JPWO2020204001A1 - 水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物 - Google Patents

水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物 Download PDF

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Abstract

レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤、及び水を含有する混合物を調製する工程Aと、得られた混合物を、湿式ビーズミル粉砕する工程Bと、を含み、レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粒子の平均粒子径が200nm以下である、水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物。

Description

本開示は、水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物に関する。
レバミピド又はその塩は、抗潰瘍剤或いは抗炎症剤として有用である。
レバミピド又はその塩は、例えば、胃壁等の粘膜上皮が産生する粘液分泌を促進することで、粘膜上皮を保護する、プロスタグランジンの産生を促進することで胃粘膜の血流を促し胃炎や胃潰瘍の治癒を促進する、TNF−α、IL−8等の炎症性サイトカンの産生を抑制することで抗炎症効果を発現する、等の機能を有することが知られている。
さらに、近年、レバミピド又はその塩による眼の粘膜修復作用が着目されている。レバミピドは、眼のゴブレット細胞の増加作用、眼の角膜及び結膜の粘液増加作用、涙液層の安定化作用等の機能を有するため、ドライアイ、すなわち眼球乾燥症群の治療剤等に有用であることが知られ、実際に製剤化もなされている。
レバミピドは、水に難溶又は不溶であり、既販品では数マイクロメートルのレバミピド粒子(結晶)として主に存在するため、経口投与する場合には溶解速度が遅く、経口吸収性が低いという問題がある。また、レバミピドを点眼薬として使用する場合にはレバミピド粒子が保管中に沈降し、点眼前に再懸濁する必要があり、使用に際して手間がかかるという問題がある。経口吸収性を改善する観点及び再懸濁操作を不要にする観点から、粒子の微細化及び微細な粒子の安定性が良好であることが望まれている。特に、十分な薬効を得るためにレバミピドを高濃度で配合する場合、又は、レバミピドを点眼薬に使用する場合には、粒子の微細化及び微細な粒子の安定性向上の要望が高く、製剤化に際して種々の検討がなされている。
例えば、特開2014−77012号公報には、レバミピドの原薬をアルカリに溶解させ、溶液中に、水溶性高分子などを含む酸を添加し、ジェットミル粉砕を行なうことで、レバミピドの長径1000nm以下のレバミピドの針状結晶を得て、眼科用製剤として適用しうる水性懸濁液を製造する方法が記載されている。特開2014−77012号公報には、分散に用いる水溶性高分子等として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート80等が開示されている。
特開2016−94417号公報には、平均粒子径が500nm以下のレバミピドと、分散剤と、粘度増強剤とを含有し、薬液粘度が10mPa・s〜500mPa・sの範囲内にある口腔粘膜障害治療用の医薬組成物が開示されている。特開2016−94417号公報における医薬組成物の製造方法は特開2014−77012号公報に記載の方法と同様である。
上述の通り、水に難溶なレバミピドを医薬組成物に適用する際に、微細な粒子の分散物を得る方法としては、種々の提案がなされている。
特開2014−77012号公報及び特開2016−94417号公報に記載のいずれの水性懸濁液組成物の製造方法も、水に難溶なレバミピドをまず高濃度のアルカリ(pH13以上)に溶解し、その後、高分子化合物、界面活性剤等の存在下に酸と中和反応させ、更にジェットミル粉砕により微細な結晶を得る方法である。
特開2014−77012号公報及び特開2016−94417号公報に記載の方法によれば、レバミピド粒子をある程度微細化しうる。しかし、いずれの方法も微細な水性懸濁液組成物を得るために、アルカリ溶解工程、酸析出工程及びジェットミル粉砕工程の3工程、更に脱塩のための透析工程、レバミピド濃度測定工程及び容量調整工程の6工程を経る工程数の多い方法である。
また、特開2014−77012号公報及び特開2016−94417号公報に記載の水性懸濁液組成物は、いずれも微細な分散粒子の経時的な分散安定性についての検討はなされていない。例えば、特開2014−77012号公報に記載の製造方法では、実施例6によれば、レバミピド2質量%水性懸濁液を60℃2週間保存した後に、透析を行なった場合でも粒子径は213nmとなり、透析を行なわない場合に至っては、保存後の粒径は459nmとなる結果が示されている。このように、アルカリ溶解を経る製造方法をとる場合は、保管中に微細粒子の粒子径を維持することができていない。また、特開2016−94417号公報に記載の製造方法では、レバミピドはアルカリ可溶性であることが必要であり、濃縮前のレバミピド水性懸濁液組成物中のレバミピド濃度は2質量%が上限となる。従って、レバミピド濃度が2質量%より上回る水性懸濁液組成物は透析等の濃縮工程を経ないと作製することができない。
レバミピド粒子は、平均粒子径200nm以下という微細化及び微細な粒子の安定化が達成されることで、レバミピド粒子の比表面積が大きくなり、これによって腸管におけるレバミピド溶解速度が向上し、レバミピドの経口吸収性が向上することが期待できる。
また、既存の点眼薬では、平均粒子径200nm以下の微細なレバミピド粒子を用いることにより、10マイクロメートル程度のレバミピド粒子が含まれることに起因すると推察される涙道閉塞及び涙道閉塞に伴う涙嚢炎の発生を抑制できる可能性、更に点眼薬の製造時に必要とされる滅菌操作において、孔径200nmの濾過フィルターを用いた濾過滅菌が可能になること等の種々の利点が期待できる。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、平均粒子径が200nm以下の微細なレバミピド粒子を含み、且つ、微細な粒子径が長期間維持される水性懸濁液組成物の製造方法を提供することである。
本発明の別の一実施形態の課題は、200nm以下の微細なレバミピド粒子を含み、微細な粒子径が長期間維持される水性懸濁液組成物を提供することである。
上記の課題を解決するための手段は以下の実施形態を含む。
<1> レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤、及び水を含有する混合物を調製する工程Aと、得られた混合物を、湿式ビーズミル粉砕する工程Bと、を含み、レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粒子の平均粒子径が200nm以下である水性懸濁液組成物の製造方法。
<2> 工程A及び工程Bにおける上記混合物の全質量に対するレバミピド及びその塩の合計含有量が、2質量%より大きく40質量%以下である、<1>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<3> 工程A及び工程Bにおける上記混合物の全質量に対するレバミピド及びその塩の合計含有量が、3質量%〜30質量%である、<1>又は<2>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<4> 上記水溶性分散剤が、親水基を有するビニルポリマー及びセルロース誘導体から選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<5> 上記セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<4>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<6> 上記セルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである、<4>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<7> 上記親水基を有するビニルポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、コポビドン、ポリメタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<4>〜<6>のいずれか1つに記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<8> 上記親水基を有するビニルポリマーが、ポリビニルピロリドンである、<4>〜<6>のいずれか1つに記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<9> 上記工程Bの後に、さらに、混合液のpHを3.5〜7.5の範囲に調整する工程Cを含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<10> 上記工程Bの後に、さらに、分散安定化剤としてセルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種を添加する工程Dを含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<11> 上記分散安定化剤としてのセルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、<10>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<12> 上記レバミピド及びその塩の合計含有量1質量部に対し、上記分散安定化剤としてのセルロース誘導体を、0.02質量部〜2質量部添加する、<10>又は<11>に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
<13> 平均粒子径200nm以下であるレバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子から選ばれる少なくとも1種と、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる少なくとも1種であり、上記レバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子の合計含有量1質量部に対する合計含有量が0.02質量部〜2質量部である水溶性分散剤と、水と、を含む、水性懸濁液組成物。
<14> さらに、ポリビニルピロリドンを含む、<13>に記載の水性懸濁液組成物。
本発明の一実施形態によれば、平均粒子径が200nm以下の微細なレバミピド粒子を含み、且つ、微細な粒径が長期間維持される水性懸濁液組成物の製造方法を提供することができる。
本発明の別の一実施形態によれば、200nm以下の微細なレバミピド粒子を含み、微細な粒径が長期間維持される水性懸濁液組成物を提供することができる。
以下、本開示の水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、分散粒子の凝集に起因する粒子径の増大及び粒子の沈降が抑制され、微細な粒子径が長期間維持されることを「粒子の分散安定性」と称することがある。
本開示における「懸濁液」とは、動的光散乱法にて測定した平均粒子径が200nm以下である水不溶性の粒子が液体中に分散した分散液を指す。なお、粒子の平均粒子径が小さく、目視の観察によって透明に視認される場合も、上記水不溶性の粒子が分散された状態で含まれる分散液である場合は、本開示における「懸濁液」に含まれる。
懸濁液中の分散粒子の平均粒子径の測定方法については後述する。
<水性懸濁液組成物の製造方法>
本開示の水性懸濁液組成物の製造方法(以下、単に本開示の製造方法と称することがある)は、レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤、及び水を含有する混合物を調製する工程Aと、得られた混合物を、湿式ビーズミル粉砕する工程Bと、を含み、レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粒子の平均粒子径が200nm以下である。
なお、本開示において、レバミピド又はその塩を「レバミピド」と称することがある。以下、特に断らない限り、本開示における「レバミピド」はその塩を包含する意味で用いられ、「レバミピドの粒子」又は「レバミピド粒子」は、レバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子を包含する意味で用いられる。
以下、水性懸濁液組成物の製造方法について、工程毎に順次説明する。
〔工程A〕
工程Aは、レバミピド又はその塩、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤、及び水を含有する混合物を調製する工程である。
(レバミピド又はその塩)
工程Aにおける混合物は、レバミピドを含む。
レバミピドは、抗潰瘍剤として有用であり、2−(4−Chlorobenzoylamino)−3−(2−oxo−1,2−dihydroquinolin−4−yl)propanoic acid〔2−(4−クロルベンゾイルアミノ)−3−(2−キノロン−4−イル)プロピオン酸〕とも称される。
レバミピドは、例えば、胃炎及び胃潰瘍治療剤、ドライアイ、すなわち、眼球乾燥症の治療に使用された例がある。また、レバミピドは唾液分泌促進用医薬組成物への使用も知られている。さらに、レバミピドの経口剤が、インターロイキン−8産生抑制作用を有すること、及びその適用の一つに口内炎治療が含まれることが知られている。
レバミピドの塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、カルシウム塩、金属塩(アルミニウム、鉄、亜鉛、銅、ビスマス等)、トリエタノールアミン塩、トロメタモール(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)塩、メグルミン塩、ジエタノールアミン塩、テトラメチルエタンジアミン塩、ニコチンアミド塩、アンモニウム塩(ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、セチルピリジニウム等)が挙げられる。
なかでも、水溶性が低く粉砕工程で微細に加工できる観点から、塩としては、ヘキサメチルトリメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、セチルピリジニウム塩、カルシウム塩、鉄塩等が好ましい。
混合物は、レバミピドを1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。2種以上のレバミピドを含む場合、レバミピド(単体)とレバミピドの塩とを含んでもよく、レバミピドの互いに異なる2種以上を含んでもよい。
本開示の製造方法に用いられるレバミピドには特に制限はなく、合成により得てもよく、市販品として入手することも可能である。
例えば、レバミピドは、特公昭63−35623号公報に記載の方法や特開2004−131506号に記載の方法により合成することができる。なお、特公昭63−35623号、特開2004−131506号の各公報に記載される事項は、参照により本開示に組み込まれる。
また、レバミピドの市販品は、例えば、東京化成工業株式会社などより入手できる。
工程Aにおける混合物は、混合物の全質量に対するレバミピドの含有量が2質量%より大きく40質量%以下が好ましく、含有量は3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
混合物の全質量に対するレバミピドの含有量が2質量%より大きく40質量%以下であることで、工程Aに引き続いて行なわれる工程Bの湿式ビーズミル粉砕において、固体状のレバミピドと粉砕メディアとの接触頻度が好ましい範囲となる。レバミピドと粉砕メディアとの接触頻度が好ましい範囲となることで、レバミピドの粉砕効率がより良好となり、微細化速度がより速くなり、且つナノオーダーの微細な粒子が得られやすく、得られた粒子の安定性も良好となる。さらに、混合物に有効成分であるレバミピドが十分な量含有されることにより、得られた水性懸濁液組成物におけるレバミピドの薬効が期待できる。
(2質量%水溶液の粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤)
工程Aにおける混合物は、「2質量%水溶液の粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤」(以下、特定分散剤と称することがある)を含む。
本開示における水溶性分散剤とは、25℃の水に2質量%以上溶解する分散剤を指す。
特定分散剤は、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である。
特定分散剤の2質量%水溶液の粘度は、以下の方法で測定することができる。
特定分散剤200mgを、25℃の水に溶解し、全量を10gとすることで、特定分散剤の2質量%水溶液を得る。得られた水溶液を、雰囲気温度25℃の環境下で1時間静置した後、振動式粘度計を用いて、粘度を測定することができる。
なお25℃における粘度とは、特定分散剤の水溶液の温度が25℃であるものを測定対象として測定した粘度を示す。
本開示においては、粘度は、セコニック(株)製の振動式粘度計(型名:VM−10A)を用いて測定した値を採用している。
特定分散剤の2質量%水溶液の25℃にて測定した粘度は15mPa・s以下であり、12mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以下であることがさらに好ましい。
2質量%水溶液の25℃にて測定した粘度の下限値には特に制限はないが、ビーズミル粉砕の効率向上の観点からは、0.8mPa・s以上とすることができる。
特定分散剤としては、親水基を有するビニルポリマー及びセルロース誘導体から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、本開示における「親水基を有するビニルポリマー」とは、ビニル基由来の構造単位を含み、親水基として、水酸基、アミド基、カルボキシル基、ポリオキシエチル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、アンモニウム基、グアニジニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、ホスホニウム基、ホスファチジルコリン基、チオラート基、スルホニウム基、ニトロ基、イミド基、カルバメート基、カルボナート基、エステル基、カルボニル基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する水溶性の化合物を指す。
また、本開示における「セルロース誘導体」とは、セルロース骨格を含む水溶性の化合物であって、セルロース骨格を含み、且つ、親水性の部分構造を有する化合物、又は、セルロース骨格を含み、且つ、親水基を有する化合物を指す。
特定分散剤の好ましい例であるセルロース誘導体は、より具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、なかでも、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであることが更に好ましい。
特定分散剤の別の好ましい例としては、親水基を有するビニルポリマーが挙げられる。親水基を有するビニルポリマーは、より具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、コポビドン、ポリメタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリビニルピロリドンであることがより好ましい。
なお、本開示における「ポリメタクリル酸誘導体」とは、メタクリル酸由来の構造単位を含み、エステル体、アミド体及び他ポリマーとの共重合体を含む。本開示における「ポリアクリル酸誘導体」とは、アクリル酸由来の構造単位を含み、エステル体、アミド体及び他ポリマーとの共重合体を含む。ポリメタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体のエステル体としては、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ジメチルアミノエステル、塩化トリメチルアンモニウムエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、2−エチルプロピルエステル、デンプンエステル、グリシジルエステル、アセトアセトキシエチルを含む。ポリメタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体のアミド体としては、未置換体(アクリルアミド又はメタクリルアミド)、イソプロピルアミド、ジアセトンアミド、2−メチルプロパンスルホン酸アミド、tert-ブチルアミドを含む。他ポリマーとの共重合体としては、アクリル酸及びアクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルの共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸及びアクリル酸エステルの共重合体、アクリル酸及び酢酸ビニルの共重合体、アクリル酸及びポリビニルアルコールの共重合体、アクリル酸シルクフィブロイン共重合体等を含む。
なお、上記親水基を有するビニルポリマー及びセルロース誘導体から選択される少なくとも1種は、分子量によっては、本開示に規定する「2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下」であるという条件を満たさない化合物もある。本開示における特定分散剤は、上記好ましい例示化合物であって、且つ、「2質量%水溶液の25℃にて測定した粘度は15mPa・s以下」であるという条件を満たす化合物を指すことはいうまでもない。例えば、ポリビニルピロリドンであっても、2質量%水溶液の25℃にて測定した粘度は15mPa・sを超える化合物は、本開示における特定分散剤には包含されない。
特定分散剤は市販品を用いてもよい。なお、以下の市販品名に併記したかっこ内に示す粘度は、特定分散剤の2質量%水溶液の粘度である。
市販品としては、ポリビニルピロリドンK25(PVP−K25)[Kollidon(登録商標)25)、粘度:1.3mPa・s]、ポリビニルピロリドンK30(PVP−K30)[Kollidon(登録商標)30、粘度:1.4mPa・s]、ポリビニルピロリドン90F(PVP−90F)[Kollidon(登録商標)90F、粘度:8.7mPa・s]以上、BASF(株)製、メチルセルロースSM4(MC−SM4)[メトローズ(登録商標)SM−4、粘度:3.6mPa・s]以上、信越化学工業(株)製]、ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5E(HPMC−TC5E)[ヒプロメロース(登録商標)TC−5E、粘度:2.7mPa・s]、ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5M(HPMC−TC5M)[ヒプロメロース(登録商標)TC−5M、粘度:3.8mPa・s]、ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5R(HPMC−TC5R)[ヒプロメロース(登録商標)TC−5R、粘度:4.7mPa・s]、ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5S(HPMC−TC5S)[ヒプロメロース(登録商標)TC−5S、粘度:11.3mPa・s]以上、信越化学工業(株)製、[ヒドロキシプロピルセルロースSSL(HPC−SSL)[商品名:NISSO HPCSSL、粘度:2.5mPa・s]、ヒドロキシプロピルセルロースSL(HPC−SL)[商品名:NISSO HPC SL、粘度:4.5mPa・s]以上、メーカー:日本曹達(株)製等が挙げられる。
工程Aにおける混合物は、特定分散剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。なお、特定分散剤を2種以上含む場合、2種以上の混合物として測定した2質量%水溶液の粘度が15mPa・s以下であることを要する。
混合物の全質量に対する特定分散剤の含有量は、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜8質量%であることがより好ましい。
また、混合物におけるレバミピドと特定分散剤の含有量の質量比は、1:0.02〜1:1が好ましく、1:0.02〜1:0.5がより好ましく、1:0.1〜1:0.5がさらに好ましい。
(水)
工程Aにおける混合物は、水を含む。
混合物の調製に用いられる水は、不純物が少ないという観点から、イオン交換水、純水、超純水、注射用水、精製水等が好ましい。
混合液の調製に際しては、特定分散剤を予め水に溶解した水溶液を得て、得られた水溶液にレバミピドを添加し、その後、さらに水を添加して、混合物中に含まれるレバミピドの含有量を上記2質量%より大きく40質量%以下の範囲に調整することが好ましい。
混合液には、目的に応じて、pH調整剤、緩衝剤、界面活性剤、等張化剤、保存剤等の公知の添加剤をさらに含有させることもできる。なお、添加剤の詳細については、後述する。
