JPWO2020158391A1 - 車両用灯具の制御装置、車両用灯具システムおよび車両用灯具の制御方法 - Google Patents

車両用灯具の制御装置、車両用灯具システムおよび車両用灯具の制御方法 Download PDF

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Abstract

車両用灯具2の制御装置4は、車両100に搭載される音声入力部44により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部44に入力された音声の内容が車両用灯具2の光照射に関するものであることを判定する音声認識処理部38と、音声認識処理部38により音声の内容が車両用灯具2の光照射に関するものと判定された場合に、内容に応じて車両用灯具2を制御する灯具制御部40と、を備える。

Description

本発明は、車両用灯具の制御装置、車両用灯具システムおよび車両用灯具の制御方法に関し、特に自動車などに用いられる車両用灯具の制御装置、車両用灯具システムおよび車両用灯具の制御方法に関する。
従来、車両の周囲の状態に基づいてハイビームの配光パターンを動的、適応的に制御するADB(Adaptive Driving Beam)制御が提案されている。例えば特許文献1には、ADB制御を実行可能な車両用前照灯が開示されている。
特開2014−24399号公報
車両用灯具にADB制御機能を搭載して運転者に良好な視界を提供することで、車両運転を支援することができる。一方で、ADB制御機能の搭載により、ADB制御の開始/停止を切り替えるスイッチ操作が運転者に課されることになる。また、ADB制御に限らず、車両用灯具に新たな機能を追加すれば、その機能を発揮させるための操作が運転者に課されることになる。
したがって、車両用灯具の機能の増加にともない運転者の動作や意識が車両用灯具の操作により割かれることになり、運転者がステアリングの操作や前方の視認に専念しづらい状況、つまり運転に専念しづらい状況が生じ得る。特に、悪天候等の視界が悪い状況下、市街地等の運転者に頻繁な視線移動が要求される状況下、高速走行時等の周囲環境が急速に変化する状況下等では、運転者には運転への専念がより一層求められ、車両用灯具の操作はより煩わしく感じられ得る。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、灯具操作の観点での運転支援と視界確保の観点での運転支援との両立を図る技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具の制御装置である。当該制御装置は、車両に搭載される音声入力部により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部に入力された音声の内容が車両用灯具の光照射に関するものであることを判定する音声認識処理部と、音声認識処理部により音声の内容が車両用灯具の光照射に関するものと判定された場合に、内容に応じて車両用灯具を制御する灯具制御部と、を備える。この態様によれば、灯具操作の観点での運転支援と視界確保の観点での運転支援との両立を図ることができる。
上記態様において、音声の内容は、車両用灯具の点消灯を意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、車両用灯具が形成する配光パターンの切り替えを意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、車両用灯具が形成する配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、車両用灯具の光出射面の洗浄を意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、車両用灯具が形成している配光パターンの移動を意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、車両用灯具が形成している配光パターンの照度の増減を意図するものであってもよい。また、上記態様において、音声の内容は、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するものであり、灯具制御部は、車両用灯具の光出射面の洗浄を実行するか否か、および車両用灯具から照射される光の照度増大を実行するか否かを判断し、当該判断の結果に基づいて車両用灯具を制御してもよい。また、上記態様において、音声の内容は、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するものであり、灯具制御部は、車両用灯具の光出射面の洗浄、および車両用灯具から照射される光の照度増大のうち一方の処理を実行するか否か判断し、当該一方の処理を実行すると判断したとき他方の処理を実行せず、当該一方の処理を実行しないと判断したとき他方の処理を実行するよう車両用灯具を制御してもよい。また、上記態様において、音声の内容は、自車前方の明るさの低減を要求することを意図するものであり、灯具制御部は、自車前方において輝度が所定の高輝度である領域を判定し、当該領域に照射する光の照度を下げるように車両用灯具を制御してもよい。
本発明の他の態様は、車両用灯具システムである。当該システムは、上記いずれかの態様の車両用灯具の制御装置と、制御装置により光照射が制御される車両用灯具と、を備える。
また、本発明の他の態様は、車両用灯具の制御方法である。当該制御方法は、音声入力部により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部に入力された音声の内容が車両用灯具の光照射に関するものであることを判定する音声認識ステップと、音声認識ステップで内容が車両用灯具の光照射に関するものと判定された場合に、内容に応じて車両用灯具を制御する灯具制御ステップと、を含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、灯具操作の観点での運転支援と視界確保の観点での運転支援との両立を図ることができる。
