JPWO2020210916A5 - - Google Patents

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本記載は、非タンパク質カーゴの細胞内送達に関する。より具体的には、本記載は、小分子及び他の非タンパク質カーゴの細胞内送達のための合成ペプチドシャトル剤の使用、並びにタンパク質と小分子の両方に対する形質導入活性を有する改善された合成ペプチドシャトル剤に関する。
本記載は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれている多数の文書に言及する。
ほとんどの薬物は伝統的に小分子有機化合物であり、細胞内標的とエンゲージするために細胞膜を通過するのに十分に小さく親油性である。従来の創薬プロセスの間、小分子薬物候補は、生物学的標的に対するそれらの親和性だけでなく、とりわけ、細胞内に送達され、生物学的標的に到達するそれらの能力を支配する、それらの薬物様物理化学的特性に基づいて、日常的に選択される。したがって、従来の創薬イデオロギーの下では、高い標的結合親和性及び特異性を示すものとして大規模スクリーニングの試みにおいて同定された化合物は、細胞内に送達される能力が低下するため、最終的には臨床薬候補として廃棄される場合がある。更に、細胞膜透過性化合物であっても、例えば、所望の生物学的効果を得るために、取り込み速度を増加させ及び/又は投与される濃度を低減させるために、改善された細胞内/細胞質送達から利益を得ることができる。したがって、小分子カーゴの細胞内/細胞質送達を容易にすることができる技術が必要とされており、薬物設計の点でより大きな柔軟性を提供し、おそらく、それ以外では、従来の小分子薬物設計に基づいて無視されていた可能性のある新規治療化合物の使用のためのドアを開くことができる。
国際公開第2016/161516号 国際公開第2018/068135号
Ilfeld and Yaksh (2009年).「The End of Postoperative Pain - A Fast-Approaching Possibility? And, if So, Will We Be Ready?」 Regional Anesthesia and Pain Medicine 34巻(2号): 85-87頁
合成ペプチドシャトル剤は、広範囲の標的真核細胞の細胞質及び/又は核に迅速であり、効率的にタンパク質カーゴを形質導入することがすでに報告されている、最近定義されたペプチドファミリーを表す。このようなペプチドシャトル剤の第一世代は、国際公開2016/161516号に記載され、ペプチドシャトル剤は、細胞膜透過性ドメイン(CPD)に操作可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む。その後、国際公開第2018/068135号は、第1世代ペプチドシャトル剤の毒性を低減しながら、タンパク質カーゴの形質導入を改善する目的で、一組の15の設計パラメーターに基づいて合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤を更に記載した。本開示は、大きなタンパク質カーゴを形質導入することが既に報告されているこのような合成ペプチドシャトル剤がまた、一般的に、より小さな非タンパク質カーゴ(例えば、小分子有機化合物)を迅速であり、効率的に形質導入する能力を有するという発見に関する。実施例2に示された実験結果は、国際公開第2016/161516号及び国際公開第2018/068135号に記載されたシャトル剤の代表メンバーを含む合成ペプチドシャトル剤、並びに追加の合理的に設計されたシャトル剤が、小分子有機化合物カーゴとみなすことができる膜不透過性蛍光色素のヨウ化プロピジウム(PI)を形質導入することができることを示す。注目すべきことに、タンパク質カーゴを送達させるための国際公開第2018/068135号に記載された重要な合理的設計パラメーターを満たさない陰性対照ペプチドはまた、PIを形質導入しなかった。これは、タンパク質カーゴ送達のための国際公開第2018/068135号の合理的設計パラメーターもまた、非タンパク質カーゴを送達させるためのペプチドシャトル剤の設計に一般的に適用され得ることを示唆する。実施例3では、代表的な合成ペプチドシャトル剤は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の構造的に無関係な小分子阻害剤の培養細胞への細胞内送達を可能にするだけでなく、送達された阻害剤が、それらの細胞内標的に自由に結合し、それらの阻害活性を発揮することが示される。実施例4では、代表的な合成ペプチドシャトル剤が、剃毛マウスにおける局所適用後のヘッジホッグシグナル伝達の小分子阻害剤のインビボ送達及び活性を可能にすることが示される。実施例5では、異なる代表的な合成ペプチドシャトル剤が、ナトリウムチャンネル阻害剤(QX-314)である膜不透過性小分子化合物の細胞内送達を可能にし、パッチクランプによって測定した場合、誘発電流振幅の関連する低減をもたらすことが示される。最後に、実施例6及び7は、PI及びGFP-NLS形質導入活性のための300を超える候補ペプチドシャトル剤の大規模スクリーニングの結果を示し、PI形質導入効率とGFP-NLS形質導入効率の間の顕著な相関を示し、確実なPI形質導入が、タンパク質カーゴ形質導入活性を有するシャトル剤を予測することを示唆する。
一部の態様では、本明細書には、非タンパク質カーゴ形質導入のための方法が記載され、方法は、標的真核細胞を、非タンパク質カーゴ、及び合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、前記非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の前記合成ペプチドシャトル剤と接触させる工程を含む。
一部の態様では、本明細書には、非タンパク質カーゴを標的真核細胞に形質導入するのに使用するための組成物が記載され、組成物は、薬学的に適切な賦形剤とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度は、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞への非タンパク質カーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である。
一部の態様では、本明細書には、治療に使用するための組成物が記載され、組成物は、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入される非タンパク質カーゴ(例えば、治療的又は生物学的に活性な非タンパク質カーゴ)とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度は、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞への非タンパク質カーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である。
一部の態様では、本明細書には、タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤は、配列番号1~50のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。一部の態様では、本明細書には、タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤は、配列番号1~50のいずれか1つと、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以下のアミノ酸(例えば、フレキシブルセリン/グリシンリッチリンカードメイン等の任意のリンカードメインを除く)によって異なるアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる。一部の態様では、本明細書には、タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤は、配列番号1~50のいずれか1つと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である(例えば、フレキシブルセリン/グリシンリッチリンカードメイン等の任意のリンカードメインを除いて計算される)アミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤は、
(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、
(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、
(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面
を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、
次のパラメーター(4)~(15):
(4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;
(5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;
(6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;
(7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;
(8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;
(9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;
(10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;
(11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;
(12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;
(13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;
(14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに
(15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される
の内の少なくとも5つが満たされる。シャトル剤は、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質のカーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤が、(a)配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれかのアミノ酸配列;又は(b)(a)と、保存的アミノ酸置換のみで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下の保存的アミノ酸置換で、好ましくは、フレキシブルセリン/グリシンリッチリンカードメイン等の任意のリンカードメインを除く)相違するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が記載され、シャトル剤が、(a)配列番号52、57、79、108、140、147、148、173、241、261、286、295、301、309、312、325、333~337、若しくは343のいずれか1つのアミノ酸配列;又は(b)(a)と、保存的アミノ酸置換のみで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下の保存的アミノ酸置換で、好ましくは、フレキシブルセリン/グリシンリッチリンカードメイン等の任意のリンカードメインを除く)相違するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴに対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤バリアントが記載され、合成ペプチドシャトル剤バリアントは、少なくとも1つのアミノ酸が、置き換えられるアミノ酸と同様の物理化学的特性(例えば、構造、疎水性、又は電荷)の側鎖を有する対応する合成アミノ酸で置き換えられることを除き、本明細書に定義される合成ペプチドシャトル剤のいずれか1つに同一であり、シャトル剤バリアントは、シャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞における前記カーゴの形質導入効率を増加させる。
一部の態様では、本明細書には、タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの形質導入のためのインビトロ又はインビボ方法が記載され、方法は、標的真核細胞を、カーゴ、及び合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の本明細書に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントと接触させる工程を含む。
一部の態様では、本明細書には、治療に使用するための組成物が記載され、組成物は、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞中に形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴとともに製剤化された、本明細書に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントを含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの濃度は、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に該標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及び細胞質送達を増加させるのに十分である。
一部の態様では、本明細書には、本明細書に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント、及び合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントによって形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを含むキットが記載される。
一部の態様において、本明細書には、標的真核細胞における目的のカーゴに対する形質導入活性を有することが予想される候補合成ペプチドシャトル剤を製造するための方法が記載され、方法は、(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、本明細書に定義されるパラメーター(4)~(15)の内の少なくとも5つが満たされるペプチドを合成する工程を含み、シャトル剤は、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有することが予想される合成ペプチドシャトル剤を同定し、適格化し、又は選択するためのインビトロ又はインビボ方法が記載され、方法は、標的真核細胞においてカーゴ形質導入を評価するのに適したモデル真核細胞又はモデル生物を提供する工程と;候補合成ペプチドシャトル剤(例えば、本明細書に定義される)を提供する工程と;ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤をモデル真核細胞又はモデル生物に形質導入するための候補合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性(例えば、形質導入効率、例えば、フローサイトメトリーによる)を測定する工程とを含み、候補シャトル剤は、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入活性(例えば、形質導入効率)が、候補合成ペプチドシャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍増加する場合、及び/又はヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の形質導入効率(例えば、フローサイトメトリーで測定した場合)がモデル真核細胞又はモデル生物において生じる場合、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有することが予想される。
一般的定義
表題及びその他の識別子、例えば、(a)、(b)、(i)、(ii)等は、単に、本明細書及び特許請求の範囲の読み取りを容易にするために提示される。本明細書及び特許請求の範囲における表題及びその他の識別子の使用は、工程又は要素が、アルファベット順又は番号順で、又はそれらが提示される順序で実施されることを必ずしも必要としない。
単語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において、用語「含んでいる(comprising)」とともに使用される場合には、「1つ」を意味し得るが、「1つ又は複数の」、「少なくとも1つの」及び「1つ又は2つ以上の」の意味とも一致する。
用語「約」は、値が、値を決定するために使用されているデバイス又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。一般に、技術用語「約」は、最大10%の起こり得る変動を指定するものとする。したがって、値の1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10%の変動が、用語「約」中に含まれる。別に示されない限り、範囲の前の用語「約」の使用は、範囲の両端に適用される。
本明細書及び特許請求の範囲において、使用されるように、単語「含んでいる(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の、含んでいるの任意の形態)、「有している(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」等の有しているの任意の形態)、「含んでいる(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」等の、含んでいるの任意の形態)又は「含有している(containing)」(及び「含有する(contains)」及び含有する(contain)等の、含有しているの任意の形態)は、包括的又はオープンエンドであり、さらなる列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。
本明細書で使用される場合、「タンパク質」又は「ポリペプチド」又は「ペプチド」は、任意の種類の修飾(例えば、アセチル化、リン酸化、グリコシル化、硫酸化(sulfatation)、SUMO化、プレニル化、ユビキチン化等といった化学又は翻訳後修飾)を含む場合も、含まない場合もある、アミノ酸の任意のペプチド連結している鎖を意味する。更に明瞭にするために、修飾が本明細書に記載のシャトル剤のカーゴ形質導入活性を破壊しない限り、タンパク質/ポリペプチド/ペプチド修飾が想定される。例えば、本明細書に記載されるシャトル剤は、直鎖状又は環状であり得て、1つ又は複数のD-又はL-アミノ酸で合成され得、及び/又は脂肪酸(例えば、それらのN末端)にコンジュゲートされ得る。本明細書に記載されるシャトル剤はまた、置き換えられるアミノ酸と同様の物理化学的特性(例えば、構造、疎水性、又は電荷)の側鎖を有する対応する合成アミノ酸で置き換えられる少なくとも1つのアミノ酸を有し得る。
本明細書で使用される場合、「ドメイン」又は「タンパク質ドメイン」は、一般に、特定の官能基又は機能を有するタンパク質の一部を指す。いくつかのドメインは、タンパク質の残部から分離された場合にその機能を保存し、したがって、モジュール方式で使用され得る。多数のタンパク質ドメインのモジュール特性は、本記載のシャトル剤内のそれらの配置により可撓性を提供し得る。しかしながら、いくつかのドメインは、シャトル剤の特定の位置に(例えば、N末端又はC末端領域に又はその間に)遺伝子操作された場合により良好に機能し得る。その内因性タンパク質内のドメインの位置は、ドメインが、シャトル剤内で遺伝子操作されるべき場所の指標及びリンカーのどの種類/長さが使用されるべきであるかの指標となることもある。標準組換えDNA技術は、本開示を考慮して本記載のシャトル剤内のドメインの配置及び/又は数を操作するために当業者により使用され得る。更に、シャトル剤の観点において、ドメインの各々の機能性(例えば、細胞膜を横切る細胞浸透、エンドソームエスケープ及び/又は細胞質へのアクセスを促進する能力)を評価するために、本明細書に開示される、並びにその他の当該技術分野において公知であるアッセイが使用され得る。また、標準的な方法を用いて、シャトル剤のドメインが、細胞内に送達されるべきカーゴの活性に影響を及ぼすか否かを評価することができる。この関連で、表現「作動可能に連結された」とは、本明細書で使用される場合、本記載のシャトル剤の観点で、ドメインのその意図される機能(例えば、細胞浸透、エンドソームエスケープ及び/又は細胞内ターゲッティング)を実施する能力を指す。より明確にするために、表現「作動可能に連結された」とは、それらの間の特定の順序又は距離に制限されない、2種以上のドメイン間の機能的結合を定義することを意味する。
本明細書で使用される場合、「合成ペプチド」、「合成ペプチドシャトル剤」又は「合成ポリペプチド」等の表現において使用される用語「合成」は、インビトロで製造され得る(例えば、化学的に合成される、及び/又は組換えDNA技術を使用して製造される)天然に存在しない分子を指すことが意図される。種々の合成調製物の純度は、例えば、高性能液体クロマトグラフィー解析及び質量分析法により評価され得る。化学合成アプローチは、それらが、大規模な組換えタンパク質精製工程(例えば、臨床使用のために必要とされる)の必要性を排除し得るため、細胞発現系(例えば、酵母又は細菌タンパク質発現系)よりも有利であり得る。対照的に、より長い合成ポリペプチドは、より複雑であり得、及び/又は化学合成アプローチによって、製造するのに費用がかさみ得、このようなポリペプチドは、細胞発現系を使用してより有利に製造され得る。一部の実施形態では、本記載のペプチド又はシャトル剤は、組換え宿主細胞から発現されるのとは対照的に、化学的に合成(例えば、固相又は液相ペプチド合成)され得る。一部の実施形態では、本記載のペプチド又はシャトル剤は、N末端メチオニン残基を欠き得る。当業者は、本記載の合成ペプチド又はシャトル剤を、1つ若しくは複数の修飾されたアミノ酸(例えば、天然に生じないアミノ酸)を使用することによって、又は本記載の合成ペプチド若しくはシャトル剤を化学的に修飾することによって、安定性の特定の必要性又はその他の必要性に合うように適応させることができる。
本明細書で使用される場合、用語「独立した」とは、一般に、互いに共有結合によって結合していない分子又は薬剤を指すことが意図される。例えば、表現「独立したカーゴ」は、本記載のシャトル剤と共有結合によって結合していない(例えば、融合していない)、細胞内に送達される(形質導入される)カーゴを指すことが意図される。一部の態様では、カーゴと独立している(と融合していない)シャトル剤を有することは、シャトル剤の汎用性を増加させることによって、例えば、(シャトル剤とカーゴとの間の共有結合の場合に固定比率に限定されるのとは対照的に)カーゴに対するシャトル剤の比率を容易に変化させることができることにより有利であり得る。
本明細書で使用される場合、表現「であるか又はに由来する」又は「に由来する」は、タンパク質ドメインの活性を抑制しない、保存的アミノ酸置換、欠失、修飾、並びにバリアント又は機能性誘導体等の所与のタンパク質ドメイン(例えば、CPD又はELD)の機能性バリアントを含む。
本記載の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照して、例示の目的のみで与えられたその特定の実施形態の以下の非制限的説明を読むと、より明らかとなる。
非タンパク質カーゴ(ヨウ化プロピジウム、PI;図1A及び1B)又はタンパク質カーゴ(GFP-NLSタンパク質;図1C及び1D)と組み合わせた種々のカテゴリーの合成ペプチドシャトル剤とともに1分間共インキュベートされたHeLa細胞の送達及び生存結果を示す図である。結果は、カーゴ送達の2時間後にフローサイトメトリーにより得られ、蛍光細胞のパーセンテージ(%PI+細胞又は%GFP+細胞)として表された。(左から右へ)示されたペプチドのカテゴリー:国際公開第2016/161516等に記載される細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む合成ペプチドシャトル剤;国際公開第2018/068135号に記載される合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載される追加の合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載された環状ペプチド;及び国際公開第2018/068135号に記載されるいくつかの合理的設計パラメーターを順守しない陰性対照ペプチド。図1Aにおいて、「FS、次にPI」は、合成ペプチドシャトル剤での処理の1時間後にPIが添加され、PI陽性シグナルが細胞死に起因しないことを確実にすることを示す。「陰性対照」とは、カーゴ単独とともにインキュベートされた細胞(図1A及び1Bにおける「PI」、又は図1C及び1Dにおける「GFP-NLS」)、又はカーゴ若しくはペプチドシャトル剤に曝露されなかった未処理細胞(「NT」、図1A-1D)である。 非タンパク質カーゴ(ヨウ化プロピジウム、PI;図1A及び1B)又はタンパク質カーゴ(GFP-NLSタンパク質;図1C及び1D)と組み合わせた種々のカテゴリーの合成ペプチドシャトル剤とともに1分間共インキュベートされたHeLa細胞の送達及び生存結果を示す図である。結果は、カーゴ送達の2時間後にフローサイトメトリーにより得られ、蛍光細胞のパーセンテージ(%PI+細胞又は%GFP+細胞)として表された。(左から右へ)示されたペプチドのカテゴリー:国際公開第2016/161516等に記載される細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む合成ペプチドシャトル剤;国際公開第2018/068135号に記載される合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載される追加の合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載された環状ペプチド;及び国際公開第2018/068135号に記載されるいくつかの合理的設計パラメーターを順守しない陰性対照ペプチド。「陰性対照」とは、カーゴ単独とともにインキュベートされた細胞(図1A及び1Bにおける「PI」、又は図1C及び1Dにおける「GFP-NLS」)、又はカーゴ若しくはペプチドシャトル剤に曝露されなかった未処理細胞(「NT」、図1A-1D)である。 非タンパク質カーゴ(ヨウ化プロピジウム、PI;図1A及び1B)又はタンパク質カーゴ(GFP-NLSタンパク質;図1C及び1D)と組み合わせた種々のカテゴリーの合成ペプチドシャトル剤とともに1分間共インキュベートされたHeLa細胞の送達及び生存結果を示す図である。結果は、カーゴ送達の2時間後にフローサイトメトリーにより得られ、蛍光細胞のパーセンテージ(%PI+細胞又は%GFP+細胞)として表された。(左から右へ)示されたペプチドのカテゴリー:国際公開第2016/161516等に記載される細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む合成ペプチドシャトル剤;国際公開第2018/068135号に記載される合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載される追加の合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載された環状ペプチド;及び国際公開第2018/068135号に記載されるいくつかの合理的設計パラメーターを順守しない陰性対照ペプチド。「陰性対照」とは、カーゴ単独とともにインキュベートされた細胞(図1A及び1Bにおける「PI」、又は図1C及び1Dにおける「GFP-NLS」)、又はカーゴ若しくはペプチドシャトル剤に曝露されなかった未処理細胞(「NT」、図1A-1D)である。 非タンパク質カーゴ(ヨウ化プロピジウム、PI;図1A及び1B)又はタンパク質カーゴ(GFP-NLSタンパク質;図1C及び1D)と組み合わせた種々のカテゴリーの合成ペプチドシャトル剤とともに1分間共インキュベートされたHeLa細胞の送達及び生存結果を示す図である。結果は、カーゴ送達の2時間後にフローサイトメトリーにより得られ、蛍光細胞のパーセンテージ(%PI+細胞又は%GFP+細胞)として表された。(左から右へ)示されたペプチドのカテゴリー:国際公開第2016/161516等に記載される細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む合成ペプチドシャトル剤;国際公開第2018/068135号に記載される合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載される追加の合理的に設計された合成ペプチドシャトル剤;本明細書に記載された環状ペプチド;及び国際公開第2018/068135号に記載されるいくつかの合理的設計パラメーターを順守しない陰性対照ペプチド。「陰性対照」とは、カーゴ単独とともにインキュベートされた細胞(図1A及び1Bにおける「PI」、又は図1C及び1Dにおける「GFP-NLS」)、又はカーゴ若しくはペプチドシャトル剤に曝露されなかった未処理細胞(「NT」、図1A-1D)である。 図1A-1Dにおける結果を要約した表である。 ペプチドシャトル剤FSD250DによってNIH3T3 Gli-ルシフェラーゼレポーター細胞に形質導入されたヘッジホッグシグナル伝達の小分子阻害剤(Gant61、HPI-4、イトラコナゾール、又はATO)の活性を示す図である。ペプチドシャトル剤の存在下(「+FSD250D」;配列番号36)での成功した小分子形質導入は、ペプチドシャトル剤の非存在下(「-FSD250D」)と比較して、組換えマウスソニックヘッジホッグタンパク質(+mShh)で刺激されたNIH3T3 Gli-ルシフェラーゼレポーター細胞の蛍光強度の低減をもたらした。 ペプチドシャトル剤FSD250Dによる剃毛マウスの皮膚細胞におけるヘッジホッグシグナル伝達の小分子阻害剤(Gant61及びイトラコナゾール)のインビボ形質導入の成功を示す図である。