JPWO2021014565A1 - レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
レーザ装置の共振器は、戻り光が入射された場合、又は、他のレーザ装置から放出されたレーザ光が入射された場合、発振するレーザ光の出力及びレーザ光の波長のそれぞれが不安定になることがある。
磁性光学素子への入射ビームを大きくすると、必然的に磁性光学素子が大型になり、また、磁性光学素子の周囲に配置される磁石も大型になってしまうという課題があった。
λ/4板は、共振器により発振されたレーザ光を直線偏光から円偏光に変化させて、円偏光を放射する一方、放射した円偏光が戻り光として入射されると、戻り光を、共振器により発振されたレーザ光である直線偏光と傾き角が90度異なる直線偏光に変化させるものである。したがって、共振器により発振されたレーザ光である直線偏光を透過させ、また、透過させた直線偏光と傾き角が90度異なる直線偏光を屈折させる偏光結合素子等を、共振器とλ/4板との間に挿入すれば、戻り光が共振器に入射されないようにすることができる。
しかしながら、レーザ装置が、λ/4板を備える場合、互いに直交している2つの直線偏光であるレーザ光を偏光結合することによって、レーザ装置の高出力化を図ることが可能な構成の実現が困難である。即ち、2つのレーザ光を偏光結合するために、2つの共振器を含むレーザ装置がλ/4板を備える構成は、以下に示すように、2つの共振器から発振されるレーザ光の波長が不安定になるため、実現が困難である。
以下、説明の便宜上、2つの共振器のうち、一方の共振器が第1の共振器、他方の共振器が第2の共振器であるとする。
第1の共振器から発振されたレーザ光の戻り光は、λ/4板及び偏光結合素子等によって、第1の共振器に入射されないようにすることができる。しかし、第2の共振器から発振されたレーザ光の戻り光である直線偏光は、第1の共振器から発振されたレーザ光の戻り光である直線偏光と傾き角が90度異なる。このため、偏光結合素子等を、第1の共振器とλ/4板との間に挿入しても、第2の共振器から発振されたレーザ光の戻り光は、第1の共振器に入射されてしまう。
また、第2の共振器から発振されたレーザ光の戻り光は、λ/4板及び偏光結合素子等によって、第2の共振器に入射されないようにすることができる。しかし、第1の共振器から発振されたレーザ光の戻り光である直線偏光は、第2の共振器から発振されたレーザ光の戻り光である直線偏光と傾き角が90度異なる。このため、偏光結合素子等を、第2の共振器とλ/4板との間に挿入しても、第1の共振器から発振されたレーザ光の戻り光は、第2の共振器に入射されてしまう。
したがって、第1の共振器及び第2の共振器のそれぞれから発振されるレーザ光の波長が不安定になる。
図1は、実施の形態1に係るレーザ装置1を示す構成図である。
図1において、レーザ装置1は、例えば、レーザ光に利得を発生させる励起レーザとして用いられる。
第1の光源11は、第1の励起レーザ11aを備えている。
第1の光源11は、波長が第1の波長λ1であり、第1の方向に偏光されている第1の直線偏光であるp偏光を、第1の波長フィルタ16を介して、偏光結合素子13の第1の面13aに向けて出力する。
第1の励起レーザ11aは、例えば、半導体レーザ又はファイバーレーザを含む固体レーザによって実現される。
第1の励起レーザ11aは、第1の波長λ1のp偏光を発振する共振器を備えており、共振器により発振されたp偏光を偏光結合素子13の第1の面13aに向けて出力する。
第1の励起レーザ11aは、p偏光をコリメートする光学系を含んでいてもよい。また、第1の励起レーザ11aは、第1の波長λ1のp偏光を、連続波として発振するものであってもよいし、間欠波として発振するものであってもよい。
