JPWO2020067203A1 - 電磁波吸収シートおよびその製造方法 - Google Patents

電磁波吸収シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを提供することを目的とする。本発明の電磁波吸収シートは、シート状の繊維状基材と、前記シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置するカーボンナノチューブと、を含む電磁波吸収シートであり、前記繊維状基材は有機繊維で構成され、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブを主成分として含有し、前記電磁波吸収シートの導電率が0.7S/cm以上20S/cm以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、電磁波吸収シートおよびその製造方法に関するものである。特に、本発明は、カーボンナノチューブを含む電磁波吸収シートおよびその製造方法に関するものである。
近年、軽量であるとともに、導電性および機械的特性等に優れる材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)が注目されている。しかし、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体は直径がナノメートルサイズの微細な構造体であるため、単体では取り扱い性や加工性が必ずしも良くない。
そこで、例えば、複数本のCNTを基材に対して付与して成形してなるシート、および、複数本のCNTと他の繊維とを含む組成物を成形してなるシート等を種々の用途に適用することが提案されている。
このようなシートの用途として、特に、電磁波吸収の用途が注目されている。例えば特許文献1では、基材上に多層カーボンナノチューブおよび樹脂成分を含む塗工液を塗工して形成されたシートが電磁波吸収性能を有する旨が開示されている。また、特許文献2では、セルロース繊維、分散剤で分散されたカーボンナノチューブ等からなるスラリーを湿式抄造してなるシートが電磁波吸収性能を発揮し得る旨が開示されている。
特開2012−174833号公報 特開2012−174834号公報
しかし、上記のような従来から提案されてきたシートは、例えば1.0〜10GHzなどの広帯域の電磁波を良好に吸収する点において、改善の余地があった。
そこで、本発明は、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、当該電磁波吸収シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に、単層カーボンナノチューブを主成分として含有するカーボンナノチューブを位置させることにより形成され、且つ、導電率が所定範囲内である電磁波吸収シートが、広帯域の電磁波を良好に吸収し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電磁波吸収シートは、シート状の繊維状基材と、前記シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置するカーボンナノチューブと、を含む電磁波吸収シートであり、前記繊維状基材は有機繊維で構成され、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブを主成分として含有し、前記電磁波吸収シートの導電率が0.7S/cm以上20S/cm以下であることを特徴とする。このように、有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に、単層カーボンナノチューブを主成分として含有するカーボンナノチューブを位置させることにより形成され、且つ、導電率が所定範囲内である電磁波吸収シートは、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
なお、本発明において「カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブを主成分として含有する」とは、電磁波吸収シート中に含有されるカーボンナノチューブの全質量を100質量%として、単層カーボンナノチューブの質量の占める割合が50質量%超であることを意味する。
ここで、本発明の電磁波吸収シートは、少なくとも一方の主面の表面粗さSaが10μm以上であることが好ましい。少なくとも一方の主面の表面粗さSaが上記所定以上である電磁波吸収シートであれば、広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
なお、本発明において、「表面粗さSa」はISO25178に準拠して測定することができる。
さらに、本発明の電磁波吸収シートは、厚みが150μm以下であり、且つ、1GHz以上10GHz以下の範囲の少なくとも一部における伝送減衰率が20dB以上であることが好ましい。電磁波吸収シートの厚みが上記所定以下であり、且つ、上述した範囲の少なくとも一部における伝送減衰率が上記所定値以上であれば、電磁波吸収シートを薄型化および軽量化できると共に、電磁波吸収シートの上記所定の範囲の少なくとも一部における電磁波吸収性能を更に高めることができる。
なお、電磁波吸収シートの厚み、および上記所定の範囲における伝送減衰率は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述したいずれかの電磁波吸収シートの製造方法であって、前記カーボンナノチューブの分散液を前記繊維状基材で濾過する濾過工程を含むことを特徴とする。このように、カーボンナノチューブの分散液を繊維状基材で濾過すれば、上述したいずれかの本発明の電磁波吸収シートを良好に製造することができる。