〔工程B〕
工程Bは、工程Aで得た混合物を、湿式ビーズミル粉砕する工程である。
工程Bを経ることで、平均粒子径200nm以下のレバミピド粒子が含まれる水性懸濁液組成物を得ることができる。
より具体的には、工程Aで得られた混合物を、固体分散機を用いて機械的分散処理を行ない、分散媒中で、固体状のレバミピドを粉砕し、微細なレバミピドの分散粒子を含む分散物を調製する。
湿式ビーズミル粉砕は、メディアを用いる湿式分散処理法に包含され、固体状のレバミピドを含む混合物と、目的に応じて選択された素材と粒径を有するメディアであるビーズとを混合して、分散を行う方法である。
動力源から粉砕メディアに伝えられたエネルギーが、圧縮、衝撃、せん断、摩擦などの力となって固体状のレバミピドに加えられ、固体状のレバミピド中に応力を生じさせてこれを変形し破壊させることによって粉砕し、微細なレバミピドの分散粒子を含む分散物を調製することができる。
分散方式としては、バッチ式と、循環式(連続法)が知られており、いずれの方法も、工程Bに適用することができる。
メディアとしては、より微細な分散粒子を得ることができるという観点から、ビーズを用いる。
分散に用いるビーズの材質としては、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、ステアタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、砂、メノー、鋼球、ステンレス、ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス等の無機化合物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド等の高分子樹脂、氷等が挙げられる。なお、イットリア安定化ジルコニアは、単にジルコニアと呼ばれることがある。
なかでも、分散力が強く、耐久性に優れ、且つメディアに起因する不純物混入の懸念が小さいという観点から、ジルコニアビーズ(イットリア安定化ジルコニアビーズを含む)が好ましい。
メディアに運動力を付加するメディア分散機には、撹拌方式、メディアの分離機構、縦型か横型か、冷却方式等によって種々の分散機に分類される。
これらのメディア分散機の中でも、特に直径が0.1mm以下の微小ビーズの分離機構を備えたビーズミルが好ましい。
直径が0.1mm以下の如き微小ビーズ分離機構を有するビーズミル分散機の市販品としては、ウルトラアペックスミル(メーカー:広島メタル・マシナリー(株))、スターミル(メーカー:アシザワ・ファインテック(株))、パールミル(メーカー:ビューラー社)、OBミル(メーカー:フロイント産業(株))、ダイノーミル(メーカー:WAB社)等が挙げられ、いずれも本開示の製造方法に使用することができる。なお、分散処理に使用し得る分散装置は既述の例に限定されない。
湿式ビーズミル粉砕における好ましい粉砕、分散条件としては、種々の条件が挙げられ、例えば、分散に用いるメディアとしてのビーズの粒子径は、到達粒子径を小さくする観点からは、小さい方が好ましい。一方、粒子に与えるエネルギーが大きくなるため、数十マイクロメートル以上の粗大粒子を粉砕する速度が速い観点及び粉砕後のビーズと懸濁液との分離がしやすい観点からは、ビーズの粒子径は大きい方が好ましい。
粉砕に用いるビーズは、より微細な分散粒子を生成しやすいという観点から、直径が0.02mm以上1mm以下のビーズが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下がより好ましく、0.05mm以上0.1mm以下がさらに好ましい。なかでも、上記直径のジルコニアビーズが好ましい。
その他の分散条件の好ましい態様を挙げる。
ビーズの充填量は、分散装置として、バッチ式、連続循環式のいずれを用いる場合においても、レバミピド粉砕効率を高める観点から、レバミピド1質量部に対して7.5質量部〜60質量部であることが好ましく、15質量部〜60質量部であることがより好ましく、30質量部〜60質量部であることが更に好ましい。レバミピド1質量部に対して7.5質量部〜60質量部とは、レバミピドに対するビーズの充填量が質量比で7.5倍量〜60倍量であることを意味する。
なお、循環式分散装置の場合は、ビーズ充填量は、砕室中に含まれているレバミピド1質量部に対するビーズ充填量を意味する。
ビーズの充填密度は、分散装置として、バッチ式を用いる場合、容器1L(リットル)中に、1kg〜4kgとすることができ、1.5kg〜3.0kgの範囲であることが好ましい。また、連続循環式を用いる場合、ビーズの充填密度は、砕室1L(リットル)中に、0.1kg〜3.7kgとすることができ、1.0kg〜3.0kgの範囲であることが好ましく、2.0kg〜3.0kgの範囲であることがより好ましい。
ビーズミル粉砕において、バッチ式のビーズミル装置を用いる場合、粉砕装置の回転数は、500rpm(revolutions per minute、以下同じ)〜3000rpmとすることができ、1000rpm〜2000rpmが好ましい。
また、ビーズミル粉砕において、連続循環式のビーズミル装置を用いる場合、装置の砕室に10g/分〜500g/分、好ましくは100g/分〜200g/分の速度で被分散物を循環させ、回転数400rpm〜6000rpm、好ましくは2000rpm〜3000rpmの条件で湿式ビーズミル粉砕することが好ましい。
粉砕時間としては、一般的なバッチ式のビーズミル装置を用いる場合は、2時間〜24時間とすることができ、4時間〜18時間が好ましく、8時間〜16時間が更に好ましい。連続循環式のビーズミル装置を用いる場合、粉砕時間は、2時間〜12時間とすることができ、4時間〜7時間が好ましい。
粉砕処理における温度は、常温(25℃)より低い温度が好ましく、外温で3℃〜8℃とすることが好ましく、冷却水にて装置全体を冷却する場合には冷却水の温度は3℃〜8℃とすることが好ましい。
なお、ビーズの分離機構を備えていないビーズミル分散装置であっても、分散及び粉砕処理後に、ビーズ濾過の後工程を加えることで本開示の製造方法に使用することができる。
本開示の製造方法に使用し得るビーズの分離機構を備えていない分散機としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、及び遊星ボールミルが挙げられる。
ボールミルは、回転台の上にスラリーとビーズを入れた磁製、ナイロン製、ポリマー製、ステンレス製等から選ばれる材料により形成されたポットを載せて回転させる分散装置である。
サンドグラインダーミルとしては、スラリーの粘性に応じてアジテーターの形状をピン型、ディスク型に変えることができる形態の装置が多く、レディーミル(商品名:アイメックス)等が知られている。
遊星型ボールミルはスラリーとボールを入れたベッセルが自転しながら公転する構造になっており、一般のボールミルより分散効率に優れている。遊星型ボールミルの例としては、遊星型ボールミル(商品名:フリッチュ)、自転・公転ナノ粉砕機NP−100(商品名:シンキー)等が挙げられる。
湿式ビーズミル粉砕処理において、固体状のレバミピドを粉砕して分散粒子を調製する際に、ジルコニアビーズを用いたメディア分散処理を行う場合、二段階以上の多段分散処理を行うことができ、三段階以上の多段分散処理を行なってもよい。
多段の分散処理を行なう場合には、二段目以降の最終的な分散処理を経た後、レバミピド粒子が、目的とする平均粒子径200nm以下まで微細粒子に粉砕、分散された分散物を得ることができればよい。
一方、製造がより容易であるという観点からは、一段階で、微細な分子の分散物を製造できることが好ましい。
既述の如く、本開示の製造方法において、多段階分散を行なう場合には、いずれかの段階で湿式ビーズミル粉砕分散処理法を含むことが好ましく、多段階分散のうち最終段階の分散処理において、メディアとしてのビーズを用いる湿式ビーズミル粉砕分散処理法を行なうことがより好ましい。
機械的分散工程において、多段分散処理を行う際、一段目の分散処理である粗分散処理に補助的に用いることのできる、メディア分散機以外の分散機としては、レオロジー剪断力型分散機である、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、クレアミックス(商品名:エムテクニック)等の撹拌機、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(商品名:マイクロフルイディクス)、ナノマイザー(商品名:吉田機械興業)、スターバースト(商品名:スギノマシン)、ゴーリンホモジナイザー(商品名:APV)、ラニエホモジナイザー(商品名:ラニエ)、高圧ホモジナイザー(商品名:ニロ・ソアビ)、ホモゲナイザー(商品名:三和機械)、高圧ホモゲナイザー(商品名:イズミフードマシナリ)、超高圧ホモジナイザー(商品名:イカ)等が挙げられる。
なお、機械的分散処理は、三段階以上の多段分散処理であってもよい。
本開示の製造方法では、湿式ビーズミル粉砕処理法を適用する際に、原料としての固体状のレバミピドに、特定分散剤を共存させることで、平均粒子径が200nm以下の微細な粒子の分散物が得られ、且つ、得られた粒子は粒径の安定性が良好であり、経時による粒子の凝集に起因する粒径の増大が抑制され、分散安定性に優れる。
本開示の製造方法の作用機構は明確ではないが、以下の如く考えている。
本開示の製造方法では、固体状のレバミピドと特定分散剤とを共存させて分散物を調製することで、粉砕されたレバミピド粒子の破砕面の少なくとも一部に特定分散剤が吸着する。粉砕を継続することで、レバミピド粒子の新たな破砕面にさらに特定分散剤が吸着し、微細化された粒子は、少なくともその表面の一部が特定分散剤に被覆された如き粒子となる。従って、水を含む分散媒中において、隣接する分散粒子同士の再凝集及び再結晶化が、粒子表面の少なくとも一部に吸着した特定分散剤の存在により効果的に抑制されると考えられる。
特定分散剤の2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下であることは、特定分散剤の分子の絡みが少ないことを意味する。分子の絡みが少ない特定分散剤の共存下で、固体状のレバミピドを湿式粉砕処理することで、粉砕と、粉砕された微細な粒子表面への特定分散剤の付着が速やかに行なわれる。このため、得られた粒子は微細であり、且つ、分散安定性の優れた粒子となると考えられる。
分散剤の2質量%水溶液の25℃における粘度が高すぎる場合、ビーズミル粉砕処理時のレバミピドとメディアであるビーズとの接触による粉砕の効果が阻害され、粉砕の効率が低下する。さらに、分散剤水溶液の粘度が高いことで、粉砕された粒子の新たな表面への分散剤の付着性も低下するため、得られた分散粒子の安定化を達成し難くなると考えられる。
従って、本開示の製造方法により得られたレバミピド粒子を含む水性懸濁液組成物は、レバミピド粒子の平均粒子径が200nm以下のナノオーダーとなり、且つ、粒子の分散性、及び分散安定性に優れる。
湿式ビーズミル粉砕法による分散処理を行なうことで、得られたレバミピド粒子の平均粒子径を、200nm以下とすることができる。レバミピド粒子の平均粒子径は50nm〜180nmがより好ましく、50nm〜150nmがさらに好ましい。
本開示におけるレバミピド粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
測定は、設定温度25℃の条件下で行なう。
得られた粒子径分布を、解析手法:CONTIN、分布:散乱光強度分布にて解析し、累積分布頻度50%(d50値)を与える粒子径を平均粒子径として採用する。
本開示におけるレバミピド粒子の平均粒子径は、多検体ナノ粒子測定システム(例えば、nanoSAQLA/オートサンプラAS50、大塚電子(株)製)又は、濃厚系粒径アナライザー(例えば、FPAR−1000AS、大塚電子(株)製)等を用いて行なう。多検体ナノ粒子測定システムと、濃厚系粒径アナライザーとは、測定原理が同じであることから、これらのいずれで測定した場合も、測定結果は同一とみなせる。
なお、同一の試料の平均粒径を、多検体ナノ粒子測定システムと濃厚系粒径アナライザーとを用いて測定し、測定誤差などの影響により異なる結果が得られた場合、本開示では得られた値のうち小さい方の値を、水性懸濁液組成物に含まれるレバミピド粒子の平均粒子径として採用する。
本開示の製造方法は、既述の工程A及び工程Bに加え、さらに、任意の工程を含むことができる。
任意の工程としては、例えば、工程Bの後に、混合液のpHを3.5〜7.5の範囲に調整する工程、工程Bの後に、分散安定化剤の少なくとも1種を添加する工程、工程Bの後に、水を加えて水性懸濁液組成物におけるレバミピド濃度を調整する工程、得られた水性懸濁液組成物を滅菌処理する工程、得られた水性懸濁液組成物を粉末化する工程等が挙げられる。
(工程C)
任意の工程である工程Cは、既述の工程Bの後に行なわれ、混合液のpHを3.5〜7.5の範囲に調整する工程である。混合液のpHを3.5〜7.5の範囲に調整することにより、分散粒子の安定性がより良好となる。
pHの調製は、公知のpH調整剤を用いて行なうことができる。
pH調整剤は、生体適合性の酸又はアルカリ剤であれば特に制限なく用いることができる。公知のpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩酸(HCl)、NaOH水溶液、HCl水溶液等が挙げられ、目的に応じて適宜用いられる。
本開示の水性懸濁液組成物の製造方法では、工程Bで得られた水性懸濁液組成物に、さらに、分散安定化剤の少なくとも1種を添加する工程を含むことができる。分散安定化剤は、既述の特定分散剤から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
なかでも、分散安定化性向上効果がより良好であるという観点からは、分散安定化剤を添加する工程は、工程Bで得られた水性懸濁液組成物に、分散安定化剤としてセルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種を添加する、以下に示す工程Dであることが好ましい。
(工程D)
工程Dは、工程Bで得られた水性懸濁液組成物に、分散安定化剤としてセルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種を添加する工程である。
セルロース誘導体としては、特定分散剤にて好ましい例として挙げたセルロース誘導体と同じものを用いることができる。
なかでも、分散安定化剤としてのセルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
分散安定化剤としてのセルロース誘導体は、レバミピド又はその塩の合計含有量1質量部に対し、0.02質量部〜2質量部添加することが好ましい。
添加量としては、レバミピド又はその塩の合計含有量1質量部に対し、0.03質量部〜0.5質量部がより好ましく、0.05質量部〜1質量部がさらに好ましい。
工程A及び工程Bにより、水性懸濁液組成物を調製した後、さらに、分散安定化剤としてセルロース誘導体の少なくとも1種を添加することで、レバミピドの微細粒子表面の少なくとも一部にセルロース誘導体が付着し、工程Bの湿式ビーズミル粉砕処理を経て分散されたレバミピドの粒子の表面の少なくとも1部に付着している特定分散剤の効果と相俟って、レバミピドの微細な粒子の表面における立体的な再凝集抑制効果及び再結晶抑制効果がより良好となると考えられる。
特定分散剤と、分散安定化剤としてのセルロース誘導体との組み合わせとしては、例えば、特定分散剤であるポリビニルピロリドンと、分散安定化剤としてのメチルセルロースとの組み合わせ、特定分散剤であるメチルセルロースと分散安定化剤定分散剤としてのヒドロキシメチルプロピルセルロースとの組み合わせ、特定分散剤であるポリビニルピロリドンと、分散安定化剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせ等が挙げられる。
本開示の製造方法において、工程Cと工程Dとを行なう場合、いずれの工程が先でもよく、同時に行なってもよい。
例えば、工程Bに引き続き、工程Cを行なってpHを3.5〜7.5の範囲に調整した後、工程Dを行い、分散安定化剤としてのセルロース誘導体を添加してもよく、工程Bにて得られた混合液(分散液)に、分散安定化剤としてのセルロース誘導体と、pH調整剤とを添加してpH調整を行なってもよい。
いずれの順によっても、セルロース誘導体における分散安定化の効果がより良好となる。
(工程E)
本開示の製造方法は、得られた水性懸濁液組成物を滅菌処理する工程を含んでもよい。
滅菌処理の方法には特に制限はなく、公知の滅菌処理を適宜、適用することができる。
滅菌処理としては、乾熱処理による滅菌処理、湿熱滅菌処理の一例である蒸気によるオートクレーブ滅菌処理、濾過滅菌処理、プラズマ滅菌処理、滅菌剤等の薬品を用いた滅菌処理、エチレンオキシドガス等の滅菌ガスを用いる滅菌処理、ガンマ線等の放射線を照射する滅菌処理等が挙げられる。滅菌処理に薬品又は滅菌ガスを用いることは、残留成分及び副生成物による影響が懸念される。また、放射線を照射する滅菌処理においても所望されない分解生成物の発生が懸念される。このため、確実性の観点からは、滅菌処理は、オートクレーブ滅菌処理、乾熱滅菌処理、濾過滅菌処理が好ましく、オートクレーブ滅菌処理がより好ましい。工程Bにて湿式粉砕処理される混合物は、湿式粉砕処理前にオートクレーブ滅菌処理されることが好ましい。
オートクレーブ滅菌処理は、通常は、水性懸濁液組成物を122℃の温度条件で、20分間処理する加熱殺菌が行なわれる。
レバミピド自体は加熱処理に耐える耐熱性を有する。このため、本開示の水性懸濁液組成物を滅菌処理する際には、確実な滅菌処理を行なうために加熱滅菌を行なうことができる。
しかし、水性懸濁液組成物を点眼薬に適用する場合、加熱により、微細粒子の分散安定性が低下し、粒子の凝集が生じやすくなる場合がある。従って、得られた水性懸濁液組成物を点眼薬に適用する場合には、濾過滅菌処理を行なうことも好ましい。また、点眼薬以外において、加熱滅菌に耐えない成分を併用する場合にも、濾過滅菌を行えることが利点となる。
濾過滅菌に用いるフィルターは、平均的な開孔部が200nm以下である場合が多く、水性懸濁液組成物に含まれる粒子の平均粒子径が200nmを超える場合には、濾過滅菌が困難となる。
しかし、本開示の製造方法により得られた水性懸濁液組成物は、平均粒子径が200nm以下の微細粒子を得ることができ、且つ濾過するまでに200nm以下の平均粒子径を保つことができるために、濾過滅菌に好適に適用することができる。
濾過滅菌に用いる市販のフィルターとしては、例えば、Merck製ポリエーテルスルホンフィルター(PES/Merck)[商品名:Merck Millipore Express(登録商標) SHF、孔径:0.2μm]、Merck製ポリフッ化ビニリデンフィルター(PVDF/Merck)[商品名:Durapore(登録商標)、孔径:0.22μm]、PALL製ポリエーテルスルホンフィルター(PES/PALL)[商品名:Supor(登録商標) EX ECV、孔径:0.2μm]、ザルトリウス製、酢酸セルロースフィルター(CA/Sarto)[商品名:Sartobran(登録商標)P、孔径0.22μm]などが挙げられる。
既述の本開示の製造方法により得られた水性懸濁液組成物は、水を含む分散媒中に微細なレバミピド粒子が安定に分散された分散物となる。
レバミピド粒子の平均粒子径が200nm以下であることにより、水性懸濁液組成物は保管時にレバミピド粒子が沈降しないため、再懸濁する必要が無い組成物となる。
また、粒子の再凝集に起因する経時による分散粒子径の増大が抑制され、水性懸濁液組成物に含まれるレバミピド粒子の平均粒子径が長期間に亘り200nm以下に維持されるために、水性懸濁液組成物は種々の用途に好適に使用することができる。
例えば、レバミピド粒子の平均粒子径が長期間に亘り200nm以下に維持されることにより、保管時にレバミピド粒子が沈降せず、再懸濁する必要が無い点眼薬として好適に使用される。また、濾過滅菌処理が容易に行えるため、本開示の製造方法により得られる水性懸濁液組成物は点眼薬として好適に使用される。さらに、既存薬で問題となっている粒子径が大きいことに起因すると考えられる涙道閉塞などの抑制効果が期待できる。
また、レバミピド粒子の平均粒子径は、長期間に亘り200nm以下に維持されることにより、経口投与した場合の体内吸収性の改善も期待できる。
<水性懸濁液組成物>
本開示の水性懸濁液組成物は、平均粒子径200nm以下であるレバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子から選ばれる少なくとも1種と、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる少なくとも1種であり、上記レバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子の合計含有量1質量部に対する合計含有量が0.02質量部〜2質量部である水溶性分散剤と、水と、を含む。
本開示の水性懸濁液組成物は、さらに、ポリビニルピロリドンを含むことが好ましい。
なお、以下では、レバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子を、適宜「レバミピドの粒子」と総称する。
(レバミピドの粒子)
本開示の水性懸濁液組成物におけるレバミピドの粒子の原料となるレバミピドは、既述の本開示の製造方法において混合物に含まれるレバミピドと同様であり、好ましい例も同じである。
水性懸濁液組成物に含まれるレバミピドの粒子の平均粒子径は200nm以下であり、50nm〜180nmが好ましく、50nm〜150nmがより好ましい。
(水溶性分散剤)
本開示の水性懸濁液組成物は、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる水溶性分散剤を含む。
メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる水溶性分散剤は、既述の特定分散剤として挙げたメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースと同じ化合物を用いることができ、好ましい例、及び使用しうる市販品も同じである。
水性懸濁液組成物に含まれる水溶性分散剤としてのメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースは、既述の特定分散剤と同様、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下の水溶性分散剤である。
本開示の水性懸濁液組成物における上記水溶性分散剤の含有量は、レバミピドの粒子の合計含有量1質量部に対して、0.02質量部〜2質量部の範囲である。上記水溶性分散剤の含有量は、レバミピドの粒子の合計含有量1質量部に対し、0.03質量部〜1質量部がより好ましく、0.05質量部〜0.5質量部がさらに好ましく、0.1質量部〜0.3質量部が特に好ましい。
レバミピドの粒子の合計含有量1質量部に対して、上記水溶性分散剤の含有量が0.02質量部以上であることで、平均粒子径が200nm以下という微細なレバミピド粒子の分散性が良好となり、2質量部以下であることで、粒子の分散性及び分散安定性の低下が抑制される。
(水)
本開示の水性懸濁液組成物は、分散媒としての水を含む。
水としては、不純物が少ないという観点から、イオン交換水、純水、超純水、注射用水、精製水等が好ましい。
水の含有量を調整することにより、水性懸濁液組成物の粘度、有効成分の水性懸濁液組成物における含有量などを適宜調整することができる。
(ポリビニルピロリドン)
本開示の水性懸濁液組成物は、上記水溶性分散剤に加え、さらに、分散剤としてのポリビニルピロリドンを含むことが好ましい。本開示の水性懸濁液組成物に用いうるポリビニルピロリドンは、既述の本開示の製造方法において用いられる特定分散剤の好ましい化合物として例示された2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下のポリビニルピロリドンである。
本開示の水性懸濁液組成物が、さらに上記ポリビニルピロリドンを含むことで、レバミピド粒子の分散安定性がより良好となる。
上記ポリビニルピロリドンの含有量には特に制限はないが、レバミピドの粒子の合計含有量1質量部に対して、0.02質量部〜2質量部の範囲であることが好ましい。
本開示の水性懸濁液組成物に含まれるレバミピド粒子の平均粒子径は、200nm以下であり、50nm〜180nmが好ましく、50nm〜150nmがより好ましい。
レバミピド粒子の平均粒子径は、200nm以下であり、経時後も、200nm以下の平均粒子径が維持されることで、本開示の水性懸濁液組成物は濾過滅菌に対応しうる。
濾過滅菌に用いるフィルターは、平均的な開孔部が200nm以下である場合が多く、水性懸濁液組成物に含まれる粒子の平均粒子径が200nmを超える場合には、濾過滅菌が困難となる。しかし、本開示の水性懸濁液組成物は、レバミピド粒子の平均粒子径が200nm以下であることから濾過滅菌に好適に適用しうる。
本開示の水性懸濁液組成物におけるレバミピドの含有量は、水性懸濁液組成物を医薬組成物に適用する場合、薬学的に許容される範囲内において、治療又は予防の目的に応じて適宜選択することができる。
(その他の成分)
本開示の水性懸濁液組成物は、目的に応じて、医薬組成物として許容される種々の成分をさらに含むことができる。
−界面活性剤−
本開示の水性懸濁液組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤は、分散助剤あるいは分散安定化剤として機能する場合がある。
