<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクタンクおよびこれを備えたインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、第1実施形態のインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)10の斜視図である。図2は、プリンタ10の主要部の正面図である。なお、本明細書において「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式等の連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式等の各種のオンデマンド方式を利用したプリンタ全般をいう。また、「プリンタ」とは、二次元の画像を印刷する、所謂、2Dプリンタと、三次元の造形物を造形する、所謂、3Dプリンタ(三次元造形装置)と、を包含する用語である。
また、以下の説明において、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザ(プリンタ10の使用者)から見た左、右、上、下をそれぞれ意味し、プリンタ10からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ10は、2Dプリンタである。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行うためのものである。プリンタ10は、所謂、Roll-to-Rollタイプのプリンタである。プリンタ10は、大判サイズの記録媒体5に対して印刷を行う業務用の大型プリンタである。記録媒体5は、本実施形態ではロール状の媒体である。記録媒体5には、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類はもちろんのこと、例えば、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステル等の樹脂材料、織布や不織布等の布帛、アルミニウム、鉄、木材、ガラス等の各種の材料からなる媒体が含まれる。
プリンタ10は、本体部12と、ガイドレール13と、プラテン14と、インクヘッド20と、インク流路40と、インク供給装置70と、制御装置80と、を備えている。本実施形態において、インクヘッド20と、インク流路40と、インク供給装置70とは、各色のインク59(図3参照)毎に設けられている。ただし、他の実施形態において、インクヘッド20と、インク流路40と、インク供給装置70との数は、必ずしも全て同じでなくてよい。本体部12は、左右方向に延びた筐体を有する。本体部12の右側の前面には、操作パネル12Cが設けられている。操作パネル12Cは、印刷に関する操作を行うものである。操作パネル12Cは、ユーザが印刷に関する情報を入力する入力部を兼ねている。操作パネル12Cには、印刷に関する情報が表示される表示部12Dが設けられている。
ガイドレール13は、本体部12に設けられ、左右方向(主走査方向)に延びている。ガイドレール13には、キャリッジ30がスライド自在に係合している。キャリッジ30には、インクヘッド20が搭載されている。なお、キャリッジ30には、従来公知のインクジェットプリンタと同様に、例えば光照射装置(例えば紫外線ランプ)等の種々の装置や部材がさらに搭載されていてもよい。キャリッジ30は、キャリッジ移動機構16により、ガイドレール13に沿って左右方向に往復移動する。
キャリッジ移動機構16は、ガイドレール13の左端側および右端側に配置されたプーリ17bおよびプーリ17aを有している。プーリ17aには、キャリッジモータ16aが連結されている。キャリッジモータ16aは、制御装置80と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。プーリ17aおよびプーリ17bには、それぞれ無端状のベルト15が巻き掛けられている。キャリッジ30はベルト15に固定されている。キャリッジモータ16aが駆動すると、プーリ17aが回転してベルト15が走行する。これにより、キャリッジ30がガイドレール13に沿って左右方向に移動する。
プラテン14は、本体部12に設けられ、左右方向に延びている。プラテン14は、ガイドレール13よりも下方かつ前方に配置されている。プラテン14には、記録媒体5が載置される。プラテン14は、印刷の際、記録媒体5を支持するものである。記録媒体5への印刷は、プラテン14上において行われる。プラテン14には、上下一対のグリットローラ(図示せず)およびピンチローラ(図示せず)が設けられている。グリットローラはフィードモータ(図示せず)に連結されている。グリットローラはフィードモータによって回転駆動される。記録媒体5がグリットローラとピンチローラとの間に挟まれた状態でグリットローラが回転すると、記録媒体5は前後方向(副走査方向)に搬送される。
インク供給装置70は、インクタンク50を備えている。インク供給装置70は、インクタンク収容部18の中に収容されている。インクタンク収容部18は、本体部12よりも下方に配置されている。インクタンク50は、印刷に使用されるインク59を貯留するケースである。インクタンク50は、インクタンク収容部18に固定されている。インクタンク50の下面は、タンク支持板18Sに支持されている。インクタンク50は、インクヘッド20よりも下方に配置されている。インクタンク50は、キャリッジ30に搭載されておらず、左右方向には移動しない。インクタンク50の個数は、本実施形態では5つである。なお、インク供給装置70の構成については後述する。
インク59は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。インク59は、ソルベント系の顔料インク、水性顔料インク、水性染料インク等であってもよい。インク59は、例えば、光重合性モノマーと光重合開始剤系とを含み、光照射によって硬化する性質を有する光硬化性インクであってもよい。インク59は、例えば、無溶剤UVインク、エコソルベント系UVインク、リアルソルベント系UVインク等であってもよい。本実施形態において、5つのインクタンク50には、異なる色材を含んだインク、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ホワイトインク、が貯留されている。ただし、インク59の種類(色等)は何ら限定されない。また、インクタンク50の個数も何ら限定されない。インクタンク50は、各色のインク59毎に、インク流路40を介してインクヘッド20に連通されている。
インクヘッド20は、記録媒体5に向かってインク59の液滴を吐出するものである。インクヘッド20は、プラテン14よりも上方に配置されている。インクヘッド20は、キャリッジ30に搭載されている。インクヘッド20は、キャリッジ30を介してガイドレール13にスライド自在に係合している。インクヘッド20の個数は、本実施形態ではインクタンク50の個数と同じ5つである。5つのインクヘッド20は、左右方向に並んでいる。インクヘッド20の下面には、インク59を吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。また、インクヘッド20の内部には、圧電素子等からなるアクチュエータ(図示せず)が設けられている。このアクチュエータが駆動することにより、インクヘッド20のノズルからインクタンク50のインク59が吐出される。
インク流路40は、インクタンク50からインクヘッド20にインク59を導く流路を形成している。インク流路40の一端42は、インクタンク50のインク流出口52O(図3参照)に接続されている。インク流路40の他端は、インクヘッド20に接続されている。インク流路40は、柔軟性や可撓性を有し、弾性変形可能なように構成されている。特に限定されるものではないが、インク流路40は、本実施形態では樹脂製の変形容易なチューブである。インク流路40は、キャリッジ30が左右方向に移動しても破損しないように、本体部12内の大部分(少なくとも全長の半分以上)が左右方向に延びた状態で配置されている。インク流路40の本数は、本実施形態ではインクタンク50の個数と同じ5本である。インク流路40は、ケーブル類保護案内装置32で覆われている。ケーブル類保護案内装置32とは、例えばケーブルベア(登録商標)である。
なお、インクタンク50からインクヘッド20までのインク流路40の途中には、従来公知のインクジェットプリンタと同様に、必要に応じて、種々の装置や部材が設けられていてもよい。インク流路40には、例えば、インクタンク50からインクヘッド20に向かってインク59を搬送する搬送装置(例えば送液ポンプ)や、インクヘッド20にインク59を補給すると共にインクヘッド20からのインク59の吐出動作を安定化させるダンパー、インク流路40を開閉する弁部材、インク59を濾過する濾過装置、インク59から気泡を除去する脱気装置等が適宜設けられていてもよい。
次に、インク供給装置70の構成について説明する。インク供給装置70は、インクタンク50に貯留されているインク59が少なくなったときに、インクタンク50自体は交換せずに、インクタンク50にインク59を継ぎ足して繰り返し使用する、継ぎ足し式の(使い捨てない)インク供給装置である。特に限定されるものではないが、インクタンク50に収容可能なインク59の容量は、典型的には1L以上、例えば1.5〜2Lである。このように、インクタンク50には、例えば消耗品としてのインクタンクに比べて、多くのインク59を収容し得る。このため、大型のプリンタ10で一度に大量の印刷を行う場合等にも、印刷の途中でインク59を継ぎ足す回数が少なくて済む。また、夜間等に無人で印刷を継続する場合にも、インク切れが起きにくい。
なお、以下の説明において、インクタンク50(詳しくは、インクタンク50に貯留されているインク量)が予め定められた満タン状態であることを「インク満タン状態」といい、インクタンク50(詳しくは、インクタンク50に貯留されているインク量)が予め定められたエンプティの状態であることを「インクエンド状態」という。また、インク満タン状態とインクエンド状態との間で予め定められ、インク満タン状態に近い状態を「ニア満タン状態」といい、インクエンド状態に近い状態を「ニアエンド状態」という。インク満タン状態は、例えば、インクタンク50内のインク量が、インクタンク50に収容可能なインク59の容量の概ね70体積%以上、典型的には80体積%以上、例えば90体積%以上の状態であってもよい。インクエンド状態は、例えば、インクタンク50内のインク量が、インクタンク50に収容可能なインク59の容量の概ね40体積%以下、典型的には30体積%以下、例えば20体積%以下、10体積%以下の状態であってもよい。
図3は、インク満タン状態のインク供給装置70の断面図である。図4は、インクエンド状態のインク供給装置70の断面図である。図3,図4に示すように、インク供給装置70は、インクタンク50と、感圧膜55と、被検出部材56と、付勢部材57と、センサ60と、を備えている。インクタンク50は、ケース51を備えている。インク供給装置70は、センサ60によってインクタンク50内のインク量が予め定められた値以下となるインクエンド状態を検出可能なように構成されている。
ケース本体52の外形は、有底の円筒形状である。ケース51は、鉛直方向に沿って配置されている。ケース51は、上方に向かって開口された上方開口部52Uを有するケース本体52と、上方開口部52Uを塞ぐ蓋体53と、を備えている。ケース本体52の上方開口部52Uは、ケース本体52にインク59を流入するためのインク流入口である。ケース本体52は、中空構造である。ケース本体52の中空の部分は、インク59を貯留するインク貯留室54である。インクタンク50では、インク貯留室54内に、空気とインク59との気液界面が存在している。
ケース51(すなわち、ケース本体52および蓋体53)の材質は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。ケース51は、適度な剛性とガスバリア性と水蒸気バリア性とを有しているとよい。ケース51のインク59と接する面は、耐インク腐食性に優れ、インク59を変質させにくい材質からなるとよい。ケース51は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコン、フッ素系樹脂等の樹脂製である。ケース51は、内表面あるいは外表面に、樹脂等で形成されたコーティング層を備えていてもよい。ケース51は、インク59が光硬化性である場合、例えば外観が黒色で遮光性を有していてもよい。
