JPWO2020116459A1 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

AC残像又は残留DC由来の残像に対して良好な耐性を発現し、シール剤との密着性が良好な液晶配向膜、及び黒表示の際の面内での明るさのバラツキを抑制した、コントラスト特性に優れた液晶表示素子が得られる液晶配向剤を提供する。
下記の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(A)。
(B)成分:下記式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体(B)。
[化1]
Figure 2020116459

(式(1)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基等であり、R〜Rの少なくとも一つは上記定義中の水素原子以外の基である。Yは下記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基である。式(3)中、Xは芳香族酸二無水物に由来する4価の有機基、Yは式(m)で表される部分構造を有する2価の有機基である。R30は水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。Z31、Z32は水素原子等である。)
[化2]
Figure 2020116459

(Qは−(CH−であり(nは2〜20である。)、任意の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。但し、酸素原子同士が直接結合することはない。ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。*は結合手を表す。)

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
従来から液晶装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、テレビジョン等の表示部として幅広く用いられている。液晶装置は、例えば、素子基板とカラーフィルタ基板との間に挟持された液晶層、液晶層に電界を印加する画素電極及び共通電極、液晶層の液晶分子の配向性を制御する配向膜、画素電極に供給される電気信号をスイッチングする薄膜トランジスタ(TFT)等を備えている。液晶分子の駆動方式としては、TN方式、VA方式等の縦電界方式や、IPS方式、フリンジフィールドスイッチング(以下、FFS)方式等の横電界方式が知られている。
現在、工業的に最も普及している液晶配向膜は、電極基板上に形成された、ポリアミック酸及び/又はこれをイミド化したポリイミドからなる膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことで作製されている。ラビング処理は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。しかし、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化に伴い、ラビング処理で発生する配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響、更には、配向処理面内の不均一性等の種々の問題が明らかとなっている。ラビング処理に代わる液晶配向処理方法としては、偏光された放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。光配向法による液晶配向処理は、光異性化反応を利用したもの、光架橋反応を利用したもの、光分解反応を利用したもの等が提案されている(非特許文献1、特許文献1参照)。
液晶表示素子の構成部材である液晶配向膜は、液晶を均一に並べるための膜であるが、液晶の配向均一性だけでなく種々の特性が必要とされる。例えば、液晶を駆動させる電圧によって液晶配向膜に電荷が蓄積し、残像や焼き付き(以下、残留DC由来の残像と称する。)として表示に影響を与え、液晶表示素子の表示品位を著しく低下させたりする問題点があるため、これらの課題を克服する液晶配向剤が提案されている(特許文献2参照)。
また、IPS方式やFFS駆動方式においては、液晶配向の安定性も重要となる。配向の安定性が小さいと、液晶を長時間駆動させた際に液晶が初期の状態に戻らなくなり、コントラストの低下や焼き付き(以下、AC残像と称する。)の原因となる。上記の課題を解決する手法として、特許文献3には特定の液晶配向剤が開示されている。
更に、タブレットやスマートフォンの普及に伴い、表示領域をできるだけ広く確保した、狭額縁の液晶表示素子の開発が進められている。この狭額縁化により、液晶配向膜上にシール剤を塗布する必要が出てきたため、液晶配向性を維持しつつ、シール剤との密着性が良好な液晶配向剤が特許文献4に開示されている。
日本特開平9−297313号公報 国際公開第2005/083504号パンフレット 国際公開第2015/050135号パンフレット 国際公開第2015/060360号パンフレット
「液晶光配向膜」木戸脇、市村、機能材料、1997年11月号、Vol.17、 No.11 13〜22頁
しかしながら、実際の液晶表示素子では、製造上のバラツキなどによって液晶表示素子面内でツイスト角度がわずかにばらついてしまう。すると、このような面内バラツキに起因して、液晶表示素子では黒表示時の明るさが面内でばらついてしまう。また、液晶表示素子に対する高精細化の要求は更に高まりつつあり、良好な表示品位を示すことが、以前にも増して重要になってきている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、AC残像又は残留DC由来の残像に対して良好な耐性を発現し、シール剤との密着性が良好な液晶配向膜並びに黒表示の際の面内での明るさのバラツキを抑制した、コントラスト特性に優れた液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者は、鋭意研究を進めたところ、特定の成分を含有する液晶配向剤を使用することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記を要旨とするものである。
下記の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(A)。
(B)成分:下記式(3)で表される繰り返し単位を含む重合体(B)。
Figure 2020116459
(R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1〜6の1価の有機基、又はフェニル基であり、R〜Rの少なくとも一つは上記定義中の水素原子以外の基を表す。Yは下記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基を表す。)
Figure 2020116459
(Qは−(CH−で表される構造であり(但し、nは2〜20の整数であり、任意の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。但し、酸素原子同士が直接結合することはない。)、2つのベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。*は結合手を表す。)
Figure 2020116459
(Xは芳香族酸二無水物に由来する4価の有機基を表す、Yは下記式(m)で表される部分構造を有する2価の有機基であり、*は結合手である。R30は水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり;Z31、Z32はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルキニル基、tert−ブトキシカルボニル基、又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基を表す。)
Figure 2020116459
本発明の液晶配向剤によれば、シール剤との密着性が良好な液晶配向膜を得ることができる。また、残留DC由来の残像やAC残像が発生しにくく、且つ黒表示の際の面内での明るさのバラツキを抑制したコントラストに優れた液晶表示素子が得られる。
<重合体(A)>
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(A)を含有する。このような構成とすることで、AC残像の発生が少ない液晶配向膜が得られ、またコントラストに優れた液晶表示素子を得ることができる。上記式(1)において、X、Y、Y、R、R、R、Rは、上記に定義したとおりである。
式(1)のXの4価の有機基としては、5〜8員環の脂環構造を有する4価の有機基であることが好ましく、5〜7員環の脂環構造を有する4価の有機基であることがより好ましい。なお、5員環以上の脂環構造とは、イミド基が結合する脂環構造が多環式構造の場合には、その多環式構造に含まれるそれぞれの環において、環を構成する原子数がいずれも5以上であることを示す。また、前記脂環構造は2つのイミド基の少なくとも一つに結合していればよく、脂環構造とともに鎖状炭化水素構造や芳香環構造を有していてもよい。
