JPWO2020100932A1 - 結合剤 - Google Patents

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Abstract

新規な結合剤を提供する。結合剤を、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(A)及び/又は(B)を充足するポリビニルアルコール系重合体で構成する。要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.65質量%以上

Description

本発明は、結合剤等に関する。
医薬品や健康食品等の有効成分を経口摂取する際の剤形としては、顆粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤等がある。薬物や有効成分を含む粉末がこれらの用途に用いられるが、薬物や有効成分の中には、粒子径が細かく、飛散性や煙霧性があったり、流動性や取扱性が悪いものが多い。
したがって、通常、こういった薬物や有効成分を造粒する操作が行われる。特に、医薬品等の場合には、打錠性、含量均一性、溶出性の向上などの目的でも造粒が行われる。
なお、特許文献1(国際公開第2016/72179号パンフレット)には、錠剤のような固形製剤をフィルムコーティングするための組成物として、特定のポリビニルアルコール系重合体(以下、PVA系重合体)を含む組成物が開示されている。
国際公開第2016/72179号パンフレット
本発明の目的は、新規な結合剤等を提供することにある。
前記特許文献1のように、PVA系重合体で錠剤等をコーティング(フィルムコーティング)する技術が知られている。このようなコーティングは、マスキング、酸素の遮断、防湿又は製品としての美観の向上等の目的で行われるものであり、結合剤とは、その目的も対象物に対する適用の仕方も全く異なるものである。
例えば、粉体から造粒物を得るための結合剤では、粉体同士を効率よく結合させるための結合性や粘性を要するが、錠剤のフィルムコーティングでは、生産性等の観点から、錠剤同士の付着は極力避ける必要があり、むしろ、粘性や粘着性は改善すべきものと考えられる。実際、特許文献1には、特定のPVA系重合体が、粘着性の問題を改善でき、錠剤の付着を生じにくいことが記載されている。
このような中、本発明者らは、結合剤としてPVA系重合体を利用できないか、鋭意検討を進めた結果、フィルムコーティング用途を想定した特許文献1等とは全く別異の思想のもと、特定のPVA系重合体が、結合剤として有用であること等を見出し、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明等に関する。
[1]
ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(A)を充足する結合剤。
要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下
[2]
ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(B)を充足する結合剤。
要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.65質量%以上
[3]
ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.3質量%以上である、[1]記載の結合剤。
[4]
ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が95.0%以下である、[2]記載の結合剤。
[5]
ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(A)及び(B)を充足する結合剤。
要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下
要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.70質量%以上
[6]
要件(A)において、透明度が50.0%以下である、[1]又は[5]記載の結合剤。
[7]
要件(B)において、上澄み液の濃度が0.75質量%以上である、[2]又は[5]記載の結合剤。
[8]
ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した4質量%水溶液粘度が2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下を満たすポリビニルアルコール系重合体である、[1]〜[7]のいずれかに記載の結合剤。
[9]
造粒用の結合剤である[1]〜[8]のいずれかに記載の結合剤。
[10]
平均粒子径100μm以下の粉体を造粒するための結合剤である、[1]〜[9]のいずれかに記載の結合剤。
[11]
平均粒子径300μm以下の造粒物を得るための結合剤である、[1]〜[10]のいずれかに記載の結合剤。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載の結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)を用いて造粒(例えば、湿式造粒)する、造粒物の製造方法。
[13]
結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)を含む水溶液及び/又は水性溶液を、粉体に接触させる工程を含む、[12]記載の製造方法。
[14]
結合剤を、[1]〜[11]のいずれかに記載の結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)とする造粒物([1]〜[11]のいずれかに記載の結合剤を含む造粒物)。
[15]
粉体1質量部に対して、結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)0.005〜0.1質量部を含む、[14]記載の造粒物。
[16]
[14]又は[15]記載の造粒物を含有する錠剤。
[17]
[16]記載の錠剤と、この錠剤表面を被覆するポリビニルアルコール系重合体とで構成されている、被覆錠剤。
本発明の一態様では、新規な結合剤を提供できる。このような結合剤は、PVA系重合体で構成されているにもかかわらず、結合剤として有効に機能しうる。
本発明の一態様では、優れた錠剤を得るのに有用な結合剤を提供しうる。例えば、固形剤(錠剤等)を構成する造粒物(顆粒等)を、本発明の結合剤(PVA系重合体)を用いて形成することで、効率よく、硬さ(硬度)や崩壊性(溶出性、成形性)の点で有利な固形剤を提供しうる。
特に、硬さと崩壊性(水崩壊性)とは、本来両立しがたいトレードオフの関係にあるものの、本発明の一態様の結合剤によれば、硬さと崩壊性とをバランスよく両立しうる。
本発明の一態様では、経口用などとしても使用可能な安全な結合剤を提供しうる。本発明の結合剤は、平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%のPVA系重合体を使用するが、このようなPVA系重合体は、医薬用あるいは医薬グレードとして市販されているPVAのけん化度の範囲と85.0モル%〜89.0モル%と共通しており、またこの範囲は日本、米国、ヨーロッパの公定書に記載されているPVAのけん化度規格の共通部分でもある。
[ポリビニルアルコール系重合体]
本発明の結合剤は、ポリビニルアルコール系重合体を含む。
ポリビニルアルコール系重合体(PVA系重合体、PVAなどということがある)(a)は、通常、ビニルエステル系重合体(少なくともビニルエステルを重合成分とする重合体)の鹸化物であってもよい。
PVA系重合体のけん化度は、特に限定されないが、医薬品添加物規格、米国薬局方及びヨーロッパ薬局方の3つの公定書に記載されているPVAのけん化度の規格内に入ることが好ましい。また、体内で速やかに溶解できるなどの観点から、PVA系重合体の平均けん化度は、例えば、74.0モル%〜89.0モル%(例えば、80.0〜89.0モル%など)が好ましく、85.0モル%〜89.0モル%(例えば、85.5〜89.0モル%、86.0〜89.0モル%、86.5〜89.0モル%、87.0〜89.0モル%、87.5〜88.9モル%、88.0〜88.8モル%)が特に好ましい。