ケース本体52の首部52Hには、雄ネジ溝(図示せず)が形成されている。蓋体53は、平面視において、上方開口部52Uの形状に適合する円板形状である。蓋体53の内周面には、ケース本体52の雄ネジ溝に螺合する雌ネジ溝(図示せず)が形成されている。蓋体53は、ケース本体52の上方開口部52Uに螺合されることで、ケース本体52に着脱自在に取り付けられている。ユーザは、インクタンク50がインクエンド状態となったとき等に、蓋体53を取り外して、上方開口部52Uからインク59を継ぎ足す。このとき、インクタンク50は、大気開放系になっている。ユーザは、インク59の継ぎ足しが完了すると、蓋体53をケース本体52の上方開口部52Uに取り付ける。蓋体53が上方開口部52Uに取り付けられることで、ケース51は封止される。
蓋体53には、上下方向に貫通した小さな貫通孔53Tが形成されている。貫通孔53Tは、半透膜53Mによって閉鎖されている。なお、図3,図4では、説明のために貫通孔53Tおよび半透膜53Mを大きめに表している。半透膜53Mは、気体の通過を許容する一方、インク59の通過を遮断する微小な孔を有する多孔質膜である。半透膜53Mは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂製のフィルムである。これにより、インクタンク50内のインク59が消費された時にも内圧の変化が抑えられ、ケース51の内部は、大気圧の状態で維持される。
ケース本体52は、壁面52Wを有している。ケース本体52の壁面52Wの一部(図3の下面)には、インク流出口52Oが形成されている。インク流出口52Oは、インク貯留室54を挟んで上方開口部52Uとは反対側に形成されている。インク流出口52Oには、インク流路40の一端42が接続されている。インクタンク50のインク貯留室54に貯留されているインク59は、インク流出口52Oからインク流路40に流出し、インクヘッド20に供給される。ケース本体52の下面(底面)には、下方に向かって開口された下方開口部52Dが形成されている。下方開口部52Dは、平面視において円形状である。
感圧膜55は、ケース本体52の壁面52Wに取り付けられている。感圧膜55は、ケース本体52の下方開口部52Dの縁部分に沿って取り付けられている。感圧膜55は、下方開口部52Dを覆っている。感圧膜55は、水平に取り付けられている。感圧膜55は、感圧部の一例である。感圧膜55の材質は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。感圧膜55は、ガス透過性や水蒸気透過性が低い材質で構成されている。感圧膜55のインクと接する面は、耐インク腐食性に優れた材質からなるとよい。感圧膜55は、例えば単層構造あるいは多層構造の樹脂製のフィルムである。本実施形態において、感圧膜55は、可撓性を有する可撓性フィルムである。感圧膜55は、インク貯留室54および下方開口部52Dから遠ざかる方向に撓み変形できる程度の張力で、壁面52Wに取り付けられている。
感圧膜55は、インク貯留室54の下面(底面)の一部を構成している。感圧膜55は、インク貯留室54に貯留されているインク59の水頭圧によって撓み変形し、インク貯留室54に近づく方向およびインク貯留室54から遠ざかる方向に変位する。感圧膜55は、インク貯留室54に十分な量のインク59が貯留されているときに、インク59の水頭圧によってインク貯留室54から遠ざかる方向(図3の下方)に変位する。一方、感圧膜55は、インク貯留室54のインク59が減少したときに、インク貯留室54に近づく方向(図3の上方)に変位する。
被検出部材56は、インク貯留室54の外部かつ真下に配置されている。このため、被検出部材56は、インク貯留室54に貯留されているインク59と接触しない。被検出部材56は、感圧膜55に接続されている受圧部56Rと、付勢部材57に接続されている遮蔽部56Dと、受圧部56Rと遮蔽部56Dとを連結する長軸形状の連結部56Cと、を備えている。本実施形態において、被検出部材56は、受圧部56Rが上方側に、かつ遮蔽部56Dが下方側に位置するように、感圧膜55の下面に固定されている。被検出部材56は、感圧膜55の撓み変形に基づく変位に連動して、インク貯留室54に近づく方向とインク貯留室54から遠ざかる方向と(図3の上下方向)にスライド移動する。被検出部材56は、1つの部材として形成されていてもよく、複数の部材を組み合わせて接合することにより形成されていてもよい。
受圧部56Rの上面は、感圧膜55に取り付けられている。受圧部56Rは、断面視において平板状である。受圧部56Rは、水平方向に沿って延びている。受圧部56Rは、平面視において円板形状である。受圧部56Rの中心は、下方開口部52Dの中心と同軸線状に位置している。平面視において、受圧部56Rの面積は、感圧膜55の面積よりも小さい。平面視において、受圧部56Rの面積は、下方開口部52Dと同じかそれよりも小さい。受圧部56Rの厚み(上下方向の長さ)は、感圧膜55の厚みよりも厚い。受圧部56Rを備えることで、感圧膜55の撓み変形に基づく変位を、より安定的に検出することができる。また、付勢部材57の付勢力を、感圧膜55に対して安定的に伝達することができる。受圧部56Rの材質は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。受圧部56Rは、感圧膜55よりも硬質で、かつ感圧膜55の変位を阻害しないような軽量な材質からなるとよい。受圧部56Rは、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂製である。
遮蔽部56Dは、連結部56Cを介して受圧部56Rと一体的に構成されている。遮蔽部56Dと受圧部56Rとが一体化されていることで、感圧膜55の撓み変形による変位が安定して遮蔽部56Dに伝達される。平面視において、遮蔽部56Dは、円板形状である。遮蔽部56Dの中心は、受圧部56Rの中心および下方開口部52Dの中心と同軸線状に位置している。遮蔽部56Dの下面には、リング状の凸部(図示せず)が形成されている。凸部には、付勢部材57の一端(上端)が固定されている。
遮蔽部56Dは、上記した被検出部材56のスライド移動によって上下方向に変位する。本実施形態において、遮蔽部56Dは、インク満タン状態のときに第1の位置(インク満タン位置)に変位し、インクエンド状態のときに第2の位置(インクエンド位置)に変位する。第1の位置は、第2の位置よりも下方に位置する。遮蔽部56Dは、第1の位置と第2の位置の間で変位する。遮蔽部56Dは、インク貯留室54のインク59が減少するにつれて、第2の位置に近づくように、上方に変位する。第1の位置は、センサ60によって検出されないUNHITの位置である。第2の位置は、センサ60によって検出されるHITの位置である。
付勢部材57は、インク貯留室54の外部かつ真下に配置されている。このため、付勢部材57は、インク貯留室54に貯留されているインク59と接触しない。付勢部材57は、一端が遮蔽部56Dの下面に固定され、他端がインクタンク収容部18の下面18Bに固定されている。本実施形態において、付勢部材57は、遮蔽部56Dを介して感圧膜55と連結されている。ただし、付勢部材57は、感圧膜55に直接取り付けられていてもよい。付勢部材57は、鉛直方向に伸縮自在に取り付けられている。付勢部材57は、感圧膜55をインク貯留室54に近づける方向に付勢している。付勢部材57は、本実施形態では、感圧膜55を上方に押し上げる方向に付勢している。付勢部材57は、圧縮された状態に維持されている。付勢部材57は、弾性体の一例である。付勢部材57は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。付勢部材57は、金属製であってもよい。付勢部材57は、本実施形態では円柱状のコイルバネである。
センサ60は、感圧膜55の位置を検出する部材である。本実施形態において、センサ60は、被検出部材56の遮蔽部56Dの位置を検出することにより、感圧膜55の位置を間接的に検出する。本実施形態のプリンタ10は、1つのセンサ60を備えている。センサ60は、インク貯留室54の外部に配置されている。センサ60は、インクタンク収容部18の下面18Bから上方に延びた縦アーム部18Vに固定されている。本実施形態において、センサ60は、非接触式センサの一種である透過型のフォトセンサ(フォトインタラプタ)である。フォトセンサは応答時間が早いため、リアルタイムで精度よく検出を行うことができる。
センサ60は、発光部61と受光部62とを備えている。発光部61と受光部62とは、前後方向に対向配置されている。発光部61と受光部62との間には、被検出部材56の遮蔽部56Dが介在可能なように間隔が空いている。センサ60では、発光部61から受光部62に向かって光が照射される。センサ60は、制御装置80と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
センサ60は、インクエンド状態のときの遮蔽部56Dの位置、すなわち第2の位置(インクエンド位置)と同じ高さに配置されている。センサ60は、遮蔽部56Dが第2の位置にあること、言い換えれば、インクエンド状態を検出可能なように構成されている。本実施形態において、センサ60は、遮蔽部56Dの位置により、感圧膜55の位置を間接的に検出している。ただし、センサ60は、感圧膜55そのものの位置を直接検出するものであってもよい。図3に示すように、インク貯留室54のインク59が満タン状態で、遮蔽部56Dが第1の位置にあるとき、発光部61から出射された光は、遮蔽部56Dに遮られることなく受光部62に向かう。一方、図4に示すように、インク貯留室54のインク59が減少して、遮蔽部56Dが第2の位置に移動すると、発光部61から受光部62に向かう光が遮蔽部56Dによって遮られる。そのため、受光部62で受光される光の量(受光量)が減少する。受光量の値は、制御装置80に送信される。これにより、インクエンド状態が検出される。
制御装置80は、フィードモータ(図示せず)と、キャリッジ30のキャリッジモータ16aと、インクヘッド20の圧電素子と、センサ60と、に通信可能に接続されており、これらの動作を制御する。制御装置80のハードウェア構成は特に限定されない。制御装置80は、例えば、印刷用データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラム等を格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、を備えていてもよい。
制御装置80は、印刷制御部81と、判定部82と、通知部83と、を備えている。印刷制御部81は、印刷データに基づいて印刷動作を実行する制御部である。印刷制御部81は、フィードモータを制御することで、記録媒体5を前後方向(副走査方向)に搬送する。印刷制御部81は、キャリッジモータ16aを制御することで、キャリッジ30およびインクヘッド20の左右方向(主走査方向)への移動を制御する。印刷制御部81は、インクヘッド20の圧電素子を制御することで、ノズルからのインク59の吐出を制御する。
判定部82は、センサ60を制御する制御部である。判定部82には、センサ60の受光部62から受光量が入力される。判定部82には、受光量の値に基づいて、インク貯留室54のインク59が予め定められた値以下となるインクエンド状態であるか否かを判定する。例えば、受光量が予め定められた基準値以下である場合には、インクエンド状態であると判定する。一方、受光量が予め定められた基準値を超える場合には、インク貯留室54に充分な量のインク59が貯留されており、インクエンド状態ではないと判定する。
通知部83は、判定部82の判定結果をユーザに通知する制御部である。本実施形態では、インク貯留室54のインク59が予め定められた値以下であると判定された場合に、インクエンド状態であることをユーザに通知する。通知部83は、さらに、ユーザにインク59の補充を促す警告等を行ってもよい。なお、ユーザへの通知方法は特に限定されない。通知部83は、例えば、プリンタ10の表示部12Dに文字やイラスト等でインクエンド状態であることを表示して、視覚的にユーザに対する通知を行ってもよい。通知部83は、例えば、ブザーやアナウンス等の音声で通知を行ってもよい。これにより、ユーザは、インク59の残量を自ら確認する必要がなくなる。
プリンタ10では、図3に示すように、ユーザによってインク59が継ぎ足されると、インク貯留室54内のインク59の水頭圧により、感圧膜55が付勢部材57の付勢力に抗して撓み変形し、インク貯留室54から遠ざかる方向(図3の下方)に変位する。この感圧膜55の変位に連動して、被検出部材56が下方にスライド移動する。これにより、遮蔽部56Dは、第1の位置に移動する。遮蔽部56Dが第1の位置にあるとき、センサ60の受光部62での受光量は、発光部61から出射される光の量と略同じになる。判定部82は、受光部62の受光量に基づいて、インクエンド状態ではない、すなわち、インク貯留室54に所定量を超える充分な量のインク59が貯留されている、と判定する。