上記R〜Rにおける炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などが挙げられる。上記R〜Rにおける炭素数2〜6のアルケニル基の具体例としては、例えばビニル基、プロペニル基、ブチニル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。上記R〜Rにおける炭素数2〜6のアルキニル基の具体例としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。上記R〜Rにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。フッ素原子を含有する炭素数1〜6の1価の有機基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。光反応性が高い観点から、R〜Rは、水素原子又はメチル基であり、RからRの少なくとも一つがメチル基であることが好ましく、より好ましくはRからRの少なくとも2つがメチル基であることが好ましい。更に好ましいのは、R及びRがメチル基であり、R及びRが水素原子である場合である。
前記式(H)における1価の有機基の具体例としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1〜6の1価の有機基が挙げられ、上記R〜Rで例示した構造が挙げられる。前記式(H)で表される部分構造としては、AC残像の発生が少ない観点から下記式(H−1)〜(H−6)のいずれかで表される部分構造が挙げられる。
Figure 2020116459
前記式(1)におけるYの好ましい具体例としては、AC残像の発生が少ない観点から、下記式(h−1)〜(h−7)のいずれかで表される2価の有機基が挙げられる。
Figure 2020116459
重合体(A)は、耐熱性を高めるという観点から、下記式(2)で表される繰り返し単位を更に有することが好ましい。
Figure 2020116459
(式中、Xは、5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基である。Yは上記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基を表す。)
式(2)のXの4価の有機基としては、5〜8員環の脂環構造を有する4価の有機基であることが好ましく、5〜7員環の脂環構造を有する4価の有機基であることがより好ましい。なお、5員環以上の脂環構造とは、イミド基が結合する脂環構造が多環式構造の場合には、その多環式構造に含まれるそれぞれの環において、環を構成する原子数がいずれも5以上であることを示す。また、前記脂環構造は2つのイミド基の少なくとも一つに結合していればよく、脂環構造とともに鎖状炭化水素構造や芳香環構造を有していてもよい。
の好ましい具体例としては、下記式(X2−1)〜(X2−12)のいずれかで表される4価の有機基が挙げられる。
Figure 2020116459
AC残像の発生が少なく、液晶表示素子のコントラストを高める観点から、(X2−1)〜(X2−4)がより好ましい。
前記式(2)におけるYの好ましい具体例としては、前記式(1)におけるYの好ましい具体例と同じである。
前記重合体(A)は、液晶表示素子のコントラストを高める観点から、下記式(4)で表される繰り返し単位及び下記式(5)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を更に有してもよい。
Figure 2020116459
前記式(4)、(5)におけるR41からR44は、それぞれ前記式(1)のRからRと好ましい具体例も含めて同義である。式(5)におけるXは前記式(2)のXと同義である。Y、Yは下記式(I)で表される2価の有機基を表す。
Figure 2020116459
前記式(I)において、Qは単結合又は酸素原子を表し、nは0〜2を表す。ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよく、このような1価の有機基としては、前記式(H)における1価の有機基の具体例で例示した構造が挙げられる。
前記式(4)のY及び前記式(5)のYは、液晶表示素子のコントラストを高める観点から、下記式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表される2価の有機基であることが好ましい。下記式中、*は結合手を表す。
Figure 2020116459
前記重合体(A)は、シール剤との密着性を高める観点から、下記式(6)で表される繰り返し単位及び下記式(7)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を更に有してもよい。
Figure 2020116459
(式中、R61からR64はそれぞれ前記式(1)のRからRと好ましい具体例も含めて同義であり、Y、Yはそれぞれ独立して下記式(J−1)で表される部分構造を有する2価の有機基、又は下記式(J−2)で表される2価の有機基を表す。式(7)におけるXは前記式(2)のXと同義である。)
Figure 2020116459
前記式(J−1)、(J−2)中、Qは単結合、−(CH−(nは1〜20の整数である)、又は−(CH−の任意の−CH−がそれぞれ隣り合わない条件で−O−、−COO−、−OCO−、−NQ−、−NQCO−、−CONQ−、−NQCONQ10−、−NQCOO−、−OCOO−に置き換えられる基であり、Q及びQ10はそれぞれ独立して水素原子又は1価の有機基を表し;
、Qはそれぞれ独立して−H、−NHD、−N(D)、−NHDを有する基、−N(D)を有する基を表す。Qは−NHD、−N(D)、−NHDを有する基、−N(D)を有する基を表す。Dはカルバメート系保護基を表し、カルバメート系保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基、又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基が挙げられる。但し、Q、Q及びQの少なくとも一つは基中にカルバメート系保護基を有する。*1は結合手を表す。Y、Yの好ましい具体例としては、AC残像が少ない観点から、下記式(J−1−a)〜(J−1−d)、(J−2−1)のいずれかで表される2価の有機基が挙げられる。「Boc」は、tert−ブトキシカルボニル基を表す。
Figure 2020116459
前記重合体(A)は、上記式(1)で表される繰り返し単位、上記式(2)で表される繰り返し単位、上記式(4)で表される繰り返し単位、上記式(5)で表される繰り返し単位、上記式(6)で表される繰り返し単位及び上記式(7)で表される繰り返し単位以外に、下記式(PI−A−1)で表される繰り返し単位及び(PA−1)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくともの繰り返し単位を有してもよい。
Figure 2020116459
式(PI−A−1)中、XI1は4価の有機基を表し、YI1は2価の有機基を表す。但し、XI1が下記式(g)で表される4価の有機基又は上記式(2)のXと同義である場合は、YI1は前記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基、前記式(I)で表される2価の有機基、前記式(J−1)で表される部分構造を有する2価の有機基、前記式(J−2)で表される2価の有機基以外の構造を表す。XI1としては、下記式(g)で表される4価の有機基、上記式(2)のXで例示した4価の有機基の他、下記式(XI1−1)〜(XI1−13)のいずれかで表される4価の有機基、芳香族テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基等が挙げられる。
Figure 2020116459
(R、R、R、Rは、上記式(1)のR、R、R、Rと同義である。)
Figure 2020116459
ここで、芳香族テトラカルボン酸二無水物とは、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合するカルボキシル基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物のことである。具体例を挙げると、下記式(X3−1)〜(X3−2)のいずれかで表される4価の有機基、下記式(Xr−1)〜(Xr−7)のいずれかで表される4価の有機基を挙げることができる。
Figure 2020116459
(x及びyは、それぞれ独立に、単結合、エーテル(−O−)、カルボニル(−CO−)、エステル(−COO−)、炭素数1〜5のアルカンジイル基、1,4−フェニレン、スルホニル又はアミド基である。j及びkは、それぞれ独立に、0又は1の整数である。*は結合手を表す。)
Figure 2020116459
式(PI−A−1)中、YI1の2価の有機基の具体例としては、前記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基、前記式(I)で表される2価の有機基、前記式(J−1)で表される部分構造を有する2価の有機基、前記式(J−2)で表される2価の有機基の他、下記式(o−1)〜(o−23)で表される2価の有機基、国際公開公報2018/117239号に記載の式(Y−1)〜(Y−167)のいずれかであらわされる基等が挙げられる。
Figure 2020116459
Figure 2020116459
Figure 2020116459
式(PA−1)中、XA1は4価の有機基を表し、YA1は2価の有機基を表す。XA1の具体例としては、前記式(PI−A−1)のXI1で例示した構造が挙げられ、YA1の具体例としては、前記式(PI−A−1)のYI1で例示した構造が挙げられる。