実施の形態に係る車両用灯具システムの概略構成を示す図である。 図2(A)は、光偏向装置の概略構成を示す正面図である。図2(B)は、図2(A)に示す光偏向装置のA−A断面図である。 自車前方の様子を模式的に示す図である。 実施の形態に係る車両用灯具の音声制御の一例を示すフローチャートである。 増光処理の一例を示すフローチャートである。 減光処理の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
図1は、実施の形態に係る車両用灯具システムの概略構成を示す図である。図1では、車両用灯具システム1の構成要素の一部を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
車両用灯具システム1は、例えば、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置に適用される。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、図1には車両用灯具2として一方の前照灯ユニットの構造を示す。車両用灯具システム1は、車両用灯具2と、車両用灯具2の制御装置4と、を主な構成として備える。
車両用灯具2は、車両前方側に開口部を有するランプボディ6と、ランプボディ6の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー8と、を備える。透光カバー8は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成される。ランプボディ6と透光カバー8とによって、灯室10が形成される。本実施の形態の車両用灯具2は、自車前方に並ぶ複数の個別領域(図3参照)のそれぞれに照射する光の照度(強度)を独立に調節可能な灯具である。灯室10内には、光源12と、反射光学部材14と、光偏向装置16と、投影光学部材18と、が収容される。各部は、図示しない支持機構によりランプボディ6に取り付けられる。
光源12は、LED(Light emitting diode)、LD(Laser diode)、EL(Electroluminescence)素子等の半導体発光素子や、電球、白熱灯(ハロゲンランプ)、放電灯(ディスチャージランプ)等を用いることができる。
反射光学部材14は、光源12から出射した光を光偏向装置16の反射面に導くように構成される。反射光学部材14は、内面が所定の反射面となっている反射鏡で構成される。なお、反射光学部材14は、中実導光体などであってもよい。また、光源12から出射した光を光偏向装置16に直接導くことができる場合は、反射光学部材14を設けなくてもよい。
光偏向装置16は、投影光学部材18の光軸上に配置され、光源12から出射された光を選択的に投影光学部材18へ反射するように構成される。光偏向装置16は、例えばDMD(Digital Mirror Device)で構成される。すなわち、光偏向装置16は、複数の微小ミラーをアレイ(マトリックス)状に配列したものである。これらの複数の微小ミラーの反射面の角度をそれぞれ制御することで、光源12から出射された光の反射方向を選択的に変えることができる。つまり、光偏向装置16は、光源12から出射された光の一部を投影光学部材18へ向けて反射し、それ以外の光を、投影光学部材18によって有効に利用されない方向へ向けて反射することができる。ここで、有効に利用されない方向とは、例えば、投影光学部材18には入射するが配光パターンの形成にほとんど寄与しない方向や、図示しない光吸収部材(遮光部材)に向かう方向と捉えることができる。
図2(A)は、光偏向装置16の概略構成を示す正面図である。図2(B)は、図2(A)に示す光偏向装置16のA−A断面図である。光偏向装置16は、複数の微小なミラー素子20がマトリックス状に配列されたマイクロミラーアレイ22と、ミラー素子20の反射面20aの前方側(図2(B)に示す光偏向装置16の右側)に配置された透明なカバー部材24と、を有する。カバー部材24は、例えば、ガラスやプラスチック等で構成される。
ミラー素子20は略正方形であり、水平方向に延びミラー素子20をほぼ等分する回動軸20bを有する。マイクロミラーアレイ22の各ミラー素子20は、光源12から出射された光を所望の配光パターンの一部として利用されるように投影光学部材18へ向けて反射する第1反射位置(図2(B)において実線で示す位置)と、光源12から出射された光が有効に利用されないように反射する第2反射位置(図2(B)において点線で示す位置)と、を切り替え可能に構成されている。各ミラー素子20は、回動軸20b周りに回動して、第1反射位置と第2反射位置との間で個別に切り替えられる。各ミラー素子20は、オン時に第1反射位置をとり、オフ時に第2反射位置をとる。
図3は、自車前方の様子を模式的に示す図である。上述のように車両用灯具2は、灯具前方に向けて互いに独立に光を照射可能な個別照射部としてのミラー素子20を複数有する。車両用灯具2は、ミラー素子20によって自車前方に並ぶ複数の個別領域Rに光を照射することができる。各個別領域Rは、後述する撮像部42を構成するカメラの1ピクセル又は複数ピクセルの集合に対応する領域である。本実施の形態では各個別領域Rと各ミラー素子20とが対応付けられている。
図2(A)および図3では、説明の便宜上、ミラー素子20および個別領域Rを横10×縦8の配列としているが、ミラー素子20および個別領域Rの数は特に限定されない。例えば、マイクロミラーアレイ22の解像度(言い換えればミラー素子20および個別領域Rの数)は1000〜30万ピクセルである。