界面活性剤としては、固体粒子の分散性及び分散安定性を向上しうる公知の界面活性剤を特に制限なく使用することができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(例えば、ポリオキシエチレン硬化ひまし油40、ポリオキシエチレン硬化ひまし油50、ポリオキシエチレン硬化ひまし油60等)、ポリソルベート80、ポリソルベート65、ポリソルベート40、ポリソルベート20、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(例えば、ラウロマクロゴールBL−9、ラウロマクロゴールBL−25)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロキサマー、プルロニック類、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407)、ポリオキシエチレンヒドロキシステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等が挙げられる。
なかでも、界面活性剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ラウロマクロゴール、デオキシコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンヒドロキシステアレート、ポリソルベート20、及びポリソルベート80からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本開示の水性懸濁液組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量としては、水性懸濁液組成物におけるレバミピドの含有量1質量部に対し、0.01質量部〜40質量部であることが好ましく、0.1質量部〜10質量部であることがより好ましい。
水性懸濁液組成物における界面活性剤の含有量が、上記範囲であることで、界面活性剤による、レバミピド粒子の分散安定性の向上効果が十分に得られ、また、界面活性剤の含有量が多すぎる場合に懸念される界面活性剤の生体への影響を生じ難い。
(水性懸濁液組成物の医薬組成物への適用)
本開示の水性懸濁液組成物は、レバミピドを有効成分とする医薬組成物に適用しうる。水性懸濁液組成物を医薬組成物に適用する場合の剤型は、生体に投与可能な形態であれば、特に制限はない。
剤型としては、水性懸濁液組成物を液状のまま使用する液剤、シロップ剤などが挙げられる。液剤としては、経口投与に用いる液剤、口腔粘膜保護及び修復剤、点眼薬(眼科用製剤)等が挙げられる。
また、水性懸濁液組成物を乾燥することで、固体製剤を得ることもできる。固体製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、細粒剤等の剤型が挙げられ、経口投与に供されることができる。
錠剤としては、チュアブル錠、トローチ剤、ドロップ剤、口腔内で速やかに溶解又は崩壊し、水なしでも服用できる粒状物、所謂口腔内崩壊錠を含み、さらに、用時溶解して用いる発泡錠等の再溶解錠を含む。
顆粒剤、散剤及び細粒剤は、用時溶解して用いるドライシロップ剤を含み、また、口腔内で速やかに溶解又は崩壊し、水なしでも服用できる粒状物、所謂口腔内崩壊錠を含む。
液剤及びシロップ剤は、さらに、水以外の薬学的に許容される種々の分散媒を含んでもよい。
本開示の水性懸濁液組成物を経口投与する医薬組成物に用いる場合、レバミピドの粒子が200nm以下であり、分散安定性が良好であるため、経口投与に供する際の良好な生体吸収性が期待できる。
なお、本開示における粉末製剤は、散剤に加え、粉末製剤と賦形剤とを含む顆粒剤、粉末製剤を打錠して得られる錠剤、得られた錠剤をコーティングしたコーティング錠、粉末製剤をカプセルに内包したカプセル剤等の形態を包含する。粉末製剤は、製造性及び保存性が良好であり、容易に携帯し得る上に、必要量を服用し易いという利点をも有する。
本開示の水性懸濁液組成物を固体製剤に適用する場合には、服用し易さの観点から、製剤の1剤当たりの質量は、乾燥後の質量で700mg以下が好ましく、600mg以下がさらに好ましい。
(製剤添加物)
本開示の水性懸濁液組成物を経口投与に供する医薬組成物に適用する場合は、効果を妨げない限りにおいて、一般に用いられる種々の製剤添加物を含んでいてもよい。
製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、着香剤、甘味剤及び矯味剤、pH調整剤等を挙げることができる。
−賦形剤−
本開示の水性懸濁液組成物を適用した医薬組成物が錠剤を含む粉末製剤である場合、安定な剤型を維持するため、賦形剤を含むことが好ましい。
賦形剤としては、糖類(例えば、グルコース、乳糖、スクロース、マルトース、トレハロース、デキストリン、シクロデキストリン等)、糖アルコール(例えば、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール等)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等)、結晶セルロース、カルシウム塩(例えば、無水リン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸、アミノ酸類(例えば、グリシン、アラニン、アスパラギン、トリプロファン等)等が挙げられる。
なお、マンニトールは光学活性物質であり、d体、l体、ラセミ体などが存在するが、天然に多く存在するd−マンニトールが賦形剤として好適である。
賦形剤としては、糖類もしくは糖アルコール類が好ましい。なかでも、本開示の水性懸濁液組成物を乾燥して固体製剤、例えば、粉末製剤、顆粒剤、カプセル剤又は錠剤等とする場合には、d−マンニトール、スクロース、乳糖、トレハロース、エリスリトール、マルチトール、及びマルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤を含むことが好ましい。
−崩壊剤−
水性懸濁液組成物を固体状の医薬組成物に適用する場合には、崩壊剤を含有してもよい。医薬組成物の剤形が錠剤、顆粒剤などである場合、医薬組成物が崩壊剤を含有することで、経口摂取された製剤がより速やかに崩壊し、より早い消化管内での溶解性改善効果の発現が期待できる。
崩壊剤としては、カルメロース、クロスポピドン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。
−その他の製剤添加剤−
本開示の水性懸濁液組成物を適用した医薬組成物は、外観及び経口摂取する際の感触向上を目的として、滑沢剤、着色剤、着香剤、甘味剤、矯味剤等を含有してもよい。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
着色剤としては、食用黄色5号色素、食用赤色2号色素、食用青色2号色素、食用レーキ色素、黄色三二酸化鉄、酸化チタンなどの可食着色剤を挙げることができる。
着香剤としては、オレンジ、レモン、その他の経口摂取可能な各種香料などを挙げることができる。
甘味剤としては、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウムなどを挙げることができる。
矯味剤としては、L−メントール、カンフル、ハッカ、L−グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
既述の製剤添加物は、水性懸濁液組成物を医薬組成物に適用するに際して、適宜、適当な工程で添加すればよい。
〔水性懸濁液組成物の用途〕
既述の本開示の水性懸濁液組成物は、レバミピドの薬効を生かした種々の医薬組成物に用いることができる。
〔眼科用製剤〕
本開示の水性懸濁液組成物は、有効成分であるレバミピドが平均粒子径200nm以下の微細な分散粒子として含まれ、粒子の経時的な粒径の増大が抑制されることから、そのまま眼科用製剤(例えば、点眼薬)として用いることができる。
点眼薬は、点眼剤又は点眼液ともいう。本開示における点眼薬には、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼薬を含む。
また、本開示における眼科用製剤は、洗眼剤、眼軟膏(水溶性眼軟膏、又は油溶性眼軟膏)、コンタクトレンズ装着液、眼内注射剤(例えば、硝子体内注射剤)、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、又は消毒液、或いは、マルチパーパスソリューション)、移植用の角膜等の摘出眼組織の保存剤若しくは手術時潅流液として用いることもできる。
なお、本開示における「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、及びソフトコンタクトレンズを含む。ソフトコンタクトレンズは、イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び 非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する。
本開示の水性懸濁液組成物を眼科用製剤に適用する場合の剤型として、好ましくは、点眼薬、洗眼剤、眼軟膏(水溶性眼軟膏、又は油溶性眼軟膏)、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、又は消毒液或いは、マルチパーパスソリューション)などが挙げられ、より好ましくは点眼薬、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、又は消毒液或いは、マルチパーパスソリューション)などが挙げられ、さらに好ましくは点眼薬又は洗眼剤が挙げられ、特に好ましくは点眼薬が挙げられる。
本開示の水性懸濁液組成物の使用形態は、使い切りのユニットドーズでもよく、繰り返し使用できるマルチドーズでもよく、マルチドーズの形態で容器に収容して使用してもよい。
<容器>
本開示の水性懸濁液組成物は、容器に収容(例えば、充填、注入、又は封入)されていてもよい。容器は、組成物(即ち、製剤)と接触する部分(即ち、面)を有する包装体であればよい。容器は、例えば、組成物(例えば、液状の組成物)を収容する容器本体部分、容器の抽出口を含む部分(ノズル、中栓)、吸い上げチューブ、キャップなどで構成されていてもよい。
容器を構成する材質は、広い範囲から選択でき、例えば、少なくとも組成物との接触部 分の一部又は全部が、プラスチック、ガラス、アルミニウムなどの金属から選ばれる材質で構成される例が挙げられる。
プラスチックとしては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、変性ポリフェニレンエーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素系樹脂などが挙げられる。
容器は、単独又は2種以上の材質で構成されていてもよい。
容器を構成する材質としてのオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂[例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどを含む)、エチレン−プロピレン共重合体など]、プロピレン系樹脂[例えば、ポリプロピレン(PP)(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンなどを含む)、プロピレン−エチレン共重合体など]、メチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテンなど)などが挙げられる。
容器の材質としては、ガラス、プラスチックなどが好ましい。そのため、容器(又は容 器の材質)の少なくとも一部を、ガラス、プラスチックなどで構成してもよい。
容器の材質としては、特に、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、又はポリエステル系樹脂などのプラスチック(すなわち、プラスチック製容器)が好ましく、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アルキレンテレフタレート系樹脂、又はポリスチレンがより好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリスチレンがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、点眼薬としての水性懸濁液組成物には、眼科用製剤に対して用いられる公知の成分をさらに含有させてもよい。以下、眼科用製剤に用いうる任意成分について述べる。
−界面活性剤−
点眼薬における界面活性剤としては、眼科用として適用可能であり、生体適合性が良好であり、刺激性が少ない公知の界面活性剤を特に制限なく使用することができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、アルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマー、例えば、チロキサポール;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリマー(ポロキサマー)、例えば、プルロニック(商品名、BASF)、ルトロール(商品名、BASF);ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、トリトンX−100(商品名、ダウケミカル等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル(ステアリン酸ポリオキシルとも称する);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル及びソルビタンモノステアリン酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油、例えばポリオキシル35ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル;及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
点眼薬としての水性懸濁液組成物に界面活性剤を用いる場合の含有量は、水性懸濁液組成物の全質量に対して、0.005質量%〜1.0質量%であることが好ましい。
−等張化剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、さらに等張化剤を含有することができる。
等張化剤としては、点眼薬に慣用的に使用される、塩化ナトリウム、グリセロール(医薬部外品として「濃グリセリン」とも称される)、グルコース、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。なかでも、塩化ナトリウムは、製剤化する場合に優れた分散性を有し、水性懸濁液組成物におけるレバミピドの粒子の凝集体の形成を抑制し、かつ、再分散性に優れた物性の発現に有用であるため、等張化剤として好ましい。等張化剤は、眼科用水性組成物を涙と同等の浸透圧、具体的には、眼科用の水性製剤の浸透圧比(生理食塩水に対する浸透圧の比)を、0.5〜1.5の範囲とする量で添加されることが好ましく、0.8〜1.2の範囲とする量で添加されることが更に好ましい。
−緩衝剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、さらに、緩衝剤を含有することができる。
緩衝剤の例としては、酢酸ナトリウム等の酢酸塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等のクエン酸塩;リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸塩;ε−アミノカプロン酸;グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸塩;ホウ酸及びその塩;並びにこれらの混合物等が挙げられる。
−pH調整剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、さらにpH調整剤を含有することができる。pH調整剤は、先に述べた分散性向上に用いられるpH調整剤と同じでも異なっていてもよい。眼科用製剤に用いられるpH調整剤は、製剤のpHを生体適合性等に適するpHに調整するため、保管中のレバミピド粒子の再凝集及び再結晶化を抑制するpHに調整するため、滅菌濾過の際に、濾過フィルターを通過しやすいpHに調整するため等の目的で用いられる。
pH調整剤としては、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
眼科用製剤は、一般に、眼の粘膜への刺激がより少ない範囲であるpH3.5〜10に調整されることが好ましく、pHが3.5〜7.5の範囲であることがより好ましく、pHが4.5〜7.0の範囲であることが更に好ましく、pHが4.5〜6.5の範囲にあることが特に好ましい。
pHが3.5以上であることで、レバミピド粒子の帯電性が増し、濾過フィルターへの吸着が阻害され、濾過性がより向上する。また、pHが10以下であることで、レバミピドの水溶解量を低く保つことができ、水性懸濁液組成物の保管中のおけるレバミピド粒子の再凝集及び再結晶化をより効果的に抑制することができる。
−キレート化剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、キレート化剤を含有することができる。
キレート化剤の例としては、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレンアミン五酢酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、エデト酸二ナトリウムが好ましい。
キレート化剤の含有量は、水性懸濁液組成物の全質量に対して、0.001質量%〜0.1質量%であることが好ましい。
−抗酸化剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、抗酸化剤を含有することができる。
抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸;アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩;トコフェロール;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸マグネシウム、重亜硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩;等が挙げられる。
−保存剤−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、真菌類及び細菌のような微生物による汚染を防止するために保存剤を含むことができる。
保存剤の例としては、抗菌作用及び抗真菌作用を有しており、眼に適用可能な、生体適合性が良好で、刺激性が抑制された化合物を選択して用いればよい。
保存剤としては、ホウ酸;ホウ砂;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第四級アンモニウム塩;グルコン酸クロルヘキシジン等のカチオン性化合物;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル等のp−ヒドロキシ安息香酸エステル;クロロブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール化合物;ソルビン酸及びその塩;デヒドロ酢酸ナトリウム;チオメルサール;及びこれらの混合物等が挙げられる。
保存剤のなかでも、ドライアイ患者への刺激性がより低いとの観点からホウ酸及びホウ砂から選ばれる保存剤が好ましい。また第四級アンモニウム塩は、レバミピドの微細粒子が凝集体を形成することを抑制し、pHの低下を防止し、かつ、再分散性及び安定性に優れた組成物を提供するので好ましく、第四級アンモニウム塩としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムがより好ましい。
ホウ酸及びホウ砂から選ばれる保存剤の含有量は、本開示の水性懸濁液組成物の全質量に対して、0.1質量%〜2.5質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜2.0質量%の範囲であることがより好ましく、1.0質量%〜2.0質量%の範囲であることがさらに好ましい。保存剤としての第四級アンモニウム塩の含有量は、本開示の水性懸濁液組成物の全質量に対して、0.001質量%〜0.05質量%の範囲であることが好ましく、0.002質量%〜0.01質量%の範囲であることがより好ましい。
−その他の成分−
眼科用製剤としての水性懸濁液組成物は、粘度の調整、安定性向上、製造性向上等を目的として、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(部分けん化)、ポリビニルアルコール(完全けん化)、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等を含有することができる。点眼薬としての使用実績の観点から、水性懸濁液組成物は、ポリビニルアルコール(部分けん化)、カルボキシビニルポリマー及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
(眼科用製剤の粘度)
本開示の水性懸濁液組成物を眼科用製剤として用いる場合、眼科用製剤の粘度は、液温が25℃において、0.8mPa・s〜200mPa・sの範囲にあることが好ましく、0.8mPa・s〜100mPa・sの範囲にあることがより好ましい。
眼科用製剤の粘度が、上記範囲内であれば、点眼した場合の眼科用製剤の差し心地がより良好となり、眼科用製剤を点眼した時の眼球表面における良好な滞留性を付与することができる。
なお、眼科用製剤の粘度は、日本薬局方第16改正に記載の方法で測定することができる。
<治療方法>
本開示の他の実施形態は、有効成分としてレバミピドの微細粒子を含む本開示の水性懸濁液組成物を、治療対象となる適用対象者へ、眼科用製剤として点眼すること、水性懸濁液組成物を、そのまま或いは固体製剤として、経口投与すること、体内の局所に投与してレバミピド粒子を滞留させレバミピド分子を徐放させること、或いは体内の局所に投与してレバミピド粒子を滞留させレバミピド分子を徐放させることを含む治療方法も包含する。
以下、本開示の水性懸濁液組成物の製造方法及び水性懸濁液組成物を実施例により更に具体的に説明する。なお、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではなく、種々の変型例で実施することができる。
特に断りのない限り、本開示の実施例における「%」及び「部」は質量基準である。
〔特定分散剤及び比較分散剤〕
まず、実施例に用いた特定分散剤及び比較分散剤について述べる。
<分散剤又は分散安定化剤として使用しうる特定分散剤>
[ポリビニルピロリドン]
・ポリビニルピロリドンK25(PVP−K25)[商品名:Kollidon(登録商標25)、メーカー:BASF(株)]
・ポリビニルピロリドンK30(PVP−K30)[商品名:Kollidon(登録商標)30、メーカー:BASF(株)]
・ポリビニルピロリドン90F(PVP−90F)[商品名:Kollidon(登録商標)90F、メーカー:BASF(株)]
[メチルセルロース]
・メチルセルロースSM4(MC−SM4)[商品名:メトローズ(登録商標)SM−4、メーカー:信越化学工業(株)]
・メチルセルロースSM15(MC−SM15)[商品名:メトローズ(登録商標)SM−15、メーカー:信越化学工業(株)]
[ヒドロキシプロピルメチルセルロース]
・ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5E(HPMC−TC5E)[商品名:ヒプロメロース(登録商標)TC−5E、メーカー:信越化学工業(株)]
・ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5M(HPMC−TC5M)[商品名:ヒプロメロース(登録商標)TC−5M、メーカー:信越化学工業(株)]
・ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5R(HPMC−TC5R)[商品名:ヒプロメロース(登録商標)TC−5R、メーカー:信越化学工業(株)]
・ヒドロキシプロピルメチルセルロースTC5S(HPMC−TC5S)[商品名:ヒプロメロース(登録商標)TC−5S、メーカー:信越化学工業(株)]
[ヒドロキシプロピルセルロース]
・ヒドロキシプロピルセルロースSSL(HPC−SSL)[商品名:NISSO HPC SSL、メーカー:日本曹達(株)]
・ヒドロキシプロピルセルロースSL(HPC−SL)[商品名:NISSO HPC SL、メーカー:日本曹達(株)]
<比較分散剤>
[メチルセルロース]
・メチルセルロースSM25(MC−SM25)[商品名:メトローズ(登録商標)SM−25、メーカー:信越化学工業(株)]
・メチルセルロースSM100(MC−SM100)[商品名:メトローズ(登録商標)SM−100、メーカー:信越化学工業(株)]
(水溶性分散剤2%水溶液の粘度)
各水溶性分散剤を水に溶解し、水溶性分散剤2%水溶液の粘度を測定した。
具体的には、水溶性分散剤200mgを水に溶解し、全量を10gとすることで、水溶性分散剤2%水溶液を得た。
雰囲気温度25℃の環境下、セコニック(株)製の振動式粘度計(型名:VM−10A)を用いて、水溶性分散剤2%水溶液の粘度を測定した。結果を表1に示す。
なお、下記表1では、水溶性分散剤は、上記水溶性分散剤の( )内に記載した略称にて記載している。例えば、ポリビニルピロリドンK25は「PVP−K25」と記載した。その他の水溶性分散剤も同様である。
Figure 2020204001