第2の光源12は、波長が第1の波長λ1と異なる第2の波長λ2であり、第1の方向と直交している第2の方向に偏光されている第2の直線偏光であるs偏光を、第2の波長フィルタ17を介して、偏光結合素子13の第2の面13bに向けて出力する。
第2の励起レーザ12aは、例えば、半導体レーザ又はファイバーレーザを含む固体レーザによって実現される。
第2の励起レーザ12aは、第2の波長λ2のs偏光を発振する共振器を備えており、共振器により発振されたs偏光を偏光結合素子13の第2の面13bに向けて出力する。
第2の励起レーザ12aは、s偏光をコリメートする光学系を含んでいてもよい。また、第2の励起レーザ12aは、第2の波長λ2のs偏光を、連続波として発振するものであってもよいし、間欠波として発振するものであってもよい。
図1に示すレーザ装置1では、偏光結合素子13が、キューブ型の偏光ビームスプリッタによって実現されている。
偏光結合素子13は、第1の面13a、第2の面13b及び第3の面13cを有している。
第1の面13aは、第1の光源11から出力されたp偏光の入射面であり、第2の面13bは、第2の光源12から出力されたs偏光の入射面である。
第3の面13cは、第1の面13aと対向している面である。
偏光結合素子13は、第1の面13aから入力されたp偏光を透過させ、第2の面13bから入力されたs偏光を反射させる。
偏光結合素子13は、透過させた後のp偏光と、反射させた後のs偏光とを、単一のビームとして結合し、第3の面13cから、結合したビームを偏光制御素子14に向けて出力する。
偏光制御素子14は、偏光結合素子13から出力されたビームに含まれているp偏光を第1の円偏光に変化させ、偏光結合素子13から出力されたビームに含まれているs偏光を第2の円偏光に変化させる。
ここでは、偏光制御素子14は、λ/4板を用いているので、互いに直交している2つの直線偏光に、λ/4の位相差を与えている。しかし、これは一例に過ぎず、偏光制御素子14が、互いに直交している2つの直線偏光に、(λ/4)+(λ×整数)の位相差を与えることで、偏光結合素子13から出力されたビームを直線偏光から円偏光に変化させてもよい。
偏光制御素子14は、第1の円偏光及び第2の円偏光を含む単一のビームをレーザ媒質15に出力する。
また、レーザ媒質15は、偏光制御素子14から出力されたビームに含まれている第2の円偏光を吸収して、第3の波長λ3の光に利得を発生させる。
レーザ媒質15は、図示せぬ共振器によって、利得を発生させた第3の波長λ3のレーザ光を発振し、発振したレーザ光を外部に出力する。
レーザ媒質15では、第1の円偏光だけでなく、第2の円偏光も吸収して、第3の波長λ3の光に利得を発生させるため、第1の円偏光だけを吸収して、第3の波長λ3の光に利得を発生させる場合よりも、大きな利得を発生させることができる。
レーザ媒質15の形状は、特に制限がなく、レーザ媒質15の形状として、例えば、バルク状、スラブ状、ファイバー状、ディスク状、平面導波路状、又は、リッジ導波路状の形状を用いることができる。
第1の波長フィルタ16は、第1の光源11と偏光結合素子13の第1の面13aとの間に配置されている。
第1の波長フィルタ16は、第1の光源11から出力された第1の波長λ1のp偏光を透過させる一方、偏光結合素子13から出力された第2の波長λ2のp偏光を第1の光源11が存在している方向と異なる方向に回折させる。
第2の波長フィルタ17は、第2の光源12と偏光結合素子13の第2の面13bとの間に配置されている。
第2の波長フィルタ17は、第2の光源12から出力された第2の波長λ2のs偏光を透過させる一方、偏光結合素子13から出力された第1の波長λ1のs偏光を第2の光源12が存在している方向と異なる方向に回折させる。