平均けん化度が85.0モル%以上であれば、グローバルに販売される医薬用製剤の原料として使用でき、また、疎水性基の割合が少なくなることから、親水性が向上したり、水溶液を調製する際に高温で析出しにくいため、取扱いが容易になるなどの観点から特に好ましい。
一方、平均けん化度が89.0モル%以下であれば、グローバルに販売される医薬用製剤の原料として使用でき、PVAの水酸基の増加に伴う結晶性の向上による水への溶解性の低下や、錠剤における崩壊性や溶出速度を十分なものとしやすいなどの観点から特に好ましい。
なお、PVAの平均けん化度は、特に限定されないが、例えば、JIS K6726のけん化度測定方法などによって、測定してもよい。
本発明では、特定のけん化度分布を有するPVA系重合体を使用する。
すなわち、PVA系重合体は、以下の要件(A)及び/又は要件(B)を充足すればよく、特に、要件(B)を少なくとも充足するのが好ましく、両方を満たすPVA系重合体を充足してもよい。以下、これらの要件について説明する。
(要件(A))
要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下
水溶液の調製方法は、特に限定されず、慣用の方法に従ってよく、所定の容器内(ビーカーなど)にて調製してもよい。
1−プロパノールの添加(混合)は、特に限定されないが、均一な(均一な状態の)水溶液に対して行ってもよい。
1−プロパノールの添加は、攪拌下で行ってもよい。攪拌には、攪拌子(スターラーバーなど)を使用してもよく、攪拌手段(スターラーなど)を使用してもよい。
1−プロパノールの添加速度は、特に限定されず、例えば、10mL/分などであってもよい。
1−プロパノールの添加の際の温度(又は液の温度)は、特に限定されず、20℃であってもよく、常温又は所定の温度範囲内(例えば、0〜50℃、5〜40℃、10〜30℃、15〜25℃等)であってもよい。
透明度を測定するタイミングは、特に限定されないが、通常、1−プロパノールの添加後、静置後(静置状態)にて行ってもよい。例えば、1−プロパノールの添加後、攪拌を停止し、所定時間(例えば、30分等の10分以上)静置した後に、透明度を測定してもよい。
なお、「20℃における透明度」は、例えば、20℃で所定時間(例えば、30分間又はそれを超える時間、30分から1時間程度)静置(放置)した液の透明度(又は静置して液中の気泡が目視では確認できない程度に抜けた液の透明度)であってもよい。
具体的な一例を挙げると、ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0g及び攪拌子[例えば、スターラーバー(例えば、長さ4.0cm)]を入れた所定の容器[例えば、200mLビーカー(例えば、外径:6.5cm、高さ:8.8cm)]に、常温[例えば、10〜30℃(例えば、20℃)]にて、攪拌下で[例えば、スターラーを用い、所定の回転数(例えば、100rpm等の30〜300rpm)において)]、1−プロパノール 130.0mLを所定の添加速度(例えば、10mL/分)で添加(例えば、滴下)し、添加終了後[例えば、添加終了してから所定時間(例えば、5分)経過後]、攪拌をやめ、所定時間(例えば、30分)静置した後に、速やかに(例えば、10分以内、5分以内、3分以内など)、20℃における透明度[例えば、20℃で所定時間(例えば、30分などの30分〜1時間)静置後の透明度]を測定してもよい。
透明度は、例えば、JIS K0115で規定される分光光度計を用い、光路長20mmの石英又はガラス製吸収セルを使用し、水を対照として430nmの透過率を求めることで測定してもよい。
要件(A)を充足する場合、透明度(20℃における透明度)は、80.0%以下(例えば、75.0%以下)であればよく、例えば、70.0%以下(例えば、65%以下)、好ましくは60.0%以下(例えば、55.0%以下)、さらに好ましくは50.0%以下(例えば、45.0%以下)、特に40.0%以下(例えば、38.0%以下)、特に好ましくは35.0%以下(例えば、33.0%以下、32.0%以下、31.0%以下、30.5%以下)であってもよく、28.0%以下(例えば、25.0%以下、22.0%以下、20.0%以下)であってもよい。
透明度(20℃における透明度)の下限値は、特に限定されないが、0.0%、0.50%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%などであってもよい。
なお、けん化度の高いPVA成分は1−プロパノールに溶解しにくいため、PVA系重合体水溶液に一定量の1−プロパノールを添加すると、高けん化度成分が析出し、濁り成分となる。そのため、透明度は、高けん化度成分の含有量(ひいては、高けん化度側のけん化度分布)の指標となりうる。すなわち、透明度が低いほど、高けん化度成分を多く含む傾向(ひいては、高けん化度側のけん化度分布が広くなる傾向)があると想定しうる。
(要件(B))
要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.65質量%以上(例えば、0.70質量%以上)
水溶液の調製方法は、特に限定されず、慣用の方法に従ってよく、所定の容器内(ビーカーなど)にて調製してもよい。
1−プロパノールの添加(混合)は、特に限定されないが、均一な(均一な状態の)水溶液に対して行ってもよい。
1−プロパノールの添加は、攪拌下で行ってもよい。攪拌には、攪拌子(スターラーバーなど)を使用してもよく、攪拌手段(スターラーなど)を使用してもよい。
1−プロパノールの添加速度は、特に限定されず、例えば、10mL/分などであってもよい。
1−プロパノールの添加の際の温度(又は液の温度)は、特に限定されず、20℃であってもよく、常温又は所定の温度範囲内(例えば、0〜50℃、5〜40℃、10〜30℃、15〜25℃等)であってもよい。
なお、要件(B)において、1−プロパノールの添加までの工程については、上記要件(A)と同様としてもよい。
濃度の測定に供する上澄み液は、1−プロパノール添加後の液(混合液)を所定時間[例えば、3時間以上(例えば、24時間)のような十分な時間]静置すること等により得てもよいが、効率よく(確実に)得るべく、好ましくは遠心分離によって得てもよい。遠心分離により、効率よく(さらには確実に)混合液から上澄み液を得ることできる。
遠心分離の条件は、上澄み液が得られる限り特に限定されないが、例えば、所定回転数(例えば、14000rpmなどの、1000rpm以上、3000rpm以上、5000rpm以上、10000rpm以上など)にて所定時間(例えば、10分などの、1分以上、3分以上、5分以上、7分以上、10分以上など)、遠心分離(遠心分離処理)してもよい。
なお、遠心分離機(遠心機)は、特に限定されず、例えば、(株)コクサンの「H−9R」などを使用してもよい。
「20℃における上澄み液」は、例えば、20℃で所定時間(例えば、30分間又はそれを超える時間、30分から1時間程度)静置(放置)した後の上澄み液(又は静置して液中の気泡が目視では確認できない程度に抜けた液の上澄み液)であってもよい。なお、上記のように、遠心分離を行う場合、このように静置した後の混合液を、20℃において遠心分離してもよい。
具体的な一例を挙げると、ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0g及び攪拌子[例えば、スターラーバー(例えば、長さ4.0cm)]を入れた所定の容器[例えば、200mLビーカー(例えば、内径:6.5cm、高さ:8.8cm)]に、常温[例えば、10〜30℃(例えば、20℃)]にて、攪拌下で[例えば、スターラーを用い、所定の回転数(例えば、100rpm等の30〜300rpm)において)]、1−プロパノール 130.0mLを所定の添加速度(例えば、10mL/分)で添加(例えば、滴下)し、添加終了後[例えば、添加終了してから所定時間(例えば、5分)経過後]、攪拌をやめ、20℃において所定時間(例えば、30分)静置した後に上澄み液{例えば、遠心分離[例えば、遠心機(例えば、(株)コクサンの「H−9R」)を用いて、20℃において、所定回転数(例えば、14000rpm)にて所定時間(例えば、10分)遠心分離]した後に得られる上澄み液}の濃度を測定してもよい。