マウス皮膚の脱毛は、ヘッジホッグ経路の強力な誘導に関連した毛髪成長を誘導する。この実験は、脱毛によってマウスのヘッジホッグ経路を活性化し、次に、細胞内標的に結合する皮膚細胞小分子ヘッジホッグ経路阻害剤(Gant61又はイトラコナゾール)を送達することによって、毛髪再成長の遅延を測定することから成った。結果は、FSD250Dの存在下で小分子ヘッジホッグ阻害剤Gant61又はイトラコナゾール(「FSD250D+Gant61 100μM」及び「FSD250D+イトラコナゾール100μM」)で処理されたマウスは、FSD250D(「Gant61 100μM」及び「イトラコナゾール100μM」)の非存在下、又はシャトルペプチド単独の存在下(「FSD250D」)と比較して、処理後10日(*)で毛髪再成長の遅延を示したことを示す。 図5A-5Cは、膜不透過性ナトリウムチャンネル阻害剤QX-314にFSD194を伴う又は伴わない曝露時に、ナトリウムチャンネルNav1.7を安定に発現するHEK293細胞の代表的なパッチクランプ電気生理学的全細胞電流トレースを示す図である。細胞をFSD194(すなわち、1mM QX-314+15μM GFP-NLS+5μM FSD194)の存在下で、一時的にQX-314及びGFP-NLSに曝露した場合、電流振幅の低減が観察され、細胞内のQX-314の存在と一致した(図5C)。この同じ電流振幅低減は、QX-314(すなわち、15μM GFP-NLS+5μM FSD194+;図2A)の非存在下、又はFSD194(すなわち、2.5mM QX-314+15μM GFP-NLS;図2B)の非存在下では観察されなかった。更に、GFP-NLS陽性細胞は、QX-314+GFP-NLS+FSD194及びFSD194+GFP-NLS条件で同定されたが、QX-314+GFP-NLS条件では同定されなかったことから、GFP-NLSはペプチドシャトル剤によってQX-314と実際に共形質導入されたことが示された。 図5A-5Cは、膜不透過性ナトリウムチャンネル阻害剤QX-314にFSD194を伴う又は伴わない曝露時に、ナトリウムチャンネルNav1.7を安定に発現するHEK293細胞の代表的なパッチクランプ電気生理学的全細胞電流トレースを示す図である。細胞をFSD194(すなわち、1mM QX-314+15μM GFP-NLS+5μM FSD194)の存在下で、一時的にQX-314及びGFP-NLSに曝露した場合、電流振幅の低減が観察され、細胞内のQX-314の存在と一致した(図5C)。この同じ電流振幅低減は、QX-314(すなわち、15μM GFP-NLS+5μM FSD194+;図2A)の非存在下、又はFSD194(すなわち、2.5mM QX-314+15μM GFP-NLS;図2B)の非存在下では観察されなかった。更に、GFP-NLS陽性細胞は、QX-314+GFP-NLS+FSD194及びFSD194+GFP-NLS条件で同定されたが、QX-314+GFP-NLS条件では同定されなかったことから、GFP-NLSはペプチドシャトル剤によってQX-314と実際に共形質導入されたことが示された。 図5A-5Cは、膜不透過性ナトリウムチャンネル阻害剤QX-314にFSD194を伴う又は伴わない曝露時に、ナトリウムチャンネルNav1.7を安定に発現するHEK293細胞の代表的なパッチクランプ電気生理学的全細胞電流トレースを示す図である。細胞をFSD194(すなわち、1mM QX-314+15μM GFP-NLS+5μM FSD194)の存在下で、一時的にQX-314及びGFP-NLSに曝露した場合、電流振幅の低減が観察され、細胞内のQX-314の存在と一致した(図5C)。この同じ電流振幅低減は、QX-314(すなわち、15μM GFP-NLS+5μM FSD194+;図2A)の非存在下、又はFSD194(すなわち、2.5mM QX-314+15μM GFP-NLS;図2B)の非存在下では観察されなかった。更に、GFP-NLS陽性細胞は、QX-314+GFP-NLS+FSD194及びFSD194+GFP-NLS条件で同定されたが、QX-314+GFP-NLS条件では同定されなかったことから、GFP-NLSはペプチドシャトル剤によってQX-314と実際に共形質導入されたことが示された。 図6。PI及びGFP-NLS形質導入活性のための300を超える候補ペプチドシャトル剤の大規模スクリーニングの結果を示す図である。図6は、平均PI形質導入効率のレベルに基づいて選別された、10%以上の平均PI形質導入効率を有する、スクリーニングされた全ての候補ペプチドシャトル剤の結果を示す。 図6の続き。 図6の続き。 図6の続き。 図6の続き。 図6の続き。 図6の続き。 図6の続き。 PI及びGFP-NLS形質導入活性のための300を超える候補ペプチドシャトル剤の大規模スクリーニングの結果を示す図である。図7は、平均GFP-NLS形質導入効率のレベルに基づいて選別された、10%未満の平均PI形質導入効率、及び少なくとも7%の平均GFP-NLS形質導入効率を有するスクリーニングされた全ての候補ペプチドシャトル剤の結果を示す。
配列表
この出願は、約122kbのサイズを有する、2020年4月15日に作製されたコンピュータ可読形式の配列表を含む。コンピュータ可読形式は、参照により本明細書に組み込まれる。
Figure 2020210916000001
Figure 2020210916000002
Figure 2020210916000003
詳細な説明
一部の態様では、本明細書には、非タンパク質カーゴ及び/又はタンパク質カーゴ形質導入のための方法が記載される。方法は、一般に、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞を、非タンパク質カーゴ及び/又はタンパク質カーゴ、並びにカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の合成ペプチドシャトル剤と接触させる工程を含む。また、本明細書には、タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対して二重形質導入活性を有する汎用性の合成ペプチドシャトル剤、並びにこのような二重形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤を選択するための「代理」カーゴとしてのPI又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の使用が記載される。
非タンパク質カーゴ
一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、10,000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、又は1000Da未満の分子量を有する化合物(例えば、有機化合物)であり得る。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、50~5000、50~4000、50~3000、50~2000、又は50~1000Daの分子量を有する化合物(例えば、有機化合物)であり得る。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり得る。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく、特に、長さが50、60、70、80、90、100、150、又は200ヌクレオチドを超えるポリヌクレオチド等の均一な負電荷を有する生体高分子ではない。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、水溶液中にカチオン性の正味電荷を有することができる。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、合成ペプチドシャトル剤(例えば、形質導入時)に共有結合していない(すなわち、それとは独立している)。
一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、細胞膜不透過性であるか、又は低い膜透過性を有する(例えば、カーゴの物理化学的特性により、それが細胞膜を自由に拡散することができない)カーゴであり得、本明細書に記載されるペプチドシャトル剤は、その細胞内送達及び/又は細胞質へのアクセスを促進するか又は増加させる。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、細胞膜透過性であるカーゴであり得、本明細書に記載されるペプチドシャトル剤は、それにもかかわらず、その細胞内送達及び/又は細胞質へのアクセスを増加させる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドシャトル剤は、カーゴ単独の投与と比較して、その意図された生物学的効果を達成するために投与されるのに必要なカーゴの量又は濃度を低減することができる。
一部の実施形態では、形質導入される非タンパク質カーゴは、細胞内の生物学的又は治療標的を有する任意の疾患又は状態を治療するための薬物であり得る。一部の実施形態では、非タンパク質カーゴは、がん(例えば、皮膚がん、基底細胞癌、母斑基底細胞癌症候群)、炎症若しくは炎症関連疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、ドライアイ疾患、萎縮型若しくは滲出型加齢黄斑変性、指潰瘍、日光角化症、特発性肺線維症)、疼痛(例えば、慢性若しくは急性)、又は肺に影響を及ぼす疾患(例えば、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、若しくは特発性肺線維症)を治療するための薬物であり得る。
特定の実施形態では、形質導入される非タンパク質カーゴは、ヘッジホッグ阻害剤(例えば、イトラコナゾール、ポサコナゾール、三酸化ヒ素(ATO)、Gant61、PF-4708671、HPI-1、HPI-4)であり得るか又はそれを含むことができる。特定の実施形態では、形質導入される非タンパク質カーゴは、電位依存性ナトリウム(Nav)チャネル阻害剤(例えば、QX-314)等の疼痛阻害剤であるか又はそれを含み得る。特定の実施形態では、形質導入される非タンパク質カーゴは、炎症性サイトカインの産生に至る経路の阻害剤(例えば、NF-κB経路阻害剤)等の炎症の阻害剤であるか又はそれを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシャトル剤は、非タンパク質カーゴとタンパク質カーゴの両方を標的真核細胞の細胞質に形質導入する能力を有し得る。
合理的設計パラメーター及びペプチドシャトル剤
一部の態様では、本明細書に記載されるシャトル剤は、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ、非タンパク質カーゴ、又はタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有するペプチドであり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシャトル剤は、好ましくは、以下の15の合理的設計パラメーターのうちの1つ又は複数を満たす。
(1)いくつかの実施形態では、シャトル剤は、少なくとも17、18、19又は20アミノ酸長のペプチドである。例えば、ペプチドは、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個のアミノ酸残基の最小長及び35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145又は150個のアミノ酸残基の最大長さを含み得る。いくつかの実施形態では、より短いペプチド(例えば、17~50個又は20~50個のアミノ酸の範囲の)は、化学的合成手法により、より容易に合成され、精製され得、臨床使用により適し得る(細胞発現系から精製しなければならない組換えタンパク質とは対照的に)ので特に有利であり得る。本記載における数及び範囲は、5の倍数として列挙されることが多いが、本記載は、そのように制限されてはならない。例えば、本明細書に記載される最大長さは、本記載において、56、57、58…61、62等の長さも包含し、本記載において、列挙されないことは、単に簡潔さのためであると理解されなければならない。同じ論拠は、本明細書で記載される同一性の%にも当てはまる。
(2)いくつかの実施形態では、ペプチドシャトル剤は、両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含む。本明細書で使用される場合、表現の「アルファヘリックスモチーフ」又は「アルファヘリックス」は、別段の指定がない限り、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスを有する右巻きコイル状又はスパイラル構造(らせん体)を意味する。本明細書で使用される場合、表現の「アルファヘリックスモチーフを含む」又は「両親媒性のアルファヘリックスモチーフ」等は、ペプチドがシャトル剤として細胞中で使用される場合に実際に取るかどうかに関係なく、ペプチド一次アミノ酸配列に基づく生物学的設定で本記載のペプチド(又はペプチドのセグメント)が取ると予測される3次元構造を意味する。更に、本記載のペプチドは、種々のペプチドの位置で1つ又は複数のアルファヘリックスモチーフを含み得る。例えば、国際公開第2018/068135号中のシャトル剤FSD5は、その長さ全体にわたりアルファヘリックスを取ることが予測される(国際公開第2018/068135号の図49Cを参照されたい)が、国際公開第2018/068135号のシャトル剤FSD18は、ペプチドのN及びC末端領域に向いた2つの別々のアルファヘリックスを含むことが予測される(国際公開第2018/068135号の図49Dを参照されたい)。いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤は、例えば、国際公開第2018/068135号の図49E及び49Fに示すようなベータシートモチーフを含むと予測されない。タンパク質及びペプチド中のアルファヘリックス及びベータシートの存在を予測する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、1つのこのような方法は、新規ペプチド構造予測のためのオンライン情報源(http://bioserv.rpbs.univ-paris-diderot.fr/services/PEP-FOLD/)である、PEP-FOLD(商標)を用いた3Dモデリングに基づくものである(Lamiable et al.,2016;Shen et al.,2014;Thevenet et al.,2012)。ペプチド及びタンパク質中のアルファヘリックスの存在の他の予測方法が既知であり、当業者なら容易に利用できる。
本明細書で使用される場合、表現の「両親媒性の」は、疎水性及び親水性要素(例えば、ペプチドを構成するアミノ酸の側鎖に基づいて)の両方を有するペプチドを意味する。例えば、表現の「両親媒性のアルファヘリックス」又は「両親媒性アルファヘリックスモチーフ」は、らせん体を形成するアミノ酸の側鎖の性質に基づいて、非極性疎水性面及び極性親水性面を有するアルファヘリックスモチーフを取ると予測されるペプチドを意味する。
(3)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、R及び/又はK残基に富むもの等の正に帯電した親水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含む。本明細書で使用される場合、表現の「正に帯電した親水性外面」は、アルファヘリックスホイール投影図に基づいて、両親媒性アルファヘリックスモチーフの片側にクラスター化された少なくとも3個のリシン(K)及び/又はアルギニン(R)残基の存在を意味する(例えば、国際公開第2018/068135号の図49Aの左パネルを参照されたい)。このようなヘリカルホイール投影図は、http://rzlab.ucr.edu/scripts/wheel/wheel.cgi.で入手可能なオンラインヘリカルホイール投影図ツール等の種々のプログラムを用いて作製し得る。いくつかの実施形態では、両親媒性のアルファヘリックスモチーフは、正に帯電した親水性外面を含み、この外面は、(a)少なくとも2個、3個又は4個の隣接する正に帯電したK及び/又はR残基;及び/又は(b)ヘリカルホイール投影図上に、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、3個から5個のK及び/又はR残基を含む6個の隣接する残基のセグメントを含む。
いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、疎水性の外面を含む両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含み、疎水性の外面は、(a)ヘリカルホイール投影図上で、少なくとも2個の隣接するL残基;及び/又は(b)ヘリカルホイール投影図上で、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、L、I、F、V、W、及びMから選択される少なくとも5個の疎水性の残基を含む10個の隣接する残基のセグメント、を含む。
(4)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、空間的に隣接する高度疎水性残基(例えば、L、I、F、V、W、及び/又はM)から構成される高度疎水性コアを有する両親媒性アルファヘリックスモチーフを含む。いくつかの実施形態では、例えば、国際公開第2018/068135号の図49A、右パネルに示すように、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表現に基づいて、高度疎水性コアは、空間的に隣接し、ヒスチジンリッチドメインを除外して計算して(下記参照)、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成され得る。いくつかの実施形態では、高度疎水性コアは、ペプチドのアミノ酸の12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%から25%、30%、35%、40%、又は45%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成され得る。より具体的には、高度疎水性コアパラメーターは、最初に、ペプチドのアミノ酸をオープンシリンダー表現に配置し、その後、国際公開第2018/068135号の図49A、右パネルに示すように、連続した高度疎水性残基(L、I、F、V、W、M)の領域を描写することにより計算し得る。この描写された高度疎水性コアに含まれる高度疎水性残基の数は、その後、ヒスチジンリッチドメイン(例えば、N及び/又はC末端ヒスチジンリッチドメイン)を除くペプチドの合計アミノ酸長さで除算される。例えば、国際公開第2018/068135号の図49Aに示したペプチドの場合、描写した高度疎水性コア中に8個の残基が、及びペプチド中に25個の合計残基(末端の12個のヒスチジンを除く)が存在する。したがって、高度疎水性コアは32%(8/25)である。
(5)疎水性モーメントは、アミノ酸の側鎖の疎水性のベクトル和から計算される、らせん体、ペプチド、又はその一部の両親媒性の尺度に関する(Eisenberg et al.,1982)。ポリペプチドの疎水性モーメントを計算するためのオンラインツールは、http://rzlab.ucr.edu/scripts/wheel/wheel.cgi.から利用可能である。高疎水性モーメントは強力な両親媒性を示すが、低疎水性モーメントは不十分な両親媒性を示す。いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、3.5~11(μ)の疎水性モーメントを有するペプチド又はアルファヘリックスドメインからなり得る又はそれを含み得る。いくつかの実施形態では、シャトル剤は、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、又は11.0の上限値との間の疎水性モーメントを有する両親媒性アルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、シャトル剤は、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、又は10.5の上限値との間の疎水性モーメントを有するペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、疎水性モーメントは、ペプチドに存在し得る全てのヒスチジンリッチドメインを除外して、計算される。
(6)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、側鎖K、R、D、及びEから計算して、生理学的pHで、少なくとも+4の予測される実効電荷を有し得る。例えば、ペプチドの実効電荷は、生理学的pHで少なくとも+5、+6、+7、少なくとも+8、少なくとも+9、少なくとも+10、少なくとも+11、少なくとも+12、少なくとも+13、少なくとも+14又は少なくとも+15であり得る。これらの正電荷は、一般に、負に帯電したアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸残基とは対照的に、正に帯電したリシン及び/又はアルギニン残基のより多い存在により付与される。
(7)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、8~13、好ましくは10~13の予測等電点(pI)を有し得る。ペプチド又はタンパク質の等電点を計算及び/又は測定するプログラム及び方法は、当技術分野において既知である。例えば、pIは、http://web.expasy.org/protparam/で入手可能なProt Paramソフトウェアを用いて計算し得る。
(8)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、35~65%の疎水性残基(A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、V)から構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は36%~64%、37%~63%、38%~62%、39%~61%、40%~60%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、及びVの任意の組み合わせから構成され得る。
(9)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、0~30%の中性親水性残基(N、Q、S、T)から構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は、1%~29%、2%~28%、3%~27%、4%~26%、5%~25%、6%~24%、7%~23%、8%~22%、9%~21%、又は10%~20%のアミノ酸:N、Q、S、及びTの任意の組み合わせから構成され得る。
(10)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、35~85%のアミノ酸:A、L、K及び/又はRから構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は36%~80%、37%~75%、38%~70%、39%~65%、又は40%~60%のアミノ酸:A、L、K、又はRの任意の組み合わせから構成され得る。
(11)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、15~45%のアミノ酸:A及び/又はLから構成され得る。但し、ペプチド中に少なくとも5%のLが存在するという条件下の場合である。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は、15%~40%、20%~40%、20~35%、又は20~30%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成され得る。但し、ペプチド中に少なくとも5%のLが存在するという条件下の場合である。
(12)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、20~45%のアミノ酸:K及び/又はRから構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は、20%~40%、20~35%、又は20~30%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成され得る。
(13)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、0~10%のアミノ酸:D及び/又はEから構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は、5~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成され得る。
(14)いくつかの実施形態では、ペプチドシャトル剤中のA及び/又はLのパーセンテージと、K及び/又はRのパーセンテージとの絶対的差異は、10%以下であり得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤中のA及び/又はLのパーセンテージと、K及び/又はRのパーセンテージとの絶対的差異は、9%、8%、7%、6%、又は5%以下であり得る。
(15)いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、又はH(すなわち、A、L、K、又はR以外)から構成され得る。特定の実施形態では、ペプチドシャトル剤は、15~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、及びHの任意の組み合わせから構成され得る。
いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも1個の、少なくとも2個の、少なくとも3個の、少なくとも4個の、少なくとも5個の、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、少なくとも12個の、少なくとも13個の、少なくとも14個の、又は全ての本明細書に記載のパラメーター(1)~(15)を満たす。特定の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、パラメーター(1)~(3)の全てを満たし、また、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、又は全ての本明細書に記載のパラメーター(4)~(15)を満たす。
いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、1個のみのヒスチジンリッチドメインを含み、1個のヒスチジンリッチドメインの残基は、本明細書に記載のパラメーター(1)~(15)の計算/評価に含めてよい。いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、2個以上のヒスチジンリッチドメインを含む場合、1個のヒスチジンリッチドメインの残基のみを、本明細書に記載のパラメーター(1)~(15)の計算/評価に含めてよい。例えば、本記載のペプチドシャトル剤が、最初のN末端を向いたヒスチジンリッチドメインの及びC末端を向いて第2のヒスチジンリッチドメインの2個のヒスチジンリッチドメインを含む場合、最初のヒスチジンリッチドメインのみを、本明細書に記載のパラメーター(1)~(15)の計算/評価に含めてよい。
いくつかの実施形態では、機械学習又はコンピュータ支援設計手法を実行して、本明細書に記載のパラメーター(1)~(15)の1個又は複数を満たすペプチドを生成し得る。パラメーター(1)及び(5)~(15)等のいくつかのパラメーターは、コンピュータ支援設計手法でより実施し易いが、パラメーター(2)、(3)及び(4)等の構造的パラメーターは、マニュアル設計手法により適用し易い。したがって、いくつかの実施形態では、1個又は複数のパラメーター(1)~(15)を満たすペプチドは、コンピュータ支援及びマニュアル設計手法を組み合わせて生成し得る。例えば、本明細書(又はその他のもの)で効果的シャトル剤として機能することが示される複数のペプチドの複数の配列アラインメント分析は、いくつかのコンセンサス配列-すなわち、共通に認められる疎水性、カチオン性、親水性のアラニン及びグリシンアミノ酸の交互変化のパターンの存在を明らかにした。これらのコンセンサス配列の存在は、構造的パラメーター(2)、(3)及び(4)を満たすように(すなわち、両親媒性のアルファヘリックス形成、正に帯電した面、及び12%~50%の高度疎水性コアを)誘発する可能性がある。したがって、これらの及びその他のコンセンサス配列を機械学習及び/又はコンピュータ支援設計手法に採用して、1個又は複数のパラメーター(1)~(15)を満たすペプチドを生成し得る。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドシャトル剤は、以下のアミノ酸配列を含むか又はこれらからなり得る:
(a)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X3]-[X4](式1);
(b)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X4]-[X3](式2);
(c)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X3]-[X4](式3);
(d)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X4]-[X3](式4);
(e)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X1]-[X2](式5);
(f)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X2]-[X1](式6);
(g)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X1]-[X2](式7);又は
(h)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X2]-[X1](式8);
式中、
[X1]は、次記から選択される:2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;及び1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;