さらに、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述したいずれかの電磁波吸収シートの製造方法であって、前記カーボンナノチューブの分散液および前記繊維状基材を減圧条件にて撹拌する工程を含むことを特徴とする。このように、カーボンナノチューブの分散液および前記繊維状基材を減圧条件にて撹拌すれば、上述したいずれかの本発明の電磁波吸収シートを良好に製造することができる。
ここで、上記本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、前記撹拌する工程により、前記カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材から、前記分散液中の分散媒を除去する工程を含むことが好ましい。このように、上述した撹拌する工程により、前記カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材から、分散液中の分散媒を除去すれば、上述したいずれかの本発明の電磁波吸収シートを更に良好に製造することができる。
本発明によれば、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを提供することができる。
また、本発明によれば、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを良好に製造することが可能な電磁波吸収シートの製造方法を提供することができる。
実施例1−1、1−2および比較例1−1、1−2の電磁波吸収シートにおける電磁波の周波数(横軸)に対する反射係数S11、透過係数S21、および伝送減衰率Rtp(横軸)を示すグラフである。 実施例1−1、1−2および比較例1−1、1−2の電磁波吸収シートの主面の表面粗さSaの数値および3次元表面形状を示す画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(電磁波吸収シート)
本発明の電磁波吸収シートは、シート状の繊維状基材と、前記シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置するカーボンナノチューブとを含み、前記繊維状基材が有機繊維で構成され、前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブを主成分として含有し、前記電磁波吸収シートの導電率が所定範囲内であることを特徴とする。そして、本発明の電磁波吸収シートは、任意で、電磁波吸収シート製造時に使用した添加剤等のその他の成分を含有していても良い。そして、本発明の電磁波吸収シートは、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
なお、通常、カーボンナノチューブは、シート状の繊維状基材を構成する有機繊維に対して付着している。ここで、シート状の繊維状基材を構成する有機繊維に対して、カーボンナノチューブが「付着」するとは、シート状の繊維状基材の構成単位である有機繊維上に、カーボンナノチューブが付着し、或いは絡みついて存在する状態を意味する。そして、本発明の電磁波吸収シートでは、通常、シート状の繊維状基材の表面に位置する有機繊維のみならず、シート状の繊維状基材の厚み方向内側に位置する有機繊維に対して、カーボンナノチューブが付着した状態となっている。
<シート状の繊維状基材>
電磁波吸収シートに使用し得るシート状の繊維状基材としては、有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材であれば、特に限定されることはない。
シート状の繊維状基材を構成する有機繊維としては、特に限定されることはなく、例えば、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびこれら変性物等のポリマーよりなる合成繊維;綿、麻、ウール、および絹等の天然繊維;などが挙げられる。合成繊維を形成するポリマーとしては、一種を単独で、或いは複数種を混合して用いることができる。中でも、シート状の繊維状基材を構成する有機繊維としては、合成繊維が好ましく、その中でも、ポリビニルアルコールのアセタール化物であるビニロンがより好ましい。そして、シート状の繊維状基材は、これらの有機繊維により構成されうる織布または不織布でありうる。中でも、シート状の繊維状基材は不織布であることが好ましい。なお、本明細書において、「不織布」とは、JIS L 0222にて定義されているように、「繊維シート、ウェブまたはバットで、繊維が一方向またはランダムに配向しており、交絡、融着、および接着の少なくとも1つの態様によって繊維間が結合されたもの」を指す(ただし、紙、織物、編物、タフトおよび縮じゅうフェルトを除く)。
なお、カーボンナノチューブは上述した有機繊維には含まれないものとする。
<カーボンナノチューブ>
本発明の電磁波吸収シートに含まれるカーボンナノチューブ(CNT)は、単層カーボンナノチューブ(単層CNT)を主成分として含有する。CNTに含まれうる単層CNT以外の成分としては、多層カーボンナノチューブ(多層CNT)が挙げられる。ここで、CNTの質量全体に占める単層CNTの比率は、50質量%超であることが必要であり、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であっても良い。なお、CNTが多層CNTを含む場合には、多層CNTの層数が5層以下であることが好ましい。