プリンタ10では、印刷等の動作によってインクヘッド20からインク59が吐出されると、インク貯留室54のインク59がインクヘッド20に供給される。インク貯留室54のインク量は、徐々に減少する。これにより、インク貯留室54内のインク59の水頭圧が小さくなる。その結果、付勢部材57の付勢力によって、感圧膜55が押され、感圧膜55の撓み変形が緩和される。感圧膜55は、インク貯留室54に近づく方向(図3の上方)に変位する。この感圧膜55の変位に連動して、被検出部材56は上方にスライド移動する。そして、図4に示すように、インク貯留室54のインク59が予め定められた値以下になると、被検出部材56は、センサ60の間に介在する。すなわち、被検出部材56は、センサ60によって検出される位置に移動する。その結果、受光部62での受光量が減少する。例えば、受光部62での受光量が略ゼロとなる。判定部82は、受光部62の受光量に基づいて、インクエンド状態である、と判定する。
以上のように、インク供給装置70は、インク貯留室54の内部に、空気とインク59とが接する気液界面を有する。かかる構成により、ユーザは、インク貯留室54のインク59が少なくなったとき(例えば、ニアエンド状態やインクエンド状態となったとき)に、蓋体53を取り外して上方開口部52Uからインク59を容易に継ぎ足すことができる。また、インク供給装置70は、インク59の水頭圧を利用してインク貯留室54内のインク量を検出することができる。かかる構成により、インク貯留室54内のインク量を長期に亘って精度よく検出することができる。したがって、インクタンク50を使い捨てることなく、長期に亘って使用することができる。
また、例えば特許文献1に開示されるインクタンクのように収容可能なインク量が少ないと、大判の印刷物を大量に印刷する場合等に、途中で何度もインクを継ぎ足す必要がある。さらに、夜間等に無人で印刷を継続する場合等に、インク切れが起きて印刷が停止してしまうことがありうる。これに対して、プリンタ10では、水頭圧の変化があればインク貯留室54内のインク量を検出できる。このため、インク貯留室54のサイズを容易に変更することができ、例えば1Lを超えるような大容量のインク59をも貯留することが可能となる。さらに、インクタンク50の形状の自由度が高く、デザイン設計の幅を広げることができる。
なお、インクタンクのインク量を検出する方法としては、例えば、インクタンクを重量センサの上に配置しておき、インクタンクの重量を測定することでインクの残量を検出する方法も知られている。しかしながら、重量センサを用いる方法では、概してコストが高くなりがちである。これに対して、プリンタ10では、水頭圧の変化を利用することにより、低コストで高精度の検出を行うことができる。
本実施形態のプリンタ10では、感圧膜55は、インク59の水頭圧によってインク貯留室54から遠ざかる方向に変位するように構成されている。これにより、インク貯留室54内のインク59の水頭圧を、感圧膜55に効率良く作用させることができる。このため、安定した水頭値を得ることができる。
本実施形態のプリンタ10では、感圧膜55は、インク貯留室154の下面に配置されている。これにより、インク貯留室54内のインク59の水頭圧を、感圧膜55に効率良く作用させることができる。このため、感圧膜55の変位量が相対的に大きくなり、センサ60での検出精度をより良く向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、感圧膜55は、インク貯留室54に貯留されているインク59の水頭圧が高いほど、気液界面から遠ざかる方向に変位するように構成されている。これにより、インク貯留室54内のインク59の水頭圧を、感圧膜55に効率良く作用させることができる。このため、安定した水頭値を得ることができる。
本実施形態のプリンタ10では、感圧膜55は、インク貯留室54に貯留されているインク59の水頭圧が低いほど気液界面に近づく方向に変位するように構成されている。これにより、インク貯留室54内のインク59の水頭圧を、感圧膜55に効率良く作用させることができる。このため、安定した水頭値を得ることができる。
本実施形態のプリンタ10では、ケース本体52は下方開口部52Dを有し、感圧膜55は、下方開口部52Dを塞ぐようにケース本体52に取り付けられている。感圧膜55を、ケース本体52とは別部材とすることにより、例えば付勢部材57の個体差等に応じて、センサ60との位置関係を容易に微調整することができる。
本実施形態のプリンタ10では、感圧膜55は、インク59の水頭圧によって撓み変形する可撓性フィルムで形成されている。これにより、インク貯留室54内の水頭圧の変化が感圧膜55に対して高感度に伝達されて、インク量の検出精度をより良く向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インク供給装置70は、インク貯留室54の外部において、感圧膜55に直接的または間接的に接触し、感圧膜55をインク貯留室54に近づける方向に付勢する付勢部材57をさらに備える。これにより、付勢部材57がインク59と接することがない。本発明者らの検討によれば、例えば特許文献1に開示されるインクタンクように、金属製のばね部材(付勢部材)がケースの内部に配置されていると、ばね部材がインクで腐食されて劣化し、付勢力が小さくなることがありうる。その結果、長期間の使用によって、インク量の検出精度が低下するおそれがある。また、インク59がばね部材と接触して変質したり、腐食されたばね部材の破片が剥がれ落ちてインクに混入したりする虞もある。
これに対して、本実施形態のプリンタ10では、付勢部材57がインク貯留室54の外部に配置され、インク貯留室54内のインク59と接することがない。そのため、付勢部材57の腐食劣化に伴う問題を未然防止することができる。したがって、付勢部材57の付勢力の低下を抑えることができ、付勢部材57とインク59とがインク貯留室54内で接している場合に比べて、インク貯留室54内のインク量を長期に亘って精度よく検出することができる。また、インク貯留室54内のインク59が変質したり、インク59に付勢部材57の破片が混入したりすることを防止することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インク供給装置70は、インク貯留室54の外部において、感圧膜55に直接的または間接的に接触し、感圧膜55と連動して変位する被検出部材56をさらに備え、センサ60は、被検出部材56の位置を検出するように構成されている。これにより、インク貯留室54内のインク量をより安定的に検出することができる。
本実施形態のプリンタ10では、被検出部材56は、インク貯留室54に貯留されているインク59が予め定められたインクエンド状態に達したときにインクエンド位置に変位するように構成され、センサ60は、被検出部材56がインクエンド位置に達したことを検出する位置に設けられている。プリンタ10では、インクエンド検出時におけるインク貯留室54内のインク量のばらつきが、長期に亘って抑えられる。また、ユーザはインク59の残量を自ら確認する必要がなくなるため、ユーザの手間を低減することができる。さらに、例えばケース本体52が黒色で、目視ではインク59の残量を確認できない場合にも、インクエンド状態を的確に把握することができる。
以上、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10について説明した。しかし、本発明に係るインクジェットプリンタは、これに限定されない。
例えば上記した第1実施形態では、蓋体53に設けられた貫通孔53Tによって、ケース51の内部が大気圧の状態に維持されていた。しかしこれには限定されない。例えば、ケース本体52の壁面52Wあるいは蓋体53等に、外部と連通する貫通孔(大気連通孔)が形成されていてもよい。また、貫通孔の途中には、大気の流れを蛇行させるラビリンス構造体等が設けられていてもよい。
例えば上記した第1実施形態では、センサ60は、インクエンド状態、すなわち、遮蔽部56Dが第2の位置(インクエンド位置)にあることを検出するように構成されていた。しかしこれには限定されない。センサ60は、インクエンド状態の検出にかえて、あるいは、インクエンド状態の検出に加えて、例えば、インク満タン状態(すなわち、遮蔽部56Dが上記第1の位置にあること)を検出するように構成されていてもよい。通知部83は、遮蔽部56Dが第1の位置にあると判定された場合に、インク満タン状態であることをユーザに通知してもよい。これにより、ユーザが、インクタンク50にインク59を継ぎ足すときに、インク59を入れ過ぎてインクタンク50から溢れることがなくなり、プリンタ10の周囲がインク59で汚れることを抑制することができる。
また、センサ60は、インクエンド状態の検出にかえて、あるいは、インクエンド状態の検出に加えて、例えば、遮蔽部56Dがインクエンド状態とインク満タン状態との間の第3状態にあることを検出するように構成されていてもよい。第3状態は、インク満タン状態のインク量に対するインク残量の割合が、インクエンド状態(0%)を超えて、インク満タン状態(100%)よりも小さい状態である。第3状態は、インクエンド状態に近いニアエンド状態であってもよい。第3状態は、例えば、インク残量割合が50%の状態や、インク残量割合が80%の状態であってもよい。これにより、ユーザは、インクエンド状態を迎える前にインク59の減少をいち早く察知して、例えば継ぎ足し用のインク59を注文する等、事前の対応を行うことが可能となる。したがって、インクエンド状態となったときに、プリンタ10にインク59をスムーズに継ぎ足して、印刷を早期に再開することができる。
図5は、第1変形例に係るインク供給装置70Aの断面図である。図5に示すインク供給装置70Aは、3つのセンサ60A,60B,60Cを備えていること以外、上記したインク供給装置70と同様である。3つのセンサ60A,60B,60Cは上下方向に並んでいる。センサ60Aは、上記した実施形態と同様に、インクエンド状態、すなわち、遮蔽部56Dが上記第2の位置にあることを検出するものである。センサ60Bは、インク満タン状態、すなわち、遮蔽部56Dが上記第1の位置にあることを検出するものである。センサ60Cは、第3状態、すなわち、遮蔽部56Dが上記第1の位置と上記第2の位置との間にあることを検出するものである。このような態様によれば、インクエンド状態のみならず、インク満タン状態等の種々の状態について、精度よく検出することができる。
図5の実施形態において、3つのセンサ60A,60B,60Cは、いずれも、インク供給装置70と同様に、透過型のフォトセンサである。ただし、3つのセンサ60A,60B,60Cの構成は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、センサの個数も何ら限定されない。センサの個数は、2個あるいは4個以上であってもよい。また、1つのセンサで、インク満タン状態からインクエンド状態までを検出可能であってもよい。
本実施形態のプリンタ10では、被検出部材56は、インク貯留室54に貯留されているインク59が予め定められたインク満タン状態に達したときにインク満タン位置に変位するように構成され、センサ60は、被検出部材56がインク満タン位置に達したことを検出する位置に設けられている。これにより、ユーザが、インクタンク50にインク59を継ぎ足すときに、インク59を入れ過ぎてインクタンク50から溢れることがなくなり、プリンタ10の周囲がインク59で汚れることを抑制することができる。また、インク59を無駄なく使用することができる。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態のインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)100の正面図である。なお、図面中の方向を表す符号の意味は、上記した第1実施形態と同じである。また、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する部分については、説明を省略または簡略化する。
図6に示すように、プリンタ100は、上記した第1実施形態のプリンタ10と同様に、所謂、Roll-to-Rollタイプである。プリンタ100は、本体部112と、ガイドレール(図示せず)と、プラテン114と、インクヘッド120(図7参照)と、ダンパー122(図7参照)と、インク流路140(図7参照)と、インク供給装置170と、制御装置180と、を備えている。第1実施形態のプリンタ10と同様に、インクヘッド120と、ダンパー122と、インク流路140と、インク供給装置170とは、各色のインク59(図7参照)毎に、8つずつ設けられている。ただし、他の実施形態において、インクヘッド120と、ダンパー122と、インク流路140と、インク供給装置170との数は、必ずしも全て同じでなくてよい。また、図示は省略するが、ガイドレールには、キャリッジ130(図7参照)がスライド自在に係合している。
