JPWO2020157902A1 - すべり軸受構造及びスクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

スクロール圧縮機の回転軸とすべり軸受との隙間において効果的に油膜圧力を増大させ、回転軸及びすべり軸受の焼付きを抑制するすべり軸受構造を得ることを目的とする。本発明に係るすべり軸受構造(50)及びスクロール圧縮機(100)は、スクロール圧縮機の揺動スクロールを駆動する回転軸(6)と、回転軸の径方向荷重を支持するすべり軸受(15)と、を備える。回転軸(6)は、すべり軸受(15)に相対する外周面に軸方向に延びる溝(20)を備え、溝(20)は、ポンピング作用を生じるように形成され、回転軸(6)の外周面は、外周面において周方向の所定の角度範囲で設定される領域Pと、領域P以外の外周面の領域Qと、を備える。領域Pにおける外周面の面積に対する溝(20)が占める割合は、領域Qにおける前記外周面の面積に対する前記溝(20)が占める割合よりも大きい。

Description

本発明は、スクロール圧縮機のスクロール部を駆動する回転軸を支持するすべり軸受構造及びそのすべり軸受構造を備えるスクロール圧縮機に関する。
従来、スクロール圧縮機は、揺動スクロールを駆動するための回転軸を備え、回転軸に作用する径方向変動荷重を支持するためにすべり軸受を備える。スクロール圧縮機のすべり軸受は冷凍機油等の流体により潤滑され、すべり軸受と回転軸との隙間には油膜と称される流体膜が形成される。スクロール圧縮機の運転中において、回転軸の軸中心は、回転軸に掛かる径方向荷重により、すべり軸受の軸受中心に対して偏心して回転運動を行う。そのため、回転軸とすべり軸受との隙間には、回転方向に向かって周方向の隙間が次第に減少するくさび油膜部と呼ばれる領域が形成される。この領域は、回転軸の回転に伴い冷凍機油が狭い空間に引込まれるため、油膜による圧力(油膜圧力)が生じて回転軸に掛かる径方向荷重を支持することができる。これをくさび効果と呼ぶ。
スクロール圧縮機の回転軸の回転数が十分に高い場合、すべり軸受と回転軸との間の隙間のくさび油膜部では高い油膜圧力が発生する。従って、回転軸とすべり軸受とは、十分な厚さの油膜によって隔てられ、直接接触しない。一方、回転軸の回転数が低下すると、くさび油膜部の油膜圧力が低下し、回転軸とすべり軸受との隙間は、油膜切れの状態となり易い。そのため、回転軸とすべり軸受とが接触(固体接触)し、摩擦及び摩耗が生じ、すべり軸受は、焼付きに至る場合がある。
近年、空調機器に用いられるスクロール圧縮機は、建築物の高断熱化等により、低負荷、低回転数領域での運転が求められる場合が多い。また、低外気温時にも、低負荷での冷房運転が必要となる場合がある。よって、スクロール圧縮機のすべり軸受は、低回転数時においても十分な油膜圧力を確保し、焼付きの発生を抑制する必要がある。
従来のスクロール圧縮機のすべり軸受構造は、油膜切れの状態を回避し、回転軸との接触による焼付きを抑制するため、回転軸の摺動部の全面に亘って複数のくの字状の軸方向に延びる溝を一様に分布させて備えている。そして、すべり軸受構造は、溝に沿って冷凍機油を引込むポンピング作用により圧力(動圧)を発生させる構成を備える(例えば特許文献1)。
特開平4−370388号公報
特許文献1に開示されているスクロール圧縮機のすべり軸受構造においては、回転軸の外周面の全周に亘って一様に溝が形成されている。そのため、ポンピング作用により生じる動圧は、回転軸の全周で発生する。従って、外周面の全周の各々の溝による圧力発生効果が互いに打ち消しあい、回転軸とすべり軸受との隙間の油膜圧力を増大させる効果が得難く、焼付きを抑制することができないという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、スクロール圧縮機の回転軸とすべり軸受との隙間において効果的に油膜圧力を増大させ、回転軸及びすべり軸受の焼付きを抑制するすべり軸受構造及びスクロール圧縮機を得ることを目的とするものである。
本発明に係るすべり軸受構造は、スクロール圧縮機の揺動スクロールを駆動する回転軸と、前記回転軸の径方向荷重を支持するすべり軸受と、を備え、前記回転軸は、前記すべり軸受に相対する外周面に軸方向に延びる溝を備え、前記溝は、ポンピング作用を生じるように形成され、前記回転軸の前記外周面は、前記外周面において周方向の所定の角度範囲で設定される領域Pと、前記領域P以外の前記外周面の領域Qと、を備え、前記領域Pにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合は、前記領域Qにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合よりも大きい。
本発明に係るスクロール圧縮機は、上記のすべり軸受構造を備える。
本発明によれば、くさび効果による油膜圧力が発生する領域に設けた溝によるポンピング作用により動圧が発生し、回転軸の径方向変動荷重に対する付加的な抵抗力となり、回転軸とすべり軸受との間の油膜厚さが増大する。さらに、油膜厚さが大きい領域においては単位面積あたりの軸方向溝の数をより小さくするか、零とするように軸方向溝を分布させることができるので、ポンピング作用による動圧発生効果が互いに打ち消し合うという課題を解消できる。その結果、すべり軸受構造及びスクロール圧縮機は、従来より油膜圧力が増大し、より効果的に焼付きを抑制できるという効果を奏するものである。