[X2]は、次記から選択される:-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[+]-1[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[+]-1[ζ]-;及び2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[ζ]-1[+]-;
[X3]は、次記から選択される:-4[+]-A-;-3[+]-G-A-;-3[+]-A-A-;-2[+]-1[Φ]-1[+]-A-;-2[+]-1[Φ]-G-A-;-2[+]-1[Φ]-A-A-;又は2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-G-A;-2[+]-A-A-A-;-1[Φ]-3[+]-A-;-1[Φ]-2[+]-G-A-;-1[Φ]-2[+]-A-A-;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-G-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-A-A;-1[Φ]-1[+]-A-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-A-G-A;-1[Φ]-1[+]-A-A-A;-A-1[+]-A-1[+]-A;-A-1[+]-A-G-A;及びA-1[+]-A-A-A;
[X4]は、次記から選択される:-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[+]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-2[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-2[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-2[+];-1[+]-2[ζ]-1[+]-A;-1[+]-2[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-1[ζ]-A-1[+];-3[ζ]-2[+];-3[ζ]-1[+]-A;-3[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-1[ζ]-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];及び1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];及び
[リンカー]は次記から選択される:-Gn-;-Sn-;-(GnSn)n-;-(GnSn)nGn-;-(GnSn)nSn-;-(GnSn)nGn(GnSn)n-;及び(GnSn)nSn(GnSn)n-;
式中、[Φ]はアミノ酸:Leu、Phe、Trp、Ile、Met、Tyr、又はVal、好ましくはLeu、Phe、Trp又はIleであり;[+]は、アミノ酸:Lys又はArgであり;[ζ]は、アミノ酸:Gln、Asn、Thr、又はSerであり;Aはアミノ酸:Alaであり;Gはアミノ酸:Glyであり;Sはアミノ酸:Serであり;nは、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~1~4、又は1~3の整数である。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれかのアミノ酸配列、又は国際公開第2018/068135号に開示される配列番号104、105、107、108、110~131、133~135、138、140、142、145、148、151、152、169~242、及び243~10242のいずれか1つのアミノ酸配列、若しくはその機能性バリアントと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるペプチドを含むか又はそれからなり得る。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、FSD5、FSD16、FSD18、FSD19、FSD20、FSD22及びFSD23の各ペプチドに見出された、国際公開第2018/068135号の配列番号158及び/又は159のアミノ酸配列モチーフを含み得る。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、国際公開第2018/068135号の配列番号159のアミノ酸配列モチーフに機能し得るように連結された国際公開第2018/068135号の配列番号158のアミノ酸配列モチーフを含み得る。本明細書で使用される場合「機能性バリアント」とは、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換によって参照ペプチドと異なる、カーゴ形質導入活性を有するペプチドを指す。本明細書において機能性バリアントの文脈で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、1つのアミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において十分に定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、及び場合によりプロリン)、ベータ-分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、国際公開第2018/068135号の配列番号57~59、66~72、又は82~102のいずれか1つのアミノ酸配列の1つ又は複数を含まない。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、国際公開第2018/068135号に開示される配列番号104、105、107、108、110~131、133~135、138、140、142、145、148、151、152、169~242、及び243~10242のいずれか1つのアミノ酸配列の1つ又は複数を含まない。むしろ、一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、このような先に記載されたシャトル剤ペプチドのバリアントに関することができ、バリアントは、改善された二重形質導入活性(すなわち、より確実にタンパク質カーゴ及び非タンパク質カーゴを形質導入することができる)のために更に操作される。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、真核細胞モデル系(例えば、不死化された真核細胞株)又はモデル生物において測定した場合、「代理」カーゴについての形質導入効率及び/又はカーゴ送達スコアの最小閾値を有し得る。「形質導入効率」という表現は、例えば、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡法、及びカーゴ形質導入効率を評価するために使用することができる他の適切な方法(例えば、国際公開第2018/068135号に記載される)によって決定することができる、目的のカーゴが細胞内に送達される標的細胞集団のパーセンテージ又は比率を指す。一部の実施形態では、形質導入効率は、カーゴ陽性細胞のパーセンテージとして表され得る。一部の実施形態では、形質導入効率は、カーゴ及びシャトル剤の非存在下(「無処理」;NT)又はシャトル剤の非存在下(「カーゴ単独」)を除き、同一の条件下で評価された適切な陰性対照に対して倍増(又は倍減)として表され得る。
本明細書で使用される場合、「代理カーゴ」という表現は、公知のカーゴ形質導入活性を有するシャトル剤によって形質導入することができる任意のタンパク質カーゴ又は非タンパク質カーゴを指し、その細胞内送達及びエンドソームエスケープ(すなわち、細胞質及び/又は核送達)レベルを容易に測定及び/又は追跡することができ(例えば、蛍光又は機能アッセイを介して)、代理カーゴは、代理カーゴとは異なる目的のカーゴ(例えば、細胞内標的に結合する治療的に活性なカーゴ等のタンパク質カーゴ又は非タンパク質のカーゴ)を形質導入するための所与のシャトル剤の適切性を評価することが意図される。適切な代理カーゴの例としては、蛍光カーゴ(例えば、PI又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤、GFP、GFP-NLS又は他の蛍光タンパク質、蛍光デキストラン等)が挙げられる。PI又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤等の非タンパク質カーゴは、比較的安価であり、ゲノムDNAに結合した後にのみ蛍光が増強されるため、特に有利であり得る。この特性は、エンドソームでトラップされたカーゴをエンドソームでエスケープされたカーゴ(すなわち、カーゴが細胞質/核コンパートメントにアクセスすること)から区別するのに特に適している。本明細書で使用される場合、任意の適切なモデル系(例えば、不死化された細胞株、エクスビボ細胞、モデル実験生物)を使用して、代理カーゴに対してシャトル剤形質導入活性を評価することができる。好都合には、真核細胞株モデルは、適切なモデル系として選択され得、細胞株は、最終的に形質導入される標的真核細胞における形質導入活性を評価するために有益であるように選択される。実際、種々の疾患を研究するためのモデル系として、複数の細胞培養物及びモデル生物が市販されている。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、適切な真核細胞モデル系(例えば、HeLa又は他の適切な不死化された細胞株)における、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させる。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、目的の標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するためにHeLa細胞又は他の適切な真核細胞株モデルにおいて、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照(「カーゴ単独」)に対して、少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍増加させる。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、目的の標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するためにHeLa細胞又は他の適切な真核細胞株モデルにおいて、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)のヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を可能にする。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、適切な真核細胞モデル系(例えば、HeLa又は他の適切な不死化された細胞株)において、GFP-NLS又は他の適切なタンパク質代替カーゴの形質導入効率を増加させる。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、目的の標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するためにHeLa細胞又は他の適切な真核細胞株モデルにおいて、GFP-NLS又は他の適切なタンパク質代替カーゴの形質導入効率を、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照(「カーゴ単独」)と比較して、少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50倍増加させる。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、目的の標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するためにHeLa細胞又は他の適切な真核細胞株モデルにおいて、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、14%、16%、17%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、21%、22%、21%、22%、23%、25%、26%、26%、28%、29%、30%、29%、32%、32%、33%、33%、36%、36%、39%、39%、39%、39%、41%、42%、44%、44%、45%、47%、49%、51%、52%、53%、55%、55%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)のGFP-NLS又は他の適切な代用タンパク質カーゴの形質導入効率を可能にする。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の平均PI形質導入効率を有する、図6に列挙されたシャトル剤を含むか又はそれからなり得る。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、31.5、32、32.5、33、33.5、34、34.5、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、45.5、46、46.5、47、47.5、48、48.5、49、49.5、50、50.5、51、51.5、52、52.5、53、53.5、54、54.5、55、55.5、56、56.5、57、57.5、58、58.5、59、59.5、又は60の標準化された平均PI送達スコアを有する、図6に列挙されたシャトル剤を含むか又はそれからなり得る。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の平均GFP-NLS形質導入効率を有する、図6に列挙されたシャトル剤を含むか又はそれからなり得る。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、31.5、32、32.5、33、33.5、34、34.5、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、45.5、46、46.5、47、47.5、48、48.5、49、49.5、50、50.5、51、51.5、52、52.5、53、53.5、54、54.5、55、55.5、56、56.5、57、57.5、58、58.5、59、59.5、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、又は200の標準化された平均GFP-NLS送達スコアを有する、図6に列挙されたシャトル剤を含むか又はそれからなり得る。
一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、若しくは30%の平均GFP-NLS形質導入効率、又は少なくとも2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、若しくは30の標準化された平均GFP-NLS送達スコアを有する、図7に列挙されたシャトル剤を含むか又はそれからなり得る。
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸以下で本明細書に定義されるシャトル剤と異なるシャトル剤バリアントを含み得る。好ましくは、リンカードメインの長さ及び/又はアミノ酸組成が形質導入活性に影響を及ぼすことなく大きく変化し得るため、リンカードメイン(例えば、フレキシブルセリン/グリシンリッチリンカードメイン)は異なるアミノ酸の考慮から除外される。一部の実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以下の保存的アミノ酸置換、好ましくは任意のリンカードメインを除く)のみによって本明細書に記載されるシャトル剤のいずれか1つと異なるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり得、シャトル剤は、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照と比較して、少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍増加させ;及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)のヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を可能にする。一部の実施形態では、各保存的アミノ酸置換は、同じアミノ酸クラス内のアミノ酸から選択され、アミノ酸クラスは、脂肪族:G、A、V、L、及びI;ヒドロキシル又は硫黄/セレン含有:S、C、U、T、及びM;芳香族:F、Y、及びW;塩基性:H、K、及びR;酸性及びそれらのアミド:D、E、N、及びQである。
化学修飾及び合成アミノ酸
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、本明細書に記載されるペプチドのオリゴマー(例えば、二量体、三量体等)を含み得る。このようなオリゴマーは、同じか又は異なるタイプのシャトル剤モノマーを共有結合すること(例えば、ジスルフィド架橋を用いて、モノマー配列に導入されるシステイン残基を連結すること)によって構築することができる。一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、N末端及び/又はC末端のシステイン残基を含み得る。
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、環状ペプチドを含むか又はそれからなり得る。一部の実施形態では、環状ペプチドは、シャトル剤のN末端に向かって配置された第1の残基と、シャトル剤のC末端に向かって配置された第2の残基との間の共有結合を介して形成され得る。一部の実施形態では、第1及び第2の残基は、シャトル剤のN末端及びC末端に位置する隣接する残基である。一部の実施形態では、第1及び第2の残基は、アミド結合を介して連結されて環状ペプチドを形成することができる。一部の実施形態では、環状ペプチドは、シャトル剤内の2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって形成され得、2つのシステイン残基は、シャトル剤のN末端及びC末端に向かって配置される。一部の実施形態では、シャトル剤は、N末端及びC末端に隣接するシステイン残基を含み、又は含むように操作され得、ジスルフィド結合を介して連結されて環状ペプチドを形成する。一部の実施形態では、本明細書に記載される環状シャトル剤は、分解(例えば、プロテアーゼによる)に対してより耐性であり得、及び/又は対応する直鎖状ペプチドよりも長い半減期を有し得る。
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、1つ又は複数のD-アミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、シャトル剤のN末端及び/又はC末端におけるD-アミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、シャトル剤は、D-アミノ酸のみで構成され得る。一部の実施形態では、1つ又は複数のD-アミノ酸を有する本明細書に記載されるシャトル剤は、分解(例えば、プロテアーゼによる)により耐性であり得、及び/又はL-アミノ酸のみで構成される対応するペプチドよりも長い半減期を有し得る。
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、1つ又は複数のアミノ酸に対する化学的修飾を含み得、化学的修飾は、合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性を破壊しない。本明細書で使用される場合、用語「破壊」は、化学修飾が、本明細書に記載されるペプチドシャトル剤のカーゴ形質導入活性を不可逆的に消失させることを意味する。本明細書に記載されるペプチドシャトル剤のカーゴ形質導入活性を一時的に阻害し、減弱し、又は遅延させ得る化学的修飾は、本記載のシャトル剤に対する化学的修飾に含まれ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシャトル剤のいずれか1つに対する化学修飾は、シャトル剤のN末端及び/又はC末端であり得る。化学修飾の例としては、アセチル基(例えば、N末端アセチル基)、システアミド基(例えば、C末端システアミド基)、又は脂肪酸(例えば、C4~C16、C6~C14、C6~C12、C6~C8、又はC8脂肪酸、好ましくはN末端である)の付加が挙げられる。
一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴに対する形質導入活性を有するシャトル剤バリアントを含み、バリアントは、少なくとも1つのアミノ酸が、置き換えられるアミノ酸と同様の物理化学的特性(例えば、構造、疎水性、又は電荷)の側鎖を有する対応する合成アミノ酸又はアミノ酸類似体で置き換えられることを除き、本記載のいずれかのシャトル剤と同一である。一部の実施形態では、合成アミノ酸の置き換えは、
(a)α-アミノグリシン、α,γ-ジアミノ酪酸、オルニチン、α,β-ジアミノプロピオン酸、2,6-ジアミノ-4-ヘキシン酸、β-(1-ピペラジニル)-アラニン、4,5-デヒドロキシリジン、δ-ヒドロキシリジン、ω,ω-ジメチルアルギニン、ホモアルギニン、ω,ω'-ジメチルアルギニン、ω-メチルアルギニン、β-(2-キノリル)-アラニン、4-アミノピペリジン-4-カルボン酸、α-メチルヒスチジン、2,5-ジヨードヒスチジン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、スピナシン、4-アミノフェニルアラニン、3-アミノチロシン、β-(2-ピリジル)-アラニン、若しくはβ-(3-ピリジル)-アラニンのいずれか1つで塩基性アミノ酸を置き換える;
(b)デヒドロアラニン、β-フルオロアラニン、β-クロロアラニン、β-ヨードアラニン、α-アミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、β-シクロプロピルアラニン、アゼチジン-2-カルボン酸、α-アリルグリシン、プロパルギルグリシン、tert-ブチルアラニン、β-(2-チアゾリル)-アラニン、チアプロリン、3,4-デヒドロプロリン、tert-ブチルグリシン、β-シクロペンチルルアラニン、β-シクロヘキシルアラニン、α-メチルプロリン、ノルバリン、α-メチルバリン、ペニシラミン、β,β-ジシクロヘキシルアラニン、4-フルオロプロリン、1-アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、4,5-デヒドロロイシン、アロイソロイシン、ノルロイシン、α-メチルロイシン、シクロヘキシルグリシン、シス-オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、β-(2-チエニル)-アラニン、フェニルグリシン、α-メチルフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、β-(3-ベンゾチエニル)-アラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-ブロモフェニルアラニン、4-tert-ブチルフェニルアラニン、α-メチルトリプトファン、β-(2-ナフチル)-アラニン、β-(1-ナフチル)-アラニン、4-ヨードフェニルアラニン、3-フルオロフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-メチルトリプトファン、4-クロロフェニルアラニン、3,4-ジクロロ-フェニルアラニン、2,6-ジフルオロ-フェニルアラニン、n-イン-メチルトリプトファン、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸、β,β-ジフェニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-フェニルアラニン、若しくは4-ベンゾイルフェニルアラニンのいずれか1つで非極性(疎水性)アミノ酸を置き換える;
(c)β-シアノアラニン、β-ウレイドアラニン、ホモシステイン、アロ-スレオニン、ピログルタミン酸、2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸、シトルリン、チオシトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、β-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-アラニン、2-メルカプトヒスチジン、β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-セリン、β-(2-チエニル)-セリン、4-アジドフェニルアラニン、4-シアノフェニルアラニン、3-ヒドロキシメチルチロシン、3-ヨードチロシン、3-ニトロチロシン、3,5-ジニトロチロシン、3,5-ジブロモチロシン、3,5-ジヨードチロシン、7-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、5-ヒドロキシトリプトファン、チロニン、β-(7-メトキシクマリン-4-イル)-アラニン、若しくは4-(7-ヒドロキシ-4-クマリニル)-アミノ酪酸のいずれか1つで極性の非荷電アミノ酸を置き換える;及び/又は
(d)γ-ヒドロキシグルタミン酸、γ-メチレングルタミン酸、γ-カルボキシグルタミン酸、α-アミノアジピン酸、2-アミノヘプタン二酸、α-アミノスベリン酸、4-カルボキシフェニルアラニン、システイン酸、4-ホスホノフェニルアラニン、若しくは4-スルホメチルフェニルアラニンのいずれか1つで酸性アミノ酸を置き換える。
ヒスチジンリッチドメイン
いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、1つ又は複数のヒスチジンリッチドメインを更に含み得る。いくつかの実施形態では、ヒスチジンリッチドメインは、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%のヒスチジン残基を含む、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個又は少なくとも6個のアミノ酸のストレッチであり得る。いくつかの実施形態では、ヒスチジンリッチドメインは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個 少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個又は少なくとも9個の連続するヒスチジン残基を含み得る。理論に束縛されるものではないが、シャトル剤中のヒスチジンリッチドメインは、エンドソームの酸性条件下での、そのイミダゾール基のプロトン化によって、エンドソームにおいて、プロトンスポンジとして作用し得、エンドソーム膜不安定化の別の機序を提供し、したがって、エンドソームにより捕捉されたカーゴが、サイトゾルに到達する能力を更に促進する。いくつかの実施形態では、ヒスチジンリッチドメインは、ペプチドシャトル剤のN及び/又はC末端に位置し得る又はN及び/又はC末端を向いて位置し得る。
リンカー
いくつかの実施形態では、本記載のペプチドシャトル剤は、1つ又は複数の好適なリンカー(例えば、フレキシブルポリペプチドリンカー)を含み得る。いくつかの実施形態では、このようなリンカーは、2つ以上の両親媒性のアルファヘリックスモチーフ(例えば、国際公開第2018/068135号の図49Dのシャトル剤FSD18を参照されたい)を離れさせ得る。いくつかの実施形態では、リンカーを用いて、更に2つのドメイン(CPD、ELD、又はヒスチジンリッチドメイン)を相互から分離できる。いくつかの実施形態では、リンカーは、回転能力を有さない小さい疎水性アミノ酸(グリシン等)及び安定性及び可動性を付与する極性セリン残基の配列を付加することにより形成され得る。リンカーは、柔らかく、シャトル剤のドメインが動くのを可能にし得る。いくつかの実施形態では、プロリンは、おおきな立体構造剛性を付加する場合があるので回避され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、セリン/グリシンリッチリンカー(例えば、GS、GGS、GGSGGGS(配列番号345)、GGSGGGSGGGS(配列番号346)等)であり得る。いくつかの実施形態では、適したリンカーを含むシャトル剤の使用は、カーゴを、付着細胞ではなく懸濁細胞に送達するために有利であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、-Gn-;-Sn-;-(GnSn)n-;-(GnSn)nGn-;-(GnSn)nSn-;-(GnSn)nGn(GnSn)n-;又は(GnSn)nSn(GnSn)n-を含む又はこれらからなり、Gはアミノ酸Glyであり;Sはアミノ酸Serであり、nは1~5の整数である。
ドメインに基づくペプチドシャトル剤
一部の態様では、本明細書に記載されるシャトル剤は、国際公開第2016/161516号に記載されるシャトル剤であり得、細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む。
エンドソーム漏出ドメイン(ELD)
いくつかの態様では、本記載のペプチドシャトル剤は、エンドソーム脱出及び細胞質区画へのアクセスを促進するためにエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含み得る。本明細書で使用される場合、表現「エンドソーム漏出ドメイン」は、エンドソームにより捕捉されたカーゴに、細胞質区画に到達する能力を付与するアミノ酸の配列を指す。理論に束縛されるものではないが、エンドソーム漏出ドメインは、短い配列(ウイルス又は細菌ペプチドに由来することが多い)であり、これは、エンドソーム膜の不安定化及びエンドソーム内容物の細胞質への放出を誘導すると考えられている。本明細書で使用される場合、表現「エンドソーム溶解性ペプチド」は、エンドソーム膜不安定化特性を有するペプチドのこの全般的なクラスを指すものとする。したがって、いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、エンドソーム溶解性ペプチドであるELDを含み得る。このようなペプチドの活性は、例えば、国際公開第2016/161516号の実施例2に記載されるカルセインエンドソーム脱出アッセイを使用して評価され得る。