式(PA−1)中、RA1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;ZA11、ZA12はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルキニル基、tert−ブトキシカルボニル基、又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基である。
上記RA1の炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などが挙げられる。加熱によるイミド化のしやすさの観点から、Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記ZA11、ZA12の炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、上記Rで例示した炭素数1〜5のアルキル基の具体例に加えて、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。上記ZA11、ZA12の炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、例えばビニル基、プロペニル基、ブチニル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。上記ZA11、ZA12の炭素数2〜10のアルキニル基の具体例としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。
A11、ZA12は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、水酸基、シアノ基、アルコキシ基などが挙げられる。
AC残像が少ない観点から、重合体(A)は前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(2)で表される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位の1〜95モル%含むことが好ましい。
<重合体(B)>
本発明の液晶配向剤は、上記式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体(B)を含有する。このような構成とすることで、得られる液晶配向膜の耐熱性を高めることができるため、AC残像が少ない液晶配向膜が得られると共に、製造時に発生する面内でのツイスト角度のバラツキが抑えられ、コントラストに優れた液晶表示素子が得られる。上記式(3)において、X、Y、R30、Z31、Z32は、上記に定義したとおりである。
上記R30の炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記式(PA−1)のRA1で例示した構造が挙げられる。加熱によるイミド化のしやすさの観点から、R30はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記Z31、Z32の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基の具体例としては、上記式(PA−1)のZA1、ZA2で例示した構造等が挙げられる。
31、Z32は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば上記式(PA−1)のZA1、ZA2で例示した構造等が挙げられる。
AC残像が少ない観点において、Z31、Z32はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記式(3)のYとして、AC残像が少ない観点から、下記式(Y3−1)〜(Y3−2)から選ばれる2価の有機基を用いてもよい。
Figure 2020116459
前記式(3)のXにおける芳香族酸二無水物の具体例としては、上記XI1で例示した構造が挙げられる。Xは、AC残像が少ない観点から、前記式(X3−1)又は(X3−2)で表される4価の有機基であることが好ましい。前記式(X3−1)又は(X3−2)で表される4価の有機基として、より好ましい具体例は下記式(X3−3)〜(X3−19)のいずれかで表される構造が挙げられる。
Figure 2020116459
Figure 2020116459
前記重合体(B)は、液晶配向膜のシール密着性を高め、残留DC由来の残像を少なくする観点から、下記式(8)で表される繰り返し単位及び下記式(9)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を有してもよい。
Figure 2020116459
(式中、Xは5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基であり、前記式(2)のXと好ましい態様を含めて同義である。Xは5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基又は芳香族酸二無水物に由来する4価の有機基であり、前記式(2)のX又は前記式(3)のXと好ましい態様を含めて同義である。Yは前記式(3)のYと同義であり、Yは下記式(n−1)又は(n−2)で表される部分構造を有する2価の有機基である。Z81、Z82、Z91、Z92はそれぞれ前記式(3)のZ31、Z32と同義である。R、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Q及びQはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 2020116459
上記式(n−1)又は(n−2)で表される部分構造を有する2価の有機基の具体例としては、例えば下記式(ND−1−2)、(ND−2−1)〜(ND−2−3)、(ND−5)のいずれかで表される構造が挙げられる。
Figure 2020116459
(R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Q22は独立して単結合、又は*1−R23−Ph−*2を表し、R23は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−(CH−、−O(CHO−、−CONH−、及び−NHCO−から選ばれる2価の有機基を表し(l、mは1〜5の整数を表す)、*1は式(ND−1−2)中のベンゼン環と結合する部位を表し、*2は式(ND−1−2)中のアミノ基と結合する部位を表す。Phはフェニレン基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
Figure 2020116459
式中、R21、R22はそれぞれ、水素原子又はメチル基である。R24はそれぞれ独立して単結合又は以下の式(Ar)の構造を表し、nは1から3の整数を表す。*は結合手を表す。更に、ベンゼン環の任意の水素原子は、メチル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などの一価の有機基で置換されていてもよい。
Figure 2020116459
式中、R25は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−(CH−、−O(CHO−、−CONR−、及び−NRCO−から選ばれる2価の有機基を表し、kは1〜5の整数を表す。なお、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基などの一価の有機基を表し、l、mは1〜5の整数を表す。*1、*2は結合手を表し、*1は式(ND−2−1)〜式(ND−2−3)中のベンゼン環と結合する。
Figure 2020116459
(R51、R52は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。Aは単結合又は−O−、−(CH−(nは1〜4の整数)などの2価の有機基を表す。)
前記式(ND−1−2)の好ましい具体例としては、下記式(n1−9)〜(n1−14)のいずれかで表される構造が挙げられる。
Figure 2020116459
前記式(ND−2−1)〜(ND−2−3)の好ましい具体例としては、下記式(n2−1)〜(n2−6)のいずれかで表される構造が挙げられる。
Figure 2020116459
Figure 2020116459
前記式(ND−5)の好ましい具体例としては、下記式(n5−1)〜(n5−8)のいずれかで表される構造が挙げられる。
Figure 2020116459
重合体(B)は、上記式(3)で表される繰り返し単位、上記式(8)で表される繰り返し単位、上記式(9)で表される繰り返し単位以外に、下記式(PA−2)で表される繰り返し単位を有してもよい。
Figure 2020116459
式(PA−2)中、XA2は4価の有機基を表し、及びYA2は2価の有機基を表す。但し、XA2が前記式(9)のXと同義である場合は、YA2は前記式(m)で表される部分構造を有する2価の有機基又は前記式(n−1)又は(n−2)で表される部分構造を有する2価の有機基以外の構造を表す。RA2は前記式(3)のRと好ましい態様を含めて同義であり、ZA21、ZA22は前記式(3)のZ31、Z32と好ましい態様を含めて同義である。
A2の具体例としては、上記式(3)のXで例示した芳香族テトラカルボン酸二無水物以外に、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基が挙げられる。