本体部112は、記録媒体5に印刷を行う印刷空間を構成している。本体部112は、左右方向に延びた筐体を有する。本体部112は、左右方向において、左側部112Lと、中央部112Mと、右側部112Rと、の3つに区画されている。左側部112Lの下面には、箱状のタンク支持部材118Lが取り付けられている。右側部112Rの下面には、箱状のタンク支持部材118Rが取り付けられている。右側部112Rの前面には、操作パネル112Cが設けられている。操作パネル112Cは、入力部を兼ねている。操作パネル112Cには、表示部112Dが設けられている。本体部112には、プラテン114が設けられている。プラテン114は、左右方向に延びている。
複数のインク供給装置170は、それぞれ、色材、性状、用途等が異なるインク59をインクヘッド120に供給するためのものである。本実施形態において、複数のインク供給装置170は、本体部112の左右に振り分けられている。また、複数のインク供給装置170は、左側部112Lおよび右側部112Rにおいて、それぞれ左右方向に並設されている。すなわち、正面視において、中央部112Mおよびプラテン114よりも左方に位置する左側部112Lには、4つのインク供給装置170が設けられている。また、中央部112Mおよびプラテン114よりも右方に位置する右側部112Rには、4つのインク供給装置170が設けられている。
左側部112Lに設けられた4つのインク供給装置170は、それぞれタンク支持部材118Lに固定されている。この4つのインク供給装置170は、タンク支持部材118Lを介して、それぞれ本体部112に支持されている。右側部112Rに設けられた4つのインク供給装置170は、それぞれタンク支持部材118Rに固定されている。この4つのインク供給装置170は、タンク支持部材118Rを介して、それぞれ本体部112に支持されている。インク供給装置170は、キャリッジ130(図7参照)に搭載されておらず、左右方向には移動しない。
本実施形態において、インク供給装置170の個数は、8つである。ただし、インク供給装置170の個数や配置は何ら限定されない。また、例えばインク59の種類が少ない場合等には、左側部112Lあるいは右側部112Rのみにインク供給装置170を設けてもよい。インク供給装置170は、それぞれ、インク流路140を介してインクヘッド120に連通されている。なお、インク供給装置170の構成については後述する。
図7は、インク流路140を示すブロック図である。インク流路140は、インクタンク151とインクヘッド120とを連結するインク59の経路である。インクヘッド120は、キャリッジ130に搭載されている。インクタンク151のインク59は、インク流路140を通じてインクヘッド120に供給される。また、本実施形態のインク流路140は、インクタンク151を含めてインク59が循環可能なように構成されている。このため、インクタンク151からインク流路140へ流れたインク59の一部は、再びインクタンク151へと還流する。
特に限定されるものではないが、インク流路140は、例えば可撓性のチューブによって構成されている。インク流路140は、ここではインクタンク151毎に設けられている。本実施形態では、インクヘッド120およびインク流路140の数が、それぞれインクタンク151の個数と同じ8つである。ただし、インクヘッド120および/またはインク流路140の数は、インクタンク151の個数と同じでなくてもよい。
図7に示すように、インクタンク151からインクヘッド120までのインク流路140の途中には、送液ポンプ141と、弁部材144と、ダンパー122と、が設けられている。ダンパー122は、インクヘッド120の真上に設けられている。ダンパー122は、印刷時にインク59の圧力変動を緩和して、インクヘッド120のノズル121からのインク59の吐出動作を安定させるものである。ダンパー122は、インクヘッド120と共に、キャリッジ130に搭載されている。なお、ダンパー122は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。インクヘッド120の下面120aは、プラテン114(図6参照)と対向している。インクヘッド120の下面120aには、インク59を吐出するノズル121が形成されている。
インク流路140は、第1流路140aと、第2流路140bと、第3流路140cと、第4流路140dと、第5流路140eと、第6流路140fと、を備えている。第1流路140aの上流端は、インクタンク151のインク流出口152O(図10も参照)に接続されている。第1流路140aの下流端は、送液ポンプ141に接続されている。第2流路140bの上流端は、送液ポンプ141に接続されている。第2流路140bの下流端は、分岐部材143に接続されている。第3流路140cの上流端は、分岐部材143に接続されている。第3流路140cの下流端は、ダンパー122に接続されている。第4流路140dの上流端は、ダンパー122に接続されている。第4流路140dの下流端は、インクヘッド120に接続されている。第5流路140eの上流端は、分岐部材143に接続されている。第5流路140eの下流端は、弁部材144に接続されている。第6流路140fの上流端は、弁部材144に接続されている。第6流路140fの下流端は、インクタンク151のインク流入口153I(図10も参照)に接続されている。
送液ポンプ141は、特に限定されないが、例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等である。送液ポンプ141は、モータ142に接続されている。モータ142は、制御装置180(図6参照)と電気的に接続されており、制御装置180によって制御される。弁部材144は、第5流路140eと第6流路140fとの間を開閉する。弁部材144は、特に限定されないが、例えば電磁弁等の開閉バルブである。弁部材144は、制御装置180(図6参照)と電気的に接続されており、制御装置180によって制御される。第5流路140eと第6流路140fとの連通状態は、制御装置180によって切り換えられる。
第1流路140aと、第2流路140bと、第3流路140cと、第4流路140dとは、印刷時やインクヘッド120のクリーニング時等に、インクタンク151内のインク59をインクヘッド120へ送液するインク供給流路を構成している。第5流路140eと、第6流路140fとは、インクタンク151内のインク59を循環させるインク還流流路を構成している。第1流路140aと、第2流路140bと、第5流路140eと、第6流路140fとは、インクタンク151内のインク59を循環させるインク循環流路を構成している。
印刷停止時等にインクを循環させる際は、例えば、弁部材144を開状態とし、第5流路140eと第6流路140fとの間を開放する。この状態で、送液ポンプ141を駆動することにより、インクタンク151内のインク59が、インク循環流路を流れて、インクタンク151に戻される。これにより、インクタンク151内のインク59を撹拌することができ、例えば沈降しがちな顔料等を分散することができる。したがって、貯留されているインク59を均質な状態に維持することができる。
また、印刷動作中にインク循環を行う際は、例えば、弁部材144を開状態として、送液ポンプ141を駆動し、送液ポンプ141の送液量をインクヘッド120で必要な量よりも多くする。これにより、印刷時にも継続してインク59を撹拌することができる。また、クリーニングを行う際等は、例えば、弁部材144を閉状態とし、第5流路140eと第6流路140fとの間を閉鎖する。この状態で、送液ポンプ141を駆動することにより、インクタンク151からインクヘッド120に集中してインク59が供給される。
次に、インク供給装置170の構成について説明する。なお、本実施形態では、8つのインク供給装置170が、全て同じ構成である。このため、以下では、1つのインク供給装置170を例として、インク供給装置の構成を説明する。ただし、複数のインク供給装置170は、必ずしも全てが同じ構成である必要はなく、一部または全部は、インク供給装置170と構成が異なっていてもよい。
図8は、インク供給装置170の斜視図である。図9は、インク供給装置170の平面図である。図10は、インク供給装置170の鉛直断面図である。インク供給装置170は、インク補充用の容器(サプライボトル、図示せず)に収容されているインク59を継ぎ足し可能なように構成されている。図示は省略するが、サプライボトルは、典型的には、インク59が収容され一端に開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を気密に封止する封止フィルムと、を備えている。サプライボトルの容器本体に収容されているインク59の容量は、典型的にはインクタンク151に貯留可能なインク量よりも少なく、概ね250mL以上、典型的には300〜1000mL、例えば500mLでありうる。
図8に示すように、インク供給装置170は、インク貯留部150と、インク量検出部160と、インク補充部190と、を備えている。インク貯留部150は、インクタンク151を備えている。図10に示すように、インク量検出部160は、感圧膜161を備えている。インク補充部190は、インク補充機構192を備えている。
インク貯留部150は、インク59を貯留する部分である。インクタンク151は、インク59が貯留される容器である。インクタンク151は、使い捨てずに連続使用が可能な容器である。図6および図8からわかるように、本実施形態において、インクタンク151は、一側面(図6の後面)がタンク支持部材118L、118Rに着脱不可能に固定されている。インクタンク151は、タンク支持部材118L、118R支持されている。インクタンク151は、キャリッジ130(図7参照)に搭載されておらず、左右方向には移動しない。図7に示すように、インクタンク151は、インクヘッド120の下面120aよりも下方に配置されている。
図9に示すように、インクタンク151は、平面視において扁平な箱型形状である。インクタンク151は、一対の長辺151Wと、一対の短辺151Nと、を備えている。長辺151Wは、前後方向に沿って延びている。短辺151Nは左右方向に沿って延びている。図6および図9からわかるように、本実施形態では、長辺151W同士が対向するように、複数のインク供給装置170が並設されている。なお、インクタンク151は、平面視において、例えば楕円形状、円形状等であってもよい。また、インクタンク151の材質、色等は、第1実施形態のケース51と同様であってよい。
図10に示すように、インクタンク151は、上方に向かって開口された上方開口部152Uを有するタンク本体152と、上方開口部152Uを塞ぐ蓋体(封口板)153と、を備えている。タンク本体152および蓋体153は、例えば樹脂材料の射出成型によって形成することができる。タンク本体152および蓋体153は、本実施形態においてそれぞれ1つの部材として形成されている。ただし、タンク本体152および/または蓋体153は、複数の部材を組み合わせて接合することにより形成されていてもよい。また、詳しくは後述するが、インクタンク151は、例えば上下方向においてタンク本体152と蓋体153との間に、さらに他の部材を備えていてもよい。
タンク本体152は、上方開口部152Uの周縁にフランジ(縁部)152Eを有している。蓋体153は、外周縁にフランジ153Eを有している。本実施形態では、タンク本体152のフランジ152Eと蓋体153のフランジ153Eとが重ね合わせられ、ボルト等の接合部材159によって接合されている。これにより、タンク本体152の上方開口部152Uが気密に封止されると共に、インクタンク151が一体化されている。
図10に示すように、タンク本体152は、第1下壁B1と、第1下壁B1の左端(図10の奥側)から上方に延びる左壁L1と、第1下壁B1の右端から上方に延びる右壁R1(図8参照)と、第1下壁B1の前端から上方に延びる第1前壁F1と、第1下壁B1の後端から上方に延びる後壁Rr1と、第1前壁F1の上端から前方に延びる第2下壁B2と、第2下壁B2の前端から斜め上方に延びる第2前壁F2と、を備えている。第1下壁B1と第2下壁B2とは、蓋体153と対向している。第1下壁B1と第2下壁B2とは、鉛直方向の上方を向く「下面」の一例である。第1下壁B1と第2下壁B2とは、いずれも平面、具体的には水平面である。後壁Rr1の左端は左壁L1の後端に接続され、後壁Rr1の右端は右壁R1の後端に接続されている。第1前壁F1、第2前壁F2および第2下壁B2の左端は、左壁L1の前端に接続されている。第1前壁F1、第2前壁F2および第2下壁B2の右端は、右壁R1の前端に接続されている。左壁L1と右壁R1とは平行に延びている。