実施の形態1に係るスクロール圧縮機100の断面構造の説明図である。 実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50周辺の断面図である。 実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50の断面の説明図である。 実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50を説明する模式図である。 図4のすべり軸受構造50の軸方向に垂直な断面構造の説明図である。 実施の形態1に係るすべり軸受構造50において、溝20が配置される領域Pと溝20の形状とを変動させた場合の流体潤滑解析結果である。 図6の解析結果に使用した解析条件を示している。 実施の形態1に係るすべり軸受構造50の回転軸6の外周面に形成された溝20の変形例を示す図である。 実施の形態1に係るすべり軸受構造50の回転軸6の外周面に形成された溝20の変形例を示す図である。 実施の形態1に係るすべり軸受構造50の回転軸6の外周面に形成された溝20の変形例を示す図である。 実施の形態1に係る回転軸6の外周を展開した状態の断面図である。 実施の形態1に係る回転軸6の外周を展開した状態の断面図である。 実施の形態2に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造250を説明する模式図である。 実施の形態3に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造350を説明する模式図である。
以下に、スクロール圧縮機のすべり軸受構造の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であって、本発明は明細書内の記載のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。添字で区別等している複数の同種の機器等について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合がある。図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機100の断面構造の説明図である。図1に示される様に、スクロール圧縮機100は、台板1aの下面に渦巻状の突起が設けられた固定スクロール1と台板2aの上面に渦巻状の突起が設けられた揺動スクロール2とを組み合わせて形成されるスクロール圧縮機構60を備える。固定スクロール1の渦巻突起と揺動スクロール2の渦巻突起とが互いに組み合わされて圧縮室5が形成されている。
固定スクロール1及び揺動スクロール2は、圧力容器11内の上部に配置されている。圧力容器11は、底部に油たまり12を有し、側壁に冷媒吸入管13及び冷媒吐出管14が接続されている。冷媒吸入管13は一端が圧力容器11内の吸入口3に、冷媒吐出管14は一端が圧力容器11内の吐出口4にそれぞれ連通されている。冷媒回路からの冷媒は、冷媒吸入管13から吸入口3を経てスクロール圧縮機構60内の圧縮室5に流入し、圧縮されて吐出口4から冷媒吐出管14から冷媒回路に吐出される。
揺動スクロール2の台板2aの下面には、偏心穴2bが設けられており、回転軸6が嵌合している。回転軸6は、圧力容器11の高さ方向の中央部に設置されている電動機9に接続されており、電動機9の駆動力を揺動スクロール2に伝達するものである。電動機9は、ハウジング8を構成する上部ハウジング8aと下部ハウジング8bとの間に配置されている。電動機9は、ロータ9aとステータ9bとからなる。ロータ9aは、主軸6aの外周面に固定されている。ステータ9bは、圧力容器12の内周面に固定され、ロータ9aを、所定の隙間を持って囲んでいる。
回転軸6は、主軸6aの上端に偏心軸6bを備える。偏心軸6bは、主軸6aの中心に対して偏心して設けられている。主軸6aを支持する主軸受15aは、圧力容器11の側壁面内に固定された上部ハウジング8aに設けられている。主軸受15aは、主軸6aを回転自在に支持する。また、上部ハウジング8aは、その上端部に固定スクロール1が固定されている。固定スクロール1と上部ハウジング8aとの間に揺動スクロール2が位置している。揺動スクロール2と上部ハウジング8aとの間には、オルダムリング10が設けられている。オルダムリング10は、揺動スクロール2の自転を阻止しつつ揺動スクロール2を旋回させるものである。
圧力容器11の側壁面内に固定された下部ハウジング8bには副軸受16が設けられている。副軸受16は、電動機9の下方において主軸6aを回転自在に支持する。即ち、回転軸6の主軸6aは、電動機9の上方において上部ハウジング8aにより回転自在に支持され、電動機9の下方において下部ハウジング8bにより支持されている。
図2は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50周辺の断面図である。実施の形態1において、スクロール圧縮機100は、上部ハウジング8aが回転軸6を支持する部分に形成されたすべり軸受構造50aと、揺動スクロール2と回転軸6とが接続する部分に形成されたすべり軸受構造50bと、を備える。すべり軸受構造50aは、上部ハウジング8aの中央の穴に固定された主軸受15aと回転軸6の主軸6aとが嵌合している。すべり軸受構造50bは、揺動スクロール2の偏心穴2bに固定された揺動軸受15bと回転軸6の偏心軸6bとが嵌合している。なお、以下の説明において、主軸受15aと揺動軸受15bとを総称してすべり軸受15と称する場合がある。