A2の具体例としては、前記式(m)で表される部分構造を有する2価の有機基又は前記式(n−1)若しくは(n−2)で表される部分構造を有する2価の有機基の他、国際公開公報WO2017/126627に記載のピロール構造を有2価の有機基、好ましくは下式(pr)で表される2価の有機基,国際公開公報WO2018/092759号に記載のチオフェン又はフラン構造を有する2価の有機基、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸又は3,5−ジアミノ安息香酸、下記の式[3b−1]〜式[3b−4]で示されるジアミン化合物などのカルボキシル基を有するジアミンから2つのアミノ基を除いた2価の有機基、下記式(U−1)〜(U−9)などの分子内に−NH−CO−NH−を有する2価の有機基、国際公開公報WO2018−181566号の段落[0013]〜[0030]に記載の2価の有機基等が挙げられる。
Figure 2020116459
式(pr)中、R81は水素原子、又はメチル基を表し、R82はそれぞれ独立して単結合又は基「*1−R83−Ph−*2」を表し、R83は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−(CH−、−O(CHO−、−CONH−、及び−NHCO−から選ばれる2価の有機基を表し(l、mは1〜5の整数を表す)、*1は式(pr)中のベンゼン環と結合する部位を表し、*2は上記式(PA−2)中の窒素原子と結合する部位を表す。Phはフェニレン基を表す。nは1〜3を表す。
Figure 2020116459
式[3b−1]中、Aは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−を示し、m及びmはそれぞれ独立して、0〜4の整数を示し、かつm+mは1〜4の整数を示し、式[3b−2]中、m及びmはそれぞれ独立して、1〜5の整数を示し、式[3b−3]中、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキレン基を示し、mは1〜5の整数を示し、式[3b−4]中、A及びAはそれぞれ独立して、単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−又はN(CH)CO−を示し、mは1〜4の整数を示す。
Figure 2020116459
本発明の重合体(B)は、コントラストを高める観点から、上記式(3)で表される繰り返し単位を重合体(B)の全繰り返し単位に対して30〜100モル%含むことが好ましく、又は40〜100モル%含むことが好ましく、又は50〜100モル%含むことが好ましい。
AC残像と残留DC由来の残像が少ない観点において、前記重合体(A)と前記重合体(B)との配向割合が、重合体(A)/重合体(B)の質量比で5/95〜95/5であることが好ましい。再現性の高い液晶配向膜が得られる観点から、前記重合体(A)と前記重合体(B)との配向割合は、重合体(A)/重合体(B)の質量比で、10/90〜90/10がより好ましく、20/80〜80/20が更に好ましい。
<ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステル、ポリアミック酸及びポリイミドは、例えば、国際公開公報WO2013/157586に記載されるような公知の方法で合成出来る。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び重合体(B)を含有する。本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び重合体(B)に加えて、その他の重合体を含有していてもよい。その他の重合体の種類としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
液晶配向剤は、液晶配向膜を作製するために用いられるものであり、均一な薄膜を形成させるという観点から、塗布液の形態をとる。本発明の液晶配向剤においても前記した重合体成分と、有機溶媒とを含有する塗布液であることが好ましい。その際、液晶配向剤中の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2〜8質量%である。
液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(これらを総称して「良溶媒」ともいう)などを挙げることができる。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。本発明の液晶配向剤における良溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の20〜99質量%であることが好ましく、20〜90質量%がより好ましく、特に好ましいのは、30〜80質量%である。
また、液晶配向剤に含有される有機溶媒は、上記のような溶媒に加えて液晶配向剤を塗布する際の塗布性や塗膜の表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう)を併用した混合溶媒を使用することが好ましい。併用する有機溶媒の具体例を下記に挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソブチルカルビノール(2,6−ジメチル−4−ヘプタノール)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−プロパノール、2−(2−ブトキシエトキシ)−1−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)などを挙げることができる。
なかでも、ジイソブチルカルビノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、又はジイソブチルケトンが好ましい。
良溶媒と貧溶媒との好ましい溶媒の組み合わせとしては、N−メチル−2−ピロリドンとエチレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとエチレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N−エチル−2−ピロリドンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンと4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンとジエチレングリコールジエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルと2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジイソプロピルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルと2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとジプロピレングリコールジメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジプロピレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。これら貧溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の1〜80質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%が特に好ましい。このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
本発明の液晶配向剤は、重合体成分及び有機溶媒以外の成分を追加的に含有してもよい。このような追加成分としては、液晶配向膜と基板との密着性や液晶配向膜とシール材との密着性を高めるための密着助剤、液晶配向膜の強度を高めるための化合物(架橋性化合物ともいう。)、液晶配向膜の誘電率や電気抵抗を調整するための誘電体や導電物質などが挙げられる。
前記架橋性化合物として、AC残像の発生が少なく、膜強度の改善効果が高い観点から、オキシラニル基、オキセタニル基、保護イソシアネート基、保護イソチオシアネート基、オキサゾリン環構造を含む基、メルドラム酸構造を含む基、シクロカーボネート基、下記式(d)で表される基を有する化合物、又は下記式(e)で表される化合物(これらを総称して化合物(C)ともいう。)が好ましい。
Figure 2020116459
式(d)、(e)中、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は*−CH−OHである。*は結合手を示す。Aは芳香環を有する(m+n)価の有機基を表す。mは1〜6の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。
オキシラニル基を有する化合物の具体例としては、例えば、日本特開平10−338880号公報の段落[0037]に記載の化合物や、国際公開公報WO2017/170483号に記載のトリアジン環を骨格にもつ化合物などの、2個以上のオキシラニル基を有する化合物が挙げられる。これらのうち、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、下記式(r−1)〜(r−3)のいずれかで表される化合物などの窒素原子を含有する化合物が特に好ましい。
Figure 2020116459
オキセタニル基を有する化合物の具体例としては、例えば、国際公開公報2011/132751号の段落[0170]〜[0175]に記載の2個以上のオキセタニル基を有する化合物等が挙げられる。
