JPWO2020096041A1 - (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩、その1水和物、およびその結晶とその製造方法 - Google Patents

(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩、その1水和物、およびその結晶とその製造方法 Download PDF

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Abstract

(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩、その1水和物、およびその結晶とその製造方法を提供する。更に、該化合物を含む、抗がん剤として有用な医薬組成物を提供する。

Description

本発明は、LAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に対し選択的な阻害活性を有する、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩、その1水和物、および、その結晶と、その製造法、及びそれを含有する医薬組成物に関する。
腫瘍細胞では、急速な細胞増殖や亢進した細胞内代謝を維持するため、糖やアミノ酸等の栄養を外部から取り入れるトランスポーターの発現が高まっている。とりわけLAT1は、腫瘍細胞に特異的に発現しているトランスポーターで、シグナル因子でもあるロイシンを含む必須アミノ酸を輸送しており、腫瘍細胞に必須な栄養を供給するという重要な役割を担っている。これに対し、LAT2(L型アミノ酸トランスポーター2)は、正常細胞にも広く発現していることが知られている。このため、LAT1に対し選択的な阻害活性を有する化合物は、副作用の少ない抗腫瘍薬となりうる。このような性質を有する化合物として、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸(以下、「化合物A」と称することもある)が知られている(特許文献1)。
Figure 2020096041
また、化合物A、pH調整剤、およびシクロデキストリン類を含む注射剤が知られている(特許文献2)。
国際公開2008/081537号 特開2017−155023号
本発明は、高純度で乾燥時に塊化しにくく、溶解性に優れ、原薬としての取り扱い性に優れた化合物Aの塩酸塩を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、高純度で乾燥時に塊化しにくく、凍結乾燥製剤を製造する際の調製溶液に対する溶解性に優れる化合物Aの新規な化合物フォームとして1塩酸塩・1水和物の結晶を見出した。また、化合物A・1塩酸塩・1水和物には、擬似結晶多形である無水物の結晶が存在することを見出した。さらに、本発明者らは、化合物A・1塩酸塩・1水和物の結晶を選択的に製造可能な製造条件を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下を提供する。
[1]化合物A・1塩酸塩。
[2]化合物A・1塩酸塩・1水和物。
[3]化合物A・1塩酸塩・無水物。
[4]化合物A・1塩酸塩・1水和物の結晶。
[5]化合物A・1塩酸塩・無水物の結晶。
[6]含水有機溶媒中で、化合物Aに塩酸を加えてpHを調整することによる、化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
[7]含水有機溶媒中で、化合物Aと塩基とからなる塩に塩酸を加えてpHを調整することによる、化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
[8]化合物Aと塩基とからなる塩が、化合物Aのアルカリ金属塩である、[7]に記載の製造方法。
[9]含水有機溶媒中で、化合物Aと酸とからなる塩に塩酸または塩基を加えてpHを調整することによる、化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
[10]化合物Aと酸とからなる塩が、化合物Aの塩酸塩である、[9]に記載の製造方法。
[11]化合物Aと酸とからなる塩が、化合物A・1塩酸塩・無水物である、[10]に記載の製造方法。
[12]pHを調整するのに使用される塩基が、無機塩基である、[9]〜[11]に記載の製造方法。
[13]pHを調整するのに使用される塩基が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種類以上の塩基である、[9]〜[12]に記載の製造方法。
[14]含水有機溶媒の水分活性が0.5〜1.0であり、かつ、pHを1〜2の範囲に調整する、[6]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]有機溶媒中で、化合物Aと塩酸とを反応させることによる、化合物A・1塩酸塩・無水物の製造方法。
[16]有機溶媒の水分活性が0.5未満であり、かつ、化合物Aに対し、0.8〜1.2モル当量の塩酸を反応させる、[15]に記載の製造方法。
[17]化合物A・1塩酸塩・1水和物を有機溶媒中で懸濁撹拌し、水和水を除去する、化合物A・1塩酸塩・無水物の製造方法。
更に、本発明は、以下を提供する。
[18]粉末X線回折において、2θで表される7.1、9.5、18.9、21.6および24.2°の回折角度を有することを特徴とする、[4]に記載の結晶。
[19]赤外吸収スペクトルにおいて、1393、1381、1342、1329および1267cm−1にピークを有することを特徴とする、[4]に記載の結晶。
[20]粉末X線回折において、2θで表される10.5、14.5、17.1、22.5および23.0°の回折角度を有することを特徴とする、[5]に記載の結晶。
[21]赤外吸収スペクトルにおいて、1601、1556、1547、1404および1269cm−1にピークを有することを特徴とする、[5]に記載の結晶。
[22][1]又は[2]に記載の化合物、又は、[4]、[18]又は[19]のいずれかの結晶、及び薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物。
[23]がんの治療用である[22]に記載の医薬組成物。
[24][22]又は[23]に記載の医薬組成物と、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体及びインターフェロンからなる群から選択される抗がん剤よりなる群から選択される少なくとも1つの抗がん剤とを組み合わせた、医薬。
本発明は、化合物A・1塩酸塩・1水和物とその製造法を提供する。化合物A・1塩酸塩・1水和物は、高純度で乾燥時に塊化しにくく、凍結乾燥製剤を製造する際の調製溶液に対する溶解性に優れるため、医薬の原薬として有用である。