第1下壁B1には、上下方向に貫通した下方開口部152D(図11参照)が形成されている。下方開口部152Dは、平面視において略円形状である。下方開口部152Dには、後述するインク量検出部160の感圧膜161が取り付けられている。このため、インク貯留室154内のインク59の水頭圧は、感圧膜161に作用する。
第2前壁F2は、前方から後方に向かって漸次下方に傾斜するスロープ状をなしている。第2前壁F2は、平面視において、後述するインク溜まり部155に向かって傾斜している。第2前壁F2は、平面視において、インク流出口152Oに向かって傾斜している。本実施形態において、第2前壁F2の高さ(上下方向の長さ)は、90mmである。第1前壁F1の高さ(上下方向の長さ)は、30mmである。第2前壁F2の高さは、第1前壁F1の高さの2倍以上、例えば3〜10倍であってもよい。
図10に示すように、タンク本体152は、中空構造である。タンク本体152の容積は、典型的には、サプライボトルの容積よりも大きい。タンク本体152には、第1下壁B1と、左壁L1と、右壁R1と、第1前壁F1と、後壁Rr1と、第2下壁B2と、第2前壁F2と、感圧膜161と、によって囲まれたインク貯留室154が区画されている。特に限定されるものではないが、インク貯留室154に収容可能なインク59の容量は、典型的には1L以上、例えば1.5〜2Lである。インク貯留室154に収容可能なインク59の容量は、サプライボトルに収容されているインク59の容量の概ね2倍以上、例えば3〜5倍であるとよい。インク貯留室154には、空気とインク59との気液界面が存在している。
インク貯留室154には、第1下壁B1と、左壁L1と、右壁R1と、第1前壁F1と、後壁Rr1と、感圧膜161と、によって囲まれたインク溜まり部155が形成されている。インク溜まり部155は、インク貯留室154のなかで下方に窪んだ部分(凹部)である。インク溜まり部155は、本実施形態において略立方体形状である。第1下壁B1は、上方開口部152Uおよび第2下壁B2よりも小さい断面形状を有している。第1前壁F1の高さは、第2前壁F2の高さの概ね1/2以下、例えば1/3〜1/10であってもよい。
本実施形態において、インク貯留室154には、第1下壁B1と、第1前壁F1と、第2下壁B2と、第2前壁F2と、によって、段差が形成されている。インク貯留室154の前面は、インク溜まり部155に向かって階段状に下降するように形成されている。インク貯留室154の前面は、インク流出口152Oに向かって階段状に下降するように形成されている。
インク貯留室154内のインク59が消費され、インク貯留室154内のインク量が少なくなると、残ったインク59はインク溜まり部155に集められる。これにより、インク59が少なくなったときにも、残ったインク59の水頭圧が感圧膜161に好適に作用する。したがって、インク貯留室154内のインク量を安定的に検出することができる。また、インク貯留室154内のインク59を無駄なく使用することができる。なお、インク溜まり部155は、必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
図10に示すように、タンク本体152の後壁Rr1には、インク流出管152Fが形成されている。インク流出管152Fは、インク溜まり部155と連通するように形成されている。インク流出管152Fは、後壁Rr1と直交する方向(図10の前後方向)に延びている。インク流出管152Fの下流端、すなわちインク貯留室154から離れた側の端部は、インク流出口152Oである。インク流出口152Oは、第1前壁F1と対向している。インク流出口152Oには、インク流路140の一端、具体的には、第1流路140aの上流端が接続されている。インク貯留室154内のインク59は、インク流出口152Oからインク流路140の第1流路140aに流出し、インクヘッド120に供給される。
蓋体153は、タンク本体152の上方開口部152Uを塞ぐ板状部材である。図9に示すように、蓋体153は、平面視において矩形状である。蓋体153は、前後方向に延びている。蓋体153は、大気連通部153Aを備えている。大気連通部153Aは、インク貯留室154内を大気圧の状態で維持すると共に、インク貯留室154内のインク59の蒸発を抑制する部材である。大気連通部153Aは、インク貯留室154を大気開放している。大気連通部153Aは、大気の流れを蛇行させるラビリンス構造体である。
図9に示すように、大気連通部153Aは、蓋体153を上下方向に貫通し、インク貯留室154の内部と外部とを連通する貫通孔153Hと、蓋体153の外表面(図9の上面)に設けられ、貫通孔153Hと大気とを接続する蛇道153Sと、貫通孔153Hおよび蛇道153Sを覆う樹脂フィルム153Mと、を備えている。蛇道153Sは、貫通孔153Hから大気までの流体流路を長くするために、細長く蛇行している。蛇道153Sは、大気連通溝の一例である。
図10に示すように、蓋体153は、さらに開口部153Oと、インク流入管153Fと、を備えている。開口部153Oは、蓋体153を上下方向に貫通している。開口部153Oには、後述するインク補充部190のインク補充機構192が取り付けられている。開口部153Oは、平面視において、第2前壁F2と重なっている。詳しくは、第2前壁F2を上下方向に、上端部F2U、中間部F2M、下端部F2Dと3等分したとき、開口部153Oの中心は、第2前壁F2の中間部F2Mと対向している。
上述の通り、第2前壁F2は第2下壁B2に向かって傾斜している。そのため、インク補充部190から補充されたインク59は、第2前壁F2を伝ってインク貯留室154内を移動しやすくなる。これにより、インク59を補充したときに、インク貯留室154内のインク59に一方向の流れを生じさせ、インク59を撹拌することができる。また、たとえインク59が勢い良く補充されたとしても、インク59の泡立ちが抑えられる。これにより、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなると共に、発生した泡がタンク本体152から溢れだすような事態が生じにくくなる。
インク流入管153Fは、上下方向に沿って延びている。インク流入管153Fの下端は、インク流入口153Iである。インク流入口153Iには、インク流路140の一端、具体的には、インク還流流路の一部である第6流路140fの下流端が接続されている。インク循環流路を流通したインク59は、インク流入口153Iからインク貯留室154に戻される。インク流入口153Iは、インク貯留室154の内部に突出している。インク流入口153Iは、インク流出口152Oよりも上方に設けられている。これにより、インク貯留室154内のインクを撹拌することができ、例えば沈降しがちな顔料等を分散することができる。
インク流入口153Iは、平面視において、第2前壁F2と重なっている。詳しくは、第2前壁F2を上下方向に、上端部F2U、中間部F2M、下端部F2Dと3等分したとき、インク流入口153Iは、第2前壁F2の上端部F2Uと対向している。上述の通り、第2前壁F2は第2下壁B2に向かって傾斜している。そのため、インク流入口153Iから流入したインク59は、第2前壁F2を伝ってインク貯留室154内を移動しやすくなる。これにより、インク59がインク流入口153Iからインク貯留室154に戻されたときに、インク貯留室154内のインク59に一方向の流れを生じさせ、インク59を撹拌することができる。加えて、長期にわたって連続的にインクを循環させても、インク59の泡立ちが抑えられ、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなる。また、微小な気泡を含んだインク59がインク流路140に流出しにくくなる。
インク流入口153Iは、インク貯留室154が満タン状態であっても、第2前壁F2と対向しているとよい。これにより、インク貯留室154内のインク59の液面に、インク流入口153Iからインク59が直接落下することが防止される。したがって、インク59の泡立ちがより良く抑えられる。
図11は、インク量検出部160を右斜め上方からみた断面図である。図12は、インク量検出部160の平面図である。なお、以下の図面は、プリンタ100の前後方向を逆にした状態で示している。インク量検出部160は、インク59の水頭圧を利用して、インクタンク151のインク貯留室154内のインク量を検出する検出機構である。インク59の水頭圧を利用することで、インク貯留室154内のインク量を長期に亘って精度よく検出することができる。インク量検出部160は、感圧膜161に加えて、被検出部材162と、付勢部材163と、センサ部164と、ケーシング165と、を備えている。
ケーシング165は、被検出部材162と、付勢部材163と、センサ部164と、を収容する筐体である。ケーシング165は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属製、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂製である。ケーシング165は、インク59が光硬化性である場合、例えば外観が黒色で遮光性を有していてもよい。
ケーシング165の内部空間は、区画壁165Sにより、上方空間165Uと下方空間165Dとに区画されている。区画壁165Sは、第1下壁B1に沿って延びている。平面視において、区画壁165Sの断面形状は、第2下壁B2と略同じである。区画壁165Sには、上下方向に貫通した開口165Oが設けられている。開口165Oは、被検出部材162が傾動したときに、遮蔽部162Dが通過可能な大きさに形成されている。上方空間165Uは、インク溜まり部155と前後方向に並んでいる。上方空間165Uは、下方空間165Dから上方に突出している。上方空間165Uの高さは、インク溜まり部155の高さと略同じである。上方空間165Uは、インク溜まり部155に嵌め合わせられる部分(凸状部)の一例である。
感圧膜161は、インク貯留室154内のインク59の水頭圧に応じて、撓み変形の度合いが変化する部材である。感圧膜161は、タンク本体152の下面に取り付けられている。なお、本明細書において「下面」とは、インク貯留室154を構成する壁部のうち、鉛直方向において一番低い面(底面)を包含し、鉛直方向の上方を向く全ての面のことをいう。詳しくは、感圧膜161は、インク貯留室154を構成する壁部のうち、鉛直方向において一番低い位置にある第1下壁B1(底面)の下方開口部152Dの縁部分に沿って溶着されている。感圧膜161は、下方開口部152Dを覆っている。感圧膜161は、水平に取り付けられている。感圧膜161は、下方開口部152Dから遠ざかる方向、言い換えれば、インク貯留室154の気液界面から遠ざかる方向(図11の下方)に撓み変形できる程度の張力で取り付けられている。感圧膜161は、インク貯留室154およびインク溜まり部155の下面(ここでは底面)の一部を構成している。感圧膜161の材質等は、第1実施形態の感圧膜55と同様であってよい。
感圧膜161は、インク貯留室154に十分な量のインク59が貯留されているとき、例えばインク満タン状態やニア満タン状態のときに、インク59の水頭圧によってインク貯留室154から遠ざかる方向(図11の下方)に変位する。言い換えれば、感圧膜161は、インク貯留室154に貯留されているインク59の水頭圧が高いほど、気液界面から遠ざかる方向(図11の下方)に変位する。一方、感圧膜161は、インク貯留室154のインク59が減少したとき、例えばインクエンド状態のときに、インク貯留室154に近づく方向(図11の上方)に変位する。言い換えれば、感圧膜161は、インク貯留室154に貯留されているインク59の水頭圧が低いほど、気液界面に近づく方向(図11の下方)に変位する。
被検出部材162は、インク貯留室154の外部かつ真下に配置されている。被検出部材162は、ケーシング165の内部に配置されている。このため、被検出部材162は、インク貯留室154に貯留されているインク59と接触しない。被検出部材162は、ケーシング165の長辺151Wに沿って延びている。これにより、センサ部164の検出感度を向上すると共に、インク量検出部160の省スペース、コンパクト化を実現することができる。被検出部材162の全長は、ケーシング165の長辺151Wよりも短い。被検出部材162は、感圧膜161よりも硬質で、かつ感圧膜161の変位を阻害しないような軽量な材質からなるとよい。