ここで、本発明の電磁波吸収シートが、単層CNTを主成分として含有するCNTを、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置させて、且つ、導電率を所定範囲内とすることで、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。まず、単層CNTは、多層CNTと比較して、高い導電性を有する。したがって、導電性が高い単層CNTをシート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置させることで、得られる電磁波吸収シートの表面は、材料であるシート状の繊維状基材に由来する凹凸に富む形状を維持しつつ、単層CNTに由来する適度に高い導電性を付与される。このような凹凸に富み、且つ、適度に高い導電性を付与された表面が、電磁波吸収シートの広帯域での優れた電磁波吸収性能に寄与していると考えられる。
以下、CNTの好適な属性について説明するが、かかる属性は、本発明の電磁波吸収シートを製造する際に用いる材料としてのCNT、および本発明の電磁波吸収シートに含まれるCNTの双方について当てはまることが好ましい。より具体的には、少なくともBET比表面積および平均直径等については、原則として、後述する電磁波吸収シートの製造方法に含まれる各種処理を経た後であっても、材料としてのCNTが呈していたBET比表面積の値を下回ることは無い。
CNTは、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。具体的には、CNTは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に原料化合物およびキャリアガスを供給し、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
また、CNTは、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有するCNTは、CNTの全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、CNTに多数の開口が形成されていることを示しており、その結果として、かかるCNTを用いて分散液を調製した場合に、分散液中においてCNTが凝集しにくくなり、均質且つ広帯域での電磁波吸収性能に更に優れた電磁波吸収シートを得ることができる。
なお、CNTのt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。t−プロットの屈曲点がかかる範囲内にあるCNTは、かかるCNTを用いて分散液を調製した場合に、分散液中においてCNTがさらに凝集しにくくなる。その結果、一層均質且つ広帯域での電磁波吸収性能に一層優れた電磁波吸収シートを得ることができる。
ここで、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、CNTは、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1の値がかかる範囲内であるCNTは、かかるCNTを用いて分散液を調製した場合に、分散液中においてCNTがさらに凝集しにくくなる。その結果、一層均質且つ広帯域での電磁波吸収性能に一層優れた電磁波吸収シートを得ることができる。
ここで、CNTの全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
そして、CNTの吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
また、CNTは、BET比表面積が、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2000m2/g以下であることが好ましく、1800m2/g以下であることがより好ましく、1600m2/g以下であることがさらに好ましい。BET比表面積が上記範囲内であれば、電磁波吸収シートは広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
CNTの平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。
また、CNTは、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましい。
平均直径および/または平均長さが上記範囲内であるCNTは、かかるCNTを用いて分散液を調製した場合に、分散液中においてCNTが凝集しにくくなり、均質且つ広帯域での電磁波吸収性能に更に優れた電磁波吸収シートを得ることができる。
更に、CNTは、通常、アスペクト比(長さ/直径)が10超である。
なお、CNTの平均直径、平均長さおよびアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択したCNT100本の直径および長さを測定することにより求めることができる。
また、本発明の電磁波吸収シートにおけるカーボンナノチューブの目付量は、0.05mg/cm2以上であることが好ましく、0.10mg/cm2以上であることがより好ましく、0.60mg/cm2以下であることが好ましく、0.55mg/cm2以下であることがより好ましい。電磁波吸収シートにおけるCNTの目付量が上記下限値以上であれば、電磁波吸収シートは適度に高い導電率を呈し得るため、広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。一方、電磁波吸収シートにおけるCNTの目付量が上記上限値以下であれば、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に過度に多量のCNTが入り込んで電磁波吸収シートの表面の凹凸形状が損なわれることを防止できる。したがって、電磁波吸収シートは広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