保護イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、例えば、日本特開2014−224978号公報の段落[0046]〜[0047]に記載の2個以上の保護イソシアネート基を有する化合物、国際公開公報2015/141598号の段落[0119]〜[0120]に記載の3個以上の保護イソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。これらのうち、下記式(bi−1)〜(bi−3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2020116459
保護イソチオシアネート基を有する化合物の具体例としては、例えば、日本特開2016−200798号公報に記載の、2個以上の保護イソチオシアネート基を有する化合物が挙げられる。
オキサゾリン環構造を含む基を有する化合物の具体例としては、例えば、日本特開2007−286597号公報の段落[0115]に記載の、2個以上のオキサゾリン構造を含む化合物が挙げられる。
メルドラム酸構造を含む基を有する化合物の具体例としては、例えば国際公開公報WO2012/091088号に記載の、メルドラム酸構造を2個以上有する化合物が挙げられる。
シクロカーボネート基を有する化合物の具体例としては、例えば、国際公開公報WO2011/155577号に記載の化合物が挙げられる。
前記式(d)中のR71、R72、R73である炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
前記式(d)で表される基を有する化合物の具体例としては、例えば、国際公開公報WO2015/072554号や、日本特開2016−118753号公報の段落[0058]に記載の、前記式(d)で表される基を2個以上有する化合物、日本特開2016−200798号公報に記載の化合物等が挙げられる。これらのうち、下記式(hd−1)〜(hd−8)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2020116459
前記式(e)のAにおける芳香環を有する(m+n)価の有機基としては、炭素数5〜30の(m+n)価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基が直接又は連結基を介して結合した(m+n)価の有機基、芳香族複素環を有する(m+n)価の基が挙げられる。前記芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレンなどが挙げられる。芳香族複素環としては、例えばピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、ピリダジン環、ピラジン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドール環、キノキサリン環、アクリジン環などが挙げられる。前記連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、又は前記アルキレン基から水素原子を一つ除いた基、2価又は3価のシクロヘキサン環等が挙げられる。尚、前記アルキレン基の任意の水素原子は、フッ素原子又はトリフルオロメチル基などの有機基で置換されてもよい。具体例を挙げるならば、国際公開公報WO2010/074269号に記載の化合物等が挙げられる。好ましい具体例としては、下記式(e−1)〜(e−9)のいずれかが挙げられる。
Figure 2020116459
上記架橋性化合物の例は、これらに限定されるものではない。例えば、国際公開公報2015/060357号の[0105]〜[0116]に開示されている上記以外の成分などが挙げられる。また、架橋性化合物は、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、液晶配向剤に含まれる重合体成分100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましく、目的の効果を発現し、かつAC残像の発生が少ない観点から、より好ましくは1〜15質量部である。
前記密着助剤としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらシランカップリング剤を使用する場合、その使用量は、AC残像の発生が少ない観点から、液晶配向剤に含まれる重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部である。
<液晶配向膜の製造方法>
本発明の液晶配向剤を用いた液晶配向膜の製造方法は、上記の液晶配向剤を塗布する工程(工程(A))、工程(A)で得られた液晶配向剤の塗膜を加熱して膜を得る工程(工程(B))、工程(B)で得られた膜に偏光された紫外線を照射する工程(工程(C))、更に、好ましくは工程(C)で得られた膜を、100℃以上で、且つ、工程(B)よりも高い温度で焼成する工程(工程(D)を有することを特徴とする。
<工程(A)>
本発明に用いられる液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法又はスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
<工程(B)>
工程(B)は、基板上に塗布した液晶配向剤を焼成し、膜を形成する工程である。液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させたり、重合体中のアミック酸又はアミック酸エステルの熱イミド化を行ったりすることができる。本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができ、複数回行ってもよい。液晶配向剤の有機溶媒を除去する温度としては、例えば40〜150℃の温度範囲で行うことができる。プロセスを短縮する観点で、40〜120℃で行ってもよい。焼成時間としては特に限定されないが、1〜10分又は、1〜5分の焼成時間が挙げられる。重合体中のアミック酸又はアミック酸エステルの熱イミド化を行う場合には、上記有機溶媒を除去する工程の後、例えば190〜250℃、又は200〜240℃の温度範囲で焼成する工程ができる。焼成時間としては特に限定されないが、5〜40分、又は、5〜30分の焼成時間が挙げられる。
<工程(C)>
工程(C)は、工程(B)で得られた膜に偏光された紫外線を照射する工程である。紫外線としては、200〜400nmの波長を有する紫外線を用いることが好ましく、なかでも、好ましくは200〜300nmの波長を有する紫外線がより好ましい。液晶配向性を改善するために、液晶配向膜が塗膜された基板を50〜250℃で加熱しながら、紫外線を照射してもよい。また、前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cmが好ましい。なかでも、100〜5,000mJ/cmが好ましい。このようにして作製した液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
偏光された紫外線の消光比が高いほど、より高い異方性が付与できるため、好ましい。具体的には、直線に偏光された紫外線の消光比は、10:1以上が好ましく、20:1以上がより好ましい。
<工程(D)>
工程(D)は、工程(C)で得られた膜を、100℃以上、且つ、工程(B)よりも高い温度で焼成する工程である。焼成温度は、100℃以上、且つ、工程(B)での焼成温度よりも高ければ、特に限定されないが、150〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、200〜250℃が更に好ましい。焼成時間は、5〜120分が好ましく、より好ましくは5〜60分、更に好ましくは、5〜30分である。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
更に、前記工程(C)又は(D)のいずれかの工程を行った後、得られた液晶配向膜を、水や溶媒を用いて、接触処理をすることもできる。
上記接触処理に使用する溶媒としては、紫外線の照射によって液晶配向膜から生成した分解物を溶解する溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸シクロヘキシルなどが挙げられる。なかでも、汎用性や溶媒の安全性の点から、水、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルが好ましい。より好ましいのは、水、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルである。溶媒は、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
上記の接触処理、即ち、偏光された紫外線を照射した液晶配向膜に水や溶媒を処理としては、浸漬処理や噴霧処理(スプレー処理ともいう)が挙げられる。これらの処理における処理時間は、紫外線によって液晶配向膜から生成した分解物を効率的に溶解させる点から、10秒〜1時間であることが好ましい。なかでも、1分〜30分間浸漬処理をすることが好ましい。また、前記接触処理時の溶媒は、常温でも加温しても良いが、好ましくは、10〜80℃である。なかでも、20〜50℃が好ましい。加えて、分解物の溶解性の点から、必要に応じて、超音波処理などを行っても良い。