濃度の測定に供する上澄み液は、混合液から分離(沈殿物と分離)してもよく、混合液から上澄み液の部分(一部)を分離してもよい。
上澄み液の濃度(固形分濃度)の測定方法は、特に限定されないが、例えば、所定量の上澄み液(分離した上澄み液)から、溶媒成分(水及び1−プロパノール)を除去し、溶媒成分の除去前後の質量から、測定(算出)できる。
上澄み液の濃度の測定方法の一例を、以下に示す。
所定量の上澄み液(例えば、約80g)を沈殿成分が含まれないようにスポイトを用いて採取(例えば、ゆっくりとシャーレ上に採取)して、乾燥又は溶媒を除去(例えば、60℃で5時間乾燥した後、105℃で24時間乾燥)し、採取した液の質量と乾燥(溶媒の除去)前後の質量の変化から算出して、測定した。
要件(B)を充足する場合、上澄み液の濃度(20℃における上澄み液の濃度)は、0.65質量%以上(例えば、0.68質量%)以上、0.70質量%以上(例えば、0.71質量%以上)等であればよく、例えば、0.72質量%以上(例えば、0.73質量%以上)、好ましくは0.74質量%以上(例えば、0.75質量%以上)、さらに好ましくは0.76質量%以上(例えば、0.77質量%以上)、特に0.78質量%以上(例えば、0.79質量%以上)、特に好ましくは0.80質量%以上(例えば、0.81質量%%以上)であってもよく、0.82質量%以上(例えば、0.83質量%以上、0.84質量%以上)であってもよい。
上澄み液の濃度(20℃における上澄み液の濃度)の上限値は、特に限定されないが、2.0質量%、1.8質量%、1.6質量%、1.5質量%、1.3質量%、1.2質量%、1.1質量%、1.0質量%、0.95質量%、0.90質量%、0.88質量%、0.87質量%、0.86質量%、0.85質量%などであってもよい。
なお、けん化度の低いPVA成分は、1−プロパノールを加えても析出しにくいため、PVA系重合体水溶液に一定量の1−プロパノールを添加すると、低けん化度成分は液中に溶解した状態で存在する。そのため、上澄み液の濃度は、低けん化度成分の含有量(ひいては、低けん化度側のけん化度分布)の指標となりうる。すなわち、上澄み液の濃度が大きいほど、低けん化度成分を多く含む傾向(ひいては、低けん化度側のけん化度分布が広くなる傾向)があると想定しうる。
このようにPVA系重合体は、要件(A)及び/又は要件(B)を満たし、けん化度分布が広いものであると想定(推定)される。中でも、PVA系重合体は、要件(B)を少なくとも充足する(ひいては、低けん化度側のけん化度分布が広い)ものが、結合剤としての機能を効率よく発現ないし発揮しやすい。
なお、このように要件(A)及び要件(B)は、少なくともいずれか一方を充足すればよく、両方を充足しなくてもよい。すなわち、PVA系重合体が、要件(A)(又は要件(B))を充足する場合、要件(B)(又は要件(A))を充足してもよく、充足しなくてもよい。
両方の要件を充足すると、結合剤としての機能をより一層高いレベルで発現ないし発揮しやすい場合があるが、いずれかの要件(例えば、要件(B))を充足しさえすれば、十分に結合剤としての機能を発現ないし発揮しうる。
このような観点から、結合剤の機能を効率良く発現ないし発揮するためには、両方の要件を充足しない場合であっても、その充足しない程度は小さい(要件から大きくはずれない)ことが好ましい。
例えば、PVA系重合体が、要件(B)を充足する場合、要件(A)を充足してもよく、要件(A)を充足しなくてもよい[すなわち、透明度(20℃における透明度)が80.0%超であってもよい]が、充足しない場合でも透明度(20℃における透明度)が大きくなりすぎない(例えば、98.0%以下、97.0%以下、96.0%以下、95.0%以下、93.0%以下、90.0%以下、88.0%以下、87.0%以下、86.0%以下、85.0%以下、84.0%以下、83.0%以下、82.0%以下、81.0%以下等である)のが好ましい。
また、PVA系重合体が、要件(A)を充足する場合、要件(B)を充足してもよく、要件(B)を充足しなくてもよい[すなわち、上澄み液の濃度(20℃における上澄み液の濃度)が0.65質量%未満であってもよい]が、充足しない場合でも上澄み液の濃度(20℃における上澄み液の濃度)が小さくなりすぎない(例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上、0.35質量%以上、0.4質量%以上、0.45質量%以上、0.5質量%以上、0.55質量%以上、0.6質量%以上、0.61質量%以上、0.62質量%以上、0.63質量%以上、0.64質量%以上、0.65質量%以上、0.66質量%以上、0.67質量%以上、0.68質量%以上、0.69質量%以上等である)のが好ましい。
PVA系重合体の4質量%水溶液粘度(JIS K6726に従って測定)は、特に制限はないが、2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下(例えば、2.2mPa・s以上9.5mPa・s以下、2.5mPa・s以上9.0mPa・s以下、2.8mPa・s以上8.5mPa・s以下)が好ましく、3.0mPa・s以上7.0mPa・s以下(例えば、3.5mPa・s以上6.5mPa・s以下、4.0mPa・s以上6.0mPa・s以下、4.5mPa・s以上5.5mPa・s以下)であってもよい。
このような4質量%水溶液粘度を有することで、前記要件(A)及び/又は(B)との組み合わせもあいまって、錠剤の崩壊時間を効率よく短いものとしやすい。
PVA系重合体は、市販品を利用してよく、合成したものを使用してもよい。PVA系重合体の製造方法としては、ビニルエステル系モノマーを含む重合成分の重合体(ビニルエステル系重合体)をけん化する等の公知の方法が用いられる。
ビニルエステル系モノマー(ビニルエステル系単量体)としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸ビニルエステル[例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニルなどのC1−20脂肪酸ビニルエステル(例えば、C1−16アルカン酸−ビニルエステル)など]、芳香族カルボン酸ビニルエステル[例えば、安息香酸ビニルなどのアレーンカルボン酸ビニル(例えば、C7−12アレーンカルボン酸−ビニルエステル)など]などが挙げられる。
ビニルエステル系モノマーは、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ビニルエステル系モノマーは、少なくとも脂肪酸ビニルエステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのC1−10アルカン酸−ビニルエステルなど)を含んでいるのが好ましく、工業的観点などから、特に、酢酸ビニルを含んでいてもよい。
ビニルエステル系重合体は、ビニルエステル単位を有していればよく、必要に応じて、他の単量体(ビニルエステル系モノマーと共重合可能な単量体)由来の単位を有していてもよい(他の単量体により変性されていてもよい)。