さらに本発明は、化合物A・1塩酸塩・無水物とその製造法を提供する。化合物A・1塩酸塩・無水物は、化合物A・1塩酸塩・1水和物を製造するための原料として有用である。
化合物A・2塩酸塩の光学顕微鏡像を示す図である。 化合物A・塩酸塩の酸解離平衡を示す図である。 各pHにおける化合物Aの解離平衡の状態を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・1水和物の光学顕微鏡像を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・無水物の光学顕微鏡像を示す図である。 化合物A・2塩酸塩の赤外吸収スペクトル(ATR法)の一例を示す図である。 化合物A・2塩酸塩の粉末X線回折パターンの一例を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・1水和物の赤外吸収スペクトル(ATR法)の一例を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・1水和物の粉末X線回折パターンの一例を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・無水物の赤外吸収スペクトル(ATR法)の一例を示す図である。 化合物A・1塩酸塩・無水物の粉末X線回折パターンの一例を示す図である。 塊状の化合物A・2塩酸塩の外観を示す図である。 微粉末状の化合物A・2塩酸塩の外観を示す図である。 粉末状の化合物A・1塩酸塩・1水和物の外観を示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本明細書において、特に断らない限り、各用語は、以下の意味を有する。
本発明において、「原薬」とは、医薬の有効成分を意味する。
化合物Aとは、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸である。
中間体1とは、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロパン酸である。
脂肪族炭化水素類としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンまたはヘプタンが挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素類としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロエタンが挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールまたは2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンが挙げられる。
エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
ニトリル類としては、例えば、アセトニトリルまたはプロピオニトリルが挙げられる。
スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
一般に、赤外吸収スペクトル(ATR法)における波数(cm−1)の値は、±2cm−1の範囲内で誤差が生じ得る。従って、本発明で「波数Y」というときは、特に記載した場合を除き、「波数((Y−2)〜(Y+2))cm−1」を意味する。従って、赤外吸収スペクトル(ATR法)における吸収ピークの波数が完全に一致する結晶だけでなく、吸収ピークの波数が±2cm−1の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は、±0.2°の範囲内で誤差が生じ得る。従って、本発明で「回折角度(2θ)X°」というときは、特に記載した場合を除き、「回折角度(2θ)((X−0.2)〜(X+0.2))°」を意味する。従って、粉末X線回折における回折角度(2θ)が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度(2θ)が±0.2°の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
[化合物A]
化合物Aは、特許文献1に記載の方法で製造することができる。化合物Aは、種々の有機溶媒に対して難溶性であり、抽出などの操作によって単離することは難しい。そのため、化合物Aは、例えば、含水溶媒中、中和晶析などの方法によって単離される。
[化合物A・2塩酸塩]
特許文献1によれば、化合物Aの塩酸塩は、化合物Aを常法に従い塩酸塩とすることで製造できる。
本発明者らは、特許文献1に記載の方法を参考とし、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロパン酸(以下、中間体1と称することもある)を、定法に従い脱保護し、微細な結晶性固体(図1)として、化合物A・2塩酸塩を得た。
化合物A・2塩酸塩は、粉末X線回折において、2θで表される8.0、8.8、19.6、22.2、23.8および26.1°の回折角度を有することを特徴とする。図7は、化合物A・2塩酸塩の粉末X線回折チャートを示す。
また、化合物A・2塩酸塩は、赤外吸収スペクトルにおいて、1736、1483、1474および1240cm−1に特徴的なピークを有することを特徴とする。図6は、化合物A・2塩酸塩の赤外吸収スペクトルチャートを示す。
Figure 2020096041
[化合物Aの酸解離平衡]
化合物Aは、塩酸と塩を形成しうる塩基性部位を2つ以上有し、図2に示す平衡が成り立つ。化合物Aの酸解離定数(pK)を、中和滴定により実験的に求めたところ、第一酸解離定数(pKa1)は1.0、第2酸解離定数(pKa2)は2.2であった。
ここで、化合物Aの各成分のモル分率を、それぞれ、[化合物A・2塩酸塩]、[化合物A・1塩酸塩]、[化合物A]と表し、水素イオン濃度を[H]と表すと、式1〜式3が成り立つ。
(式1)Ka1=[化合物A・1塩酸塩]×[H]/[化合物A・2塩酸塩]
(式2)Ka2=[化合物A]×[H]/[化合物A・1塩酸塩]
(式3)[化合物A・2塩酸塩]+[化合物A・1塩酸塩]+[化合物A]=1
さらに、式1〜式3に対し、任意のpHにおける[H]の値を代入することで、図3に示す平衡状態のグラフを作成した。図3は、各pHにおける化合物Aの解離平衡の状態を示す図である。
図3からわかるとおり、pHが1.0(=pKa1)未満の範囲では、化合物A・2塩酸塩が優位となり、pHが2.2(=pKa2)よりも大きい範囲では、化合物Aが優位となる。さらに、pHが1.0(=pKa1)〜2.2(=pKa2)の範囲では、化合物A・1塩酸塩が優位となり、pHが1.6(=(pKa1+pKa2)/2)のとき、モル分率が極大となることが明らかである。