前記接触処理の後に、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン又はメチルエチルケトンなどの低沸点溶媒によるすすぎ(リンスともいう)や液晶配向膜の焼成を行うことが好ましい。その際、リンスと焼成のどちらか一方を行っても、又は、両方を行っても良い。焼成の温度は、150〜300℃であることが好ましい。なかでも、180〜250℃が好ましい。より好ましいのは、200〜230℃である。また、焼成の時間は、10秒〜30分が好ましい。なかでも、1〜10分が好ましい。
本発明の液晶配向膜は、IPS方式やFFS方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適であり、特に、FFS方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して得られる。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOの膜とすることができる。
次に、各基板の上に液晶配向膜を形成し、一方の基板に他方の基板を互いの液晶配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール剤で接着する。シール剤には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサーを混入しておき、また、シール剤を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサーを散布しておくことが好ましい。シール剤の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。次いで、シール剤に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール剤で包囲された空間内に液晶材料を注入し、その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。液晶材料は、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれを用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。
上記のようにして、本発明の製造方法を用いることで、IPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子において発生する長期交流駆動による残像が抑制出来る。また、工程(B)において、40〜150℃の温度範囲で有機溶媒を除去した後、工程(C)を実施することで、従来よりも少ない工程数で液晶配向膜を得ることができる。本発明の液晶配向剤は、工程(B)において、40〜150℃の温度範囲で有機溶媒を除去した後、工程(C)を実施する工程を含む液晶配向膜の製造方法において特に好ましく用いることができる。
上記のようにして、本発明の液晶配向剤を用いることで、残留DC由来の残像やAC残像の発生が少なく、シール密着性の高い液晶配向膜を得ることができる。また黒表示の際の面内での明るさのバラツキを抑制したコントラストに優れた液晶表示素子を得ることができ、良好な表示品位を有する液晶表示素子が得られる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下における化合物の略号及び各特性の測定方法は、次のとおりである。
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン、 GBL:γ―ブチロラクトン、
BCS:ブチルセロソルブ、
(ジアミン)
DA−1〜DA−8:下記式(DA−1)〜(DA−8)で表される化合物、
(テトラカルボン酸二無水物)
CA−1〜CA−4:下記式(CA−1)〜(CA−4)で表される化合物
(添加剤)
C−1:下記式(C−1)で表される化合物
C−2:2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン
S−1:下記式(S−1)で表される化合物、
Figure 2020116459
Figure 2020116459
Figure 2020116459
<粘度>
E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
<イミド化率の測定>
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500、日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
[重合体の合成例]
以下、ポリアミック酸及びポリイミドの合成例を示す。なお、それらの命名において、Aは(A)成分であること、Bは(B)成分であること、及びPIはポリイミドであることを表す。
<合成例1>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの300mL四つ口フラスコに、DA−1を4.89g(20.0mmol)、DA−2を2.59g(24.0mmol)、DA−3を4.61g(20.0mmol)及びDA−5を5.46g(16.0mmol)量り取り、NMPを197g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を14.2g(63.2mmol)、CA−2を3.00g(12.0mmol)添加し、40℃で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(A−1、)(粘度:425mPa・s)を得た。
<合成例2>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの1Lセパラブルフラスコに、DA−7を52.6g(0.264mol)、及びDA−8を13.1g(0.066mol)量り取り、NMPを481.7g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−2を41.3g(0.165mol)とNMPを124.5g添加し、50℃で4時間反応させた。その後、CA−4を45.1g(0.153mol)とNMPを255.8g添加し、70℃で24時間撹拌して15wt%のポリアミック酸溶液(B−1)(粘度:895mPa・s)を得た。
<合成例3>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を3.42g(0.014mol)量り取り、NMPを30.8g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA−4を3.62g(0.012mol)、NMPを20.0g添加し、50℃で12時間撹拌して12wt%のポリアミック酸溶液(B−2)(粘度:129mPa・s)を得た。
<合成例4>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの500mLセパラブルフラスコに、DA−6を16.4g(0.035mol)、及びDA−1を22.2g(0.091mol)量り取り、NMPを283.6g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA−2を6.51g(0.026mol)とNMPを47.7g添加し、50℃で2時間反応させた。その後、CA−4を28.8g(0.098mol)とNMPを87.9g添加し、引き続き12時間撹拌して15wt%のポリアミック酸溶液(B−3)(粘度:791mPa・s)を得た。
<合成例5>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの300mL四つ口フラスコに得られたポリアミック酸溶液(A−1)を100g量り取り、NMPを50g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を16.78g、ピリジンを5.20g加えて、50℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を600mlのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、同様の操作を2回実施することで樹脂粉末を洗浄した後、60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は71%であった。得られたポリイミド樹脂粉末3.60gを100ml三角フラスコに取り、固形分濃度が12%になるようにNMPを26.4g加え、70℃で24時間撹拌し溶解させてポリイミド溶液(A−1−PI)を得た。
上記合成例1〜5で得られたポリアミック酸溶液及びポリイミド溶液の要点を下記表1に示す。
Figure 2020116459
表1中の括弧内の数値は、テトラカルボン酸成分については、合成に使用したテトラカルボン酸誘導体の合計量100モル部に対する各化合物の配合割合(モル部)を表し、ジアミン酸成分については、合成に使用したジアミンの合計量100モル部に対する各化合物の配合割合(モル部)を表す。有機溶媒については、合成に使用した有機溶媒の合計量100質量部に対する各有機溶媒の配合割合(質量部)を表す。
[液晶配向剤の調製]
<比較例1>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、ポリイミド溶液(A−1−PI)を3.00g及びポリアミック酸溶液(B−1)を3.60g量り取り、更にNMPを0.63g、GBLを3.60g、BCSを3.0g、S−1を1重量%含むGBL溶液を0.90g、及びC−1を10重量%含むNMP溶液を0.27g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(R1)を得た。