図12に示すように、被検出部材162は、ケーシング165の後壁165Rrに支持されている。詳しくは、ケーシング165の後壁165Rrから被検出部材162取り付け用のブラケット165Aが延びている。ブラケット165Aには孔部165Hが形成されている。被検出部材162の後端部162Fは、ブラケット165Aの孔部165Hに傾動可能に挿入されている。そのため、被検出部材162は、後端部162Fを支点部(傾動中心)として傾動可能となっている。被検出部材162は、感圧膜161の撓み変形の度合いに連動して、インク貯留室154に近づく方向とインク貯留室154から遠ざかる方向と(図11の上下方向)に傾動する。これにより、被検出部材162の位置が変化する(すなわち変位する)。
図13は、被検出部材162の側面図である。被検出部材162は、平板部162Cと、受圧部162Rと、遮蔽部162Dと、を備えている。本実施形態において、平板部162Cと、受圧部162Rと、遮蔽部162Dとは、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を射出成型することによって、一体的に形成されている。ただし、被検出部材162は、複数の部材を組み合わせることで構成されていてもよい。平板部162Cは、前後方向に沿って延びている。平板部162Cは、均質な厚みに形成されている。平板部162Cは、受圧部162Rと遮蔽部162Dとを連結している。図12に示すように、平板部162Cは、区画壁165Sよりも下方の下方空間165Dに配置されている。
図11に示すように、受圧部162Rは、上面が直接的または間接的に感圧膜161に接触して、感圧膜161の撓み変形が伝達される部位である。受圧部162Rの上面は、ここでは緩衝部材(例えばスポンジ)169を介して、間接的に感圧膜161に接触している。受圧部162Rは、区画壁165Sよりも下方の下方空間165Dに配置されている。受圧部162Rは、平板部162Cの延びる方向(図11の前後方向)において、支点部162Fと遮蔽部162Dとの間に設けられている。図13に示すように、受圧部162Rは、断面視において山型形状である。図12に示すように、受圧部162Rは、平面視において略円形状である。受圧部162Rの中心は、下方開口部152Dの中心と同軸線状に位置している。平面視において、受圧部162Rの面積は、感圧膜161の面積よりも小さい。受圧部162Rの下面には、後述する付勢部材163が取り付けられている。
遮蔽部162Dは、被検出部材162が傾動することによって、センサ部164で検出される部位である。遮蔽部162Dは、被検出部の一例である。図13に示すように、遮蔽部162Dは、平板部162Cの一端(図13の右端)から上方に延びている。遮蔽部162Dは、平板部162Cの延びる方向(図13の前後方向)において、受圧部162Rよりも支点部162Fから離れた位置に設けられている。遮蔽部162Dは、被検出部材162の揺動端に設けられている。上述の通り、被検出部材162は傾動するため、支点部162Fからの距離が遠い部分ほど、上下方向の変位量は大きくなる。そのため、てこの原理を利用して、受圧部162Rの小さな変位を遮蔽部162Dの大きな変位にかえることができる。したがって、センサ部164の検出感度を向上することができる。
特に限定されるものではないが、図13に示すように、平板部162Cの延びる方向(図13の前後方向)において、支点部162Fの中心から受圧部162Rの中心までの長さをd1とし、受圧部162Rの中心から遮蔽部162Dの中心までの長さをd2としたときに、d1とd2とが、d1<d2、さらには、2×d1<d2を満たしているとよい。これにより、受圧部162Rの小さな変位をより効率よく遮蔽部162Dに伝達することができ、インク量の検出感度をさらに向上することができる。
本実施形態において、被検出部材162は、感圧膜161が気液界面から遠ざかる方向(図11の下方)に変位したときに、遮蔽部162Dの上端部は、区画壁165Sよりも下方の下方空間165Dに位置するように設けられている。遮蔽部162Dの上端は、インク貯留室154の底面を構成する第1下壁B1よりも下方に位置するように設けられている(図14も参照)。一方、被検出部材162は、感圧膜161が気液界面に近づく方向(図11の上方)に変位したときに、遮蔽部162Dの上端部は、区画壁165Sよりも上方の上方空間165Uに位置するように設けられている。遮蔽部162Dの上端は、インク貯留室154の底面を構成する第1下壁B1よりも上方に位置するように設けられている(図15、図16も参照)。
被検出部材162は、インクタンク151がインク満タン状態のときに、満タン位置に変位する。特に限定されないが、満タン位置は、平板部162Cと第1下壁B1とのなす角が、鋭角、概ね60°以下、典型的には45°以下、例えば30°以下の位置であってもよい。インク貯留室154内のインク59が消費され、インク貯留室154内のインク量が少なくなると、やがてインクタンク151がニアエンド状態となる。被検出部材162は、インクタンク151がニアエンド状態のときに、ニアエンド位置に変位する。ニアエンド位置では、遮蔽部162Dが満タン位置よりも上方に位置している。ニアエンド位置は、平板部162Cが略水平の位置であってもよい。なお、本明細書において「略水平」とは、必ずしも厳密に水平である必要はなく、例えば水平方向に対する傾斜角度が概ね15°以下、10°以下、または5°以下である場合を包含する用語である。
本実施形態において、遮蔽部162Dは均一な厚み(図12の左右方向の長さ)および光透過性を有している。図13に示すように、遮蔽部162Dは、平板部162Cの前端部から上方に延びる第1遮蔽部P1と、第1遮蔽部P1の上端から上方に延びる第2遮蔽部P2と、第2遮蔽部P2の上端から上方に延びる第3遮蔽部P3と、を備えている。第1遮蔽部P1と第2遮蔽部P2とは、前端の位置が一致している。第2遮蔽部P2と第3遮蔽部P3とは、後端の位置が一致している。第2遮蔽部P2は、第1遮蔽部P1および第3遮蔽部P3よりも平板部162Cの延びる方向(図13の前後方向)の長さが長い。
第3遮蔽部P3は、インクタンク151がニア満タン状態のとき、言い換えれば、感圧膜161がニア満タン位置にあるときに、センサ部164で検出されるよう、上下方向の長さが調整されている。ニア満タン状態は、予め定められた第1状態の一例であり、第3遮蔽部P3は、第1検出部の一例である。第1遮蔽部P1は、インクタンク151がニアエンド状態のとき、言い換えれば、感圧膜161がニアエンド位置に達したときに、センサ部164で検出されるよう、上下方向の長さが調整されている。ニアエンド位置は、ニア満タン位置よりも上方に位置している。ニアエンド状態は、予め定められた第2状態の一例であり、第1遮蔽部P1は、第2検出部の一例である。
付勢部材163は、インク貯留室154の外部かつ真下に配置されている。付勢部材163は、ケーシング165の内部に配置されている。このため、付勢部材163は、インク貯留室154に貯留されているインク59と接触しない。付勢部材163は、受圧部162Rの真下に配置されている。付勢部材163は、略上下方向に沿って配置されている。付勢部材163は、一端が受圧部162Rの下面に固定され、他端がケーシング165の下面165Bに固定されている。付勢部材163は、受圧部162Rを介して、感圧膜161をインク貯留室154に近づける方向(図11の上方)に付勢している。なお、付勢部材163の材質等は、第1実施形態の付勢部材57と同様であってよい。
センサ部164は、感圧膜161の位置を検出する部材である。本実施形態において、センサ部164は、被検出部材162の遮蔽部162Dの位置を検出することにより、感圧膜161の位置を間接的に検出するように構成されている。センサ部164は、インク貯留室154の外部に配置されている。センサ部164は、ケーシング165の内部に配置されている。センサ部164は、ケーシング165の区画壁165Sに取り付けられている。センサ部164は、平面視において上方空間(凸状部)165Uと重なる位置に配置されている。センサ部164は、制御装置180(図6参照)と電気的に接続されており、制御装置180によって制御される。
図11に示すように、本実施形態において、センサ部164は、第1センサS1および第2センサS2を備えている。第1センサS1は第2センサS2よりも受圧部162Rに近い側(図11の後方)に配置されている。第1センサS1および第2センサS2は、上下方向の位置が同じになるように、区画壁165Sに固定されている。第1センサS1および第2センサS2は、インクタンク151がニア満タン状態になったときの第3遮蔽部P3の位置と同じ高さに配置されている。第1センサS1および第2センサS2は、インクタンク151がニアエンド状態になったときの第1遮蔽部P1の位置と同じ高さに配置されている。なお、図11には、第1センサS1および第2センサS2の検出位置を仮想線Lsで示している。
第1センサS1および第2センサS2は、本実施形態において、非接触式センサの一種である透過型のフォトセンサ(フォトインタラプタ)である。図12に示すように、第1センサS1は、発光部S1aを有している。発光部S1aは、左右方向に延びる第1の光軸に沿って光を照射するように構成されている。第2センサS2は、発光部S2aを有している。発光部S2aは、左右方向に延びる第2の光軸に沿って光を照射するように構成されている。第1センサS1は、発光部S1aから照射された光を受ける受光部S1bを有している。第2センサS2は、発光部S2aから照射された光を受ける受光部S2bを有している。発光部S1aと受光部S1bとは、遮蔽部162Dの第2遮蔽部P2および第3遮蔽部P3を挟むように、左右方向に対向配置されている。発光部S2aと受光部S2bとは、遮蔽部162Dの第1遮蔽部P1および第2遮蔽部P2を挟むように、左右方向に対向配置されている。
上述の通り、被検出部材162は支点部162Fを傾動中心として傾動する。被検出部材162の傾動に伴い、遮蔽部162Dは上下に移動する(厳密には、上下に揺動する)。本実施形態のインク量検出部160では、1つの被検出部材162と複数のセンサ(第1センサS1および第2センサS2)とを組み合わせることで、例えば、インク満タン状態、ニア満タン状態、ニアエンド状態、インクエンド状態等のうちの2つ以上の状態、3つ以上の状態、例えば4つの状態を検出することができる。すなわち、図示は省略するが、インクタンク151がインク満タン状態のとき、遮蔽部162Dは、第1センサS1および第2センサS2の検出位置Lsよりも下方に位置している。
図14に示すように、インク貯留室154内のインク59が消費され、インク貯留室154内のインク量が減ると、インクタンク151がニア満タン状態となる。これに伴い、インク貯留室154内のインク59の水頭圧が小さくなる。すると、付勢部材163の付勢力によって、感圧膜161の撓み変形が緩和される。やがて、遮蔽部162Dがインク貯留室154に近づく方向(図10の上方)に移動すると、第3遮蔽部P3が検出位置Lsに到達する。その結果、第1センサS1が、第3遮蔽部P3を検出するHIT状態となる。すなわち、第3遮蔽部P3が第1センサS1の第1の光軸と重なると、発光部S1aから照射された光が第3遮蔽部P3によって遮られ、第1センサS1がHIT状態となる。一方、第3遮蔽部P3は第2センサS2の第2の光軸とは交差せず、発光部S2aから照射された光は、第3遮蔽部P3に遮られることなく受光部S2bに到達する。このため、第2センサS2はUNHIT状態となる。
図15に示すように、インク貯留室154内のインク59がさらに消費されると、サプライボトルに収容されているインク59の容量よりも空き容量が大きくなる。すなわち、インクタンク151がインク継ぎ足し可能状態となる。これに伴い、遮蔽部162Dがさらに上方に移動すると、第2遮蔽部P2が検出位置Lsに到達する。その結果、第1センサS1および第2センサS2が、いずれも第2遮蔽部P2を検出するHIT状態となる。すなわち、第2遮蔽部P2が第1センサS1の第1の光軸と重なると、発光部S1aから照射された光が第2遮蔽部P2によって遮られ、第1センサS1がHIT状態となる。また、第2遮蔽部P2が第2センサS2の第2の光軸と重なると、発光部S2aから照射された光が第2遮蔽部P2によって遮られ、第2センサS2がHIT状態となる。
図16に示すように、インク貯留室154内のインク59がさらに消費されると、インクタンク151がニアエンド状態となる。これに伴い、遮蔽部162Dがさらに上方に移動すると、第1遮蔽部P1が検出位置Lsに到達する。その結果、第2センサS2が、第1遮蔽部P1を検出するHIT状態となる。すなわち、第1遮蔽部P1が第2センサS2の第2の光軸と重なると、発光部S2aから照射された光が第1遮蔽部P1によって遮られ、第2センサS2がHIT状態となる。一方、第1遮蔽部P1は第1センサS1の第1の光軸とは交差せず、発光部S1aから照射された光は、第1遮蔽部P1に遮られることなく受光部S1bに到達する。このため、第1センサS1はUNHIT状態となる。