実施例及び比較例で用いた分散剤以外の成分の詳細は以下の通りである。
<等張化剤>
[マンニトール]
・D-マンニトール[商品名:マンニットP、メーカー:三菱商事フードテック(株)]
[グリセロール]
・濃グリセリン[商品名:日本薬局方 濃グリセリン、メーカー:阪本薬品工業(株)]
<pH調整剤>
・0.1N NaOH水溶液 [商品名:0.1mol/l 水酸化ナトリウム溶液、メーカー:富士フイルム和光純薬(株)]
・1N NaOH水溶液 [商品名:1mol/l 水酸化ナトリウム溶液、メーカー:富士フイルム和光純薬(株)]
・0.1N HCl水溶液 [商品名:0.1mol/l 塩酸、メーカー:富士フイルム和光純薬(株)]
・1N HCl水溶液 [商品名:1mol/l 塩酸、メーカー:富士フイルム和光純薬(株)]
<保存剤>
・ホウ酸(富士フイルム和光純薬社製)
<実施例1>
[水性懸濁液組成物の調製]
15mL容器に、特定分散剤1であるPVP−K25 500mg及び水8.5gを加え、撹拌し、溶解して、PVP−K25水溶液を得た。
2mL容器に、レバミピド(以下、REBと略称することがある)100mg、上記で得たPVP−K25水溶液 36mg及び水864mgを加えて、混合物を調製した。(工程A)
得られた混合物を被分散物として、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)3gを混合し、混合物を外温5℃にて16時間、メディアを用いた湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液を得た。得られた水性懸濁液におけるREB含有量は10部、PVP−K25含有量は0.2部である。(工程B)
得られた水性懸濁液におけるREB含有量、PVP−K25(分散剤)含有量、及び、ビーズミル粉砕時間を表2に記載した。
その後、評価に用いる水性懸濁液組成物を調製した。即ち、得られたREB粒子の水性懸濁液(REB含有量:10部)にpH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。(工程C)
なお、水性懸濁液組成物は、先に記載した4種のpH調整剤の種類と添加量、及び水の添加量を適宜選択することで、目的とするpHに調整した。
[平均粒子径の測定]
(1)保管開始時(表には「初期」と記載)
得られたREB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)を水で80倍に希釈し、評価用サンプル液を調製した。
評価用サンプル液0.5mLに対し、多検体ナノ粒子測定システム(nanoSAQLA/オートサンプラAS50、大塚電子(株)製)を用いて、動的光散乱法により粒子径分布を測定した(オートサンプラ設定温度:25℃)。得られた粒子径分布(解析手法:CONTIN、分布:散乱光強度分布)の累積分布頻度50%(d50値)を与える粒子径を平均粒子径とした。測定結果を表2に示す。
(2)60℃2週間保管後(表には、「60℃2週間後」と記載)
得られたREB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)2mLをガラスバイアルに入れ、密封した。次いで、密封したガラスバイアルを雰囲気温度60℃環境下にて2週間保管した。
60℃2週間保管後のREB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)を水で80倍希釈し、評価用サンプル液を調製した。
評価用サンプル液0.5mLに対し、多検体ナノ粒子測定システム(nanoSAQLA/オートサンプラAS50、大塚電子(株)製)を用いることで、動的光散乱法により粒子径分布を測定した(オートサンプラ設定温度:25℃)。得られた粒子径分布(解析手法:CONTIN、分布:散乱光強度分布)の累積分布頻度50%(d50値)を与える粒子径を平均粒子径とした。測定結果を表2に示す。
−評価基準−
保管開始時の平均粒子径から、下記基準により微細化の程度を評価した。また、60℃2週間保管後の平均粒子径から、下記基準により保管時の分散粒子の安定性を評価した。
AAA:平均粒子径が100nm以下である。
AA :平均粒子径が100nmを超え、120nm以下である。
A :平均粒子径が120nmを超え、150nm以下である。
B :平均粒子径が150nmを超え、200nm以下である。
C :平均粒子径が200nmを超え、250nm以下である。
D :平均粒子径が250nmを超え、350nm以下である。
E :平均粒子径が350nmを超え、1000nm以下である。
F :平均粒子径が1000nmを超える。
なお、ランクAAA、AA、A及びBが実用上問題のないレベルであり、ランクAAA、AA、及びAが好ましい。
上記分散粒子の評価基準の結果について、「微細化の評価」として表2に併記した。
<実施例2〜16、比較例1〜3>
REBの含有量、特定分散剤又は比較分散剤の種類及び混合物における含有量、湿式ビーズミルによる粉砕時間を表2に記載の如く変えた以外は実施例1と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液を得た。
得られた水性懸濁液に対して、実施例1と同様にして水性懸濁液組成物を得て、保管開始時及び60℃2週間保管後の平均粒子径を測定し、さらに、微細化の程度を上記評価基準に従い評価した。結果を下記表2に示す。
Figure 2020204001

