JPWO2020110995A1 - 耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物 - Google Patents

耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物 Download PDF

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Abstract

この耐火構造物の設計方法では、構造計算を行うことにより、スラブ、スラブを下方から支持する複数の梁、及び複数の梁を支持する柱の配置を決定する構造決定工程と、スラブから区画された床部の周囲を、梁に耐火被覆を施した耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、結合隅部に延長梁を結合させ、延長梁における結合隅部に結合された部分とは異なる部分を耐火被覆柱で支持するように設定する第1支持仕様決定工程と、結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、耐火被覆柱よりも耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する第2支持仕様決定工程と、を行う。

Description

本発明は、耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物に関する。
本願は、2018年11月27日に、日本に出願された特願2018−221046号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、鉄骨造の構造物が知られている(例えば、非特許文献1参照)。鉄骨造の構造物は、柱及び梁を互いに接合し、梁上で床(スラブ)を支持して構成される。床は、平面視で複数の隅部を有する矩形状に形成されている。柱は、床の複数の隅部のそれぞれを下方から支持している。
構造物では、耐火性能を高めるために、鉄骨造の柱、梁に耐火被覆を施す場合がある。耐火被覆を施された柱は、耐火被覆柱となる。耐火被覆を施された梁は、耐火被覆梁となる。
構造物で火災が発生すると、柱及び梁の温度は高くなる。しかしながら、耐火被覆柱及び耐火被覆梁は、それぞれの温度が高くなっても一定の剛性及び耐力を維持する。よって、耐火被覆柱及び耐火被覆梁は、火災時でも床を支持することができる。一方で、耐火被覆を施していない柱及び梁、耐火被覆柱及び耐火被覆梁よりも耐火被覆が削減された柱及び梁では、火災時には剛性及び耐力が無くなる。火災時には、これらの剛性及び耐力が小さくなるとみなされる場合がある。耐火被覆を施していない柱及び梁等を備える構造物では、耐火性能が低下する。
柱及び梁に耐火被覆を施すのには多大な労力を要するため、耐火被覆を省略することが望まれている。
一般的に構造物は、柱、梁、及びスラブ等により構成される。スラブは、引張力伝達部材を含む。例えば、引張力伝達部材は鉄筋である。柱に耐火被覆を施して耐火被覆柱としたり、梁に耐火被覆を施して耐火被覆梁とすることで、構造物が耐火構造物となる。スラブは、柱及び梁により、平面視で複数の隅部を有する矩形状の床部に区画される。
図31に示すように、特許文献1に開示された耐火構造物300を設計する耐火構造物の設計方法では、耐火被覆柱部材301と減耐火被覆柱部材302との間に、梁部材303が接合されるように設定されている。なお、図31以下の図では耐火被覆が削減されることなく施された柱及び梁に、ハッチングを付して示している。
耐火被覆柱部材301は、耐火被覆が施された柱部材である。減耐火被覆柱部材302は、耐火被覆柱部材301よりも耐火被覆が削減された柱部材である。
耐火構造物300の平面視において、複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302が、幅方向E1及び奥行方向E2にそれぞれ互いに間隔を空けて並べて配置されている。複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302は、全体として格子状(grid)に配置されている。この際に、減耐火被覆柱部材302に対して幅方向E1及び奥行方向E2にそれぞれ隣り合う柱部材が耐火被覆柱部材301となるように配置されている。梁部材303は、格子状に配置された複数の耐火被覆柱部材301及び複数の減耐火被覆柱部材302同士を接合している。
複数の梁部材303には、合成スラブ304が架設されている。図示はしないが、合成スラブ304は、コンクリートと、デッキプレートと、スラブ筋(引張力伝達部材)と、を有している。デッキプレートは、打込み鋲接合又はボルト接合等により梁部材303の上面に固定されている。
以上のように構成された耐火構造物300において、耐火被覆柱部材301では、外気温が常温の通常時だけでなく火災時においても剛性及び耐力が維持できる。一方で、減耐火被覆柱部材302では、通常時において剛性及び耐力が維持できるが、火災時においては剛性及び耐力が維持できない。火災時において、減耐火被覆柱部材302の剛性及び耐力が無くなるとみなされる。
火災時における耐火構造物300は、図32及び図33に示すように変形する。なお、図32では合成スラブ304を示していない。図33では、変形後の減耐火被覆柱部材302及び合成スラブ304を二点鎖線で示している。
図32において、隣り合う耐火被覆柱部材301を結ぶ中心線M1上に配置された合成スラブ304を、以下では線上スラブ304aと言う。耐火被覆柱部材301、減耐火被覆柱部材302、梁部材303、及び合成スラブ304は、通常時だけでなく火災時においても重力の影響を受ける。
火災時において耐火被覆柱部材301の剛性及び耐力は維持できるため、図32及び図33に示すように火災時においても線上スラブ304aの上下方向E3の位置が保持される。これに対して、減耐火被覆柱部材302は火災時において剛性及び耐力が無くなるため、図33中に二点鎖線で示すように下方に向かって移動する(折れ曲がる)。
線上スラブ304a以外は上下方向E3の位置が保持されないため、合成スラブ304の各部分は、線上スラブ304aから離間するに従い、合成スラブ304に作用する重力により下方に向かって移動する。このため、火災時において、合成スラブ304は、線上スラブ304aを中心として上方に向かって凸となるように湾曲する。
湾曲した合成スラブ304では、コンクリートが圧縮力を受け、スラブ筋が引張り力を受けることで、合成スラブ304が曲げモーメントB1に耐える。合成スラブ304は、合成スラブ304に作用する重力に曲げモーメントB1により抵抗する。
以上のように、耐火構造物300では、減耐火被覆柱部材302は耐火被覆柱部材301よりも耐火被覆が削減されている。しかし、耐火構造物300では、耐火構造物300の骨組みのロバストネス(Robustness、冗長性、余裕度)が生じる。このロバストネスにより、減耐火被覆柱部材302の耐火被覆が削減されていても、火災時において耐火被覆柱部材301により合成スラブ304が支持される。
特許文献2に開示された防爆耐火性被膜厚さ算出方法では、コンクリート構造体と、コンクリート構造体の表面に設けられた防爆耐火性被覆層と、を備える試験体を作製する。そして、試験体を加熱して温度の経時変化を測定し、試験体の深さと温度との関係を導く。その関係に基づいて、コンクリート構造体の温度が耐熱許容温度以下であるか否かを判定する。さらに、その結果に基づいて防爆耐火性被覆層の厚さを算出する。
特許文献3に開示されたスラブ構造は、大梁と、鉄骨小梁と、スラブと、を備えている。大梁は、耐火性能を有し、柱間に架け渡されている。鉄骨小梁の全体又は一部は、耐火被覆処理されない。鉄骨小梁は、大梁に接合されている。スラブは、鉄筋コンクリート製である。スラブは、大梁と鉄骨小梁とに支持される。
特許文献4に開示された耐火構造は、複数の柱部材と、複数の大梁と、小梁と、床スラブと、を備えている。
各大梁は、柱部材に架設されている。複数の大梁は、小梁に対して略直交させて設けられる一対の直交大梁と、小梁に対して略平行に設けられる一対の平行大梁とを有している。直交大梁及び平行大梁の何れか一方の大梁(以下、第1大梁と言う)に、耐火被覆が施される。直交大梁及び平行大梁の何れか他方となる大梁並びに小梁の耐火被覆は、第1大梁に施された耐火被覆よりも削減される。小梁は、複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられる。床スラブは、大梁及び小梁の上方に設けられる。
日本国特開2017−031592号公報 日本国特開2008−303646号公報 日本国特開2017−190586号公報 日本国特開2018−003556号公報
Olivier Vassart, Bin Zhao "MEMBRANE ACTION OF COMPOSITE STRUCTURES IN CASE OF FIRE", 2013 No.132, ECCS, Technical Committee 3 Fire Safety.
特許文献1,3,及び4に開示された耐火構造物の設計方法では、床部のいずれの隅部も、柱部材(柱)により支持されている。このため、床部の隅部における設計の自由度が限定されている。
なお、特許文献2には、床部の隅部における支持構造に関する記載は無い。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、耐火性能を維持しつつ、床部の隅部における設計の自由度を高めて、床部の複数の隅部を支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の第一の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱の配置を決定する構造決定工程と、前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記耐火被覆柱で支持するように設定する第1支持仕様決定工程と、前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する第2支持仕様決定工程と、を行う耐火構造物の設計方法である。
(2)前記(1)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記前記床部の撓みの最大値が、(1)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行ってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(1)
ただし、Lは前記床部の主面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の主面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
(3)前記(2)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記判定工程において、前記床部の撓みの最大値が前記閾値K未満でないときには、前記耐火仕様決定工程を、前記スラブから区画される前記床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、前記耐火被覆を施す前記複数の梁の少なくとも一部を変えて行い、さらに、前記第1支持仕様決定工程及び前記第2支持仕様決定工程を行った後で、前記判定工程を行ってもよい。
(4)本発明の第二の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱の配置を決定する構造決定工程と、前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁、及び前記柱に耐火被覆を施した前記第1耐火被覆柱の前記一部により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記第2耐火被覆柱で支持するように設定する第1支持仕様決定工程と、前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する第2支持仕様決定工程と、を行う耐火構造物の設計方法である。
(5)前記(4)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記前記床部の撓みの最大値が、(2)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行ってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(2)
ただし、Lは前記床部の主面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の主面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
(6)前記(5)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記判定工程において、前記床部の撓みの最大値が前記閾値K未満でないときには、前記耐火仕様決定工程を、前記スラブから区画される前記床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、前記耐火被覆を施す前記複数の梁、及び前記耐火被覆を施す前記複数の柱の少なくとも一部を変えて行い、さらに、前記第1支持仕様決定工程及び前記第2支持仕様決定工程を行った後で、前記判定工程を行ってもよい。
(7)本発明の第三の態様は、耐火構造物は、前記(1)から(6)のいずれかに記載の耐火構造物の設計方法により設計された耐火構造物である。
(8)本発明の第四の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱を施工する柱梁施工工程と、前記梁に耐火被覆を施して前記耐火被覆梁とすることで、前記スラブから区画された前記床部の周囲を前記耐火被覆梁により下方から支持させる被覆施工工程と、前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記耐火被覆柱で支持する第1支持工程と、前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させる第2支持工程と、を行う耐火構造物の施工方法ある。