このように、化合物Aの塩酸塩を形成する際、pHの範囲を制御することで、任意の価数の塩酸塩を得ることが可能となる。
[水分活性と化合物A・1塩酸塩の水和との相関関係]
医薬の分野においては、溶解度などの物理化学的性質を改善する上で水和物は極めて重要な物質である。水和物は、結晶構造中に水分子を含むことを特徴とすることから、一般的に自由水を含まない溶液中から得ることは難しい。
例えば、Simonらの報告(Org. Process Res. Dev.,2009,13(1),pp78−83)や、国際公開2015/073476号では、系の水分活性(以下、aと称することもある)によって、無水物や、価数の異なる水和物が得られることを示している。
ここで、水分活性aは、任意の物質に含まれる自由水の割合を表す指標であり、式4に示す通り、水の活量係数γと水のモル分率xの積で表すことができる。
(式4)a=γ×x
また、式4中の水の活量係数γは、例えば、UNIQUAC式を用いて推算することができる(Abrams,D.S.ら:AIChE J.,1975,21,pp116−128)。
本発明者らは、化合物A・1塩酸塩・1水和物を、水分活性の異なる種々のアルコール水中で懸濁撹拌した結果、化合物A・1塩酸塩は、系の水分活性によって化合物A・1塩酸塩・1水和物、および、化合物A・1塩酸塩・無水物となることを見出した。その結果を表1に示す。
Figure 2020096041
即ち、表1に示すように、系の水分活性が0.45以下の範囲では化合物A・1塩酸塩・無水物が、系の水分活性が0.65以上の範囲では化合物A・1塩酸塩・1水和物が得られる。
このように、水分活性の範囲を制御することで、化合物A・1塩酸塩・無水物、および、化合物A・1塩酸塩・1水和物を、それぞれ選択的に得ることが可能となる。
[化合物A・1塩酸塩・1水和物]
化合物A・1塩酸塩・1水和物は、本発明者らが見出した化合物である。
Figure 2020096041
化合物A・1塩酸塩・1水和物は、アスペクト比が大きな針〜柱状の結晶性固体(図4)であり、粉末X線回折において、2θで表される7.1、9.5、18.9、21.6および24.2°の回折角度を有することを特徴とする。図9には、化合物A・1塩酸塩・1水和物の粉末X線回折チャートを示す。
また、化合物A・1塩酸塩・1水和物は、赤外吸収スペクトルにおいて、1393、1381、1342、1329および1267cm−1に特徴的なピークを有することを特徴とする。図8には、化合物A・1塩酸塩・1水和物の赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物A・1塩酸塩・1水和物には、化合物Aに対し、1モル当量の塩化水素が含まれ、0.8〜1.2モル当量の範囲で含まれていてもよい。
さらに、化合物A・1塩酸塩・1水和物には、3.4wt%の水が含まれ、2.8〜4.1wt%の範囲で含まれていてもよい。
[化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造法]
化合物A・1塩酸塩・1水和物は、含水有機溶媒中、化合物Aに塩酸を加えてpHを調整することにより製造することができる。
この反応に使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、ニトリル類、スルホキシド類が挙げられ、これらは混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類が挙げられ、アルコール類がより好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがさらに好ましい。
含水有機溶媒における溶媒の水分活性は、0.5以上であればよく、0.65以上が好ましい。
溶媒の使用量は、化合物Aに対して1〜50倍量(v/w)であればよく、5〜20倍量(v/w)が好ましい。
化合物A・1塩酸塩・1水和物を調製する際のpHの範囲は、1〜2の範囲であればよく、1.0〜2.2の範囲が好ましく、1.2〜2.0の範囲がより好ましい。
反応温度は、0〜60℃であればよく、0〜30℃が好ましい。
反応時間は、1分間〜50時間であればよく、30分間〜12時間が好ましい。
反応雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気としては、例えば、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気などが挙げられる。
また、この反応に用いる化合物Aとして、化合物Aと塩基とからなる塩を用いてもよい。化合物Aと塩基とからなる塩の種類としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、無機塩基、有機塩基との塩が挙げられる。好ましい塩としては、無機塩基との塩が挙げられ、アルカリ金属との塩がより好ましい。
さらに、この反応に用いる化合物Aとして、化合物Aと酸とからなる塩を用い、塩酸または塩基を加えることでpHを調整してもよい。
化合物Aと酸とからなる塩の種類としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、鉱酸、カルボン酸との塩が挙げられる。好ましい塩としては、鉱酸との塩が挙げられ、塩酸塩がより好ましい。すなわち、この反応に用いる化合物Aの塩酸塩は、化合物A・1塩酸塩・無水物であってもよい。
pH調整に用いられる塩基の種類としては、無機塩基が挙げられ、アルカリ金属の塩基が好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。これらは、1種単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
[化合物A・1塩酸塩・無水物]
化合物A・1塩酸塩・無水物は、本発明者らが見出した化合物である。
Figure 2020096041
化合物A・1塩酸塩・無水物は、微細な結晶性固体であり、粉末X線回折において、2θで表される10.5、14.5、17.1、22.5および23.0°の回折角度を有することを特徴とする。図11には、化合物A・1塩酸塩・1水和物の粉末X線回折チャートを示す。
また、化合物A・1塩酸塩・無水物は、赤外吸収スペクトルにおいて、1601、1556、1547、1404および1269cm−1に特徴的なピークを有することを特徴とする。図10には、化合物A・1塩酸塩・無水物の赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物A・1塩酸塩・無水物には、化合物Aに対し、1モル当量の塩化水素が含まれ、0.8〜1.2モル当量の範囲で含まれていてもよい。
[化合物A・1塩酸塩・無水物の製造法]
化合物A・1塩酸塩・無水物は、有機溶媒中で、化合物Aと、1モル当量の塩化水素とを反応させることで製造することができる。