表2に記載の結果より、実施例1〜実施例16の水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)はいずれも、保管開始時(初期)の平均粒子径が200nm以下であった。なかでも、REBと、特定分散剤の含有量が同水準では、特定分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いた場合に、微細なREB粒子を含む水性懸濁液組成物が得られることがわかる。
また、60℃2週間保管後(経時後)のREB粒子の平均粒子径もいずれも200nm以下であった。特に特定分散剤としてメチルセルロース(MC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いた実施例12〜実施例14は、過酷な条件下での経時後も微細な粒子径が維持され、REB粒子分散物としての経時安定性が良好な水性懸濁液組成物が得られた。
他方、分散剤を用いない比較例1の水性懸濁液組成物では、初期には平均粒子径が200nm以下を達成しても、経時では平均粒子径が200nmを超えた。
また、特定分散剤に代えて、2%水溶液の25℃における粘度が15mPa・sを超える比較分散剤を用いた比較例2及び比較例3の水性懸濁液組成物は、調製直後のREB粒子の平均粒子径が200nmを超えることがわかる。
<実施例17>
[水性懸濁液組成物の調製]
30mL容器に、特定分散剤(PVP−K25)500mg及び水8.5gを加え、撹拌し、溶解して、PVP−K25水溶液を得た。
2mL容器30本の各々に、レバミピド(REB)100mg、上記で得られたPVP−K25水溶液360mg及び水540mgを加えて、混合物を得た。(工程A)
得られた各々の混合物を被分散物として、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)3gを混合し、混合物を外温5℃にて8時間メディアを用いた湿式ビーズミル粉砕により処理した。
2mL容器30本の各々において得られた、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液を1つの容器に投入し、混和して、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部、PVP−K25含有量:2部)を得た。(工程B)
次に、得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)600mgに対し、分散安定化剤としてのPVP−K25 18mg、等張化剤としてのマンニトール 135mg、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物 3g(REB含有量:2部、pH:5.0)を得た。(工程C及び工程D)
得られた水性懸濁液組成物におけるREB粒子の平均粒子径の測定、及び粒子の微細化の評価を、実施例1と同様にして行なった。結果を下記表3に示す。
<実施例18〜実施例43>
REBの含有量、用いた特定分散剤は変えず、工程Dにて添加した分散安定化剤としての水溶性分散剤の種類及び混合物における含有量、等張化剤の種類及び含有量、工程CにてpH調整剤により調整したpHの値、の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例17と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:4.4〜5.6:表3記載の通り)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、実施例1と同様にして保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(60℃2週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
Figure 2020204001