(9)本発明の第五の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱を施工する柱梁施工工程と、前記梁に耐火被覆を施して前記耐火被覆梁とし、前記柱に耐火被覆を施して前記第1耐火被覆柱とすることで、前記スラブから区画された前記床部の周囲を前記耐火被覆梁及び前記第1耐火被覆柱の前記一部により下方から支持させるようにする被覆施工工程と、前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記第2耐火被覆柱で支持する第1支持工程と、前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させる第2支持工程と、を行う耐火構造物の施工方法である。
(10)本発明の第六の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物である。
(11)前記(10)に記載の耐火構造物では、前記耐火被覆梁よりも前記耐火被覆が削減され、環状の前記耐火被覆梁により囲まれた領域内に配置されて、端部が前記耐火被覆梁に接合されて前記床部を下方から支持する減耐火被覆梁を備えてもよい。
(12)前記(10)又は(11)に記載の耐火構造物では、前記多角形状は、矩形状であってもよい。
(13)前記(10)から(12)のいずれかに記載の耐火構造物では、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(3)式で定められた閾値K未満であってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(3)
ただし、Lは前記床部の主面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の主面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
(14)前記(10)から(13)のいずれかに記載の耐火構造物では、前記引張力伝達部材は、前記第1交差方向に沿って延び、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力を伝達する第1鉄筋と、前記第2交差方向に沿って延び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力を伝達する第2鉄筋とを有してもよい。
(15)本発明の第七の態様は、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、を備え、前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物である。
(16)本発明の第八の態様は、耐火被覆が施され、水平面に沿う第1交差方向に並べて配置されるとともに、水平面に沿い前記第1交差方向に交差する第2交差方向に第1のピッチで並べて配置された複数の耐火被覆柱と、耐火被覆が施され、前記第1交差方向に沿って延びるとともに前記第2交差方向に互いに間隔を開けて配置された一対の第1耐火被覆梁と、耐火被覆が施され、前記第2交差方向に沿って延びて、前記第1のピッチとは異なる長さに形成され、両端が前記一対の第1耐火被覆梁に直接接合されるとともに、前記複数の耐火被覆柱にそれぞれ接合された一対の第2耐火被覆梁と、引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で4つの隅部を有する四角形状に区画され、前記一対の第1耐火被覆梁及び前記一対の第2耐火被覆梁により周囲が下方から支持された床部と、耐火被覆が施され、前記床部の前記4つの隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、を備え、前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達し、前記複数の耐火被覆柱の少なくとも1つは、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火構造物である。
前記(1)に記載の構成において、結合隅部を柱により直接的に支持させないとは、結合隅部が梁を介さずに柱により支持されることはないことを意味する。ただし、結合隅部を柱により直接的に支持させないとは、結合隅部が梁を介して柱により支持されることを排除する意味ではない。
前記(1)に記載の構成によれば、構造決定工程及び耐火仕様決定工程を行うことで、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁により下方から支持させるように設定される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持するように設定することができる。なお、ここで言う耐火構造物の耐火性能とは、火災時に床部の撓みを抑えることや、曲げ耐力よりも外力が大きくなることを抑えることを意味する。
第1支持仕様決定工程において、延長梁を介して結合隅部が耐火被覆柱により支持されるように設定される。さらに、第2支持仕様決定工程において、結合隅部が、柱により直接的に支持させないか、減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定される。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(8)に記載の構成によれば、柱梁施工工程及び被覆施工工程を行うことで、床部の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁により下方から支持させる。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
第1支持工程を行うと、延長梁を介して結合隅部を耐火被覆柱により支持する。さらに、第2支持工程を行うと、結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、減耐火被覆柱により下方から支持させる。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(10)に記載の構成によれば、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁により下方から支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物では、延長梁を介して結合隅部が耐火被覆柱により支持される。さらに、結合隅部が、柱により直接的に支持されないか、減耐火被覆柱により下方から支持される。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(4)に記載の構成によれば、構造決定工程及び耐火仕様決定工程を行うことで、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により下方から支持させるように設定される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持するように設定することができる。
第1支持仕様決定工程において、延長梁を介して結合隅部が第2耐火被覆柱により支持するように設定される。さらに、第2支持仕様決定工程において、結合隅部が、柱により直接的に支持させないか、減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定される。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(9)に記載の構成によれば、柱梁施工工程及び被覆施工工程を行うことで、床部の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により下方から支持させる。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
第1支持工程を行うと、延長梁を介して結合隅部を第2耐火被覆柱により支持する。さらに、第2支持工程を行うと、結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、減耐火被覆柱により下方から支持させる。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(15)に記載の構成によれば、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により下方から支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるようにむ。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁及び第1耐火被覆柱の一部により支持される。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物では、延長梁を介して結合隅部が第2耐火被覆柱により支持される。さらに、結合隅部が、柱により直接的に支持されないか、減耐火被覆柱により下方から支持される。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(16)に記載の構成によれば、床部の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の第1耐火被覆梁及び第2耐火被覆梁により下方から支持される。床部に含まれている引張力伝達部材は、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する。火災時には、床部に作用する重力等により、床部の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、床部の周囲が耐火被覆梁により支持さる。そして、床部が撓むことにより伸びた引張力伝達部材が第1交差方向及び第2交差方向にそれぞれ引張力を伝達することにより、床部の中央部が支持される。従って、耐火構造物の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物では、延長梁を介して結合隅部が耐火被覆柱により支持される。さらに、結合隅部が、柱により直接的に支持されないか、減耐火被覆柱により下方から支持される。従って、床部の結合隅部における設計の自由度を高めるとともに、少なくとも1つの結合隅部を支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
前記(2)及び(5)に記載の構成によれば、判定工程において、床部の撓みの最大値が閾値未満であるか否かを判定することができる。
前記(3)に記載の構成によれば、床部の撓みの最大値が閾値K未満でないときに、耐火仕様決定工程において、スラブから区画される床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁、及び耐火被覆を施す複数の柱の少なくとも一部を変えて行う。これにより、判定工程において、再び床部の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
前記(6)に記載の構成によれば、床部の撓みの最大値が閾値K未満でないときに、耐火仕様決定工程において、スラブから区画される床部の形状及び大きさの少なくとも一方、及び耐火被覆を施す複数の柱が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁の少なくとも一部を変えて行う。これにより、判定工程において、再び床部の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
前記(7)に記載の構成によれば、本発明の耐火構造物の設計方法により耐火構造物を設計することができる。本発明の耐火構造物の設計方法は、耐火性能を維持しつつ、床部の隅部における設計の自由度を高めることができる方法である。そして、本発明の耐火構造物の設計方法は、床部の複数の隅部を下方から支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる方法である。
前記(11)に記載の構成によれば、火災が発生していない通常時において、床部が撓むのを抑えることができる。
前記(12)に記載の構成によれば、複数の床部をコンパクトに並べて配置しやすくすることができる。
前記(13)に記載の構成によれば、床部のメンブレン効果が効果的に発揮され、床部が下方に向かって撓み難くすることができる。
前記(14)に記載の構成によれば、第1鉄筋及び第2鉄筋という簡単な構成で、床部の第1交差方向の端部間の引張力、及び、床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達することができる。
本発明の耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物によれば、耐火性能を維持しつつ、床部の隅部における設計の自由度を高めて、床部の複数の隅部を支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる。