図2は、実施の形態1に係るレーザ装置1の動作を示す光路図である。
第1の励起レーザ11aは、第1の波長λ1のp偏光を発振する。
第1の励起レーザ11aは、図2に示すように、発振したp偏光をレーザ光100として、第1の波長フィルタ16に向けて出力する。
図2において、第1の励起レーザ11aからレーザ光100が出力される方向は、x軸と平行な方向であり、p偏光の偏光方向である第1の方向は、y軸と平行な方向である。
第1の波長フィルタ16を透過したレーザ光101は、偏光結合素子13の第1の面13aに到達する。
第2の励起レーザ12aは、図2に示すように、発振したs偏光をレーザ光200として、第2の波長フィルタ17に向けて出力する。
図2において、第2の励起レーザ12aからレーザ光200が出力される方向は、y軸と平行な方向であり、s偏光の偏光方向である第2の方向は、z軸と平行な方向である。
第2の波長フィルタ17を透過したレーザ光201は、偏光結合素子13の第2の面13bに到達する。
偏光結合素子13は、透過させた後のp偏光であるレーザ光102と、反射させた後のs偏光であるレーザ光202とを、単一のビームとして結合し、第3の面13cから、結合したビームを偏光制御素子14に向けて出力する。
単一のビームに含まれているp偏光であるレーザ光102は、偏光制御素子14によって、第1の円偏光103に変化され、単一のビームに含まれているs偏光であるレーザ光202は、偏光制御素子14によって、第2の円偏光203に変化される。
円偏光は、ビームの光路において、ビームの送信元を見たときに、偏光方向が時計回りの方向であれば、右偏光であり、偏光方向が反時計回りの方向であれば、左偏光であるとする。
図1に示すレーザ装置1では、第1の円偏光103の向きが時計回りであり、第1の円偏光103が右偏光であるものとする。また、第2の円偏光203の向きが反時計回りであり、第2の円偏光203が左偏光であるものとする。
偏光制御素子14は、第1の円偏光103及び第2の円偏光203を含む単一のビームをレーザ媒質15に出力する。
また、レーザ媒質15は、偏光制御素子14から出力されたビームに含まれている第2の波長λ2の第2の円偏光203を吸収して、第3の波長λ3の光に利得を発生させる。
レーザ媒質15は、図示せぬ共振器によって、利得を発生させた第3の波長λ3のレーザ光を発振し、発振したレーザ光を外部に出力する。
戻り光104の偏光方向は、第1の円偏光103の偏光方向と反対方向であり、戻り光104は、左偏光である。何らかの要因としては、レーザ媒質15における第1の円偏光103の入射面での反射又は散乱のほか、誘導ブリルアン散乱等が考えられる。
また、何らかの要因で、第2の円偏光203から戻り光204が発生することがある。戻り光204は、第2の円偏光203と同じ第2の波長λ2の円偏光であり、戻り光204の光路は、第2の円偏光203の光路と逆行している。
戻り光204の偏光方向は、第2の円偏光203の偏光方向と反対方向であり、戻り光204は、右偏光である。何らかの要因としては、レーザ媒質15における第2の円偏光203の入射面での反射又は散乱のほか、誘導ブリルアン散乱等が考えられる。
偏光制御素子14は、左偏光である戻り光104を、直線偏光としての戻り光105に変化させる。
戻り光105は、p偏光であるレーザ光102と偏光角が90度回転しているs偏光である。戻り光105の波長は、第1の波長λ1である。
第2の円偏光203から発生した戻り光204は、偏光制御素子14に入射される。
偏光制御素子14は、右偏光である戻り光204を、直線偏光としての戻り光205に変化させる。
戻り光205は、s偏光であるレーザ光202と偏光角が90度回転しているp偏光である。戻り光205の波長は、第2の波長λ2である。