主軸受15aは、上部ハウジング8aの中央部に形成された穴に圧入固定され、主軸6aと摺動自在に支持している。ただし、主軸受15aの構造は、図1に示した形態のみに限定されるものでは無く、例えば上部ハウジング8aの穴自体を主軸受15aとしても良いし、主軸受15aが上部ハウジング8aと別体であったとしても圧入固定以外の方法で固定しても良い。
揺動軸受15bは、揺動スクロール2に設けられた偏心穴2b内に圧入固定され、偏心軸6bと摺動自在に接続される。ただし、揺動軸受15bの構造は、図1に示した形態のみに限定されるものでは無く、例えば偏心穴2b自体を揺動軸受15bとしても良いし、揺動軸受15bが偏心穴2bと別体であったとしても圧入固定以外の方法で固定しても良い。
回転軸6は、軸方向に貫通する軸方向給油孔7aが形成されている。回転軸6の下端は、電動機9の下方においてポンプ7bと嵌合している。ポンプ7bの下端開口7eは、圧力容器11の下部の油たまり12の冷凍機油中に浸漬されている。回転軸6の軸方向に貫通する軸方向給油孔7aは、主軸受15aに相対する主軸6aの表面に開口した径方向給油出口7cと接続されている。また、軸方向給油孔7aは、回転軸6の上端面に開口した給油出口7dと接続されている。ポンプ7bにより油たまり12から汲み上げられた冷凍機油は、軸方向給油孔7aを通り、径方向給油出口7c、給油出口7dに分流し、すべり軸受構造50a、50bに供給される。即ち、軸方向給油孔7a、ポンプ7b、径方向給油出口7c、給油出口7dは、スクロール圧縮機100のすべり軸受15への給油機構を構成している。
(スクロール圧縮機100の動作)
次にスクロール圧縮機100の動作について説明する。電動機9が駆動されると、ロータ9aとともに回転軸6が回転する。電動機9の駆動力は、回転軸6により揺動スクロール2に伝達される。揺動スクロール2は、オルダムリング10により自転を阻止されながら旋回運動を行う。これにより、揺動スクロール2と固定スクロール1とのそれぞれの渦巻状突起の組合せにより形成された圧縮室5は、次第に容積を減じながら中心側に移動する。冷媒吸入管13を経て吸入口3から圧縮室5に吸入された冷媒は、次第にその圧力を高め、吐出口4を経て冷媒吐出管14からスクロール圧縮機100外の冷媒配管へ圧送される。
以上の一連の動作において、回転軸6には、冷媒ガスの圧縮作用によるガス荷重と揺動スクロール2の旋回運動による遠心力とが主に作用する。ガス荷重と遠心力との合力は、回転軸6の回転に同期して回転する径方向変動荷重Wとなる。
(実施の形態1に係るすべり軸受構造50の作用)
図3は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50の断面の説明図である。図3においては、すべり軸受構造50に形成される溝20は、省略されている。つまり、図3は、すべり軸受15に相対する回転軸6の外周面に溝20が形成されていないすべり軸受構造50を示している。径方向変動荷重Wが回転軸6に作用した際、径方向変動荷重Wにより、回転軸6は、その軸心をすべり軸受15の軸心から偏心した状態で回転する。回転軸6とすべり軸受15とに挟まれた領域は、径方向給油出口7c又は給油出口7dを通じてすべり軸受15に供給された冷凍機油で満たされ、油膜18を形成している。ここで、回転軸6の偏心により回転方向に向かって周方向の流路がくさび状に次第に狭くなる領域を、くさび領域18aと称する。また、くさび領域18aとは逆に回転方向に向かって周方向の流路が逆くさび状に次第に広がる領域を、逆くさび領域18bと称する。くさび領域18aでは、冷凍機油が回転軸6の回転によって狭い領域に引込まれるため、油膜圧力19が発生する。径方向変動荷重Wと釣合うだけの油膜圧力19が生じると、回転軸6とすべり軸受15とは、油膜18によって隔てられ、直接接触しない状態で回転する。
スクロール圧縮機100の回転軸6に作用する径方向変動荷重Wの方向は、回転軸6の表面のある周方向位置と所定の位相差を維持する。ここで、回転軸6の軸中心を起点とした径方向変動荷重の作用線L0が回転軸6の外周面と交差する周方向位置を、回転軸の外周面の周方向角度位置の原点と定義する。また、角度θの向きは回転軸の回転方向と逆方向を正として、原点を0°と定義する。よってθは0°以上360°以下の範囲の値をとる。
図4は、実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50を説明する模式図である。図5は、図4のすべり軸受構造50の軸方向に垂直な断面構造の説明図である。実施の形態1に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造50は、すべり軸受15に相対する回転軸6の表面に複数の軸方向に延びる溝20を有する。
実施の形態1において、回転軸6の外周面の0°からθまでの周方向角度範囲では、軸方向に延びる溝20が表面積に占める割合は、回転軸6の外周面のそれ以外の部分における溝20が表面積に占める割合よりも大きい。回転軸6の外周面の0°からθまでの周方向角度範囲の領域を、領域Pと称する。また、回転軸6の外周面の領域P以外の領域を、領域Qと称する。図4は、一例として回転軸6の外周面の領域Qにおいて、溝20が表面積に占める割合を0とした場合を示している。即ち、図4において、回転軸6の外周面は、領域Pのみに溝20が設けられ、領域P以外の領域Qに溝20を設けない構成となっている。また、図5は、一例として、θ=90°とし、0°≦θ≦90°の周方向角度範囲以外の外周面においては溝20が表面積に占める割合を0としたすべり軸受構造50の例を示している。