本発明の第1実施形態の耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 図1中の切断線A1−A1の断面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第1変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第2変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第3変形例を示す平面図である。 同耐火構造物の第1鉄筋の第4変形例を示す平面図である。 図1中の切断線A2−A2の断面図である。 本発明の第1実施形態の耐火構造物の設計方法を示すフローチャートである。 同耐火構造物の設計方法における構造決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物の設計方法における耐火仕様決定工程を説明する斜視図である。 同耐火構造物の設計方法において、耐火被覆梁及び減耐火被覆梁の配置を調節した例を示す斜視図である。 同耐火構造物に通常時に作用する外力を説明する、同耐火構造物の分解斜視図である。 同耐火構造物に火災時に作用する外力を説明する、同耐火構造物の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の耐火構造物の施工方法を示すフローチャートである。 比較例の耐火構造物が用いられる建築物一部を透過させた斜視図である。 比較例の耐火構造物の第1床部の縦断面図である。 比較例の耐火構造物における、時間に対する各部分の温度の変化を示す図である。 比較例の耐火構造物における、時間に対する第1床部の撓みの最大値の変化を示す図である。 比較例の耐火構造物における、時間に対する曲げ耐力及び外力の変化を示す図である。 比較例の耐火構造物における、時間に対する(外力/曲げ耐力)の値の変化を示す図である。 実施例の耐火構造物が用いられる建築物一部を透過させた斜視図である。 実施例の耐火構造物における、時間に対する各部分の温度の変化を示す図である。 実施例の耐火構造物における、時間に対する第1床部の撓みの最大値の変化を示す図である。 実施例の耐火構造物における、時間に対する曲げ耐力及び外力の変化を示す図である。 実施例の耐火構造物における、時間に対する(外力/曲げ耐力)の値の変化を示す図である。 本発明の第1実施形態の変形例における耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 本発明の第1実施形態の変形例における耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 本発明の第1実施形態の変形例における耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 本発明の第2実施形態の耐火構造物が用いられる建築物の一部を透過させた斜視図である。 本発明の第3実施形態の耐火構造物が用いられる建築物の横断面図である。 従来の耐火構造物の斜視図である。 火災時における同耐火構造物の要部を模式的に示す平面図である。 図32中の切断線A11−A11の断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る耐火構造物の第1実施形態が用いられる建築物を、図1から図28を参照しながら説明する。
図1に示すように、この建築物1は、本実施形態の耐火構造物11と、支持構造物41と、を備えている。
耐火構造物11は、第1床部(床部)12と、第1耐火被覆梁(耐火被覆梁)13A,13Bと、第2耐火被覆梁(耐火被覆梁)14A,14Bと、減耐火被覆梁15A,15B,15Cと、耐火被覆柱16A,16Bと、延長梁17A,17Bと、耐火被覆柱18A,18Bと、を備えている。
なお、図1以下では、隣り合う耐火被覆梁の境界を、太線の実線で示している。図1では、第1床部12、及び支持構造物41の後述する第2床部42を透過して示している。
第1床部12は、上下方向Zが厚さ方向となる板状に形成されている。第1床部12は、上下方向Zに見た平面視で複数(本実施形態では4つ)の隅部12a,12b,12c,12d(以下、隅部12a〜12dと略して記載する場合がある)を有する矩形状(多角形状)に形成されている。ここで言う隅部12a〜12dとは、第1床部12において、平面視における第1床部12の隣り合う外縁同士が連結される部分の近傍の領域のことを意味する。平面視における第1床部12の一部の外縁は、第1床部12の平面12e内で第1交差方向Xに沿って延びている。平面12eは、第1床部12の厚さ方向に直交する第1床部12の外面(上面、主面)である(図2も参照のこと)。平面視における第1床部12の残部の外縁は、第1床部12の平面12e内で第2交差方向Yに沿って延びている。第1交差方向X及び第2交差方向Yは、平面12eに沿う方向であって、互いに直交(交差)する方向である。
なお、本実施形態では、第1交差方向X及び第2交差方向Yはそれぞれ水平面に沿う方向としているが、第1交差方向X及び第2交差方向Yはそれぞれ水平面に対して傾斜する方向としてもよい。
図2に示すように、第1床部12は、いわゆる合成スラブ(Composite Slab)である。第1床部12は、第1デッキプレート(引張力伝達部材)21と、第1コンクリート(コンクリート)22と、鉄筋(引張力伝達部材)23と、を備えている。なお、第1床部12は第1デッキプレート21及び第1コンクリート22を備えなくてもよいし、第1床部12は鉄筋23及び第1コンクリート22を備えなくてもよい。第1床部12が備える引張力伝達部材は、第1デッキプレート21、鉄筋23に限定されない。
例えば、第1デッキプレート21は、鋼板を曲げ加工して形成されている。第1デッキプレート21の周囲は、第1耐火被覆梁13A,13B、及び第2耐火被覆梁14A,14Bにより下方から支持されている。
第1コンクリート22は、平面視において第1床部12と同一形状なる板状に形成されている。第1コンクリート22は、第1デッキプレート21上に配置されている。
鉄筋23は、第1コンクリート22内に埋設されている。鉄筋23は、複数の第1鉄筋25と、複数の第2鉄筋26と、を備えている。なお、図1中には、第1鉄筋25及び第2鉄筋26をそれぞれ2つずつのみ二点鎖線で示す。
図1及び図2に示すように、各第1鉄筋25は、第1交差方向Xに沿って延びている。各第1鉄筋25は、第1コンクリート22(第1床部12)の第1交差方向Xの端部間の引張力を伝達する。すなわち、各第1鉄筋25は、第1コンクリート22の第1交差方向Xの第1端部と、第1コンクリート22の第1交差方向Xの第1端部とは反対の第2端部と、の間にわたって延びている。そして、各第1鉄筋25は、第1コンクリート22の第1端部と第2端部との間に作用する引張力を、第1コンクリート22の第1端部と第2端部との間にわたって伝達する。複数の第1鉄筋25は、第2交差方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。
同様に、各第2鉄筋26は、第2交差方向Yに沿って延びている。各第2鉄筋26は、第1コンクリート22の第2交差方向Yの端部間の引張力を伝達する。複数の第2鉄筋26は、第1交差方向Xに互いに間隔を開けて配置されている。
なお、以下では、第1鉄筋25及び第2鉄筋26の構成の詳細について、第1鉄筋25を例にとって説明する。
第1鉄筋25は、第1コンクリート22の第1交差方向Xの端部間の引張力を伝達できるものであれば、特に限定されない。第1鉄筋25は、第1コンクリート22の第1交差方向Xの第1端部と第2端部との間にわたって1本の鉄筋で形成されてもよいが、以下のように構成されてもよい。第1鉄筋25には、丸鋼、異形棒鋼、溶接金鋼等が用いられる。
図3に示す第1変形例のように、第1鉄筋25Aが、鉄筋片27a,27bと、鉄筋片27a,27bの端部同士を連結する連結鉄筋27cと、を備えてもよい。鉄筋片27a,27b及び連結鉄筋27cは、第1鉄筋25と同様の材料で形成されている。
鉄筋片27aの端部と連結鉄筋27cの第1端部とは、溶接により形成された溶接部28により接合されている。鉄筋片27bの端部と連結鉄筋27cの第1端部とは反対の第2端部とは、溶接部28により接合されている。
図4に示す第2変形例のように、第1鉄筋25Bが、鉄筋片27aと、鉄筋片27bと、を備えてもよい。鉄筋片27aの端部と鉄筋片27bの端部とは、溶接部28により接合されている。
図5に示す第3変形例のように、第1鉄筋25Cが、鉄筋片27a,27bと、番線(針金)29と、を備えてもよい。鉄筋片27aと鉄筋片27bとは、予め定められた必要長さ重ねられた状態で、番線29により結び付けられている。鉄筋片27aと鉄筋片27bとは、付着(bonding)により、互いに接合されている。
図6に示す第4変形例のように、第1鉄筋25Dが、鉄筋片27a,27bと、機械式継手30と、を備えてもよい。機械式継手30は、カップリング等である。機械式継手30は、鉄筋片27a,27bの端部をそれぞれ挟み付けることにより、鉄筋片27aと鉄筋片27bとを接合している。
第2鉄筋26は、第1鉄筋25と同様に構成されている。
図7に示すように、第1鉄筋25の第1交差方向Xの端部には、下方に向かって折曲げられた折曲げ部25aが形成されていてもよい。折曲げ部25aは、複数の第2鉄筋26のうち、第1交差方向Xの最も外側に配置された第2鉄筋26の外側から、下方に向かって延びている。
なお、鉄筋23が備える第1鉄筋25の数は特に限定されず、1つでもよい。鉄筋23が備える第2鉄筋26の数は特に限定されず、1つでもよい。
この例では、図2に示すように、第1耐火被覆梁13Aは、耐火被覆33Aが施されたH形鋼34Aである。耐火被覆33Aには、ロックウール、グラスウール等の断熱材が用いられる。耐火被覆33Aは、H形鋼34Aの外面に巻き付けられたり、吹き付けられている。耐火被覆33Aは、吹き付け・塗装工法、成型板工法、巻き付け工法等で形成されている。
図1に示すように、第1耐火被覆梁13Aは、第1床部12の隅部12a,12bを結ぶ外縁の下方に配置されている。
なお、第1耐火被覆梁13Aに、RC(Reinforced Concrete)、SRC(Steel Reinforced Concrete construction)が用いられてもよい。
第1耐火被覆梁13Bは、第1耐火被覆梁13Aと同様に構成されている。第1耐火被覆梁13A,13Bは、第1交差方向Xに沿ってそれぞれ延び、第2交差方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。第1耐火被覆梁13Bは、第1床部12の隅部12c,12dを結ぶ外縁の下方に配置されている。
第2耐火被覆梁14A,14Bは、第1耐火被覆梁13Aと同様に構成されている。すなわち、第2耐火被覆梁14A,14Bには耐火被覆が施されている。第2耐火被覆梁14A,14Bは、第2交差方向Yに沿ってそれぞれ延び、第1交差方向Xに互いに間隔を開けて配置されている。
図2に示すように、第1耐火被覆梁13A,13Bの両端は、第2耐火被覆梁14A,14Bにそれぞれ接合されている。なお、図2には、第1耐火被覆梁13A,13B及び第2耐火被覆梁14A,14Bの接合状態のうちの一部のみを示す。
以下、耐火被覆梁13A,13B,14A,14Bを区別しないで言うときには、耐火被覆梁13,14と略して言う。図1に示すように、耐火被覆梁13,14は、全体として平面視で矩形の枠である環状(ring、角環状)に形成されている。なお、耐火被覆梁は、全体として平面視で、多角形の枠である環状や、円形の枠である環状(円環状)等に形成されてもよい。
耐火被覆梁13,14は、第1床部12の周囲を全周にわたって下方から支持している。なお、耐火被覆梁13,14は、第1床部12の周囲の一部を下方から支持していてもよい。
第1床部12は、耐火被覆梁13,14の上面に設けられたスタッド35等により、耐火被覆梁13,14に固定されている(図2参照)。具体的には、スタッド35は第1デッキプレート21を貫通し、第1コンクリート22内に埋め込まれている。
ここで図7を用いて、第1コンクリート22及び第1鉄筋25の第1交差方向Xの端部と、第2耐火被覆梁14Aと、の位置関係について説明する。第2耐火被覆梁14Aは、第1耐火被覆梁13Aの耐火被覆33A、H形鋼34Aと同様に構成された、耐火被覆37A、H形鋼38Aを備えている。H形鋼38Aは、上フランジ38Aa及び下フランジ38Abが、ウェブ38Acを介して互いに接合されて構成されている。
ここで、H形鋼38Aの上フランジ38Aaにおける、平面視において第1床部12の中央部側の端縁を、端縁38Aa1と言う。上フランジ38Aaにおける端縁38Aa1とは反対側の端縁を、端縁38Aa2と言う。ウェブ38Acの第1交差方向Xの中心を、板中心38Ac1と言う。
例えば、第1コンクリート22の第1交差方向Xの端は、端縁38Aa2に一致している。
第1交差方向Xにおいて、第1鉄筋25の第1交差方向Xの端は、平面視における第1床部12の中央部側から端縁38Aa1に達している。第1鉄筋25のこの端部は、第1交差方向Xにおいて板中心38Ac1に達していることがより好ましい。
第2鉄筋26の第2交差方向Yの端部についても同様である。
減耐火被覆梁15Aは、耐火被覆梁13,14よりも耐火被覆が削減された梁である。減耐火被覆梁15Aは、耐火被覆が施されていないH形鋼でもよい。減耐火被覆梁15Aは、耐火被覆梁13,14よりも耐火被覆が削減されてはいるが、幾分かの耐火被覆が施されたH形鋼でもよい。
例えば、耐火被覆梁13,14、及び耐火被覆柱16A,16B等におけるロックウール等の耐火被覆の厚さを、「吹付けロックウール被覆耐火構造 施工品質管理指針(ロックウール工業会 吹付け部会)」に準拠して設定する。耐火被覆梁13,14等に1時間耐火が要求される場合には、耐火被覆の厚さを25mmとする。同様に、耐火被覆梁13,14等に2時間耐火が要求される場合には、耐火被覆の厚さを45mmとする。耐火被覆梁13,14等に3時間耐火が要求される場合には、耐火被覆の厚さを65mmとする。本明細書において、耐火被覆が施された梁、柱は、例えばこの仕様の耐火被覆が施された梁、柱のことを意味する。
この場合に、減耐火被覆梁15Aにおける耐火被覆の厚さを、それぞれの耐火性能に応じた耐火被覆梁13,14における耐火被覆の厚さの1/10〜1/2程度とする。
減耐火被覆梁15B,15Cは、減耐火被覆梁15Aと同様に構成されている。以下、減耐火被覆梁15A,15B,15Cを区別しないで言うときには、減耐火被覆梁15と略して言う。耐火被覆柱16A,16B等についても同様である。
図1に示すように、減耐火被覆梁15は、環状の耐火被覆梁13,14により囲まれた領域R1内に配置されている。減耐火被覆梁15は、第1耐火被覆梁13Aと第1耐火被覆梁13Bとの間で、第1交差方向Xに沿ってそれぞれ延びている。減耐火被覆梁15は、第2交差方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。減耐火被覆梁15の両端は、第2耐火被覆梁14A,14Bにそれぞれ接合されている。
減耐火被覆梁15は、平面視における第1床部12の中央部等を下方から支持している。
耐火被覆柱16Aには、耐火被覆が施された鋼柱(H形鋼、十字鉄骨、角形鋼管、円形鋼管等)が用いられている。なお、耐火被覆柱16Aに、RC,SRC,CFT(Concrete Filled steel Tube)が用いられてもよい。
耐火被覆柱16Bは、耐火被覆柱16Aと同様に構成されている。以下、耐火被覆柱16A,16Bを区別しないで言うときには、耐火被覆柱16と略して言う。