表3の結果より、実施例17〜実施例43の水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)は、いずれも、保管開始時(初期)の平均粒子径が200nm以下であった。また60℃2週間保管後の平均粒子径も200nm以下であった。
なかでも、分散安定化剤及び等張化剤を配合した実施例17〜実施例35及び実施例38〜実施例43のREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)は、工程Cにて分散安定化剤を添加しなかった実施例36及び実施例37に比較して、同等或いはより良好な効果を示し、特に分散安定化剤として、セルロース誘導体であるMC−SM4を用いた実施例26〜実施例32の水性懸濁液組成物は、分散安定化剤添加の有無以外は同水準である実施例36の水性懸濁液組成物に対し、保管中の安定性がより良好な水性懸濁液組成物が得られた。
<実施例44>
[水性懸濁液組成物の調製]
30mL容器に、特定分散剤であるPVP−K25 800mg及び水17.2gを加え、撹拌し、溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
100mLベッセルに、レバミピド(REB)4.00g、上記で得たPVP−K25水溶液全量及び水18.0gを加えて、混合物を得た。(工程A)
得られた混合物に、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)240gを混合した。
ビーズミル装置(バッチ式レディミル、竪型式ビーズミル「RMB」、アイメックス社)に撹拌用ディスクを接続し、混合物及びメディアを入れた100mLベッセルを、7℃の冷却水で冷却しながら、回転数1500rpm、粉砕時間2時間の条件で湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)を得た。(工程B)
次に、110mL容器に、上記で得たREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、分散安定化剤としてのMC−SM4 300mg、等張化剤としてのマンニトール 4.50g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物100g(REB含有量:2部、PVP−K25含有量:0.4部、MC−SM4含有量:0.3部、pH:5.5)を得た。(工程C及び工程D)
[濾過通過量の評価]
加圧濾過装置の開口部に、直径47mmの円形フィルター(孔径:0.2μm、PES/Merck社製)を取り付けた後、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)80gをフィルター上に乗せ、窒素圧0.2MPaで加圧濾過を行った。フィルターの通過量から、下記基準により濾過性を評価した。結果を表4に示す。
濾過に用いたフィルターは、Merck製ポリエーテルスルホンフィルター(PES/Merck)[商品名:Merck Millipore Express(登録商標) SHF、孔径:0.2μm](表中では、「PES/Merck」と記載)である。
濾過通過量から、下記基準により濾過性を評価した。以下の評価において、ランク「A」及び「B」が実用上問題のないレベルであり、ランク「A」であることが好ましい。
−評価基準−
A: 全量通過する
B: 50g以上通過するが全量は通過せず途中で閉塞する
C: 通過量が50g未満であり、途中で閉塞する
得られた水性懸濁液組成物におけるREB粒子の平均粒子径の測定、及び粒子径の評価を、実施例1と同様にして行なった。なお、実施例44では、保管開始時(初期)、60℃2週間保管後(60℃2週間後)に加え、さらに過酷な条件である60℃2ヶ月保管後までの保存試験(60℃2ヶ月後)も行なった。
結果を下記表4に示す。
<実施例45〜47>
粉砕時間及び湿式ビーズミル粉砕に用いるメディアのビーズ径を表4に示す如く変えた以外は、実施例44と同様にして、REB水性懸濁液(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。
得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物に対して、実施例44と同様にして保管開始時、60℃2週間保管後及び60℃2か月間保管後の平均粒子径を測定した。結果を下記表4に示す。
Figure 2020204001