図1に示すように、投影光学部材18は、例えば、前方側表面および後方側表面が自由曲面形状を有する自由曲面レンズからなる。投影光学部材18は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方に投影する。投影光学部材18は、その後方焦点が車両用灯具2の光軸上、且つマイクロミラーアレイ22の反射面の近傍に配置される。なお、投影光学部材18は、リフレクタであってもよい。
光源12から出射された光は、反射光学部材14で反射されて、光偏向装置16のマイクロミラーアレイ22に照射される。光偏向装置16は、第1反射位置にある所定のミラー素子20によって投影光学部材18へ向けて光を反射する。この反射された光は、投影光学部材18を通過して灯具前方に進行し、各ミラー素子20に対応する各個別領域Rに照射される。これにより、複数の部分照射領域が集まって構成される配光パターンが灯具前方に形成される。複数の部分照射領域のそれぞれは、対応するミラー素子20がオンのときに形成される。車両用灯具システム1は、各ミラー素子20のオン/オフを切り替えることにより、様々な形状の配光パターンを形成することができる。
また、車両用灯具2は、クリーナ26と、異物検知センサ28と、を備える。クリーナ26は、車両用灯具2の光出射面、すなわち透光カバー8を洗浄するための装置である。クリーナ26は、本体部30と、噴射ノズル32と、を有する。本体部30は、車両100の車体102等に固定される。噴射ノズル32は、本体部30の端部に設けられ、車両100側の図示しない洗浄液タンクから本体部30を介して供給される洗浄液34を透光カバー8に噴射する。これにより、透光カバー8に付着した泥や塵埃等の異物を除去することができる。クリーナ26の駆動は、制御装置4により制御される。
異物検知センサ28は、透光カバー8への異物の付着を検知するセンサである。一例として、本実施の形態の異物検知センサ28は、透光カバー8を撮像するカメラで構成される。異物検知センサ28によって生成された画像データは、制御装置4に送られる。なお、異物検知センサ28は、他の公知のセンサ、例えば泥や塵埃の透光カバー8への衝突を検出する歪みセンサ、加速度センサ、光ファイバセンサ等で構成することもできる。
本実施の形態の制御装置4は、車両100の運転者等の音声による指令を受けて、車両用灯具2を制御する。制御装置4は、状況解析部36と、音声認識処理部38と、灯具制御部40と、を備える。状況解析部36、音声認識処理部38および灯具制御部40は、自身を構成する集積回路が、メモリに保持されたプログラムを実行することで動作することができる。
状況解析部36は、車両100に搭載される撮像部42から画像データを取得する。撮像部42は、例えばカメラで構成され、全ての個別領域Rを撮像する。状況解析部36は、撮像部42から得られる画像データに対する画像解析を実行して、各個別領域Rの輝度や自車前方に存在する所定の物標を検出する。
状況解析部36により検出される物標は、例えば自発光体であり、具体例としては図3に示す対向車200や、図示しない先行車等の前方車両が挙げられる。状況解析部36は、アルゴリズム認識やディープラーニング等を含む、公知の方法を用いて物標を検出することができる。例えば、状況解析部36は、対向車200を示す特徴点を予め保持している。そして、状況解析部36は、撮像部42の撮像データの中に対向車200を示す特徴点を含むデータが存在する場合、対向車200の位置を認識する。前記「対向車200を示す特徴点」とは、例えば対向車200の前照灯の推定存在領域に現れる所定光度以上の光点202(図3参照)である。状況解析部36の検出結果、すなわち各個別領域Rの輝度や自車前方の物標情報を示す信号は、灯具制御部40に送信される。
音声認識処理部38は、車両100に搭載される音声入力部44から音声信号を取得する。音声入力部44は、例えば車両100の車室内に設置されるマイクで構成される。車両100の搭乗者は、音声入力部44に自身の音声を入力することができる。音声入力部44は、入力された音声から音声信号を生成し、音声認識処理部38に送信する。
音声認識処理部38は、音声入力部44により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部44に入力された音声が車両用灯具2の光照射に関する内容であることを判定する。具体的には、音声認識処理部38は、ROM、RAM、SSD、HDD、フラッシュメモリ、その他の不揮発性メモリや揮発性メモリといったメモリを有する。メモリには、音声認識処理で実行される音声認識プログラムと、当該処理に必要な辞書データ等が記憶されている。
音声認識処理部38は、音声入力部44から音声信号を受信すると、メモリに記憶されている辞書データを読み出し、読み出した辞書データに基づいて音声認識処理を実行する。音声認識処理部38は、公知の音声認識処理技術を用いて、音声入力部44に入力された音声が車両用灯具2の光照射に関する内容であるか否かを判定することができる。音声認識処理部38は、判定結果を示す信号を灯具制御部40に送信する。