耐火被覆柱16は、上下方向Zに沿ってそれぞれ延びている。耐火被覆柱16Aの上端部は、第1耐火被覆梁13Bと第2耐火被覆梁14Aとの接合部、及び第1床部12の隅部12cにそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Bの上端部は、第1耐火被覆梁13Bと第2耐火被覆梁14Bとの接合部、及び第1床部12の隅部12dにそれぞれに接合されている。
第1床部12の隅部12a,12bは、柱(耐火被覆柱及び減耐火被覆柱を含む)により直接的に支持されない。ここで隅部12aが柱により直接的に支持されないとは、隅部12aが梁を介さずに柱により支持されることはないことを意味する。具体的には、隅部12aの下方に柱を配置して、隅部12aと柱とを接触させた状態にすることはないことを意味する。ただし、隅部12aが柱により直接的に支持されないとは、隅部12aが梁を介して柱により支持されることを排除する意味ではない。隅部12bについても同様である。
以下では隅部12aを結合隅部12aとも言い、隅部12bを結合隅部12bとも言う。結合隅部12a,12bは、第1床部12の複数の隅部12a〜12dのうちの2つである。
なお、結合隅部12a,12bは、耐火被覆柱よりも耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持されてもよい。第1床部12における柱により直接的に支持されない隅部は、隅部12a,12bであるとしたが、隅部12a〜12dのうちの1つであってもよいし、隅部12a〜12dのうちの3つ又は4つであってもよい。
延長梁17Aは、第1耐火被覆梁13Aと同様に構成されている。図示はしないが、例えば延長梁17Aは、耐火被覆が施されたH形鋼である。延長梁17Aは、第2交差方向Yに沿って延びている。延長梁17Aの第1端部は、第1耐火被覆梁13Aと第2耐火被覆梁14Aとが接合された部分、及び第1床部12の結合隅部12aにそれぞれ結合(接合)されている。延長梁17Aは、結合隅部12aを起点として、第2耐火被覆梁14Aから離間する方向に延びている。
延長梁17Aは、第2耐火被覆梁14Aと一体になって、連結耐火被覆梁39Aを構成している。
なお、本実施形態では、延長梁17A及び第2耐火被覆梁14Aは1本の耐火被覆梁である連結耐火被覆梁39Aとして一体に形成されている。ただし、説明を容易にするため、第1床部12を支持する部分を第2耐火被覆梁14A、第1床部12を支持しない部分を延長梁17Aとして扱う。
延長梁17Bは、延長梁17Aと同様に構成されている。延長梁17Bは、第2交差方向Yに沿って延びている。延長梁17Bの第1端部は、第1耐火被覆梁13Aと第2耐火被覆梁14Bとが接合された部分、及び第1床部12の結合隅部12bにそれぞれ結合されている。
延長梁17Bは、第2耐火被覆梁14Bと一体になって、連結耐火被覆梁39Bを構成している。
耐火被覆柱18Aは、耐火被覆柱16Aと同様に構成されている。図示はしないが、例えば耐火被覆柱18Aは、耐火被覆が施されたH形鋼である。耐火被覆柱18Aの上端部は、延長梁17Aにおける第2端部(結合隅部12aに結合された部分とは異なる部分)に接合され、この第2端部を支持している。
耐火被覆柱18Bは、耐火被覆柱18Aと同様に構成されている。耐火被覆柱18Bは、延長梁17Bにおける第2端部(結合隅部12bに結合された部分とは異なる部分)に接合され、この第2端部を支持している。
なお、耐火被覆柱18Aは、延長梁17Aにおける長手方向の中央部等に接合されてもよい。耐火被覆柱18Bについても同様である。
支持構造物41は、第2床部42と、第3耐火被覆梁43と、を備えている。
第2床部42は、第1床部12と同様に構成されている。第2床部42は、上下方向Zが厚さ方向となる板状に形成されている。第2床部42は、第1床部12に対して第2交差方向Yに並べて配置されている。第2床部42は、第1床部12に対する第2交差方向Yの一方側に配置されている。
第2床部42は、第1床部12と一体になって床(スラブ)44を構成している。すなわち、耐火構造物11の第1床部12は、床44において矩形状に区画された部分である。床部12,42は、床44から区画された、床44の一部である。
図2に示すように、第2床部42は、第1床部12の第1デッキプレート21、第1コンクリート22、複数の鉄筋23と同様に構成された第2デッキプレート46、第2コンクリート47、複数の鉄筋48を備えている。
第2デッキプレート46は、第1デッキプレート21と一体になっている。
第2コンクリート47は、第1コンクリート22と一体になっている。
複数の鉄筋48は、複数の第1鉄筋25、複数の第2鉄筋26と同様に構成された複数の第1鉄筋50、複数の第2鉄筋51を備えている。第2鉄筋51は、第2鉄筋26と一体なっている。
第3耐火被覆梁43は、第1耐火被覆梁13Aと同様に構成されている。第3耐火被覆梁43は、第1交差方向Xに沿って延びている。第3耐火被覆梁43は、延長梁17Aの第2端部、及び延長梁17Bの第2端部にそれぞれ接合されている。
このように構成された耐火構造物11は、後述するように、ISO 834−11:2014(以下、ISO 834と略して言う)に規定された加熱曲線(標準加熱曲線、標準加熱温度曲線)に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における第1床部12の撓みの最大値が、(6)式で定められた閾値K(m)未満であるように構成されている。
K=(L+l)/30 ・・(6)
ただし、Lは、第1床部12の第1交差方向X(第1スパン)の長さ(m)である。lは、第1床部12の第2交差方向Y(第2スパン)の長さ(m)である。L及びlは、第1床部12の平面12eに沿う方向の長さである。
この閾値Kは、前述の非特許文献1に記載された床の撓み制限値である。
なお、第1スパンは、第1交差方向Xの長さに限定されず、第1床部12の平面12e内での方向(平面12eに沿う方向)の長さであればよい。第2スパンは、第2交差方向Yの長さに限定されず、第1床部12の平面12e内での方向であって、第1スパンに直交(交差)する方向の長さであればよい。第1床部12の撓みの最大値は、第1、第2スパンの向きがいずれの場合でも、(6)式により得られる閾値K未満であることが好ましい。
第1床部が平面視で矩形状ではない場合には、Lは第1床部の平面に沿う第1スパンの長さであり、lは床部の平面に沿うとともに第1スパンに交差する第2スパンの長さである。このとき、(6)式により得られる閾値Kがより小さくなるように、第1、第2スパンの向きを設定することが好ましい。閾値Kをこのように設定することにより、第1床部12の損傷を安全側に評価することができる。
なお、閾値はこれに限定されない。
次に、以上のように構成された耐火構造物11を設計する耐火構造物耐火構造物の設計方法(以下、設計方法とも略して言う)について説明する。図8は、本実施形態の設計方法Sを示すフローチャートである。この設計方法Sは、例えば新規に施工する耐火構造物11、及び既存の耐火構造物11に対して好ましく用いられる。
まず、構造決定工程(図8に示すステップS1)において、公知の構造計算を行うことにより、図9に示すように、床44、床44を下方から支持する複数の梁52、及び複数の梁52を支持する柱53の配置を決定する。梁52は、耐火被覆梁13,14及び減耐火被覆梁15から耐火被覆を取外した梁である。柱53は、耐火被覆柱16A,16Bから耐火被覆を取外した柱である。
構造決定工程S1では、例えば、床44の自重及び床44に作用する荷重から、複数の梁52及び複数の柱53の仕様、及び配置を決定する。
構造決定工程S1が終了すると、ステップS3に移行する。
次に、耐火仕様決定工程(ステップS3)において、床44から第1床部12を区画した際に、以下のように設定されるようにする。図10に示すように、床44から区画された第1床部12の周囲を、全周にわたって梁52に耐火被覆を施した耐火被覆梁13,14により下方から支持させるように設定して耐火構造物11を設計する。この際に、火災時に第1床部12によるメンブレン効果が発揮されるように、複数の梁52の少なくとも一部に耐火被覆を施して耐火構造物11を設計する。ここで言うメンブレン効果とは、火災時において、荷重が作用する床部を、耐火被覆梁及び引張力伝達部材により、床部の中央部が下方に向かって凸となるように撓んだ形状に保持する効果のことを意味する。
この例では、耐火被覆梁13,14に対応する梁52、及び、耐火被覆柱16A,16Bに対応する柱53に耐火被覆を施して耐火構造物11を設計する。
耐火仕様決定工程S3が終了すると、ステップS5に移行する。
次に、第1支持仕様決定工程(ステップS5)において、図1に示すように、結合隅部12a,12bに延長梁17A,17Bの第1端部を結合させ、延長梁17A,17Bの第2端部を耐火被覆柱18A,18Bで支持するように設定する。
第1支持仕様決定工程S5が終了すると、ステップS7に移行する。
次に、第2支持仕様決定工程(ステップS7)において、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させないか、減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する。この例では、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させないように設定する。耐火構造物11をこのように設定することで、結合隅部12a,12bを下方から支持する柱自体が無くなり、結合隅部12a,12bを下方から支持する柱の耐火被覆が省略される。
なお、第2支持仕様決定工程S7では、結合隅部12a,12bを柱により直接的に支持させないだけで、結合隅部12a,12bを減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定しなくてもよい。
第2支持仕様決定工程S7が終了すると、ステップS9に移行する。
次に、判定工程(ステップS9)において、耐火構造物11が、ISO 834に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における第1床部12の撓みの最大値が、(6)式で定められた閾値K未満である(閾値Kよりも小さい)か否か等を判定する。判定工程S9は、耐火仕様決定工程S3、第1支持仕様決定工程S5、及び第2支持仕様決定工程S7の後で行われる工程である。
所望の加熱時間には、例えば、建築基準法に規定される耐火性能に基づいて、1時間、2時間等が用いられる。一般的に、平面視における第1床部12の中央部で、第1床部12の撓みが最大となる。第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かは、公知のシミュレーションにより判定することができる。
一般的に、火災時の熱により建築物が加熱されると、減耐火被覆梁の剛性及び耐力は0とみなされる。このため、火災時には第1床部12は減耐火被覆梁15により支持されず、耐火被覆梁13,14により支持される。
判定工程S9において、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満でない(NO)と判定したときには、耐火仕様決定工程S3に移行する。
一方で、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満である(YES)と判定したときには、設計方法Sの全工程が終了する。このとき、耐火構造物11が前述の仕様に設計される。
耐火構造物11は、設計方法Sにより設計された耐火構造物である。
判定工程S9から移行した耐火仕様決定工程S3では、床44から区画される第1床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁52の少なくとも一部を変えて行う。例えば、図1に示す耐火構造物11及び支持構造物41に対して耐火被覆を施す複数の梁52の少なくとも一部を変えて、図11に示す耐火構造物11A及び支持構造物41Aとする。すなわち、図1に示す耐火構造物11の減耐火被覆梁15Aに充分な耐火被覆を施して、図11に示す耐火構造物11Aの第1耐火被覆梁13Aとする。図1に示す耐火構造物11の第1耐火被覆梁13Aの耐火被覆を削減して、図11に示すような支持構造物41Aの第1減耐火被覆梁54とする。
図11に示す耐火構造物11Aの第1床部12Aは、図1に示す耐火構造物11の第1床部12に比べて第2交差方向Yの長さが短くなる。耐火被覆梁14A,14Bも同様に、第2交差方向Yの長さが短くなる。第1床部12Aは、第1床部12に対して形状が、平面視において正方形に近い形状に変わっている。
第1床部の大きさを変えるとは、例えば第1床部の平面視における矩形状という形状を変えずに、元の第1床部との相似形状を保ったまま、第1床部の大きさを大きくしたり小さくしたりすることを意味する。
さらに、第1支持仕様決定工程S5及び第2支持仕様決定工程S7を行った後で、判定工程S9を行う。
一般的に、第1床部12Aが小さくなると、第1床部12Aの撓みの最大値も小さくなる。非特許文献1に記載された床の撓み制限値も小さくなるが、床の撓み制限値は小さくなる程度は、第1床部12Aの撓みの最大値が小さくなる程度よりも小さい。このため、第1床部12Aの撓みの最大値が、床の撓み制限値(閾値)未満になりやすくなる。
このように、判定工程S9でYESと判定されるまで、耐火仕様決定工程S3、第1支持仕様決定工程S5、及び第2支持仕様決定工程S7を組にして繰り返し行い、耐火被覆を施す複数の梁52を調節する。
なお、本設計方法Sでは、構造決定工程S1の後で耐火仕様決定工程S3、第1支持仕様決定工程S5、及び第2支持仕様決定工程S7を、この順に行うとした。しかし、構造決定工程S1の後において、耐火仕様決定工程S3、第1支持仕様決定工程S5、及び第2支持仕様決定工程S7を行う順は特に限定されない。例えば、構造決定工程S1の後において第2支持仕様決定工程S7、第1支持仕様決定工程S5、及び耐火仕様決定工程S3の順に行ってもよい。
ここで、メンブレン効果により火災の前後で第1床部12等が撓む様子を模式的に説明する。
図12に、火災が発生していない通常時における耐火構造物11の分解斜視図を示す。なお図12及び後述する図13では、耐火構造物11を簡略化して示している。具体的には、耐火構造物11の減耐火被覆梁15、延長梁17A,17B、及び耐火被覆柱18A,18Bを示していない。
図12に示す通常時には、第1床部12、減耐火被覆梁15A等に作用する重力、静荷重等により、第1床部12、減耐火被覆梁15A等に下向きの外力F1が作用する。
