以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
なお、以下に記載する本装置の機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、システムバス、あるいは二次記憶装置(不揮発性メモリなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、例えば無線ネットワークインターフェース(モバイル携帯無線3G、4G、5G、WIFI、ブルートゥース(登録商標)等)、位置情報取得装置インターフェース(GPS、GNSS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等)それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。また、本装置は一つのハードウェアやソフトウェアにより構成される場合に限られず、複数のハードウェアやソフトウェアの組み合わせによって構成されてもよく、ネットワークを介在したサーバ装置を含んで構成されてもよい。
また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
<実施形態1:防災着衣類の全体構成(請求項1対応)>
<実施形態1 概要>
本実施形態は、防災着衣類に位置情報発信機能を付けて、ON/OFFスイッチを有さない電源部を有し、位置情報発信機能が常時駆動していることを特徴とする。防災着衣類は、例えば、図1、図2に示すような防災頭巾や、図3、図4に示すライフジャケットが含まれる。図1の例では、防災頭巾0100を示し、マジックテープ(登録商標)0101で止めたり、小物収納ポケット0102を外部につけることができる。この防災頭巾0100の中に後記図5以降で後述するON/OFFスイッチを有さない電源部を有し、位置情報発信機能が常時駆動していることを特徴とする各部が内蔵されている。図2の例では、災害発生時に避難する際、防災頭巾0200を被救助者0203の頭部に装着した状態を示している。装着用にマジックテープ(登録商標)0201や笛や飴などの災害対策用の小物収納ポケットを付けてもよい。図3の例では、ライフジャケット0300の例を示しており、装着用のベルト0301、0302により装着できる構造となっている。小物収納ポケット0303を付けてもよい。
図4の例では、被救助者0404が身に着けた状態を示し、装着用ベルト0401、0402に脱げないように装着している。緊急避難時に笛や飴などを入れてもよい。
また、図33、図34に示すように、防災頭巾やライフジャケットを一体として、防災着衣類を構成してもよい。
図33の例では、防災頭巾・ライフジャケット一体型防災着衣類3300を示し、マジックテープ(登録商標)3301で頭巾部分を止めたり、装着用のベルト3302、3303により装着できる構造となっている。防災頭巾部分とライフジャケット部分に、小物収納ポケット3304、3305を取り付けている。
図34の例では、被救助者3406が防災頭巾・ライフジャケット一体型防災着衣類3400を身に着けた状態を示し、マジックテープ(登録商標)3401で頭部部分から外れないようにし、装着用ベルト3402、3403によりボディ部分から脱げないように装着している。小物収納ポケット3404、3405には、緊急避難時に笛や飴などを入れてもよい。
<実施形態1 構成>
図5に示すように、本実施形態1は、電源部0501と、位置情報取得部0502と、位置情報出力部0503と、発信部0504と、を有する防災着衣類である。以下に各構成について説明する。
<実施形態1 構成の説明>
「防災着衣類」0500は、ライフジャケット、防災頭巾、安全靴、ヘルメット、防塵マスク、ガスマスク、消防用衣類、水に浮く救命具、防寒着、腰巻、腹巻、などを含むが、これらに限定されるものではない。また、防災着衣類に備えられる電源部と、位置情報取得部と、位置情報出力部と、発信部と、は防災着衣類に一の筐体に収められて配置されていてもよいし、複数の筐体に分散されて配置されていてもよい。特に位置情報取得部に含まれるアンテナ装置は、天空に向けて衛星信号を取得しやすいことが重要なので他の構成とは離別して配置されるように構成してもよい。例えば防災着衣類が防災頭巾やヘルメットである場合には頂上部に配置されるように構成することが考えられる。さらに、外部から受ける衝撃によって各構成が破損することがないように防災着衣類の一部で外部衝撃が緩和されるように構成するとよい。
「電源部」0501はON/OFFスイッチを有さない電源部である。つまり、一旦本実施形態の防災着衣類を製造し、電源を配置すると常時電源はONとなり、通常の操作では電源をOFFにすることができないものである。電源は二次電池でも一次電池でもよい。また二次電池である場合には外部から給電可能なように構成されていてもよい。例えば倉庫に保管されている場合には倉庫に導入される外部電源から常時給電を受けて二次電池が満充電の状態に保たれるように構成することも可能である。また電源部0500は多少の衝撃で配置が不適正な位置とならないように構成されるのが好ましく、非破壊的な操作で取り外されないように構成されることが好ましい。スマートフォンなどでは二次電池を取り外し不能としている例がみられるがそのような構成とすることが考えられる。
またさらに水や火などに対して耐久性(耐水性、耐火性)があるように熱可塑性の樹脂で密封するなどの構成も考えられる。ただし、保管中における電源残量の所定量以上の減少の場合のリサイクルのためにある程度の破壊的操作によって他の部位から着脱交換可能なように構成されていてもよい。このような電源を有する防災着衣類は、他の防災用品と同様に所定保管期間が到来すると定期的に交換されるべきものだからである。交換後この実施形態の防災着衣類を廃棄するのでなく、消耗部分である電源部のみを交換することができるように構成することが資源消費の観点からは好ましい。なお、この防災着衣類を空輸する場合には、航空機内での電波障害の問題が生じ得るので、航空機内では電源を配置せず、保管場所に格納される際に電源を装着できると好都合である。そのためには電源の固定を非破壊的には着脱自在でなく非破壊的に着動作はできるが、脱動作はできないように電源を構成することが考えられる。
「位置情報取得部」0502は電源部0501によって常時駆動され、位置情報を常時取得する。位置情報の取得はGPSによるもの、GNSS(例えばみちびきシステム)によるものの他に、天空の星の位置から自位置を割り出すようなものや、都市や道路に埋め込まれた位置情報発信機からの情報を用いて自位置を割り出すようなもの、あるいはこれらを組み合わせて位置情報を取得するものなどいずれであってもよい。また取得する位置情報は、経度緯度情報であってもよいし、GPS、GNSS、からの受信信号と受信タイミングなどの情報そのものであってもよい。位置情報発信機からの受信信号そのものであってもよい。