なお、電磁波吸収シートにおけるCNTの目付量は、下記の方法により算出することができる。即ち、電磁波吸収シートを5cm×5cm(面積:25cm2)に切り出して得られる試験片の質量Ws(mg)を秤量して、かかる電磁波吸収シートの製造に用いた繊維状基材の質量Wf(mg)を減算して得た全CNT付着量WCNT(mg)を、試験片の面積で除することで、試験片1cm2あたりの付着量(mg)としてCNTの目付量(mg/cm2)を算出することができる。
また、電磁波吸収シートにおけるCNTの目付量は、電磁波吸収シートの製造時の各種条件を変更することにより、調節することができる。
<導電率>
本発明の電磁波吸収シートの導電率は、0.7S/cm以上20S/cm以下である。また、本発明の電磁波吸収シートの導電率は、1S/cm以上であることが好ましく、1.5S/cm以上であることがより好ましい。また、本発明の電磁波吸収シートの導電率は、17S/cm以下であることが好ましく、15S/cm以下であることがより好ましい。電磁波吸収シートの導電率が上記所定の範囲内であれば、電磁波吸収シートは広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
なお、導電率は抵抗率の逆数である。そして、電磁波吸収シートの導電率は、例えば、電磁波吸収シートにおけるCNTの目付量を変更することによって制御することができる。例えば、CNTの目付量を増加させれば、電磁波吸収シートの導電率を高めることができる。一方、CNTの目付量を減少させれば、電磁波吸収シートの導電率を低くすることができる。
<電磁波吸収性能>
本発明の電磁波吸収シートは、1GHz以上10GHz以下の範囲の少なくとも一部における伝送減衰率が20dB以上であることが好ましく、1GHz以上10GHz以下の範囲の全部における伝送減衰率が20dB以上であることがより好ましい。上述した範囲の少なくとも一部における伝送減衰率が上記所定値以上である電磁波吸収シートは、当該範囲の少なくとも一部において更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
<厚み>
本発明の電磁波吸収シートの厚みは、5μm以上であることが好ましく、150μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましい。電磁波吸収シートの厚みが上記下限以上であれば、電磁波吸収シートは十分な機械的強度を有し得ると共に、広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。一方、電磁波吸収シートの厚みが上記上限以下であれば、電磁波吸収シートを薄型化および軽量化することができる。
<表面粗さ>
本発明の電磁波吸収シートは、少なくとも一方の主面の表面粗さSaが10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、50μm以下であることが好ましい。電磁波吸収シートの少なくとも一方の主面の粗さSaが上記下限以上であれば、電磁波吸収シートは広帯域で更に優れた電磁波吸収性能を発揮することができる。
電磁波吸収シートの主面の表面粗さSaは、使用するシート状の繊維状基材、および電磁波吸収シートの製造時の各工程の条件を変更することにより、調節することができる。
(電磁波吸収シートの製造方法)
本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述した電磁波吸収シートの製造方法であって、上述したカーボンナノチューブの分散液を繊維状基材で濾過する濾過工程、および、上述したカーボンナノチューブの分散液および繊維状基材を減圧条件にて撹拌する工程(減圧攪拌工程)の少なくとも一方を含むことを特徴とする。本発明の電磁波吸収シートの製造方法によれば、上述した電磁波吸収シートを良好に製造することができる。
<濾過工程を含む電磁波吸収シートの製造方法>
濾過工程を含む本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述したカーボンナノチューブの分散液を繊維状基材で濾過する濾過工程を含むことを特徴とする。
なお、上記本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上記濾過工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
<<濾過工程>>
濾過工程では、上述したカーボンナノチューブの分散液を繊維状基材で濾過する。これにより、カーボンナノチューブを繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置させてなる一次シートを作製することができる。なお、得られた一次シートをそのまま本発明の電磁波吸収シートとして使用することも可能である。
ここで、カーボンナノチューブの分散液(CNT分散液)は、単層CNTを主成分として含むCNTを、分散媒に分散することにより調製することができる。使用し得る単層CNT、およびその他のCNTとしては、上述したような単層CNT、および多層CNTを用いることができる。分散媒としては、特に限定されることなく、水、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、エチレングリコール、メチルイソブチルケトンおよびブチルアルコールを用いることができる。中でも、分散媒としては水を用いることが好ましい。
CNT分散液を調製するに当たり、CNT分散液中におけるCNTの分散性を向上させるために、添加剤として分散剤を配合することができる。分散剤としては、特に限定されることなく、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の既知の界面活性剤や、分散剤として機能し得る合成高分子または天然高分子を用いることができる。分散剤の添加量は一般的な範囲とすることができる。