他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレンなど)、(メタ)アクリル酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル]、不飽和アミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、不飽和酸類{例えば、不飽和酸[例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸など]、不飽和酸エステル[(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸エステル、例えば、アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)エステルなど]、不飽和酸無水物(無水マレイン酸など)、不飽和酸の塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アンモニウム塩など]など}、グリシジル基含有単量体[例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなど]、スルホン酸基含有単量体(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、その塩類など)、リン酸基含有単量体[例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、ビニルエーテル類(例えば、アルキルビニルエーテル類)、アリルアルコールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
他の単量体は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、重合成分が、他の単量体を含む場合、重合成分における他の単量体の割合は、例えば、50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。
重合成分におけるビニルエステル系モノマーの割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
なお、PVA系重合体は、ビニルアルコール単位の一部が、アセタール化、エーテル化、アセトアセチル化、カチオン化などの反応によって、変性されたものであってもよい。
重合成分(例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマーを含む重合成分)の重合方法としては、特に限定されず、例えば、従来公知の塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられるが、溶剤としてメタノールを用いた溶液重合が工業的に好ましい。該溶液重合には、過酸化物系、アゾ系等の公知の開始剤を用いることができ、重合成分とメタノールの配合比、重合収率を変えることにより、ビニルエステル系重合体の重合度を調整することができる。また、PVA系重合体を得るための原料として、市販のビニルエステル系重合体(ポリ酢酸ビニル樹脂など)を使用することもできる。
ビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のけん化方法としては、従来から公知のアルカリ触媒又は酸触媒を用いたけん化方法を適用することができ、中でもビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のメタノール溶液又はビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のメタノール、水、酢酸メチル等の混合溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリを加えて、撹拌して混合しながら、ビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のアシル基(例えば、アセチル基)を加アルコール分解する方法が、工業的に好ましい。
その後、得られた塊状物、ゲル状物あるいは粒状物を粉砕し、必要に応じて添加したアルカリを中和した後、固形物と液分を分離し、固形物を乾燥することによりPVA系重合体を得ることができる。
本発明で用いられるPVA系重合体は、けん化反応を通常より不均一な系で行うことで効率よく製造することができる。具体的な方法としては、けん化時のビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のメタノール溶液の濃度を高くして(例えば、55質量%以上)けん化を行う方法、アルカリを添加して混合する際の撹拌速度を低くして(例えば、20rpm以下)けん化を行う方法、アルカリを添加して混合する際の撹拌及び混合時間を短縮してけん化を行う方法、アルカリ量を増やして短時間でけん化を行う方法、ビニルエステル系重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル)のメタノール溶液と添加するアルカリの温度を調整する等して、けん化反応系に温度勾配又は温度分布を与えてけん化する方法が挙げられる。
その他にも、けん化反応速度に影響を与える水、酢酸メチル等の溶剤を不均一な状態になるように添加して、けん化反応を行う方法等があり、これらの操作を行うことで、作成したPVA系重合体中のけん化度にムラが生じやすくなり、それにより従来の方法で作成したPVA系重合体と同じ平均けん化度であっても、けん化度分布が広いPVA系重合体を製造することができる。
また、上記方法以外にも、加重平均けん化度が目的の値になるようにけん化度の異なる2種以上のPVAを配合したPVAも、PVA系重合体の一形態として本発明において使用することができる。
この場合、PVA系重合体は、複数のPVA、例えば、2種のPVA(a)とPVA(b)とを混合することにより、得ることができる。
JIS K6726のけん化度測定方法に従って測定される、PVA(a)の平均ケン化度は、例えば85モル%以上(例えば、85〜99モル%)、好ましくは88モル%以上(例えば、88〜99モル%)、より好ましくは90モル%以上(例えば、90〜99モル%)、さらに好ましくは92モル%以上(例えば、92〜99モル%)のPVA(a)であってもよい。
PVA(b)の前記平均ケン化度は、例えば99モル%以下(例えば、60〜99モル%)、好ましくは95モル%以下(例えば、60〜95モル%)、より好ましくは90モル%以下(例えば、65〜90モル%)、さらに好ましくは88モル%以下(例えば、65〜88モル%)であってもよい。
PVA(a)とPVA(b)の混合割合は、充足させる要件(A)及び/又は要件(B)に応じて適宜選択でき、例えば、PVA(a):PVA(b)の質量比が、例えば5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15、さらに好ましくは20:80〜80:20であってもよい。
PVA(a)とPVA(b)の混合によって得られるPVA系重合体の加重平均けん化度(すなわち、PVA(a)のけん化度をAモル%、PVA(b)のけん化度をBモル%、PVA(a)とPVA(b)の混合割合をA’:B’とした時、加重平均けん化度C=(A×A’+B×B’)/100)は、前記と同様の範囲から選択できるが、例えば、83.0〜89.0モル%、好ましくは85.0〜89.0モル%、より好ましくは86.0〜89.0モル%であってもよい。
[結合剤など]
本発明の結合剤(バインダー)は、上記PVA系重合体を含む。
このような結合剤は、対象物(例えば、粉末)に対して結合剤として機能する限り、その具体的用途は特に限定されないが、特に、造粒用の結合剤として好適である。
対象物(結合剤の対象物、結合対象物)としては、特に限定されないが、例えば、医薬品、医薬部外品、食品などであってもよい。また、対象物は、有効成分、栄養素(又は栄養成分)などであってもよく、薬物(原薬等)であってもよい。
対象物は、有機物、無機物のいずれであってもよく、これらの混合物や有機−無機ハイブリット物であってもよい。
このような対象物のうち薬物ないし有効成分(又は対象物中に含まれる薬物ないし有効成分)としては、特に限定されるものではない。かかる薬物としては、例えば、中枢神経系薬物、循環器系薬物、呼吸器系薬物、消化器系薬物、抗生物質、鎮咳・去たん剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛消炎剤、利尿剤、自律神経作用薬、抗マラリア剤、止潟剤、向精神剤、ビタミン類及びその誘導体等が挙げられる。