図4に示されるように、軸方向に延びる溝20は、回転軸6の外周面において屈曲した形状とされている。即ち、溝20は、すべり軸受15に相対する回転軸6の外周面の軸方向両端部から中央部に向かうに従い、回転方向と逆方向に周方向位置が後退する2つの流路で構成され、屈曲部21において2つの流路が合流するように構成されている。言い換えると、溝20は、回転軸6の回転方向側が開いたV字形状に形成されている。軸方向に延びる溝20を屈曲した形状にすることで、回転軸6の回転に伴い、溝20の内部の壁面に沿って溝20の軸方向両端部から屈曲部21に向かう冷凍機油の流れが生じる。さらに言うと、すべり軸受構造50は、すべり軸受15に相対する回転軸6の表面において、軸方向両端部から中央部に向かう冷凍機油の流れが生じる。この冷凍機油の流れは、溝20の屈曲部21で合流し、屈曲部21で冷凍機油の圧縮による圧力(動圧)が生じる。この動圧が生じる現象は、動圧溝によるポンピング効果と呼ばれる。
図4および図5に示されるように、回転軸6は、中心部に軸方向に貫通した軸方向給油孔7aを備える。図5に示されるように、軸方向給油孔7aと回転軸6の外周面とは、軸中心から径方向に貫通した径方向給油出口7cを有する構成としている。回転軸6の外周面における径方向給油出口7cの開口位置は、回転軸6の外周面の0°からθまでの周方向角度範囲以外、即ち領域Qに設けることが望ましい。又は、すべり軸受構造50bのように、偏心軸6bの軸方向端部に給油出口7dを設け、揺動軸受15bと偏心軸6bとの隙間に冷凍機油を供給する構造が望ましい。
実施の形態1に係るすべり軸受構造50によれば、油膜18のくさび領域18aにおいて溝20が回転軸6の外周面に占める割合が大きく、くさび領域18a以外の領域において溝20が回転軸6の外周面に占める割合が小さくなるよう、溝20を配置することができる。これにより、油膜厚さが小さくなるくさび領域18aにおいて溝20のポンピング作用による動圧が発生し、回転軸6の回転による油膜圧力にポンピング作用による動圧が加わって径方向変動荷重Wに対する抵抗力となる。そして、くさび領域18aの油膜厚さが増大するため、すべり軸受構造50は、焼付きが抑制される。
一方、従来技術においては、回転軸6の外周面の全域に亘って溝20を配置しており、油膜18の全域に亘って、溝20によるポンピング作用による動圧が発生する。そのため、油膜18のくさび領域18aにおいて溝20によるポンピング作用により発生する動圧は、くさび領域18a以外の領域において溝20によるポンピング作用により発生する動圧により相殺される。従って、従来技術のように回転軸6の外周面の全域に亘って溝20を配置した場合においては、くさび領域18aには、回転軸6の回転による油膜圧力19のみが径方向変動荷重Wに対する抵抗力となり、実施の形態1に係るすべり軸受構造50と比較して油膜厚さを増大させる効果が得られない。
これに対し、実施の形態1に係るすべり軸受構造50は、油膜圧力19に加えてポンピング作用により発生する動圧が働くため、くさび領域18aの油膜厚さが増大し、焼付きが抑制される効果が高いことが言える。即ち、実施の形態1に係るすべり軸受構造50は、油膜18において、油膜厚さが比較的大きい領域では、溝20が回転軸6の外周面に占める割合が少ない、又は溝20が回転軸6の外周面に占める割合を0とすることができる。つまり、すべり軸受構造50は、油膜18のくさび領域18a以外の領域においてはポンピング作用による動圧の発生を抑え、くさび領域18aでポンピング作用による動圧を発生させている。よって、すべり軸受構造50は、くさび領域18aで発生するポンピング作用による動圧を打ち消すことなく、径方向変動荷重Wに対する抵抗力とすることができ、さらに効果的に油膜厚さを増大させ、焼付きを抑制できる。
図6は、実施の形態1に係るすべり軸受構造50において、溝20が配置される領域Pと溝20の形状とを変動させた場合の流体潤滑解析結果である。図6においては、溝20を設ける領域Pの周方向角度範囲の上限値である角度θと、周方向に対して溝20の流路の成す角度の鋭角成分である角度βと、をパラメータとしている。そして、図6は、角度θが0〜360°まで変化した場合及びβが0°〜90°まで変化した場合のそれぞれのθと角度βとの組み合わせにおける最小油膜厚さを示している。ここで、すべり軸受15と回転軸6との最小隙間を最小油膜厚さと定義する。そして、図6に示された最小油膜厚さの数値は、回転軸6に溝20を全く設けない場合のすべり軸受における最小油膜厚さに対する比(最小油膜厚さ比)として表している。ここで、周方向に対して溝20の成す角度の鋭角成分である角度βは、図4中に示されるβであり、溝20を構成する流路の回転軸6の中心軸に平行な仮想線L1に対する傾斜角度を示している。
図7は、図6の解析結果に使用した解析条件を示している。図6の解析結果は、すべり軸受構造50の各部の寸法を、すべり軸受15の内径を30mm、すべり軸受15の軸方向長さを30mm、すべり軸受15と回転軸6との半径隙間を30μm、溝20の回転軸6の外周面からの深さを30μmとして解析したものである。また、回転軸6から掛かる径方向変動荷重Wは、5000Nとなっており、回転軸6の回転数を3000rpmとしている。図6の解析結果は、ハッチングで示した領域内の角度θと角度βの組合せにおいて、最小油膜厚さ比が1を超えることを表している。即ち、図6のハッチングで示された領域は、実施の形態1に係るすべり軸受構造50の構成において、従来のすべり軸受の最小油膜厚さを上回るθとβとの組み合わせを示している。つまり、すべり軸受構造50が従来のすべり軸受より大きい油膜圧力が得られるθとβとの組合せを示している。
