取得する。
(ステップS156)生育状態判定部46は、生育計画情報と生物情報とに基づいて、水棲動物の生育状態が生育計画に照らして進んでいるか否かについて判定する。そして、給餌指示情報生成部47は、生育状態判定部46の判定結果に基づいて、上述のように、給餌指示情報を生成する。
(ステップS157)生育状態判定部46は、出荷基準情報格納部28に格納されている出荷基準情報を取得する。
(ステップS158)生育状態判定部46は、生物情報と出荷基準情報とに基づいて、水棲動物の生育状態が出荷基準を満たしているか否かを判定する。出荷基準を満たしている場合にはステップS158に進み、そうでない場合には、図6の処理に戻る。
(ステップS159)生育状態判定部46は、k番目の生簀Pの水棲動物について出荷可能であると判定する。その後、図6の処理に戻る。
図10は、同生物情報蓄積部43の動作の一例について説明する図である。
本実施の形態において、端末装置60から情報処理装置10に送信される送信情報においては、生簀識別子は含まれていなくてもよい。例えば、検出作業を行う端末装置60の位置を示す位置情報が送信情報に含まれており、情報処理装置10において当該位置情報に基づいて検出作業が行われた生簀Pを特定する生簀特定処理が行われるようにしてもよい。
図10において、符号D1で示される表の各行(各レコード)は、送信情報の一例である。すなわち、送信情報は、例えば、撮影日時と、位置情報と、環境センサ84により検出された検出値(例えば、酸素濃度、pH、及び水温)と、撮影された画像を特定する画像識別子とが対応付けられた情報である。
他方、符号D2で示される表は、管理対象となっている複数の生簀Pのそれぞれについて、生簀識別子と当該生簀Pの位置情報とが対応付けられている生簀情報である。このような生簀情報は、例えば、予め格納部21に格納されていてもよいし、例えば情報入力装置90等から情報処理装置10に送信されるようにしてもよい。
処理部30は、このような送信情報が端末装置60から送信されたとき、符号D2で示される生簀情報を用いて、生簀特定処理を行う。すなわち、生簀特定処理では、処理部30は、送信情報に含まれる位置情報に基づいて、それに対応する生簀の生簀識別子を生簀情報から取得し、当該送信情報に対応付けることができる。また、画像について検出処理を行うことで、水棲動物の魚体長等の情報を得て、送信情報に含まれる情報と対応付けることができる。
符号D3で示される表の各行(各レコード)は、生物情報及びそれに対応付けられた撮影状況情報の一例である。すなわち、例えば、生物情報である平均体長と、撮影時間情報である撮影日時と、生簀識別子と、魚種と、天候と、水温と、生育日数と、水質が正常であるか否かと、のそれぞれの撮影状況情報とが、互いに対応付けられて、生物情報格納部24に格納される。なお、例えば、魚種、天候、生育日数は、情報入力装置90から送信された情報に基づいて、生簀識別子に対応付けられるが、これに限られるものではない。また、水質が正常であるか否かを示す情報は、端末装置60から送信された送信情報に含まれる水質に関する測定値に基づいて処理部30により生成された情報であるが、これに限られない。これらの情報の他にも、種々の情報(例えば、1日あたりの給餌量などの給餌情報など)が生物情報に対応付けられていてもよい。
このように複数の時点における生物情報等の情報が蓄積されることで、生簀P毎に、時系列の生物情報が蓄積される。
図11は、同生物情報格納部24に格納される時系列の生物情報の一例を示す図である。
図11においては、生簀識別子が「AA003」である生簀Pについての生物情報の一例が示されている。上述のように、生物情報蓄積部43は、生物情報を、撮影時間情報(例えば、撮影日時)と生簀識別子とに対応付けて蓄積する。そのため、生簀P毎に、生簀識別子をキーにして、時系列の生物情報を抽出することができる。時系列の生物情報により、生簀P毎に、水棲生物の成長の経過を取得することができる。このような時系列の生物情報と、例えばモデル情報とを比較することにより、水棲動物の生育状況が適正であるか否かなど、種々の判定や評価を行うことができる。
図12は、同出荷基準情報格納部28に格納される出荷基準情報の一例を示す図である。
図12に示されるように、出荷基準情報は、例えば、出荷先と、希望納期(出荷時期を特定する情報の一例)と、出荷する基準となる魚体長(出荷基準の一例)などが、生簀識別子に対応付けられているものである。これらの情報のほか、魚種に関する情報や、受注内容すなわち出荷条件を特定する受注識別子などが対応付けられていてもよい。このような出荷基準情報と、生物情報とに基づいて、生簀P毎に、水棲動物が出荷基準を満たす程度に成長しているか否かを判定することができる。
