JPWO2020090212A1 - インクジェット用水性インク、印刷物の製造方法、及びインクセット - Google Patents

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Abstract

色材、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む、インクジェット用水性インクが開示される。印刷物の製造方法、及び、インクセットも開示される。

Description

本発明の実施形態は、インクジェット用水性インク、印刷物の製造方法、及びインクセットに関する。
織物、編み物、不織布等の布帛等の基材に、文字、絵、図柄等の画像を印刷する方法として、スクリーン印刷やローラー印刷の他に、近年では、コンピュータで画像処理して実質無版で印刷することができるインクジェット方法が注目されている。
水性インクを用いた布帛等へのインクジェット方法として、特許文献1は、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、およびアクリル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むエマルションを用いたインクを用いる方法を開示している。特許文献2は、ウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂から選択される少なくとも1種を含むインクを用いる方法を開示している。
プラスチック基材等の非浸透性基材に画像を印刷する方法としても、インクジェット方法は注目されている。
水性インクを用いたプラスチック基材へのインクジェット方法として、特許文献3は、脂環式炭化水素基を有する(メタ) アクリル酸エステル由来の構造単位を10質量%以上50質量%未満含有する(メタ)アクリル樹脂を含むインクを用いる方法を開示している。
特開2015−160860号公報 特開2014−148563号公報 特開2015−24508号公報
本発明の実施形態は、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができるインクジェット用水性インク、印刷物の製造方法、及びインクセットを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によれば、色材、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む、インクジェット用水性インクが提供される。
本発明の他の実施形態によれば、上記実施形態のインクジェット用水性インクを用いて、基材にインクジェット印刷する工程を含む、印刷物の製造方法が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、上記実施形態のインクジェット用水性インクと、凝集剤を含む前処理液とを含む、インクセットが提供される。
本発明の実施形態のインクジェット用水性インクによれば、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
本発明の実施形態の印刷物の製造方法によれば、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
本発明の実施形態のインクセットによれば、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことはいうまでもない。
<インクジェット用水性インク>
一実施形態のインクジェット用水性インクは、色材、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む。
以下、「インクジェット用水性インク」を、単に「インク」又は「水性インク」という場合もある。
このインクによれば、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
その理由については、下記のように推測される。
皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂を用いることで、インク皮膜に伸縮性を付与することができ、それにより、基材へのインクの定着性を向上させることができる。
一方、ポリオレフィン樹脂は、一般に疎水性が強く、ウレタン樹脂と相溶しにくい傾向があり、また、ウレタン樹脂に比べて比重が小さい傾向がある。また、ポリオレフィン樹脂は、一般に、ウレタン樹脂に比べ、比較的固く、摩擦係数も低い傾向にある。このため、上述の水分散性ウレタン樹脂とともに水分散性ポリオレフィン樹脂を用いることで、ポリオレフィン樹脂は、基材上で、インク皮膜表面に存在しやすく、かつ、インク皮膜表面のポリオレフィン樹脂により、インク皮膜表面の摩擦係数を低下させて、外からの摩擦の影響を軽減し、皮膜の脱落を抑制することができると推測される。
インクは、色材を含むことが好ましい。
色材としては、顔料及び染料のいずれであってもよく、顔料又は染料を単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
印刷物の耐候性および耐水性の観点から、インクは、色材として顔料を含むことが好ましい。顔料は、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができる。
顔料としては、非白色の顔料、白色顔料、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
非白色の顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料の平均粒径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。これらの顔料の平均粒径は、例えば、50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより一層好ましい。
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどの無機顔料が挙げられる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分子微粒子を使用することもできる。中でも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの平均粒径は、隠蔽性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。酸化チタンを使用する場合は、光触媒作用を抑制するために、アルミナやシリカで表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理量は、顔料中に5〜20質量%程度であることが好ましい。
顔料の体積基準の平均粒子径は、50〜500nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。
顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散顔料を使用してもよい。自己分散顔料の市販品としては、たとえば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ(「CAB−O−JET200」、「CAB−O−JET300」、「CAB−O−JET250C」、「CAB−O−JET260M」、「CAB−O−JET270」等(いずれも商品名))、オリヱント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW−1S」、「BONJET BLACK CW−2」、「BONJET BLACK CW−3」等(いずれも商品名))などが挙げられる。
顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
顔料分散剤で顔料があらかじめ分散された顔料分散体を使用してもよい。顔料分散剤で分散された顔料分散体の市販品としては、たとえば、クラリアント社製HOSTAJETシリーズ(商品名)、冨士色素株式会社製FUJI SPシリーズ(商品名)等が挙げられる。後述する顔料分散剤で分散された顔料分散体を使用してもよい。
顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料の配合量は、使用する顔料の種類によっても異なるが、発色等の観点から、インク中に、インク全量に対して0.1〜30質量%程度含まれていることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましい。
水中に顔料を安定して分散させるために、インクは顔料分散剤をさらに含んでもよい。
顔料分散剤としては、たとえば市販品として、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ(「TEGOディスパース740W」、「TEGOディスパース750W」、「TEGOディスパース755W」、「TEGOディスパース757W」、「TEGOディスパース760W」(いずれも商品名))、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(「ソルスパース20000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース41090」、「ソルスパース43000」、「ソルスパース44000」、「ソルスパース46000」(いずれも商品名))、BASFジャパン株式会社製のジョンクリルシリーズ(「ジョンクリル57」、「ジョンクリル60」、「ジョンクリル62」、「ジョンクリル63」、「ジョンクリル71」、「ジョンクリル501」(いずれも商品名))、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「DISPERBYK−102」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−190」、「DISPERBYK−193」、「DISPERBYK−199」(いずれも商品名)、第一工業製薬株式会社製の「ポリビニルピロリドンK−30」、「ポリビニルピロリドンK−90」(いずれも商品名)等が挙げられる。