表4に記載の結果より、実施例44〜実施例47のREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)はいずれも、孔径0.2μmのフィルターを通過し、濾過通過後の平均粒子径が200nm以下であった。また、60℃2週間保管後及び60℃2か月間保管後の平均粒子径もいずれも200nm以下であった。
なかでも、ビーズ径0.1mmのメディアにて湿式ビーズミル粉砕を行なった実施例45及び実施例46はフィルターを全量通過しており、濾過通過性が良好であった。さらに、粉砕時間を16時間とした実施例46において、濾過通過性が高く、且つ、保管時の安定性がより良好な水性懸濁液組成物が得られることがわかる。
<実施例48>
[水性懸濁液組成物の調製]
100mL容器4本に各々、特定分散剤であるPVP−K25)1.75g及び水77.0gを加え、撹拌し、溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
各々の容器に、レバミピド(REB)8.75gを加え、撹拌した。これら4本の容器内の混合液を全て1L容器に入れて混合物を得た。(工程A)
得られた混合物を被分散物とし、ビーズミル装置(連続循環式、横型式ビーズミル「LMZ」、アシザワ・ファインテック(株))の砕室(体積170mL)にメディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)510gを充填し、被分散物を入れた1L容器を7℃の冷却水で冷却しながら、砕室に140g/分の速度で被分散物を循環させ、回転数2590rpm(周速:8m/秒)、粉砕時間4時間の条件で湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)を得た。(工程B)
次に、110mL容器に、得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、分散安定化剤としてのMC−SM4 300mg、等張化剤としてのマンニトール 4.50g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(100g、REB含有量:2部、pH:5.0)を得た。(工程C及び工程D)更に、実施例44と同様の操作で、PALL製ポリエーテルスルホンフィルター(PES/PALL)[商品名:Supor(登録商標) EX ECV、孔径:0.2μm]を用いて加圧濾過を行い、濾過通過液を得た(全量通過)。
なお、実施例48では、水性懸濁液組成物の製造を、実施例1に比較して、より大きいスケールにて行なった。
実施例48で得た水性懸濁液組成物は、以下に示す評価方法にて、評価を行なった。
[平均粒子径の測定]
(1)保管開始時(表には「初期」と記載)
濾過通過後のREB水性懸濁液(REB含有量:2重量部)を水で80倍希釈し、評価用サンプル液を調製した。
評価用サンプル液2mLに対し、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000AS、大塚電子(株)製)を用いることで、動的光散乱法により粒子径分布を測定した(オートサンプラ設定温度:25℃)。得られた粒子径分布(解析手法:CONTIN、分布:散乱光強度分布)の累積分布頻度50%(d50値)を与える粒子径を平均粒子径とした。結果を表5に示す。
(2)60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月保管後
得られたREB水性懸濁液(REB含有量:2重量部)2mLをガラスバイアルに入れ、密封した。次いで、密封したガラスバイアルを雰囲気温度60℃環境下にて1週間及び1ヵ月間保管した。
60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月保管後のREB水性懸濁液(REB含有量:2重量部)を水で80倍希釈し、評価用サンプル液を調製した。
評価用サンプル液2mLに対し、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000AS、大塚電子(株)製)を用いることで、動的光散乱法により粒子径分布を測定した(オートサンプラ設定温度:25℃)。得られた粒子径分布(解析手法:CONTIN、分布:散乱光強度分布)の累積分布頻度50%(d50値)を与える粒子径を平均粒子径とした。結果を表5に示す。
実施例1と同様の評価基準により、レバミピド粒子の分散性の評価を行った。結果を下記表5に示す。
<実施例49〜50>
pH調整値を変えた以外は実施例48と同様にして、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.6又は6.0:表5に記載の通り)を得た。
得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物に対して、実施例48と同様にして保管開始時、60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月間保管後のREB粒子の平均粒子径を測定した。結果を下記表5に示す。
<実施例51>
[水性懸濁液組成物の調製]
100mL容器3本に各々、水溶性分散剤(MC−SM4)1.16g及び水87.17gを加え、撹拌し、溶解することで、MC−SM4水溶液を得た。
各々の容器に、レバミピド(REB)11.67gを加え、撹拌した。これら3本の容器内の液組成物及び水50gを全て1L容器に入れて混合物を得た。(工程A)
得られた混合物を被分散物として、ビーズミル装置(連続循環式、横型式ビーズミル「LMZ」、アシザワ・ファインテック(株))の砕室(体積170mL)にメディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)510gを充填し、被分散物を入れた1L容器を7℃の冷却水で冷却しながら、砕室に140g/分の速度で被分散物を循環させ、回転数2590rpm(周速:8m/秒)、粉砕時間6.5時間の条件で湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)を得た。(工程B)
次に、110mL容器に、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、等張化剤としてのマンニトール 4.50g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物100gを得た。(REB含有量:2部、pH:5.0)(工程C及び工程D)
得られた水性懸濁液に対して、実施例48と同様にして保管開始時、60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月間保管後の平均粒子径を測定し、粒子の微細化を評価した。結果を下記表5に示す。
<実施例52〜53>
pH調整値を変えた以外は実施例51と同様にして、水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5又は6.0:表5に記載の通り)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、実施例51と同様にして保管開始時、60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月間保管後の平均粒子径を測定し、粒子の微細化を評価した。結果を下記表5に示す。
Figure 2020204001


表5の結果に示すように、実施例48〜実施例53のREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)はいずれも、平均粒子径が200nm以下であった。また60℃1週間保管後及び60℃1ヵ月間保管後の平均粒子径も200nm以下であった。
従って、製造時のスケールアップを行なった実施例48〜実施例53の水性懸濁液組成物は、工程Dを行なった場合、及び工程Dを行なわなかった場合のいずれも、REB粒子の分散性及び分散安定性が良好であることがわかる。
工程Bを、特定分散剤としてのメチルセルロース(MC)の存在下で行なった実施例51〜実施例53は、いずれも、保管後において、レバミピド粒子の平均粒子径が150nm以下であり、優れた分散安定性を示した。
工程Bでポリビニルピロリドン(PVP)を含有し、工程Dでメチルセルロース(MC)を分散安定化剤として配合した実施例48〜実施例50の製造方法によれば、保管時の安定性がより良好な水性懸濁液組成物が得られることがわかる。
<実施例54>
[水性懸濁液組成物の調製]
30mL容器に、水溶性分散剤(PVP−K25)500mg及び水8.5gを加え、撹拌し、溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
2mL容器30本の各々に、レバミピド(REB)100mg、上記で得たPVP−K25水溶液360mg及び水540mgを加えて、混合物を得た。(工程A)
得られた混合物を被分散物として、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)3gを混合し、混合物を外温5℃にて8時間メディアを用いた湿式ビーズミル粉砕により処理した。粉砕された全容器内のREB粒子を含む水性懸濁液組成物を1つに混和し、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部、PVP−K25含有量:2部)を得た。(工程B)
次に110mL容器に、得られた水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(100g、REB含有量:2部、pH:4.5)を得た。(工程C)
得られた水性懸濁液組成物の平均粒子径、REB粒子の分散性を実施例1と同様にして評価した。なお、粒子径分布の累積分布頻度50%(d50値)及び累積分布頻度90%(d90値)を与える粒子径を粒子径とした。結果を表6に示す。
[濾過通過量の評価]
加圧濾過装置の開口部に、直径47mmの円形フィルター(孔径:0.2μm、実施例44で用いたもの:PES/Merck)を取り付けた後、水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)80gをフィルター上に乗せ、窒素圧0.2MPaで加圧濾過を行った。濾過により通過した水性懸濁液組成物の量及び下記基準にて評価した濾過性の結果を表6に示す。
−評価基準−
濾過通過量から、下記基準により濾過性を評価した。
A: 全量通過する
B: 50g以上通過するが全量は通過せず途中で閉塞する
C: 通過量が50g未満であり、途中で閉塞する
<実施例55〜実施例59、実施例54−B、実施例56−B、実施例58−B、比較例4>
特定分散剤、分散安定化剤、等張化剤、pH調整値及び湿式ビーズミル粉砕時間を変えた以外は実施例54と同様にして、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:4.5〜6.0:表6に記載の通り)を得た。
得られたREB水性懸濁液に対して、フィルターを表6に記載のフィルターに変えて、それぞれ実施例54と同様にして、濾過通過量及び濾過性を評価した。結果を下記表6に示す。
なお、実施例54−Bは、実施例54と同じ処方の水性懸濁液組成物を異なるフィルターを用いて濾過通過量を評価した例であり、実施例56と実施例56−B、及び実施例58と実施例58−Bも、フィルターが異なる評価結果を示している。
実施例54以外で用いたフィルターの詳細は以下の通りである。
・Merck製ポリフッ化ビニリデンフィルター(PVDF/Merck)[商品名:Durapore(登録商標)、孔径:0.22μm](表中では、「PVDF/Merck」と記載)
・PALL製ポリエーテルスルホンフィルター(PES/PALL)[商品名:Supor(登録商標) EX ECV、孔径:0.2μm](表中では、「PES/PALL」と記載)
・ザルトリウス製酢酸セルロースフィルター(CA/Sarto)[商品名:Sartobran(登録商標)P、孔径0.22μm](表中では、「CA/Sarto」と記載)
Figure 2020204001