一方で火災時において、図13に示すように、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、第1床部12の周囲が環状の耐火被覆梁13,14により支持される。第1床部12が撓むことにより伸びた第1鉄筋25が、第1交差方向Xの引張力F2を伝達する。第1床部12が撓むことにより伸びた第2鉄筋26が、第2交差方向Yの引張力F3を伝達する。すなわち、第1床部12は、第1床部12に作用する重力等に引張力F2,F3により抵抗する。
従って、第1床部12の中央部が、耐火被覆梁13,14及び鉄筋25,26により第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ支持される。
この際、第1床部12には、引張領域R5及び圧縮領域R6がそれぞれ形成される。なお、図13中に圧縮領域R6をハッチングを付して示している。引張領域R5では、第1床部12が撓んだ平面12eに沿って引張られる。圧縮領域R6では、第1床部12が撓んだ平面12eに沿って圧縮される。
引張領域R5は、第1床部12の平面視における中央部に形成される。圧縮領域R6は、引張領域R5の周辺に形成される。
火災時に耐火構造物11に生じるメンブレン効果は、鉄筋23により引張力F2,F3に抵抗する効果である。一方で、特許文献1において火災時に耐火構造物に生じるロバストネスは、コンクリート及びスラブ筋により曲げモーメントB1に抵抗する効果である。
このように、本実施形態の耐火構造物11と特許文献1の耐火構造物とでは、火災時に生じる効果が異なる。
次に、耐火構造物11を施工する耐火構造物の施工方法(製造方法。以下、施工方法とも略して言う)について説明する。図14は、本実施形態の施工方法S20を示すフローチャートである。前記設計方法Sの各工程は設定するだけで実際には施工しないのに対し、施工方法S20の各工程では実際に施工する点が異なる。この施工方法S20は、例えば新規に施工する耐火構造物11に対して好ましく用いられる。
この施工方法S20では、柱梁施工工程S21と、被覆施工工程S23と、第1支持工程S25と、第2支持工程S27と、を行う。
柱梁施工工程S21では、床44、床44を下方から支持する複数の梁52、及び複数の梁52を支持する柱53を施工する。
被覆施工工程S23では、梁52に耐火被覆を施して耐火被覆梁13,14とすることで、床44から区画された第1床部12の周囲を耐火被覆梁13,14により下方から支持させる。被覆施工工程S23では、柱53に耐火被覆を施して耐火被覆柱16A,16Bとする。
第1支持工程S25では、結合隅部12a,12bに延長梁17A,17Bの第1端部を結合させ、延長梁17A,17Bの第2端部を耐火被覆柱18A,18Bで支持する。
第2支持工程S27では、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させない。なお、第2支持工程S27では、結合隅部12a,12bを減耐火被覆柱により下方から支持させてもよい。
なお、第2支持工程S27では、結合隅部12a,12bを柱により直接的に支持させないだけで、結合隅部12a,12bを減耐火被覆柱により下方から支持させなくてもよい。
以上で、施工方法S20の全工程が終了し、耐火構造物11が施工される。
非特許文献1に開示された耐火構造物の設計方法では、床部の複数の隅部の全てが耐火被覆柱により支持されるとして設計している。このため、非特許文献1を見た当業者は、床部の複数の隅部の全てが耐火被覆柱により支持されるとして設計する。
全ての隅部が耐火被覆柱により支持されるため、隅部における設計の自由度は低くなる。
これに対して、本実施形態の設計方法Sによれば、構造決定工程S1及び耐火仕様決定工程S3を行うことで、第1床部12の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁13,14により下方から支持させるように設定される。第1床部12に含まれている鉄筋23(第1鉄筋25及び第2鉄筋26)は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、いわゆるメンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物11の耐火性能を従来と同等に維持するように設定することができる。なお、ここで言う耐火構造物11の耐火性能とは、火災時に第1床部12の撓みを抑えることや、曲げ耐力よりも外力が大きくなることを抑えることを意味する。
第1支持仕様決定工程S5において、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bが耐火被覆柱18A,18Bにより支持されるように設定される。さらに、第2支持仕様決定工程S7において、結合隅部12a,12bが、柱により直接的に支持させないように設定される。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
ここで言う結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略するとは、結合隅部12a,12bを柱により直接的に支持させないことで柱の耐火被覆を省略するか、結合隅部12a,12bを減耐火被覆柱により支持させることで柱の耐火被覆を省略することを意味する。
また、本実施形態の施工方法S20によれば、柱梁施工工程S21及び被覆施工工程S23を行うことで、第1床部12の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁13,14により下方から支持させる。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物11の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
第1支持工程S25において、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bを耐火被覆柱18A,18Bにより支持する。さらに、第2支持工程S27において、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させない。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
また、本実施形態の耐火構造物11にによれば、第1床部12の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁13,14により下方から支持される。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F2をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物11の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物11では、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bが耐火被覆柱18A,18Bにより支持される。さらに、結合隅部12a,12bが、柱により直接的に支持されない。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
設計方法Sにおいて、判定工程S9を行う。従って、判定工程S9において、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
判定工程S9においてYESと判定されたときには、床44から区画される第1床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁52の少なくとも一部を変えて、耐火仕様決定工程S3を行い、その後、判定工程S9を行う。これにより、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満でないときに、床44から区画される第1床部12の形状及び大きさの少なくとも一方を調節して、判定工程S9において、再び第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
耐火構造物11は、設計方法Sにより設計されている。このため、本実施形態の設計方法Sにより耐火構造物11を設計することができる。本実施形態の設計方法Sは、耐火性能を維持しつつ、第1床部12の隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めることができる方法である。そして、本実施形態の設計方法Sは、第1床部12の隅部12a,12bを下方から支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる方法である。
耐火構造物11が、減耐火被覆梁15を備えている。これにより、火災が発生していない通常時において、第1床部12が撓むのを抑えることができる。
第1床部12は平面視で矩形状に形成されているため、複数の第1床部12をコンパクトに並べて配置しやすくすることができる。
所望の加熱時間における第1床部12の撓みの最大値が、閾値K未満である。このため、第1床部12のメンブレン効果が効果的に発揮され、第1床部12が下方に向かって撓み難くすることができる。
鉄筋23は、第1鉄筋25及び第2鉄筋26を備えている。従って、第1鉄筋25及び第2鉄筋26という簡単な構成で、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の前記第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達することができる。
(シミュレーション結果)
ここで、比較例の耐火構造物の耐火性能をシミュレーションにより評価し、比較例の耐火構造物において耐火被覆を施す梁を調節して実施例の耐火構造物とした例について説明する。
図15に、比較例の耐火構造物11Bが用いられる建築物1Bを示す。この建築物1Bは、耐火構造物11Bと、支持構造物41Bと、を備えている。
耐火構造物11Bは、第1実施形態の耐火構造物11の各構成に加えて、減耐火被覆梁15D、及び耐火被覆柱16C,16Dを備えている。
シミュレーションに用いた耐火構造物11Bの第1床部12の縦断面図を、図16に示す。
鉄筋23の上端から第1コンクリート22の上面までの距離(鉄筋23に対する第1コンクリート22のかぶり厚さ)を、30mmとした。第1床部12の厚さを、200mmとした。
第1コンクリート22の設計基準強度Fcを40N/mm(ニュートン・パー・平方ミリメートル)とした。鉄筋23(第1鉄筋25及び第2鉄筋26)として、呼び径D10、引張強度を500MPaの鉄筋を、100mmピッチで配置した。
図15に示すように、減耐火被覆梁15Dは、減耐火被覆梁15Aと同様に構成されている。減耐火被覆梁15Dは、第1交差方向Xに沿って延び、第1耐火被覆梁13Bと減耐火被覆梁15Cとの間に配置されている。減耐火被覆梁15Dの両端は、第2耐火被覆梁14A,14Bにそれぞれ接合されている。
耐火被覆柱16C,16Dは、耐火被覆柱16Aと同様に構成されている。耐火被覆柱16Cの上端部は、第1耐火被覆梁13Aと第2耐火被覆梁14Aとの接合部、及び第1床部12の隅部12aにそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Dの上端部は、第1耐火被覆梁13Aと第2耐火被覆梁14Bとの接合部、及び第1床部12の隅部12bにそれぞれ接合されている。
比較例の耐火構造物11Bでは、第1床部12の隅部12a,12b,12c,12dの全てが、耐火被覆柱16C,16D,16A,16Bによりそれぞれ下方から支持されている。
支持構造物41Bは、第1実施形態の支持構造物41の各構成に加えて、第1減耐火被覆梁54A,54B,54C,54Dを備えている。
第1減耐火被覆梁54は、減耐火被覆梁15Aと同様に構成されている。第1減耐火被覆梁54は、第3耐火被覆梁43と第1耐火被覆梁13Aとの間で、第1交差方向Xに沿ってそれぞれ延び、第2交差方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。第1減耐火被覆梁54の両端は、延長梁17A,17Bにそれぞれ接合されている。
プライマリービームである耐火被覆梁14及び延長梁17として、耐火被覆が施されたH形鋼(800×250×12×22、S355製)を用いた。セカンダリビームである耐火被覆梁13,43として、耐火被覆が施されたH形鋼(600×200×9×12、S355製)を用いた。
セカンダリビームである減耐火被覆梁15及び第1減耐火被覆梁54として、H形鋼(600×200×9×12、S355製)を用いた。減耐火被覆梁15及び第1減耐火被覆梁54には、耐火仕様に応じた耐火被覆が施されている。
耐火構造物11Bの第1交差方向Xの長さ、及び第2交差方向Yの長さは、それぞれ15000mmとした。支持構造物41Bの第1交差方向Xの長さ、及び第2交差方向Yの長さは、それぞれ15000mmとした。
荷重条件は、固定荷重(Dead Load)が1.5kPa(キロパスカル)、積載荷重(Live Load)が3.0kPaとした。
建築物1BをISO 834に規定された加熱曲線に基づいて加熱したときの、建築物1Bの温度及び応力のシミュレーション結果を、図17から図20に示す。
シミュレーションでは、所定の拘束条件で支持された建築物1Bが、火災等で加熱されることにより建築物1Bの温度が上昇する。温度が上昇した建築物1Bは、膨張するとともに、剛性及び耐力が低下する。建築物1Bには、拘束条件に応じて応力が発生する。火災時には、耐火被覆柱16,18、耐火被覆梁13,14,43、延長梁17、及び鉄筋23は所定の剛性及び耐力を生じるが、減耐火被覆梁15,54の剛性及び耐力は無くなると考える。
図17に、比較例の耐火構造物11Bにおける、時間に対する耐火構造物11Bの各部分の温度の変化を示す。図17において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は温度(℃)を表す。実線による線L1は、耐火被覆が施されない減耐火被覆梁15Aにおけるシミュレーション結果を表す。点線による線L2は第1床部12の下面におけるシミュレーション結果を表し、一点鎖線による線L3は第1床部12の上面におけるシミュレーション結果を表し、二点鎖線による線L4は鉄筋23におけるシミュレーション結果を表す。