いくつかの実施形態では、ELDは、pH依存性膜活性ペプチド(PMAP)又はpH依存性溶解性ペプチド等の酸性pHで膜を破壊するペプチドであり得る。例えば、ペプチドGALA及びINF-7は、pHの低下が、それらが含有するアミノ酸の電荷を修飾する場合にアルファヘリックスを形成する両親媒性ペプチドである。理論に束縛されるものではないが、より詳しくは、GALA等のELDは、pHの低減によるコンホメーション変化後に、膜脂質の細孔及びフリップフロップの形成によって、エンドソーム漏出を誘導することが示唆される(Kakudo,Chaki et al.,2004,Li,Nicol et al.,2004)。対照的に、INF-7等のELDは、エンドソーム膜中に蓄積すること及びそれを不安定化することによって、エンドソーム漏出を誘導することが示唆されている(El-Sayed,Futaki et al.,2009)。したがって、エンドソーム成熟の過程で、同時におこるpHの低下が、ペプチドの構造の変化を引き起こし、これが、エンドソーム膜を不安定化し、エンドソーム内容物の放出につながる。同一原理が、シュードモナスの毒素Aに当てはまると考えられる(Varkouhi,Scholte et al.,2011)。pHの低下後、毒素のトランスロケーションドメインの構造が変化し、細孔が形成されたエンドソーム膜へのその挿入が可能となる(London 1992,O'Keefe 1992)。これは最終的に、エンドソーム不安定化をもたらし、エンドソームの外側へ複合体を移動させる。上記のELDは、本記載のELD並びにその作用機序が十分に明らかにされ得ないエンドソーム漏出のその他の機序内に包含される。
いくつかの実施形態では、ELDは、直鎖状カチオン性アルファヘリックス抗菌性ペプチド(AMP)等の抗菌性ペプチド(AMP)であり得る。これらのペプチドは、細菌膜と強力に相互作用するその能力のために自然免疫応答において、重要な役割を果たす。理論に束縛されるものではないが、これらのペプチドは、水溶液中で無秩序な状態をとるが、疎水性環境においては、アルファヘリックス二次構造をとると考えられる。後者の構造は、通常の濃度依存性膜破壊特性に寄与すると考えられる。エンドソーム中に特定の濃度で蓄積すると、一部の抗菌ペプチドは、エンドソーム漏出を誘導し得る。
いくつかの実施形態では、ELDは、セクロピン-A/メリチンハイブリッド(CM)ペプチド等の抗菌性ペプチド(AMP)であり得る。このようなペプチドは、膜破壊能力を有する、最小の最も有効なAMP由来ペプチドの中1つであると考えられる。セクロピンは、グラム陽性及びグラム陰性菌の両方に対して膜撹乱能を有する抗菌ペプチドのファミリーである。セクロピンA(CA)、第1の特定された抗菌ペプチドは、直鎖状構造を有する37個のアミノ酸から構成される。メリチン(M)、26個のアミノ酸のペプチドは、ハチ毒において、見られる細胞膜溶解性因子である。セクロピン-メリチンハイブリッドペプチドは、どの抗菌剤においても望ましい特性である、真核細胞に対する細胞毒性を有さない(すなわち、非溶血性の)短い効率的な抗生物質ペプチドを生成するとわかっている。これらのキメラペプチドは、セクロピンAの親水性N末端ドメインの、メリチンの疎水性N末端ドメインとの種々の組合せから構築され、細菌モデル系で試験されてきた。2つの26マー、CA(1-13)M(1-13)及びCA(1-8)M(1-18)(Boman et al.,1989)が、メリチンの細胞傷害性効果を伴わずに、天然セクロピンAのより広範な、改善された効力を実証するとわかっている。
より短いCMシリーズペプチドを製造しようとする試みでは、Andreuら、1992の著者は、26マー(CA、1-8)M、1-18等のハイブリッドペプチドを構築し、それらを、20マー(CA、1-8)M、1-12、18マー(CA、1-8)M、1-10並びに6種の15マー(CA(1-7)M(1-8)、CA(1-7)M(2-9)、CA(1-7)M(3-10)、CA(1-7)M(4-11)、CA(1-7)M(5-12)及びCA、1-7)M、6-13と比較した。20及び18マーは、CA(1-8)M(1-18)と比較して同様の活性を維持した。6種の15マーの中でも、CA(1-7)M(1-8)は、低い抗菌活性を示したが、その他の5種は、溶血性効果を有さない26マーと比較して、同様の抗生物質効力を示した。したがって、いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、上記のもの等のCMシリーズペプチドバリアントであるか、又はそれに由来するELDを含み得る。
いくつかの実施形態では、ELDは、メリチン(YGRKKRRQRRR(配列番号348))の残基2~12と融合している、セクロピン-A(KWKLFKKIGAVLKVLTTG(配列番号347))の残基1~7から構成されるCMシリーズペプチドCM18であり得る[C(1-7)M(2-12)]CM18は、細胞膜透過性ペプチドTATと融合される場合には、独立に細胞膜を越え、エンドソーム膜を不安定化し、一部のエンドソームにより捕捉されたカーゴが、サイトゾルに放出されることを可能にする(Salomone et al.,2012)。しかし、著者の実験の一部における、フルオロフォア(atto-633)と融合されたCM18-TAT11ペプチドの使用は、フルオロフォア自体の使用が、例えば、エンドソーム膜の光化学的破壊によるエンドソーム溶解(endosomolysis)に寄与するとわかったので(Erazo-Oliveras et al.,2014)、フルオロフォアに対するペプチドの寄与についての不確実性を強める。
いくつかの実施形態では、ELDは、国際公開第2016/161516号の配列番号1のアミノ酸配列を有するCM18、又は国際公開第2016/16516号の配列番号1に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、85%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%の同一性を有し、エンドソーム溶解活性を有するそのバリアントであり得る。
いくつかの実施形態では、ELDは、エンドソーム中に蓄積するとエンドソーム膜不安定化を引き起こし得る、インフルエンザ血球凝集素(HA)のHA2サブユニットのN末端に由来するペプチドであり得る。
いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、表Iに示されるELDであるか、又はそれに由来するELD、又はエンドソーム脱出活性及び/若しくはpH依存性膜破壊活性を有するそのバリアントを含み得る。
Figure 2020210916000004
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤は、1種又は複数のELD又はELDのタイプを含み得る。より詳しくは、それらは、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種又はそれ多くのELDを含み得る。いくつかの実施形態では、シャトル剤は、1~10種のELD、1~9種のELD、1~8種のELD、1~7種のELD、1~6種のELD、1~5種のELD、1~4種のELD、1~3種のELD等を含み得る。
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤内のその他のドメイン(CPD、ヒスチジンリッチドメイン)に対するELDの順序又は配置は、シャトル剤の折返し輸送能力が保持される限り変わってもよい。
いくつかの実施形態では、ELDは、表I中に列挙されるいずれか1種のバリアント又は断片であり、エンドソーム溶解活性を有し得る。いくつかの実施形態では、ELDは、L国際公開第2016/16516号の配列番号1~15、63若しくは64のいずれか1種のアミノ酸配列又は国際公開第2016/16516号の配列番号1~15、63若しくは64のいずれか1種に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、85%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%同一であり、エンドソーム溶解活性を有する配列を含み得る、又はそれからなり得る。
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤は、国際公開第2016/16516号の配列番号1~15、63、又は64の内のいずれか1つの配列番号の内の1つ又は複数のアミノ酸配列を含まない。
細胞浸透ドメイン(CPD)
いくつかの態様では、本記載のシャトル剤は、細胞浸透ドメイン(CPD)を含み得る。本明細書で使用される場合、表現「細胞浸透ドメイン」とは、CPDを含有する高分子(例えば、ペプチド又はタンパク質)に、細胞に形質導入される能力を付与するアミノ酸の配列を意味する。
いくつかの実施形態では、CPDは、細胞膜透過性ペプチド又は細胞膜透過性ペプチドのタンパク質形質導入ドメインであり得る(又は由来し得る)。細胞膜透過性ペプチドは、さまざまなカーゴ(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、小分子化合物又はそうでなければ膜不透過性であるその他の高分子/化合物)を細胞内にうまく送達するためのキャリアとして機能し得る。細胞膜透過性ペプチドは、塩基性アミノ酸に富み、高分子と融合される(又は、そうではなく作動可能に連結される)と、細胞内への内部移行を媒介する短いペプチドを含むことが多い(Shaw,Catchpole et al.,2008)。最初の細胞膜透過性ペプチドは、転写のHIV-1トランスアクチベーター(Tat)タンパク質の細胞浸透能力を解析することにより特定された(Green and Loewenstein 1988,Vives,Brodin et al.,1997)。このタンパク質は、その細胞膜内への挿入及び細孔の形成を促進する「TAT」と名付けられた短い親水性アミノ酸配列を含有する。この発見以来、多数のその他の細胞膜透過性ペプチドが報告されてきた。この関連で、いくつかの実施形態では、CPDは、表IIに記載されるような細胞膜透過性ペプチド又は細胞膜透過性活性を有するそのバリアントであり得る。
Figure 2020210916000005
理論に束縛されるものではないが、細胞膜透過性ペプチドは、細胞膜と相互作用し、その後、ピノサイトーシス又はエンドサイトーシスによって、細胞膜を通過すると考えられる。TATペプチドの場合には、その親水性及び電荷は、その細胞膜内の挿入及び細孔の形成を促進すると考えられる(Herce and Garcia 2007)。疎水性ペプチド内のアルファヘリックスモチーフ(例えば、SP)も、細胞膜内に細孔を形成すると考えられる(Veach、Liuら、2004)。
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤は、1種若しくは複数のCPD又はCPDのタイプを含み得る。より詳しくは、それらは、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種又は少なくとも5種又はそれより多いCPDを含み得る。いくつかの実施形態では、シャトル剤は、1から10種の間のCPD、1から6種の間のCPD、1から5種の間のCPD、1から4種の間のCPD、1から3種の間のCPD等を含み得る。
いくつかの実施形態では、CPDは、国際公開第2016/16516号の配列番号17のアミノ酸配列を有するTAT、又は国際公開第2016/16516号の配列番号17に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%の同一性を有し、細胞膜透過性活性を有するそのバリアント、或いは国際公開第2016/16516号の配列番号18のアミノ酸配列を有するペネトラチン、又は国際公開第2016/16516号の配列番号18に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%の同一性を有し、細胞膜透過性活性を有するそのバリアントであり得る。
いくつかの実施形態では、CPDは、国際公開第2016/16516号の配列番号65のアミノ酸配列を有するPTD4、又は国際公開第2016/16516号の配列番号65に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%の同一性を有するそのバリアントであり得る。
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤内のその他のドメイン(ELD、ヒスチジンリッチドメイン)に対するCPDの順序又は配置は、シャトル剤の折返し形質導入能力が保持される限り変わってよい。
いくつかの実施形態では、CPDは、表IIに記載されるいずれか1種のバリアント又は断片であり、細胞膜透過性活性を有し得る。いくつかの実施形態では、CPDは、国際公開第2016/16516号の配列番号16~27若しくは65のいずれか1種のアミノ酸配列又は国際公開第2016/16516号の配列番号16~27若しくは65のいずれか1種に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、85%、90%、91%、92%、93%、94%若しくは95%同一であり、細胞膜透過性活性を有する配列を含み得る、又はからなり得る。
いくつかの実施形態では、本記載のシャトル剤は、国際公開第2016/16516号の配列番号16~27又は65の内の1つ又は複数のアミノ酸配列を含まない。
方法、キット、使用、組成物、及び細胞
一部の実施形態では、本記載は、標的真核細胞の細胞外空間から細胞質及び/又は核にタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを送達するための方法に関する。方法は、シャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞を、前記カーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度で、シャトル剤の存在下でカーゴと接触させる工程を含む。一部の実施形態では、シャトル剤の存在下での標的真核細胞とカーゴの接触は、前記シャトル剤の非存在下と比較して、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、又は100倍だけ前記非タンパク質カーゴの形質導入効率の増加をもたらす。
一部の実施形態では、本記載は、標的真核細胞の細胞質及び/又は核へのタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるための方法に関する。本明細書で使用される場合、表現「形質導入効率の増加」とは、目的のカーゴ(例えば、非タンパク質カーゴ)が細胞内に送達される標的細胞集団のパーセンテージ又は比率を改善する、本記載のシャトル剤の能力を指す。免疫蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、及び他の適切な方法を用いて、カーゴ形質導入効率を評価することができる。一部の実施形態では、本記載のシャトル剤は、例えば、免疫蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、FACS、及び他の適切な方法によって測定した場合、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%の形質導入効率を可能にすることができる。一部の実施形態ではて、本記載のシャトル剤は、例えば、国際公開第2018/068135号の実施例3.3aに記載されたアッセイによって、又は当該技術分野において公知である別の適切なアッセイによって測定した場合、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の細胞生存率とともに、前述の形質導入効率のうちの1つを可能にし得る。
標的細胞形質導入効率を増加させることに加えて、本記載のシャトル剤は、目的のカーゴ(例えば、タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ)の標的細胞の細胞質及び/又は核への送達を容易にし得る。この点に関して、ペプチドを使用して標的細胞の細胞質及び/又は核に細胞外カーゴを効率的に送達させることは困難であり得る。これは、カーゴが、しばしば、細胞膜を通過した後、細胞内エンドソームにトラップされるようになるためであり、その細胞内利用可能性を制限し、その最終的な代謝分解をもたらす可能性があるからである。例えば、HIV-1 Tatタンパク質由来のタンパク質形質導入ドメインの使用は、カーゴを細胞内小胞に大量に隔離する結果となることが報告されている。一部の態様では、本記載のシャトル剤は、エンドソームでトラップされたカーゴがエンドソームからエスケープし、細胞質コンパートメントへのアクセスを得る能力を促進し得る。この点に関し、例えば、「非タンパク質カーゴの細胞質への形質導入効率を増加させる」という語句における「細胞質へ」という表現は、本記載のシャトル剤が、細胞内に送達された目的のカーゴがエンドソームの閉じ込めからエスケープされ、細胞質及び/又は核コンパートメントへのアクセスを得ることを可能にする能力を指すことが意図される。目的のカーゴが細胞質へのアクセスを得た後、それは細胞内標的(例えば、核、核小体、ミトコンドリア、ペルオキシソーム)に自由に結合することができる。一部の実施形態では、したがって、「細胞質へ」という表現は、細胞質への送達だけでなく、最初にカーゴが細胞質コンパートメントへのアクセスを得ることを必要とする他の細胞内コンパートメントへの送達も含むことが意図される。
一部の実施形態では、本記載の方法は、インビトロ方法(例えば、治療目的及び/又は診断目的のため)である。他の実施形態では、本記載の方法は、インビボ方法(例えば、治療目的及び/又は診断目的のため)である。一部の実施形態では、本記載の方法は、非タンパク質カーゴ及び合成ペプチドシャトル剤の局所、経腸/消化管(例えば、経口)、又は非経口投与を含む。一部の実施形態では、本明細書には、非タンパク質カーゴ及び合成ペプチドシャトル剤の局所、経腸/消化管(例えば、経口)、又は非経口投与のために製剤化された組成物が記載される。
一部の実施形態では、本記載の方法は、標的真核細胞を、本明細書に定義されるシャトル剤又は組成物、並びにタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴと接触させる工程を含み得る。一部の実施形態では、シャトル剤、又は組成物は、標的真核細胞をその混合物に曝露する前に、カーゴと予めインキュベートして混合物を形成することができる。一部の実施形態では、シャトル剤のタイプは、細胞内に送達されるカーゴの同一性及び/又は物理化学的特性に基づいて選択され得る。他の実施形態では、シャトル剤のタイプは、細胞内に送達されるカーゴの同一性及び/又は物理化学的特性、細胞のタイプ、組織のタイプ等を考慮に入れるように選択され得る。
一部の実施形態では、方法は、シャトル剤、又は組成物による標的細胞の複数の処理(例えば、1日あたり1、2、3、4回以上、及び/又は所定のスケジュール)を含み得る。このような場合、シャトル剤又は組成物のより低い濃度が望ましい場合がある(例えば、毒性を低減するため)。一部の実施形態では、細胞は、懸濁細胞又は接着細胞であり得る。一部の実施形態では、当業者は、シャトル、ドメイン、使用、及び方法の異なる組み合わせを用いて、所望の生存率で特定の細胞にタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを送達する特定の必要性に適合するように、本記載の教示を適応させることができる。
一部の実施形態では、本記載の方法は、タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを細胞内にインビボで細胞に送達する方法に適用することができる。このような方法は、非経口投与又は組織、臓器、若しくは系への直接注射によって達成することができる。
一部の態様では、本記載の合成ペプチドシャトル剤は、標的真核細胞へのタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ(例えば、治療的又は生物学的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ)の形質導入効率を増加させるためのインビトロ又はインビボの方法に使用することができ、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントは、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分な濃度で使用されるか又は使用のために製剤化される。
一部の実施形態では、本記載の合成ペプチドシャトル剤は、治療に使用することができ、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントは、治療上又は生物学的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを標的真核細胞の細胞質及び/又は核に形質導入し、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントは、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度で使用される(又は使用のために製剤化される)。
一部の態様では、本明細書には、タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク性カーゴを標的真核細胞に形質導入するのに使用するための組成物が記載され、組成物は、薬学的に適切な賦形剤とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度は、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である。一部の実施形態では、組成物は、カーゴを更に含む。一部の実施形態では、組成物は、投与又は治療的使用の前に、カーゴと混合され得る。
一部の態様では、本明細書には、治療に使用するための組成物が記載され、組成物は、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴとともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度は、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である。
一部の実施形態では、シャトル剤、又は組成物、並びにタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴは、血清の存在下又は非存在下で標的細胞に曝露され得る。一部の実施形態では、方法は、臨床的又は治療的使用に適切であり得る。
一部の実施形態では、本記載は、標的真核細胞の細胞外空間から細胞質及び/又は核にタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを送達させるためのキットに関する。一部の実施形態では、本記載は、標的真核細胞の細胞質へのタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるためのキットに関する。キットは、シャトル剤、又は本明細書に定義される組成物、及び適切な容器を含み得る。
一部の実施形態では、標的真核細胞は、動物細胞、哺乳動物細胞、又はヒト細胞であり得る。一部の実施形態では、標的真核細胞は、幹細胞(例えば、胚性幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、末梢血幹細胞)、初代細胞(例えば、筋芽細胞、線維芽細胞)、免疫細胞(例えば、NK細胞、T細胞、樹状細胞、抗原提示細胞)、上皮細胞、皮膚細胞、胃腸細胞、粘膜細胞、又は肺細胞であり得る。一部の実施形態では、標的細胞は、エンドサイトーシスのための細胞装置(すなわち、エンドソームを産生する)を有するものを含む。
一部の実施形態では、本記載は、本明細書に定義される合成ペプチドシャトル剤を含む単離された細胞に関する。一部の実施形態では、細胞は、タンパク質誘導性多能性幹細胞であり得る。しばしばDNAトランスフェクションに耐性であるか又はそれに適さない細胞は、本記載の合成ペプチドシャトル剤の興味深い候補であり得ることが理解される。
一部の実施形態では、本記載は、タンパク質及び/又は非タンパク質のカーゴを標的真核細胞の細胞外空間から細胞質及び/又は核に送達する合成ペプチドシャトル剤を製造するための方法に関し、方法は、(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、本明細書に定義されるパラメーター(4)~(15)の内の少なくとも5つが満たされるペプチドを合成する工程を含む。
一部の実施形態では、本記載は、標的真核細胞の細胞外空間から細胞質及び/又は核にタンパク質及び/又は非タンパク質カーゴを送達するシャトル剤を同定又は選択する方法に関し、方法は、(a)本明細書に定義されるペプチドであるペプチドを合成する工程;(b)標的真核細胞を前記ペプチドの存在下でカーゴと接触させる工程;(c)標的真核においてカーゴの形質導入効率を測定する工程;及び(d)標的真核細胞において前記カーゴの形質導入活性(例えば、形質導入効率)の増加が観察される場合に、カーゴを形質導入するシャトル剤であるペプチドを同定又は選択する工程を含む。
一部の態様では、本記載は、タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを標的真核細胞に形質導入するのに使用するための組成物に関し、組成物は、薬学的に好適な賦形剤とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度は、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及び細胞質送達を増加させるのに十分である。一部の実施形態では、組成物は、カーゴを更に含む。
一部の実施形態では、本記載は、本明細書において記載されるシャトル剤、及び本明細書において記載されるカーゴ、例えば、腸溶コーティング経口投与形態を含む経口製剤に関する。
一部の実施形態では、食品、農業及び/又は農産業における、本明細書に記載されるシャトル剤の用途が想定され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシャトル剤は、体重増加及び/又は栄養素の吸収を助ける飼料添加物として製剤化され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシャトル剤は、体重増加及び/又は栄養素の吸収を助ける飼料添加物として製剤化され得る。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞における目的のタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴに対する形質導入活性を有することが予想される候補合成ペプチドシャトル剤を製造するための方法が記載され、方法は、(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであって、本明細書に定義されるパラメーター(4)~(15)の内の少なくとも5つが満たされるペプチドを合成する工程を含み、シャトル剤は、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする。
一部の態様では、本明細書には、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴに対する形質導入活性を有することが予想される合成ペプチドシャトル剤を同定し又は選択するためのインビトロ又はインビボ方法が記載され、方法は、標的真核細胞においてカーゴ形質導入を評価するのに適したモデル真核細胞又はモデル生物を提供する工程と;候補合成ペプチドシャトル剤(例えば、本明細書に定義されるいずれかのシャトル剤)を提供する工程と;ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤を真核細胞株モデルに形質導入するための候補合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性(例えば、カーゴ形質導入効率、例えば、フローサイトメトリーによる)を測定する工程とを含み、候補シャトル剤は、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入活性(例えば、形質導入効率)が、候補合成ペプチドシャトル剤を欠く対応する陰性対照と比較して、少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍増加する場合、及び/又はヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の形質導入効率(例えば、フローサイトメトリーで測定した場合)がモデル真核細胞又はモデル生物において生じる場合、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有することが予想される。
項目I
一部の態様では、ここには、以下の項目の1つ又は複数が記載される:
1.非タンパク質カーゴ形質導入のための方法であって、標的真核細胞を、非タンパク質カーゴ、及び合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、前記非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の前記合成ペプチドシャトル剤と接触させる工程を含む方法。
2.非タンパク質カーゴが、(a)有機化合物であり;(b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;(c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;(d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;(e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは(f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、項目1に記載の方法。
3.非タンパク質カーゴが、がん(例えば、皮膚がん、基底細胞癌、母斑基底細胞癌症候群)、炎症若しくは炎症関連疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、ドライアイ疾患、萎縮型若しくは滲出型加齢黄斑変性、指潰瘍、日光角化症、特発性肺線維症)、疼痛(例えば、慢性若しくは急性)、又は肺に影響を及ぼす疾患(例えば、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、若しくは特発性肺線維症)を治療するための薬物である、項目1又は2に記載の方法。