図6に示される様に、実施の形態1に係るすべり軸受構造50の構成において、従来のすべり軸受の最小油膜厚さを上回るθとβとの組み合わせが存在する領域は、角度範囲の組合せで示すと、40°<θ<270°と40°<β<65°との組合せ、30°<θ<250°と25°<β<60°との組合せ、又は70°<θ<220°と15°<β<65°との組合せとなる。θとβとは、上記に示した角度範囲内から任意に選択することができる。
なお、θ=360°である条件は、回転軸の全周に一様に溝20を形成する場合に対応する。これは先行技術文献である特開平4−370388号公報に開示された構成を示している。図6に示されるように、θ=360°である場合は、全ての角度βに対して最小油膜厚さ比が1未満となるため、回転軸6に溝20をつけない構成と比較して油膜厚さを増大させる効果がなく、かえって油膜厚さを減少させていることがわかる。即ち、実施の形態1に係るすべり軸受構造50は、溝20を領域Pに設け、その領域Pの周方向角度範囲を変動させることにより、全周に溝20を設けた場合よりも油膜厚さを増大させることができ、焼付きを抑制できる。
なお、以上においては、回転軸6の外周面において領域Pにのみ溝20を設け、それ以外の領域Qについては、溝20を設けない形態について説明したが、領域Qに溝20を設けることもできる。ただし、領域P及び領域Qのそれぞれの外周面に対し同じ割合で溝20を設けると、先行技術文献に記載した構成と同様な構成になり、くさび領域18aにおいて溝20によるポンピング作用による油膜圧力を増加させる効果が相殺されてしまう。よって、領域Qに溝20を設ける場合は、領域Pよりも外周面の面積に対し溝20が占める割合を減少させると良い。これにより、すべり軸受構造50は、くさび領域18aにおいて、溝20によるポンピング作用により油膜圧力が増加し、全周に均一な割合で溝20を設けた場合よりも油膜厚さを増大させることができ、焼付きを抑制できる。
(溝20の変形例)
以上の説明においては、回転軸6の軸方向に延びる溝20の形状として、直線状で均一な幅の2つの流路をすべり軸受15の軸方向長さの中心に対して対称に配置し、屈曲部21で合流するように配置した例を示した。だが、溝20の形状は、この形態だけに限定されるものではなく、屈曲部21を挟む流路が回転軸6の回転方向に対して軸方向両端から周方向に後退するように構成されていればよい。
図8〜10は、実施の形態1に係るすべり軸受構造50の回転軸6の外周面に形成された溝20の変形例を示す図である。溝20の変形例としては、図8に示される溝20aの様に、屈曲部21aの位置を回転軸6の軸方向にずらして設けたものがある。即ち、溝20aは、回転軸6の軸方向において非対称のV字形状になっている。
図9に示される溝20bは、軸方向の両端から延びる流路の幅が屈曲部21cに向かうに従い狭くなる非等幅になっているV字形状になっている。また、図10に示される溝20cは、回転軸6の軸方向の両端から延びる流路が湾曲し、U字形状になっている。以上に示した溝20a〜20cは、いずれもポンピング作用による動圧を発生することができるため、溝20を適用したすべり軸受構造50のように、溝20a〜20cの何れかを設けることにより、油膜圧力を増加させ、焼付きを抑制できる。
図11及び図12は、実施の形態1に係る回転軸6の外周を展開した状態の断面図である。図11に示される様に、実施の形態1に係るすべり軸受構造50の溝20の断面形状は、例えば矩形に形成されている。しかし、溝20の断面形状は、回転軸6の回転方向において後側に位置する溝20の端部である後側端部25において、回転軸6とすべり軸受15との隙間の減少により油膜圧力が生じうる形状であれば、矩形に限定されるものではない。
図12に示される溝20dは、図11に示される周方向に矩形断面形状を有する溝20の変形例である。溝20dは、V字状の断面形状であっても良い。さらには、溝20dは、図12の断面において回転軸6の中心を通る仮想線について対称な形状に限定されず、例えば図12に示されるように非対称なV字形状であっても良い。溝20dによれば、回転軸6の回転方向において前側に位置する溝20dの端部である前側端部22から始まる勾配の小さい斜面23では、回転軸6の回転により斜面23に沿って冷凍機油の流れが生じやすい。そのため、溝20dは、冷凍機油を溝20d内に引込む効果が得られやすい。また、回転軸6の回転方向において後側に位置する溝20dの端部である後側端部25においては、溝20dは、勾配の大きい斜面24を備えるため、回転軸6とすべり軸受15との隙間が急激に減少する。従って、大きな油膜圧力を発生させる効果を得やすい。なお、斜面24の角度は、外周面の接線に対し直角でも良い。また、溝20dは、斜面23に沿った冷凍機油の流れが生じ易いことから、斜面24において急激に冷凍機油の流れを減少させるため、より油膜圧力を増加させやすいという効果が得られる。なお、斜面23及び斜面24の角度は適宜変更することができる。また、溝20は、図11に示される溝20の底面26の角度を変更し、溝20の深さが回転軸6の回転方向逆向きに向かうに従い深くなるように構成しても良い。さらには、斜面23、斜面24、及び底面26は、平面であっても曲面であっても良い。なお、斜面23は、第1斜面と称し、斜面24は、第2斜面と称する。
実施の形態2.