界面活性剤型分散剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(「デモールEP」、「デモールN」、「デモールRN」、「デモールNL」、「デモールRNL」、「デモールT−45」(いずれも商品名))などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(「エマルゲンA−60」、「エマルゲンA−90」、「エマルゲンA−500」、「エマルゲンB−40」、「エマルゲンL−40」、「エマルゲン420」(いずれも商品名))などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
顔料分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、有効成分(固形分量)の質量比で顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
染料は、その種類によっても異なるが、発色等の観点から、水性インク全量に対し、固形分量で0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
インクは、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂を含むことが好ましい。
皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂を用いることで、インク皮膜に伸縮性を付与することができ、これにより、基材へのインクの定着性を向上させることができる。伸縮性を付与されたインク皮膜は、例えば、布帛のような伸縮性を有する基材を用いた場合には、基材の伸縮に柔軟に追従でき、また、例えば、プラスチック基材のような非浸透性基材を用いた場合には、基材が摩擦された場合にも基材と摩擦子との間に生じる振動を吸収することができる。このようにして、基材へのインクの定着性を向上させることができる。
以下、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂を水分散性樹脂Aという場合もある。
水分散性樹脂Aは、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
水分散性樹脂Aは、インクの製造に際しては、例えば、水中油型の樹脂エマルションとして配合することができる。
水分散性樹脂Aの皮膜伸度は、600%以上が好ましく、750%以上がより好ましく、1000%以上がより好ましい。一方、水分散性樹脂Aの皮膜伸度は、例えば、2000%以下が好ましく、1800%以下がより好ましい。水分散性樹脂Aの皮膜伸度は、例えば、600〜2000%が好ましく、750〜2000%がより好ましく、1000〜1800%がさらに好ましい。
水分散性樹脂Aの皮膜伸度は、次のようにして測定したものである。まず、乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性樹脂Aを塗布し、23℃で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、及び120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して樹脂フィルムを作製する。引張試験機を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、得られた樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、もとの長さに対するその割合をパーセントで表した値を皮膜伸度とする。引張試験機としては、テンシロン万能試験機RTC−1225A(株式会社オリエンテック製)を用いることができる。
水分散性ウレタン樹脂としては、例えば、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂などを挙げることができる。
水分散性樹脂Aの樹脂エマルションの市販品としては、住化コベストロウレタン株式会社製「インプラニールDLP−R」、「インプラニールDL1537」(いずれも商品名)、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス300」、「スーパーフレックス740」、「スーパーフレックス500M」(いずれも商品名)、ダイセル株式会社製「DAOTAN TW6491」、「DAOTAN TW6495」(いずれも商品名)等が挙げられる。
水分散性樹脂Aは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分散性樹脂Aのインク中の量は、インク全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。一方、水分散性樹脂Aのインク中の量は、インク全量に対して、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。水分散性樹脂Aのインク中の量は、インク全量に対して、例えば、0.5〜20質量%が好ましく、1〜18質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましく、4〜12質量%がさらに好ましい。なお、水分散性樹脂の量は、固形分換算の量(即ち樹脂のみの量)であり、以下も同様である。
インクは、水分散性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。以下、水分散性ポリオレフィン樹脂を水分散性樹脂Bという場合もある。
水分散性樹脂Bは、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
水分散性樹脂Bは、インクの製造に際しては、例えば、水中油型樹脂エマルションとして配合することができる。
水分散性樹脂Bとしては、例えば、水分散性ポリプロピレン樹脂、水分散性ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
インク皮膜の表層をより固くし、摩擦係数をより低下させて、湿潤摩擦堅牢度をより向上させる観点から、水分散性樹脂Bとしては、水分散性ポリプロピレン樹脂、水分散性ポリエチレン樹脂が好ましく、水分散性ポリプロピレン樹脂がより好ましい。
インク皮膜の表層をより固くし、摩擦係数をより低下させて、湿潤摩擦堅牢度をより向上させる観点から、水分散性ポリオレフィン樹脂の融点は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。
水分散性樹脂Bの樹脂エマルションの市販品としては、ユニチカ株式会社製アローベースシリーズ(「アローベースDB−4010」、「アローベースTC−4010」、「アローベースSB−1010」、「アローベースSE−1010」等(いずれも商品名))、東洋紡株式会社製ハードレンシリーズ(「ハードレンNZ1004」、「ハードレンEW5250」、「ハードレンEH801J」等(いずれも商品名))、ビックケミー株式会社製AQUACERシリーズ(AQUACER272、AQUACER497、AQUACER531、AQUACER537等(いずれも商品名))等が挙げられる。
水分散性樹脂Bは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分散性樹脂Bのインク中の量は、インク全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、水分散性樹脂Bのインク中の量は、インク全量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。水分散性樹脂Aのインク中の量は、インク全量に対して、例えば、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
水分散性樹脂A及び水分散性樹脂Bのインク中の合計量は、インク皮膜の摩擦耐性を向上させて、湿潤摩擦堅牢度をさらに向上させる観点から、インク全量に対して、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
水分散性樹脂A及び水分散性樹脂Bのインク中の合計量は、インクジェット用プリンタヘッドからの吐出性能の観点から、インク全量に対して20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
水分散性樹脂A及び水分散性樹脂Bのインク中の合計量は、インク全量に対して、例えば、2〜20質量%が好ましく、5〜18質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
水分散性樹脂Aに対する水分散性樹脂Bのインク中の量の質量比(水分散性樹脂B/水分散性樹脂A)は、水分散性樹脂Aと水分散性樹脂Bとのバランスを保ち、湿潤摩擦堅牢度をさらに向上させる観点から、3.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。
水分散性樹脂Aに対する水分散性樹脂Bのインク中の量の質量比(水分散性樹脂B/水分散性樹脂A)は、水分散性樹脂Aと水分散性樹脂Bとのバランスを保ち、湿潤摩擦堅牢度をさらに向上させる観点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましい。