位置情報取得部0502の位置情報取得間隔は、数ミリ秒から1分おき程度が好ましいが、電源節約のために3分から10分間隔程度であってもよい。位置情報を利用して救助に向かい現場に到達するには、最低でも10分程度以上は必要であり、一方、川や海などの流れによって漂流する場合でも3分から10分程度の時間であればそう大きく漂流位置が変わることがないためである。
また位置情報取得部0502は恒常的に位置情報を取得できない場合と、恒常的に位置情報を取得できる場合とでその間隔を変化させるように構成することも可能である。例えば倉庫などに保管されている場合には恒常的に位置情報を取得できない環境があり得るので、電池が無駄に消耗されることを防止するために位置情報の取得間隔を長く、一方、一端位置情報が取得されると災害が発生して防災着衣類が利用される状況にある可能性があるので位置情報の取得間隔を短くするように設計することが考えられる。例えば製造後当初の位置情報取得間隔を1分から2分程度とし、連続して位置情報の取得ができない時間が1時間以上経過した場合には、倉庫に保管されたとして位置情報の取得間隔を10分から20分程度に伸ばし、この後、位置情報が取得される状況となった場合には位置情報の取得間隔を10秒から3分程度に変更するように設計することが考えられる。
しかし、一端位置情報の取得間隔を短くした後には、例えば所定時間位置情報が取得できなくても位置情報の取得間隔は変更しないように設計することが好ましい。この場合には実際に罹災して土砂に埋まるあるいは、避難できるものに隠れているなどの場合が想定されるからである。また、工場での製造後、倉庫保管前に輸送中には、位置情報が取得できない時間が続き、倉庫に保管する際に位置情報が短時間取得できるようなケースも考えられるので、製造後所定期間(時間)は、この位置情報取得間隔変化を駆動しないように設計することも可能である。さらに、位置情報の送信に関しては、製造後倉庫保管中は停止するように設計し、位置情報の取得と場合によって位置情報の出力に関しては間欠的に動作させるように設計し、倉庫保管後に取得した位置情報の変化があった場合にのみ送信動作を開始するように設計することもできる。つまり、製造後倉庫保管作業中には送信動作を停止させ、倉庫保管完了後に位置情報の変化があった場合にのみ位置情報の送信動作を開始するように構成するものである。この送信動作開始のための待機状態モードにするために倉庫保管完了後に待機状態モード開始命令を本実施形態の防災着衣類に一斉送信し、防災着衣類は一斉送信された待機状態モード開始命令に基づいてその後に位置情報変化がない限り位置情報の送信動作を行わないように構成することができる。こうすることによって電源の無駄な消費を少なくすることができる。
「位置情報出力部」0503は電源部0501によって常時駆動され、取得した場合に取得した位置情報を常時出力する。出力する位置情報は前述の通り、経度緯度情報であってもよいし、GPS、GNSS、からの受信信号と受信タイミングなどの情報そのものであってもよい。後者の場合にはGPS、GNSS等からの信号に基づいて経度緯度情報に加工する演算処理が不要なので電源の消耗を押さえることができるというメリットがある。この場合には信号を受信する救助者側でその信号を経度緯度情報に演算して被災者の位置を割り出すことができる。
位置情報出力部0503は、位置情報取得部0502が取得した位置情報のうち、GPS、GNSSの信号そのものとともに演算して経度緯度に加工した情報の両者を出力するように構成することも可能である。情報の質が高まり、救助者側でより精度の高い情報として取り扱うことができる。例えば、両者の出力によって万一防災着衣類側での位置情報への加工が失敗している場合でも経度緯度情報に独自に救助者側が加工することで被災者の位置を割り出すことができる。また位置情報出力部は特に出力を災害耐性の高いものにすることが好ましい。重要な情報だからである。災害耐性の高い情報とは、冗長化を十分に行ってノイズ耐性を高くした信号をいう。例えば信号の一部から災害の事情によって欠落しても十分に情報の全体を修復できるような情報とすることが好ましい。
従って、位置情報取得部0502から取得した位置情報を時間軸で分散して所定の時間幅にまんべんなく配置することで位置情報の災害耐性を向上させることができる。一方、暗号化などのセキュア化は不要であると考えられる。この情報は、何人にも読み取り可能とすることが好ましいからである。
なお、位置情報が取得できない場合には、位置情報を取得できないことを示す情報を出力するように構成することが考えられる。位置情報以外の情報であっても被災者がどこかに居ることを示すことは救助につながるからである。また位置情報を取得できないことを示す情報に代えて各種の情報を出力することが可能であり例えば後述する識別情報などもこれに含まれる。位置情報や識別情報以外に出力する情報としては、水でぬれることを検知するセンサーなど各種センサーがその割っている場合には、そのセンサーによって変化が検知されてからの経過時間などの情報を出力するように構成してもよい。さらに、電源の残量や、自動自己診断した結果である機能の診断結果などを常時出力するように構成することもできる。電源の残量や、機能の自己診断結果によって被災者の救出スケジュールを立案したり、倉庫に保管されている防災着衣類のリサイクルや修理に利用することができる。
「発信部」0504は電源部0501によって常時駆動され出力された情報を常時発信する。原則的には位置情報出力部0503から出力される位置情報は冗長化されるので、その冗長化された情報を信号に変換して発信するように構成する。信号は冗長化された信号であり原則的にはデジタル信号として送信される。また出力はある程度の信号受信可能距離を稼がなくてはならないので最低でも送信出力は100ミリワット以上必要である。通常は100ミリワットから1000ミリワット程度の出力が必要である。ただし、やはり電源消耗の問題があるので、工場での製造後、特に電源配置後の所定期間は出力抑制をするように設計することも考えられる。この出力抑制時間としては設定可能とするように構成することが好ましい。工場出荷後、格納されるべき倉庫や常備される場所に至るまでの時間長はそれぞれであり、それぞれの出荷位置に対して適切な値を設定できるようにすると便利である。ただし、災害時に出力が弱い状態であっては困るので最大でも出力抑制は1か月程度以下に抑えることが好ましい。
また位置情報出力部0503は、経度緯度情報を数値情報でなく、地図上の位置を示す画像情報として送信することも考えられる。あるいはこれらの情報をミックスして出力することも考えられる。画像情報として出力する場合には何人もその位置を容易に把握できるので専門のレスキューでなくとも一般に流通しているスマートホンアプリなどでその位置を把握することも可能だからである。このように構成すると、近所で罹災を免れた一般人も救助に参加することが可能となり、より早急に罹災者を発見することが可能となる。もちろん、アプリケーションは画像情報でなく、この防災着衣類から発信されるデジタルな数値として位置情報を受信できるように構成してもよい。
<実施形態1 作用:ハードウェア構成>