そして、CNT分散液を調製するに当たり、上記のような界面活性剤を配合した分散媒に対してCNTを添加し、粗分散液を得てから、得られた粗分散液を国際公開第2014/115560号に開示されたような、キャビテーション効果が得られる分散方法、および/または、解砕効果が得られる分散方法を適用することで、CNTの分散性の良好なCNT分散液を得ることができる。なお、分散方法はかかる2つの方法に限定されるものではなく、攪拌子を用いて直接攪拌する方法を適用することももちろん可能である。
CNT分散液を調製するに当たり、任意で、カーボンナノチューブ以外の炭素材料、および添加剤等のその他の成分をCNT分散液に配合し得る。その他の成分を添加する場合には、例えば、CNTの粗分散液に対して添加することができる。
なお、CNT分散液を調製する際の分散時間は、例えば、1分以上120分以内とすることができる。
CNT分散液中のCNT濃度は0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが更に好ましく、0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。CNT分散液中のCNT濃度が上記上限以上であれば、後述する濾過工程で繊維状基材における厚み方向内側の空間にCNTを効率良く入り込ませることができる。一方、CNT分散液中のCNT濃度が上記上限以下であれば、CNT分散液中においてCNTが凝集しにくくなる。その結果、均質且つ広帯域での電磁波吸収性能に更に優れた電磁波吸収シートを得ることができる。
また、得られたCNT分散液は、繊維状基材で濾過する前に、脱気することが好ましい。脱気後のCNT分散液を繊維状基材で濾過すれば、繊維状基材における厚み方向内側の空間にCNTを容易に入り込ませることができる。
CNT分散液を脱気する方法としては、特に限定されることはなく、既知の脱気装置を用いる方法を採用できる。中でも、CNT分散液中のCNTの凝集を抑制しつつ、良好に脱気を行なう観点から、減圧攪拌装置(真空攪拌装置)を用いる方法が好ましい。
そして、カーボンナノチューブ分散液を繊維状基材で濾過する方法は、特に限定されることはなく、自然濾過、減圧濾過(吸引濾過)、加圧濾過、遠心濾過などの既知の濾過方法を用いることができる。そして、簡便かつ良好にCNTを繊維状基材における厚み方向内側の空間に入り込ませる観点から、濾過方法としては、減圧濾過(吸引濾過)または加圧濾過を用いることが好ましく、減圧濾過(吸引濾過)を用いることがより好ましい。
なお、減圧濾過(吸引濾過)または加圧濾過する際の圧力等の条件は、得られる電磁波吸収シートにおいて所望される主面の表面粗さ等に応じて、任意に設定することができる。
また、濾過工程に用いる繊維状基材としては、例えば、「電磁波吸収シート」の項で上述した有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材を用いることができる。
また、繊維状基材の坪量は、4g/m2以上であることが好ましく、8g/m2以上であることがより好ましく、150g/m2以下であることが好ましく、120g/m2以下であることがより好ましい。繊維状基材の坪量が上記下限以上であれば、製造される電磁波吸収シートの広帯域での電磁波吸収性能を更に高め得ると共に、電磁波吸収シートの機械的強度を十分に高く確保することができる。一方、繊維状基材の坪量が上記上限以下であれば、製造される電磁波吸収シートを軽量化することができる。
そして、繊維状基材の厚みは、5μm以上であることが好ましく、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましい。繊維状基材の厚みが上記下限以上であれば、製造される電磁波吸収シートの広帯域での電磁波吸収性能を更に高め得ると共に、電磁波吸収シートの機械的強度を十分に高く確保することができる。一方、繊維状基材の厚みが上記上限以下であれば、製造される電磁波吸収シートを薄型化および軽量化することができる。
<<その他の工程>>
上記本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述した濾過工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されることはなく、例えば、乾燥工程などが挙げられる。
[乾燥工程]
乾燥工程では、一次シートを乾燥させて、電磁波吸収シートを得ることができる。一次シート中には上述した工程で使用した分散媒および溶媒が残存し得るが、一次シートを乾燥させることにより、得られる電磁波吸収シート中の当該溶媒の残存量を少なくすることができる。
乾燥方法は、特に限定されることなく、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、1時間以上48時間以内である。
なお、本発明の電磁波吸収シートの製造方法では、例えば、上記乾燥工程における加熱等により、繊維状基材は収縮し得るものとする。したがって、電磁波吸収シートの製造方法に使用する前の繊維状基材と、当該製造方法により得られた電磁波吸収シートが備える繊維状基材とでは、坪量、厚み、および有機繊維の繊度等が異なる場合がある。
<減圧攪拌工程を含む電磁波吸収シートの製造方法>
減圧攪拌工程を含む本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述したカーボンナノチューブの分散液および繊維状基材を減圧条件にて撹拌する工程を含むことを特徴とする。
なお、上記本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上記減圧攪拌工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
<<減圧攪拌工程>>
減圧攪拌工程では、上述したカーボンナノチューブの分散液および繊維状基材を減圧条件にて撹拌する。これにより、カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材が得られる。