灯具制御部40は、音声入力部44に入力された音声の内容が車両用灯具2の光照射に関するものと音声認識処理部38により判定された場合に、音声の内容に応じて車両用灯具2を制御する。車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2の点消灯を意図するものが挙げられる。車両用灯具2の点消灯を意図する音声としては、例えば「ランプを着けて」、「ランプを消して」等である。この場合、灯具制御部40は、図示しない電源回路を制御して、光源12を点消灯する。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2が形成する配光パターンの切り替えを意図するものが挙げられる。当該配光パターンの切り替えは例えば、ハイビーム用配光パターンやロービーム用配光パターンといった、予め設定される決まった形状の配光パターン間での切り替えである。配光パターンの切り替えを意図する音声としては、例えば「ハイビームにして」、「ロービームにして」等である。この場合、灯具制御部40は、光偏向装置16に制御信号を送信し、形成すべき配光パターンの形状に応じて各ミラー素子20のオン/オフを切り替える。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2が形成する配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図するものが挙げられる。本実施の形態における配光パターンの自動切り替え制御は、ADB(Adaptive Driving Beam)制御である。配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図する音声としては、例えば「ADBを開始して」、「自動配光を開始して」等である。この場合、灯具制御部40は、メモリに記憶されているADB制御プログラムを実行する。ADB制御において、灯具制御部40は、状況解析部36の解析結果に基づいて、各個別領域Rに照射する光の照度値を設定する。
灯具制御部40は、自車前方に対向車200や先行車といった物標が存在する場合、物標の存在位置に応じて特定個別領域R1(図3参照)を定める。例えば、物標が対向車200である場合、灯具制御部40は、対向車200の前照灯に対応する2つの光点202間の水平方向距離aに対して、予め定められた所定比率の鉛直方向距離bを定め、横a×縦bの寸法範囲と重なる個別領域Rを特定個別領域R1とする。特定個別領域R1には、対向車200の運転者と重なる個別領域Rが含まれる。そして、灯具制御部40は、特定個別領域R1に対して、例えば照度値「0」を設定する。
また、灯具制御部40は、特定個別領域R1の除く他の個別領域Rに照射する光の照度値を定める。例えば、灯具制御部40は、特定個別領域R1を除く個別領域Rについて、予め定めた目標輝度値をメモリに保持している。一例として、灯具制御部40は、特定個別領域R1を除く個別領域Rについて、同じ値の目標輝度値を保持する。灯具制御部40は、状況解析部36により検出される輝度が後の配光パターン形成により目標輝度値に近づくように各個別領域Rの照度値を設定する。
これにより、灯具制御部40によって、特定個別領域R1を遮光し、他の個別領域Rに対して所定照度の光を照射する配光パターンが決定される。そして、灯具制御部40は、光源12を点灯し、また決定した配光パターンの形状に応じて各ミラー素子20のオン/オフを切り替える。灯具制御部40は、各個別領域Rに照射する光の照度値に基づいて各ミラー素子20のオンの時間比率(幅や密度)を調節することで、各個別領域Rに照射される光の照度を調節することができる。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2の光出射面の洗浄を意図するものが挙げられる。光出射面の洗浄を意図する音声としては、例えば「ランプの汚れを落として」、「ランプを洗って」等である。この場合、灯具制御部40は、クリーナ26を駆動させて透光カバー8に洗浄液34を噴射することで、光出射面を洗浄する。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2が形成している配光パターンの移動を意図するものが挙げられる。配光パターンの移動を意図する音声としては、例えば「もっと右を照らして」、「右側が暗い」等である。この場合、灯具制御部40は、光偏向装置16に制御信号を送信し、自車前方に光を反射するミラー素子20の集合体を形状はそのままで右に移動させることで、配光パターンの形状を維持したまま形成位置を右に移動させる。なお、当然ながら配光パターンを移動させる方向は、右方向に限定されない。また、車両用灯具2に公知のレベリング機構やスイブル機構を設けて、車両用灯具2の光軸自体を上下左右に揺動させることで、配光パターンの位置を移動させてもよい。
配光パターンの位置が移動可能な範囲の端まで到達している場合、灯具制御部40は、車両に搭載される図示しないスピーカやインジケータを介して、配光パターンをこれ以上移動できないことを報知してもよい。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、車両用灯具2が形成している配光パターンの照度の増減を意図するものが挙げられる。照度の増減を意図する音声としては、例えば「光を強めて」、「光を弱めて」、「光量を上げて」、「光量を下げて」等である。この場合、灯具制御部40は、光源12の出力を増減させたり、配光パターンを形成する各ミラー素子20のオンの時間比率を増減させたりすることで、車両用灯具2から照射する光の照度を増減させる。
例えば灯具制御部40は、1回の照度増減処理において、予め設定される所定量だけ配光パターンの照度を増減させる。当該所定量は、照度の変化が運転者に与える違和感や快適性の低下等を考慮して、実験やシミュレーションの結果に基づいて適宜設定することができる。また、灯具制御部40は、車両用灯具2の照射光の照度が最大もしくは最小であって照度をこれ以上増減させることができないとき、スピーカやインジケータを介して配光パターンの照度をこれ以上増減できないことを報知してもよい。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するものが挙げられる。自車前方の明るさの増大を要求する音声としては、「もっと明るくして」、「暗い」等である。この場合、灯具制御部40は、車両用灯具2の光出射面の洗浄を実行するか否か、および車両用灯具2から照射される光の照度増大を実行するか否かを判断する。そして灯具制御部40は、当該判断の結果に基づいて車両用灯具2を制御する。以下では、この明るさ増大手段の判断と、判断結果に基づいた車両用灯具2の制御と、を増光処理という。