水分散性樹脂Aに対する水分散性樹脂Bのインク中の量の質量比(水分散性樹脂B/水分散性樹脂A)は、例えば、0.05〜3.0が好ましく、0.1〜1.5がより好ましく、0.2〜0.8がさらに好ましい。
インクは、水性溶媒として主に水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、インクの保存安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。
水は、粘度調整の観点から、インク中に、インク全量に対して20質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、30質量%〜70質量%含まれていることがより好ましい。
インクは、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能な水溶性有機溶剤が好ましい。たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン);ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオジグリコール、スルホランを用いることができる。平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190〜630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200〜600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250〜800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール等の低分子量ポリアルキレングリコールを用いることもできる。
水溶性有機溶剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に、インク全量に対して、1〜80質量%含まれていることが好ましく、1〜60質量%であることがより好ましく、例えば、1〜50質量%、又は5〜40質量%であってよい。
インク中の水及び水溶性有機溶剤の合計量(どちらか一方のみ含まれる場合にはその量)は、インク全量に対して50質量%〜95質量%が好ましく、70質量%〜90質量%がより好ましい。
インクは、その他の成分を適宜含んでもよい。その他の成分としては、分散助剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、酸化防止剤、防腐剤、架橋剤等が挙げられる。
表面張力調整剤(界面活性剤)として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれを用いてもよい。界面活性剤は、例えば、高分子系界面活性剤、低分子系界面活性剤のいずれを用いてもよい。界面活性剤としては、例えば、後述するアセチレングリコール系界面活性剤等のアセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系の界面活性剤等が好ましい。
界面活性剤を配合することにより、インクジェット方式でインクを安定に吐出させることがより容易となり、かつ、ドットサイズを適切に制御しやすくすることができるために好ましい。その添加量は(顔料分散剤として界面活性剤が使用される場合はその合計量として)、界面活性剤の種類によっても異なるが、インクの表面張力、及び、布帛等の基材への浸透速度の観点から、インク中に0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、花王株式会社製エマールシリーズ(エマール0、エマール10、エマール2F、エマール40、エマール20C)、ネオペレックスシリーズ(ネオペレックスGS、ネオペレックスG−15、ネオペレックスG−25、ネオペレックスG−65)、ペレックスシリーズ(ペレックスOT−P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA、ペレックスSS−L、ペレックスSS−H)、デモールシリーズ(デモールN、デモールNL、デモールRN、デモールMS)が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製アセタミンシリーズ(アセタミン24、アセタミン86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、コータミン86P、コータミン60W、コータミン86W)、サニゾールシリーズ(サニゾールC、サニゾールB−50)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エボニックインダストリーズ社製サーフィノールシリーズ(「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「サーフィノール465」、「サーフィノール485」等(いずれも商品名))及び日信化学工業株式会社製の「オルフィンE1004」、「オルフィンE1010」、「オルフィンE1020」等(いずれも商品名)などのアセチレン系界面活性剤(例えば、アセチレングリコール系界面活性剤など);花王株式会社製エマルゲンシリーズ(「エマルゲン102KG」、「エマルゲン103」、「エマルゲン104P」、「エマルゲン105」、「エマルゲン106」、「エマルゲン108」、「エマルゲン120」、「エマルゲン147」、「エマルゲン150」、「エマルゲン220」、「エマルゲン350」、「エマルゲン404」、「エマルゲン420」、「エマルゲン705」、「エマルゲン707」、「エマルゲン709」、「エマルゲン1108」、「エマルゲン4085」、「エマルゲン2025G」等)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、花王株式会社製アンヒトールシリーズ(「アンヒトール20BS」、「アンヒトール24B」、「アンヒトール86B」、「アンヒトール20YB」、「アンヒトール20N」等(いずれも商品名))などが挙げられる。
インクは、基材への濡れ性の向上、及びそれにより高いドットゲインを得る観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤またはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAG002」、「シルフェイスSAG016」、「シルフェイスSAG005」、「シルフェイスSAG008」、「シルフェイスSAG503A」等(いずれも商品名)、ビックケミージャパン株式会社製「BYK−331」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−378」、「BYK−3455」(いずれも商品名)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンシリーズ(「サーフロンS211」、「サーフロンS221」、「サーフロンS231」、「サーフロンS420」、「サーフロンS241」、「サーフロンS242」「サーフロンS243」、「サーフロンS386」、「サーフロンS611」、「サーフロンS647」、「サーフロンS651」等(いずれも商品名))、ネオス株式会社製フタージェントシリーズ(「フタージェント100」、「フタージェント150」、「フタージェント400SW」、「フタージェント251」、「フタージェント212M」、「フタージェント710FL」等(いずれも商品名))、DIC株式会社製メガファックシリーズ(「メガファックF410」、「メガファックF477」、「メガファックF554」、「メガファックF556」、「メガファックF565」等(いずれも商品名))、住友3M株式会社製「FC−4430」(商品名)等が挙げられる。
インクのpHは、インクの保存安定性の観点から、7.0〜11.0が好ましく、7.0〜10.0がより好ましく、7.5〜10がさらに好ましく、7.5〜9.0がさらに好ましい。
インクの粘度は適宜調節することができるが、たとえば吐出性の観点から、23℃における粘度が1〜30mPa・sであることが好ましい。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製できる。
本実施形態のインクジェット用水性インクを用いて印刷する基材は、特に限定されない。基材としては、例えば、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布帛、木材基材、金属基材、ガラス基材、プラスチック基材等が挙げられる。また、布帛のように伸縮性を有する基材、布帛、普通紙、コート紙のように浸透性を有する基材、プラスチック基材のように非浸透性の基材等のいずれを用いてもよい。
例えば、布帛のような伸縮性を有する基材、又はプラスチック基材のような非浸透性基材を用いた場合にも、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
布帛は、特に限定されないが、例えば、綿、絹、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、キュプラ等の任意の天然繊維及び/又は合成繊維を含む布帛を用いることができる。布帛としては、織物、編物、または不織布等が挙げられる。ポリエステルを含む布帛において、より優れた湿潤摩擦堅牢度及び画質を得ることができる。
プラスチック基材は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
<印刷物の製造方法>
実施形態の印刷物の製造方法は、上記のインクジェット用水性インクを用いて、基材にインクジェット印刷する工程(以下、「インクジェット印刷工程」という場合もある。)を含む、印刷物の製造方法である。