偏光制御素子14は、戻り光105及び戻り光205のそれぞれを偏光結合素子13の第3の面13cに向けて出力する。
偏光結合素子13は、反射させた後の戻り光106を第2の波長フィルタ17に向けて出力する。
偏光結合素子13の第3の面13cから入力された戻り光205は、p偏光であるため、偏光結合素子13が、戻り光205を透過させる。
偏光結合素子13は、透過させた後の戻り光206を第1の波長フィルタ16に向けて出力する。
第1の波長フィルタ16により回折された後の戻り光207は、進行方向が第1の励起レーザ11aが存在している方向と異なるため、第1の励起レーザ11aに入射されることがない。
また、偏光結合素子13により反射させた後の戻り光106は、進行方向が第1の励起レーザ11aが存在している方向と異なるため、第1の励起レーザ11aに入射されることがない。
したがって、戻り光207又は戻り光106が、第1の励起レーザ11aに入射されることに伴って、第1の励起レーザ11aにより発振されるレーザ光100の第1の波長λ1が不安定になることがない。
第2の波長フィルタ17により回折された後の戻り光107は、進行方向が第2の励起レーザ12aが存在している方向と異なるため、第2の励起レーザ12aに入射されることがない。
また、偏光結合素子13を透過した戻り光206は、進行方向が第2の励起レーザ12aが存在している方向と異なるため、第2の励起レーザ12aに入射されることがない。
したがって、戻り光107又は戻り光206が、第2の励起レーザ12aに入射されることに伴って、第2の励起レーザ12aにより発振されるレーザ光200の第2の波長λ2が不安定になることがない。
ボリュームブラッググレーティングは、非特許文献1に開示されている磁性光学素子と比べて、サイズが小型である。
ボリュームブラッググレーティングは、入射するビームの大きさの1.5倍から3倍程度の大きさを有していればよく、例えば、偏光結合素子13の大きさ又は偏光制御素子14の大きさと同程度の大きさを有していればよい。入射するビームの大きさは、例えば、ビームの光出力がピーク値の1/e2となる全幅で定義される。eは、自然対数のネイピア数である。
ボリュームブラッググレーティングは、非特許文献1に開示されている磁性光学素子と異なり、磁石を必要とするファラデー効果を用いていないので、磁場が発生しないという利点を有している。したがって、ボリュームブラッググレーティングと一緒に、例えば、パッケージ用部品を集積してパッケージ化する際には、パッケージ用部品、及び、治工具等の組立て用部品の双方に、一般的な鉄系等の磁性材料を用いることが容易となる。
第1の波長λ1と第2の波長λ2との波長差Δλの最小値は、第1の波長フィルタ16が第1の波長λ1のp偏光を透過させて、第2の波長λ2のp偏光を回折させることが可能な最小の波長差である。また、波長差Δλの最小値は、第2の波長フィルタ17が第2の波長λ2のs偏光を透過させて、第1の波長λ1のs偏光を回折させることが可能な最小の波長差である。波長差Δλの最小値は、例えば、第1の波長λ1と第2の波長λ2との中心波長に対して、10−6程度の値である。
波長差Δλの最小値が、中心波長に対して、10−6程度の値であればよいということは、レーザ装置の多くの用途において、第1の波長λ1と第2の波長λ2とが、ほぼ同一とみなせる程度に、波長差Δλが十分小さくてよいということを表している。
以下、第1の波長フィルタ16についての具体的な数値例を提示する。ここでは、第1の波長フィルタ16についての具体的な数値例を提示するが、第2の波長フィルタ17についての数値も同様である。
また、同一の屈折率が現れるグレーティング周期が、0.2〜20μm程度、厚みが0.2〜20mm程度の作製が可能である。