4.非タンパク質カーゴが、ヘッジホッグ阻害剤(例えば、イトラコナゾール、ポサコナゾール、三酸化ヒ素(ATO)、Gant61、PF-4708671、HPI-1、HPI-4)、電位依存性ナトリウム(Nav)チャネル阻害剤(例えば、QX-314)等の疼痛阻害剤、及び/又は炎症の阻害剤(例えば、炎症性サイトカイン産生の阻害剤、又はNF-カッパB経路阻害剤)であるか又はそれを含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
5.シャトル剤が、(1)少なくとも20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、次のパラメーター(4)~(15):(4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;(5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;(6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;(7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;(8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに(15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される、の内の少なくとも5つが満たされる、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.(a)シャトル剤が、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、又は全てのパラメーター(4)~(15)を満たし;(b)シャトル剤が、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の最小長、及び40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、80、90、110、120、130、140、又は150アミノ酸の最大長を有するペプチドであり;(c)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、又は11.0の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(d)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、正に帯電した親水性外面を含み、この外面が、(i)ヘリカルホイール投影図上に、少なくとも2個、3個又は4個の隣接する正に帯電したK及び/又はR残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上に、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、3個から5個のK及び/又はR残基を含む6個の隣接する残基のセグメントを含み;(e)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、疎水性の外面を含み、この疎水性の外面は、(i)ヘリカルホイール投影図上で、少なくとも2個の隣接するL残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上で、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、L、I、F、V、W、及びMから選択される少なくとも5個の疎水性の残基を含む10個の隣接する残基のセグメントを含み;(f)前記疎水性の外面が、シャトル剤のアミノ酸の12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%から25%、30%、35%、40%、又は45%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成される高度疎水性コアを含み;(g)シャトル剤が、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、又は10.5の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(h)シャトル剤が、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、又は+15の予測実効電荷を有し;(i)シャトル剤が、10~13の予測pIを有し;又は(j)(a)~(i)の内の任意の組み合わせである、項目5に記載の方法。
7.前記シャトル剤が、次のパラメーターの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は全てを満たす、項目1~6のいずれか1項に記載の方法:(8)シャトル剤が、36%~64%、37%~63%、38%~62%、39%~61%、又は40%~60%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)シャトル剤が、1%~29%、2%~28%、3%~27%、4%~26%、5%~25%、6%~24%、7%~23%、8%~22%、9%~21%、又は10%~20%のアミノ酸:N、Q、S、及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)シャトル剤が、36%~80%、37%~75%、38%~70%、39%~65%、又は40%~60%のアミノ酸:A、L、K、又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)シャトル剤が、15%~40%、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)シャトル剤が、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)シャトル剤が、5%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)シャトル剤中のA及びL残基パーセンテージ(A+L%)と、シャトル剤中のK及びR残基のパーセンテージと(K+R)の差異が、9%、8%、7%、6%、又は5%以下である;並びに(15)シャトル剤が、15~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、及びHの任意の組み合わせから構成される。
8.前記シャトル剤が、ヒスチジンリッチドメインを含み、任意選択でヒスチジンリッチドメインが、(i)シャトル剤のN末端に向けて及び/又はC末端に向けて配置され;(ii)少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくは少なくとも90%のヒスチジン残基を含む、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個のアミノ酸のストレッチであり、及び/又は少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個の連続するヒスチジン残基を含み;又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
9.前記シャトル剤が、セリン及び/又はグリシン残基が濃縮されたフレキシブルリンカードメインを含む、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
10.前記シャトル剤が、次記のアミノ酸配列を含む又はそれからなる、項目1~9のいずれか1項に記載の方法:(a)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X3]-[X4](式1);(b)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X4]-[X3](式2);(c)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X3]-[X4](式3);(d)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X4]-[X3](式4);(e)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X1]-[X2](式5);(f)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X2]-[X1](式6);(g)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X1]-[X2](式7);又は(h)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X2]-[X1](式8);式中、[X1]が、次記から選択され:2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;及び1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;[X2]が次記から選択され:-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[+]-1[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[+]-1[ζ]-;及び-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[ζ]-1[+]-;[X3]が次記から選択され:-4[+]-A-;-3[+]-G-A-;-3[+]-A-A-;-2[+]-1[Φ]-1[+]-A-;-2[+]-1[Φ]-G-A-;-2[+]-1[Φ]-A-A-;又は-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-G-A;-2[+]-A-A-A-;-1[Φ]-3[+]-A-;-1[Φ]-2[+]-G-A-;-1[Φ]-2[+]-A-A-;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-G-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-A-A;-1[Φ]-1[+]-A-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-A-G-A;-1[Φ]-1[+]-A-A-A;-A-1[+]-A-1[+]-A;-A-1[+]-A-G-A;及び-A-1[+]-A-A-A;[X4]が次記から選択され:-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[+]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-2[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-2[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-2[+];-1[+]-2[ζ]-1[+]-A;-1[+]-2[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-1[ζ]-A-1[+];-3[ζ]-2[+];-3[ζ]-1[+]-A;-3[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-1[ζ]-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];及び-1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];及び[リンカー]が、次記から選択され:-Gn-;-Sn-;-(GnSn)n-;-(GnSn)nGn-;-(GnSn)nSn-;-(GnSn)nGn(GnSn)n-;及び-(GnSn)nSn(GnSn)n-;[Φ]はアミノ酸:Leu、Phe、Trp、Ile、Met、Tyr、又はVal、好ましくはLeu、Phe、Trp、又はIleであり;[+]は、アミノ酸:Lys又はArgであり;[ζ]が、アミノ酸:Gln、Asn、Thr、又はSerであり;Aは、アミノ酸:Alaであり;Gは、アミノ酸:Glyであり;Sは、アミノ酸:Serであり;nは、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、又は1~3の整数である。
11.シャトル剤が、配列番号19~50のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%同一であるペプチドを含むか又はそれからなる、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
12.シャトル剤が、エンドソーム漏出ドメイン(ELD)、及び/又は細胞膜透過性ドメイン(CPD)を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
13.(i)前記ELDが、エンドソーム溶解性ペプチド;抗菌性ペプチド(AMP);直鎖状カチオン性アルファヘリックス抗菌性ペプチド;セクロピン-A/メリチンハイブリッド(CM)ペプチド;pH依存性膜活性ペプチド(PAMP);ペプチド両親媒性物質;インフルエンザ血球凝集素(HA)のHA2サブユニットのN末端に由来するペプチド;CM18;ジフテリア毒素Tドメイン(DT);GALA;PEA;INF-7;LAH4;HGP;H5WYG;HA2;EB1;VSVG;シュードモナス毒素;メリチン;KALA;JST-1;C(LLKK)3C;G(LLKK)3G又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれに由来する、(ii)前記CPDが、細胞膜透過性ペプチド又は細胞膜透過性ペプチド由来のタンパク質形質導入ドメイン;TAT;PTD4;ペネトラチン;pVEC;M918;Pep-1;Pep-2;キセントリー;アルギニンストレッチ;トランスポータン;SynB1;SynB3;又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれに由来する;又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
14.シャトル剤が環状ペプチドであり、及び/又は1つ又は複数のD-アミノ酸を含む、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
15.治療目的及び/又は診断目的等のためのインビトロ方法である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
16.治療目的及び/又は診断目的等のためのインビボ方法である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
17.非タンパク質カーゴ及び合成ペプチドシャトル剤の局所、経腸/消化管(例えば、経口)、又は非経口投与を含む、項目16に記載の方法。
18.非タンパク質カーゴを標的真核細胞に形質導入するのに使用するための組成物であって、薬学的に適切な賦形剤とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、該組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度が、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞への非タンパク質カーゴの形質導入効率及び細胞質送達を増加させるのに十分である、組成物。
19.非タンパク質カーゴを更に含む、項目17に記載の組成物。
20.(a)合成ペプチドシャトル剤が、項目1又は5~14のいずれか1項に定義される通りであり;(b)非タンパク質カーゴが、項目2~4のいずれか1項に定義される通りであり;(c)組成物が、項目15~17のいずれか1項に定義されるインビトロ又はインビボ方法において使用するためのものであり;又は(d)(a)~(c)の内の任意の組み合わせである、項目18又は19に記載の組成物。
21.項目1~17のいずれか1項に記載の方法において使用するためのキットであって、項目1又は5~14のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤、及び項目2~4のいずれか1項に定義される非タンパク質カーゴを含むキット。
22.標的真核細胞が、動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、幹細胞、初代細胞、免疫細胞、T細胞、NK細胞、樹状細胞、上皮細胞、皮膚細胞、又は胃腸細胞である、項目1~17のいずれか1項に記載の方法、項目18~20のいずれか1項に記載の組成物、又は項目21に記載のキット。
23.タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、該シャトル剤は、配列番号19~50のいずれか1つと少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%同一のアミノ酸配列を含む、合成ペプチドシャトル剤。
24.項目5~13のいずれか1項に定義されるシャトル剤である、項目23に記載の合成ペプチドシャトル剤。
項目II
一部の態様では、ここには、以下の項目の1つ又は複数が記載される:
1.非タンパク質カーゴ形質導入のための方法であって、標的真核細胞を、非タンパク質カーゴ、及び合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、前記非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の前記合成ペプチドシャトル剤と接触させる工程を含む方法。
2.非タンパク質カーゴが、(a)有機化合物であり;(b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;(c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;(d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;(e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは(f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、項目1に記載の方法。
3.非タンパク質カーゴが、がん(例えば、皮膚がん、基底細胞癌、母斑基底細胞癌症候群)、炎症若しくは炎症関連疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、ドライアイ疾患、萎縮型若しくは滲出型加齢黄斑変性、指潰瘍、日光角化症、特発性肺線維症)、疼痛(例えば、慢性若しくは急性)、又は肺に影響を及ぼす疾患(例えば、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、若しくは特発性肺線維症)を治療するための薬物である、項目1又は2に記載の方法。
4.非タンパク質カーゴが、ヘッジホッグ阻害剤(例えば、イトラコナゾール、ポサコナゾール、三酸化ヒ素(ATO)、Gant61、PF-4708671、HPI-1、HPI-4)、電位依存性ナトリウム(Nav)チャネル阻害剤(例えば、QX-314)等の疼痛阻害剤、及び/又は炎症の阻害剤(例えば、炎症性サイトカイン産生の阻害剤、又はNF-カッパB経路阻害剤)であるか又はそれを含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
5.シャトル剤が、(1)少なくとも20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、次のパラメーター(4)~(15):(4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;(5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;(6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;(7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;(8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに(15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される、の内の少なくとも5つが満たされる、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.(a)シャトル剤が、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、又は全てのパラメーター(4)~(15)を満たし;(b)シャトル剤が、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の最小長、及び40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、80、90、110、120、130、140、又は150アミノ酸の最大長を有するペプチドであり;(c)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、又は11.0の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(d)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、正に帯電した親水性外面を含み、この外面が、(i)ヘリカルホイール投影図上に、少なくとも2個、3個又は4個の隣接する正に帯電したK及び/又はR残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上に、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、3個から5個のK及び/又はR残基を含む6個の隣接する残基のセグメントを含み;(e)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、疎水性の外面を含み、この疎水性の外面は、(i)ヘリカルホイール投影図上で、少なくとも2個の隣接するL残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上で、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、L、I、F、V、W、及びMから選択される少なくとも5個の疎水性の残基を含む10個の隣接する残基のセグメントを含み;(f)前記疎水性の外面が、シャトル剤のアミノ酸の12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%から25%、30%、35%、40%、又は45%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成される高度疎水性コアを含み;(g)シャトル剤が、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、又は10.5の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(h)シャトル剤が、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、又は+15の予測実効電荷を有し;(i)シャトル剤が、10~13の予測pIを有し;又は(j)(a)~(i)の内の任意の組み合わせである、項目5に記載の方法。
7.前記シャトル剤が、次のパラメーターの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は全てを満たす、項目1~6のいずれか1項に記載の方法:(8)シャトル剤が、36%~64%、37%~63%、38%~62%、39%~61%、又は40%~60%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)シャトル剤が、1%~29%、2%~28%、3%~27%、4%~26%、5%~25%、6%~24%、7%~23%、8%~22%、9%~21%、又は10%~20%のアミノ酸:N、Q、S、及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)シャトル剤が、36%~80%、37%~75%、38%~70%、39%~65%、又は40%~60%のアミノ酸:A、L、K、又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)シャトル剤が、15%~40%、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)シャトル剤が、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)シャトル剤が、5%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)シャトル剤中のA及びL残基パーセンテージ(A+L%)と、シャトル剤中のK及びR残基のパーセンテージと(K+R)の差異が、9%、8%、7%、6%、又は5%以下である;並びに(15)シャトル剤が、15~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、及びHの任意の組み合わせから構成される。
8.前記シャトル剤が、ヒスチジンリッチドメインを含み、任意選択でヒスチジンリッチドメインが、(i)シャトル剤のN末端に向けて及び/又はC末端に向けて配置され;(ii)少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくは少なくとも90%のヒスチジン残基を含む、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個のアミノ酸のストレッチであり、及び/又は少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個の連続するヒスチジン残基を含み;又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
9.前記シャトル剤が、セリン及び/又はグリシン残基が濃縮されたフレキシブルリンカードメインを含む、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
10.前記シャトル剤が、次記のアミノ酸配列を含む又はそれからなる、項目1~9のいずれか1項に記載の方法:(a)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X3]-[X4](式1);(b)[X1]-[X2]-[リンカー]-[X4]-[X3](式2);(c)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X3]-[X4](式3);(d)[X2]-[X1]-[リンカー]-[X4]-[X3](式4);(e)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X1]-[X2](式5);(f)[X3]-[X4]-[リンカー]-[X2]-[X1](式6);(g)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X1]-[X2](式7);又は(h)[X4]-[X3]-[リンカー]-[X2]-[X1](式8);式中、[X1]が、次記から選択され:2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;及び1[+]-1[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;[X2]が次記から選択され:-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[+]-1[ζ]-;-2[Φ]-1[+]-2[Φ]-1[ζ]-1[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[+]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-2[ζ]-;-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[+]-1[ζ]-;及び-2[Φ]-2[+]-1[Φ]-1[ζ]-1[+]-;[X3]が次記から選択され:-4[+]-A-;-3[+]-G-A-;-3[+]-A-A-;-2[+]-1[Φ]-1[+]-A-;-2[+]-1[Φ]-G-A-;-2[+]-1[Φ]-A-A-;又は-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-G-A;-2[+]-A-A-A-;-1[Φ]-3[+]-A-;-1[Φ]-2[+]-G-A-;-1[Φ]-2[+]-A-A-;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-G-A;-1[Φ]-1[+]-1[Φ]-A-A;-1[Φ]-1[+]-A-1[+]-A;-1[Φ]-1[+]-A-G-A;-1[Φ]-1[+]-A-A-A;-A-1[+]-A-1[+]-A;-A-1[+]-A-G-A;及び-A-1[+]-A-A-A;[X4]が次記から選択され:-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[+]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-2[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-2[+];-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-2[+];-1[+]-2[ζ]-1[+]-A;-1[+]-2[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[+]-2[ζ]-1[ζ]-A-1[+];-3[ζ]-2[+];-3[ζ]-1[+]-A;-3[ζ]-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-1[ζ]-2A-1[+]-A;-1[ζ]-2A-2[+];-1[ζ]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];-2[+]-A-1[+]-A;-2[+]-1[ζ]-1[+]-A;-1[+]-1[ζ]-A-1[+]-A;-1[+]-2A-1[+]-1[ζ]-A-1[+];及び-1[ζ]-A-1[ζ]-A-1[+];及び[リンカー]が、次記から選択され:-Gn-;-Sn-;-(GnSn)n-;-(GnSn)nGn-;-(GnSn)nSn-;-(GnSn)nGn(GnSn)n-;及び-(GnSn)nSn(GnSn)n-;[Φ]はアミノ酸:Leu、Phe、Trp、Ile、Met、Tyr、又はVal、好ましくはLeu、Phe、Trp、又はIleであり;[+]は、アミノ酸:Lys又はArgであり;[ζ]は、アミノ酸:Gln、Asn、Thr、又はSerであり;Aは、アミノ酸:Alaであり;Gは、アミノ酸:Glyであり;Sは、アミノ酸:Serであり;nは、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、又は1~3の整数である。