この印刷物の製造方法によれば、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を製造することができる。
基材については特に限定されず、例えば、インクジェット用水性インクに用いることができる基材として説明したものを用いることができる。例えば、この印刷物の製造方法の一実施形態において、基材として布帛を用いて捺染物を製造してもよい。
インクジェット印刷工程において使用するインクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、例えば、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクの液滴を吐出させ、吐出されたインク液滴を基材上に付着させるようにすることができる。
インクの基材への塗布量は特に限定されないが、基材の単位面積あたり、500g/m以下であることが好ましく、100g/m以下であることがより好ましく、50g/m以下であることがさらに好ましい。
画質の向上の観点から、印刷物の製造方法は、インクジェット印刷工程の前に、凝集剤を含む前処理液を基材に付与する工程(以下、「前処理液付与工程」という場合もある。)を含むことが好ましい。
凝集剤を含む前処理液を付与する前処理液付与工程を行った後に、インクジェット印刷工程を行うと、インクが基材に着弾した直後のドットを凝集し、ドットの合一を防ぎ、画像濃度を向上させることができる。
前処理液は、例えば、基材にあわせて選択することができる。前処理液は、1種のみを使用してもよく、2種以上をくみあわせて使用してもよい。また、基材に合わせて付与量を選択することもできる。
前処理液は凝集剤を含むことができる。
凝集剤としては、例えば、金属塩、カチオン性ポリマー、有機酸等が挙げられる。前処理液は、凝集剤として、これらを1種単独で、または2種以上を組み合わせて含んでよい。これら凝集剤は、例えば、基材の種類等を考慮して適宜選択してもよい。
例えば、プラスチック基材のような非浸透性基材に対しては、凝集剤は、カチオン性ポリマーを含むことが好ましく、カチオン性ポリマーとしてエピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体を含むことがより好ましい。
例えば、布帛のような浸透性基材に対しては、前処理液が基材に浸透しても凝集力を維持できることが好ましい。布帛のような浸透性基材に対しては、凝集剤は、例えば、金属塩、カチオン性ポリマー、有機酸等またはそれらの組み合わせ等を用いることができるが、少量で優れた凝集力を発揮できる傾向があることから、金属塩を含むことが好ましく、多価金属塩を含むことがさらに好ましい。
前処理液中の凝集剤の含有量は、例えば、画質の向上の観点から、前処理液全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。前処理液中の凝集剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、5質量%以上または8質量%以上であってよい。
一方、前処理液中の凝集剤の含有量は、前処理液全量に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。
前処理液中の凝集剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、0.5〜30質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。前処理液中の凝集剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、3〜30質量%、5〜15質量%または8〜12質量%であってよい。
前処理液中の凝集剤の含有量は、基材や凝集剤の種類を考慮して選択することもできる。例えば、プラスチック基材のような非浸透性基材に対しては、前処理液中の凝集剤の量は、前処理液全量に対して、0.5〜12質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。一方、例えば、布帛のような浸透性基材に対しては、前処理液中の凝集剤の量は、前処理液全量に対して、1〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。
金属塩としては、多価金属塩が好ましい。
多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンとアニオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、たとえば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+が挙げられる。アニオンとしては、Cl、NO 、CHCOO、I、Br、ClO が例示できる。塩として具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどが挙げられる。
これらの金属塩は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
金属塩の前処理液中の濃度は、前処理液全量に対して0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、例えば、5質量%以上であってもよい。多価金属塩等の金属塩の前処理液中の濃度は、前処理液全量に対して30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。多価金属塩等の金属塩の前処理液中の濃度は、前処理液全量に対して、例えば、0.5〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましく、1〜15質量%がさらに好ましく、例えば、3〜12質量%、又は5〜12質量%であってよい。
カチオン性ポリマーは、カチオン性水溶性樹脂及びカチオン性水分散性樹脂のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンおよびその塩、アクリルアミドの共重合体等が挙げられる。
カチオン性ポリマーとしては、具体的には、例えば、エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等が好ましい。
エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体において、窒素含有化合物は、とくに限定されず、例えば、アミン化合物、アンモニア等が挙げられる。窒素含有化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アミン化合物は特に限定されず、例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン等が挙げられる。窒素含有化合物としては、アミン化合物、アンモニア又はこれらの組み合わせが好ましく、ジメチルアミン等のジアルキルアミン、アンモニア、またはこれらの組み合わせ等がより好ましい。
エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体は、エピクロルヒドリンに由来する構造、窒素含有化合物に由来する構造、及び、必要に応じてその他の構造を有するポリマーであってよい。エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体は、エピクロルヒドリンと窒素含有化合物とが縮合した構造を有する構成単位を1種または2種以上含むことが好ましく、必要に応じて、その他の化合物由来の構成単位等のその他の構成単位をさらに含んでよい。
エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体の具体例としては、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重合体、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重合体等が挙げられる。
カチオン性ポリマーの市販品の例として、例えば、第一工業製薬株式会社製シャロールシリーズ(「シャロールDC−303P」、「シャロールDC−902P」等(いずれも商品名))、スーパーフレックスシリーズ(「スーパーフレックス620」、「スーパーフレックス650」等(いずれも商品名))、センカ株式会社製ユニセンスシリーズ(「ユニセンスFCA1000L」、「ユニセンスFPA100L」、「ユニセンスKHE100L」、「ユニセンスKHE104L」等(いずれも商品名))、SNF社製FLOQUATシリーズ(「FLOQUAT FL2250」、「FLOQUAT FL2350」、「FLOQUAT FL2550」、「FLOQUAT FL2650」、「FLOQUAT FL2850」等(いずれも商品名)、ハイモ社製「ハイマックスSC−506」等、四日市合成社製カチオマスターシリーズ(「カチオマスターPD−7」、「カチオマスターPD−30」「カチオマスターPDT−2)等(いずれも商品名))、大阪有機化学工業株式会社HCポリマーシリーズ(「HCポリマー1S」、「HCポリマー1N」、「HCポリマー1NS」、「HCポリマー2」、「HCポリマー2L」等(いずれも商品名))、などが挙げられる。