増光処理の一例として、灯具制御部40は、車両用灯具2の光出射面の洗浄を実行するか否かを先行して判断する。光出射面を洗浄するか否かの判断について、灯具制御部40は、異物検知センサ28の検出結果に基づいて、透光カバー8の汚れ具合が洗浄を要する程度であるか否かを判定することで、洗浄するか否かを判断することができる。
例えば、異物検知センサ28がカメラである場合、灯具制御部40は、異物検知センサ28から取得した画像データを画像解析して、透光カバー8において汚れが付着する領域の面積を計測する。そして、この面積が所定のしきい値を超える場合、灯具制御部40は、透光カバー8の洗浄を実行すると判断する。また、異物検知センサ28が歪みセンサ、加速度センサまたは光ファイバセンサで構成される場合、灯具制御部40は、歪みセンサで検出された歪みの合計、加速度センサで検出された加速度の合計、あるいは光ファイバセンサで検出された光の位相、波長、屈折率等の変化の合計が所定のしきい値を超える場合、透光カバー8の洗浄を実行すると判断する。当該しきい値は、実験やシミュレーションの結果に基づいて適宜設定することができる。洗浄処理を実行すると判断した場合、灯具制御部40は、クリーナ26を駆動させて洗浄液34を透光カバー8に噴射し、光出射面を洗浄する。
その後、灯具制御部40は、車両用灯具2から照射する光の照度増大を実行するか否かを判断する。車両用灯具2から照射する光の照度を増大させるか否かの判断について、灯具制御部40は、例えば各個別領域Rの輝度の目標増大量を予め保持している。当該目標増大量は、照射光強度の変化が運転者に与える違和感や快適性の低下等を考慮して、実験やシミュレーションの結果に基づいて適宜設定することができる。
そして、灯具制御部40は、光出射面の洗浄処理が実行された場合には、状況解析部36の解析結果に基づいて各個別領域Rの輝度の増大量が目標増大量に達したか判断する。各個別領域Rの輝度の増大量が目標増大量に達している場合、灯具制御部40は、車両用灯具2の照射光の照度増大を実行しないと判断する。一方、各個別領域Rの輝度の増大量が目標増大量に達しておらず、且つ光源12の現状の出力が最大出力未満であるか、配光パターンを形成する各ミラー素子20のオンの時間比率が最大比率未満である場合、灯具制御部40は、車両用灯具2の照射光の照度を増大させると判断する。光出射面の洗浄処理が実行されていない場合、灯具制御部40は、光源12の出力と各ミラー素子20のオンの時間比率とが最大値に達していないことのみを判定する。そして、光源12の出力またはミラー素子20のオンの時間比率が最大値に達していないとき、車両用灯具2の照射光の照度を増大させると判断する。
灯具制御部40は、車両用灯具2から照射する光の照度を増大させると判断した場合、光源12の出力増大および各ミラー素子20のオンの時間比率増大の少なくとも一方により、照度を増大させる。例えば灯具制御部40は、1回の増光処理で各個別領域Rの輝度の増大量が目標増大量に達するように、車両用灯具2の照射光の照度を増大させる。あるいは灯具制御部40は、複数回の増光処理の繰り返しによって各個別領域Rの輝度の増大量を徐々に目標増大量に近づけてもよい。この場合には、自車前方の明るさの変化が運転者に与える違和感や快適性の低下をより軽減しながら、自車前方の明るさを増大させることができる。
また、灯具制御部40は、車両用灯具2の光出射面が洗浄するほどに汚れておらず、且つ車両用灯具2の照射光の照度が最大であるために照度をこれ以上増大させることができないとき、スピーカやインジケータを介して自車前方の明るさをこれ以上増大できないことを報知する。
なお、増光処理において、灯具制御部40は、光出射面の洗浄と照射光の照度増大とのうち一方の処理について実行するか否か判断し、当該一方の処理を実行すると判断したときに一方の処理のみ実行して他方の処理を実行せず、当該一方の処理を実行しないと判断したときに他方の処理を実行してもよい。つまり、一方の処理の判断が他方の処理の判断を兼ねてもよい。また、灯具制御部40は、光出射面の洗浄の実行と照射光の照度増大の実行とをそれぞれ独立に判断してもよい。この場合、照射光の照度増大の実行判断において、灯具制御部40は、光源12の出力と各ミラー素子20のオンの時間比率とが最大値に達していないことを判定し、車両用灯具2の照射光の照度増大の実行を判断する。
また、自車前方の明るさ増大の要求は、例えば「右側をもっと明るくして」といった、自車前方の一部の個別領域Rの明るさ増大を要求するものであってもよい。この場合、例えば撮像部42が生成する画像データに対して、右側方領域、左側方領域、中央領域といった複数の特定領域が予め設定されている。各特定領域には、複数の個別領域Rが含まれる。そして、灯具制御部40は、特定領域情報を保持しており、明るさの増大が要求される領域と重なる特定領域を判断して当該特定領域の輝度が増大するように車両用灯具2の照射光の照度を増大させる。なお、上述した配光パターンの形成位置の移動制御が組み合わされてもよい。
また、車両用灯具2の光照射に関する内容としては、自車前方の明るさの低減を要求することを意図するものが挙げられる。自車前方の明るさの低減を要求する音声としては、「もっと暗くして」、「眩しい」等である。この場合、灯具制御部40は、自車前方において輝度が所定の高輝度である領域を検出し、この領域に照射する光の照度を下げるように車両用灯具2を制御する。以下では、この高輝度領域の判定と、判定結果に基づいた車両用灯具2の制御と、を減光処理という。