図6図に示すように、防災着衣類の計算機のハードウェア構成は、CPU0601と、不揮発性メモリ0602と、インターフェース0604とから構成されている。不揮発性メモリ0602には、位置情報取得プログラム、位置情報出力プログラム、発信プログラム、電源管理プログラム(これは必ずしも必須ではない。)等のプログラムが格納されている。データとしては、位置情報、あるいは位置を示す画像情報、がある。これらのプログラムやデータは、製造現場での電源の配置に応じて発生する機能開始に応じて不揮発性メモリから主メモリ0603の保持領域に読み込まれ、作業領域で常時実行される。なお実行は場合によって時間に応じて、又は位置情報の取得状況に応じて制御される場合がある。また、インターフェース0604には、無線ネットワークインターフェース05、入力インターフェース0606、位置情報取得装置インターフェース0607を備えている。無線ネットワークインターフェース0605は、モバイル無線(携帯の3G、4G、5G)のインターフェースやブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インターフェースを備えていてもよい。被救助者の災害救助エリアによって適宜選択することができる。
<実施形態1 作用:処理の流れ>
図7にあるように、この防災着衣類の計算機の動作は、まず、製品完成か否かを判断する製品判断ステップを実行する(ステップ0701)。すなわち、防災着衣類に電池を装着し、防災着衣類の電源部を駆動し、常時ON状態にしたか否か判断する。この状態を製品完成としている。工場出荷時から電源を駆動してしまうと、電力を消費してしまうので、防災着衣類を備蓄庫や倉庫、会社などの防災用品置き場に設置するときに、電源部を駆動している。
このような状態であれば、次に位置情報取得プログラムにより位置情報取得処理ステップを実行する(ステップ0702)。
次に、取得した情報に基づいて、位置情報出力プログラムにより位置情報出力ステップを実行する(ステップ0703)。
次に図1又は図3に示すような防災着衣類を身に着けた被救助者から、発信部1104を介して、発信プログラムにより位置情報を発信する発信ステップを実行する(ステップ0704)。
電池切れを検出すると(ステップ0705)、処理を終了する。電池切れを起こすと、防災着衣類が機能しないので、適宜電池交換を行い、緊急避難時に使用可能な状態にしておくことが望ましい。
そして、無線ネットワークインターフェースを介して図示しない救急災害センタなどに位置情報と識別情報を発信する。災害救急センタでは、受信した位置情報と識別情報に応じて実施形態1よりさらに個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
このように、本実施形態1によれば、防災着衣類を被救助者が身に着けたのちに何らの機器操作もすることなく、被災者の位置情報が発信される防災着衣類を提供することができる。
<実施形態2:実施形態1の防災着衣類に識別情報の追加(請求項2対応)>
<実施形態2 概要>
本実施形態2は、実施形態1を基本としつつ、防災着衣類に識別情報を保持し、その識別情報を位置情報に加えて常時発信する機能を追加したものである。これにより、被救助者の識別が可能となり、さらに救助者済の人と、未救助の人の識別を行うことができる。<実施形態2 構成>
図8に示すように、本実施形態2は、電源部と、位置情報取得部と、位置情報出力部と、発信部とを有し、さらに識別情報保持部と、識別情報出力部を有する防災着衣類である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、本実施形態2に特徴的な構成について説明する。
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 識別情報保持部>
「識別情報保持部」は識別情報を保持する。識別情報とは、各防災着衣類に固有なユニークな番号をいう。この識別番号を保持部に保持しており、被被災者と関連づけておけば、誰が救助されたかがわかる。この識別情報は階層化されていてもよい。例えば最上位にその防災着衣類の製造メーカー識別情報、その次の階層に、その防災着衣類の製造工場識別情報、その次にその防災着衣類の寄付者識別情報、さらにその次にその防災着衣類の保管場所識別情報、最後に、防災着衣を個別に識別するユニークな識別情報が並ぶ等である。上記順番は異なる順番であってもよい。
<実施形態2 識別情報出力部>
「識別情報出力部」は電源部0801によって常時駆動され、保持されている識別情報を常時出力する。位置情報に加えて識別番号を発信することにより、遭難等の被災者が何人いるのかなどの情報を得ることができる。例えば洞窟に5人が閉じ込められている場合には、位置情報が出力されない場合でも常時駆動される識別情報は出力されるので5種類の識別情報を受信することによって外部の救助者は、洞窟に5人が閉じ込められていることがわかり、例えば5人分の食料を洞窟内に挿入するなどの支援をすることができる。また、識別情報に寄付者識別情報が含まれている場合にはどの寄付者が被災者の救援、救助に役立ったかを判別することが可能となり、社会貢献の実績として記録することが可能となる。さらにメーカー識別情報や、工場識別情報が判別する場合には所定期間経過後のリサイクルの際にどのメーカーや、どの工場にその防災着衣を搬送してリサイクルすればよいか判断することができる。部品が固有であったり、リサイクルの手順が防災着衣のメーカーや工場によって異なる場合があるからである。
さらに識別情報に応じて、その防災着衣の保管状況がどのような状況であったかも関連付けて蓄積されている場合には取得できるので、例えば残りの電源の量を知ることによってあと何時間以内なら位置情報を受信し続けられる等の判断ができる。電源の量が残り少ない防災着衣を利用している被災者から順に救助作業を行うなど、救助作業のスケジュール立案に利用することもできる。さらに後述するように防災着衣に食料などの付属品が備えられている場合には、識別情報に関連付けて食料などの付属品の内容を知ることで救助のスケジュールを立案することもできる。例えば防災着衣に高カロリーの食料、例えばチョコレートや飴などが備えられている場合と、そうでない場合とでは後者を優先的に救助するというスケジュールが立案可能である。また識別情報に基づいて防災着衣に発煙筒が備えられているとわかる場合には、上空から発煙筒の煙を頼りに被災者の発見に努めるという救助方法を採用する決め手となる。その他、識別情報によって、その防災着衣が、ライフジャケット、防災頭巾、安全靴、ヘルメット、防塵マスク、ガスマスク、消防用衣類、水に浮く救命具、防寒着のいずれであるか判別できる場合には、その防災着衣の種類に応じて救助方法を選択することが可能となる。
<実施形態2 作用:ハードウェア構成>