加熱を開始してから120分の間では、時間の経過とともに、減耐火被覆梁15A、第1床部12の下面及び上面、及び鉄筋23の温度が上昇する。各部位の温度は、減耐火被覆梁15Aにおいて最も高く、第1床部12の下面、鉄筋23、第1床部12の上面の順で低くなる。
図18に、比較例の耐火構造物11Bにおける、時間に対する第1床部12の撓みの最大値の変化を示す。図18において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は第1床部12の撓みの最大値(mm)を表す。実線による線L7は、第1床部12の撓みの最大値のシミュレーション結果を表す。点線による線L8は、前述の非特許文献1の{(L+l)/30}の式による第1床部12の撓み制限値を表す。なお、第1床部12の撓みの最大値が撓み制限値に達した時刻t1(約40分後)に、第1床部12の撓みの最大値がこれ以上増加しないように、第1床部12の撓みの計算を打ち切っている。時刻t1において第1床部12の撓みの計算を打ち切らなければ、第1床部12の撓みの最大値は、一点鎖線による線L9に示すように増加する。
比較例の耐火構造物11Bでは、第1床部12の撓みの最大値が時刻t1において撓み制限値に達したことから、少なくとも時刻t1までは第1床部12は崩壊することなく保持されることが分かった。
図19に、比較例の耐火構造物11Bにおける、時間に対する曲げ耐力の変化を示す。図19において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は曲げ耐力(kN/m)を表す。点線による線L13は、第1耐火被覆梁13Aの曲げ耐力のシミュレーション結果を表す。一点鎖線による線L14は第1床部12の曲げ耐力のシミュレーション結果を表し、実線による線L12は第1耐火被覆梁13A及び第1床部12の全体としての曲げ耐力のシミュレーション結果を表す。点線による線L15は、前述の荷重により作用する外力を表す。
時間の経過とともに、第1耐火被覆梁13Aの温度が高くなり、第1耐火被覆梁13Aの曲げ耐力が小さくなる。一方で、第1床部12は温度が高くなると曲げ耐力が大きくなる。第1耐火被覆梁13A及び第1床部12の全体としての曲げ耐力は、時間の経過とともにほぼ小さくなる。
線L12が表す曲げ耐力が、線L15が表す外力よりも大きければ、第1床部12は荷重を支持することができる。
図20に、比較例の耐火構造物11Bにおける、時間に対する(外力/(第1耐火被覆梁13A及び第1床部12の全体としての)曲げ耐力)の値の変化を示す。図20において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は(外力/曲げ耐力)の値を表す。図20は、図19における線L12が表す曲げ耐力と線L15が表す外力との大小関係を明確に示すためのものである。実線による線L18は、(外力/曲げ耐力)の値を表し、点線による線L19は、(外力/曲げ耐力)の値が1.0である線を表す。
時間の経過とともに、(外力/曲げ耐力)の値が大きくなって1.0に近づく。しかし、120分経過しても(外力/曲げ耐力)の値が1.0に達しないことから、火災が発生してから120分経過しても第1床部12は荷重を支持できることが分かった。
以上のように、比較例の耐火構造物11Bでは、曲げ耐力よりも外力が大きくなって第1床部12が崩壊することはなく、少なくとも撓みの最大値が撓み制限値に達するまでは第1床部12は崩壊することなく保持されることが分かった。
なお、前述の設計方法Sの判定工程S9において、第1床部12の撓みの最大値が閾値未満であり、かつ、耐火構造物11に作用する外力が曲げ耐力よりも小さいときに、YESと判定されるとしてもよい。判定工程S9においてYESと判定されたときに、設計方法Sの全工程が終了する。
図21に、実施例の耐火構造物11Cが用いられる建築物1Cを示す。この建築物1Cは、耐火構造物11Cと、支持構造物41C,41Dと、を備えている。
耐火構造物11Cは、耐火構造物11Bに対して、減耐火被覆梁15D及び耐火被覆柱16C,16Dに代えて、延長梁58A,58B及び耐火被覆柱59A,59Bを備えている。
耐火構造物11Cの第1床部12では、隅部12a〜12dのうち隅部12a,12bが結合隅部12a,12bであるのに加えて、隅部12c,12dも結合隅部12c,12dである。すなわち、結合隅部12a〜12dのいずれにも耐火被覆柱16が接合されていない。
延長梁58A,58Bは、延長梁17Aと同様に構成されている。延長梁58A,58Bは、第2交差方向Yに沿って延びている。
延長梁58Aの第1端部は、第1耐火被覆梁13Bと第2耐火被覆梁14Aとが接合された部分、及び第1床部12の結合隅部12cにそれぞれ結合されている。延長梁58Aは、結合隅部12cを起点として、第2耐火被覆梁14Aから離間する方向に延びている。延長梁58Bの第1端部は、第1耐火被覆梁13Bと第2耐火被覆梁14Bとが接合された部分、及び第1床部12の結合隅部12dにそれぞれ結合されている。延長梁58Bは、結合隅部12dを起点として、第2耐火被覆梁14Bから離間する方向に延びている。
耐火被覆柱59A,59Bは、耐火被覆柱18Aと同様に構成されている。耐火被覆柱59Aの上端部は、延長梁57Aにおける第2端部に接合されている。耐火被覆柱59Bの上端部は、延長梁57Bにおける第2端部に接合されている。
耐火被覆柱16Aの上端部は、第2耐火被覆梁14Aにおける第2交差方向Yの中央部、及び第1床部12の隅部12aと隅部12cとの中央部にそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Bの上端部は、第2耐火被覆梁14Bにおける第2交差方向Yの中央部、及び第1床部12の隅部12bと隅部12dとの中央部にそれぞれ接合されている。
支持構造物41Cは、支持構造物41Bに対して第1減耐火被覆梁54C,54Dを備えていない。
支持構造物41Dは、第3床部61と、第4耐火被覆梁62と、第2減耐火被覆梁63A,63Bと、を備えている。第3床部61、第4耐火被覆梁62、第2減耐火被覆梁63A,63Bは、支持構造物41Cの第2床部42、第3耐火被覆梁43、第1減耐火被覆梁54A,54Bとそれぞれ同様に構成されている。
建築物1Cでは、耐火構造物11Cの第1床部12に対する第2交差方向Yの両側に支持構造物41C,41Dの第2床部42、第3床部61が配置されている。
建築物1Cの第1交差方向Xの長さ、及び建築物1Bの第1交差方向Xの長さは、互いに同等である。建築物1Cの第2交差方向Yの長さ、及び建築物1Bの第2交差方向Yの長さは、互いに同等である。
建築物1Cは、建築物1Bにおいて、第1耐火被覆梁13Aの耐火被覆を削減したり、減耐火被覆梁15B及び第1減耐火被覆梁54Cに耐火被覆を施したりして構成した建築物である。
建築物1CをISO 834に規定された加熱曲線に基づいて加熱したときの、建築物1Cの温度及び応力のシミュレーション結果を、図22から図25に示す。
図22に、実施例の耐火構造物11Cにおける、時間に対する各部分の温度の変化を示す。図22において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は温度(℃)を表す。実線による線L21は、耐火被覆が施されない減耐火被覆梁15Aにおけるシミュレーション結果を表す。点線による線L22は第1床部12の下面におけるシミュレーション結果を表し、一点鎖線による線L23は第1床部12の上面におけるシミュレーション結果を表し、二点鎖線による線L24は鉄筋23におけるシミュレーション結果を表す。
線L21〜L24により表される実施例の耐火構造物11Cにおける第1耐火被覆梁13A、第1床部12の下面、上面、鉄筋23における温度変化は、図17において線L1〜L4により表される比較例の耐火構造物11Bにおける第1耐火被覆梁13A、第1床部12の下面、上面、鉄筋23における温度変化とそれぞれ同等である。
図27に、実施例の耐火構造物11Cにおける、時間に対する第1床部12の撓みの最大値の変化を示す。図23において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は第1床部12の撓みの最大値(mm)を表す。実線による線L27は、第1床部12の撓みの最大値のシミュレーション結果を表す。点線による線L28は、前述の非特許文献1の{(L+l)/30}の式による第1床部12の撓み制限値を表す。実施例の耐火構造物11Cの第1床部12の第2交差方向Yの長さは、比較例の耐火構造物11Bの第1床部12の第2交差方向Yの長さよりも短い。このため、線L28により表される第1床部12の撓み制限値は、図18において線L8により表される第1床部12の撓み制限値よりも小さい。ただし、実施例の耐火構造物11Cの第1床部12の第2交差方向Yの長さは比較例の耐火構造物11Bの第1床部12の第2交差方向Yの長さよりも短いため、第1床部12の撓みの最大値が小さくなる。
実施例の耐火構造物11Cでは、いわゆるメンブレン効果により火災が発生してから120分経過しても第1床部12の撓みの最大値は撓み制限値に達しなく、第1床部12は荷重を支持することができることが分かった。
図24に、実施例の耐火構造物11Cにおける、時間に対する曲げ耐力の変化を示す。図24において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は曲げ耐力(kN/m)を表す。点線による線L33は、第1耐火被覆梁13Aの曲げ耐力のシミュレーション結果を表す。一点鎖線による線L34は第1床部12の曲げ耐力のシミュレーション結果を表し、実線による線L32は第1耐火被覆梁13A及び第1床部12の全体としての曲げ耐力のシミュレーション結果を表す。点線による線L35は、前述の荷重により作用する外力を表す。
図25に、実施例の耐火構造物11Cにおける、時間に対する(外力/曲げ耐力)の値の変化を示す。図25において、横軸は時間(分)を表し、縦軸は(外力/曲げ耐力)の値を表す。図25は、図24における線L32が表す曲げ耐力と線L35が表す外力との大小関係を明確に示すためのものである。実線による線L38は、(外力/曲げ耐力)の値を表し、点線による線L39は、(外力/曲げ耐力)の値が1.0である線を表す。
時間の経過とともに、(外力/曲げ耐力)の値が大きくなって1.0に近づく。しかし、120分経過しても(外力/曲げ耐力)の値が1.0に達しないことから、火災が発生してから120分経過しても第1床部12は荷重を支持することができることが分かった。
また、実施例の耐火構造物11Cにおける(外力/曲げ耐力)の値が漸近する値は、比較例の耐火構造物11Bにおける(外力/曲げ耐力)の値が漸近する値よりも小さく、実施例の耐火構造物11Cでは曲げ耐力に余裕があることが分かった。
以上のように、実施例の耐火構造物11Cでは、第1床部12の撓みの最大値が撓み制限値に達しなく、かつ曲げ耐力よりも外力が小さいため、第1床部12は荷重を支持することができることが分かった。
比較例の耐火構造物11Bを備える建築物1Bにおいて、第1耐火被覆梁13A、減耐火被覆梁15、及び第1減耐火被覆梁54に耐火被覆を施したり、耐火被覆を削減したりすることにより、建築物1Cが備える実施例の耐火構造物11Cとすることができる。
本実施形態の耐火構造物は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図26に示す建築物2は、本実施形態の耐火構造物71と、支持構造物81A,81Bと、を備えている。
耐火構造物71は、実施例の耐火構造物11Cに対して耐火被覆柱16A,16Bを備えていない。
支持構造物81Aは、実施例の支持構造物41Cに対して第1減耐火被覆梁54A,54Bを備えていない。支持構造物81Bは、実施例の支持構造物41Dに対して第2減耐火被覆梁63A,63Bを備えていない。
図27に示す建築物2Aは、本実施形態の耐火構造物71Aと、支持構造物81A,81Bと、を備えている。
耐火構造物71Aは、変形例の耐火構造物71の各構成に加えて、耐火被覆柱16A,16Bを備えている。
耐火被覆柱16Aの上端部は、第2耐火被覆梁14Aにおける第2交差方向Yの中央部、及び第1床部12の隅部12aと隅部12cとの中央部にそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Bの上端部は、第2耐火被覆梁14Bにおける第2交差方向Yの中央部、及び第1床部12の隅部12bと隅部12dとの中央部にそれぞれ接合されている。
図28に示す建築物2Bは、本実施形態の耐火構造物71Bと、支持構造物81A,81Bと、を備えている。
耐火構造物71Bは、変形例の耐火構造物71の各構成に加えて、耐火被覆柱16A,16B,16C,16Dを備えている。
耐火被覆柱16Aの上端部は、第2耐火被覆梁14Aと減耐火被覆梁15Aとの接合部、及び第1床部12の隅部12aと隅部12cとの間の隅部12a寄りの外縁にそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Bの上端部は、第2耐火被覆梁14Bと減耐火被覆梁15Aとの接合部、及び第1床部12の隅部12bと隅部12dとの間の隅部12b寄りの外縁にそれぞれ接合されている。
耐火被覆柱16C,16Dは、耐火被覆柱16Aと同様に構成されている。耐火被覆柱16Cの上端部は、第2耐火被覆梁14Aと減耐火被覆梁15Cとの接合部、及び第1床部12の隅部12aと隅部12cとの間の隅部12c寄りの外縁にそれぞれ接合されている。耐火被覆柱16Dの上端部は、第2耐火被覆梁14Bと減耐火被覆梁15Cとの接合部、及び第1床部12の隅部12bと隅部12dとの間の隅部12d寄りの外縁にそれぞれ接合されている。
第2耐火被覆梁14A,14Bの両端は、一対の第1耐火被覆梁13A,13Bに直接接合されている。第2耐火被覆梁14A,14Bは、耐火被覆柱16に接合されている。
耐火被覆梁13,14は、全体として環状に形成されている。
耐火被覆柱16A,16B,16C,16Dは、第1交差方向Xに並べて配置されるとともに、第2交差方向Yに第1のピッチP1で並べて配置されている。第2耐火被覆梁14A,14Bは、第1のピッチP1よりも長い長さP2に形成されている。この場合、隅部12a,12b及び隅部12c,12dの少なくとも一方は、耐火被覆柱16A,16B,16C,16Dよりも第2交差方向Yの外側に突出している。この変形例では、隅部12a,12b及び隅部12c,12dの全てが、耐火被覆柱16A,16B,16C,16Dよりも第2交差方向Yの外側に突出している。