実施の形態2に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造250は、実施の形態1に係るすべり軸受構造50に対し、回転軸6の軸方向の両端部に周方向給油溝30を追加したものである。実施の形態2においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。
図13は、実施の形態2に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造250を説明する模式図である。図13に示される様に、回転軸6は、領域Pに溝20が設けられているが、溝20の軸方向両端部に回転軸6の周方向に延びる周方向給油溝30が設けられている。周方向給油溝30は、回転軸6のすべり軸受15と相対しておらず、すべり軸受15からはみ出した状態となっている。また、周方向給油溝30は、回転軸6の軸方向に延びる溝20の軸方向端部と接続されている。周方向給油溝30は、冷凍機油を周方向給油溝30から溝20へ流入することができる。このような構成によれば、周方向給油溝30で保持される冷凍機油がすべり軸受15と回転軸6との隙間に供給されるため、すべり軸受構造250での冷凍機油の枯渇を抑えることができる。
周方向給油溝30は、回転軸6の軸方向に延びる溝20に接続されている。そのため、周方向給油溝30が保持する冷凍機油が溝20へ流入され、実施の形態1よりも溝20に冷凍機油が引込まれる量が増大する。そのため、溝20が設けられている領域の油膜18は、高い油膜圧力を得ることができる。
周方向給油溝30は、その底面がすべり軸受15と相対しないように設けられているため、すべり軸受15が支持できる回転軸6の外周面の面積を減少させることがない。よって、溝20に連通する周方向給油溝30を設けた場合であっても、すべり軸受15の受けられる荷重が低下することがない。なお、周方向給油溝30の底面は、軸方向給油孔7aと径方向給油出口7cを通じて接続されていてもよい。周方向給油溝30が径方向給油出口7cと連通することにより、径方向給油出口7cから供給された冷凍機油が軸方向に延びる溝20に供給されるため、さらにすべり軸受構造250での冷凍機油の枯渇を抑えることができる。
以上のような構成により、軸方向給油孔7aを通じてポンプ7bから供給される冷凍機油を、周方向給油溝30に直接流入させることができる。そのため、周方向給油溝30によって保持される冷凍機油の油量をより効果的に増大させることができる。また、径方向給油出口7cの周方向給油溝30の底面における開口位置は、回転軸6とすべり軸受15との隙間に流入する冷凍機油の油量が多くなる周方向位置に設けられることが望ましい。例えば、θが0°となる位置に径方向給油出口7cの開口部を設ければ、溝20と径方向給油出口7cとが近いため、軸方向給油孔7aから径方向給油出口7cを通じて周方向給油溝30に供給された冷凍機油が溝20に最短の経路で供給できる。そのため、最も効果的にすべり軸受構造250に冷凍機油を供給できる。
実施の形態3.
実施の形態3に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造350は、実施の形態2に係るすべり軸受構造250に対し、回転軸6の外周面の領域Qに軸方向給油溝40を追加したものである。実施の形態3においては、実施の形態1及び実施の形態2に対する変更点を中心に説明する。
図14は、実施の形態3に係るスクロール圧縮機100のすべり軸受構造350を説明する模式図である。実施の形態3に係るすべり軸受構造350は、回転軸6に軸方向に延びる溝20を設ける点、回転軸6の外周面の周方向角度範囲が0°からθの範囲に溝20を設け、またそれ以外の角度範囲では溝20が表面積に占める割合を0とする点、溝20を屈曲部を有する動圧溝として構成する点において実施の形態1及び実施の形態2と同様である。また、すべり軸受構造350は、溝20に接続する周方向給油溝30を設ける点において実施の形態2と同一である。
実施の形態3に係る回転軸6は、すべり軸受15に相対する表面に設けた径方向給油出口7cが設けられている。また、溝20が設けられていない回転軸6の外周面の領域Qに、軸方向給油溝40が設けられている。軸方向給油溝40は、底面に径方向給油出口7cが開口しており、軸方向給油孔7aと連通している。さらに、軸方向給油溝40の軸方向の両端は、周方向給油溝30と接続されており、軸方向給油孔7aから、径方向給油出口7c、軸方向給油溝40を経て、周方向給油溝30までの冷凍機油の流れを生じうる構成となっている。そして、周方向給油溝30に流れ込んだ冷凍機油は、接続している軸方向に延びる溝20に流れ込む。
実施の形態2では、すべり軸受15に相対していない周方向給油溝30に径方向給油出口7cが開口されていたため、すべり軸受15に相対する回転軸6の外周面から外部に、供給した冷凍機油が流出することが避けられない構成となっている。しかし、すべり軸受構造350の構成によれば、径方向給油出口7cがすべり軸受15に相対する回転軸6の外周面で開口しているため、ポンプ7bにより軸方向給油孔7a、径方向給油出口7cを通じて供給される冷凍機油の全量が、すべり軸受15と回転軸6との隙間内に供給される。よって、すべり軸受15と回転軸6との隙間への冷凍機油の供給を増大させることが可能となる。