具体的な数値例を取り上げると、ボリュームブラッググレーティングは、正弦波状の屈折率変調を有するものであり、平均屈折率が1.4867、屈折率変動の全幅が0.0005(50ppm)であるものとする。
ここでは、第2の波長λ2が1085.00nmであるものとする。また、レーザ光100及び戻り光206のそれぞれが、第1の波長フィルタ16の入射面に対して、垂直に入射されるように、第1の励起レーザ11aと、第1の波長フィルタ16と、偏光結合素子13とが配置されているものとする。
5度の角度は、実際のレーザ装置1の配置、又は、レーザ装置1の構成部品の配置等によって決められるべきものであって、値自体にそれほど重要な意味がない。しかし、5度の角度は、戻り光206が第1の励起レーザ11aに入射されないようにするには十分な値である。
例えば、図3に示すように、グレーティング周期が0.366μm、戻り光206の入射面の法線を示す入射ベクトルKiとグレーティングベクトルKGとのなす角度が92.5度、厚みが19.6mmであるボリュームブラッググレーティングを想定する。明細書の文章中では、Ki及びKG等の文字の上に“→”の記号を付することができないため、単に、Ki又はKGのように表記している。
図3は、第1の波長フィルタ16を実現するボリュームブラッググレーティングの具体例を示す説明図である。
第1の波長フィルタ16が、図3に示すボリュームブラッググレーティングによって実現される場合、理論上の回折効率が100%になる。ただし、単純化のために、波長不整合及び角度不整合については、考慮していない。
回折効率の波長依存性を代表する特性値として、回折効率が最初に0%となる波長差の半幅があり、回折効率が最初に0%となる波長差の半幅は、図4に示すように、0.01nm程度である。0.01nmの波長差は、2.5GHz程度の周波数差に相当する。
第2の波長λ2が1085.00nmであるとき、第1の波長λ1が1085.01nmであれば、波長差Δλが、0.01nmになる。したがって、波長差Δλが、回折効率が最初に0%となる波長の半幅と一致するため、第1の波長λ1のレーザ光100は、第1の波長フィルタ16が存在していないかのように、第1の波長フィルタ16を透過する。
一方、第2の波長λ2の戻り光206は、第1の波長フィルタ16によって、入射ベクトルKiとのなす角度が5度となる、回折ベクトルKaで表される方向に回折され、第1の波長フィルタ16から、回折された後の戻り光207が出力される。
ここでは、回折効率が最初に0%となる波長の半幅が、0.01nmであるものを示している。しかし、これは一例に過ぎず、ボリュームブラッググレーティングの厚みを厚くすること、あるいは、グレーティング周期を小さくすることで、回折効率が最初に0%となる波長の半幅が小さくなる。
[非特許文献2]
I.V.Ciapurin, et al., Modeling of Gaussian beam diffraction on volume Bragg gratings in PTR glass, Proc. of SPIE 5742, 183,(2005).
[非特許文献3]
L.Li, et al.,Visible broadband, wide−angle, thin−film multilayer polarizing beam splitter, Applied Optics, 35, 13, 2221, (1996).
[非特許文献4]
H.Kikuta, et al., Achromatic quarter−wave plates using the dispersion of form birefringence, Applied Optics, 36, 7, 1566, (1997).