<実施例1>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、ポリイミド溶液(A−1−PI)を3.67g及びポリアミック酸溶液(B−2)を5.50g量り取り、更にNMPを0.50g、GBLを4.90g、BCSを4.00g、S−1を1重量%含むGBL溶液を1.10g、及びC−1を10重量%含むNMP溶液を0.33g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(1)を得た。
<実施例2>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、ポリイミド溶液(A−1−PI)を3.00g及びポリアミック酸溶液(B−3)を3.60g量り取り、更にNMPを0.63g、GBLを3.60g、BCSを3.0g、S−1を1重量%含むGBL溶液を0.90g、及びC−1を10重量%含むNMP溶液を0.27g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(2)を得た。
<実施例3>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、ポリイミド溶液(A−1−PI)を3.00g及びポリアミック酸溶液(B−3)を3.60g量り取り、更にNMPを0.63g、GBLを3.60g、BCSを3.0g、S−1を1重量%含むGBL溶液を0.90g、C−2を0.027g、及びC−1を10重量%含むNMP溶液を0.27g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(3)を得た。
<実施例4>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、ポリイミド溶液(A−1−PI)を3.00g及びポリアミック酸溶液(B−3)を3.60g量り取り、更にNMPを0.45g、GBLを3.60g、BCSを3.0g、S−1を1重量%含むGBL溶液を0.90g、C−2を0.027g、及びC−1を10重量%含むNMP溶液を0.45g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(4)を得た。
上実施例1〜4及び比較例1で得られた液晶配向剤の要点を下記表2に示す。
Figure 2020116459
表2中の括弧内の数値は、重合体及び添加剤についてはそれぞれ液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100質量部に対する各重合体成分又は添加剤の配合割合(質量部)を表す。有機溶媒については、液晶配向剤の調製に使用した有機溶媒の合計量100質量部に対する各有機溶媒の配合割合(質量部)を表す。
<液晶表示素子の作製>
電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたIZO電極が形成されている。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてIZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されている。
第3層目の画素電極は、中央部分が内角160°で屈曲した「くの字」形状の電極要素を複数配列して構成された櫛歯状の形状を有する。各電極要素の短手方向の幅は3μmであり、電極要素間の間隔は6μmである。各画素を形成する画素電極が、中央部分の屈曲した「くの字」形状の電極要素を複数配列して構成されているため、各画素の形状は長方形状ではなく、電極要素と同様に中央部分で屈曲する、太字の「くの字」に似た形状を備える。そして、各画素は、その中央の屈曲部分を境にして上下に分割され、屈曲部分の上側の第1領域と下側の第2領域を有する。
また、上記電極付きのガラス基板(以下、第1のガラス基板ともいう。)とは別に、表面に高さ3.5μmの柱状スペーサーを有し裏面に帯電防止の為のITO膜が形成されている第2のガラス基板とを準備し、一組の液晶セルを作製した。
上記一組のガラス基板それぞれの表面に、孔径1.0μmのフィルターで濾過した液晶配向剤をスピンコート塗布にて塗布し80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた。その後、塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を所定量照射し、次いで230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜付き基板を得た。なお、第1のガラス基板に形成する液晶配向膜は、画素屈曲部の内角を等分する方向と液晶の配向方向とが直交するように配向処理し、第2のガラス基板に形成する液晶配向膜は、液晶セルを作製した時に第1の基板上の液晶の配向方向と第2の基板上の液晶の配向方向とが一致するように配向処理した。
次に、上記一組の液晶配向膜付きガラス基板の一方にシール剤を印刷し、もう一方の基板を液晶配向膜面が向き合うように貼り合わせ、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置してから評価に使用した。
[評価]
<コントラストの面内均一性>
シンテック社製OPTIPRO−microを用いて液晶表示素子のツイスト角の評価を行った。作製した液晶表示素子を測定ステージに設置し、電圧無印加の状態で、第1画素面内を20点測定して標準偏差を算出した。評価は、ツイスト角標準偏差が0.4以上の場合に「不良」とし、0.4未満の場合に「良好」とした。
<液晶配向の安定性評価>
上記評価に使用した液晶表示素子を用い、60℃の恒温環境下、周波数30Hzで10VPPの交流電圧を168時間印加した。その後、液晶表示素子の画素電極と対向電極との間を短絡させた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置の後、液晶表示素子を偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶表示素子の配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶表示素子を回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δを算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ値の平均値を液晶表示素子の角度Δとして算出した。この液晶表示素子の角度Δの値が0.1度を越える場合には、「不良」と評価した。この液晶セルの角度Δの値が0.1度を越えない場合には、「良好」と評価した。
<蓄積電荷の緩和特性の評価>
以下の光学系等を用いて残像の評価を行った。作製した液晶表示素子を偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でLEDバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように、液晶表示素子の配置角度を調整した。
次に、この液晶表示素子に周波数30Hzの交流電圧を印加しながらV−Tカーブ(電圧−透過率曲線)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を駆動電圧として算出した。
残像評価では、相対透過率が23%となる周波数30Hzの交流電圧を印加して液晶表示素子を駆動させながら、同時に1Vの直流電圧を印加し、40分間駆動させた。その後、印加直流電圧値を0Vにして直流電圧の印加のみを停止し、その状態で更に15分駆動した。
評価は、直流電圧の印加を開始した時点から45分間が経過するまでに、相対透過率が27%以下に低下した場合に、「良好」とした。相対透過率が27%以下に低下するまでに45分間以上を要した場合には、「不良」と評価した。
そして、上述した方法に従う残像評価は、液晶表示素子の温度が23℃の状態の温度条件下で行った。
<シール密着性の評価>
[サンプル作製]
30mm×40mmのITO基板に、上記で作製した液晶配向剤をスピンコートにて塗布した。80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた後、塗膜面に偏光板を介して254nmの紫外線を照射し、次いで230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に直径が4μmのビーズスペーサーを塗布した後、シール剤(協立化学製XN−1500T)を滴下した。次いで、他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、基板の重なり幅が1cmになるように、貼り合わせを行った。その際、貼り合わせ後のシール剤の直径が3mmとなるようにシール剤滴下量を調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、150℃1時間熱硬化させて、密着性評価用のサンプルを作製した。
[密着性の測定]
上記で作製したサンプル基板を卓上形精密万能試験機(島津製作所社製、AGS−X 500N)にて、上下基板の端の部分を固定した後、基板中央部の上部から押し込みを行い、剥離する際の強度(N)を測定した。この剥離強度(N)を接着面積(mm)で規格した値を各サンプルにおけるシール密着性(N/mm)とし、5N/mmよりも大きい場合に、「良好」と評価を行った。5N/mm未満の場合には、「不良」と評価した。