カチオン性ポリマーの例としては、カチオン性の水分散性樹脂も挙げられる。カチオン性水分散性樹脂は、樹脂粒子の表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びた樹脂粒子であり、水に溶解することなく粒子状に分散して、水中油(O/W)型のエマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するカチオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にカチオン性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等であり、カチオン性の分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等である。カチオン性水分散性樹脂としては、例えば、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等において、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えたものを用いることができる。
カチオン性ポリマーは、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
カチオン性ポリマーの前処理液中の含有量は、前処理液全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。カチオン性ポリマーの前処理液中の含有量は、前処理液全量に対して、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。カチオン性ポリマーの前処理液中の含有量は、前処理液全量に対して、例えば、0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜12質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。なかでも、23℃で液体の有機酸が好ましく、23℃で液体の有機酸としては、例えば、酢酸、乳酸等が好ましい。
湿潤摩擦堅牢度のさらなる向上の観点から、凝集剤は、有機酸等の液体が好ましい。凝集剤が、基材表面に液体として付与されることで、摩擦による影響を受けにくくすることができる。また、前処理液をインクジェット法で付与する場合、凝集剤として有機酸等の液体を用いた場合、長期にわたって使用した場合においても、インクジェットヘッドの不吐出を起こしにくく、良好な吐出性を得られやすい傾向がある。
前処理液に含まれる有機酸は沸点120℃以上の有機酸であることが好ましい。
インクジェット印刷工程において、インクを充填したヘッドは前処理液を付与した基材の上部を移動しながら印刷を行う。沸点120℃以上の有機酸を用いると、前処理液を付与した基材から有機酸が揮発しにくいため、インクジェットヘッドのノズル部分のインクと有機酸が接触しにくく、有機酸によるインクの変質が起こりにくい。このため、インクジェットヘッドからのインクの吐出不良を抑制することができ、インクジェットヘッドのメンテナンス回数を低減することも可能である。
有機酸は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
前処理液中の有機酸の含有量は、画質の向上の観点から、前処理液全量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。一方、前処理液中の有機酸の含有量は、前処理液全量に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。前処理液中の有機酸の量は、親水性の低い基材でも高画質を形成する観点から、前処理液全量に対して、例えば、1〜30質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましく、8〜12質量%がさらに好ましい。
前処理液は、水及び/又は水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。
例えば、前処理液は、水性溶媒として主に水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。
水は、前処理液中に、例えば、前処理液全量に対して30質量%以上含まれることが好ましく、40質量%以上含まれることがより好ましい。一実施形態において、水は、前処理液中に、例えば、前処理液全量に対して50質量%以上含まれることが好ましく、65質量%以上含まれることがより好ましい。前処理液中の水の含有量は、前処理液全量に対して、例えば、95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。前処理液中の水の量は、前処理液全量に対して、例えば、30〜95質量%、40〜95質量%、50〜95質量%、または65〜90質量%であってよい。
前処理液は、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、インクに使用できるものと同様のものを1種または2種以上選択して用いることができる。
前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一実施形態において、水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、例えば、60質量%以下が好ましい。一実施形態において、前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、40質量%以下または20質量%以下であってよい。
前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、1〜80質量%が好ましく、1〜70質量%がより好ましく、5〜60質量%がさらに好ましい。
一実施形態において、前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
一実施形態において、前処理液中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液全量に対して、例えば、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。
前処理液が水及び/又は水溶性有機溶剤を含む場合、前処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量(どちらか一方のみ含まれる場合にはその量、以下同じ)は、前処理液全量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。一方、前処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量は、前処理液全量に対して、例えば、99質量%以下であってよい。前処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量は、前処理液全量に対して、例えば、50〜99質量%または70〜99質量%であってよい。
前処理液は、必要に応じて、例えば、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。これらについても、それぞれ、インクに使用できるものと同様のものを1種または2種以上選択して用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤等のアセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が好ましい。
画像濃度の向上の観点から、界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤またはこれらの組み合わせを含むことがより好ましい。基材への濡れ性を向上させて、高いドットゲインを可能とし、それにより画像濃度を向上させることができる。
前処理液中の界面活性剤の量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、前処理液の表面張力、及び、基材への浸透速度の観点から、前処理液中に0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
前処理液の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製できる。
前処理液は、基材の、少なくともインクジェット印刷工程でインクを印刷する領域(以下、「印刷領域」という場合もある。)に塗布することが好ましく、印刷領域を含む基材の全面に付与してもよい。
前処理液付与工程における前処理液を付与する方法は特に限定されず、例えば、スプレー法(例えばエアブラシ等)、浸漬法、パッド法、コーティング法等の任意の方法を使用することができ、インクジェット印刷法やスクリーン印刷法等を用いてもよい。
インクジェット法の場合に用いることができるインクジェットプリンタとしては、例えば、上述のインクジェット印刷工程で述べたもの等が挙げられる。
前処理液の基材への付与量は、例えば、基材の単位面積当たり、0.5g/m以上であってよく、2g/m以上が好ましく、5g/m以上がより好ましい。一方、前処理液の基材への付与量は、例えば、基材の単位面積当たり、100g/m以下が好ましく、50g/m以下がより好ましく、例えば、20g/m以下であってもよい。前処理液の基材への付与量は、基材の単位面積当たり、例えば、0.5〜100g/m、2〜50g/m、又は5〜20g/mであってよい。
前処理液の基材への付与量は、基材の種類等を考慮して適宜決定してもよい。例えば、基材として布帛を用いる場合、前処理液の基材への付与量は、例えば、基材の単位面積当たり、5〜100g/mが好ましく、10〜50g/mがより好ましい。一方、例えば、基材として、プラスチック基材のような非浸透性基材を用いる場合、前処理液の基材への付与量は、例えば、基材の単位面積当たり、1〜50g/mが好ましく、1〜20g/mがより好ましい。
湿潤摩擦堅牢度のさらなる向上の観点から、印刷物の製造方法は、インクジェット印刷工程の後に、樹脂を含む後処理液を基材に付与する工程(以下、「後処理液付与工程」という場合もある。)を含むことが好ましい。例えば、基材として、プラスチック基材のような非浸透性基材を用いた場合に、後処理液付与工程を行うことが好ましい。