図9図に示すように、防災着衣類の計算機のハードウェア構成は、CPU0901と、不揮発性メモリ0902と、主メモリ0903と、インターフェース0904と、無線ネットワークインターフェース0905、入力インターフェース0906、位置情報取得装置インターフェース0907から構成されている。不揮発性メモリ0902には、位置情報取得プログラム、位置情報出力プログラム、発信プログラム、電源管理プログラム(これは必ずしも必須ではない。)等のプログラムが格納されている。データとしては、位置情報、識別情報がある。これらのプログラムやデータは、製造現場での電源の配置に応じて発生する機能開始に応じて不揮発性メモリから主メモリ0903の保持領域に読み込まれ、作業領域で常時実行される。なお実行は場合によって時間に応じて、又は位置情報の取得状況に応じて制御される場合がある。無線ネットワークインターフェース0905は、モバイル無線(携帯の3G、4G、5G)のインターフェースやブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インターフェースを備えていてもよい。被救助者の災害救助エリアによって適宜選択することができる。
<実施形態2 作用:処理の流れ>
図10にあるように、この防災着衣類の計算機の動作は、まず、製品完成か否かを判断する製品判断ステップを実行する(ステップ1001)。すなわち、防災着衣類に電池を装着し、防災着衣類の電源部を駆動し、常時ON状態にしたか否か判断する。この状態を製品完成としている。工場出荷時から電源を駆動してしまうと、電力を消費してしまうので、防災着衣類を備蓄庫や倉庫、会社などの防災用品置き場に設置するときに、電源部を駆動している。
このような状態であれば、次に位置情報取得プログラムにより位置情報取得処理ステップを実行する(ステップ1002)。位置情報を取得できた場合は(ステップ1003)、次に、取得した情報に基づいて、位置情報出力プログラムにより位置情報出力ステップを実行する(ステップ1004)。
次に識別情報読出プログラムにより識別情報読み出しステップ1005を実行し、識別情報保持部0805に保持されている情報を読み出し、識別情報出力プログラムにより識別情報出力ステップ1006を実行し、読み出した識別情報を出力する。
次に図1又は図3に示すような防災着衣類を身に着けた被救助者から、発信部0804を介して、発信プログラムにより位置情報に加えて識別情報も同時に発信する発信ステップを実行する(ステップ1007)。
ステップ1003において、位置情報を取得できなかった場合は、識別情報読出ステップ1009により識別情報を読み出し、識別情報出力ステップ1010より識別情報のみを発信ステップ1007より発信する。ステップ1003において、位置情報を検出できなかった場合は、位置情報出力ステップをジャンプして識別情報読出ステップ1005以降を実行してもよい。
電池切れを検出すると(ステップ1008)、処理を終了する。電池切れを起こすと、防災着衣類が機能しないので、適宜電池交換を行い、緊急避難時に使用可能な状態にしておくことが望ましい。
そして、無線ネットワークインターフェースを介して図示しない救急災害センタなどに位置情報と識別情報を発信する。災害救急センタでは、受信した位置情報と識別情報に応じて実施形態1よりさらに個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
このように、本実施形態2によれば、実施形態1に加えて、受信した位置情報と識別情報に応じて実施形態1よりさらに個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。さらに、救助率の向上に貢献できる。
<実施形態3:実施形態1、2の防災着衣類に生体情報の追加(請求項3対応)>
<実施形態3 概要>
本実施形態3は、実施形態1又は実施形態2を基本としつつ、電源部によって常時駆動され防災着衣類に被救助者の災害時における生体情報を取得する生体情報取得機能を位置情報に加えて機能を追加したものである。これにより、被救助者の生体情報の取得が可能となり、被救助者の健康状態を緊急救助時の人命救助に利用することができる。
<実施形態3 構成>
図11に示すように、本実施形態3は、電源部1101と、位置情報取得部1102と、位置情報出力部1103と、発信部1104とを有し、さらに生体情報取得部1105と、生体情報出力部1106を有する防災着衣類である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、本実施形態3に特徴的な構成について説明する。
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 生体情報取得部>
「生体情報取得部」1105は電源部1101によって常時駆動され、着衣状態の場合に常時その者の生体情報を取得する。生体情報とは、体温、脈拍、血圧、単位時間当たりの呼吸数等の情報である。体温は体温計、脈拍は脈拍計、血圧は血圧計、呼吸は呼吸センサなどによって検出する。さらに血糖値センサによって血糖値を取得したり、呼気センサによって呼気中の含有分子等を検出することも可能である。生体情報センサを人体の各部に取り付けてセンシングする。なお、生体情報として、人の声や、周辺音声を含ませることもできる。直接的に救助者と会話できたり、救助者が周辺の音から被災者の身辺状況を把握することができる。また、救助者のマイクで取得した音声を情報として取得できるように構成して被災者と救助者とで会話できるように構成することも考えられる。
「生体情報出力部」1106は電源部1101によって駆動され、取得した生体情報を常時出力する。位置情報に加えて被救助者の生体情報を発信することにより、被災者の健康状態を考慮した救助に利用できる。なお、位置情報が取得できない場合でも取得された生体情報は出力されるように構成されることが好ましい。さらに、位置情報の出力間隔と、生体情報の出力間隔とは同じ間隔タイミングである必要はなく、位置情報の出力間隔を生体情報の出力間隔よりも短くするように設計することも、逆にするように設計することも、同じ間隔となるように設計することもできる。位置情報の出力間隔を生体情報の出力間隔よりも短くするのは防災着衣類の製造時に設定できるように構成してもよいし、位置情報の変動が所定の値と比較して大きくなっている場合にはその出力間隔を短くし、逆に位置情報の変動が少ない場合には生体情報の出力間隔をより短くするように、ダイナミックに制御できるような構成とすることも考えられる。また同じように生体情報の変動と所定の値との関係を用いて、生体情報と位置情報との出力間隔を調整するように構成することも考えられる。
また、救助者からの制御信号を受信するように構成して、その制御信号に基づいて生体情報と位置情報との出力間隔を調整するように構成してもよい。また生体情報として複数種類の生体情報を取得できている場合には、生体情報間での出力間隔に長短の調整がされるように設計することもできる。やはり生体情報として変動が大きいものについての出力間隔を短くするように設計することが好ましい。
なお生体センサインターフェイスを介して接続されている生体センサについては、生体センサ自己診断機能を防災着衣が有していてもよい。さらに、倉庫などに保管されている状態でも、外部信号によって生体センサの自己診断機能の起動ができたり、生体センサのセンシング感度や、センシング時間間隔、計算機の利用リソース、計算機で利用するプログラムなどの調整や入れ替えが行えるように構成することも考えられる。