図13は、同給餌指示情報生成部47の動作について説明する表である。
図13には、給餌指示情報の生成に関して用いられる、標準給餌量を定める情報の一例が表形式で示されている。本実施の形態においては、生簀P内で生育される所定の個体数の水棲動物に与えるべき1日あたりの給餌量が示されている。給餌量は、水棲動物の体重と、水温とにそれぞれ対応して定められている。給餌指示情報生成部47は、例えば、このようにして定められた標準給餌量を定める情報と、検出された生物情報及び水温等に基づいて、標準給餌量を求めることができる。そして、給餌指示情報生成部47は、水棲動物の生育状態が生育計画に照らして遅れている場合や進んでいる場合には、標準給餌量から増減した給餌量を給餌するように、給紙指示情報を生成することができる。
なお、本実施の形態において、処理部30は、撮影状況情報を含む時系列の生物情報と、給餌情報とに基づいて、標準給餌量を定める情報を生成したり、予め設定されている情報を補正したりしてもよい。また、処理部30は、撮影状況情報を含む時系列の生物情報に基づいて、モデル情報を生成したり、予め設定されているモデル情報を補正したりしてもよい。このような標準給餌量を定める情報やモデル情報の生成や補正は、例えば、魚種毎に行ったり、生簀P毎や生簀Pのあるエリア毎に行ったりすることができる。このような標準給餌量を定める情報やモデル情報の生成は、具体的には、例えば、統計的な手法によって生物情報等を解析することにより行うことができる。また、このような標準給餌量を定める情報やモデル情報の補正は、例えば、得られた生物情報などと既存の情報との比較結果に基づいて既存の情報に対する補正値を算出することにより行うことができる。
図14は、同処理部30によるモデル情報の補正に関する動作の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態において、処理部30は、例えば以下のようにしてモデル情報の補正を行うことができる。
(ステップS101)処理部30は、所定の魚種についての時系列の生物情報を、生物情報格納部24から取得する。
(ステップS102)処理部30は、モデル情報格納部25に格納されているモデル情報を取得する。
(ステップS103)処理部30は、取得した時系列の生物情報と、モデル情報とを比較することにより、補正値を生成する。具体的には、例えば、特定の魚種について、多数の生簀Pについての魚体長などの生物情報の平均値や、生育日数が同程度である異なる生育機会における魚体長などの生物情報の平均値が、モデル情報により特定される魚体長の平均値よりも所定の閾値以上ずれていれば、所定の値を補正値として生成する。なお、補正値の生成はこれに限られるものではない。
(ステップS104)処理部30は、生成した補正値を用いて、モデル情報を更新する。また、更新されたモデル情報は、モデル情報格納部25に格納され、以後の処理において用いられる。
なお、このような標準給餌量を定める情報やモデル情報の生成等は、例えば、上述のような、機械学習の手法を用いて行うようにしてもよい。例えば、撮影状況情報を入力情報とし生物情報を出力情報として構成した学習器を、モデル情報として用いることができる。また、撮影状況情報を含む生物情報を入力情報として、当該生物情報に対応する給餌情報を出力情報として構成した学習器を、給餌量を出力するための情報として用いることができる。この場合、給餌指示情報生成部47は、学習器に撮影状況情報を含む生物情報を入力することにより、望ましい給餌量を特定する給餌指示情報を生成することができる。例えば、情報処理装置10の格納部21に保存されている上記のような時系列の生物情報から、各パラメータの強い関係性(相関関係や逆相関など)を機械学習などの数値解析によって検知することによって、モデル情報を作成してもよい。例えば、魚体の大きさと水温などの環境データ、日間給餌量の関係性を評価し、関係式や対応表を作成することができる。これにより、リアルタイムの水棲動物の大きさに関する計測結果と、取得した関係式とに基づいて、リアルタイムの適切なs給餌量を通知することができる。
機械学習の手法を用いる場合には、以下のように工夫してもよい。すなわち、検出に用いられた画像をユーザが確認し、学習器の構成に不適であると思われるものを除外・修正してもよい。また、魚の生理学的特徴として、年齢や成熟度に応じて成長率が変わるという点が挙げられる。成長曲線の傾向は種苗や環境条件によって左右されるが、全体の傾向は同じであるため、魚体長などの測定によって得られた成長曲線の実績データを入力情報として、成長曲線の特徴量を抽出してもよい。また、既存の生物生理学の成果による成長曲線を、時系列の生物情報を活用して得たモデル情報にて補正することで、水棲動物検出システム1の適用先に特有の種苗特性や環境特性を考慮した成長モデルを作成してもよい。これによって魚体の成長曲線を算出することで、次回の検出作業を行うのが好適である目安時期をレコメンドすることができる。