なお、第2耐火被覆梁14A,14Bは、第1のピッチP1よりも短く形成されていてもよい。
変形例の耐火構造物71Bによれば、第1床部12の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持できる環状の耐火被覆梁13,14により下方から支持される。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物11の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物71Bでは、延長梁17A,17B,58A,58Bを介して結合隅部12a,12b,12c,12dが耐火被覆柱18A,18B,59A,59Bにより支持される。さらに、結合隅部12a〜12dが、柱により直接的に支持されない。従って、第1床部12の結合隅部12a〜12dにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a〜12dを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
第2耐火被覆梁14A,14Bが第1のピッチP1よりも長い長さP2に形成されていているため、第2耐火被覆梁14A,14Bの端の位置が耐火被覆柱16A,16B,16C,16Dの位置に対して第2交差方向Yにずれ、第2耐火被覆梁14A,14Bの端が支持する第1床部12の隅部12a,12b,12c,12dの下方に空間を形成することができる。
なお、第2交差方向Yは、第1交差方向Xに交差する方向であってもよい。この場合、例えば第1床部12は平面視で平行四辺形状(四角形状)に形成される。
本実施形態の耐火構造物11、及び変形例の耐火構造物71,71A,71Bのように、第1床部12の隅部12a〜12dのうち延長梁が接合されない隅部の数は特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
変形例の耐火構造物71,71A,71Bによっても、耐火性能を維持しつつ、第1床部12の隅部における設計の自由度を高めて、第1床部12の隅部12a〜12dを支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図29、及び前記図8及び図14を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図29に示すように、この建築物4は、本実施形態の耐火構造物121と、前記支持構造物41と、を備えている。
耐火構造物121は、第1実施形態の耐火構造物11の耐火被覆柱16A,16B、耐火被覆柱18A,18Bに代えて、第1耐火被覆柱122A,122B、第2耐火被覆柱(耐火被覆柱)123A,123Bを備えている。
第1耐火被覆柱122A,122Bは、耐火被覆柱16Aと同様に構成されているが、耐火被覆柱16Aとは長さのみが異なる。第1耐火被覆柱122A,122Bは、耐火被覆柱16Aよりも長い。
ここで第1耐火被覆柱122Aにおいて、耐火被覆梁13,14に接合される部分(自身の一部)を、柱片122A1と言う。第1耐火被覆柱122Bについても同様に、上下方向Zで耐火被覆梁13,14に接合される部分を、柱片122B1と言う。
第1耐火被覆柱122A,122Bは、耐火被覆梁13,14を支持している。耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1は、全体として環状に形成されている。
第2耐火被覆柱123A,123Bは、第1耐火被覆柱122Aと同様に構成されている。第2耐火被覆柱123Aの上下方向Zの中間部は、延長梁17Aの第2端部に接合され、この第2端部を支持している。同様に、耐火被覆柱123Bの上下方向Zの中間部は、延長梁17Bの第2端部に接合され、この第2端部を支持している。
第1床部12の結合隅部12a,12bは、柱により直接的に支持されない。なお、結合隅部12a,12bは、第1耐火被覆柱122A,122Bよりも耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持されてもよい。
この例では、耐火被覆梁13,14及び2つの柱片122A1,122B1全体として環状に形成されている。しかし、全体として環状に形成されている耐火被覆梁の数、及び柱片の数は、特に限定されない。
次に、以上のように構成された耐火構造物121を設計する設計方について説明する。図8は、本実施形態の設計方法S30を示すフローチャートである。この設計方法S30が、第1実施形態の設計方法Sと異なる点は、耐火仕様決定工程S3、第2支持仕様決定工程S7、及び判定工程S9に代えて、耐火仕様決定工程S31、第2支持仕様決定工程S33、及び判定工程S35を行うことである。
耐火仕様決定工程S31では、床44から区画された第1床部12の周囲を、耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持させるように設定する。
第2支持仕様決定工程S33では、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させないか、第1耐火被覆柱122A,122Bよりも耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する。
判定工程S35では、耐火仕様決定工程S31を、床44から区画される第1床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁、及び耐火被覆を施す複数の柱の少なくとも一部を変えて行う。
次に、耐火構造物121を施工する施工方法について説明する。図14は、本実施形態の施工方法S40を示すフローチャートである。この施工方法S40が、第1実施形態の施工方法S20と異なる点は、被覆施工工程S23及び第1支持工程S25、及び第2支持工程S27に代えて、被覆施工工程S41及び第1支持工程S43、及び第2支持工程S45を行うことである。
被覆施工工程S41では、梁52に耐火被覆を施して耐火被覆梁13,14とし、柱53に耐火被覆を施して第1耐火被覆柱122A,122Bとする。これにより、床44から区画された第1床部12の周囲を耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持させるようにする。
第1支持工程S43では、結合隅部12a,12bに延長梁17A,17Bの第1端部を結合させる。そして、延長梁17A,17Bの第2端部を第2耐火被覆柱123A,123Bで支持する。
第2支持工程S45では、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させない。なお、第2支持工程S45では、結合隅部12a,12bを、第1耐火被覆柱122A,122Bよりも耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させてもよい。
以上説明したように、本実施形態の設計方法S30によれば、構造決定工程S1及び耐火仕様決定工程S31を行うことで、第1床部12の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持させるように設定される。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物121の耐火性能を従来と同等に維持するように設定することができる。
第1支持仕様決定工程S5において、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bが第2耐火被覆柱123A,123Bにより支持するように設定される。さらに、第2支持仕様決定工程S33において、結合隅部12a,12bが、柱により直接的に支持させないように設定される。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
また、本実施形態の施工方法S40によれば、柱梁施工工程S21及び被覆施工工程S41を行うことで、第1床部12の周囲を、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持させる。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F3をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるように撓む。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14及柱片122A1,122B1により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物121の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
第1支持工程S43を行うと、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bを第2耐火被覆柱123A,123Bにより支持する。さらに、第2支持工程S45を行うと、結合隅部12a,12bを、柱により直接的に支持させない。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
また、本実施形態の耐火構造物121にによれば、第1床部12の周囲は、火災時でも一定の剛性及び耐力を維持でき、全体として環状に形成された耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持される。第1床部12に含まれている鉄筋23は、第1床部12の第1交差方向Xの端部間の引張力F2、及び、第1床部12の第2交差方向Yの端部間の引張力F2をそれぞれ伝達する。火災時には、第1床部12に作用する重力等により、第1床部12の平面視における中央部が下方に向かって凸となるようにむ。しかし、メンブレン効果により、第1床部12の周囲が耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により支持される。そして、第1床部12が撓むことにより伸びた鉄筋23が第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ引張力F2,F3を伝達することにより、第1床部12の中央部が支持される。従って、耐火構造物121の耐火性能を従来と同等に維持することができる。
耐火構造物121では、延長梁17A,17Bを介して結合隅部12a,12bが第2耐火被覆柱123A,123Bにより支持される。さらに、結合隅部12a,12bが、柱により直接的に支持されない。従って、第1床部12の結合隅部12a,12bにおける設計の自由度を高めるとともに、結合隅部12a,12bを支持する柱の耐火被覆を省略することができる。
設計方法S30において、判定工程S35を行う。これにより、判定工程S35において、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
判定工程S35においてYESと判定されたときには、床44から区画される第1床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、耐火被覆を施す複数の梁52の少なくとも一部を変えて、耐火仕様決定工程S31を行い、その後、判定工程S35を行う。これにより、第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満でないときに、床44から区画される第1床部12の形状及び大きさの少なくとも一方を調節して、判定工程S35において、再び第1床部12の撓みの最大値が閾値K未満であるか否かを判定することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図30を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図30に示すように、この建築物3には、本実施形態の耐火構造物91A,91B,91Cが用いられている。なお、図30では、後述する耐火被覆梁94及び減耐火被覆梁95を透過して示し、耐火構造物91A,91B,91Cが備える床部96a,96b,96cにハッチングを付して示している。
建築物3は、平面視で碁盤目状に配置された複数の耐火被覆柱93を備えている。複数の耐火被覆柱93は、第1交差方向X及び第2交差方向Yにそれぞれ並べて配置されている。
複数の耐火被覆柱93には、複数の耐火被覆梁94が接合され、さらに複数の耐火被覆梁94には、減耐火被覆梁95が接合されている。
複数の耐火被覆梁94及び減耐火被覆梁95上には、床96が支持されている。
平面視における建築物3の中心にはコアウォール99が配置され、建築物3の外縁には階段100が配置されている。
耐火構造物91Aは、床96の一部である床部96aを備えている。床部96aは、平面視で複数の隅部を有する矩形状に形成されている。床部96aのいずれの隅部にも、耐火被覆柱93が接合されていない。
耐火構造物91Bが備える床部96bの4つの隅部のうち、2つの隅部に耐火被覆柱93が接合されている。耐火構造物91Cが備える床部96cの4つの隅部のうち、2つの隅部に耐火被覆柱93が接合されている。
本実施形態の耐火構造物91A,91B,91Cによれば、耐火性能を維持しつつ、床部96a,96b,96cの隅部における設計の自由度を高めて、床部96a,96b,96cの複数の隅部を支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる。そして、建築物3内に耐火構造物91A,91B,91Cを配置する自由度を高めることができる。
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態の設計方法S,S30では、判定工程S9を行わなくてもよい。耐火構造物の所望の加熱時間における第1床部の撓みの最大値は、閾値K以上であってもよい。
前記第1実施形態から第3実施形態では、耐火被覆梁13,14は、スタッド35を備えなくてもよい。すなわち、第1床部12の周囲は耐火被覆梁13,14により下方から支持されたり、耐火被覆梁13,14及び柱片122A1,122B1により下方から支持されていてもよい。
第1床部は、平面視で3角形状、5角形状等の多角形状であってもよい。耐火被覆梁13,14は、全体として平面視で円環状等に形成されているとしてもよい。耐火構造物は、減耐火被覆梁を備えなくてもよい。