また、径方向給油出口7cが軸方向給油溝40と接続していることで、冷凍機油を軸方向給油溝40で保持することが可能となる。そのため、すべり軸受構造は、さらに効果的に冷凍機油の枯渇を防止することが可能となっている。さらに、軸方向給油溝40が周方向給油溝30に接続しているため、実施の形態2と同様、周方向給油溝30でも冷凍機油を保持することができると共に、周方向給油溝30による溝20への冷凍機油の供給を、増大させることができる。
また、軸方向給油溝40は、軸方向両端部から中央部に向かうに従い、回転方向と同方向に周方向位置が前進する2つの流路で構成されており、2つの流路が屈曲部41で交わるように構成されている。即ち、軸方向給油溝40は、回転軸6の回転方向逆向きに開いたV字形状となっている。そして、径方向給油出口7cは、屈曲部41に設けることができる。即ち、軸方向給油溝40を構成し屈曲部41から軸方向に延びる流路は、径方向給油出口7cと屈曲部41において合流している。
実施の形態1で説明した溝20は、回転軸6とすべり軸受15との隙間へ冷凍機油の流入を促進し、ポンピング作用により径方向変動荷重Wを支持する方向の動圧を効果的に発生させることを目的としていた。一方、実施の形態3に係るすべり軸受構造350においては、軸方向給油溝40は、軸方向給油孔7aから径方向給油出口7cを通じて回転軸6とすべり軸受15との隙間に供給された冷凍機油を効率よく周方向給油溝30に供給する流れを生じさせることを目的とするものである。つまり、軸方向給油溝40は、屈曲部41を有し、屈曲部41から延びる2つの流路が回転軸6の回転方向と逆向きに傾斜するように延びる構造となっている。このことから、軸方向給油溝40を流れる冷凍機油は、回転軸6の回転にともない軸方向給油溝40の壁面に引きずられて周方向給油溝30へ向かう流れが生じる。この流れによって、軸方向給油溝40から周方向給油溝30へ供給される冷凍機油の油量が増大し、周方向給油溝30から溝20に供給される冷凍機油の油量が増大するため、くさび領域18aにおいて高い油膜圧力を得ることができる。そして、すべり軸受構造350は、冷凍機油の枯渇を抑えつつ、油膜厚さを増大させることができ、焼付きを抑制できる。
1 固定スクロール、1a 台板、2 揺動スクロール、2a 台板、2b 偏心穴、3 吸入口、4 吐出口、5 圧縮室、6 回転軸、6a 主軸、6b 偏心軸、7a 軸方向給油孔、7b ポンプ、7c 径方向給油出口、7d 給油出口、7e 下端開口、8 ハウジング、8a 上部ハウジング、8b 下部ハウジング、9 電動機、9a ロータ、9b ステータ、10 オルダムリング、11 圧力容器、12 圧力容器、13 冷媒吸入管、14 冷媒吐出管、15 すべり軸受、15a 主軸受、15b 揺動軸受、16 副軸受、18 油膜、18a 領域、18b 領域、19 油膜圧力、20
溝、20a 溝、20b 溝、20c 溝、20d 溝、21 屈曲部、21a 屈曲部、21c 屈曲部、22 前側端部、23 斜面、24 斜面、25 後側端部、26
底面、30 周方向給油溝、40 軸方向給油溝、41 屈曲部、50 すべり軸受構造、50a すべり軸受構造、50b すべり軸受構造、60 スクロール圧縮機構、100 スクロール圧縮機、250 すべり軸受構造、350 すべり軸受構造、L0 作用線、L1 仮想線、P 領域、Q 領域、W 径方向変動荷重、β 角度、θ 角度。
本発明に係るすべり軸受構造は、スクロール圧縮機の揺動スクロールを駆動する回転軸と、前記回転軸の径方向荷重を支持するすべり軸受と、を備え、前記回転軸は、前記すべり軸受に相対する外周面に軸方向に延びる溝を備え、前記溝は、ポンピング作用を生じるように形成され、前記回転軸の前記外周面は、前記外周面において周方向の所定の角度範囲で設定される領域Pと、前記領域P以外の前記外周面の領域Qと、を備え、前記領域Pにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合は、前記領域Qにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合よりも大きく、前記回転軸の中心を起点とした径方向変動荷重の作用線が前記回転軸の前記外周面と交差する周方向位置を0°位置とし、前記回転軸の回転方向と逆向きに角度θをとるとき、前記領域Pは、0°からθまでの角度範囲に設けられ、前記領域Pに設けられた前記溝は、前記回転軸の軸方向に平行な仮想線L1と成す角度の鋭角成分を角度βとすると、前記角度θがとり得る値の範囲と前記角度βがとり得る値の範囲との組合せは、30°<θ<270°と15°<β<65°との組合せから選択され、前記角度θと前記角度βとは、選択した組合せの範囲を満たす角度に設定される