表6の結果に示す如く、平均粒子径(累積50%粒径)に加えて累積90%粒径が200nm未満の実施例54〜実施例59のREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:2部)はいずれも、フィルターの種類に関わらず、50g以上濾過通過した。
例えば、実施例54と実施例54−Bとの対比より、濾過に用いるフィルターを変えることで濾過通過量が向上する場合があることがわかる。
実施例54、実施例55、実施例56及び実施例57の水性懸濁液組成物の評価結果より、pH値を調整により、4.5から5.1、5.5、及び6.0にそれぞれ変えることで、濾過通過量が向上し、実施例54では64gであった通過量から、実施例55、実施例56及び実施例57では、滅菌用のフィルターを全量通過できた。このことから、工程Cにて得られた水性懸濁液組成物のpHを調整することも、REB粒子の分散性、分散安定性をより向上させるために有効であることがわかる。
<実施例60>
[水性懸濁液組成物の調製]
15mL容器に、特定分散剤であるPVP−K25 200mg及び水8.80gを加え、攪拌溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
2mL容器に、レバミピド(REB)100mg及び上記で得たPVP−K25水溶液900mgを加えて、混合物を得た。(工程A)
得られた混合物に、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)1.5gを混合し、混合物を外温5℃にて16時間メディアを用いた湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB水性懸濁液を得た。得られた水性懸濁液におけるREB含有量は10部、PVP−K25含有量は2重量部である。
得られたREB粒子の水性懸濁液(REB含有量:10部)400mgに対し、分散安定化剤としてのMC−SM4 6mg、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物 2g(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。(工程C及び工程D)
得られた水性懸濁液組成物におけるREB粒子の平均粒子径の測定、及び粒子の微細化の評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表7に示す。
<実施例61〜実施例63>
REBの含有量、特定分散剤の含有量及びジルコニアビーズの含有量を変えた以外は実施例60と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、実施例1と同様にして保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(60℃2週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表7に示す。
なお、対照例として、ジルコニアビーズの含有量がREB粒子の30倍量である実施例29の評価結果を表7に併記する。実施例29で得た水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、PVP−K25含有量:0.4部、MC−SM4含有量:0.3部)は、水で希釈してREB粒子の含有量を2質量%とすると、実施例60で得た水性懸濁液組成物と同じ水準となる。
Figure 2020204001

表7の結果より、REB粒子の含有量、及び工程Bにおいて粉砕に用いるジルコニアビーズ量に係わらず、いずれも、保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(経時後)のREB粒子の平均粒子径が200nm以下であった。なかでも、REB粒子に対するジルコニアビーズの含有量が15倍〜30倍の場合に、より微細なREB粒子を含む水性懸濁液組成物が得られることが分かる。
<実施例64>
[水性懸濁液組成物の調製]
15mL容器に、特定分散剤であるPVP−K25 500mg及び水9.50gを加え、攪拌溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
2mL容器2本に各々、レバミピド(REB)50mg、上記で得たPVP−K25水溶液200mg及び水750mgを加えて、混合物を得た。(工程A)
得られた混合物に、メディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)3.0gを混合し、混合物を外温5℃にて16時間メディアを用いた湿式ビーズミル粉砕により処理した。
2mL容器2本の各々において得られた、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液を1つの容器に投入し、混和して、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:5部、PVP−K25含有量:1部)を得た。
得られたREB粒子の水性懸濁液(REB含有量:5部)800mgに対し、分散安定化剤としてのMC−SM4 6mg、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物 2g(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。(工程C及び工程D)
得られた水性懸濁液組成物におけるREB粒子の平均粒子径の測定、及び粒子の微細化の評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表8に示す。
<実施例65〜実施例67>
REBの含有量、特定分散剤の種類及び含有量、或いは分散安定化剤の種類及び含有量を変えた以外は実施例64と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、実施例1と同様にして保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(60℃2週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2020204001

表8の結果より、実施例64〜実施例67の水性懸濁液組成物は、いずれも保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(経時後)の平均粒子径が200nm以下であった。中でも、工程Bでポリビニルピロリドン(PVP)を含有し、工程Dでメチルセルロース(MC)を配合した実施例64及び実施例65の水性懸濁液組成物は、工程BにおけるREBの含有量が3%及び5%の場合においても保管時の安定性がより良好な水性懸濁液組成物が得られることがわかる。
<実施例68>
工程Bにて粉砕に用いるジルコニアビーズの直径を変更した以外は実施例29と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、実施例29と同様にして保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(60℃2週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表9に示す。
なお、対照例として、ジルコニアビーズの直径が0.1mmの実施例29の評価結果を表9に併記する。
Figure 2020204001

表9の結果より、実施例68及び実施例69の水性懸濁液組成物は、いずれも保管開始時(初期)及び60℃2週間保管後(経時後)の平均粒子径が200nm以下であった。実施例29と実施例68及び実施例69との対比より、ビーズ直径が0.1mm〜0.5mmの範囲では、直径がより小さいビーズを用いることで、粉砕後の平均粒子径がより小さい水性懸濁液組成物が得られる傾向が見られた。
<実施例70>
[水性懸濁液組成物の調製]
100mL容器4本に各々、特定分散剤であるPVP−K25 1.75g及び水77.0gを加え、撹拌し、溶解することで、PVP−K25水溶液を得た。
各々の容器に、レバミピド(REB)8.75gを加え、撹拌した。これら4本の容器内の混合液を全て1L容器に入れて混合物を得た。(工程A)
得られた混合物を被分散物とし、ビーズミル装置(連続循環式、横型式ビーズミル「LMZ」、アシザワ・ファインテック(株))の砕室(体積170mL)にメディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)510gを充填し、被分散物を入れた1L容器を7℃の冷却水で冷却しながら、砕室に140g/分の速度で被分散物を循環させ、回転数2590rpm(周速:8m/秒)、粉砕時間4時間の条件で湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)を得た。(工程B)
次に、110mL容器に、得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、分散安定化剤としてのMC−SM4 300mg、保存剤としてのホウ酸(富士フイルム和光純薬社製) 1.75g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(100g、REB含有量:2部、pH:5.0)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、保管開始時(初期)、60℃1週間保管後(60℃1週間後)、60℃2週間保管後(60℃2週間後)及び60℃4週間保管後(60℃4週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表10に示す。
<実施例71〜実施例76>
ホウ酸の含有量及び水性懸濁液組成物のpH値を、表10に示す値に変えた以外は実施例70と同様にして、REB粒子含有水性懸濁液組成物(REB含有量:2部、pH:5.5〜6.5)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、保管開始時(初期)、60℃1週間保管後(60℃1週間後)、60℃2週間保管後(60℃2週間後)及び60℃4週間保管後(60℃4週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表10に示す。
<実施例77>
[水性懸濁液組成物の調製]
100mL容器4本に各々、特定分散剤であるMC−SM4 0.88g及び水77.87gを加え、撹拌し、溶解することで、MC−SM4水溶液を得た。
各々の容器に、レバミピド(REB)8.75gを加え、撹拌した。これら4本の容器内の混合液を全て1L容器に入れて混合物を得た。(工程A)
得られた混合物を被分散物とし、ビーズミル装置(連続循環式、横型式ビーズミル「LMZ」、アシザワ・ファインテック(株))の砕室(体積170mL)にメディアとしての直径0.1mmのジルコニアビーズ(見掛密度:6g/cm、充填密度:3.7kg/l)510gを充填し、被分散物を入れた1L容器を7℃の冷却水で冷却しながら、砕室に140g/分の速度で被分散物を循環させ、回転数2590rpm(周速:8m/秒)、粉砕時間6.5時間の条件で湿式ビーズミル粉砕により処理し、粉砕されたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)を得た。(工程B)
次に、110mL容器に、得られたREB粒子を含む水性懸濁液組成物(REB含有量:10部)20g、保存剤としてのホウ酸(富士フイルム和光純薬社製) 1.75g、pH調整剤及び水を加え、REB粒子を含む水性懸濁液組成物(100g、REB含有量:2部、pH:5.5)を得た。
得られた水性懸濁液組成物に対して、保管開始時(初期)、60℃1週間保管後(60℃1週間後)、60℃2週間保管後(60℃2週間後)及び60℃4週間保管後(60℃4週間後)の平均粒子径を測定し、さらに、粒子の微細化の評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 2020204001
表10の結果より、実施例70〜実施例77の水性懸濁液組成物は、いずれも保管開始時(初期)、60℃1週間保管後、60℃2週間保管後及び60℃4週間保管後の平均粒子径が200nm以下であった。
以上のように、保存剤としてホウ酸を配合した場合も、粒子径が小さい水性懸濁液が得られることが確認された。
2019年3月29日に出願された日本国特許出願2019−068735の開示は参照により本開示に取り込まれる。
本開示に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本開示中に参照により取り込まれる。

Claims (14)

  1. レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種、2質量%水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下である水溶性分散剤、及び水を含有する混合物を調製する工程Aと、
    得られた混合物を、湿式ビーズミル粉砕する工程Bと、を含み、
    レバミピド及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粒子の平均粒子径が200nm以下である、水性懸濁液組成物の製造方法。
  2. 工程A及び工程Bにおける前記混合物の全質量に対するレバミピド及びその塩の合計含有量が、2質量%より大きく40質量%以下である、請求項1に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  3. 工程A及び工程Bにおける前記混合物の全質量に対するレバミピド及びその塩の合計含有量が、3質量%〜30質量%である、請求項1又は請求項2に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  4. 前記水溶性分散剤が、親水基を有するビニルポリマー及びセルロース誘導体から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  5. 前記セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  6. 前記セルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである、請求項4に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  7. 前記親水基を有するビニルポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、コポビドン、ポリメタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  8. 前記親水基を有するビニルポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  9. 前記工程Bの後に、さらに、混合液のpHを3.5〜7.5の範囲に調整する工程Cを含む、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  10. 前記工程Bの後に、さらに、分散安定化剤としてセルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種を添加する工程Dを含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  11. 前記分散安定化剤としてのセルロース誘導体は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  12. 前記レバミピド及びその塩の合計含有量1質量部に対し、前記分散安定化剤としてのセルロース誘導体を、0.02質量部〜2質量部添加する、請求項10又は請求項11に記載の水性懸濁液組成物の製造方法。
  13. 平均粒子径200nm以下であるレバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子から選ばれる少なくとも1種と、
    メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる少なくとも1種であり、前記レバミピドの粒子及びレバミピドの塩の粒子の合計含有量1質量部に対する合計含有量が0.02質量部〜2質量部である水溶性分散剤と、
    水と、を含む、水性懸濁液組成物。
  14. さらに、ポリビニルピロリドンを含む、請求項13に記載の水性懸濁液組成物。
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