後処理液は、定着性向上の観点から、樹脂を含むことが好ましい。後処理液に含まれる樹脂は、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂またはその組み合わせを含むことが好ましい。後処理液が、インクに含まれる樹脂と同じ骨格の樹脂であるウレタン樹脂及び/又はオレフィン樹脂を含むと、インクとの親和性が向上し、定着促進を容易にすることができる。
ウレタン樹脂としては、例えば、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を挙げることができる。
オレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。
後処理液に含まれる樹脂は、水溶性樹脂、水分散性樹脂またはそれらの組み合わせであってよいが、水分散性樹脂を含むことが好ましい。水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。水分散性樹脂は、後処理液の製造に際しては、例えば、水中油型樹脂エマルションとして配合することができる。
湿潤摩擦堅牢度向上の観点から、後処理液に含まれる樹脂は、前処理液に含まれる凝集剤と反応することができる樹脂であることが好ましい。この観点から、金属塩、カチオン性ポリマー、有機酸、またはこれらの組み合わせを含む前処理液を用いる場合、後処理液に含まれる樹脂は、アニオン性樹脂であることが好ましい。
アニオン性ウレタン樹脂の樹脂エマルションの市販品の例として、例えば、第一工業製薬株式会社製スーパーフレックスシリーズ(「スーパーフレックス210」(商品名)等)などが挙げられる。
樹脂は、後処理液中に、後処理液全量に対して1質量%以上含まれることが好ましく、3質量%以上含まれることがより好ましい。後処理液中の樹脂の含有量は、例えば、後処理液全量に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。後処理液中の樹脂の含有量は、例えば、後処理液全量に対して1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
後処理液は、水及び/又は水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。
例えば、後処理液は、溶媒として主に水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。
水は、後処理液中に、後処理液全量に対して10質量%以上含まれることが好ましく、30質量%以上含まれることがより好ましい。後処理液中の水の含有量は、後処理液全量に対して例えば、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。後処理液中の水の量は、後処理液全量に対して、例えば、10〜80質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
後処理液は、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、インクに使用できるものと同様のものを1種または2種以上選択して用いることができる。
後処理液中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、後処理液全量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。後処理液中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、後処理液全量に対して、80質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましい。後処理液中の水溶性有機溶剤の量は、後処理液全量に対して、例えば、10〜80質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
後処理液が水及び/又は水溶性有機溶剤を含む場合、後処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量(どちらか一方のみ含まれる場合にはその量、以下同じ)は、後処理液全量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上より好ましい。一方、前処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量は、前処理液全量に対して、例えば、99質量%以下であってよい。前処理液中の水及び水溶性有機溶剤の合計量は、前処理液全量に対して、例えば、50〜99質量%または70〜99質量%であってよい。
後処理液は、必要に応じて、例えば、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。これらについても、それぞれ、インクに使用できるものと同様のものを1種または2種以上選択して用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤等のアセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好ましい。
画像濃度の向上の観点から、界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤またはこれらの組み合わせを含むことがより好ましい。基材への濡れ性を向上させて、画像濃度を向上させることができる。
後処理液中の界面活性剤の量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、後処理液の表面張力等の観点から、後処理液中に0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
後処理液の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製できる。
後処理液は、基材の、少なくとも印刷領域に塗布することが好ましく、印刷領域を含む基材の全面に付与してもよい。
後処理液付与工程における後処理液を付与する方法は特に限定されず、例えば、前処理液を付与する方法の例として挙げたものから適宜選択することができる。後処理液の基材への付与量は、例えば、基材の単位面積当たり、1〜50g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
印刷物の製造方法は、インクジェット印刷工程の後に、基材を加熱する工程(以下、加熱工程という場合もある。)を含むことが好ましい。これにより、インクを乾燥させるとともに、水分散性樹脂を製膜させて、強固なインク膜を形成しやすい。
印刷物の製造方法が、インクジェット印刷工程の後に、後処理液を基材に付与する後処理液付与工程を含む場合は、加熱工程は、後処理液付与工程の後に行うことが好ましい。
インクジェット印刷工程の後に行われる基材を加熱する加熱工程における加熱温度は、湿潤摩擦堅牢度の向上の観点から、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、130℃以上がさらに好ましい。この加熱工程における加熱温度は、例えば、150℃以上であってもよい。一方、この加熱工程における加熱温度は、湿潤摩擦堅牢度の向上の観点から、200℃以下が好ましい。この加熱工程における加熱温度は、例えば、60〜200℃が好ましく、80〜200℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましく、130〜200℃がさらに好ましく、例えば、150〜200℃であってもよい。例えば、この加熱工程の加熱温度が150℃以上であると、ポリオレフィン樹脂のレベリングが進み、インク皮膜の被覆面積が大きくなるため、摩擦の影響を一層受けにくくすることができる。この加熱工程の加熱温度が200℃以下であると、加熱による基材のダメージが緩和されやすい。
印刷物の製造方法は、前処理液付与工程と、インクジェット印刷工程との間に、基材を加熱する工程等の前処理液を乾燥する工程を含んでもよい。しかし、本実施形態の印刷物の製造方法では、上述のインク及び前処理液を使用することで、前処理液付与工程とインクジェット印刷工程との間に基材を加熱する工程等の前処理液を乾燥する工程を行わずに、前処理液が乾燥していない状態の基材の上にインクで印刷を行った場合も、優れた画質と湿潤摩擦堅牢度を得ることができる。
印刷物の製造方法は、その他の処理工程等の他の工程を含んでもよい。
<インクセット>
実施形態のインクセットは、上述のインクジェット用水性インクと、凝集剤を含む前処理液と、を含む。インクジェット用水性インクについては、上述の通りであり、前処理液については、上述の印刷物の製造方法において用いることができる前処理液として説明したものを用いることができる。
インクセットは、例えば、上述の後処理液をさらに含んでもよい。
インクセットは、例えば、その他のインク、及び/又はその他の処理液等を含んでもよい。
本開示は、下記の実施形態を含むが、本発明は、下記に記載される実施形態に限定されない。
<1> 色材、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む、インクジェット用水性インク。
<2> 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、水分散性ポリプロピレン樹脂を含む、<1>に記載のインクジェット用水性インク。
<3> 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、融点100℃以上の水分散性ポリオレフィン樹脂を含む、<1>又は<2>に記載のインクジェット用水性インク。