中枢神経系薬物としては、例えば、ジアゼパム、イデベノン、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール、ナプロキセン、ピロキシカム、インドメタシン、スリンダック、ロラゼパム、ニトラゼパム、フェニトイン、アセトアミノフェン、エテンザミド、ケトプロフェン及びクロルジアゼポキシド等が挙げられる。
循環器系薬物としては、例えば、モルシドミン、ビンポセチン、プロプラノロール、メチルドパ、ジピリダモール、フロセミド、トリアムテレン、ニフェジビン、アテノロール、スピロノラクトン、メトプロロール、ピンドロール、カプトプリル、硝酸イソソルビト、塩酸デラプリル、塩酸メクロフェノキサート、塩酸ジルチアゼム、塩酸エチレフリン、ジギトキシン、塩酸プロプラノロール及び塩酸アルプレノロール等が挙げられる。
呼吸器系薬物としては、例えば、アムレキサノクス、デキストロメトルファン、テオフィリン、プソイドエフェドリン、サルブタモール及びグアイフェネシン等が挙げられる。
消化器系薬物としては、例えば、2−[〔3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル〕メチルスルフィニル]ベンゾイミダゾール及び5−メトキシ−2−〔(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチルスルフィニル〕ベンゾイミダゾール等の抗潰瘍作用を有するベンゾイミダゾール系薬物、シメチジン、ラニチジン、塩酸ピレンゼピン、パンクレアチン、ビサコジル並びに5−アミノサリチル酸等が挙げられる。
抗生物質としては、例えば、塩酸タランピシリン、塩酸バカンピシリン、セファクロル及びエリスロマイシン等が挙げられる。
鎮咳・去たん剤としては、例えば、塩酸ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、臭化水素酸デキストロメトルファン、クエン酸イソアミニル及びリン酸ジメモルファン等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン及び塩酸プロメタジン等が挙げられる。
解熱鎮痛消炎剤としては、例えば、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、スルピリン、アスピリン及びケトプロフェン等が挙げられる。
利尿剤としては、例えば、カフェイン等が挙げられる。
自律神経作用薬としては、例えば、リン酸ジヒドロコデイン及びdl−塩酸メチルエフェドリン、硫酸アトロピン、塩化アセチルコリン、ネオスチグミン等が挙げられる。
抗マラリア剤としては、例えば、塩酸キニーネ等が挙げられる。
止潟剤としては、例えば、塩酸ロペラミド等が挙げられる。
向精神剤としては、例えば、クロルプロマジン等が挙げられる。
ビタミン類及びその誘導体としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、フルスルチアミン、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸カルシウム及びトラネキサム酸等が挙げられる。
なお、対象物が、有効成分や栄養素などを含む場合、これらに加えて、他の成分(例えば、賦形剤、崩壊剤、滑択剤、凝集防止剤、溶解補助剤など通常この分野で使用される種々の添加剤)を含んでいてもよい。
賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、でんぷん、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム等が挙げられる。滑択剤、凝集防止剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。更に、溶解補助剤としては、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸等の有機酸等が挙げられる。これら添加剤は、1種又は2種以上を使用することができる。他の成分(添加剤)の含有量は、薬剤の種類等に応じて適宜決定することができる。
対象物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
対象物は、常温(例えば、10〜40℃等)において固体であってもよい。
対象物の形状は、例えば、粉末(又は粉体)であってもよい。このような粉末(原体、原末など)の大きさは、特に限定されないが、例えば、平均粒子径が、500μm以下(例えば、5〜400μm)、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは100μm以下(例えば、10〜80μm)程度であってもよい。
なお、粉末の平均粒子径は、レーザー式粒度分布測定装置などにより測定してもよい。
結合剤を造粒用に用いる場合、造粒物(造粒末)が得られる。すなわち、造粒物は、対象物(粉体等)と、結合剤とを含む。換言すれば、造粒物は、結合剤を本発明の結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)とする造粒物ということもできる。
粉末の造粒物(造粒末)は、通常、顆粒(顆粒状)であってもよい。
造粒物(例えば、顆粒)の大きさは、粉体の大きさや造粒方法等に応じて適宜選択できるが、例えば、平均粒子径700μm以下(例えば、30〜600μm)、好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下(例えば、50〜200μm)程度であってもよい。
なお、造粒物の平均粒子径は、レーザー式粒度分布測定装置などにより測定してもよい。
造粒物において、結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)の割合は、例えば、0.1〜50質量%程度の範囲から選択でき、0.2〜30質量%(例えば、0.3〜15質量%)、好ましくは0.5〜10質量%(例えば、0.7〜8質量%)、さらに好ましくは1〜5質量%(例えば、1〜3質量%)程度であってもよい。
造粒物において、本発明の結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)の割合は、例えば、粉体1質量部に対して、0.001〜0.5質量部程度の範囲から選択でき、0.002〜0.2質量部(例えば、0.003〜0.15質量部)、好ましくは0.005〜0.1質量部(例えば、0.007〜0.08質量部)、さらに好ましくは0.01〜0.05質量部(例えば、0.01〜0.03質量部)程度であってもよい。
本発明の結合剤は、対象物のバインダーとして機能する限り、特に限定されないが、通常、対象物と接触させることにより、使用できる。
特に、本発明の結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)を用いて造粒する(結合剤と対象物とを接触させる)ことにより、造粒物を製造できる。
なお、本発明の結合剤(造粒物)は、下記(1)〜(3)の態様を含んでもよく、含まなくてもよい。
(1)レボドバ及び/又はカルビドバに使用する(例えば、レボドバ及びカルビドバを含む医薬製剤に、けん化度の異なるポリビニルアルコールからなる重合体混合物を含有させる)。
(2)イルベサルタンに使用する(例えば、イルベサルタン含有医薬組成物に含有させる)。
(3)オベチコール酸またはその薬学的に許容される塩に使用する(例えば、オベチコール酸またはその薬学的に許容される塩、(i)水溶性賦形剤、(ii)崩壊剤、および(iii)水溶性高分子結合剤を含有する経口製剤において、水溶性高分子結合剤として使用する)。
造粒方法としては、特に限定されず、乾式造粒(例えば、薬物などの粉末と結合剤を混合した後、ローラーコンパクターと呼ばれるような装置で粉末に圧力をかけて造粒を行い、最後に粉砕して顆粒を作成する方法)であってもよいが、代表的には、湿式造粒(湿式造粒法)であってもよい。
湿式造粒は、結合剤を液体状として対象物と接触させる工程(造粒工程)を少なくとも含む。代表的な造粒工程では、溶媒の存在下で、結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)と対象物とを接触させてもよい。より具体的には、結合剤を含む分散又は溶液(特に、水溶液及び/又は水性溶液)を、対象物(特に粉体)に接触(例えば、噴霧、滴下)させる方法(例えば、溶液添加法)、対象物(粉体)と結合剤との混合物に溶媒(結合剤を溶解又は分散可能な溶媒)を接触(例えば、噴霧、滴下)させる方法(例えば、粉末添加法)などが挙げられる。