この反応に使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ニトリル類が挙げられ、これらは混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類が挙げられ、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサンがより好ましい。
溶媒の水分活性は、0.5未満であればよく、0.3以下が好ましい。
溶媒の使用量は、化合物Aに対して1〜50倍量(v/w)であればよく、5〜20倍量(v/w)が好ましい。
反応させる塩化水素の量は、1モル当量であればよく、0.8〜1.2モル当量がより好ましく、0.9〜1.1モル当量がさらに好ましい。
反応温度は、0〜60℃であればよく、0〜30℃が好ましい。
反応時間は、1分間〜50時間であればよく、30分間〜12時間が好ましい。
反応雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気としては、例えば、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気などが挙げられる。
化合物A・1塩酸塩・無水物は、化合物A・1塩酸塩・1水和物を有機溶媒中で懸濁撹拌し、水和水を除去することによっても製造することができる。
この反応に使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ニトリル類が挙げられ、これらは混合して使用してもよい。好ましい溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類が挙げられ、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、酢酸エチルがより好ましい。
溶媒の水分活性は、0.5未満であればよく、0.3以下が好ましい。
溶媒の使用量は、化合物Aに対して1〜50倍量(v/w)であればよく、5〜20倍量(v/w)が好ましい。
反応温度は、0〜60℃であればよく、0〜30℃が好ましい。
反応時間は、1分間〜50時間であればよく、30分間〜12時間が好ましい。
反応雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気としては、例えば、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気などが挙げられる。
即ち、上記方法により、化合物A・1塩酸塩・無水物、および、化合物A・1塩酸塩・1水和物を、それぞれ選択的に得ることが可能となる。更には、化合物A・1塩酸塩・無水物から化合物A・1塩酸塩・1水和物が調製可能となった。そして、以下に述べる医薬組成物の調製には化合物A・1塩酸塩・1水和物の利用が有利となる。
投与対象
本発明において、投与対象(患者)は、温血動物であり、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。一実施形態では、投与対象はヒトである。
医薬組成物
本発明の化合物A・1塩酸塩は、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体(本明細書ではこれらを総称して「担体」と呼ぶ)とともに、医薬組成物として患者に投与される。前記薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体は、所定の投与形、例えば、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、滅菌溶液もしくは懸濁液、エアロゾルもしくは液体スプレー、滴剤、注射剤または坐剤などの単位剤形である。前記医薬組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸内投与、または吸入による投与のためのものである。本発明の医薬組成物の調合は、当該技術から公知の方法によって行うことができる。ここで、「薬学的に許容される」とは、投与対象(患者)に対して無毒なことを意図する。
さらに、本発明の化合物A・1塩酸塩は、好適な鼻腔内賦形剤の局所使用によって鼻腔内形で投与することができ、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形を用いて経皮経路によって投与することができる。
さらに、本発明の化合物A・1塩酸塩は、好適な鼻腔内賦形剤の局所使用によって鼻腔内形で投与することができ、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形を用いて経皮経路によって投与することができる。経皮送達系の形で投与するための用量投与は、その投薬計画を通して継続的であろう。
一実施形態において、前記医薬組成物は、治療有効量の本発明の化合物A・1塩酸塩・1水和物を薬学的に許容され得る担体との混合物で含む。
一実施形態において、前記医薬組成物中の化合物A・1塩酸塩・1水和物は結晶形態である。一実施形態において、前記結晶形態は、原薬の約5重量%から約100重量%で存在する。別の実施形態において、前記結晶形態は、原薬の約10重量%から約100重量%で存在する。別の実施形態において、前記結晶形態は、原薬の約25重量%から約100重量%で存在する。別の実施形態において、前記結晶形態は、原薬の約50重量%から約100重量%で存在する。さらに別の実施形態において、原薬の実質的にすべてが前記結晶形態である。
本発明の意図する効果を得るための本発明の有効成分である原薬の投薬量は、1日につき体重1kgあたり約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは0.01から10mg/kg/日、および最も好ましくは0.1から5.0mg/kg/日の範囲であろう。経口投与については、好ましくは、処置すべき患者に対する投薬量の調整のために0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態での医薬組成物を提供する。医薬組成物は、典型的には約0.01mgから約500mgの有効成分、好ましくは約1mgから約200mgの有効成分を含有する。静脈内投与における用量は、約0.1から約10mg/kgの範囲であろう。本発明の結晶を単一日用量してもよく、または全日用量を1日2、3もしくは4回の用量に分割して投与してもよい。
或いは、本発明の医薬組成物は、治療有効量の本発明の有効成分を薬学的に許容され得る担体との混合物で含み、この場合の有効成分は、約1重量%から約100重量%、約5重量%から約100重量%、約10重量%から約100重量%、約50重量%から約100重量%、約70重量%から約100重量%、約80重量%から約100重量%の化合物A・1塩酸塩・1水和物を含む。