インク補充部190は、インク補充用のサプライボトル(図示せず)からインク59を継ぎ足し可能なように構成されている。図10に示すように、インク補充部190は、補充口カバー191と、インク補充機構192と、を備えている。補充口カバー191は、インク補充機構192に埃やごみが混入することを防ぐ部材である。補充口カバー191は、インク59が光硬化性である場合、インク補充機構192に光が侵入することを防止する部材でもある。補充口カバー191は、開口部153Oの真上に設けられ、開口部153Oを覆っている。インクタンク151がニアエンド状態やインクエンド状態等になったとき、ユーザは、補充口カバー191を開いてインク59を継ぎ足す。
インク補充機構192は、ユーザがサプライボトルを挿入可能なように構成されている。詳しくは、インク補充機構192は、サプライボトルの容器本体を、封止フィルムで封止された状態のまま挿入可能なように構成されている。すなわち、図10に示すように、インク補充機構192は、上方に向かって尖った先端部192Eを備えている。ユーザがインク補充機構192に上方からサプライボトルを挿入すると、先端部192Eがサプライボトルの封止フィルムを貫通する。封止フィルムが破断されることで、サプライボトルに収容されているインク59が開口部153Oを介してインク貯留室154に流入する。これにより、インクタンク151にインク59が補充される。
制御装置180は、送液ポンプ141のモータ142と、弁部材144と、センサ部164と、に通信可能に接続されており、これらの動作を制御する。制御装置180のハードウェア構成は、第1実施形態の制御装置80と同様であってよい。図6に示すように、制御装置180は、印刷制御部181と、判定部182と、通知部183と、を備えている。制御装置80の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御装置80の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
印刷制御部181は、印刷データに基づいて印刷動作を実行する制御部である。印刷制御部181は、弁部材144の開閉を制御すると共に、送液ポンプ141の駆動と停止、および送液量を制御する。その他については、第1実施形態の印刷制御部81と同様であってよい。
判定部182は、センサ部164との通信結果に基づいて、インクタンク151内のインク量を判定する制御部である。判定部182は、第1センサS1の発光部S1aおよび第2センサS2の発光部S2aを制御して、光を照射する。判定部182は、第1センサS1の受光部S1bおよび第2センサS2の受光部S2bと通信可能に接続されている。判定部182には、受光部S1b、S2bから受光量が入力される。判定部182は、第1センサS1、第2センサS2のそれぞれについて、受光量が予め定められた基準値以下に変化した場合に、センサがUNHIT状態からHIT状態に切り替わったことを検出する。基準値は、予め判定部182に記憶されている。判定部182にはまた、第1センサS1および第2センサS2の状態と、インクタンク151の状態(具体的には、インクタンク151内のインク量)との関係を対応付けた対応テーブルが予め記憶されている。対応テーブルの一例を下記に示す。
第1センサS1 第2センサS2 インクタンク151の状態
UNHIT UNHIT インク満タン
HIT UNHIT ニア満タン
HIT HIT インク継ぎ足し可能
UNHIT HIT ニアエンド
上記の対応テーブルにおいて、判定部182は、インクタンク151の4つの状態を判定可能なように構成されている。すなわち、判定部182は、第1センサS1および第2センサS2がいずれもUNHIT状態であることに基づいて、インクタンク151がインク満タン状態であると判定する。判定部182は、第1センサS1がHIT状態であり、かつ第2センサS2がUNHIT状態であることに基づいて、インクタンク151がニア満タン状態であると判定する。判定部182は、第1センサS1および第2センサS2がいずれもHIT状態であることに基づいて、インクタンク151がインク継ぎ足し可能状態であると判定する。判定部182は、第1センサS1がUNHIT状態であり、かつ第2センサS2がHIT状態であることに基づいて、インクタンク151がニアエンド状態であると判定する。
通知部183は、判定部182の判定結果をユーザに通知する制御部である。ユーザへの通知方法は、第1実施形態の通知部83と同様であってよい。通知部183は、判定部182の判定結果、例えばインクタンク151の状態を、そのままユーザに通知してもよい。通知部183は、判定部182で、インクタンク151がインク満タン状態あるいはニア満タン状態と判定された場合に、インク59の継ぎ足しが不可であることをユーザに通知してもよい。通知部183は、判定部182で、インクタンク151がインク継ぎ足し可能状態と判定された場合に、サプライボトル1本分の容量(例えば500mL)のインク59の継ぎ足しが可能であることをユーザに通知してもよい。通知部183は、判定部182で、インクタンク151がニアエンド状態と判定された場合に、サプライボトル2本分の容量(例えば1L)のインク59の継ぎ足しが可能であることをユーザに通知してもよい。
本実施形態のプリンタ100では、インク貯留室154の下面には、下方に窪んだインク溜まり部155が形成されており、インク溜まり部155の第1下壁B1に感圧膜161が配置されている。これにより、インク貯留室154内のインク59が少なくなったときにも、インク59の水頭圧を感圧膜161に好適に作用させることができ、安定的にインク量を検出することができる。
本実施形態のプリンタ100では、インクタンク151の真下に配置され、インク溜まり部155と嵌め合わせられる上方空間165Uを有するケーシング165をさらに備える。センサ部164は、ケーシング165の内部であって、平面視において上方空間165Uと重なる位置に配置されている。これにより、センサ部164の省スペース、コンパクト化を実現することができる。
本実施形態のプリンタ100では、被検出部材162は、傾動可能に支持されている支点部162Fと、感圧膜161に直接的または間接的に接触する受圧部162Rと、センサ部164によって検出される遮蔽部162Dと、を備える。受圧部162Rは、支点部162Fと遮蔽部162Dとの間に配置されている。これにより、てこの原理を利用して、受圧部162Rの小さな変位を遮蔽部162Dの大きな変位にかえることができる。したがって、センサ部164の検出感度を向上することができる。
本実施形態のプリンタ100では、遮蔽部162Dは、被検出部材162の揺動端に設けられ、上下方向に延在している。これにより、受圧部162Rの小さな変位を遮蔽部162Dのより大きな変位にかえることができる。したがって、センサ部164の検出感度を一層向上することができる。
本実施形態のプリンタ100では、被検出部材162は、受圧部162Rが気液界面に近づく方向に変位したときに、遮蔽部162Dの上端が、インク貯留室154の底面よりも上方に位置するように設けられている。このように遮蔽部162Dの上端が大きく変位することで、センサ部164において精度の高い検出を実現することができる。
本実施形態のプリンタ100では、インクタンク151は平面視において扁平形状であり、被検出部材162は、インクタンク151の長辺151Wよりも短い長さで、長辺151Wに沿って延びている。これにより、センサ部164の検出感度を向上すると共に、インク量検出部160の省スペース、コンパクト化を実現することができる。
本実施形態のプリンタ100では、被検出部材162は、インク貯留室154に貯留されているインク量が予め定められたニア満タン状態に達したときにセンサ部164で検知される第3遮蔽部P3と、インク貯留室154に貯留されているインク量がニア満タン位置よりも少ないニアエンド状態に達したときにセンサ部164で検知される第1遮蔽部P1と、を備える。センサ部164は、被検出部材162の第3遮蔽部P3を検出する第1センサS1と、被検出部材162の第1遮蔽部P1を検出する第2センサS2と、を備える。これにより、1つの被検出部材162で、複数のインク貯留室154の状態を検出することができる。
本実施形態のプリンタ100では、一端がインク流出口152Oに接続され、他端がインクヘッド120に接続されたインク供給流路(第1流路140a、第2流路140b、第3流路140cおよび第4流路140d)と、一端がインク供給流路の中途部に接続されたインク還流流路(第5流路140eおよび第6流路140f)と、をさらに備える。インク還流流路の他端は、インクタンク151のインク流出口152Oよりも上方に設けられたインク流入口153Iに接続されている。インク流入口153Iがインク流出口152Oよりも上方に設けられていることにより、インク流入口153Iからインク59が流入したときに、インクタンク151内のインク59を強い流れで撹拌することができ、例えば沈降しがちな顔料等を分散することができる。したがって、インクタンク151に貯留されているインク59を均質な状態に維持しやすくなる。また、感圧膜161に顔料等が堆積することが抑えられ、感圧膜161を安定して変位させることができる。
以上、本実施形態に係るプリンタ100について説明した。しかし、本発明に係るインクジェットプリンタは、これに限定されない。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を、他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、上記した実施形態と以下の変形態様とを適宜組み合わせることもできる。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
例えば上記した第1実施形態では、インクタンク50が本体部12よりも下方に配置され、上記した第2実施形態では、インクタンク151が本体部112よりも下方に配置されていた。しかしこれには限定されない。インクタンク50、151は、例えば、本体部12、112の左側あるいは右側に配置されていてもよいし、本体部12、112の内部(例えばプラテン14、114の下側)に配置されていてもよいし、本体部12、112よりも上方に配置されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、インクタンク151が、タンク本体152と蓋体153とから構成され、タンク本体152の全体が蓋体153の全体よりも上方に位置していた。しかしこれには限定されない。インクタンク151は、例えば、次のいずれか:(1)タンク本体152と蓋体153との間に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(2)タンク本体152の上方に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(3)蓋体153の下方に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(4)タンク本体152の下端部に段差が形成されるとともに、蓋体153の上端部に段差が形成され、タンク本体152の下端部の一部が、蓋体153の上端部の一部よりも下方に位置している;ように構成されていてもよい。
例えば上記した第1および第2実施形態では、インク貯留室54、154の内部に、他の部材が配置されていなかった。しかしこれには限定されない。例えばインク供給装置70、170では、インク59を継ぎ足すとき等に、インク貯留室54、154に埃やごみが混入するおそれがある。このため、インク貯留室54、154には、従来公知の濾過装置が配置されていてもよい。また、インク貯留室54、154には、従来公知の攪拌装置等が配置されていてもよい。また、攪拌装置や濾過装置を構成する一部または全部の部材は、交換可能に構成されていてもよい。
図17は、第2変形例に係るインク供給装置270の断面図である。図17に示すインク供給装置270は、以下の点を除き、上記したインク供給装置170と同様である。すなわち、インク供給装置270は、インクタンク251を備えている。インクタンク251は、タンク本体252を備えている。タンク本体252は、後壁Rr1にかえて後壁Rr2を備えている。後壁Rr2は、下端部に膨出部RrBを備えている。膨出部RrBは、インク流出口152Oの側(図17の右方)に膨出している。膨出部RrBは、第1前壁F1から離れる側に膨出している。膨出部RrBは、インク溜まり部255の壁面を構成している。インク流出管152Fは、後壁Rr2の膨出部RrBに形成されている。