溶媒としては、特に、結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)を溶解又は分散できれば特に限定されないが、通常、水、水と有機溶媒との混合液(水性溶媒)、特に、水又は水性溶媒(代表的には水)を好適に使用できる。有機溶媒(水溶性溶媒)としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類(例えば、エタノールなど)などが挙げられる。
湿式造粒において、溶媒の割合又は使用量(例えば、水溶液における水の割合)は、対象物(粉体)100質量部に対して、例えば、1〜70質量部(例えば、3〜60質量部)、好ましくは4〜50質量部(例えば、5〜45質量部)、さらに好ましくは7〜40質量部(例えば、8〜35質量部)程度であってもよい。
具体的な湿式造粒法としては、例えば、流動層造粒、高速撹拌造粒、押し出し造粒、転動造粒などが挙げられるが、本発明では、特に流動層造粒、高速撹拌造粒などを好適に利用してもよい。
流動層造粒は、例えば、流動層と呼ばれる層の中に対象物(粉末)を入れ、下層から温風を噴霧して対象物(粉末)を流動させているところに、上層から結合剤を含む溶液又は分散液(特に、水溶液)を噴霧して造粒する方法である。なお、流動層造粒であれば、造粒(造粒する工程)と同時に乾燥も行うことができ、造粒後の乾燥の手間が省ける。
高速撹拌造粒では、例えば、装置内部にブレンダーと呼ばれる大きな羽根とチョッパーと呼ばれる小さな羽根がついている高速撹拌造粒機が使用される。このような高速攪拌造粒では、装置内部に対象物(粉末)を入れ、撹拌羽根を回転させているところに結合剤を含む溶液又は分散液(特に水溶液)を噴霧または滴下して造粒を行う。造粒後、乾燥を行い、顆粒が得られる。
造粒物(例えば、顆粒)は、対象物の種類や用途等に応じて適宜利用でき、例えば、顆粒として利用(例えば、顆粒剤、カプセル剤などとして利用)してもよく、さらに顆粒を用いて成形してもよい。
例えば、造粒物(顆粒)は、錠剤の材料として使用できる。換言すれば、錠剤は、造粒物を含んでおり、造粒物を用いて打錠することにより製造できる。
このような本発明の造粒物(及び錠剤などのその成形品)は、経口用途(経口剤)として好適に利用してもよい。
錠剤は、造粒物を少なくとも含んでいればよく、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、通常、この分野で常用され得る添加剤(例えば、崩壊剤、滑択剤、凝集防止剤、溶解補助剤など)を含んでいてもよい。
崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどが挙げられる。
滑択剤又は凝集防止剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸などの有機酸などが挙げられる。
これらの添加剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
また、これら添加剤の含有量は、錠剤又は造粒物の成分の種類などに応じて適宜決定することができる。
錠剤において、前記結合剤(又はポリビニルアルコール系重合体)の割合は、例えば、0.5〜10質量%、好ましくは2〜6質量%(例えば、1〜5質量%)、さらに好ましくは1〜3質量%程度であってもよく、3質量%以下(例えば、1〜2質量%、2〜3質量%など)であってもよい。
なお、錠剤の形状は、特に限定されず、円盤形、レンズ形、竿形などのいずれであってもよい。
また、錠剤の大きさも、特に限定されないが、例えば、直径(最大径)で、3mm以上(例えば、4〜15mm、5〜12mm、8〜11mmなど)であってもよい。
打錠方法としては、特に限定されず、慣用の打錠方法を採用できる。
錠剤は、錠剤表面に被覆層を有していてもよい。そのため、本発明には、さらに、錠剤と、この錠剤表面を被覆する被覆層(コーティング層)とを有する被覆錠剤を含む。
被覆錠剤において、被覆層の構成成分としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなど)、ポリビニルアルコール系重合体などの樹脂材料が挙げられる。
なお、被覆層が、ポリビニルアルコール系重合体を含む場合、ポリビニルアルコール系重合体は、前記要件(A)及び/又は(B)を充足してもよく、しなくてもよいが、特に充足してもよい。被覆層を要件(A)及び/又は(B)を充足するポリビニルアルコール系重合体で構成することで、効率よく、高い生産性で、錠剤同士の付着が発生しにくく、防湿性やガスバリア性を発現しうる。
錠剤表面に被覆層を形成する方法(被覆錠剤を製造する方法)としては、特に限定されず、従来公知のコーティング手段を使用してよく、フィルムコーティングなどが挙げられる。
コーティング方法としては、例えば、スプレーコーティングが挙げられる。
コーティングの装置としては、例えば、パンコーティング装置、ドラムタイプコーティング装置などを使用してよい。また、これらの装置に付帯するスプレー装置としては、例えば、エアースプレー、エアレススプレーなどを使用してよい。
具体的な被覆層の形成方法としては、例えば、上述したコーティング装置を用い、錠剤に、被覆層の構成成分(さらには必要に応じて添加剤)を加えたコーティング組成物を、溶媒[例えば、水、有機溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール類など)、水と有機溶媒の混合溶媒など]に溶解又は分散させた溶液を調整し、乾燥と同時に該溶液を塗布又は噴霧して錠剤表面へ被覆する方法などが挙げられる。
錠剤の表面にコーティングされるコーティング組成物の被覆量は、錠剤の種類、形、大きさ、表面状態、錠剤中に含まれる成分や添加剤の性質などによって異なるが、被覆錠剤全量に対して、好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%、特に好ましくは2〜6質量%である。このような範囲であれば、完全な皮膜が得られ、十分な防湿効果、酸素バリア性、臭気マスキング効果が得られるなどの観点から好ましい。また、このような範囲であれば、コーティングに要する時間が短くなるなどの観点から好ましい。
なお、被覆錠剤は、被覆層に加えて他の層を有する多層構造を有していてもよい。他の層としては、例えば、アンダーコート層(被覆層の下に形成される層)、オーバーコート層(被覆層の上に形成される)を有していてもよい。このような他の層もまた、被覆層と同様の成分で構成できる。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例中、特にことわりのないかぎり、「%」及び「部」は質量基準を表す。
また、各種条件等は以下の通りである。
<平均けん化度及び4質量%水溶液粘度>
JIS K6726に従って、測定した。
<透明度(要件(A)の充足・非充足の確認)>
PVA系重合体の5.0質量%水溶液100.0gを200mLのビーカー(内径:6.5cm、高さ:8.8cm)中に入れ、長さ4.0cmの撹拌子を入れ、スターラーを用いて100rpmで回転させ、水溶液が均一な状態になるように撹拌しているところに、常温下(約20℃)で、1−プロパノール130.0mlを滴下速度10mL/分で滴下し、滴下が終了してから5分後に撹拌を止め、30分静置した後に、20℃で30分静置後、速やかに(1分以内に)、20℃における液の透明度を次の方法にて測定した。
透明度:JIS K0115で規定される分光光度計を用い、光路長20mmのガラス製吸収セルを使用し、水を対照として430nmの透過率として測定した。
<上澄み液の濃度(要件(B)の充足・非充足の確認)>