例えば、錠剤またはカプセルの形での経口投与については、活性薬物成分を経口用の非毒性で薬理学的に許容され得る不活性担体、例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等併用することができ;液体形での経口投与については、経口薬物成分を任意の経口用の非毒性で薬理学的に許容され得る不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水等と併用することができる。さらに、必要な場合には、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もその組成物に組み込むことができる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはβ−ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋等が挙げられる。これらの剤形に使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、限定されるものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。
特に、本発明の化合物A・1塩酸塩・1水和物は、抗がん剤として使用可能であることから、好ましくは注射剤として製剤することができる。そのような注射剤としては、本発明の化合物A・1塩酸塩・1水和物、pH調整剤及びシクロデキストリン類を含むものである。
注射剤としては、例えば、静脈、皮下、筋肉内注射剤、点滴静注剤が挙げられる。
本発明に係る注射剤に配合することができるpH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩等が挙げられ、特に、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
本発明に係る注射剤は、pH調整剤を用いて適当なpHに適宜調整されうる。本実施形態に係る注射剤のpHは、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4.5であることがさらに好ましく、3.5〜4.5であることが特に好ましい。
本発明に係る注射剤に配合することができるシクロデキストリン類としては、例えば、未修飾シクロデキストリン、修飾シクロデキストリンが挙げられる。未修飾シクロデキストリンとして、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。また修飾シクロデキストリンとして、例えば、ジメチル−α−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン等が挙げられ、これらは、単独で又は組み合わせて使用可能である。
本発明に係る注射剤に配合されるシクロデキストリン類としては、好ましくは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンが好ましく、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンがより好ましい。
本発明に係る注射剤には、必要により緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、保存剤等を添加してもよい。
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、等張化剤としては、グリセリン、塩化ナトリウムなどが挙げられ、そして保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸などが挙げられる。
本発明に係る注射剤は、凍結乾燥製剤であってもよい。このような凍結乾燥製剤は、用時に、例えば、注射用蒸留水、輸液、電解液の1種又はこれら2種以上の溶媒に溶解して用時溶解型注射剤として使用することができる。
凍結乾燥製剤を水に溶解した時のpHとして、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4.5であることがさらに好ましく、3.5〜4.5であることが特に好ましい。
前記凍結乾燥製剤は、従来公知の凍結乾燥製剤の製造方法により作製することができ、例えば、−25℃以下の温度で凍結後、真空度を約20Pa以下に保ちながら、室温に到達するまで昇温させつつ乾燥させる方法等が挙げられる。
本発明の医薬組成物が適用される投薬レジメは、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置すべき状態の重症度;投与経路;ならびに患者の肝および腎機能をはじめとする様々な要因に従って選択される。医師、獣医または臨床医は、その症状の進行を予防、阻止または停止させるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
本発明の本発明の化合物A・1塩酸塩、特に、化合物A・1塩酸塩・1水和物は、選択的LAT1阻害剤として作用し、腫瘍の増殖を抑制し、有効な抗がん剤となり得る。
本発明の医薬組成物の治療対象となるがんの種類は、特に限定されず、例えば、線維腫、脂肪腫、粘液腫、軟骨腫、骨腫、血管腫、血管内皮腫、リンパ腫、骨髄腫、骨髄肉腫、細網腫、細網肉腫、黒色腫、筋腫、神経腫、神経膠腫、神経鞘腫、肉腫、骨肉種、筋種、線維肉腫、乳頭腫、腺腫、嚢腫、脳腫瘍、頚癌、舌癌、咽頭癌、喉頭癌、甲状腺癌、食道癌、肺癌、乳癌、膵癌、胃癌、十二指腸・空腸・回腸等の小腸癌、結腸・盲腸・直腸等の大腸癌、膀胱癌、腎癌、肝癌、胆嚢癌、前立腺癌、子宮体癌、子宮頸癌、卵巣癌、等の癌腫、およびこれらの混合腫瘍や転移腫瘍等を挙げることができる。特に、LAT1ががん細胞上に高度に発現しているという観点から、膵癌、膀胱癌、乳癌および胃癌の予防剤又は治療剤であることが好ましい。
併用治療
本発明の実施において、本発明の医薬組成物は、他の抗がん剤と同時に投与してもよい。また、本発明の医薬組成物を投与してから連続して他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与してから本発明の医薬組成物を連続して投与してもよい。さらに、本発明の医薬組成物を投与し、時間をおいて別々に他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与し、時間を置いて別々に本発明の医薬組成物を投与してもよい。かかる投与順序及び投与間隔は、用いられる本発明の医薬組成物を含む製剤、及びそれと併用される抗がん剤を含む製剤、治療すべきがん細胞の種類、患者の状態などに応じて、当業者が適宜選択することができる。