生体センサは原則的には防災着衣類の人に接近できる個所に備えられるが、防災着衣類に信号線を含むひもなどで結び付けられて防災着衣類と密接していなともよい。さらに、生体センサを備えた腕時計やメガネ、ペースメーカー、自動血糖値測定装置、生体情報取得機能を有する着衣類などから生体情報を取得するように構成してもよい。腕時計やメガネ、ペースメーカー、生体情報取得機能を有する着衣類、自動血糖値測定装置、とは、被災者等が身に着ける程度に密接した場合に、近距離無線や人体通信を利用して通信可能となるように設計することが考えらえる。例えば自動的にハンドシェイクして特定の生体センサを有する身の回り品から自動的に生体情報を取得するように構成することができる。<実施形態3 作用:ハードウェア構成>
図12図に示すように、防災着衣類の計算機のハードウェア構成は、CPUと、不揮発メモリと、インターフェースと、無線ネットワークインターフェース、入力インターフェース1206、位置情報取得装置インターフェース1207から構成されている。不揮発性メモリ1203には、位置情報取得プログラム、位置情報出力プログラム、発信プログラム、電源管理プログラム(これは必ずしも必須ではない。)等のプログラムが格納されている。データとしては、位置情報、生体情報がある。これらのプログラムやデータは、製造現場での電源の配置に応じて発生する機能開始に応じて不揮発性メモリから主メモリ1203の保持領域に読み込まれ、作業領域で常時実行される。なお実行は場合によって時間に応じて、又は位置情報の取得状況に応じて制御される場合がある。無線ネットワークインターフェース1205は、モバイル無線(携帯の3G、4G、5G)のインターフェースやブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インターフェースを備えていてもよい。被救助者の災害救助エリアの通信範囲によって適宜選択することができる。
<実施形態3 作用:処理の流れ>
図13にあるように、この防災着衣類の計算機の動作は、まず、製品完成か否かを判断する製品判断ステップを実行する(ステップ1301)。すなわち、防災着衣類に電池を装着し、防災着衣類の電源部を駆動し、常時ON状態にしたか否か判断する。この状態を製品完成としている。工場出荷時から電源を駆動してしまうと、電力を消費してしまうので、防災着衣類を備蓄庫や倉庫、会社などの防災用品置き場に設置するときに、電源部を駆動している。
このような状態であれば、次に位置情報取得プログラムにより位置情報取得処理ステップを実行する(ステップ1302)。位置情報を取得した場合は(ステップ1303)、次に、取得した情報に基づいて、位置情報出力プログラムにより位置情報出力ステップを実行する(ステップ1304)。
次に生体情報取得プログラムにより生体情報取得ステップ1305を実行し、人体に装着された各種センサから生体情報を取得し、生体情報識出力プログラムにより生体情報識出力ステップ1306を実行し、取得した生体情報を出力する。
次に図1又は図3に示すような防災着衣類を身に着けた被救助者から、発信部1104を介して、発信プログラムにより位置情報に加えて生体情報識も同時に発信する発信ステップを実行する(ステップ1307)。
ステップ1303において、位置情報を取得できなかった場合は、生体情報取得ステップ1309により生体情報を読み出し、生体情報出力ステップ1310より識別情報のみを発信ステップ1307より発信する。ステップ1303において、位置情報を検出できなかった場合は、位置情報出力ステップをジャンプして生体情報取得ステップ1305以降を実行してもよい。
電池切れを検出すると(ステップ1308)、処理を終了する。電池切れを起こすと、防災着衣類が機能しないので、適宜電池交換を行い、緊急避難時に使用可能な状態にしておくことが望ましい。
そして、無線ネットワークインターフェースを介して図示しない救急災害センタなどに位置情報と生体情報を発信する。災害救急センタでは、受信した位置情報と生体情報に応じて被救助者の健康状態を考慮して個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
このように、本実施形態3によれば、実施形態1に加えて、受信した位置情報と生体情報に応じて被救助者の健康状態を考慮した個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
<実施形態4:実施形態1、2、3の防災着衣類にアドレス発信追加(請求項4対応)><実施形態4 概要>
本実施形態4は、実施形態1〜3を基本としつつ、防災着衣類に位置情報の発信先を示すアドレス発信機能を追加したものである。これにより、指定されたアドレスにインターネット等の回線を介して位置情報を発信することができる。
<実施形態4 構成>
図14に示すように、本実施形態4は、電源部1401と、位置情報取得部1402と、位置情報出力部1403と、発信部1404とを有し、さらに発信部1404が、発信先アドレス保持手段1405と、アドレス先発信手段1406と、を有する防災着衣類である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、
実施形態4に特徴的な構成について説明する。
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 発信部:発信先アドレス保持手段>
「発信先アドレス保持手段」1405は所定の発信先アドレスを保持する。発信先アドレスを保持しているので、モバイル無線ネットワークやインターネットなどを介して、指定されたアドレスに位置情報を発信することができる。指定されたアドレスは単一であっても複数であってもよい。公共的な被災者救済センター(例えば消防庁、気象庁、総務省、厚生労働省、防衛省などの下部機関ないしは関連機関)のごとき機関に設置され常時稼働しているサーバがアドレスとしては最適である。またこれらが都道府県ごと、地域ごとにある場合にはこれら複数の場所に設置されている機関のサーバに同時送信されるように構成してもよい。さらに機関に設置されているサーバは、特定のパスワードなどで権限が証明された端末からアクセス可能となっており、被災者の位置情報等をマップ上で確認できるように構成されているのが便利である。
さらにそのマップ上ではダイナミックに被災者の位置情報が表示され、今、どこで、どれくらいの速度で位置が変化しているかを見ることができるように構成されていることが好ましい。またこのマップは、気象情報(天候、風速、雨量、波浪)を重畳して閲覧できたり、地震情報(現在震度、過去震度)などを重畳して閲覧できたり、津波情報(津波の高さ、速度、到達予想時刻、到達時点での波の高さ、予想される波の侵入領域、各侵入領域での津波による水の高さなど)を重畳して閲覧できたり、火山噴火情報を重畳して閲覧できたり、火災情報(火災の発生場所、人口密度、倒壊家屋、火災の広がりの予測)を重畳して閲覧できたり、交通情報(道路の寸断情報、通行止め情報、渋滞情報、避難物資の流通情報)、本防災着衣類の保管場所と数量などを重畳して閲覧できたりするように構成されていることが好ましい。また、必要に応じて救援者がどのように地域に投入されるのが好ましいのかを被災者の位置情報や、識別情報から識別される人数などに応じて演算し救援者の派遣スケジュールを自動的に算出するように構成することも考えられる。