本発明に係るすべり軸受構造は、スクロール圧縮機の揺動スクロールを駆動する回転軸と、前記回転軸の径方向荷重を支持するすべり軸受と、を備え、前記回転軸は、前記すべり軸受に相対する外周面に軸方向に延びる溝を備え、前記溝は、ポンピング作用を生じるように形成され、前記回転軸の前記外周面は、前記外周面において周方向の所定の角度範囲で設定される領域Pと、前記領域P以外の前記外周面の領域Qと、を備え、前記領域Pにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合は、前記領域Qにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合よりも大きく、前記回転軸の中心を起点とした径方向変動荷重の作用線が前記回転軸の前記外周面と交差する周方向位置を0°位置とし、前記回転軸の回転方向と逆向きに角度θをとるとき、前記領域Pは、0°からθまでの角度範囲に設けられ、前記領域Pに設けられた前記溝は、前記回転軸の軸方向に平行な仮想線L1と成す角度の鋭角成分を角度βとすると、前記角度θがとり得る値の範囲と前記角度βがとり得る値の範囲との組合せは、40°<θ<270°と40°<β<65°との組合せ、30°<θ<250°と25°<β<60°との組合せ、又は70°<θ<220°と15°<β<65°との組合せのうち何れかの組合せから選択される。

Claims (14)

  1. スクロール圧縮機の揺動スクロールを駆動する回転軸と、
    前記回転軸の径方向変動荷重を支持するすべり軸受と、を備え、
    前記回転軸は、
    前記すべり軸受に相対する外周面に軸方向に延びる溝を備え、
    前記溝は、
    ポンピング作用を生じるように形成され、
    前記回転軸の前記外周面は、
    前記外周面において周方向の所定の角度範囲で設定される領域Pと、
    前記領域P以外の前記外周面の領域Qと、を備え、
    前記領域Pにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合は、
    前記領域Qにおける前記外周面の面積に対する前記溝が占める割合よりも大きい、すべり軸受構造。
  2. 前記領域Qは、
    前記溝が形成されていない、請求項1に記載のすべり軸受構造。
  3. 前記溝の軸方向の両端部は、
    当該溝の中央部よりも前記回転軸の周方向において回転方向側に位置する、請求項1又は2に記載のすべり軸受構造。
  4. 前記溝は、
    前記回転軸の回転方向に開いたV字状である、請求項3に記載のすべり軸受構造。
  5. 前記回転軸の中心を起点とした径方向変動荷重の作用線が前記回転軸の前記外周面と交差する周方向位置を0°位置とし、前記回転軸の回転方向と逆向きに角度θをとるとき、
    前記領域Pは、
    0°からθまでの角度範囲に設けられ、
    前記領域Pに設けられた前記溝は、
    前記回転軸の軸方向に平行な仮想線L1と成す角度の鋭角成分を角度βとすると、
    前記角度θがとり得る値の範囲と前記角度βがとり得る値の範囲との組合せは、
    40°<θ<270°と40°<β<65°との組合せ、
    30°<θ<250°と25°<β<60°との組合せ、
    又は70°<θ<220°と15°<β<65°との組合せのうち何れかの組合せから選択され、
    前記角度θと前記角度βとは、
    選択した組合せの範囲を満たす角度に設定される、請求項1〜4の何れか1項に記載のすべり軸受構造。
  6. 前記溝の底面は、
    深さが前記回転軸の回転方向と逆方向に向かって増大するように形成された、請求項1〜5の何れか1項に記載のすべり軸受構造。
  7. 前記溝の底面は、
    斜面である、請求項6に記載のすべり軸受構造。
  8. 前記溝は、
    前記回転軸の回転方向において前側に位置する前側端部と、前記回転軸の回転方向において後側に位置する後側端部と、
    前記前側端部から前記後側端部に向かうに従い深くなる第1斜面と、
    前記第1斜面と接続し、前記後側端部に向かうに従い浅くなる第2斜面と、を備え、
    前記第1斜面は、
    前記第2斜面よりも勾配が小さい、請求項1〜5の何れか1項に記載のすべり軸受構造。
  9. 前記回転軸の軸方向に貫通した軸方向給油孔と、
    前記軸方向給油孔に接続され、前記回転軸の前記外周面の前記領域Qに開口した径方向給油出口と、を備える、請求項1〜8の何れか1項に記載のすべり軸受構造。
  10. 前記回転軸は、
    前記すべり軸受に相対する領域の外の前記外周面に周方向に延びる周方向給油溝を備え、
    前記周方向給油溝は、
    前記溝の軸方向両端部に接続している、請求項1〜8の何れか1項に記載のすべり軸受構造。
  11. 前記回転軸は、
    前記領域Qに軸方向に延びる軸方向給油溝を更に備え、
    前記軸方向給油溝は、
    前記周方向給油溝と軸方向両端部において接続している、請求項10に記載のすべり軸受構造。
  12. 前記回転軸の軸方向に貫通した軸方向給油孔と、
    前記軸方向給油孔に接続され、前記回転軸の前記外周面の前記領域Qに開口した径方向給油出口と、を備える、請求項11に記載のすべり軸受構造。
  13. 前記軸方向給油溝は、
    前記回転軸の回転方向逆向きに開いたV字状であり、軸方向の中央部に屈曲部を有し、
    前記軸方向給油溝は、
    軸方向の中央部において前記径方向給油出口と接続する、請求項12に記載のすべり軸受構造。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載されているすべり軸受構造を備える、スクロール圧縮機。
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