本開示の耐火構造物の設計方法、耐火構造物の施工方法、及び耐火構造物は、耐火性能を維持しつつ、床部の隅部における設計の自由度を高めて、床部の複数の隅部を支持する柱の少なくとも1つの耐火被覆を省略することができる耐火構造物、及びその設計方法、施工方法として好適に用いることができる。
11,11A,11C,71,71A,71B,91A,91B,91C,121 耐火構造物
12,12A 第1床部(床部)
12a,12b 隅部(結合隅部)
12c,12d 隅部
12e 平面
13A,13B 第1耐火被覆梁(耐火被覆梁)
14A,14B 第2耐火被覆梁(耐火被覆梁)
15A,15B,15C,95 減耐火被覆梁
16A,16B,16C,16D,93 耐火被覆柱
17A,17B 延長梁
18A,18B 耐火被覆柱
21 第1デッキプレート(引張力伝達部材)
23 鉄筋(引張力伝達部材)
44 床(スラブ)
45A,45B 第1耐火被覆柱(耐火被覆柱)
52 梁
53 柱
59A,59B 第2耐火被覆柱(耐火被覆柱)
94 耐火被覆梁
96a,96b,96c 床部
122A,122B 第1耐火被覆柱
122A1,122B1 柱片(自身の一部)
123A,123B 第2耐火被覆柱
F2,F3 引張力
S,S30 設計方法(耐火構造物の設計方法)
S1 構造決定工程
S3,S31 耐火仕様決定工程
S5 第1支持仕様決定工程
S7,S33 第2支持仕様決定工程
S9,S35 判定工程
S20,S40 施工方法(耐火構造物の施工方法)
S21 柱梁施工工程
S23,S41 被覆施工工程
S25,S43 第1支持工程
S27,S45 第2支持工程
X 第1交差方向
Y 第2交差方向
(2)前記(1)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(1)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行ってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(1)
ただし、Lは前記床部の主面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の主面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
(5)前記(4)に記載の耐火構造物の設計方法では、前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(2)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行ってもよい。
K=(L+l)/30 ・・(2)
ただし、Lは前記床部の主面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の主面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。

Claims (16)

  1. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、
    構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱の配置を決定する構造決定工程と、
    前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、
    前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記耐火被覆柱で支持するように設定する第1支持仕様決定工程と、
    前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する第2支持仕様決定工程と、
    を行う耐火構造物の設計方法。
  2. 前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、
    前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記前記床部の撓みの最大値が、(1)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行う請求項1に記載の耐火構造物の設計方法。
    K=(L+l)/30 ・・(1)
    ただし、Lは前記床部の前記平面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の前記平面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
  3. 前記判定工程において、前記床部の撓みの最大値が前記閾値K未満でないときには、
    前記耐火仕様決定工程を、前記スラブから区画される前記床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、前記耐火被覆を施す前記複数の梁の少なくとも一部を変えて行い、
    さらに、前記第1支持仕様決定工程及び前記第2支持仕様決定工程を行った後で、前記判定工程を行う請求項2に記載の耐火構造物の設計方法。
  4. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を設計する耐火構造物の設計方法であって、
    構造計算を行うことにより、前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱の配置を決定する構造決定工程と、
    前記スラブから区画された前記床部の周囲を、前記梁に耐火被覆を施した前記耐火被覆梁、及び前記柱に耐火被覆を施した前記第1耐火被覆柱の前記一部により下方から支持させるように設定する耐火仕様決定工程と、
    前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記第2耐火被覆柱で支持するように設定する第1支持仕様決定工程と、
    前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させるように設定する第2支持仕様決定工程と、
    を行う耐火構造物の設計方法。
  5. 前記耐火仕様決定工程、前記第1支持仕様決定工程、及び前記第2支持仕様決定工程の後で、
    前記耐火構造物が、ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記前記床部の撓みの最大値が、(2)式で定められた閾値K未満であるか否かを判定する判定工程を行う請求項4に記載の耐火構造物の設計方法。
    K=(L+l)/30 ・・(2)
    ただし、Lは前記床部の前記平面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の前記平面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
  6. 前記判定工程において、前記床部の撓みの最大値が前記閾値K未満でないときには、
    前記耐火仕様決定工程を、前記スラブから区画される前記床部の形状及び大きさの少なくとも一方が変わるように、前記耐火被覆を施す前記複数の梁、及び前記耐火被覆を施す前記複数の柱の少なくとも一部を変えて行い、
    さらに、前記第1支持仕様決定工程及び前記第2支持仕様決定工程を行った後で、前記判定工程を行う請求項5に記載の耐火構造物の設計方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の耐火構造物の設計方法により設計された耐火構造物。
  8. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、
    前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する柱を施工する柱梁施工工程と、
    前記梁に耐火被覆を施して前記耐火被覆梁とすることで、前記スラブから区画された前記床部の周囲を前記耐火被覆梁により下方から支持させる被覆施工工程と、
    前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記耐火被覆柱で支持する第1支持工程と、
    前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させる第2支持工程と、
    を行う耐火構造物の施工方法。
  9. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物を施工する耐火構造物の施工方法であって、
    前記スラブ、前記スラブを下方から支持する複数の梁、及び前記複数の梁を支持する複数の柱を施工する柱梁施工工程と、
    前記梁に耐火被覆を施して前記耐火被覆梁とし、前記柱に耐火被覆を施して前記第1耐火被覆柱とすることで、前記スラブから区画された前記床部の周囲を前記耐火被覆梁及び前記第1耐火被覆柱の前記一部により下方から支持させるようにする被覆施工工程と、
    前記結合隅部に前記延長梁を結合させ、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を前記第2耐火被覆柱で支持する第1支持工程と、
    前記結合隅部を、柱により直接的に支持させないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持させる第2支持工程と、
    を行う耐火構造物の施工方法。
  10. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する環状の耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、
    前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、
    前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物。
  11. 前記耐火被覆梁よりも前記耐火被覆が削減され、環状の前記耐火被覆梁により囲まれた領域内に配置されて、端部が前記耐火被覆梁に接合されて前記床部を下方から支持する減耐火被覆梁を備える請求項10に記載の耐火構造物。
  12. 前記多角形状は、矩形状である請求項10又は11に記載の耐火構造物。
  13. ISO 834−11:2014に規定された加熱曲線に基づいて加熱されたときに、所望の加熱時間における前記床部の撓みの最大値が、(3)式で定められた閾値K未満である請求項10から12のいずれか一項に記載の耐火構造物。
    K=(L+l)/30 ・・(3)
    ただし、Lは前記床部の前記平面に沿う第1スパンの長さ(m)であり、lは前記床部の前記平面に沿うとともに前記第1スパンに交差する第2スパンの長さ(m)である。
  14. 前記引張力伝達部材は、
    前記第1交差方向に沿って延び、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力を伝達する第1鉄筋と、
    前記第2交差方向に沿って延び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力を伝達する第2鉄筋とを有する請求項10から13のいずれか一項に記載の耐火構造物。
  15. 引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で複数の隅部を有する多角形状に区画された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の周囲を下方から支持する耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記耐火被覆梁を支持するとともに、自身の一部及び前記耐火被覆梁が全体として環状に形成された第1耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記複数の隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    耐火被覆が施され、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する第2耐火被覆柱と、
    を備え、
    前記床部の平面内で互いに交差する方向を第1交差方向、第2交差方向としたときに、
    前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記第1耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、
    前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達する耐火構造物。
  16. 耐火被覆が施され、水平面に沿う第1交差方向に並べて配置されるとともに、水平面に沿い前記第1交差方向に交差する第2交差方向に第1のピッチで並べて配置された複数の耐火被覆柱と、
    耐火被覆が施され、前記第1交差方向に沿って延びるとともに前記第2交差方向に互いに間隔を開けて配置された一対の第1耐火被覆梁と、
    耐火被覆が施され、前記第2交差方向に沿って延びて、前記第1のピッチとは異なる長さに形成され、両端が前記一対の第1耐火被覆梁に直接接合されるとともに、前記複数の耐火被覆柱にそれぞれ接合された一対の第2耐火被覆梁と、
    引張力伝達部材を含むスラブにおいて、平面視で4つの隅部を有する四角形状に区画され、前記一対の第1耐火被覆梁及び前記一対の第2耐火被覆梁により周囲が下方から支持された床部と、
    耐火被覆が施され、前記床部の前記4つの隅部の少なくとも1つである結合隅部に結合された延長梁と、
    を備え、
    前記結合隅部は、柱により直接的に支持されないか、前記耐火被覆柱よりも前記耐火被覆が削減された減耐火被覆柱により下方から支持され、
    前記引張力伝達部材は、前記床部の前記第1交差方向の端部間の引張力、及び、前記床部の前記第2交差方向の端部間の引張力をそれぞれ伝達し、
    前記複数の耐火被覆柱の少なくとも1つは、前記延長梁における前記結合隅部に結合された部分とは異なる部分を支持する耐火構造物。
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