<実施形態4 発信部:アドレス先発信手段>
「アドレス先発信手段」1406は、保持されているアドレスを含む情報を発信する。位置情報に加えてアドレスを発信するので、受け取った関係者は被救助者の救助にその情報が利用できる。なお、アドレス先発信手段は、そのアドレスにて受信できなかった場合には、順次予備のアドレスに発信するように構成してもよい。またあるネットワークで発信できなかった場合には別のネットワークを利用するように構成することもできる。またアドレス先発信手段は、外部通信を受信して、保持されているアドレスを書き換えるように構成することもできる。新規アドレスが追加した場合や、原アドレスが古くなった場合にメンテナンスするためである。なお、アドレス先発信手段は電源によって常時駆動するように構成される。
<実施形態4 作用:ハードウェア構成>
図15に示すように、防災着衣類の計算機のハードウェア構成は、CPU1501と、不揮発性メモリ1502と、インターフェース1503と、無線ネットワークインターフェース1504、入力インターフェース1506、位置情報取得装置インターフェース1507とから構成されている。不揮発性メモリ1502には、位置情報取得プログラム、位置情報出力プログラム、発信プログラム、発信先アドレス保持サブプログラム、アドレス先発信サブプログラム、電源管理プログラム(これは必ずしも必須ではない。)等のプログラムが格納されている。データとしては、位置情報、発信先アドレスがある。これらのプログラムやデータは、製造現場での電源の配置に応じて発生する機能開始に応じて不揮発性メモリから主メモリ1503の保持領域に読み込まれ、作業領域で常時実行される。なお実行は場合によって時間に応じて、又は位置情報の取得状況に応じて制御される場合がある。無線ネットワークインターフェース1505は、モバイル無線(携帯の3G、4G、5G)のインターフェースやブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インターフェースを備えていてもよい。被救助者の災害救助エリアの通信範囲によって適宜選択することができる。
<実施形態4 作用:処理の流れ>
図16にあるように、この防災着衣類の計算機の動作は、まず、製品完成か否かを判断する製品判断ステップを実行する(ステップ1601)。すなわち、防災着衣類に電池を装着し、防災着衣類の電源部を駆動し、常時ON状態にしたか否か判断する。この状態を製品完成としている。工場出荷時から電源を駆動してしまうと、電力を消費してしまうので、防災着衣類を備蓄庫や倉庫、会社などの防災用品置き場に設置するときに、電源部を駆動している。
このような状態であれば、次に位置情報取得プログラムにより位置情報取得処理ステップを実行する(ステップ1602)。
次に、取得した情報に基づいて、位置情報出力プログラムにより位置情報出力ステップを実行する(ステップ1603)。
次に図1又は図3に示すような防災着衣類を身に着けた被救助者から、発信部1404を介して、発信プログラムにより位置情報に加えて発信先アドレスも同時に発信するアドレス発信サブステップを実行する(ステップ1604、1605)。
電池切れを検出すると(ステップ1606)、処理を終了する。電池切れを起こすと、防災着衣類が機能しないので、適宜電池交換を行い、緊急避難時に使用可能な状態にしておくことが望ましい。
そして、無線ネットワークインターフェースを介して図示しない救急災害センタなどに位置情報と生体情報を発信する。災害救急センタでは、受信した位置情報と生体情報に応じて被救助者の健康状態を考慮して個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
このように、本実施形態4によれば、実施形態1〜4に加え、指定されたアドレスにインターネット等の回線を介して位置情報を発信することができるので、災害時の関係者による安否確認にできる。
<実施形態5:実施形態1、2、3、4の防災着衣類に着脱可能又は着脱不能な電池収納手段の追加(請求項5、6対応)>
<実施形態5 概要>
本実施形態5は、防災着衣類の電源部は電源となる電池を着脱可能な電池収納手段を有するか、またはその電源部は電源となる電池を着脱不能な電池収納手段を有するものである。電池が着脱可能な電池収納手段では、使用者が電池交換できるので、メンテナンス費用を下げることができる。電池が着脱不能な電池収納手段では、電池交換が不能なので、災害時に事前準備不用で使用可能となる。
<実施形態5 構成>
図17に示すように、本実施形態5は、電源部1701と、位置情報取得部1702と、位置情報出力部1703と、発信部1704とを有し、さらに電源部1701は電源となる電池を着脱可能な電池収納手段を有する防災着衣類である。または、電源部1701は電源となる電池を着脱不能な電池収納手段を有する防災着衣類である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、実施形態5に特徴的な構成について説明する。
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 電源部:電池収納手段(電池着脱可能状態)>
「電池収納手段」1705は電源部1701が電源となる電池を着脱可能とするものである。ただし、災害による振動や衝撃等で簡単に離脱する者であってはならず、例えば、一般には利用されない専用工具で電源を離脱したり、装着したりできるような特殊な構成であることが好ましい。
<実施形態5 電源部:電池収納手段(電池着脱不能状態)>
「電池着脱不能」とは、電源部1701は電源となる電池を着脱不能な状態をいう。着脱不能であるとは非破壊的には電源を離脱できないことを言い、破壊的な処理によっては電源を離脱できるようなものをいう。破壊的とは防災着衣類の一部を破壊することであり、例えば防災着衣が繊維類で構成されている場合には繊維類を破る行為や、繊維類を破った後に電源を収納しているケースを破損するような行為である。電源を収納しているケースを破損するとは、例えばプラスティックの一部に指掛け部があり、その指掛け部に指をかけて強く引き抜くような動作によって破壊されるような場合である。破壊を意図的に行う場合には容易に破壊されるように構成することもでき、さらにリサイクルを考慮して、破壊された部分を新たに修復できるような構成が好ましい。新たに修復する場合とは、例えば熱可塑性のプラスティック類をあてがって高温加熱し、融着して破壊部分を修復するようなケースである。
<実施形態5 作用:ハードウェア構成>
実施形態5の計算機のハードウェア構成は、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
<実施形態5 作用:処理の流れ>