<4> <1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクを用いて、基材にインクジェット印刷する工程を含む、印刷物の製造方法。
<5> 前記インクジェット印刷する工程の前に、凝集剤を含む前処理液を前記基材に付与する工程をさらに含む、<4>に記載の印刷物の製造方法。
<6> 前記凝集剤が有機酸、金属塩、カチオン性ポリマー又はこれらの組み合わせを含む、<5>に記載の印刷物の製造方法。
<7> 前記カチオン性ポリマーが、エピクルロヒドリンと窒素含有化合物の重合体を含む、<6>に記載の印刷物の製造方法。
<8> 前記インクジェット印刷する工程の後に、樹脂を含む後処理液を前記基材に付与する工程をさらに含む、<4>〜<7>のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
<9> <1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクと、凝集剤を含む前処理液とを含む、インクセット。
<10> 樹脂を含む後処理液をさらに含む、<9>に記載のインクセット。
<A1> 顔料、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む、捺染インクジェット用水性顔料インク。
<A2> 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、水分散性ポリプロピレン樹脂を含む、<A1>に記載の捺染インクジェット用水性顔料インク。
<A3> 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、融点100℃以上の水分散性ポリオレフィン樹脂を含む、<A1>又は<A2>に記載の捺染インクジェット用水性顔料インク。
<A4> <A1>〜<A3>のいずれか1項に記載の捺染インクジェット用水性顔料インクを用いて、布帛にインクジェット印刷する工程を含む、捺染物の製造方法。
<A5> 前記インクジェット印刷する工程の後に、前記布帛を100℃以上の温度で加熱する工程をさらに含む、<A4>に記載の捺染物の製造方法。
<A6> 前記加熱する工程において前記布帛を150℃〜200℃の温度で加熱する、<A5>に記載の捺染物の製造方法。
<A7> 前記インクジェット印刷する工程の前に、凝集剤を含む前処理液を前記布帛に付与する工程をさらに含む、<A4>〜<A6>のいずれか1項に記載の捺染物の製造方法。
<A8> 前記凝集剤が有機酸を含む、<A7>に記載の捺染物の製造方法。
<A9> 前記有機酸は、沸点が120℃以上である、<A8>に記載の捺染物の製造方法。
<A10> 前記有機酸の含有量が、前記前処理液の全量に対して、3〜30質量%である、<A8>又は<A9>に記載の捺染物の製造方法。
<A11>
前記前処理液を付与する工程と、前記インクジェット印刷する工程との間に、前記布帛を加熱する工程を含まない、<A7>〜<A10>のいずれか1項に記載の捺染物の製造方法。
<A12> <A1>〜<A3>のいずれか1項に記載の捺染インクジェット用水性顔料インクと、凝集剤を含む前処理液とを含む、インクセット。
日本国特許出願第2018−205138号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」である。表中の各成分の配合量も「質量%」で示す。
<試験片>
綿100%織物を210mm×74mmに裁断したものを試験片1とした。
ポリエステル100%織物を210mm×74mmに裁断したものを試験片2とした。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(桜井株式会社製「CF300」)を210mm×74mmに裁断したものを試験片3とした。
ポリ塩化ビニルシート(リンテック株式会社製「GIY−11Z5」)を210mm×74mmに裁断したものを試験片4とした。
<インク1〜18の調製>
表1〜5に記載の原材料を混合し、スリーワンモーターで100rpmの速度で1分間撹拌した。撹拌後、0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、インク1〜18を得た。表1〜5中の各原材料の配合量は、質量%で示す。表1〜5中の各原材料の配合量は、揮発分が含まれる成分については、揮発分を含めた量である。
表1〜5に記載の原材料は下記の通りである。
顔料分散体:「CAB−O−JET300」(キャボット社製カーボンブラック分散体)
水分散性ウレタン樹脂1:「インプラニールDLP−R」(水分散性ウレタン樹脂の水系樹脂エマルション、住化コベストロウレタン株式会社製)
水分散性ウレタン樹脂2:「インプラニールDL1537」(水分散性ウレタン樹脂の水系樹脂エマルション、住化コベストロウレタン株式会社製)
水分散性ウレタン樹脂3:「スーパーフレックス130」(水分散性ウレタン樹脂の水系樹脂エマルション、第一工業製薬株式会社製)
水分散性ポリオレフィン樹脂1:「アローベースDB−4010」(水分散性ポリプロピレン樹脂の水系樹脂エマルション、ユニチカ株式会社製)
水分散性ポリオレフィン樹脂2:「アローベースTC−4010」(水分散性ポリプロピレン樹脂の水系樹脂エマルション、ユニチカ株式会社製)
水分散性ポリオレフィン樹脂3:「アローベースSB−1010」(水分散性ポリエチレン樹脂の樹脂エマルション、ユニチカ株式会社製)
水分散性ポリオレフィン樹脂4:「アローベースSE−1010」(水分散性ポリエチレン樹脂の樹脂エマルション、ユニチカ株式会社製)
水分散性ポリエステル樹脂:「エリーテルKT−8803」(水分散性ポリエステル樹脂の水系樹脂エマルション、ユニチカ株式会社製)
架橋剤:「カルボジライトSV02」(カルボジイミド、日清紡ケミカル株式会社製)
界面活性剤1:「サーフィノール485」(アセチレングリコール系界面活性剤、エボニックインダストリーズ社製)
界面活性剤2:「シルフェイスSAG002」(シリコーン系界面活性剤、日信化学工業株式会社製)
界面活性剤3:「サーフロンS243」(フッ素系界面活性剤、AGCセイミケミカル株式会社製)
水溶性有機溶剤1:トリエチレングリコール、富士フイルム和光純薬株式会社製
水溶性有機溶剤2:グリセリン、富士フイルム和光純薬株式会社製
水溶性有機溶剤3:ジエチレングリコール、富士フイルム和光純薬株式会社製
以下の表に記載される水分散性ウレタン樹脂の皮膜伸度は、以下のようにして得られた値である。
乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性ウレタン樹脂を塗布し、23℃で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、及び120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して、樹脂フィルムを作製した。
テンシロン万能試験機RTC−1225A(株式会社オリエンテック製)を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、得られた樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、もとの長さに対するその割合をパーセントで皮膜伸度として表した。
<実施例1〜11及び比較例1〜7>
A.印刷物の製造
実施例1〜11及び比較例1〜7については、印刷物を以下のように作製した。
実施例1〜7及び比較例1〜4は、試験片1を用い、実施例8〜11及び比較例5〜7は試験片3を用いた。マスターマインド社製インクジェットプリンタMMP813BT−3により、試験片に、表1〜5に記載されるインクを用いて単色ベタ画像を印刷した。インク付与量は約20g/mとした。
実施例1〜7及び比較例1〜4は、印刷後、HotronixFusionヒートプレスを用いて180℃で60秒間試験片を加熱した。実施例8〜11及び比較例5〜7は、印刷後、恒温槽を用いて110℃で120秒間試験片を加熱した。
このようにして、実施例1〜11及び比較例1〜7の印刷物を得た。
B.評価(湿潤摩擦堅牢度)
上記のようにして作製した実施例1〜11及び比較例1〜7の印刷物の湿潤摩擦堅牢度を、以下のようにして評価した。結果を表1〜5に示す。
実施例1〜7及び比較例1〜4については、学振試験機RT−200(株式会社大栄科学精器製作所製)を使用し、綿100%白色布カナキン3号を取り付け、試験片1(浸透性基材)を用いた実施例1〜7及び比較例1〜4の印刷物については、重り無しの状態で100往復擦過し、試験片3(非浸透性基材)を用いた実施例8〜11及び比較例5〜7の印刷物については、重り無しの状態で25往復擦過した。白色布は白色布と同重量のイオン交換水を湿らせた状態で使用した。
摩擦後の印刷物の変退色をJIS L 0849に規定される変退色用グレースケールで評価し、その結果を下記の基準で評価した。
S:3級以上
A:2−3級
B:2級
C:1−2級以下
Figure 2020090212
Figure 2020090212
Figure 2020090212
Figure 2020090212
Figure 2020090212
<前処理液の調製>
表6及び7に記載の原材料を混合し、スリーワンモーターで100rpmの速度で1分間撹拌した。撹拌後、0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、前処理液1〜7を得た。表6及び7中の各原材料の配合量は、質量%で示す。表6及び7中の各原材料の配合量は、揮発分が含まれる成分については、揮発分を含めた量である。
表6及び7に記載の原材料は以下の通りである。
有機酸1:乳酸、富士フイルム和光純薬株式会社製
有機酸2:酢酸、富士フイルム和光純薬株式会社製
金属塩1:塩化カルシウム、富士フイルム和光純薬株式会社製