しかし、これは一例に過ぎず、図5に示すように、第1の光源11が、第1の励起レーザ11bと、第1の偏光板11cとを備え、第2の光源12が、第2の励起レーザ12bと、第2の偏光板12cとを備えるようにしてもよい。
図5は、実施の形態1に係る他のレーザ装置1を示す構成図である。図5において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
第1の偏光板11cは、第1の励起レーザ11bにより発振されたレーザ光100’を第1の方向に偏光させて、p偏光であるレーザ光100を第1の波長フィルタ16に向けて出力する。
第2の励起レーザ12bは、第2の波長λ2のレーザ光200’を発振する共振器を備えており、共振器により発振されたレーザ光200’を第2の偏光板12cに出力する。レーザ光200’は、第2の方向に偏光されていないレーザ光である。
第2の偏光板12cは、第2の励起レーザ12bにより発振されたレーザ光200’を第2の方向に偏光させて、s偏光であるレーザ光200を第2の波長フィルタ17に向けて出力する。
また、図5に示すレーザ装置1では、第2の光源12が、第2の励起レーザ12bと、第2の偏光板12cとを備えていても、図1に示すレーザ装置1と同様に、磁性光学素子を用いることなく、第2の光源12への戻り光106,206の入射を避けることができる。
実施の形態2では、第3の波長フィルタ21及び第4の波長フィルタ22を備えるレーザ装置1について説明する。
図6は、実施の形態2に係るレーザ装置1を示す構成図である。図6において、図1及び図5と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
図7は、実施の形態2に係るレーザ装置1の動作を示す光路図である。図7において、図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
第2の光源12は、第2の励起レーザ12aを備えていてもよいし、第2の励起レーザ12bと、第2の偏光板12cとを備えていてもよい。
第3の波長フィルタ21は、第1の光源11と第1の波長フィルタ16との間に配置されている。
第3の波長フィルタ21は、第1の光源11から出力された第1の波長λ1のレーザ光100の一部を透過させ、透過させた後のレーザ光100aを第1の波長フィルタ16に向けて出力する。
第3の波長フィルタ21は、第1の波長λ1のレーザ光100の透過させていない部分を第1の光源11側に反射させる。
第4の波長フィルタ22は、第2の光源12と第2の波長フィルタ17との間に配置されている。
第4の波長フィルタ22は、第2の光源12から出力された第2の波長λ2のレーザ光200の一部を透過させ、透過させた後のレーザ光200aを第2の波長フィルタ17に向けて出力する。
第4の波長フィルタ22は、第2の波長λ2のレーザ光200の透過させていない部分を第2の光源12側に反射させる。
第1の光源11、第2の光源12、第3の波長フィルタ21及び第4の波長フィルタ22以外は、図1に示すレーザ装置1と同様である。ここでは、第1の光源11、第2の光源12、第3の波長フィルタ21及び第4の波長フィルタ22の動作についてのみ説明する。
第3の波長フィルタ21は、第1の光源11から第1の波長λ1のレーザ光100を受けると、第1の波長λ1のレーザ光100の一部を透過させ、透過させた後のレーザ光100aを第1の波長フィルタ16に向けて出力する。
また、第3の波長フィルタ21は、第1の波長λ1のレーザ光100の透過させていない部分を反射させ、反射させた後の第1の波長λ1のレーザ光100bを第1の光源11に出力する。
第4の波長フィルタ22は、第2の光源12から第2の波長λ2のレーザ光200を受けると、第2の波長λ2のレーザ光200の一部を透過させ、透過させた後のレーザ光200aを第2の波長フィルタ17に向けて出力する。
また、第4の波長フィルタ22は、第2の波長λ2のレーザ光200の透過させていない部分を反射させ、反射させた後の第2の波長λ2のレーザ光200bを第2の光源12に出力する。
また、図6に示すレーザ装置1では、波長λ1,λ2が更に安定するので、波長差Δλの半分以下のスペクトル幅を容易に得ることができる。
実施の形態3では、第1の光源11から出力されたp偏光の一部を第1の光源11側に反射させる機能を有する第1の波長フィルタ31と、第2の光源12から出力されたs偏光の一部を第2の光源12側に反射させる機能を有する第2の波長フィルタ32とを備えるレーザ装置1について説明する。