PVA系重合体の5.0質量%水溶液100.0gを200mLのビーカー(内径:6.5cm、高さ:8.8cm)中に入れ、長さ4.0cmの撹拌子を入れ、スターラーを用い100rpmで回転させ、水溶液が均一な状態になるように撹拌しているところに、常温下(約20℃)で、1−プロパノール130.0mlを滴下速度10mL/分で滴下し、滴下が終了してから5分後に攪拌をやめ、20℃で30分静置後、(株)コクサン製「H−9R」を用いて、14000rpmで10分遠心分離し、上澄み液と沈殿物を分離した後に得られる上澄み液の濃度を次の方法にて測定した。
上澄み液の濃度:上澄み液(約80gを沈殿成分が含まれないようにスポイトを用いてゆっくりとシャーレ上に採取し、60℃で5時間乾燥した後、105℃で24時間乾燥し、採取した液の質量と乾燥前後の質量の変化から算出して、測定した。
<造粒条件>
装置:MP−01((株)パウレック)
給気温度:55−64℃
排気温度:28−34℃
給気空気量:0.8−1.0m/分
スプレー空気量:35L/分
スプレー空気圧:0.11MPa
結合剤水溶液量:250g
結合剤水溶液濃度:4重量%
造粒後乾燥条件:造粒終了後、排気温度が40℃に達するまで乾燥を継続
<打錠条件>
装置:VERGO(菊水製作所製)
打錠圧:10kN
打錠機回転速度:10rpm
錠剤重量:200mg
<錠剤硬度の評価>
得られた錠剤の硬度を錠剤硬度計(TBH125、ERWEKA製)を用いて測定した。6回測定を行い、その平均値を測定値とした。
<崩壊時間の評価>
得られた錠剤の崩壊時間を、崩壊試験機(NT400、富山産業製)を用いて測定した。試験法として日本薬局方崩壊試験法を用いて、試験液として純水を用いた。6回測定を行い、その平均値を測定値とした。
<PVA系重合体の合成方法>
(比較合成例1)
市販のポリ酢酸ビニル樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JMR-30LL 重合度590)を100℃で真空乾燥して水分を除去した後、メタノールに溶解し、ポリ酢酸ビニルの46質量%メタノール溶液を得た。この溶液500質量部を40℃に加温し、35℃に調整した水酸化ナトリウムの3質量%メタノール溶液16質量部を加え、プロペラタイプの撹拌翼を用いて300rpmで、1分間撹拌した後、40℃で40分間静置することでけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノール570質量部と酢酸メチル230質量部及び水17質量部からなる混合溶媒に浸漬し、ゆっくりと撹拌しながら更に1時間、40℃でけん化反応を行ったのち、pHが8〜9になるように1質量%酢酸水溶液を加えて中和を行った後、固形物と液分を分離し、固形物を60℃で8時間乾燥し、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例1)
ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液に水酸化ナトリウム溶液を加えて撹拌する際、撹拌速度を60rpmで、30秒間行い、通常の条件よりも不均一になるように混合を実施した以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例2)
ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液に水酸化ナトリウム溶液を加えて撹拌する際、撹拌速度を20rpmで、60秒間行い、通常の条件よりも不均一になるように混合を実施した以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例3)
けん化反応を行う際、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液濃度を55質量%とし、この溶液500質量部に添加する水酸化ナトリウム溶液を23質量部とした以外は比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例4)
けん化反応を行う際、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液と水酸化ナトリウムとの混合液の容器の上半分にバンドヒーターを巻いて50℃に加熱し、けん化反応時の温度が上半分を50℃、下半分が室温(25℃)になるように温度勾配を設け、静置する時間を50分とした以外は比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例5)
ポリ酢酸ビニルの46質量%メタノール溶液500質量部をそれぞれ別の容器に250質量部ずつに分け、40℃に加温し、35℃に調整した水酸化ナトリウムの3質量%メタノール溶液を、一方には10質量部、もう一方には6質量部を加え、いずれも同時に300rpmで1分間撹拌した後、40℃で40分静置して別々にけん化反応を行って得られたゲル状物を一緒に粉砕した以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例6)
市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JL−05E けん化度:80.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.1mPa・s)40質量部と市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JT−05 けん化度:94.0モル%、4質量%水溶液粘度:5.6mPa・s)60質量部をポリエチレン袋に入れ、袋を約100回振り、PVA粉末を均一に混合して、けん化度分布の広いPVA系重合体を作成した。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例7)
市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JP−05 けん化度:87.5モル%、4質量%水溶液粘度:5.3mPa・s)90質量部と市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JT−05 けん化度:94.0モル%、4質量%水溶液粘度:5.6mPa・s)10質量部をポリエチレン袋に入れ、袋を約100回振り、PVA粉末を均一に混合して、けん化度分布の広いPVA系重合体を作成した。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例8)
ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液に水酸化ナトリウム溶液を加えて撹拌する際、撹拌速度を200rpmで、30秒間行い、通常の条件よりも不均一になるように混合を実施した以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例9)
市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JL−05E けん化度:80.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.1mPa・s)8質量部と市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JP−05 けん化度:88.8モル%、4質量%水溶液粘度:5.3mPa・s)92質量部をポリエチレン袋に入れ、袋を約100回振り、PVA粉末を均一に混合して、けん化度分布の広いPVA系重合体を作成した。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例10)
市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JL−05E けん化度:80.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.1mPa・s)60質量部と市販のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JT−05 けん化度:94.0モル%、4質量%水溶液粘度:5.6mPa・s)40質量部をポリエチレン袋に入れ、袋を約100回振り、PVA粉末を均一に混合して、けん化度分布の広いPVA系重合体を作成した。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例11)