11.シャトル剤が、配列番号1~50のいずれか1つのアミノ酸配列;配列番号1~50のいずれか1つと、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸で相違するアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除く);又は配列番号1~50のいずれか1つと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除いて計算される)を含むか又はそれからなる、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
12.シャトル剤が、配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つと、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸で相違するアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除く);又は配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除いて計算される)を含むか又はそれからなる、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
13.シャトル剤が、エンドソーム漏出ドメイン(ELD)、及び/又は細胞膜透過性ドメイン(CPD)を含む、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
14.(i)前記ELDが、エンドソーム溶解性ペプチド;抗菌性ペプチド(AMP);直鎖状カチオン性アルファヘリックス抗菌性ペプチド;セクロピン-A/メリチンハイブリッド(CM)ペプチド;pH依存性膜活性ペプチド(PAMP);ペプチド両親媒性物質;インフルエンザ血球凝集素(HA)のHA2サブユニットのN末端に由来するペプチド;CM18;ジフテリア毒素Tドメイン(DT);GALA;PEA;INF-7;LAH4;HGP;H5WYG;HA2;EB1;VSVG;シュードモナス毒素;メリチン;KALA;JST-1;C(LLKK)3C;G(LLKK)3G又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれに由来する;(ii)前記CPDが、細胞膜透過性ペプチド又は細胞膜透過性ペプチド由来のタンパク質形質導入ドメイン;TAT;PTD4;ペネトラチン;pVEC;M918;Pep-1;Pep-2;キセントリー;アルギニンストレッチ;トランスポータン;SynB1;SynB3;又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれに由来する;又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
15.シャトル剤が環状ペプチドであり、及び/又は1つ又は複数のD-アミノ酸を含む、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
16.シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
17.シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、項目1~16のいずれか1項に記載の方法。
18.シャトル剤が、1つ又は複数のアミノ酸に対する化学修飾を更に含み、化学修飾が、合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性を破壊しない、項目1~17のいずれか1項に記載の方法。
19.化学修飾が、シャトル剤のN末端及び/又はC末端にある、項目18に記載の方法。
20.化学修飾が、アセチル基(例えば、N末端アセチル基)、システアミド基(例えば、C末端システアミド基)、又は脂肪酸(例えば、C4~C16脂肪酸、好ましくはN末端)の付加である、項目18又は19に記載の方法。
21.治療目的及び/又は診断目的等のためのインビトロ方法である、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
22.治療目的及び/又は診断目的等のためのインビボ方法である、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
23.非タンパク質カーゴ及び合成ペプチドシャトル剤の局所、経腸/消化管(例えば、経口)、又は非経口投与を含む、項目22に記載の方法。
24.非タンパク質カーゴを標的真核細胞に形質導入するのに使用するための組成物であって、薬学的に適切な賦形剤とともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、該組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度が、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞への非タンパク質カーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である、組成物。
25.非タンパク質カーゴを更に含む、項目24に記載の組成物。
26.治療に使用するための組成物であって、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入される非タンパク質カーゴとともに製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含み、該組成物中の合成ペプチドシャトル剤の濃度が、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞への非タンパク質カーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分である、組成物。
27.(a)合成ペプチドシャトル剤が、項目1又は5~20のいずれか1項に定義される通りであり;(b)非タンパク質カーゴが、項目2~4のいずれか1項に定義される通りであり;(c)組成物が、項目21~23のいずれか1項に定義されるインビトロ又はインビボ方法において使用するためのものであり;又は(d)(a)~(c)の内の任意の組み合わせである、項目24~26のいずれか1項に記載の組成物。
28.項目1~23のいずれか1項に記載の方法において使用するためのキットであって、項目1又は5~20のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤を含み、非タンパク質カーゴが項目2~4のいずれか1項に定義される通りである、キット。
29.標的真核細胞が、動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、幹細胞、初代細胞、免疫細胞、T細胞、NK細胞、樹状細胞、上皮細胞、皮膚細胞、又は胃腸細胞である、項目1~23のいずれか1項に記載の方法、項目24~27のいずれか1項に記載の組成物、又は項目28に記載のキット。
30.タンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、該シャトル剤が、配列番号19~50のいずれか1つのアミノ酸配列;配列番号19~50のいずれか1つと、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸で相違するアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除く);又は配列番号19~50のいずれか1つと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除いて計算される)を含むか又はそれからなる、合成ペプチドシャトル剤。
31.項目5~20のいずれか1項で定義されるシャトル剤である、項目30に記載の合成ペプチドシャトル剤。
32.標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、次のパラメーター(4)~(15):(4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;(5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;(6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;(7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;(8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに(15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される、の内の少なくとも5つが満たされ、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、合成ペプチドシャトル剤。
33.シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、項目32に記載の合成ペプチドシャトル剤。
34.(a)シャトル剤が、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、又は全てのパラメーター(4)~(15)を満たし;(b)シャトル剤が、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の最小長、及び40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、80、90、110、120、130、140、又は150アミノ酸の最大長を有するペプチドであり;(c)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、又は11.0の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(d)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、正に帯電した親水性外面を含み、この外面が、(i)ヘリカルホイール投影図上に、少なくとも2個、3個又は4個の隣接する正に帯電したK及び/又はR残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上に、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、3個から5個のK及び/又はR残基を含む6個の隣接する残基のセグメントを含み;(e)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、疎水性の外面を含み、この疎水性の外面は、(i)ヘリカルホイール投影図上で、少なくとも2個の隣接するL残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上で、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、L、I、F、V、W、及びMから選択される少なくとも5個の疎水性の残基を含む10個の隣接する残基のセグメントを含み;(f)前記疎水性の外面が、シャトル剤のアミノ酸の12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%から25%、30%、35%、40%、又は45%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成される高度疎水性コアを含み;(g)シャトル剤が、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、又は10.5の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、(h)シャトル剤が、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、又は+15の予測実効電荷を有し;(i)シャトル剤が、10~13の予測pIを有し;又は(j)(a)~(i)の内の任意の組み合わせである、項目32又は33に記載の合成ペプチドシャトル剤。
35.前記シャトル剤が、次のパラメーターの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は全てを満たす、項目32~34のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤:(8)シャトル剤が、36%~64%、37%~63%、38%~62%、39%~61%、又は40%~60%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)シャトル剤が、1%~29%、2%~28%、3%~27%、4%~26%、5%~25%、6%~24%、7%~23%、8%~22%、9%~21%、又は10%~20%のアミノ酸:N、Q、S、及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)シャトル剤が、36%~80%、37%~75%、38%~70%、39%~65%、又は40%~60%のアミノ酸:A、L、K、又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)シャトル剤が、15%~40%、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)シャトル剤が、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)シャトル剤が、5%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)シャトル剤中のA及びL残基パーセンテージ(A+L%)と、シャトル剤中のK及びR残基のパーセンテージと(K+R)の差異が、9%、8%、7%、6%、又は5%以下である;並びに(15)シャトル剤が、15~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、及びHの任意の組み合わせから構成される。
36.前記シャトル剤が、(i)項目8に定義されるヒスチジンリッチドメインを含み;(ii)項目9に定義されるフレキシブルリンカードメインを含み;(iii)項目10~14のいずれか1項に定義されるシャトル剤であり;(iv)(i)~(iii)の内の任意の組み合わせである、項目32~35のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
37.1つ又は複数のアミノ酸に対する化学修飾を更に含み、化学修飾が、合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性を破壊しない、項目32~36のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
38.化学修飾が、シャトル剤のN末端及び/又はC末端にある、項目37に記載の合成ペプチドシャトル剤。
39.化学修飾が、アセチル基(例えば、N末端アセチル基)、システアミド基(例えば、C末端システアミド基)、又は脂肪酸(例えば、C4~C16脂肪酸、好ましくはN末端)の付加である、項目37又は38に記載の合成ペプチドシャトル剤。
40.シャトル剤が、配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つと、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸で相違するアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除く);又は配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つと少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列(例えば、任意のリンカードメインを除いて計算される)を含むか又はそれからなる、項目32~39のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
41.標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、(a)配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;又は(b)配列番号1~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つと、保存的アミノ酸置換のみで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下の保存的アミノ酸置換で、好ましくは任意のリンカードメインを除く)相違するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、合成ペプチドシャトル剤。
42.項目32~39のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤である、項目41に記載の合成ペプチドシャトル剤。
43.標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、(a)配列番号52、57、79、108、140、147、148、173、241、261、286、295、301、309、312、325、333~337、若しくは343のいずれか1つのアミノ酸配列;又は(b)配列番号52、57、79、108、140、147、148、173、241、261、286、295、301、309、312、325、333~337、若しくは343のいずれか1つと、保存的アミノ酸置換のみで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下の保存的アミノ酸置換で、好ましくは任意のリンカードメインを除く)相違するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、合成ペプチドシャトル剤。
44.各保存的アミノ酸置換が、同じアミノ酸クラス内のアミノ酸から選択され、アミノ酸クラスが脂肪族:G、A、V、L、及びI;ヒドロキシル又は硫黄/セレン含有:S、C、U、T、及びM;芳香族:F、Y、及びW;塩基性:H、K、及びR;酸性及びそれらのアミド:D、E、N、及びQである、項目41~43のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
45.標的真核細胞におけるタンパクカーゴ及び/又は非タンパクカーゴに対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、少なくとも1つのアミノ酸が、置き換えられるアミノ酸と同様の物理化学的特性(例えば、構造、疎水性、又は電荷)の側鎖を有する対応する合成アミノ酸で置き換えられることを除き、項目32~44のいずれか1項で定義される合成ペプチドシャトル剤と同一であり、シャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞における前記カーゴの形質導入効率を増加させる、合成ペプチドシャトル剤バリアント。
46.合成アミノ酸の置き換えが、(a)α-アミノグリシン、α,γ-ジアミノ酪酸、オルニチン、α,β-ジアミノプロピオン酸、2,6-ジアミノ-4-ヘキシン酸、β-(1-ピペラジニル)-アラニン、4,5-デヒドロ-リジン、δ-ヒドロキシリジン、ω,ω-ジメチルアルギニン、ホモアルギニン、ω,ω'-ジメチルアルギニン、ω-メチルアルギニン、β-(2-キノリル)-アラニン、4-アミノピペリジン-4-カルボン酸、α-メチルヒスチジン、2,5-ジヨードヒスチジン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、スピナシン、4-アミノフェニルアラニン、3-アミノチロシン、β-(2-ピリジル)-アラニン、若しくはβ-(3-ピリジル)-アラニンのいずれか1つで塩基性アミノ酸を置き換える;(b)デヒドロアラニン、β-フルオロアラニン、β-クロロアラニン、β-ロドアラニン、α-アミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、β-シクロプロピルアラニン、アゼチジン-2-カルボン酸、α-アリルグリシン、プロパルギルグリシン、tert-ブチルアラニン、β-(2-チアゾリル)-アラニン、チアプロリン、3,4-デヒドロプロリン、tert-ブチルグリシン、β-シクロペンチルアラニン、β-シクロヘキシルアラニン、α-メチルプロリン、ノルバリン、α-メチルバリン、ペニシラミン、β、β-ジシクロヘキシルアラニン、4-フルオロプロリン、1-アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、4,5-デヒドロロイシン、アロイソロイシン、ノルロイシン、α-メチルロイシン、シクロヘキシルグリシン、シス-オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、β-(2-チエニル)-アラニン、フェニルグリシン、α-メチルフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、β-(3-ベンゾチエニル)-アラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-ブロモフェニルアラニン、4-tert-ブチルフェニルアラニン、α-メチルトリプトファン、β-(2-ナフチル)-アラニン、β-(1-ナフチル)-アラニン、4-ヨードフェニルアラニン、3-フルオロフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-メチルトリプトファン、4-クロロフェニルアラニン、3,4-ジクロロ-フェニルアラニン、2,6-ジフルオロ-フェニルアラニン、n-in-メチルトリプトファン、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸、β、β-ジフェニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-フェニルアラニン、若しくは4-ベンゾイルフェニルアラニンのいずれか1つで非極性(疎水性)アミノ酸を置き換える;(c)β-シアノアラニン、β-ウレイドアラニン、ホモシステイン、アロスレオニン、ピログルタミン酸、2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸、シトルリン、チオシトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、β-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-アラニン、2-メルカプトヒスチジン、β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-セリン、β-(2-チエニル)-セリン、4-アジドフェニルアラニン、4-シアノフェニルアラニン、3-ヒドロキシメチルチロシン、3-ヨードチロシン、3-ニトロチロシン、3,5-ジニトロチロシン、3,5-ジブロモチロシン、3,5-ジヨードチロシン、7-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソ-キノリン-3-カルボン酸、5-ヒドロキシトリプトファン、チロニン、β-(7-メトキシクマリン-4-イル)-アラニン、若しくは4-(7-ヒドロキシ-4-クマリニル)-アミノ酪酸のいずれか1つで極性非荷電アミノ酸を置き換える;及び/又は(d)γ-ヒドロキシグルタミン酸、γ-メチレングルタミン酸、γ-カルボキシグルタミン酸、α-アミノアジピン酸、2-アミノヘプタン二酸、α-アミノスベリン酸、4-カルボキシフェニルアラニン、システイン酸、4-ホスホノフェニルアラニン若しくは4-スルホメチルフェニルアラニンのいずれか1つで酸性アミノ酸を置き換える、項目45に記載の合成ペプチドシャトル剤バリアント。
47.標的真核細胞へのタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ(例えば、治療的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ)の形質導入効率を増加させるためのインビトロ又はインビボ方法において使用するための、項目32~46のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分な濃度で使用される、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント。
48.治療に使用するための、項目32~47のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、標的真核細胞の細胞質及び/又は核に治療的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを形質導入し、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントが、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度で使用される、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント。
49.タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの形質導入のためのインビトロ又はインビボ方法であって、標的真核細胞を、カーゴ、及び前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の、項目32~46のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントと接触させる工程を含む、インビトロ又はインビボ方法。
50.治療目的及び/又は診断目的のための方法である、項目49に記載のインビトロ又はインビボ方法。
51.治療に使用するための組成物であって、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴとともに製剤化された、項目32~46のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントを含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの濃度が、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与時に前記標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及び細胞質送達を増加させるのに十分である、組成物。
52.局所、経腸/消化管 (例えば、経口)、又は非経口投与のために製剤化される、項目51に記載の組成物。
53.項目32~46のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント、及び合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントによって形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを含むキット。
54.標的真核細胞が、動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、幹細胞、初代細胞、免疫細胞、T細胞、NK細胞、樹状細胞、上皮細胞、皮膚細胞、又は胃腸細胞である、項目32~48のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント、項目49又は50に記載のインビトロ又はインビボ方法、項目51又は52に記載の組成物、又は項目53記載のキット。
55.非タンパク質カーゴが項目2~4のいずれか1項に定義される通りである、項目32~48又は54のいずれか1項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント、項目49若しくは50若しくは54のインビトロ又はインビボ方法、項目51、52又は54の組成物、或いは項目53又は54のキット。
56.標的真核細胞における目的のカーゴに対する形質導入活性を有することが予想される候補合成ペプチドシャトル剤を製造するための方法であって、(1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長であり、(2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフであって、(3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含むペプチドであり、次のパラメーター(4)~(15):(4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;(5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;(6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;(7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;(8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;(9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;(10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;(11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;(12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;(13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;(14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに(15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される、の内の少なくとも5つが満たされるペプチドを合成する工程を含み、シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、方法。