従来の水棲動物検出装置においては、水中の水棲動物の検出を伴う作業を行うことは、容易ではない場合があった。すなわち、適正に検出結果を得られるだけの検出作業を行うことができているかどうか、検出作業を行うユーザが船上などで知ることが困難であった。また、検出作業に利用されるカメラも、比較的大型なものが一般的であり、検出作業自体に大掛かりな設備の用意が必要であった。
これに対し、以上説明したように、本実施の形態においては、検出作業について、所定の通知条件が満たされたときにユーザは通知を受けることができる。したがって、適正に検出結果を得られるだけの検出作業を行うことができているかどうかをユーザが速やかに知ることができるので、容易に水棲動物の検出作業を行うことができる。通知は、例えば、端末装置60に情報が表示されることにより行われてもよい。これにより、ユーザは、カメラ81により撮影されている画像を見ながら、通知を受けることができる。また、通知は、例えば、端末装置60から音声や振動が出力されることにより行われてもよい。これにより、ユーザは、端末装置60の画面に注視していなくても、通知を受けることができる。なお、端末装置60に連携して動作する機器(例えば、カメラユニット80や、端末装置60と通信可能なスピーカなどの装置など)から音声や振動、光等が出力されることにより通知が行われてもよい。
検出作業に用いるカメラ81は、比較的小型なものを用いることができる。また、カメラユニット80は、治具87を用いてユーザが把持可能な程度に小型化することができる。カメラユニット80と端末装置60とを接続して、船上等において検出作業を行うことができるので、容易に水棲生物の検出作業を行うことができる。また、そのような端末装置60を通してユーザに通知を行うことができるので、効果的に、ユーザに通知を行うことができる。カメラ81が小型であることにより、水棲動物に警戒されにくく、効果的に撮影を行うことができる。また、水棲生物の魚体を傷つける可能性も低くなる。
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布してもよい。
例えば、本実施の形態における、水棲動物検出装置10Dを実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムとすることができる。つまり、このプログラムは、コンピュータに、カメラにより撮影された画像を取得する画像取得ステップと、カメラにより撮影された画像に映っている水棲動物を検出する検出ステップと、検出ステップによる水棲動物の検出状況に関する通知条件が満たされた否かを判断する通知判断ステップと、通知判断ステップにより通知条件が満たされたと判断された場合に通知情報を生成する通知生成ステップとを実行させる、プログラムである。
なお、上記実施の形態においては、情報処理装置10が水棲動物検出装置10Dとして機能するような構成が示されていたが、これに限られるものではない。情報処理装置10を構成する機能ブロックのいくつかが、水棲動物検出システム1を構成する他の装置に設けられていてもよいし、端末装置60を構成する機能ブロックのいくつかが、水棲動物検出システム1を構成する他の装置に設けられていてもよい。
図15は、実施の形態1の一変形例に係る水棲動物検出システム101のブロック図である。図16は、同情報処理装置110のブロック図である。
水棲動物検出システム101は、実施の形態1の情報処理装置10及び端末装置60とはそれぞれ構成が異なる情報処理装置110及び端末装置160を有している。
端末装置160は、端末格納部171と、端末処理部173とを有している。端末格納部は、実施の形態1における端末格納部71に比べて、さらに通知条件格納部22及び第2通知条件格納部23を有している点で相違する。また、端末処理部173は、実施の形態1における端末処理部73に比べて、検出処理部31を有している点で相違する。すなわち、端末装置160は、実施の形態1における端末装置60に比べて、実施の形態1において情報処理装置10に設けられていた水棲生物検出装置10Dと同様に構成された水棲動物検出装置160Dを有している点で相違するといえる。
情報処理装置110は、格納部121と、処理部130とを有している。格納部121は、実施の形態1における格納部21に比べて、通知条件格納部22及び第2通知条件格納部23を有していない点で相違する。また、処理部130は、実施の形態1における処理部30に比べて、検出処理部31を有していない点で相違する。