例えば、減圧攪拌工程では、上述したカーボンナノチューブの分散液および繊維状基材を、同一の容器に入れて、既知の減圧攪拌装置(真空攪拌装置)を用いて減圧条件下で攪拌することができる。
ここで、カーボンナノチューブの分散液としては、例えば、「濾過工程」の項で上述したCNT分散液を用いることができる。
また、繊維状基材としては、例えば、「電磁波吸収シート」の項で上述した有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材を用いることができる。
なお、攪拌時の減圧条件等は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で適宜設定することができる。
<<その他の工程>>
上記本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、上述した減圧攪拌工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されることはなく、例えば、分散媒除去工程などが挙げられる。
[分散媒除去工程]
分散媒除去工程では、上述した減圧攪拌工程により、カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材から、当該分散液中の分散媒を除去する。分散媒除去工程を実施すれば、電磁波吸収シートを更に良好に製造することができる。
カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材から、当該分散液中の分散媒を除去する方法としては、特に限定されることはないが、「濾過工程」の項で上述した吸引濾過などの濾過方法、および、「乾燥工程」の項で上述した乾燥方法などを用いることができ、これらを併用してもよい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、電磁波吸収シートの厚み、3次元表面形状、表面粗さ、導電率、および電磁波吸収性能は、それぞれ以下の方法を使用して測定または算出した。
<厚み>
実施例および比較例で製造した電磁波吸収シートの厚みは、ミツトヨ社製「デジマチック標準外側マイクロメータ」を用いて測定した。
<3次元表面形状および表面粗さSa>
実施例および比較例で製造した電磁波吸収シートの両面について、ISO25178に準拠し、キーエンス社製「ワンショット3D形状測定器」を用いて、45mm×45mmの領域における3次元表面形状および表面粗さSaを測定した。
<導電率>
実施例および比較例で製造した電磁波吸収シートについて、低抵抗用の抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、「ロレスタ(登録商標)GX」)を用いて、JIS K 7194に従って、電磁波吸収シートの片面上にプローブを配置して行う4探針法を実施することで、導電率を算出した。
<電磁波吸収性能>
実施例および比較例で製造した電磁波吸収シートについて、IEC−62333−2に準拠したマイクロストリップライン法により、反射係数S11および透過係数S21を測定し、伝送減衰率Rtpを算出した。なお、使用した測定機器および測定周波数は以下の通りである。
ネットワークアナライザー:アンリツ社製「ベクトルネットワークアナライザー37 169A」
測定器:キーコム社製「TF−3B」(0.1〜3GHz)、キーコム社製「TF−18C」(3〜18GHz)
そして、得られた伝送減衰率Rtpを以下の基準により評価した。なお、ある周波数での伝送減衰率が大きいほど、電磁波吸収シートはその周波数での電磁波吸収性能に優れることを示す。
A:ある周波数における伝送減衰率が20dB以上である。
B:ある周波数における伝送減衰率が20dB未満である。
(実施例1−1)
<カーボンナノチューブ分散液の調製>
分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を、分散媒として水を用いて、SDBS1質量%水溶液500mLを調製した。ここに、単層CNTとしてのSGCNT(ゼオンナノテクノロジー社製、「ZEONANO(登録商標)SG101、BET比表面積:1,050m2/g、平均直径:3.3nm、平均長さ:400μm、t−プロットは上に凸(屈曲点の位置:0.6nm)、内部比表面積S2/全比表面積S1:0.24)を0.5g加え、分散剤としてSDBSを含有する粗分散液を得た。この単層CNTを含む粗分散液を、分散時に背圧を負荷する多段圧力制御装置(多段降圧器)を有する高圧ホモジナイザー(株式会社美粒製、製品名「BERYU SYSTEM PRO」)に充填し、100MPaの圧力で粗分散液の分散処理を行った。具体的には、背圧を負荷しつつ、粗分散液にせん断力を与えてCNTを分散させ、濃度0.1質量%のSGCNT分散液を得た。なお、分散処理は、高圧ホモジナイザーから流出した分散液を再び高圧ホモジナイザーに返送しつつ、10分間実施した。
<減圧攪拌工程〜濾過工程>
上述のようにして得られた0.1質量%SGCNT分散液150mLと、5cm×10cmのシート状の繊維状基材としてのビニロン不織布(クラレ社製、品番:BFN No.3、坪量:36g/m2、厚み:123μm)とを、250mL容器に入れ、シンキー社製「ARV−310」を用いて、回転数2000rpm、0.5kPaで5分間真空撹拌した。次いで、容器からビニロン不織布を取り出し、吸引濾過することで、ビニロン不織布における厚み方向内側の空間にSGCNTを位置させてなる一次シートを得た。
<乾燥工程>