インク供給装置270は、フィルタ156を備えている。フィルタ156は、インク貯留室154内に混入した埃やごみを除去する濾過部材である。フィルタ156を備えることで、埃やごみがインク流路140に流出しにくくなる。したがって、インク流路140の中途部、例えば送液ポンプ141やダンパー122で詰まりが生じにくくなる。本実施形態において、フィルタ156は、インク溜まり部255に配置されている。フィルタ156は、タンク本体252の後壁Rr2に着脱可能に取り付けられている。フィルタ156は、上下方向に延びている。フィルタ156の濾過面は、第1前壁F1と対向している。フィルタ156は、第1前壁F1に沿って配置されている。これにより、フィルタ156を水平に配置する場合と比べて、相対的にフィルタ156に目詰まりが生じにくくなり、フィルタ156の交換回数が少なくて済む。したがって、メンテナンスの手間を軽減することができる。
本実施形態において、フィルタ156は、インク溜まり部255を鉛直方向に区画している。フィルタ156は、膨出部RrBを仕切っている。フィルタ156の近傍では、インク流出口152Oに向かってインク59が流れる。すなわち、インク流出管152Fの軸線方向(図17の前方から後方)に向かってインク59が流れる。フィルタ156の濾過面は、インク流出管152Fの軸線方向と直交するように配置されている。言い換えれば、フィルタ156の濾過面は、インク流出管152Fの延伸方向(図17の前後方向)と直交するように配置されている。
フィルタ156の上端は、インク溜まり部255の第1前壁F1の上端よりも下方に配置されている。本実施形態において、インク溜まり部255は、インクタンク151がニアエンド状態であっても、インク59で満たされるように構成されている。これにより、フィルタ156が常にインク59で濡れた状態となり、フィルタ156が空気を噛みにくくなる。したがって、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなる。
例えば上記した第2実施形態では、平面視において、インク流入口153Iおよび開口部153Oが、スロープ状の第2前壁F2と重なっていた。しかしこれには限定されない。他の実施形態において、インク流入口153Iおよび/または開口部153Oは、第2前壁F2と重なっていなくてもよい。
図18は、第3変形例に係るインク供給装置370の断面図である。図18に示すインク供給装置370は、以下の点を除き、上記したインク供給装置170と同様である。すなわち、インク供給装置370は、インクタンク351を備えている。インクタンク351は、タンク本体352を備えている。タンク本体352は、第2下壁B2および第2前壁F2にかえて、下壁B3および前壁F3を備えている。前壁F3は、第2前壁F2とは異なり、下壁B3の前端から真っすぐ上方に延びている。また、インク供給装置370は、突出部157と、インク誘導部158と、を備えている。
突出部157は、下壁B3に設けられている。本実施形態において、突出部157は、山型形状(ドーム形状)である。ただし、突出部157の形状は、山型を上下方向に切断した形状、球状、半球状、円錐形状等であってもよい。突出部157は、下壁B3に対して、0°を超えて90°未満、あるいは、90°を超えて180°未満の傾斜角度で配置された板状部材であってもよい。突出部157の上端157Tの高さは、前壁F3の高さの1/2以下、例えば1/3〜1/5であってもよい。
突出部157は、下壁B3に向かって傾斜する傾斜面を有している。詳しくは、上端157Tから下壁B3に近づくにつれて漸次下方に傾斜する傾斜面を有している。傾斜面は、上端157Tを中心に放射状に設けられている。本実施形態では、平面視において、突出部157と開口部153Oとが重なっている。詳しくは、平面視において、突出部157の上端157Tの位置が、検出位置Lsで示す開口部153Oの中心の位置と一致している。突出部157の中心は、開口部153Oの中心と同軸線状に位置している。そのため、例えばニアエンド状態やインクエンド状態のときには、インク補充部190から開口部153Oを介して補充されたインク59が、突出部157の上端157Tに落着する。上端157Tに落着したインク59は、放射状に分かれて傾斜面を伝い、インク貯留室154内を移動する。
これにより、図18に矢印で示すように、インク貯留室154内のインク59を強い流れで撹拌することができる。また、インク59が傾斜面を伝って移動することで、インク59の泡立ちが抑えられる。その結果、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなると共に、発生した泡がタンク本体152から溢れだすような事態が生じにくくなる。加えて、突出部157はタンク本体352の任意の位置、例えば下壁B3の任意の位置に形成することができる。そのため、設計の自由度を広げることができる。
インク誘導部158は、インク流入口153Iから流入したインク59を突出部157の上端157Tに誘導する部材である。インク誘導部158は、インク流入口153Iから突出部157(詳しくは、突出部157の上端157T)に向かって延びている。本実施形態において、インク誘導部158は、インク流入口153Iと突出部157の上端157Tとに掛け渡されている。インク誘導部158は、例えば鎖、チェーン、ワイヤー、ロープ、紐等の長尺部材である。インク誘導部158は、変形容易であってもよい。インク誘導部158を備えることにより、平面視においてインク流入口153Iと突出部157とが重ならない場合にも、インク流入口153Iから流入したインク59を突出部157の上端157Tに落とし、傾斜面を伝ってインク貯留室154内を移動させることができる。このため、インク流入口153Iを自由にレイアウトすることができ、設計の自由度を広げることができる。
なお、上記した第3変形例では、平面視において、開口部153Oと突出部157とが重なり、かつ、インク流入口153Iと突出部157とは重なっていなかった。しかし、他の実施形態において、開口部153Oおよびインク流入口153Iが、いずれも突出部157と重なっていてもよい。あるいは、インク流入口153Iと突出部157とが重なり、かつ、開口部153Oと突出部157とが重なっていなくてもよい。この場合、インク誘導部158は、開口部153Oから突出部157に向かって延びていてもよい。
例えば上記した第2実施形態では、蓋体153に設けられた大気連通部153Aが、貫通孔153Hと、蛇道153Sと、樹脂フィルム153Mと、を備えるラビリンス構造体であった。しかしこれには限定されない。大気連通部153Aは、例えば、メッシュ状の気液分離フィルタや、遠心式分離器、表面張力式分離器、重力式分離器、コアレッサー等の、従来公知の気液分離器で構成されていてもよい。
例えば上記した第1実施形態では、ケース本体52と感圧膜55とが別体で、感圧膜55がケース本体52の下方開口部52Dを塞ぐように取り付けられていた。また、上記した第2実施形態では、タンク本体152と感圧膜161とが別体で、感圧膜161がタンク本体152の下方開口部152Dを塞ぐように取り付けられていた。しかしこれには限定されない。ケース本体52あるいはタンク本体152と感圧膜55、161とは単一の部材で構成されていてもよい。例えば、ケース本体52あるいはタンク本体152は、下方開口部を有していなくてもよい。ケース本体52あるいはタンク本体152は、壁面と、壁面よりも厚みが小さく形成され、感圧膜として機能する薄肉部と、を有していてもよい。薄肉部は、例えば研磨等によって壁面を薄肉状に切り出すことによって形成されていてもよい。
例えば上記した第2実施形態では、鉛直方向の上方を向く「下面」としての第1下壁B1と第2下壁B2とが、いずれも平面、具体的には水平面であった。しかしこれには限定されない。第1下壁B1および/または第2下壁B2は、必ずしも平面や水平面である必要はなく、例えば、表面に凹凸が形成されていてもよいし、湾曲していてもいいし、傾斜していてもよい。
例えば上記した第1実施形態では、感圧膜55が、ケース本体52の下面(詳しくは底面)に配置され、上記した第2実施形態では、感圧膜161が、タンク本体152の第1下壁B1(底面)に配置されていた。しかしこれには限定されない。感圧膜55、161は、例えばインク貯留室54、154を構成する壁部のうち、鉛直方向の上方を向いて高さ方向の位置が異なる面が複数設けられている場合、2番目に低い面に配置してもよい。あるいは、感圧膜55、161は、ケース本体52あるいはタンク本体152の鉛直方向に沿って延びる側壁(横壁)の下方部分に配置されていてもよい。この場合、例えば、ケース本体52あるいはタンク本体152の側壁に、側方開口部が形成されていて、感圧膜55、161は、上記側方開口部を塞ぐようにケース本体52あるいはタンク本体152に取り付けられていてもよい。また、付勢部材57、163は、水平方向に伸縮自在なように、感圧膜55、161に取り付けられていてもよい。
例えば上記した第1および第2実施形態では、感圧膜55、161が可撓性フィルムで構成されていた。しかしこれには限定されない。感圧膜55、161は、可撓性を有していなくてもよい。感圧膜55、161は、例えば、ゴム製の部材であってもよい。感圧膜55、161は、例えば、インク貯留室54、154に近づく方向およびインク貯留室54、154から遠ざかる方向に伸縮可能な伸縮部材であってもよい。伸縮部材は、例えば、襞状の断面形状を有し、アコーディオン状に伸縮可能に構成されていてもよい。
例えば上記した第2実施形態では、遮蔽部162Dが均一な厚みおよび光透過性を有していた。しかしこれには限定されない。遮蔽部162Dは、厚みや透明度が部分的に異なっていてもよい。遮蔽部162Dは、第1の光透過度を有する第1部分と、第1の光透過度とは異なる第2の光透過度を有する第2部分と、を有していてもよい。なお、光透過度は、発光部S1a、S2aから照射される光(例えば可視光や赤外線)を用いて測定した値であるとよい。遮蔽部162Dは、例えば、上下方向において、段階的にあるいは漸次(グラデーション的に)光透過度が変化するように構成されていてもよい。遮蔽部162Dは、例えば、第1遮蔽部P1と第2遮蔽部P2と第3遮蔽部P3とのそれぞれにおいて、第1部分と第2部分とを有していてもよい。遮蔽部162Dは、例えば、第1遮蔽部P1と第2遮蔽部P2と第3遮蔽部P3とで相互に光透過度が異なっていてもよい。
遮蔽部162Dが第1部分と第2部分とを有する場合、判定部182は、インクタンク151内のインク量の判定に加えて、インク量検出部160の不具合の有無を判定するように構成されていてもよい。インク量検出部160に不具合が無ければ、同じHIT状態のなかでも、遮蔽部162Dの変位によって、受光部S1b、S2bの受光量が変化するはずである。一方、センサ部164が故障したり、付勢部材163が動いていなかったりすると、HIT状態のなかで、受光部S1b、S2bの受光量は変化しない。そこで、判定部182は、センサがHIT状態のときに、受光量の値が変化したことに基づいて、インク量検出部160に「異常がない」と判定する。判定部182は、センサがHIT状態のときに、受光量の値が変化しないことに基づいて、インク量検出部160に「異常がある」と判定する。通知部183は、判定部182で、「異常がある」と判定された場合に、ユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは、インク量検出部160の不具合を把握することができる。
例えば上記した第1および第2実施形態では、付勢部材57、163がコイルばねであった。しかしこれには限定されない。付勢部材57、163は、例えば、被検出部材56、162の下方に配置され、所定の磁極を有する第1の磁性体と、上記第1の磁性体と対向する位置に配置され、上記第1の磁性体と反発する磁極を有する第2の磁性体と、を備え、上記第1の磁性体と上記第2の磁性体の間に作用する反力によって、感圧膜55、161を付勢するように構成されていてもよい。
例えば上記した第1および第2実施形態では、センサ60、164が透過型のフォトセンサであった。しかしこれには限定されない。センサ60、164は、例えば、反射型のフォトセンサであってもよいし、非接触式の位置センサであってもよいし、接触式のスイッチ等であってもよい。
例えば上記した第1および第2実施形態では、キャリッジ30、130が主走査方向に移動し、記録媒体5が副走査方向に移動するように構成されていたが、これには限定されない。キャリッジ30、130と記録媒体5との移動は相対的なものであり、そのどちらが主走査方向または副走査方向に移動してもよい。例えば、記録媒体5は移動不能に配置され、キャリッジ30、130が走査方向および副走査方向の両方向に移動可能なように構成されていてもよい。また、キャリッジ30、130および記録媒体5のいずれもが両方向に移動可能なように構成されていてもよい。また、プリンタ10、100の構成は特に限定されない。プリンタ10、100は、例えばフラットベッドタイプのプリンタであってもよい。プリンタ10、100は、紫外線を照射する照射装置を備えていてもよいし、記録媒体5をカットするカッティングヘッドを備えていてもよい。