また、本明細書で用いる「同時に」とは、ほぼ同じ時間に治療に使用することをいい、「別々に」とは、異なった時間に別々に治療に使用することをいい、例えば、1日目に1つの薬剤、2日目にもう1つの薬剤を治療に使用するような場合をいう。「順次に」とは、順番に従って使用することをいい、例えば、最初に1つの薬剤を使用し、次いで、決められた時間後に、他の薬剤を治療に使用するような場合をいう。
本明細書で用いる「抗がん性アルキル化剤」は、抗がん活性を有するアルキル化剤を意味し、例えば、ナイトロジェン マスタード N−オキシド、シクロホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテバ又はテモゾロミドなどが挙げられる。
本明細書で用いる「抗がん性代謝拮抗物質」は、抗がん活性を有する代謝拮抗物質をいい、例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、ゲムシタビン又はフルダラビンなどが挙げられる。
本明細書で用いる「抗がん性抗生物質」は、抗がん活性を有する抗生物質をいい、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、イダルビシン又はシロリムスなどが挙げられる。
本明細書で用いる「植物由来抗がん剤」は、植物を起源として見いだされた抗がん活性を有する化合物又はその化合物の化学修飾物を包含する。「植物由来抗がん剤」には、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセルなどが挙げられる。
本明細書で用いる「抗がん性カンプトテシン誘導体」は、カンプトテシン自身を含み、構造的にカンプトテシンに関連するがん細胞増殖阻害性化合物を意味し、例えば、カンプトテシン、トポテカン及びイリノテカンなどが挙げられる。
本明細書で用いる「抗がん性白金配位化合物」は、抗がん活性を有する白金配位化合物をいい、例えば、シスプラチン;シス−ジアンミンジアコ白金(II)−イオン;クロロ(ジエチレントリアミン)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミン)−白金(II);ジアンミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン);スピロプラチン;イプロプラチン;(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II);オルマプラチン;カルボプラチン;オキザリプラチンなどが挙げられる。
本明細書で用いる「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」とは、抗がん活性を有するチロシンキナーゼ阻害剤をいい、例えば、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダザチニブ、エルロチニブなどが挙げられる。
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」とは、単一クローンの抗体産生細胞が産生する抗体をいい、例えば、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ヂュルバルマブなどが挙げられる。
本明細書で用いる「インターフェロン」とは、抗がん活性を有するインターフェロンをいい、例えば、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−n1などが挙げられる。
よって、本発明においては、本発明の医薬組成物と、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロンからなる群から選択される抗がん剤よりなる群から選択される少なくとも1つの抗がん剤とを組み合わせた、医薬が提供される。これらは、同一のパッケージの製剤で又は別個のパッケージの製剤として投与される。
また、本発明に係る2つの別個の製剤からなる組み合わせ製剤において、好ましくは、2つの別個の製剤のいずれか一方又は両方が、非経口製剤であり、さらに好ましくは、2つの別個の製剤のいずれか一方又は両方が、注射剤又は点滴剤である。
実施例
次に、本発明を試験例、参考例および実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
粉末X線回折は、株式会社リガクの粉末X線回折装置RINT2100を用いて測定した。
[粉末X線回折の測定条件]
対陰極:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
走査軸:2θ
赤外吸収スペクトルは、株式会社島津製作所の赤外分光光度計IR Prestige−21を用いて測定した。
[赤外吸収スペクトルの測定条件]
ATR法
核磁気共鳴スペクトル(NMRスペクトル)は、BRUKERの核磁気共鳴装置AV400を用いて測定した。
[核磁気共鳴スペクトルの測定条件]
400MHz
水分は、三菱ケミカルアナリティックの水分測定装置CA−200/KF−200を用いて定量法により測定した。
参考例1:化合物A・2塩酸塩の製造例
特許文献1に記載の方法を参考に、化合物A・塩酸塩を製造した。
窒素雰囲気下、中間体1(10.0g、17.5mmol)のテトラヒドロフラン(200mL、20vol/wt)に、4N塩化水素/酢酸エチル溶液(200mL、20vol/wt)を15〜22℃で45分間かけて滴下し、22〜24℃で4.5時間撹拌した。減圧下で反応溶液が200mL以下になるまで濃縮し、酢酸エチル(200mL、20vol/wt)を加え、再度、減圧下で反応溶液が250mL以下まで濃縮した。濃縮した反応溶液に、エタノール(300mL、30vol/wt)を45℃で加え、45〜50℃で1.5時間撹拌した後、反応溶液を25℃に冷却し、20〜25℃で1時間撹拌した。析出した固体を濾過し、濾過残渣をエタノール(50mL、5vol/wt)で洗浄し、淡黄色の湿固体(17.8g)を得た。
窒素雰囲気下、得られた湿固体(17.8g)をエタノール(300mL、30vol/wt)に懸濁させて60℃まで加熱し、60〜65℃で1時間懸濁撹拌した。懸濁液を25℃に冷却し、20〜25℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、濾過残渣をエタノール(50mL、5vol/wt)で洗浄し、白色の湿固体(17.5g)を得た。得られた湿固体を50℃で15時間かけて真空乾燥し、白色固体として、化合物A・2塩酸塩(7.4g、13.6mmol)を得た。
収率:78%
水分:1.5%
塩化物(中和滴定):1.82モル当量
H−NMR(DMSO−d)σ値:8.20〜8.14(2H、m)、7.79(1H、d、J=1.6Hz)、7.70〜7.62(3H、m)、7.57(1H、d、J=1.6Hz)、7.52(2H、s)、5.40(2H、s)、4.30〜4.16(1H、m)、3.21(1H、dd、J=14.4、6.0Hz)、3.12(1H、dd、J=14.4、6.9Hz).