57.候補合成ペプチドシャトル剤が、項目32~46のいずれか1項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントである、項目56に記載の方法。
58.標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有することが予想される合成ペプチドシャトル剤を同定し、選択し又は適格化するためのインビトロ又はインビボ方法であって、標的真核細胞においてカーゴ形質導入を評価するのに適したモデル真核細胞又はモデル生物を提供する工程と;候補合成ペプチドシャトル剤(例えば、項目5~20又は32~46のいずれか1項に定義される)を提供する工程と;ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤をモデル真核細胞又はモデル生物に形質導入するための候補合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性(例えば、カーゴ形質導入効率、例えば、フローサイトメトリーによる)を測定する工程とを含み、候補シャトル剤は、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入活性(例えば、形質導入効率)が、候補合成ペプチドシャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10倍増加する場合、及び/又はヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の形質導入効率(例えば、フローサイトメトリーで測定した場合)がモデル真核細胞又はモデル生物において生じる場合、標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有することが予想される、インビトロ又はインビボ方法。
(実施例1)
材料及び方法
本明細書に記載又は明記されていない全ての材料及び方法は、一般的に、国際公開第2016/161516号及び/又は国際公開第2018/068135号において実施されたようなものであった。
Figure 2020210916000006
Figure 2020210916000007
1.4 ヨウ化プロピジウム形質導入プロトコール
HeLa細胞は、実験の前日に、96ウェルディッシュに播種された(20000細胞/ウェル)。合成ペプチドシャトル剤(10μM)及びヨウ化プロピジウム(PI)(10μg/mL)又はGFP-NLS(10μM)を含む各送達混合物を調製し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で50μLに達成させた。細胞をPBSで1回洗浄し、シャトル/PI又はシャトル/GFP-NLSを細胞上に1分間添加した。次に、10%FBSを含有する100μLのDMEMを混合物に添加し、除去した。細胞をPBSで1回洗浄し、10%FBSを含有するDMEM中でインキュベートした。フローサイトメトリーによる2時間のインキュベーション後、細胞を分析した。条件「FS、次にPI」のために、合成ペプチドシャトル剤(10μM)のみをHeLa細胞に1分間添加し、1時間後、PI(10μg/mL)を同じ洗浄工程後、1分間添加した。PI又はGFP-NLS処理の1時間後に細胞を分析した。
1.5 GliレポーターNIH3T3細胞におけるヘッジホッグ経路阻害剤形質導入プロトコール
カーゴのストック溶液は、Gant61ストック(DMSO中20mM);HPI4ストック(DMSO中40mM);イトラコナゾールストック(DMSO中4.8mM(4mg/mL));三酸化ヒ素ストック(ATO)ストック(H2O中40mM)として調製した。ペプチドシャトル剤(5μM)及びヘッジホッグ経路阻害剤(100μM)を混合し、容量をPBSで50μLに達成させた。
ヘッジホッグシグナル伝達経路Gli Reporter NIH3T3細胞を、10%ウシ血清を含むDMEM中で培養した。細胞をトリプシン処理し、遠心分離し、PBS中で1000万細胞/mLで再懸濁した。50μLの細胞(500000細胞/ウェル)を丸底非処理96ウェルプレート中に分布させた。懸濁された細胞を、ペプチドシャトル剤(5μM)及びヘッジホッグ経路阻害剤(100μM)を含有する送達混合物と混合した。細胞を室温で送達混合物とともに90秒間インキュベートし、10%仔ウシ血清(200μL)を含有する200μLのDMEMを各ウェルに添加し、細胞を遠心分離(400g、4分間)し、200μLのPBSで洗浄した。次に、細胞を200μLのDMEM中に再懸濁し、次に、10%仔ウシ血清を含有する1mLのDMEMを含有する6ウェルプレートのウェルに移し、37℃で2時間インキュベートした。培地を穏やかに除去し、1mlの対照培地(Opti-MEM(商標))又は活性化培地(Opti-MEM、5μg/mL mShh)を各ウェルに添加した。細胞を37℃で24~30時間インキュベートした。
分析のために、細胞をトリプシン処理し、200μLのOpti-MEM(商標)で各ウェルに再懸濁し、次に丸底96ウェルプレートの2つのウェルに等しく分割した。生存率はフローサイトメトリー分析を用いて評価し、ワン工程ルシフェラーゼアッセイを用いて、製造者の指示に従って発光を測定した。
1.6 Hedgehog経路阻害剤のインビボ形質導入プロトコール
カーゴを推奨通りに懸濁した:DMSO中のGant61ストック20mM;DMSO中のイトラコナゾールストック4.8mM(4mg/mL)。6~7週齢の雌C57BL6マウスを剃毛し、脱毛生成物(Nair(商標))を用いて脱毛した。脱毛の5日後、PBSを含む30μLの混合物、合成ペプチドシャトル剤FSD250D(配列番号36)、及び/又はカーゴを脱毛皮膚の3cm2に塗布した。処置の3、10及び17日後にマウスを画像化した。
1.7 QX-314及びGFP-NLS同時形質導入及びパッチクランプ技術
細胞培養。Nav1.7を安定に発現するHEK293細胞を、ウシ胎仔血清(FBS、10%)、L-グルタミン(2mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(10mg/mL)を補足したダルベッコ最小必須培地(DMEM、Gibco BRL Life Technologies社)中で増殖させた。細胞を5%CO2加湿雰囲気中で37℃にてインキュベートした。
送達。細胞を24ウェルプレートでの実験の24時間前に播種した。細胞をPBSで2回洗浄した。1mMのQX-314、5μMのFSD194及び15μMのGFP-NLSタンパク質を含有する溶液を細胞に90秒間適用し、吸引により除去した。対照は、5μMのFSD194又は2.5mMのQX-314を用いて、GFP-NLSの存在下で行った。細胞を10%FBSを含有する800μLのDMEMで洗浄し、記録溶液中で移し、電気生理学を実施した。GFP陽性細胞を顕微鏡で測定し、次にパッチクランプ分析のために選択した。
電気生理学。QX-314を用いた周波数プロトコールは、全細胞構成が形成されてから30秒以内に記録された。周波数プロトコールは、10Hzで-140mVの保持電位から-20mVで10msのパルスからなる。HEK293細胞中の全細胞Na+電流を、パッチクランプ技術(Molecular Devices社)の全細胞配置でAxopatch 200Bを用いて室温で記録した。pClamp v10.0をパルス刺激及び記録(Molecular Devices社)に使用した。電流を5kHzで濾過し、Digidata 1550 ADコンバータ(Molecular devices社)を用いて100kHzでデジタル化し、次の分析のためにコンピュータに保存した。シリーズ抵抗は70~80%補正された。必要に応じて、オンライン漏れ減算を用いて線形漏れ電流アーチファクトを除去した。消火研磨された低抵抗電極(2MΩ)を8161ガラス(Corning)から引き抜いた。
記録溶液。浴液: 35mM NaCl、115mM NMDG、2mM KCl、1.5mM CaCl2、1.0mM MgCl2、10mMグルコース、10mM HEPES。pHを1M NaOHでpH 7.3に調整した。ピペット溶液: 35mM NaCl、105mM CsF、10mM EGTA、及び10mM HEPES。pHを1M CsOHでpH7.4に調整した。
(実施例2)
合成ペプチドシャトル剤はヨウ化プロピジウムの細胞内送達を可能にする
ヨウ化プロピジウム(PI)は、蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリー応用における核染色としてしばしば使用される蛍光性DNA挿入染料である。DNAへのPIの結合は、20~30倍の蛍光増強、並びにその最大励起/発光スペクトルにおけるシフトをもたらす。PIは、通常、生きた細胞の細胞膜を通過することができないため、細胞集団中の死細胞を検出するために日常的に使用される。驚くべきことに本明細書において、タンパク質カーゴの形質導入のための、国際公開第2016/161516号及び国際公開第2018/068135号に記載されたシャトル剤ペプチドを含む合成ペプチドシャトル剤が、PI並びに他の非タンパク質カーゴを形質導入することができることが見出された。
HeLa細胞を実施例1.3に記載されるように培養し、実施例1.4に記載されるようにPI形質導入プロトコールに供し、タンパク質カーゴGFP-NLSをいくつかの実験において別々に対照として形質導入した。結果は、送達の2時間後にフローサイトメトリーにより得られ、図1A-図1Dに示され、図2に示される表に要約されるように、蛍光細胞のパーセンテージ(%PI+細胞又は%GFP+細胞)として表される。
図1及び図2は、非タンパク質カーゴPI(図1A及び1B)又はタンパク質カーゴGFP-NLS(図1C及び1D)のいずれかと組み合わせた、合成ペプチドシャトル剤又は対照ペプチドとともに1分間共インキュベートされたHeLa細胞の送達及び生存率の結果を示す。ペプチドシャトル剤又は対照ペプチドの異なるファミリーの複数のメンバーを試験した。試験された合成ペプチドシャトル剤の第1のグループは、タンパク質カーゴを形質導入する能力について国際公開第2016/161516号に既に記載されるように、細胞膜透過性ドメイン(CPD)に作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含む。試験された合成ペプチドシャトル剤の第2及び第3のグループは、タンパク質カーゴの送達のために合理的に設計され及び最適化されたものに対応し、第2のグループは、国際公開第2018/068135号に既に記載されたペプチドである。試験された合成ペプチドシャトル剤の第4のグループは、そのC末端とN末端の間にアミド結合(例えば、「FSD268環状アミド」;配列番号49)、又はN及びC末端位置に添加された2つの隣接するシステイン間のジスルフィド架橋(例えば、「FSD268環状ジスルフィド」;配列番号50)のいずれかを有する環状ペプチドに対応する。ペプチドの第5のグループは、国際公開第2018/068135号(例えば、FSN3、FSN4及びFSN8;それぞれ配列番号54、55及び57)に記載されるいくつかの合成ペプチドシャトル剤合理的設計パラメーターを満たさない負の対照ペプチドである。これらの陰性対照ペプチドはまた、「FSD10スクランブル」(配列番号51)、「FSD268スクランブル」(配列番号52)、及び「FSD174スクランブル」(配列番号53)ペプチドを含み、それぞれペプチドシャトル剤FSD10、FSD268、及びFSD174(それぞれ配列番号13、43、及び32)と同じアミノ酸組成を有するが、アミノ酸の順序(すなわち、一次アミノ酸配列)が国際公開第2018/068135号に記載される合理的設計パラメーターのいくつかから逸脱するように変化する。図1A及び1Bにおいて、「FS、次にPI」は、PIが合成ペプチドシャトル剤での処理の1時間後に添加され、PI陽性シグナルが細胞死に起因しないことを確実にすることを示す。最後に、図1A-1Dの最も右側の棒は、細胞をカーゴのみとともにインキュベートした陰性対照(図1A及び1Bの「PI」、又は図1C及び1Dの「GFP-NLS」)、又はカーゴ又はシャトルペプチドに曝露されなかった未処理細胞(「NT」、図1A-1D)に対応する。
まとめると、結果は、CPD(国際公開第2016/161516号に記載される)に作動可能に連結されたELDを含む合成ペプチドシャトル剤のファミリーのメンバー、並びにタンパク質カーゴの形質導入のために合理的に設計されたもの(国際公開第2018/068135号に記載される)が、(それらのタンパク質形質導入活性に加えて)PI等の非タンパク質の比較的に低分子量のカーゴの形質導入効率を増加させることができることを明らかにする。注目すべきことに、タンパク質カーゴの送達のための国際公開第2018/068135号に記載される合理的設計パラメーターを満たさないいくつかの陰性対照ペプチドはまた、PIを形質導入しなかった。これは、国際公開第2018/068135号の合理的設計パラメーターは、非タンパク質カーゴの送達のためのペプチドシャトル剤の設計にも適用可能であることを示唆する。
更に、線状形態(FSD268;配列番号43)、アミド結合を用いる環状形態(FSD268環状アミド;配列番号49)又はジスルフィド結合を用いる環状形態(FSD268環状ジスルフィド;配列番号50)の同じ合成ペプチドシャトルは、PIの送達を増加させ、合成シャトルペプチドが機能的である必要がないことを確認した。
(実施例3)
合成ペプチドシャトル剤はヘッジホッグシグナル伝達経路の小分子阻害剤の細胞内送達を可能にする
タンパク質カーゴに対して効率的な形質導入活性を有する合理的に設計されたペプチドシャトル剤、FSD250D(配列番号36)を、実施例1.5に記載されるように、培養細胞においてヘッジホッグシグナル伝達経路の小分子阻害剤を形質導入するその能力について評価した。FSD250Dペプチドは、FSD250D中の全てのアミノ酸がD-アミノ酸であることを除き、FSD250(配列番号35)と同じアミノ酸配列を有する。結果を図3及び表1に示す。
Figure 2020210916000008
簡単に述べると、NIH3T3 Gli-ルシフェラーゼレポーター細胞株は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性をモニターするように設計され、NIH3T3細胞に安定に組み込まれたGli応答エレメントの制御下でホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む。図3及び表1に示されるように、陽性対照として、組換えマウスソニックHedgeHogタンパク質NIH3T3 Gli-ルシフェラーゼレポーター細胞の曝露(「Ctrl+mShh」)は、mShhに曝露されなかった陰性対照細胞(「Ctrl-mSh」)では観察されない発光強度の増加をもたらす。ペプチドシャトル剤FSD250Dの存在は、mShh刺激後の細胞発光強度に影響を及ぼさなかった(データは示さず)。これは、mShhに対する受容体(パッチされた)が細胞表面(細胞内ではない)にあることを考慮すれば予想された。しかしながら、細胞内標的に結合するヘッジホッグシグナル伝達経路の構造的に異なる小分子阻害剤(Gant61、HPI-4、イトラコナゾール、又はATO)へのレポーター細胞の曝露は、FSD250Dの非存在下と比較して、FSD250Dの存在下で細胞蛍光強度を有意に低減させ、ペプチドシャトル剤による小分子の形質導入の成功を示唆した。同様の結果がペプチドFSD19を用いて観察された(データは示さず)。
(実施例4)
合成ペプチドシャトル剤はヘッジホッグシグナル伝達経路の小分子阻害剤の細胞内送達を可能にする
タンパク質カーゴに対して効率的な形質導入活性を有する合理的に設計されたペプチドシャトル剤、FSD250D(配列番号36)を、実施例1.6に記載されるように、脱毛マウスモデルにおいて、ヘッジホッグシグナル伝達経路の小分子阻害剤を形質導入するその能力について評価した。
簡単に述べると、マウス皮膚の脱毛は、ヘッジホッグ経路の強力な誘導及びGli1の発現増加に関連した毛髪成長を誘導する。この実験は、脱毛によってマウスのヘッジホッグ経路を活性化し、次に細胞内標的に結合する小分子ヘッジホッグ経路阻害剤(Gant61又はイトラコナゾール)を皮膚細胞に送達させることによって毛髪再成長の遅延を測定することから成った。図4の結果は、FSD250Dの存在下で小分子ヘッジホッグ阻害剤Gant61又はイトラコナゾール(100μM)で処理されたマウスが、FSD250Dの非存在下と比較して、処理の10日後(*)で毛髪再成長の遅延を示したことを示す。
(実施例5)
合成ペプチドシャトル剤は、HEK293細胞における小分子ナトリウムチャンネル阻害剤(QX-314)及びGFP-NLSの共細胞内送達を可能にする
小分子化合物QX-314(リドカインN-臭化エチル)は、リドカインの四級誘導体である。QX-314は膜透過性ではない。QX-314は、細胞質に送達されが場合、速いNa+依存性活動電位と電位依存性の非不活化性Na+コンダクタンスの両方を遮断する(Ilfeld及びYaksh、2009年)。ペプチドシャトル剤による小分子及びタンパク質カーゴの同時形質導入を評価するために、ナトリウムチャネルNav1.7を安定に発現するHEK293細胞を、ペプチドシャトル剤FSD194(配列番号33)の存在下又は非存在下で、QX-314及びGFP-NLSの混合物に曝露した。対照として、細胞はまた、QX-314の非存在下で、GFP-NLS及びペプチドシャトル剤FSD194で処理された。結果は、実施例1.7に記載されるパッチクランプ技術を用いて評価され、処理されたHEK293細胞の代表的な全細胞Na+電流を図5A~5Cに示す。10Hzにて10msの脱分極パルスで電流を誘発した。細胞を、ペプチドシャトル剤FSD194の存在下で、QX-314及びGFP-NLS(すなわち、1mM QX-314+15μM GFP-NLS+5μM FSD194)とともに90秒間インキュベートした場合、電流振幅の低減が観察され、これは、細胞内のQX-314の存在と一致した(図5C)。対照的に、同じ電流振幅低減は、細胞をQX-314なし(すなわち、15μM GFP-NLS+5μM FSD194+;図5A)、又はQX-314とともにインキュベートした場合には観察されなかったが、FSD194の非存在下(すなわち、2.5mM QX-314+15μM GFP-NLS;図5B)では観察されなかった。更に、GFP-NLS陽性細胞はQX-314+GFP-NLS+FSD194及びFSD194+GFP-NLS条件で同定されたが、QX-314+GFP-NLS条件では同定されなかった。これは、GFP-NLSはペプチドシャトル剤によってQX-314と実際に同時形質導入されたことを示した。
(実施例6)
確実なPI形質導入は、タンパク質カーゴ形質導入活性を有するシャトル剤を予測する
タンパク質形質導入活性を有する新規ペプチドシャトル剤を同定し、選択し、及び/又は適格化とするためのハイスループットスクリーニングの試みは、特に組換え免疫グロブリン等の複雑なタンパク質のために、大量の組換えタンパク質をカーゴとして製造及び精製するコストが高いため、急速に法外に高価となり得る。GFP又はGFP-NLSをタンパク質カーゴとして使用することは、フローサイトメトリーによる迅速なスクリーニングを可能にし、細胞内送達を評価するために有利である。しかしながら、GFP-NLSの使用は、フローサイトメトリー測定と並行して、各ペプチドシャトル剤について顕微鏡による検証を必要とし、候補シャトル剤が、エンドソームの閉じ込めを回避し、リソースと時間の消費である細胞質/核にアクセスするために、GFP-NLSカーゴを可能にすることを確実にする。したがって、タンパク質形質導入活性及びエンドソーム逃避を確実に予測することができる、より費用対効果の高い「代理」カーゴが非常に望ましい。
実施例2の結果は、GFP(及び他のタンパク質カーゴ)についての検証された形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤が、PI等の小分子を形質導入することもできることを実証する。これは、逆が真であるという興味深い可能性を提起する。PIが、タンパク質カーゴに対して確実な形質導入活性を有する新規シャトル剤をスクリーニングし、及び同定し/選択し/適格化するために、信頼できる「代理」カーゴとして使用できるかどうかである。商業的には、PIは広く入手可能であり、比較的安価である。更に、PIは、ゲノムDNAに結合した後にのみ、蛍光の20~30倍の増強された蛍光及び最大励起/発光スペクトルの検出可能なシフトを示す。この特性は、エンドソームでトラップされたカーゴを、細胞質/核コンパートメントにアクセスさせるエンドソームで放出されたカーゴから区別するのに特に適している。したがって、エンドソームにトラップされたままであるいずれのPIも核に到達せず、増強された蛍光もスペクトルシフトも示さないため、細胞内送達及びエンドソームの逃避はともにフローサイトメトリーによって測定可能である。
新規シャトル剤に対する「代理」カーゴとしてのPIの適切性を評価するために、300を超える候補ペプチドシャトル剤の専有ライブラリーを、実施例1.4に一般的に記載されるように、フローサイトメトリーを用いて、HeLa細胞におけるPIとGFP-NLS形質導入活性の両方について並行してスクリーニングした。カーゴの濃度(すなわち、PIの10μg/mL対GFP-NLSの10μM)を除いて、それ以外は、形質導入プロトコールは同じであった。
スクリーニングされた多数のペプチドのために、陰性対照を各実験バッチについて並行して行い、細胞をシャトルペプチド又はカーゴに曝露しない「無処置」(NT)対照、並びに細胞をシャトル剤の非存在下でカーゴに曝露する「カーゴ単独」対照を含んだ。結果は、図6及び図7に示され、「形質導入効率」は、カーゴ(PI又はGFP-NLS)に対して陽性である全生存細胞のパーセンテージを指す。「平均送達スコア」は、全てのカーゴ陽性細胞の中で、細胞あたりに送達されたカーゴの総量をさらなる指標を提供する。平均PI又はGFP-NLS送達スコアは、生存PI+又はGFP+細胞について測定された平均蛍光強度(少なくとも重複試料の)に、生存PI+又はGFP+細胞の平均パーセンテージを乗じ、GFP送達については100,000で除した値、又はPI送達については10,000で除した値を算出した。次に、各候補シャトル剤についてのPI及びGFP-NLSの平均デリバリースコアを、各実験バッチについて並行して行われた「カーゴ単独」陰性対照についての平均送達スコアで除することによって標準化した。したがって、図6及び図7における「標準化平均送達スコア」は、「カーゴのみ」の陰性対照に比べて、平均送達スコアが倍増したことを示す。
陰性対照で観察されたバッチ間の変動は、GFP-NLSでは比較的小さかったが、カーゴとしてのPIではかなり高かった。例えば、「カーゴ単独」陰性対照の形質導入効率の変動は、GFP-NLSで0.4%~1.3%、PIで0.9%~6.3%の範囲であった。更に、並行して(例えば、FSD174スクランブル;データは示さず)試験されたいくつかの陰性対照ペプチド(すなわち、GFP形質導入活性が低い又はないことが公知であるペプチド)の形質導入効率は、時として、「カーゴ単独」陰性対照よりもPI(ただしGFP-NLSではない)の方が、場合によっては5%も低い形質導入効率を示したが、これはおそらくPIとペプチドの間の非特異的相互作用によるものである。この現象は、GFP-NLS形質導入実験では観察されなかった。前述のことは、少なくともPIについてのシャトル剤形質導入効率が、「カーゴ単独」条件よりもむしろ陰性対照ペプチドのそれと比較してより適切であり得ることを示唆した。
PI及びGFP-NLS形質導入活性のための300を超える候補ペプチドシャトル剤のスクリーニングは、PIのための確実な形質導入効率を示すシャトル剤が、一般的に、GFP-NLSのための確実な形質導入効率と相関することを明らかにした。驚くべきことに、段階的に高いPI形質導入効率は、一般的に、漸進的に高いGFP-NLS形質導入効率と関連していた。これは、以下の表に示されるように、それらのPI形質導入効率に従って、増分ウィンドウにスクリーニングされた全ての候補シャトル剤をグループ化し、次に、その%PIウィンドウ内にある全てのシャトル剤についての平均GFP形質導入効率を計算することによって示される。
Figure 2020210916000009
図6は、平均PI形質導入効率のレベルに基づいて選別された、10%以上の平均PI形質導入効率を有する、スクリーニングされた全ての候補ペプチドシャトル剤の結果を示す。驚くべきことに、少なくとも10%の平均PI形質導入効率を有する306の候補ペプチドシャトル剤のうち、96%の候補ペプチドシャトル剤が10%以上のGFP形質導入効率を示した。少なくとも15%及び20%のPI形質導入効率の閾値は、全ての実験バッチにおいて観察された「カーゴ単独」陰性対照(約6%)についての最高のPI形質導入効率よりも少なくとも2.5倍及び3倍高い値に対応する。少なくとも15%の平均PI形質導入効率を有する図6に列挙された273の候補ペプチドシャトル剤のうち、97%の候補ペプチドシャトル剤が15%以上のGFP形質導入効率を示した。更に、少なくとも20%の平均PI形質導入効率を有する図6に列挙された256の候補ペプチドシャトル剤のうち、99.6%の候補ペプチドシャトル剤が、10%以上のGFP形質導入効率を示し、96%の候補ペプチドシャトル剤が20%以上のGFP形質導入効率を示した。
これらの結果は、確実なPI送達が、確実なタンパク質カーゴ形質導入活性を有するペプチドシャトル剤を予測し、したがって、PIは、二重カーゴ形質導入活性(すなわち、小分子及びタンパク質)を有する新規ペプチドシャトル剤をスクリーニングし、及び同定/選択/適格化するための「代理」カーゴとして実際に使用できることを強く示唆する。
少なくとも20%の平均PI形質導入効率を有する図6の候補ペプチドシャトル剤の中には、20残基未満の長さ:FSD390(17aa)、FSD367(19aa)、及びFSD366(18aa)を有するペプチドが含まれた。また、少なくとも20%の平均PI形質導入効率を有する図6の候補ペプチドシャトル剤の中には、非生理的アミノ酸類似体(例えば、L-2,4-ジアミノ酪酸残基で置き換えられるリジン残基(K)を除くFSD395に対応するFSD435)又は化学修飾(例えば、N-末端オクタン酸修飾を除くFSD10に対応するFSD438;(2-ナフチル)-L-アラニン残基で置き換えられるフェニルアラニン残基(F)を除くFSD222に対応するFSD436;N-末端アセチル基及びC-末端システアミド基を有することを除くFSD168に対応するFSD171のいずれかを含むペプチドが含まれた。これらの結果は、生理学的アミノ酸及び/又は化学的修飾の代わりに非生理的アミノ酸又はその類似体の使用に耐えるためのペプチドシャトル剤プラットフォーム技術の確実性を確認する。
(実施例7)
低レベルのPI送達はタンパク質カーゴ形質導入活性を有するペプチドシャトル剤の予測性が低い
10%未満の平均PI形質導入効率を有するが、少なくとも7%の平均GFP-NLS形質導入効率を有する、実施例6においてスクリーニングされた300を超える候補ペプチドシャトル剤の結果が図7に示され、この時点で、それらの平均GFP形質導入効率のレベルに従って選別される。
10%未満のPI形質導入効率を有する候補ペプチドについては、本明細書で使用されるスクリーニングアプローチの大規模な性質は、それらの潜在的なカーゴ形質導入活性の欠如に関して、いかなる確固たる結論も妨げ得る。実際、国際公開第2016/161516号及び国際公開第2018/068135号は、シャトル剤ペプチドが濃度依存的に機能し、シャトル剤濃度、カーゴ濃度、曝露時間、及び細胞型等の複数の要素が、形質導入アッセイにおけるシャトル剤性能に影響を及ぼし得ることを開示する。本明細書に記載される候補ペプチドシャトル剤の大規模スクリーニングは、「ブランケット」単一シャトル剤濃度、単一のカーゴ濃度、試験された各々、全てのペプチドに対する単一の曝露時間/プロトコールを課した。このように、この大規模スクリーニングにおいて観察された低いPI形質導入効率のみに基づいて、非タンパク質のカーゴ形質導入活性に関して確固たる結論を下すことは困難である。
[参考文献]
Figure 2020210916000010
Figure 2020210916000011
Figure 2020210916000012
Figure 2020210916000013

Claims (22)

  1. 標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、
    (3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する
    (2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含む
    (1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長のペプチドである、
    シャトル剤であり、
    次のパラメーター(4)~(15):
    (4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;
    (5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;
    (6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;
    (7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;
    (8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;
    (9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;
    (10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;
    (11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;