減光処理において、灯具制御部40は、状況解析部36の解析結果に基づいて自車前方の高輝度領域を検出する。例えば、灯具制御部40は、状況解析部36によって検出された物標と重なる個別領域Rを除いて、所定のしきい値よりも輝度の高い個別領域Rを高輝度領域として検出する。当該しきい値は、実験やシミュレーションの結果に基づいて適宜設定することができる。例えば、視線誘導標(デリニエータ)、看板、道路標識204(図3参照)等の反射率の高い反射物が自車前方に存在する場合、反射物と重なる個別領域Rは高輝度領域となり得る。また、雨天時等に路面が濡れている場合、路面と重なる個別領域Rは高輝度領域となり得る。
灯具制御部40は、高輝度領域を検出すると、高輝度領域に光を照射するミラー素子20のオンの時間比率を低減させることで高輝度領域に照射する光の照度を低減させる。例えば灯具制御部40は、各個別領域Rの輝度の目標低減量を予め保持しており、1回の減光処理で高輝度領域の輝度の低減量が目標低減量に達するように、高輝度領域に対応するミラー素子20からの照射光の照度を低減させる。当該目標低減量は、照射光強度の変化が運転者に与える違和感や快適性の低下等を考慮して、実験やシミュレーションの結果に基づいて適宜設定することができる。あるいは灯具制御部40は、複数回の減光処理の繰り返しによって高輝度領域の輝度の低減量を徐々に目標低減量に近づけてもよい。この場合には、自車前方の明るさの変化が運転者に与える違和感や快適性の低下をより軽減しながら、自車前方の明るさを低減させることができる。
また、灯具制御部40は、高輝度領域が検出されなかったとき、配光パターン全体の照度を低減してもよい。この場合、灯具制御部40は、光源12の出力低減および各ミラー素子20のオンの時間比率低減の少なくとも一方により、車両用灯具2の照射光の照度を低減させることができる。
また、灯具制御部40は、車両用灯具2の照射光強度が最小であって、高輝度領域への照射光の照度または配光パターン全体の照度を低減させることができないとき、スピーカやインジケータを介して自車前方の明るさをこれ以上低減できないことを報知する。
図4は、実施の形態に係る車両用灯具2の音声制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、例えば音声制御の実行指示がなされ、且つイグニッションがオンのときに所定のタイミングで繰り返し実行され、音声制御の実行指示が解除される(あるいは停止指示がなされる)か、イグニッションがオフにされた場合に終了する。
制御装置4は、音声入力部44に音声の入力があるか判断する(S101)。音声入力の有無は、音声入力部44からの音声信号の受信の有無に基づいて判断することができる。音声入力がない場合(S101のN)、制御装置4は、本ルーチンを終了する。音声入力があった場合(S101のY)、制御装置4は、音声認識処理を実行する(S102)。認識された音声の内容が車両用灯具2の点消灯を意図するものである場合、制御装置4は、音声の内容に沿って光源12を点灯または消灯し(S103)、本ルーチンを終了する。
認識された音声の内容が車両用灯具2が形成する配光パターンの切り替えを意図するものである場合、制御装置4は、光偏向装置16を制御して配光パターンを切り替え(S104)、本ルーチンを終了する。認識された音声の内容が配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図するものである場合、制御装置4は、ADB制御を開始し(S105)、本ルーチンを終了する。
認識された音声の内容が車両用灯具2の光出射面の洗浄を意図するものである場合、制御装置4は、クリーナ26を制御して透光カバー8に洗浄液34を噴射し(S106)、本ルーチンを終了する。認識された音声の内容が配光パターンの移動を意図するものである場合、制御装置4は、光偏向装置16を制御して配光パターンの位置を指示された方向に移動させ(S107)、本ルーチンを終了する。認識された音声の内容が配光パターンの照度の増減を意図するものである場合、制御装置4は、光源12および光偏向装置16の少なくとも一方を制御して配光パターンの照度を増減させ(S108)、本ルーチンを終了する。
認識された音声の内容が自車前方の明るさの増大要求を意図するものである場合、制御装置4は、増光処理のサブルーチンを実行し(S109)、本ルーチンを終了する。図5は、増光処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、増光処理フローが開始されると、制御装置4は、異物検知センサ28の検知結果に基づいて車両用灯具2の光出射面を洗浄するか否か判断する(S201)。光出射面を洗浄すると判断した場合(S201のY)、制御装置4は、クリーナ26を制御して透光カバー8に洗浄液34を噴射する(S202)。また、制御装置4は、洗浄実行フラグを生成してメモリに保持し、ステップS203に進む。光出射面を洗浄しないと判断した場合(S201のN)、制御装置4は、クリーナ26を駆動することなくステップS203に進む。
続いて制御装置4は、車両用灯具2から照射する光の照度を増大させるか否かを判断する(S203)。照度を増大させると判断した場合(S203のY)、制御装置4は、光源12および光偏向装置16の少なくとも一方を制御して照度を増大させる(S204)。また、制御装置4は、照度増大実行フラグを生成してメモリに保持し、ステップ205に進む。照射光強度が既に最大である等の理由で照度を増大させないと判断した場合(S203のN)、制御装置4は、光源12および光偏向装置16を制御することなくステップS205に進む。
続いて制御装置4は、車両用灯具2の光出射面の洗浄、および車両用灯具2から照射する光の照度増大のいずれも実行していないか判断する(S205)。洗浄および照度増大を実行したか否かは、洗浄実行フラグおよび照度増大実行フラグの有無に基づいて判断することができる。洗浄および照度増大のいずれも実行していない場合(S205のY)、制御装置4は、自車前方の明るさをこれ以上増大できないことを報知し(S206)、増光処理フローを終了する。洗浄および照度増大のいずれかを実行している場合(S205のN)、制御装置4は増光処理フローを終了する。