実施形態5の計算機の処理の流れは、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施形態5によれば、電池が着脱可能な電池収納手段では、使用者が電池交換できるので、メンテナンス費用を下げることができる。電池が着脱不能な電池収納手段では、電池交換が不能なので、災害時に事前準備使用可能となる。
<実施形態6:実施形態1、2、3、4、5の防災着衣類に小物収納ポケットの追加(請求項7、8対応)>
<実施形態6 概要>
実施形態6は、実施形態1〜5を基本としつつ、防災着衣類に小物収納ポケットを設けたものである。
<実施形態6 構成>
図18に示すように、本実施形態6は、電源部1801と、位置情報取得部1802と、位置情報出力部1803と、発信部1804とを有し、さらに小物収容ポケットを有し、小物収容ポケットには、笛、発煙筒、照明弾、レーザーポインター、反射鏡のいずれか一以上が収容されている、または、小物収容ポケットには、キャンディー、チョコレート、水、ブドウ糖、栄養補給剤のいずれか一以上が収容されている防災着衣類である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、実施形態6に特徴的な構成について説明する。
<実施形態6 構成の説明>
「小物収納ポケット」1805は、図18には1つしか開示していないが複数の小物収納ポケットを設けてもよく、一つは遭難者が外部に放置する手段を有する。例えば、笛、発煙筒、照明弾、レーザーポインター、反射鏡のいずれか一以上が収容されている。これらの道具は、ポケットに収納できるサイズであり、なるべく携帯性の小形のものが好ましい。あまり大きすぎると、緊急避難時に邪魔になるからである。
また、もう一つには、エネルギー補給手段としてのものが収納してあるのが望ましい。例えば、図19〜図22に示すように、キャンディー1901、チョコレート2001、水2101、ブドウ糖、栄養補給剤2201のいずれか一以上が収容されている。水2101は通常ペットボトルなどに収納されていることが多く、小形収納ポケットに収納できない場合は、ひもやストッパーで止めるような部材を別途設けてもよい。栄養補給剤2201のようなビン形状も同様である。なお、位置情報の履歴から被災者がこの防災着衣を着て避難状態、罹災状態にあると判断するための罹災状態判断手段を設けて、この判断結果が罹災状態であるとの判断結果の場合には例えば「左側の方近くのポケットにキャンディーが入っています」などと収納されている場所と、そこに収納されている物の説明が音声で流れるように構成することが考えられる。
図19に示されるキャンディーの場合にはその包装は防水性があることが好ましい。罹災が水等によるものである場合にはそれによってキャンディーが劣化するからである。また、暗い場所で食する場合もあるので、暗い場所でも簡単に包装を破れるようなものであることが好ましい。例えばキャンディーの包装の一部を突出させて、そこを強く引けばキャンディーを容易に取り出せるような構造である。
図20に示されるチョコレートの場合にも同様に防水性がある包装であることが好ましい。さらに、チョコレートの場合には一の包装で複数回の食事がとれる場合もあるので包装は例えば開閉自在の物であるとなお好ましい。また収納されているチョコレートは、気温の高い場合には溶解するので、比較的高温でも溶解しない種類のチョコレートにすることが好ましい。
図21で示される水が入ったペットボトルの場合にはつかみやすいものであり、かつ、水を飲み切った後、ないしは、水を排出したのちには水の上で多少の浮力があって子供であればそれを頼りに浮くことができる程度のものであることが好ましい。さらに複数のペットボトルを接続可能な構成にして、水難の場合にはそれらをつなぎ合わせて複数の人が助けられる浮力が発生するように構成することが好ましい。
図22に示す栄養ドリンク(栄養補給剤)でも水を入れたペットボトルと同様の作用があることが好ましい。また、栄養ドリンクには固形成分や、半固形成分を含ませて空腹を補うようなものとすることもできる。
このように、本実施形態6によれば、小物収納ポケットに外部報知手段の笛や反射鏡を有しているので、救助される率が高まる。また、遭難してから日数が経過している場合は、あめやキャンディは簡単なエネルギー補給手段として有効である。
<実施形態7:実施形態1、2、3、4、5、6の防災着衣類にGPS受信、位置情報発信機能追加(請求項9対応)>
<実施形態7 概要>
本実施形態7は、防災着衣類にGPS受信、位置情報発信機能を追加したものである。<実施形態7 構成>
図23に示すように、本実施形態7は、電源部2301と、位置情報取得部2302と、位置情報出力部2303と、発信部2304とを有し、さらに位置情報取得部2302は、受信アンテナ手段2305と、位置情報算出手段2306と、位置情報出力手段2307と、を有する。
<実施形態7 構成の説明>
<実施形態7 位置情報取得部 受信アンテナ手段>
「受信アンテナ手段」2305はGPS信号受信アンテナを含み、防災着衣類の天頂部に設けられる。GPS受信信号を良好に受信するためである。
「位置情報算出手段」2306は位置情報出力部2303に設けられ、受信アンテナ手段2305で受信したGPS信号に基づいて位置情報を算出する。
「位置情報出力手段」2307は位置情報出力部2303に設けられ、位置情報算出手段2306にて算出された位置情報を発信部2304に出力する。
<実施形態7 作用:ハードウェア構成>
図24に示すように、防災着衣類の計算機のハードウェア構成は、CPU2401と、不揮発性メモリ2402と、インターフェース2403と、無線ネットワークインターフェース2404、入力インターフェース2406、位置情報取得装置インターフェース(GPS信号受信インターフェース)2407とから構成されている。不揮発性メモリ2402には、位置情報取得プログラム、受信プログラム、位置情報出力プログラム、位置情報算出サブプログラム、位置情報出力サブプログラム、発信プログラム、電源管理プログラム(これは必ずしも必須ではない。)等のプログラムが格納されている。データとしては、位置情報、電波強度がある。これらのプログラムやデータは、製造現場での電源の配置に応じて発生する機能開始に応じて不揮発性メモリ2402から主メモリ2403の保持領域に読み込まれ、作業領域で常時実行される。なお実行は場合によって時間に応じて、又は位置情報の取得状況に応じて制御される場合がある。無線ネットワークインターフェース1505は、モバイル無線(携帯の3G、4G、5G)のインターフェースやブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インターフェースを備えていてもよい。被救助者の災害救助エリアの通信範囲によって適宜選択することができる。
<実施形態7 作用:処理の流れ>
図25にあるように、この防災着衣類の計算機の動作は、まず、製品完成か否かを判断する製品判断ステップを実行する(ステップ2501)。すなわち、防災着衣類に電池を装着し、防災着衣類の電源部を駆動し、常時ON状態にしたか否か判断する。この状態を製品完成としている。工場出荷時から電源を駆動してしまうと、電力を消費してしまうので、防災着衣類を備蓄庫や倉庫、会社などの防災用品置き場に設置するときに、電源部を駆動している。