赤外吸収スペクトル:図6に示す。
粉末X線回折パターン:図7に示す。
実施例1:化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造例1
化合物A・2塩酸塩(10.0g、18.3mmol)の2−プロパノール(25mL、2.5vol/wt)/水(75mL、7.5vol/wt)懸濁液に、濃塩酸(0.46g、4.6mmol)を加え、50℃に加熱して溶解させた。この時、反応溶液のpHは1.2であった。反応溶液を50分間かけて23℃に徐冷し、固体の析出を確認した。懸濁液を5℃に冷却し、2〜5℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、濾過残渣を2−プロパノール(30mL、3.0vol/wt)で洗浄し、白色の湿固体(11.6g)を得た。得られた湿固体を16時間ドラフト内で風乾し、化合物A・1塩酸塩・1水和物(9.3g)を得た。この固体の水分を測定したところ、19.4%であった。
得られた化合物A・1塩酸塩・1水和物の一部(1.00g)を、45℃、2kPaで1時間真空乾燥し、化合物A・1塩酸塩・1水和物(0.84g、1.6mmol)を得た。この固体の水分を測定したところ、4.0%であった。
収率:81%
水分:4.0%
塩化物(中和滴定):0.87モル当量
H−NMR(DMSO−d)σ値:8.17〜8.07(2H、m)、7.68〜7.55(3H、m)、7.50(2H、s)、6.96(1H、d、J=2.1Hz)、6.90(1H、d、J=2.1Hz)、5.23(2H、s)、4.28〜4.17(1H、m)、3.19(1H、dd、J=14.4、5.9Hz)、3.10(1H、dd、J=14.4、7.0Hz).
赤外吸収スペクトル:図8に示す。
粉末X線回折パターン:図9に示す。
実施例2:化合物A・1塩酸塩・1水和物の製造例2
窒素雰囲気下、中間体1(9.0g、15.7mmol)の酢酸エチル(81mL、9vol/wt)に、4N塩化水素/酢酸エチル溶液(27mL、3vol/wt)を22〜25℃で50分間かけて滴下し、22〜28℃で24時間撹拌した。この反応溶液に、水(31.5mL、3.5vol/wt)を25〜29℃で30分間かけて滴下し、次いで、1N水酸化ナトリウム水溶液(35mL、3.5vol/wt)を25℃で1時間かけて滴下した。この反応溶液に、酢酸エチル(72mL、8vol/wt)を添加して、分液することで有機層を除去した。得られた水層に、活性炭(0.90g、0.10wt/wt)、次いで水(9mL、1.0vol/wt)を添加し、25℃で1時間撹拌した後、濾過により活性炭を除去し、濾過ケーキを0.1N塩酸(18mL、2vol/wt)で洗浄した。得られた濾過溶液に、2−プロパノール(18mL、2vol/wt)を添加した。この時、反応溶液のpHは0.7であった。この反応溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液(26mL、2.9vol/wt)を25℃で1時間かけて滴下し、25℃で30分間撹拌し、固体の析出を確認した。この時、反応溶液のpHは1.1であった。この反応溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液(7mL、0.8vol/wt)を添加し、pHを1.3に調整した後、20〜27℃で15時間撹拌し、5℃に冷却し、0〜5℃で2.5時間撹拌した。固体を濾過し、濾過残渣を、0.1N塩酸/2−プロパノール混液(9vol/1vol、50mL、5.6vol/wt)、次いで、水/2−プロパノール混液(1vol/9vol、45mL、4.5vol/wt)で洗浄し、乳白色の湿固体(15.3g)を得た。得られた湿固体を3.5時間ドラフト内で風乾した後、45℃、2.5kPaで17時間真空乾燥し、白色固体として化合物A・1塩酸塩・1水和物(7.3g、13.9mmol)を得た。
収率:89%
水分:4.7%
H−NMR(DMSO−d)σ値:8.14〜8.08(2H、m)、7.75〜7.57(3H、m)、7.50(2H、s)、6.94(1H、d、J=2.1Hz)、6.88(1H、d、J=2.1Hz)、5.23(2H、s)、4.25〜4.19(1H、m)、3.20(1H、dd、J=14.4、5.9Hz)、3.10(1H、dd、J=14.4、6.9Hz).