このように構成されている水棲動物検出システム101においても、端末装置160と情報処理装置110とが適宜情報の送受信を行うようにすることで、大まかには実施の形態1と同様にして、検出時動作や判定時動作を行うことができる。
本変形例においては、特に、生簀Pのそばで検出作業を行うユーザの手元において用いることができる端末装置160が、水棲生物検出装置160Dとして機能する。すなわち、水棲動物の検出作業時に、端末装置160から情報処理装置110に画像を送信しなくても、端末装置160において水棲動物の検出や、通知情報の出力が行われる。この際、端末装置160の端末通知部76が、通知情報を出力する通知出力部として機能するといえる。例えば、カメラ81により撮影された画像を表示する端末表示部63に、通知生成部36により生成された通知情報が出力される。したがって、ネットワークを通じて端末装置160と情報処理装置110との通信が行えなかったり、十分な帯域の通信を行うことができない通信環境下で検出作業が行われる際でも、ユーザは、容易に検出作業を行うことができる。このような場合において、判定時動作は、端末装置160と情報処理装置110との通信を行うことができる場合において実行されるようにすればよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る水棲動物検出システム201について説明する。水棲動物検出システム201は、生簀Pに設置したカメラユニット280を用いて、ユーザがリモート環境においても検出作業を行うことができるように構成されているものである。
図17は、本発明の実施の形態2における水棲動物検出システム201の概要図である。図18は、同水棲動物検出システム201のブロック図である。
図17に示されるように、水棲動物検出システム201は、情報処理装置10、端末装置60、カメラユニット280、及び情報入力装置90を備える。本実施の形態においても、情報処理装置10が水棲動物検出装置10Dとしても機能するようになっているが、これに限られるものではない。
本実施の形態において、情報処理装置10、端末装置60、及び情報入力装置90は、実施の形態1と同様に構成されている。
カメラユニット280は、それ自体がネットワークに接続可能に構成されており、例えば情報処理装置10と通信可能に構成されている。すなわち、カメラユニット280は、カメラ281と、カメラ格納部282と、カメラ処理部283と、カメラ構成部284と、カメラ送信部285と、カメラ受信部286と、環境センサ84とを有している。
カメラ281は、実施の形態1のカメラ81と同様に第1撮像部82及び第2撮像部83を有するステレオカメラである。後述するように、カメラ281は、カメラ81とは異なる形状の筐体を有しているものであるが、これに限られない。すなわち、カメラユニット280にも、実施の形態1のカメラ81が用いられていてもよい。
カメラ格納部282には、種々の情報が格納される。カメラ格納部282は、不揮発性の記録媒体で実現されているが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。カメラ格納部282には、例えばカメラ281によって撮影された画像や環境センサ84の測定値などが、外部機器への送信を行うためなどにそれぞれ格納されるが、これに限られない。
カメラ処理部283は、カメラユニット280の動作を制御したり、情報処理装置10と連携した処理などを行う。情報処理装置10や端末装置60など、ネットワークを介して接続されている装置との連携は、各装置に指令を送信したり各装置からの情報を受信したりすることなどにより行うことができる。例えば、カメラ受信部286により、情報処理装置10等から送信された撮影制御情報が受信されたとき、カメラ処理部283は、撮影制御情報に基づいて、カメラユニット280の各部を制御する。撮影制御情報は、例えば、撮影の開始又は停止指示、カメラ281の制御指示、送信情報の送信指示、カメラユニット280の状態を示すステータス情報の送信指示等であるが、これに限られない。
カメラ処理部283は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。カメラ処理部283は、の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
カメラ構成部284は、カメラ処理部283に設けられている。カメラ構成部284は、カメラユニット280から情報処理装置10に送信する送信情報をカメラユニット280又はその各部を特定する識別子に対応付けて構成する。本実施の形態において、送信情報には、例えば、カメラ281により撮影される画像や、環境センサ84の測定値などが含まれるが、これに限られない。環境センサ84がGPS等を利用して取得した位置情報が、送信情報に含まれていてもよい。