上記濾過工程後の一次シートを温度80℃で24時間にわたり真空乾燥し、電磁波吸収シートを得た。得られた電磁波吸収シートについて、上記方法に従って、各種測定および算出を行った。結果を表1、および図1、2に示す。なお、得られた電磁波吸収シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社社製「JSM−7800F Prime」)で観察したところ、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間にカーボンナノチューブが位置している様子が観察された。
(実施例1−2)
シート状の繊維状基材としてのビニロン不織布の坪量を12g/m2、厚みを58μmに変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、電磁波吸収シートを得た。得られた電磁波吸収シートについて、上記方法に従って、各種測定および算出を行った。結果を表1および図1、2に示す。なお、得られた電磁波吸収シートの断面をSEMで観察したところ、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間にカーボンナノチューブが位置している様子が観察された。
(比較例1−1)
濾過工程の代わりに以下の含浸工程を実施したこと以外は、実施例1−1と同様にして、電磁波吸収シートを得た。得られた電磁波吸収シートについて、上記方法に従って、各種測定および算出を行った。結果を表1および図1、2に示す。なお、得られた電磁波吸収シートの断面をSEMで観察したところ、シート状の繊維状基材の表面上にカーボンナノチューブからなる層が付着している様子が観察されたが、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間にカーボンナノチューブが位置している様子は観察されなかった。
<含浸工程>
上述のようにして得られた0.1質量%SGCNT分散液150mLを500mLのビーカーに入れて、当該分散液中に5cm×10cmのシート状の繊維状基材としてのビニロン不織布(クラレ社製、品番:BFN No.3、坪量:36g/m2、厚み:123μm)を含浸した後、常温で3時間乾燥した。
(比較例1−2)
シート状の繊維状基材としてのビニロン不織布の坪量を12g/m2、厚みを58μmに変更したこと以外は、比較例1−1と同様にして、電磁波吸収シートを得た。得られた電磁波吸収シートについて、上記方法に従って各種測定および算出を行った。結果を表1および図1、2に示す。なお、得られた電磁波吸収シートの断面をSEMで観察したところ、電磁波吸収シートの表面上にカーボンナノチューブからなる層が付着している様子が観察されたが、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間にカーボンナノチューブが位置している様子は観察されなかった。
Figure 2020067203
表1および図1から、単層カーボンナノチューブを主成分として含有するカーボンナノチューブを、有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置させることにより形成され、且つ、導電率を所定範囲内とした実施例1−1および1−2の電磁波吸収シートは、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得ることがわかる。
一方、単層カーボンナノチューブを主成分として含有するカーボンナノチューブが、有機繊維で構成されたシート状の繊維状基材の表面上に付着しているものの、シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間には位置しておらず、導電率も所定範囲外である比較例1−1および1−2の電磁波吸収シートは、広帯域での電磁波吸収性能に劣ることがわかる。
本発明によれば、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを提供することができる。
また、本発明によれば、広帯域で優れた電磁波吸収性能を発揮し得る電磁波吸収シートを良好に製造することが可能な電磁波吸収シートの製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. シート状の繊維状基材と、前記シート状の繊維状基材における厚み方向内側の空間に位置するカーボンナノチューブと、を含む電磁波吸収シートであり、
    前記繊維状基材は有機繊維で構成され、
    前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブを主成分として含有し、
    前記電磁波吸収シートの導電率が0.7S/cm以上20S/cm以下である、電磁波吸収シート。
  2. 少なくとも一方の主面の表面粗さSaが10μm以上である、請求項1に記載の電磁波吸収シート。
  3. 厚みが150μm以下であり、且つ、1GHz以上10GHz以下の範囲の少なくとも一部における伝送減衰率が20dB以上である、請求項1または2に記載の電磁波吸収シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、
    前記カーボンナノチューブの分散液を前記繊維状基材で濾過する濾過工程を含む、電磁波吸収シートの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、
    前記カーボンナノチューブの分散液および前記繊維状基材を減圧条件にて撹拌する工程を含む、電磁波吸収シートの製造方法。
  6. 請求項5に記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、
    前記撹拌する工程により、前記カーボンナノチューブの分散液が付着した繊維状基材から、前記分散液中の分散媒を除去する工程を含む、電磁波吸収シートの製造方法。
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