図9は、実施の形態3に係るレーザ装置1の動作を示す光路図である。図9において、図2及び図7と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
第1の光源11は、第1の励起レーザ11aを備えていてもよいし、第1の励起レーザ11bと、第1の偏光板11cとを備えていてもよい。
第2の光源12は、第2の励起レーザ12aを備えていてもよいし、第2の励起レーザ12bと、第2の偏光板12cとを備えていてもよい。
第1の波長フィルタ31は、第1の光源11と偏光結合素子13の第1の面13aとの間に配置されている。
第1の波長フィルタ31は、第1の光源11から出力された第1の波長λ1のp偏光であるレーザ光100を透過させる一方、偏光結合素子13から出力された第2の波長λ2のp偏光である戻り光206を第1の光源11が存在している方向と異なる方向に回折させる。
また、第1の波長フィルタ31は、第1の光源11から出力されたレーザ光100の一部を反射させ、反射させた後のレーザ光100bを第1の光源11に出力する。
第2の波長フィルタ32は、第2の光源12と偏光結合素子13の第2の面13bとの間に配置されている。
第2の波長フィルタ32は、第2の光源12から出力された第2の波長λ2のs偏光であるレーザ光200を透過させる一方、偏光結合素子13から出力された第1の波長λ1のs偏光である戻り光106を第2の光源12が存在している方向と異なる方向に回折させる。
また、第2の波長フィルタ32は、第2の光源12から出力されたレーザ光200の一部を反射させ、反射させた後のレーザ光200bを第2の光源12に出力する。
第1の波長フィルタ31が、グレーティングによって実現される場合、第1の波長フィルタ16を実現するグレーティングと、第3の波長フィルタ21を実現するグレーティングとを直列に配置することで、第1の波長フィルタ31を製作することができる。第2の波長フィルタ32が、グレーティングによって実現される場合も同様である。
第1の波長フィルタ31が、ファイバーグレーティング、又は、ボリュームブラッググレーティングによって実現される場合、光感光性を有するガラスに紫外線を照射することで、第1の波長フィルタ31を製作することができる。したがって、1つのガラス素子に対して、第1の波長フィルタ16の機能と第3の波長フィルタ21の機能とを直列に露光することで、第1の波長フィルタ31を製作することができる。1つのガラス素子に対して、第1の波長フィルタ16の機能と第3の波長フィルタ21の機能とを直列に露光する場合には、部品点数が減るという利点のほか、第1の波長フィルタ16と第3の波長フィルタ21との間の光軸ずれを避けることができる利点が得られる。第2の波長フィルタ32が、ファイバーグレーティング、又は、ボリュームブラッググレーティングによって実現される場合も同様である。
また、第1の波長フィルタ31が、ファイバーグレーティング、又は、ボリュームブラッググレーティングによって実現される場合、第1の波長フィルタ16と第3の波長フィルタ21とを空間的に重ねることでも、第1の波長フィルタ31を製作することができる。第1の波長フィルタ16と第3の波長フィルタ21とを空間的に重ねる技術自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
第1の波長フィルタ16と第3の波長フィルタ21とを空間的に重ねて、第1の波長フィルタ31を製作する場合、第1の波長フィルタ16と、第3の波長フィルタ21とを直列に配置する場合よりも、第1の波長フィルタ31を薄くすることができる。
第1の光源11、第2の光源12、第1の波長フィルタ31及び第2の波長フィルタ3以外は、図1及び図5に示すレーザ装置1と同様である。ここでは、第1の光源11、第2の光源12、第1の波長フィルタ31及び第2の波長フィルタ32の動作についてのみ説明する。
第1の波長フィルタ31は、第1の光源11から出力されたレーザ光100の波長が第1の波長λ1であるため、レーザ光100を透過させ、透過させた後のレーザ光101を偏光結合素子13に向けて出力する。
第1の波長フィルタ31は、偏光結合素子13から戻り光206を受けると、戻り光206の波長が第2の波長λ2であるため、戻り光206を第1の光源11が存在している方向と異なる方向に回折させる。
また、第1の波長フィルタ31は、第1の光源11からレーザ光100を受けると、レーザ光100の一部を反射させ、反射させた後のレーザ光100bを第1の光源11に出力する。