このような状態であれば、次に位置情報取得プログラムにより位置情報取得処理ステップを実行する(ステップ2502)。ここで、GPS等の衛星通信の信号を受信する受信サブステップ2503を実行し、GPS信号(電波強度)を受信する。
次に、取得した情報に基づいて、位置情報出力プログラムにより位置情報出力ステップを実行する(ステップ2503)。ここで、位置情報算出サブプログラムにより受信アンテナ手段で受信したGPS信号に基づいて位置情報を算出し、位置情報算出サブプログラムにて算出された位置情報を発信部に出力する(ステップ2505、2506)。
次に図1又は図3に示すような防災着衣類を身に着けた被救助者から、発信部1104を介して、発信プログラムにより位置情報を発信する発信ステップを実行する(ステップ2507)。
電池切れを検出すると(ステップ2508)、処理を終了する。電池切れを起こすと、防災着衣類が機能しないので、適宜電池交換を行い、緊急避難時に使用可能な状態にしておくことが望ましい。
そして、無線ネットワークインターフェースを介して図示しない救急災害センタなどに位置情報と識別情報を発信する。災害救急センタでは、受信した位置情報と識別情報に応じて実施形態1よりさらに個別対応可能な救助の必要性の有無の判断に利用することができる。
このように、本実施形態7によれば、実施形態1〜6に加え、GPS信号等を受信することにより、より正確な位置情報取得が可能となり、救助率の向上に寄与できる。
<実施形態8:実施形態1、2、3、4、5、6の防災着衣類に保護部追加(請求項10、11対応)>
<実施形態8 概要>
実施形態8は、実施形態1〜7の防災着衣類の各部に保護部を設けたものである。
<実施形態8 構成>
図26に示すように、本実施形態8は、電源部2601と、位置情報取得部2602と、位置情報出力部2603と、発信部2604とを有し、さらに保護部2607を有する防災着衣類。そして、保護部2607は、防水機能を有していてもよい。
<実施形態8 構成の説明>
「保護部」2607は、各部2601〜2604をクッション性部材によって保護する。クッション性部材とは、衝撃を吸収する弾性部材、シリコン、綿、ダウンなどである。水難や海難救助を想定すると、保護部2607は、防水機能を有することが望ましい。
<実施形態8 作用:ハードウェア構成>
実施形態8の計算機のハードウェア構成は、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
<実施形態8 作用:処理の流れ>
実施形態8の計算機の処理の流れは、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施形態8によれば、衝撃を吸収するクッション部材が各部を保護しているので、被救助者を災害から身を守ることができる。
<実施形態9:実施形態1、2、3、4、5、6、7の防災着衣類に保護部追加(請求項12対応)>
<実施形態9 概要>
本実施形態9は、防災着衣類の適用物を示したものである。例えば、防災着衣類は、図2に示すようなライフジャケット、図1に示すような防災頭巾、図27に示すような安全靴(GPS等のアンテナ類は靴の甲の部分に配置されることが好ましい)、図28に示すようなヘルメット(GPS等のアンテナ類はヘルメットの頂部に配置されることが好ましい)、図29に示すような防塵マスク(GPS等のアンテナ類は防塵マスクのメガネ部分の上側の縁に配置されることが好ましい。)、ガスマスク、消防用衣類、図30に示すような水に浮く救命具(GPS等のアンテナは救命具の表面裏面にまんべんなく配置することが好ましく、その他の機能部分は救命具の防水内部に配置されることが好ましい)、防寒着のいずれかである。これらの装置に適用する場合は各部を内蔵させたり、外部に取り付けたりすることができる。
このように、本実施形態9によれば、各種の防災着衣類に適用し、防災着衣類を被救助者が身に着けたのちに何らの機器操作もすることなく、被災者の位置情報が発信される防災着衣類を提供することができる。
<実施形態10:実施形態の防災着衣類の維持管理方法追加(請求項13対応)>
<実施形態10 概要>
実施形態10は、実施形態1〜9のような計算機によって構成された防災着衣類を、格納し、定期的に交換する防災着衣類の維持管理方法である。
<実施形態10 構成の説明>
電池を着脱可能であるが、ON/OFFスイッチを有さない電源部によって駆動される計算機であって、常時位置情報を取得するための処理を行う位置情報取得処理ステップと、位置情報が取得された場合に取得した位置情報を常時出力する位置情報出力ステップと、出力された位置情報を常時発信する発信ステップと、によって駆動される計算機を収容した防災着衣類において、図31に示すように、その防災着衣類を倉庫に格納し、又は日常利用する家具に留め置く格納ステップ(ステップ3101)と、格納され又は留め置かれた防災着衣類の電源内の電池を電池交換期限ごとに交換する交換ステップ(ステップ3102)と、を有する。
これにより、災害救命センタや会社の倉庫に防災着衣類の維持管理方法を提供することができる。
<実施形態11:実施形態の災害時救助救援方法の追加(請求項14対応)>
<実施形態11 概要>
実施形態11は、実施形態1〜9の防災着衣類を用いて、災害時救助救援方法を提供するものである。
<実施形態11 構成の説明>
図32右図に示す処理の流れは、図7と同様であるので、説明を省略する。
このような防災着衣類を用いて図32左図に示すような災害時救助救援方法を提供する。
すなわち、常時位置情報を取得するための処理を行う位置情報取得処理ステップと、位置情報が取得された場合に取得した位置情報を常時出力する位置情報出力ステップと、出力された位置情報を常時発信する発信ステップのループ処理を行っている。
まず、緊急避難対策として、このようなループ処理によって駆動される計算機を収容した防災着衣類を倉庫に格納する格納ステップを実行し(ステップ3210)、防災着衣類を常時可能状態で備蓄している。
災害が発生すると(ステップ3211)、倉庫に格納されている防災着衣類を災害時にこれを必要としている人に配布する配布ステップを実行する(ステップ3212)。
この配布ステップが終了すると(ステップ3213)、図示しない災害救助救援センターでは、被救助者に配布され、着用した防災着衣類から発信される位置情報を受信する受信ステップを実行する(ステップ3214)。
この位置情報を受信すると(ステップ3215)、受信した位置情報に応じて被災者を救助支援する救助支援ステップを実行する(ステップ3216)。
被災者がいなくなるまで(ステップ3217)、救助支援ステップを実行する。
このようにして、災害時の救助救援が行われる。このとき、本実施形態の防災着衣類は常時稼動状態になっているので、被救助者がなんら機器の操作をすることなく、救助救援活動が実施されることになるので、救助率を向上させることができる。