図4に示すように、認識された音声の内容が自車前方の明るさの低減要求を意図するものである場合、制御装置4は、減光処理のサブルーチンを実行し(S110)、本ルーチンを終了する。図6は、減光処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、減光処理フローが開始されると、制御装置4は、状況解析部36の解析結果に基づいて自車前方に高輝度領域があるか否かを判断する(S301)。
高輝度領域があると判断した場合(S301のY)、制御装置4は、高輝度領域に照射する光の照度を低減させるか否かを判断する(S302)。照度を低減させると判断した場合(S302のY)、制御装置4は、光偏向装置16を制御して高輝度領域に照射する光の照度を低減させ(S303)、減光処理フローを終了する。照射光強度が既に最小である等の理由で照度を低減させないと判断した場合(S302のN)、制御装置4は、自車前方の明るさをこれ以上低減できないことを報知し(S304)、減光処理フローを終了する。
高輝度領域がないと判断した場合(S301のN)、制御装置4は、配光パターン全体の照度を低減させるか否かを判断する(S305)。照度を低減させると判断した場合(S305のY)、制御装置4は、光源12および光偏向装置16の少なくとも一方を制御して配光パターンの照度を低減させ(S306)、減光処理フローを終了する。照射光強度が既に最小である等の理由で照度を低減させないと判断した場合(S305のN)、制御装置4は、自車前方の明るさをこれ以上低減できないことを報知し(S304)、減光処理フローを終了する。
図4に示すように、認識された音声の内容が車両用灯具2の光照射に関するものでない場合、そのまま本ルーチンを終了する。
なお、制御装置4による車両用灯具2の音声制御を実行するための準備として、事前に車両100の運転者の音声を制御装置4に登録すること、つまり話者認識を実行することが好ましい。また、制御装置4に車両100の識別情報を事前に登録し、制御装置4が登録音声のみに基づいて登録車両の車両用灯具2を制御することが好ましい。
このように、車両100と運転者とを紐付けすることで、運転者以外の搭乗者の音声によって車両用灯具2が誤って制御されることを回避することができる。また、他車両の搭乗者の音声によって車両用灯具2が誤って制御されることを回避することができる。また、車両100の運転者が他車両の車両用灯具2を誤って制御してしまうことを回避することができる。したがって、車両用灯具2の音声制御の安全性を向上させることができる。なお、音声登録に代えて、あるいは音声登録に加えて、運転者および車室内を撮像するカメラを車両100に設置し、運転者の顔情報を制御装置4に登録してもよい。
また、本実施の形態の制御装置4は、車両用灯具2の音声制御の開始と停止とを音声により切り替えることができる。また、車両用灯具2の音声制御と車両用灯具2のライトスイッチでの制御とを音声により切り替えることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具2の制御装置4は、車両100に搭載される音声入力部44により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部44に入力された音声の内容が車両用灯具2の光照射に関するものであることを判定する音声認識処理部38と、音声認識処理部38により内容が車両用灯具2の光照射に関するものと判定された場合に、内容に応じて車両用灯具2を制御する灯具制御部40と、を備える。
また、音声の内容には、車両用灯具2の点消灯を意図するもの、車両用灯具2が形成する配光パターンの切り替えを意図するもの、車両用灯具2が形成する配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図するもの、車両用灯具2の光出射面の洗浄を意図するもの、車両用灯具2が形成している配光パターンの移動を意図するもの、車両用灯具2が形成している配光パターンの照度の増減を意図するもの、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するもの、および自車前方の明るさの低減を要求することを意図するものの少なくとも1つが含まれる。
音声の内容が自車前方の明るさの増大を要求するものである場合、灯具制御部40は、車両用灯具2の光出射面の洗浄、および車両用灯具2から照射される光の照度増大のいずれかまたは両方を実行するか判断し、当該判断の結果に基づいて車両用灯具2を制御する。また、音声の内容が自車前方の明るさの低減を要求するものである場合、灯具制御部40は、自車前方において輝度が所定の高輝度である領域を判定し、当該領域に照射する光の照度を下げるように車両用灯具2を制御する。
このように、車両用灯具2を音声制御することで、車両用灯具2の操作に割かれる運転者の動作や意識を減らすことができる。よって、灯具操作の観点での運転支援と視界確保の観点での運転支援との両立を図ることができる。特に、悪天候下等の運転者に運転への専念がより求められる状況下において、運転者に灯具の手動操作を強いることを回避できる。これにより、運転者の操作ミスを減らすことができるため、より確実に良好な視界を運転者に提供することができる。
また、運転者が自車前方の明るさの増大を要求する場合のように、運転者の要求を満たす上で採り得る動作が複数考えられる要求であっても、制御装置4が採るべき動作を判断して実行する。このため、運転者の操作負担をより軽減できるとともに、運転者の視界改善の納得度を高めることができる。よって、車両運転の安全性、快適性、利便性を効率的に向上させることができる。また、自動運転車両においても車両運転を司る制御部の負担を軽減することができ、車両運転の安全性を効率的に向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