カメラ送信部285及びカメラ受信部286は、カメラユニット280をネットワークに接続し、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行う。カメラ送信部285及びカメラ受信部286は、例えば無線LANや携帯電話のデータ通信などを利用して無線通信を行うように構成されていてもよいし、各種の有線による通信を行うように構成されていてもよい。
カメラ送信部285は、他の装置に情報を送信する。カメラ送信部285は、例えば、カメラ格納部282に格納されている情報を送信したり、カメラ処理部283から引き渡された情報を送信する。例えば、カメラ送信部285は、カメラ構成部284により構成された送信情報を、情報処理装置10等に送信する。
カメラ受信部286は、他の装置から送信された情報を受信する。カメラ受信部286は、受信した情報を、例えば、カメラ処理部283により行われる処理に引き渡す。例えば、カメラ受信部286は、情報処理装置10等から送信される撮影制御情報を受信する。
水棲動物検出システム201においては、このようにカメラユニット280自体がネットワークを介して画像を含む送信情報を送信することができるように構成されているので、ユーザは、例えば以下のようにして、端末装置60を利用して、遠隔地から生簀Pについての検出作業を行うことができる。したがって、容易に検出作業を行うことができる。
すなわち、例えば、ユーザは、端末装置60を用いて、情報処理装置10に撮影指示等を送信する。撮影指示等においては、カメラユニット80を特定する識別子が指定されていたり、生簀Pの生簀識別子が指定されていればよい。また、一の検出機会に検出作業を行う複数の生簀Pのグループを予め指定しておき、そのグループを指定する識別子などを用いて撮影指示を行えるようにしてもよい。
情報処理装置10は、カメラユニット80に対して、撮影制御情報を送信する。そうすると、カメラユニット80が、画像を含む送信情報が情報処理装置10に送信する。
情報処理装置10は、カメラユニット80から送信された送信情報を受信し、検出時動作等を行う。また、その結果を、端末装置60に送信する。なお、検出時動作を行っている際に通知条件が満たされた場合には、実施の形態1と同様に、情報処理装置10から端末装置60に通知情報が出力され、ユーザに通知が行われるようにしてもよい。これにより、実施の形態1と同様に、ユーザは、容易に検出作業を行うことができる。
図19は、同カメラユニット280の概略構成を示す斜視図である。
図19に示されるように、実施の形態2においては、カメラユニット280は、カメラ281が取り付けられている治具287を有している。治具287は、カメラ281を水中に沈めて保持するための腕部88と、生簀Pを構成する構成部材P1に引っ掛けられるフック89とを有している。すなわち、カメラユニット280は、フック89を構成部材P1の一部(例えば、生簀Pを区画するネットの上端縁など)に引っ掛けることで、所定の位置にカメラ281を配置したまま保持することができるように構成されている。なお、治具287の形状や構成はこれに限られるものではない。例えば、カメラユニット280を構成部材P1にワイヤ等を用いてくくりつけたり螺旋止めなどの方法で取り付けたりすることができるように構成されていてもよい。
カメラ281の筐体は、本実施の形態において、撮像部82,83の光軸に平行な寸法が比較的小さい、偏平形状を有している。そのため、カメラ281の筐体が構成部材P1に沿うようにしてカメラ281を水中に配置させることができ、カメラ281の位置を安定させて保持することができる。
図20は、同カメラ281の配置例を示す斜視図である。
すなわち、図20に示されるように、カメラ281は、その筐体の背面(撮影部82,83が撮像する方向に向かう面とは反対の面)が、例えばネットである構成部材P1の内面に沿うように配置することができる。上述のように、生簀Pの中では水棲動物の動きにより径方向に水の流れが生まれるところ、その水の流れによってカメラ281が構成部材P1に向かって押し付けられる。そのため、カメラ281の位置が安定することになる。
本実施の形態においては、潜水作業なしに、カメラ281を水中に固定することができる。また、生簀毎に設置した複数のカメラユニット280を統合管理することができるので、生簀Pの数が多くなっても各生簀Pのモニタリング作業を容易に行うことができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る水棲動物検出システム301について説明する。水棲動物検出システム301は、生簀Pに設置した給餌装置600を用いて、生簀Pへの給餌動作を自動的に行ったりリモート制御により給餌作業を行ったりすることができるように構成されているものである。