カチオン性ポリマー1:「ユニセンスKHE100L」(ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重合体の水溶液、センカ株式会社製)
界面活性剤3:「サーフロンS243」(フッ素系界面活性剤、AGCセイミケミカル株式会社製)
水溶性有機溶剤2:グリセリン、富士フイルム和光純薬株式会社製
水溶性有機溶剤3:ジエチレングリコール、富士フイルム和光純薬株式会社製
Figure 2020090212
Figure 2020090212
<インク19及び20の調製>
表8に記載の原材料を混合し、スリーワンモーターで100rpmの速度で1分間撹拌した。撹拌後、0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、インク19及び20を得た。表8中の各原材料の配合量は、質量%で示す。表8中の各原材料の配合量は、揮発分が含まれる成分については、揮発分を含めた量である。なお、表8に記載のインク1、19及び20は、実施例12〜28で用いられものであるが、このうち、インク1は、表1に記載の実施例1で用いられたインク1である。
表8に記載の各原材料の詳細は、表1〜5に記載されるものと同じである。
Figure 2020090212
<後処理液の製造>
表9に記載の原材料を混合し、スリーワンモーターで100rpmの速度で1分間撹拌した。撹拌後、0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、後処理液1を得た。表9中の各原材料の配合量は、質量%で示す。表9中の各原材料の配合量は、揮発分が含まれる成分については、揮発分を含めた量である。
表9に記載の原材料は以下の通りである。
樹脂1:「スーパーフレックス210」(アニオン性水分散性ウレタン樹脂の水系樹脂エマルション、第一工業製薬株式会社製)
界面活性剤1:「サーフィノール485」(アセチレングリコール系界面活性剤、エボニックインダストリーズ社製)
水溶性有機溶剤2:グリセリン、富士フイルム和光純薬株式会社製
水溶性有機溶剤3:ジエチレングリコール、富士フイルム和光純薬株式会社製
Figure 2020090212
<実施例12〜28>
A.印刷物の製造
実施例12〜28の印刷物を以下のように作製した。
実施例12〜18については、表10〜11に記載の試験片に、株式会社エアテックス社製エアブラシを用いて表10〜11に記載の前処理液を均一に付与した。実施例12〜18については、前処理液の付与量は20g/mとした。実施例21〜28については、表12〜13に記載の試験片に、マスターマインド社製インクジェットプリンタMMP813BT−3を用いて表12〜13に記載の前処理液を均一に付与した。実施例21〜28については、前処理液の付与量は、試験片1及び2(浸透性基材)は、20g/mとし、試験片3及び4(非浸透性基材)は5g/mとした。これを工程1とする。
これらのうち、実施例12〜17及び21〜28については、工程1の後、マスターマインド社製インクジェットプリンタMMP813BT−3により、表10〜13に記載されるインクを用いて単色ベタ画像を印刷した。インク付与量は約20g/mとした。これを工程2とする。
実施例12〜17では、印刷後(すなわち工程2の後)、HotronixFusionヒートプレスを用いて60秒間試験片を加熱した。加熱温度は、実施例12及び14〜17では180℃として、実施例13では120℃とした。
実施例21〜26及び28では、印刷後(すなわち工程2の後)、恒温槽を用いて110℃で120秒間試験片を加熱した。
実施例27では、印刷後(すなわち工程2の後)、マスターマインド社製インクジェットプリンタMMP813BT−3を用い、後処理液1を塗布した。後処理液1の付与量は10g/mとした。後処理液1塗布後に、恒温槽を用いて110℃で120秒間試験片を加熱した。
このようにして、実施例12〜17及び21〜28の印刷物を得た。
実施例18については、工程1の後、HotronixFusionヒートプレスを用いて180℃で60秒間試験片加熱し、前処理液を乾燥させてから、工程2、すなわち、マスターマインド社製インクジェットプリンタMMP813BT−3により、表に記載されるインクを用いて単色ベタ画像を印刷した。インク付与量は約20g/mとした。印刷後、HotronixFusionヒートプレスを用いて180℃で60秒間試験片を加熱した。このようにして、実施例18の印刷物を得た。
実施例19の印刷物は、実施例1と同様にして作製した。
実施例20の印刷物は、試験片として、試験片1(綿100%織物)にかえて、試験片2(ポリエステル100%織物)を用いた以外は実施例19と同様にして、作製した。
したがって、実施例19及び20では、工程1は行われなかった。
B.評価(湿潤摩擦堅牢度、画質、インク吐出性)
1.湿潤摩擦堅牢度
上記のようにして作製した実施例12〜28の印刷物の湿潤摩擦堅牢度を、実施例1〜11及び比較例1〜7と同様にして評価した。なお、実施例1〜11及び比較例1〜7の湿潤摩擦堅牢度の評価と同様、試験片1又は2(浸透性基材)を用いた印刷物については、重り無しの状態で100往復擦過し、試験片3又は4(非浸透性基材)を用いた印刷物については、重り無しの状態で25往復擦過した。結果を表10〜13に示す。
2.画質
上記のようにして作製した実施例12〜28の印刷物の画質を、以下のようにして評価した。結果を表10〜13に示す。
印刷物のOD値を分光測色計X−Rite eXact(エックスライト社製)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
S:OD値1.5以上
A:OD値1.4以上1.5未満
B:OD値1.2以上1.4未満
C:OD値1.1以上1.2未満
D:OD値1.1未満
3.インクジェットヘッドからのインクの吐出性
実施例12〜18の印刷物の製造において、前処理液が付与された試験片又は前処理液が付与された後、加熱が行われた試験片(具体的には、実施例12〜17では、工程1が行われた試験片、実施例18では、工程1の後、180℃で60秒間加熱された試験片)に対して、A4サイズの単色ベタ画像を5枚印刷し、インクジェットヘッドからの吐出性を下記の評価基準で評価した。結果を表10及び11に「吐出性」として示す。
A:途中でヘッドクリーニングを実施することなく不吐出のない印刷ができた。
B:途中でヘッドクリーニングを実施することで不吐出のない印刷ができた。
Figure 2020090212
Figure 2020090212
Figure 2020090212
Figure 2020090212
表に示されるように、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂と水分散性ポリオレフィン樹脂とを含むインクを用いた実施例1〜28では、湿潤摩擦堅牢度に優れた印刷物を作製できた。これに対して、比較例1〜7では、湿潤摩擦堅牢度が低かった。
また、実施例1〜7のうち、水分散性ポリプロピレン樹脂を含むインクが用いられた実施例1〜5において、湿潤摩擦堅牢度がさらに優れていた。また、実施例8〜11のうち、水分散性ポリプロピレン樹脂を含むインクが用いられた実施例8〜10において、湿潤摩擦堅牢度がさらに優れていた。
また、凝集剤を含む前処理液の付与(工程1)が行われた場合に、より優れた画質が得られた。
工程2後の加熱温度を180℃とした実施例12は、工程2後の加熱温度が120℃である実施例13に比べて、湿潤摩擦堅牢度がさらに優れていた。
有機酸を含む前処理液を用いた実施例14及び15は、金属塩を含む前処理液を用いた実施例16に比べて、湿潤摩擦堅牢度がさらに優れていた。
乳酸を含む前処理液を用いた実施例14は、沸点118℃の酢酸を含む前処理液を用いた実施例15に比べて、吐出性に優れていた。
有機酸の含有量が前処理液全量に対して10質量%である前処理液を用いた実施例12は、有機酸の含有量が前処理液全量に対して2.5質量%である前処理液を用いた実施例14に比べて、より優れた画質が得られた。
工程1と工程2との間に加熱を行わなかった実施例12においても、工程1と工程2との間に加熱を行った実施例18と同様に、優れた湿潤摩擦堅牢度が示された。

Claims (10)

  1. 色材、皮膜伸度600%以上の水分散性ウレタン樹脂、水分散性ポリオレフィン樹脂、及び水を含む、インクジェット用水性インク。
  2. 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、水分散性ポリプロピレン樹脂を含む、請求項1に記載のインクジェット用水性インク。
  3. 前記水分散性ポリオレフィン樹脂が、融点100℃以上の水分散性ポリオレフィン樹脂を含む、請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクを用いて、基材にインクジェット印刷する工程を含む、印刷物の製造方法。
  5. 前記インクジェット印刷する工程の前に、凝集剤を含む前処理液を前記基材に付与する工程をさらに含む、請求項4に記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記凝集剤が有機酸、金属塩、カチオン性ポリマー又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の印刷物の製造方法。
  7. 前記カチオン性ポリマーが、エピクロルヒドリンと窒素含有化合物との重合体を含む、請求項6に記載の印刷物の製造方法。
  8. 前記インクジェット印刷する工程の後に、樹脂を含む後処理液を前記基材に付与する工程をさらに含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクと、凝集剤を含む前処理液とを含む、インクセット。
  10. 樹脂を含む後処理液をさらに含む、請求項9に記載のインクセット。

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