実施の形態では、制御装置4や撮像部42が灯室10外に設けられているが、それぞれは適宜、灯室10内に設けられてもよい。車両用灯具2は、DMDである光偏向装置16に代えて、光源光で自車前方を走査するスキャン光学系や、各個別領域Rに対応するLEDが配列されたLEDアレイ等の他の光学機構を備えてもよい。
また、自車前方の明るさ増大を指示するスイッチが設けられる場合、灯具制御部40は、音声指示によらず当該スイッチからの信号を受信して、増光処理を実行してもよい。また、自車前方の明るさ低減を指示するスイッチが設けられる場合、灯具制御部40は、音声指示によらず当該スイッチからの信号を受信して、減光処理を実行してもよい。
以下の態様も本発明に含めることができる。
上述した制御装置(4)と、
制御装置(4)により光照射が制御される車両用灯具(2)と、
を備える、車両用灯具システム(1)。
音声入力部(44)により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部(44)に入力された音声の内容が車両用灯具(2)の光照射に関するものであることを判定する音声認識ステップと、
音声認識ステップで音声の内容が車両用灯具(2)の光照射に関するものと判定された場合に、内容に応じて車両用灯具(2)を制御する灯具制御ステップと、
を含む、車両用灯具(2)の制御方法。
本発明は、車両用灯具の制御装置、車両用灯具システムおよび車両用灯具の制御方法に利用することができる。
1 車両用灯具システム、 2 車両用灯具、 4 制御装置、 12 光源、 16 光偏向装置、 26 クリーナ、 28 異物検知センサ、 36 状況解析部、 38 音声認識処理部、 40 灯具制御部、 44 音声入力部、 100 車両。

Claims (12)

  1. 車両に搭載される音声入力部により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部に入力された音声の内容が車両用灯具の光照射に関するものであることを判定する音声認識処理部と、
    前記音声認識処理部により前記内容が車両用灯具の光照射に関するものと判定された場合に、前記内容に応じて前記車両用灯具を制御する灯具制御部と、
    を備えることを特徴とする車両用灯具の制御装置。
  2. 前記内容は、前記車両用灯具の点消灯を意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  3. 前記内容は、前記車両用灯具が形成する配光パターンの切り替えを意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  4. 前記内容は、前記車両用灯具が形成する配光パターンの自動切り替え制御の実行を意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  5. 前記内容は、前記車両用灯具の光出射面の洗浄を意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  6. 前記内容は、前記車両用灯具が形成している配光パターンの移動を意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  7. 前記内容は、前記車両用灯具が形成している配光パターンの照度の増減を意図するものである請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  8. 前記内容は、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するものであり、
    前記灯具制御部は、前記車両用灯具の光出射面の洗浄を実行するか否か、および前記車両用灯具から照射される光の照度増大を実行するか否かを判断し、当該判断の結果に基づいて前記車両用灯具を制御する請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  9. 前記内容は、自車前方の明るさの増大を要求することを意図するものであり、
    前記灯具制御部は、前記車両用灯具の光出射面の洗浄、および前記車両用灯具から照射される光の照度増大のうち一方の処理について実行するか否か判断し、当該一方の処理を実行すると判断したとき他方の処理を実行せず、当該一方の処理を実行しないと判断したとき他方の処理を実行するよう前記車両用灯具を制御する請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  10. 前記内容は、自車前方の明るさの低減を要求することを意図するものであり、
    前記灯具制御部は、自車前方において輝度が所定の高輝度である領域を検出し、前記領域に照射する光の照度を下げるように前記車両用灯具を制御する請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車両用灯具の制御装置と、
    前記制御装置により光照射が制御される車両用灯具と、
    を備えることを特徴とする車両用灯具システム。
  12. 音声入力部により生成される音声信号の認識処理を行い、音声入力部に入力された音声の内容が車両用灯具の光照射に関するものであることを判定する音声認識ステップと、
    前記音声認識ステップで前記内容が車両用灯具の光照射に関するものと判定された場合に、前記内容に応じて前記車両用灯具を制御する灯具制御ステップと、
    を含むことを特徴とする車両用灯具の制御方法。
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