図21は、本発明の実施の形態3における水棲動物検出システム301の概要図である。図22は、同水棲動物検出システム301のブロック図である。
図21に示されるように、水棲動物検出システム301は、実施の形態2と同様に、情報処理装置10、端末装置60、カメラユニット280、及び情報入力装置90を備える。本実施の形態においても、情報処理装置10が水棲動物検出装置10Dとしても機能するようになっているが、これに限られるものではない。水棲動物検出システム301は、さらに、ネットワークを介して例えば情報処理装置10と通信可能な給餌装置600を有している。
本実施の形態において、給餌装置600は、以下のような構成要素を有しており、生簀Pに自動的に飼料を供給する。
給餌装置600は、飼料が貯蔵される飼料タンク610のほか、飼料を計量する計量部(図示せず)と、散布機構(図示せず)と、散布機構等を駆動する駆動部(図示せず)等を有している。また、給餌装置600は、給餌格納部601と、給餌処理部603と、給餌送信部605と、給餌受信部606とを有している。給餌装置600は、例えば、生簀Pの上方に配置されている。
計量部は、飼料タンク610から取り出された飼料を計量する秤である。計量部は、給餌処理部603による制御に応じて、所定の量の飼料を計量して飼料タンク610から取り出すことができる。
散布機構は、計量部により計量された飼料を生簀Pに供給する。散布機構は、例えば、回転可能なアーム部材を有し、電動機である駆動部によってアーム部材を回転させながら、そのアーム部材から飼料を振りまくことで、生簀Pにまんべんなく飼料を散布することができるように構成されている。なお、飼料を生簀Pに供給する供給ユニットとして、このような散布機構に限られず、公知である手段を広く用いることができる。
給餌格納部601には、給餌条件に関する情報が格納されている。給餌条件は、例えば、飼料の供給タイミングに関する条件と、給餌量に関する条件とを含む。
給餌格納部601は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。本実施の形態においては、後述のようにして、情報処理装置10から送信された給餌指示情報が給餌条件として給餌格納部601に格納される(給餌条件が設定される)。なお、給餌格納部601に給餌条件が記憶される過程はこれに限られず、給餌指示情報に基づいて、ユーザが給餌条件を設定するようにしてもよい。例えば、記録媒体を介して給餌条件が給餌格納部601で記憶されるようになってもよく、端末装置60などから送信された給餌条件が給餌格納部601で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された給餌条件が給餌格納部601で記憶されるようになってもよい。
給餌処理部603は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。給餌処理部603の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。給餌処理部603は、給餌格納部601に格納された給餌条件に基づいて、生簀Pに飼料を供給する。
本実施の形態において、給餌処理部603は、実際に給餌を行ったとき、その給餌情報(ログ;例えば、給餌を行った時刻や給餌量等の情報が含まれる)を記録する。給餌処理部603は、記録した給餌情報等を、給餌送信部605により情報処理装置10等に送信することができる。
給餌送信部605及び給餌受信部606は、給餌装置600をネットワークに接続し、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行う。給餌送信部605及び給餌受信部606は、例えば無線LANや携帯電話のデータ通信などを利用して無線通信を行うように構成されていてもよいし、各種の有線による通信を行うように構成されていてもよい。
給餌送信部605は、他の装置に情報を送信する。給餌送信部605は、例えば、給餌格納部601に格納されている情報を送信したり、給餌処理部603から引き渡された情報を送信する。例えば、給餌送信部605は、給餌を行った給餌量や日時等を示す給餌情報を、生簀Pの生簀識別子や、給餌装置600を識別する識別子などに対応付けて、情報処理装置10などに送信する。
給餌受信部606は、他の装置から送信された情報を受信する。給餌受信部606は、受信した情報を、例えば、給餌格納部601に記憶させたり、給餌処理部603により行われる処理に引き渡す。例えば、給餌受信部606は、情報処理装置10等から送信される給餌指示情報を受信する。