赤外吸収スペクトル:図8に示すものに一致した。
粉末X線回折パターン:図9に示すものに一致した。
実施例3:化合物A・1塩酸塩・無水物の製造例
化合物A・1塩酸塩・1水和物(1.00g、1.9mmol)をアセトン(20mL、20vol/wt)に懸濁させ、室温で22時間撹拌した。固体を濾過し、湿固体(0.95g)を得た。得られた湿固体を、45℃、1.3kPaで2時間真空乾燥し、淡褐色の固体として、化合物A・1塩酸塩・無水物(0.65g、1.3mmol)を得た。得られた化合物A・1塩酸塩・無水物のH−NMRケミカルシフト値は、化合物A・1塩酸塩・1水和物と一致した。
収率:67%
水分:0.7%
H−NMR(DMSO−d)σ値:8.14〜8.08(2H、m)、7.75〜7.57(3H、m)、7.49(2H、s)、6.94(1H、d、J=2.1Hz)、6.88(1H、d、J=2.1Hz)、5.23(2H、s)、4.27〜4.20(1H、m)、3.19(1H、dd、J=14.4、5.9Hz)、3.09(1H、dd、J=14.4、7.0Hz).
赤外吸収スペクトル:図10に示す。
粉末X線回折パターン:図11に示す。
試験例:シクロデキストリン溶液に対する化合物A・塩酸塩の溶解性評価
参考例および実施例に従い製造した化合物A・各塩酸塩を、凍結乾燥製剤を製造する際の調製溶液(すなわち、シクロデキストリン溶液)に対する溶解性の評価に付した。試験条件は、特許文献2に記載の処方19(化合物A濃度:6.25mg/mL、シクロデキストリン濃度:20%、最終調整pH:3.5)に準じて実施した。結果を以下に示す。
Figure 2020096041
化合物A・2塩酸塩は、微細結晶で塊になりやすい性質を有しており、塊状の化合物A・2塩酸塩(図12)が溶解するまでには、11時間以上を要した。粉末状の化合物A・2塩酸塩(図13)では、溶解までに要する時間が幾分改善され、3時間で溶解した。その一方、化合物A・1塩酸塩・1水和物は、粉末状で塊になりにくい性質を有しており(図14)、溶解までに要した時間は0.5時間であった。
このように、化合物A・1塩酸塩・1水和物は、化合物A・2塩酸塩と比較して、凍結乾燥製剤を製造する際の調製溶液に対する溶解性に、より優れていた。
本発明の(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物は、高純度で乾燥時に塊化しにくく、凍結乾燥製剤を製造する際の調製溶液に対する溶解性に優れるため、医薬の原薬として有用である。

Claims (24)

  1. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩。
  2. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物。
  3. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・無水物。
  4. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物の結晶。
  5. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・無水物の結晶。
  6. 含水有機溶媒中で、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸に塩酸を加えてpHを調整することによる、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
  7. 含水有機溶媒中で、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と塩基とからなる塩に塩酸を加えてpHを調整することによる、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
  8. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と塩基とからなる塩が、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸のアルカリ金属塩である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 含水有機溶媒中で、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と酸とからなる塩に塩酸または塩基を加えてpHを調整することによる、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物の製造方法。
  10. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と酸とからなる塩が、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸の塩酸塩である、請求項9に記載の製造方法。
  11. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と酸とからなる塩が、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・無水物である、請求項10に記載の製造方法。
  12. pHを調整するのに使用される塩基が、無機塩基である、請求項9〜請求項11のいずれか一つに記載の製造方法。
  13. pHを調整するのに使用される塩基が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種類以上の塩基である、請求項9〜請求項12のいずれか一つに記載の製造方法。
  14. 含水有機溶媒の水分活性が0.5〜1.0であり、かつ、pHを1〜2の範囲に調整する、請求項6〜請求項13のいずれか一つに記載の製造方法。
  15. 有機溶媒中で、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸と、塩酸とを反応させることによる、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・無水物の製造方法。
  16. 有機溶媒の水分活性が0.5未満であり、かつ、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸に対し、0.8〜1.2モル当量の塩酸を反応させる、請求項15に記載の製造方法。
  17. (S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・1水和物を有機溶媒中で懸濁撹拌し、水和水を除去する、(S)−2−アミノ−3−{4−[(5−アミノ−2−フェニルベンゾ[d]オキサゾール−7−イル)メトキシ]−3,5−ジクロロフェニル}プロパン酸・1塩酸塩・無水物の製造方法。
  18. 粉末X線回折において、2θで表される7.1、9.5、18.9、21.6および24.2°の回折角度を有することを特徴とする、請求項4に記載の結晶。
  19. 赤外吸収スペクトルにおいて、1393、1381、1342、1329および1267cm−1にピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の結晶。
  20. 粉末X線回折において、2θで表される10.5、14.5、17.1、22.5および23.0°の回折角度を有することを特徴とする、請求項5に記載の結晶。
  21. 赤外吸収スペクトルにおいて、1601、1556、1547、1404および1269cm−1にピークを有することを特徴とする、請求項5に記載の結晶。
  22. 請求項1又は2に記載の化合物、又は、請求項4、18又は19のいずれかの請求項に記載の結晶、及び、薬学的に許容される担体、
    を含む医薬組成物。
  23. がんの治療用である、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 請求項22又は23に記載の医薬組成物と、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体及びインターフェロンからなる群から選択される抗がん剤よりなる群から選択される少なくとも1つの抗がん剤とを組み合わせた、医薬。
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