上実施例1〜4及び比較例1の各液晶表示素子についての評価結果を下記表3に示す。
Figure 2020116459
本発明の液晶配向剤は、IPS駆動方式やFFS駆動方式などの広範な液晶表示素子における液晶配向膜の形成に有用である。
なお、2018年12月4日に出願された日本特許出願2018−227376号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (19)

  1. 下記の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向剤。
    (A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(A)。
    (B)成分:下記式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体(B)。
    Figure 2020116459
    (R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1〜6の1価の有機基、又はフェニル基であり、R〜Rの少なくとも一つは上記定義中の水素原子以外の基を表す。Yは下記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基を表す。)
    Figure 2020116459
    (Qは−(CH−で表される構造であり(nは2〜20の整数である。)、任意の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。但し、酸素原子同士が直接結合することはない。)、2つのベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。*は結合手を表す。)
    Figure 2020116459
    (Xは芳香族酸二無水物に由来する4価の有機基を表す。Yは下記式(m)で表される部分構造を有する2価の有機基であり、*は結合手である。R30は水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Z31、Z32は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルキニル基、tert−ブトキシカルボニル基、又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基を表す。)
    Figure 2020116459
  2. (A)成分が下記式(2)で表される繰り返し単位を更に有する重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (Xは、5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基を表す。Yは前記式(H)で表される部分構造を有する2価の有機基を表す。)
  3. 前記式(1)のX、式(2)のXが、それぞれ独立して、下記式(X2−1)〜(X2−12)のいずれかで表される4価の有機基である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
  4. 前記式(1)、(2)のY、Yが、それぞれ独立して下記式(H−1)〜(H−6)のいずれかで表される部分構造を有する2価の有機基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
  5. 前記式(1)、(2)のY、Yが、それぞれ独立して、下記式(h−1)〜(h−7)のいずれかで表される2価の有機基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
  6. 前記重合体(A)が、更に、下記式(4)で表される繰り返し単位及び下記式(5)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (R41〜R44はそれぞれ前記式(1)のRからRと同義であり、Y、Yは下記式(I)で表される2価の有機基を表す。Xは前記式(2)のXと同義である。)
    Figure 2020116459
    (Qは単結合又は酸素原子を表し、nは0〜2を表す。ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。)
  7. 前記式(4)のY及び前記式(5)のYが、下記式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表される2価の有機基である、請求項6に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (*は結合手を表す。)
  8. 前記重合体(A)が、更に下記式(6)で表される繰り返し単位及び下記式(7)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (R61からR64はそれぞれ前記式(1)のRからRと同義であり、Y、Yはそれぞれ独立して下記式(J−1)で表される部分構造を有する2価の有機基、又は下記式(J−2)で表される2価の有機基を表す。Xは前記式(2)のXと同義である。)
    Figure 2020116459
    (Qは単結合、−(CH−(nは1〜20の整数である)、又は−(CH−の任意の−CH−がそれぞれ隣り合わない条件で−O−、−COO−、−OCO−、−NQ−、−NQCO−、−CONQ−、−NQCONQ10−、−NQCOO−、−OCOO−に置き換えられる基であり、Q及びQ10はそれぞれ独立して水素原子又は1価の有機基を表し;
    、Qはそれぞれ独立して−H、−NHD、−N(D)、−NHDを有する基、−N(D)を有する基を表す。Qは−NHD、−N(D)、−NHDを有する基、−N(D)を有する基を表す。Dはカルバメート系保護基を表す。但し、Q、Q及びQの少なくとも一つは基中にカルバメート系保護基を有する。*1は結合手を表す。)、
  9. 前記式(J−1)で表される部分構造が、下記式(J−1−a)〜(J−1−d)のいずれかで表される部分構造である、請求項8に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
  10. 前記式(3)のXが、下記式(X3−1)〜(X3−2)から選ばれる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (x及びyは、それぞれ独立に、単結合、エーテル、カルボニル、エステル、炭素数1〜5のアルカンジイル基、1,4−フェニレン、スルホニル又はアミド基である。j及びkは、それぞれ独立に、0又は1である。*は結合手を表す。)
  11. 前記式(3)のYが、(Y3−1)又は(Y3−2)で表される2価の有機基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
  12. 前記重合体(B)が、下記式(8)で表される繰り返し単位及び下記式(9)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2020116459
    (Xは5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基であり、Xは5員環以上の脂環構造を有する4価の有機基又は芳香族酸二無水物に由来する4価の有機基を表す。Yは前記式(3)のYと同義である。Yは下記式(n−1)又は(n−2)で表される部分構造を有する2価の有機基である。Z81、Z82、Z91、Z92は、前記式(3)のZ31、Z32と同義である。R、Rはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Q、Qは水素原子又はメチル基を表す。)
    Figure 2020116459
  13. 前記重合体(A)と前記重合体(B)との含有割合が、重合体(A)/重合体(B)の重量比で5/95〜95/5である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
  15. 請求項14に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
  16. 下記の工程(A)〜(C)を有する液晶配向膜の製造方法。
    工程(A):請求項1〜13のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布する工程。
    工程(B):工程(A)で得られた液晶配向剤の塗膜を加熱して膜を得る工程。
    工程(C):工程(B)で得られた膜に偏光された紫外線を照射する工程。
  17. 下記の工程(D)を更に含む、請求項16に記載の液晶配向膜の製造方法。
    工程(D):工程(C)で得られた膜を、100℃以上で、且つ工程(B)よりも高い温度で焼成する工程。
  18. 前記工程(B)において塗膜を40〜180℃の温度範囲で加熱する、請求項16〜17のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法。
  19. 請求項16〜18のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法により得られる液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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