市販のポリ酢酸ビニル樹脂(日本酢ビ・ポバール製 JMR-10LL 重合度250)を用いた以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例12)
重合度800のポリ酢酸ビニル樹脂を用いた以外は、比較合成例1と同様にして、PVA系重合体を得た。
得られたPVA系重合体について測定した各種物性を表1に示す。
(合成例13〜15)
合成例1〜12で使用したPVA系重合体や市販のPVA粉末を用い、表1に示す各種物性を有するPVA系重合体(混合物)を得た。
結果をまとめたものを下記表1に示す。なお、表1において、括弧内の「○」は要件(A)又は(B)を充足する場合、「×」は要件(A)又は(B)を充足しない場合を示す。
また、表1には、後述の実施例13において使用した、市販のPVA系重合体(日本酢ビ・ポバール製 JP−05)の各種物性も記載した。
(実施例1)
合成例1で得られたPVA系重合体10質量部を精製水240質量部に添加し、80℃まで加温しながら1時間撹拌して結合剤溶液を調製した(PVA系重合体濃度:4質量%)。この結合剤溶液を、乳糖400g及びアセトアミノフェン100gを混合した粉末(平均粒子径40μm)に対して噴霧しながら流動槽造粒機を用いて造粒を実施し、顆粒[平均粒子径200μm、粉末1質量部に対してPVA系重合体0.02質量部(顆粒中にPVA系重合体2.0質量%)]を作成した。
造粒後に得られた顆粒475.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース25.0gをポリエチレン製袋に入れて100回混合した後、ステアリン酸マグネシウム2.5gを加え、さらに30回混合し、打錠用粉末(平均粒子径180μm)を作成した。
得られた打錠用粉末を用いて、打錠を行い、錠剤を作成した。得られた錠剤について、錠剤硬度および崩壊時間を測定した。
なお、崩壊時間は、錠剤硬度の値によって大きく変化する。したがって、同じ錠剤硬度条件で比較をするため、各錠剤において、結合剤溶液濃度(結合剤の割合)が異なる条件(顆粒中に1質量部に対してPVA系重合体を0質量部、0.01質量部、又は0.03質量部となるような条件)でそれぞれ造粒・打錠を行い、その時の結果をもとに、錠剤硬度が90Nとなるときの崩壊時間を算出した(見積もった)。
結果を表2に示す。
(実施例2〜16)
合成例1で得られたPVA系重合体に代えて、それぞれ市販の部分けん化PVA(日本酢ビ・ポバール製 JP−05)や合成例2〜15で得られたPVA系重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして造粒を実施し、錠剤硬度および崩壊時間を評価した。結果を表2に示す。
(比較例1)
合成例1で得られたPVA系重合体に代えて、比較合成例1で得られたPVA系重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして造粒を実施し、錠剤硬度および崩壊時間を評価した。結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、要件(A)及び/又は(B)(特に、少なくとも要件(B))を満たすPVA系重合体を結合剤として使用すると、要件(A)及び(B)のいずれも充足しないPVA系重合体を結合剤として使用する場合に比べて、同じ硬度で比較したときの崩壊時間を短くできた。また、要件(A)及び/又は(B)(特に、少なくとも要件(B))を充足するPVA系重合体を使用することにより、錠剤の硬度(ひいては成形性)も概ね高いものを得るがことができた。
特に、要件(A)及び/又は(B)(特に、少なくとも要件(B))を充足することにより、意外なことに、本来、トレードオフの関係にある、硬度と崩壊性をバランス良く両立できることが確認された。
また、このような硬度や崩壊時間は、要件(A)及び(B)のいずれか一方を充足すれば実現できる、ひいては、いずれか一方の要件を充足すれば他方の要件を充足しなくても実現できることがわかった。
本発明によれば、新規な結合剤を提供できる。このよう結合剤は、粉体の造粒物等を得るのに有用である。

Claims (17)

  1. ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
    ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(A)を充足する結合剤。
    要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下
  2. ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
    ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(B)を充足する結合剤。
    要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.65質量%以上
  3. ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.3質量%以上である、請求項1記載の結合剤。
  4. ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が95.0%以下である、請求項2記載の結合剤。
  5. ポリビニルアルコール系重合体を含む結合剤であって、
    ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した平均けん化度85.0モル%〜89.0モル%を有し、下記要件(A)及び(B)を充足する結合剤。
    要件(A):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを130.0mL添加した液の20℃における透明度が80.0%以下
    要件(B):ポリビニルアルコール系重合体の5.0質量%水溶液100.0gに対して、1−プロパノールを230.0mL添加した液の20℃における上澄み液の濃度が0.70質量%以上
  6. 要件(A)において、透明度が50.0%以下である、請求項1又は5記載の結合剤。
  7. 要件(B)において、上澄み液の濃度が0.75質量%以上である、請求項2又は5記載の結合剤。
  8. ポリビニルアルコール系重合体が、JIS K6726に従って測定した4質量%水溶液粘度が2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下を満たすポリビニルアルコール系重合体である、請求項1〜7のいずれかに記載の結合剤。
  9. 造粒用の結合剤である請求項1〜8のいずれかに記載の結合剤。
  10. 平均粒子径100μm以下の粉体を造粒するための結合剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の結合剤。
  11. 平均粒子径300μm以下の造粒物を得るための結合剤である、請求項1〜10のいずれかに記載の結合剤。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の結合剤を用いて造粒する、造粒物の製造方法。
  13. 結合剤を含む水溶液及び/又は水性溶液を、粉体に接触させる工程を含む、請求項12記載の製造方法。
  14. 結合剤を、請求項1〜11のいずれかに記載の結合剤とする造粒物。
  15. 粉体1質量部に対して、結合剤0.005〜0.1質量部を含む、請求項14記載の造粒物。
  16. 請求項14又は15記載の造粒物を含有する錠剤。
  17. 請求項16記載の錠剤と、この錠剤表面を被覆するポリビニルアルコール系重合体とで構成されている、被覆錠剤。
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