水棲動物検出システム301においては、このようにネットワークに接続された給餌装置600を備えているので、給餌作業を自動化させたり遠隔から実行させたりすることができる。また、給餌装置600は、情報処理装置10から送信された給餌指示情報に基づいて給餌を行う。したがって、生簀Pにおける検出作業を通して判定された、水棲動物の生育状態に基づいて情報処理装置10で給餌指示情報を生成させ、生成された給餌指示情報に基づいて給餌装置600に給餌動作を実行させることができる。したがって、生簀Pにおいて、水棲動物の生育状態を検出しながら、的確に給餌を行えるようになる。
例えば、情報処理装置10において、リアルタイムの平均魚体サイズに合わせた給餌量を判定し、リアルタイムで給餌すべき餌の量を給餌指示情報として送信するようにしてもよい。また、給餌量が所定の閾値に達した際に給餌を自動停止するように指示してもよい。また、水棲動物の券種着結果を見ながら給餌ができるため、リアルタイムで計測できる魚体活性指数と魚体サイズ等に基づいて、生簀Pの中で小さな魚体サイズの魚に十分な餌が与えられているかどうか判断し、給餌時間や量を調整するようにしてもよい。計測した魚体活性指数(飽食指数)と魚体サイズ分布を活用して、生簀Pの全体が飽食状態になるまで給餌することで飽食給餌総量を算出するようにしてもよい。
なお、ユーザは、端末装置60を用いて、情報処理装置10に給餌指示等を送信し、それに応じて情報処理装置10が給餌装置600に給餌指示情報を送信することができるようにしてもよい。給餌指示においては、給餌装置600を特定する識別子が指定されていたり、生簀Pの生簀識別子が指定されていればよい。給餌指示は、ネットワークを介して端末装置60から給餌装置600に送信されるようにしてもよい。この場合、給餌装置600は、受信した情報に基づいて給餌動作を行うように構成されていればよい。
給餌装置600による給餌動作と、カメラ281による撮影とを連動させて行うようにしてもよい。水中でカメラ281を動かして撮影範囲を調整することは困難であるところ、餌を食べる水棲動物がカメラ281により撮影されるように、給餌動作により水棲動物を誘導することで、単位時間あたりで検出可能な個体数を増加させることができる。また、カメラ281の撮影範囲との関係で水棲動物の全体が画像に納まるように誘導することにより、より正確に検出を行うことができる。
(その他)
情報処理装置は、次に検出作業を行うことが推奨される時期を算出し、ユーザに通知するようにしてもよい。例えば、出荷可能な状態に近い生育状態である場合や異常値に近い生育状態である場合などには、次の検出機会までの期間を比較的短くし、正常な生育状態であるが出荷可能な状態になるまで時間がかかると想定される場合には、次の検出機会までの期間を比較的長くするなどしてもよい。
カメラの設置時において、給餌を始める前にカメラを入れると魚が警戒をして餌を食べない場合があるため、給餌を開始して魚が活性状態になったタイミングから撮影機器を入れてもよい。
水棲動物の遊泳時の活性率を画像解析や機械学習によって定量化することで魚体活性指数(飽食指数)を得られるようにしてもよい。
餌は、水棲動物の成長に応じてより大きいサイズのものや魚粉量を減らしたものへ変更するのが好適である。そのため、予め格納された餌情報(サイズ、種類)と魚体サイズとの関係を特定する情報を予め情報処理装置の格納部に格納しておき、リアルタイムで計測した魚体サイズに最適な餌を判定し、ユーザに通知するようにしてもよい。この場合、情報処理装置において、現在給餌中の餌の情報を取得し、最適な餌と登録した餌が違う場合にユーザに通知を行うようにしてもよい。
予め情報処理装置の格納部などに保存された、水棲動物の大きさと個体あたりの飽食給餌量との関係式をベンチマークとし、飽食給餌総量と生簀内の水棲動物の大きさ分布とに基づいて、生簀全体における水棲動物の個体数や生物量を推定するようにしてもよい。
情報処理装置の処理部が、生物情報格納部に格納された情報に基づいて、過去の同じ生簀、現在の隣接生簀、又は他の生産者の生簀から得られた近しい条件下の魚の成長率および給餌方法(量や時間)などからベンチマーク(平均値や中央値)を算出し、リアルタイムで表示や比較を行えるようにしてもよい。このような他の実績結果との比較結果に基づいて、ユーザは、現在の生育状況について多面的に評価を行うことができる。また、処理部が、ベンチマークに近づけるための適切な給餌方法をレコメンドするようにしてもよい。