    (12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;
    (13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;
    (14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに
    (15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される
    の内の少なくとも5つが満たされ、
    前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にし、ならびに/あるいは、
    前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にし、ならびに、
    前記シャトル剤が、
    (a)配列番号35、あるいは、配列番号1~34、又は、36~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;
    (b)1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸(例えば、任意のリンカードメインを除く)で(a)アミノ酸配列と相違するアミノ酸配列;又は、
    (c)任意のリンカードメインを除いて計算されて(a)のアミノ酸配列と少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列;
    を含む、又は、からなる、合成ペプチドシャトル剤。
  2. (a)シャトル剤が、少なくとも6個の、少なくとも7個の、少なくとも8個の、少なくとも9個の、少なくとも10個の、少なくとも11個の、又は全てのパラメーター(4)~(15)を満たし;
    (b)シャトル剤が、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の最小長、及び40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、60、65、70、80、90、110、120、130、140、又は150アミノ酸の最大長を有するペプチドであり;
    (c)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、又は11.0の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、
    (d)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、正に帯電した親水性外面を含み、この外面が、(i)ヘリカルホイール投影図上に、少なくとも2個、3個又は4個の隣接する正に帯電したK及び/又はR残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上に、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、3個から5個のK及び/又はR残基を含む6個の隣接する残基のセグメントを含み;
    (e)前記両親媒性のアルファヘリックスモチーフが、疎水性の外面を含み、この疎水性の外面は、(i)ヘリカルホイール投影図上で、少なくとも2個の隣接するL残基;及び/又は(ii)ヘリカルホイール投影図上で、100度の連続アミノ酸間の回転角度及び/又はターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスに基づいて、L、I、F、V、W、及びMから選択される少なくとも5個の疎水性の残基を含む10個の隣接する残基のセグメントを含み;
    (f)前記疎水性の外面が、シャトル剤のアミノ酸の12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%、から25%、30%、35%、40%、又は45%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸から構成される高度疎水性コアを含み;
    (g)シャトル剤が、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0の下限値と、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、又は10.5の上限値との間の疎水性モーメント(μ)を有し、
    (h)シャトル剤が、+4、+5、+6、+7、+8、+9、から+10、+11、+12、+13、+14、又は+15の予測実効電荷を有し;
    (i)シャトル剤が、10~13の予測pIを有し;又は
    (j)(a)~(i)の内の任意の組み合わせである、請求項1に記載の合成ペプチドシャトル剤。
  3. 前記シャトル剤が、次のパラメーターの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は全てを満たす、請求項1又は2に記載の合成ペプチドシャトル剤:
    (8)シャトル剤が、36%~64%、37%~63%、38%~62%、39%~61%、又は40%~60%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y、及びVの任意の組み合わせから構成される;
    (9)シャトル剤が、1%~29%、2%~28%、3%~27%、4%~26%、5%~25%、6%~24%、7%~23%、8%~22%、9%~21%、又は10%~20%のアミノ酸:N、Q、S、及びTの任意の組み合わせから構成される;
    (10)シャトル剤が、36%~80%、37%~75%、38%~70%、39%~65%、又は40%~60%のアミノ酸:A、L、K、又はRの任意の組み合わせから構成される;
    (11)シャトル剤が、15%~40%、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;
    (12)シャトル剤が、20%~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;
    (13)シャトル剤が、5%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;
    (14)シャトル剤中のA及びL残基パーセンテージ(A+L%)と、シャトル剤中のK及びR残基のパーセンテージと(K+R)の差異が、9%、8%、7%、6%、又は5%以下である;並びに
    (15)シャトル剤が、15~40%、20%~35%、又は20%~30%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T、及びHの任意の組み合わせから構成される。
  4. 前記シャトル剤が、
    (i)ヒスチジンリッチドメインを含み;
    任意選択でヒスチジンリッチドメインが、
    (a)シャトル剤のN末端に向けて及び/又はC末端に向けて配置され;
    (b)少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくは少なくとも90%のヒスチジン残基を含む、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個のアミノ酸のストレッチであり、及び/又は少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個の連続するヒスチジン残基を含み;又は
    (c)(a)及び(b)の両方であり、
    (ii)セリン及び/又はグリシン残基が濃縮されたフレキシブルリンカードメインを含み;あるいは
    (iii)(i)及び(ii)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
  5. シャトル剤が環状ペプチドであり、1つ又は複数のD-アミノ酸を含む;及び/又は、
    1つ又は複数のアミノ酸に対する化学修飾を更に含み、化学修飾が、合成ペプチドシャトル剤の形質導入活性を破壊しない、請求項1から4のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤。
  6. 化学修飾が、シャトル剤のN末端及び/又はC末端にあり、ならびに/あるいは、
    化学修飾が、アセチル基(例えば、N末端アセチル基)、システアミド基(例えば、C末端システアミド基)、又は脂肪酸(例えば、C4~C16脂肪酸、好ましくはN末端)の付加である、請求項5に記載の合成ペプチドシャトル剤。
  7. 標的真核細胞におけるタンパク質カーゴと非タンパク質カーゴの両方に対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤であって、
    -請求項1の(a)において定義されたアミノ酸配列;又は、
    -請求項1の(a)に定義されたアミノ酸配列と、保存的アミノ酸置換のみで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下の保存的アミノ酸置換で、好ましくは任意のリンカードメインを除く)相違するアミノ酸配列
    を含むか又はそれからなり;
    前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にする、合成ペプチドシャトル剤。
  8. 各保存的アミノ酸置換が、同じアミノ酸クラス内のアミノ酸から選択され、アミノ酸クラスが脂肪族:G、A、V、L、及びI;ヒドロキシル又は硫黄/セレン含有:S、C、U、T、及びM;芳香族:F、Y、及びW;塩基性:H、K、及びR;酸性及びそれらのアミド:D、E、N、及びQである、請求項7に記載の合成ペプチドシャトル剤。
  9. 標的真核細胞におけるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴに対する形質導入活性を有する合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、少なくとも1つのアミノ酸が、置き換えられるアミノ酸と同様の物理化学的特性(例えば、構造、疎水性、又は電荷)の側鎖を有する対応する合成アミノ酸で置き換えられることを除き、請求項1から8のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤と同一であり、前記合成ペプチドシャトル剤バリアントが、シャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞における前記カーゴの形質導入効率を増加させ、
    合成アミノ酸の置き換えが、
    (a)α-アミノグリシン、α,γ-ジアミノ酪酸、オルニチン、α,β-ジアミノプロピオン酸、2,6-ジアミノ-4-ヘキシン酸、β-(1-ピペラジニル)-アラニン、4,5-デヒドロ-リジン、δ-ヒドロキシリジン、ω,ω-ジメチルアルギニン、ホモアルギニン、ω,ω'-ジメチルアルギニン、ω-メチルアルギニン、β-(2-キノリル)-アラニン、4-アミノピペリジン-4-カルボン酸、α-メチルヒスチジン、2,5-ジヨードヒスチジン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、スピナシン、4-アミノフェニルアラニン、3-アミノチロシン、β-(2-ピリジル)-アラニン、若しくはβ-(3-ピリジル)-アラニンのいずれか1つで塩基性アミノ酸を置き換える;
    (b)デヒドロアラニン、β-フルオロアラニン、β-クロロアラニン、β-ロドアラニン、α-アミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、β-シクロプロピルアラニン、アゼチジン-2-カルボン酸、α-アリルグリシン、プロパルギルグリシン、tert-ブチルアラニン、β-(2-チアゾリル)-アラニン、チアプロリン、3,4-デヒドロプロリン、tert-ブチルグリシン、β-シクロペンチルアラニン、β-シクロヘキシルアラニン、α-メチルプロリン、ノルバリン、α-メチルバリン、ペニシラミン、β、β-ジシクロヘキシルアラニン、4-フルオロプロリン、1-アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、4,5-デヒドロロイシン、アロイソロイシン、ノルロイシン、α-メチルロイシン、シクロヘキシルグリシン、シス-オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、β-(2-チエニル)-アラニン、フェニルグリシン、α-メチルフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、β-(3-ベンゾチエニル)-アラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-ブロモフェニルアラニン、4-tert-ブチルフェニルアラニン、α-メチルトリプトファン、β-(2-ナフチル)-アラニン、β-(1-ナフチル)-アラニン、4-ヨードフェニルアラニン、3-フルオロフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-メチルトリプトファン、4-クロロフェニルアラニン、3,4-ジクロロ-フェニルアラニン、2,6-ジフルオロ-フェニルアラニン、n-in-メチルトリプトファン、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸、β、β-ジフェニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-フェニルアラニン、若しくは4-ベンゾイルフェニルアラニンのいずれか1つで非極性(疎水性)アミノ酸を置き換える;
    (c)β-シアノアラニン、β-ウレイドアラニン、ホモシステイン、アロスレオニン、ピログルタミン酸、2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸、シトルリン、チオシトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、β-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-アラニン、2-メルカプトヒスチジン、β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-セリン、β-(2-チエニル)-セリン、4-アジドフェニルアラニン、4-シアノフェニルアラニン、3-ヒドロキシメチルチロシン、3-ヨードチロシン、3-ニトロチロシン、3,5-ジニトロチロシン、3,5-ジブロモチロシン、3,5-ジヨードチロシン、7-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソ-キノリン-3-カルボン酸、5-ヒドロキシトリプトファン、チロニン、β-(7-メトキシクマリン-4-イル)-アラニン、若しくは4-(7-ヒドロキシ-4-クマリニル)-アミノ酪酸のいずれか1つで極性非荷電アミノ酸を置き換える;及び/又は
    (d)γ-ヒドロキシグルタミン酸、γ-メチレングルタミン酸、γ-カルボキシグルタミン酸、α-アミノアジピン酸、2-アミノヘプタン二酸、α-アミノスベリン酸、4-カルボキシフェニルアラニン、システイン酸、4-ホスホノフェニルアラニン若しくは4-スルホメチルフェニルアラニンのいずれか1つで酸性アミノ酸を置き換える、
    合成ペプチドシャトル剤バリアント。
  10. -標的真核細胞へのタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ(例えば、治療的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴ)の形質導入効率を増加させるためのインビトロ又はエクスビボ方法において使用するための合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、
    合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分な濃度で使用される;あるいは、
    -治療に使用するための、合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントであって、標的真核細胞の細胞質及び/又は核に治療的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴを形質導入し、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度で使用される、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアント。
  11. タンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの形質導入のためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、標的真核細胞を、カーゴ、及び前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の、請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントと接触させる工程を含む、インビトロ又はエクスビボ方法において使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントを含む組成物。
  12. 治療に使用するための組成物であって、合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入されるタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴとともに製剤化された、請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントを含み、組成物中の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの濃度が、前記合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与の際に前記標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及び細胞質送達を増加させるのに十分である、組成物
  13. 治療的に活性なタンパク質カーゴ及び/又は非タンパク質カーゴの細胞内送達によって治療し得る疾患を治療するための組成物であって、
    前記合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入するために前記治療的に活性なタンパク質カーゴ又は非タンパク質カーゴと共に処方された請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントを含み、
    前記組成物中の前記合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントの濃度は、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与の際標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分である、組成物。
  14. 標的真核細胞における目的のカーゴに対する形質導入活性を有することが予想される候補合成ペプチドシャトル剤を製造するための方法であって、
    前記方法が、
    (3)正に帯電した親水性の外面、及び疎水性の外面を有する
    (2)両親媒性のアルファヘリックスモチーフを含む
    (1)少なくとも17、18、19、又は20アミノ酸長のペプチドである、
    ペプチドを合成する工程を含み、
    次のパラメーター(4)~(15):
    (4)疎水性の外面が、ターン当たり3.6残基を有するアルファヘリックスのオープンシリンダー表示に基づいて、ペプチドのアミノ酸の12~50%に相当する空間的に隣接するL、I、F、V、W、及び/又はMアミノ酸からなる高度疎水性コアを含む;
    (5)ペプチドが3.5~11の疎水性モーメント(μ)を有する;
    (6)ペプチドが生理学的pHで少なくとも+4の予測正味電荷を有する;
    (7)ペプチドが8~13の等電点(pI)を有する;
    (8)ペプチドが、35%~65%のアミノ酸:A、C、G、I、L、M、F、P、W、Y及びVの任意の組み合わせから構成される;
    (9)ペプチドが、0%~30%のアミノ酸:N、Q、S及びTの任意の組み合わせから構成される;
    (10)ペプチドが、35%~85%のアミノ酸:A、L、K又はRの任意の組み合わせから構成される;
    (11)少なくとも5%のLがペプチド中に存在するという条件で、ペプチドが、15%~45%のアミノ酸:A及びLの任意の組み合わせから構成される;
    (12)ペプチドが、20%~45%のアミノ酸:K及びRの任意の組み合わせから構成される;
    (13)ペプチドが、0%~10%のアミノ酸:D及びEの任意の組み合わせから構成される;
    (14)ペプチド中のA及びL残基のパーセンテージ(A+L%)と、ペプチド中のK及びR残基のパーセンテージ(K+R)との差異が、10%以下である;並びに
    (15)ペプチドが、10%~45%のアミノ酸:Q、Y、W、P、I、S、G、V、F、E、D、C、M、N、T及びHの任意の組み合わせから構成される;
    の内の少なくとも5つが満たされるペプチドを合成する工程を含み、
    シャトル剤が、前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、ヨウ化プロピジウム又は他の膜不透過性蛍光DNA挿入剤の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にし、並びに、
    前記シャトル剤が
    (a)配列番号35、あるいは、1~34、又は、配列番号36~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;
    (b)1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸(例えば、任意のリンカードメインを除く)で(a)のアミノ酸配列と相違するアミノ酸配列;
    (c)任意のリンカードメインを除いて計算されて(a)のアミノ酸配列と少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%、同一であるアミノ酸配列
    を含むか、又は、それからなり、並びに/あるいは、
    前記シャトル剤を欠く対応する陰性対照よりも少なくとも3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10倍、GFP-NLSの形質導入効率を増加させ、及び/又は前記標的真核細胞におけるカーゴ形質導入を評価するのに適した真核細胞株モデル(例えば、HeLa)において、GFP-NLSの少なくとも7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%(例えば、フローサイトメトリーにより決定した場合)の形質導入効率を可能にし、ならびに、
    前記シャトル剤が、
    (a)配列番号35、あるいは、配列番号1~34、又は、36~50、58~78、80~107、109~139、141~146、149~161、163~169、171、174~234、236~240、242~260、262~285、287~294、296~300、302~308、310、311、313~324、326~332、338~342、若しくは344のいずれか1つのアミノ酸配列;
    (b)1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個以下のアミノ酸(例えば、任意のリンカードメインを除く)で(a)のアミノ酸配列と相違するアミノ酸配列;又は、
    (c)任意のリンカードメインを除いて計算されて(a)のアミノ酸配列と少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列
    を含むか、又は、それからなる、
    、方法。
  15. 非タンパク質カーゴ形質導入のためのインビボ又はエクスビボにおける使用のための組成物であって、前記方法は、標的真核細胞を、非タンパク質カーゴ、及び合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、前記非タンパク質カーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度の前記合成ペプチドシャトル剤と接触させる工程を含み、
    前記非タンパク質カーゴが、
    (a)有機化合物であり;
    (b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;
    (c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;
    (d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;
    (e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは
    (f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、
    組成物。
  16. 前記合成ペプチドシャトル剤が、請求項1から9のいずれか一項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントである、請求項15に記載の組成物。
  17. -標的真核細胞への非タンパク質カーゴ(例えば、治療的に活性な非タンパク質カーゴ)の形質導入効率を増加させるためのインビトロ又はインビボ方法において使用するための合成ペプチドシャトル剤を含む組成物であって、
    合成ペプチドシャトル剤が、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率並びに細胞質送達及び/又は核送達を増加させるのに十分な濃度で使用され;あるいは、
    -治療に使用するための、合成ペプチドシャトル剤を含む組成物であって、標的真核細胞の細胞質及び/又は核に治療的に活性な非タンパク質カーゴを形質導入し、前記合成ペプチドシャトル剤が、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率を増加させるのに十分な濃度で使用され、
    前記非タンパク質カーゴが、
    (a)有機化合物であり;
    (b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;
    (c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;
    (d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;
    (e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは
    (f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、
    組成物。
  18. 前記合成ペプチドシャトル剤が、請求項1から9のいずれか一項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントである、請求項17に記載の組成物。
  19. 合成ペプチドシャトル剤によって標的真核生物才能に形質導入するために治療的に活性な非たんぱく質カーゴと共に製剤化された合成ペプチドシャトル剤を含む、治療における組成物であって、
    前記組成物中の前記合成ペプチドシャトル剤の濃度は、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与の際標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及びサイトゾル送達を増加させるのに十分であり、
    前記非タンパク質カーゴが、
    (a)有機化合物であり;
    (b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;
    (c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;
    (d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;
    (e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは
    (f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、
    組成物。
  20. 前記合成ペプチドシャトル剤が、請求項1から9のいずれか一項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントである、請求項19に記載の組成物。
  21. 治療的に活性な非タンパク質カーゴの細胞内送達によって治療し得る疾患を治療するための組成物であって、
    前記合成ペプチドシャトル剤によって標的真核細胞に形質導入するために前記治療的に活性な非タンパク質カーゴと共に処方された合成ペプチドシャトル剤を含み、
    前記組成物中の前記合成ペプチドシャトル剤の濃度は、合成ペプチドシャトル剤の非存在下と比較して、投与の際標的真核細胞へのカーゴの形質導入効率及びサイトゾル送達を増加させるのに十分であり、
    前記非タンパク質カーゴが、
    (a)有機化合物であり;
    (b)分子量が10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000若しくは1000Da未満、又は50~5000、50~4000、50~3000、50~2000若しくは50~1000Daであり;
    (c)細胞内の生物学的又は治療標的に結合する小分子薬物等の小分子であり;
    (d)ポリヌクレオチド又は多糖等の生体高分子ではなく;
    (e)形質導入時に合成ペプチドシャトル剤と共有結合されない;或いは
    (f)(a)~(e)の内の任意の組み合わせである、
    組成物。
  22. 前記合成ペプチドシャトル剤が、請求項1から9のいずれか一項に定義される合成ペプチドシャトル剤又は合成ペプチドシャトル剤バリアントである、請求項21に記載の組成物。
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