第2の波長フィルタ32は、第2の光源12から出力されたレーザ光200の波長が第2の波長λ2であるため、レーザ光200を透過させ、透過させた後のレーザ光201を偏光結合素子13に向けて出力する。
第2の波長フィルタ32は、偏光結合素子13から戻り光106を受けると、戻り光106の波長が第1の波長λ1であるため、戻り光106を第2の光源12が存在している方向と異なる方向に回折させる。
また、第2の波長フィルタ32は、第2の光源12からレーザ光200を受けると、レーザ光200の一部を反射させ、反射させた後のレーザ光200bを第2の光源12に出力する。
また、図8に示すレーザ装置1では、波長λ1,λ2が更に安定するので、波長差Δλの半分以下のスペクトル幅を容易に得ることができる。
レーザ媒質15を備えていないレーザ装置1は、第1の波長λ1と第2の波長λ2との完全な同一性が求められない用途のレーザとして、例えば、加工用レーザ、照明用レーザ、又は、測距センシング用レーザに用いられることが想定される。
Claims (6)
- 波長が第1の波長であり、第1の方向に偏光されている第1の直線偏光を出力する第1の光源と、
波長が前記第1の波長と異なる第2の波長であり、前記第1の方向と直交している第2の方向に偏光されている第2の直線偏光を出力する第2の光源と、
前記第1の直線偏光を透過させて、前記第2の直線偏光を反射させる偏光結合素子と、
前記偏光結合素子を透過してきた第1の直線偏光を第1の円偏光に変化させ、前記偏光結合素子によって反射されてきた第2の直線偏光を第2の円偏光に変化させる偏光制御素子と、
前記第1の光源と前記偏光結合素子との間に配置されており、前記第1の光源から出力された第1の直線偏光を透過させる一方、前記偏光結合素子を透過してきた前記第2の波長の光を前記第1の光源が存在している方向と異なる方向に回折させる第1の波長フィルタと、
前記第2の光源と前記偏光結合素子との間に配置されており、前記第2の光源から出力された第2の直線偏光を透過させる一方、前記偏光結合素子によって反射されてきた前記第1の波長の光を前記第2の光源が存在している方向と異なる方向に回折させる第2の波長フィルタと
を備えたレーザ装置。 - 前記第1の円偏光及び前記第2の円偏光のそれぞれを吸収して、前記第1の波長及び前記第2の波長のそれぞれと異なる第3の波長の光に利得を発生させるレーザ媒質を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。
- 前記第1の光源と前記第1の波長フィルタとの間に配置されており、前記第1の光源から出力された第1の直線偏光の一部を透過させる一方、前記第1の直線偏光の透過させていない部分を前記第1の光源側に反射させる第3の波長フィルタと、
前記第2の光源と前記第2の波長フィルタとの間に配置されており、前記第2の光源から出力された第2の直線偏光の一部を透過させる一方、前記第2の直線偏光の透過させていない部分を前記第2の光源側に反射させる第4の波長フィルタと
を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。 - 前記第1の波長フィルタは、前記第1の直線偏光の一部を透過させて、前記第2の波長の光を前記第1の光源が存在している方向と異なる方向に回折させるほか、前記第1の直線偏光の透過させていない部分を前記第1の光源側に反射させ、
前記第2の波長フィルタは、前記第2の直線偏光の一部を透過させて、前記第1の波長の光を前記第2の光源が存在している方向と異なる方向に回折させるほか、前記第2の直線偏光の透過させていない部分を前記第2の光源側に反射させることを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。 - 前記第1の光源は、前記第1の直線偏光を発振する第1の励起レーザを備え、
前記第2の光源は、前記第2の直線偏光を発振する第2の励起レーザを備えていることを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。 - 前記第1の光源は、
前記第1の波長のレーザ光を発振する第1の励起レーザと、
前記第1の励起レーザにより発振されたレーザ光を前記第1の直線偏光に変化させる第1の偏光板とを備え、
前記第2の光源は、
前記第2の波長のレーザ光を発振する第2の励起レーザと、
前記第2の励起レーザにより発振されたレーザ光を前記第2の直線偏光に変化させる第2の偏光板とを備えていることを特徴とする請求項1記載のレーザ装置。
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