情報処理装置の検出部は、生物情報格納部に格納されている過去の生物情報の各パラメータの関係性に基づいて、異常値を検知するようにしてもよい。例えば、過去の給餌量と水棲動物の大きさの推移との関係と、現在の情報とを比較して、過給餌や成長不足が発生しているか否かを検知することができる。
上述の情報処理装置や端末装置などが行う処理について、一部に作業者(ユーザ)による作業が介在していたり、作業者による作業と情報処理装置により行われる処理とが並行して行われたりするようにしてもよい。例えば、カメラにより撮影された画像を確認した作業者が行う情報の入力を情報処理装置が受け付けて、受け付けられた情報に基づいて魚体長などの情報を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、情報処理装置から作業者が操作する端末装置に対して、画像や画像の解析結果が送信され、その後、作業者が操作する端末装置から送信された情報を情報処理装置が受信するようにすればよい。また、検出部が検出を行った結果が暫定的なものとして作業者に対して送信されるようにし、送信された情報が適切であるか否かが作業者によって確認されるようにしてもよい。この場合、作業者により適切であることが確認された検出結果に基づいて、生物情報が蓄積されるようにしてもよい。また、例えば、作業者が、画像中に含まれる物体の領域の特定や、その領域の属性(水棲生物であるか否かなど)についてのアノテーションを行ったりして、その結果に基づいて計測等が行われるようにしてもよい。このように作業者による作業が介在していたり、作業者による作業と情報処理装置により行われる処理とが並行して行われたりする場合においても、容易に検出作業を行うことができる。
図23は、上記実施の形態におけるコンピュータシステム800の概観図である。図24は、同コンピュータシステム800のブロック図である。
これらの図においては、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の情報処理装置等を実現するコンピュータの構成が示されている。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現されうる。
コンピュータシステム800は、CD−ROMドライブを含むコンピュータ801と、キーボード802と、マウス803と、モニタ804とを含む。
コンピュータ801は、CD−ROMドライブ8012に加えて、MPU8013と、CD−ROMドライブ8012等に接続されたバス8014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM8015と、MPU8013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM8016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク8017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ801は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでもよい。
コンピュータシステム800に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM8101に記憶されて、CD−ROMドライブ8012に挿入され、さらにハードディスク8017に転送されてもよい。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ801に送信され、ハードディスク8017に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM8016にロードされる。プログラムは、CD−ROM8101又はネットワークから直接、ロードされてもよい。
プログラムは、コンピュータ801に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、又はサードパーティープログラム等を、必ずしも含まなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいればよい。コンピュータシステム800がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、又は、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
上述の複数の実施の形態を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。例えば、上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。